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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第100話

1名無しさん@魔法少女:2009/08/05(水) 20:14:08 ID:7A.0xa9.
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1243670352/

418ナイトクルーズ後編6/14:2009/09/08(火) 00:25:59 ID:2z1qXFXk
車はサイレンこそ鳴らさないものの、回転灯をつけて夜の廃棄都市区画を駆けて行く。
しかし廃棄都市区画のとある場所に入った途端、車のスピードを落とし回転灯の明かりを消した。


「もしかしてここって・・・あそこっスか?」
「コンプトンハイツだ。ここを通らないと遠回りに迂回しなきゃいけなくなるからな」


車両銃窃盗、強盗、B,C級違法ロストロギアの売買。クラナガンの廃棄都市区画のスラムでも5本の指に入るくらい治安の悪い区画
である。


しかも、2年前にリトル・ジョン(名称不明)という廃棄都市区画出身の非魔導師の少年やミッドチルダ市民が、管理局魔導師と違法
魔導師との戦闘に巻き込まれて死傷する事件が起きた。しかし重体で生きていたにも関わらず災害担当部の救助隊員は軽症のミッド
チルダ市民の救助を優先した為に死亡した。


また、本局の査察官は被害者は戸籍の無い、違法移民な黒人系犯罪者(=ストリートチルドレン)であるとの理由で、戦闘を行った
空戦魔導師を甘い口頭注意処分としたことから暴動が発生し、その中心地となった場所でもある。


よって住民の多くは管理局員や警ら隊員に恨みを持つ。
「普段は真昼間でも空戦魔導師の上空援護と、陸戦魔導師や重武装の警らが装甲車で乗り付けなきゃいけないところっスよ!」


赤髪の融合騎は回転灯を消した事にあわてた。
「おい、何で赤い光を消すんだよ!?旦那が持たないかもしれないだろ!?早くそいつを付けろよ!」
「あっ!バカ!?」


赤い融合騎は警ら隊員が制止するのを聞かずに回転灯をつけた。
そうすると、回転灯の光に気づき、警ら隊の眼の前に黒人の若者達が集まり始める。


黒人の若者らはニット帽やバンダナにピアス、タンクトップやパーカー、ボロボロのジーンズにカーゴパンツと服装はバラバラだが、首筋に
タトゥーを入れており、ホルスターもつけずにズボンのベルトに各々実弾型デバイスを抜き身のまま無造作に突っ込んでいる。


「見ろよ、警らの連中だぜ。俺達のシマに乗り込んできやがった」
「首都防空隊の白ブタ共はいねえ!ヤッちまえ!」


一人の黒人がそう言うと車にむけて実弾型デバイスを発砲した。

「ちっ、みんな伏せろ!」
そう言って、初老の警ら隊員は伏せながら車を急発進させた。


「あわわわわ!」
赤髪の融合騎は車のシートを回転しながら眼を回して転げた。


「逃がすんじゃねえ!」
かけ超と共に、目の前を大きなトラックがとまり前方をふさぎ、急ブレーキをかけた。
途端に追い込まれ、車に容赦ない実弾型デバイスの発砲が加えられた。

419ナイトクルーズ後編7/14:2009/09/08(火) 00:27:45 ID:2z1qXFXk
しかし、車に鉛弾が穴を開ける金属音はまるで聞こえなかった。
すると鉛玉は黒紫の魔力光に覆われ空中に静止している。


警ら隊員2人が後ろを振り向くと、紫の髪の少女が目の前に手をかざしている。
グローブ型のブーストデバイスのクリスタルには“Protection”という行使魔法の文字が浮かび上がっている。


そして、魔力光を失った弾は豆みたいにパラパラと地面に落ちた。
「(これが、魔導師の力・・・!?でも、無数の実弾型デバイスを瞬時に防御するなんてこいつは一体?)」
少女の魔導師としての力を間近で見て若い警ら隊員は、驚いた。


実弾型デバイスが効かずにあわてていた者達をのけるように、黒人中年の男が現れた。
しかし、若者らと雰囲気が大きく違う。

BMGが買えるくらいの高級ブランドスーツに、夜にもかかわらずレイバンをつけていた。
周りの反応から、若者らと一線を画す凄みがあった。


しかも手には質量兵器の中でも違法ギリギリといわれるRPG型スティンガーを持っている。


「お嬢ちゃん、あんたが強いのはわかるが手出さないでくれ。俺に何か合ったら、俺達が行こうとしていたところへ転送魔法で逃げる
んだ。わかったな」



初老の警ら隊員はそういって転送先の座標を少女に教えると観念したかのように、車を降りた。
若者達は初老の警ら隊員に発砲しようとするが、中年の黒人はそれを制した。


「レイモンドすまねえ。アンタのシマで騒ぎを起こしちまった」

「アンタの?ここはオレのシマじゃねえ。オレ達のシマだ。デバイスぶっ放して“お話”する魔導師連中と違って、警らは、特にあんた
はもう少し賢いと思ってたんだがな」
「ケガ人を乗せててな。医療センターには連れて行けない。あんたらも世話になっただろうが、婆さんのところに行こうとしてあせっち
まったんだ」


「・・・理由はわかった。ケガ人ならしょうがねえと思うが、オレ達にもメンツってものがある。何かを要求する場合はパーターが
必要なんだよ」
そう言って中年の黒人はスーツから実弾型デバイスを抜いて初老の警ら隊員の頭に当てた。



「・・・」
夜の廃墟ビル街に不気味な沈黙がながれた。



「あんたはリトル・ジョン、いや俺たちにとってはロドニーっていう立派な名前があったんだ。廃棄都市区画のビル裏に放り去られ
てたあいつの遺体をちゃんと埋葬してくれた」
「・・・」
「誰にも気づかれずに忘れ去られて死んじまったあいつを、おれ達の心の中で生き返らせてくれた」



黒人の中年男性は実弾型デバイスのハンマーをゆっくりと外して、デバイスで車を指差した。
「行けよ。オレ達の気の変わらないうちに」

420ナイトクルーズ後編8/14:2009/09/08(火) 00:30:09 ID:2z1qXFXk
車はコンプトンハイツを通り抜け、車はどんどん北へと進んでいった。
「さっきは、その、ゴメン・・・あたしのせいで死ぬところで」

赤髪の融合騎は申し訳なさそうに泣いて言った。
初老の警ら隊員はそれをなだめる。

「あんまり気にするな。ここじゃ日常茶飯事だ。それに騎士の旦那のことが本当に心配だったんだろ?」
「あ、ああ。旦那はあたしの命の恩人だから」


そうしているとススだらけのビルに囲まれた通りが一気に開け、森に囲まれた小さな街が現れた。
さっきまでの空を覆い隠していた廃墟のコンクリートジャングルや汚い路地裏と大違いである。


粗末な作りだが、がっしりしており年代を感じさせた。
そして奥に、木造の古い建物が建っている。


車は森の手前で止まった。
初老の警ら隊員が、振り返って言った。

「着いたぜ。クラナガンのアルハザードへ・・・」



若者の警ら隊員は先に降りて、木造の建物の前のドラム缶で暖をとっていたホームレス達に自分達の車を指差して話しかける。
そうしていると、包帯を巻いた仲間が建物の中から現れ、ドラム缶で暖をとっていたホームレス達は担架にのせ始めた。


その様子をみて若い警ら隊員は自分の財布から何枚か、紙幣をぬいてホームレスに渡した。
しかし、ホームレスはそれを受け取らずに、丁寧に謝辞をのべて暗闇の中に消えていった。


若い警ら隊員は何ともいえない顔で戻ってきた。
「あいつら・・・薄給の公務員がせっかく出してやるって言ったのに」
「奴さん達にも“地上本部”の世話になってないっていう自負心があるんだろ」


初老の警ら隊員は説明する。
「ああやって話して仁義きっとかないと、警らの車だろうが、陸士のヘリだろうが関係なく片っ端から持って行って、ナット一本まで
きっちり売られちまうんだ」


初老の警ら隊員は車から降りて後部座席のドアを開けた。
「付いて来な。いくらお嬢ちゃんがとんでもなく強い魔導師だとしても、こんな場所に小さい子供を一人にはできんしな」

そうして戻ってきた若い警ら隊員と2人で騎士をまた抱きかかえると、古い建物に向かって歩いていった。


「ここは・・・いったいどこだ?」
騎士はあたりをみわたした。
「廃棄都市区画の端っぽ、まさにクラナガンのアルハザードさ」



扉を開けると、老朽化で破損したステンドグラス、そして雨漏りが座席に水溜りをつくっている。
どうやら破棄された聖王教会跡らしい。


「4年前に近くの臨海空港を中心にして大火災になっちまってな。そのとばっちりを、ここら辺は見事にうけちまったのさ」

421ナイトクルーズ後編9/14:2009/09/08(火) 00:30:49 ID:2z1qXFXk
クラナガンの旧市街、かつてそう呼ばれた場所であった。
古代ベルカの戦乱からミッドチルダの住民文化を連綿と受け継ぎ、旧暦の頃から低所得者層が静かに暮らしてきた場所であった。


街の上にも聖王教会の礼拝堂があり、人々はそこを中心に生活していた。
しかし、次元世界の政治・経済の中心地になるにつれ、それに伴い港湾区沿いの平野部をクラナガンの中央区画として開発・拡大
するにつれて新たな問題が発生した。


人口の増加による犯罪率の上昇が問題となったのだ。
そのため犯罪率を低下させて市民の支持を上げようと考えた地上本部は“分母を減らす”作戦に出た。


廃棄都市区画化である。


犯罪の高い地域を違法居住地として、電気、水道、道路整備のインフラや災害担当課、警ら隊員の巡回や陸士部隊の保護をさせない
ことでミッドチルダから“消した”のだ。



中央区画から離れているため地価の安い旧市街は貧困層が多く住み、犯罪は多い方だったが、車両窃盗やケンカといった軽犯罪が
ほとんどであり、魔導師や機械兵器によるテロ・大量殺傷、ロストロギアによる都市崩壊など重犯罪とは無縁の場所であった。


更に、昔ながらの建物もおおく、長い歴史を感じさせる古き良き街並みを残す建造物も多いため地上本部としてはなかなか『廃棄都市
区画化』できなかったのだ。


しかし、近隣の臨海空港が謎の火災に見舞われたことで状況が一変した。



『ミッドチルダの市民の安全と地上の防衛強化のために、災害により多大な被害を受けたのを期に旧市街を廃棄都市区画として
隔離し、住民を強制退去とする』


管理局の災害担当課は臨海空港の被害エリアを拡大させ、隣接する旧市街も対象としてしまったのだ。


最初はここの住民も地上本部のこの方針に反発した。


しかし、旧市街とは無縁の中央区画に住む大半の市民は犯罪地区の排除を支持し、地上本部による強制執行により追い立てられ、次第に
この旧市街は忘れ去られていった。
「おおかたゲイズ防衛長官に犯罪率低下を報告して、ポイントを稼ごうとした人間の入れ知恵だろ」

422ナイトクルーズ後編10/14:2009/09/08(火) 00:31:21 ID:2z1qXFXk
「すまんな。あんたらには関係の無い話だったか」

騎士は驚いているようだった。
「ミッドチルダにこんな場所があったとは・・・」


「あんた、本局か首都防空隊の人間か?」
「・・・」
「ここを知らないってことは、管轄にしてないってことだからな・・・この旧市街はたまにこうやって巡回に来てるのさ」
「毎度毎度巡回してもミッドチルダの防衛向上や犯罪率低下の役にはたたないですけどね」

「・・・それなら、犯罪が低下しないのに何故クルーズ(巡回)を続ける?」



「場所がスラムだろうと、犯罪者であろうとクラナガンに住んでるヤツがいれば俺はそいつらを守る義務がある。確かに防空隊や
陸士部隊ほど大した事ができるわけでもないがな」


「・・・」
そうして初老の警ら隊員は奥の扉をノックした。



「ばあさん!!いるんだろ?」
しかし、返事は無い。


「俺だ。クラナガンの愛と平和を守る“偽善者”だ!」
「・・・」

そうすると音もなく、扉が開く。
すると、出あったばかりの少女と同じようにローブですっぽりかぶった老婆が出てきた。


「夜遅くすまないな。こいつを手当てしてやってくれないか?」

「さっきここから出て行くもの達を見たじゃろ?ずっと起きてたわ。でも“偽善者”の頼みなら断れまいて・・・」
老婆は干からびた手で、騎士の甲冑にさわっていく。


その間に若い警ら隊員は少女に説明した。

「さっきも言ったとおり、ここらに住む連中は低所得すぎて社会保障番号や保険証がなくてな、医療センターに行く代わりに、ここの
教会跡に住んでる婆さんの世話になってるんだよな」


