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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

31明神 ◆9EasXbvg42:2019/10/07(月) 01:29:49
「兵力も、物資も、何もかもが圧倒的に不利。どんだけ士気が上がったって、人間の体力には限りがある。
 下で楽しそうにライブの感想言い合ってる連中も、もうだいぶ限界が来てるんだろうぜ。
 マホたん氏もそのあたりは分かっておられよう」

ライブでの熱狂は、マホたんのサービス精神旺盛なパフォーマンスだけが理由じゃあるまい。
いやマホたんが今世紀最高にして最強のVtuberだってことには疑いはないけど、それだけじゃない。

みんな、何かに身を委ねて、絶望を忘れないとやっていけなかったんだ。
直視するには過酷過ぎる現実が、この壁の向こうには広がっている。

「……燃えるじゃねえか。燃え燃えキュンだぜ。こういう局面を、俺達は何度も覆してきたんだ。
 課金額の多さでイキってやがるクソったれのシャッチョサンを、ぶっ飛ばしてやろう。
 札束よりも拳でぶん殴られたほうが痛いってことを思い知らせてやるぜ」

俺の後ろでは剥がしたカザハ君とエンバースが今後の方針を話し合っていた。
つっても、カザハ君が出した案をエンバースが切って捨てるだけのいつもの光景だ。
こいつほんとこういうときだけイキキしてるよな……。

>『エンバースさん、うまく敵をおびき寄せるにはどんなのを出せばいいと思う?』
>「さあな。大きく白旗でも上げれば、様子を見に来るんじゃないか。そんな事より――マホたん」

議論を思いっきり投げ捨てて、エンバースはマホたんに一歩にじり寄った。
……と思ったらこいつ何しよん!!!マホたんの肩掴みやがった!!!

>「俺を見てくれ。この顔に見覚えはないか?以前、どこかで会った事は?」

「てめっこのっピンチケ野郎(クソガキ的な意味)がぁぁぁぁぁ!!何マホたん氏に接触してんだ!!
 城壁はナンパをするところでは御座らんぞ!!!!」

唐突に直結厨と化したエンバースを剥がすべく俺がダッシュするより先に、
マホたんの左手が閃いた。エンバースの腕を打撃し、戒めを解いてバランスを崩す。

>『――ごめんなさい』

ドゴォ!とおおよそマホたんの細腕から想像もつかない音が響いて、焼死体は宙を舞った。
そのまま城壁から中庭へ20メートルの距離を自由落下していく。
地面とぶつかる音が聞こえるその時まで、俺は理想に殉じたエンバースに黙祷を捧げた。

うひゃひゃひゃ、ざまあみやがれ。
まぁ元から死んでるしこれ以上死にはしねえだろ。

「えー……なんというかその、うちの焼死体がとんだご無礼を……。
 あの子ゾンビだから本能的に人を襲っちゃうだけで悪い子じゃないんですよマジマジ」

しかしあいつ、マホたんとどっかで会ったことでもあんのか?
Vtuberとリアルで対面する機会なんてあるわけがねえ。
典型的なナンパの口上でないなら、あいつもループの記憶が戻って来てるのかね。

「それはそれとしてマホたん氏、サ、サインとかもらっていいですかね……?
 えーと色紙、色紙はないから……ふひっ、このネクタイに!『俊之くんへ』って入れてもらって!」

マホたんからサインを入れてもらったネクタイをウキウキ気分で身につけて、
俺は気合を入れ直した。デュフフ……最高だ……世界救い終わったら額縁に入れて家宝にしよう。

「まだ『ルール』の説明も聞いてないし、焼死体を引き上げながら話そうか。
 あいつの耳が頭部ごと吹っ飛んでなけりゃの話だけど」


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