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ネタバレ@ファラミア/*  2

1萌えの下なる名無しさん:2004/05/12(水) 00:20
薄幸のゴンドール大将、後のイシリアン大公にして27代執政ファラミア殿に
原作・映画込みで萌えるスレ。
多彩なカプ萌え(攻受不問)から単体萌えまでこちらでどうぞ。

■『萌える子馬亭』の約束(必読)■SS投稿時には必ずお読み下さい。
http://0024.hiho.jp/pony/fellowship_rule.html

■前スレはこちら(過去ログ倉庫)■
http://0024.hiho.jp/pony/last_log/index.html

21:2004/05/12(水) 00:39
た、立ててしまいました。
女神様御降臨も萌え語りもお待ちしております。
「多彩なカプ」については、前スレ>1様及び同スレの終わりの方をご覧下さい。

3パタパー二世:2004/05/12(水) 01:19
>1様
スレ立てお疲れさまです。
現行のスレを過去ログ倉庫の方へ格納いたしました。

4萌えの下なる名無しさん:2004/05/12(水) 23:12
>1 様
スレ立てお疲れ様です。早速やって参りました。

>パタパー二世様
新館をありがとうございます。
過去ログ倉庫でもお世話になります。

ところで、前スレでお話に出ていた
ベレゴンドさんが語っているというお話を拝見したいと、
おねだりしてもよろしいでしょうか。
作者様がご覧になっていればありがたいのですが。

5萌えの下なる名無しさん:2004/05/13(木) 12:56
>4様
ども。前スレでベレゴンド話を書いた者です(w
彼が語り手の話、あるにはあるのですが、長い暗い、おまけに男女カプ前提と
いう、このスレとしてどうか、という代物なので、まだネタ帳に置いたまま
なのです・・・(要するに下書き段階)
新スレが落ち着いてから、投下させて頂くかも知れない、ということでお許し
下さい。

それにしても、ファラミアの「多彩な萌え」一覧(?)を見ていると、愛され
ているなあと(ヘンな意味じゃなくw)思います。にもかかわらず、本人は
「愛してくれたのは兄上だけ」と本気で思いこんでいる気がします。そういう
ところが萌えでもあり、困ったもんだとも思うのです。

6萌えの下なる名無しさん:2004/05/14(金) 13:20
>5様
ベレゴンド話についてお話ありがとうございます。
大将萌えならスレ的にはオッケーとか言ってしまうと、
拡大解釈しすぎでしょうか(汗)
いずれにせよ、お目にかかれるのをお待ちしております。

多彩な萌えにセオドレドも入れてみたい今日この頃。
自分は一人っ子なのに同い年のボロミアには、
弟がいる、と。そして、その弟はなにかとても可愛いとくれば、
セオドレドが、その弟を自分のものにしたいと考えたとしても
仕方ないんではないかと。ファラミアには、ありがた迷惑な愛ですが。

ファラミアは、自分を愛して欲しい人以外の愛は目に入らないのかも。
その代わり、愛して欲しい人の愛は、求めずにはいられない。
エオウィン口説いたりとか、パパに愛されたがったりとか。

7:2004/05/15(土) 21:42
セオドレド・・・それは考えたことなかったけど、ちょっと読んでみたいかも。
どなたか書いて下さらないかしら。

さて、こちらにお引っ越し予定の各スレで「もうネタバレ表示は必要ないので
は?」というご意見が出ていますが、これについて一言述べさせて頂きます。
そもそも「ネタバレ@」表示は「旅の仲間」以外の ネタバレという意味で冠され
たものでしたよね。
ファラミアの登場は二部からなので、その意味でのネタバレは当然のことと
して、映画の彼にはやや特殊な(?)事情があり、その二部の時から「原作で
補完」「SEEで補完」ということがあまりに多いキャラクターでした。
三部でも「とにかくSEE待ち」という状況で、原作からの補完、ネタバレを
前提としなくては、どうにも語りにくい人ではあります。
実際、映画板本スレでは、未だに「戴冠式で彼とエオウィンが笑顔で並んで
いるのはどうしてか?」などという話題が出てくるくらいです。このスレでは
さすがにそういう方はおられないかと思いますが、数字板でもまだまだご新規
さんがいらっしゃるようですし、それらの事情を考え、あえて「ネタバレ@」
表示を残した次第です。
以上は、あくまでこのスレを立てた私の考えであることも申し添えておきます。

8萌えの下なる名無しさん:2004/05/15(土) 21:59
掘り下げるたんびに
いろんなネタがバレそうな大将どの。
でも、国民年金はもれなく納めてそうだ。

9萌えの下なる名無しさん:2004/05/15(土) 22:36
王様は未納っぽそうだなあ。いや、王様がそんなものを払わなくちゃならない
かどうかは知らんが、馳夫さんの時代なんてどうみても納めてなさそう。
疑惑を追及されて、代りに答弁に立つ執政。あげく、なぜか責任をとって辞職、
イシリアンに隠居。とか、しょうもないネタが次々浮かんで来るよ。

10パタパー二世:2004/05/16(日) 23:15
スレッド入れ替えのためちょっと上げます。

>9様
むしろファラミアが糾弾しそうだと思ってしまいました…。
彼が隠蔽工作を行ったら完璧そうだし
執政は敵に回したらいかんよ、王様。とか。

11萌えの下なる名無しさん:2004/05/16(日) 23:30
>パタパー二世様
そう言えばそうかも(w

ついでに、と言ったら失礼ですがage協力します。
(以下ネタバレ)











SEEでピピンとのシーンの追加の件がリオンで出ていますが(と言うか、その
ネタを出したのは実は私です)、'noble and tragic'で'wonderful breadth
of emotion'やら'a killer smile,strong and understanding eyes'やらを
見せて下さるという大将を、早く拝みたいものです。

12萌えの下なる名無しさん:2004/05/17(月) 00:25
>11















>killer smile
大将はゴンドールの「ヨン様」か?

13萌えの下なる名無しさん:2004/05/17(月) 00:47
>12
わははははは・・・それはちょっと・・・イヤかもだ。













以前からけっこう見かけるこれあたりが、そのシーンのものなんじゃないかと言われています。
ttp://www.warofthering.net/photoforum/showphoto.php?photo=2597&password=0&sort=1&cat=all&page=2

14萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 19:38
流れを遮ってすみません。
セオドレド×ファラミアを言いだした本人です。
ちまちま書いていたものがある程度まとまった形になりましたので、
ご迷惑かもと思いつつも、お持ちしました。

心情的には、セオドレド→ファラミア、潜在的にファラミア→ボロミア。
心情を別にすれば、セオドレド×ファラミアです。
絡みが男女だったりする部分もあるので、
カップリング要素のある箇所だけにさせて下さい。

【割愛部分のあらすじ】
ファラミアは、十代最後の年を迎えています。
ファラミアの見聞を広めさせると同時に、近隣に知己を得させよう
ということで、ボロミアがローハンにファラミアを連れて行きます。
ボロミアはあくまで顔つなぎ役のため、到着の翌朝には、国に帰りました。
話は滞在二日目の夜からです。

堂々として理知的な大将がお好きな方には、辛いかも知れないです。
セオドレドは、ファラミアとボロミアを足して2で割って
更に薄めたような性格になっています。ご容赦を。

4〜5分割になるかと思います。

15萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 19:44
<セオドレド→ファラミア/しるけなし>1
設定は>>14にあります。一応下げます。















 ボロミアが特にと頼んだというおかげか、セオドレドはファラミアの世話をよく焼いているように、ファラミアには思えた。気にかけていた供の者についても、滞在に不自由ないことを本人たちの口から聞いて、ファラミアは安堵した。ファラミアは、夕食の席でセオドレドに感謝を述べた。それに、セオドレドは笑って頷くばかりだった。
「ところで、ファラミア殿。就寝までいかがなされるご予定ですか」
「特にはこれといってありませんが」
 ファラミアは、正直に告げた。
「それならば、お邪魔でないなら私の部屋においでいただくというのはどうですか。何せ、後数日のご滞在です。時間は惜しいのですよ」
「わたしもです」
 滞在二日目の夜の過ごし方は、そうして決まった。

 セオドレドの部屋は、ファラミア達にと整えられたものより、よほど簡素だった。
 広さは十分に見えたが、家具調度がほとんど無い。背もたれのない長い腰掛けと、毛皮の敷物、書き物用なのか背の低い台、衝立、その向こうは恐らく寝台で、それらのものが部屋の隅にぽつんと置かれているのだった。
 昨晩、寝室に帰ってこなかったボロミアは、ここでセオドレドと過ごしたのだろうかと、ファラミアは何となく、部屋を見回した。
 腰掛けを勧められてそこに座ったファラミアの方に、セオドレドが首を巡らせる。自身は、床に敷かれた毛皮の上に腰を下ろし、腰掛けに背をもたせ掛けていた。だらしないといえばだらしないその格好も、立派な身の丈で、金の長い髪を後ろに編んだこのローハンの人にかかると、まるで一枚の絵のようだと、ファラミアは人ごとのように思った。
「昨日の話の続きですが」
 と切り出されたファラミアは、どの話かと思い起こさねばならなかった。
「ファラミア殿のお誕生の儀の際に、私がファラミア殿にお目にかかったという話です」
「その話ならば、終わりになったのではありませんでしたか。そこまでにしようと、ボロミアが言い、セオドレド殿も同意なさった」
「あの場では、です」
 セオドレドが、にやりと笑った。
「何故ボロミア殿がその時の話を聞かせたがらなかったのか、ご興味はありませんか」
「わたしは」
 ファラミアは、少しの息をついた。
「ボロミア当人が言わないなら、決して聞きたいとは思わないのです」
 ファラミアの言葉を受けたセオドレドは、その顔をまじまじと見つめた。
「まったく、あなた方ご兄弟には敵いません」
 セオドレドは、遠慮なしに笑い声をあげた。その様といえば、腹の底からおかしそうに見えた。
「わたしは、ちっとも滑稽な事を言っている気がしないのですが」
「失礼」
 笑いをおさめようという葛藤が、何やらセオドレドの内で行われているようだった。
「その、ボロミア殿の意に忠実なファラミア殿が、昨夜はその通りになさらなかった。なぜです」
 セオドレドがそれまでより体を起こし、座面に肘をついてそこに体重を乗せ、身を乗り出したので、体が近くなる。
「飼い犬でさえ、何かの弾みには主人に牙を剥きます。ましてや、わたしは犬でもなければ、ボロミアを主人と仰いでいるわけでもありません」
「そういった話で無い事は、先刻ご承知の筈」
「セオドレド殿は、どうも、私というものを買いかぶっておいでのようです」
 一を聞いて十を知るのが当然とでも言いたげなセオドレドの口ぶりに、ファラミアは、大げさに眉根を寄せて見せた。セオドレドは答えず、なぜか声を潜めて話し始めた。

16萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 19:55
<セオドレド→ファラミア/しるけなし>2
















「まあ、お聞き下さい。ボロミア殿がはばかった部分には触れずに、お話させていただきますよ。私自身は幼子で、ファラミア殿がまだ赤子だったときです」
 と、セオドレドは、両手で乳児の大きさほどに幅を作った。
「私は、その赤子を見て、私のものにしたいと思ったのです。私には、その当時も今も、兄弟がおりませんから」
 すぐさま、ファラミアには合点がいった。自分は覚えてはいないが、セオドレドは思っただけではなく口にしたのだろう。ボロミアの耳に入って子供らしい一悶着が起きたのかも知れない。当時の兄が弟をどのようなものとして捉えていたのかは知るよしもないが、ファラミアの知る限りの兄は、我を通すことに何の疑問も持たない人だった。ならば、セオドレドの物言いが意に添わねば、自然のなりゆきとして抗議もしただろう。
 対して、セオドレドはセオドレドで、遠慮という言葉からは無縁のように今でも見える。当時ならいかばかりだろうか。
 その二人が相対すれば、どのような事態になるのかは、容易に想像がついた。それでも、ボロミアもセオドレドもお互いを嫌っているわけではなく、むしろ好感を持ち合っているのは、ファラミアの目にも間違い無い。不思議に思えるそんな事さえも、セオドレドの人好きのする容貌や語り口に接していると、自然と受け入れられるような気にさせられるのだった。
 なかなかに興味深い人物ではないか、とファラミアはセオドレドを見た。
「もっとも。私にも兄弟のようなものは出来ました。その子たちは、まだ小さくて、私を兄のように慕う様はたいそう可愛らしいものです」
 ファラミアは目を細めた。生まれたときから自分が最年少だったファラミアには、実感としてはセオドレドの気持ちは理解出来るとは言い難かったが、セオドレドの様子は、ファラミアの心に、微笑ましい思いを湧かせるのに十分だった。
「ただ、彼らがいくら可愛らしくても、実際、可愛らしいのですが、あのとき私が欲したその子ではない」
 いつになく、セオドレドが厳しい調子で言い切った。ファラミアの心を包んでいたある種の温かさは、瞬時に消し飛んだ。おかしな事はわずかも無かったが、ファラミアは少しだけ笑った。
「今、セオドレド殿の目の前に図々しくも座り込んでいる、この図体ばかり大きくなってしまった人間も、その子ではありませんな」
「どちらも、同じファラミア殿には違いない。さて、私が言う事は、間違っておりますか?」
「わたしは、赤子の時を覚えていないので、いずれとも」
「私の知る限り、ゴンドール執政のご子息であるファラミア殿は、あなたお一人のみですよ」
 セオドレドは、ファラミアの顔を覗き込み、喉奥で笑った。
「セオドレド殿のような方に、赤子の時分とはいえ望んでいただけて光栄とは存じますが」
 ファラミアは、今、自分がどのような顔をしているのか、あまり自信が無くなってきた。
「わたしの兄はボロミア一人です。わたしが選ぶべくもなく」
「そうでしょうとも。私は、ご兄弟のあり方を大変好ましく思っておりますよ。幼子のときならいざ知らず、私とて、ファラミア殿を年少の兄弟として欲しているわけではない」
「わたしといえば、セオドレド殿と、我が兄を多少重ねるところがありました。失礼だったやも知れません」
 それと意図して、セオドレドの言葉に、直接は無関係な言葉を返した。
「それで、いかがなのです。ファラミア殿は私という人間をどのように見ておられますか」
 いつかのと同じ質問を、セオドレドは繰り返した。ゴンドールの人間は基本的に嘘はつかない。こと、ファラミアがあのボロミアの弟であれば。食いつくだけの価値がある事を、セオドレドは確信していた。
 ファラミアは、答えるのに些かも迷わなかった。
「食えない方だと。無論、良い意味でですが」
 セオドレドは瞬きをして、そして、笑った。
「食えますとも。私は率直に物を申し上げているつもりです。さて、ファラミア殿です。食えぬお方も食うのが私の流儀なのですが、食わせてやろうというおつもりはいかがです」

17萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 19:57
<セオドレド→ファラミア/しるけなし> 3

18萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 19:58
>17は失敗です。すみません。改めて。
<セオドレド→ファラミア/しるけなし> 3















「それはまた、一見柔軟に見えて、強引なお話ではありませんか」
 ファラミアが、首を振った。
「強引なものですか。私は、食うとは言いましたが、お伺いをたてておりますよ」
「それでは、申し上げましょう。否、と」
 顔に、やんわりとした笑いを浮かべて、声の調子も穏やかにファラミアは告げた。
「食うだの食われるだの穏やかではない物事は、私の好むところではございませんゆえ」
「ゆえに、昨夜は、ボロミア殿のお心遣いを退けられたと。そういう理解でよろしいのですかな」
 ファラミアは、偽り無いところを言えばそろそろ閉口して来た。
「我が兄はともかく、結果的にではありますが、セオドレド殿がせっかくのお心遣いを、このゴンドールの不肖の息子が無にしたのが無礼であると、お感じになっているのなら、この通り、謝罪致します」
 ファラミアは、腰掛けから降り、セオドレドと同じ高さに体を置いて頭を下げた。
「あなたという方は」
 すっかり毒気を抜かれた様子で、セオドレドはファラミアを見た。
「ひとまず、顔を上げて頂きたく思いますよ。そう。楽になさい」
 長い髪の、まとめられた額に落ちる一筋をセオドレドはかき上げた。
「私は、男女の交わりとは素晴らしい物だと思うのですがね。恐らくは、ボロミア殿も私と意見を同じくしているからこそ、そうなさったのでしょう」
 ファラミアは、やはり首を振った。
「残念ながら。わたしには、喜びが勝るということは無いものです」
 セオドレドは、難しげな表情を作ってファラミアの顔を見ていた。
「思うに、趣向が違えば、感想も変わるのではないですか」
「趣向」
 ファラミアが、頓狂な声を上げた。
「そう。趣向です。自分は、ファラミア殿に五年の長があります。他はともかく、人の睦み合いに関して、お教え出来ることが無いなどという事はないと思いますよ」
 セオドレドの申し出に、ファラミアはセオドレドの顔を、穴が空くのではないかというほど、じっと見つめた。
「ご親切には感謝致します。が、わたしはそれを欲しいとは思わないのです」
 セオドレドは、笑っていた。不意に伸ばされたセオドレドの手が、ファラミアの片手をとらえた。意識しているのかしていないのか、ファラミアには判じがたかったが、その強さは拘束されていると感じさせるに十分なものだった。
「それが何かを見もしないで、一顧だにする価値も無いとおっしゃる。それでは私の立場が無い」
「おっしゃる通りとは存じますが。わたしが申し上げているのは、その事ではありません。直接に経験せずとも、分かることもあります。でなければ、書物というものが存在する意味がありません。そして、わたしは書物を好み、親しんでおります」
 掴まれた手を、ファラミアは引こうとした。が、セオドレドの握力はびくともしなかった。仕方ないので、指の一本ずつを外そうとファラミアはセオドレドの指に手を掛けた。不意をつかれたとはいえ、その手指をセオドレドのそれに絡め取られた時には、息を呑んだ。
「やはり、あまり楽しくない気が致します」
 手は繋がったまま、セオドレドの目をじっと見据えて、ファラミアが憮然と呟く。
「それはまだ、私が何もしておらないゆえでしょう。身をもって経験せねば理解されぬことも、中にはありますよ。とりわけ、身体を使う物事については。ファラミア殿とて、書物に目を通したからといって、それだけで一人前に剣が振るえると思っておられるわけでもないでしょうに」
 セオドレドが、困った風に笑った。
「私は、自身に欲望が無いとは申しません。ファラミア殿に同じものがあるとして、それが私に向けられていなくとも私は構わない。ファラミア殿の内に同じものがあるのかどうか、私はそれを見たい。そして、あなたのうちにあって未だあなたの知らないものがあるならば、それをあなたに知らしめるのは、私でありたい。私が望むのはそれだけです」
 ファラミアには、言葉が無かった。

19萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 20:02
<セオドレド→ファラミア/しるけなし/接触あり> 4
4〜5分割と予告しましたが、二倍弱を見込んでいます。重ねてすみません。












