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第三汎用スレッド

886とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 00:21:58 ID:iZBHsfDM
>>884
「…………あは。」

【こちらに迫る地面の一部を見ると取り出した杖をいきなり振った。
すると、瞬時に蜂蜜の球体から蜂蜜がまるで巻き取られるようにして杖に収束する。

そして、少女がその杖を円を描くようにぐるりと腕を振ると蜂蜜の壁が形成される。
それは、硬質化した蜂蜜であり、その地面を容易く防いだ。】


「んー、ねぇ……ねぇ、あの人はどうにかならないんですか?
折角の楽しい雰囲気が台無しですよー。」

【防ぎ切ると蜂蜜の壁は消えるが、使用した蜂蜜はマドラー状の杖に留まる。
すると、他の2人の方をじっと見て、甘えるような声で尋ねる。】

887とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 00:25:07 ID:HmtRaTiQ
>>886
「……チッ、やっぱバケモノか。」

【忌々しげな声が兜から漏れる】
【その光景を見て大層機嫌が悪くなったようで】

mob槍「オラァ!ヴォルケンオラァ!何美少女虐めてんだオラァ!!」
『なぁヴォルケン、手ぇ出したら浮気か? それとも実際に行為まで行かなきゃ……いや三人の気持ちを裏切るのはどうよ!?』

【……言われるがままにあの人(槌の人)に文句を付ける槍の人と、
 何やら意識が見当違いな方向に行っている金髪の人】

【槌の人はなんかもう、ぷるぷるしてる】

>>885
『ハッ……丁度いいガキンチョ! 浮気ってどっからだと思う!?』
mob槍「丁度良いガキンチョ!ちょっとそこの槌振ってるお兄さんダマラスのに協力してくれ!」


【もう無茶苦茶である】

888とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 00:32:02 ID:iZBHsfDM
>>885
「お空からお客さんですか、んふふ。」

【その少年の姿を見て、くすくすと笑うのは毛先のみが黒い金髪を持つ少女。
年は学生で言うところの中等部くらいに値し、まだまだ幼い印象だ。

傍らには巨大な蜂蜜で出来た球体が存在しており、甘い香りを放っている。
そして、少女は蜂蜜に塗れており、体を蜂蜜が伝っている。

月明かりに照らされて、ぬらりと輝く少女の体は年齢からかけ離れた妖艶さを放つ。】


「それとも……邪魔をしにきたんですかー?」

【一方で、地面が割れていたり、少女に向けてその地面の一部が投げつけられた跡が見えるなど
あまり、穏やかとはいえない状況も展開されている。】

>>887
「バケモノ?酷いですね、私はただの人間ですよー?
ただ、甘いものが好きなだけです、よ?」

【ふふふ、と笑顔を顔に貼り付けたままで。
指から垂れ落ちる蜂蜜を下でペロリと舐め取った。】


「そうですよ、ホント2人は……特に槍のお兄さんはお利口さんですねー。
今すぐにでも、とびきりの愛をご馳走してあげたいぐらいですよ。」

【と、mob槍のことを褒めている。
口調は甘えるようなものだが、言葉は甘えさせるものである。】

889とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 00:38:44 ID:jLDQRNNw
>>885
おいおい、言ってる事が噛み合ってねえぞ!
なにをしたいんだ、全く……

>>886
蜂蜜……か。甘いもんばっか食ってると、身体壊すぞガキンチョ!

【どこからどう見ても少年の背丈からして「ガキンチョ」と言うにはふさわしくなさそうなのだが……】
【とはいえ、あまり穏やかではなさそうな空気に、面白くなりそうだとワクワクしているらしい】

へっ。邪魔するな、だって?先に俺に攻撃してきた方を邪魔するさ。

890とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 00:42:19 ID:HmtRaTiQ
>>888
「臭ェんだよ、怪物。」
【にべもなく】
【最初の口調は何処へやら、粗暴なゴロツキの様な口調で】
【片手に構えた大槌を軽くぶぅん、と振るう】

mob槍「愛!愛だってよハーレン!朝までコースかな!?」
『愛……ハッ、パルちゃん……!

 良し、煩悩は振り切ったぜヴォルケンッッ!!』
mob槍「あふぅん!?」

【金髪の人は正気(?)に戻ったのか】
【槍の人を蹴倒して背の剣に手を掛けた】

>>889
『良いか? つまり、俺の彼女は全員かわいい、って事だ。』

【ドヤ顔、心なしからキラキラしたエフェクトが見える】
【まるで意味が解らない】

891とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 00:52:45 ID:iZBHsfDM
>>889
「ふふふ、それなら都合がいいです。
私はお兄さんに危害を加えるつもりなんかこれっぽっちもありませんから。

というより、危害を加えられたのは私のほうですよ。」

【にこにことした笑顔を顔に貼り付けたままで、バルムンクに語りかける。
そして、被害者は自分だと指で自身の胸の辺りを指した。】


「あの2人に聞いてくれれば、分かるとおもいますよー?」

【と、指しているのは槌を持っていない2人である。】


>>890
「んー……そうですか、そんなに嫌いですか……分かりました。」

【はぁ、と露骨に深いため息をついた。
周囲は噎せ返りそうなほどの甘い香りで満たされている。】


「そんなに嫌いなら、とびっきりのモノをご馳走して好きにさせてあげますよ。
それはもう……溺れるほどに、蕩けるほどに……。

甘い甘いこの感覚に痺れて……恍惚に体を預けて……。」

【流れ落ちるままだった蜂蜜の様子が変わっていく。
少女の体に絡みつくようにして、蜂蜜が這い回っている。】

892とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:03:03 ID:jLDQRNNw
>>890
「彼女……そうかい。ハァ」
呆れたような声を出した

>>891
「………」
笑顔を貼り付けていた彼女だったが、
沢山の人を見てきたバルムンクが表情で人の感情を読むなど用意で。
すぐにその笑顔の裏に隠された狂気めいた感じに気づいた。
……最も、頭がcrasyなのは三人組の二人も同様だが。

「……半狂乱なのはアンタの方か。だが……」

ちら、と三人組に目をやる。
鎚の人はともかく、そのうちの二人はあまり手を組むような知能はないと思える。

「はァ。結局、敵は自分で判断しろ、か……」
そう言って懐から鈍い輝きを放つ石を取り出したと思うと、その石が突然鋭く光り、
その時には少年の姿はなく、立派なドラゴンがそこにいた。
「グルルルル……(さて、その場のノリ的な感じで行きますか……)」

893とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:07:15 ID:HmtRaTiQ
>>891
「ウダウダ言ってねぇで来いよ、殺しに。
 結局はそうなるんだろうが、えぇ――クソバケモノがよォッ!!!」

【大槌の人が大槌を地面に叩き付け地面を打ち壊す】
【そうして生まれた大地の破片の内の一つを大槌で更に砕き、娘へ打ち出す】

mob槍「あーッ!?お前ッ!俺の事を好きだって言ってくれる可愛子ちゃんになんて事ヲーッ!?」
『落ち着けmob槍、お前の事を好きって言う女がまともな訳ねぇだろ!』
mob槍「酷い!?」

【金髪の方大剣を軽々と片手で持ち、槍の人をどついている、警戒しろ】
>>892
『あ? んだよ、お前マムクートか竜人か。』
mob槍「え、何、ハント?とかげ?」

【竜に別に驚く事無く】
【槍の方は何時も狩ってるトカゲ(リオ)を見るかの如く】

894とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:15:54 ID:iZBHsfDM
>>892
「………?!」

【突如として、ドラゴンへと変化した少年に流石にぎょっとした様子。
いくら王都といえどドラゴン種を見ることは少ない。

まして、少女のターゲットは主に人間である。人間ではないにしても少なくとも人型だ。
故に、このような状況は珍しいのだろう。】


「これは、驚きました。動物さんだったとは……。
んー、虫なら蜂蜜は大好物でしょうけど、ドラゴンはどうなんでしょうねー。」

【だが、これはこれで興味が湧いたらしい。】


>>893
「殺す、なんてとんでもない。
どうせなら、ゆっくり、じっくりと壊してあげますよ?」

【再び、杖を一振りするとそれに追従するようにして、蜂蜜が飛ぶ。
そして、まるで指揮者の指揮棒の様に杖を細かく動かすと、再び、自身の前に蜂蜜の壁が形成。

さきほどと同じように受け止める……かと思いきや、その壁から更に蜂蜜が展開される。
今度は蜘蛛の巣状になった蜂蜜でそれがこちらへと向かう地面と相対する。

蜂蜜の網によって、勢いを殺させて壁を以て防ぐつもりのようだ。】

895とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:27:00 ID:jLDQRNNw
>>893
「グロォォアァァァ……(ん、マムクートを知ってるのか、ちょいと意外だな。)」
なぜなら、ほとんどの人間はマムクートという種族を知らない。
故に、先ほどまでふざけていたような奴がマムクートを知っていたのは少し驚きだったのだ。
「グルル……(ま、いっか。)」

>>894
「グォオオオァァア!(残念だったな、俺は肉食だ!甘いのは口に合わん。)」
そう言って口に熱エネルギーをチャージしはじめた。

896とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:28:19 ID:HmtRaTiQ
>>894
「――。」
【岩を防いだ】
【即ち、当たれば通る、という事だ】
【そうでなければ防ぐ理由が無い、そう結論漬けた槌の人は――】

「――ぁぁぁああああああああああッッッ!!」

【打ち出す、打ち出す、打ち出す】
【弾は地面だ、幾らでもある、砕いた地面を更に砕き、飛ばし、穿つ――!】

mob槍「ああっ!? ちょっと待っててねはちみつ美少女!今直ぐに俺が止めtゴフゥ」
『……南無南無、っと。』

【槍の人が金髪の人によって沈められる
 最後まで哀れだった】

897とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:29:15 ID:HmtRaTiQ
>>895
『ああ、ハンターでな。 いや、龍かと思ったらマムクートだったって時は焦ったぜ。
 ……あ、未遂だぜ、別に同族手ぇ掛けたりはしてねぇから安心してくれよ。』

【何となく言いたい事を察したのかそう応える金髪】
【……あれ、何だかまともだぞ】

898とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:37:12 ID:iZBHsfDM
>>895
「……ふむ、火を吐く……一般的なドラゴンという感じですか。
あはは、これは余り美味しくない展開かもしれませんねー……。」

【蜂蜜は熱に弱い性質がある。弱いというよりも熱せられれば溶けてしまうのである。
すなわち、蜂蜜を使用した防御壁などが無意味のものになってしまう。

対策を立てたいようだが、一方で打ち出される岩(>>896)を防いでいるため、思うように動けていない。】


>>896
「……そろそろ、壁も限界そうですね。
しかも挟み撃ち……意地悪ですね、お兄さんたちは。」

【少女の言葉通り、無数に打ち付けられる地面の一部によって蜂蜜の壁は崩れ去ろうとしている。
もちろん、砕けてしまえば、無数の岩の弾丸に少女は倒れてしまうであろう。】

「…………仕方がありませんねー。」

【はぁ、とため息をついた瞬間に、岩が壁に直撃し、壁が砕けた。
守るものがなくなったメヤズに打ち出された岩が迫る――――――……

だが、岩が通過した後にメヤズの姿はない。
それと付属して傍らにあったはずの蜂蜜の球体まで消えてしまっている。】

899とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:44:40 ID:jLDQRNNw
>>897
「グルァァォォオ……(まあ、殺してないならそれでいいけどよ……)」
(ん?まともになってないか?)
いつの間にか金髪の人の口調がまともになっていて不思議がっている

>>898
口に熱エネルギーを十分溜めた後
「グォオオオァァァア!(食らいやがれ、チャージ・ブレス!)」
ドォン!と、溜めた熱エネルギーを少女に向けて放出するが。
そこにはすでに少女の姿はなく、炎の球は少女がいた所に着弾して、そのまま消滅した。
「グルルルル……(ちぃっ……のがしたか……)」

900とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:46:21 ID:HmtRaTiQ
>>898
「逃げやがった――か……?」

【大槌を片手に、周囲を軽く見回して】

『ん、おう、終わったか?』
mob槍「うーん、スイーツエンジェル……」

>>899
『あぁ、うん、悪い悪い酒入ってたわ。
 いや呑みの帰りでよー。』

【騒いでる内に酒が抜けたらしい】
【龍言語を理解しつつあるが、気にしないでおこう】

901とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 01:56:23 ID:iZBHsfDM
>>899
【ズルル、と水っぽい何か不自然な音がバルムンクのほうへと迫る。
もちろん、少女の姿は今はない。だが、同時に蜂蜜の球体までも姿を消している。

とはいえ、術者が消えたのだから共に消えたと考えれば、自然だ。
だが、仮にそうでないとすれば、どうであろうか。

それはものすごいスピードでバルムンクの足元へと迫っている。
正しく不意打ちだ。しかし、ドラゴンの聴力ならば、察知できる可能性がある。

だが、スピードゆえに察知できても反応できるかどうかは分からないが。】

>>900
【草原の茂みがまるで小動物が駆け回っているかのように不自然にガサガサと動いている。
それは、もの凄いスピードでドラゴン状態のバルムンクへと迫っている。

目もくれずにバルムンクへと迫るその茂みの揺れはまるで導火線のようだ。】

902とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:06:51 ID:jLDQRNNw
>>900
「グルァァァ……(ああ、酒のせいか……)」
「グロォォォォ(って、龍言語まで理解するとか人間でもなかなか類を見ないな。)」
と、素直に感心している様子のバルムンクだった。

>>901
「……グル(ん?)」
なにやら水音のような音がするのを聞き取った。
同時に茂みがガサガサと猛スピードでこちらに向かってきているのを確認したバルムンク。
長年の経験がそうさせたのか、咄嗟の反射神経で地面を蹴り、危機一髪その謎の攻撃を回避する。そして、
「ゴァァァアア!!(そこにいるのは誰だ!隠れていないで出て来い!)」
と、攻撃が飛んできた方向を睨むのだった。

903とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:09:40 ID:HmtRaTiQ
>>901
「――――。」

【姿を確認する】
【敵は地中、遠い、自分に遠距離攻撃手段は無い――】

「――ハーレン・ムーシュッ!!」
『あいよ。』

【大槌の人が金髪の男の名を呼ぶ】
【名を呼ばれた男は軽々と持った大剣を手に、豹もいなやと言わんばかりの速度で駆けて】

>>901
『長いもんでな――ハァァァァァァッットッ!!ブレイカァァァァッ!!!』

【龍への返答を軽い調子で返して】
【大剣に何故だか桃色の魔力粒子を纏い、力任せにバルムンクが避けた攻撃へとハート型の斬波を放つ】


【ハート型て】

904とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:16:02 ID:jLDQRNNw
//まずい、そろそろ眠気が限界かもしれませぬ……だが落ちるわけにはいかなzzZ

905とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:18:23 ID:iZBHsfDM
>>902-3
【飛び立たれてしまったことに、それは急停止をした。
衝撃で、とぷんと〝ソレ〟が波打った。

そして、ハート型の斬波も読めていたとばかりに、避けた。
というよりも忙しなく動くソレを捉えるのには少々、心許ない。

すると、地面を走り回っていたソレがぴょんと軽く跳ねて、宙に浮く。
そうしたかと思うと、空中でぐるぐると渦を巻き始めた。

ぐるぐる、ぐるぐると空中に円を描きながら、その渦はだんだんと小さくなり始める。
そして、それが一つに収束した瞬間――――――。】


「んー、今のは完璧だと思ったんですけどねー。」

【蜂蜜が弾けて黄金色の少女が姿を現した。
先ほど忽然と姿を消してしまった少女そっくりの姿である。】

906とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:20:32 ID:HmtRaTiQ
>>905
「――蜂蜜のバケモノかよ、気持ち悪ぃ。」
『女の娘相手に気持ち悪ぃとか言うな、っつの。

 ……んで、どーするよお嬢ちゃん、続けっか? 三対一の乱交だぜ。』
「乱交とか言うな、酒残ってんのか。」
『いや、シラフ。』

【金髪の男は剣を軽々と回して、軽薄に】

>>904
//座、座目は―!

907とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:25:37 ID:jLDQRNNw
>>903
「グルル……(何故にハート……まあいいか)」
だが意外に強そうな斬撃に少々驚かされる。

>>904
突然の攻撃が集束したかと思えば、先ほどの少女そっくりの黄金色の少女が出てきた。
「グルル……(てめぇ……さっきのと同じか……?)」

ドラゴンは、彼女を睨みつつ質問をした。

//眠気に……くっ……する…わけ……にzzZ

908とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:27:58 ID:HmtRaTiQ
>>907
『あ、俺の契約してる精霊で嫁さんがパルちゃんつってな?
 そりゃぁもう可愛い愛の精霊なんだよ、もーな、すっげぇ可愛いの。
 いやどのぐらい可愛いのかっつうとヤバイぐらい可愛い。
 エルラさんとかサーシャももうマジバリ可愛いんだけどパルちゃんの可愛さはこう
 それとはまた別方向っつーの? エルラさんが綺麗系、サーシャが強気系だとしたら
 パルちゃんはほわほわ系の可愛さっつーかry』

【以下総略】

909とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:34:30 ID:iZBHsfDM
>>906
「あは、もう良いです。
どの道、こんな状況じゃ勝ち目はありませんしー。

ま、そっちのドラゴンには興味があったんで、どこまでイけるかは
分かりませんがヤりたかったんで、そのつもりでしたけどねー。

んー、上手くはいかないものですよ。」

【蜂蜜状態のままでため息を吐きつつ、少女の一挙一動から甘い香りが漂う。】

>>907
「んー、答える必要はありませんよねー?
いや、残念です。折角なら一口でもご馳走してあげたかったのですが……。

んふふ、ドラゴンに挑むのは私には早すぎたようですねー。」

【くすくすと笑いながら。
おそらく、あのまま気づかなければ、蜂蜜によって拘束された上で
この少女が殺しに着ていたのであろう。】


「ま、もう良いですよ。デザートは別腹なんて言葉もありますからね。
……正直、雛ちゃんの再調整で私も忙しいんで。

それじゃ、また会いましょうね、お兄さんとドラゴンさん♪」

【弾むような声と年相応の少女らしい笑顔を浮かべるとその蜂蜜の姿が崩れ去る。
どうやら、蜂蜜で作った人形だったのだろう。

つまりは本体が逃げるための時間稼ぎでもあったようだ。】

910とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 02:35:34 ID:HmtRaTiQ
>>909
『そうかい、そりゃ良かった。
 これ以上は浮気認定されちまいそうだからな、愛情過多だぜ。』

【勝手に妙な言葉を作って、大剣を背負い直す】
【大槌の人は舌打ちと共に蜂蜜に八つ当たり気味に石を放り投げた】

911とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 03:14:10 ID:fUMEBIWI
「………あれ?こんな所に人影が………」

薄青い髪の少女がふらふらと散歩をしてる。

912とある世界の冒険者:2013/05/04(土) 03:19:21 ID:iZBHsfDM

【崩れた蜂蜜はそのままに、その本体であったメヤズは既にどこかへと
消えてしまっていたとか、FO】

//ごめんなさい、FOしたつもりが書き込めていませんでした……。
//改めて、お疲れ様でした!

913とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 14:11:16 ID:qRiHg9qw
>>872
「ああ、言われんでも謝りには行きたいんだが………肝心のベルがどこに行ったかがわからん。
とりあえず走っていけば追いつけるだろうが…………ってなんか変なこと思ったか?」
ディフの不自然な言葉のつなげ方に何やら違和感を感じ、言及しようと。

>>873
「……………。」
よもやここまで使えない魔術だったのかと、不安定な魔術だったのかと思っておらず、唖然としている。

「あ、え、えっと………格闘戦の合間にこの動作しても魔術は使えるんかね?」
最後の望みとして適当にページを捲ってこの魔術のルールやらなんやらが書いてあるページを探しだそうと。
……もし使えた所で、多くの動作を要するこの魔術は実践では使えないだろうが

914とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 14:24:47 ID:6XIzsRP2
>>913
「えーっと…… 傷つける以外の他の理由を考えようとしたらロクでもない理由しか思いつかなくて」
「今考えてる事言っても毒にしかならないだろうし忘れて」

頭を掻きながらビートの疑問について答える
ビートに対してもベルに対しても失礼な理由しか思いつかなかった、らしい

「これ動作覚えるよりも魔力の使い方覚えた方が使えるんじゃあ」

>>873
「………うん、どうしようもない」

必死にフォンベルに対して伝えていたが、結局分かった所でどうしようもない
人の口には戸は立てられないからには被害を抑える事もできないのだ

「だけど…… 森の噂と侵食関連、繋がっているような気がしてならないんだけどな……」

915とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 14:32:57 ID:mf3ssyUY
>>913
フォンベル
「いいところに気がついたな、要はそういう事だ」
「パズルのピースを組み合わせるみたいに動作に組み込むんだよ、その手の術式は」
「馬鹿正直にその動作だけやっても潰されるのがオチだからな」

とは言うものの確実性や威力を求めるとやはり現状のままでは…といった具合。
そもそも何事においても一朝一夕で何とかなるほど世の中緩くない。

>>914
「無関係だとは俺様も思わねえよ、ただそんな事をしてる奴は何処の誰で何が目的なんだ?」
「まさか本気で侵負とかに世界を壊させるとか考えちゃあいないだろ」
「仮に本気だとしたらもっと上手いやり方はありそうなもんだしな…」
「明らかに侵負とは関わり合いのない噂も含まれてそうなんだろ?」

916とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 14:43:31 ID:qRiHg9qw
>>914
「…………だから、単に舞い上がってただけなんだってば。」
そこまで考えてなかった、とディフにそう伝えて。
(……まぁ向こうが言いたくねぇのなら言わないでいいか。
毒にしかならないって言ってるだろうし。)

「……正直、俺もそう思う。」
魔法使うにしてもいくらこれは無いんじゃないか、それを極めてもさして意味が無いんじゃないかと思いながら

>>915
「………もし動作に組み込めても何も出なかったらただの間抜けだな。」
「……それと、精密にこの動作をしないといけないのか?
例えば、このぐるりと一回転するって所で足払いを並行してやったりとか。」
とりあえず、最低限の使い方は出来る様子で安心しつつも細かい点をドンドン質問していって。
いろいろあったが格闘家の端くれである以上、それを近接戦闘でどう活かす、考えている様子。

「………そういえば、ベルはどこ行った?
あいつには世話になってるから謝りに行かねぇと。」
……そして、ここに来てようやくベルがどこに行ったかを聞き出す始末。
まず謝りに行くべきだっただろう。

917とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 14:52:23 ID:6XIzsRP2
>>915
「侵食と無関係だと思う噂の方が多い…… よね」

鶏やら半魔やら、こじつけでなら何とかつながりを持たせそうではある
だが本当に無理やりでしか結び付けられそうにない
鶏が例の剣の使い手だとかそんな感じに

「目的に対して手間が多い、そして手間と目的が見合う物だとしてももっといい手段がある」
「……完全にそこら辺の事考えてなかったよ。」

>>916
「それ以上でもそれ以下でもないのはわかってるんだけど……」
「……ああやばい、ネガティブ思考に毒されてきてる、これ以上考えるのはやめよう」

単純な事でも無駄に後ろ向きな事を考え複雑にしてしまうのだ
これ以上下手に考えるのはやめようと

918とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 15:02:39 ID:mf3ssyUY
>>916
「組み合わせる事は出来るだろうが他の術の動作とかぶって暴発もあり得るぞ」
「だからこそあんまり流行ってないんだよな、この手の動作術式」

とにかく工夫次第でしかないようで。

「さあ、家に帰ったのかどっかほっつき歩いてんのか、判らねえな」

>>917
「噂をばら撒いたのが単独なのか複数なのか、それすら分からねえ。
 何かの判断を下すにはチョット情報が足りねえな」
「まあ、いま言えるのは何者かが意図をもって噂をばら撒いているっていうぼんやりしたもんだ」

919とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 15:16:14 ID:qRiHg9qw
>>917
「………まぁ、いろいろ考えてくれてるのは嬉しいぜ?
……それで疲れてちゃあ世話ないけどな」
複雑な問題でもさして考えない自分とは真反対だなぁとか考えている。
なんだかんだで、自分を考えていってくれてるんだなともわかっているので相手を避難する気にもならないし。

>>918
「………他の動作と並行して行うこともできると……。」
逆に考えれば動作の途中で別の動作に切り替えたり、連続して魔法を使うこともできるということ。
しかし、それを行うには単に努力だけではなく、才能も必要になってくるのだろう。

(つまり、極めている前提なら、確率は低くとも手数で補えるわけか……。
…………悪くないかも。)
だが、不思議とビートは面白いとも思い始めていた。
師匠の戦い方とも、自身の目指した戦い方とも全然違うのに、惹かれるものがあった。

「………とりあえず、探してくる。
……なんかあったら骨は拾っておいてくれ。」
あそこまで不機嫌なベルを放っておくのはどうかと思い、塾の外に向けて走りだす。
ベルには恩義も感じているし、自分の失言が原因とはいえここで交友が断たれるのは嫌だからだ。

(……ヒロがもういない魔女の家にはいないだろうな。
………だったらどこだ?)
……特に宛もなく走ることになるが。

920とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 15:25:49 ID:6XIzsRP2
>>919
「生きて帰れよビート君、何かあったら草葉の陰から応援よろしく」

走り去るビートの背中に向け応援と不吉の言葉を送る青年
まぁ死にはしないだろう、多少は怒られるだろうが問題ない

と考えたが、先ほどガチで殺されかけたことを思い出し背中が寒くなる

>>918
「情報の出所については、火水神社の方が調べてくれている」
「無駄足になるかもしれないけど、もう少し森の噂について調べてみようと思う」

少し前に一人だと危険だとか言われたが、今なら多分大丈夫
誘ったら乗ってくれる…… かもしれない人がいるし、何より今持っている情報を伝える事が出来たのだし

「ああそうだ、話変わるけれどこの塾って今塾生募集したりしてるかな?」
「僕も魔法についてもう少し勉強したくて……」

921とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:03:29 ID:mf3ssyUY
>>919
「おいおい下手に歩き回らないほうがいいんじゃねえか?
 独り歩きでろくな目にあわないのは何度か経験してるんだろ?」

>>920
「しかし信用できるのかその神社…関係性がありそうなのは分かるが」

降って湧いたような神社の存在に懸念を示す。

「私塾は基本的にいつでも塾生募集中だ」

922とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:10:01 ID:qRiHg9qw
>>920
>>921
「……いや、それはわかってるんだが……それでも俺は探す気だぜ?
もしかしたらベルが巻き込まれてるかもしれないしな。」
ここで自分が折れたら、一生ロクデナシのままなのではないかと考えて。
例えこれでまた酷い目にあってもそれはベルを怒らせた自業自得なのだろう。世話になった人間を裏切ったのだから。

923とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:21:24 ID:6XIzsRP2
>>921
「…………」

信用できるかと聞かれ、少し振り返ってみる
犬になっている自分を強引に連れて行き、星渡や鬼滅衆の情報を教えてくれた巫女
そして情報を渡しながらも、肝心の所は話してくれなかった二人

「………今のところ、もらった情報におかしい点は無い。」

「それに僕を通じてどうこうするのも考えにくいし…… 盲信はできないけど、一応信用はできるんじゃないかな」

それに個人的な感情でなんとなく信用したいとも思っている
高所から突き落とした点では絶許レベルだが、悪い人達じゃなかった
自分の身を案じてくれたという意味では、鬼滅衆のあの浪人も悪い人ではないのだろうが

「よかった、それじゃあ…… またの機会にか、うん」

>>921-922
「独り歩きで碌な目に合わないんだったら誰か付いていけばいいんだよね?」
「それなら僕が付いていくよ ……ベストで最高でピッタリな付添い人とは言えないだろうけど」

そういって、返事を促すようにビートを見る青年
さっき謝るのを手伝うと言ったばっかりだしついでにこっからの帰り道がわからないし

924とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:24:57 ID:mf3ssyUY
>>922>>923
「まあ、俺様も色々忙しいからよ。
 いちいちソッチのやることに口出しも出来ねえからくれぐれも慎重にな」

そういって大魔術師は動き出す。

「とりあえず岩竜の名前から考えるか…」

925とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:33:25 ID:qRiHg9qw
>>923
>>924
「えーと、すまんな。
俺のわがままに付き合ってくれて。」
ディフが同行してくれると言ってくれたことに感謝しつつ大魔導師に向かい合って

「………これから、よろしくお願いします。
それじゃあ、またあう日まで。」
と一度礼儀正しくお辞儀をした後に塾の外に向かって歩いて行く。
……一度モノを教えてもらう以上、こういうことはすべきだと考えたからだ。

926とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:44:42 ID:6XIzsRP2
>>924
「了解。 それでは、近いうちにまた」

最近は石橋を破壊する勢いでやっているし、そこら辺は多分何とかなる
しかし忙しいの内容に関してはあまり反応しない方がいいだろう、
生み出したからには思う所もあるだろうし

>>925
「いや、いいよ 塾の事教えてくれた礼とかしたいし」
「それに誤魔化すためとはいえ謝るの手伝うって言ったからね」

ビートの隣まで少し歩調を早めて歩き、追いついたところで歩調を緩める
悪い奴じゃない、という考えならビートだって悪い奴じゃなさそうだし
何となく放っておけない

「……そういえば名前まだ名乗ってなかったね」
「僕の名前はディフ=エンス 王都のごく普通の冒険者の一人」

927とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:47:21 ID:mf3ssyUY
>>925>>926
大魔術師達は二人を見送る…さてこれからどうする

928とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 21:53:53 ID:qRiHg9qw
>>926
>>927
「ああ、自己紹介してなかったんだな、俺たち。
……おれはビート・バーランドだ。魔法も碌に使えなければ格闘だって微妙な残念な格闘家だ。」
むしろ今まで自己紹介していなかったのかと思い出しつつ自己紹介を返す。

「…………とは言ってもベルの行き先がわからねぇから適当に歩きまわるしかないんだよ…。
確実に魔女の家ではないだろうなぁ……。ヒロの移動云々とか言ってたし。」
……外に出たはいいが、具体的な行き先は決めていなかった様子。
これでベルは見つかるのか。

929とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:02:44 ID:6XIzsRP2
>>927-928
「急いで情報を伝えないと行けなかったのと合体侵食三兄弟の襲撃でまともに自己紹介する暇が無かったからね」
「そしてナチュラルに自虐ネタを……」


「………いや?ベルさん確か『帰る』とか言ってなかったかな?」
「そのまんまの意味じゃないかもしれないけど、確実に無いって言うのはないんじゃないか?」

確か落ちる直前に、それっぽい女性のそれっぽい言葉が聞こえたのを思い返しながら
心当たりがある場所なら優先的に潰しておいた方がいいだろうとも考え

930とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:08:40 ID:mf3ssyUY
>>928>>929
暫くはナレーションぐらいしかやることなさそうなので方針固まるまで待機するのであった。

931とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:17:16 ID:qRiHg9qw
>>929
>>930
「……だってさ、魔法使わないでひたすらに素手で戦えるように頑張ったってのによぉ………。
それを俺と同じくらいの奴らが魔法やら人外の力やらで簡単に越していくんだぜ?」
「………おまけに魔法使えるようになった所でそいつらに並べるわけでもねぇ…………。
……嫌になってくるよ、色々と。」
魔法が使えてもさして強くなることもできなかったのが精神的に答えたようで、ディフにそう愚痴を吐く。

「………魔女の家か、ヒロがいないにしても婆ちゃんは居るだろうしありえるか。
……塾サボって入り浸ってたらしいし。」
まぁありえるかなとも思い、念には念を入れる形で魔女の家に向かっていく。

(もしいなくても、ベルのご機嫌取りの方法を聞き出せばいいしな……。)
……現金なやつであった。

932とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:25:54 ID:6XIzsRP2
>>931
「周りが優秀過ぎて卑屈になるのは…… ………僕も小さい頃似たよなもんだったし正直笑えない」

「魔法に関しては、まだ産まれたての赤ん坊みたいな状態に見える」
「強くなろうにも、まだ歩き方も学んでいない状態 今は弱くてもまだまだこれからに期待できるよ、ビート君」

愚痴を吐くビートにフォロー半分、本音半分で答える
実際まだ魔力の放出の仕方さえ学んでいない状態だろう、モノにできるようになれば使えるかもしれない
この言葉通りじゃなかった時の事はあんまり考えないように、前向きに、前向きに

933とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:36:15 ID:mf3ssyUY
>>931>>932
そんなわけで森の中。
魔女の家にはまだ遠く。

進行方向からこちらに向けて駆けてくる小さな足音一つ。

934とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:40:11 ID:qRiHg9qw
>>932
「……まぁ、少しは期待しないとな。
………強くなってる頃には全部終わってるかもしれないだろうが。」
要は、早く強くなりたいようで、焦っているみたいである。
故に自身が力を手に入れるたびに一喜一憂するのだろう。
そのことに本人は気付いているのかいないのか……

「……………?」
順調に魔女の家に進んでいっている途中で足音が聞こえ、そちらを振り返り

935とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:43:43 ID:6XIzsRP2
>>933-934
「手っ取り早く手に入った強さは長続きしないしデメリットの方が多い」
「やっぱり、遅くても着実に手に入るしか他ないよ」

王都で数年間暮らしてきて悟った事
そしてビートの内心を知ってか知らずしてか、話す青年

進行方向から聞こえてくる足音
足音的にひそめているような感じはない、多分今のところは害のない相手…… だろうか

936とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:46:47 ID:mf3ssyUY
>>934>>935
「!」

駆けてきたのは身体を襤褸で覆う首に大きい痕がある裸足でボサボサ黒長髪の子供だった。
ヒロとよく一緒にいた無口な子供である。
かなり必至だ、何故なら。

『はっ、何処にいくってんだよ!』

目の前の木々を断ち切りながら姿を現した
携えたネオベイ刀だけは立派な素浪人風の男に追われていたからだ。

『このゼンショウ様から逃げられると思ってんのかよっ!!』

937とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:57:19 ID:qRiHg9qw
>>935
>>936
「………それじゃあ遅いだろ、俺が死ぬほうが早いわ。
だって、何度も死にかけてるんだぜ?長続きしなくても手っ取り早い方がいい。」
その考えの結果痛い目にあったにもかかわらず、根本的な考えは変わっていない様子である。

「だから、俺は魔法の才能にすべてを賭けるしか―――!
お前はヒロと一緒にいた………名前わからねぇ!」
必死に走ってきた子供の襟首を掴み、事情を聞こうとした時にネオベイ刀を持った男が乱入してきて

「……なんかコイツに用か?」
(………手には剣か……勝てるかねぇ……)
とだけ、言う。
前なら威勢良く立ち向かえたのだろうが、卑屈になっている今はあまり積極的に関わろうとはせず。

938とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 22:58:38 ID:6XIzsRP2
>>936-937
「その能力にむしろ殺される方が先だと思うよ、ビート君。」



「……………」


「ひょっとしたらいい人なんじゃないかと思ってたら、まさかのショタコン」
「見損なったよ、ああ見損なったしドンビキだよもう」

素浪人風の男性に冷たい目線を浴びせながら、黒長髪の子どもを庇うように立つ青年
やはり鬼滅衆は敵なのだと、辛いがこれが現実だと受け止めないといけないのだ

939とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:02:57 ID:mf3ssyUY
>>937>>938
『お、いつぞやの奴か。邪魔すんなよ、こちとら竜牙狩りに忙しいんだ』

腰の鞘に刀を収めつつ素浪人。

『とりあえずは一匹目だ。それで大分状況は俺達に良くなる』
「……」

ぜぃぜぃ、とビートに引っ掴まれた無口は息を荒げている。
全速力で逃げ回っていたらしい。

940とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:09:36 ID:qRiHg9qw
>>940
>>939
「………竜牙?」
何を勘違いしたのか子供の口を無理やり広げさせて竜牙とやらがあるのか確認しようと。
……そういうことでは確実にないだろう。

941とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:14:07 ID:6XIzsRP2
>>939-940
「……………」

ゼンショウを睨みながら、懐に手を入れる
竜牙の人については何も知らない、しいて言うならJD兄妹が悪い人ではない、という程度
そして目の前の鬼滅衆の一人についてはどうだろうか、侵食を浄化してくれるし目をつぶっていれば自分には何もしてこないはずだ

「………刀を収めるにはまだ早いんじゃないかな。 大人しく引き渡すとは一言も言ってないよ、ゼンショウさん」



「後ビート君多分そうじゃない そうじゃないから」

942とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:21:22 ID:mf3ssyUY
>>940>>941
じたばたともがく無口。
パッと見普通の歯…と見せかけて中は鋭い歯ばかり。
…竜牙?

『ああ、俺も刃を納めたつもりはつもりはね―

斬ッ!という音。
素浪人が一歩前へと足を出した瞬間、衝撃が3人を襲う。
下から上へと閃光が走った、そう見えたが…

―えな…ちっ、ちょいと距離が足りなかったか』

943とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:30:10 ID:qRiHg9qw
>>942
「んじゃあディフ、こいつのどこが竜なんだ?」
子供の口を見てどこも竜っぽくねぇなと毒づいて手を離し

「……とりあえず―――ッ!」
逃げろと促す前に閃光が走り、驚きつつもバックステップをして

「………やるのか?」
(えーと、ステップは二度だけだったけどその後の動作に繋げなかったら大丈夫だよな……?)
と、左右にステップを刻みながら構える。
……一度も使ったことがない魔法を、更に不安定なシロモノを一発勝負で使う気らしい。

944とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:38:08 ID:6XIzsRP2
>>942-943
「種族とかそんなのだよ ……多分」

だけど口の中、それっぽいような気もしなくない
いやだから竜牙というのは ありえるか

「居合斬り、それも斬撃波付きの……」

「うん、獲物の前で刀しまうような真似しないよね」

軽口を叩きながら、内心ヒヤヒヤしている
今の攻撃、間合いの範囲内で打たれた物だったとして反応していただろうか
少なくとも障壁を展開するまでの間、間違いなく当てる事ができた そう思う

「……鬼滅衆は侵食を浄化しに来たんじゃないのか?」

945とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:45:27 ID:mf3ssyUY
>>943>>944
しかしビートの足元には無口。
ちょっと邪魔くさい。
あと、ステップから始まる魔法がどうなるかは神のみぞ知る。
因みにこの場合の神は言わずもがな私だ!

『浄化の前の準備だ。それ以外の何物でもねえ』

じり、とすり足で間合いを詰める素浪人。

946とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:52:43 ID:qRiHg9qw
>>945
「………邪魔だ!どっか行ってろ!」
さすがに足元に要られては邪魔なのか振り落とす気でステップを続行。

「…………コイツがそんなに重要な人間なのか?」
そう、ステップをしながら素浪人に尋ねる。
シュールである。

947とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:55:01 ID:6XIzsRP2
>>945-946
「(……それ以外に亜人駆除っていう名目もあるんだろうな)」

間合いを詰める素浪人から離れるように、後ろ歩きで自分も離れる
相手の都合は何となくわかっている、それが何の武器になるかはさっぱりだが
星渡の事を持ちかけようにも、何かしらのきっかけがないと陰で聞いていた事がばれるだけだろう
そして肝心の戦闘ではというと さっきの技術を見る限り難しい

「この前はこういう子無しで侵食の死体の山作っていたじゃないか? それ以外の何物でもないって」

948とある世界の冒険者:2013/05/05(日) 23:57:57 ID:mf3ssyUY
>>946>>947
無口「…」

何処に、とその目は問うている。
当然だ。安全な場所何ぞどこにもない。
そしてビートの問いに素浪人は答えない。
そもそも如何でもよければ刀抜いて襲ったりはしないだろう…

『ありゃ宣戦布告みたいなもんさ。
 俺達が来たからには手前らバケモノに好き勝手させねえって言うな』

949とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:03:37 ID:1akNgDdc
>>947
「………だぁ!とにかく離れろよ!
これじゃあ俺だってぶった切られてお陀仏だ!」
今度は一回転して無理やり引剥剥がそうとする。

「…………んで、コイツを俺たちが渡さないって思ったらどうするんだ?
わざわざ攻撃してきた相手にむざむざ渡すと?」

950とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:06:18 ID:.fOFUQz6
>>948-949
「ゼンショウさん、それはあの死体の山を作った理由であって浄化の準備にこの子を必要とする理由じゃないよ」
「………さっきから妙に、話をぶらしたり、意味ありげに言わなかったりしてるけどそれは何故なの?」

理由は分かっている、何度も心の中で唱えている通り
ただ時間を稼ぎたい 戦闘に入るにしても逃げるにしても覚悟を決めたい

951とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:12:23 ID:/uiyl4JE
>>949>>950
「!?」

振り回され転がる。
はっきりいってそれは致命的なやり方だった。

『あー…もう面倒くせぇよ御前等』

横凪に閃光が走る。
放たれる衝撃は風によって相手を刻むカマイタチ。
ディフやビートは問題なかろうが無口には身を守る術などない。
抗う事なくその身がズタズタに切り裂かれる。

952とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:16:35 ID:1akNgDdc
>>951
「………ッ!」
横薙ぎの閃光が見えた瞬間に自身もそれに対抗するために両手を前に突き出して動作術式を完成させる!
正直言って、相打ちする気で放ったため、無口の怪我の状態には気づいていない。

953とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:20:51 ID:.fOFUQz6
>>951-952
「――――っ!」

無口が転がされ、相手にはカマイタチ
どっちも守らないといけないというのはわかる、だが遅かった

とっさに障壁を展開するが、完全に防ぎきる事は出来なかった
右手、顔、胸に深くはないが傷ができた
だが、今はそれよりもズタボロになった少年の方が不味い

少年に駆けより、再び背中で庇うように立つ
今回は、少し屈み、少年の息を確かめるように

954とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:27:29 ID:/uiyl4JE
>>952
ぶすん、黒煙が出て魔法は終わった。
動作の合間合間に喋るとか『ノイズ』が多すぎるのだ。
下手すれば暴発して自身の腕が吹っ飛びかねない。
習得していない魔術なんぞ使うものではない…

結果、カマイタチの餌食だ。

>>952
…息は、無い。
致命傷を受けてしまったようだった。

『…終わりだ』

955とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:34:11 ID:1akNgDdc
>>954
「………へへっ、やっぱ俺って………。」
「ぐわぁ!あだっ!ぎゃぁぁあああ!!」
無理やり振り切った結果、こうまでひどい結果になるとは思っておらず
多くの人間に致命傷を与えた自分を情けなく思いながらカマイタチに晒される。

そしてたっぷりと食らった後、傷だらけの状態で膝立ち状態になる。
意識も戦う気もあるが、相当に消耗している状態だ。

956とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:41:27 ID:.fOFUQz6
>>954-955
「  」

頭の中が真っ白になり、目の前が暗くなる
今の、今の一撃で……

「ケ、ア……」

とっさに回復魔法をかけようとするが、声が震える
短く息を吸い込み、落ち着かせる
まだだ、まだ確定している訳じゃない

「…ケアルラ!!」

短く、はっきりした声で治癒呪文を唱える
まだ息を吹き返す可能性だって残っている、いや低くないはずだ
そう簡単に諦められる物ではない

957とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:44:11 ID:/uiyl4JE
>>955>>956
『無駄だ』

冷たく言い放つのは凶刃を振るった本人。

『餓鬼に…それも竜の流れを汲むものなら尚更今の一撃耐えれるもんじゃねえ』

その言葉は事実。
無口な子供が動くことは二度とない。

958とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:48:10 ID:1akNgDdc
>>956
>>957
「……………。」
膝立ちのまま、少しも動かずにいる。
と言うよりここで動いてもただ刃を返されて殺されるだけだろう。

奴が隙を見せるか、そのまま立ち去るまで動く気がないのだ。

959とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:52:41 ID:.fOFUQz6
>>957-958
「…………」


青年の手から出ていた治癒魔法が、静かに消えた
治癒を行使した瞬間から薄々気づいてはいた
人間の傷を治す時とは違う、感触が死体を触った時の其れだった

960とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 00:54:51 ID:/uiyl4JE
>>958>>959
『じゃあな、恨んでくれても構わねえが…まずは手前の弱さを恨めよ?』

そう言うと素浪人は背を向け去っていく…

961とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 01:01:17 ID:1akNgDdc
>>959
>>960
「………えっと……行ったか………。」
一方、素浪人に気を取られていてそれ以外の状況を全く把握できていないビートは、立ち上がると倒れている無口を見つけて。

「………………あ?え?
………おい、嘘だろ?」
その、無残な姿に唖然としている。

962とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 01:08:59 ID:.fOFUQz6
>>960-961
「…………」

ビートに向け静かに首を振り、肩を落とす青年
この前の侵負に負けてヒトガタに落ちた冒険者とは、訳が違う
今回は完全に、自分の落ち度だった

963とある世界の冒険者:2013/05/06(月) 01:10:17 ID:/uiyl4JE
これからどうなる、今日は此処までFo

964とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 20:58:45 ID:Kj1mzhDk
>>961>>962
子供の身体は急速に風化し消えていく…残る襤褸布も刻まれ朽ち果て粉々だ。
何も残っていない。

965とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 21:03:40 ID:1uwSbmv.
>>964
「…………どういうことだよ、俺のせいなのか!?
………他の連中になんて説明すりゃあいいんだよ!!」
無口が風化していくのを見てパニック状態になっている

「………俺が悪いのか?俺が振りほどかなかったら死ななかったんか!?」

966とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 21:14:39 ID:yHscXv4M
>>964-965
もはや死体さえも残らず、塵と化した無口がいた場所の横を肩を落としたまま身動き一つしかしない青年
あまりにもあっけない、早過ぎる終わりだった
護る事ができなかった無口への申し訳なさ、早めに行動しなかったことへの後悔
そしてそれとは別に冷たく暗い何かが胸の中で広がるのを感じた

目の前が暗くなりかけたところに、耳に入ってくるビートがパニックを起こしている声
この事態に向けられる感情は同じであれど、青年はビートほど錯乱していなかった
少なくとも、見た目上は

「……それは、違う……… よ…‥」

「………」

「………違うよ、ビート君」

ビートの言う事を否定しようとして出たのは弱弱しい声
一度つぐみ、再び出したのは無理やり強さをつくろった、否定の声

967とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 21:21:59 ID:Kj1mzhDk
>>965>>966
「弱いから死んだ、それだけのことだろうがよぉ…何をそんぐらいで、うろたえてんだ?」

ゆらり、と暗闇からにじり寄る影一つ。
鬼を模した面を付け黒い洋服の上から白の和服を着崩すヒトガタである。

968とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 21:35:47 ID:1uwSbmv.
>>966
>>967
ディフから、自分は悪く無いと諌められてなぜか無性に腹が立つ。
自分を頼ってきたのに、それを振り落とした結果『殺して』しまったのだから。
ましてや、足にしがみつかれたのは初めてではない。すべてが始まったあの日にもしがみつかれていた。
あの日は足にしがみつかれていても戦おうとしていたのに、なんで今回は無理やり引き剥がしたのか。
自分が、自分の心が弱くなっているからだ。自分がもっと強くなければ守れるわけがないのだ。

「俺が悪いんだ!!お前に同情なんてしてもらいたくない……!
こんなんじゃあ、ヒロを守るだなんてとても無理だ……!!」

ディフの言葉が同情にしか聞こえない。
アイツが俺の立場だったらもっとうまくやっていただろう。だからこそ、情けなんてかけてほしくなかった。
そう、うなだれているところにかけられてくる声に

「……うるせぇ、弱いから死ぬんだとしたら俺はとっくに死んでるよ。
………守れなかったから死んでしまったんだ。」
と、言葉を返す

969とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 21:48:36 ID:yHscXv4M
>>967-968
考える余裕がほとんどなくなった頭でも薄々感付いていたごとが、
今回は嬉しくない事に命中してしまった
やはり、自分なんかよりもビートの傷の方が深い
言葉の端から、これが初対面でない事ぐらい読み取れた、
そして直前の行動からどうしても、自分の行動に行きついてしまう事も

「同情なんかじゃ、ないよ! 今回は………」

しょうがなかったと言葉を続けようとして、再びこみあげてくる自己嫌悪
運命とか、こうなるしかなかったとか 大嫌いな言葉に頼ろうとした自分に吐き気がこみあげてきた

「…………」

「……そんな風に割り切れるほど、楽な性格はしてないんだよ 残念ながら」

970とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 21:54:40 ID:Kj1mzhDk
>>968>>969
「あ?だから守れなかったのは手前等が弱いからだろ?」

小馬鹿にした様子でいきなり出てきた奴は語る。

「…にしても何も残ってねえな。こんな筈じゃあねえんだが」

971とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:04:53 ID:1uwSbmv.
>>970
「…………次があるとか、今度頑張ればいいとかそんなふざけたことを言ったらぶん殴る。そんで死ぬ」
ディフは、こんな状況でも必死に頭を働かせて言葉を発しているんだろう。
俺はそこまで頭が良くないのだから、考える必要はない、意味もない。立ち上がらなければ。
頭のなかで無理やり思考を切り替えて、生気のない顔で立ち上がって。

「………てめぇ!」
小馬鹿にされたことに苛立ちを感じて立ち上がり、ヒトガタに詰め寄る。
どうせすぐに倒されるだろうが、その前に一発ぶん殴って―――!