少女は教会の周辺に出てきたホームレス達がケガをしていた仲間を連れて、帰っていく様を思い出した。


「もともとは、聖王さんの御殿医が先祖だって噂だが、そんなのどうでも良くなるくらいに、かなりのブラックジャック
なんだぜ。基本、安いだけが取り柄の後発ドラッグや野草で作った怪しい薬湯を使うんだけどな」

423ナイトクルーズ後編11/14:2009/09/08(火) 00:32:53 ID:2z1qXFXk
「お主・・・まさか・・・」
騎士を見ていた老婆は、少し驚き。声をこわばらせた。
そして2人の警ら隊員に言う。



「この方を奥のベッドへ運んだら、皆は出ておくれ」
狼狽する老婆の様子を珍しいと思いながら、警ら隊員は騎士を寝かせて少女を伴って部屋を後にした。



「お主・・・“生きて”いるのか?」
老婆は驚いて聞いた。


騎士は看破した老婆に驚きながらも、静かにこたえた。
「レリック・・・そう言えばわかるだろ?」
「・・・う〜む」

老婆は納得したようだが、うめいた。
「聖王の血族ではない、そなたが使うのはかなりの代償。死以上の苦痛しか伴わないものじゃ・・・」


「よくわかっている。しかし、自分で選び受け入れた道だ」

オーバードライブをすると、身体中に走る激痛。
しかし、それによって手に入れた力も生前の自分に比べたらとんでもないものであった。


そして老婆は静かに薬湯を作り始める。
「これを飲めば一時的だが、痛みがやわらぐはずじゃ。すまないが寿命のほうはどうにもならん」



騎士は何も言わずに薬湯を飲み干した。さっきまでの激痛が若干収まり、ベッドから立ち上がった。
「レリックを使いし者に会えたのも何かの縁。また、具合が悪くなれば薬湯を作ってやろう」
「感謝する」

「礼なら、そなたをつれてきた者に言うが良い」


「俺がこれないときは、そこに隠れてる融合騎をよこす。薬湯の材料をそいつにわたしてほしい」
薬ビンの陰に隠れてた赤髪の融合騎がおずおずと出てきた。
「さっき一緒に出て行くよう言ったはずだ」



「大丈夫だよ。それより・・・旦那がどうしても心配で」
「俺のことはいい。あいつの事を心配してやってくれ。今のあいつにはお前と召喚虫しかいないんだ」


赤髪の融合騎はそんなこと言うなよ!とでも言いたそうな非常に悲しい眼をしたが、小さな声でつぶやいた。
「・・・わかった」
そうして二人して扉へ向かおうとする背中に老婆は問いかけた。


「“死者”よ・・・そこまでして何故生きる?」
「俺には、まだやるべきことがある」

そう言って振り返った。騎士の眼には、力強い信念が宿っていた。

424ナイトクルーズ後編12/14:2009/09/08(火) 00:33:26 ID:2z1qXFXk
少女は廃教会から少し離れた丘に立っていた。
丘陵地帯である旧市街の廃棄都市区画のため、ここからクラナガンの中央市街、地上本部、港湾地区まで一望できた。


雨雲は完全に晴れており空に輝く2つの月や星、そして地上からの高層ビル群の照明やスポットライトでライトグリーンに輝いていた。


「きれいだろ?ここには電気が来ないから月明かりが頼りなのさ。余計にクラナガンが栄えて見える」
初老の警ら隊員は、少女の横に並んで話しかけた。
「大丈夫だ。あんな立派な騎士の旦那だ。すぐに良くなる」



「・・・どうして」
「んっ?」


「どうして、私達を助けてくれるの?」
少女がしゃべったことに初老の警ら隊員は驚いた。今までずっと行動していながら初めて声を聞いたからだ。



「騎士の旦那が負傷していたって事もあったが・・・」


初老の警ら隊員は少し考えてから答えた。
「さっき言ったよな。廃棄都市区画は中央区画から忘れさられた街だって。お嬢ちゃんの眼がどうにもこの街とダブっちまってな。
何も感じさせないこの世に存在しているのかわからなくなるくらい儚い眼がな・・・」


「私は、この街みたいに忘れ去られてしまうってこと?」
「俺は忘れないぜ」

「こんな廃棄都市区画だって生きているヤツらがいる。そんなヤツら俺は簡単には忘れたくない。暗闇みたいに汚い部分もあるが、
クラナガンを俺は気に入ってるのさ。だからお嬢ちゃんのためにも何かしてやりたかった」



警ら隊員がそう言って少女を見下ろした。
「ハハ、余計なおせっかいだったかな?」


2人がいなくなったら私はもう一人になるだから、誰にも知られなくていいと思ってた。
空っぽの心は誰からも忘れ去られても痛まないと思ってた。


少女はそう思い、初老の警ら隊員を見上げた。
「・・・でも、そんな私にも忘れないってあなたは言ってくれた」


儚げな雰囲気は変わらずであったが、少女は優しい眼差しであった。

425ナイトクルーズ後編13/14:2009/09/08(火) 00:34:27 ID:2z1qXFXk
若い警ら隊員が、騎士と融合騎を伴って二人の側に来た。


「婆さんの薬湯、たまには効果あるみたいっスね。騎士の旦那の具合も良くなったみたいっス!」
「そうか!良かった。お嬢ちゃん騎士の旦那の具合が・・・」


初老の警ら隊員はそう言いかけたが、自分達の周りに黄金色の蝶がチラチラ飛んでいるのが眼に止まった。
それも1羽ではない。丘の周囲をたくさんの蝶が舞った。


黒人の初老の警ら隊員は少女の周りに正方形の魔法陣が展開されているのを見た。
彼女が召喚魔法を行使していた。


少女に話しかけようとしたが、何故か蝶を追わずにいられなかった。
若い警ら隊員が、草原の上に倒れた。


「き、きれい・・・だ・・・」
夜空に舞う蝶を見て、初老の警ら隊員はうつろな眼でそう言って倒れてしまった。



赤髪の融合騎は少女に話しかけた。
「こいつら殺しちゃったのか?」

少女はかぶりを振った。
「殺してない。記憶の忘却効果を持った虫を召喚しただけ」

それに対して融合騎はほっとした。
目的を達成する必要があったが、召喚師の少女にはできるだけ人を殺めたり傷つけるという行為を、あまりしてほしくなかったからだ。
「そうか、しょうがないとしてもせめてドーナッツとコーヒーのお礼言えなかったな」

騎士は融合騎に向かって言った。
「“忘れてしまった者”に対して礼を言っても意味が無い」



「2人とも心配かけてすまなかった。あとはスカリエッティやウーノに処理をまかせよう」
少女はうなずくとそのまま振り返らず、騎士や融合騎と一緒に再び暗闇の中へと消えていった。


覚えてもらえなくていい、忘れられる存在だというのも理解している。
母さんのためにも・・・私はまたこの暗闇の道をひたすら進んでいく。

426ナイトクルーズ後編14/14:2009/09/08(火) 00:35:37 ID:2z1qXFXk
翌日、機動6課のもとに、重要事案が1件報告された。


クラナガンの北部郊外でレリックを密輸していた違法魔導師達が襲撃を受けたというものだ。

あたりには襲撃により死傷した違法魔導師達やカートリッジが散乱しており、双方ともにオーバードライブの激しい魔法戦が
展開されたとのことであった。


生存者の話では金髪の巨漢の騎士と不気味な黒衣の召喚師であり、陸戦オーバーAで更正される違法魔導師を殲滅させてレリックを
奪うと即座に逃走したという。


ドクター・スカリエッティが率いるガジェットドローンの機械兵器以外にもレリックを狙うもの達がいる。
近々行われるホテルアグスタでのロストロギア・オークションを目の前にして、敵の影が徐々に鮮明になってきた。




そして機動6課に報告されない、大したことない事案が1件あった。


ナイトクルーズ(夜間巡回)に出たまま行方不明になっていたアーノルド・ベイカー警ら隊員とサルバトーレ・ルッソ警ら隊員の2名
が乗車するサードアベニュー警ら隊の10号パトロール車が翌朝、ホームレスからの通報で廃棄都市区画の北部旧市街地で発見された
というものだ。


中では警ら隊員の2名が気絶していたが命に別状は無かったという。
両警ら隊員は何故、廃棄都市区画の旧市街地域にいたのか、また何故途中で自分達が寝ていたのか、上着を脱いでいたのか
『全く覚えていない』とのことだった。


端末も昨晩の巡回記録に異常は無く、一言短いメッセージが残されていたという。



警ら隊員2名はその言葉が何か引っかかるようだったが、結局は気にする事はなく、管轄する陸士部隊は警ら隊員が無傷であった
ことや巡回記録も残っていた事から地上防衛に係る事件性は薄いと判断し、半日職務放棄を行ったことによる5ヶ月間の減給処分
と内勤への異動処分が下されたという。



巡回記録には記されていた言葉はこうであった。



−ありがとう−

42744-256:2009/09/08(火) 00:37:35 ID:2z1qXFXk
以上になります。

Sランク召喚師ご一行と下級警ら隊員2名の物語でした。
それでは失礼しました。

428名無しさん@魔法少女:2009/09/08(火) 01:12:49 ID:oiCHynis
>>427
GJ

429名無しさん@魔法少女:2009/09/08(火) 21:09:15 ID:vlY4VYV2
>>427
 GJ 内勤とはスカとウーノは良い仕事したなw

430 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:03:02 ID:zqa3gFdc
「日付が変わったので書くぞー!」
と言う事で書きます。

・フェレットユーノ×リインフォースⅡ
・獣姦ユニゾン注意
・↑がダメな人は今の内に退避を
・エロ

431名無しさん@魔法少女:2009/09/09(水) 00:03:02 ID:eVSdcZhY
渋い、本当に渋い。
魔法少女たちが華やかに舞う空の下、地べたを歩み続ける男たちの物語、といった感じ。
素敵でした。

432本当は恐ろしいフェレットさん 1 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:05:03 ID:zqa3gFdc
 皆はフェレットと言う動物を知っているかな? そう、フェレットはイタチの仲間。
イタチ科の動物の歴史は他の哺乳類と比べても長い方で、イタチの仲間は他にも様々な種があるのだけど
その中でもフェレットは野性が存在せず、人間に飼われる事による品種改良で誕生した種。
だから他のイタチ科の動物と比べても小柄で、賢くやんちゃな反面人にも懐き易く、またあまり鳴き声を
発したりしない事もあって、最近はペットとしても人気が高くなって来た動物なんだ。

 そんなとても可愛らしいフェレットだけど………実は……とても恐ろしい動物でもあったのです……
それを…これから順を追って説明して行きましょう………………


 時空管理局の本局。それは次元空間上に浮かぶ巨大なステーション基地にして時空管理局の総本山
と説明すれば分かり易いのだが、厳かそうなイメージとは対照的に娯楽施設等もかなり存在していた。

 何しろ本局は本当に広く巨大。次元空間の広大さに比べれば豆粒の様な物であるが、それでも人間にとっては
次元船が幾つも収容可能と言うかなりの巨大さを持つ。それ故に戦闘員・非戦闘員に関係無く数多くの
人々が働き、または生活をしており、それ故に人間の生活において必要な物は大抵が揃っていた。
当然娯楽関係の施設等も例外では無かったのだった。

 そんな中、本局内を飛びまわる一人の美少女の存在があった。彼女の名はリインフォースⅡ。
身長30センチと小柄で、青い瞳に銀髪が特徴の可愛らしいユニゾンデバイス。
管理局内での階級は曹長で、人は彼女をちっちゃな上司と呼ぶ。今日は非番と言う事で
本局内の娯楽施設等で遊んでいたのだが、そこで彼女はある物を目にする事になるのだ。

「あ、フェレットさんです。」

 リインは本局内の通路を一匹のフェレットがトコトコと歩いている所を発見していた。
薄黄土色の毛並みに翠色の円らな瞳、そして頭の上に逆立つ二本のアホ毛と言うとても可愛らしいフェレット。