「何も、私がファラミア殿よりも年かさだからと申し上げるのではなく。再びまみえたファラミア殿が、あまりにもファラミア殿であったからです」
「正直に申し上げて、おっしゃる意味が−−分からぬのです」
 ファラミアは、喉を詰まらせた。
「分からないなら、これから見知れば良いだけのこと。私が申しているのは、そのことです。私の知りうる限りのファラミア殿は、書に親しみ、知に長けたお方であり、なおかつ、勇敢さも兼ね備えておられる。ファラミア殿がそのような方としてあられるのは、多くはファラミア殿の資質であり、ある部分においては、ボロミア殿や皆様の教えもあるでしょう。ファラミア殿がこれまで接してこられた学ぶべき事の他にある何事かを、私はファラミア殿にお見せすることが出来るだろうと、申し上げているのです。あるいは、私ではファラミア殿には物足りないということですかな」
 ファラミアは、頭を垂れた。
「セオドレド殿は、わたしを困らせるのがお好みらしい」
「困窮ついでに、私の申し出におつきあい願えませんか」
 うつむいたままのファラミアの首が、弱々しく左右に振られる。
 ゴンドールの息子を侮るおつもりか、と、怒りを露わにされても仕方ない事をしていると、セオドレドは自覚していた。それでも、そうしないではいられないのが、セオドレド自身にもままならないことではあった。
 どこまで、人の立場ばかりを理解しようとするのだろう、と、セオドレドは柔らかなうねりのある、肩を越したファラミアの頭髪を見下ろした。自然と手がそこに伸びる。まるで、少しでも乱暴にすれば壊れてしまう、脆いものを扱うように、ごくそうっとセオドレドは、ファラミアの髪をかき混ぜた。横顔にかかる髪のせいで、表情が見えなくなっているファラミアの、伏せられた口から漏れたかすかな吐息を聞いたような気がした。その色は、決して苦さも困惑もなく、むしろ安んじているように、セオドレドの耳には響いた。そういった事について、セオドレドは恐らく誤らない。わずかでもない経験に裏打ちされた自信が、セオドレドにはあった。
 髪に触れた手を、髪に差し入れ、頬に触れさせる。静かに撫でると、ファラミアの頭がわずかぶれた。もう一方の手も頬に添え、両手でファラミアの頬を包み込む。セオドレドの手が、身の丈に合って十分に大きいためか、あるいは、ファラミアが背丈の割にはたいした大顔面ではないせいか、ファラミアの頬はセオドレドの手に、子供の顔がそうであるようにすっぽりと包まれた。その温かさが、心地よくないといえば嘘になる。ファラミアは、その手にされるがまま頬を委ねていた。
 暖かい手を、ファラミアは知っていた。それは、遙か幼き日には母の手であり、あるいは父のものであったかも知れない。長じては、主にそれは兄の手であった。ボロミアは、彼が必要と感じた事柄については、ファラミアに対して容赦は無かったけれども、そうでないときは、うんと暖かい兄だった。そのボロミアと同じ年に生まれたという、このローハンの世継ぎは、ボロミアを思い出させる手をしていると、ファラミアはぼんやりと思った。だから、セオドレドがファラミアの頭を彼の膝へと導き、そこに安住させようとしたときも、ファラミアは何のわだかまりもなく、それに従った。
 セオドレドの固い大腿に頭を乗せて、ローハンの毛皮の上に体を投げ出す。ファラミアは、深い息をついた。それは、久しく彼の兄から得られない、恐らくは二度と得ることのない、安らかな感触だった。
 目を閉じていたので、セオドレドの顔は見えなかったが、恐らくは微笑んでいるのだった。気配が、部屋を満たす空気がそれを伝えていた。
 セオドレドは、何と言っていたのだったか。自分自身ですら気付かないままに、自分の内にあるかも知れない感覚を教えたいと言っていた。ファラミアは、今、はじめてそれを知りたい、と思った。あるのか無いのかすらも分からないそれを。
 セオドレドならば、出来るのではないかという気がした。少なくとも、有無は知れるだろう。それだけでも、十分に意味のあることなのではないか? 世にある森羅万象に比して、自分は、あまりにも何も知らなすぎる。常々ファラミアはそう感じていた。そのために書を、経験を欲してきた。兄に頼ることも多かった。自分に与えられた環境は、申し分ないものだとずっと感じていたけれども、この見知らぬ国の世継ぎは、自分が経験してきたもの、その延長にきっとあるだろうものごとではない何かを、見せてやろうというのだ。それは、実に得がたい機会ではないだろうか。

20萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 20:05
<セオドレド→ファラミア/しるけなし/接触あり> 5















 ファラミアは、息を飲み込んだ。
 セオドレドの手は、変わらず暖かだった。頬に飽きたのか、ゆるく波うった髪をかきあげるように梳いてくる。頭に手が触れると、指を伸ばして髪の間に見え隠れしている耳の形を確かめるかのように、その輪郭をなぞってくる。それが、こそばゆかった。そして、決して不快ではなかった。むしろ、このまま眠りが自分をさらっていくのではないかと思えるほどの安心に包まれているような気がした。
「私は、案外と幸運なのかも知れません」
 暖かい手だけではなく、セオドレドの低い声が、沸き上がる多少の震えを伴って内からファラミアの体を撫でていく。
「もし、私がボロミア殿のようにあなたの兄だったとしたら、このような形で触れることなど、思いも寄らなかったでしょうからね。長く、共にある時間を得るばかりが、幸福なのではないのだろうと、私は思い始めておりますよ」
 頭だけをセオドレドの体に触れさせて、床に体を投げ出す格好で寝そべっていたファラミアは、身の置き場が無いような気分になってきた。
「こう申し上げて構わないのでしたら、ボロミアの話は、今は、なさらないで頂きたい」
「なぜです?」
「なぜ」
 聞き返された理由こそが、ファラミアにとって「なぜ」だったのだが、セオドレドはどこまで分かって言っているのだろう。
「もしかして、悪いことをしている気分になりますか。それは、何に対してでしょうな」
「セオドレド殿」
 思わず高くなった自分の声に、自分ではっとしてファラミアは口をつぐもうとした。が、それよりも早く、セオドレドの厚みのある大きな手が、ファラミアの口を塞いだ。
「ファラミア殿らしくもない、お行儀の悪さではありませんか」
 見下ろしてくるセオドレドの目に、ファラミアは目で抗議をした。セオドレドは応えるように目を細くしたが、手が緩むことはなかった。膝を立てて、起きあがろうとしたファラミアの体は、その前に自分のものよりも質量のあるセオドレドの体に押されて、僅かに持ち上がっただけで床に伏された。
「今更、何だというのです。もう少し、潔い方だと思っておりましたが」
 ファラミアは、頭を巡らせた。セオドレドの言葉を聞いてはいけない。それよりも、優先してするべき事はある筈である。それは、この体勢から抜ける算段だ。セオドレドの手に当たって自分の顔にかかる自分自身が吐いた息が暑苦しいが、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。
「私は、自分と同じものをファラミア殿が私に向けずとも構わないとは申しました。が」
 セオドレドは言葉を切った。ファラミアの衣服の上に乗せられたセオドレドの利き手が、ファラミアの脇腹を腋に向けて這い上がってくる。ファラミアの息が、一瞬止まった。お構いなしの手は、口を押さえているものと同様にやはり広く、体の全面に上がってきて胸の筋肉を衣服越しに包んだ。触れられている部分だけではなく、体の全体を、ぞくりとしたものが走っていく。叶うものなら身をよじって逃れたい。反射的にファラミアの心は要求したが、それを現実に出来る可能性は、今のところファラミアには無いように思えた。ファラミアは、無駄なことはしなかった。
 どうする?
 この手の持ち主が、単なる一兵卒であれば事は容易い。自由になる部分を使って、彼に決定的なダメージを与えればそれで良い。体のどこにどれだけの衝撃を与えれば、相手を退かせるのに十分であるかなどということは、ファラミアは知識としても、戦さでの経験からも知りすぎるほどに知っていた。
 しかし、ファラミアの自由を奪おうとしている彼は、ファラミアが決して粗末に扱ってはならない類の人間だった。友好的な繋がりを保持しておくべき国の世継ぎであり、個人としては、ボロミアに気に入られている相手である。国を統治する者の家系に生まれたとはいえ、自分は後継者ではなく、後継者の力となり、共に国を盛り立てるべく運命づけられているのだという強烈な自覚が、ファラミアにはあった。自分自身よりも何よりまず優先させるべきが国であることを思えば、セオドレドの行為を止めるとすればそれは、納得ずく以外にはありようがなかった。
「私に向けられていないのは構いませんが、今ここに向き合っているのが私であるのに、ファラミア殿の内が私でないもので、満たされているのを思い知らされるのには、構わないわけにはいかない」
 ファラミアの言葉を塞いでいた手が退けられる。何かを言う前にファラミアがしたのは、大きく呼吸することだった。なま暖かい自分の息ではなく、新鮮な空気を体に入れたかった。しかし、ファラミアの思惑はセオドレドによって大いに外された。セオドレドは、いつまでも自分の片手を遊ばせてはいなかった。

21萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 20:08
<セオドレド→ファラミア/キス程度あり> 6
















 長じてからは、ファラミアは自分が小柄だとは思ったことは無く、背丈にのみ注目するならば五年早く生まれている自分の兄より、よく育ってはいた。それでも、セオドレドの手はファラミアの手首を易々と自分のものにした。あまつさえ、もう一方の手首さえも拘束した方の下敷きにして床に押しつけ、腕の強さで縫い止めた。
 成すべき事はいよいよ明確となってくるのだが、成し得る事は減じているような気がして、さしものファラミアも、顔色を失いつつあった。せめて自由になっている口が、役に立てば幸い。しかし、最も効果的であろう一言を、口の端に昇らせる事はファラミアにはためらわれた。自分を困難な状況に置いている張本人に対してさえも、脅迫に値するようなまねをする事をするのを、ファラミアはよしとしなかった。
 その一言を口にすれば、セオドレドは間違いなく退くだろう。自分は、行為を阻むのに命を賭すつもりだと言えば。
 跡継ぎにあらずとはいえ、仮にもゴンドール現執政の息子を預けられながら、無事に故国に帰せなかったとなれば、セオドレドは、ひいてはローハンという国は、窮地に立たされるだろう。まさか、一夜の戯れに国を賭けるような真似は、セオドレドもすまい。
 問題は、それがファラミアにとってもまた、かなりの確率で勝つと分かっていても痛手となる賭けだということだった。セオドレドが退いたところで、ファラミア自身、あるいはゴンドールに何か益する事があるわけではない。そして、万が一、愚かにもセオドレドが退かなかったとしたら−−。考え得る限りで最悪の結果がファラミアを待っているだろう。
 ファラミアは自分の命を惜しんだことは無いし、これからも無いだろうが、それは理由によりけりだった。あくまでも命を惜しまぬ事で得られるものがファラミアをそうさせているのであって、己個人の身に降りかかる事態を避けるために落とす命の持ち合わせは、ファラミアといえどもなかった。
 だとすれば、自分に何が出来るだろう?
 ファラミアは口を閉ざした。
 何を思ったか、セオドレドの唇が、引き結んだファラミアの唇に重なる。柔らかくて暖かい、しかし、今のファラミアにはグロテスクなまでに生々しい感触を与えるだけの唇だった。唇の、薄い皮膚を同じ触感を持ったセオドレドのものが、その形に沿ってなぞっていく。ファラミアの首の筋肉がこわばった。唇の表面が持つ乾いた感触だけでも体が総毛立つようなところに、湿った生き物のような舌に自分の唇の間を探られると、考えるまでもなく強く首がひねられた。セオドレドは、何も構わないようだった。ファラミアの動きのせいで、たまたま目の前に来た部分である首に、唇を触れさせたと思うと、ファラミアの筋の張った首に、疼痛が走った。縮こまろうとするファラミアの背に一瞥をくれることもなく、同じ場所の皮膚をきりきりとセオドレドの唇が吸い上げていく。痛みそのものは、大した物ではない。しかし、皮膚を吸われているのだという、その感覚がファラミアには耐え難かった。
 首については、唇ほどは上手くいかなかった。体のうちで自分の意志通り動かせるのは、セオドレドのせいで、かなり限られていたからだ。ファラミアに出来たことと言えば、せいぜい首が向いている角度を変えるくらいのもので、その僅かな動きが、セオドレドの行為に影響を与えることなど、はじめから到底期待出来るものではなかった。セオドレドは、思うままにファラミアの首筋に、小さな痛みを与えた。少なくとも、ファラミアはそう思った。
 ファラミアは、セオドレドの目を見据えた。
「セオドレド殿」
 いつものファラミアの声で、いつもの目だった。セオドレドは、興味深そうにファラミアの視線に応えた。
「何です」
「わたしは、もう十分教わったと思います」
 セオドレドは、目を丸くした。そうして、おかしな顔をした。笑おうか笑うまいか決めかねているような顔だった。
「これで教わったと言われては、私も随分と低く見られたものだと思わざるを得ませんが」
「そうではなく、教わる側の資質の問題として、わたしにはもう十分だという事です」
「何をばかな」
 セオドレドは、作り物ではなく溜息をついた。

22萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 20:09
<セオドレド→ファラミア/しるけなし> 7 【ラストです】


















「私がファラミア殿に何かご教示出来るとすれば、それは、頭で物を考えないことかも知れぬですな」
 今度は、ファラミアが奇妙な顔をする番だった。
「ファラミア殿は人の睦み合いを楽しみとは思わない、と仰いましたが。確かに、利益の類に属するものという意味では、その行為は何も生みはしません。ファラミア殿には、それが苦痛なのでは。無意味としか思えぬ行為をなすことがです」
 見てきたかのようなセオドレドの物言いに、ファラミアは苦く笑いを漏らした。
「わたしとて、戦いや書物の他に意味を見出すことを知っております。歌舞音曲の類は、人の心を鼓舞もし、安らがせもしましょう。それらが、直接に形あるものを生み出さぬからといって、わたしはそれを無意味とは申しませんよ」
「それです。ファラミア殿は、なぜ、美しい物を美しいからという、ただそれだけで愛することに思い至らないのです? 安らがなくても、戦意が高揚しなくても良いではないですか。なぜ、美しいものを美しいと感じる、それだけに留めて語ることをなさろうとしないのです」
 ファラミアは、言葉に詰まった。
「今、恐らく、ファラミア殿は何故、と考えておられる。私に言わせれば、考えずともよろしいのですよ。私の言葉が気に障るなら怒り、可笑しいなら笑う。それだけで十分な時もあるということです。今、私の前にあるこの時は、何もご心配召されますな。私には、ファラミア殿に関する限り、いかなる行いであろうと、受けさせて頂く用意があります」
 ファラミアは、目が乾いているわけでもないのに、何度も瞬きをした。
「まったく、セオドレド殿はよく分からないお方です。二度ほどお会いしているとはいえ、まだ、共に過ごした時間はわずかではありませんか。それを、なぜそこまで仰って下さるのです」
 ファラミアは息をついた。
「何も不思議なことはありません。ファラミア殿だからです。実際、これ以上何か語るのは、それこそ無意味だと申し上げて宜しいですかな。私がお教えしたいのは、考えることではないのですから」
「セオドレド殿は、わたしの知っているどなたとも似ておりませんね」
 ファラミアは背を反らせ、声を殺して笑った。
「ボロミアと重ねることがあったというお話は、どうなりました」
「わたしの目が、曇っていたのでしょう」
 ファラミアは、臆面もなく告げた。
「なかなかに、言って下さる」
 セオドレドは、心底愉快そうに笑っていた。ファラミアも、つられて笑い声をたてた。
「さて、私はファラミア殿に、ある種の教え手として認めて頂けたのかどうか」
「それは、分かりません」
「ファラミア殿」
 咎め立てする様子は微塵もないが、険しい声色にファラミアはセオドレドの顔を、真っ直ぐに見た。
「考えて分からないことは、体験するまでです。そうすれば自ずと知れます。セオドレド殿は、そうおっしゃりたいのでしょう」
「ファラミア殿」
 喉を詰まらせながらもようやく絞り出したような声が、答えた。
「出来れば、場所を変えて頂きたく思います。ここは、大の男が二人も寝転がるに、最適とは思えませんので」
 ファラミアは、自分が背をつけている毛足の長い敷物と、体のすぐ脇にある腰掛けの足を眺めた。
「ごもっともです」
 身を起こして、セオドレドはファラミアの手を引いて立ち上がるのを助けた。広さのある部屋の、片隅に置かれている衝立の、向こうが寝台だとファラミアは最初に部屋を見たときに思ったのを覚えていた。その通りの場所に、セオドレドがファラミアを導くのに、ファラミアは従った。

2314:2004/05/20(木) 20:11
セオドレド×ファラミアでした。なんか半端なところで終了ですが。
後は、しるけのみという感じで。

色々と失礼いたしました。

24萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 20:33
>>14 - 23女神様
セオドレド×ファラミア キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!

リアルタイムで女神様御光臨を拝んじまったですだーーーー!
興奮の余り手が滑ってますごめんなさい(汗)
物慣れない純情大将(;´Д`)ハァハァです
これからどんな事を教わってしまうのかと(;´Д`)ハァハァ

>13
ROTKのパンフの人物紹介にも載っていた写真ですね。
あのパンフは全体的に大将が少ないのでミナスティリスやデネソール様を見てひっそり淋しく萌えてたり orz

25萌えの下なる名無しさん:2004/05/20(木) 23:45
>>14->>23女神様

お引っ越し後、初めてのSSにハァハァでございます。ドキドキしながら読ませて
頂きました。こ、この後どうなってしまうのですか?
できればその「しるけのみ」部分も読んでみたいと、切にお願い申し上げます。
それにしても、どこまで拡がるのか「多彩な萌え」・・・

26萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 00:19
女神さまキタキタ━━━━(((*゚∀゚*)))━━━━!!!!!
食えないセオドレド様もお若い大将も素敵です。明日への活力になりますた…
こうなったら是非とも、是が非でもしるけを(ry

27萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 21:31
>14です。
>>24様、>>25様、>>26
まとめてですみません。拙文を読んで頂けて嬉しいです。
実はしるけ部分はこれから書くというありさまです。
なにもかも中途半端で、スレ住人の皆様には本当にすみません。

中途半端ついでに、更に中途半端なものを置かせて下さい。
>>22の、直接の続きになります。しるけ皆無です。書き溜めてる部分の最後です。

ファラミア馬鹿一代なセオドレド(子供時代)。
大将スレですけども、セオドレドもお好きな方は、ごめんなさい。
おそらく3分割で。

28萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 21:35
<セオドレド→ファラミア/ねつ造子供時代> 8
>>22から続いています。一応下げます。