「………ん、お前、ジグザルザーにやられたんじゃ……。」
元気の無い様子でどこかで見たヒトガタにそう尋ねる。
………余裕が無いからか、今までヒトガタとすら気づいていなかった様子だ。

972とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:12:51 ID:yHscXv4M
>>970-971
そんな頭がめでたい事を言う訳ないし、急に現れた男の前後の言葉も繋がっていない
しかし今はそれに触れる余裕すらない、こっちも精神的にきつい
それよりも、先ずはビートを止めようとすることの方が先だった

「……ビート君、ストップ。 君もカマイタチ、モロで喰らっていただろ」


「そして『こんな筈じゃなかった』って、どういう事?」

973とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:22:42 ID:Kj1mzhDk
>>971
「やられるか、俺を誰だと思ってやがる」
「逆に返り討ちにしてやったぜ。
 ニンゲンって奴は偶に変なのを作りやがるな」

>>972
「あの餓鬼がくたばれば石が残る筈だったんだよ。
 龍玉とでも言えばいい代物がな…何故残らねえ」

ガリガリと頭をかく。

「畜生め、封印を解くにせよ食うにせよモノがねえんじゃな」

974とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:29:34 ID:1uwSbmv.
>>972
「誰があんなんでやられるってんだ!」
そうは言っているが、体中が傷だらけで出血量も激しい。
痛がっていないのは単に体を巡っているアドレナリンの効果だろう。

>>973
「んん、それなら最初から助けなんていらなかったと。」
エルンストの言っていたように、初めから行動に方向性を持ってそれに向かって突き進めば、こんな事にはならなかったのだろう。
なんで自分は他人の言っていたことを生かせないのだろうかと憤りを感じて

「んで、わざわざ皮肉だけを言いに来たのか?」
不機嫌な様子を隠さずに、ヒトガタに文句を言い。

975とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:39:01 ID:yHscXv4M
>>973
「……龍玉」

封印、龍。
噂の一つが頭に浮かんだ

確か、森の奥のどこかに転がる竜の卵
関連付けるならあれしかない

問い詰めようと口を開ける青年
このヒトガタが何故、そんな事をしようかと言いかけ

「……そうか、残念だったな」

……なぜか、やめた

>>974
「………」

ビートに自身の傷ついた右ほおと手を、さりげなく見せる
深くはない、けれども浅くはない傷 治療しなかったら不味いだろう

「……障壁で防いでやっとこれだ。 今は単に痛みを感じていない、それだけだ」

976とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:41:20 ID:Kj1mzhDk
>>974
「忙しい身で雑魚に一々構うかよ。
 こちとら餓鬼に用があったんだ。正確に言えば餓鬼の躯にだが」

>>975
「手前らが何かしたってわけでもねえようだな
 …あー、さっきの奴にでも問いただすか」

クルリと身をひるがえすと素浪人が立ち去ったほうへと歩いていく。

977とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:50:46 ID:1uwSbmv.
>>975
>>976
「だったらなんだよ、だったら痛くないうちに治療するしかねぁじゃねーか」
ディフに比べると一つ一つの傷が深いものの、幸運にも致命傷になりそうな箇所には傷が及んでいない。
無論、今も血が流れていて失血がひどい状況であるが。

「………ザコってなぁ!ふざけんな――――――ッ!」
ヒトガタの物言いにブチ切れたのか先ほどの忠告を無視して駆け出そうとした所で急に足がもつれだして地面に無様に倒れる。
……流れた血の量が酷い、倒れた原因は貧血だろう。

978とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:55:11 ID:yHscXv4M
>>976-977
「っ……! ビート、君!」

倒れたビートに駆け寄る青年
互いに血を流し過ぎた、すぐにでも傷を防がないとまずいだろう

「待ってろ、今治療、魔法を………」


「………こんにゃく」

青年の懐から、銀色の半固体が出てきた
今の持ち主である青年に向け、顔を向ける

「こっちの子の止血と治療を……頼む。」

青年がそう声をかけると、ビートの体に飛びつき特に傷が深く多い場所に、
体を広げてぴったりと張り付いた
血が少し吸われているのを感じるが、塞がっていくのも感じた

979とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 22:58:00 ID:Kj1mzhDk
>>977>>978
周囲に何かの気配はない。
戻るにせよ進むにせよ目的地にはすぐにつけそうである

980とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 23:03:56 ID:1uwSbmv.
>>978
>>979

「………ッ!いらねぇ――――――いや、すまん。」
もろにカマイタチを食らった右肩に張り付いた銀色のなんかを引剥剥がそうとするが、頭がやっと冷えてきた様子でディフに礼を言い

「とにかく、魔女の家に行こう。
色々と報告しなきゃならん。ベルの事とか、あの子の事とか。」
と言って傷ついた体に活を入れて起き上がり、ヨロヨロと先を進んでいく。

981とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 23:08:40 ID:yHscXv4M
>>979-980
「……肩貸すよ」

貧血で倒れた人間を一人で歩かせるわけにはいかないと、左側からビートの腕を回す青年
こっちの傷がしみるが大したことじゃない、魔女の家に辿り着けば多分、手当てしてもらえるはずだ

「予想以上に冷静で、安心したよビート君」

982とある世界の冒険者:2013/05/07(火) 23:10:24 ID:Kj1mzhDk
>>980>>981
さてはて魔女の家には…てなところで今日はおしまい。
次回は多分、青いのも居ないと出来ない。

983とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:26:54 ID:XURBCLKA
そんな訳で魔女の家!

えっちらおっちら家へと水を桶で運び中なのは、
質素なフード付きローブを纏った茶のポニテな金目銀目娘、エクゥスである。

エクゥス「よいしょー」

984とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:33:29 ID:x.7V6fdc
>>981
>>983
「………ああ、やっと着いた……。」
ディフに肩を支えてもらいながら歩いてくる軽鎧を着た青年。
体のあちこちから血が出ていることへの疲労感によって、悲しみが薄れている状態である。

「………あー、どうも。
………少し、話したいことがあるんだ。悪い報告がある。」
エクゥスを見かけるなりボロボロの状態のままそうはなしかけ

985とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:40:04 ID:TcXzft5E
>>983-984
「ゼェ……ハァ………ゼェ……ハァ………」

「や、やっと……か……」

魔女の家に辿り着く少し前から、息が切れるようになった青年
戦闘で感じた衝撃とダメージと疲労、そしてそれよりも前に魔力が切れる寸前になっていた
今になってようやく疲れを感じ始めたのだろう

エクゥスとビートが知り合いらしく、ビートが先に声をかけてくれたため
今回は黙って会話に参加しない青年

986とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:41:51 ID:XURBCLKA
>>984>>985
エクゥス「なっ…ど、どうしたんですか!?」

その惨状に慌てる娘。
ワタワタ。

エクゥス「な、何でしょうか?」

987とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:47:15 ID:x.7V6fdc
>>986
「………とりあえず、家に入れて休ませてくれないか?
………正直、立つのも辛い。」
体からもう血は流れていないが、それでも血が足りていない状況だ。

俺を支えてくれているディフも限界が近づいてきているし、今はもうベットで寝ていたい。
いろんなことがありすぎた。せめて考える時間がほしい。
だが、その前に報告すべきことがある以上、休むわけには行かなかった。

988とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:54:08 ID:TcXzft5E
>>986-987
「…………今ここで、説明……するのは、かなりキツくて………」

ビートを支える体に何とか力を入れ、疲労の色がハッキリと出ている声でエクゥスに言う青年
今ここで長々と説明したら間違いなくぶっ倒れる

989とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 21:59:33 ID:XURBCLKA
>>987
エクゥス「…あ、でしたらいい場所がありますよ!」

ふたり交互に見やり名案だとばかりに娘。

エクゥス「こっちです!」

がさり、と茂みをかき分け獣道を指し示し自ら進みだす。
先に何があるのやら。

990とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:04:32 ID:x.7V6fdc
>>989
「ちょ、死ぬ………!
…………行くけどさぁ……。」
疲労感で満たされている体に鞭を入れて、エクゥスについていく。

(………疲れた……。)

991とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:08:34 ID:TcXzft5E
>>989-990

「………」

「……………ああ、墓場か。なるほど」


妙に納得した顔で、重い体を動かしてエクゥスの後を追う青年
疲れすぎてテンションがおかしくなってきたようだ

992とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:11:36 ID:XURBCLKA
>>990>>991
エクゥス「違いますよっ!はい、此処です!!」

木々に囲まれた小さな庭のような場に出た。
地面の所々から虹色に煌めく結晶体が生えている妙な場所であった。

エクゥス「その中心でお休みください。すぐに楽になると思いますよ」

中心では何やら陣が浮かび上がっている…何だろう。

993とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:16:49 ID:x.7V6fdc
>>991
>>992
「……………。」
いかに綺麗で、幻想的な光景でもこんな体ではそんなことを思う余裕もなかった。
言われるがままに、陣のあたりまで何とか歩いたあと、ディフを巻き込むようにして倒れこむ

994とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:21:26 ID:TcXzft5E
>>992-993
「――――――――」

ビートに抗う間もなく、エクゥスの返答を耳に残しながら巻き込まれるようにして倒れる青年
体が疲れ切っているせいでうめき声を上げる余裕さえも無い、水晶やらも、せいぜい墓場じゃないと思っている程度に

995とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:22:29 ID:XURBCLKA
>>993>>994
だんだんと身体にに熱を帯びる感じがする。
そしてむず痒くなっていく。
次いで意識がはっきりしてくると…明らかに身体が回復していた、ただし腹がムショウに減る。

996とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:30:21 ID:x.7V6fdc
>>995
「……………んぁ?」
体への異変を感じて、目を覚ますと何故か体が楽になっていた。
そして腹が鳴る。無茶苦茶腹が減った。なにか食べたい。

「………魔女の家に戻るか?」
おそらくは、目をさましているであろうディフにそう提案して
……何故かはお察しである。

997とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:36:14 ID:TcXzft5E
>>995-996
「ふ、ふぅー……… ようやく、人心地がついた……」

疲れていた体にようやく活力が戻る
むしろ最近の平常時よりも心地いい、腹を減っている事を除けば

「……うん、戻ろう。 色々話さないといけない事がある」

ビートの提案に頷く青年 断る理由が無かった
怪我が治った事を確認するとビートの体から銀色の半固体的な何かが剥がれ落ち、青年の懐へ戻って言った

998とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:39:10 ID:XURBCLKA
>>996>>997
ベル「話なら此処で聞くわよ。水一杯だってくれてやるもんですか」
エクゥス「あ、ベルさん」

とある呪文が刻まれたポンチョを羽織る腰に短杖を携えた銀ウェーブボブの女性が現れた!

999とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:46:09 ID:x.7V6fdc
>>997
>>998
「………うぇっ!?」
今の状況では一番会いたくなかった人物に会ってしまい、頭のなかが真っ白になって

「あ、あー……その………ベルがいるってんなら………用事は一つ増えたな………うん。」
しどろもどろになっている!

1000とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:53:56 ID:TcXzft5E
>>998-999
「………その用事よりも先に、言わないといけないことがあるよね」

目に見えて焦っているビートに、ベルに対してあんまり関わりのないため冷静だった
一番最初に謝らせた方が、やりやすかっただろう だがどうしても先に伝えないといけないことなのだ
後謝った後にまた怒られそうな事であるし

「ベル、さん…… だよね」
「長髪の無口な男の子の事 ……知っている、かな」

1001とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 22:56:45 ID:XURBCLKA
>>999
ベル「…」←明らかに不機嫌
エクゥス「?」←何が起こっているかサッパリ理解できていない

>>1000
ベル「……ああ、あの子のことね」
エクゥス「長髪の無口な子?」

1002とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 23:09:39 ID:x.7V6fdc
>>1000
>>1001
「………あー、ディフ……コイツが言うよりも俺が言ったほうがいいな。
……あいつとは短い付き合いじゃなかったし。」
ディフの説明を遮るように言い
これを言ったらベルとの関係は永遠に修復できないだろう。
それでも、このことは自分から説明するべきだ。自分が悪いのだから。

「………ヒロと一緒にいたアイツ、俺のせいで死んだよ。
…………滅鬼衆だったか、そいつから追われてたのに守りきれなくて………」
と、ベル達に簡潔に説明をする。

1003とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 23:17:16 ID:TcXzft5E
>>1001-1002
「…………」

ビートの言葉に、黙って頷いた


「………滅鬼衆は、人間至上主義の一応退魔の集団だ」
「侵食どころか人外さえも目の敵にして、容赦なく殺害する」
「………………彼が襲われた所を、僕たちは遭遇した。 だけど…… ……力が、及ばなかった」

1004とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 23:18:00 ID:XURBCLKA
>>1002>>1003
ベル「は?…いや、其処に居るじゃないの」

ビートとディフの背後。
其処にある木の上をさす。

エクゥス「?」

1005とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 23:20:40 ID:x.7V6fdc
>>1004
「…………は?」
おまえは何を言っているんだ、といった様子で指を刺された場所を見て

1006とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 23:22:53 ID:TcXzft5E
>>1004-1005
「……ちょっと待ってよ、何を、言ってるんだ?」

「治癒魔法をかけた時に確かに感じた、息をしていなかったし、それに…… それに」

ベルの言う事が理解できない
それでも機械的に、指さされた方向を見るしかなかった

1007とある世界の冒険者:2013/05/08(水) 23:26:07 ID:XURBCLKA
>>1005>>1006
無口「……」

木の上。
幹に手を当て太い枝の上に立つ姿。
身体を襤褸で覆う裸足でボサボサ黒長髪の子供が其処に居た。

ベル「……」
エクゥス「ええと…?」

何がなんやら、次回に続く。

1008とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 21:41:28 ID:qVUHxtE6
>>1007
「…………あ?え?」
なんで、死んだはずなのにそこにいるのか、
理解が追いつかずにただ唖然としている。

「………俺の頭がおかしくなったのか?」

1009とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 21:50:29 ID:/6nVioVE
>>1007-1008
「…………………」

この手ではっきりと、死んだ事を確認した そして塵とかし、死体さえも残らなかった子供が目の前にいた
死んだ人間はもう生き返らない、生き返る魔法なんてない
その大前提であるにも関わらず、だ

死んだはずの人間が目の前に現れた時、考えられるのは二つ
目の前にいる人間が偽者であるか、死んだこと自体に欺瞞があったか、この二つだ

「…………ベルさん、僕たちが今しがた言った事、どう考えてる?」
「目の前に立っている人間が殺されたとか言っていた、けれど どういう意図で言ったと?」

1010とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 21:54:07 ID:is/5gM.U
>>1008>>1009
ベル「…エクゥス、さっきから不思議に思っているだろうけど」
エクゥス「は、はい」

ディフの質問には答えずエクゥスへと語りかけるベル。

ベル「木の上、何か感じる?」
無口「…」
エクゥス「ええと…その、何かは居る、と感じられますけど……やっぱり何か居るんですね?」

如何やらエクゥスには木の上にいる無口が視覚として捉えられていない模様。

1011とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 21:58:04 ID:qVUHxtE6
>>1009
>>1010
「………………どゆこと?」
ベルが何が言いたいのかが全くわかっておらず、首を傾げながら話を聞いている。

1012とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:04:24 ID:/6nVioVE
>>1010-1011
「………」

無口の姿がはっきりと見えている自分たちに対し、一人だけ姿が見えていない
自分たちの共通点と、前に聞いた話を照らし合わせてみる

「ベルさん。 できれば、違っててほしいんだけど」
「その質問したのって 持っている情報の量が違うから、か?」

1013とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:12:15 ID:is/5gM.U
>>1011>>1012
ベル「そうね、その可能性が一番濃いと思ってる」

ディフの問いに頷く。

ベル
「正直な所、アレが何なのか私は知らない。
 気付いた時にはヒロの近くにいたし、仲良く遊んでた。
 かと思うと別の場所に一人で居たりするのを見たこともある」

淡々とベルは語る。

ベル「感じからすると侵負じゃないわね」

1014とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:18:00 ID:qVUHxtE6
>>1013
「あー、『関わってる』連中しか見えないってことか?」
ディフとベルのやり取りを聞いてなんとなく話を理解する。
………想像以上にわからない部分が多い子供だということが。

「………俺が関わる前から、ヒロと一緒にいるのは見たけど、それは渡り手だったからかね。」
……エクゥスが見えていないのに初めて侵負に関わった時にはすでに見えていた。
それと渡り手であることには関係があるのかな、と思い口に出す。

1015とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:27:28 ID:/6nVioVE
>>1013-1014
「だけど滅鬼衆の奴はあのこの事を『竜牙』って」
「竜牙の人なら例の事を知る前から見えていたし、それだと……」

「………死んだはずなのに、出てくる物が出てこなかった」

目の前で無口が殺された直後に、龍の玉だったかを探していたヒトガタ
それよりも、そもそもゼンショウのあの攻撃で、亞人とはいえ死体さえも残らず分解されるだろうか

1016とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:30:11 ID:is/5gM.U
>>1014
ベル
「可能性の一つだから結論は出せない。
 ともかく普通の存在じゃあないんでしょ」

>>1015
「竜牙?何よそれ。死んだら何か出てくる存在なわけ?」

1017とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:39:04 ID:qVUHxtE6
>>1016
「………えーと、まぁとりあえずだ。
あいつが無事だってんのは事実なんだな。」
理由はなんであれ、アイツが生きてるのであれば万々歳、でいいのだろう。
根本的な解決にはなってないがそれは俺が、俺達が強くなるほか無い。
そんなことよりも解決しなければならないことがある。

「えーと、だな………ベル、もう一つの用事なんだが……。」
ベルとの、和解だ。
すごい気まずそうにしながら、ベルに話を切りだす。
出だしは最悪であろう。

1018とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:42:26 ID:/6nVioVE
>>1016-1017
「それだと滅鬼衆の連中が過労死してくれそうな存在だけど…… 多分、違う」

「死んだ後に出てくる物が、今回に限っては出てこなかったらしい よくはわからないけど」
「だからあいつらが考えている以上に、別の存在なんじゃ……」

しかし、一度死んだと思った人物が再び現れ、何もしてこないのも少し不気味な物がある
同一の存在なのだろうか、隣にいるビートや、今ここにいないヒロと遊んでいたあの子供と
そして自分たちが見殺しにしたあの子供と

木の枝に座っている無口な子供を、見上げる青年

1019とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:44:14 ID:is/5gM.U
>>1017
ベル「あ?」

そしてこの返事である。
最悪である。

>>1018
無口「…」

ひらり、と身を翻し森の奥へと。
同一人物…とは如何も違う気がする、確証はないのだが。

1020とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:50:06 ID:qVUHxtE6
>>1019
一体どう切り出せばいいのか、ビートにはわからなかった。
ここまで人を不機嫌にさせたこともなかったし、謝れば大丈夫だろうという確信だっていつもあったから。
必死に考えて出した結論は

「…………すまん!ほんとうに悪かったと思ってる!
土下座でもなんでもするから変なこと言ったの、許してくれないか!?」
……とりあえず謝り倒すことだった。

1021とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 22:54:28 ID:/6nVioVE
>>1019-1020
「…………」

引き留める事もできず、ただ無口を見送る事しかできなかった
目の前に現れても罪悪感は消える事がなく、むしろ前よりもひどくなったような気がする


「………あー、ボクは…… ……ああ、そうだこの水晶ここに来た時から興味が湧いてたんだよね、うん」

そして不自然にビートの隣から離れ、地面から突き出ている水晶を不自然にまじまじと見つめる青年

1022とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:00:54 ID:is/5gM.U
>>1020
ベル「許すか」

取り付く島、なし!

>>1021
エクゥス「あ、それ模造品なんですけどね」

そんなディフに近寄ってくるのはエクゥスだ!
動きがぎこちないぞ!

1023とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:08:24 ID:qVUHxtE6
>>1022
「……………お前がそんな反応をするのもわかる。
だけど、気の迷いだったんだ。初めて魔法を使って舞い上がったんだよ。」
速攻で拒絶されてもめげずに謝るのをやめず、

「……どうかしてたんだよ、冷静だったらあんな事言う訳ないんだ!
だから、今回は大目に見てくれ!頼むよ!!」
………とにかく謝り倒す気だ。
他に何かできることがあるだろうが、それでも謝ることしかしていない!

1024とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:11:50 ID:/6nVioVE
>>1022-1023
「模造品にしては効果があるもんだね、おかげで元気満タンだよ、うん」

不自然に笑みを浮かべ、やや自然な感じで水晶を見る
模造品とわかっていてもやはり不自然に気になる、特に模造品を置いている所が

「……あー、ベルさん」
「あの時のビート君はちょっとプロテス初めての魔法でシェル調子に乗ってプロテラいただけで、多分本心じゃなかったシェルんだよ」
「そこに何かプロテラ理由があったわけじゃないだろうしここは大目にヘイスト見てくれないかな」

ビートを庇う発言の端はしから物理防御魔法やら魔法用障壁呪文やら速度強化の呪文やらが出ているような気がする
というかベルを見る目にこっちも恐怖の色が見えるのは何故だろう

1025とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:14:49 ID:is/5gM.U
>>1023
ベル「みれるか」

今までが今までである…そりゃ愛想も尽きる。

>>1024
エクゥス「人工物ですからねえ、そこら辺はちゃんと気を使ってます」

そういった意味での模造品であるらしい。
つまり自然界に存在しているのだ同じものが。

ベル「……大目に見て全殺し」

ベルの背後、その怒りがドス黒い瘴気となって沸いているように見える!

1026とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:21:02 ID:qVUHxtE6
>>1025
「……………一度だけチャンスをくれないか?
こんな俺でも、受けた恩を仇で返して終わりだなんて人間的に駄目だってのがわかるんだ。」
愛想が尽きられているとは気づかずにそう懇願する。
ディフが守りに入りきっていることや、ベルが殺気をガンガン出していることには気づいてすらない。

1027とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:25:55 ID:/6nVioVE
>>1025-1026
「……………」

「ビート君、すまない。 僕の力が無いばっかりに」

どす黒いオーラを放つベルにもう打つ手なしと、今も贖罪を求めるビートに詫びる
魔法かけたし一先ずは自分は大丈夫だろう、遠くない将来ジェノサイド必須だが

1028とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:32:45 ID:is/5gM.U
>>1026>>1027
瘴気が湧いているように…否、実際湧いていた。
湧いた瘴気はベルを包み込むようにして物理化し…

黒ベル「そう、キヅクノガ オソカッタネッ!」

黒衣を纏う銀ウェーブボブの女性が漆黒を纏った右ストレートをビートに叩き込む!
その攻撃範囲はニンゲンの大人サイズ。
どこを狙おうが点ではなく面でぶん殴っている。

エクゥス「…わぁ」

1029とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:38:51 ID:qVUHxtE6
>>1028
「………いや、遅くてもどうにか―――ぐえっ」
謝り倒している最中にぶん殴られて吹き飛ばされていく
しばらく倒れこんだままだったが、やがてやけに低い唸り声を出した後、

「…………もういいよ……好きにしろよ………。
何だってするって言ったの俺自身だし……」
……ゆっくりと胡座をかいてただ待つという暴挙に出る!
諦めているというかなんというか、手出しを出そうとも考えていない様子だ!!

1030とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:41:35 ID:/6nVioVE
>>1028-1029
「ビ、ビート君……」

そこまで自分の言っている事に責任を感じているのかと、もはや畏敬の念が沸き起こってきた
そしてこの事態の発端を担っているであろうことに罪悪感を覚えない訳じゃなかった

1031とある世界の冒険者:2013/05/09(木) 23:48:42 ID:is/5gM.U
>>1029>>1030
黒ベル「エクゥス カエルワヨ」
エクゥス「え、あ、はい?!」

男二人を置いて魔女二人が帰ってしまった…これから如何する今日は此処まで!

1032とある世界の冒険者:2013/06/07(金) 23:45:45 ID:fIadZ/dI
-あらすじ-

婆ちゃんに会いに行ったら黒猫が応対するという結末。

黒猫「では長女に会いに行くとしようか…その前に言っておく。
    これから先、魔物が出る場所では何処であろうと気を抜くな。
    奴等は何時でも貴君を見ている。そうなってしまったからな…」

紅いマフラーを首に巻き二股に割れた長い尻尾の先だけが白い黒猫が
テーブルから軽やかに降りつつのたまった。

1033とある世界の冒険者:2013/06/07(金) 23:50:07 ID:BHk/I4fk
「……暫くは知ったツラ以外に近付かねぇ様にしとくわ。」
と言っておいて、闇に呑まれた青年にお節介をしに行くのはまた別の話である。

「そもそも、どういう理屈なんだ?連中。
俺もそこそこ面倒なヤツらとやり合っちゃいるけど、別段に面倒だぜ。」
その後ろに付きながら、まだいまいちはっきりとはしていないと言った様子で。

1034とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:07:56 ID:bFPZ9qsU
>>1033
黒猫「そうだな…諸説言われているが一番有力なのは汚染された意思と魔力の塊、だろうか。
    故に侵『負』等と呼ばれるのだろうが」
    
器用にドアノブを跳躍猫パンチで開け放ち外へと出る黒猫。
「いってらっしゃい」とセリューが見送る。

アイちゃん「汚染、というのは?」
黒猫「魔力とて使えばカスが出るものだ。そこに負の意思が結び付くとああなる…らしい」
アイちゃん「邪な魔術が使われるたびに生み出されるような物言いですね」
黒猫「否定はせんよ、だが…魔力とて如何使ったところでカスがでるものだ。」
アイちゃん「使用する魔術の種類に侵負発生の区別は無い、と?」

1035とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:15:42 ID:ebTv0aIk
>>1034
「……世界の滓、か……。」
セリューに軽く手を挙げると、黒猫に続いて歩き出す。

「俺ぁ魔力について学が無ぇから何とも言えねぇが……
ま、使わせて貰ってるツケならしゃあねぇやな。」
そして不意に零す言葉も、相変わらず楽観的と言うか前向きと言うか。

「所でアイオライト。暫く体アリで動くか?
あの攻撃だ。いざとなった時に庇える自信がちょっと無くてよ。」

1036とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:23:23 ID:bFPZ9qsU
>>1035
黒猫「肉の素体か?止めておけ、汚染されてすぐさまあちらの手駒にされるぞ」
アイ「……それはまた」
黒猫「身体は有機よりも無機である方が望ましい。
    が、ジュエルシリーズは有機体の方がすこぶる相性が良くできているからな」

酷い話である。

アイ「何か打開策を―……この反応は」
黒猫「ふむ、来たか」

家を出て数分もたたぬうちに周囲に立ち込める危険な雰囲気。
木々に囲まれ視界の悪い中、正面から存在感。

1037とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:36:37 ID:ebTv0aIk
>>1036
「……お前んとこの親父がハーレム作りたがった所為だぞ。」
と、姿を見た事も無い稀代の科学者に悪態を吐く。

「まーでも、もうああいうのはコリゴリだしなぁ……。」
しかしながらそう言われてしまっては躊躇うどころかその線はすっぱりと消える。
以前にも同じ様な事があったが、中々に胃に良くなかった。

「…………。」
すっと眼を細め、存在感へ向けて意識を集中する。

1038とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:41:02 ID:bFPZ9qsU
>>1037
ガサガサガサリ、ガシャン、ガシャン、と金属音を響かせて現れ出でるは…

「…フシュゥゥゥ」

腰に剣を提げ兜から赤い長髪が覗く魔物臭のする黒い甲冑であった。

黒猫「ほぅ?見たことの無いタイプの侵負だな。新種か…」

1039とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:45:39 ID:ebTv0aIk
>>1038
「……お、おいおい……何かの冗談だろ……?」

黒猫は首を傾げているが、こちらはそれどころでは無い。
何故ゆえまた、侵負と相対するにしても相手が相手なのか。

流石に動揺を隠せない様子で、ぽつりと零す。

1040とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:51:24 ID:bFPZ9qsU
>>1039
黒猫「来るぞ!」
堕ハト「ジャッ!!」

右手を後ろに回したかと思うと何かを掴んで横に振ってきた。
それは竜の尾を模した蛇腹剣。
鞭の形態をとって刃が相手を刻みながら絡め捕るのだ!!

1041とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 00:57:26 ID:ebTv0aIk
>>1040
「兄弟喧嘩……ってか!?」

チッ、と舌打ちを漏らしながらしなる剣の"張り"に向けて蹴りを繰り出す。
魔力を持ったそれは、変幻自在の動きを鈍らせるべく氷の魔力がたっぷりと籠められていた。

1042とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 01:03:44 ID:bFPZ9qsU
>>1041
ギュガギギッ、と嫌な音を立てて一瞬刃の勢いが鈍るがそれは僅かな時間。
如何やら蛇腹剣自体が濃い魔力を発しており、干渉を受けにくくしているようで…

黒猫「ぬう、見た目通りに竜の気を内包しているのか?だが汚れきっているな!」

解説入れながら全力で攻撃を避けている黒猫。
少々困っている様子。

黒猫「当面は逃げの一手で王都まで駆け抜けるといった作戦だったのだが」

1043とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 01:17:26 ID:ebTv0aIk
>>1042
「チッ……!!」

蛇腹剣相手では手応えならぬ足応えも無い。
そのまま前に転がり、崩れた姿勢ながらも数歩分飛び退く。

「……。」
半分起き上った状態になった後、アイオライトに指でコツコツとサインを送る。
あと魔力はどれぐらい一挙に放出できるか、という旨だ。

「賛成だぜ。
……と言いてぇ所だけどよ……義兄を見捨t……あ゙ー分かったよ!
今は無理っつうんだよな! わーったよ何とか逃げるっつの!」

頭の中のもう一人と必死に格闘しつつ、しかしながら思考はある程度冷静だった。
逃げの一手を打つならば、然程苦にならない手はあるのだ。

1044とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 01:27:28 ID:bFPZ9qsU
>>1043
蛇腹剣が周囲の木々をズタズタに切り裂いて通過していく。
そして、しなり巻き戻され剣の形状へと変わる。
間合いは鞭、しかし相手はコスい技が多いあのナハトリッタァである。
何が出るやら…

アイちゃん「……」

そしてアイオライトは考えていた。
この状況、放出する魔力量の如何によっては今後の展開が大きく変わる、と。
全力で行けば相手の周りを氷漬けにし、それが破壊されるまでに逃げ切ることは可能だろう。
その場合、自身は当分の間稼働することができないのだが。
しかし下手に出力を抑えると隙しか生まないのではないだろうか、という懸念がある。
何せ相手の脅威がどの程度か把握できないのだ。

黒猫「……しかし逃げるにしてもな」

目的地はナハトリッタァの背の遥か先である。
ぐるり、と森を迂回して…となると次は何に出くわすか。

1045とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 01:45:27 ID:ebTv0aIk
>>1044
「へへっ……行くぜ。
アイオライト……"60%"だ!」

ジリ、と伸ばした足の爪平を地面へと付ける。
そしてもう片方の足を畳み、同じく地面へ。

今にも駆け出さんとした体勢を取る……が、アイオライトは耳を疑うだろう。
全力ではないのだ。
それで、どうやって逃げようと言うのか。

「じゃあ……」
その答えは、今より示してくれる。

「なッ!!」
駆け出す体勢かと思いきや、50%の出力を使って自身の足元から凄まじい勢いで氷の柱をせり立たせる。
遥か虚空を目指す塔の上に立ち、その天辺から残りの魔力を使ってレールを伸ばす。

……恰好を付けたひと手であれ、要は途方も無く高い氷の滑り台である。
その上を、軽やかに素早く滑走して行く。王都へと目指して。

1046とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 01:48:28 ID:bFPZ9qsU
>>1045
黒猫「ふむ、上手いな」
堕ハト「…」

こうして、ヴィジャだけは何とか王都へと向かうことができたわけだが…

黒猫「さて、如何したものか。容易に抜かせてはくれんのだろう?」
堕ハト「……」

人知れず猫と鎧の戦いが続くのであった。
今日は此処まで!!

1047とある世界の冒険者:2013/06/08(土) 01:54:47 ID:ebTv0aIk
>>1046
「へへっ、どんなもんでぃ!」

にっ、と口元にしてやったりな笑みを浮かべるが……

「あ。」
……案内人たる黒猫を置いた事に気付いた時には、王都へと滑走している途中だった。

1048とある世界の冒険者:2013/06/23(日) 05:29:52 ID:79oC92hk
【王都裏路地裏町/某・何でも屋】


「――――ん……、あぁ……。」

ふと、こんな朝の速くに目が冷めた。
と、言うよりも、意識を手放していた事から眠っていた事実に、気付く。

この身体は、眠りを必要としない。魔力が十全で、”ばけもの”に寄っている時は、特に。
食事も、勿論、もう一つの欲求の解消も、必須ではない。

「……少し速いが、食事にするか。
 カロン達は……あぁ、蟲と図書館への偵察を頼んだんだったな……。」

それでも自分は”人”であるから。
人の振りをして、人の様に生きて、人の様に暮らす。
暖かな家族と兄弟を持って、守りたい友人を持って。
優しい記憶に残る本当の家族の事を時折思い出しながら、

「卵と……パンが残ってたか。
 軽く済ませて例の城に楔を打ち込んでおくか。
 優秀とは言え相手が相手だし……。」

"誰か"の為に、得た力の全てを振るう。
"誰か"の為に、得た思いの丈を使う。

"誰か"の為に、"自分"を擦り減らす。

「……む、ベーコンが無い。
 仕方ない、パンと卵と、スープでいいか。」


その行為が、一番「人間」と掛け離れて居ると気付かずに。
今日も魔人は、"誰かの救い"である為に。


【FO】

1049とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 22:59:55 ID:LcF2zHe2
【ゼオ宅/ボブ家の部屋】

「……はぁ」
〈……むぅ〉

『何を唸ってんのさ君等、お客さんだよ』
「ボブも居ないですし、メノウも帰らないのですし、なのに”勝手に動くな”なのですよ? 唸りも……お客ですか?」

図書館辺りを探していて出会った犬ころに連れられて、やってきたのはゼオ宅、ボブ一家の部屋。
通された居間らしき部屋には水晶の様な水色の長い髪の少女と、琥珀色の髪を短いポニーにした少女。

どちらも――メノウの姉妹だ。

1050とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:02:28 ID:B2Z9flWY
「あの、こんばんは……。」

やや遠慮がち且つ、緊張の面持ちで入って来る人物。
身長はそれなりな、綺麗な桃髪をボブカットにした娘だ。

広間へ入るなり、恭しく会釈する。

「ガルムちゃん、有難うな。」
そして先ずは、案内を買って出てくれた魔犬へと礼を述べた。

1051とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:06:03 ID:LcF2zHe2
「むむ……その見た目は……メノウねぇが言ってたユーノさんなのです?」

水晶の髪と名を持つ少女が椅子から立って近付いて来る。
顔立ちは・・…なるほど確かにメノウに似ている。雰囲気は余り似てないが。

〈……んー〉
一方のもう一人は机にうなだれたまま視線だけを向けている。

『あぁ、うん。
 ボブには怒られるだろうけどまぁこのぐらいはねぇ』
そうしてわんこは先に進んで暖房魔具の前に座り込む。
外は若干寒かったらしい。

1052とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:12:01 ID:B2Z9flWY
「……妹、さん?
あ……はいでございます。
ユーノ=ユグドラスでございます。よろしくお願いします。」

やはり、どこか緊張した様子で会釈する。
端々に方言が混じるという事は、無意識下でメノウに似た雰囲気を感じ取ったのか。

「うち、頑張るから……。」
視線で追いながら、半ば独り言の様に続けて。

1053とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:18:29 ID:LcF2zHe2
「これはご丁寧に……クリス、と言うのです。
 こっちはコハク、後二人居るのですけど……勝手に出かけてるのですよ」

はぁ、と軽く溜息を吐き出し、座るように促す。

『……ふぁ』
小さくあくびをしてまるまる犬。
危機感が、無い。

1054とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:24:44 ID:B2Z9flWY
「勝手に……?
あの、もしかしてそれ……。」

施しに小さく声を上げ、遠慮がちに席へと着き

「……。」
視線は、やはり一番気心の知れたガルムへと移る。
メノウの友人の中では、一番頼っている相手でもあるが故。

1055とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:29:02 ID:LcF2zHe2
「……ヒスイもダイヤも、メノウを探しに行ったのです。
 ボブにじっとしてろ、って言われてるのに……もう、カリバーとタスラムまで持ちだして……」

ぶつぶつ、と文句を言う少女。
武器と思わしき名前は……メノウの持つ、「杖」のようなものだろう。


『とりあえず、先ずはちゃんと話してみるといいよ。
 それから、それから』
丸まりながら言う犬。 ……慌てる時こそ落ち着け、ということだろうか。

1056とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:36:11 ID:B2Z9flWY
「……やっぱり……。
あの、うch……私もめのうちゃんに会いたいんでございます……!」

会ってどうするのか。それは考えていない。
ただ繋がりが断たれるだけではない。だが会わなければいけないという気持ちは強かった。
何より、あんな苦渋の表情で孤独に呻くメノウを放ってはおけない。

「……うん。」
小さく、しかしはっきりと聞こえる様な力の籠った返事をする。

1057とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:48:52 ID:LcF2zHe2
「……でもボブは自分がなんとかする、って言ってるのです。
 勝手に動いて、怒られるのはヤ、ですし」

うつむきがちにそう言う少女。
テーブルにうなだれている少女は……

〈……レーヴァティン怖いだけの癖に〉
「う。」
そんな事を言う。
とはいえ、あの杖をどうにかしなければ話しも何もない。

1058とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:54:43 ID:B2Z9flWY
「……どうにか、近づけたら……。」

自身もまだ師と仰ぐ人物に手解きを受ける最中だ。
メノウの魔法に比べたら、とろ火程度だろう。

故にあれ程の力を以ての拒絶に、どうしたら良いか分からないのが本音だ。

1059とある世界の冒険者:2013/06/28(金) 23:57:59 ID:LcF2zHe2
〈……私のミョルニルと、クリスのブリューナク使えば、できなくもない〉
そう言ってごろり、と頭だけそちらに向ける少女、コハク。

〈けどクリスは怖がりだから、多分やらないし。
 準備してる間にメノウねーに焦がされる、パp……ボブは、つかいものにならないし〉

今パパと言いかけたが、言い直した。
……対策は……ある、ようだが。

1060とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:07:27 ID:SxoTJbMg
「……私も何か、力になれないでございますか……?」

問題は幾らかあるがものの、現状に縋れる手はこれしかない。
故に、トラブルシューティングが先だ。
思考を切り替えたユーノは、真剣な表情でコハクに問う。

1061とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:10:52 ID:WVcxJHGQ
〈……私達が呼んでも、あんまり意味無いかも〉
「………です。」

うつむき気味に、二人が言う。
……それは多分、彼女たちも父親の死に「納得」なんてしていないから、だろう。

〈……やるなら、こえかけて上げて欲しい。
 できれば、一杯で〉

とはいうものの。
彼女の知り合いには、あまり詳しく無いだろう。

1062とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:15:31 ID:SxoTJbMg
「一杯……。」

その問題は、中々に解決しづらい物だった。
もともと、ユーノもメノウと会うまでは一人ぼっちに等しかったのだから。
加えてやはり、図書館ではメノウの他に、メノウを交えて話した事が無い。

ならば。

「……メノウちゃんから、何か知り合いの話を聞いた事はあるでございますか……?」
僅かな手掛かりでも得るしかない。と。

1063とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:18:06 ID:WVcxJHGQ
「……ユリちゃんとか、アリスちゃんとか、ぐらいなのです」
〈……私達も、基本的に、家っ子だし〉

忘れがちだが、彼女たちはホムンクルスだ。
メノウぐらい明るいほうが、おかしい。
メノウぐらい元気が合って友達が多いほうがおかしいのである。

〈後は……やっぱり、パp……ボブとか〉
「そのボブも何処行ったんだか、なのです」

1064とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:29:02 ID:SxoTJbMg
「……ユリちゃんと、アリスちゃん……。」
決して少なく無い名前では無いが、貴重な情報。
押さえない訳にはいかない。

「そうでございますか……。」

「ボブお父さん……。
……どないしたんやろ……。」
尾へ進むにつれ独り言で、口元に手を当てて。

1065とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:31:09 ID:WVcxJHGQ
「仲がいい同年代は、やっぱりそれぐらいなのです。」
〈……ペニサスおねーさんはパパの友達だし〉

むー、と唸る少女二人。
此の二人だって、何かしたくない訳ではないのだ。

『居ても立ってもいられないんだろうねぇ。
 ゼオとかツカサさんにまで手伝い頼んでたし』

ぱたぱた、と尻尾を揺らしながら言う犬。
お父さんも、必死なのだろう。

1066とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:43:16 ID:SxoTJbMg
「……私は正直、メノウちゃんのお友達の顔が分からないでございます……。
もしお二人が良いのなら、一緒について来て欲しいんでございます。」

暫しの遣り取りのあと、意を決した様に告げる。

「(うちも頑張らへんと……。)」
動いてる人間の数からしても、目の当たりにした身からしても只ならぬ事だ。
気構えを改めて更に引き締め、唇を真一文字に結んだ。

1067とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:46:24 ID:WVcxJHGQ
「…………ガルムが牙出して睨んでるから、仕方なく、仕方なく、なのです」
〈……怖がり〉
「むぅっ!!」