「わ〜フェレットさん凄く可愛いです。」

 何を隠そうリインはフェレットが大好きなのである。リインの背は前述の通り30センチと小柄で
それ故に同じ位の体格のフェレットには親近感を感じるのであろう。

433本当は恐ろしいフェレットさん 2 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:05:56 ID:zqa3gFdc
「でもフェレットさんフェレットさん。どうしてこんな所を歩いているんですか?」

 ここは地上では無く、あくまでも本局と人工的に作られたステーション内部。その通路内を
フェレットが一匹でトコトコと歩いていると言う光景は不自然極まりなく、リインも気になる所であったが、
そのフェレットは構わう事無くトコトコと歩き続けていた。

「フェレットさんフェレットさん? 何処へ行くんですか?」
「きゅっ!」

 リインの質問にフェレットは一声鳴くだけでなおも歩き続ける。その際にモサモサと尻尾を揺らしながら
歩くフェレットの姿がまた可愛らしく、思わずリインはその後を付いて行ってしまうのであった。

「フェレットさんは今何処へ向かっているんですか? フェレットさんはやっぱり誰かに飼われてるんですか?」
「きゅきゅっ!」
「フェレットさんの言葉は分からないです。」
「きゅ。」

 リインが質問しても、フェレットは少し鳴くだけで喋りはしない。それは当然の事なのだが、
だからなおさらリインはフェレットが何をしたいのか凄く気になっていた。

 そうしてリインはフェレットの後を付いて歩いていたのだが、そのフェレットが向かった先は
辺り一面に沢山の書物の並ぶ広大な施設。俗に無限書庫と呼ばれる場所だった。

「フェレットさんフェレットさん。ここ無限書庫ですよ。フェレットさん入っても大丈夫なんですか?」
「きゅっきゅっ!」
「フェレットさん、聞いて下さいよ。こんな所に勝手に入って怒られたら大変ですよ。」

 構わず無限書庫の奥へ歩いて行くフェレットの後をリインは恐る恐る付いて行く事しか出来ない。
するとどうだろう。無限書庫内の壁にとある看板を見付けたのである。それはなんと『猛獣注意』と言う
無限書庫には似つかわしくない代物だった。

「え!? 猛獣注意!? フェレットさん! やっぱり引き返した方が良いですよ!
猛獣が出るって書いてあるじゃないですか! フェレットさん!」
「きゅっきゅきゅ。」

 猛獣注意の看板によほど驚いたのか、リインは涙目になってフェレットを止めようとするも、
フェレットは構わず書庫の奥の奥へ歩き続けていた。

434本当は恐ろしいフェレットさん 3 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:07:11 ID:zqa3gFdc
 そうしてフェレットは無限書庫の奥へ奥へと進み、リインはその後をただただ
付いて歩く事しか出来ずにいたのだが、そんな時だ。突然フェレットが歩みを止めたのである。

「良かった。フェレットさんやっと引き返す気になったんですね?」

 リインは安心しかけるが、その時だった。突然フェレットがリインの方にふり向き…

「良いのかいホイホイと付いて来て。僕はユニゾンデバイスでも構わずに食べちゃうフェレットなんだよ。」
「!!」

 リインは絶句した。先程まで耳を澄ましてようやく聞こえる程度と言うフェレット独特の
小さな声で鳴いていたフェレットが突然人間の言葉を話しはじめていたのであるから。

「フェレットさん喋れたんですか!?」
「うん実はそうなんだ。」

 やっぱり喋った。間違い無い。これは幻聴でも何でもなく、紛れもなくこのフェレットは
人間の言葉を話す事が出来、知能も人間と同等にあろうと思われる凄まじい物。
そして何より…このフェレットは明らかにリインを狙っていると言う事である。

「それにね、あの猛獣注意って看板、あれ実は僕の事なんだ。」
「え!? フェレットさんの何処が猛獣なんですか!?」
「残念だけど君は一つ勘違いをしている。僕達フェレットも立派な肉食獣。猛獣なんだよ。」

 リインはまたも絶句した。リインはフェレットを大人しく人懐っこい小動物としか考えていなかった。
しかし、実際のフェレットはイタチの仲間。つまり立派な肉食獣で猛獣。今でこそペットとして
人気の動物であるが、元々は狩猟用の動物として扱われていたのだ。確かに今リインの目の前にいる
フェレットは円らな瞳をしてとても可愛らしいが、口から覗く鋭そうな牙が全てを物語っていた。

「じゃ…じゃあ…フェレットさん……リインを…本当に…食べちゃうんですか…?」
「うん。だって僕肉食獣だからね。だから獲物を捕らえて食べないと生きていけないんだ。」

 フェレットはリインにトコトコと歩み寄ってくる。その時の動作はとても可愛らしい物であったが
フェレットは紛れも無くリインを食べようとしており、リインは恐れる事しか出来なかった。

「嫌…嫌です……そんなの嫌です…リイン食べられちゃうの嫌ですぅぅぅぅぅ!!」

 リインは思わずその場から飛び立ち、逃げ出してしまった。当然彼女だって食べられるのは嫌だ。
例え相手が可愛らしいフェレットでも、自分の命までは捧げられない。

435本当は恐ろしいフェレットさん 4 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:07:54 ID:zqa3gFdc
「とっとにかく一刻も早くここから逃げるです! 出口は何処ですかー!?」

 リインはひたすら逃げようとしていたが、無限書庫は伊達に無限では無いと言わんばかりに広大で
まるで出口らしい物が見当たらなかった。おかげですっかりリインも疲れ果て、書庫の一角で
息も絶え絶えの状態で休憩を余儀無くさせてしまう程だった。

「どうして…どうしてですか…どうして出口が見付からないんですか…?」
「うん。だって無限書庫だからね。」
「ええ!?」

 突然リインの背後に現れたフェレットに思わず飛び退いてしまった。リインとて全速力で
飛び続けていたつもりだ。だと言うのに何事も無かったかの様に追い付いていたフェレット。
やはりフェレットはただのペットとして人気の小動物では無く、伊達に狩猟用として古くから
重宝されてはいなかった。

「ど…どうして私の居場所が分かるんですか…?」
「知らないのかい? 僕達フェレットは犬と同じ様に鼻が利くんだよ。特に君みたいな可愛い娘はね…。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 フェレットに可愛いと言われたリインだが、やはり食べられようとしている今においては嬉しくない。
しかし、かと言って逃げようにもリインは既に体力を使い果たしていたし、フェレットに対しての
恐怖心が彼女の脚をすくませ、その場に立ち尽くさせていた。と、その時だ。突然フェレットが
リインのけしからん太股をペロリと嘗めたでは無いか。

「ひゃう!」

 フェレットの口から伸びた舌がまるで品定めでもしているかの様にリインの太股を嘗め回していく。
それがまた生暖かくくすぐったくて、リインは思わずその場に跪いてしまう。そしてそれがいけなかった。
フェレットがリインを上から覆い被さる様に押し倒してきたのだから。

「キャッ! やめてくださいー!」

 リインは抵抗しようとしたが、フェレットは可愛らしい外見に反して力が強く、またリイン自身が
疲れ果てていた事もあって直ぐに動けなくなってしまった。

436本当は恐ろしいフェレットさん 5 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:08:41 ID:zqa3gFdc
「あ…ああ…リイン…このまま食べられちゃうって事ですか…?」

 リインは動けなくなってしまい、このままフェレットによって揉みくちゃにされてしまうと思われたが、
意外にもフェレットは優しくリインをその場に寝かせていた。そして、前脚の爪を見せ付けていたのである。
フェレットのその可愛らしい姿からは想像も出来ない程にまで鋭く研ぎ澄まされたその爪を…

「ああ…その爪で…リインの体が切り裂かれちゃうんですか…?」

 フェレットはその鋭い爪でリインの柔肌を切り裂くと思われていたが、意外な事にフェレットが
切り裂いたのはリインの着ていた服だった。フェレットはリインの肌を傷付けない様に
丁寧に慎重にリインの服を切り裂き脱がし、その白い柔肌を露とさせていく。

「あ…リインの服が脱がされちゃうです……そうですよね……フェレットさんでも…リインの服までは
食べられないですものね…。それに…フェレットさんは最初から裸です…。」

 リインはフェレットの成すがままに服を切り裂き脱がされ、あっという間にその全裸体を露とさせていた。
そして裸にされて初めて気付く。例えユニゾンデバイスであろうとも、人間と変わらないのだと。
それだけリインの裸体は美しいものだった。

「ああ…ついにリイン…裸にされちゃったです…。このままフェレットさんに食べられちゃうんですか…?」

 リインはこの後の展開に恐怖しながらも、覚悟した。しかし、このまま噛み付いてくると思われた
フェレットの取った行動はやはり意外な物だった。

「ひゃう!」

 思わずリインはのたうった。何故ならばフェレットは再びその舌を伸ばし、リインの乳首を
嘗め回していたのであるから。リインは一見幼そうな容姿に反して意外にも良い乳をしていたりする。
その為、フェレットに乳首を嘗め転がされる度に上下左右にプルプルと、まるで別の生き物の様に揺れていた。

「フェレットさん! 何を…何をするんですかー!? ひゃぁ!」

 何と言う事だろう。今度は舌で乳首を嘗め回すのみならず、フェレットがリインの体に圧し掛かり
乳首に直接吸い付いて来たでは無いか。その刺激は舌で乳首を嘗め回されるのに加え、口で咥えられる
と言う物が加わり、さらにフェレットが動く度にモサモサの毛並みがリインの敏感な柔肌をくすぐると言う
想像を絶した物だった。

「ひゃっ! フェレットさん! やめ! ひゃぁぁ!」

 乳首を吸われ、モサモサの毛並みで肌をくすぐられ、リインは思わず笑ってしまわずにはいられなかった。
その為リインの体は大きくのたうつのだが、フェレットはその勢いを利用してリインをうつ伏せに倒してしまった。

437本当は恐ろしいフェレットさん 6 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:09:36 ID:zqa3gFdc
「あ…何をするんですか!? キャァ! そんな! お尻触らないで! 恥ずかしいですー!」

 リインがうつ伏せにされた後、フェレットはそんなリインの尻だけを掴んで持ち上げていたのである。
既に説明されている通り、今のリインは着ていた服を全て切り裂き脱がされた裸の状態である。
そんな状態でフェレットに後から尻を持ち上げられたら、リインの股間が丸見えになるのは必死だった。

「君に一つ良い事を教えてあげよう。一般的にペットショップに売られているフェレットは
既に去勢された状態の事が多いけど、僕はそうじゃないんだ。」
「え…去勢って……確かオチンチンをちょん切ったりする事ですよね……それをしてないって事は……あ…。」

 リインが今と言う状況を理解した時には全ては遅かった。フェレットの発情し固く怒張した生殖器は
リインの股間へと押し当てられ、その閉じられていた膣口を強引に押し広げて行ったのである。

「ひゃぁぁ!!」

 直後、リインの全身が大きくのたうった。そしてリインの下半身に目を向けて見ると、フェレットの
モサモサの毛並みで覆われた腹がリインの尻に密着し覆い尽くす形となっていた。そしてこれは
フェレットの固く巨大に怒張した生殖器がリインの処女膜を貫き、その処女を奪い去った事を意味していた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 フェレットに挿入された直後に大きくのたうったリインではあるが、それ以降はまるで嘘の様に
全身を硬直させると共に、ビクビクと痙攣させていた。そしてフェレットの生殖器が深々と食い込んだ
リインの非処女からは真っ赤な処女血が流れ出ており、リインの太股とフェレットの毛並みをそれぞれに
真っ赤に染め上げていた。

「あ……か………あ………。」

 リインは動けなかった。フェレットに処女を奪われた痛みは、泣き叫ぶ余力さえも奪う程の物だったのだから。
だがそれも所詮はこれから始まる大いなる情事への序章に過ぎなかった。

「あっ……あっ……あっ……。」

 フェレットはゆっくりと腰を動かし、リインの奥の奥まで押し込んでいた怒張を抜けないギリギリの所まで
ずるるっと引き抜き、そこから再び一気に押し込んだ。そしてまたその押し込んだ怒張をやはり再び引き抜くのである。
その引き抜かれる度に、押し込まれる度ににリイン自身の体もまたのたうち、尻は震え、リインの喘ぎよがる
美声が響き渡って行く。

