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ネタバレ@ファラミア/* 2
74
:
萌えの下なる名無しさん
:2004/05/29(土) 11:02
>>73
の続き
エオメル/ファラミア しるけ有り
ファラミアは失言に気が付いた。彼の顔色が変わった。
エオメルもまたそれに気が付いた。これまで起きた出来事の数々がエオメルの脳裏に甦った。諍いと、和解。朝日に照らされ、力無く悲しむ彼を美しいと思った事。差し伸べられた手。雨上がりの草地のような、清々しく甘い香り。彼の手首の感触。生き身の人間の暖かさ。
全てを反芻しエオメルは自分の衝動の意味とファラミアと彼の間に流れる感情の正体を悟った。
彼の顔にたちまちのうちに血が昇った。ファラミアは逃げ出したそうなそぶりを見せた。
「逃げないでください。」エオメルは言った。
「これでは堂々巡りだ。」
ファラミアは観念して目を閉じた。
「おっしゃる通りだ。」ファラミアは言った。
「だが、これでもうお分かりだろう。我々はこれ以上仲を深めてはならない。」
エオメルはファラミアの頬に手を伸ばした。ファラミアは今度は抵抗しなかった。ファラミアはエオメルの手の温もりを感じ、エオメルはファラミアの肌の暖かさを覚えた。
太陽は既に沈み、残照だけが空を赤く彩っていた。黄昏時の薄闇が彼らの姿を人目から覆い隠した。
エオメルの心に刺さった小さい棘がうずいた。
「エオウィンの事か。」エオメルは言った。
ファラミアの唇が震えた。
「そうです。」
「せめて我々は友になれまいか。」
「あなたはそれで良くても、私は。」
ファラミアは目を開けてエオメルを見た。
「どうしてあなたを好きにならずにいられるだろう。」
ファラミアは優しくエオメルの手を外した。
「先ほど私はセオデン王の事を太陽のようだと申し上げた。」
ファラミアは言った。
「あなたも同じだ。あなたは光り輝いている。」
エオメルは何も答えられなかった。
ファラミアは言った。
「この事は忘れてください。私ももう申しますまい。そして新しい親族としての私を迎え入れて下さればいい。私自身ではなく。」
ファラミアはエオメルをやんわりと押し退けて部屋に入り、戸を閉めた。
扉を挟んだ両側で、彼らはしばらく立ち尽くしていた。
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