父親に対する言い訳を立てて、
渋々、と言った様子で同意する。 ……本当は動きたくて仕方なかった癖に。

『……けど怪我されるんなら、僕は止めるからね。
 後々、メノウが悲しむ』

1068とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:53:59 ID:SxoTJbMg
「……。」
クスリと、そんな様子に小さく笑みが漏れる。

「……ありがとう。」
そして方言まじりに、心よりの礼を二人へと向けた。

「でもガルムちゃんええ子やから、黙っててくれるやんな?」
おどけた様な笑みを向け、吹かせてみせる。
こういう強気な冗談を言える程に成長した……という事か。

1069とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 00:57:03 ID:WVcxJHGQ
『そうだねぇ、……結局は僕も、メノウが一番だからねぇ』

自分の主人の為なら、他者がどうなろうと目を瞑る。
ただ、自分はその性質上他も守りたがってしまうだけだ。

「けど、ヒスイとダイヤはどうするのです?」
〈……どうせお腹へったら帰って来る〉

そして作戦会議な、二人。

1070とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:04:40 ID:SxoTJbMg
「……ほんと、頼もしいわ。」
口元に手を当て、上品に笑む。

「その…ヒスイちゃんとダイヤちゃんが居たら
……もうちょっと可能性は濃くなるでございますか……?」

1071とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:09:44 ID:WVcxJHGQ
『けど正直怖いよー、僕も。
 グリフはともかく、ヘイロンとリーヴァ、僕より強いし』

グリフ……は、グリフォンの事だろう。
ヘイロンとリーヴァは、余り見た覚えが無い。

「ダイヤとヒスイは戦闘慣れしてるのですよ。
 私達は、そうでもないのですけど」
〈……家っ子と外っ子の違い〉

1072とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:17:45 ID:SxoTJbMg
「……。」
ガルムの言葉と、二人の言葉を飲み込んで考える。
こちらの数は多いながら、向こうは個々の力がかなり大きい。
となるとやはり……

「じゃあ、皆で一緒に行きたいでございます。」

1073とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:21:04 ID:WVcxJHGQ
『グリフぐらいならまぁ、僕一人でも相手出来るけどねぇ。
 あ、メノウには攻撃一切出来ないから、うん』

それは当然である。
彼はどこまでいってもメノウちゃんの使い魔なのだから。

「……じゃあまずは二人を探して、からなのですね」
〈………私はユリちゃん達探してみる〉

そういって椅子から降りる少女二人。
コハクは、槌を。 クリスは、水晶を思わせる槍を何時の間にか手に持って。

1074とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:25:20 ID:SxoTJbMg
「分かってる、そんなんさせへんよ。」
たとえ出来たとしても後味悪い事この上無い。
そんな事は絶対にさせまい。そう心に誓う。

「おおきに……
…、あ。…ありがとうでございます。」
思わず素の言葉が出るが、すぐに引っ込めて丁寧な礼に替える。

1075とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:26:48 ID:WVcxJHGQ
『……ボブも心配だよなぁ。
 ほぼ死体のくせに無理しちゃって』
はぁー、と犬が溜息を吐く。
なんだか絵面が面白い。

「ああ、いいのですよ、メノウねぇから聞いてるですし」
〈…………楽しそうに話してた、ゆーちゃんと遊ぶんだー、って〉

1076とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:37:04 ID:SxoTJbMg
「ほ、ほぼ死体って……。」
こんな時でも軽口を叩ける胆力に、苦笑い。

「……そっか……。」
今やもう……
そう思い掛けた所で、思考を前向きに傾ける。
もう一度、あの他愛も無い会話を取り戻すのだと。

1077とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:41:43 ID:WVcxJHGQ
『……ボブの種族的な物、っていうのかなぁ。
 身体の端の方から石になってくんだよね、寿命だと』

大体はその前に死んじゃうらしいけどね、と付け加えて、尻尾を一度ぱたんと振る。

「……まぁ、私もちょっと、メノウねぇが居なくて寂しい、って思い始めたですし、
 ……頑張って連れ戻してあげても、いいのです」

〈似合わない。
 ……じゃ、先に行くね〉

がちゃり、とドアを開けてコハクが出て行く。
向かう先はおそらく、メノウの友達、の所だろう。

1078とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:52:22 ID:SxoTJbMg
「……石……。」
死して石になる種族。
確か……ガーゴイル。頭の中でそう浮かべる。

「うん、分かった。」
心強い様子でその背中を見送り、自身も立ち上がる。

「じゃあ、うちらも行かなな。」
ぎゅっ、と霊樹で出来た杖を握り、息をのむ。

1079とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 01:55:25 ID:WVcxJHGQ
『……ま、あんま気にしないでいいよ。
 んじゃクリス、ゆーちゃん、外出たら背中乗ってね、匂い辿って超特急だよ』

言いながらわんこが先導するように前を歩く。
自分の主を、冷たく熱い炎の殻から、引きずり出して貰う為に。

「……はぁ、受験勉強の時間がなくなるのです。
 メノウねぇが帰って来たらお説教で、おとうさn……ボブに勉強を教えてもらわないと、なのです」

小さく愚痴りつつ、水晶の少女も後に続く。
……少女たちの運命や、如何に。

1080とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:01:08 ID:SxoTJbMg
「うん、分かった。」
きゅっ、と眉を吊り上げて後へと続く。

絶対に、横に居て見せる。
そういった決意は面持ちに現れ、少しだけ少女を逞しく見せた。

「……待っててな、メノウちゃん……。」
小さく零し、物語は進む……。

【みんなの明日はどっちだ フェードアウト】

1081とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:03:40 ID:WVcxJHGQ
【一旦閉幕、FO】

1082とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:34:08 ID:SxoTJbMg
-王都 カルレオンの巣箱-

「……と、言う訳でだ。」

円卓をぐるりと囲み、孤児院の面々が一堂に会する。
今宵集まった理由は後々語られるが、久々に揃って食事をするという面もあった。

「……少し前から手伝いをしてくれているクェサリエルだ。」
『(…………い、今なんだ……)』
[いや、知ってるし。]
<……ほぇー……クェスねぇそっくりやー……。>
〔同じ人だよ!?〕
《えへへー、高い高ーい♪》

多種多様な反応を返す一同。
クェスの紹介は置いておいて、今回の話はリンダの抱いている赤ん坊の事である。

この赤ん坊はかつて馬車襲撃事件のたった一人の生き残りである。
先のアテが見出せなかったクェスが預けた子であり、まだ名前がない。

「そのクェスが連れて来た赤ん坊の名前を、決めたいと思って集まってもらった。」
赤髪の男性が皆を見渡しながら言う。

1083とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:38:21 ID:WVcxJHGQ

「……暫く戻らない間に、また増えたんだな。」

クェスの方を見て、そう呟くのは薄手の黒いコート、
少し逆立った緑色の髪に何処か不健康そうな青年。
挨拶もそこそこに、興味はリンダの抱き上げた赤ん坊の方へ。

「そういう事なら、あまり力にはなれそうにないかもな。
 名付けのセンスは、無いだろうし。」

何より、赤ん坊に好かれる容姿ではない。残念ながら。

1084とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:45:43 ID:jALVvEkQ
「改めてよろしくね、クェス」
ニコリと笑みながら言う蒼いロングヘアの母。
もう20後半に差し掛かったはずだが、未だに若々しいのはエルフの血のせいだろうか。

「ホント、どうしようかしらね……名前」
リンダが抱く赤子の方を見やって。
余り知られていないことだが、彼女のネーミングセンスはよろしくない方に分類される。技名以外は。

『名前か……』
ジャキの隣の席に座り、真剣に悩んでいる様子の金髪褐色肌の少年。
元来が真面目な性分なだけに、かなり考え込んでいるようだ。

1085とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:55:20 ID:SxoTJbMg
>>1083
『宜しく、ジャキ君。』
小さく首を傾けて、翠髪を揺らし朗らかな笑みを向ける。

《えーっ、ジャキにーちゃん考えようよぉ。
後だっこしよう!》
と言うリンダ。
いつの間にやら随分と逞しい印象がついているが……恐らく母との修行の賜物だろう。

>>1084
『はい、よろしくお願いします。』
年齢は聞かされていないが、恐らく自分より1つ2つ上ぐらいだろうと言う印象を持っている。

<フランソワ……もごもご。。>
[はいはい。]
今回ばかりは余計な口を開かせまいとナナセの口を塞ぐゲーステ。
しかしながらシキテの名付け親は彼女である。

「……そうだな。
あくまで方向性だが……俺に少しだけ考えがある。」
と言うのはネーミングセンスの欠片も無さそうな家長である。

1086とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 02:59:30 ID:WVcxJHGQ
>>1084
「……余り堅苦しく考えなくても良いんじゃないか?
 とは言え、……あの二人ぐらいアレだと、止めるが」

ちらりと、ナナセと母の方を見て。 既にナナセは止められているし。

>>1085
「ん、ああ……余り此方には居ないが、カルル達を宜しく頼む。」
仕事上、ほぼ此処には居ない、と言うより自立している。 
昔何処かで会ったかもしれないが、初対面である。

「とは言っても、な……やった事もないし。」
魔具ならばあるのだが、子供に魔具の様な名前を付けるなど問題外だし。


「……妙な名前は、やめてくれよ。」
況してや妙な方向に話しが飛ぶのも問題外である。

1087とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:06:35 ID:jALVvEkQ
>>1085
「フランソワはちょっと……。
 ランドグリーズとかどうかしら」
それは神話のヴァルキリーの一人ではなかったろうか。
赤ん坊の名前としては物々しすぎる。

「あら? 聞かせて頂戴?」
意外そうな表情を浮かべた後、笑みを作って。

>>1086
『いや、そうは言うがな…。名前は一生ついて回るものだし、大事なものだろう?』
自身も兄(ロディ)から貰った名前を大事にしているからこその発言だろうが、ジャキの言う通り少々堅く考えすぎだ。

『……アルカも…なんというか、アレなんだな』
ランドグリーズ、という名前を口にしたのを聞いて呆れた表情で。

1088とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:14:29 ID:SxoTJbMg
>>1086
『ええ、私に出来る事はさせて貰うわ。』
「……とは言え、三日三晩寝ずで倒れるのはもう止す事だ。」
『う。』

《やった事無いからやるんだよー!》
赤ん坊は抱き上げられながら、嬉しそうに声を上げている。

「……心配するな。直接名前を決める訳ではない。」

>>1087
『ふ、二人ともそれは……』
[……ママにも苦手な事ってあったんだね。]
猫耳をひくつかせながら、視線を逸らす青髪。
《えー。かっこいいのになー!》

「……ああ。恐らく拾われた時の状況から誕生日も分からないだろう。
……そこで、夏らしい名前を付けてやり……今日を誕生日にしてやろうと思う。」
〔(……珍しくマトモだ……。)〕
全員を見渡しながら真剣な表情で言うレナートに、カルルはそんな事を思っていた。

1089とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:19:11 ID:WVcxJHGQ
>>1087
「最近は、変に凝りすぎて妙な名前になるのも多いらしいからな……考えすぎるのもどうかと、思う」
ピカチュウくんとか、ジグザール人なのにゴンベエ君とか居るらしい、と元同級生に聞いた。

「……ナナセ並だ、母さんは」
妙な所が似ている物だ、と溜息を吐き出して。

>>1088
「……頑張ってくれるのは良いが、余り無理をしないようにな。
 ここに居る以上、倒れられるとリンダやカルルが悲しむさ。」

くく、と小さく笑いを零してそう言う。
年上に見えるが、確か年下の筈である、彼十七歳だか十八歳だし。

「……夏らしい、名前、か。
 リンダは、何か考えてみたか?」

ぱっ、とは思いつかないので赤子を丁度抱きあげてる妹に聞いてみる。

1090とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:28:54 ID:jALVvEkQ
>>1088
「"盾を壊す者"っていう意味よ。素敵じゃない?」
この人はこの未来ある赤ん坊をどう育てるつもりなのだろうか。軍人にでもするつもりか。

「夏らしい名前……良いわね。
 そうねぇ……」
レナートの提案にうんうんと頷き、考え始める。

>>1089
『まぁ……確かにそうだな。
 夏らしい名前、か…。ジャキは何か、案はないのか?』
レナートの提案を受けて腕を組み、アルカと同じく考え始める。

1091とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:38:26 ID:SxoTJbMg
>>1089
『あはは……あんまり自己管理は得意じゃないの。』
ばつが悪そうに頬を掻き、眼を細める。

《夏と言えば、海だと思う!》
……まだそこまで浮かんでいない様だ。
話題の中心である赤ん坊はうつらうつらとし始めている。

>>1090
《きっとお父さんみたいに力強くなるね!》
赤ん坊を抱き抱えたまま、次女が同意する。

「………スイカか……。」
提案しながら、口元でボソリと呟く。
根幹にあるネーミングセンスの悪さは変え様が無いのであった。

1092とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:46:10 ID:WVcxJHGQ
>>1090
「夏らしい、名前か……ん……。」
ふむ、と少し考える素振りを見せて。

とは言え、人の名前など考えるのは初めてだ、どうしたものか。

>>1089
「なるだけ、自分の身体にも気を使う事だ。
 母さんやレナートは、そういうのに煩いからな。」
小さく笑いを零しながらそう返す。 見た目程、剣呑とした性質では無いのかもしれない。

「海、か……そうだな……。」
それを聞いてまた考える。
レナートに関してはスルーする事にした。

1093とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 03:56:01 ID:jALVvEkQ
>>1091
「えぇ。きっと素敵で強い子に育つわ」
確かに強く育ちそうではある。が、根本的に間違っている。

「……」
ランドグリーズ、などと提案したこの人ですら絶句である。

『…レナート。頼む、しばらく黙っていてくれないか』
そして次男は割と冷静に酷かった。

>>1092
『んー……』
こちらも名づけるなど初めてのこと。
腕を組んで深く俯く様は父によく似てきている気がする。

『……リエータ、とか』
暫く思考に耽った後に呟いた。
異国の言葉でそのまま"夏"を意味する言葉だったか。
少なくとも父母よりは遙かにマシだ。

1094とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:02:39 ID:SxoTJbMg
>>1092
『ええ……随分怒られたわ。』
困った様に口元へと手を当て。
闘技場で相対した時に比べれば、随分印象が違う物だな……と思いながら。

《マールとか!》
ピシっと手を挙げて。

>>1093
<ランちゃんって呼んだげよー……>
[(絶対突っ込まない。)]

[突っ込まないって言ってるだろぉぉ!!]
「む……。」
間接・直接攻撃を受けて流石に閉口するレナートである。

『二人とも可愛い名前ね。』
そして改めて上がった名前のみに絞り、感想を漏らすクェス。

1095とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:07:08 ID:WVcxJHGQ
>>1093
「リエータ……確か、どこかの国で、夏、だったか。」

ふむ、と頭を捻る。
悪い気はしないし、他何名かよりは随分マシな気がする。


>>1094
「それが分かったなら、あんまり繰り返さない事だ。
 終いには母さんにビンタをされ兼ねないからな。」

ぽん、と手元に名前辞典を召喚して、それのページを適当に捲りながら。

「マール、か……理由は?」
一応聞いてみる、思い付きかもしれないが。

1096とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:18:58 ID:jALVvEkQ
>>1094
「いいわね。可愛いじゃない」
ニッコリ笑いながら賛同するのはいいが、その案は既に却下されている。

『マールも良いな…』
ふむ、と顎に手をやって。

>>1095
『少なくともレナートとアルカよりはマシな自信がある』
と、冷静に。実際にその通りなのだが、酷い兄弟だ。

『ジャキはまだ案出してないぞ?』
名前辞典を出したのを横目に見ながら。

1097とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:23:27 ID:SxoTJbMg
>>1095
『……レナートには拳骨されたわ。』
良い意味でも悪い意味でも、差別はしないのである。

《エル・マールで海だよ!
でもマールの方が可愛いから!》
意外や意外。ちゃんとした所以はあった様だ。

>>1096
<うーん……でもリエータもマールもかわええ……>
他の名前も気になる様子。スイカ?そんなのは無かった。

[(……こういう時に頭の堅さがヤになるなぁ。)]
ジャキに並び、案を出してないうちの一人。

1098とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:26:33 ID:WVcxJHGQ
>>1096
「と、言うよりあの二人よりマシでなかったら不味い。」
ナナセレベルになってしまう、それはよくない。

「……ナミネ、はどうだ?
 ネオベイ文字で波の音、と書いて……ナミネ、になる。」

名前辞典をぱた、と閉じて。
夏っぽい、と言えば夏っぽいが、ネオベイ風だ。
そう言えば元の、両親の実家はネオベイだったか。

>>1097
「だろうな。」
楽しそうに、笑う。
やっぱりか、といった風で。

「へぇ……リンダもちゃんとお姉さんしてるんだな、偉いぞ」
くしゃくしゃ、とリンダの頭を撫でる。

1099とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:36:42 ID:jALVvEkQ
>>1097
「ジャキのナミネもいいし……悩みどころねぇ」
頬に手を当てて悩ましげに。
ここが場末のバーとかならそれはもう大変絵になる光景だろうが、ここは自宅で、しかも今は寝間着である。
セクシーさなんかあったもんじゃない。

『ゲーステの自慢の頭も、今回はお手上げか?』
フっと笑いながら。あからさまな挑発である。喧嘩売ってんのか。

>>1098
『あぁ、それは間違いないな』
大きく頷きながら同意。

『ナミネ、か。ニホン風なのもいいな、うん。響きも綺麗じゃないか』
やるな、と笑みを浮かべて。

1100とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:45:50 ID:SxoTJbMg
>>1098
「当たり前だ。俺の眼の黒い内は甘やかさん。」
ある意味、ここの通過儀礼である。

《当・然ですっ!》
澄ました表情をして、腰に手を当てる。
因みにゲーステの身長なら余裕で追い抜いている。

>>1099
<せやねぇー……>
両手を胸元で合わせ、小さく首を傾ける。
セクシーさなど微塵も無いが、倭人形の様な不思議な清楚さである。
無論、その真緑のカエルさんフード付きパジャマでなければだが。

〔あっ、そうだ。イリアとかどうかな!
ヒマワリをイリアンソスって言う所があるらしいけど、長いし!〕
《うぐぐぐ……!》
終いには、カルルにまで追い抜かれる始末。
長い名前から一部抜粋するのは……誰かに倣った分もあるだろう。

1101とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 04:49:04 ID:WVcxJHGQ
>>1099
「最終的にナナセになる、……いかんな、あの三人の意見だけは絶対通さないようにしよう」
絶対である、絶対。

「日本に行ったのを、思い出してな……、
 ああ、やめてやれ兄さん、ゲーステはこういう事に関して頭が固いからな。」

そして虐めに追撃。やめてさしあげろ。
>>1100
「一応余所のお嬢さんだ、余り、止めておけよ?」
口では言うものの止める気は無い。と言うか居ないし。

「ん、その調子で頑張れ。 赤ん坊の世話もな。」

1102とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:07:35 ID:jALVvEkQ
>>1100
「どんどん良い案が出るわね」
最近、前にも増して奇麗になったな、と娘を見やり。

「なら……ロスヴァイセとかどうかしら」
ランドグリーズなんかよりは遙かにマシである。
が、そ れ も ヴ ァ ル キ リ ー だ 。
どうしても戦乙女にしたいのか。英霊をエインヘリヤルに導きたいのか。

『イリアも悪くないな…案も出揃ってきたかな?』
ゲーステの方を見てニヤリと笑み。もうやめたげて。

>>1101
『あぁ、絶対にだ』
再び大きく頷いて。

『ニホンに行ったことあったのか。羨ましいな……』
地味にニホン好きである。

『まぁ、そろそろ案も出揃ったようだし…ゲーステは案なし、ってことで』
なんて意地悪な兄達だろうか。ゲーステの胃に穴が開きかねない。

1103とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:13:01 ID:SxoTJbMg
>>1101
『良いのよ、良い意味で厳しい人は……お祖父ちゃんぐらいしか居なかったし。』
クスリと笑みながら。

《はーいっ!ジャキにいちゃんももっと遊びに来てね!》
花の咲いた様な笑顔で。

>>1102
<こんだけ出たら十分やねー……
あー……でも、どないして決めよー……。>

悩み所である。
と共に、さりげな〜くゲーステをフォロー。

「うむ……成程、洒落ているな。」
レナートは止める以前の話なのでこう流れるのは必然だった。

《ぐ、ぐぐ…………。》
因みに本人は必死で頭を回しているのだが、あれやこれやと悩んでいる内に霧消していくのである。
あな悲しや。

1104とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:16:36 ID:WVcxJHGQ
>>1102
「母さん、疲れてるなら寝た方がいいぞ。」
疲れてる扱いをした。本人は至って真面目だ。

「仕事と……墓参りで、少しな。
 あぁそうだな、ゲーステは放っておこう。」

ニヤニヤしている。ひどいぞこいつ。

>>1103
「……本人が良いなら良いがな」
ふぅ、とお茶を一口。渋い。

「そう、だな。
 出来たら、そうするよ。」
少し困った様な笑みを浮かべて。
家族に嘘を吐くのは、苦手だ。

「それとレナート、一度冷水で顔を洗って目を覚まして来るといい。
 ゲーステは……まぁ、次頑張れ、」

次っていつだ。

1105とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:27:20 ID:jALVvEkQ
>>1103
「そうねぇ……。
 あ、ならこうしてはどうかしら」
不意に取り出したるは正方形の紙。ニホンの折り紙というものである。
それをテキパキと折り、紙飛行機を作った。

「でしょう?」
言いつつそれぞれに出た案を紙飛行機に一つづつ書いていく。

『まぁ仕方ないさ、ゲーステ。誰にでも向き不向きはあるんだ』
ポン、と肩に手を置きながら。天才を自称する少年にとっては酷い仕打ちである。

>>1104
「別に疲れてはいないわよ? でもありがとう」
ニコリと笑んで応える。ジャキの意図する意味が伝わったかには疑問が残る。

『僕も卒業したら一度行ってみるかな……。仲間にニホン出身の奴もいるし』
そういえば、彼は兄のロディと共に、同年代の男女で新興したギルドに所属したらしい。

『あぁ、ゲーステは案が無いようだからな』
ゲーステの肩に手を置きながら。

1106とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:34:22 ID:SxoTJbMg
>>1104
『正直、痛いのより寂しくなくなった方が大きいわ。』
小さな笑みは、困った様な物に変わり。

《……忙しいの?にいちゃん。》
その表情から何か察する所があったのか、へにょりと眉を八の字にする。

>>1105
<ほぇ……あ。
よー飛んだ人の勝ちー……?>

「……だがどうやら、皆が言うには適切でないらしい……難しいな。」
真面目な表情で顎に手を当てて唸る。

[何だよぉ皆して!!]
両腕を上げ、ついにパンクした様子の少年。
この状態では流石にお手上げらしい。

1107とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:38:00 ID:WVcxJHGQ
>>1105
「あぁ、うん、……偶には休んでくれよ。」
そしたらネーミングセンスも改善されるだろうか。
いや、しない(反語)

「良い所だった、自然が豊かで、落ち着いていて。」
お茶を飲みながら、思いを馳せるようにして。

「仕方ない、天才にも得手不得手はあるしな。」
鬼か。

>>1106
「あぁ……ここは、暖かいからな。」
自身も困った笑みを浮かべながら、リンダを撫でて。

「なに、今だけだ。
 そしたら、週に一回は来れるようにする。」
不安げな妹に、安心させるように、嘘を吐く。
そうでもしないと、泣きたくなるから。

「落ち着け、ゲーステ、人参食べるか。」
食べねーよ。

1108とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:47:41 ID:jALVvEkQ
>>1106
「そういうことよ。流石に理解が早いわね、ナナセは」
言い終えると共に紙飛行機も完成したようだ。

「じゃ、皆それぞれ自分のを持ってね」
と、各々に渡していく。
……何故この人も一つ持っているんだろうか。ロスヴァイセをマジで使う気か。

『まぁ仕方ないさ』
意地悪気に笑いながら。
最近、両親の良い所・悪い所を寄せ集めたみたいにjなってきた。

>>1107
「大丈夫よ。体は丈夫だもの」
間違いなく改善されないと思われる。

『いいな…いつか行ってみるよ』
まだ見ぬ異国の地に思いを馳せる。

『あぁ、すおいうことだな』
何この兄弟怖い。

1109とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:54:34 ID:SxoTJbMg
>>1107>>1108
『……そうね。』
ジャキにそう返し、自身は行く末を見守る

《ん……。分かった、ジャキにいちゃん。
よーし、マール号いっくぞー!》
[僕だって!]
そうして紙飛行機を構える二人。

「…………。」
それを真剣に腕を組んで見つめるレナートと
[もう、良ーじゃないか皆結構案出たんだし!]
頬を膨らませて腕を組むも、紙飛行機の動向は気になる。

1110とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 05:57:35 ID:WVcxJHGQ
>>1108
「(……これはダメだな)」
察した、救いはないのか、この家。

「そうすると良い、その時は土産も忘れずにな。」
きっとリンダやナナセ辺りが騒ぐだろうから。

>>1109
「元気でいいな、子供は。」
自分は投げない、どうせなら未来在る子供がちゃんと考えた物の方が良いにきまっている。

「大丈夫さ、父さん。
 ……此処で育つなら、どんな名前でも、優しい子になる。」
何処か嬉しそうにそう言って、席を立つ。

1111とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 06:06:04 ID:jALVvEkQ
>>1109
「さぁ、皆行くわよ? いっせぇーのぉー…でっ!」
掛声と共に一斉に宙へと舞い上がる紙飛行機達。

『まぁそうだな。でも、もう少し頭を柔らかくしたほうがいいと思うぞ?』
自身も紙飛行機を飛ばしながら。

>>1110
「あら、ダメよ? ジャキのも飛ばさなきゃ」
と、ジャキの手を取って強引に投げさせる。怖い。

『あぁ、もちろんだ』
わーわー言いながら寄ってくる兄妹達を想像して笑いながら。

1112とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 06:16:51 ID:RPjEaZyg
「……さて。」
〈がーんばれー……。〉
[柔らかくって……。]
《いっけぇー!》
〔負けるなぁ!〕

『(……きっといま、凄く幸せよね……。)』

夏風に吹かれ、宙を舞う紙飛行機。
最後に地へ着いたのは……ーー。

01 リエータ
23 マール
45 ナミネ
67 イリア
89 ロスヴァイセ

1113とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 06:19:53 ID:WVcxJHGQ
>>1111
「いや、俺は……全く……。」
何処か面倒そうに、だが何処か楽しそうに。

ぽい、と紙飛行機を飛ばした。

>>1112
「(――願わくば)」
「(この、小さな巣箱に、……ずっと、ちゃんと、温かい平穏が、あるように)」
「(せめて――この生命が枯れる、までは)」

小さな、だが傲慢な願いを込めて。
その瞳は落ちる紙飛行機を、みていた。

1114とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 06:21:57 ID:jALVvEkQ
>>1112
「あら…ルトラのが残ったわね。ということは…」

『……リエータ、か』
自身が考えた名前を改めて口にする。

「良いんじゃない? リエータ・カルレオン」
ね?と皆へ問いかけて。

>>1113
「残念。リエータに決まったわね」
最後に残った紙飛行機を見やって。

『なんか、むずがゆいな…』
初めて名づけ親になったからか、照れているようだ。

1115とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 22:53:38 ID:6oNMH4Uc
<王都近くの森>

『はぁー、はぁー……何だ、この……力……。』

【ふらふらと森の中をよたつきながら歩くのは金髪の少年。
その異常なほどに肥大化してしまっている黒い左腕を引きずりながら行く。

しかし、様子は違うらしく酷く苦しそうである。】


「昨日……は、何をしていたか……確か……くっ!」

【歩くのも辛くなっているのか、適当な木の幹に体を押し付けるようにして、預ける。】

1116とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 22:59:28 ID:SxoTJbMg
「…………。」

その正面より、少し癖掛かった翠髪の白い剣士が現れる。
身を包む鎧は数か所欠損しているが、手入れを怠っていた訳ではない。
満身創痍から立ち直るが早いか、この森の中を歩き回っていたのである。

「……見つけた…!」
無論、先日の怪異にもう一度遭う為に。

1117とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:04:26 ID:6oNMH4Uc
>>1116
『……あぁ、思い出した。俺は危うく、殺されかけたんだ。』

【昨夜のことを思い出しながら、荒げた息を整えようと。
異形と化しているのはその左腕のみである。

とはいえ、侵食をしようと黒い枝がビィバードの体に伸びかけている。】


『――――あれ、それなら、俺は……どうやって……?』

【異形と化した左腕がメキメキと軋み上げ、そして脈動する。】

1118とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:09:04 ID:SxoTJbMg
>>1117
「(…もう幾許も無いかもしれない……。
もしもの時は……)」

差し違えるか、体を明け渡してでも。
秘めたる覚悟を胸に、暫くの間を置いて相対した。

「こんばんは。」
自然に挨拶を向けたのは、まだ自我が残っているかの確認か。若しくは望みか。

1119とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:13:18 ID:6oNMH4Uc
>>1118
『…………何だ、お前は。』

【腕を押さえ、木の幹に凭れ掛かった状態でその声に返した。
何故だかは分からないが、以前よりも自我が回復しているような印象だ。

しかし、もはや丸太と形容できるほどに大きくなり、あまつさえそこから
刺の様なものが表出しているというのに、うろたえている様子は無い。

ましてや、こんな未熟な少年が、である。異常であることは明白だ。】

1120とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:20:13 ID:SxoTJbMg
>>1119
「私はクェス。
クェサリエル・キオーン・ストレガス。
貴方とは一度会った事がある筈なの。」

会話が成り立つ事に内心安堵し、言葉を連ねる。
それと同時に、ある懸念が頭の後ろ側で警鐘を鳴らしていた。
確かにいま現在は会話が出来ている。

しかしそれが果たして、少年の心のみで行われている事なのか。
どこか嫌な予感を抱えつつ、しかしながら身構えずに。

1121とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:26:03 ID:6oNMH4Uc

『一、度…………う、うぅ……。』

【名乗られたがこちらは名乗らない。
しかし、これはいつものビィバードのリアクションだ。
色々な経緯があり、彼は異常なほどに警戒心が強い人間になってしまったからである。

そして、会った事があるといわれて、思い出そうとしているが苦しそうに呻き声をあげる。
思い出せないのか、何かが邪魔をしているのか。】

『そう、か……昨日――――俺を殺しかけた、あの……!』

【思い出したらしいが、それは全くの別人だ。記憶が混濁している。
他にもビィバードと戦闘を行った人物がいたらしい。

狙われているのだろうか。】

1122とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:33:26 ID:SxoTJbMg
「(……殺され掛けた……
いえ、でも昨日は会えてない筈……他に、誰か……?)」

自身の行動も、ビィの認識からすれば十分それに当たる物であろう。
しかし、昨日という単語を聞いて自分では無い事と考える。

「違うわ、私は昨日あなたと会っていない。
体を癒す方を優先していたから、昨日居た場所からあまり動いていないの。」

正直に自分の行動を告げる。
昨日遭った人物より、大人びて落ち着いた声ではあるだろう。

1123とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:40:40 ID:6oNMH4Uc

『……もう、うんざりだ。
どいつも、こいつも、俺を追い掛け回しやがって……!』

【まずい。段々と会話が繋がらなくなってきている。
色々と嫌なことを思い出し、警戒と共に拒絶が高まってきている。

クェスの弁明も聞こえているかどうか、怪しい。】

1124とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:44:41 ID:SxoTJbMg
「…………。」

静かに眼を瞑り、その様子を見ている。
しかし恐らく、これから出る言葉は決してビィバードに優しい言葉ではないだろう。

「……貴方が、ずっと逃げて隠れてるからじゃない……!
今ずっと逃げてて、良くならないって分かってる筈よ!」

強まった視線が開かれ、濃緑の瞳が真っ直ぐビィバードを見据える。
それは何処か、友を叱咤する様な言葉口で。

1125とある世界の冒険者:2013/06/29(土) 23:54:07 ID:6oNMH4Uc

『……っ、うぅ……止めろ、思い、出させるな。
もう、あんな路地裏の……っ!』

【その言葉に反応を返した。まだ、声は聞こえている。
元は王都の路地裏で生活をしていたこの少年。

彼がそういう生活をし始めたのは、もちろん、過去の出来事があるからだ。
しかし、それはビィバードにとってはトラウマであり、思い出したくないことである。】

1126とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:02:48 ID:4BisO1vM
「……。」

彼の辿って来た生を、自分は知らない。
しかし、行き場に惑って道を歪められたのははっきりと分かる。

「……逃げないって貴方がちゃん決めてくれたら、私だって力になれるかもしれない。
でもその為には、貴方自身が動かなきゃいけないの。
今まで辛い事ばっかりじゃ、無かった筈よ。」
表情を堅くしたまま、胸元で手を握って眼を閉じる。

「だから……ね?」
そして次には、慈愛に満ちた微笑みと同時にゆっくりと手を差し出す。
伝わるか伝わらないかとは別に、言っておかねばならないという感情が彼女の中にはあった。

1127とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:11:49 ID:oJXK6tFo

「……う、お前……は。」

【その言葉にビィバードの顔がクェスのほうへと向けられる。
その目には苦しそうだが、彼の意志を垣間見ることが出来る。

脈動を続けていた左腕の動きが弱まった。】


――――ケラケラ、ケラケラ


「…………あ、ああ……あ……。」

【そして、救いを求めるようにその差し出された手に自身の――――――。】


――――クスクス……ケラケラケラ、ケラケラ


「……うぁっ?!」

【手は重ならず、中空で静止した。耳障りな笑いが聞こえる。
その瞬間、ビィバードを侵食しかけていた黒い枝が一気に成長を始めた。】

1128とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:22:30 ID:4BisO1vM
「大丈夫……絶対、大丈夫――」

ああ、言葉を受け取って貰えた。
ビィバードの所作に安堵を覚え、更に表情が緩んだ……その瞬間だった。

「――……っ!?
嘘……!」
耳を齧る様な、不快な笑み声。
そして黒い枝の浸食。
慈愛に満ちた表情は、驚愕と絶望のそれに取って代わった。

あの時の、最悪の結末を脳裏に浮かばせて。

1129とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:31:49 ID:oJXK6tFo

「……っぅあ、止めろ……!」

【間違いなく、一瞬ながらビィバードは自身を取り戻していた。
しかし、それを良しとはしない者が潜んでいたようで、急速に変異を始める。

苦しみ、もがく声は正に、ビィバードのものである。】


「た、助けて…………助け――――助――――――――!」

【助けを求める声は、浸食する黒によって潰されてしまう。

伸びる黒い枝によって顔をほぼ侵食してしまった。
辛うじて、元の肌色と右目が垣間見えるくらいである。】

1130とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:41:41 ID:4BisO1vM
「そん、な……ッ……!!」

自身の不甲斐なさと、憑く者の邪悪さ。
それらに奥歯を噛ませられながらも、瞳は動揺を隠せない。
あともう少しで、自分と向き合う事が出来たのに。

「……許さない……ッ!!」

形の定まらぬ異形に向けて、力強く唸る様に。

1131とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:46:56 ID:oJXK6tFo

『…………っ、ふぅ……。』

【左腕の脈動が再開した。
それと同時に左肩の部分がぐにゃりと粘土の様にうねり、変化する。

その次の瞬間にはそこから黒い塊が隆起する。直後、その塊に横向きに皹が入った。
そして、その皹が音を立てながら横に開いていく。

――――――そこには、あの巨大な目があった。
そう、その黒い塊は眼窩であり、またその目の目蓋である。】

1132とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 00:50:54 ID:4BisO1vM
「……その子を、離して……。
もう、自由にしてあげて……!」

身構え、今の少年の"本体"とも言える眼へ向けて。
その声は怒気に満ちている。
しかし、否応無く責められる状況にはない。

1133とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:02:12 ID:oJXK6tFo

『…………約束だ。』

【ビィバードの口を借りて、不可解なことを言う。
以前にも同じようなことを言っていた。あの時はこの目玉が優勢であったが。

そして、言い終わると同時に、立ち上がると腕を自身のほうへ引き寄せ始める。
無論、クェスの願いを聞き入れるつもりはないようだ。】

1134とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:07:27 ID:4BisO1vM
「約束……!?」
気を失う最中で、確かにその言葉は聞いた。
しかし異形の出自を知らぬ彼女にとって、それは謎でしか無かった。

「くっ……
(手を、出す訳には行かない……受け切らないと……!)」

1135とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:13:39 ID:oJXK6tFo

『うぅ……。』

【呻き声を挙げながら、腕をぐっと後ろに引く。
その瞬間、腕は変異を始め、以前、対峙したときの様な先端部がヒルの口のようになる。

とはいえ、ヒルの機能は持たないため、血を吸われることはない。
だが、その口に捉えられてしまえば一たまりもないだろう。】


『うううるぅああああああ゛あ゛あ゛ぁ…………!!』

【獣の様な叫び声、怒号と共にその腕をクェスに向けて突き出す。
無論、先端部のヒル状の口で捕らえようとの魂胆だ。】

1136とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:18:21 ID:4BisO1vM
「……ッ、やってみせる……!」

瞳の奥で、正義の炎が燃え上がる。
そして、真っ白なガントレットを眼前に掲げた。

「スターガードッ!!」
持ち主の叫びと魔力に呼応する様に、それは星色の障壁となる。
ガントレットから半球レンズの様な強度の高い障壁が、眼前の蛭と相対した。

1137とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:31:04 ID:oJXK6tFo

『…………ぐぅ……!』

【障壁に腕が当たる。その腕の大きさ、太さに見合った衝撃をクェスの障壁に与えた。
しかし、これはあくまでも、ただの物理攻撃である。

強度が高ければ、流石に障壁を破るだけの力は持ち合わせていない。
そのため、障壁に腕が弾かれた形になる。】


『……う、うわっ?!』

【そして、弾かれたことにより、腕は予想外の方向へ飛んでいく。
それとともに、ビィバードのバランスが崩れる。

あれほど、大きな腕を魔力などの補助があるとはいえ、あの細身で扱うのだから当然だ。】

1138とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:39:46 ID:4BisO1vM
「…ッ……!!」

この防御方法は、普段ピンポイントでガントレットだけに付与する物。
しかし相手の大振りな攻撃に対応するには、これしかない。

受け止めた体は数歩分後退するが、ダメージは無効化できた。

「(……どうするべき……?
あの状態から、また話が出来る様になるには……!)」

1139とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:47:43 ID:oJXK6tFo

『……っ゛……!?』

【驚いたような声を上げるビィバード。
見れば、先ほど障壁によって弾かれた腕が木に引っかかってしまっている。

足に魔力を込めて、地面を踏み込むとその腕を木から外そうと引っ張る。
しかし、それは中々、外れそうにない。】

1140とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:51:05 ID:4BisO1vM
「……!」
身動きが取れないのを機と見て、構えを解いて駆け出す。

「そうよ、あの腕の力を弱めれば……!」
一挙動で直剣を鞘から抜き放ち、そう勢い付く。
確かに意識はあったが、おかしくなったのは腕が彼を取り込もうと動いてからだ。
ならば逆の事をすれば、再び話せるのではないかと。

「……――」
小さく息を吸い込み、狙いを腕へと定める。

1141とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 01:59:04 ID:oJXK6tFo

『う……うぅ……う゛……!』

【どうにかして腕を外そうと動くビィバード。
しかし、それはただの力任せの動きであり、中々外れそうにない。

魔力を込めた足は力を入れすぎて、地面に沈み込んでいく。】


『ぐ、うう゛う゛うううううあ゛あ゛ぁぁぁぁッ!』

【足の込められた魔力が輝きを増す。
そして、精一杯の咆哮と共に、腕を引っ張る力を強くする。

すると、木がメキメキと軋みを上げ、そのまま木が幹の途中で折れ、倒されかかる。】

1142とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 02:10:55 ID:4BisO1vM
「(……調べる必要があるわ……。
その為には……ッ!)」

「ストレガス流、風車……斬りッ!」
その刹那。
勢い良い跳躍と共に、横向けた体を捻りながら斬撃を繰り出す。
慣性のままに斬り抜けた剣士はどうにか木の直撃を免れ、そのまま背を向けて走り去る。

これ以上の刺激は、余計な浸食に繋がる。
今日のところそう判断したクェスは、消耗させつつも逃げる算段を取ったのである。

1143とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 02:20:27 ID:oJXK6tFo

「……っ……うぅ……!」

【木をなぎ倒している最中であったため、その斬撃を避けることは出来ない。
その左腕でまともに食らってしまい、その部分が切れる。

だが、そこから不思議と血は出ていない。

もちろん、クェスの逃走を追うことも出来ずにそのまま、逃してしまったとか、FO】

//了解、お疲れ様でした!