 それは、宝物そのものだった。

 ずっと、欲しかった。
 初めて見た時から、ずっと。

 国王である父親に連れられて、初めてゴンドールという国を訪れたのは、まだ六つか七つの頃だったと思う。何でも、その国に二人目の公子様が生まれたお祝いだという。一人目は、自分と同じ年に生まれた方だと聞いた。彼の誕生の際には、国情からは考えられないほどに華やかな祝いが催されたというが、当然、同じく生まれて間もなかった自分にはあずかり知らぬ事だった。
 白の都にも、そこの公子にも、実は興味がまったくなかった。馬や草原の方がいくらも魅力のあるものだと思っていた。ただ、国にただ一人の王子である自分のつとめだと、幼いながらに理解し、父親に従っていただけだった。
 長く退屈な儀式をじっと堪えた。公子の顔などひとつも見えなかった。もっとも、見たいとも思わなかったが。ひとときでも早く故国の草原に帰ることだけを、心に描いて時間をやり過ごした。
 ところが、彼と、彼の父はゴンドールの執政家の面々から、お互いの家族のみでの面会を請われた。父親が言うには、話しに聞く自分と同じ年に生まれた公子が、自分に興味を持って会いたがったからだという。てっきり、儀式が終われば国に帰ると信じていたので、父親に大いに不満をもらし、きつくたしなめられた。
 興味がないものには、ないのだ。
 そうは言っても、これは「ぎむ」であるという。そういわれては従わないわけにはいかない。自分は、父の後に相応しい、立派な世継ぎにならなければいけないのだから。
 仰々しい廊下を、仰々しい執政の衛士たちに導かれて、父親についていった。
 不承不承だったはずなのに、辿り着いた鉄の扉の向こうに見えた光景に、セオドレドは目を奪われた。
 人を圧するような威を備えた背が高く厳めしい壮年の男に、子供の目にも麗しいたおやかな女性。傍らには、強い光をたたえた目をこちらに向ける、自分と背格好の似た子供。そして、彼らの中心にいるのは、恐らく、最近生まれたという二人目の公子なのだ。
 彼らを包む光はやわらかく、まるで、彼ら自身からほのかな光が発せられているのではないか、などという錯覚に囚われるほどだった。軽いめまいにも似た感覚を自分自身から誤魔化すように、父親の後を、必要以上に確かな足取りで進み、国でいつも教わっているとおり父親を真似て跪き、礼をとった。
 下げた後ろ頭に視線を感じた。
 暖かなそれと、貫くような強さで自分を差し一瞬後には通り過ぎたそれ、そして、いつまでも離れない、自分を探っているかのようなそれ。
 中でも熱心に自分に注がれ続けているのは、あの子供のものだと確信した。
 何を見ている。胡散臭いものでも見るような目で。
 気に入らなかった。
 早く顔を上げたかった。そうして、同じ目で彼を見てやるのだ。彼は、一体、どんな顔を見せるだろう? ともあれ、彼の父親らしき執政デネソールは、尊大だった。
「良く参られたな」
「この度は、お招きにあずかり光栄に存じます。第二子様のご誕生、健やかなご成長を、お祈り申し上げます」
 大人同士のつまらない挨拶にはいつも辟易していた。それも「つとめ」だと諭されて、ようやく我慢することを覚えたのだが。
「堅苦しいことはそれくらいになさって。どうぞ、息子の顔を見てやっていただけませんかしら」
 執政の年齢からすれば、かなり年若い、母親である執政の妻が、屈託のない調子で父親と自分の前に進み出た。
 そこで、許しを得て顔を上げた。
 母親らしき人の腕には、夢の中でしか見られないかのような生き物が、小さな寝息を立てて、眠っていた。赤子を見るのは初めてでは無かったが、今、自分が目にしているのは、今まで見たどの赤子とも違っていた。柔らかそうな肌に、それを彩るかのような、光に透ける細い細い産毛。小さな手をふんばって握り、それでも、顔は安んじていて、この世の幸せの全てがまるで彼の元にあるのではないかとでもいう顔で、眠っているのだった。
 セオドレドは目を見張った。赤子から目が離せなかった。

29萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 21:37
<セオドレド→ファラミア/ねつ造子供時代> 9
















「ファラミア様、でございましたかな」
「そうです。そしてこれは、兄のボロミアです。セオドレド様とは同い年になります。ボロミアは、セオドレド様にお会いしたかったのでしたね」
 母親の言葉を受けて、ボロミアは、ばつが悪かったのか顔色を変えた。
「母上」
「ボロミア。まず、お客様にご挨拶するのが礼儀ではありませんか」
 母親にたしなめられたボロミアが、自分と父親の前に進み出、うやうやしく頭を下げた。
 その様が、余りにも儀礼に則った形で完成されていたので、セオドレドはおや、と思わされた。
「このたびは、ファラミア誕生の儀にさいしまして、お祝いいただき、たいへん恐縮に存じております。わたくし、デネソールの一子、ボロミアともうします。おみしりおきいただければ、さいわいにございます」
 少しのよどみもなく述べられる口上に、これが同じ年の人間かと、セオドレドは忌々しささえ感じた。
「ボロミア様自らかたじけのうございます。わたくしはセオデン。これにいるのは、セオドレドです。ボロミア様と同じ年に生をうけましのも、何かのご縁ですな」
 父親が言うのに合わせて、セオドレドは、頭を下げた。
「セオドレドでございます。お目にかかれてこうじんにぞんじます」
 意味は大まかにしか知らない。そらんじているだけの言葉を返す。
「よろしくたのむ」
 言葉と共に差し出された手は、ボロミアのものだった。セオドレドは、そのとき、はじめてまともにボロミアの顔を見た。あの赤子も、こうなるのだろうかとふと思わせるような容貌に、生真面目そうな意志の強い表情が浮かんでいた。
 セオドレドは、ボロミアの手を握った。予想の埒外だったことに、自分と同じ手だと思った。剣を握り、馬の手綱を取ることで出来上がっていく手だった。セオドレドが、はっとしてボロミアの顔を見ると、ボロミアは人なつこい顔で笑った。挑みかける目をボロミアに向けて、それでも笑うと、ボロミアは同じ顔を見せて頷いた。二人は、どちらともなくそれまでより強く、手を握り合った。
 なりゆきを見守っていた大人達から、安堵の空気が伝わってきた。
 正直なところ、セオドレドは赤子を見飽きてはいなかった。いや、むしろ物足りないくらいだった。
 気持ちが態度に出ていたのだろう。彼ら兄弟の母親であるフィンドゥイラスが、セオドレドの目の高さまで、体を低くしてくれた。子供達二人は、その腕の中を覗き込んだ。気付くと、全ての目が、ファラミアに注がれていた。それはまるで、宝物を見るような眼差しだとセオドレドには思われた。
 そう、セオドレドが見たファラミアは、まさに宝物だった。
 ボロミアに至っては、弟を目に入れても痛くないとでも言いたげに、先ほどまでの強さはどこへやらで、ただ体中に喜びを満たして、弟を見ているのだった。ボロミアの手が、壊れ物のような小さな手を握ると、その手がボロミアの手を握り、身じろぎをした。見るからに柔らかそうな頬に指を這わせるボロミアの顔は、彼だけが知る幸せの中にたゆたっているようだった。自分が渇望するものの怖くて出来ないそれを、ボロミアは当たり前の顔をして容易くやってのける様を、セオドレドに見せつけた。見せつけているつもりは、もとよりボロミアには無いのだろうが。セオドレドには、それこそが大いに気に入らなかった。
 それは、おまえのものか? 兄とはそういう存在なのか?
 セオドレドには、上にも下にも兄弟がいなかったので、実際のところは分からなかった。しかし、なぜか言いようのない怒りが、ボロミアに対してこみあげてきた。あるいは、その正体が今なら分かるのかも知れなかった。それは、嫉妬という感情だった。
 内心の動揺を押しとどめながらファラミアを覗き込むセオドレドは、ファラミアが眠りから覚めたのを見た。開かれた目と目が合った。そのとき、ファラミアは確かに笑った。そういう気がしただけかも知れない。しかし、それで十分だった。瞬間、セオドレドの内を、表しがたく、抗いがたい何かが走った。

30萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 21:39
<セオドレド→ファラミア/ねつ造子供時代> 10 【ラストです】














 唐突に、セオドレドはセオデン王に向き直った。人々はセオドレドに視線を移した。その中で、セオドレドは明瞭に言い切った。
「父上。どうかファラミア様を、このセオドレドにちょうだいするよう、デネソール様におねがいしてください。わたしは、ファラミア様と共に国に帰ります」
 セオデンは、顔色を失った。
 ボロミアは、ファラミアとセオドレドの間に体を移して、立ちふさがった。
 赤子の親である夫婦は、顔を見合わせた。
「わきまえよ。セオドレド」
 穏やかだが容赦のないセオデンの一喝に、場の空気が一瞬止まった。セオドレドは、震え出しそうな体と気持ちを無理に保ちつつも、ひるむことなく背を伸ばしていた。
 気まずさを伴った静寂を破ったのは、デネソールだった。デネソールは、セオドレドに向けて言った。
「このファラミアが、もし姫であったならば、そなたに娶らすのはやぶさかではなかったわ。セオデン王がどう申されるかは知らぬがな」
 そうして、笑った。
「父上。ファラミアをどこかにやるなどとは」
「控えよ」
 ボロミアが言いつのるのを、デネソールが制した。ボロミアは引いた。それでも、奥歯を強くかみしめているのだろう。ボロミアの歯ぎしりが、自分にまで聞こえてくるようだった。
「それは、そなたが決めることではない。わしは、セオドレド殿が気に入った。初対面で、わしの子を自分にくれとくるとは、な。そして、その堂々たる物腰よ。のう、セオデン王よ」
「は」
「そなた、良い息子を持ったな」
 皮肉だろうかと考えても、このデネソールの前に来ては詮無いことだった。
「お言葉、有り難くお受けしましょうとも。不肖の息子も、栄誉の念に耐えぬことでしょう」
 父親が、頭を押さえつけたので、深々とお辞儀する形になった。
 両親に促されるまで、ファラミアの姿をセオドレドから遠ざけるように、ファラミアの前に立っていたボロミアの視線が、いつまでもセオドレドの背に刺さった。
 会見は、それだけだった。
 それでも、セオドレドの内に、ファラミアは強烈な印象を残した。別の意味ではその兄も。
 ボロミアはずるい。兄弟だというだけで、ファラミアに対して我が物顔に振る舞えるのだ。それが、なぜ自分ではいけない? いけない理由などないはずだ。ファラミアは、たまたまボロミアの弟として生まれただけだ。ボロミアがそうさせたわけではない。自分のものでもおかしくはない。そう、自分のものであるべきなのだ−−。
 その日は、セオドレドの中で思い出となっていったが、その感情は、幼き日の思い出にはならなかった。
 風の便りでゴンドールの事を聞くたび、セオドレドはファラミアの噂を探した。姿を見ることはかなわなかったが、武に長けた兄、知に長けた弟という鮮やかなほどの対照を持った噂は、嫌というほど耳に入った。いずれは、再会する機会もあろう。そのときに、あの、記憶の中の赤子がどうなっているかを考えると胸が躍った。思い出は、美しいままに取っておくのが良いと人は言う。人は記憶を、美化する物だから、と。自分の思い出も、そのようなものとして、再会した時には打ち砕かれるのかも知れない。それならそれでよし。
 そうして、ついにゴンドールからの使いが来た。
 再び出会ったファラミアは、当然のこととして、自分が覚えていたファラミアの姿をしてはいなかった。しかし、初めて見たあの時に感じたものと違わぬ強さの衝撃を、セオドレドに与えた。セオドレドの体は震えた。再び、覚えのある感情が自分の心の内を支配するのを、セオドレドは禁じ得なかった。あの幼い日のものとは形の違う、それでも、明瞭な感情。
 欲しい、と。

 無垢なだけではない、年月を経て磨かれ、内からの輝きを増したその宝物は、今、自ら自分に手を触れさせようと、セオドレドの前に在るのだった。

31萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 21:43
>14です。
ファラミア馬鹿一代、セオドレドでした。

二晩に渡り、お付き合いありがとうございました。
しるけがお持ち出来るまで、なりを潜めさせて頂きたいと思います。

皆様のやさしさに甘えてのお目汚し、失礼致しました。

32萌えの下なる名無しさん:2004/05/21(金) 23:59
>>28-31

なんだか…なんだかもう赤ん坊の頃から大事に大事に愛されてきたファラミア様に
目頭が熱くなってしまいましただよ…
そしてセオドレド殿のファラミア馬鹿一代っぷりも素晴らしいです(w
女神様、禿げしくGJ(*^ー゚)b

33萌えの下なる名無しさん:2004/05/22(土) 00:05
おお、さっそく続きまで!ありがとうございます。
しかし、セオドレド殿、そんな頃から目をつけていたとは、侮れませんな。
ファラミア馬鹿一代・・・素晴らしい表現です。この先の大将の運命を考える
と、眠れなくなりそうです。

34萌えの下なる名無しさん:2004/05/23(日) 10:16
RotKのCE、USA版やUK版ですが、密林などを経由して申し込まれた方のお手元
にはそろそろ届く頃でしょうか?私は日本版を待つつもりですが、大将ファン
としては、SEEは国外版に手を出してしまいそうです。
以下、ネタバレに属する話なので・・・











中の人のドイツ語ファンサイト(画像の豊富さで有名なところ)に、特典映像の
ネタバレらしきものが数々ウプされているのですが・・・あれはやはりCEの特典
なんでしょうか?国土地理からの映像かと思われるものもあったり。

35萌えの下なる名無しさん:2004/05/24(月) 08:45
>>34
そんなおいしいサイトが有るですか!?
がんがってググって来まつ!

メルファラ書いてみました。
ですがまだ書きかけなので、ウプしていいものかどうか迷いつつ…
女神様がた、途中でも御光臨ご遠慮なくどうぞ。



エオメル/ファラミア しるけ有り(になる予定)




黄金館からは平原が一望のもとに見渡せる。
空に浮かぶ雲が緑の平原に丸い影を落としている。
指輪所持者とエレスサール王の一行がヘルム峡谷に向かって旅立っていったのは、ほんの数刻前のことだった。

「もう見えぬな。」エオメルは呟いた。一人言のつもりだった。
「順調に行程を稼いでおいででしょう。今はもう危険の無い旅路でしょうから。」
エオメルの一人言に応えたのはファラミアだった。年はエオメルより上だが、エオメルの義弟となる男だった。二人は黄金館の建つ丘の上に並んで立っていた。
エオメルは横目でファラミアを見た。ファラミアの穏やかな顔には何の表情も浮かんでいなかった。この男をエオメルはひそかに苦手にしていた。
「風が強い。館に入ろう。」エオメルはきびすを返した。ファラミアも彼に倣った。
「ファラミア殿はまだしばらくエドラスに滞在されるのだろう。」
「はい。ですが三日後には発とうと思います。都をいつまでも空けておくわけにもいきませぬので。」ファラミアは言った。それから、付け加えた。「エドラスも離れがたい地ではありますが。美しい所だ、ここは。」
如才無い受け答えだった。そこがエオメルの気に食わない所だった。
「あなたがこの地を離れがたいのは、我が妹がいるためでもあるだろうな。」
「無論です。エオウィン姫はこの地をさらに雅にしていらっしゃる。」
エオメルの小さな当てこすりに、ファラミアは澄まして答えた。
「婚礼の支度が整ったら、エオウィン姫を迎えに来ようと思います。」
「そうか。」
エオメルは短くうなずいた。ファラミアは続けて言った。
「話し合いたい事がありますので、今夜伺ってもよろしいでしょうか。」
エオメルは足を止め、ファラミアの顔を見た。ファラミアの顔にはやはり特別これといった感情は浮かんでいなかった。エオメルは目をそらした。
「勿論。歓迎しよう。」
ファラミアは軽く頭を下げた。
「では私は供の者に旅支度を言いつけて参りますので。また今夜。」
エオメルはむっつりとうなずいた。ファラミアは薄暗い館から光差す野外へと出て行った。エオメルはその背中を見送った。互いの姿が視界から消えると、彼らは同時に深い溜め息をついた。

36萌えの下なる名無しさん:2004/05/24(月) 08:46
>>35の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













エオウィンが引き合わせるまで、エオメルとファラミアには面識が無かった。お互いに名前とそれにまつわる噂とを聞き知っていただけである。
エオメルの知る限り、ファラミアは妹の結婚相手としては申し分なかった。だがエオメルにとってファラミアはどこか得たいのしれない男であり、そのため苦手としていた。彼自身は認めたくない所だったが。
せめて肩を並べて戦ったことがあれば少しはファラミアの人となりが分かるだろうが、そんな機会はしばらく訪れないだろうとエオメルは思っている。
一方ファラミアはエオメルに負い目を感じていた。彼の妹を娶る事には喜びを感じていたが、そのためにエオメルを孤独にしてしまうことを恐れていた。ファラミア自身父と兄を失ったばかりであり、同じ境遇であるエオメルの事を思いやらずにはいられなかった。そして、彼はエオメルがファラミアを快く思っていない事に気付いていた。エオメルと話し合いたいと申し出たのは、婚礼の打ち合わせのためだけではなく、お互い打ち解ける機会が欲しかったからである。

ファラミアが酒の入った革袋と杯を二つ持ってエオメルの部屋を訪れたのは、まだほんの宵の口のことだった。

3735:2004/05/24(月) 08:46
では皆様、ご歓談ドゾー

38萌えの下なる名無しさん:2004/05/24(月) 11:13
>35-37女神様

ご光臨ありがとうございます!!
興奮してテンションおかしいです。すみません。

「得たいのしれない男」。その通りですね!
妹をかっさらった手腕も凄いですよとエオメルに教えてやりたいです。
エオメルにとって、ますます得たいがしれなくなるに違いないです。
大将がなにかたくらんでるような気がして、
これから、どうなってしまうんだとドキドキします。
大将にあしらわれないように、がんばれ、エオメルですよ!
まだ午前中なのに、変態ちっくで申し訳ないです。
続き、お待ちしてます。お願いします!

39萌えの下なる名無しさん:2004/05/24(月) 22:30
>>35
このところ立て続けに萌えSSが読めて嬉しい限りです。
また皆様、じらしプレイがお得意でいらっしゃる(w 続きも是非お願いします。












そのサイトは Eine(中の人の名前)Fanpage でググるとトップに来ると思いますよ。

4035:2004/05/25(火) 06:42
>>38
ありがとうございます!私も朝っぱらから何やってんだって感じですが力の限りがんがりまつ。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
>>39
無事サイトをハケーンいたしました。大漁の写真(゚д゚)ウマーです。ありがとうございました!