438本当は恐ろしいフェレットさん 7 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:10:37 ID:zqa3gFdc
「あっ………リイン………フェレットさんに………初めて……奪われちゃった……奪われちゃったです……。」
「きゅっきゅっ。」

 フェレットに何度も突かれ、尻を突き動かされて行く中、リインの目からは一筋の涙が流れ落ちた。
リインはユニゾンデバイスではあるが、そのメンタルは人間の女性と変わらない。それが無理矢理初めてを
奪われて、しかもその相手がフェレット、つまり獣姦による物だったのだから……

「あっ………やめ……やめてくださ………あぁぁっ……せめて……せめて休ませくだ………あぁ!」
「きゅっきゅっきゅっ。」

 リインは目から涙をボロボロと流しながら哀願するが、フェレットはやめなかった。リインは既に
フェレットから逃げ出した際に体力を使い果たしていたと言うのに、フェレットは構う事無く
リインを何度も何度も何度も何度も突き上げ続けていたのである。

「あっ………きっとこれも準備なんです………こうしてリインを疲れ果てさせて…抵抗も何も出来なくさせてから
食べる気なんです………そんな…嫌です………こんなの生き地獄です………どうせ食べちゃうなら一思いに
食べてくださいよぉ〜…………。」
「きゅっきゅっきゅっきゅっ。」

 ああ何故こんな事になってしまったのだろう。そこでリインはかつて言われたある言葉を思い出した。
それは…

『リイン、知らん人には付いて行かんようにしよな?』
『ハイ分かりましたマイスターはやて。』

 知らない人に付いて行ってはならない。誰もが子供の頃に親や学校の先生にそう教えられたであろう。
しかし、リインはそれを忘れてフェレットが可愛らしいというだけの理由でその後に付いて行ってしまった。
その結果がこれである。リインはフェレットに襲われ、今こうして食べられようとしていた。
そう。つまりこれは約束を破ったリインにも責任があると言う事なのである。

「きゅっきゅきゅきゅっ。」
「あ…あぁ……あぁん…。ごめんなさいはやてちゃん…リイン…約束破っちゃったです…。」

 フェレットはなおもリインを突き上げ続けた。リインの上半身は起き上がる体力すら無く床に
倒れこんだ状態であったが、下半身の特に尻の部分だけはフェレットによって強引に持ち上げられ、
何度も何度も突き上げられた。そうしている内にリインは体力のみならず頭の中さえも…

439本当は恐ろしいフェレットさん 8 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:12:26 ID:zqa3gFdc
「あ…もうダメれす……もう何も考えられないれす……嫌なのに……こうしてリインが何も
考えられない様にしてから食べちゃうって事れすか…………ああもうどうだっていいれす……。」

 フェレットの突き上げはリインから体力のみならず思考力さえ奪い去り、リインのその目からは
ハイライトさえもが消え去るに至っていた。するとその時だ。フェレットがリインの尻をさらに
高く持ち上げると共に全身をブルブルと痙攣させ始め………

                 どびゅっ びゅびゅびゅっ

「んぁ……。」
「きゅ〜。」

 ついに出した。フェレットの大量かつ濃い精液がリインの膣と子宮を満たし、フェレットが
出し終えて萎えた生殖器を引き抜いた後も、リインの開きっぱなしの膣口から溢れこぼれだしてしまう程であった。

「あ……もうこれで……終わりですね……きっとこの後……リイン…フェレットさんに食べられちゃうです…。」

 もはやここまで来たのなら仕方が無いとばかりに覚悟を決めていたリインだが、フェレットが取った行動は
意外な事にもリインの前から立ち去ると言う物だった。

「なっ! 何処へ行くんですかフェレットさん! リインを食べちゃうんじゃないんですか!?」
「きゅっ。」

 リインはフェレットに食べられる覚悟を決めたと言うのに、フェレットはリインを食べなかった。
それが逆に悔しくて、リインは思わず怒り出してしまっていた。

「嘘吐き! フェレットさんの嘘吐き! 食べるって約束したじゃないですか!
どうして食べてくれないですか!? リインそんなに不味いんですか!?
答えて下さい! 答えて下さいよフェレットさぁぁぁぁぁぁん!!」
「きゅっ。」

 リインが何度叫ぼうともフェレットはただ軽く一鳴きするだけであり、そのままフェレットは無限書庫の
奥へと消えて行くのみであり、リインもまたそのフェレットをただ黙って見送る事しか出来なかった。

「うう…悔しいです…。フェレットさんどうしてリインを食べてくれないんですか? でも………リイン……
腰が抜けて……追い駆けられないです…………。」

 リインはフェレットに食べられる事はなかった。つまり命が助かったと言う事なのだが、
今のリインには逆に自分の価値を貶められたと感じられ、悔しくて悔しくて涙が止まらなかった。
かと言ってフェレットを追い駆けようにも、腰が抜けて立ち上がる事さえ出来ない。


 それから数日後、リインは再び無限書庫にやって来た。そして『猛獣注意』の看板を前にして立つ。

「フェレットさん。リインはまたここまで来ちゃいましたよ。今度こそ…今度こそはフェレットさんに
食べてもらうです。フェレットさん! フェレットさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 
 こうしてリインは今度こそフェレットに食べてもらうべく、無限書庫の奥へと消えて行った。
何かもう滅茶苦茶な事になってる気もするが、本人にとってはこれが喜びなのだろう。

                      おしまい

440 ◆6BmcNJgox2:2009/09/09(水) 00:13:48 ID:zqa3gFdc
当初はフェレットがリインを少しずつ少しずつ追い詰めて行く(猛獣的意味で)
ホラーっぽい路線をやろうとか思ってたんですけどね…結局獣姦ユニゾン…
でもこのカップリング好きなんですよ。アギト×フェレットユーノとかも面白そうだけど。

441名無しさん@魔法少女:2009/09/09(水) 01:08:22 ID:i0HhONcU
結局やり逃げかよw サイズ的にも獣姦的にも確かに実にいいカップリングなんだがw


442名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 19:06:15 ID:OxEP7It.
スレが止まってるんで話題振り。
マイナーでもメジャーでもトンデモでもいいから読んでみたいカップリングってあるかね。
俺はカリム×ヴェロッサが見たい。義弟をいけない道へ引きずり込むカリム攻めで。

443名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 19:26:17 ID:M/Jh.5R.
相思相愛前提でスカ×ルーと言っておこう

444名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 19:50:54 ID:pdpv/352
覇王様×ノーヴェ
レジィ坊やの筆おろしをするミゼット女史
などといってみる

445名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 21:40:20 ID:12K0jiJw
4期組みはまだキャラが掴めてないんだよな。
この娘はこういう時にこうする、こんなことするとこう反応するっていうのが把握できれば覇王やvivid3人娘で書いてみたいが。

446名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 22:50:23 ID:2UDdVOn2
>>442
アルフ×ユーノ
エイミィ×クロノ
一期の頃から俺の中での公式カプだね

447名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 23:22:32 ID:kgVXIu0o
ヴァイス×ティアナが久々に見たい

448名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 23:47:04 ID:OqzRWjFE
ユーノ×ウーノ

名前が似てるだけじゃんとか言うな。

449名無しさん@魔法少女:2009/09/11(金) 23:51:03 ID:/WrCBSAc
ヴァイシグ! ヴァイシグ!

姐さん女房とか最高じゃないか。

450名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:28:48 ID:V2XkqceA
ユーノ×シャーリで

451名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:32:20 ID:suO2oGMQ
はじめまして。
このたび、しょうもないSSを完成させまして、恥ずかしながらお披露目にまいりました。
わずかでもスレッドの滋養になれば幸いです。よろしくお願いします。

452名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:33:55 ID:suO2oGMQ
・お読みになる前に

このSSはキャラクターの崩壊が激しく、さらには、下ネタ・お下劣なネタが絡んできます。
stsの後、ティアナとヴァイスのフラグが成就した状況から話がはじまります。
あらかじめご了承ください。




「小さいことはいいことだ」

 ん?今何を考えた?
 おまえだ。そこのおまえ。
 まさかやましいことを考えていないだろうな。
 私を見て私の外見から、私の言葉を聞いて私の外見から、何を想像した?

 当ててやろう。
 おまえはロリコンだ。
 おまえはちちゃい娘が大好きだ。
 おまえは貧乳あるいはつるぺたが大好きだ。
 おまえはつま先立ちをしても唇が相手に届かずムキになる程度の身長が大好きだ。
 おまえはくりんとした眼を無垢に輝かせるぷにぷにした頬ときらきらさらさらの髪を持つ頭部が大好きだ。
 おまえは未成熟でスレンダーというにも肉付きの足りない身体が――

 そこまで喋ったところで、チンクはギンガに小突かれた。

「あう」

 ギンガはチンクを小突くにあたって移動する必要すらなかった。
 なぜならば、チンクは自分の大腿の間におさまっていたからであり、ついでに言うとその下半身は二人ともコタツの中なのである



「ギンガ、なぜ叩く」
「何を一人ではしゃいでるのよ」

453しょうもない話:2009/09/12(土) 00:36:45 ID:suO2oGMQ
 ナカジマ家のコタツは大きい。そうでなければならなかった。
 昔は小さかったのだが、なにしろ家族が倍以上に増えてはこたつを大きくする以外の方便はなかった。
 4人用のコタツも、母がいないといえ育った娘二人プラス父でおおむねいっぱいだったのだ。
 しかもTVなど見ようものなら必然的に座る位置はかぎられる。TV側の面は使えない。

 あれ以来、家族は7人に増えたので、ゲンヤは家電量販店に足をはこび、コタツを買い求めた。
 しかし7人入れるほど巨大なコタツなどそうは置いていない。今までの倍のサイズだから当然だ。
 そのうえ娘たちは例外一人をのぞいて、どいつもこいつも立派に育ったボディの持ち主である。

「私がギンガの膝の上におさまったとき、あいつは一瞬だがいやらしい目で私を見たんだぞ、まちがいない」
「それは貴女が問題発言をするからよ」

 ましてや客人などあろうものなら大変である。
 スバルと仲の良いティアナはよく来る。アルトは来なかった。原因はヴァイス。詳細はこのさい棚に上げておけ。
 客が来るとさらに狭い。ぎゅうぎゅう詰めである。そのため料理担当か元気の子、前者はギンガとかディエチ、
 後者はノーヴェとかスバルがコタツの外部に出たりするのだが、それでも足りない場合は最期の手段が用いられる。

『機人合体!』『コタツフォーム!!』

 の掛け声と共にどっこいせとチンクが誰かの膝の上に納まるという寸法である。
 ちなみに機人合体なのでゲンヤさんのとこには来てくれない。残念。
 ティアナ?ヴァイス?あいつら人間だし。

 とりあえずコタツの話はこのへんにしておこう。
 要するに、コタツフォームと叫んでは、いそいそとギンガの膝の上におさまって、ちょこんと鎮座したチンクが幸せそうに冒頭の台

詞を吐き、それに対するヴァイスの反応を目ざとく見つけて、セクシャルハラスメントだと扱っているのである。
 それは隣のティアナの顔を憮然としたものにさせるには充分であったし、ギンガが突っ込むのも無理からぬ話。

「だいたいね」

 だが、ギンガの突っ込みで事態は収束を向かえるだろう。誰もがそう思った。

「ヴァイス陸曹がロリコンだったら、ティアナの保険に私にツバつけとくわけがないじゃない」

 そのような皆の想いは容赦なく打ち砕かれる。

454しょうもない話:2009/09/12(土) 00:38:22 ID:suO2oGMQ
 場の空気が凍て付いた。否、宇宙船の気密が破れたような状態であった。
 突然の減圧で視界は霧に覆われホワイトアウトし、耳はキンキンして何も聞こえず、凄まじい激痛が身体を襲うような。