1144とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:13:15 ID:h6AcHmv6
― 王都内 公園 ―

「この町の初出陣としては ……まずまずだったわね」
「攻撃が通用しないという事も、避けられない攻撃を連発される事も無いとわかった 上々だわ」

ベンチに座り、自身の武器である魔銃を磨きながら独り呟く
黒い長髪を持つ少女
汚れをふき取ったかと思えば次の瞬間、魔弾を装着する箇所を開け覗き込む

「問題は、あの時発砲するのにやたら手間がかかった事」
「手入れを怠ったつもりは、ないのだけれど……」

1145とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:16:57 ID:4BisO1vM
>>1144
「………。」

先日の戦いのフィードバックと得物の手入れをするリアラに、何やら視線が向けられている。
敵意の類では無いが、あまりジロジロと見られるのが好きな人間もあまり居ないだろう。

さて視線の先だが、遊具として設置されている滑り台からだ。
その昇り階段辺りから、大きな三つ編みおさげに丸眼鏡の少女が居るのが分かる。

1146とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:22:08 ID:h6AcHmv6
>>1145
「………?」

視線を感じ、滑り台の方に視線を移す
負の感情はあまり感じない、しかしたとえ感じても空に空砲でもぶっ放せば憲兵がかけつけてくれるだろう
ともあれ相手の姿を確認することが優先だと考え目を細くし やがて安心したような表情を浮かべ立ち上った

「ああ、昨夜の……」
「昨日はお疲れ様、盾役としてこれ以上に無いほど活躍していたわよ」

1147とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:26:04 ID:4BisO1vM
>>1146
「…………!」

声が掛かると、ピャッと滑り台の裏へと引っ込む。
そして暫くすると、おずおずと姿を現した。

「……あ、あの、あのう……。
わた、私……気付いたら宿で寝ていて……酒場の人に聞いて、その……」
これでもかと言わんばかりに、小声な早口でどもりながら口を動かす。
ぎこちない動作で近付いた後、頭を下げた。

昨日は恰好から印象になかったがかなり小さい。小学生ほどか。

1148とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:36:36 ID:h6AcHmv6
>>1147
「……当然のことをしたまでよ、依頼中かなり助けられたし、あそこで見捨てるわけにはいかないじゃない」
「それにいい運動になったしね」

口角を少しだけ上げながら、ぎこちない動作のピンネを上から下へ眺める

「学校の…… 初級ほどかしら、年齢は」
「その年であの実力は大した物だと思う」

1149とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:41:11 ID:4BisO1vM
>>1148
「あ、あの……でも、私……ああいうの初めてだから、一所懸命で……
あんまり……周り、見えてなかったかな……って……。」

評価とは対照的に、自信なさげな言葉。
尤もその必死な奮戦が相手をこちらに引き寄せたとも言えるが。

「     」
不意に言葉へと動きを止めるが

「あの……今年で……18です……。」
やや項垂れながらも、ぼそぼそと呟いた。

1150とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:44:18 ID:h6AcHmv6
>>1149
「あれで周りが見えてなかった……?」
「それはそれで何とも…… 末恐ろしい、わね」

これで視野が広がったらどうなるのだろうか
まだ小学生くらいの年齢だ、これから成長したらどれだけ……

と思っていた矢先、衝撃の事実


「…………あ、あ…… 随分と…… 若く、見えるわね」

「(……年上じゃないっ!)」

1151とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:49:37 ID:4BisO1vM
>>1150
「あ、あんまり……考えて動けた感じは……しない、です。」

なりに成長すれば持ち得る物……以上は、確かにあった。
恐らくは本能が優れているのだろう、その場での良手を選択し得る事では。

「…………。」
声を詰まらせ狼狽する様子を見て、しばし沈黙……

「……や、やっぱり……小さい……ですか。私……」
そしてぐっと何かを堪える様に。

1152とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 22:59:10 ID:h6AcHmv6
>>1151
「直感でいい手が選択できるのも間違いなく冒険者に必要なスキルのはずよ」
「無駄にゴチャゴチャ考えて足を止める事よりも、ずっと大事」

ここで持論を展開、自分を卑下するピンネをやんわりと否定する
ちなみにこの瞬間、どっかでアホ毛が噂をされたくしゃみをしたとか何とか


「あー……… ……申し訳ないけど、間違いなく小さいわね」

ごまかしが通用しないと判断、今回はずばっとストレートに

1153とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:06:36 ID:4BisO1vM
>>1152
「あ……有難う……ございます……。
せ、戦術を習う機会は少なかったですが……
闘う事は……その、す、少なく無かったんです……。」

因みに会話をする間も、全く眼は合わせられない様子。
昨日の恰好と照らし合わせて、どうやら人と話す事が得意でないと予想できる。

「…………ですよね……。
……色々あって……お、大きくなれないんです……私……。」
高等部に入学した当初は、何回あやし言葉でつまみ出されようとした事か。

1154とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:10:36 ID:h6AcHmv6
>>1153
「………一部分は妬ましいほどに大きく見えるわね」

主にデカパイが 妬ましいほどに
姿は小学生なのにここまででかいと色々大変だろうとも思うが

「年上とわかった以上…… どうした方が、いいかしら」
「先方に倣って敬語で話した方が、貴女もやりやすいんじゃなくて?」

1155とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:18:33 ID:4BisO1vM
>>1154
「……へっ? あっ……。
これはその……元の、体の……」

何処を指しているかは凡そ想像が付いた。
普段同級生におもちゃにされている結果である。

「え。年上……?
あ……わ、私は……普通に喋って貰った方が……
…そ、そうだ。私……ピンネって言います……リアラさん……だよね?」
クエストの概要は参加者を含めて読み込んだ。
名前から判断して、リアラとは彼女の事を指す以外に無いのである。

1156とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:27:38 ID:h6AcHmv6
>>1155
「(……元の、体?)」
「(訳ありという風に見えるけど…… 流石に、赤の他人に聞かれたくない事よね)」

気になる言葉が度々出てきているのだが、出会って数時間程度の仲だ
そうやすやすと土足で踏み込めるほど度胸があるわけじゃかった

「それなら、貴女の言うとおりにするわ。 ……正直に言うと今更敬語に変えるのも照れがあるしね」

「ええ、私の名前はリアラで間違いない、だけど…… 私はピンネって呼び捨てにするから、貴女も呼び捨てで呼んでみない?」

1157とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:37:12 ID:4BisO1vM
>>1156
「…………。」
加えて言えばあの馬鹿らしい程の体重もそうだ。
着込んでいたとは言え、ただの布。
得物も持てない程ではなく、間違いなく体そのものの重さだ。

「……あんまりそう話された事……ないし。」
ちょっとネガティブである。しかし仕方のない事。

「……え、えぇ……。
じゃあ、えっと……あの……リアラさ……リアラ。」
改まる事に照れ臭さを覚えながらも、正しく示す通りに名を呼ぶ。

1158とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:46:38 ID:h6AcHmv6
>>1157
「(不自然な事は多々ある)」
「(今の体は単なる目の錯覚じゃないか、胸以外の部位に幻覚がかけられているとかそんな……)」

「(けれども今考えても妄想の域を出ないわね)」


「……うん、 年上に呼び捨て強要したようにも思えるけれども」
「どうせ敬語を使わないなら、呼び捨ての方がいいと思ってね」

1159とある世界の冒険者:2013/06/30(日) 23:54:16 ID:4BisO1vM
>>1158
「……召喚術を使う為には……仕方ないんだ……」
考え込む様子が顔にでも出ていたのか、少し困った様な笑顔でそう呟く。

「う、ううん……無理はしてないよ……。
あの……私、あんまりその……ふ、ふつうに話せる人……少なくて……。
だから、ちょっと、えと……恥ずかしいかな……って。」

1160とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:03:07 ID:C00pGHOc
>>1159
「え? ………ああ、顔に出ていたかしら」
「……もう聞いたも当然よね、 召喚術には疎いけれど姿を変えないといけないほどなの?」

ちょっぴりばつの悪そうな表情を浮かべ、
今更黙りつづけるのも悪いと思いあえて踏み入った

「それなら私は数少ないふつうに話せる人の中に入れたって事ね」
「……フフ、光栄よ」

1161とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:10:49 ID:fU460E0I
>>1160
「……私達は……自然の力に頼る所が、大きいから……
それを宿す為には……私は、器じゃないといけない……だから。」
召喚術を行使する為の体作りが体躯の成長に歯止めを掛けているのだと言う。
全力で行使する時以外に、あるべき姿に戻る事はない……らしい。
中々ハードな術だ。その分力も十分ある様だが。

「……う、うん……。しっかりしてて……話し易い、し……。
……あの、リアラは……王都には、最近……?」

1162とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:21:52 ID:C00pGHOc
>>1161
「召喚術の中でもハイリスクハイリターンな物、というわけね……」

目を閉じ、頭を横に振る
そこまでハードな召喚術の話は今まさに初めて聞いたのだ
自分だったら…… いや、胸が大きくなるならやるかもしれないが

「ええ、少し前まではあっちへこっちへ旅をしていたのだけれど」
「いい加減一つの所に落ち着きたくなってね、前々から王都の噂は聞いていたし定住するならここしか思いつかなかったわ」

1163とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:33:07 ID:fU460E0I
>>1162
「……うん。」

彼女が使役していた多くは草食の獣が進化した様な姿だ。
あまり見た事が無い物からして、自然を知らねば為せぬ事なのだろう。

「……そっかぁ……
ここは……いい所だよ、色んな事を勉強できるし……色々あるけど……他よりずっと平和……。」
にこ、と慎ましく咲く花の様に笑うと、大きな眼鏡をだぶだぶのローブ越しの手で押し上げた。

1164とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:46:34 ID:C00pGHOc
>>1163
「確かに、今まで訪れた場所と比べたら格段に治安がいいわね」
「街中だと何かがあっても憲兵が駆けつけてくれる、宿屋も清潔で安全で……」

「……ただ、まぁトラブルが多いのはどうしようもないわね」

初めてクエスト発注所に訪れた時は、他の街の比じゃないほどだった
人が多い分トラブルが絶えず、また安全な場所がある分その周りが危険なんだろうと

1165とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:50:15 ID:fU460E0I
>>1164
「……ひ、人が多いから……
……あんまり、良く無いけど……仕方ない、よ……。」
ピンネとしてもたびたび見掛けた事はある。
卒倒し掛けながら逃げた事も何度かあった。

「……図書館は、静かで良いなぁ……。」
なので安息の地を求めて図書館に引き籠るのもしょっちゅうだった。
スラムなどに足を運んだらどうなってしまうのか。

1166とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 00:58:11 ID:C00pGHOc
>>1165
「治安の格差はどこでもどうしようもない、こんな大きな街だと特に」

そして一呼吸をおき、ため息


「……そろそろ宿屋に向かわないと、まずい時間帯ね」
「貴女も見た目からしてかなり危険よ、ここら辺で解散という事にしない?」

1167とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 01:02:11 ID:fU460E0I
>>1166
「…………ちょっと、寂しいよね……。」
溜め息に重ねる風に、そう零した。

「あ……うん、そうだね……。
あ、あの……改めてリアラ……昨日は、ありがとう……。
また……お話、しようね……。」

フードを整えて深々と被った後、改まった姿勢で大きく頭を下げた。

1168とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 01:04:57 ID:C00pGHOc
>>1167
「私の方からも、ありがとう」
「昨日貴方がいなかったら上手く行ってたかわからないわ」

ピンネが頭を挙げると、こちらも頭を下げて礼を言う
そして魔銃をホルダーにしまうと背を向け、歩き去る少女

1169とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 01:18:49 ID:fU460E0I
>>1168
「え、ええっと……その…………どういたしまして。」
背を見送る形となり、今度は卑下せずに受け止める。

「…………♪」
そして、子供じみた駆け足でその場から少し嬉しそうに去って行くのであった。

1170とある世界の冒険者:2013/07/01(月) 22:36:06 ID:A./g1nz6
【王都郊外/森林】

『……ふぅん、傀儡、ねぇ。
 でも結局昨日はアレは呼ばなかったのね?』

「事足りたからな、カロンも要らなかったかもしれん。
 そっち風に言えば"時"じゃないんだろうが。」

『ふふ、坊やも染まって来たわね』

薄暗い宵の森林の奥。
木々の隙間から月が見える開けた場所に、黒いコートの青年が居た。

切り株に腰掛けて、姿の見えぬ何者か、と会話を交わしているようだ。

1171とある世界の冒険者:2013/07/02(火) 00:59:54 ID:JLnZ7nCo

『――――……と、まぁ、こんな所ね。 今日の授業は。 参考になった?』

「ああ、助かる。
 ……素養が無いのが残念だがな。」

『無い方が良いわ、狂うだけよ、「時の秘術」、なんて』

……大分と、時間が経った。
だが未だ会話は続いているようだ。

1172とある世界の冒険者:2013/07/02(火) 23:02:53 ID:JLnZ7nCo
【王都郊外/草原】

「…………之でよし、と」

王都、街道から少し逸れた場所にあるただ広い草原。
其処に、黒いコートの青年が居た。

様子から見るに、何事かしていたようで、ちょうどそれが終わったようである。

1173とある世界の冒険者:2013/07/02(火) 23:22:32 ID:JLnZ7nCo
【FO】

1174とある世界の冒険者:2013/07/06(土) 23:11:25 ID:upyCsGKM
-蒸気の街メタ・ヴァプール 第5区画-

「うおおおお!
目の前で見ると思ったより大きい!!!」

興奮を露わにする橙髪の青年。
宿を取った三人が向かったのは、第5区画。

話しの通り、玄関口的な役割を果たす第1区画とは打って変わって無骨な所だ。
そんな中に立つ一際異様な半球状のドーム型になった建物。

あちらこちらから煙突の様な物が生え、そこから断続的に蒸気が噴き出している。
大きなその建物を眺めながら、三人は立っていた。

1175とある世界の冒険者:2013/07/06(土) 23:28:03 ID:B6bhHwD2
>>1174
「やべえええ、あの水蒸気とか超テンションあがる!」
【ハイテンションなバン君の隣で、同様に盛り上がる剣士っぽい格好の青年】

「確かにデカいが……雰囲気は他と同じようなものじゃないか」
【2人の一歩後ろで、肩をすくめながらはしゃぐ男どもをみる黒髪金目の少女。
その問いに振り返らないままで、リスタが答える】
「こんな雰囲気バッチリな"図書館"だからいいんじゃねーか!」

「……そうか」
【輝く視線を図書館に向けたままのリスタの答えに、ラーナイは呆れた溜め息をついた】

1176とある世界の冒険者:2013/07/06(土) 23:39:42 ID:upyCsGKM
>>1175
「あれって、中がどうなって水蒸気を吐き出してるんだ……ッ!?」
男の浪漫が刺激されて高まり合う二人。

「ラーナイさん、これは素直にカッコいい物だよ!!」
先導役がこれでは、多少先が思いやられる。

「……おっと、とりあえず中へ……!」
が、一応役目については見失っていない様子。
ワクワクしながらも、図書館の入り口へと向かう。

入口もまた、ブリキの様な金属が無造作にツギハギされたいかにもな扉が。

1177とある世界の冒険者:2013/07/06(土) 23:50:40 ID:B6bhHwD2
>>1176
「……」

【男のロマンとやらがいまいち理解できないらしいラーナイは、ハイテンションな男どもに肩をすくめて歩き出した。
見とれていたため、先導役と同行者に一足遅れたリスタも、小走りで2人に追いつく。
むしろ追い越す】

「扉もいちいちテンションあがるなあ!
なあ、開けていいだろ?」

【口調は問いかけるようなものだが、ハイテンションに突き動かされ答えを待たず扉に手を当てる】

1178とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 00:00:31 ID:vWRnmYko
>>1177
「さあさあ、中はどんななんだろうね!!」

まるで社会科見学に来た女子が置いてけぼりを喰らっている様な様子である。
バンキッシュも堪えきれずにリスタを追う形で駆け

【ギ……ゴゴゴ……】
「震えた!」

【プシュー……!】
「蒸気が出た!?」

【ズズズズ……】
「横に開いた!!」

実況が喧しいが、リスタが手を掛けた瞬間……
中割れになる様に蒸気の線が入り、そこから扉は横開きに全員を迎え入れた。

1179とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 00:14:29 ID:9ORuiy5s
>>1178
「す、すげえええ……!」
「図書館なら、もっと簡単に開いてもいいとおもうんだがな」

【感動にうち震えるリスタ、凄いとは思っているらしいラーナイ。
三者三様、扉が開いただけなのに実にレパートリー豊かな反応である】

「本は!本はどんなのがあるんだ!」
【リスタは小声で叫びながら、たまらずといった様子で図書館へと駆け込んだ】

1180とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 00:32:16 ID:vWRnmYko
>>1179
「あ、ちょっと待って!
先に地下の方を……!」

そしてそれを慌てて追う様に、駆け出した。


三人が見たのは、まるで別世界の様な光景だった。
何故水に弱い本が並んでいる場所で蒸気なのか、それがはっきりとした。

本棚が、動いているのだ。
蒸気の力によって敷き詰められたレールの上を、のべつまくなく。

それはまるで本棚の列車の様に、力強く駆動している。

1181とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 00:41:58 ID:9ORuiy5s
>>1180
「本が水気を吸わないように工夫してんのか?
それとも耐水魔法を……いや、それじゃ振動で本にダメージが……」
【男のロマン<本になったリスタは、動く本棚……正確にはその中身を確かめようと、本棚に近づいていく】

「バンキッシュ、確認するが届け先はこの地下なんだな?」

【図書館という場所柄、隣にいるバン君へ声を潜めて問いかけるラーナイ。
もっとも、本棚が動き回るこの場所では余計な気遣いだろうが】

1182とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 00:53:18 ID:vWRnmYko
>>1181
【本に特別な加工をされている様子は無い様だ。
棚にも簡素なガラス蓋が添えられている位で、他に何も無い。
ふと動く本棚の先を見ると、別の部屋に繋がっている様だ。】

「そうだよ、ラーナイさん。
地下は一応本棚になってはいるけど、そっちはメタ・ヴァプール固有の物が多いらしい。
そこだと見ても分からない本が多いから、司書さんはそっちに居るって。」

声色を合わせ、先を指差す。
その最中も本棚は動き、上を通り過ぎて影を落とした。
確かに変わった仕組みだが、頻繁に本を入れ替えられるという利点も生み出していた。

1183とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:04:44 ID:9ORuiy5s
>>1182
【ガラス板に水蒸気の雫が付いているかも気になるリスタ。
水蒸気がついていれば、すなわち本は蒸し風呂状態。悪環境この上ないのだ。
そんなリスタに、ラーナイが近づいていく】

「依頼を先に終わらせたほうが、ゆっくりできるぞ……ん?」

【囁かれた言葉に脳内天秤を揺らすリスタ。
それを待っている間にラーナイが気付いたのは、本棚の向かう先だった】

1184とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:10:25 ID:vWRnmYko
>>1183
【だが不思議と水蒸気は付いていない……
というより、自身らも余り湿気を帯びた様子はない。一体どういう事なのか……
と考えている所で、声が掛かる。】

「うんうん、ゆっくり見た方が良いよ!
遠い所だし、僕も見たい所はやまやまだけど……
……ん?あぁ、あっちも地下に繋がってるみたいだね!」

その様子に気付いたバンキッシュが、疑問を解く様に続けた。

収容通路。現在立ち入り可。
[→B1]という立札が立っている。

1185とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:21:05 ID:9ORuiy5s
>>1184
【蒸し風呂にされているという心配は消えたし、どういう訳かガラスもあまり揺れていない。
ということは、本にダメージはあまりないと考えていいだろう。

ちゃきちゃきちゃきちーん。

リスタの脳内天秤も、2人の意見に賛成した】

「よし、さっさと依頼済ませちまおうぜ!
えーっと、あのいかにもな看板の先か?」
【キョロキョロ辺りを見回したリスタは、見つけたB1を示す看板を指差した】

1186とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:29:07 ID:vWRnmYko
>>1185
恐らく、B1にある文献を読めばその構造についても深く知れる事だろう……。
普段本を保管する助けになるやも知れない。が今は兎も角

「うん、あれだね。
よっし、じゃあ今度はお先に!」

その看板の先……レールの上でカーブする本棚と一緒に曲がり角の奥へと走る。
良い子の皆はくれぐれも図書館で走らない様にしましょう。

1187とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:38:37 ID:9ORuiy5s
>>1186
「うわ、ずりい!」
【思わず声をあげ、急ぎ足で追いかけるリスタ。
走らないのは流石というべきか】

「……やれやれ」
【ラーナイは、はしゃぐ男たちの後をゆっくり追いかける】

//あっ、逃げた

1188とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:44:10 ID:vWRnmYko
>>1187
そして、曲がり角を曲がった







視界が一瞬で暗転する。
不意に体が軽くなり、心地良い無重力感が全身を支配する。
まるで宙に浮いているかの様な、そんな感覚だ。

見上げると遥か彼方へと光が見える。
そこにちらりと移る本棚……ああ、これは。



「落ちるぅぅぅぅ!!!?」
男の悲鳴が、下の方で聞こえた気がする。



//優秀<まず水蒸気ですが濃縮水の比率が魔力の割合の方が高くて大気に還元します
      硝子に関しては内枠填め込み式でシリンダで無用な振動を緩衝してます(キリッ

1189とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 01:53:47 ID:9ORuiy5s
>>1188
「うわっと!
ふぃー、あっぶねえ」
【足を止め、バン君の二の舞を回避するリスタ】
「だっ、大丈夫かっ!」
【床に膝をつき、下を見下ろすラーナイ。
慌てているので、つい声が大きくなる】

//中「なるほど、わからんっ」

1190とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 02:01:30 ID:vWRnmYko
>>1189


……

…………

その闇の中から、返答は無い……


「おおぉ!?
全然痛く無いと思ったらこれ凄い、柔らかい!!」
と思いきや、呑気な声が返ってきた。
柔らかい……?

「二人とも、降りておいでよ!
ここ凄いよ!!」

//優秀<私は分かります、優秀ですから(キリリッ

1191とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 02:08:03 ID:9ORuiy5s
>>1190
「……やわらかい?」
【返ってきた答えに顔を見合わせて首を傾げるラーナイとリスタ】

「まあ、ここで立ち往生する訳にはいかないんだし……とりゃ」
【先に飛び降りたのはリスタだった。
続いて、ラーナイも下へと降りる】

//そろそろ寝るのでつぎでFoしまっす

1192とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 02:13:02 ID:vWRnmYko
>>1191

こうして三人は、不意な縦穴の中に飛び込んで行ったのであった。
果たして、ここは一体図書館の何処なのか?
何故その様な場所がこの図書館に存在するのか?
バンキッシュの言うやわらかいとは……!

全ては次に明かされる。
そして彼ら彼女らには、大きな出会いが訪れようとしていた……。

【フェードアウト】

//したらばこんな感じで!乙ありっす!

1193とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:17:29 ID:bneCawE6
<王都の路地裏>

【目玉に寄生され、人間としての意志は既になくなっていたはずのビィバード。
しかし、そのビィバードはいつの間にか支配から解き放たれ、路地裏に逃げ込んでいた。

そんなところをクェスとアルスに発見されたのである。
だが、ビィバードは原因不明の苦痛に苛まれ、動けなくなっていた。

そんな彼の首には黒いアザが既に除去が不可能と思われるレベルで浮かんでいた。】

1194とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:20:31 ID:vWRnmYko
>>1193
「一体、これは……。
ねえ、詳しく教えて欲しいんだけど……何処まで覚えているの?」

ビィバードへ向けて言う剣士。
翠髪を小さく揺らし、首を傾ける。
あくまで軽い質問で、気を張らせまいとする様な優しい聞き方だ。

1195とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:22:08 ID:qy9IrL5E
>>1193-1194
「思い出せないなら、無理に思い出そうとしなくてもいい。
 ただ……君がそうなっていた、って事は覚えていて欲しいんだ。」

一先ず今は、と言葉を切って路地裏の出口の方を見る。
そろそろ医療班の者が来る筈だ。

1196とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:30:19 ID:bneCawE6

「……って言われても……確か……。」

【聞き方が良かったのか、既に落ち着いたからなのか断片的ながら口を開き始めた。
だが、記憶が混濁しているのは事実のようで、中々、思い出せないらしい。】

「……蜂蜜好きの女に連れられて……えぇっと、小さな屋敷みたいなところに………。」

【情報がポツリポツリと表に現れ始める。
全く以て、原因不明と思われていたものがベールを脱ぎ始めた。】

1197とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:33:01 ID:vWRnmYko
>>1196
「小さな……屋敷……?
(蜂蜜好きの女……確か、誰かがそんな事を……。)」

少しだけ視線を横に逸らし、思案する顔を見せる。

「うん、それで……?」
努めて優しく促し、頭は別の事を考えていた。
"アレ"は無差別に取りついたのではなく、誰かからけしかけられた……?
そんな事を頭の中に巡らせる。

1198とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:35:59 ID:qy9IrL5E
<チョットストラグルー!ドコデスノー!?
<セシリアサン、オチツイテー

>>1196-1197
「蜂蜜……。」

頭の中である資料写真と、聞き及んだ話が思い浮かぶ。
王都の周囲で人を襲う蜂蜜の怪物の話、何れ処断はくださねば、と思っていた相手だ。

「……続けてくれるかい?」

1199とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:51:49 ID:bneCawE6

「連れられて、そこで強くしてやる、って言われた。
…………まるで、お話に出てきそうな怪物みたいな………えっと……。」

【一つずつ、自分の中の記憶を手繰り寄せていく。
どうやら、強くしてやるとの誘いに乗ってしまったようだ。

彼は劣等感が非常に強く、彼にとってそれは甘い響きだったのだろう。
逆に言えば、そこに漬け込もうと考えるほどの余裕が相手にあったということだ。

つまり、ビィバードは前々から目を付けられていたらしい。
おそらく、その片鱗が窺えるエピソードもあるのだろうが、当の本人の記憶には霞がかかっている。】

1200とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:54:51 ID:vWRnmYko
>>1198>>1199
「……救護班が着いた……?」

「強くしてやる……か。」
その手の誘いは自分も受けた事がある。
しかしそれは、やはり良い話ではなかった。

「……今もまだ、力が欲しいの?
キミは。」
辛い記憶を労わる様な声色で、静かに問う。

1201とある世界の冒険者:2013/07/07(日) 23:57:21 ID:qy9IrL5E

>>1200
『――居ましたわねっ、ストラグルっ!全くっ、事情も説明しないで――』
「セシリア、悪いけどアリーナと一緒にこの子、見てもらえるかな」
『んんっ……もうっ!!』
《せ、セシリアさん、落ち着いてください、ね?》

やって来たのは金色の髪を靡かせる娘二人。
一人は形相鎧に、一人はシスターを思わせるローブを纏っている。

>>1199
「……"化物"。」
怪物、と言う言葉に小さくはんのうし呟く。
心当たりはいくらでもある、別件である事を願うが。

「……ストレガスさんと同じ様に聞くけれど、
 君は、まだ強くなりたいのかい?」

片膝を付き、少年に目を合わせる。
まっすぐに、何処までもまっすぐに。

1202とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:02:48 ID:Kp8ifsXU
>>1200-1
「…………!」

【現れた女性にびくりと反応する。
思わず、逃げようとする動作さえとって見せた。もはや反射だ。】

「……あ、あー……その……。」

【信頼はしていないが、とりあえず目の前の人物が今のところは危害を加えないと
分かっているため、その動作を押さえ込んだ。】

「……そ、そりゃ、そうだ。どうせなら、強くなりたい……!
だから、〝あんな爺さん〟と〝まん丸の化け物〟に―――――――。

――――あ…………?」

【少しばかり興奮してしまったが、それが記憶を吐き出す切欠になったようだ。
自分でも忘れていた言葉を自分が発し、それに困惑している。】

1203とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:05:20 ID:OYhWil5M
>>1202
《大丈夫ですよ、怖くありませんから》
にこ、とそんなビィバードに視線を向けてしゃがみ込むのは法衣の娘だ。
流れるような金色の髪、柔らかい微笑みに銀色の瞳。
何処か、人を安心させるような雰囲気を持っている。


「よし解った、それなら、俺が君を――」
鍛える、と言い掛けた所で、ビィバードがナニカを思い出した言葉に反応し、言葉を止める。

「……! 落ち着いて、ゆっくり、深呼吸するんだ。」
そしてまずは、困惑を抑えようと。

1204とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:08:45 ID:VkbR3fPM
>>1201
「お願い、まだ体も万全とは言えないの。
助けてあげて。」

神妙な表情で、傍らに居るクェスが願い入る。
しかし、ストレガス……。
ストレガスと言えば、商人の大御所では無かっただろうか。
良家の者であれば、立食などでその姿を眼にした機会もあるかも知れない。

>>1202
「………
(……そうか、この子……ここまで……。)」
不意に逃げようとする様子……
気にかかる事はあったが、強さへの渇望……。
今の状況から鑑みて、余程虐げられて来たのか。

「……大丈夫、大丈夫だから。」
それを思うと、強く肩を抱かずにはいられなかった。

1205とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:10:35 ID:OYhWil5M
>>1204
《はい、任せてください》
『……! 貴女、ストレガスのご令嬢……?』

それを察するのはこの中の騎士関係で唯一帰属所属の娘だ。
一方、アルスはビィバードと話……法衣の娘はキョトン、とした後容態を見るようにしているが。

1206とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:17:42 ID:Kp8ifsXU

「……あ、あ……そうだ――――あの、骸骨みたいな爺さんが……。
俺を強く――――強く、してやるって……〝これ〟を改造してやるって。」

【記憶がぐるぐると再生し始めたのか、かけられる声にも反応を示さない。

そういいながら、自身の左腕の赤い装具に右手をやった。
口ぶりとしてはその〝爺さん〟が主に行動を起こしていたような言い方である。】

「そうしたら、そうしたら…………丸い化け物の手が宙に浮かんで――――――ッ??!」

【話している最中にクェスによって肩を抱かれる。
あまりに突然なことに体が強張ったかと思うと後ろに、跳ね飛ぶようにしてクェスから離れる。】

1207とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:23:45 ID:OYhWil5M
>>1206
「……やっぱり、あの老人か。」
『提出された資料にありましたわね、魔力異常を起こす、だとか』

考え込む様子で、一息吐く騎士二人。
対策は練ってあり、捜査も進めていたが……これは、貴重な情報だ。

「!」
《大丈夫です、落ち着いて下さい、怖くありませんよー》

逃げ跳んだビィバードに、困った様な顔で法衣の娘が声を掛ける。
無理矢理に手を取る事はしない。

1208とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:26:24 ID:VkbR3fPM
>>1205
「よろし……あっ、え?
ああぁ……えーっと……そう、かなぁー……?」

珍しく、歯切れ悪くとぼける様子を見せるクェス。
しかしその癖のある翠髪に、白を好む装い……昔から何ら変わっていない。

>>1206
「……っ!
大丈夫……私は何もしないわ……。」
(骸骨……翁……?
……それが、黒幕……!)

「貴方を傷付けたりなんか、絶対にしない……
この剣に誓って、約束する。」
一度離された事に驚くも、真っ直ぐに意思を湛えた瞳でビィバードへと再び近付く。

1209とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:29:20 ID:OYhWil5M
>>1208
『商家のご令嬢がこんな所で何を……まぁ、私生活にまで苦言を呈すつもりはありませんけれど』

ジト目でクェスを見詰めた後、飛び退いたビィバードに瞳を向ける。
アルスや、法衣の少女と違い騎士、と言った感じの騎士だ、彼女は。

1210とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:35:38 ID:Kp8ifsXU

「…………っ、っ……。」

【腰が抜けたかのような尻餅をついた姿勢でじりじりと下がっていく。
無論、ちゃんとこの場にいる全員に何度も視線を向けながら。

こうして彼の全体像を見れば、首に付いた黒いアザが良く目立つ。】

「……そ、そんな〝会ったばかり〟の人間の言葉なんか信じられるかよ!」

【剣に誓う。……それは騎士にとっては実に強力な言葉である。
だが、もちろん、ビィバードは騎士ではないため、その言葉が如何に強いものであるかは分かっていない。】

「――――え?いや、会ったばかり……?いや、確か……お前は――――。」

【寄生されたときのことは覚えていない。それは今までの反応からは明らかだ。
だが、しかし、クェスとの対峙において、一度だけ支配から外れたときがあった。

そのときの事を思い出し始めたのかもしれない。】

1211とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:48:31 ID:VkbR3fPM
>>1209
「い、いえいえそんな……。
あ! つかぬ事をお伺いするけど、貴女どちらの……?」

ぎくりとするクェス。
家の方針と自身が折り合わず、逃げ出したなどとは到底言えない事だ。

>>1210
「……。」
首をゆっくりと二度横に振って、足を止める。

「私は、貴方に絶対嘘を吐かない。
そして私は、貴方が人を傷付ける様な事はしたくない……そう思ってるって信じてる。」
そして眼を瞑ったまま、再びゆっくりと歩き出し

「だから、私を信じて。」
陽の様な笑みを湛えたまま、静かに片手だけをビィバードへ伸ばした。
その姿は、あの時と全く同じだ。

1212とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 00:51:24 ID:OYhWil5M
>>120
《……んー》
と、ふわふわの髪の娘はビィバードを見た後。

《じゃあ、……そちらの、貴方を知っている方を信じてあげてくれませんか?》
クェスを指し、微笑む。
自分が信用出来ないのならば、少しでも知っている娘を。

>>1211
『アークライトの家の者ですわ。
 ……と、言うかそれは、自供ですわよ?』

アークライト。
代々騎士を輩する、貴族の家柄だ。

1213とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:04:29 ID:Kp8ifsXU

「……あ、お、お、お前は……!」

【支配から一時的に目覚めたあの時、あのまどろみの様な不安定な世界の中で
あの時もクェスはこうして、自身に手を差し伸べてくれた。

それはビィバードの中で完全に今の状況と重なったようだ。】

「――――――そ、そうだ!……〝エゴノーズ〟……!
エゴノーズだ……あの爺さんはそう呼ばれていた……あの化け物からも。」

【クェスの差し伸べられた手を取ろうとしたその時、記憶が再生される。
ビィバードは確かにエゴノーズと述べた。

〝エゴノーズ〟……それはとある魔法使いの一族の家の名である。
とはいえ、それほど名は知れておらず、名家でもない。

だが、その息は細々と続いていたらしく、現在は5代目が継いでいるはずである。
しかし、ここで奇妙なことが起きている。

その5代目であり現当主であるはずのブラウ=エゴノーズは既に死んでいるのである。
彼は女性ばかりを狙い、通り魔を繰り返していた。その事件は〝女狩り〟と呼ばれていた。】

1214とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:11:47 ID:VkbR3fPM
>>1212
「……うぐ。」
しっかりしていそうだが、意外と天然なのかも知れない

「そ、そう……。
じゃあその、ええと……。」

「……御免なさい。観念するわ……。
訳あって……家出してる最中なの。ご当主にも声が掛かっているかも知れないから……
少し、黙っておいてもらえると……助かる。」

>>1213
「……ッ!!」

一瞬、沸騰しそうな程に脳が煮らぐ感覚。
確かに自身も、それと対峙した。
赦せぬ悪に遭ったと、心から怒った覚えがある。

「……ブラウ=エゴノーズ……!
これも侵の力の一旦だと言うの……!?
……ッ、何処まで……!!」

1215とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:12:59 ID:OYhWil5M
「……セシリア。」
『老人……で有れば、先代先々代かもしれませんわね、当代は罪を犯して死んでいますし。
こういう時には融通の利く遊撃隊で良かった、思います、証言者が居る以上査察も自由ですもの』

クェスを信用した様子のビィバードの言葉を軽くメモ取りして、
金髪の女騎士の方が路地裏を出て行く、恐らくは、資料漁りと捜査のために。

「(……あの子には、ストレガスさんが居れば大丈夫かな?)」

彼が力を望めば、鍛える腹積りではあるが。
任せた方がいいだろう、少なくとも、此の場は。

>>1214
『……仕方ありませんわね。
 出奔も程々にしないと、何処ぞの様に縁切りをされますわよ?』

かつかつ、と路地裏を出ながら娘はそう返した。

1216とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:21:16 ID:Kp8ifsXU
「…………っ?」

【クェスの様子を見て、動揺の色が浮かぶ。
それがクェスを焚き付けてしまう材料とは夢にも思っていない。】

「そ、それで、あいつはあの〝変な丸い化け物〟の力を借りて、俺のコレを弄ったんだ。
…………そ、そうだ……も、もしかして……!!」

【ハッとしたような表情になり、自身の装具を弄り始めた。
そう。実は装具を改造されたのと、目玉の寄生は別のタイミングだ。

なぜなら、改造された装具の力に溺れかけていた時期があったのを目撃され、自身も
それを思い出したからである。

//<お、おい……

1217とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:28:01 ID:VkbR3fPM
>>1215
「…………それなら、良いんだけどな……。」

低く沈んだ声で、返す言葉があった。

>>1216
「狙われていたのね……きっと。
多分、最初から貴方の様に力を欲する人を……。」
首を横に振り、怒りをこらえた様な面持ちで。

「……貴方は……下手をすれば。」
言うべきか言わざるべきかは悩んだが……信じろと言った以上隠す事も無い。

「死んでいたかもしれない。その化け物に取り殺されて。
手を切るなら、今しかないわ。」
それは自分が確かに眼にした物だ。

1218とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:36:38 ID:Kp8ifsXU

「……ま、まぁ、あんなところに行く気はねぇよ……。」

【と、装具を弄りながら答える。
無論、手を切るつもりのようである。

すると、不意に装具の中の魔力が急激に高まっていく。】

「っ?!…………や、やっぱり!」

【その反応に驚きをあらわにし、すぐに作動する装具を停止させた。】

1219とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:38:45 ID:OYhWil5M
>>1216-1217
「アリーナ、あの子と、聞いた話の纏めをを頼む。」
《あら、アルスさんはどちらへ?》

「セシリアの視察の手伝いに、あの子は、ストレガスさんが居れば大丈夫そうですから。」

軽装騎士はビィバードとクェスの方を一瞥して、離脱。
知らない騎士の言葉より、知っている少女の言葉である。

《あら……》
治療版は会話街である。

1220とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:43:12 ID:VkbR3fPM
>>1218
「……そう、なら良かった……。」

「……成程。
その装具を使ってあの目玉に餌を……。
ちょっと待ってて、外せそうな当てを訪ねて来るわ!」
言うが早いか、勢い良く立ち上がってその場に剣を置く。

>>1219
「少しだけ外すから、その間に治療をお願い!」

そしてアリーナへそう言い残すと、彼方へと駆け去るクェスであった。

1221とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:48:22 ID:Kp8ifsXU
>>1219-1220
「……いや、そのこの装具は――――。」

【何か言おうとしたが、既にクェスは去ってしまった後であり言いそびれてしまう。
あとは治療を待つのみとなったのだが、本人としてはそこまで治療をすべきところは無い。

強いて言うなら、先ほど起こった謎の頭痛くらいだが。】

//クェスさんお疲れ様でしたー!

1222とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:53:03 ID:OYhWil5M
>>1220-1221
《えぇっと……とりあえず、教会の方に行きますか?
 ここが良いなら、多分、その頭痛と……擦り傷と、所々打ち身もあるみたいですから、ここでぱっ、と治しちゃいますよ?》

走り去るクェスにふりふり、と手を振って。
何処か此の場にそぐわない様子の娘が小首を傾げてそう問うてくる。

《あっ、教会だと暖かいベッドとパンがありますよっ?》

1223とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 01:58:44 ID:Kp8ifsXU
>>1222
「……別に治療なんて良いんだけどな……いつものことだし。
……だから、あまり構わなくて良い。」

【クェスやアルスが去り、記憶が戻るという状況も収まったためか興奮も収まる。
すると、その申し出に首を振って、答えた。

教会に行くことならまだしも、治療さえも断ろうとしている。】

1224とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 02:00:37 ID:OYhWil5M
>>1223
《じゃあ、勝手に治しちゃいますね?》

にこ、と娘が微笑み、一瞬強く光が瞬く。
白い光が路地裏を覆って――流石に黒い染みまでは無理だろうが――

ビィバードの負った幾つかの傷は治って、
恐らくは頭痛も、弱まるだろう。

《――はい、終わりましたっ。
 多分また後でアルスさんやあの方が来ると思いますから……仲良くしないとダメですよ?》

1225とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 02:04:56 ID:Kp8ifsXU
>>1224
「…………む。」

【計らずも光に包まれると、傷が癒え、痛みが消え、全身がラクになっていく感覚。
それを感じながらも、表情は少し不機嫌そうである。

何が少年をココまで他者を拒絶するのかは分からないが、基本的には他者から遠ざかりたいらしい。】

「…………。」

【光が止むとそれとなく、今まで傷があったところやら、痛むところに視線をやる。】

1226とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 02:07:46 ID:OYhWil5M
>>1225
《嫌ってくれて、良いですよ? 私が勝手にやった事ですから》
にこにこ、と。
困った様な、けれど目の前の少年が治り嬉しそうな、そんな表情。

《けど、あの二人は嫌っちゃダメですよ? ちゃんと”あなた”を見てくれているんでしょうから。
 それは、忘れないでくださいね。 ……また、ここで》

ふりふり、と手を振り。
娘はビィバードの横を通り路地裏を出て行こうとする。

……最も、こっそりと、護衛に付くだろうけれど。

1227とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 02:16:11 ID:Kp8ifsXU
>>1226
「…………別に。」

【嫌いだ、とはっきり言えない所からまだ、幼さを感じる。
別に少年は望んでこうなったわけではないからであろう。

まだ、心の奥底には抜け出したいという思いが残っている。
皮肉にもソレは、憑かれかけていたときに一番に吐露していることであった。】

「…………。」

【むすっとしたままアリーナに手すら振り返さずにそれを見送る。だが。】

「……その、ありがとう。」

【アリーナが路地裏から出るか出ないかのあたりでぼそり、とお礼の言葉を呟いた。
もちろん、アリーナには聞こえていないはずである。

そうして、一人になった路地裏。
だが、彼は律儀にもクェスが置いていった剣のそばに座り込んでいたとか、FO】

//では、このあたりで!2日間に渡ってお二人ともお付き合いありがとうございました!

1228とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 02:17:53 ID:OYhWil5M
>>1227
《♪》

その姿が曲がり角に消えるか、消えぬかの所で、娘が微笑んだ。
そうして彼女は二人が戻るまで、こっそりと少年を見守るのであった。

1229とある世界の冒険者:2013/07/08(月) 09:41:08 ID:2roFcQqg
http://uvu.cc/9a0I
http://uvu.cc/9a0J
http://uvu.cc/9a0K
http://uvu.cc/9a0M
http://uvu.cc/9a0N

1230とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 21:55:24 ID:EqDACglE
「………修行して、強くなってあのザマか……。」
無事に病院から退院し、とりあえずクエストが失敗だったと報告するために一旦帰還しようと歩みを進める。

(……一からやり直しかねぇ。まさか失敗するなんてな)

1231とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:02:11 ID:LbykFJaQ
>>1230
そんなわけで森の中にある掘っ建て小屋である。
そこには白い髪と髭を蓄えたドワーフをそのまま大きくしたようなガタイの眼光鋭い爺さんが居た。

オパ「ん…やっと帰ってきたか。なーにをやってたんじゃい?」

1232とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:09:51 ID:EqDACglE
.>1231
「………でかい侵負に蹴っ飛ばされて死ぬかと思った……。
…、原因は魔術使おうとしたらなんか爆発して目と耳がやられたことだな。」
重い足取りで、爺さんに近づいていく。
せっかく技を教えてもらっておいて、あの結果なのだから当然といえば当然なのだが

「んで、病院に連れてかれてクエストに失敗してきた………。」
そう言って、深いため息をつく

1233とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:23:23 ID:LbykFJaQ
>>1232
オパ
「そーか…どうせ焦って雑に手順踏んだんじゃあないのか?
 イメージを確りと描かん事には暴発なんぞ幾らでも起きるぞ」

1234とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:28:37 ID:EqDACglE
>>1233
「…………。」
図星だった様子で言葉をつまらせている様子。

「えーと……あの村からの報告とかはなんか聞いてないか?
侵負の尻尾を切り落としたはいいけど浄化する前に病院に連れて枯れてるから酷いことになってるかも知れん。」
露骨に話題を変えようとしている始末。
まぁ、反省はしているようであるが。

1235とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:37:02 ID:LbykFJaQ
>>1234
オパ
「いやどうもおかしな話なんだが…
 なんでもネオベイの武人が弓矢で侵負を討ち取ったらしい」

んー、と唸る爺。

オパ
「はてさて…どうやったらそんなことが可能なのやら」

1236とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:42:28 ID:EqDACglE
>>1235
「そういうのにあんまり詳しくないから適当なこと言うけどさぁ………。」
そういうの、とは無論侵負のことである。
そこそこは知っていても、すべての対抗手段を知ってるわけでもなければ、多くの知識を持っているわけでもない。

「渡り手の剣とか侵負用の武器とかあったんだし、
その弓もマジックアイテムかなんかだったんじゃねーの?」
と、軽い気持ちで爺さんにそう言い

1237とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:46:29 ID:LbykFJaQ
>>1236
オパ
「だとしたら探ってみるべきかもしれん。
 対侵武器の量産がなれば一時しのぎにはなる」

1238とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:52:43 ID:EqDACglE
>>1237
「一時しのぎって………もうちょっとなんとかなるとは思うんだけどなぁ……。」
……侵負以外と戦ったのは一度切り、脅威と感じているのは侵負だけのようだ。

「とりあえず、クエストあった村にもう一度行ってみるわ。
なんかわかるかもしれんし。」

1239とある世界の冒険者:2013/07/11(木) 22:56:55 ID:LbykFJaQ
>>1238
と言う訳でビートは村へと向かうのだった…次回に続く!!

1240とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:07:48 ID:B47/G/6w
(……あのむらの様子じゃあ話を聞くのは無理そうだけど……しばらくしたら大丈夫だろ。
侵負ぶっ倒した本人には会えなくてもどんなふうに倒したかを聞けばいいだろ。)
「………塾あたりで適当に何日か過ごして、落ち着いた所でもう一度話聞きに行くかね。」
ふぅ、とめんどくさそうに一度息を吐いて、一旦塾に向かっていく。

1241とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:19:50 ID:SWojDGF6
>>1240
塾である。
何か地面の所々に大穴が開いている…

1242とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:25:06 ID:B47/G/6w
>>1241
「………さすがに襲撃でもないだろうし、JDたちがやらかしてるわけでもないだろうしなぁ………。
無断で居座るのもあれだし、誰かにゃ挨拶したいんだが……。」
大穴がなんで開いているんだろうかと疑問に思いつつもとりあえず誰かいないか探していく。

1243とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:30:31 ID:SWojDGF6
>>1242
JD「Zzz」

私塾広場でJDが大の字で昼寝をしていた…のんきである。

1244とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:33:31 ID:B47/G/6w
>>1243
「あー、JD?おい、寝てんのか?」
放置してもいいのだが、他に知っれる連中がここにいるとは限らないのでとりあえず肩を揺さぶって起こそうとする

1245とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:39:55 ID:SWojDGF6
>>1244
「ほげ?」

大口開けて垂らしていた涎をふきつつJD起床。

「あ、べーと君…だっけ?」

1246とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:45:52 ID:B47/G/6w
>>1245
「………ビートだ、ビート。そんな所で寝ると風邪引くぜ。」
女の子の仕草とは到底思えねぇ、という言葉を寸前で飲み込み

「とりあえず少しの間だけこっちにいようって思ったから予め言っておこうと思ってな。」

1247とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 22:53:50 ID:SWojDGF6
>>1246
「へー…でも今先生殆ど居ないよ」

くあー、と大欠伸を交えてJD。
言われてみればどこの建物も休講と銘打たれている…

1248とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 23:02:34 ID:B47/G/6w
>>1247
「いや、とりあえず時間つぶしにいようかって思ってな。
王都に戻っても良かったんだが、会いたくない連中がいるし、お前に聞きたい事もあったしな。」
暇つぶしついでに竜のことについてきこうかとも思っていたり。
まぁ、その前に

「……とりあえず、この穴はなんだ?」
聞かなきゃならないことはあるのだが。

1249とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 23:07:04 ID:SWojDGF6
>>1248
「あ、これ?グロースの弟君がね、やったよ」

大きく伸びをして立ち上がるJD。
ゴゴゴゴ、と地響きと共に大地が揺れる!!

1250とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 23:23:23 ID:B47/G/6w
「弟……?うおっ!」
弟がいたのかとおもうまえに大地が揺れだし、転倒しないようにしゃがみ込む。
……情けないかもしれないが、あくまで魔力が少し変わっているだけの人間なのだ。頭からコケて首が逝ったら死ぬ。

「な、なんだよこれ!」

1251とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 23:33:02 ID:SWojDGF6
>>1250
「あ、弟君が出てくるね」

ズガン!
少し離れた地面が隆起し爆ぜる。
ズガガガガ、と大きな音を立てて天高く何かが這い出てきた!

『ぐおおーん!』

岩を継ぎ接ぎして造形したような長い胴を持つ巨大ワームが現れた!!