性懲りも無く続いています。女神様がた、途中でもご遠慮なく御光臨くださいますよう。

エオメル/ファラミア しるけ有り(になる予定)
>>36 の続きから





「これは、ファラミア殿、よくいらした。」
エオメルはファラミアを私室に迎え入れた。部屋の中には卓と椅子があった。天井近くの明り取りから弱々しい月の光が差し込み、壁掛けの模様をぼんやりと浮かび上がらせていた。
「夕食はもう済ませられたか。」エオメルはファラミアに尋ねた。
「はい、十分いただきました。お気遣いのないように。」ファラミアは答えた。二人はどこかぎこちない会話をしながら差し向かいに座った。
エオメルが席に着くか着かないかのうちにファラミアは口を開いて言った。
「率直に申し上げるが、今夜参りましたのは我々の間にあるわだかまりを溶かしたいと思ったためです。」
この不意打ちにエオメルは何の用意もしていなかった。
「それは、我々の間に不和があるとおっしゃりたいのか。」
「違うでしょうか。」ファラミアは応えた。
「私の思い込みに過ぎなければ、これほど嬉しい事は無いのですが。」
エオメルは突然斬り込まれた不快感を無理矢理押し殺して答えた。
「いや、私もその事には気が付いていた。我々はもっと親しくなるべきだ、義兄弟として。」
ファラミアはほっとした様子を見せた。
「それをお聞きして安心致しました。我々の不仲のためにエオウィンを悲しませたくありませんから。」
ファラミアはいかにも屈託なげに笑った。エオメルは苛立ちを覚えた。それは殊更彼らが不仲であることを強調した男のせいだった。そして、その男に彼の妹を奪われるような気分になったせいでもあった。エオメルは自分が常に良い兄だったとは思っていなかったが、それでも妹の幸せに心を砕いてきたことに変わりはなかった。それを、赤の他人から妹の心配をされる筋合いは無いとエオメルは思った。だがそこまで思い至るとエオメルは己の女々しさに気づいた。そしてくだらない嫉妬を燃やす自らを罵った。
「では私から義弟殿に一献差し上げようか。」
エオメルは心の動きを悟られぬように杯を手に取った。ファラミアはそんなエオメルを気遣わしく見つめた。
二人は、お互いの国の繁栄とそれぞれの健康を祈って杯を交わした。

エオメルとファラミアがぎこちなく杯を酌み交わす間にも、夜は静かに更けていった。
彼らがぽつりぽつりと話すのは、大抵は共通の話題になり得るエオウィンの事だった。そして、エオメルは気が付いてみるとほとんど一人で話していたのだった。エオウィンの好きな物、親しい人、幼い頃の武勇伝まで洗いざらい話していた。エオメルは、ファラミアにいいように操られているような嫌な気分になった。ファラミアは聞き上手でエオメルから巧みに言葉を引き出した。エオメルは心中ひそかに苛立った。しかし、水を向けられると喜んで話してしまうエオメルにも問題があると言えた。

41萌えの下なる名無しさん:2004/05/25(火) 06:43
>>40の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













何かの拍子に言葉が途切れた時、エオメルはファラミアを少し困らせようとこう切り出した。
「私ばかりがつまらぬ事を話していて、退屈なさっていないだろうか。ファラミア殿の話もぜひお聞きしたい。」
ファラミアはエオメルの狙い通り困惑した。如才無い彼に似合わず、戸惑いながらファラミアはエオメルに答えた。
「何をお話したらよろしいだろうか。」
エオメルもまた戸惑った。なぜなら、彼らの間にはほとんど接点が無かったからである。二人の間に沈黙が落ちた。
やがてファラミアは沈黙を振り払うように話し始めた。
「エオメル殿が大事な妹御のお話をしてくださったのですから、私は私の兄弟の話をしましょう。エオメル殿はボロミアをご存知か。」
「存じております。」エオメルは答えた。突然会話に出てきた懐かしい人の名前に驚いていた。
「勇敢な武人でいらした。また、人の上に立つ気高さを備えておられた。兵に慕われておいでで、彼の周りには常に明かりが灯されているようだった。おおらかで、一本気で、慕わしい方だったと覚えています。」
「それでは、エオメル殿はボロミアをご存知なのですね。」ファラミアは言った。ファラミアの顔は優しく輝いていた。
「私も彼の真っ直ぐな気性を愛していました。」ファラミアは心を込めて言った。「ローハンの方々が彼に与えてくださった親切を、私は決して忘れますまい。」
「ファラミア殿はまことに兄上がお好きだったのだな。」エオメルは言った。
ファラミアは顔を赤らめた。
「私は、あなたも兄上と同じように好きになりたいと思っているのです。」ファラミアは言った。
「私はボロミア殿ではないが。」エオメルは言った。
「もちろんあの方の代わりなどいません。」ファラミアは応えた。

一瞬、沈黙が部屋を満たした。各々が失われた者たちを思っていた。
短い間の後、エオメルが言った。
「惜しい方を亡くした。」
「ゴンドールでもローハンでも、かけがえの無い方々を失ったのです、この度の戦で、我々は。」ファラミアは言った。
彼の叔父と従兄と、さらに多くの人々を思い、エオメルは押し黙った。

42萌えの下なる名無しさん:2004/05/25(火) 06:44
>>41の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













「腹蔵なく申し上げると」ファラミアは言った。「私はあなたが気懸かりで。」
エオメルはファラミアの言葉を心底から意外に思った。
「何をです。」
ファラミアは躊躇いつつ答えた。
「あなたは親しい身内の方々を失われた。その上あなたの妹を私が奪ってしまう。どんなにか淋しい思いをなさるだろうと思うのです。心を許し合える人々がいないということに。肩を叩く手も無く、ほがらかな笑い声も聞こえず、きっと炉辺の火が消えたような気がなさるだろうと。」
エオメルはファラミアの言葉の中に憐れみを感じた。その憐れみはエオメルを慰めず、神経を逆撫でした。エオメルの心の中でくすぶっていた苛立ちが火種を得て燃え上がった。ファラミアに、この年上の男に思いのままに操られたことや、その無遠慮な態度が心に浮かんだ。だがエオメルは、ファラミアの言葉が的を射ている事を努めて無視しようとした。容易く情に動かされるなどということは、エオメルにとって恥辱に他ならなかった。
「侮らないでいただきたい。」
エオメルの声は雷のように轟いた。
「年少といえど女子供ではない。人恋しがって嘆くような真似などせぬ。あなたの兄上がどうだったか知らぬが、私に同じ情を押し付けないでいただきたい。」
エオメルの言葉を聞くにつれ、ファラミアの顔が青ざめていった。エオメルは息を呑んだ。いつも物静かで動じないと思われたファラミアの顔が、はっきりと苦痛の色を浮かべていた。エオメルは舌鋒の矛先を失い、ただ息を吐いた。ファラミアは身体の内からの苦痛をこらえるように歯を食いしばった。
「気分を害したならば、申し訳無い。決してあなたを侮辱するつもりなど無かった。私は私の事を言ったのだ、そしてもちろんあなたは私とは違う。恐れを知らぬエオルの子でおられる。」
ファラミアはうつむき、灯火が顔に深い陰を落とした。注意深く覆い隠されていた彼の悲しみが露わになった。
ファラミアは大きく息を吐いた。
「帰ります。もう夜も更けた。」
ファラミアは静かに席を立った。エオメルは何か声を掛けたいような気がしたが、どのような言葉もふさわしくないように思えた。
「このように仲違いをしたまま別れるのはあまりに惜しいが」
ファラミアは青ざめた顔に微笑を浮かべた。
「私も平静ではありませんので。」
扉が閉まった。エオメルは先程までの会話を一人反芻した。
割れんばかりに拳を打ち付けられた卓の上で二つの杯が騒々しく鳴った。

43萌えの下なる名無しさん:2004/05/25(火) 20:09
>>40-42女神様

続きありがとうございます!!こんなに早く読めるとは思ってなくって、
思わぬ贈り物をいただいた気分です!すばらしいです!

一言で気持ちがすれ違ってしまうなんて、まさに人間ドラマの様相です。
大将と、エオメルは仲直り出来るのでしょうか。おろおろしてます。
大将が、あんな辛そうな顔をするとは、ちょっとも思っていなかったです。
フォロー可能なのか心配です。エオメルに行動に期待してます。
エオメルの力で、大将の気持ちを安んじさせていただきたいです。
エオメルを信じてます。

続きが気になってそわそわします。続き、お待ちしてますね!

44パタパー二世:2004/05/25(火) 22:11
さっそくの女神様降臨おめでとうございます。
私めも毎夜ドキドキ眺めております・・・。

スレッドの順番入れ替えのためにちょっと上げます。
バタバタしてしまってすみません。

45萌えの下なる名無しさん:2004/05/26(水) 06:37
>>43>>44
ありがとうございます!読んでいてくださる方がいらっしゃるんですね(;´Д⊂)  
ご期待に添えないものばかり書いているのではないかと大それた事を考えています


なぜかまだ続いています。女神様がた、途中でも容赦なく御光臨ください。

エオメル/ファラミア しるけ有り(になる予定)

>>42の続き





その次の日朝早くエオメルは寝台から脱け出した。朝露の下りた草を踏みしだきながらエオメルは厩舎へ向かった。空には靄がかかり、エオメルの髪や肩をしっとりと濡らした。
厩に立つ番兵は時ならぬ王の訪れに驚くかと思いきや、なぜか得心した様子でエオメルに道を譲った。
薄暗い屋内には動物の糞尿の匂いが篭もっていた。エオメルは居並ぶ馬たちに声をかけながら歩みを進めた。
エオメルは不意に厩舎の中に自分以外の人間がいることに気が付いた。彼は柔らかなまぐさが積まれたその傍らに飼葉桶を伏せ、足を投げ出して座っていた。
エオメルが傍によると彼は目を上げた。何故ここにいるのかとエオメルが問う前に、彼は答えた。
「馬を見せていただいていました。」
朝日が差し込み、ファラミアの亜麻色の髪を明るく照らした。

「あなたはなぜここに?」
エオメルは考える前に答えた。
「気を落ち着かせに。」
ファラミアはうなずいた。
「私もです。」
そう言うファラミアの目元には隈が落ちており、ファラミアもまた眠れなかったのだろうとエオメルは悟った。「ボロミアが乗っていた―ボロミアがあなた方にお借りした馬はここにいるだろうか。」
ファラミアは遠くを見る眼差しをした。エオメルは答えた。
「いや、ここにはいない。」
主を失い背を空にして戻ってきた馬が、他の者を乗せて戦場に行ったきり戻らないという事は言わずにいた。ファラミアは微笑んだ。
「あなたは優しい人だ。」
エオメルの心にふと疑問が浮かんだ。
「あなたは人の心を読めるのだろうか。」
「なぜそう思われます?」
ファラミアが問い返した。
「ヌメノールの血を引く方々は、よく人の心を読み未来を見通す力をお持ちとか。今朝もこうして私が来るのをわかっていたようにここにいらした。」
「いつもではありません。」
ファラミアはかぶりを振った。

46萌えの下なる名無しさん:2004/05/26(水) 06:40
>>45の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













「私がここに来たのも、あなたと同じく心を鎮めるために来たのです。」それから少し考えて、付け加えた。
「いや、やはりあなたと会うのを私は知っていたのかもしれない。なぜか行かなければならないような気がしたから。事によるとヌメノーリアンの力が働いたのかもしれない。」
ファラミアは息を吐いた。
「けれど、もしあなたの言うように私に人の心をわかることが出来るなら、昨夜あなたを傷つけることなどなかっただろう。」
ファラミアに苦痛の影が手を伸ばすのを、エオメルは怯えるような気持ちで見守った。
「私はあなたに謝りたい。」
ファラミアは口の端を噛み締めた。その唇が空気を震わせる前に、エオメルは遮った。
「いや、私こそあなたに謝らなければならない。昨夜は大人気ない真似を―ついかっとなって。」
エオメルは自分がいかにも気が利かない、不調法な者の様に感じた。
ファラミアは弱々しく微笑んだ。
「私は焦り過ぎたようです。あなたと少しでも早く距離を縮めたいと。不仲であってはならないと。あなたの妹姫のためにも、あなたのためにも、私のためにも。今まで大事な物があまりにもあっけなく失われていく日々が続き、私はそれに慣れ過ぎていたのかもしれない。惜しい物は早くこの手に掴まねばすぐに消えてしまうと。」
エオメルは思わず己の掌を見た。ファラミアもまた手で砂を掬い取るような仕草をした。やがてファラミアは顔を上げてエオメルを見た。
「けれど今はこうして日々が続き、またこうしてあなたと話す機会を得られるのですね。」
エオメルはうなずいた。それからふと思いついて言った。
「よろしければ共に遠乗りに行かないか。今日は無理だが、明日にでも。」
ファラミアの口元がほころんだ。
「喜んで。」
外からファラミアを呼ぶ声がした。ファラミアは立ち上がった。
「叔父上が呼んでいらっしゃるようだ。」
その言葉の通り厩舎に初老の男が入ってきた。白皙の美丈夫は確かにファラミアの縁戚であるようにエオメルには思われた。
「これは、エオメル殿。」
イムラヒル大公は優雅な会釈をした。
「ファラミアと一緒にいらっしゃったのですか。ご歓談の邪魔をして申し訳ないが、何分急な用事で。よろしいだろうか。」
エオメルはうなずいた。
「では、エオメル殿、失礼。あなたとお話できて本当に良かった。」
ファラミアは叔父に肩を抱かれながら慌しく去っていった。エオメルは奇妙な物足りなさを覚えながら妹が呼びに来るまでそこに立ち尽くしていた。
太陽はすでに高く昇り、白く輝いていた。その日も暑くなりそうだった。

47萌えの下なる名無しさん:2004/05/26(水) 09:36
>>45-46女神サマ!
自分も昨日朝からどきどきして読ませていただいてますです。素敵です!
昨日は朝リアル降臨されてるところだったので、レス挟めませんでした。
続き、ますます楽しみにしてますー。

48萌えの下なる名無しさん:2004/05/26(水) 10:29
>45-46女神様

連日のご光臨!こんなに幸せで良いのでしょうか。
ありがとうございます。

イムラヒル様ご登場で興奮のるつぼです。
急なご用とはなんですかと。
ますますがんばれエオメル!
それにしても、大将の良い人っぷり。
反省すべきところはする。さすが大将です。
大人げないエオメル王。そこが良いところにしても!
大将に先に謝らせるなんて!ですよ。
でも、大切な人が目の前から消えてしまった
大将のせつない心のうちが理解されたみたいで、
ほっと一息つきました。エオメルいいやつです。

回を重ねるごとに、先の展開がさらに楽しみになります。
ありがとうございます!続きを期待しております!

4945:2004/05/26(水) 23:18
今朝書いたレスを自分で読み直したのですが、私ものすごく失礼な事書いてやしませんかΣ(゚д゚|||)
読んでいてくださってる事は知ってたんですが、今まで確信が持てなかったというか、
自意識過剰すぎるんじゃないかとか、なんだかそんなで何て言い訳していいか。
感想をいただけるとは思っていなかったので、本気で真剣にマジで嬉しいです!
踊り回りたいくらいです!

すみません、支離滅裂な事書いてないでSS書いてきまつ orz

それから間違いハケーンしました。
>>45 〜エオメルは悟った。「ボロミアが乗っていた〜
の箇所、台詞の頭で改行し忘れです。設置様、大変申し訳ありませんが倉庫格納の際に
直していただけますでしょうかm(_ _)m
いつもおつかれさまです。素敵なタイトルを付けられるのをいつも楽しみにしてます!

50萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 00:27
>45様
お気になさらず、と申し上げてよろしいでしょうか。
気休めのお役に立つかは分かりませんが、くだらないSSを一つ置いていきます。

<大将とその配下/乾燥注意報> 

 ファラミア配下の兵士達は、車座になって顔を寄せていた。
 彼らの視線は一様に、折りたたまれた一つの小さな紙片に向けられていた。
 紙片が開かれるなり、それまでの和やかな雰囲気は、重苦しい空気に変わった。

 兵達は、久しぶりの息抜きを満喫していた。手っ取り早い娯楽といえば、賭だった。
 適当な金品を持たない彼らは、敗者に罰を科す取り決めをして盛り上がった。
 敗者が決まったところで、思い思いに記された指示のうちのひとつが実行されるべく選ばれたのだが。
 紙片には、一言。
《大将を抱擁》
 冗談にしてもたちが悪すぎると、誰もが思った。

 突然、一人の若者が猛然と起立した。
「私が行きます!」
 皆は一斉に声の方を見た。若者は、入ったばかりの新兵だった。
「お前は敗者ではないし、罰は選び直したって良い」
 古参の一人がなだめた。
 しかし、若い者は引かなかった。
「ゴンドールの者は大言壮語は致しませぬ。一度これと決めた事を覆すなどもってのほか」
 そう叫ぶや、彼は駆けだした。
 あまりの事に、あっけにとられていた一同だが、ややあって我に返った。
「大将に出会う前に、取り押さえろ!」
 鬨の声と共に、残された兵士たちは八方に散らばった。

 ところで、追っ手は間に合わなかった。
 彼らが走り出したとき若者は、彼にとってだけ首尾良くも、彼らが大将の背中を見つけていたのだ。
 彼はしばし立ち止まった。
 目標を凝視しながら、彼は、固唾を飲んだ。
 任務が果たされたかどうかを見届ける証人の不在にも気付かず、覚悟を決めると、姿勢の良い背をめがけて、彼は地を蹴った。

51萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 00:32
なぜか続いてしまいました…。申し訳なく。

<大将とその配下/乾燥注意報> 

 一方、ファラミアは、少し前から背後の物陰に奇異な気配を感じていた。
 ただ、覚えのある空気から自分の部下と知れたので、気付かぬふりを決め込んだ。
 なにせ、今日は彼らにとって貴重な休日である。上官など鬱陶しいだけだろう。
 悲しいかな、接近してきた部下の目的は、さしものファラミアにも予測不可能だった。
「いかなる事態であるかな、これは」
 ファラミアは窮屈そうに振り返った。
 背中側から、年若い部下の腕が回り、自分の胸の下で結ばれていて、体が拘束されていた。
 無我夢中でファラミアの背にくっついていた若者は、間近にファラミアの顔を見た。
「し、失礼致しました」
 彼は腕をほどいて飛び退き、地面に膝をついた。
「謝罪については、必要と思えば聞きもしよう。その前に話せ。誰にそそのかされた? 
嘘偽り無きところを告白するならば、お前については不問に処すが」
 口調は穏やかながらも、剣呑なその声色に、若者は可愛そうなほど萎縮した。
 賭について明かすべきだろうかと、若者はちらりと考えた。
 すぐに彼は危惧した。仲間にまで類が及ぶのでは無いかと。
 もとより、自分が進んで来たのだ。
 ならば、取るべき態度は一つだった。そして、彼は自分に忠実に行動した。
「恐れながら申し上げます。私は、自らの意志により、かような所行に及びました。
理由の如何は問わず罰をいただきたい所存でありますれば、是非に、お聞き届け願います」
 一気にまくしたて、若者は埋まるのではないかというくらいに、頭を地面に寄せた。
 ファラミアは、要領を得ない部下をじっと見下ろしていた。
「顔を上げよ」
 そうして、彼の両肩を支え立ち上がらせた。
 目を白黒させ、まだ事態が掴めないでいるらしい部下に、ファラミアは決然と告げた。
「そなたの覚悟に免じ、今回の件はわたしの胸におさめる」
 胸をなで下ろす間もなく、ファラミアが続けた。
「ただし、忘れるな。二度目はない」
 若者は、応答も忘れ、目を見開いて上官の顔を凝視した。
「しかし、わたしで良かったことだな」
「は?」
 意味するところを掴めず、つい間の抜けた声をあげ、自分の声に、頭が正気を取り戻した。
「仮にわたしが我が兄であったならば、そなたの首は、体にその手がかかる前に
胴体より離れて落ちていたであろうよ」
 瞳に剣呑な光を湛えて、ファラミアは部下の目に視線を合わせた。
 冗談なのか否かも分からないまま身をすくませた部下に、
ファラミアはうって変わって表情を緩めた。
「物の加減を知るように。それに、今後は先走らぬことだ。己が生き残り、皆の命も脅かさぬよう望むならばな」
 平身低頭する部下に一瞥をくれて、ファラミアは立ち去った。

 ほどなくして、仲間の兵達が若者を見つけた。彼は放心していたので、
迎えに来た者達は、抱えて去らなければならなかった。
 それでも、かの若き兵士は、「大将を抱擁した男」として命知らずの代名詞となり、
後々まで兵士達の間に語り継がれることになったという。

くだらないSSは、おしまいにしまして、>45様の続きを熱望です。

52萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 00:59
>>45
ああ、前段は今にも一触即発、というところで決裂、今回もまだまだ続きが!?
待ち切れません〜。し、しるけ・・・

>>50
こーの果報者!であるその部下くんのお名前は何なのでしょう?
もしやベレゴ・・・ry
大将の冷静な対応ぶりも素敵です。映画の大将、胸回りはあるのに腰が細い・・・
って、何を言っているのか自分!?

53萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 04:15
>>50 女神様
うわあ!素敵です、最高です!女神様は私を萌え死なす気ですかと小一時間(ry
大将の背中大将の胸(;´Д`)ハァハァ
命知らずの部下はベレ殿かアンボ殿か、誰にせよ羨ましい限りです!

