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ネタバレ@ファラミア/*  2

42萌えの下なる名無しさん:2004/05/25(火) 06:44
>>41の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り













「腹蔵なく申し上げると」ファラミアは言った。「私はあなたが気懸かりで。」
エオメルはファラミアの言葉を心底から意外に思った。
「何をです。」
ファラミアは躊躇いつつ答えた。
「あなたは親しい身内の方々を失われた。その上あなたの妹を私が奪ってしまう。どんなにか淋しい思いをなさるだろうと思うのです。心を許し合える人々がいないということに。肩を叩く手も無く、ほがらかな笑い声も聞こえず、きっと炉辺の火が消えたような気がなさるだろうと。」
エオメルはファラミアの言葉の中に憐れみを感じた。その憐れみはエオメルを慰めず、神経を逆撫でした。エオメルの心の中でくすぶっていた苛立ちが火種を得て燃え上がった。ファラミアに、この年上の男に思いのままに操られたことや、その無遠慮な態度が心に浮かんだ。だがエオメルは、ファラミアの言葉が的を射ている事を努めて無視しようとした。容易く情に動かされるなどということは、エオメルにとって恥辱に他ならなかった。
「侮らないでいただきたい。」
エオメルの声は雷のように轟いた。
「年少といえど女子供ではない。人恋しがって嘆くような真似などせぬ。あなたの兄上がどうだったか知らぬが、私に同じ情を押し付けないでいただきたい。」
エオメルの言葉を聞くにつれ、ファラミアの顔が青ざめていった。エオメルは息を呑んだ。いつも物静かで動じないと思われたファラミアの顔が、はっきりと苦痛の色を浮かべていた。エオメルは舌鋒の矛先を失い、ただ息を吐いた。ファラミアは身体の内からの苦痛をこらえるように歯を食いしばった。
「気分を害したならば、申し訳無い。決してあなたを侮辱するつもりなど無かった。私は私の事を言ったのだ、そしてもちろんあなたは私とは違う。恐れを知らぬエオルの子でおられる。」
ファラミアはうつむき、灯火が顔に深い陰を落とした。注意深く覆い隠されていた彼の悲しみが露わになった。
ファラミアは大きく息を吐いた。
「帰ります。もう夜も更けた。」
ファラミアは静かに席を立った。エオメルは何か声を掛けたいような気がしたが、どのような言葉もふさわしくないように思えた。
「このように仲違いをしたまま別れるのはあまりに惜しいが」
ファラミアは青ざめた顔に微笑を浮かべた。
「私も平静ではありませんので。」
扉が閉まった。エオメルは先程までの会話を一人反芻した。
割れんばかりに拳を打ち付けられた卓の上で二つの杯が騒々しく鳴った。


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