1252とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 23:39:21 ID:B47/G/6w
「……あー、見たことあるかも、まだ暴れてんのかコイツ……。」
天才魔法使いとやらが創りだしたゲテモノ生物を見上げて
確実に戦うことになるだろうし襲来してくるのに備えて億劫そうに半身になって構える。

(と言うより、こいつ管理してないのか?あの魔法使いは。)

1253とある世界の冒険者:2013/07/20(土) 23:44:47 ID:SWojDGF6
>>1252
「弟君は暇なんだねえ」
『JDも暇そうだ』

別に暴れているわけではなく…ヒトでいう散歩をしているらしかった。
彼が通った後は無残なことになっているわけだが。

1254とある世界の冒険者:2013/07/21(日) 00:00:55 ID:.V5SBjbg
「………割とノンキだな、お前ら。
と言うより喋れたんだ。」


「ああっと……聞きたいのはそう言うことじゃなくてだな……。
その……竜の魔力………だったか?とにかくそれについて聞きたいんだよ。」

1255とある世界の冒険者:2013/07/21(日) 00:10:30 ID:ItG9qyGw
>>1254
「竜の魔力?」
『んー?』

そんなところで次回に続く

1256とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 21:42:17 ID:cBym7IIw
「あー、その、なんだ………?
なんか俺の魔力に竜のなんかが混じってるから侵負に効くとか言われてな。」
「とりあえずなんにも考えずに鍛えたはいいけど、よくよく考えたら餅は餅屋と言うし馴染みがありそうなお前からも教えてもらったほうがいいって思ったんだ。」
「竜と接したのはお前の一族んとこしか無いから原因はそれしか考えられなくてなー」
と言いながら手の甲に魔力を纏わせる。
ピンポイントであれば十分な魔力をまとわせることはできるようになっている模様。

「というわけでお前にお前んとこの竜とか力の使い方とか教えてくれると嬉しい。」
「……と言うよりお前って魔力どういうところに使ってんだ?妖精に力を借りてるとか言ってた覚えあるけど具体的な攻撃方法がぶん殴ってるのしか見たことねぇぞ。
まさか回復魔法にしか使わないってわけでもないし、うでに魔力纏わせて殴ること」

1257とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 21:53:00 ID:FsF7Z7Jc
>>1256
「んー…そんなこと言われてもなー
 こうできたらいいなー、みたいな感じでやると出来るわけだしなー」

テレビの電源を付けてチャンネルを変えることは容易にできる事である。
しかしこの機械的な理屈を説明しろと言われると説明できる者が一気に減る。
JDにとって魔法とはそういうものなのである。
しかし感覚でやっている為、彼女の口からこういった説明すら出てくることはないのであった!

1258とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 22:12:32 ID:cBym7IIw
>>1257
「………んー、そんな簡単に使えるのか?」
感覚的に使うものであってもそれをうまく使えるとは限らない。
特にビートにはそれを覚える才能はあっても行使する才能はあまりなかった。
魔力があれば誰でも使える動作魔法でなければ更に魔法を行使するのに苦戦していたであろう。

「となると使い方をレクチャーしてもらうのは無理か。お前の兄貴にでも聞こうかね……。
んじゃあ、この力使えるようになって危険なこととか、そんなんはあるか?」
「使い過ぎたら危険とか、なんか体の組織が変化するとか。
……どうも、俺には過ぎたる力にしか思えなくて、なにか裏があるんじゃないかと思っちゃうんだよな。流石にないにしても裏取りはしたい。」

1259とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 22:16:00 ID:FsF7Z7Jc
>>1258
「んー…?あー、何か聞いたことあるよ。
 頑張ってチカラを日々高めれば昇華し龍と成るとかなんとか」

1260とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 22:29:06 ID:cBym7IIw
>>1259
「………出来れば人間のままでいたいな。
……チカラを高めるってのは功夫を高めるとかそういう意味なのか、魔力を溜め続けるって意味なのか分からないが。」
ははは、と苦笑いしながらそう言って
まぁ、華人連邦やネオベイの体術は師匠は知っていても教えてくれなかったし、功夫なんて話し程度にしか知らないのだが。

「それじゃあアレだ。これが手に入ったからといって劇的に強くなるとかそんなんはないんだな?」
……結局、力に関することしか聞いていない。

1261とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 22:31:45 ID:FsF7Z7Jc
>>1260
「とーぜんじゃん!
 1に努力、2に努力、3・4も当然、5に努力!」

ケタケタとJDが笑う。

「最強への道は1%のひらめきと99%の努力なんだ!」

1262とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 22:47:12 ID:cBym7IIw
>>1261
「まぁ、そりゃあ努力ってかそれを使いこなすための練習は必要だよな。
そもそもそんな美味しい話があれば侵負騒ぎなんてあっという間に収まっただろうし。」
(そんなことはわかってるよ。楽に勝てることなんてないってのは。
…………でもこの力がなきゃ侵負とやりあうことすらできないんだから、どこかしらには環境やら才能やらが入ってくるよなぁ……。)
(努力以外が1%じゃ絶対に足りない。少なくても侵負騒ぎには40%は努力以外の別のが混じるだろ。あのバケモンたちと戦うには)
ひねくれた考えをうちに秘めているが、それを口にだすことはしない。
それを口にして、何かが進展するとは思えないからだ。

そういうことを考えるくらいには成長はしている。根本的には解決していないが。

1263とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 22:52:02 ID:FsF7Z7Jc
>>1262
「みんな頑張ってるみたいだしなー、私もなんかすっかなー」

天を見上げJD。

『何する?』
「そだなー…スクワット千回とかから始めっかなー」
『俺は何しよ?』
「んだなー……とりあえず穴埋めるのはどうだろー」
『そだなー』

1264とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 23:04:02 ID:cBym7IIw
>>1263
「スクワットが1000回……さすがに付き合いきれないわ。」
(……俺じゃあ体壊れるな。途中で疲れてフォームが崩れた挙句、膝がぶっ壊れるのが見えるわ。)
JDが人間離れしてるなぁと思いつつその場から離れようとランニングの準備をしだす。
この場にいればスクワットに巻き込まれて冒険者生命を不意にしかねない。

「それじゃあ軽くウォームアップしてからこっちはこっちで自主的に運動してようかね。
数日くらい時間つぶしがしたかったからちょうどいいや。」
と言って一旦その場から離れて塾の近くを走り始める。

(そんで、動作魔法を格闘の一連の動きに混ぜれるように体動かす訓練をだな。
そうやって過ごして、数日たったらまたあの村に戻って事情を聞くか。)
(さすがにもうみんな村から出てるだろ。冬じゃないからやること多いだろうし。)

1265とある世界の冒険者:2013/07/26(金) 23:05:13 ID:FsF7Z7Jc
>>1264
果たしてどうなる事やら…次回に続く!

1266とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 21:29:08 ID:GS4rT7Ds
適当に塾で数日過ごし、むらに向かっていく青年。
……これでさすがに外に出ていなければ偉い人が住んでそうな家にでも聞きに行こうという考えである。

「………まぁ忘れてる可能性はないだろ。
なんか変な格好した奴が倒したってのがわかってんなら誰かが目撃してるはずだし。」

1267とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 21:33:14 ID:jHC8.xss
>>1266
ビートが村へと歩み続けると途中には森がある。
視界は悪く、魔物も出るため注意が必要だ。
まあ、最近のビートの周りには魔物の代わりに侵負が湧いて出るのだが…

「げしゃあ」

ほら、茂みからお馴染みのが出てきた。

1268とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 21:40:41 ID:GS4rT7Ds
「………マジか。」
(ま、こんな生い茂った森じゃあ四方八方動けないし、カウンター戦法が一番かね?)
茂みからあまり見たくない顔が見えると一度距離をとって構えて、相手が襲い掛かってくるのに備える。
……今の状態で動作術式を行ったらその途中で襲われそうなのであくまで、様子見だけだ。

1269とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 21:48:36 ID:jHC8.xss
>>1268
「ぐぎゃ――
 ガベベベベベベベベ!?」

ビートを確認するや否や襲いかからんとする侵負。
その横っ面にすさまじい速度で何かが突っ込み木々をもなぎ倒して侵負が遠ざかっていく。
…なんだろうか、飛び出し張り付いたまま侵負と共に右から左へ通過したものは。
現在、目の前には赤と黒を綯い交ぜにしたヘドロの様なものがある。
それは右から左へ延々と続いており、先では侵負を取り込んでいる状態だ。

1270とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 21:57:35 ID:GS4rT7Ds
「さぁ来い―――あぇ!?
おま、なにそれ、なんだそれ!?」
いざ迎撃せんと腰を深く落とした瞬間、迎え撃とうとしていた相手がなんかに轢かれるようにして連れさらわれていったのを唖然とした様子で見ていたが……

「………なんかよくわかんないけど、こんな変なもの撒き散らしているんじゃ放っておけないよな……はぁ。」
ヘドロめいた物質を一瞥した後、突っ込んだ何かの正体が何者だったかを確認するため、点々と続くヘドロを追いかけていく。

1271とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:01:18 ID:jHC8.xss
>>1270
ところがヘドロだと思ったそれが一つの存在として動いた。
メリメリメリ、と音を立てて何かが握りつぶされる音がする。
…取り込まれている侵負だ。

「ギ―

ぶちん、と音を立てて侵負が奇怪なソレに握りつぶされる。
巨大かつ長大であったので気づくのが遅れたがソレは何だか歪な腕に似ている。
即ち、侵負とは逆の方向に腕の持ち主がいるわけで…

1272とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:11:29 ID:GS4rT7Ds
「………気色悪ィな……」
侵負が握りつぶされる瞬間に立ち会ってしまい、音だけであろうとも不愉快な気分になり

「……こんな変な生き物はさすがにいないだろうが………。行ってみる価値はありそうだ。
おおよそ、変な魔法とか、そんなんだろ。」
……蠢いているヘドロっぽいものが生き物だと認めたくない様子で適当なことを言って気を紛らわして。
ヘドロっぽい何かが腕の形状をしていることに気づくと、根本を確認しようと走りだし

1273とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:16:19 ID:jHC8.xss
>>1272
ウゾゾゾゾ!とビートを追うようにして腕が巻き戻されるようにして動く。
そのままビートを追い抜いて…

「…んー、いまいち」

薄汚れ所々擦り切れた革の服を着、
眼の下には濃いクマ、半端に長い耳を持つ短髪の少女の足元へと。
ソレはボコボコと粘ついた気泡の弾ける音と共に少女の足元から現れては引っこんでいる…

1274とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:27:33 ID:GS4rT7Ds
(うわぁ……キメェ………気泡出てると尚更感じ悪くなるなアレ。
……操ってる奴は侵負倒してたけど、味方確定ってわけじゃなさそうだ……。)
見えた先にはなにやら先ほどのヘドロっぽいモノを足元にとどまらせている少女がいたのはいい。
少女は悪くないにしてもヘドロの印象が最悪に近いものだったのでいい印象に見えなかった。
まぁ、なんというか……見た目的にも良い奴とは思えなかったのもあるが。

「あー……どうも、侵負握りつぶしたのはそのヘドロだよな?
聞いていいのかわからんけど………ソレ……なんだ?」
と言ってもそのヘドロ自体には興味があるのでそう少女に近づいて訪ねてみる。

1275とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:35:22 ID:jHC8.xss
>>1274
「え?ああ、これ?ワタシ」

何でもないもののように答える。
ごく普通に。
そこには邪悪さとかそういったものはない…無いんだが

1276とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:39:34 ID:GS4rT7Ds
「いや………ワタシ、じゃなくてだな……なんかあるだろ?
生まれつき使えるとか、一族に伝わる魔法とかなんかされて使えるようになったとか。」
困惑している様子で、もう少し言及してみる。
本人自体が邪悪に見えなくても使ってるものがモロに邪悪なので警戒しながら。
何食わぬ顔でソレを扱っているのを見れば尚更警戒せざるを得ない

1277とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:41:37 ID:jHC8.xss
>>1276
「ん?…ああ、ええっと……騙されてこうなった」

騙されたらしい。
何にだよ、とか色々突っ込みどころは多い。

1278とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:49:09 ID:GS4rT7Ds
「……騙されたんならもうちょい悲しんだらどうだよ………。」
目の隈が元々あるのかどうなのかはわからないが、どうにも悲観的に見えなかった。
こちらも騙された経験があるので少しだけ、親しみを感じて。

「それと、誰に騙されたんだ?いや、組織の可能性のが高いと思うけど。
なんか凄そうな魔法だし、騙されても即開放ってわけじゃないだろ?」
自分の経験からそう訪ねてみる。
……と言っても自分の経験だと騙されたと気づくまでには時間がかかったのだが、こんな変なのじゃ騙されたと思うのもおかしくないだろう。

1279とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 22:58:45 ID:jHC8.xss
>>1278
「うっさいわね、そんな時期はとうに過ぎたのよ」

べぇ、と舌を出す。

「さあ?上手い事言った挙句に雲隠れしてどこに行ったのやら…
 何処の誰かなんて分からないわね」

肩をすくめる少女。

1280とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:12:26 ID:GS4rT7Ds
「悲観するだけじゃなくて使いこなすか、もう使いこなしている時期に入ってると。タフだな。
………まぁ、なんか見るからにヤバそうな力だけど。」
舌を出す、なんてあまりにも古めかしい怒り方に思わず頬を緩めて
……もしかしたら、悪いやつではないかもしれない。

「……だから、騙された、か。身体的特徴とかもわからないのか?
………mぁ、騙した張本人がどっか行くなんて変わってるな」
「まるで、そういうのを使えるようにした事自体が目的みたいじゃないか。」
(ゲシェンクだったか………あそことは違うっぽいな。
あそこだったらコイツを手駒にしてるだろうし。)

1281とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:24:54 ID:jHC8.xss
>>1280
「知ったこっちゃないわ。
 こっちはこんな体質になったおかげでお腹すいて仕方がないの」

はぁ、とため息。

「ん?そういやアンタ、ちょっと美味しそうな匂いしてるわね。
 …齧らせなさいよ」

淡々となんか言ったぞ。

1282とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:30:34 ID:GS4rT7Ds
「お腹がすいたねぇ………ちょい待ち……。
悪いが持ち合わせが少ないんでな、王都あたりで適当に買ってくれば………。」
ゴソゴソとポケットを漁り、ろくな食い物がないことを確認すると申し訳なさそうにそう言い。

「………は、齧る?かじるってなんだよ?」
急にそんなことを言われても聞きなおす他なく。なにせヘドロはともかく操っている本人はマトモだと思えたのだから。
まぁヘドロ自体には注意を向けてはいるのでヘドロを差し向けられたら反応はできるだろう。間に合うかは別として

1283とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:34:01 ID:jHC8.xss
>>1282
「ん?いやこう、魔力をね、ガジガジッと」

そういって足元の怪腕がビュオン、と唸りをあげて近場の木を掴む。
凄まじい握力に幹が半分ほど持って行かれた。

「あんまし木々とかじゃあお腹膨れないのよね」

1284とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:42:11 ID:GS4rT7Ds
「……待て待て待て、そのヘドロみたいなので掴まれたら魔力とかの前に死んじまうわ。
と言うよりしん………バケモノを握りつぶしたのも魔力補給の為か!?」

「……それなら俺が美味そうとかそういう理由にもわかるが………。
…………あんまり、オススメしないぞ?それにかじられたら痛そうだし。」
自分の魔力だと侵負の力が混じってるっぽい腕にダメージが入るんじゃ、と思っているようだ。
それ以上に魔力を誰かに奪われるという恐怖があるのだが。

1285とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:44:22 ID:jHC8.xss
>>1284
「ちっ、根性ないわね。何処かに首を縦に振るイケメンいないかしら」

心底本気で言っているのがなんとも恐ろしい。

「そうよ、最近湧いて出てるアレが一番手っ取り早く食べれるから重宝してるわ。
 あんまり美味しくないのが欠点ね」

1286とある世界の冒険者:2013/08/12(月) 23:50:49 ID:GS4rT7Ds
「………それなら間違いなく遠慮するわ。
握りつぶされたいだなんて思えんぞ。どんな奴でも」
首を縦に振る自殺志願者だけでも珍しいだろうに、イケメンまで前提にあるのかと、呆れ気味にそう言うしかなかった。

「んで、アレを食ってるのは別に構わないんだが、食ってる途中で体に変化とか起こったか?
………いや、あんなの食ってたら体に変化とか起きそうだろ。あんな化け物。」
……侵負に関わっている人間としてはあれから魔力を搾取していたら変なことになるのではないかと思わざるをえないわけであって

1287とある世界の冒険者:2013/08/13(火) 00:10:41 ID:dFk4QVIM
>>1286
「んー?別に。これといって変化ないわよ。うん」

少女は軽い感じで答える。
なんだかなー…といった具合で今日はここまで。
いったい何が起こるやら。

1288とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 21:37:29 ID:tN.C0bto
「………体の中で変化起きたりしてないだろうな」
軽い感じで言われても根拠がなければ疑わざるをえない。

「つーよりお前、そうやって魔力食って生きてくのも限度あるんじゃないのか?
そうやって侵負を狩り続けてたら向こうもわかるだろ。」

1289とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 21:43:42 ID:O720Nd6g
>>1288
「アンタの言っていることがよくわからないんだけど…?
 限度も何もこの生き方しか無理っぽいし、向こうも分かるって何を?」

1290とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:06:26 ID:tN.C0bto

「えーと……つまりだな………。
あのヒトモドキだけじゃなくてもうちょっと強いのとか来るかもしれないし、結果として怪我を負うかも……」
ヘイトが集まるやらなんやらあの神父が行っていたのを思い出して
……情報を知れば、と言っていたが雑魚を相当していても上がるかもしれないと考えての発言だったが、口下手のビートには上手くヘイトを上げないように伝えることはできなかった。

「……なんでもねぇ、けど、その体を治そうと思わないのか?
限りなく不可能に近くても、本当にその体のままでいいのか?」
………うまく喋れてないと考えたビートはとりあえずもう一つの疑問を彼女に投げかける。

1291とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:11:54 ID:O720Nd6g
>>1290
「あー?無理無理、医者も匙投げたんだから。
 そもそも治る治らないじゃないの。
 アタシはこういう種族になったわけ、
 病気とかそういうのとは根本的に違う現象が起きたのよ」

1292とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:23:40 ID:tN.C0bto
「違う種族になった………?
つってもなんか変なの湧いてるのを除いたら普通の人間にしか見えないけど……。」
そう言って主に足元の存在に目を向ける。
まぁ、人間味がある性格をしているし、根本的に別種族になったわけでもないかも。と楽観的に考えている。

「………あぁ、そうだ。今更だけど名前聞いてなかったな。
俺はビート、よろしく。」
そう言って軽く挨拶するが、下手に手を差し出すと食われかねないので握手のための手は差し出さず。
なんだかんだで警戒はしているのだ。

1293とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:28:30 ID:O720Nd6g
>>1292
「見た目なんて幾らでも繕えるもんよ、それぐらい分かるでしょ」

少女はつまらなそうにそう言う。

「ノイエ、腹減った食わせろ」

自己紹介と今の心境を述べる。

1294とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:35:02 ID:tN.C0bto
「………その耳は生まれつきか?あと目のクマ。
もうちっと寝ないと健康に悪いぞ?」
軽く全身を見回して真っ先に目についた深いクマと長い耳はどうにかしなかったのかと思い話に触れてみる。
……目の隈は明らかに関係ないだろうが。

「………さっきアレ食ったばかりだろ。我慢しろよ。
お前が餓死しそうになってるならともかく小腹減ってる程度じゃ我が身を捧げることなんで出来ねーよ。」

1295とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:38:01 ID:O720Nd6g
>>1294
「耳は生まれつきよ文句ある?」

耳の下りでかなり棘のある感じに思えた。
触れちゃいけない部分かもしれない。

「クマはこうなってからだったかなあ?
 あんまし自分の顔なんか見る機会ないし」

そういって首をかしげる。

「ちっ、食い足りないから言ってるのよ。
 何かいないか探索再開しようかなあ」

1296とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:48:02 ID:tN.C0bto
「……いや、何にも。」
ビートが見たところその耳があまり異質なものには見えなかった。むしろクマの方が気になったし。
ただ、彼女の態度から触れないほうが懸命だということがわかったのか軽く手を上げてそう言う。

「探索ねぇ……そうだ、この先を進んだあたりに村があるんだがなにか知ってるか?」
そういえば、自分も村について調べるのではなかったのかと思いだし、そう彼女に尋ねる

1297とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:49:56 ID:O720Nd6g
>>1296
「この先に村があるの?
 なんも知らないわよ。てか何かあった訳?」

1298とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 22:59:09 ID:tN.C0bto
「……デカイ侵……さっきお前が食った奴のデカイのがその村に出たんだがな。
何者かがぶっ倒したらしくてそいつについて聞こうかと思ってたんだが……知らないなら問題ないな。」
とりあえず村の方角を見ながらそういう。
村を知っていないのならあまり情報は得られないか、と判断して。
……ただ、彼女はそのうちヤバゲな侵負に手を出してしまうのではないかと思うとあまり立ち去りたくない。

1299とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 23:04:47 ID:O720Nd6g
>>1298
「へー、面白そうね。
 行ってみましょうよ、未だ獲物が残っているかも」

にんまりとわらって少女が言う。

1300とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 23:09:04 ID:tN.C0bto
「………誰かが倒したとしたのなら狩り尽くされてると思うが……それを承知で行くなら止めないけど。」
結構好戦的だなぁ、とめんどくさそうな様子でそういう

1301とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 23:12:00 ID:O720Nd6g
>>1300
「何よ、アンタもそこに用があるんでしょ?
 何を面倒くさそうにしてるか知らないけどホラ、案内なさい」

1302とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 23:18:46 ID:tN.C0bto
「ああ、わかったよ、案内する。
んじゃまぁ、行くか。」
彼女が急かしているのはもしかしなくても本当に腹が減っているからかもしれない。
そんなことを頭の隅に置いときながら村に向かって歩いていく。

1303とある世界の冒険者:2013/08/23(金) 23:28:02 ID:O720Nd6g
そうして村に着くと…次回に続く!

1304とある世界の冒険者:2013/08/24(土) 14:03:35 ID:WhJjXr1Q
-森-
「元はダガーって所・・・かな。サイズ的に」

長めの黒髪をした青年が木の陰から広場になっている場所を見ている。
視線の先には単眼のサメのような魔物が群れて宙を漂っている。
ヒレやキバはナイフやダガーを思わせる鋭利な刃物のようになっている。

1305とある世界の冒険者:2013/08/24(土) 16:49:20 ID:hiE96Y.A
>>374
いよう、なにしてんだ?
(大槌せ背負った青年が歩いてきた)

1306とある世界の冒険者:2013/09/20(金) 21:52:10 ID:EdranVEs
-森の奥-

「…を」

しとしとと雨降りしきる森の奥。
雨と己が身にこびりつく血によってずぶ濡れになった所々パーツの欠けた人影一つ。
その足取りはおぼつかなく今にも倒れてしまいそうだ。

「…ほ……くを」

熱に浮かされたようにブツブツと何かを呟きながら歩き続けるその姿は幽鬼のそれに見える。

1307とある世界の冒険者:2013/10/20(日) 21:15:41 ID:MPao1jZE
>>1306、なのです!

1308とある世界の冒険者:2013/10/25(金) 23:30:12 ID:N6DKSm4U
【王都領内/――某研究所】

「…………っ。」

王都の領地内、人里を離れた森林の奥深く。
そこに一つの打ち捨てられた建物――研究所があった。

ラーナイがメノウの状況を知ってから数週間後に、彼女が彼女の友人や、ボブの友人……
色々な人達に諭され、時に本気で怒られ、時に本気で対決してなど、があって。

最後に彼女が逃げ場に選んだのが、ここであった。
――何時の間にか、ボブが言っていた10月にも、入ってしまっていて。

未だに少女はそれを認められず、彼女が生まれたと言うこの研究所の地下室で。
自身を諭す友人の言葉を無視して、杖を持ってたった一人でこの場に、座り込んでいた。

1309とある世界の冒険者:2013/10/25(金) 23:44:43 ID:z8ug0KL2
>>1308
【静かな研究所に足を踏み入れるのは、黒髪金目、GジャンGパン姿のラーナイだ】

「(絶対……メノウちゃんを連れて帰るんだ)」

【心の中で意志を固めつつ、研究所の奥を目指し静かに歩いていく】

1310とある世界の冒険者:2013/10/25(金) 23:47:59 ID:N6DKSm4U

悪趣味な、放置されて老朽化が進んだ研究所を奥に進み、
地下室への階段を降りると広い空間が広がっていた。

正面には巨大な水槽、足元には様々な形式の物が組み合わさって描かれた、
紅、蒼、翠、銀、金の五色が組み合わさった巨大で、美しい魔法陣。

「……っ……ゃ……。」

その中心にメノウは居た。
自分の杖に縋り付くように抱いてその場に座り込んでいた。

喉から声の代わりにか細い呼吸音が流れ出ている。

1311とある世界の冒険者:2013/10/25(金) 23:56:45 ID:z8ug0KL2
>>1310
「――メノウちゃんっ!」

【最初に目に飛び込んできたのはメノウ、水槽、そして見たことのない魔法陣。
目に飛び込んできた風景に、思わず足を踏み入れ駆け寄ろうとする】

1312とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 00:02:47 ID:pZRJIBUk

拒絶は無かった。
火炎の砲撃も炎膜も無く、メノウに近づく事が出来る。


「……ゃ……。」

そんな中でぽつり、とか細い声――呼吸音が聞こえる。
相変わらず精神が乱れている所為で、彼女の念話は聞こえない。

……が、身振りで何が言いたいかはわかるだろう。
自分の小さな体を抱くようにして、必至でいやいや、と頭を振る。

「(……おとうさんが、いないなんて、やだ……)」
「(おとーさんがどっかいっちゃうなんて、やだぁ……っ)」

どれだけ説得されても、どれだけ言われても、どれだけ怒られても。
彼女にとって嫌なものは嫌なのだ。

最後の最後まで、それを、認めようとしない。
結果――ここに来て自分の殻に閉じこもってしまった。

1313とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 00:16:44 ID:Arvc6DhE
>>1312
【手を伸ばせば触れられる距離まで近付くと、立て膝になり視線を合わせる】

「うん、私もボブさんに会えなくなるのは嫌だ。
教えてほしいことも、まだたくさんある」
【メノウの肩に手を置くと、静かに口を開いた】

「でも、会えなくなるのと居なくなるのは同じじゃないと思うんだ」

1314とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 00:20:16 ID:pZRJIBUk
>>1313
「(でも、やなの……っ)」

今度はラーナイに触れられても拒絶はせず、
彼女が抱いている赤い杖は静かに輝きを放っている。

「(わたし、……わたしっ、おとーさんが、いちばん、すきっ)」
「(おとーさんが居れば、誰も、いらないの、おとーさんがいなきゃ、だめなの)」

いやいや、と首を振る。
本当はここまで色々な相手に、色々な事を言われて解ってしまっている。

解ってしまっているから、余計に否定を疂ねる。

「(……もっとっ、いっぱいっ、いっぱいっ、いっしょに、いたいの……っ)」

それを認めさえしなければ、おとうさんは死なない、と。
子供染みた妄想に支配されているから。

1315とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 00:44:51 ID:Arvc6DhE
>>1314
「メノウちゃん……」
【同じような年頃に両親を失った己の影がメノウに重なる】

「メノウちゃん、命はいつか必ず消えてしまうものなんだ。
今のままじゃ、ずっとボブさんにあえなくなる……それでいいのか?」

1316とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 00:47:01 ID:pZRJIBUk
>>1315
「(…………やだ)」

力強く、首を横に振る。
それだけは絶対に、と言うように。
小さな体をいっぱいに使って否定の意を表す。

「(そんあの、ぜったい、やだ)」

1317とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:03:53 ID:Arvc6DhE
>>1316
「ボブさんも、きっと今メノウちゃんを心配して探している。
……少しでも長くボブさんと一緒に過ごそう。
いっぱい思い出つくろう」

【限りある時間だからこそ、メノウにもボブにも後悔してほしくない。
そのために説得にきたのだ】

1318とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:11:51 ID:pZRJIBUk
>>1317
「(…………おもいで)」

ぎゅぅ、とメノウが杖を抱きしめる。
指が食い込んで真っ赤になって、痛々しいほどに。

「(おもいで、つくっても
 おとーさん、しんじゃうんでしょ?)」

1319とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:25:17 ID:Arvc6DhE
>>1318
「……」
【嘘はつけない、でも軽く肯定もできない。
迷ったあげく、小さく頷く。
まだ幼いメノウに、最愛の父親との別れがどれほど受け入れがたいかなど想像に易い】

「……それは……、もう誰も変えられないんだ。
だからせめて……ボブさんにもメノウちゃんにも、いろんな思い出を作ってほしいんだよ」

1320とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:33:35 ID:pZRJIBUk
>>1319
「(……っ)」
ぎゅぅ、と杖を抱きしめる力がより強くなる。
この杖でなんでもできる、と――思っていた。
思っていたけど、できなかった、だから。

「(……おとーさん、よろこぶ、かな?)」
「(わたしに、おこらない、かな)」

1321とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:40:52 ID:Arvc6DhE
>>1320
【杖を握りしめる小さな手を上から包み込むように、軽く手を添える】

「ボブさん、きっと喜ぶよ。怒ったりなんかしないさ。

もし怒られたりしたら、私もメノウちゃんと一緒に怒られよう」
【薄く笑みを浮かべながら言う。
それも一つの思い出になるはずだ。
幼いメノウには、まだわからないかもしれないが】

1322とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:47:00 ID:pZRJIBUk
「(……………うん)」

少しの間をおいて、メノウが小さく頷く。
――本当は最初からわかっていたのだ。

どうしようもないことがある、と。
どうしようもできないことがある、と。

けど、ずっと認めたくなくて、駄々をこねていたのだ。

「(おとーさんに、しんぱいかけちゃ……だめだもんね)」

1323とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 01:54:44 ID:Arvc6DhE
>>1322
「ああ」
【やっと戻ってきてくれたメノウに、小さく笑みが浮かぶ】

「……でも、今は泣いてもいいよ」
【空いている手で、メノウの頭を軽くなでる】

1324とある世界の冒険者:2013/10/26(土) 02:05:40 ID:pZRJIBUk
>>1323
「(……なかない、もんっ)」

ぎゅ、とラーナイに抱きついて、顔を埋める。
声は出ずとも啜り泣くような、か細い呼吸音が聞こえる。

「(なか、……ない、もん)」

そうして――暫くそうした後で。
後続のメノウの友人達と共に、ボブの所へと、戻るのであった。

少しだけ成長した、メノウとともに。

【ここらで FO】

1325とある世界の冒険者:2014/01/09(木) 22:07:13 ID:rszYoF82
-とある噂のある森の奥-

最近王都で囁かれている噂がある。
草木生い茂る森の奥にぽっかりと空いた空間。
背の低い草木が生い茂り、中央に大岩が鎮座し、頭上に月の臨める場所。

其処で兵を待つ武芸者が居る、と誰かは言う。
武芸者は打ち破った者たちの得物を集めている、と。
集まった得物の中には伝説級のものもあるらしい、と。

いやいや、そこにあるのは異界に通じる門だ。
異界からはガラクタが不法投棄されてるんだぜ…と他の者が言う。

お尋ねモノが潜んでいるらしい、と賞金稼ぎ。
さる村の教会からうら若き乙女を連れ去った極悪非道の男だ、と。
うら若き乙女かどうかは知らないが、女の歌声が聞こえるって話がある、と酔っ払い。
歌が聞こえる場所には湖があって其処に鳥だか魚だかが居たとか居ないとか…と言うモノも居る。

そういや化け物退治している奴がいたなぁ、と少数。
見たような顔から全く見かけない騎士だかゴーレムだか分らんのまで色々遭遇した、と。
岩が喋ったなんて話を聞くが…化け物っぽいよな、と便乗して誰かが。

大きな黒い卵があった気が…あれ、場所違ったっけ?
そうそう、巨大な生物等によって蹂躙された様な木々のある場所だったわ、と違う話も飛び交う。

森といえば奥地にひっそりとある墓石が最近朽ち果てたらしい、と青年。
そのせいか死霊の類が彷徨っているらしい…と。

え、奥地には200の階段があって、更に十数本の鳥居で出来た
若干うねりのあるアーチを抜けた其の先にネオベイ風神社があるんじゃなかったっけ?と誰か。

ん?其処って元々草原であった場が歪な黒い草木茂る嫌な気配漂う場になってるんだっけ?
鳥の羽音も虫の声も獣の気配もしないが、少女の歌声が聞こえるって聞いたが、とも言う。

昔から魔女が棲んでいるとの噂が立っているのも森の奥だ、と老人。
庭らしき部分に薬草の類が雑多に生え、
煙突からは怪しげな煙が天高く上がっている小ぢんまりとした一軒家があるのだ、と。

そんな訳で草木生い茂る視界の悪い森の奥で今日も何かが潜んでいる。
兎にも角にも此処はそんな場所である。

1326とある世界の冒険者:2014/01/10(金) 20:34:16 ID:fsQ94s06
-森の奥-

何者かの悪意が明らかな敵意となって満ち満ちている空間があった。
何かが蠢いているようで…
危険そうなのは心得のないものでも肌で感じるほどである。

そんな場に伏している影。
一羽の黒兎である。
垂れ耳具合から見てロップ種であるらしい。
その腹からは血が滲んでいた…

1327とある世界の冒険者:2014/01/17(金) 23:49:25 ID:le8n2rMM
「…………あー、ダメだ。上手く行かねぇ。」
王都の外れの草原で集中した様子で魔術の練習に励んでいる青年がいる。
……それにしては魔力弾しか放っていないのだが。

そして、魔力弾を放っては首を傾げたり残念そうにため息を吐いたりしている。

1328とある世界の冒険者:2014/01/17(金) 23:56:25 ID:VzN2l6dg

「鍛錬か」

ふらり、と。
そこに人影が一つやって来て、声が掛けられる。

「精が出るな。」

視線の先には蒼いコートを纏った、緑色の髪の男。
いつからそこにいたのだろう。

1329とある世界の冒険者:2014/01/18(土) 00:04:34 ID:yf2BYa7g
「…………ん、つってもこんな様だけどな。」
そう言って右手に魔力を集中させ、正拳突きを放つと魔力弾を発射される。
魔法の行使の方法としては少し変わったものだろうが、近接戦闘に特化してるのであればある程度合理的ではあるだろう。
まぁ、一瞬でも拳をまっすぐ向けたままにする必要があるので隙は増えてしまうのだが。。

「………これじゃあ、まだまだだよな。」

1330とある世界の冒険者:2014/01/18(土) 00:10:22 ID:8zD6pwxw
「さてな、それぐらいが出来るなら後は創意工夫でどうにでもなるだろうさ。」

青年の動き、魔術を見て馬鹿にするのでもなく。
足りないのは工夫、と言い放つ男。

「射出ではなく、打撃の威力の増強――推力に回せば良い。」
「或いは……打撃と同時に、至近距離で魔力を開放するか。」

言いながらコートの下から左手を出し、そこにビートが集めた物と同程度の魔力を集める男、そして……

「こんな風に、な」

正拳突き――ではなく、単なるストレート。
だがそれは同じ量の魔力で、確実に空を切り、音を立てた。

1331とある世界の冒険者:2014/01/18(土) 00:22:11 ID:yf2BYa7g
「…………」
自分のやっていたことを軽く見ただけで凌駕されたことに驚く。
遅れて嫉妬がドンドンと湧いてくる。
コイツは俺よりも相当先に生きているのだろう。魔術もろくに使えていない自分よりも。

「至近距離での魔力の開放……射程を投げ捨てて威力に特化するとかそういうことか?」
だが、そういうふうに思っていたとしても行ったことがすごいのは事実。素直に、話を聞こうと疑問を投げかける。
……少し解釈を間違えているようにも思えるが、それもそのはず。
この男。魔術というものに対してろくな知識を持っていなかった。魔法は感覚で使っているようなものなのだ。

1332とある世界の冒険者:2014/01/18(土) 00:30:03 ID:8zD6pwxw
「力が在るのも考えものだぞ。 ……俺はこうなった結果、親も友人も自分の手で殺す羽目になったからな」
妬みを孕む視線に気付いたのかそう言って、左手をコートに仕舞う。

「間違っては無いな。開放した魔力を鞭のように伸ばすやり方もあるが、コツが居る。」

「要するに如何に相手にダメージ……衝撃を与えるか、だ」
「例えば先刻の射撃だって"拳が相手にあたった瞬間"に放つだけでも、威力は倍違う」

「理論は……説明が面倒だ。
 本でも読め、図書館に幾らでもある」

1333とある世界の冒険者:2014/01/18(土) 00:39:14 ID:yf2BYa7g
「…………無力で、足引っ張ってばっかりの人生は糞食らえだ。
そうなったとしても力があってょうがいいよ、俺。」
指摘されても、視線を隠した様子はなくそういう。
……実際、殺しあうことになった時に同じことを言えるのだろうか。

「………インパクトの瞬間に打ち込むのか……。
あー、実物に拳打ち込まないと感覚つかめねぇか、これはさすがに」

「いや、知らんでいいや。そういうもんなんだろ?
結果だけわかれば強くなれるし、別に問題ないしな。」
これだからきっと魔術の知識もないのだろう。

1334とある世界の冒険者:2014/01/18(土) 00:42:34 ID:8zD6pwxw
「持つ者はそれを疎み、無き者はそれを求む、か」
「因果だな」
小さく、皮肉げに笑う。
……妙な、男だ。

「単純に思えるなら単純な方が良いな」
「死ぬ気になって覚えていれば、嫌でも出来るものだ」

1335とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:13:23 ID:OnTXNm42
「……ふんふんふふふーん♪」
時期は少しだけさかのぼってバレンタイン
いつもと同じように教会に足をあ混んでいるコートニーだが、その足取りは軽い。

なぜなら簡単、親愛なる友人に友チョコを渡したり、頑張ってる友や友人の想い人にもチョコを送るつもりだからだ。
普段は忙しい彼も余程のことがなければ協会にいるだろう、と思いつつバスケット片手にルンルン気分で歩いて行く。

1336とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:16:59 ID:EhB3Fok.

そうして少し歩いていると、いつもの教会の姿が見えている。
時刻はお昼過ぎの昼下がり、……アリーナは二人共呼ぶ、と言っていたが……

「んぇ、コートニー?」

その途中で、私服の金髪の青年と遭遇する。
一応腰に騎士剣を佩いては居るが軽装鎧は付けていない、非番のようである。

1337とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:21:41 ID:OnTXNm42
「………ん、クレドくんじゃないですか。」
明らかにはしゃいでいるようにしか見えなかったのだが、さすがに人の前となると要免状だけでも落ち着いたように見せる。
といっても明らかにバレてるだろうが。

そして、彼が鎧をつけてないところを見ると

「んむ、さすがにこんな日まで働くようなことはしてませんね!
こんな時くらいさすがに身だしなみ整えていいとこみたいでしょうし!」
と、満足したような顔で言ってます。

1338とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:24:32 ID:EhB3Fok.
「なんか元気そうだけど……まぁこういう日だもんな」
あはは、と笑って。
時間帯もあってか桃色の空気漂うカップルも多いです。

「アリーナさんと……後、ジャキに。
 今日ぐらいは休めって言われちゃってさ」

苦笑い。 白のカットソーにジーンズ。
肩までの金髪は梳かされて流れている、……元が良いのもあってオシャレさんだ。

1339とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:33:46 ID:OnTXNm42
「…………ええ、そういう日ですよ?
…………そういう日ですね。」
今までに見かけた桃色なカップル共を見ては気まずそうな様子。
雰囲気からしてそう言うようには見えないが、こんな日は恋人でもないのに二人でいると誤解されてしまいそうだ。

「………あなたには誰かしらついてないとダメなのがよくわかりました……。」
結局、働き過ぎなところは変わってないとため息を付きながらそう思っている。


普段はジージャンやらなんやらだったのに、なにか思うところがあったのかこちらもある程度おしゃれな服は選んできたようだ。
といっても暖かさ重視のため、もこもこのコートやらマフラーやらで着込んでいるが。

1340とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:36:39 ID:EhB3Fok.
「先輩……あ、この間のアークライトさんなんだけど……、
 あの人も別の先輩にチョコ渡してたみたいで、なんか喧嘩になってたけどさ」
あっちを見てもこっちを見てもカップル。
……屋台のおっちゃんの此方を見る視線はあたたかーいものである。

「あの二人程じゃないってっ!
 アリーナさんは放っておいたら頑張り過ぎるし、ジャキは倒れてもやめないし……」
そこは強く否定。 ……自覚症状が無い所はあるものの……
やはり酷いのはアリーナと、殊更なのはもう独りの方なのかもしれない?


「けど、うん、やっぱりこういう日って女の娘はオシャレするんだな、
 コートニーも結構可愛いし。」

等と他愛無い事を話しながら教会に向かう。 もう目の前、子供が協会の方から走って来てどこかに行ったりも……。

1341とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:47:57 ID:OnTXNm42
「へぇ、あの人も好きな人がいたりするんですか?
それに喧嘩というとその人が余程の鈍感なのか、ライバルが居るのかのどっちかですけど……。」
周囲の生暖かい視線を感じつつ、ゆるやかにいお幅を早める。
まるで初々しい恋人を見るかのような目が、辛い。

「………たぶんあなた方はもっと視野を広げるべきなんでしょうね。」
なんでこの三人組は揃いも揃って無理をするのだろうか。
軽く頭を抱えつつ自分が見張るべきなんじゃないかと思うコートニーなのであった。

「やっ、その……と、当然ですよ!私だっておしゃれしたら可愛くなるんです!
……っと、見えてきましたよ、協会が!」
可愛いとストレートに言われれば照れて少し赤くなったのをごまかすようにドヤ顔でそう言った後、話の流れを切るように協会を指差す。
無論、顔は赤いままだ。

1342とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:50:45 ID:EhB3Fok.
「好きな人、っていうか騎士のライバルで、義理だって。
 その割には何か結構気にしてたみたいだけど。」
様子を思い出したのか、ちょっと微笑いを零して。
こちらは視線に気付いていない様子……、

「あの二人が心配でそうもいかないんだって……
 と――ごめんね」
途中で子供にぶつかりそうになりつつも返事は気のないものであった。


『……! コートニーさんっ、クレドくんっ! おーいっ!』
と、教会の方に居たアリーナがこちらに気付いたのか小さな手を振ってそちらに呼び掛けてくる。
教会の壁にはコート姿のジャキが凭れ掛かって、同じように此方を一瞥している。

1343とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 02:58:47 ID:OnTXNm42
「…………まぁ、好きな人がいるかと言われて素直にはいっていう人でもなさそうですしねぇ……」
少し上を向きつつ言葉を返した後、少し唸って

「……問題としては自覚があるのか、ないのかですけど……。」とつぶやく。
……彼女の中ではそういうことだと思っているようだ。

「………それなら他の人に見てもらったらどうです?
無理しがちな人に無理するなって言われても信ぴょう性ないでしょ?」

「ん、アリーナちゃんじゃないですか!
今行きますよー!!クレドくんも、早く行っちゃいましょうよ!」
ピョンピョンと跳ねて手を振り返し、一度クレドのことを一瞥した後トテトテと小走りで協会に向かっていく。

1344とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:01:58 ID:EhB3Fok.
「うぅん、……無い、とは思うけどなぁ。
 ストラグル先輩、彼女さん弁当届けに来たりしてたし。」
無い、のだろうか。
……無いのだろうか?

「う、それを言われると……コートニーに言われてるし……
 一応、学科外の頼まれ事は減らしてるんだけど」
うぅん、と唸る青年。あの二人は減らしもしない。

「雪も積もってるし走ると……もうっ」
言いつつも少し歩幅大きめに追いかける青年。
ジャキの方をちらり、と見たようだが。

『いらっしゃいませ、コートニーさんっ!
 丁度今子供達にチョコ配り終わったところなんですよー、ジャキくんが手伝ってくれてっ!』

1345とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:11:32 ID:OnTXNm42
「…………何も言いませんよ、もう。」
……もしかしたら知り合っているのが不憫な人ばかりなのではないかと思い始めるのであった。

「……あれだけ言ってそれだけなんて、もっと言ったほうがいいんですかね……?」
セシリアさんと二人がかりで言いまくってもそれだけしか変わってないとわかるとさすがに呆れる。
と言うより好きな人からチョコをもらえるだろうになんでそんな日にも働こうとしたのか!まったくもってわからない。

「ジャキさんが手伝ってですか?
あの人がにこやかに配ってるのがイマイチ想像できない………うわっ!?」
足元なんて気にせずにケラケラと笑って走っていたのが良くなかったのだろう。
ツルッと足を滑らせてしまい、後ろ方向に体制が崩れていく!

1346とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:14:36 ID:EhB3Fok.
「え、何が?」
全く気付いて居ない様子。
不憫オーラとかあるのだろうか……?