5449:2004/05/27(木) 08:18
>>47>>48>>50>>52
あ、ありがとうごぜえますだ…。暖かく素晴らしい励ましが身に染みますだ。
前フリ長くて申し訳有りません、後2、3回でエチにこぎつけたいと思います。がんばります!


少し前のレスから続いています。女神様方、途中でもお構いなくガシガシご光臨ください。
>>50女神様、GJ! GJ!! GJ!!! (*´д`*)ハァハァ

エオメル/ファラミア しるけ有り(になる予定)

>>46の続き




ファラミアがエオメルを黄金館のほど近くで見掛けたのは、日も半ばを過ぎた頃の事だった。
エオメルは一人では無かった。笑いさざめく乙女達が彼を取り囲んでいた。エオメルが石段に足を掛け中途半端な姿勢でいるのは、美しく艶やかな乙女の網から逃れきれず捕まったためであるようにファラミアには思われた。ファラミアは微笑ましい気持ちでエオメルの救出に向かった。
エオメルは半ば逃げ腰でローハンの娘たちに対していた。むくつけき男達を相手にするのとはあまりにも勝手が違い、防戦一方の望みの無い戦いを強いられていた。
彼は午前中論功行賞や請願の受理やその他諸々の政務を執り、昼になって黄金館から出た途端に囲まれたのだった。しかもわけもわからぬうちに。最初は顔見知りの騎士や臣と話していたはずだった。それが、気が付くと誰やらの娘やら姉妹やらを紹介されており、今の状況に至っている。独り身の若い王に親族を娶せようという腹積もりに引っかかったのだと気付いた時にはもう遅かった。
致し方なく一人孤独な戦いを繰り広げていたエオメルに、意外な所から救いの手が差し伸べられた。
「ベルファラスの海辺に数多転がる貝殻は白く美しいが、リダーマークの乙女はエレド・ニムライスの山頂に積もる雪のようにさらに白く美しくていらっしゃる。」
ファラミアは彼らの言葉で言った。それから共通語にあらためて言った。
「王におかれましてはかかる娘らの歩く土地を治められることに喜びを感じておいでかな。」
エオメルは救いの手に恥も外聞も無く縋りついた。
「ファラミア殿、かかる麗しき娘らに私は悩まされているのです。」
娘たちが明るく笑い崩れた。娘の一人が進み出て言った。
「悩ませてなどおりませんわ、もちろん恋心にお悩みになる他は!我が君のお心を騒がせる娘はここにはおりませんの?」
エオメルは無意識にファラミアの影に隠れるように下がった。ファラミアは笑って娘に歩み寄った。娘は誇らかに胸を反らせた。

55萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 08:19
>>54の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













「ゴンドールの殿はリダーマークの乙女がお気に召しまして?」
ファラミアは娘に答えて言った。
「ローハンの乙女は白い花のように美しいとお見受けします。」
思いがけず優しい眼差しに合い、娘は覚えず顔を赤らめた。
「だが、今の私の目には、一人の貴い方を除いては谷間に咲く花々の群れと同様に見えるようです。」
娘たちの間から忍び笑いがくすくすとこぼれ落ちた。ファラミアの求婚の顛末はローハンにも鳴り響いていた。
「もしあなた方のお許しがいただければ、王をお貸し願いたいが。」

ファラミアとエオメルは乙女たちに快く送り出された。エオメルは決まり悪げに先に立って歩いた。
「助かった、と礼を申し上げるべきなのだろうな。」エオメルは言った。
ファラミアはそれには答えず、言った。
「女性の相手は苦手でいらっしゃるか。」
「苦手というのではないが、兵たち相手に叱咤したり号令をかけたりするのとは訳が違う。まさが手を上げるわけにもいくまいし。」エオメルは言った。「それにしてもあなたの手腕には頭が下がる。」
ファラミアは軽く首を振った。
「彼女たちの目当ては私ではないのですから、気楽なものです。ローハンの勇敢な乙女らといえど、アングマールの魔王を撃ち滅ぼした盾持つ乙女に勝負を挑む者がいようとは思えませぬ。何よりあなたは若く美しくていらっしゃるのだから、乙女らが胸をときめかせるのは当然です。エオメル殿には言い交わした女性はいらっしゃらないのですか?」
「おりませぬ。」
エオメルは答えた。ファラミアはうなずいた。
「いずれ時が至れば佳き人に巡り会えましょう。」
「あなたとエオウィンのようにか。」
「その通りです。」ファラミアは答えた。
エオメルは素直にその言葉を聞いた。
「しかし、王になった途端あれです。今まで軍団長の地位にいた頃はこのような事など無かったのですが。」エオメルは言った。
「それはあなたが都を留守がちにしていらしたからではないのだろうか。」
「そうかもしれません。」エオメルは答えた。
「しかし、王というのはまたその地位に結び付く物の何と多い事か。私は民を守り導くという事のみを思い描いていたのですが。」
エオメルは、事ある毎に王たる者であることの難しさを痛感せずにはいられなかった。馬に乗り、剣を振るうこととは別の戦いがそこには有った。
「あなたは我が王と同じ事をおっしゃる。」ファラミアが言った。
「エレスサール王が?」エオメルは驚いて言った。
「エレスサール王にはアルウェン王妃がいらっしゃいますので、先ほどあなたを難儀させたような事は別ですが。ところで我々はどこに向かっているのだろうか。」
ファラミアはエオメルに尋ねた。エオメルは足を止めた。
「どこというわけではありませぬ。」
エオメルは言った。
「ただ、一人になりたいと。」
ファラミアは首を傾げた。
「その一人には私も含まれていると考えてよろしいだろうか。」
エオメルは今更思い出したようにファラミアを見た。
「義弟殿さえよければ。」
「では、私が行き場所を決めてよろしいだろうか。」ファラミアは言った。
エオメルはファラミアに引かれるまま大人しくついていった。彼らが向かったのはシンベルミネの花咲く王家の塚だった。





すみません、一旦切ります。

56萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 11:20
>54-55女神様!続きキター!

女性の扱いに手慣れてる?大将カコイイですね。
っていうか、確かにエオメルが極端に苦手そうだなあw
しるけまで、どきどきしながら待ってます。

57萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 12:25
連日連夜のSS投下に天にも上る気持ちですわ〜

ところで>51の、
>「仮にわたしが我が兄であったならば、そなたの首は、体にその手がかかる前に
>胴体より離れて落ちていたであろうよ」
は、「兄上は咄嗟に手が(剣が)出るから危ないyo(´ー`)」なのか、
「兄上に手を出したらただじゃ置かんぞ(#゚Д゚)ゴルァ」なのか。

58萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 15:53
>54-55女神様

大将の如才なさがいかんなく発揮されてるのを
拝見して、うはうはです!大将、口が上手すぎです。
そんな大将が大好きです。
さりげなくエオメル王を助けてやってる優しさも大好きです。
大将の魅力炸裂ですね!

エオメルが、大将に助けられたことを素直に感謝してくれてるのが
なんとも嬉しいです。二人が、いよいようち解け始めてる感じです。
最初は、険悪だった二人が自然とお互いの立場を尊重し認め合う
過程をつぶさに見ることが出来て、幸せの極みです。
しかも、それが毎日続いてるだなんて!

この幸せが、終わるときを考えるとすこし寂しいのですけども、
続きが読みたい気持ちには叶いません。
日々の幸せをありがとうございます!!

59萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 19:08
>54-55女神様
惹かれつつ、微妙にすれ違ったりもするこの二人、この先どうなってしまうの
ですか?こうなったらどこまでも着いて行きますよ!

>50-51女神様
大将の後ろ姿・・・広い背中にほっそい腰(脚も細い)・・・ハァハァ(AA略)
なんか、ヘンネス・アンヌーンではいろいろ大変なことが起きてるんじゃない
かと、妄想が止まりません。
ああしかし、いずれにせよ今回の件が兄君の耳にはいったら、部下A君だかB君
だかの運命は風前の灯という気がします。

60萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 23:45
>50です。
くだらないSSに、あたたかいお言葉の数々をありがとうございました。

>50様 たくましい胸に細い腰…しかも大将の!
想像するだけでたまりませんです<変態一号

>53様 自分で書いておきながら、うらやましかったりです。

>49様 ありがとうございます。慰めになりましたら、何よりです。

>57様

>「兄上は咄嗟に手が(剣が)出るから危ないyo(´ー`)」なのか、
>「兄上に手を出したらただじゃ置かんぞ(#゚Д゚)ゴルァ」なのか。

確かに、どちらとも取れます…。日本語が不自由で申し訳ないです。
あれは大将なりの冗談です。でも笑えません。
意味は、書いた当人としては「危ないyo」の方です。
ですが、どっちでもお好きな方でお願いできればと。

>59様 お言葉に、想像をたくましくしてしまいました。

兄上は、自分ではしっかり者のつもりで、実際は部下に触られ放題です。
ファラミアは、兄上を買いかぶってます。
大将はそのつもりなら、誰にも指一本触れさせないと思われます。

6160:2004/05/27(木) 23:50
連投すみません。
>60で、とんでもなく失礼なことをしてしまいました。
>52様へのコメントが、>50宛ての自己レスに。
>52様、せっかくお言葉をくださったのに、本当に申し訳ありません。どうお詫びして良いか…。

蛇足中の蛇足<知ってしまった兄上>

「ファラミア」
「これは兄上。血相を変えていかがなされました」
「小耳に挟んだのだが。お前、部下に弄ばれたというのは、まことか」
「何と、尾ひれがつき放題でございますな」
「まことなのだな。その身の程知らずの配属は変更するが、異存はないな。わたしの権限で最前線へ立たせようぞ」
「配属替えは構いませぬが。最前線の部隊は、常にこのファラミアが率いております」
「……」
「兄上?」
「部下に隙を突かれるなど、未熟な証拠であるぞ」
「お言葉、肝に銘じます」
「何をしておる」
「兄上を抱擁しております。隙がございましたもので」
「……」
「兄上?」
「兄弟の間で隙も何もあるものか。それに、いつもしていることだ」
「そうでした」
 神妙に頷くファラミアの体に、ボロミアの腕が回された。ファラミアは顔を低くして、ボロミアの唇に唇を触れさせた。
「ファラミア」
「いつもしていることではないですか」
「……」
「兄上?」
「部屋に戻る」
 ボロミアは、腕をほどいてきびすを返した。さして歩かぬうちにボロミアは立ち止まり、ファラミアを振り返った。
「何をしておる。お前もだ」
 ボロミアに気付かれないよう笑うと、ファラミアは小走りに兄の背に向けて駆け出した。

スキンシップ過剰です。
レス番間違いに連日の連投、大変失礼致しました。

6254:2004/05/27(木) 23:55
>>56>>57>>58>>59
ありがとうございます。私はたぶん今すごく幸せなのだと思います。
ほんの少し書き物をしたことはありますけども、いつまでも書き止めたくないと思ったのはこれが初めてです。…というか、まず最後まで書き上げられるかが問題なのですが…。ああこんな事書いちゃっていいのかな、実はこんなに長い話を書くのも初めてです。
さあ、今日中に続きを書き上げましたよ。
明日朝ウプは難しいかもですゴルア

エオメル/ファラミア しるけ有り(になる予定)
>>55の続き





「なぜここに?」エオメルはファラミアに問い掛けた。
「一人になりたいとおっしゃった。」ファラミアは答えた。「ならば、ここほどふさわしい場所は有りますまい。」
緑の塚原には白い星が花咲いていた。辺りは静まりかえり、ただ風の音だけが鳴り響いていた。塚が西側に九つ、東側に八つ並び、マーク代々の王たちが醒めぬ眠りの中に憩っていた。一番新しい塚は、エオメルが父とも慕った故王のためのものだった。エオメルは塚の前まで歩いていき、額づいた。
「あの方の事が偲ばれます。」エオメルは言った。「ファラミア殿は、私の一人になりたいという我が侭を聞き入れて私をここに連れてきてくださったが、ここにいると私は一人ではないのだと感じられます。」
「あなたを見守っている方がいらっしゃる。」ファラミアは言った。
「そうです。」エオメルは応えた。
「もうお会いする事も語り合う事も出来ないが、それでもあの方はここにいらっしゃる。」
エオメルは立ち上がり、誇り高い頭を巡らせた。
「私は決してあの方を忘れることは無いでしょう。」
鳥の群れが空を渡っていった。エオメルは感情の発露を恥じた。
「埒も無い事を言ってしまった。」
ファラミアはかぶりを振った。エオメルはふと気付いたようにファラミアを見た。
「私たちは同じなのですね。」
ファラミアは笑うばかりでそれには答えなかった。
突然の衝動に動かされて、エオメルはファラミアの手首を捉えた。
「あなたはいい匂いがする。」
エオメルはファラミアの首筋に顔を近付けた。ファラミアは素早く身を引いた。
「アセラスではないでしょうか。」
「アセラス?」
エオメルはファラミアの手首を掴んだまま彼の目をのぞきこんだ。
「怪我をしていらっしゃるのか?」
ファラミアは顔を背けた。
「もう癒っております。」
エオメルはファラミアの顔を見ようと首を傾けた。ファラミアはそれとは反対方向に目をそらせた。
「ただ、かぐわしい匂いがするので、擂り潰して水を満たした杯に浮かべたりするのです。お気に召したなら、株を取り寄せましょう。強い植物ですから、気候が合えば根付くはずです。もしかしたらローハンに自生しているかもしれない。」

63萌えの下なる名無しさん:2004/05/27(木) 23:56
>>61の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













ファラミアは抵抗するのをあきらめ、俯いた。緩やかに波打つ髪が顔にかかり、エオメルから表情を隠した。
ファラミアは言った。
「エレスサール王はもうヘルム峡谷にお着きだろうか。」
エオメルは虚を衝かれた。
「さ、騎士だけならば今夜遅くに着くかもしれませぬが。」エオメルは答えた。
「徒歩の者がいるならば、とても。」
ファラミアは目を上げてエオメルを見た。エオメルの顔にはただ驚きの感情だけが浮かんでいた。
ファラミアは幾度か躊躇いながら、唇を湿らせて口を開こうとした。
「あなたは―」
そう言いかけた時、驚くほど近くから澄んだ声がかけられた。
「お兄様。」
エオメルは弾かれたように身を起こした。ファラミアは慌ててエオメルの手を振り解いた。縛めは難なく外れた。
優美な姿が彼らの傍らに立っていた。
「お話のところを邪魔してしまいまして?」
「いや―エオウィン姫。」
ファラミアは、彼に似合わず口ごもった。エオウィンは白鳥のように優雅に首を傾げて彼を見た。エオメルは何故か浮気の現場を取り押さえられた間男のような居心地の悪さを味わった。
ファラミアの頬には桃色の斑点が散っていたが、エオメルの見たところ彼は落ち着きを取り戻したようだった。
「邪魔をしているのは私の方ではないだろうか。兄妹水入らずで話したい事も有るだろうに、気の利かぬ事を。失礼。」
ファラミアは口速に言い、その場を立ち去った。エオメルは唖然として彼を見送った。気が付くと、恐ろしく怖い顔をしたエオウィンがエオメルを睨み付けていた。
「エオウィン、まさかと思うがファラミア殿の前でそのような顔をしないだろうな。百年の恋も醒めるぞ。」
「ご心配無く。ファラミア様は兄上の思うより心の広い方ですわ。」
エオウィンはエオメルに剣突を食らわせた。エオメルはたじたじになった。
「お兄様、ファラミア様を苛めていたのではなくて?」
「いや、まさか。」
エオメルは言った。
「ただ話していただけだ。」
エオウィンは足の爪先から頭の天辺までエオメルを眺め回した。突き通すような眼差しに、エオメルは心の底まで覗かれるような気持ちになった。
エオウィンは溜息を吐いた。
「ならばよろしいのですけれど。」
エオメルは妹を見た。エオウィンは何かを堪えるような表情をしていた。
「私はお二人とも幸せになっていただきたいのです。」
愛情がエオメルの心を満たした。エオメルはエオウィンの肩に手を置いた。
「それは私も同じことだ。お前には幸せになってもらいたい。ファラミア殿と共に。」
エオウィンはエオメルの手の上に手を重ねて置いた。
「お兄様、眉間に皺が寄っておいでですわ。本当にいつまでもお変わりなくていらっしゃること。」
エオメルは思わず自分の顔を撫でた。

64萌えの下なる名無しさん:2004/05/28(金) 00:06
Σ(||゚Д゚)ヒィィィィ >>60女神様、書き込みかぶってしまいました、申し訳ありません!
唯一の慰めは、交互にならなかったこと か と… orz

すみません、次からちゃんと確かめます。
兄上とラブラブなファラミア様にハッピーな気持ちになれましただ(*゚∀゚*)ポルアアン

65萌えの下なる名無しさん:2004/05/28(金) 00:10
>62-63女神様

即レスせずにはいられないです。興奮しすぎです<自分

明日の朝の楽しみを、今いただいたということですね!ありがとうございます!!
出来ることなら、書きやめないでいただきたく!

大将のかぐわしいにおいに、どきどきです。
色っぽすぎます。大将。独り者のエオメルには毒です。やばいです。
そして、エオウィン!
可愛らしいですぞー。エオメルとの会話が、まさに兄妹!
ぐいぐいとひきこまれます。

話が広がるのが楽しみでたまらないです。
次回は、明日夜でしょうか。<催促するなと
続きを心待ちにしております!!