 一方のギンガとチンクは飄々としたものである。
 その言葉は嘘か真か、チンクの頭の小突いた部分を優しく撫でる彼女からは邪なものは見られない。

「なるほど、では誰でも良かったのだな。ロリコンではなく女の敵だ」

 チンクもチンクである。驚くでもなく、かような発言で火に油を注ぐのだ。
 隣のティアナの表情は憮然を通り越して、ひきつっている。
 たまらず彼女はのたもうた。

「ねぇ二人とも、冗談はほどほどにしてよ」
「まぁ冗談だけどね。二人の愛がどれほど確かなものなのか試すのはいけないことかしら?」

 ギンガの返事は優美な流し目を伴い戻ってくる。

「私だって将来有望な素敵な殿方を前に座しているほど女を捨ててないの。安心して緩んでると、貴女――」

 長い髪をかきあげる仕草、獲物を前にした肉食獣の眼。そしてその口から妙に妖艶な響きを含ませた言葉が放たれるのであっ

た。

「盗っちゃうわよ?」

 ぞくり。一瞬、ティアナはこの女がギンガの姿をしたドゥーエなのではないかと疑った。

「そうだそうだ、とってしまうぞ」

 なぜかチンクも一緒にそんなことを言うのである。

455しょうもない話:2009/09/12(土) 00:39:42 ID:suO2oGMQ
「ふ、ふん。そんなことできるもんですか。彼と私は恋人同士なんだからもう」
「一体その自信はどこからわいてくるのかしら?」
「……いつもキスしてるもん」
「ハん、お子様ね。キスくらいで自分の男にできるほど恋愛は甘くないの」
「じゃあ貴女はどうなの?まさか横恋慕してどうこうするつもり?」
「まさか。でもあれくらい狡猾にはなりたいわね」

 そこまで話したところで、ティアナははっと気がついた。
 チンクがギンガの膝の上から姿を消しているのである。
 そして一瞬ギンガがちらっと視線を向けた先では、ヴァイスが、膝の上におさまったチンクに困った様子で、救いを求めるような眼

差しを、ティアナに向けていたのである。

「ちょっとチンク!貴女!」
「やっぱりヴァイスはロリコンだったぞ、ギンガ。ぜんぜんイヤがらない」
「子守り気分だけどな」

 ヴァイスの言葉は余裕に満ちているものの、冷や汗が伝う顔から見て、心中が平静でないのは明らかである。
 なにしろプチ修羅場が演じられている状況、ゲンヤとの会話に逃げていたところで、コタツの中を通ってチンクが強襲してきたの

だ、彼は問答無用で戦いの場に引き込まれた。

「私の妹にセインというのがいてな、今は聖王教会のほうにいるが、あれの得意技だ」

 コタツもぐりをディープダイバーになぞらえるチンクの視線は、ティアナに向けられている。
 ヴァイスは知るよしもないが、その表情はというと、勝ち誇ったような、格下を見下すような、嘲ったものなのである。
 ティアナが怒ったのも当然であろう。

「ちょっとヴァイス!貴方!」
「仕方ないだろ、三佐の前でむげに扱うわけにもいかないし……」
「お父上、また家族が一人増えるけど、良いかな」

 ヴァイスは噴出し、ティアナは絶句し、ギンガは抑えきれないらしく顔をにやにやとゆがめている。ゲンヤさんは呆れ顔。
 他の姉妹は「ああ、またはじまったよ」とでも言いたげな顔か、あるいは我関せずといった状況だ。

 孤立無援のティアナは、自らの親友に助けを求めた。

456しょうもない話:2009/09/12(土) 00:41:24 ID:suO2oGMQ
「スバルー、あなたのお姉さんが苛める……」
「しらないよ」
「え」

 やけにそっけない返事が聞こえたのは気のせいだろうか。
 見ればスバルは、ティアナたちに背を向け、TVの前で正座しながら映画を鑑賞していた。
 そういえば話がはじまってからずっと蚊帳の外だったような。

「えーと、スバルー?」

 再度の催促に、今度こそ振り向くスバルだが、さきほどの返事は聞き間違いや面倒くさいの類のものではなかった。
 ティアナは絶望することになる。
 答えはこうだ。

「……だからしらないよ。ティアは私やアルトよりヴァイスさんのほうが大事なんでしょ?勝手にしてよ」

 うわぁ。
 スバルも相手をこんな冷たく睨むことができるのか、その事実に愕然とするティアナであった。

「私の妹がこんな傷ついてるのに気づかないなんて、ひどい友人よね」
「くっ!」

 追い討ちをかけるかのようにさめざめと泣く仕草がわざとらしいギンガ。
 チンクは漁夫の利のごとくヴァイスのお腹を枕がわりにして寝ているし。
 それを攻撃しようとティアナがコタツの中で足を伸ばして蹴ってみればヴァイスが顔をゆがめて痛いと申す。

「ティアナ、それ俺の脚だ」
「あ、ごめん」
「ひどい女だぞ」
「あんたはうるさい」
「ひどい女ね」
「うるさいわよ」
「ひどいよねティア」
「ごめんなさい」

 親友には弱いティアナであった。

457しょうもない話:2009/09/12(土) 00:42:28 ID:suO2oGMQ


「すいませんすいません、うちの姉たちが」

 玄関先で帰る二人を見送りつつ、ぺこぺこと謝るのはナンバーズ屈指の良識者ディエチ。
 キッチンで夕食を作りつつも、ずっと居間の様子が不安だったのでした。
 姉たちよりずっとよくできた子なのです。

「よくできた妹だとぉぉお!!」

 なにやら怒拳四連弾されそうな地獄すら生ぬるい声が聞こえたが、皆シカトを決め込む。
 おそらく今頃、第六無人世界の軌道拘置所2番監房あたりでは、いまいち萌えないメガネっ娘が吼えているだろう。

「いえ、私も大人気ないことをして、お恥ずかしいです」

 ティアナも頭を下げているのは、玄関先でゲンヤさんが一緒であることもあったが、それ以上に、親友に帰宅することを告げたと

きのスバルの反応が彼女の腰を低くしていた。
 帰宅する旨を告げられたスバルは、映画も終わってテープ巻き戻し中の、いわゆる砂嵐画面をずっと凝視しながら、振り返りもせ

ずにこう言ったのである。

「ぁ。そ。じゃーね」

 そんな具合なものだったから心に隙間風が通るのも当然だ。
 まさか自分の親友が、男っ気のないことをここまで気にしていたことに気づかず、恋人を連れ込むとは友人失格である。
 レバー入れ大ピンチ。くすん。

「まぁ、ほとぼりが冷めたらまた来いよ……スバルは最近スれてるが、経験がないからな。男のひとつでもできれば考えが変わる

だろ。それより心配なのはギンg「お父さんそれ以上言ったらドリル」……悪ィな、気をつけて帰ってくれ」
「……すいません」

 年頃の娘ばかり6人も抱え込んだゲンヤの気苦労が垣間見える訪問を終えた二人は、ナカジマ邸を後にした。
 ディエチが、こちらの姿が見えなくなるまでずっと玄関先に立って見送ってくれていたことに、彼女の優しさを垣間見た気がした

が、家の中からドリルの回転音と怒声と爆音が響 いてきたのには閉口したものである。

458しょうもない話:2009/09/12(土) 00:43:30 ID:suO2oGMQ


 一番フェイト
 二番チンク
 三番ギンガ
 四番スバル

 野球なら満塁ホームランも不可能ではない面子である。燃えよドラゴンズ新暦76年版があったらそのまま歌にできそうだ。
 しかし、その面子でもって以下のようなことを叫んでいるのだから手に負えない。

「男漁りしよう」
「うむ、男漁りだ」
「男漁りよ」
「男漁りだね」

 だめだこいつら、はやくなんとかしないと……



 今をさかのぼること一週間前。

「本作戦の目的は、我ら"魅力的だがなぜかフラグが立たない女性陣の会"が男漁りをすることを目的とした男狩りでありジェント

ルメン・ハンティングである」

 四畳半のブリーフィングルームでギンガが熱弁をふるっていた。詳細はあまりに醜悪なので省かざるを得ない。

459しょうもない話:2009/09/12(土) 00:44:52 ID:suO2oGMQ
「こんな綺麗で公務員で気立てが良い私になんで男はなびかない!私になびかない男なんてみんなクズだ!」

 ギンガさんそんなこと言ってるから男どもが逃げるんですよ。

「ティアとアルトは奪いっこする仲なのに私だけ蚊帳の外。こんなの不条理だ。いいよ私あんなのよりもっと良い……ブツブツ」

 スバルさん目が死んでますよ大丈夫ですか何があったんですか。

「最近なのはがヴィヴィオにばっかりかまけて私の相手をしてくれないの。寂しいから浮気してやるんだから」

 フェイトさんそんな倦怠期の主婦みたいなこと言わないでください。

「更正組最年長として妹たちの手本とならねばならない!」

 なんとなく動機不純ですよチンク姉。

 そんなこんなで周辺に連絡を取り合って合コンのセッティングを推し進める一同は、作業に一週間をついやした。
 最終的な日程が決定したときは拍手喝采、四畳半のブリーフィングルームでは発泡酒で乾杯が行われ、ゲンヤさんに今何時だと思ってるんだと怒られたのである。



 結果から言うとこの合コンは失敗に終わった。
 コンパだと聞いて旧知のみんなが、あるだけ大勢集まってきてしまったからだ。

「え!?違うの!」

 シャマルさんは四人が自分へ向ける怒りと失望の眼差しにそう答えるよりなかった。
 流石は管理局屈指の天然である。

460しょうもない話:2009/09/12(土) 00:46:28 ID:suO2oGMQ
 だが真の地獄はそこからだった。
 なにしろ酒の勢いである。酒の勢いとは恐ろしい。ひょっとすると酒こそ最大のロストロギアかもしれない。

 たとえば酒の回ったティアナとアルトが泣き上戸でヴァイスを奪い合っていたら、キレたスバルが振動破砕を放ち、危うくヴァイスが男性でなくなるところだったり。
 自分にしなだれかかって言い寄るフェイトに「小娘に興味は無い」とかキツいことを言っちゃったザフィーラが主におしおきされ、
 泣いて走り去ったかに見えたフェイトは酔った状態で全力疾走したものだから(血が滲んで読めない)。
 ヴェロッサに近寄ろうとすればシャッハさんカリムさんに猫っ可愛がられてそのままお持ち帰りされるギンガがあったり。

 あと司書長は、なんか教導官がくだ巻いてるのに付き合わされてたり。
 シャマルさんがウィスキーをストレートであけながら「殿方なんてつまらないわ、みんな先に死んでしまうんだもの」とか普段のほんわかな雰囲気からは考えられぬことを言っていたり。
 エリオがキャロとルーテシアにトイレに連れ込まれたまま戻らなかったり。
 ヴィータがリィンとユニゾンしては分離を繰り返して紅白めでたい宴会芸を披露してるうちに赤と白の縞模様になってしまい道頓堀川に投げ込まれたり。
 ゲンヤさん腹踊りしてー!なんて誰かが言ったもんだから上半身を脱ぐと隆々たる筋肉と傷跡だらけの肉体が出てきたりなんてことは流石になかった。

 ところでチンク姉は一味違った。
 なにしろ姉である。姉とは恐ろしい。ひょっとすると姉こそ最大のロストロギアかもしれない。

「最初にガンガン飲ませてあることないこと口走らせて弱みを握ったあとでおもちかえりするのだ」

 この作戦は見事に当たった。
 スバルとティアナとアルトが三人で喧嘩して泣いて羽交い絞めになってぐるぐる巻きにして泥酔してつぶれたのを見計らって、や

っぱり泥酔して寝ているヴァイスを機人のパワー でひょいと持ち上げて、スタコラもっていってしまったのである。

 ちなみにお持ち帰り以外は実話である。
 女とは恐ろしい。ひょっとすると(以下略)。

461しょうもない話:2009/09/12(土) 00:47:41 ID:suO2oGMQ


「とったどー!」

 お留守番だったディエチ――詳細に言うと水色のシャツに膝下までカットオフのデニムの上からピンクのエプロンという完璧な姿のディエチである――は、そんな姉の帰宅に頭を悩ませていた。

「チンク、なんでまたこんなややこしい男性を好き好んで持ってくるの」
「そこはそれ、この男がいなくなればスバルとティアナの仲も元通りだ。あと私が入籍すればギンガの姉様も焦燥感を募らせてイヤがっているお見合いに前向きに」

 どこからともなくドリルが飛んできて壁を貫いたので、チンクはそこで発言を停止せざるをえなかった。

「私にはずいぶん乱暴な発想に思えるのだけど……」
「まぁ見ていろ、既成事実さえ作ってしまえばこちらのものだ」

 なんて言いながら部屋にヴァイスを連れて行くチンクである。
 しかしディエチはどうにもいい予感がしなかった。



「うぅ、飲みすぎた……」

 八神はやてはザフィーラに背負われて帰宅の途上にあった。
 普段のストレスのせいかやりすぎたらしい、その表情は青ざめている。

「気分悪ぅ……」
「もう、はやてちゃんは身体が小さいんだから飲みすぎるなっていつもいってるのに……」

 並んで歩くシャマルは呆れ半分心配半分といった顔であった。
 傍らには寝てしまったヴィータを同じく背負って歩くシグナムの姿があるが、あちらもだいぶ酔っているのか言葉数が少ない。