「いや、ストラグル先輩は倒れそうになるまではやっても大丈夫って言うし……
 ……あ、でも先輩も恋人さんに怒られてたかな……?」
ダメなのではないだろうか、それ。

『ふふ、子供相手だと優しく笑ってくれるんですよー……きゃ、コートニーさんっ!?』
わわ、と慌てて手を延そうとするが運痴、反射神経もそうある訳ではなく間に合わないが

「っと。 ……だから言ったろ? もー。」
後ろに居た青年が後ろから抱きすくめるようにして体を受け止める。
自然に胸に飛び込む形になってしまって、見上げるとすぐに顔が……

1347とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:24:09 ID:OnTXNm42
「なんでも、ないです!」
自分と仲良くなった人が不幸になるのか、むしろ不幸な人に好かれるのか……そのあたりがよくわからなかった。
おまけに、不幸と言っても主に恋愛関係だ。呪われているのか。

「…………先輩も怒られてるなら、やり過ぎってことですよ!!」
さすがに、突っ込まざるを得なかった。
いくら騎士様といっても、明らかにやり過ぎだ。

「…………………あ、ありがとうございます……?」
胸にバスケットを抱えつつ
何が起きたのかわかっていないような顔で、しばしクレドの顔を見つめている。
徐々に顔が赤くなっている値、そのうち何かしらアクションを起こすのだろうが。

1348とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:27:00 ID:EhB3Fok.
「無いなら良いけど……」
うぅん? と不思議そうな感じ。
気付いてください、君の周りいろいろおかしい。

「ストラグル先輩は限界超えて突っ走るタイプの人だから……」
こっちはあきらめ気味、どういう先輩か。

「次からは気をつける事……って、顔赤いぞ?」
大丈夫か、と言った軽い様子でおでこに手を当ててくる。
顔が近いと、黒茶色の瞳がとても近くに見えて、唇も近……


<なんだ、似合いの様子じゃないかクレド>
「は? ……って、アリーナさん?」

……気付けばアリーナはなにやら嬉しそうに、ジャキはくつくつと小さく笑っている。

1349とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:35:23 ID:OnTXNm42
「そんな人のいうことを参考にしないでくださいよ………。
クレドくんも倒れたいのなら話は別ですけど。」

「…………あわわ………ほわぁ…………」
顔がドンドンと赤くなりつつ、おでこに手を当てられると軽く口を開けつつ震えだす。
近くで見る顔はなんだかとても魅力的に見えて……

「…………あ、うわ……。
うわぁ!?……ど、どこ触ってるんですかぁ!」
ジャキの一声で正気に戻ったのか、そんなことを言いつつも両手でバスケットを抱えているから軽く体を揺するくらいの抵抗しかできない!
それにどこをと言ってもべつにやましいところを触られてるわけじゃないのに!

1350とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:37:22 ID:EhB3Fok.
「……? コートニー、寒かったり……」
見当違いである、寒いどころか暖かくなっている。
いや、物理的にも精神的にもだろうが。

「何処って肩だけど!? ってこらっ、危ないってっ」
また転ぶと大変なので肩をがし、と後ろから掴んで竦める形に。
所謂一つのあすなろ抱きだかなんだかに近い感じに……

<お熱い事で。 ……先に中に入るぞ、仕上げをしとく>
『あ、はぁい、お願いしますね』

こちらはのほほん、と見守っている。 えぇいやめてさしあげろ。

1351とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:43:59 ID:OnTXNm42
「ちょ、セクハラですよセクハラ!!
これから私に変なことでもするつもりなんですか?!」
抱きしめられたとも勘違いしてしまったコートニーは若干涙目になりつつも無理に離れようとするのをやめない。
と言っても非力なので楽に抑えられるだろうが。

「あ、アリーナちゃん!
なんで見てるんですかあああぁぁぁ!」
のんびりとしていた彼女を見ての、心からの叫びであった。

1352とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:45:48 ID:EhB3Fok.
「セクハラっ!? いや、しないってそんなのっ!?
 暴れるのやめたらすぐ離すから!」
セクハラ発現にファッ!?と変な声を出すも転ぶと危ないので離せない性。
力は強いし、やっぱりオトコノコで騎士さんなんだという感じが。

『うふふっ、仲いいなー、って♪
 とりあえず落ち着きましょ、コートニーさんっ』

1353とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:49:55 ID:OnTXNm42
「……ほんとに、離してくれます?
お持ち帰りとかしませんよね?」
ぐすん、と目に涙を浮かべつつクレドの方に首を向ける。
体制やら身長の差やらで自然と上目遣いになっていた。

「な、中はいいですけど、決して変なことはないんですよ?
アリーナちゃんがわかるかどうかは別として、一線を越えないような理由があるんですもん!」
……涙目だからか、拗ねてる子どもとそれをあやしてる人の構図にも見える。

1354とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:51:44 ID:EhB3Fok.
「し、…………しないって!
 大体何だよお持ち帰りって!?」
間が合った。不覚にもちょっとキュンと来るものがあったようだ。

『うふふ、クレドくん真面目ですからねー♪
 ささ、速く仲で温まりましょうっ、私もチョコ作りましたし、ジャキくんもチョコケーキ作ってくれたんですよー♪』

新情報、アレで料理が出来るらしい。

1355とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 03:58:38 ID:OnTXNm42
「……………信じますよ、クレドくんのこと信じますよ。」
じっと、クレドのことを見つめた後、ピタリと抵抗をやめるのであった。

「あ、それなら私もチョコクッキー作ってきましたよ!
……ってジャキさんケーキ作れるんですか!?」
まさかの情報に失礼ではあるが驚く。
そしてエプロンを付けた姿を想像して、なんとも言えないような感情が渦巻く。全く似合わねぇ

1356とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:00:03 ID:EhB3Fok.
「別に、何もしないって……それに、コートニーは、し、ってるだろ」
こほん、と咳払い一つしてコートニーをちゃんと立たせて離れる。
視線はアリーナの方に……いや、今一瞬浮気したが。

『ジャキくんは中学生の頃から自炊だ、って言ってましたからー』
『孤児院で弟くんや妹ちゃんに偶に作ってあげてたそうですよ?』

ケーキ、アレがケーキ。……普通の料理すらも想像できないというに。

「なんでも、できちゃうからなぁ……」

1357とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:07:17 ID:OnTXNm42
「………そ、そうでしたね……すいません。」
元からアリーナちゃん一筋だったと、その思いは変わらないだろうということを思わず頭のなかから抜けていた。
その事実を自身の過失として恥ずかしく思いながら軽く頭を下げる。
気まずそうに。

「……なんというか、一度は見てみたいですね。」
確実に抱腹絶倒物だろうと思うくらい失礼なのであった。

「……クレドくん、これならジャキさんに勝てるって思ってるところってあるんですか?」
クレドの言葉に思うところがあったのか、アリーナに聞こえないようにそう小声で尋ねる。

1358とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:12:47 ID:EhB3Fok.
「……その、……確かに、今はちょっと、やられそうになった、けど」
眼をそらーしながらそんな事を言う。
やられそうに、とはどういう意味だろうか……。
いや、考えなくてもコートニーなら直ぐ察せる気もするが。

『むぅっ、格好良いんですよっ?』
可愛らしく膨れて抗議する少女、そんな事しながらも中に招いて。
……あまーいチョコや、ココアの香りが……。

「……あんま、無いかも。」
はは、と乾いた笑い。クレドも大概、「優秀」ではあるし「秀才」の部類なのだが。

1359とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:21:44 ID:OnTXNm42
「……………馬鹿なこと言ってないで早くチョコ食べましょうよ!」
言葉の意味を察するも、ちゃんと自制できたということも理解できたので特にいうこともなかった。
ため息とともに、クレドのことを急かす。

「と言ってもエプロンとかってあんな人がつけると似合うとは思えないんですよねぇ。」
そんな失礼なことを言いながら協会の中に入っていく。
いろいろあったが、必死に守ってきたからかクッキーは無事だ。

「あんま、でもひとつのことで確実に勝てるのであればそれを誇りに思いましょう。
……マイナスな考えを中心にしちゃいけないんですよ。めげちゃいます。」

1360とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:26:41 ID:EhB3Fok.
「いやしょうがないだろ!? 顔近かったし涙目だs……ああもうっ!ジャキの馬鹿!!」          !?>
何故か八つ当たりされたジャキ、どういう事だ。

『んー、……着けてる所は見た事無いですねぇ、ささっとやっちゃいますし。
 慣れてるのかあんまり汚したりも……あっ、こっちですよー』

教会の聖堂を通って裏の大部屋に。
バレンタインパーティー、みたいな感じでテーブルにはお菓子と飲物、ちょっとした食べ物とかも。

尚中央には美味しそうなチョコケーキ、アリーナが作っていたものともう一個あるが。

「……ん、解ってるよ大丈夫。
 ありがとな、コートニー」

1361とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:35:10 ID:OnTXNm42
「……八つ当たりとはあまり褒められたものじゃないですよ、クレドくん。」

「おお、ジャキさんのは………これはなかなか行けそうな……」
そんなことを言いながら持ってきたバスケットをテーブルの開いているところに置く。
バスケットの中には結構な料のチョコチップクッキーが入っていた。
大方、子どもたちにも配る予定だったのだろう。

「ん、こんなありきたりな言葉でいいのなら。
……やっぱり明るいほうがいいですから。」

1362とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:38:20 ID:EhB3Fok.
「……ごめん」
はぁ、と溜息。……錯乱したか。

『ふふ、ジャキくんですもの、ねー?』
<褒めても何も出んぞ、大した味見もしてないから美味いのかも解らん>
『私がしたから、大丈夫ですっ!
 コートニーさんも美味しそうなクッキー持ってきてくれましたしっ……子供達にも配ってあげなきゃっ』

なんだかジャキの前では少女、と言うか恋する女の娘、といった印象のアリーナ。
何時ものもいいが、こちらのも……?

「解ってるって、俺もそれがとりえだしさっ。
 ほら、速く準備とか手伝っちゃおう!」

1363とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:45:27 ID:OnTXNm42
「ん、わかればよろしいのです。」

「………はぁ、ジャキさんはどんなのを作ってきたんですか?
なんだか大人のケーキみたいなの作りそうですけど。」
アリーナとジャキのやりとりを見てチラリと邪気の作ったケーキを見つつそう尋ねる。
内申ではやっぱりアリーナちゃんは可愛いよなぁ、と自信と比較しだして勝手に落ち込んでいる。

「そうですね!パパっとやっちゃってみんなでわいわい盛り上がりましょう!」

1364とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:48:04 ID:EhB3Fok.
<ティラミス……チョコケーキだな、持っていく物の余りで悪いが>
アリーナが作った物の隣の、四角いケーキ。
……かなり丁寧に作られている、というか、美味そうだ。
葉っぱやパウダーでの装飾も綺麗に……。

アリーナはうれしそーに、にこにこなんかしちゃって……見てて楽しい限りだ。

「ん。 アリーナさん、俺飲物出すよ、何時もの場所?」
『あ、はいっ、お願いしますねー』

と、言った感じで準備は続いて……待て次回。

【//では中断かこのままFOで】

1365とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 04:55:30 ID:OnTXNm42
【このままFOで、ご相手ありがとうございました!】

1366とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 22:17:07 ID:44D0dwMg
<王都近くの草原>

「あ、あぁ……良い蕩け具合……!
ふふふ、はは、私を壊そうなんて……無理なんですよ?」

【夜の草原。雲の切れ間の僅かな月明かりに照らされ浮かび上がるのは蹲る少女の形。
だが、それは完全に〝崩れて〟いる。

周囲には甘ったるい香りが漂っており、少女の体の所々には何か液体が付着している。
香りからそれは蜂蜜だと分かるのだが、きれいな琥珀色からはかけ離れ、黄色く濁っている。

しかも、付着というよりは体の一部が蜂蜜になってしまっている。
まるで侵食されているかのようだ。】


「……だって、もう私は壊されちゃってますから。」

【蹲る少女が顔を上げた。その下には鎧で覆われた顔がある。
月明かりにより、少女の姿がはっきりすると、少女の下には鎧が横たわっていた。

少女は倒れこんだ鎧に跨っていたのである。】

1367とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 22:29:57 ID:44D0dwMg

「それに……私を甘く見ましたよね?」

【その問いかけに鎧は答えない。……というよりも答えるはずが無い。

だが、そんなことは関係ないのか少女は蜂蜜と化した片手でべっとりとその鎧越しに頬を撫でる。
まるで、自身にとっての愛しき人物に触れるかのように。】

「それが。それが、敗因です…………ふふふ。
まぁ、そんな勝ち負けなんて……もう、どうでもいいですよねー?

だって、後は一緒に溶けて行くだけなんですから。
ふ、ふふふ、怖いかもしれませんが、大丈夫です。私が、付いていますよー?」

【じわり、じわりと少女の体から蜂蜜に似た黄色い液体が染み出し始める。
それは、まるで少女が本当に溶けているかのようにも見える。】

1368とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 22:47:55 ID:44D0dwMg

「ほら、ゆっくり行きますから……。
ふふ、大丈夫ですよ?誰だってハジメテの時はハジメテなんですから……。」

【どろり、どろりと蜂蜜が溶け出すようにして流れ出す。
少女の異形の様な見た目だと本当に体が溶け出しているように見える。

しかし、実際はそうではなくその鎧を包むようにして蜂蜜が滞留を始める。
すると、あっという間に蜂蜜は鎧を覆うほどにまで、溜まってしまった。】

「くく、くくく……ほら、怖くない。怖くない。
ほら、動いちゃダメですよ?……暴れ、ないで?」

【〝力を入れながら〟どんどん蜂蜜で飲み込んでいく。
周囲には不恰好に蜂蜜が飛び散り、少女や周囲の草花を汚していく。

とぷん、とぷんと手ごたえの無い音が草原に響く。】

1369とある世界の冒険者:2014/02/19(水) 22:57:54 ID:44D0dwMg

「……ねぇ。素敵でしょ?
甘い、甘い……甘美な世界に堕ちて行く感覚は。

大丈夫。ずーっと、この甘い感覚は貴方のものですから。」

【動かないソレを見下ろしながら、その鎧を抱くように自ら蜂蜜に浸かる。

鎧の顔の周りに浮かぶ無数の気泡を払い、顔がよく見えるように。
まるで時が止まっているかのような風情を少女が乱していく。】


「……ずっと。永遠に。」

【鎧に乗っかる形で少女は言う。
その無邪気な少女の様な笑みは、どこか黒くしかし魅惑的に光っていた、FO】

1370とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:08:41 ID:iprLIMG2
<王都近くの草原>

「さァて……あっちか。」

【重量感のある足音が夜の草原に響く。馬に乗った男性が草原を行く。
つばの拾い帽子を被り、腰には銃が差してあるなど、まるでカウボーイである。

そんな男であるが、馬を器用に操りながら手元のメモを頼りにどこかへと向かっている。】

「それにしても勝手なヤローだぜ。欲望に忠実って言うかねェ。
まぁ、指針変更は構わねェが……もうちょい学習をして欲しいモンだ。」

【だが、少々、不服な部分があるようでボソボソと独り言を。
そして、気を紛らわせるかのようにタバコを取り出し、火をつけた。】

1371とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:24:48 ID:iprLIMG2

「ま、これが雇われの辛いトコかねぇ。
依頼主サマの言うことにァ、本当に振り回されっぱなしだぜ。

こりゃ、契約時よりちょい上乗せした額を貰わなきゃやってらンねぇよ。」

【うだうだと文句を言いながら、馬を行かせる。
それほど、スピードとしては早くは無い。むしろ、かなりゆっくりである。】

「あ゛〜、女でも良いな。
どうせ、アイツのトコなんざ女なんて腐るほど居るだろうしよォ。」

【と、咥えていたタバコを外し、煙を吐き出す。】

1372とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:33:35 ID:r6Q7SYDQ
一人分の足音が聞こえる。

「はぁ……全くダメね……」
寝巻きのような、だらしない格好した女が鞄を背負ってやってきた
淡いピンク色をした腰まである艶やかだった髪は今や彼女の精神を代弁するかのようにぼさぼさと荒れている。
普段ですらキツい印象を受けそうな三白眼は疲れからか更に普段より更にキツい目となっている
見た目は18に見える

「調査もダメ……現地入りもダメ……一体なんなのかしら」
腕組みをし、小声で独り言を愚痴のように喋っている


ペーターにはまだ気がついていない

1373とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:34:18 ID:r6Q7SYDQ
//乱入します

1374とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:42:27 ID:iprLIMG2

「……ん?」

【ゆっくりと馬を走らせている男。
よく見ずとも、これだけの巨体ならば容易に確認をすることが出来る。

こちらはこちらで女性に気づいたようだが、別に馬を止める様子は無い。
しかし、気にはなったようで、女性がどこにいるのか、と首を動かして探す。】

1375とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:52:10 ID:r6Q7SYDQ
>>1374
少し遠目だが、簡単に女を見つける事ができた

「ん?馬の足音?」
女の方もペーターを見つけたようだ

「あ゛」
一瞬だけ嫌そうな顔をすると、自分の鞄をあさり手櫛を取り出して髪をとかし始めた

「こ、こんばんは」

若干引きつった笑みを浮かべつつも、にっこりと微笑みながらペーターの方を見つめる

1376とある世界の冒険者:2014/02/21(金) 23:59:07 ID:iprLIMG2

「ンな、露骨に嫌そうな顔をしなくてもねェ……女は愛想だぜ?」

【女性に段々と近づき、その間にタバコの火を消して携帯の灰皿に捨てる。
女性の近くまで行くと馬の動きを止めさせた。

露骨な反応をされて、困ったように肩をすくめる。】

「それとも…………あぁ、何だ。アレか?物盗りとかにでも荒らされたか?」

【ここで、女性の姿がはっきり見えたらしく、自らの言葉を訂正するように咳払い。
女性の姿を見れば、まぁ、嫌そうな反応をするのも納得だろう、と。】

1377とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:06:05 ID:KlnYH0Oo
>>1376
「違うわよ、ただの徹夜明けよ」
やや怪訝そうに答えると咳払いをする

「ごめんなさい。ちょっとだけ、時間頂戴。今、人に見せられない顔だから」
そう言うと、手鏡を取り出して簡単な化粧をすませた
マイペースと言うべきなのだろか


「さて……あらためまして、こんばんは」
今度は怪訝そうな顔もせずににっこりと優しげにペーターに微笑む
服装も軽く直したが、ややだらしない模様

1378とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:13:48 ID:Z6j7gi.U

「人に見せられねぇ顔でそれなら中々のモンだ。
……まぁ、徹夜明けは流石に俺も御免被りたいがね。」

【別に異を唱える様子も無く、普通に化粧をさせる。
こう見えても、女性に対してはそこそこに優しいのである。】

「おうおう。んー、折角、綺麗にして貰ってなんだが、俺ァ、そう長話する気はねぇよ?
なんせ、まだまだ〝お仕事〟の途中なんでよォ。

あんまり、遅くなっちゃどんな嫌味を言われるか分かったモンじゃねぇ。」

【馬に跨ったまま、体勢をくるっと変えて、馬の背に寝転ぶような形に。
この男にとってはちょっとした小休止だ。

また、その小休止に女性の相手が出来るというのならば、大歓迎だ。】

1379とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:21:18 ID:KlnYH0Oo
>>1378
「あら、嬉しいお世辞をどうも」
やや嬉しそうに笑う

「話の長い短いは関係ないわ、化粧は女の正装よ。貴方だって、下着姿で他人と話さないでしょ?」
そう言いながら化粧をすませ、最後に香水を数回ほど首筋に吹き掛ける

「これでよし」
満足そうににっこり笑う


「こんな時間まで仕事ねぇ……行商人?」
ペーターと馬の荷物を見比べている

1380とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:27:28 ID:Z6j7gi.U

「さぁて?話すこともある……かもしれないぜェ?」

【含みを持たせるような言い方をして、ニヤリと笑う。
仮に下着姿で話すことがあるとしれ、ソレがどういう時かといえば想像するに難くない。

ごく単純にセクハラな発言である。】


「行商でこれだけしか無けりゃ、そいつはもう潰れる一歩手前だな。
残念なことに、この中には俺っちの荷物しか入ってねぇよ。」

【と、寝転んだ怠惰の姿勢のまま、足でこつこつと荷物を叩いた。
この動作そのものが彼が行商ではないことを示す証拠である。】

「ヒントを出せば……俺の仕事は基本、夜……それも夜中にヤることが多いな。」

【ひひ、と意味ありげに口元を歪ませる。今度はセクハラではない。】

1381とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:39:20 ID:KlnYH0Oo
>>1380
「そ、そう」
引きつった笑みを浮かべる
どうやら、最初のセクハラ発言を単純に受け取ったみたいで、ある意味最悪の誤解をしてる可能性もある

「あら、全て売り払った行商人かと思ったわ。次の町に行くのかと」

「夜ね……何かしら?盗賊?」
口元に手を当てて考えている
行商人ではないとするならば、一体……

1382とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:46:17 ID:Z6j7gi.U

「お、盗賊は当たらずも遠からず、って感じだな。
なら、もうちょいヒントを出そう……俺が仕事で使うのは……。」

【そういうと、腰の辺りに軽く手をやる。
すると、腰に差してあった銃を引き抜く。中々の腕らしく正確かつ素早い動作は、まるで手品である。】

「――――……こいつさ。」

【くるくるとガンスピンをさせると、そちらに向けて構えてみる。
あまり、気分のいいものではないだろう。】

「こいつで、こう……ばーん、とねェ、ヒヒ。」

【そして、子供の遊びの様に銃撃音を口で真似て打つフリをする。
ここまで言えば、ある程度の予想は付くだろう、というほどのヒントだ。】

1383とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 00:59:03 ID:KlnYH0Oo
>>1382
「そう……何となく分かったわ」
険しい表情でペーターを睨むように見つめる
殺気等は出ておらず、ペーターの行動の不快感で睨んでいる

身体中が冷や汗でシャツが体に引っ付くのがわかる

(まさか殺し屋だなんて……)
服の袖口には小さくカットされた護身用の杖、悪足掻きは出来そうだが、逃げれる自信がない

(依頼外での殺人が無いことに掛けるしかないわね……)
なんとかして表情を作る

1384とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 01:08:06 ID:Z6j7gi.U

「おいおい、そんな怖い顔しなくたっていいだろ?
最初にも言ったろ?女は愛想だ、って。」

【自分の職業を理解したと見たようだ。
明らかに態度を変えたシュナだが、こちらは特に不快に感じては無い様だ。

だが、その変わりように銃を指に引っ掛けたまま、肩をすくめて見せる。
先ほどから、一々、動作が器用である。】


「別に取って喰おうってワケじゃねぇし。
こう見えても、俺っちは仕事に対しては真面目なのよ。

依頼者に不利が被るようなことはしない、ってねェ。」

【銃口で自身の帽子のツバをなでるように動かしている。
言葉通りに受け取れば、無益な殺生はしない、ということなのだろうが、果たして。】

1385とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 01:20:22 ID:KlnYH0Oo
>>1384
「本当かしらね……そう願いたいけど……」
(フラッシュ……スタン……いえ、ダメね。4、5手……いえ、下手をしたら10手ほど離されている。下手な動きをしたら何も出来ずに殺されるのがオチね)
なんとか口と頭を切り離している
考えられている事を悟られないように必死
(だとしたら、後は……)

「ところで、こんな時間だけど大丈夫なの?依頼人さんの所にいかなくて」

1386とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 01:28:31 ID:Z6j7gi.U

「んー?おぉ、そうだったそうだった!あいつのトコに行かなきゃねぇ。」

【ハッと気がついたような顔をして銃を収めると姿勢を寝転んでいるものから、跨るものへと変えた。
しかし、動く様子は一向に無い。すると、肩を振るわせ始めた。】

「……ヒヒ。だからよー、そんなに警戒しなくても良いじゃねぇか?
こちとら、今回は長〜い案件で退屈なワケよ、分かる?

それに、言ったとおり、お仕事中さ。
何かしら結果を出さねぇと依頼者のトコなんか帰れねぇよ。」

【何とかして、遠ざけたいという考えはお見通しのようだ。
とはいえ、やはり手を出すつもりは無い様だ。……ちょっとした息抜き、暇つぶし。そんな感じである。】

1387とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 01:40:28 ID:KlnYH0Oo
>>1386
「そう」
(やはり、見えすいた話には乗らないわね、こんな事なら対人関係の本を読むべきだったわ)
どうにか状況を打開したい
暇潰しに話しかけられているとはいえ、彼がどんな性格なのかシュナは測りかねていた
職業柄、相手の性格なんてどうでもいい
だからこそ、躓いている状態である

「それで貴方は何がしたいの?ただの話し相手が欲しいようには見えないけど」
殺し屋と名乗りなおかつ殺し屋の顔を知られている現状
生きて帰れるのを半ば諦めているようにも見える

1388とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 01:47:50 ID:Z6j7gi.U

「そりゃ、勘繰り過ぎってモンだぜェ?
こっちとして見りゃ、単に暇を潰してるってだけさ。

大体、俺がそんな怖い男に見えるかー?
仮に俺がアンタが〝警戒していること〟をやろうとしてるならとっくに終わってら。

こうして、話すことに何の意味もねぇしな。
出会い頭に風穴をぶち開けて、終わりってことさ。」

【こいつが殺し屋であることをひた隠しにしかつ、目撃者等々を全て始末する
という信条を持っているのならば、出会った時点でシュナは攻撃されているだろう。

しかし、そういうこともしない。
そればかりか化粧をする時間を待つということも行っている。

そもそも、殺し屋と知られたくないのなら、クイズも出さないだろう。】

1389とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 01:57:05 ID:KlnYH0Oo
>>1388
「怖い男ね」

シュナにとってはペーターはかなり不気味に見える

仮に単なる暇潰しなら殺し屋なんて言わなければいい
だが、彼は殺し屋とヒントを与えた
なぜ?

不利益になる事ばかりをやっているペーター
シュナにとっては自分では計れない不気味な人にみえてきた
「私、そろそろ帰らせて貰うわね?」
そう言って歩き始める

1390とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 02:05:55 ID:Z6j7gi.U

「そいつは残念だ。俺としちゃ優しい男のつもりなんだがね。」

【と、少々、オーバーなアクションで悲しみを表現する。
殺し屋にしては随分と表情が豊かだ。一般的な殺し屋のイメージとは少しかけ離れている。】

「んじゃ、俺も行くとするかねぇ。
そうだ。誰も彼もが損得で動いてるかと思えば、違うってことをアンタは覚えておいた方がいいかもな。

んや、コレは俺みたいな人間が言うことじゃねぇか、ヒヒ。」

【そういうと、手綱を握り馬を動かし始めた。
歩き始めたシュナをどうするというわけでもなく、ごく普通に去って行った。

殺し屋と言っても、肩にはまらない人間も居る……そんなことが分かる邂逅だったとか、FO】

//それでは、こんな感じで。遅くまでありがとうございました!

1391とある世界の冒険者:2014/02/22(土) 02:14:21 ID:KlnYH0Oo
>>1390
「はぁ……」
ペーターが去ったのを確認して、その場にへたり込む
「最悪……」
愚痴るように言ったその言葉はペーターに言ったのか、それとも冷や汗で不快になった自信の下着に言ったのか定かではない


//こちらこそ乙ですよー

1392とある世界の冒険者:2014/02/23(日) 22:37:38 ID:0HnOeQd2
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>

【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。

店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】

1393とある世界の冒険者:2014/02/23(日) 22:58:18 ID:0HnOeQd2

「――――、絶えぬ業、尽きぬ欲望、魅惑の毛並み。
にゃにゃにゃ、人はいつまで、この過ちを繰り返し、そして気づかぬのか。」

【ごくり、とミルクの入ったグラスを煽る。
不敵な笑みを浮かべるその様は正に、だんでぃー。】

「何とも罪深い。………………ふぅ、暇にゃ。」

【ただいま、お客はゼロ。それっぽいことを言って、暇を潰すしかない。】

1394とある世界の冒険者:2014/02/23(日) 23:12:53 ID:0HnOeQd2
FO

1395とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 21:07:23 ID:puYKth/M
<王都近くの草原>

「あ゛……あ〜、何て気分……!」

【よろよろと草原を歩くのは毛先のみが黒い金髪の少女である。
腰にはぐるりと一周するように空き瓶が括り付けられている。

その様子は明らかに以上で、体の一部が何やら黄色く濁ったスライムの様な状態になってしまっている。
それが体のいたるところにあり、まるで黴や菌類に侵されているかのようである。】

「ふふ、魔力が足りないってことですかね〜〜??」

【異常なくらいに甘ったるい香りを振りまきながら、彷徨う。】

1396とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 21:19:17 ID:l9jH0eio
>>1395

「甘い香り。ハチミツのように滑らかで、万人が好むハズであったソレ」

「その実体は食虫植物。甘い香りはいつしか匂いから臭いへと変化し、悪趣味な虫を引き寄せる」

褐色の肌に黒い髪、そして人間離れした金色の瞳を持った少女が芝居がかった口調で現れた。
彼女の声は訓練を受けた人間のソレで、美しく響き、通る声であった。

「質問をしましょう、蜜の姫君」

「あなたに思考はあるのかしら。その香りのように惹きつけるカリスマは」

右手に握った、蛇が巻きついたような装飾の施された手鏡をメヤズに向けて、クスクスと挑発するように笑いながら、そんなことを問いかけた。

1397とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 21:50:37 ID:puYKth/M

「……んー、お姉さん。難しいこと言いますね?
んふふ、そーですね……以前から壊れてましたけどぉ……。」

【ぐらり、とそちらに振り返る。
可憐な少女姿をしているのは間違いないのだが、察しの通りまるで食虫植物。

しかし、この異常な姿は彼女が望んでそうなっているとは思えない。
もし本当に食虫植物なら、完璧に人間に擬態して見せるはずだ。】

「――――もっと、壊れちゃいましたね、私は。」

【さらに甘い香りが強くなる。
どんなものでも突き詰めれば、毒になるともいうが、この状態は正にソレを体現している。

この香りは非常に悪い。】

1398とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:01:04 ID:l9jH0eio
>>1397

メヤズの返答に、少女ははっきりと落胆した様子を見せた。

「千思万考を尽くし、その上で確固たる答えを見つけ、導く人はなかなか見つからないようで」

「――救世主を探すのに似ているものね。見つからないという点と、ただの変わり者がそうじゃないかと期待してしまう点で」

メヤズは自分が探していた人物ではない。
そういうことを言外に言いたいようであった。

「風帝、未だ現れず――あなたを打倒すれば、少しは見つけやすくなるかしら」

漂う香りを吹き飛ばすように、彼女の周辺に風が吹き荒れた。
彼女はメヤズをにらみつけるようにしながら、向けた手鏡を胸元にまで引いた。

1399とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:08:18 ID:puYKth/M

「導かれたい……ふふ、救世主ですか。
随分とおねーさんは他力本願なんですね、思考していないのはどちらなんでしょ?」

【吹き出す風を物ともしない。
体から溶け落ちる蜂蜜が少しばかり、空虚へと散っていく。

自分へと向けられているものは理解したのであろう、その笑顔を更に歪めて。】

「……ねぇ、お姉さんは…………甘い物、好きですか?」

【小首を傾げて、いかにもその年頃の少女らしく尋ねた。】

1400とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:13:22 ID:l9jH0eio
>>1399

「そう。他力本願――私は私を使うブレインを欲して止まない」

「頭無くては手足は動けない。私は誰かに重用され、愛される手足でありたい」

ただ、その頭はいない。
だから手足たる自分が自ら探して回っているのだという。

「その甘味、人体に受け付けるものかしら?」

こちらは、それに挑戦するように応える。
風は変わらず吹き続けているが、メヤズからの香りを散らす以外に意味があるほどではない。

1401とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:18:56 ID:puYKth/M

「うふふ、ふふ、頭が無くても……大丈夫。
私の蜂蜜で優しく、優〜しく……包み込んであげますよ?

蜂蜜に沈む感覚、甘美なる世界に没入するのはとっても……気持ちいいんですから。
大丈夫、私がちゃんとその世界の中までお姉さんを、連れて行ってあげますね……?」

【その返答ににこりと笑む。香りと同じく笑顔も度を越せば狂喜である。
手をゆっくりと舞台に立つキャストの様にしなやかに差し出しながら。

すると、空き瓶にゆっくりと蜂蜜が溜まり始める。
それと同時に、メヤズの侵食されている部分からも蜂蜜が染み出し始めた。】

1402とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:24:02 ID:l9jH0eio
>>1401

「その官能の響きは魅力的。でも――」

手元の手鏡が光り輝き、仮面をつけた屈強な男たちが二人、彼女の前に出現する。
黒い肌に腰ミノをつけた野蛮人風の外見で、顔にはそれぞれ金と銀の仮面をつけている。
そして、彼らが手にしているのは細く長い槍だ。

「私には届かない。――ガド、ゲド。打倒しなさい」

金の仮面をつけた男が右手側から、銀の仮面をつけた男が左手側から弧を描く風に突進する。
男たちの動きは非常に素早く、彼女が彼ら二人に追い風をやっていることもわかるだろう。

1403とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:33:56 ID:puYKth/M

「腰巾着……の、腰巾着ですか。
ふふ、ふふふ……チェインズ、ドルチェ。」

【自身を守るようにして蜂蜜の壁が立ち上がる。
ガドとゲドが来る方向に一枚ずつの計二枚の壁だ。

だが、いわゆる硬質化はしていないらしく、その勢いを以てすればあっという間に超えられてしまう。】

「あ、あぁ……すいません、ね。最近、加減が出来なくなっているんですよ。
大丈夫。最後の楽しみはちゃーんと取っておきますから。」

【両腕を指揮者の様に振り上げると、その壁から蜂蜜で出来た輪の様なものが無数に打ち出される。
それは相手を捕らえる蜂蜜の輪。

付着すれば、それはすぐさまに枷となる。腕や足についてしまえば、動きは鈍るだろう。
場合によっては、そのまま拘束されてしまうかもしれない。】

1404とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:40:26 ID:l9jH0eio
>>1403

「――素直すぎるよ?」

彼女の手のひらから、砂を含んだ風が槍のような形を作って飛んだ。
狙いはメヤズ本人ではなく、蜂蜜のリングと、そしてその発生源の壁。
これは何も破壊や相殺するのが目的ではない。

「ガドとゲドなら、突破できる」

砂を含んだ風。その性質は劣化だ。
拘束の概念を含んだ蜂蜜の輪の効果は目に見えて弱体化する。
追い風を受けたガドやゲドにそれらはいくつも付着するが、メヤズがすでに放ったこれらの術式を強化できない限りは、大した枷にならない。
そして、自慢の槍で壁を突破し、そのままメヤズ本人を串刺しにしようとする――。

1405とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:49:37 ID:puYKth/M

「……いえ、壊れてますよ、私は。」

【みるみる弱体化していく蜂蜜たち。
既に放った物はそのまま無様に地面へと落ちていく。

そして、あろうことか守るはずの蜂蜜の壁を引っ込めてしまった。】

「――――――ッ゛?!」

【そして、そのまま自身はその凶器に身を晒してしまった。
ガドとゲドの手ごたえは確かなものである。

幾度と無く敵を妥当してきたのなら、手に伝わる肉を貫く感触は確かなものだ。】

1406とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 22:53:42 ID:l9jH0eio
>>1405

「――」

あっけないといえば、あっけない。
ガドとゲドの槍は必殺のものだ。貫けと命令したのだから、確実に致命打となる部分を狙ったはず。
だからこそ、彼らは槍を刺した体制から動かずにいる。

「何――?」

だから、それが怖かった。
わからないということは恐怖だ。彼女は炎や毒蠍を前にしたような恐怖感に襲われた。
あっけなさすぎる。他愛もなさすぎる。
彼女は経験から知る。これは罠で、何かが起ころうとしているのだと。
だから、注意深く、何か異常があればすぐ行動に移せるように、目を凝らし、耳を澄ませる。

1407とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 23:02:03 ID:puYKth/M

「…………っ、ぇ、っぶ――――!」

【ごぽり、と体から込み上がってくるものを吐き出した。
致命傷を受けているのだから、吐く物といえば血か吐瀉物だが……それは蜂蜜だ。

どろり、と黄色く濁ったそれとは違う……琥珀色の綺麗な蜂蜜。】

「こわ゛れでる――――って、イッタノニ……!」

【蜂蜜を口から漏らしながら、呪いの言葉を吐き出す。

すると、貫かれ上手く動かない腕をゆっくりとガドとゲドに向ける。
その瞬間、手が一瞬、どろりと溶けるとごく単純に蜂蜜がまるで滝の様に噴出した。

手から出る量であるため、飲み込むまでは行かないものの、相当な力を以て蜂蜜が噴出される。】

1408とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 23:18:01 ID:l9jH0eio
>>1407

「……ッ!?」

蜂蜜の奔流が男たちに向けられる。
維持はむしろ魔力の無駄遣いだと考えた彼女は、召喚を打ち消して二人を消した。
それはつまり、メヤズを貫いていた槍も消失することを意味する。

「――望まれぬ風帝の子<カエサリオン>!」

一気に畳み掛けるしかない。
彼女はそう判断し、自身の固有能力を発動させる。
神童計画によって産み落とされた際に与えられたもので、呪文詠唱をサポートするものだ。

「<世界の結び目><教主の玉座><熱砂の哲学>」

彼女は風と、砂の魔法を連発した。
先ほどと同じく、砂混じりの風という点は共通しているが、明らかに攻性の度合いが強い。
砂は炎のように熱く、風は刃のように鋭い。
そしてそれらは皆、槍や剣のように研ぎ澄まされて、幾本もメヤズに殺到するのだ。

1409とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 23:30:30 ID:puYKth/M

【蜂蜜は誰も居なくなった場所に無意味に放たれる。
そして、そこに蜂蜜の水溜りが出来てしまった。

……アレだけの量を食らっていたら、ただでは済まなかったであろう。】

「あれぇ……いなくなっちゃったぁ?」

【刺された箇所からも血液の代わりに蜂蜜が噴出している。
周辺に蜂蜜がばら撒かれている状態だ。

そして、その蜂蜜の噴出も止まるが、刺された箇所は蜂蜜に侵食されたままである。
元通りの人間の肌ではない。】

「あは、―――――ハニー・ポット。」

【両手を上空へと向ける。
すると、地面に落ちている蜂蜜がメヤズの指し示した方向に集まっていく。
その指し示した方向はマアスーメの真上である。】

「ふ、ふふ……堕ちなさい。」

【既に風を受けつつあったが、マアスーメの上空にある蜂蜜を解放した。
蜂蜜は多大な質量を以て、マアスーメに降りかかろうとしている。

仮に蜂蜜がメヤズの統制化にあるとすれば、飲み込まれれば一巻の終わりである。
とはいえ、既にメヤズはその風の攻撃を受けている。

……結局はマアスーメの勝利、ではないのだろうか。】

1410とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 23:34:03 ID:l9jH0eio
>>1409

「――」

逃走しかない。
彼女が一瞬の内にはじき出した考えは、そんなものであった。
あれだけのモノを頭上から落とされてしまえば、逃げるしかない。
逃げたら間合いがずれるし、逃げることを相手は計算にいれているのは自明の理。
なら、――その場での継戦は得策ではない。

「――忌々しい」

なので、自分に協力に追い風を発生させながら、この場を逃げ去ろうとする。

1411とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 23:44:43 ID:puYKth/M

「……い、痛い。痛い。」

【蜂蜜は落とそうとするまま、自分の腕を使って砂から身を守ろうとする。
しかし、当然、砂の全てを防げるわけでもないし、腕にもその砂が襲い来る。

だが、それは全てキズではなくその攻撃を受けた箇所が、全て蜂蜜と化している。
メヤズが自分を指して壊れているといったのはこのことであろう。

そうこうしている内に蜂蜜がどろりと流れ落ちる。蜂蜜が波の如く周囲を飲み込もうとする。
しかし、追い風によって逃げるマアスーメを捕まえることは出来ない。

そこまでの遠距離を網羅できるほどの量ではないからである。】

1412とある世界の冒険者:2014/02/27(木) 23:47:37 ID:l9jH0eio
>>1411

「……ブレインが、必要」

自分を動かす存在が、絶対必要だ。
彼女は逃走しながら、呪詛のように呟いていた。
メヤズに一定のダメージを与えた彼女だが、勝利したという風には考えられない。
こうして逃げているのだから、当然であった。

さて、二人が再び合間見えることはあるのだろうか……。

//ではこれで〆で。

1413とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 00:02:55 ID:ANkA9n7I

「…………あ、あぁ……。」

【風が止み、自らの状態を確認してため息を吐いた。
どうやら、この状態は自ら望んでなっているものではないようだ。】

「ふふ、ははは……――――楽し、ぃ……。」

【不意に噴出すようにして、ケタケタと笑い始めた。
以前のこんな状態になる前の彼女とは別の狂気がそこには潜んでいたとか、FO】

//了解、お疲れ様でした!

1414とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:20:59 ID:z51/PyIs
-森の中-

「もう、後には戻れないわね」

赤黒い刀身の長剣を手にした長い白髪の女が月を見上げながら呟く。
傍らには庇うように抱いた子供ごと腹部を貫かれ息絶えた女性の亡骸。

「戻る気もないけれど」

虚ろな目で女は呟く。

1415とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:26:32 ID:WybszwD6
「…ん?妙なもんに出くわしたもんだ」

森の中だというのに
左片眼鏡をかけ燕尾服を纏った一房の赤髪が混じった黒髪の青年が現れる。
実にミスマッチであった。

1416とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:29:32 ID:z51/PyIs
>>1415
「どうも、見てのとおりの殺人鬼よ。
通報する?それともこの場で取り押さえる?
私はどっちでもいいけれど」

そう言って白髪の女は生気のない虚ろな目でルベリエを見据え、
剣こそ向けないものの柄を握る手に力を入れる。

1417とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:34:51 ID:WybszwD6
「ああ、うん、すげえ面倒だなどっちも」

左眉を僅かにあげて言い放つ。

「ただあれだな、殺人鬼って事は無差別とみていいか?
 そうなると家のお嬢にも危険が及ぶわけだからスルーは無理なんだが」

やれやれ、と右手をわずかに上げてため息をつく。

1418とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:37:27 ID:z51/PyIs
「無差別に狙っているワケじゃないわ。
私は正気だもの。無差別殺人なんて狂人のする事よ」

そう言ってゴソゴソと亡骸を漁ると何かを取り出しルベリエへ投げる。
亡骸になった母子と騎士らしき男が写った写真が入ったロケットだ。

1419とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:41:14 ID:WybszwD6
「おっと…」

上げた右手ではなく左手で素早くロケットを受け取る。

「……ん、何だよ、この男に恨みでもあるのか?」

1420とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:44:46 ID:z51/PyIs
「その騎士個人にはこれといって恨みはないわ。
勿論この人達にもね」

そう言いながらブーツのつま先で亡骸を小突く。

「単純に騎士や軍人そのものが憎いのよ。
不特定多数の人を殺してるのに英雄視されてて、ね」

1421とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:48:33 ID:WybszwD6
「…ああ、そりゃ聞き捨てならないな」

ぽい、とロケットを無造作に投げ捨て右手を眼前に翳す。
その開いた右手に魔力の揺らぎが見て取れる。

「アンタは何れ俺達の敵になるって事だ、それは。
 スカウトする気もあったが獅子身中の虫は要らないしな」

1422とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 21:52:10 ID:z51/PyIs
「やる気なら相手になってあげるけど。
私も、”彼"も、加減なんて出来ないから」

そう言って赤黒い剣を構える白髪の女。

1423とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:00:04 ID:WybszwD6
「それは付喪神の類か?まあ、斬ってしまえば全部一緒だ」

魔力の揺らぎが空間を歪めて元に戻る。
その手には黒塗りの鞘に納められた一刀のサーベル。

「その考え、改める気はないか?
 正直長続きはしないぞ、そんな行為」

1424とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:04:52 ID:z51/PyIs
「長続きさせる気なんかそもそもないもの」

剣を構えながらコホコホと咳き込み、
ペッと血を吐き捨てる女。

「命尽きるまで憎悪の赴くままに生きる。
それも悪くないと思うわよ」

そう言いながら一度剣を振ると刃が分離する。
蛇腹剣のようだ。

1425とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:09:17 ID:WybszwD6
「いや、悪い。迷惑だ…俺達に」

右手で鞘を掴み、左手で柄を掴んだ…と思いきや一瞬で振り抜いた。
抜刀。
そのサーベルは軍刀よろしく、ネオベイ刀の刀身を持つサーベル。
振り抜かれた一撃は魔刃となってルシスへと飛ぶ!

1426とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:13:56 ID:z51/PyIs
「余り時間がないからそっとしておいて欲しいのだけれどね」

女が赤黒い剣を振りぬくと鞭のように撓った刃が魔刃を切り裂く。

「っ・・・やっぱり連戦は無理か」

魔刃を切り裂くがその場に膝をつく女。
赤黒かった長剣が普通の金属製の長剣へと戻る。

1427とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:16:08 ID:WybszwD6
「そう言う訳には…ん?」

第二刃を放つ態勢をとっていたものの相手の様子に動きを止める。

「何だ、未だ始まってもない位だがな」

1428とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:19:14 ID:z51/PyIs
「交代よ、ガルロア。
でも、殺しちゃダメよ。
あの人は関係ないから」
『心得た』

女の背後に両手が剣のようになった魔人の影が浮かび上がり、
その影が女の体へ入り込むと女の瞳が赤く輝き、立ち上がる。

『仕切り直しだ』

そう言いながら女は色褪せた長剣を構える。
先ほどとは雰囲気が全く異なる。

1429とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:20:12 ID:z51/PyIs
//ガルロアじゃない間違えたダイムスだ!!!