6660:2004/05/28(金) 09:28
>64様

むしろ勇み足は>60です。
本人的にはSSとはいえないような
小話のためにお気を遣わせてしまい、
女神様にも、スレ住民の皆様にも申し訳ないです。

女神様の続きを待たれてる皆様の
楽しみが減じていないことを祈ります。

67萌えの下なる名無しさん:2004/05/28(金) 21:58
>60=61様
隙だらけの兄君と余裕の弟君、素敵です。
笑えない冗談の大将も好きです。
こんな人たちが指揮官では、部下の皆さんが気の毒にもなりますが(w

それから、自分52ですけど、あまりお気になさらないで下さいね。

68萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 09:56
>62-63様
浮気の現場をとらえられた間男のような表情の
エオメルがなんともいえません。
ファラミアの顔に浮かぶ憂愁の色に思わずくらくらきてしまったんですね。

>50-51様
やがてこのお話はイシリアンの「民話」として
語り継がれていくのであった……
ところで、この新兵君のひたむきさ、
部下A君か部下B君か、というより
部下Z君、という感じですな。

>60様
兄上も隙だらけにみえて、実は、やるな。

69萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 10:58
すみません、遅くなりました (((;゚∀゚) アセアセ
実は1日につき1話分をまとめてアップしようという下らない意地を張ってまして、それで間隔が空いてしまいました。

>60様
いえ、こちらこそお気を遣わせてしまって申し訳ありませんでした。
一週間もスレ寡占状態になって本当に申し訳ありません。残り1回ですので、最後までよろしくお付き合いください。m(_ _)m


エオメル/ファラミア 次こそしるけ有りになる予定

>>63の続き




その後エオメルは去っていったファラミアに心を残しつつ、政務に戻った。
あれこれの雑事をこなしながら、昼間起きた出来事が時折影のようにエオメルの心をよぎった。エオメルはファラミアに感じた不思議な衝動を、彼自身説明出来ないでいた。だが、彼がとった行動が奇妙なものだったという事だけは分かった。成すべき事を全て終えたらファラミアに会いに行こうと思った。ファラミアに会えば、心の片隅に巣くう疑問も全て解けるだろうと思われた。
その思いが功を奏したのか、その日の仕事を成し終えたのは、まだ太陽が草原の地平を茜色に染めつつある頃のことだった。
ファラミアを捜し歩くエオメルに、一人の老人が声を掛けた。
「エオメル様、お久しゅうございます。」
「ギャムリングか。久方振りだな。」
老人の名はギャムリングといい、戦での功績を讃えられて城勤めになった者だった。エオメルとは剣を共にして戦った仲である。
ギャムリングはエオメルにつと近づいて声をひそめた。
「エオメル殿に申し上げたい事がござる。余人を交えぬ場所で。」
エオメルは眉をひそめた。彼らは遮るものとてない広場の中ほどに立っており、夕暮れ時の慌しさに、二人の男に目を留める者などいないようだった。
「ではここで話せばよかろう。」
ギャムリングは老いた忠実な頭を昂然と上げた。
「では、申し上げる。」
「何なりと。」
「ファラミア殿のことで。」
エオメルは少なからず動揺した。心を読まれたような気さえした。
だがギャムリングは彼の反応を見ず、一息に言った。
「エオウィン様の婿殿と親しくなさるのはよろしかろう。だが度を超すと、災いを招きましょうぞ。ローハンの王はゴンドールの僕よと口さがない事を言う者もおりかねませぬ。我が王がゴンドールのエレスサール王を慕っておいでなのは周知の事実ゆえ。」
エオメルは予期せぬ方向から殴られたような気分になった。いわれのない邪推に頬がかっと熱く燃えた。怒りがむらむらと心の底からこみあげてきた。
だが目の前にいるのは長年忠義の士としてローハンに仕えてきた男だった。
エオメルはどうにか怒りを鎮め、尋ねた。
「なぜそんなことを?」
「昼過ぎ頃、王家の塚でファラミア殿とお話なさっているのがここから見えました。」
ギャムリングは答えた。
「あのような人気無き場所でお二人になるのも避けた方がよろしかろうと存じ上げる。御身大事なれば。ファラミア殿とても同じ事。ゴンドールの執政であられる身が異国の地にあって凶事あらば、申し開きのしようも御座いませぬ。」
エオメルの心は冷水を浴びせかけられたように醒めた。
ファラミアはエオウィンの夫となる男であるばかりでなく、強国の重臣でもあった。エオメルはそれを全く失念していた己に怒りさえ感じた。

70萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 10:59
>>69の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













「諫言耳に痛い。」エオメルは言った。
「おわかりいただけましたか。」
ギャムリングは安堵の表情を浮かべた。エオメルは厳しい様子を崩さず、彼を見た。
「ギャムリングよ、セオデン王を覚えているか。」
ギャムリングは戸惑った。
「どうして忘れるはずがありましょうか。」
「私の心にも彼の姿が焼き付いている。」
エオメルは言った。
「セオドレド殿も。同じ館で共に育ち、長じては軍団長として親しくさせていただいた。」
エオメルはしばらく目を閉じ、懐かしい人々を思った。
「彼らを失った事は私にとって大きな痛手だった。」
「我々皆にとってです。」ギャムリングは言った。エオメルはうなずいた。
「一人残され、重責を担うようになり、幾度還らぬ彼らを思っただろうか。かの王であれば、彼であれば、このような不甲斐な無きことは無いだろうにと。」
「エオメル様、何を言われるか。」
エオメルは手を挙げてギャムリングを止めた。
「だがそう思うのは間違いだったのだ。」エオメルは言った。
「私は己のみが辛い、苦しいとばかり思い込んでいた。何故私一人がこのような荷を負わねばならぬのかと。だがそれは思い上がりというものだった。私と同じ境遇にありながら、耐えて務めを果たしている方がおられる。」
それがファラミアである事は明白だった。
「分かってもらえるだろうか、ギャムリング。私は妹婿だけでなく、思いがけず良い知己を得たのだ。彼がいなければ私はいつまでも亡き方々を望み無き頼りとするばかりだっただろう。だが私は、今の私と同じ重責に耐え、民をよく導いたあの方々を誇りに思い、若輩者ではあるが父祖に恥じぬ王でありたいと願う。
それに、ファラミア殿は友情を利用するような方ではない。仮にそうであったとしても、私は彼を信じたいと思う。」
エオメルは真摯だった。
ギャムリングは思わず目に浮かんだ涙をひそかに拭った。
「では、もう何も申しますまい。」ギャムリングは言った。
「ただ、程ほどになされよ。いつまでも二人で話し込まれていては、殿とお近づきになりたい乙女らが臍を曲げましょうぞ。」
エオメルは憮然とした。ギャムリングは皺深い顔をほころばせた。
「いつまでも童のようでおられる。おそれながらそのように不快をすぐ顔に表すようでは王として務まりませぬぞ。」
「なぜ不快と分かる?」エオメルは尋ねた。
「眉の間に皺が。」ギャムリングは答えた。
エオメルは昼間のエオウィンとのやり取りを思い起こした。
ギャムリングのたわいない揶揄は、エオメルの心に小さな棘を残した。

ファラミアは彼の部屋にはいなかった。エオメルは思いつくままにあちこち足を運んだ。
次第に太陽の高度は下がり、すでに空を赤く燃やしていた。エオメルは途方に暮れた。
よくよく考えるならばファラミアは夕食の席に現れるはずだった。疑問はその後にでもただせばよい。エオメルはそう考え、踵を返した。

71萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 11:00
>>70の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













だがその時、鋼が風を斬る音が城の裏手からエオメルの耳に届いた。
軽く足を踏む音が続いたのは、誰かが剣の稽古をしているものと思われた。重ねて剣が空を切る音が続いた。ブーツが地を蹴り、大きく振りかぶられた剣が美しい太刀筋で見えぬ敵を一刀両断にした。
淡い藍に染まりつつある空を背にして、ファラミアが一人剣を振るっていた。
彼が力強く空を薙ぎ払うたび柔らかな髪が躍り、服の長い裾がはためいた。剣は力任せに振るわれているようで、その実骨の髄まで叩き込まれた型が保たれていた。ファラミアは足で地面に大きく半円を描き、返す刀を打ち込んだ。さらに二度、三度。
その姿はエオメルの目にはどこか痛ましく映った。
望まぬ軛に繋がれた若駒が、縛めから逃れようともがき苦しんでいるようだとエオメルは思った。
エオメルはファラミアに近づきかねて十歩ほど離れた場所から声を掛けた。
「ファラミア。」
ファラミアは動きを止めた。しばらく遠くを見つめ、肩で息を付いていたが、やがて額に浮かんだ玉の汗を拭い、エオメルに顔を向けた。
「何か御用か。」
エオメルの背筋が凍った。
ファラミアが薄く浮かべた笑顔の、二つの瞳だけが笑わず冷たく凍り付いていた。エオメルは戸惑い、また失望と小さな怒りを感じた。
「昼間の事だが。」エオメルは切り出した。
ファラミアの肩が揺れた。
「礼を言いに。」
ファラミアは首を傾げてエオメルを見た。
「あなたは私にセオデン王を思い出させてくださった。彼らを思う事は私にとってどれほど慰めになることか。」
エオメルは言った。彼は自分の言葉が空虚に響くのを聞いた。つい先ほどまでとても大事に思われた事が、今は全く価値を失ったように感じられた。
だがファラミアは苦笑し、うなずいた。
「あれはただの思い付きです。私に礼を言われるような事などない。礼を言うとするならば、あなたにそう思わせるほどの方だったセオデン王に。」
エオメルはファラミアから遠く離れた場所に立ち尽くしたまま返答に困っていた。
ファラミアは態度を少し和らげた。
「かつてセオデン王とセオドレド殿にお会いした事があります。あなたは残念ながら務めで都を空けていらしたが。お二人とも豪放磊落、まさに王者の気風を備えたお方だった。館の内にあって、太陽のように内側からエドラスを明るく照らしていらした。」
エオメルの怒りが消し飛んだ。身内を褒められただけで機嫌を直した自分を単純だと思ったが、そのような事は気にならなかった。
「その太陽もすでに落ちてもう見る事は叶わないが。」
エオメルはファラミアに歩み寄った。
「では私の胸の内にあって心を暖かく燃やしているのは残照だと言うべきだろうか。」

72萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 11:00
>>71の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













ファラミアはエオメルが近付いた分だけさりげなく遠ざかった。
「御用がそれだけでしたら、私はこれで。」ファラミアは言った。それから思いついて付け加えた。
「ああ、明日は遠乗りに行く約束をしていたのでしたか。楽しみにしています。」
エオメルはファラミアの態度が急に硬化したことに愕然とした。ファラミアはエオメルに背を向け、立ち去ろうとしていた。
「どうしてそんなにつれなくなさるのか。」エオメルは言った。
「つれないとおっしゃるか。」
ファラミアは髪を乱して振り向き、剣の切っ先をエオメルに向けた。
二人の距離は手をどれほど伸ばしても届かぬほど離れていたが、エオメルは喉元に刃を突き付けられたような錯覚に陥った。
「あなたは全く気付いておいででないが。」
ファラミアは怒りに肩を震わせていた。
「我々は今、薄い刃の上を渡っているのだ。さもなくば断崖絶壁の縁を。」
ファラミアは抜き身の剣を鞘に納めた。彼は刺々しい様子を隠しもせず歩き始めた。エオメルは後を追った。
「あなたが何をおっしゃっているのかさっぱりわからない。」
「わからないならわからなくてよろしい。」
「わからないなりにあなたが気分を害しているのはわかる。このままでは納得がいきません。」
ファラミアは足を速めた。エオメルもそれに続いた。二人はじゅうを打ち倒す程の勢いで回廊を歩いていった。
ファラミアは自室の扉の前で立ち止まった。エオメルはすぐに追い付いた。
ファラミアは振り向き、エオメルに言った。
「また明日お会いしよう。今日はこれで。」
だがファラミアの声は震えていた。エオメルは言った。
「あなたは何をそんなに恐れておいでなのか。」
ファラミアは激情にかられた。
「そうだ、私は恐れている。」
白い歯をむき出してそう言ったファラミアの頬は紅潮し、目はぎらぎらと輝いていた。エオメルは安堵すらおぼえた。氷のような眼差しを向けられるよりは余程ましだった。

二人は戸の前に立ちしばらく睨み合っていた。
だが、やがてファラミアが目を伏せた。彼は言った。
「あなたに出会わなければよかった。」
その言葉はエオメルに少なからぬ衝撃を与えた。ファラミアの怒りがどのような事に端を発していたにせよ、そこまで嫌われていたとは思いもよらなかった。

73萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 11:01
>>72の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













エオメルの男らしい顔は夕闇の中でもはっきりとわかるほど青ざめた。エオメルは冷たい刃がゆっくりと胸に差し込まれていくような感覚に苦しんだ。ファラミアはそれを見てとり、自分の言葉がエオメルに及ぼした影響の大きさに怯えた。
「すまない、八つ当たりだ。」
ファラミアは言った。
「これは私の気持ちの問題だ。あなたには関係ない。」
エオメルはファラミアを見た。
「あなたの気持ちとは。」
エオメルは低く尋ねた。
ファラミアは緩く首を振った。
「それをあなたに知られたくないのだ。」
エオメルは少し考え込んだ。
「では、やはり私と関係有るということになる。」
ファラミアは口を引き結んだ。
「昼間の事なら」
ファラミアは身を硬くした。エオメルは言った。
「あなたと私が同じだと言った事で気分を害しているなら謝ろう。あなたが失った人々を軽々しく扱ったと思われたなら。」
ファラミアの身体から力が抜けた。
「いや、それについてはあなたが謝ることはない。ただ、あなたのように亡き人に良い思い出を持っている人間ばかりとは限らないというだけだ。」
ファラミアは自嘲した。
「この事はもう言わないようにしましょう。」
エオメルはファラミアがひそかに傷付いていたことに驚いた。ファラミアは決してそのような感情を表に出そうとはしなかった。その様子を、雨に打たれうなだれる花のようだとエオメルは思った。
彼を慰めたいという衝動に従い、エオメルはファラミアの頬に手を伸ばした。
途端にファラミアの目に怒りが蘇った。ファラミアはエオメルの手を音高く払いのけた。エオメルは戸惑って身を引いた。
「そのように」
ファラミアは言った。
「思いのままに振舞うのは止めたがよろしい。あなたは王なのだから。」
エオメルはファラミアを見つける前に交わした会話を思い出した。
「ギャムリングにもそういわれた。」
ファラミアは目顔で問い掛けた。エオメルは言った。
「私の部下だ。昼間黄金館からあなたとのやり取りを見ていたそうだ。あなたに必要以上に近付かぬようにと言われた。」
「館から?」
ファラミアは肩をすくめた。
「草原の方は目が鋭くておいでだ。」それから言った。
「ギャムリング殿のおっしゃる通りだ。我々はこれ以上近付いてはいけない。」
エオメルは納得がいかないという顔をした。ファラミアは言った。
「これ以上は罪を犯すことになる。」
「罪?」エオメルは言った。
「何の罪です。」

74萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 11:02
>>73の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













ファラミアは失言に気が付いた。彼の顔色が変わった。
エオメルもまたそれに気が付いた。これまで起きた出来事の数々がエオメルの脳裏に甦った。諍いと、和解。朝日に照らされ、力無く悲しむ彼を美しいと思った事。差し伸べられた手。雨上がりの草地のような、清々しく甘い香り。彼の手首の感触。生き身の人間の暖かさ。
全てを反芻しエオメルは自分の衝動の意味とファラミアと彼の間に流れる感情の正体を悟った。
彼の顔にたちまちのうちに血が昇った。ファラミアは逃げ出したそうなそぶりを見せた。
「逃げないでください。」エオメルは言った。
「これでは堂々巡りだ。」
ファラミアは観念して目を閉じた。
「おっしゃる通りだ。」ファラミアは言った。
「だが、これでもうお分かりだろう。我々はこれ以上仲を深めてはならない。」
エオメルはファラミアの頬に手を伸ばした。ファラミアは今度は抵抗しなかった。ファラミアはエオメルの手の温もりを感じ、エオメルはファラミアの肌の暖かさを覚えた。
太陽は既に沈み、残照だけが空を赤く彩っていた。黄昏時の薄闇が彼らの姿を人目から覆い隠した。
エオメルの心に刺さった小さい棘がうずいた。
「エオウィンの事か。」エオメルは言った。
ファラミアの唇が震えた。
「そうです。」
「せめて我々は友になれまいか。」
「あなたはそれで良くても、私は。」
ファラミアは目を開けてエオメルを見た。
「どうしてあなたを好きにならずにいられるだろう。」
ファラミアは優しくエオメルの手を外した。
「先ほど私はセオデン王の事を太陽のようだと申し上げた。」
ファラミアは言った。
「あなたも同じだ。あなたは光り輝いている。」
エオメルは何も答えられなかった。
ファラミアは言った。
「この事は忘れてください。私ももう申しますまい。そして新しい親族としての私を迎え入れて下さればいい。私自身ではなく。」
ファラミアはエオメルをやんわりと押し退けて部屋に入り、戸を閉めた。
扉を挟んだ両側で、彼らはしばらく立ち尽くしていた。

75萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 16:52
>69-74様
本日も、楽しみに読ませていただきました。
以前から、エオメル王が指輪戦争後、あっという間に
ドル・アムロスの姫君と結婚してしまったことについて
「兄ちゃん、寂しかったんだろな。みんないなくなっちゃって。」
と思っていたのですが、そうか。
日増しにつのってくる義弟への思いを断ち切るためだったのか、
なんて、このお話を読んでいて一人納得してしまいましたぞ。

ところで、毎日雨あられと降る恩寵のせいでしょうか。
執政家兄弟が登場するへーんな夢を見てしまったので、以下ご報告いたします。


ある日、ファラミアはボロミアをつれて映画館にやってきた。
チケットを買って入場しようとすると、チケット売り場の姐ちゃんが
「10元出しな。じゃなきゃ、入れてやらない」と脅しにかかる(何故、“元”!?)。
つまり、チケットを正規の値段(たしか一人1元くらい)で売らず、
姐ちゃん自身に袖の下を渡せ、という意味である。
「仕方あるまい」とか言いつつ、ファラミアは小銭を払うことすら惜しみ、
現金ではなく手持ちの小額切手で間に合わせようとする(大将、ドケチ虫か?)。
その切手がまた、1.78元など非常に半端な額の細かいものばかり。
さすがのファラミアも計算に時間がかかっている。
ボロミアも計算に参加し、「これとこれで3元になる」などと横から口を出している。
計算をしながらもボロミアは「ところでいったい、今日の映画はどんな内容なのか」と弟に聞く。
するとファラミアは、「兄上、あなたについての映画ですよ。」と答える。
しかし、看板を見ると、どう見ても子供向けのアニメである……

覚えているのはこれだけなのです。バカな夢ですみません。
一番の疑問は、使用されている通貨単位がなぜ、
中国の「人民元」なのか、ということです。

76萌えの下なる名無しさん:2004/05/29(土) 19:14
60です。

>67=52様
お優しいお言葉ありがとうございます。気を付けますね。

人目をはばかることを知らない兄弟の過剰なスキンシップは、
ゴンドールの兵、民に見られ放題だと思われます。
各方面から暖かい目で見守られてたら良いのですが。

>68様
コメントをありがとうございます。
件の若者、部下の末席に名を連ねてるだけで精一杯というか、
しっかりしろと。そこを、何とかするのが大将ですが。

大将は誘わせ上手、兄上は、誘い上手ではないかと。
ただし、お互いにしか発揮されません。意味があるのかないのか。

>69様
ありがとうございます。もう少しで終わりなのですね。
終わるのは寂しいですけども…がんばってください。

7769:2004/05/30(日) 07:10
>68様>75様>76様
感想キタ━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚  )━(  )━(  )━(  ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━ !!
ありがとうございます!ありがとうございます!心優しい皆様の感想がどんなに励みになったことか!
やっと念願のエチシーンにこぎつけましただ!
長かった…・゚・(つД`)・゚・
では、続きいきます!