「うぅ、あかん、シャマル、戻しそう……」

 いよいよ限界になってきたはやてである。
 はやてはザフィーラの背中から降りると、周囲に茂みとか公衆便所とかが無いか探したのだが見当たらず、絶望的な気分になった。
 シャマルがはやての背中をさすりながら問う。

「ほんとにだめ?吐いちゃう?」
「……もうだめ、おねが……」

 シャマルはものすごく渋い顔をしながら、"旅の鏡"を展開した。A'sでなのはのリンカーコアを抜こうとしたアレ。
 今回の使い方はなるべく聞かないほうがいい。推して知るべしである。
 はやての嗚咽と共にマジカルミストがほとばしり、それらは"旅の鏡"の向こうへ消えていった。

462しょうもない話:2009/09/12(土) 00:48:56 ID:suO2oGMQ


 うふふ、なんで自分がここにいるかという顔をしているな。
 おっと動こうとしてもむだだぞ、お前の身体は既に拘束している。
 なに、別にとって食おうというわけではない、私に協力してくれればいいんだ。
 お前がティアナとわかれて私とくっついてくれればそれでいい。
 そうかそうか、こころよく引き受けてくれるというのだな。それはありがたい。
 ところでその手段だが、確実を期するためにお前と私の子供が必要だと思うのだ。
 そうかそうか、こころよく引き受けてくれるというのだな。ありがたいありがたい。
 大丈夫、心配することはない。私はこれでも初潮がきているから妊娠できる体だ。
 うれしいだろう、こんな可愛い子とできるのだからな。もっと喜べ。
 えーと、まず脱がないことには話がはじまら……

 仰向けに寝かせられているヴァイスは、自らの上にまたがっている銀髪の少女の頭上に、何か緑色の光の渦が出現したのに気づいていたが、
 口にガムテープを貼られているので指摘することができなかった。

463しょうもない話:2009/09/12(土) 00:52:00 ID:suO2oGMQ
おしまいです。

申し訳ございません、うっかりしていたもので
最初のところで名前欄に題名を入れ忘れてしまいました・・・
内容の見苦しさとあわせて、お詫び申し上げます。

それでは皆様、よい週末を。

464名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:54:55 ID:QeON0d42
乙。
なんてカオスな話なんだ……。男あさりとか言うフェイトさん(25?)とギンガ(xx)の切実さが感じられるようだ。
最後のチンクは因果応報なのか……シャマルさんヒドス

465名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:55:41 ID:l717PwBw
どう考えてもシャマル確信犯だろ……きたない流石シャマルきたないな
とても楽しまさせてもらいました

466名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:56:01 ID:Yo.OMaE2
初投下乙です!

いやぁ、姉が可愛いですねぇww
こういうほのぼのした話は大好きなので嬉しかったです。
しかし、ヴァイスは受難する話が似合うなぁ。
そして、さらりと北斗なネタなんかが入っていて笑えましたw


次回作などもお待ちしております。

467名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 00:56:21 ID:SPY09b8o
wwwww
なにこれ、面白すぎだろ!
チンク姉可愛す。
ジェラってるスバル可愛す。
シャマルさんマジ策士

468名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 01:40:48 ID:RvNZPp2g
乙です! カオスってる状況が素敵!

469名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 03:16:09 ID:xF7I4eUo
>>463GJ!
久しぶりに心から笑える作品だった。

しかしギンガさん、あんたはフラグ立ってる男性は一応いるだろwww
たしか、ラッコだかラットだか……
いや、違うな。やっぱりいなかったかな?

470名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 05:01:47 ID:1qvFhyUc
トイレに行ったっきりのエリキャロルー…修羅場なのか三人よろしくやってるのか気になる

471名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 08:06:03 ID:fL0GCYUE
以前あった、フェイトのお見合いSSの続きが読みたい。

472名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 10:33:53 ID:H3KrxN6g
>>463
GJ!面白かったですwwww
できればこれからもジャンジャン投下して常連の職人さんになってください

473名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 12:16:33 ID:vvxLCwco
>>463
GJ よかったです

474名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 18:39:58 ID:gXaIOrJ2
>>473GJ
教導官に管を巻かれる司書長
このごろフェイトのテクが単調でつまらない。なっか良いレズテクの本、見つけてくれないかなユーノくん?に1000ダウト

475名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 19:44:53 ID:cblq9GYA
最近サイヒさん見ないなぁ。どうしたのだろうか?
ファンの戯言

47669スレ264:2009/09/12(土) 22:15:58 ID:uVOKr70E
業務連絡です。
99スレの保管完了しました。
職人の方々は確認お願いします。

477名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 22:24:03 ID:I1WIzZ4c
大変乙でございます orz

478名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 22:34:17 ID:Biqalv0s
いつも感謝です、乙

479名無しさん@魔法少女:2009/09/12(土) 22:40:28 ID:bYbCD.ek
いつもいつもご苦労様です。
乙です。

480 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:02:22 ID:ulrb7k9g
>>476
保管ありがとうございます。

では今度は需要があるか否かは別として、フェレットユーノ×アギトを書きます。

・フェレットユーノ×アギト
・「本当は恐ろしいフェレットさん」とは関連無し
・エロ
・獣姦ユニゾン注意

481真フェレット 衝撃!アギト編 1 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:03:57 ID:ulrb7k9g
 アギトはフェレットに意地悪をしてやろうと決めた。かつてはリインに対する意地悪の第一人者、
世界的権威とさえ言われた彼女ではあったが、最近はどうも乗り気がしなかった。
何故ならば今のアギトは立派な八神家の一員であり、リインともすっかり仲良くなっていた故
リインに意地悪をするのは何か申し訳ないとさえ思えて来ていたのである。

「よし決めた。今日からリインの代わりにフェレットに意地悪するぞ。」

 リインに意地悪をするのは何か申し訳ないからと、アギトは代わりに何故かフェレットに照準修正する
決意を固めた。理由はやはりサイズ的にフェレットが一番丁度良いからだ。犬や猫はアギトと比較して
大き過ぎて負けてしまいそうであるし、逆にネズミやハムスター等は小さすぎて何か面白く無い。
そして虫類はグロテスクで意地悪どころの騒ぎでは無い。それ故にアギトとほぼ同体格のフェレットに
白刃の矢が立ったのであった。

「けど…フェレットって何処にいるんだ?」

 フェレットに意地悪するのを決めたものの、アギトは周囲を見回しながら困った。
何故ならば、その肝心のフェレットが見当たらないのであるから。

 それからアギトはフェレットを求めて彼方此方探し回ったり、それに関しての情報収集を始めた。
何かすっかり目的と手段が入れ替わっている様な気もするが、本人はまるで気にしてはいなかった。

「フェレットはいたけど……どこも変な問題起こりそうな所ばかりだな〜。」

 アギトの情報収集の結果、フェレットの居場所を幾つか掴む事は出来た。しかし、だからと言って
本来の目的を実行する事は出来なかった。何故ならば、アギトの見付ける事が出来たフェレットは
ペットショップの商品だったり、また誰かに飼われている物が大半だったのだから。

 ペットショップのフェレットに意地悪をすれば、その店との問題に発展するし、
誰かに飼われているフェレットに意地悪をすれば、その飼い主との問題に発展する。
故にアギトは行動に移す事が出来なかった。

「は〜…どこかに野良フェレットとか転がって無いかな〜。」

 さんざ歩き回ってすっかり疲れた為に本局に戻って来たアギトは失意のまま本局通路をトボトボと
歩いていたのだが、そんな時に彼女は後の運命を大きく変える事となる出会いを果たすのである。

482真フェレット 衝撃!アギト編 2 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:05:07 ID:ulrb7k9g
「あ………フェレット…………。」

 アギトは見た。本局の通路をトコトコと歩く一匹のフェレットの姿を。薄黄土色の毛並みと翠色の瞳をし、
頭に二本のアホ毛が生えているとても可愛らしいフェレット。

「ゆ…夢じゃないのか…? ここ本局の中だぞ。何でフェレットが歩いてるんだよ…。」

 先に説明されている通り、ここはミッド地上では無く本局と言う人工的に作られた施設の通路内。
そこをフェレットが歩いていると言うのは実に不自然であったが、今のアギトにとっては好都合。

「よ…よし。何でこんな所にフェレットがいるのかは分からないけど、コイツなら…コイツなら
意地悪しても大丈夫だ。」

 何を根拠として大丈夫なのか分からないが、アギトはこのフェレットに意地悪をする事を決めた。
そしてまず意地悪の第一段階として、歩いているフェレットの後を付いて行く手を取っていた。

「おいフェレット。お前何処へ行くんだ?」
「きゅっ。」

 同じく意地悪の一環として話し掛けてみたアギトであったが、フェレットはかすかに聞こえる程度の
小さな声で一鳴きするだけであり、構わず歩き続ける。それがアギトには面白くない。

「おい。聞いてんのかよ。何処へ行くんだって言ってるんだよあたしは。」

 アギトはフェレットの頭を小突いた。こうすればフェレットは情け無い泣き声を発して痛がると
アギトは考えていたのだが、フェレットは意外にも冷静であり、ゆっくりとアギトの方にふり向いていた。

「きゅ〜。」
「お! やんのかこら!」

 アギトを睨み付け威嚇を始めたフェレットに対しアギトはファイティングポーズを取った。
こうして襲い掛かって来たフェレットを軽くあしらってどちらが上か思い知らせてやろうと考えていたのである。

483真フェレット 衝撃!アギト編 3 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:06:09 ID:ulrb7k9g
「きゅ〜!」
「遅い!」

 勢い良く跳びかかって来たフェレットの突撃をアギトは華麗にかわし、腹部にカウンターの蹴りをお見舞いした。
アギトはこの後フェレットは腹を押さえてのた打ち回るはずだからそこを笑ってやろうと考えていたのだが…

「きゅっ。」
「あれ…? 確かに腹蹴ったはずなんだが…。打ち所間違えたか?」

 腹を蹴られたのにも関わらずケロリとしているフェレットにアギトは若干驚いた。
フェレットはその外見の通り胴が長い故、腹部への蹴りは当てやすいし、実際アギトの蹴りは
フェレットの腹部に命中していたはずなのだが…

「ならもう一度蹴り飛ばしてやるよ。」

 アギトは今度こそフェレットをのた打ち回させようと今度は自分からフェレットを蹴りに行こうとしたのだが、
その時だった。アギトの着ていた服に僅かな切れ目が生じ、その切れ目がまるでたった一つの穴からダムが
崩壊して行くかの様に衣服全体にまで広がり細かく切り裂かれ、忽ちの内に全裸にされてしまったのだ。

「キャァァァァァ!! な…何が起こったんだよぉぉ!」

 アギトは思わず顔を真っ赤にさせ、両手でそれぞれ胸と股間を押さえて蹲ってしまった。
アギトには何故自分の着ていた衣服が突然全て細かく切り裂かれ、全裸にされてしまったのか
ワケが分からなかった。が、その時にアギトは見た。フェレットの前足の指先から伸びている
爪が照明の光を反射して光っていた所を…

「ま…まさか…お前がやったのか…。」
「きゅっ。」

 如何にも人懐っこそうな可愛らしい声で一鳴きするフェレットだが、アギトは逆に真っ青になった。
アギトの衣服を切り裂いたのは他の誰でも無いフェレット。ここに来て初めてアギトは自分の行いの
間違いに気付いていた。

「あ! あああ………。」

 次の瞬間アギトのとった行動。それはフェレットの爪で細かく切り裂かれた衣服を掻き集め、
それで何とか胸と股間を隠しながら逃げ出す事だった。自分はとんでもない相手に喧嘩を売ってしまった。
勝ち目が無い。アギトが自分の間違いに気付いた時には既に遅く、今度はフェレットがアギトを
追い駆ける番だった。

484名無しさん@魔法少女:2009/09/13(日) 00:06:13 ID:MgahPhNQ


                              ● < 69_264氏乙!
(⌒⌒⌒⌒⌒⌒)                 / /|
 ))))))                    /  / |

                    (⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
                     ))))))

          Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         ( ´∀`)  < 残暑見舞い、潮風と共に君に捧ぐ
         ⊂    つ  \_______________
          \ \/ ̄\
           \/ 涼/
           /納 /
           \_/

(⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
 ))))))))

485真フェレット 衝撃!アギト編 4 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:08:35 ID:ulrb7k9g
「きゅっきゅっ。」
「だっ誰か! 誰か助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 フェレットが可愛らしい声で鳴きながら追い駆けて来る中、アギトは必死に助けを求めながら
本局の通路を駆けた。だが不思議な事に、何時もなら多くの人が歩いているはずの通路は
人っ子一人いなかったのだ。

「え!? 何で!? 何で誰もいないんだよぉぉぉぉ!!」
「きゅっきゅっきゅっ。」

 通路は愚か本局全体が完全に無人化してしまったかの様に無音だった。アギトが必死に助けを求め
叫んでも、ただそれが響くのみ。そしてアギトが後ろを向くと、フェレットが舌を出して追い駆けて来る。
そのフェレットの口から覗く牙がまた鋭く、照明の光を反射して輝いており、アギトの恐怖感を掻き立てた。

「うっうああああああ!!」
「きゅっきゅっ。」

 誰も助けの来ない孤独と言う名の恐怖の余り、アギトの目からは涙が流れ飛び散り、あろう事か
失禁までしてしまっていた。必死にフェレットから逃げるアギトの股間から尿が流れ落ち通路を汚して行く。

「きゅっ!」

 フェレットに対する恐怖の余り失禁したアギトの尿が全て流れ落ちた次の瞬間だった。フェレットが
勢い良くアギトに飛び付き押し倒していたのである。そしてアギトに組み付いたままゴロゴロと
通路の床を勢い良く転がって行く。

「きゃぁぁぁぁ! いやぁぁぁぁぁ!」
「きゅっきゅっきゅっ。」

 アギトは思わず悲鳴を上げてしまった。例えるならば、素人が柔道の達人から何パターンもの寝技を
連続で仕掛けられているかの様なイメージ…いやそれよりももっと酷いと言わんばかりな状況であった。
それだけフェレットの猛攻に対し、アギトは何も出来なかったのだ。

486真フェレット 衝撃!アギト編 5 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:09:39 ID:ulrb7k9g
「(こ…コイツ…力強……何で!? フェレットってこんな強かったのかよぉぉ…………。)」

 アギトはフェレットに何度も転がされる中で己の愚かさを悔やんだ。当初アギトはフェレットについて
鳴き声をあまり発する事は無く、ペットとして飼いやすくと言う評判から、大人しくて弱々しい小動物であると
考えていた。しかし実際は違う。フェレットがペットとして家庭で飼われる様になったのは比較的近年に
なってからであり、元々はウサギやネズミを狩る狩猟用動物として扱われていたのである。そしてペットとして
家庭に飼われる様になった後も、フェレットが自分より大きな猫や犬に襲い掛かった等と言う事例も
さり気無く存在する。そう。つまりフェレットは決してアギトの考えていた様な甘い動物ではなく、
れっきとした肉食獣。猛獣だったのである!

「きゅ〜。」
「うあああああ!!」

 眼前で大きく開かれた口から覗くフェレットの鋭い牙を目の当たりにして、アギトは思わず悲鳴を上げた。

「くっ食われる………あたしフェレットに食われちまうぅぅぅぅぅぅ!!」

 アギトの目からは大量の涙が飛び散り、残った体力を振り絞って必死に逃れようともがいた。
確かに一連の事態に関して非があるのはアギトの方であるが、だからと言って食われてしまうのは嫌だ。
うつ伏せにされていた状態から何とか起き上がり、フェレットから脱出しようとするが………

「うっ!!」

 次の瞬間アギトの全身が硬直した。そして股間部に何か固く巨大な異物が押し込まれた感触と激痛が彼女を襲う。

「あ……あぁぁ………。」
「きゅっ。」

 アギトが全身をプルプルと痙攣させ、己の身に起こった事態を把握した時には既に遅かった。
うつ伏せ状態から起き上がろうとしていた途中の四つん這い状態の際、フェレットが背後から
アギトの背に覆い被さっており、その拍子にフェレットの固く怒張した肉棒がアギトの処女を奪っていたのだから。

「いっいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゅ〜。」

 何故かアギトとフェレットを覗いて人っ子一人いなくなった本局通路内にアギトの悲鳴が響き渡った。
それは偶然か、はたまた必然かどうかは分からない。しかし、フェレットの怒張した肉棒がアギトの
膣口に深々と突き込まれ、その処女膜を容易く貫いていた事は紛れも無い事実であった。

487真フェレット 衝撃!アギト編 6 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:10:42 ID:ulrb7k9g
「いったぁぁ………。」
「きゅっ。」

 アギトはフェレットによって処女を奪われた。それはすなわち獣姦。アギトは当初サイズ的に丁度良い
と言う事でフェレットを狙ったが、それが逆に仇となってしまった。そう。アギトの膣は、フェレットの
怒張した肉棒を挿入するのにも丁度良いサイズであったのだ。

「きゅっきゅっきゅ。」
「あっ! あっ! あ〜っ!」

 そして次に始まった事。それはフェレットの激しい突きであった。まるでピストン運動の様にフェレットは
勢い良く腰を振り、抜いては突き、抜いては突きを繰り返す。それはアギトの体さえも無理矢理に突き動かす程の
激しい代物であった。

「きゅっきゅっきゅっきゅっきゅ。」
「あっ! もうっ! ダメッ! やぁっ!」

 疲れを知らないと言わんばかりに突き続けるフェレットに対し、アギトの全身は汗だくとなっていた。
そしてフェレットが突けば突く程アギトの膣はフェレットの肉棒によって開発されて行く。

「きゅ〜。」
「あっ……………。」

 今度はフェレットの体がプルプルと震え始めた。アギトが何か嫌な予感を感じたその時だった。

                   どびゅっ びゅびゅびゅっ

「んぁ…………。」

 出した。フェレットがアギトの膣内に勢い良く射精していた。濃く大量の精液がアギトの膣と子宮に
満たされ、フェレットが肉棒を引き抜いた膣口からもそれが溢れ出て来る程であった。

488真フェレット 衝撃!アギト編 7 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:11:41 ID:ulrb7k9g
「やられちまった………あたしは………何もかも奪われちまった………。次は……あたし……本当に
食われちまって………命も奪われるんだな…………。ゼストの旦那……あたしが旦那の所に付いたら…
迎えてくれな………。」

 アギトは己の死を覚悟した。この後フェレットの鋭い牙によってアギトの体は噛み千切られる……
と思われていたのであったが、意外な事にフェレットはこれ以上の事は何もせず、去って行く事であった。

「え…? 何でだよ……何で食わねぇんだよ………約束が違うじゃねぇか………あたしは覚悟したのに……
なんでお前はあたしを見逃すんだよ………何でだよぉぉぉ………。」

 普通なら命が助かったと言う事で、見逃してもらえた我が身喜ぶべきなのだが、アギトには
それが逆に自身の価値を貶められた様に感じられ、悔しかった。そしてアギトはその場に倒れたまま、
かすれた声でフェレットに呼びかけるも空しく、フェレットはそこからトコトコモサモサと去って行くのみであった。

「何で…何でなんだよ…フェレット…フェレットォォォォ…………。」


 それから数日後、本局の通路を一人彷徨うアギトの姿があった。

「何処だ? 何処にいるんだよ…フェレット〜………。」

 アギトはフェレットを探していた。フェレットに対する復讐の為にフェレットを探していると
思われていたが、その目はどこか違っていた。まるで離れ離れになった想い人を探している様な
その様な雰囲気が感じられた。

「一体何処に行っちまったんだよ〜…。」
「やあアギト。一体誰を探しているんだい?」

 そんなアギトに問い掛けたのは、たまたまそこを通りがかった無限書庫司書長のユーノ=スクライア。
しかし、アギトは相手をする暇は無いとばかりにそっぽ向いていた。

「うっせぇよ! お前なんか関係無いだろ!」
「手厳しいな〜。」

 アギトはユーノに構わずフェレットを探し続けた。フェレットは本局の通路を歩いていたのだから
本局内を探していれば再びフェレットに会えるに違いない。再びフェレットに出会う日を求めて
アギトは探し続ける。

「フェレット〜…一体何処へ行っちまったんだよ〜…。また出てきてくれよ〜…。」

                      おしまい

489 ◆6BmcNJgox2:2009/09/13(日) 00:13:45 ID:ulrb7k9g
以前フェレット形態のユーノの可愛らしさを前面に押し出した(つもりの)話を書いたら
「フェレットは猛獣だぞ」「フェレットは肉食獣だぞ」ってレスが返って来ました。

この時の経験が今回フェレット形態のユーノを猛獣的に描く際に大いに役立ったのですから
世の中何が幸いするか分かった物ではありませんね。

490名無しさん@魔法少女:2009/09/13(日) 00:14:09 ID:MgahPhNQ
◆6BmcNJgox2氏、すみませんでした
投下中に、割り込んでしまって本当に申し訳ない
油断してリロードしてなかった・・・吊ってきます

491名無しさん@魔法少女:2009/09/13(日) 00:14:28 ID:j1uoLIms
うーむ。ベルカのミニユニゾンデバイスはフェレットと身体の相性が抜群なのか? 一発で虜になっていやがる。


492名無しさん@魔法少女:2009/09/13(日) 15:38:46 ID:hWVhzS.6
乙です! カオスってる状況が素敵!

493名無しさん@魔法少女:2009/09/16(水) 23:19:19 ID:P3tRy8Xo
また書き込みがなくなったな。
まぁ投下もないし話題になる話もないからな。

という訳で復活して欲しい職人さんを挙げてみる。
俺は640氏

494名無しさん@魔法少女:2009/09/17(木) 00:17:22 ID:d3ylDVPk
なのはさんの教導の続きを待っているんだが

495野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:25:14 ID:i6/mDVG6
さて、記念すべき100スレ目での初投下行きます。

 タイトル「自分探し」

 救い? ハッピーエンド? なにそれ美味しいの?

 非エロ 欝?
 全7レス

 あぼんはコテか鳥で

496野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:25:49 ID:i6/mDVG6
        1

 絶え間ない違和感が、フェイトの身体を覆っていた。
 もう、その原因はわかっている。
 世界そのものが異なるのだ。違和感を感じない方がどうかしている。

 そして――
 世界が消えていく。
 母さんのいた世界が。
 姉さんのいた世界が。
 リニスのいた世界が。

「さよなら、フェイト」

 フェイトは目を覚ました。
 そして、違和感が消えたことを知る。

 違う。この世界は違う。
 自分の中の何かが告げる。この世界は違う世界なのだと。
 限りなく優しく、限りなく温かく、そして限りなく異なる世界。

 それが、ついさっきまで存在していた違和感。

 優しい母のいる世界。
 元気な姉のいる世界。
 決して存在してはならない世界。
 とても存在して欲しかった世界。

 それが、ついさっきまで自分のいた異世界。

 闇の書の幻により生み出された世界。自分の中の記憶と願望により生み出した世界。
 
 世界は消えた。自分は幻の誘惑に打ち勝った。

 フェイトは、なのはの姿を探していた。
 なのはがいてくれたから。
 なのはが名前を呼んでくれたから。
 だから、自分はこの世界に帰ってくることができた。
 だから、なのはの姿を探す。

 闇の書を倒し、はやてを救う。それが今のなのはの望み。そして、なのはの望みは自分の望みでもある。

497野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:26:24 ID:i6/mDVG6
   2



 ……強いな。
 ……ええ、思ったより障壁は強いようですね。
 ……レベルを上げるとどうなるかね?
 ……フェイトお嬢さまに恒久的な障害が残る可能性があります。
 ……ふむ。肉体的な障害かね?
 ……それならば、ドクターの前では何の心配もないでしょう。しかし、この場合は精神的な障害です。
 ……ああ、それは少々困る。仕方ない、もう少し様子を見ようか、ウーノ。
 ……はい。ドクター。





 フェイトは、どこからか聞こえてきた小さな声に耳を澄ます。
 ドクター?
 ウーノ?
 一体誰なんだろう……。
 心当たりなど……いや……これは……
 違う。何故自分はそんな名前を知っているのだ。

 無限の欲望
 ナンバーズ長女
 
 どこからそんな言葉が出てくるのか。
 どうしてそんな言葉を知っているのか。

「フェイトちゃん!」

 なのはが呼んでいる。そうだ、じぶんはなのはに必要とされている。それ以外、何が重要だというのだろう。

「なのは! 今行くよ!」

 ……本当に?