1430とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:32:21 ID:WybszwD6
「身体借りてやるってか、そういう手合いとは戦う気が失せる」

納刀し、空間にサーベルを収める。
やれやれ…と片眼鏡を外すと紅茶色の瞳が見える。

「…除け」

その眼から放たれるのは魔力の波動。
物理的よりも魔術的な威力に特化し、
精神体への効果が高い…筈である。

1431とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:37:54 ID:z51/PyIs
>>1430
『苦しむのは私ではないのでな』

魔力の波動に僅かに苦悶の表情を浮かべるが、
すぐにニヤリと笑う女。
恐らく表に出て来ていない先ほどの女へダメージが回っているのであろう。

『行くぞ』

そう言い剣を手に突進する女。

1432とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:42:21 ID:WybszwD6
「あー、くそ、見誤ったか」

そう言いながら徒手空拳で女へと突っ込んでいく。
左目から今度は物理的な衝撃波を放つ。
当たれば攻撃も確実性を失うだろう、そこを狙い攻撃をよけるつもりだ。

1433とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:51:49 ID:z51/PyIs
『考えが甘いな、青年よ』

衝撃波を浴び突進が避けられると女は笑い、
蛇腹状に分離した剣を木へと飛ばして突き刺し飛び乗る。

『元より主の望まぬ戦いをするつもりはない。
さらばだ、もう会うこともないだろう』

そう言い女は森の闇の中へ消えた。
うまく逃げられたようだ。

1434とある世界の冒険者:2014/02/28(金) 22:53:47 ID:WybszwD6
「…んー、不味いな。あん畜生にどやされる」

頭をかきながら森の奥へと消えた…

1435とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 21:58:48 ID:ksz6vOjU
<王都近くの草原>

「……いやはや、騒がしいことだ。」

【髪をポニーテールの様に後ろで一つに纏めた法衣の男が呟く。
男の目の前には恐らく、魔物と思われるものが転がっている。

その魔物の体には無数の白く光る槍の様なものが複数突き刺さっていた。】

1436とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:11:55 ID:b1HUUKR.
>>1435

――魔物との戦闘中、ずっと誰かに見られていたことに気がついていただろうか?
敵意はなく、かといって助太刀の様子でもなく、観察のような視線だった。
そしてそれは魔物を倒した今も続いている。

「……」

物陰に身を潜めて、そちらを確認している人物が一人存在しているのだ。
気配は若干希薄で、視線に気がつかなければ存在を察知することはまあ無いだろうという程度。
訓練を受けていない人物相手には十分通用する隠密だといえた。

さて、この視線の主に対してどうするだろう?

1437とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:22:05 ID:ksz6vOjU

「……おやおや。困っている人を見たら助けてあげなさい、と教わらなかったかな?」

【気づいていたのかどうかは定かではないが、動揺の様子は見せずに振り返った。
しかし、魔物との戦闘を見ていたのなら分かるであろうが、この男に困った様子など微塵も感じられない。

とはいうものの、別に楽しそうと言った享楽的な感情も垣間見えなかったが。】

「それとも、君が私を困らせる要因、ということなのかな?」

【手を後ろに組んで、少しばかり胸を張るような格好。
黒い法衣を纏ったいわゆる聖職者に値する人物なのだろうが、聖職とは思えぬくらいの妙な威圧を放っている。】

1438とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:27:24 ID:b1HUUKR.
>>1437

「……」

観念したように、その人物は物陰からその姿を晒した。
まだ若い、褐色の肌をした少女だ。金色の瞳は人間離れしているがそれだけで、他に変わった点は見られない。
彼女はぱちぱちと手を叩いて、自分の存在を見抜いたサルデフェクトを称える。

「お見事。見とれていただけだと言い訳はできるかしら」

彼女の声は、何か訓練でも受けていたらしく良く通る、澄んだ声だ。
やろうと思えば歌姫にだってなれるだろう。彼女のオリエンタルな容貌は、衣装さえ調えばすぐにでも砂の国の姫君だ。

1439とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:38:02 ID:ksz6vOjU

「構わん。不恰好に取り繕うよりは好印象だろう。
……――――さて、本音を聞くとしよう。」

【助けも出さず、自身が淡々と魔物を処理するのを観察していた少女に向けて問いかける。
聖職者っぽい見た目は真実なのか、その言葉や身振りはサマになっている。】

「あぁ、仮に告白したいというのならば、懺悔でも構わん。
幸い、私は聖職者でね。ここは神の家ではないが、それくらいならば引き受けよう。」

1440とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:42:43 ID:b1HUUKR.
>>1439

「――」

サルデフェクトの様子に、彼女は一瞬息を呑んだようだった。
何かが彼女の琴線に触れたことがわかる。

「半分は本音」

「もう半分は――」

彼女の左手に、俄かに魔力が集中する。
そして即座に開放――魔力は土の属性に変換され、ソレは熱砂にへと姿を変える。
ともすれば火傷しかねない、砂漠の国の熱砂にも似た黒いそれを、サルデフェクトに投げつけたのだ。
砂は拡散し、広範囲にわたってサルデフェクトのいる空間一帯に飛び散る――!

1441とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:54:26 ID:ksz6vOjU

「――――砂、か。」

【それを見て、黒い腕をそちらに向ける。
その瞬間、白く輝く魔力で出来た杭が、マアスーメに向けて打ち出される。

先ほどの戦いを見ていたのなら、分かるであろうが恐らく、彼の主戦力と思われるものだ。
腕から打ち出されたそれは、弾丸の如くそちらへと迫る。】

「……どうしたというのかね?まるで、悪夢でも思い出したかのようではないか。」

【その最中、懐に手を入れて、何かを外に放った。

紙の様なそれはひらひらと宙を待ったかと思うと、突如、魔力が巡りだし
サルデフェクトを覆うようにして、障壁を展開する。……魔符であろう。】

1442とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 22:59:46 ID:b1HUUKR.
>>1441

「――触れれば切れる、刃のよう」

飛来する杭を、右手から発する突風で弾く。
即座に次を撃たれてはたまらないので、彼女は諦めたように両手を挙げた。
また、そちらに飛ぶ砂は障壁で弾かれると、存在を保てずに消える。

「悪夢? とんでもない。失せ物を見つけた気分」

「あなたは私の求める風帝かもしれない。千思万考の果てを知り、導く人であるのかもしれない」

微笑みながら彼女はそんな事を言う。

1443とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:11:09 ID:ksz6vOjU

「ほう。……つまり、それが私である、かもしれないと。

いやはや、随分と大層なものと思われているようだ……?風帝?とは、これはこれは。
風においては君のほうに、はるかに分があると見えるがね。」

【軽く目を閉じて、くく、と低く喉の奥の方で自嘲的に笑う。
魔符はやがて、力を失いサルデフェクトの手へと戻っていく。】

「そして、千思万考の果てとは、これまた。
聖職者である私には何とも遠く、尊い言葉であろうか。」

1444とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:20:18 ID:b1HUUKR.
>>1443

「私の国に伝わる御伽噺。千思万考の果て、人々を導いた偉大な王。それが、風帝」

彼女は膝を突いて頭を垂れた。
そうするのを待ち望んでいたかのようですらある。

「お願いがあります。私を、あなたの下に置いてください」

「歌えというのであれば、歌いましょう。踊れというのであれば、踊りましょう」

「股を開けというのであれば、開きましょう。敵を倒せというのならば、必ずや勝利をもたらしましょう」

「私は、私を認め、導き、使う”頭”を必要としているのです。どうか――」

彼女が懇願しているのは、自分を部下にしろということらしい。
大胆な求職者という捻くれた見方もできるかもしれないが、やや異なる。
彼女は、自分が従属するに値する主人を探していたのだろう。

1445とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:28:42 ID:ksz6vOjU

「……ふむ、弱ったものだ。」

【突如、頭を垂れたマアスーメを見下ろす。
そして、彼女の懇願を聞いて、そんな言葉を漏らすが言葉とは裏腹に動じてはいない。】

「私に出来ることは聖職者として振舞うことのみだ。

故に主人という立場で君に対して、命令をすることはないであろう。
君は、そうだとしても私を主人として認知し、従うというのかね?」

【……あくまでも彼は聖職者。
色々と道が外れていることもあるが、基本は聖職者である。それも極めて優秀な。

故に主人を求めているマアスーメに対して、主人として振舞うことはほぼない、と。】

1446とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:33:42 ID:b1HUUKR.
>>1445

「……では、どういう形態ならばあなたに付き従うことができるでしょう?」

命令することは無いというのは、少し困ることである。
それはつまり、動けなくなるという意味になるからだ。
彼女にはどうしても、自分に命令を下してもらう必要があった。

「私は、手足なのです。頭の無い間抜けな」

「私を使い、導く人が、必要なんです」

あなたなら、それが出来るだろうと、彼女は見上げる。

1447とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:45:27 ID:ksz6vOjU

「…………なるほど。それならば、仕方があるまい。

私はちょっとした寺院を持っていてな。そこで身寄りのない者などを引き取っている。

もちろん、去るものを追わないが来るものも拒まない。
そして、残るというのであれば、寺院に関する仕事を任せていることもある。」

【つまりは、そういう神仏に救いを求める者として寺院に入って来いということである。
彼女を見下ろす聖職者は重圧に満ちており、その目は暗い。】

1448とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:49:32 ID:b1HUUKR.
>>1447

(宗教施設――)

運がいい。彼女は内心そう思う。
とりあえず、満足の行く働き口が出来そうだ。ただ、入信する必要があるのは気をつけなければならないが。
学生の真似事なんかをしていたが、それは彼女の心を満たすものではなかった。

「尼僧になれと」

「――いえ。そうすればあなたに仕えることができるというのであれば、喜んで」

そしてその条件を受け入れた。

1449とある世界の冒険者:2014/03/01(土) 23:54:30 ID:ksz6vOjU

「そうとは言わん。いわゆる、哀れな子羊ということだ。
生憎とこちらは真っ当ではないのでね。仮に尼僧を志願されても教育は出来ん。」

【そこまで大層なことは、元から求めていないとでも言うように。
そして、宗教は宗教でも中々に厄介そうなもののようだ。】

「……そうか。ならば仕方があるまい。
これも聖職者の性という奴だ。助けを請うものを無碍には出来ん。」

【この身なりや言動からよくこのような事が言えるものである。
結局は彼女を受け入れた。】

1450とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:05:15 ID:dqp21UH2
>>1449

「……は。私を受け入れたことを感謝いたします」

どういうことなのかいまいち飲み込めていないが、しばらくすれば自分の置かれた状況もわかるだろうと判断する。
一信者では何をしろと言われるのかよくわからないが、地味な仕事から大掛かりな陰謀まで何でもするのが彼女の在り方である。

「私の名はマアスーメ・エルハーム・レイラー。どうか、お手元においてくださいますよう」

彼女は膝をつき、頭を垂れたまま恭しく、名を名乗る。

1451とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:12:42 ID:jP5j7SuY

「……私はザー=サルデフェクトという。
何、受け入れたからには、その責任は果たす。安心するが良い。」

【まるで、神託を告げるような重々しい口調で言う。
数少ない聖職者らしい一面である。】

「さて。これからどうする?
我が寺院に来るとしても、君も準備の一つや二つはあるのではないかな?」

【よもや、住居のない状態ではあるまい、と。
どちらにせよ、この男の持つ寺院というものの位置を把握しなければ話にならないのだが。】

1452とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:18:20 ID:dqp21UH2
>>1451

「追って身辺整理をしましょう。とりあえずは、その寺院を知りたく思います」

確かに、処分しなければならないものはある。
私物は少ないとはいえ、真似事といえど学生をやっていたのだ。
多少、捨てるものは出てくる。

1453とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:24:28 ID:jP5j7SuY

「そうか。ならば、案内しよう。付いて来るが良い。」

【と、言ったが何かを思い出したように視線を別の方向へ。
見るとそこには先ほどの魔物が白い杭状の魔力塊によって地面に縫い付けられていた。

それを見ると、彼は手を何やら小さく動かした。
すると、その縫い付けられた魔物の内部が一瞬、光ったかと思うと体が真っ白に。

そして、ゆっくりとであるがそのまま風に削られて砂の如く、周囲に飛散した。浄化である。】


「……ふむ、待たせたな。それでは改めて行くとしよう。」

【何事も無かったかのように歩みを進め、自分の寺院のあるほうへと向かい始める。】

1454とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:33:10 ID:dqp21UH2
>>1453

「はい」

小さく返事をして、サルデフェクトの後ろにつく。
表情には出さないが、ようやく上司にあたる人物を手に入れてご満悦である。
これから権謀術数に携わることができるのかと思うと念願かなったりと快哉を叫びたくなるほどであった。

「……」

勿論、彼女は勤めて無表情を維持している。
このぐらいは得意なものであった。

1455とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:41:20 ID:jP5j7SuY

「…………。」

【同じくこちらも無言である。思わぬ拾いもの、と言った所であろうか。
とはいえ、マアスーメほど感慨深いものではないようで、淡々としている。】


………
…………
……………


【草原を歩いて、暫くするとその寺院らしきものが見えてくる。
寺院というよりも、そこへと続くいわゆる〝門〟である。

そこそこに規模の大きい建物のようであるが、建物自体の高さは無い様だ。
そのため、その門とそれに続く壁に阻まれ、内部がどのようになっているかは分からない。】

1456とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:46:06 ID:dqp21UH2
>>1455

「こちらが……拠点、ですね」

中々大きな建物を持っている。
大きな建物があるということは、大きな人員を抱えているということだ。
そこに自分が飛び込むわけで、サルデフェクトに近づこうと思う人間は自分以外にもいるに違いない。
自分は権謀術数の道具になるのは好きだが、仕掛けるのは得意ではない。
……なので、とりあえずは真面目に仕事を取り組む他ない。彼女は内心で結論づける。

1457とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:51:53 ID:jP5j7SuY

「大げさに言えば、そうなるな。
心配はないだろうが、この時刻は就寝時間を過ぎているので、騒がないように。」

【やはり、多くを纏めているためかそれなりの時間に関する決まりがあるようだ。

そういいながら、木で作られた門に手をかけて開ける。
門の形的にはネオベイを想像させられるものである。】

1458とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 00:54:22 ID:dqp21UH2
>>1457

「は。よければ、スケジュールを後々与えてくださると助かります」

時間の決まり。組織に属す以上大事なものだ。
規則があるのはいいことだ。

「……(結局、これはカルト?)」

正体はまだ掴みかねてるが、新興宗教の線が強いだろうと踏んでいた。

1459とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:02:00 ID:jP5j7SuY

「もちろん。後で諸々を説明しておこう。」

【そういって、中へと招きいれ、門を閉じた。
すぐに建物というわけではなく、ここは庭の様になっている。

そして、この庭の時点からここが相当に奇妙な場所であることが分かる。
一部はネオベイ風の庭に仕上げているのに対し、一部はジグザール風であるからだ。
また、他にも様々な様式を取り込んでいるのか、何とも珍妙な庭となっている。

そして、それはここに立つ建物も同じらしく、外観からして異質だ。
例えば、ネオベイ地方に代表されるいわゆるお寺や神社のような風情の建物があるのに対し
あるところを境目として、今度はジグザールにもあるような教会の様な作りになっている。

また、有名どころだけではなく、様々な宗教の色がここには交じり合っている。
見る人によっては悪趣味な闇鍋状態だ。】

1460とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:05:02 ID:dqp21UH2
>>1459

「……壮観ですね」

何というか、怪しいところにきてしまった。
そしてそんな怪しい場所の一員になってしまった。
妙な快感が彼女の背中を撫でるように走る。

「……」

さてはて。どこまで続いているのやら。

1461とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:11:54 ID:jP5j7SuY

「……おや。てっきり嫌悪を抱かれると思ったが見当ハズレのようだ。」

【このような様々な宗教が入り混じった場所である。
まともな信者からすれば、冒涜以外の何者でもない。

それゆえに、嫌悪感を抱かれることが多いようで、そういう反応を予想していたようだ。】

「あぁ、疑問があるのならば遠慮なく尋ねても構わないのだぞ?
私が答えられることであれば、答えよう。」

【と、言いながら歩き始める。何を言うわけでもないが、付いて来いとのことだろう】

1462とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:16:54 ID:dqp21UH2
>>1461

「では、ここは一体何の宗教なのでしょう?」

宗教施設というのは見た目だけの別組織。
そうでなければカルト教団。そんな風に判断していた。
ちょうどいいので、後をついていきながら質問してみる。

1463とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:27:09 ID:jP5j7SuY

「ふ。……何、ということはない。ここは宗教なのだ。
私の家系は、そのような聖職を担うということにしては特殊でな。

〝信仰より救済〟を求めた家系であった。
そのため、多くの宗教の救済を取り入れ、ありとあらゆる洗礼を受けたのだよ。
だから、ここも例外ではなく邪教問わず、様々な宗派を混在させている。」

【単なるカルトというわけでもなさそうである。
まして、家系としてそういうスタンスだったのだから、カルトとは若干、方向性が違う。

そうこうしている内に目的の場所へとたどり着いたようだ。
ここはどちらかといえば、教会風のつくりのほうへと属している。

そこは部屋であり、中に入ると礼拝堂のようなスペースになっている。】

1464とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:31:35 ID:dqp21UH2
>>1463

「救済……」

言葉の響きはいい。
人を救うための存在である宗教は、混ぜてしまえという乱暴な発想も中々面白い。
彼女は無意識に、救済という単語を反駁していた。

「……」

救済の名の下に、どんなたくらみ事があるのか。
そしてそれはどれぐらい自分は貢献できるのか。

「なれば、私もその救済に、微力を尽くしましょう」

――本当に、いい人を見つけたかもしれない。

//限界なのでキリは悪いですが……ちょいとこのあたりで

1465とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 01:42:09 ID:jP5j7SuY

「……そうか。だが、今の話は私の家系の話だ。
つまり、私の目的は別に救済を施すことではないのだよ。」

【嘗ての自分もそうだったようだが、それは過去の話のようだ。
現在の彼の目的は、これとは違うところにあるらしい。

果たして、彼はどんな目的を持っているというのであろうか。
ちなみにこの後は、先ほどの時間を始めとした寺院のことについての説明だったとか、FO】

//了解です。長々とお付き合い下さって、ありがとうございました!

1466とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:18:51 ID:dqp21UH2
――とある宗教施設

突然現れた、サルデフェクトに仕えたいという奇妙な少女は、本当に身の回りのものを引き払い、鞄一つでやってきた。
思い切りがいいのか、そもそも物をもたない主義だったのか。
恐らくは、その両方だろう。

「……」

さて。
やってきたはいいが、どこに行けば彼に会えたものやら。

1467とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:27:45 ID:jP5j7SuY

【やってきたマアスーメの元に人影が近づいて来た。
しかし、その影は小柄なものであり、彼ではないことがすぐに分かる。

そして、やがてその姿が露になるが、それは女性である。
それも修道服を身に纏っている。いわゆるシスターなのだろうか。】

「ようこそ。貴方が神父様の言っていた新しい人ですね?」

【深く一礼をして、挨拶をする。
首には金色の十字架のネックレスがあり、どことなく力を持つアイテムであることが分かる。】

1468とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:32:56 ID:dqp21UH2
>>1467

(……彼といい、この人物といい、服装はこっち風のを採用しているらしい)

出会う人出会う人皆して違う宗教者な格好だったらかなり混沌していただろう。
統一されているようなのは、恐らく制服の意味もあるのだろうか。

「はい。マアスーメと申します」

こちらも一礼。
新参者は先輩に敬意を表さねばならない。場合によっては後に排除するべき相手になるかもしれないが。

1469とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:39:32 ID:jP5j7SuY

「これはこれは、ご丁寧に。私はトレアと申します。
神父様がおっしゃるには、貴方は特別な人のようですね。

何でも、ここに来たいから、来た……とか。
私や他の人みたいに神父様に拾っていただいた、という訳ではないとお話に聞いてます。」

【多少、話が捻じ曲がって伝わっているようだ。
要するにはトレアにはマアスーメがここで働きたいから来た、みたいな認識で伝わっている。

まぁ、サルデフェクトに仕えたいから来た、とそのまま言うつもりにもいかないだろうし
あえて、彼が捻じ曲げて伝えたのかもしれない。】

「でも、とても尊いお心だと思いますよ。
自ら志願して、こうして寺院で働くなんて、とてもご立派です。」

【にこり、と心から喜んでいるような笑顔を浮かべる。】

1470とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:42:38 ID:dqp21UH2
>>1469

「……」

一瞬、対応を考える。
ここで真実を言って不和を起こしても仕方ないし、恐らく彼の考えのものだ。
ただ、ここでそうですと認めてしまうというのは言質を与えることになる。
……なので、あいまいに笑みを浮かべて答えないことにする。

「尊いなんて、とんでもない。私は(彼の)力になりたくて参ったのです」

「何でもいたしましょう。私にできることならば」

嘘はついていない。
全てを言わないだけだ。

1471とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:50:31 ID:jP5j7SuY

「……まぁ。何とご立派なのでしょう。
きっと、神様も貴方のその行動を見守って下さるはずです。」

【驚き、感心したかのように眼を見開いて、すぐさま笑顔に戻る。

そして、自身の胸元に下がる十字架を両手で包み込むようにして握り
軽く目を閉じて、祈るような動作を。】

「それでは、参りましょう。神父様のところまで、お連れします。
足元に気をつけてくださいね。」

【どうやら、彼女が案内してくれるらしい。】

1472とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 21:54:29 ID:dqp21UH2
>>1471

「……」

どういうわけか、トレアと名乗った人物は心の底から宗教者らしい。
彼女の認識では、宗教の皮を被った過激派集団で、属する人間も荒っぽい人間なのではないかとあたりをつけていたのだが、外れた。
となれば、企てごとをしているのは、やっぱり彼と、数名の側近のみ。
そして彼女のような人間は、違法性の無い宗教団体だという隠れ蓑にするためか。
……という風に推測していく。

(……そういうことなら、何としてでもその悪巧みグループに入らねば)

誤解なのか真実なのかは、わからないが。
とりあえず彼女の後をついていく。中身は本当にただの真っ白な宗教屋さんなんじゃないかと思ってきたぞ。

1473とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:04:48 ID:jP5j7SuY

「恐らく、今の時間なら神父様は礼拝堂に――――あっ。」

【と言いながら教会風の建物内の長い廊下を歩いていたが
その奥から、ザー=サルデフェクトが姿を現した。

この間と同じ、黒い法衣を身に纏い肩章の様なものをかけている。
また、放たれる重苦しい雰囲気や、澱み暗い光を放つ目も変わらない。】


「……そろそろかと思っていたが、まさかもう来ていたとはな。」

【自分が考えていた時間より、早かったらしい。
一応、迎えに出向くつもりであったようだが、当てが外れた。】

1474とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:11:01 ID:dqp21UH2
>>1473

「マアスーメ、ただ今参りました。」

ぞくぞくする、という表現は奇妙だろうか。
彼女は、どういうわけか彼と相対すると、背中から首にかけて暗い喜びが走る。
仕えるに値する人物だから、なのだろう。それまでは、無かった感覚だ。
自分はマゾヒズムなのかもしれないと、思ってしまう。そしてそれは真実なのだろうとも。

「私は、人付き合いが悪いので」

身辺整理は、楽なものでした、と頭を下げる。

1475とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:18:44 ID:jP5j7SuY

「私の役目はもう終わったようですね。それでは。
…………マアスーメさんに光があらんことを。」

【一方でトレアは二、三歩ほど下がると十字架を手にして祈り始める。】

「それでは神父様、失礼いたします。」

【そして、ザーへと頭を深々と下げると踵を返して去っていった。】


「……結構なことだ。良かろう、今からここが君の家となる。
とりあえずは、君の部屋へと案内するとしよう。

……あぁ、一度休憩したいというのならば、構わないがね。」

【去っていくトレアに特にリアクションは起こさず、そのままマアスーメへと問いかける。】

1476とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:25:51 ID:dqp21UH2
>>1475

「光栄です。いえ、案内を受けましょう」

とりあえずは、寝床を見ねばならない。
改善が必要ならば考えておく必要も有る。
寝床、それはなかなか馬鹿にできない問題だからである。やっぱり熟睡できるモノでないと。

1477とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:34:36 ID:jP5j7SuY

「了解した。」

【というと、先ほど自分が出てきた廊下の先へと歩いていく。
例によって、特に言葉でアレコレ言わず、さっさと進んでいく。

以前の身寄りのない者を引き取っていると言っていたからなのか
妙に部屋数が多く感じる。】

「……トレアはどうだったかな?
彼女は実に良い子であるから、君の事について伝えておいたのだが。」

【先へと進みながら、不意にそんな事を尋ねる。
ふと、窓の外を見てみると、そこには中庭が見える。……この施設、かなり広い。】

1478とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:37:50 ID:dqp21UH2
>>1477

「真っ直ぐな人です。私には眩しく感じました」

自分のように、歪んだ欲求に取りつかれて動いたりはしないのだろう。
彼女に話しかけられて、一寸面食らったのも、そういう理由があった。

「ただ、私とは水は合わないでしょうね。私は上流の川には住めぬ雑魚のようですから」

そう言いながら、中庭を見やる。
ひょっとしたら、あの辺りもトレアという少女がやったのかもしれない。

1479とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:51:20 ID:jP5j7SuY

「くく、真っ当な感想だな。
彼女はこの私から見ても実に眩しく、尊い魅力を持っている。

――――まるで〝天使〟の様な、そんな女性だ。」

【背中しか見えないため、表情は窺えないが、その肩は僅かに笑いに震えている。
まるで、何かに対して楽しんでいるかのように。】

「さて、ここだ。ここが君の部屋となる。
ここにはゲストルームが並んでいるが、その内の一つを君に解放しよう。

君の場合、他の者とは事情が異なる。
そのような者たちとの一緒のスペースではやりづらいであろう?」

【と、部屋を指し示しながら。
言うとおり、隣を見ればいくつか同じようなドアが並んでいる。

しかし、他の部屋に気配はない。……ほとんど使われていないようだ。】

1480とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 22:57:11 ID:dqp21UH2
>>1479

「ご厚意には感謝いたしますが」

なるほど、不自由はしなさそうだ。
だけど、特別に扱われるというのは、いきなりでは懸念が残る。

「他の皆さんは、不満に思われませんか」

いきなり不和を作り上げては、のし上がれなくなるかもしれない。

1481とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:03:36 ID:jP5j7SuY

「それはあるまい。ここは実に人の出入りが激しいところでな。

まして、身寄りのない者が多く、その日すら生きれるかどうか怪しいものも多かった。
そんな者たちの寄せ集まりなのだから、そう不満も起きん。」

【不満すら起きないほどにここに来る前の生活が酷いものであったのだろう。
また、言うとおり人の出入りが激しいところであるため、あまり気にはしないのだろう。

仮に不満がよく起きるのならば、この男がこうしてマアスーメを簡単に受け入れるはずがない。】

1482とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:07:40 ID:dqp21UH2
>>1481

「……わかりました。では、少し荷物を置かせてもらってもよろしいですか?」

部屋の中も確認しておきたいし。
とりあえず、自分がこの部屋で寝起きするから問題が起こる、ということはなさそうなので安心する。
最終目標は彼に認めてもらうことだが、手始めに地盤作りとして周りの人間に認められる必要がある。
水は合わないが、トレアに認めてもらうことがとっかかりになるだろうか。

1483とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:14:27 ID:jP5j7SuY

「……構わん。ここで待っておく。」

【そういうとその場に立って、待機の状態に。
部屋に入って見れば、いわゆる客間ということで多少は良いつくりだ。

基本的なものは揃っており、ベッドのほか、クローゼットなども備え付けだ。
使われていなかったようであるが、誰かが掃除に来ているらしく大きく汚れてはいない。】

1484とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:25:00 ID:dqp21UH2
>>1483

(私の借部屋よりむしろ環境がいい。喜ぶべきかしら)

だらだら過ごしていた頃の自分よりいい住まいであった。
何も不満はない。鞄をベッドの上に放り投げて、手早くサルデフェクトのところに戻る。

「お待たせしました」

「とても、良い部屋だと思います。ご厚意に重ねて感謝を」

そして、深く礼。

1485とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:30:40 ID:jP5j7SuY

「何、偶々、部屋が余っていただけだ。
綺麗にするばかりでも使うものがいなければ、意味も無かろう。」

【振り返りながら、実に淡々と。
感謝に対して、喜んでいる様子もはたまたその逆も何もない。】

「君の部屋をここにしたのは、もう一つ理由がある。
このゲストルームのスペースから、私の部屋は近くてな。

君が私に仕えるということで、ここに来たのなら、都合がよかろう?」

【近いということは、逆に言えばザーから彼女の居る部屋が近いということである。
つまりは〝何かあったときに素早く対処〟が出来る。】

1486とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:36:16 ID:dqp21UH2
>>1485

「……重ね重ね、感謝いたします」

これが認められていることなのか、まだわからない。
ミスリードさせるためのものなのかもしれない。いい気にさせて、何かで使い潰すための。
……わかっていても、嬉しいものは嬉しい。

(なるほど……)

自分は、承認欲求が非常に大きい人間だ。
彼女は、それを今自覚した。

「これから先、つまらぬ雑事でも、どうか何なりとお申し付けください」

で、あれば。
尽くすのは、今のところ、何の苦でもなかった。

1487とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:45:13 ID:jP5j7SuY

「何とも。働き者が増えたことだ。」

【変わらないその妙な忠誠心にやれやれ、と肩を竦めつつ。】

「ちなみにその部屋には浴室は付いていない。
実に面倒ではあるが、この部屋を出て廊下をこちら側に行けば共同の浴室がある。
そして、生憎だが男女の区別はない。いわゆる混浴になる。

だが、この共同浴室は客人用だから、寺院が引き取った者は入ってこない。安心したまえ。」

【と、自分達が先のほうの廊下を指しながら説明する。
少々、不便ではあるが元々、複数人で利用することが前提で建てられているため仕方がない。】

1488とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:50:37 ID:dqp21UH2
>>1487

「……は」

そもそも混浴には特に抵抗はなかったが、まぁそういうことなら別に拒む理由はない。
ただ、そうなると自分ひとりのために湯を張って、浴槽を洗うのだろうか?
……ちょっと経済的でないように感じる。

「その共同浴室は、私以外にも利用する者は、いるのでしょうか」

例えば目の前の人物とか。

1489とある世界の冒険者:2014/03/02(日) 23:57:28 ID:jP5j7SuY
「客人が来るならば、その客が使っているな。あとは私やトレアが使うくらいだ。
あぁ、君が気にするというのならば、利用の時間帯を定めるがどうかね?」

【わざわざ尋ねるということで、混浴であることを気にしていると思ったようだ。
だが、使う人数が極めて少ないため、タイムテーブルも定めやすい、と。

経済的ではないことに代わりはないのだが。】

1490とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:00:31 ID:cuSVCrns
>>1489

「いえ。少数のために湯を張るのは、非経済的だと思ったので」

全員一緒にしたほうがリーズナブルな気もするが。
しかし、サルデフェクトとトレアが以前からそこを使っているということなので、何か理由があるのだろう。

「……いえ。失礼。何でもありませんし、私は混浴に不都合は感じません」

「お望みとあらば、お体を洗う役目も、承りますが」

平然と、眉一つ動かさずそんな事を言う。

1491とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:04:02 ID:cuSVCrns
>>1489

「いえ。少数のために湯を張るのは、非経済的だと思ったので」

全員一緒にしたほうがリーズナブルな気もするが。
しかし、サルデフェクトとトレアが以前からそこを使っているということなので、何か理由があるのだろう。

「……いえ。失礼。何でもありませんし、私は混浴に不都合は感じません」

「お望みとあらば、お体を洗う役目も、承りますが」

平然と、眉一つ動かさずそんな事を言う。

1492とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:04:33 ID:cuSVCrns
ぎゃあ二重投稿

1493とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:07:40 ID:9iZ2C59o
「……おや、そうか。
それにしても、揃いも揃って同じことを言うのだな。

子供でもあるまいし、そのようなことを私にする必要はなかろう。
どうせ、体を洗うというのならば、あちらの浴場で子供の体でも洗ってやるといい。」

【どうやら、トレアも同じようなことを言って、彼の体を洗おうとしたようだ。
尤も、彼の言い方から推測して、それは適わなかった様だが。】

1494とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:19:46 ID:cuSVCrns
>>1493

「は。……命令と、あれば」

何か違うが命令ならばそれでも構わない。
子供を相手にするというのは、ちょっと骨が折れるが。

(……夜伽も、命令ならばやりましょうと言っても鼻にもかけてくれないでしょうね)

これまでの反応から、そのあたりの命令はないだろうと踏む。
もし万が一あっても取り乱すつもりはないが。

1495とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:29:51 ID:9iZ2C59o
「まぁ、こういう命令をすることはまず無いであろう。
あの手の者達は警戒心が強く、極端に攻撃的であったり防御的であったりする。

おそらくは私でなければ、意味が無い。」

【つまりはマアスーメでは無理だという話である。
とはいえ、腕をどうこうという訳ではなく、単純に向こうの反応なのだろう。】

「とはいえ、何も命令がないと言うのは契約違反だ。
幸い、一つばかりちょうど良い命令があったため、それを命じておくとしよう。」

【これでは命令することが無い、と思いきや用意はしていたらしい。
果たして、どんな命令であろうか。】

1496とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:34:06 ID:cuSVCrns
>>1495

「……性的虐待の被害者ですか?」

聞き及んで知っている範疇で予測してみる。

「そうでなくば、育児放棄でしょうかね」

尤も、自分にまわされる仕事になりそうにないということなら、知ったからなんだという話しだが。
それから、命令があると聞くと、即座に姿勢を正す。

「は。何でも拝領いたしましょう」

1497とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:40:56 ID:9iZ2C59o
「……事情は様々だ。私も把握はし切れない。
それを私が会話し、相手が同意することによって、彼らはここに居る。

恐らくは私にしか心を開いていない。」

【実はこの寺院に居るものの特長として一つあるのが
この男が無理矢理連れてきたという人物は一人も居ないということである。

マアスーメがそれを知るのはもう少し後になるかもしれないが。】

「私は定期的に夜に外を出歩いている。それのお供を頼むとしよう。
これでも、退魔を主にしていた時期もあってな……そういうものが存在すれば排除している。

無論、そう居るものでもないため、ただの散歩に終わることも多いがね。」

【マアスーメと出会ったときが正にそういう状態だったのだろう。
あの時、確かにこの聖職者は魔物と退治しており、それを撃退・浄化している。】

1498とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:46:17 ID:cuSVCrns
>>1497

「なるほど……」

人心掌握術に長けた人物か。彼女はそう彼を分析する。
だからこそ、自分もふらふらとやってきてしまったと考えることもできる。
とりあえず、仕えるに値する人でいつづけてくれるなら、何だって別に不満はない。
清純潔白な聖人でも、極悪非道な大悪党でも、自分を認め、使ってくれるなら何でって良かった。

「は。喜んで承ります」

いきなり付き人になれた。
これは即ち、戦力の一つということであり、護衛ということであり、最悪囮に、殿に、捨て駒ということである。
彼女にとっては、なかなかゾクゾクする立場であった。

1499とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:52:49 ID:9iZ2C59o

「君の働きには期待しよう。
と、言いたいがもう一度だけ、確認をしておこう。


――――――未練は無いかね?」


【迎え入れたときと同じ、神託を告げるような口調。
元々、重々しい口調が更に、重くのしかかるようになる。

これが何を意味するのかは分からない。
予想したように囮や捨て駒にされるのかもしれないし、あるいはもう逃げられないという意味かもしれ無い。】

1500とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 00:55:27 ID:cuSVCrns
>>1499

「――未練、ですか?」

何のことやら。
学生としての身分? いいや、あれは仮初のものだった。執着が残るような暮らし方は、していない。
他に、自分にどんな立場があっただろう。神童計画の風神としての自分? 元組織は瓦解し、仲間もどこかへ消えたのに。未練も何も無い。

「いえ。あるのは、私を導く主に仕えられるのだという、喜びと、期待のみです」

どう考えても未練になりそうなものが思いつかないので、そう答えた。

1501とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 01:02:11 ID:9iZ2C59o

「……よろしい。」

【軽く目を閉じて、口元を僅かに笑いに歪ませた。
まるで予想通りの答えが得られて、満足したように。

……もしかすれば、試されたのかもしれない。】

「改めて君を迎え入れよう。マアスーメ・エルハーム・レイラー。」

【彼の発言や口調は一々、聖職者である。
ここに居る人々が彼によって説得させられ、意思が芽生えたというのも頷けるかもしれない。】

1502とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 01:09:46 ID:cuSVCrns
>>1501

「……は。光栄です」

まただ。
彼に認められたと思うたびに、暗い快楽が背に走る。
それを悟られぬように、極めて平然とした様子で答える。

「この身、あなたのために奉仕し、必ずご期待に応えましょう」

それから、そう述べるのであった。

//では限界なので、これにて。

1503とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 01:20:31 ID:9iZ2C59o

「とはいえ、今夜は時間はもう遅い。就寝時間も既に過ぎてしまっている。
今日のところは、体を休めておくが良い。

何かあれば、私の私室に来るといい。
扉に札が掛かってなければ、遠慮なく入りたまえ。」

【命令を下したものの、今日は遅いからか出かけるつもりは無いらしい。
そのため、早速であるが、今日はお休みだ。

そして、軽い連絡を終えると自らも私室のほうへと去っていったとか、FO】

//了解、ありがとうございました!

1504とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 21:22:38 ID:9iZ2C59o
<王都近くの草原>

「…………。」

【草原を歩くは黒の法衣を纏い、ストラを付けた長身の男性である。
手を後ろ手に組むような姿勢で歩く姿は聖職者とは思えぬほどの威圧感を放っている。

ところで、この男性はいつもは一人で出歩くことが多かった。
しかし、今回は……というより今回からは少々、毛色が違う。なぜならば――――。】

1505とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 21:40:47 ID:cuSVCrns
>>1504

――二人に増えたからである。
法衣を身に着けた男の三歩後ろを、祈るような姿勢でついていく修道女が一人追加されたのだ。
楚々とした修道服に、髪が出ぬように几帳面な頭巾を被っている。
最近入門したばかりの、新しい信徒である……というのが建前。

(……腰巾着冥利に尽きるポジション)

実際のところ、突然懐いた犬であった。
彼女の特殊な出生がそうさせたのか、環境がそうさせたのか、生まれ持った歪か。

1506とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 21:51:30 ID:9iZ2C59o

「……シスター。別にそこまで装わなくても良いのだぞ、ラクにしたまえ。」

【当の本人が一番、聖職らしくない雰囲気を持って歩いているからである。
とはいえ、その対比が彼女が修道女であるという説得力を逆に持たせるのかもしれないが。】

「装わなくとも、大抵のものならば欺けるであろう。」

【黙って歩いているだけで、大抵は騙せると。
見た目による補正という物は実に大きいのである。

よもや、彼に仕えているいわゆる部下と見抜けるものはそう居ないだろう。】

1507とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 21:56:59 ID:cuSVCrns
>>1506

「は。無難な姿勢を心がけたつもりでしたが」

とりあえず、顔を上げる。
胸元で組んでいた掌も解いた。
着慣れぬ装いではあるが、集団に属していることを示すのにはこの上ない目印となるのが制服だ。
これ以外だと、高校の頃に着ていのが最後か。
あの頃に一度、他の神童計画の人間とも出会ったが、今頃どうしていているだろうか。
……どうしていても、今となっては無関係なことだが。

「……今晩は、何か出そうですか」

ぐるりを見渡すが、彼女には特に異常は見つけられない様子だ。

1508とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:06:55 ID:9iZ2C59o

「……心がけは殊勝だな。
だが、露骨過ぎてもそれはそれで疑わしいものだ。分かるであろう?」

【くるりとそちらに振り返って。

シスターだからと言って、それを意識しすぎて振舞うのもよくないと。
ステレオタイプ的なイメージは強力ではあるものの、型に嵌り過ぎても怪しい。

その辺りのさじ加減は実に困難と言えるものだ。】


「さて。あのような魔物など、そう出るものではないのでな。
……君の期待する護衛が出来る可能性は低い。

まぁ、私としては何も出ない方が喜ばしいのだがね。」

【再び、前を向いて進み始める。
くつくつ、と喉の奥の方で低く笑って。】

1509とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:12:53 ID:cuSVCrns
>>1508

「は。気をつけます」

素直に頷く。
もとより、彼女に対して何を言っても、彼女は言われた通りにするだろうが。

「……いえ、御身に仇なす存在は、いなければいないに越したことはありません」

「私は、御身の傍にいられるだけで、非常に光栄に思っています」

おべっかでもなんでもなく、彼女の場合本心であった。

1510とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:19:59 ID:9iZ2C59o

「いやはや、本当に殊勝な娘だ。
私も実質的に部下を持ったこともあるが、ここまでの者は初めてだ。」

【彼の話の中に聖職は聖職でも荒事……すなわち〝魔を狩る〟ことに従事していた時期のものがあった。
おそらく、部下を持ったというのはそのときの事であろう。

いつぞやの魔物との戦闘を見る限り、この聖職者の戦闘能力は高い。】

「君の様なものが当時、私の下にいれば、さぞ苦心せずに済んだであろうに。」

1511とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:24:30 ID:cuSVCrns
>>1510

「……はい。私も、御身のような方に、早く出会いたかったものです」

ぞくり。
欲しいタイミングで、欲しいものを、的確に与えてくる。
彼女は自分の心が読まれているような感覚に、一抹の恐怖を感じた。

だが――。
その恐怖に勝る、どうしようもない快楽が身体を突き抜けるのは抗いがたい事実であった。

「そうすれば、死んだように過ごす日々を迎えずに済んだかと」

仮初の、どうしようもない毎日。
芯がもてないまま、ふらふらとゾンビのように過ごしていた日は、最早遠い日のことに感じる。

1512とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:34:38 ID:9iZ2C59o

「本当に――――――ほう。」

【何か言いかけたが、不意に足が止まったかと思うと、
その瞬間には手が白く輝き、そこに杭の様な魔力塊が生成されていた。

見れば、ザーの少し先で獣というには異質な……だが、四足歩行の生き物がこちらに向けて駆けて来る。
よく見れば、先日、彼が打倒していた物と同タイプの魔物のようだ。

以前と違うのは数が少々、多いこと。
自然界では仲間意識が非常に強く、仲間がやられたことを根に持つ獣もいるらしい。
この魔物もそういう手合いなのだろうか。】

1513とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:40:43 ID:cuSVCrns
>>1512

「迎え撃ちましょう」

彼女は懐から、蛇が巻きついたデザインの手鏡を取り出す。
それが発光したかと思うと、二人の屈強な褐色の男たちが現れた。それぞれ金と銀の仮面を被り、細く長い槍を手にしている。

「ガド、ゲド。御身に勝利を」

号令を受けた男たちはあっという間に駆け出し、向かってくる魔物に対し槍を突き出しながら突進する。
この素早く、鋭い一撃が彼らの戦法だ。左右に分かれて飛び出し、弧を描くようにして接近、挟撃を取る連携技である。

1514とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:51:30 ID:9iZ2C59o

「どうやら、君が来た祝砲を上げて貰えるようだ。
……ほう、召喚か。よろしい。ならば、その力を見せてもらうとしよう。

――――命ずる。打倒しろ。」

【手に宿した魔力塊を解きながら、命令を下す。
初の戦闘ということで、その力を観察するようだ。

加えて、彼の力は〝魔〟に対して効果を発揮するものも多いため
召喚術とは少々、相性の悪い部分もあるためであろう。】


【魔物の集団は不意を突かれたか、一部が早速、その一撃に甘んじてしまう。
だが、それを見るなり足を止め、ガドとゲドそれぞれに飛びかかろうと。

爪や牙には魔力が流れているらしく妖しく輝いている。霊体だとしても対応できるようだ。】

1515とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 22:58:23 ID:cuSVCrns
>>1514

「必ずや」

男たちの戦い方は、未開の蛮族そのままだ。
爪や牙を受けてもなおその存在を維持し、無表情の仮面からは狂気さえ滲む。
魔物を串刺しにしたため、多数に対応できなくなっても構うことなく、槍をその場に捨て、その肉体で戦う。

「――」

また、彼女も強力な術者である。
ガドとゲドが魔物を足止めしているところに、風の魔術による刃で切り裂くのだ。
薄緑の風による刃が、交戦中の魔物を襲う。

1516とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:07:40 ID:9iZ2C59o

【マアスーメの風によって、へしゃげた様な声をあげながら魔物が切り刻まれ、飛ばされる。
ガドやゲドに食らいついていた魔物もたまらず、口を離しゴロゴロと転がっていく。

風という広範囲にわたる攻撃の所為か、あっという間に数が減っていく。
残り数匹となったところで、魔物も風の強力さを認識したのか、二手に分かれる。

そして、威嚇するようにグルグルと喉を鳴らすと口を開け、そこから魔弾を打ち出した。
中々に戦闘手段は豊富な魔物のようであるが、もう、手遅れであろう。】

「いやはや、私は運がよかったのかもしれん。」

【そんな、ほとんど蹂躙ともいえる光景を目の当たりにして、くつくつと笑う。】

1517とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:11:55 ID:cuSVCrns
>>1516

「――終了」

飛び出した魔弾の軌道に、突風をぶつけることで逸らす。
防いで完全に魔弾の存在を殺すより、見当違いの方向に逸らすほうがコストパフォーマンスがよろしい。
そして、打ち出すために足の止まったそれぞれの魔物には、程なくしてガド、ゲドの拳が振るわれるという寸法だ。

「第二波がなければ、安全かと」

一応、油断無く見回してみる。

1518とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:19:02 ID:9iZ2C59o

「……ご苦労。その2人を消しておけ。」

【そう告げると、自ら前に出る。
手には既に魔力塊を持っているが、何やら三角錐状のものである。

そして、それを上空へと放り投げた。
すると、上空でその三角錐が散り、細かい結晶となって魔物たちに降り注ぐ。

その魔力塊に編まれているのは魔を祓う力。聖職に許された神秘である。
突き刺さることで、たちまち浄化され、消えていく。

程なくして、この場がただの草原へと戻った。
つい先ほど、魔物の集団と交戦していたとは思えない。】

1519とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:22:36 ID:cuSVCrns
>>1518

「は……」

男たち二人は魔力を切られ、その場で霧散する。
その直後に魔物たちが浄化され、跡形も無く消え去った。

(徹底した証拠隠滅を兼ねている……?)