エオメル/ファラミア しるけ有り

>>74の続き




次の日の朝、遠乗りに王とその臣とゴンドールからの客人と、そして多くの従者たちが草原に乗り入れた。
エオメルはローハン一足の速い駿馬にまたがっていた。ファラミアもまた客人のためによりすぐられた足の速い馬に乗っていた。
エオメルとファラミアは出会い頭に通り一遍の挨拶をしただけで後は近付こうとすらしなかった。
ファラミアは軽い失望をおぼえながら事が丸く納まったことに安堵した。これで良かったのだとファラミアは自分に言い聞かせた。
遠乗りは和やかに続いた。ファラミアの周りには人が絶えなかった。ファラミアは従者の一人から鳥や花の名をローハンの言葉で何というのかを教わったりしながらそれなりに楽しんでいた。
そんな時だった。
ふと、ファラミアの目とエオメルの目が合った。
ファラミアは、エオメルがにやりと笑った気がした。
ファラミアは黙って目をそらした。だが、胸の中で一つのある決意をした。
ファラミアは人をそらさぬ態度で従者に話しかけた。
「ところで、あの花はローハンの言葉で何というのでしょう?」
「どれでしょうか。」
従者は答えた。ファラミアは後ろめたさを感じながら言った。
「あれです。向こうに咲く、あの小さな黄色い花。」
人のいい従者は客人の疑問に答えるべくファラミアから離れていった。ファラミアはエオメルが近づいてくるのを感じて目を閉じた。
ファラミアが目を開けると、目の前にエオメルがいた。エオメルは短く一言言った。
「付いて来い。」
言うが早いか、馬に拍車を掛け全速力で駆け始めた。ファラミアの胸に愛しい女の面影がよぎった。だがそれも一瞬のことだった。一拍遅れて、ファラミアも駆け出した。
突然走り出した二頭の馬に周囲の人々は唖然とした。しばらくして我に返った従者たちは王とその客人に追い着こうと馬を走らせ始めた。しかし彼らの距離はぐんぐん広がっていく。
エオメルは後ろを向いてそれを確認しながら馬を走らせた。ファラミアの方はそんな余裕も無くやっとのことでエオメルに付いて行くので精一杯だった。二人はどこまでも馬を駆けさせた。
エオメルの口から喜びの雄叫びがあがった。続いて、高らかに笑い声をあげた。ファラミアも馬にしがみつきながらいつのまにか笑っていた。これほど清々しい気分になったのは久方振りだった。

エオメルは目的の場所に着くと、馬を止めた。彼は自分の家の庭のようにその地を知り尽くしており、草原が平らに見えて実は起伏に富んでいることを知っていた。
彼らは馬から下り、遠くに向けて走らせた。従者たちは空の鞍を乗せた馬たちを追っていくだろう。
エオメルとファラミアはすりばち状の窪地に入っていった。窪地には丈の高い草が生い茂っており、目を刺さないように注意しなければならなかった。ファラミアの気分は子供の頃かくれんぼをして遊んだ時のように浮き立った。
窪地の中心地でエオメルは立ち止まった。

78萌えの下なる名無しさん:2004/05/30(日) 07:10
>>77の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













エオメルはファラミアに向き合い、切り出した。
「ファラミア、私は昨夜一晩中考えていた―」
だがファラミアはエオメルを遮った。
「エオメル、何も言うな。」
ファラミアは言った。
「あなたが私に付いて来いと言い、私があなたに付いて来た。それでもう答えが出ている。後は何を言っても言い訳になるばかりだ。結局する事は同じなのだから。」
それから思い直して言った。
「もし、これが私の浅ましい欲望が産んだ勘違いなら、私は今酷い恥をかいたことになるが。」
エオメルは応えた。
「いいえ。」
ファラミアはエオメルを見た。
「いいえ。」
だがエオメルの心にはまだ迷いが残っていた。彼は肉体的にファラミアを求めている事をどう言うべきか考えあぐねていた。ファラミアは苦笑した。
「エオメル、こういう時はこう言うのだ。あなたを抱き締めたい、と。」
ファラミアはエオメルの逞しい身体を見て付け加えた。
「私の両腕はあなたの背中に回りきらないかもしれないが。」
ファラミアはいたずらっぽく笑った。
エオメルは胸を詰まらせた。エオメルは革の手袋を外し、亜麻色の髪をかきわけてファラミアの頬に手を寄せた。
「あなたを抱き締めたい。」
本来なら草原の端から端まで響き渡るほど深く澄んだ声が、みっともないほど掠れた。
ファラミアは、私もだ、と言いかけた。
エオメルはその言葉を唇ごと吸い取った。

エオメルとファラミアは身に着けている物を全て取り去り、身を横たえた。ファラミアの背中の下でヨモギの葉が潰れ、辺りに芳しい香りが漂った。
ファラミアは、つい先日まで見知らぬ男だったはずのエオメルの手が肌を滑るのを不思議に感じていた。もし二日前にエオメルに触れられたならファラミアの心は怒りに燃えただろうと思われた。だが今、ファラミアの心に浮かぶのは静かな喜びばかりだった。
「ファラミア。」
エオメルが言った。
「ファラミア。」
ファラミアの曇りの無い目は恐れがエオメルの心を満たしているのを見抜いた。だがその源までは分からなかった。ファラミア自身もまた恐れを抱いていた。
ファラミアはエオメルほど若くなく、しかも男だった。
恐れが二人の動きを止めた。
太陽は中天にかかろうとしていた。
ファラミアはエオメルの胸元に震える唇を付けた。
エオメルの分厚い胸板の下で心臓が跳ね、逞しい四肢に血液を送り出した。
「エオメル。」
ファラミアは言った。
「私はあなたを抱き締めたい。」
不思議な誇りがエオメルの身体を駆け巡った。

79萌えの下なる名無しさん:2004/05/30(日) 07:11
>>78の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













エオメルはファラミアを傷付ける事を恐れていた。そして何より、欲望を露わにしてファラミアに軽蔑される事を恐れていた。
しかしファラミアはエオメルを許していた。エオメルに傷付けられる前からエオメルを許していた。
エオメルはファラミアのなだらかな胸を撫でた。柔らかく短い毛がエオメルの手に絡んだ。熱く脈打つ器官がエオメルの興奮をファラミアに伝えた。
ファラミアは恐れを捨てた。
ファラミアはエオメルの体の中心を掴み、口に含んだ。エオメルは驚き、ファラミアの頭を押し退けようとした。ファラミアは半ば意地になってその行為を続けた。
ファラミアはもう十分という所までエオメルを昂らせると、その上から身を沈めようとした。
「ファラミア。」
エオメルの目に傷付いた色が浮かんでいた。
ファラミアは間違いを犯した事を悟った。
「ファラミア、私はあなたを抱き締めたい。」
エオメルはファラミアに繰り返し口付けた。ファラミアは目を閉じてエオメルの唇を受けた。ファラミアの口からくぐもった笑い声が洩れた。
エオメルの背中に鳥肌が立った。
エオメルはファラミアの髪を乱暴に引き掴み、唇に噛み付いた。舌と舌が絡み合い、濡れた音を立てた。エオメルとファラミアは声も立てずにお互いを貪り合った。
エオメルは熱く張り詰めた塊をファラミアに押し付けた。ファラミアは目を閉じ、息を吐いた。エオメルは軋みを上げながらファラミアの中に分け入った。ファラミアの目は衝撃に見開かれた。
「ファラミア。」
ファラミアはエオメルを見た。ファラミアの体の中でエオメルの熱が燃えていた。エオメルはファラミアの身体を揺さぶった。ファラミアは口の中で小さな悲鳴をあげた。
エオメルは、ファラミアの目の中で氷の最後の一辺が溶けて瞳に薄い水の膜を張るのを見た。
「ファラミア。」
エオメルは歯を食いしばった。
「あなたを抱き締めたい。」
ファラミアはエオメルの首に両腕を回した。熱い鼓動と共に涙が吹き零れた。
絶頂の訪れは急速だった。
熱が引いた後も、彼らはそのまま温もりを分かち合っていた。

80萌えの下なる名無しさん:2004/05/30(日) 07:12
>>79の続き これでラストです。
エオメル/ファラミア しるけ有り













エオメルは息を吐いてファラミアの上から身を起こした。塩辛い汗の混じった髪がエオメルの口に入った。
ファラミアは身をよじって草むらから起き上がった。背中に貼り付いた葉がぱらぱらと落ちた。
空は青く、太陽は中空にあった。風が二人の汗を冷やしていった。
二人は顔を見合わせた。
そして、二人とも惨憺たる姿である事を認めざるを得なかった。髪は乱れ、草の葉が身体のあちこちに付き、下肢には情事の残滓がこびりついていた。
「酷い姿だ。」エオメルは言った。
「あなたこそ。」ファラミアは応えた。
二人は睨み合った。
「―まあ、いつまでも睨み合っていても仕方が無い。」
「全くだ。」
ファラミアとエオメルは手早く身支度を整えた。目の前に横たわる問題にはあえて触れずにいた。
「さて、これからどうすべきかな。」
ファラミアは言った。エオメルはファラミアの髪から頭をのぞかせている草を抜き取った。
「まずは馬を捕まえ、館に帰る事だ。」
エオメルは言った。ファラミアは首を振った。
「私の場合はまず、馬に乗れるかどうかが問題だな。」
エオメルはファラミアを見た。
「頼むから何も言うな。」
ファラミアはエオメルに釘を刺した。
「それでも私は後悔していないのだから。」
エオメルはファラミアの肩に手を置き、唇を吸った。顔を離すと、エオメルの顔は赤黒く染まっていた。ファラミアは肩を揺らして笑った。
「さすがにもう一遍は無理だが。」
「私が思うに、」エオメルは言った。
「あなたはやはり人の心が読めるのではないか。」
「ヌメノールの透視力と言いたい所だが。」ファラミアは言った。
「あなたに関して言うならば、考える事が顔に出ているのだ。」
ファラミアは澄まし顔で答えた。エオメルはファラミアを抱き締めた。ファラミアはエオメルの背中に腕を回し、力を込めた。
遠くから彼らを呼ぶ声が聞こえるまで、二人は時を忘れてお互いを固く抱き締め合っていた。

8177:2004/05/30(日) 07:12
やっと終わりましただ!長々とスレ汚しして本当に申し訳ありませんでした。
では、そろそろROMに戻ります。最後なのでご迷惑も省みずマルチレスいきます!

>38様
早速のご感想ありがとうございました。ご期待に添えなくて申し訳ありませんでしただ…
何やらよからぬ事を企む大将もぜひ拝見したく。

>39様
サイト情報ありがとうございました!ひっそり萌え心を養わせていただきましただ(w

>43様
実は我ながらあの展開には無理があったかと。大目に見てくだされ orz

>44様
パタパー二世様、ご感想ありがとうございます!子馬亭の更なる発展をお祈り申し上げております!

>47様
朝早くからありがとうございました…・゚・(つД`)・゚・大変な時間にウプしてすみませなんだ。

>48様
イムラヒル大公登場は自分サービスだったり(w 映画でもお目にかかりたかったですだ。

>50 - 60女神様
優しいお言葉ありがとうございましただ。SSには目茶目茶心慰められました!慰められるどころか萌えて萌えて(*´д`*)ハァハァ
大将は誘わせ上手には禿げしくドウーイ (w
本当にいつもお声がけくださって、ありがとうございました。これからも頑張ってください!楽しみにしてます!
ところで実は53は私なのですが、とここでこっそり申し上げたり(ノ´∀`*)

>52様
なかなかエチーに進まなくて申し訳ありませんでしただ。じらしプレイ?(w

>56様
あれはカコイイ大将を狙いましたので、嬉しいお言葉でした。カコイイというよりただのタラシになった気も orz

>57様
いや、我ながら体力の限界に挑戦しました(;´Д`) お声掛けありがとうございましただ…本当に励みになりました。

>58様
こちらこそ、ありがとうございました。m(_ _)m SSをウプしつつ幸せを噛み締めておりましただ。私は毎日お応えすることができたでしょうか。

>59様
まだ着いてきてらっしゃいますか〜(゚ー゚*)ノ゙ 惹かれ合いすれ違いは自分的に萌えテーマですだ。おかげで長くなって申し訳なく・゚・(つД`)・゚・

>68様
浮気を捕らえられた間男のようなというか、エオメルはそのものだとセルフツッコミを(w 大将には憂い顔がよくお似合いですだ。

>75様
何てうらやましい夢を見てらっしゃるんですかと小一時間(ry ドケチ虫な大将も素敵だと申し上げたく(w


ではでは、お付き合いくださってありがとうございましただ!
メルロンモルニエウトゥーリエ、ナマリエ〜(^^ /""

82萌えの下なる名無しさん:2004/05/31(月) 11:50
>81女神様
最後のレス番にご挨拶を。
現在書き込みが止まっているのは、皆さん感動に言葉も出ないからだと思われます。
私も初めから読み直して、もうもう何を申し上げていいのやら・・・
惹かれあって、すれ違って、でも想い合って(互いのことだけではなく、国のことや
周りの人のことも)、草原の風のように爽やかで、そして切なくて・・・
ハラハラドキドキしながらのこの一週間、とても幸せでした。
本当に本当に、ありがとうございました。言葉が足りなくてごめんなさい。

83萌えの下なる名無しさん:2004/05/31(月) 14:33
>81女神様
ほんと、萌え過ぎて何と感想を書いたものやらー、でしたよ。
1週間お疲れ様でした、素敵な作品をありがとうございましたー。

84萌えの下なる名無しさん:2004/05/31(月) 20:21
>>81女神様
完結、おめでとうございます。
そして、日々の更新お疲れ様でした!
女神様のおかげで、ここ一週間スレをみるのが
いつもにも増して楽しみでした。

大将とエオメル王の関係が、だんだん抜き差しならなくなって
来た辺りから、萌え以上に息をのむような気持ちで、
見守らせていただいてました。
エオメルには悪いですが、いざとなって大将にリードされてる様や、
悪い言葉で言えばなんとかの一つ覚えのようなセリフの他には
言葉が出ない、余裕の無さには、微笑ましいものを感じましたが。
大将は、エオメルのそういう真っ直ぐなところが好きなのかもしれない、と
勝手に感じました。大将がはっきり好きだと意思表示をしているエオウィンと兄上も
性格はエオメルに通じるものがありますし。

大将がひとりで剣を振るってる場面が、いちばん好きでした。
大将の姿が目に浮かぶようでした。
いつも、文字から絵を頭に描くことは無いのですが、あの場面だけは
自分にも不思議なことに、例外でした。

今度はイムラヒル様あたりで、いかがですかとか<余計なお世話
最後に。たくさんの幸せをありがとうございました!!

85萌えの下なる名無しさん:2004/05/31(月) 23:13
>81様
私も昨日のうちに読み終わりましたが、
つまらない感想を書くのがもったいないように感じ、
今まで余韻を楽しんでおりました。
不器用でクソマジメなエオメルの
みっともない求愛ぶりが、なんともいとおしい。
大将の、年下の恋人に見せる思いやりも切ないですね。
年をとった二人は、このときのことをどんな風に
思い出すんだろう。

ともあれ、とてもさわやかで美しい作品
ありがとうございました。

8677:2004/06/01(火) 21:31
ど、どうもこんばんは、77です〜…。一度ROMると申し上げておきながら今ひとたび舞い戻って参りました…。
あ、あの、褒められ過ぎて、嬉しいのですが、すごく嬉しいのですが、同時に身の置き所が無い位かなりすごく恥ずかしいです、
色々お言葉をいただきながら申し訳有りません。
それで、スレ汚しご迷惑ついでに訂正したい箇所が一つあるのですが、いいでしょうか。
>>78の冒頭からです。

>エオメルはファラミアに向き合い、切り出した。
>「ファラミア、私は昨夜一晩中考えていた―」
>だがファラミアはエオメルを遮った。
>「エオメル、何も言うな。」
>ファラミアは言った。

上記の箇所を、

エオメルはファラミアに向き合い、切り出した。
「ファラミア、我々は、いや私は、あなたを諦めたくない。エオウィンを憎まぬために。」
ファラミアの返答を聞かず、エオメルは続けた。
「私は昨夜一晩中考えていた。あなたと私の事を考えていた。我々の間にある障害の事を考えていた。」
二人の心に、彼らが等しく愛しく思う女性の影が落ちた。
「あなたも気付いただろう。このままお互いを諦めたならば、我々はいつかエオウィンを憎む。彼女を愛しい妹、愛しい妻と思うのではなく、我々を引き裂いた憎い女と思うようになるのだ。いや、既にそう思い始めている。」
エオメルはうなだれた。金色の誇り高い頭が鈍くくすんだ。
「これほど恐ろしい事は無い。」
エオメルは言った。
「だがそれは彼女を体の良い口実にしているようにも思える。」
少しの沈黙の後、ファラミアは言った。
エオメルは答えた。
「そうかもしれない。それでも私は―」
だがファラミアはエオメルを遮った。
「エオメル、もう何も言うな。」
ファラミアは言った。

に直したいのですが、ど、どんなものかと…。
訂正部分は最初話がくどくなると思って削った部分なんですが、やっぱり必要な気がするので、追加修正していただきたいのです。
一度手放した物に手をつけるのもどうかと思ったのですが、ご、ごめんなさ…。
設置様、重ね重ね申し訳ありませんが、倉庫格納の際修正をお願い致します。
いつもいつもご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。すすすすいません本当に、正直に申し上げればファラメル/メルファラのあれは私です。
あ、あの、地獄のような改行とか改行とか改行とか・゚・(つД`)・゚・

実は、この場を借りて率直に言わせていただければ、このSSは一人の人のために書き始めた物で、その人がここを見ているかどうかはともかくとして、そうでなければ書かなかったというか、書けなかった話です。
かなり色々とツッコミ所のある話ですが、もう一度書けと言われても(言われないと思いますが)書けません。いえヘボい話なのは重々承知なんですが、自分の力量を遥かに超えていると思います。
とはいえ、子馬亭という場所が無ければこの話は決して産まれませんでした。
ここで、場所をいつまでもお借りしてご迷惑をお掛けしたお詫びと、暖かい言葉を下さった事にお礼を申し上げたいと思います。
では、なんだか物凄く恥ずかしいカキコをしているような気がしてきましたので、そろそろここら辺で…。今度はちゃんと消えます。
すみません、その前にマルチレスを。
>82様
あの、真剣に読んで下さって本当にありがとうございました。皆様の反応が不安だったので、すごく嬉しいです!本当に、暖かいお言葉に心慰められました。

>83様
も、萌えてくださいましたか…?そうだとしたら嬉しいのですが。ありがとうございます!

