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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
132
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2019/11/14(木) 21:56:35
ガゴンッ!!
「う、うわっ!」
突然、大きく客車が揺れる。思わず、なゆたは近くにいたエンバースにしがみついた。
どうやらトカゲたちが客車の側面や屋根に張り付いたらしい。
魔法機関車は頑丈な装甲を施されており、ちょっとの衝撃や攻撃ではびくともしない。
とはいえ、このままトカゲたちを張り付かせたままで走行はできないだろう。
しかし、バロールはそれも織り込み済みだったらしい。スマホからバロールの陽気な声が聞こえてきた。
「ちょっとゴミ掃除をしなくちゃいけないかな? では、みんな手近なものにしっかり掴まっていてくれたまえ!
そぉーれっ! 360度ループコースターだ!」
「えっ!? ちょ、バロー……」
ぎゅうんっ!
バロールは歩廊で大きく両腕を振り上げると、ぐるんと空に一回転の軌跡を描いた。
と同時、魔法機関車のレールも空中に大きなループを作る。
「ひゃあああああああああああああ!!!??」
まるでジェットコースターだ。それを何十トンもある機関車でやっている。まさに桁違いの魔力と言うしかない。
なゆたはもう一度思い切りエンバースに抱きついた。
空中で一回転し、張り付いたトカゲたちを振り払うと、さらに魔法機関車は帝龍の本拠地へ突き進む。
「……あ……、ごめん……」
知らず知らずのうちにエンバースにしがみついていたなゆたは、微かに頬を赤らめながら慌てて離れた。
*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*-+-*
同時刻、帝龍の本陣ではニヴルヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』・煌帝龍が優雅に飲茶を楽しんでいた。
正午になると同時にリキャストした『進撃する破壊者(アポリオン・アヴァンツァーレ)』を発動させ、マホロたちを怯えさせる。
それから勝者の愉悦に浸って午睡を取る、というのが帝龍の日課であった。
《そちらにアルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』どもが行ったらしいな》
天幕に運び込んだ、豪奢なテーブルに置いてあるスマートフォンから声がする。
凶魔将軍イブリースの声だ。ニヴルヘイムから交信しているのだろう。
どこか咎めるような、威圧的なイブリースの声音に、茶碗を持っていた帝龍は露骨に不快げな表情を浮かべた。
「だからどうしたアル? あんな雑魚どもが来たところで、ワタシの勝利は微塵も揺るがないアル。
せいぜい、一日や二日降伏する時間が伸びただけアル。ガタガタ騒ぐんじゃないアルヨ」
《油断をするな。その『異邦の魔物使い(ブレイブ)』どもに、ミハエル・シュヴァルツァーは後れを取っている》
「ハ! ミハエル・シュヴァルツァー? あいつは所詮、大会ルールでしか勝てないお坊ちゃんアル。
現実のアルフヘイムで負けるのも当然アルヨ。ここで強いのは、ルールを熟知している者ではないアル。
どれだけ横紙破りができるか……他人の度肝を抜けるか、アルヨ。ワタシのように……ネ。
世界大会では確かに後れを取ったアルが、こっちで戦えばワタシが確実に勝つアルネ。
こっちでは、大会使用禁止カードも使い放題アルからネ……くふふッ!」
口角に薄い笑みを浮かべながらスマホを手に取り、『進撃する破壊者(アポリオン・アヴァンツァーレ)』のカードを見る。
凶悪な効力から世界大会では禁止カード扱いされているものも、この世界では遠慮なく使用することができる。
ミハエルの強力なパートナーモンスター『堕天使(ゲファレナー・エンゲル)』も、無数の蝗の前には無力だろう。
「ワタシにとって勝利とは当然の仕儀。大事なのはその手段、勝ち方アル。
ワタシの力の圧倒的なところを見せつけ、心を完膚なきまでにへし折る!
そうしてこそ、愚かな下級国民どもはワタシのような上級国民を崇め、奉る気持ちになるアル!
ワタシのやり方に口は出させないアルヨ、イブリース。黙って勝利の報告だけ待っているヨロシ」
《……そうか。ならば何も言うまい。貴様のやり方で見事、アルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を倒してみろ。
吉報を期待している……しくじるな》
「フン」
イブリースが通信を切ると、帝龍はつまらなそうに鼻を鳴らした。
「余計な口出しを……。せっかくの飲茶がまずくなったアル。
おい、さっさとお茶を淹れ直――」
「ご注進! ご注進ー!」
帝龍が近くの兵士に新しいお茶を注文しようとしたところ、物見が息せき切って帝龍のいる本陣天幕に入ってきた。
「騒がしいアル。ワタシは今、機嫌が悪いアルネ……吊るすアルヨ?」
「もっ、申し訳ございません! しかし、異常事態が発生しておりまして……」
「異常事態? ……言ってみろアル」
「はっ! 申し上げます、つい先ほどからこの平原一体に濃霧が発生しており――」
「濃霧……?」
物見の報告に、帝龍は胡乱な表情を浮かべた。
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