 疑惑がフェイトの足を止める。
 自分はなのはに呼ばれている。本当に?

「フェイトちゃん、どうしたの?」

 闇の書の夢から抜け出したところ?
 そう、闇の書の見せる幻から抜け出したところ。

 ただし、二回目。
 すでに闇の書はない。ここにあるのは、いや、はやてが所持しているのは闇の書ではない。
 リインフォースもいない。そこにいるのはリインフォースツヴァイ。

498野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:26:55 ID:i6/mDVG6
      3

 この世界そのものが見せかけ。
 この世界は、フェイト自身の記憶から捏造された偽りの世界。
 だから、フェイトはドクターを知っている。
 ドクターと呼ばれる者の正体を。
 ウーノと呼ばれている者を。
 ならば。

 ……ドクター、精神活動が異常活性しています
 ……面白い。外部からの干渉に堪える精神力か。リンカーコアから力を引き出しているのか?
 ……AMF濃度を上げますか?
 ……いや、私も見てみたくなった。フェイト嬢の精神力とやらを。
 ……では、トーレとセッテに待機させます
 ……用意がいい。さすがウーノだね
 ……ありがとうございます。

 夢だ。
 これは幻の世界、と自分に言い聞かせる。
 あの時、闇の書の呪縛から抜け出した自分なら。
 今も同じ。きっと、なのはが待っている。エリオが、キャロが、はやてが、シグナムが。
 だから、抜け出してみせる。
 スカリエッティの作り出した世界から。
 この世界を脱出する。幻を破壊し、現実を構築し、再帰する。

 ……面白い。これほどの抵抗値を示すとは。さすがは、あのプレシア・テスタロッサがその叡智を懸けて作り出した存在、と言うべきかな?
 ……ドクター、このままでは理論計測値を超えます。
 ……そこまでか……。仕方ない、

「フェイト……ちゃん?」

 なのはが呆然と自分を見ている。
 フェイトは微かに胸の痛みを感じていた。それでも、そこにいるのは幻影のなのは。
 アジトに潜入した自分を捕らえたスカリエッティが、自分の記憶から構築した幻影。  
 少しずつ戻り始めるフェイトの記憶。
 はこぶね破壊に出向いたなのは。
 スカリエッティ逮捕に出向いた自分。
 そして、トーレとセッテを相手取り、いったんは勝利を収めるものの、ルーテシアと闘うキャロとエリオの姿に注意を奪われ、捕らえられてしまった。
 それが、今の自分。
 スカリエッティに幻覚を見せられているのだ。その理由は未だわからない。
 しかし、闇の書と対峙した際の記憶を微妙に改竄されているところを見ると、偽りの記憶で自分を操るつもりなのかとも思える。

 ……無駄だ

 とフェイトは呟く。

499野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:27:27 ID:i6/mDVG6
     4

 偽りの記憶など、真実の前では色あせる。どれほどの甘言に溢れた世界であろうとも、現実の前では色褪せるだろう。
 幻は現実に敗れる。それはすでに、過去の自分たちが証明してきたことではないか。
 だからこそ、フェイトは目前のなのはを黙殺した。

「フェイトちゃん?」

 なのはではない。どれほど似ていたとしても。それはなのはではない。
 フェイトはも、微かに心に浮かぶスカリエッティの声を探していた。
 まるでノイズのように薄く、ランダムに発生しては消えていく言葉。それが現実の言葉。

 ……気付くのは、時間の問題かな。
 ……どうされます? ドクター。
 ……ナニ、気付いたところで拘束している事実は変わらない。慌てる必要はないさ。

 今にもかき消えそうな囁き声ほどの音量に、フェイトは精神を集中する。
 自分の中に生み出す、確固とした指標。

 ……私は、私の世界に。
 ……私のいるべき世界に。
 ……私が厳と存在する世界に。
 ……導となる錨を撃ち込む。
 ……確固たる我のある世界。
 ……導き、固着せよ。
 ……世界へと。
 ……我の世界へと。

 一瞬、フェイトの瞳に映るなのはの姿がぶれた。まるで、壊れかけたディスプレイの映像のように。
 フェイトはその現象に意を強くする。
 
「フェイイイイイイトトトトトトちゃああああんんん」

 音声までがぶれはじめ、フェイトは嫌悪に表情を歪める。

「フェイト・テスタロッサ! 君は自分が何をしているのかわかっているのか!」

 なのはの姿に重なる白衣の男。
 ジェイル・スカリエッティ。

「やめたまえ! 君はわかっていない! これは、君一人の……」

500野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:27:58 ID:i6/mDVG6
    5

 ぶつん、という音が聞こえたような錯覚。それとともになのはの姿が消え、周囲の景色も消えていく。
 フェイトは身構えた。
 そこにいるのはナンバーズウーノとスカリエッティのはず。
 二人を確保し、すぐにはやてに連絡しなければならない。

 ……否
 ……否

 心の中の錨が唱える。ここは自分の世界ではないと。もっと確固たる世界があるのだと。

 否!
 否!

 心は叫ぶ、ここは違うと。

 もう、闇の書との戦いは終わったのだ。今は、ナンバーズとの戦いなのだ。

 否!
 否!

 心はさらに叫ぶ。
 フェイトは心の叫びに戸惑う。

 否!
 否!

 何故、否定する? ナンバーズとの戦いを否定する?
 ここが自分の世界ではないのか。
 ここは、自分の世界ではないのか。

 否!
 否!

 風が吹いた。
 フェイトは目を閉じる。

501野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:28:33 ID:i6/mDVG6
     6

 ……嘘だ。

 吊り下げられた腕が痛む、それでも、痛めつけられた身体の各所の上げる悲鳴の前では腕の痛みなどは些少なことだろう。

「貴方は、どうして私を失望させるの?」

 お母さんがいる。プレシア・テスタロッサが。

「フェイトぉっ!」

 アルフの叫びが聞こえる。

「何をぼうっとしているの? 人の話を聞いているの? それとも考え事!?」

 ああ。
 いっそ懐かしい想いに、フェイトは笑い出したいのを堪えた。
 ここは時の庭園。そして、母親に折檻を受ける自分。
 闇の書事件のさらに前。どうして、こんなところまで。
 さらなる、幻覚なのだろうか。
 こことて、自分の世界ではない。

 否!
 否!

 ほら、心が叫んでいる。
 ここは自分の世界ではないと。

 ここは違う。

 否!
 否!

 そして、闇の書との戦いも違う。

 否!
 否!

 ナンバーズとの戦いは?

 否!
 否!
 否!
 否!

 一体、どれが幻影なのか、何処が真実なのか。
 全ての世界に、フェイトの心は否を唱えている。

 戻らなければならない。
 自分の世界へ。
 自分の本当の世界へ。

 否!
 否!
 否!
 否!
 ……

 否定が止まる。
 ああ、ここが自分の世界。
 幻影を全て失った自分の世界。
 本当の自分の世界。
 幻影を見せていたのは……

 全てに気付いたときには、悲鳴を上げることすらできなかった

502野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:29:40 ID:i6/mDVG6
    7






 研究室に入ると、使い魔のリニスがモニターを睨みつけてゲームをしていた。

「また、そんなことやってるの?」

 言葉とは逆に、プレシアの表情は笑っていた。

「あら、また培養モニターの方に繋いで遊んでるのね」

 プレシアは、モニターに映っているゲームに目を向ける。そこでは、魔道師や半機械の戦闘員が画面狭しと闘っていた。
 画面に「スカリエッティ」「ナンバーズ」「なのは」「アルフ」などと書かれているのは使用キャラの名前だろうか。

「ああ。すいません。しかし、こちらの方がモニターが大きいのです。それに、定時のチェックは怠っていません」
「この部屋の管理は貴方に任せているから、やり方に口は出さないわ」
「ま、培養ポッドを弄らなければ構わないけれど」
「勿論です。ですが」

 リニスが笑った。

「この者にもゲームくらいさせてもいいかもしれませんよ? お嬢さまのお役に立つという任務を果たしているのですから」
「自意識もない、ただの献体に?」
「冗談ですよ、プレシア」

 そこにあるのは、娘アリシアのクローン体。一応脳はあるが、機能はしていないはず。
 病弱な娘のために、臓器パーツの提供元として母親が製造したクローンの身体。
 戯れに「フェイト」という名前を付けられたそれは、いつものように培養液の中で静かに浮いている。

「……これも、夢を見たりするのかしら?」

 プレシアは誰にともなく呟くと、実験室を後にした。

503野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/09/17(木) 00:30:57 ID:i6/mDVG6
以上、お粗末様でした。


……次こそはエロエロ書きたいな。

無論はやてちゃん○才(with車椅子) で。

504名無しさん@魔法少女:2009/09/17(木) 01:04:38 ID:ZdbPTeU2
鬱というか、ホラー?
世にも奇妙な物語な感じですな。

途中の、スカリエッティが止めろと制止してきた辺りの件が、読解力のない自分にはよく分からなかったです。
ジュエルシードで、変な風に願い、というか念じていた思いを叶えてしまった、ということなのだろうか。

505名無しさん@魔法少女:2009/09/17(木) 01:08:40 ID:I2yauRjs
スカリエッティやなのは、闇の書の出来事全てが最後のゲーム中の世界ってことなんだろか
で、それを幻だと決めつけたフェイトの思い込みでスカ達を道連れにその世界もぶっ壊れたってことなんんかね

それはさておきGJっしたー

506名無しさん@魔法少女:2009/09/17(木) 09:47:21 ID:WOUFQ2Gc
>>503
GJ

507名無しさん@魔法少女:2009/09/17(木) 10:17:37 ID:pI2kJi0E
>>493
彼は今でも書いてるじゃまいか。個人サイトだし、エロもないけど。

>>503
GJ!

508名無しさん@魔法少女:2009/09/17(木) 12:49:55 ID:bupPgyX2
GJ、これ見てたらフォールアウト3のトランキルレーン思い出したよ…

509名無しさん@魔法少女:2009/09/19(土) 08:06:50 ID:aI8mDOjg
Cursed lilyの続きマダー?

510名無しさん@魔法少女:2009/09/19(土) 17:11:39 ID:FE0C0J6Y
野狗氏GJ
相変わらずこういう短編は上手いですね


そして俺は、ておあーさんのSSの続きも見たい!!

511名無しさん@魔法少女:2009/09/19(土) 21:31:09 ID:XzL4BmhA
リリカルフェイトを……

512名無しさん@魔法少女:2009/09/19(土) 22:46:29 ID:DTb1.oLk
>>509
俺もずっと全裸で待ってる

513名無しさん@魔法少女:2009/09/19(土) 23:47:00 ID:hHNcjOXc
サイヒさんのあの日見上げた空へってもう終わりましたっけ?

514サイヒ:2009/09/20(日) 06:28:25 ID:B/l9yPjg
>>513
色々あって連載中断。
再構成して復活の可能性は消費税ぐらいのパーセントだと思っといてください。
中途半端なことしてすいません。


データ吹っ飛んで数十kb分がパーになったりリアルで職が変わったりして
モチベが下がってたんですがぼちぼち復帰予定。

515名無しさん@魔法少女:2009/09/20(日) 06:59:44 ID:BI7gC9Xg
>>サイヒ氏
楽しみに待ってます。

個人的にはクロはや「しんじるものはだれですか?」も気になってる。
あの作品って確か第7話まで書かれてましたよね?
そこで中断していて…。
保管庫には第6話までしかアップされてないですけど…

516名無しさん@魔法少女:2009/09/20(日) 15:17:00 ID:vMWZUZVo
>クロはや
最新話までちゃんと更新されてない?

517名無しさん@魔法少女:2009/09/21(月) 18:28:50 ID:j93fZdLM
>>サイヒ氏
ご帰還をお待ちしております。
>>「しんじるものはだれですか?」
あれはいい作品だ。壊れたクロノが魅力的過ぎて他のキャラとのSSも読みたくなる。
ぜひとも復活してほしい。




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