>84様
あのシーンは自分でも絵が浮かんで描いたものですので、ご好評いただけて嬉しいです。エオメルが格好良くならなかったのが我ながら悲しかったですだ。

>85様
う、さわやかで美しい話ですか…。高潔な彼らに非常に手前勝手な事やらせてしまいましたが、これで良かったのかどうか…。良いか悪いかと言われれば良くないんですが。いや自分でそんな事言っちゃいけませんな。
二人が年をとったら、ふとした折にきっと夢のように思い出すと思いますだよ。

では失礼します。色々と、本当にありがとうございましただ。((((((((((゚∀゚)/~ スササササササ

8777:2004/06/01(火) 21:33
勢いあまってageちまったですだ…申し訳ありませぬ orz
最後の最後まで格好悪…

88名無しの1:2004/06/02(水) 00:43
いきなり失礼します。
キャラスレとしては真っ先にお引っ越しして来たものの、内心では、全然人が
来なかったらどうしよう・・・とびくびくしておりました。が、そんな危惧も
どこへやら、という最近の盛況ぶり、嬉しい限りです。
それもこれも、次々素晴らしい萌えをご提供下さった女神様方のおかげです。
ありがとうございました。
現在、他スレもどんどんお引っ越ししていらして、新館の方も賑わうことと
思います。このスレも引き続き「多彩な萌え」を提供していきたいですね。

それにしても、マターリあいのりして来たレゴギムスレ、揃って到着の旅の
仲間たち、そしてどさくさに紛れてちゃっかり一番乗りしていたこのスレ・・・
と、何となく扱う対象を反映しているみたいなところが面白いですね(w
(ローハン勢はまだか!?)
では、またただの名無しに戻って応援させて頂きます。

89萌えの下なる名無しさん:2004/06/02(水) 01:17
>>88
同感です!わたしも嬉しい一人です。萌えは偉大です!
萌えの女神様や仲間の皆様が、こんなにいらっしゃるなんて、
なんて幸せなんだろうと思います。
ファラミア/エオメル女神様の作品が一段落して
寂しくて溜まらず、自分で自分を慰めてみたりです。

そんなものを投下させていただくのも恐縮ですが、
次なる女神様ご降臨までの、間つなぎにでもなれば幸いです。

<大将とその兄/しるけ皆無> 1/3

 白い都の夜が更けた。
 久方ぶりに顔を合わせた、もう若過ぎはしない兄弟は、連れだって片方の部屋に向かっていた。先を行く兄の後ろには、かれより多少背の高い弟が続く。部屋の主である弟が開いた扉を、当然のように兄はくぐり、自分のものならずとも勝手を知り尽くした部屋にしつらえられた長椅子に、迷わず腰を落ち着けた。兄の所作を見届けて、弟は静かに扉を閉めた。
 背の低い、小振りで重厚な長方形のテーブルを直角に挟んだ位置にある長椅子と同じ作りを持った一人がけの椅子に、部屋の主は場所を定めた。兄弟が顔を合わせる。どちらともなく笑いが漏らされた時、扉を叩く音がした。当然のように立ち上がったのは、弟の方だった。
 姿を現したのは、かれが用を頼んでいた使用人だった。弟−−ファラミアは、言いつけておいた物を受け取ると、給仕の任を果たそうとする使用人の耳に顔を寄せ、今日は、少々羽目を外すゆえ水入らずに頼む、と声を潜めて伝えた。思わず微笑を漏らした使用人を咎めることはせず、簡単に労をねぎらうと、ファラミアは、手にした銀の盆を心待ちにする人が待つ部屋に戻った。
 テーブルにファラミアが盆を乗せると、兄−−ボロミアは、長椅子の背に弛緩するように預けていた体を起こして、運ばれた物を覗き込んだ。弟は、その様が、いかにも兄らしすぎるためにこみ上げてきた笑いを、そのまま顔に乗せた。
 その表情は揶揄でも何でもなく、ただ、兄にとって喜ばしいものを目の前に差し出すことが出来た喜びの、素直な吐露に他ならなかった。ボロミアが、銀製品の上に鎮座した陶器製のピッチャーを手に取り、上から下から珍しいものを見るように眺め回すのに任せて、ファラミアは背の高いグラスを二つ、使用に丁度良く並べ、酒を注いだ。
 乾杯を言って、二人はグラスを合わせた。一息で飲めるだけの酒を喉に流した二人の口から、満足の溜息が漏らされた。
 気付けばボロミアの杯はとっくに空で、二杯目は自分で注ごうというのか、ピッチャーに手を伸ばした。いささか慌てたファラミアは、ボロミアの手を押しとどめた。
 ボロミアはファラミアの所作に構わず、笑うと、蒸留酒をあおった。
「火に出会えば、炎を上げるような酒でございますよ」
 自分の手にしたものを申し訳ばかりに舐めながら、念のためとファラミアは注意を促してみた。
「構わぬ」
 屈託無い笑いは、諌言にあまり注意を向けていない証拠だった。ただ、それで良いとファラミアは思う。ボロミアは、欲しいだけ飲んで、酔いたいように酔えば良い。大事には至らない。なぜなら、今、彼の隣には自分がいるのだから。
 そして、人の気を知ってか知らずか(知るわけはない)ボロミアは、お前ももっと飲め、と言い出した。
「ええ。頂いておりますよ」
 グラスを傾けてファラミアは中身を見せたが、ボロミアは納得しなかった。
 催促されたわけではないが、いつの間にか空になったボロミアのグラスに、ファラミアは酒を満たした。グラスに酒が入っているのは、少しの間だけだった。酒はみるみるボロミアの喉の奥に消えた。
 ファラミアも、飲酒が嫌いなわけでも、弱いわけでもなかった。ただ、ボロミアの機嫌のよい様を見る方が、自分が酒に酔うより、随分とファラミアの気分をよくするので、ファラミアはボロミアと共に杯を傾けるときは、酌に徹するのが習慣になっていた。
 羽目を外すのは、二人のうちの一人だけで十分だと、ファラミアは思っていた。
「二人揃いで正体をなくせば、誰が我らを介抱してくれるということもございません」
 自分と同じに飲ませようとする兄に対して、ファラミアが正論を吐くと、
「わたしがするとも。兄だからな」と、立派な言葉が返ってきた。

90萌えの下なる名無しさん:2004/06/02(水) 01:19
<大将とその兄/しるけ皆無> 2/3

 ボロミアは決して嘘つきではない。ただ、心がけだけではどうにもならない事態は、しばしば起こった。それを記憶しているのは、事によればファラミアだけなのかも知れなかったが。
 だから、ファラミアは、ボロミアがどんなに機嫌良くしていようとも、注意深い目を向けることを忘れなかった。
 気だるげに、長く肩につく髪をかき上げると、ボロミアは緩慢な動作で自分の背を長椅子に預けた。言った側からこれですか、とはファラミアは口にはしなかった。他人が見れば笑うかも知れないが、ファラミアは、不安にかられて椅子を立ち、長椅子の足下に膝をついてボロミアの顔を間近に見ようと覗き込んだ。ボロミアは、弟の行動を唐突だと感じたらしい。近づいた顔を初めは目を丸く、続いて面白そうに見ていたが、とうとう彼の方から顔を寄せて来たので、ファラミアは、面食らわされた。
「歌が聞きたい」
 と、気だるげにボロミアは言った。いきなり過ぎやしませんか、などと考えたところで詮無いことだった。酔っぱらいに理屈などない。酒好きな兄のおかげで、ファラミアはそれを早いうちから身をもって知っていた。
「歌がお好きだとは、ついぞ知りませんでしたが」
「お前の声は、耳に心地よい」
 ファラミアの髪に触れたたボロミアの手が、無意味に髪をかき回していく。
 こうしたときにいつもファラミアは、この人の中では自分はまだ、ただ構われたいがために姿を認めればまとわりつき、抱き上げられては高い声ではしゃぐ、小さな子どもなのだろうと思わされる。横幅はともかく、背はとっくに保護者然として振る舞う彼より少しばかり上回ってさえいるのだが、ボロミアはそれに、気付いているのかどうか怪しいものだと、ファラミアは思った。承知した上でかも知れないという、ふと浮かんだ嬉しくない想像を打ち消すように、ファラミアは首を振った。
「歌を」
 気だるげに長椅子に体を埋め、自分を促す兄の足のすぐ脇に、ファラミアは腰を下ろし、長椅子の背もたれと彼の体の間に片手を置いて、自分の体重を支えた。頬杖をつくように肘掛けに乗せた腕で頭を支えたボロミアの耳に、ファラミアは顔を近づけた。そして、囁くような密やかな声で、歌を紡いだ。
 よく聞けば、それは叶わぬ恋の歌だった。旋律に哀調はなく、ただ細く明るい。それだけに、悲しく響いた。目を閉じ、じっと黙して声に聞き入っていたボロミアが、僅かに顔を上げた。
「感傷的に過ぎぬか」
「いつぞや女官が口ずさんでおりました。私が一番最近に、耳にした歌でしたが。お気に召しませんでしたか」
「いや、いや」
 ボロミアが首を振った。
「堪能した。お前の声によく合う」
「感傷的だと」
「わたしは気に入った。それでは足りぬか?」
 ボロミアがまっすぐに顔を見るので、ファラミアは笑おうとしたが、何故か笑えなかった。
「足りぬなど、あろうはずがございません」
 赤みを帯びて見えるボロミアの額に、ファラミアは手を添えた。肌に触れた手の平が、熱を感じた。訳もなく、触れ続けてはいけないような気がして、ファラミアが手を引こうとしたとき、自分のものではない大きな手が、それを阻んだ。あまつさえ、額に押しつけるよう力を加えられた。その強さに、酔っぱらいとは、かくも容赦が無いものかとファラミアは思わされた。
「そのままに。冷たくて、ひどく心地よい」
 ボロミアが息をついた。彼の体に入った酒のにおいが、ファラミアの鼻をつくようだった。そして、額同様、息も熱を帯びているのが否応無くファラミアには感じられた。ファラミアは、困惑を、顔に出したのかどうか。力が抜けて長椅子に伸びた体を持て余したように、ボロミアがぽつりと呟いた。

91萌えの下なる名無しさん:2004/06/02(水) 01:22
<大将とその兄/しるけ皆無> 3/3

「酔った」
「そのようでございますな」
 ファラミアは、苦しく笑った。
「掛布を寄越すよう、言いつけてはくれぬか。部屋に戻るのが億劫でたまらぬ」
「頼めば飛んでくるでしょうが、側仕えの者も、既に休んでおりましょう」
 体をひねって小さなガラス器に水を取ると、ファラミアはそれをボロミアの口に運んだ。
「飲まれますように。多少は楽になります」
 頭を持ち上げるのさえもはや面倒なのか、ボロミアは差し出された器に手を添えることもなく、水が自分の口に注がれるのを待っていた。
 さて、どちらが子どもなのか、と頬がゆるむのを堪えて、ファラミアは求められるまま、そろそろと器を傾けてやった。ゆっくりと喉を上下させ、器を空っぽにしてしまうと、ボロミアは小さく息を吐いた。水を飲むには不自然な姿勢なため、唇の端から伝ってこぼれた水が作った筋を、ファラミアが指で残さず拭った。くすぐったかったのか、弟に面倒を見られているような状況を自覚して居心地が悪いのか、長椅子の上の体が、多少の身じろぎを見せた。ファラミアは、そろそろ本気でボロミアの体が心配になってきた。
「わたしの寝台でお休みになれば良いでしょう。億劫とはおっしゃいましたが、すぐそこです。手をお貸し致しますよ」
「億劫だ」
呟くのがやっとだとでも言いたげに、短く言葉を漏らすと、ボロミアは体を背もたれの側に向けてしまった。子どもですか、あなたは、と喉元まで出かけた言葉を、ファラミアは飲み込まなければならなかった。
「腰掛けなどで休まれたのでは、わたしの心が休まりません。まさか風邪など召されぬでしょうが、何事においても用心が肝要です」
 言葉に返事はなかったが、ボロミアの首が、こっくりと前に傾くのが見えた。
「お分かりいただけましたか。さあ」
 ファラミアの促しに、答えは依然として返らなかった。さりとて体も動かなかった。さてはと思い至ってファラミアが顔を覗くと、案の定、ボロミアは目を安らかに閉じて、寝息を立てていた。永遠に寝かして差し上げましょうかと、不穏な考えがファラミアの頭をよぎらないではなかったが、別に本気ではない。
「ボロミア」
 念のため、耳元に呼びかけてみた。大きく呼吸をしているが、ぴくりとも反応しない体に、ファラミアは仕方なく立ち上がった。
 申し訳程度の扉で隔てられた続き部屋は、自分の寝室になっていた。ファラミアは、使い慣れたそこに立ち入って、木綿で作られた白く、清潔で気持ちの良い厚手の掛布を選んで寝台から手早くはぎ取った。床に引きずってしまわないよう掛布は腕にたたみ込み、大股で、寝込んでしまった兄の元へファラミアは戻った。眠りを妨げないよう注意深く、その体を掛布で包んだ。場所はともかく、身体を保護するものものなく、ただ寝込むよりは随分良い状態だろうか。気休めかも知れないが、少しだけ気が軽くなったので、ファラミアは、少し口をつけただけで放っておかれたままだった酒を改めて手に取り、一息に空けた。視線を転じると、ただ、心を安んじて睡眠に身を任せるボロミアの姿があった。
 自分が、五つ年上の人間を、まるで子ども扱いしているのに気付かないまま、ファラミアは目を細めると、窮屈そうに足が投げられた長椅子の、彼の足の側に腰掛けた。目を覚まさないことを期待しつつ、意趣返しにと、ボロミアの髪に手を触れて、五本の指の間からさらさらと束をこぼすように梳いた。指の股をくすぐっていくような、その感触が無性に嬉しくて、飽きることなく同じ動作をファラミアは繰り返した。気のせいでなければ、忘れかけていたボロミアのにおいがした。自分の内のどこかが満たされるような気がして、ファラミアは知らず表情を緩め、熱をもった目覚めない体に頭を預けると、ファラミアも目を閉じた。
 
 ボロミアが歌を口ずさむなど滅多にない事だったが、その日からしばらく、一部の幸運な者は、世にも珍しいそれを耳にすることが出来たという。しかし、いつどこで覚えた歌なのか、歌った本人にもまるで分からなかった。ボロミアが何度それを尋ねても、ファラミアはただ笑うばかりだった。


 終わりです(汗) 兄上が子供ですみません。

92萌えの下なる名無しさん:2004/06/02(水) 06:57
>>89-91女神様
じんわり萌えるお話、ありがとうございます!
しるけ無しでも色気有り過ぎてどうにかなりそうですよこの兄弟ってば。
弟の前で酔っ払いで子供の兄上、面倒見のいい弟、素敵です!

新館になってからも次々とすばらしい女神様の降臨、
こんなに幸せでいいんでしょうか。この幸せを、
幸薄い大将本人に少しでも分けてあげたいくらいですw

93萌えの下なる名無しさん:2004/06/02(水) 22:28
>>89-91女神様
兄弟が髪を触り合うのが好き。と申し上げてよろしいでしょうか。
原作では黒髪の執政兄弟。映画では二人とも金髪で、兄はさらさら、
弟はふわふわ(くるくる?)って、キャラクターデザインとしては最強。
萌えろと言わんばかりだと思いますね(w

94萌えの下なる名無しさん:2004/06/03(木) 10:33
>92様、>93様
ご感想ありがとうございます。>89です。
兄弟は萌えツボです。
兄上好きな大将が萌えツボと申しましょうか。
多彩な萌えのどこにあっても、大将には兄上好きでいて欲しいとか。
自分語り入っちゃってもうしわけないです。
外見も性格も、似てないようで似てる…似てるようでやっぱり違う
などという兄弟の絶妙さには、萌えるしかなく。萌えまくりです。

>75様
超遅レスすみません。
夢枕に執政兄弟が立つなんて(違)、真剣にあやかりたいです。
勝手に萌えて、勝手に続きを書いてしまいました。
萌え話ではないのですが、おゆるしいただけるでしょうか…。

===
 ボロミアは、映画の内容を持ち出して切手から話を逸らしたついでに、
計算を続ける努力を放棄した。

>しかし、看板を見ると、どう見ても子供向けのアニメである……

 途端、ボロミアの目が輝いた。
 半端な額面の切手と格闘するファラミアをずずいと押しのけて、
ボロミアはチケット売り場の姐ちゃんと対峙した。
 いぶかるファラミアと姐ちゃんが見守る中、ボロミアは自分の懐に手を突っ込み、
窓口に一枚の紙片を突きだした。
「これで手を打たぬか」
 一見しても金目のものではないと分かるそれを、姐ちゃんは胡散臭げに眺めやった。
 彼女は渋々紙片を引き寄せた。と、その紙片が何であるのかを見て取るや否や、
目にもとまらぬ早業で自分の懐に押し込み、GJ!とばかりに、ウインクと共にボロミアに対し、
親指をぐっと立てて見せた。ボロミアも、同じ動作を返した。
「交渉成立。ゆくぞ」
 事の次第が飲み込めず、訝るファラミアの腕を引っ張って、
ボロミアは意気揚々と映画館に入場を決めた。
 暗がりの中でファラミアが見つけた席に二人で落ち着くと、
ファラミアは、いよいよ疑問を口にした。
「窓口係の豹変ぶりときたら! 
兄上は、一体いかなる魔法をお使いだったのです」
「言葉で説明出来ぬのが、魔法なのだ」
 決して口を割ろうとしないボロミアは、欲望が満たされてご満悦だった。
 ファラミアは引っかかりを拭いきれないものの、目的が達成されたことで納得することにした。
 
 魔法という名の取引に、ボロミアが誰にもいわず秘蔵しているファラミアを被写体とした
写真のコレクションから一枚が使われたことを、幸運にも、
ファラミアは知らない。

===
お目汚し失礼しました(汗)

95萌えの下なる名無しさん:2004/06/03(木) 16:43
>94様
兄君・・・ひどい・・・w
そうまでして見たかった映画って、いったい何だったんでしょうか?爆死版のアレ?
(あの映画に弟君が出ていたらどんなキャラデザだったのかと思うと、背筋が凍ります)

話は全然違いますが、デアゴの弟君フィギュアを入手しました。思ったよりはマシだった
のですが、でもやっぱりちょっと微妙・・・
兄君と並べて飾ってあげようかと思っていましたが、そっちがまた、兄君の中の人スレで
「一升瓶ラッパ呑みの酔っぱらいオヤジ」などと言われていたような代物で・・・
「こんなの兄上じゃない!」「私の弟はもっと美しい!」とか言い合いそうです(泣藁

9675:2004/06/03(木) 22:41
>89-91様
大将にとっては貴重な貴重な
「私だけの兄上」の時間ですね。
二人ともなにもせずともいるだけで色っぽいです。

>94様
いやー、あの後こんな展開になっていたのか。
もっとちゃんと夢を覚えていればよかった。
姐ちゃん、果報者や〜。
それにしても兄上、袖の下が必要な場面に
ぶちあたるたびに、「弟の秘蔵写真」をばらまいて
窮地を切り抜けていたのか。知らなかった。

でも、本当に一体なんのアニメだったんだろう。
藤子アニメ「ファラえもん ボロ太の大冒険」とか……。

97萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 00:18
>>96
>藤子アニメ「ファラえもん ボロ太の大冒険」とか……。

ファラえもんはボロ太が「たすけて〜」と叫んでもすぐには
助けてくれなそうだなぁ。w
「一体何故そのような状況になったのか、一度ご自分の胸に
聞いてみてはいかがですか?」とか言って。
でも結局最後にはブツブツ言いつつ助けてくれる。

98萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 01:18
>>96-97
で、ではライバルはジャイアラとスネレゴでしょうか((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ジャイアラに激しく言葉責めされる兄上を見かねて、言葉責めで応戦するファラエモソ。
それを楽しげにヲチするスネレゴ(・∀・)ミンナ ナカヨシダネ!

99萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 15:38
割り込みすみません。

>95様
怖いもの見たさでキャラデザだけでも、爆死版大将を拝みたかったです。
爆死版の続きは、もう出ないんでしょうね。残念です。

フィギュアご入手おめでとうございます!
ネットで見た限りではパッケージがよさげなだけに、
肝心のフィギュアが微妙だったというのは惜しいことです。
フィギュアは、小さいサイズの詰め合わせにしてくれれば良いのにと。
小さいものなら、多少作りが微妙でも仕方ないとか思えるので。

>96=74様
失礼千万はたらいた上、ご光臨までいただいて、
かたじけないです。

既に、74様の夢とは別物になり果ててるので、
先に謝罪させてください。
兄上は、外見内面ともに優秀な弟がさぞや自慢なのだろうと。
兄上が出す年賀状は(あれば)、弟の写真です。

さて、兄上は気づいてませんが、弟も兄上写真のコレクションを持っています。
兄上所有のコレクションは、微笑ましい画像ばかりですけども、
弟所有の兄上写真のコレクションは、人には見せられない感じで。
写真は門外不出で、その存在と共に墓の中まで大将が持って行きます。

気になるアニメですけども、
「ファラえもん〜」は、藤子映画の常として、
泣ける良い話に仕上がってと信じてます。
物語は、異世界での出会いと別れとか。<誰とですかと。
別れの辛さに大泣き&落ち込むボロ太を慰めるファラえもんの株は、
天井知らずに上がり放題です(という己の願望です)。
ファラえもんでなければ、
キテレツファラミアとボロ助で、大百科とか。
やなせたかしで、姉妹→兄弟変換して、
「ファランパンナちゃんと、ボロールパンナちゃん」とか。

…言い逃げ。

100萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 21:42
・・・そしてエオバーガーキッドと。


・・・・・・言い逃げ。


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