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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章

17embers ◆5WH73DXszU:2019/10/03(木) 06:25:44
【メモリータクシス(Ⅲ)】

やがて音楽が鳴り止むと、焼死体は防壁から降りて一行と合流する。

『はいどうもぉ〜! というわけで、ユメミマホロなんですけれども。
 今日はな、なんと! この生配信に特別ゲストが来てくださってまぁ〜す! ご紹介しましょう!
 地球からいらした『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の皆さんで〜す! はい拍手拍手〜!』

『うおおおおおおおおおおおおおお!!』
『マホたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!』
『神増援キタ――――――――――――――――!!!』

今後の方針に関する合議の承諾を得て案内されたのは、硝子張りの見世物小屋だった。
蛍光色のソプラノ・ボイスが、焼け落ちた肉体の空洞に鮮烈に響く。
焼死体は狩装束のフードを掴んで、強く下に引いた。

『よく見たら、あのテレビでおなじみイケメン自衛官! ジョンさんまでいらっしゃるじゃないですかやった―――――!!
 イケメンマッチョとかぶっちゃけどストライクです! あとでサインくださいキャ―――――☆彡
 あとはキャワイイシルヴェストルちゃんと、フロム臭半端ない狩人さんと、あと……なろう系主人公っぽいお兄さんでーす!』

「よしてくれ。左腕を失う予定も、ナメクジになる予定もない。果たすべき使命なら――最近見つけたけどな」

『おっと、ついつい久しぶりのゲストってことでテンションが……いけないいけない、フフ……。
 それはともかく、援護に来てくれたのは心強いですね! ありがとうございます! これで勝つる!』

『えと……。ユメミマホロさんは――』
『マホたんでいいですよ〜! あたしと月子先生の仲じゃないですかぁ!』 

「マホたん。気が滅入るのは分かるが、そろそろ戦局について――聞いちゃいないな」

『えぇ〜……。マ、マホたんは、今までどうやってニヴルヘイムの大軍に抵抗してたんですか?
 わたしたち、アコライト外郭は明日をも知れない状態って聞いてきたんですけど、全然違うし……。
 籠城って言うと普通は食べ物だって満足に食べられないだろうし、医療器具も……』
『え。別に?』
『え』

「ヴァルキュリアのスキル構成なら、デバフ対策は容易だろう。兵糧は――」

『食糧については心配なかったですよ〜?
 敵がね〜。ワニとかトカゲとか、そういう爬虫類系なんですよね〜。それ捕って食べてましたし』

「――まぁ、その、なんだ。意外とイケるから心配いらないさ」

『え〜と、『ムシャクシャしたんでバジリスクをムシャムシャしてみた』とか。
 『ヒュドラで燻製肉作ってみた』とか。いくつか配信もしましたよ。
 あんまり登録者数稼げませんでしたけどね〜』

「放送事故にならずに済んだだけ、幸運だと思うけどな」

『まっ! とにかく、ようこそいらっしゃいました! 歓迎しますよ〜。
 今日は大した襲撃もないと思いますし、何もないところですけどゆっくりしてって下さい。
 明日から劣勢を挽回する作戦を考えていきましょう!』

「明日から、か。なるほど――今日この配信に巻き込まれたのは、単なる交通事故として処理される訳だ」

『はい! よろしくお願いします、マホたん!
 あ、ところで――』
『マホたんのマスター。『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はどこにいるんですか? 中の人っていうか――』

「確かに、到着予定時間を伝えていなかったのは、こちらの落ち度だ。
 だが、それにしたっていい加減、身支度が済んでもいい頃合い――」

ユメミマホロのマスターは、女性である――焼死体の推察。
根拠――彼女のブレモンに対する、強い熱意/深い造詣/高い実力。
全てを兼ね備えた女性声優が実在、抜擢/或いは育成されたとは考え難い。

元からそうであったと考える方が妥当性が高い――

『……中の人などいない』
『あっ、ハイ……』

「なるほど、スピリット属なら生理現象とも無縁だろうしな。理想的なアイドル体質――」

焼死体の戯言は、聖威を伴う眼光によって封殺された。


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