そういえば、出会ったときも同じことをしていた。

1520とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:32:35 ID:9iZ2C59o

「……こんなものか。」

【周囲を確認し、魔の雰囲気を感じ取ろうと周囲に意識を向ける。
集団であったためか、念を入れ、マアスーメの背後のほうにも自ら歩いて確認を。

が、それはもう無いようだ。懸念されていた第二波も。】

「改めて、ご苦労であったな、マアスーメ。」

【と、マアスーメの方へと歩みながら改めて労いの言葉をかける。

傍まで近づいて頭をなでたり、肩に手を置いたりするかと思いきや、そんなことはなかった。
近づく距離も歩いていたときと同じ一定の距離まで近づくと足を止めた。】

1521とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:36:56 ID:cuSVCrns
>>1520

「は。ありがとうございます」

恭しく頭を垂れる。
触られたのなら、どうにかなりそうだと彼女は内心思っていた。
心の準備でもしておかないと、倒れかねない。
そのため、今回のは彼女にしてみれば、理想的に推移したといえる。

「力になれて、光栄です」

1522とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:43:57 ID:9iZ2C59o
「あの魔物たちには感謝の一つでもくれてやらねばなるまいな。
これで、君の力を見定めることが出来たのだから。」

【実際、護衛という物は実力が認められているからこそ成り立つものである。
そのため、彼からすればマアスーメの実力を見たかったのは当然だろう。

尤も、ごく僅かだが対峙もしたため、分かっていたつもりではあった。
しかし、まさか召喚まで使うとは考えても居なかったのだろう。護衛として嬉しい誤算だ。】

「また、君も分かったであろう。私が対峙する魔物とはあの程度のものだ。
アレより高位な物は滅多に現れない。」

【とはいえ、彼は今までずっとこれを危なげなく一人で処理をしていたのであろう。】

1523とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:48:52 ID:cuSVCrns
>>1522

「……お戯れを。この身は足りぬ若輩者に過ぎません」

言ってしまってはなんだが、彼女の魔法の数々には派手さがない。
派手ならばいいというものでもないが、すなわち必殺の大技がないということだ。
今のような相手ならば、あの程度でも瞬殺は十分可能だが――。

「巨人殺し(ジャイアント・キリング)には、到底届きません」

「ですが、あの程度ならば一蹴しましょう。……しかし、例外は何事にもついて回ります」

「万一の際には、この身、死力を尽くしてでも勝利をもたらしましょう」

先ほどのレベルにとどまらない、何か大きな存在。
例えば竜種なんかが出ても、何をしてでも勝つと、彼女は誓う。

1524とある世界の冒険者:2014/03/03(月) 23:58:28 ID:9iZ2C59o

「なるほど。だが、安心するが良い。
幸いにも私にも微力ながら戦闘を行える力は持ち合わせている。

何も〝主人〟が戦闘に参加してはならない道理はあるまい?」

【あくまでも自身で討伐すると誓うマアスーメに対して、そんなことを。
手に余るならば、こちらでも十分に対応するということだ。

だからこその2人歩きでもあるのだろう。
仮に自分に戦闘する気がないのならば、彼女だけに行かせれば良いからである。

無論、監視の意味もあるし、魔物の様な〝浄化〟が効果的な相手を想定しているからでもあるが。】

1525とある世界の冒険者:2014/03/04(火) 00:06:43 ID:F9R.odPo
>>1524

「それは……勿論。肩を並べて敵を打倒できるのは、光栄の極みです」

(言葉が上手い。私が単純なのもあるけど、それ以上に……)

一緒に戦う。
それはつまり、傍らにいる人物を”信頼”できるということだ。
この信頼、期待というのが、彼女にとっては殆ど媚薬のような効果がある。もうそれを見抜いているのだと、彼女は直感した。

1526とある世界の冒険者:2014/03/04(火) 00:16:08 ID:mh/LXyRE

「ならば、そういうことだ。
私が君に期待するように、君も私に対して期待するが良い。」

【信頼という言葉は使わない。期待である。
しかし、単純ながらも甘い言葉が積み重ねられていく。

逆に言うのであれば、彼はマアスーメに利用価値を見出しているということだ。
そうでなければ、わざわざこのように振舞うわけも無い。

徐々にであるが、彼女の実力を測り、それを以て価値を見出す。
とはいえ、彼女を雇った時点である程度の見通しはつけていたのだろうが。】

1527とある世界の冒険者:2014/03/04(火) 00:20:27 ID:F9R.odPo
>>1526

「は。……そうさせて、いただきます」

主に権謀術数を張り巡らせるような企み事を。
巨大な陰謀や野望を実現させようとする主君の懐刀になりたいものだ。
……ちょっとそれには不適当な場所にきたような、気はしないでもないが。

1528とある世界の冒険者:2014/03/04(火) 00:31:33 ID:mh/LXyRE

「それでは、戻るとしようか。
あまり寺院を空けすぎても、良いことは無い。

大半のことはトレアでことが足りるであろうが、完全ではないからな。」

【と、寺院に戻ろうとする。

マアスーメの期待する権謀術数であるが、未だにその影は感じられない。
というよりも、この男自体が、まだ彼女に対して底を見せていないのである。

もちろん、入って間もないと言うのもある。
しかし恐らく度々、名前が出てくるトレアもそういうことは知らないだろう。
何より、彼女は印象どおり、その手のことからは無縁に思える。

では、仮に何か野望があるとして、一体どのようにして手段を講じているのであろうか。】

1529とある世界の冒険者:2014/03/04(火) 00:35:37 ID:F9R.odPo
>>1528

「はい。急ぎ、戻りましょう」

その後を、後ろから三歩置いてついていく。
どうも、すでに彼の掌の上に乗ってしまったような感覚が彼女にはあった。
が、えてして腰ぎんちゃくとか、威を借りる狐なんてのはそういうものだ。
掌の上の、一番いいところを独占するのが、狐の矜持といったところか。

(”底が見えない主君”……どこまで、ポイントを突いてくるのか……)

仕えるにあたって、底が露呈しないのも重要な要因である。
彼は現状、彼女の理想におおむね沿った存在だといえたのだった。

1530とある世界の冒険者:2014/03/04(火) 00:45:33 ID:mh/LXyRE

「……無論だ、シスター。」

【そうして、寺院の方面へと戻っていく。
またも、散歩にしては重苦しい無言の時間が続くことになる。

喋るときはよく喋るのだが、基本的には黙っているのがこの男である。
とはいえ、不用意にアレコレ喋るよりは良いのかもしれないが。
このことも底が見えない一つの要因であろう。

いずれ、マアスーメにも語るときが来るのであろうか。
下手をすれば、来ないかもしれない。全く以て、先が見えない少々、不安な道のりである。

夜闇によってほとんど視界が利かない草原を淡々と二人は歩いていたとか、FO】

//キリが良いので今日はこんな感じですね。お疲れ様でした!

1531とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 21:43:36 ID:aDO39r8c
「…………僕の住んでた村まで……あとちょっと、かな。」
村に行くために小型の馬車に揺られつつ、そう話しかける。
目的は両親への挨拶。それと恋人の紹介だ。
馬車はある程度揺れはするが、言うほど乗り心地も悪くはないので乗っている間も話は進むだろう。

その馬車を動かしているのが青い甲冑………ロマノフの執事でもあるフランツでなければの話であるが。

『………………。』
当の本人は何も言わず、ただ無言で馬を走らせている。
後ろの様子は、見向きもしていないがなんか変なオーラがにじみ出ているのはわかるだろう。

1532とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 21:48:22 ID:zCH15gfs
「アンナの育った村かぁ、楽しみだな〜。」
少女と共に、少女の故郷へと向かう赤髪の魔法使い。
表面上は楽しげだが、実際の所やや緊張気味。
……彼女の両親に挨拶に行くので、それも当然であるが……

……馬車の御者を務める甲冑の人物が発するオーラが肌を突き刺して来る様で、非常におっかないのであった。

1533とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 21:59:31 ID:aDO39r8c
「珍しくも何もない、ただの村だけどね……。」
既に馬車は結構な時間走り続けており、周りの景色も田舎のそれになっている。
まぁ、道はしっかり整備されているようで酔うレベルで揺れたりはしないだろう。
道も開けていて敵の襲来などもないだろう。
……それでも、彼女が怯えざるを得ない対象はいる。丁度目の前の青い鎧とか。

『……………』
……二人が一緒に挨拶に行くと知った時からこんな態度だ。
誰がどう考えても怒っていることは確実だろう!

1534とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 22:04:40 ID:zCH15gfs
「風光明媚でいいじゃないか、あはは……。
 ……ところでアンナさん……執事さん、やっぱ怒ってらっしゃいますよね、アレ……。」
と、ちらりと執事の様子を伺いながら声を潜める。

「……門前払いされなかっただけマシだけど……
 ……大丈夫かなぁ……。」

1535とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 22:20:55 ID:aDO39r8c
「………怒ったフランツは、僕には止められない……」
ひそひそと声を潜めて、困った様子でフランツを見ている。
……微動だにしていないあたり、聞こえているのか聞こえてないのかわからない。鎧だし。

「その、"僕がフェムトを家族に紹介する"のは筋が通ってるから問題無いと思うよ。
……その後の、付き合いを認めるとかその件はわからないけど……」

1536とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 22:27:29 ID:zCH15gfs
「……うーむ、そうですよねぇ……。」
……と、もう一度執事をちらりと。
相変わらず重々しい雰囲気である。

「……なんとか認めてもらえればいいけどなぁ……。
 ……執事さんにも……。」

1537とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 22:45:48 ID:aDO39r8c
「……父さん達ならどうにか出来る………と思う。」
明らかに天敵を見てるような目でフランツを見てる。
手も足も出ないのだろうか

「……フェムトならしゃんとすれば認めてもらえると思うよ。
僕だって、フランツとフェムトが仲良くやって欲しいって思ってるから。」

『……そろそろ、村に到着します。準備をお願い致します。』
そんなやりとりをしているうちに景色は変わっていき、民家などが見え始めてくる。
そして、いつものような冷たい声でフランツがそう告げる。
遠目から見た限り敵の襲来があるのかわからないが、見張り塔が見えている以外はごくありふれた村といえるだろう。

1538とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 22:48:13 ID:zCH15gfs
「……そうだといいんだけど……。
 ……っと、到着ですね……!」
到着を告げる執事の声に、びくっと背筋を伸ばす。

「……おー、あれがアンナの村かぁ。
 けっこう良い所じゃないか。」

1539とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 23:06:57 ID:aDO39r8c
「………ん、緊張するね……」
徐々に速度を落としながら村の中を進んでいく。
時折馬車を見てはよそよそしくする人を見かけるだろう。
……中にはフランツに向かって『俺の愚息によろしく言ってきたか!』なんて声をかけるおっさんもいたが。

「変な人が多いけど………いい村だと思うよ。」
それを聞いて、困ったように笑いながら。
まぁ、声色は嬉しそうだし事実ではあるのだろう。
……ちなみにフランツはさっきの言葉には見向きもしなかった。

1540とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 23:18:18 ID:zCH15gfs
「……なんだか村人は……よそよそしいなぁ……?
 ……執事さんに言ったあれ、どういう意味なんだ……?」
若干違和感を感じるも、田舎の村人だしこういうものだろうか、などと思ったり。

「ま、それはともかく、そろそろだねぇ……。
 ……失礼が無い様にしないとな……。」
面会が近くなってくると、流石に青年も緊張した様子を露に>>1825


1541とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 23:33:18 ID:aDO39r8c
「………フランツは僕との連絡のためにたまに帰ってきてた。
……王都に住んでる人に連絡する人がたまにいる。変な人だけど。」
過去形、というのはフェムトと居合わせないように来る回数が減ったんだろうか。

やがて馬車はその村の奥にあるそこそこ大きな屋敷の前で止まる。
ここが、実家なのだろう。

『………どうぞ。』
「…………うん。」
そしてフランツがそう言うと、緊張した顔で馬車から降りる。

1542とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 23:36:15 ID:zCH15gfs
「ああ、なるほどね……っと、到着か。
 ……えーっと、どうも有難う御座いマシタ……。」
ぎこちなく執事に礼を言いながら、少女に続いて馬車を降りる。

「……さてと……それじゃ、行きましょうか……?
 ……ええっと、お邪魔します……。」
緊張した面持ちで、屋敷の門へと……。

1543とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 23:50:37 ID:aDO39r8c
『それが執事の勤めです、お気になさらず。』
「あはは……」
なんか厄いオーラを出しつつ一礼を返す。

『………それでは、どうぞ』
そう言いつつそっと屋敷の扉を開ける。
そして中に招き入れるのだが………。

『……5世様?婦人様?』
「……………?」
屋敷の中は真っ暗。窓にはカーテンすらしている徹底ぶり。
おまけに魔術まで行って真っ暗にしているようで、扉の先が全く見えない。

……はっきり言って、怪しすぎる。

1544とある世界の冒険者:2014/03/17(月) 23:52:57 ID:zCH15gfs
「………。
 ……あれ、留守……だったり……?」
屋敷の中を覗き込むと不自然なほど真っ暗。

「(……この闇に乗じて俺を亡き者にしよう……
 ……とかいう執事の罠じゃないだろうね……?)」
とかなんとか、最悪のケースが頭をよぎったり……。

//すみません、風呂入ってくるので次遅れます!

1545とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 00:10:43 ID:n2xPax1k
「…………留守、じゃないと思うけど。」
『私が存じている限り、留守になるということはありえないはずなんですが……。
……とにかく、私が中の様子を確認します。お二人はお待ちください。私は夜目が効くので。』
そう言いつつフランツが屋敷の中に入っていく。
……三人で突入するという選択肢はあったのだろうか。

「……えっと、どうしよう。」
そして、取り残される二人。

1546とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 00:29:34 ID:JtzmJFww
ぽかーんとしながら、屋敷に入っていく執事の背を見送り……。

「ど、どうしようね……?
 ……俺達も、入ってみる……?」
と、少女に提案してみる。

1547とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 00:57:42 ID:n2xPax1k
「………でも、何かあったら……」
と、悩んでいると突如バッという音と共に真っ暗な部屋に一筋の光が指す。
そう、まるで光の柱のごとく一部が照らされた。
光源は……予め仕込まれていたであろう明かりだ。

そして目の前には黒ずくめの服を着た大男がいた。
髑髏を禍々しくして模しているかのような、威圧することを目的とした仮面をかぶっている。

『………恋とは、いわば深い溜息とともに立ち上る煙。
清められては恋人の瞳に閃く火ともなれば、乱されては恋人の瞳に溢れる大海ともなる。』
そう、照らされた仮面の男は重々しく口を開く。
……この言葉は、有名な劇、それの元になった小説の引用だったか。

『問う。汝、大海を生み出す存在なりや?』

1548とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 01:08:03 ID:JtzmJFww
「………!?」
突如まぶしい明かりに照らされて、目を晦ませる。
うっすらと眼を明けてみると、
そこには異様な格好の男の姿……。

「え……ええっ……?」
急に詩的な問いを投げかけられて戸惑う青年。

「……い、いえ……
 どちらかと言えば、閃く火でありたい……と、思います。」
どうやら試されている様子。
気の利いた返しも思いつけばいいのだが、そうもいかず……。
緊張した面持ちで、思ったままの事を口にする。

1549とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 01:24:14 ID:n2xPax1k
『…………火は近づけば温いだけだが近づきすぎると害をなすもの。』
「その……えっと………」
なにやら言葉を続けようとしていた仮面の男の言葉に割り込む形で戸惑った様子で口を開く少女。
……戸惑いの理由は知らぬ人物が家にいるという理由ではない。逆に知っているからだ。

「何やってるの?
………父さん。」
そう言いながらスタスタと部屋の中に入っていく。
……右手で頭を抑えながら。

『アンナ、ネタバレが早すぎるよ。
いや、全く知らん人からこんなん言われたら戸惑うのも仕方ないと思うけどねぇ!
なんかウィットに冨んだ返しとか期待しちゃうじゃん!』
………と、正体がバレたなりいきなりフランクな口調でしゃべりだす仮面。
見た目の禍々しさとのギャップが、シュールだ。
そしてそんな砕けた口調で喋りだすとともに激が終わったかのように部屋が明るく照らされていく。
……一体何だったのか。

1550とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 01:29:09 ID:JtzmJFww
「………。
 ……え、えーっと……。」
なにやら急にキャラが変わる男性に、さらに戸惑う青年。
……そして、この男性の正体は……
……まぁ、うすうす……というか結構気づいていたが、少女の父上の様である。

「あ、あのー……初めまして、フェムト=ヴァーミリオンです……。」
おずおずと自己紹介。
……それにしても、想像していた人物像とはかなりかけ離れている様で驚くばかり。
なんとなく、もっと厳格な人かと思っていたが……。

1551とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 01:41:26 ID:n2xPax1k
『……あぁ、こっちが素だ。安心してくれ。
戸惑ってると思うけどさ、なんかかっこいい問いとか一度くらいやってみたくなんない?』
そう言いつつ仮面に手をかけて外すと、人の良さそうなロマノフと同じ灰色の髪を持った壮年の顔を表す。
ところどころ、ロマノフと似たような顔つきだ。

『ヴィクトロ・イヴァーノビッチ・ロマノフだ。
この衣装は、先祖様からの物でね。
結構いいものだから……君を試すなんて名目のもと、着てみただけさ。』
そう言ってフランクに笑っている。
はっきり言って、なんでこんなのからロマノフが生まれたのか分からないくらい友好的だ。

『話は着替えてからにしようか。
応接室で少し待ってほしい……フランツがこっち見てるからな。』
そう言いつつ無言でフランツが部屋の一室から出てきて、スッと招く動作をする。
……来い、ということだろうか。

1552とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 01:49:17 ID:4xMDD0F.
「……あはは……。
えーっと、なんとなく分かります、はい……。
ヴィクトロさん、ですね、よろしくおねがいします。」
少し苦笑しながら、なんとなくこの人とはウマが合いそうな気がする……と思う青年。

「……あ、はい……。
失礼します……。」
案内された通り、応接室へと。
突き刺す様な執事の視線は極力意識しないことに……。

1553とある世界の冒険者:2014/03/18(火) 02:01:13 ID:n2xPax1k
「……えっと………変わってるけど、頼りになる父さんだから。
本当に……変わり者だけど。」
応接室に入りながらそう言う少女。
フランツの目が気になりながらもとやかく言ってこないから大丈夫だと考えたのだろう。
ちなみに当のフランツは一言も発していない。

「………うん。さっきの問答にはあんまり意味がなかったと思うから……。
裏があるかどうかはわかんないけど、ああいう悪戯が好きな人って母さんから聞いてるし……。」

【眠気が……続きは後日お願いします!】

1554とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 21:51:01 ID:WMESjg9o
「うん、確かに変わり者っぽいけど……
 ……悪い人じゃなさそうで良かったよ。」
と、声を潜めて答える。

「……このまま和やかに済んでくれるといいんだけどなぁ……。」

1555とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 22:07:20 ID:3xVw523w
「うん、穏便に終わってくれるといいなぁ………。」
家族はともかく、フランツのことが気になる少女なのであった。

父『ははは、お待たせしたね!』
「父さん……と、母さん。
えっと……お手柔らかに。」
扉が開き、そこから二人の人物が入ってくる。
一人はフォーマルな姿でやってきた少女の父親、もう一人は……

母『……どうも、君がフェムト君かな?
うちの娘とよろしくやっているというのは。』
明るめの銀髪を腰元まで伸ばした、長身の女性であった。
妙齢の女性でありながら美しさは色あせていない穏やかそうな見た目であった。

1556とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 22:10:06 ID:WMESjg9o
(……美人!!)
少女と同じ銀髪の女性の姿に、思わず背筋を伸ばす。

「あ、はい、一応よろしくやらせて頂いております……。
 フェムト=ヴァーミリオンと申します、よろしくお願いします。」
席を立つと、できる限り礼儀正しくぺこりと頭を下げる。

1557とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 22:34:31 ID:3xVw523w
母『そんなかしこまらなくてもいいさ。肩の力を抜いてくれると助かる。
先程は、ヴァーミリオン家の御曹司相手に失礼な態度をとって済まないね。』
父『いやいや、ユニークだっただろう?』

並んでいる夫婦の髪色ははそれぞれ灰色と銀髪であるが、ロマノフの髪色はちょうど足して二で割ったような感じだ。

母『タマーラ・ゲルマノヴナ・ロマノフだ、よろしく。
できれば、行き着くところまで行ってくれればこちらとしても助かるところなんだが。』
そう言いながらフェムトに近づいて手を差し出す。
……さり気なく交際容認どころか結婚まで容認しているようなことを言って。

1558とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 22:42:07 ID:WMESjg9o
「タマーラさんですね、よろしくです……。
 ……い、行き着くところ、ですか……ははは。
 ……僕としても、そうなれたら嬉しいですね、はい……。」
(なんていうか……こんなにすんなり認めてくれそうな気配とは思わなかったなぁ……。)
と、すこし気が楽になってきた青年。
……しかし……どことなく、執事の気配を感じずにはいられないが……。

1559とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 22:57:31 ID:3xVw523w
「え、えっと……母さん?いいの?そんなあっさり」
母『……実際、交際を認めるだけでパイプが繋がると考えれば悪く無い話だからね。
もちろん、不埒者であるのであれば眉間に弾丸でも打ち込もうとは考えたけど。』
父『少なくとも僕の問には正直に答えたみたいだし、いいと思うけど?』
物騒なことになりかねなかったとしても、家族は問題なさそうである。
……ただ………。

鎧『……ですが、五世様の茶番程度では信用しきれないですね。
それ以外にも、信用できるという証がほしいところですが。』
父『茶番って言わなくてもいいじゃないか、フランツ……。』
まぁ、フェムトといざこざがあるフランツは認めていなさそうな様子であった。

1560とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 23:06:45 ID:WMESjg9o
「な、なんだか、わりと認めてくださるみたいで……
 ……私としても嬉しいですね、ハイ……あははは……。」
こうもとんとん拍子に話が進んでいいのだろうか……
と、戸惑うやら嬉しいやら。

……しかし、やっぱりそんなに簡単な話では無いようだ。
執事の介入に、緊張が走る……。

「……え、えーっと、執事さん……。
 ……例えば、どうすれな信用して頂けますでしょうか……?」

1561とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 23:19:40 ID:3xVw523w
鎧『………五世夫妻はああ見えても結婚までに一波乱ありましてね。
今も、こうやって五体満足でいられるのは単に五世様の実力の賜物と言えます。』
「……フランツ、それは。」
重々しく口を開いたフランツ。
夫妻が当主なのは実力で勝ち取ったと言わんばかりの口調で………。

父『……………と、するとアレか。』
鎧『ええ、実力を示してもらいましょうか。』
わかっていたかのように父親が言い、フランツがそれに頷く。
……フェムトが武具を持ってきているのかを全く聞いていないのに。

1562とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 23:23:42 ID:WMESjg9o
「え、あー……そうなんですか?
 ……はは、それはなんていうか意外ですね……?」
一体どんな波乱だったのか……
……もしやこの夫妻、執事と一戦交えていたりとかしたのだろうか?
などと思っていると……

「え、アレ?
 ……あのー、そのアレ、というのは一体……。」
なにやら、実力を示さねばいけない流れ。
……果たしてその方法とは……?

1563とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 23:38:37 ID:3xVw523w
鎧『鈍い方ですね、私が納得行っていないのはあなたにお嬢様を守れるかどうかということ。
つまり、あなたに実力があればいいわけです。』
「フランツ、そういうことをするために来たわけじゃないんだから……!」
母『少なくとも、私個人としては親と殴りあってでも娘を勝ち取るようなガッツがある奴がほしいところだな。
というわけだ。許可する。』
父『まぁ、僕もやったしねぇ。どんな奴が結婚申し込んでもああなるのは確実だろうし、それでイイんじゃない?』
感情がこもっていなさそうな平坦な声で、フランツがそう言っている。
……両親はGOサインを出しているのだが、ふたりとも面白がっているようにも見える。

鎧『私に、力を示してもらいますよ。決闘です。』
そう言って、どこからともなく取り出した白い手袋をフェムトに投げる。
明らかにフランツの手……というよりガントレットにサイズがあっていないあたり、これのために用意したのだろうか。

1564とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 23:43:37 ID:WMESjg9o
なんだか勝手に盛り上がっている御両親と執事……。

「……ははぁ……
 ……まぁ、いつかはこういうことになるんだろうなぁとは思ってましたが……。」
しかし、執事の言うことももっとも……。
執事の力がどの程度のものかは知らないが、
これくらいの障壁も乗り越えられない様では少女と添い遂げられなくても仕方あるまい。

それに、こういう展開は実はそんなに嫌いでもない。

「……いいでしょう!
 ……やってやりましょうとも……!!」
投げつけられた手袋を勢い良く拾い上げる!

1565とある世界の冒険者:2014/03/19(水) 23:55:53 ID:3xVw523w
鎧『ふむ、ともなれば話は早いですね。
それでは、ついてきてください。』
そう言いながら部屋から出ていき、中央のエントランスを経由、外に出ていく。

「え、えっと………ふたりとも……怪我はないようにね?」
そして、少女は完全取り残されていた。
彼女からしたらふたりとも仲良くやって欲しいのになんでこうなっているのだろうかと考えているところである。

1566とある世界の冒険者:2014/03/20(木) 00:08:09 ID:NxsXIeY6
「……へへへ……お手柔らかに、お願いしますよ……。」
執事の後について、外へと。

「……どうかな……執事さん本気っぽいし……。
 ……加減して、勝てる相手じゃないと思うんだよねー……?」
少女の心配を他所に、わりとガチなテンションな青年だったり……。


//すみません、今日はこのあたりで……また後日よろしくです!

1567とある世界の冒険者:2014/03/20(木) 23:47:29 ID:P1bN5egU
「………わかった。止めはしないよ。
その代わりに、フランツに僕達のことを……認めさせて。」
フランツとは一度決着を付けたほうがいいと思ったのか、そうフェムトに声をかける。
ただ、勝てるか怪しいと思ってるのか、怪我が怖いなのか、心配そうな表情であった。

鎧『………こっちです。』
そのまま屋敷の裏側に。
そこには丸い中央に赤い点のある的、木人形などがある簡易的な訓練用設備があった。
弾痕やら使い込まれた用具やらがあり、年季が入っている。

その中にある円状に柵で囲んだ簡単な広場の中に入っていく。
……大きさ的に言えば魔術師からすればやや狭めとも言える大きさであるが……。

1568とある世界の冒険者:2014/03/20(木) 23:54:26 ID:Bj3AMbeE
「ん、任せときな……!」
と、少女に笑いかけると、執事の後に着いていく。
少女の期待を裏切らないためにも、なんとしても実力を認めさせたい……。

「……ここで一戦……って事か。
 ……へへ……いっちょ頑張りますかね……。」
ぐるりと訓練場を見回し、飄々と笑みを浮かべて執事に対峙する。
……実のところ、相手は恐らく接近戦で、その上この訓練場の広さ、
一対一の戦いで、前衛は無し……と、純粋な魔導師である青年にとっては苦手な状況である。
なんともなさげな表情とは裏腹に、どう打開したものか、と内心緊張を感じずにはいられない。

1569とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 00:11:58 ID:zMUawUJ6
鎧『……意外ですね。あからさまに不利な場で戦うことになっても文句の一つも言わないとは。
もっとも、ここ以外では戦闘できない故、目を瞑ってもらうしかないのですが。
私も、本来の適正戦闘距離と合っていないのですからご容赦を。』
驚いた様子で、そう言いながらそこらにあった盾を拾い上げる。
そしてホルスターからリボルバーを抜き、右手にリボルバー、左手に盾と奇天烈な武装を構える。
柵の近くには無造作に武具が突き刺さっており、その中にはフェムトに合うであろう杖や剣なども見つかるかもしれない。

父『いつ見ても、それ変だよなぁフランツ。
盾以外に持つものとかなかったの?』
鎧『……私にとってはこれが合理的なだけです。
私の使命は魔弾争点中の当主を守る盾になることが故に。』

鎧『そうそう、杖が必要というの出逢えばそこから抜き取ってください。
性能は保証しますが、どうしても自身のを使いたいというのであれば今からでもいいですから取りに行っても構いませんよ?』
傍目から見てもリラックスしている様子でフェムトにそう声をかける。
皮肉まで言っている始末だ。明らかに舐めている。

1570とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 00:21:52 ID:F6mEq3SA
「どんな状況だろうと、打開してみせるのが真の魔導師なのさ……。」
と、父親の受け売りを口にしながら、執事の装備をじっと観察。
構えられた盾に、リボルバー……見たことの無い組み合わせだ。

「……あれ、銃を使うのか。
 意外だなぁ、バリバリの剣士かと思ったけど……。」
そういいながら右手を前に突き出すと、
渦巻く魔力が開かれた手のひらに集まっていく……。

「心配御無用、杖なら間に合ってるさ……!」
集まってきた魔力が一瞬光を放ったかと思うと、
古びた魔法の長杖が虚空から現れその手に握られる。

相手は銃使い。
……ことによると、そっちの方が戦いやすいかもしれない。
剣士に距離を詰められ、魔法を詠唱する間もなく切り伏せられるよりは勝機がありそうだが……。

1571とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 00:34:48 ID:zMUawUJ6
鎧『ロマノフの秘術は弾丸にあり。
魔弾を巧みに使いこなすロマノフ家に長らく仕える私は魔弾を有効に使う術を知っております』
そう言いながら右手で軽くリボルバーを回転させる。
鎧であるフランツにカスタマイズされているであろうそれは長く使われているにしてもきっちり整備されているのがわかる。

『……杖は用意出来ていると。
それなら問題はないですね。それでは………行きます!』
相手が用意出来たとわかるとその掛け声とともに盾を構えてそのまま真っすぐ突撃。
シールドチャージを仕掛けてくる!

……少なくとも、初手では銃は使わないみたいだ!

1572とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 00:43:34 ID:F6mEq3SA
「……それじゃ、よろしく……!」
そして戦いが始まる……。
杖を構えて、執事に対峙。

盾を構えた執事が突撃を仕掛けてくる……
距離を詰めて戦われると魔導師としてはつらい展開。
しかし、一応銃以外の攻撃も視野に入れていたため、意表をつかれたという訳でもない。

『……マウアー・フラム!!』
青年が短く詠唱した呪文に呼応して、
目の前に炎の壁が燃え盛り、執事の行く手を阻む。
……簡易詠唱ゆえに火力は控えめだが、執事の足を一瞬止めるくらいにはなるか……?

1573とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 01:01:25 ID:zMUawUJ6
「フェムト、頑張って………!」
父『がんばれよ〜!主にアンナのためにな!』
母『これでダメだったら付き合うこともできんぞ!』
柵の外から少し離れたところから家族揃って応援している。
……少女以外は応援というよりヤジと言うべきか。

鎧『……初手は、そうでしょうね。』
こちらも迎撃のための魔法を使ってくるのはわかっていた。
火球などの直接的な攻撃なら無視して突っ切るつもりであったのだが、時間稼ぎに徹されると面倒だ。
一度攻撃を許すとそこからの攻撃で更に時間を稼がれるという悪循環になりかねないからだ。

『魔弾――――』
故に、こちらは徹底的に攻撃を続ける。
壁に突っ込まないように足を止めつつ拳銃を炎の壁に向ける。
相手の狙いは時間稼ぎ、この壁で視界を防ぎつつ退避するつもりなのだろう。
ならば逃げる前に壁ごと攻撃するのが一番だ。
魔力を拳銃に込める。呼応するのは水色の光。
放つのは魔力で劣る分、相性的に有利な水属性の魔弾を予め詰めておいたお手製の魔弾。

『――ウェーブランス!』
その言葉とともに引き金を引く。
そうすればまず薬莢のみが排出されてフランツの周囲に水で作られた槍が5本ほど生成。
炎の壁の中にかたっぱしから突っ込ませていく。
威力は炎の壁を通過する前に落ちるだろうが、目的はフェムトへの牽制。
当たるかどうかは分からないにしても小細工は通用しないと思わせることができれば、それでいい。

1574とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 01:22:40 ID:F6mEq3SA
放たれた水の槍は、炎の壁と相殺し合う。
弱弱しい残り火のみを残した炎の壁の向こうには、

執事の読み通り距離をとった青年の姿、
そして青年は次の魔法の詠唱へと入る。

≪……古き竜、我が一族の血の契約に従いてここへ来たれ≫
≪その身に秘めし焔、我に貸し与えて力と為せ……≫

詠唱の呪文を紡ぐたびに青年の構える杖へと、
太古のエルダードラゴンより与えられし竜の火の魔力が集中していく。
正式な詠唱により紡がれる魔法は、
先ほどの簡易魔法とは比較にならない高火力を秘めている事は容易に察せられる事だろう。

1575とある世界の冒険者:2014/03/21(金) 01:39:37 ID:zMUawUJ6
鎧『………!
火力が足りなかったか……!』
予想以上に相手の魔法が強力だったようで、相殺した程度であった。
……マズイ、そんな思いが頭をよぎる

だが、ここで守りに入るか?
否。ここで守ってはフランツの防御力を明らかに上回る攻撃が飛んでくることだろう。
ならば、ここでも攻撃の手を緩めるべきではない。

鎧『魔弾、ダイヤモンドフォール!』
間に合わなかった時のためにより高い威力が必要だ。
多くの魔力を注ぎ入れるために魔力を複数の魔弾を用いて無理やり補う。
引き金を三回引いて溢れ出る魔力を一束にする。
そして生まれるは魔力を帯びた氷の刃、それが大量に。
それを詠唱を妨害するがために飛ばし、自らも突撃を敢行する!

1576とある世界の冒険者:2014/05/04(日) 23:49:19 ID:irYhBiQA
――テヴェレ市 テヴェレ学園敷地内 

「――よし、今日の分は終わりだ。
 各自日課に課したトレーニングは忘れないように。
 次回の教練以降は実施で獣竜種狩りに赴く、回復薬とモドリ玉忘れるな。

 以上、解散。」


学園敷地内。――ハンター科の学徒と、新しく入った新任の教師――
ハンター科では主に「教官」と呼ばれる――教師が学園敷地の広場の一角で疲れた様子の生徒達に簡単な話を終えていた。

疲れた、キツい、ふるふる可愛い、等と言いながら散り散りに散っていく生徒達。
何人かは「教官」に幾つか質問をしていたようだが、それも終わりまたばらばらと散っていく……。

「……よし、次の実施講義の準備をしておくか。」

人が散って見えるのは金リオ装備に片手剣を装備した男。
誰あろう、つい先日試験にストレート合格した新任教官なのだが、知り合いは彼を見たら「誰だお前」トイウだろう。

1577とある世界の冒険者:2014/05/04(日) 23:58:41 ID:I9OD5ikw
>>1576

「あ、狩猟の……って、あら」

たまたま出くわした魔術科の新米女性教師が姿を現した。
多学科だが生徒の中にも数名顔見知りがいたので、一言二言交わしていたが、教官を見てみたら、誰あろう。
未だに正式名称も定かではない、ちゃらんぽらんな印象しかないあの人であった。

「えっ、もう単独での講習ですか……?」

こっちはまだ補助輪が取れてない状態。
先任教師の後をくっついて回っている。

1578とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:03:28 ID:kzUPCcrA
>>1577

「ん。」

完全装備、それはそうだろう。教官をしているわけだし。
とは言えトレードマーク(?)の槍は無く初心者用片手剣を提げているが。

……と、言うかなんだろう、誰だろうかこの人は。
何時ものちゃらんぽらんな空気があんまり無いというか誰だ。

「どうも魔女さん。
 ……ああいえ、騎士学校に居た頃に後輩の教練係をやらされていた事もあったので。

 一応その折に教員免許も取得していたんですよ。」

いや、誰だお前。

1579とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:08:07 ID:s53eRGco
>>1578

「そういえばそんな話を聞いたような……」

教える内容は違えども、両者にはなかなかの能力的な隔たりがあるようだった。
指導というのは、配下をもたない六魔女には存在しないスキルであるといえた。

「もう私は魔女なんて存在じゃなくて、リスティル先生なんですからね」

結構誇らしいものです、と灯篭風の杖で地面をつく。

1580とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:10:00 ID:kzUPCcrA
>>1579
「中途退学ですがね。」
「騎士にならずに狩人暮らしでしたし。」

まぁその辺の事情は色々あったのだろう。多分軽い事情が。
……生徒に聞かれた事を答える姿は何というか、堂に入っていたが。

「これはどうも気付きませんで、リスティル先生。」
「此処での指導は不慣れな物で、宜しければまたご鞭撻の程お願いします。」

だから誰だお前。

1581とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:17:01 ID:s53eRGco
>>1580

「なるほど……」

人に歴史ありだ。
そう感心していると……。

「って、なんですかそれ!?」

違和感しかない!
何となく背筋も寒くなるというもの。初期のヴァローネの嫌味ってこんな感じだったかな、と在りし日を思い出すありさま。

「っていうかこの一コマだけ切り抜いたら、無能な先任の機嫌を損ねないように、みたいな感じになるじゃないですか!?」

1582とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:21:09 ID:kzUPCcrA
>>1581
「いや、少しは真面目に、と思ったのですが。」
「やはり似合いませんか、こういうのは、申し訳無い。」

似合わない、……と言うかキャラが違い過ぎる。
普段のアレ(失礼)と180度ぐらい違ってるのと、顔の見えない鎧のせいでほぼ別人だ。

「そんな事はありませんよ、教諭としての立場では先輩後輩の間柄になりますから。」

……有り体に、率直に言うと。
きもちわるい。

1583とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:23:23 ID:s53eRGco
>>1582

「先輩後輩って、年度で言えば同期なんですから気にしないでくださいよ!」

確かに似合わない。
違和感の塊だ。それは彼女もわかる。わかるが。

「(下手にこの状態否定して、戻られるのも勿体ないんですよねー……)」

あのかる〜い感じが、彼女は何となく苦手であった。

1584とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:26:23 ID:kzUPCcrA
>>1583
「では、余り気にしない様にしましょう。」

気を使わせるのも難ですし、と言う教官先生。
此方の方が人間として数倍マシである事は言うまでもないのだが……。

「そう言えば、ヴォルケン……自分の同僚、結局は此方に決めたそうで。」
「一緒に働ける、と珍しく喜んでいましたよ。」クソガ

例の槌の人も試験を受ける事にしたらしく、そんな報告を。
然し何処か邪念が漏れている、根っこは一緒か。

1585とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:32:42 ID:s53eRGco
>>1584

「ええ、そうしてください。やりづらいです、あれだと」

そう。見た目からしてここの生徒に間違わられそうなのだ。
服装とかお化粧とか年上っぽく、大人っぽく、と見栄を張っているところなのだ。
ちょっと後に入ってきた程度の人に上から目線で接するのは、見栄ばっかりで云々と噂されかねない。

「あ、そうなんですか……結構ラブラブですよねぇあの二人」

「……これで独り身なのは私とカルディーネに、リトスぐらいなんですね。ヴァローネも殆ど……というか事実上の……に近いと思いますし……」

六魔女が解散されてから久しくたつけれども。
まさかこんな事に事態が推移するとは思ってもいない。

1586とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:36:29 ID:kzUPCcrA
>>1585
「矢張り、違和感はありますか、これだと。」
「どうも真面目に……と思うと父方の血が出るようで。」

彼曰く、父親が厳格な地方騎士だったらしい。
それで幼少時は厳格な育て方をされたらしく……まぁ捻くれたが。

「同僚としては感無量ですが、嫉妬も覚えますね。」
「何せ魔女さん方……失礼、リスティル先生達はお美しい方ばかりですから。」

「大木と、氷結……氷闇の魔女さん、でしたか、そのお二人は。」

1587とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:42:21 ID:s53eRGco
>>1586

「器用なものだと感心しちゃうぐらいです」

まるっきり別人だ。
俳優にだって向いてるかもしれない。

「そうですね。あってますよ。カルディーネは子供っぽいです……けど、包容力のある人がタイプだって前に聞きましたねぇ」

「おじさんが好きなんだそうです。有角種(オーガ)の紳士がいいとかなんとか……リトスについては……男性に興味があるのかどうかが怪いです」

当分仲間でいてくれるのはあの二人だけだろう、と脱力した様子で言う。
自分のそっちについては、半ばあきらめているという具合か。

1588とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:46:43 ID:kzUPCcrA
>>1587

「肩が凝るので、余りしないのですがね。」
「とは言え、真面目に、と言うのも言われましたし……学徒受けも良いでしょう。」

アレはアレで男子生徒辺りには受けが良さそうだが。
……ちなみに、同僚の槌の人達は知っている分、別に違和感もないらしい。

「ヴォルケンに角と包容力があれば、好みのタイプと言った所でしょうな。」
確かに大柄でガタイもかなり良いがオーガ呼ばわりはあんまr……いや、どうだろう。
オーガでも間違って無いかもしれない。

まぁ、この槍の人もガタイはかなり良いし良い年なのだが。

「はは、好みは千差万別とも言いますから。
 そう言えば、リスティル先生には好みなどはお有りで?」

普段なら下衆っぽさが感じる所だが、この口調だと余り感じない。
印象って大事だ。

1589とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:54:24 ID:s53eRGco
>>1588

「そこはまあ、お仕事だと思って……プライベートならだれも文句は言わないと思いますよ」

「……生徒に見られても舐められないぐらいの印象はすでに与えた後だと思いますし」

ぶるり。
聞いたことがある。この手の体育会系な界隈は、舐められたら終わりだ、と。
強烈な力の差の印象を見せつける。そんな事も時折求められる……と彼女は聞いていた。

「え? 私ですか? そうですね、ひたむきで、誠実で……どこか子供っぽかったりして」

「そんな人と一緒にいたいと…………思う、んですけど……いいんです……数百年この学園に君臨して、見た目もお婆ちゃんになって、恐怖の対象にになりますから」

グランマと呼ばれるような。

1590とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 00:58:02 ID:kzUPCcrA
>>1589

「ハンターの仕事でやる事も、以前は合ったのですがね。」
矢張りどうにも、と。

「ああ……そう言えば、初授業の後で見る目が変わってましたね。」
「一般的なハンター業について教えただけなのですが。」

……一応であるが。
この人達はハンターとして、間違いなくトップクラス、G級と呼ばれる人達である。
普段軽い感じのこの人だって金火竜、銀火竜に真っ向から立ち向かうような人種なのである。

「はは、自分では手厳しそうですな。」

一瞬、金髪の髪が目立つ同僚の姿が浮かぶ。
最もアレは妻子持ちであるが、……あ、何だろうか、沸々と邪念が湧き出ている。

「リスティル先生なら引く手は数多でしょう、この学院でしたら人も集まるでしょうし。」
「そう遠くない内に良縁に恵まれるのでは?」

1591とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 01:07:56 ID:s53eRGco
>>1590

「みんなそういうんです……」

が、浮いた話の一つ、経験がない。
モテるんじゃないか、そういわれた数に比べて、経験がない。

「何か、私の属性が人との縁も燃やしている気がしてなりませんよ」

白炎の魔女。
単純な破壊力だけで言うなら、六魔女でも断トツだ。

1592とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 01:13:07 ID:kzUPCcrA
>>1581

「自分はリスティル先生に魅力を感じてはいますから……そうです。」
「もう少し良いな、と思った方に積極的になってみるのは?」

ふむ、と少し唸る。
こっちモードだから、もう完全に自分は埒外に置いた模様。
潔さが悲しい。

「白炎、でしたか。」
「東方の文字にして読みを変えれば白縁、……まだ真白い縁、にもなります。」
「きっと、一度の出会いで燃え上がる様な物が待っているのでしょう。」

お前本当に誰だよ。

1593とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 01:17:20 ID:s53eRGco
>>1592

「……考えておきます」

アプローチの仕方なんかは知らないが。
積極的になることが必要なのは、道理である。

「お上手です……ね? あの、本物ですよね……?」

何故か心配になってきた様子。

1594とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 01:21:08 ID:kzUPCcrA
>>1593

「先生の容姿と性格でしたら、大体の者は悪い気などしないでしょう。」
「自分も含め、男なんぞそんな物ですよ。」

ははは、と笑う教官先生。
騙された経験は多数である。

「何なら、兜でも外しましょうか。」
がぽ、と金リオ装備の兜を外す。
中身は以前も見た見知った顔、長い茶髪の後部分がネオベイ武将の様に一纏めにされてはいるが。

1595とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 01:24:37 ID:s53eRGco
>>1594

「演劇部の顧問にでもなれそうですねぇ……」

実は別人でしたー、の方がまだわかる。
双子トリックすらも疑いたくなるが、まぁ本人で間違いないだろう。

「おっとと。次の時間もあるんでした……では、また」

ぺこり、と小さく礼をして、遅れる遅れる、とか若干焦った様子でつぶやきながら走り去るのでした

1596とある世界の冒険者:2014/05/05(月) 01:26:30 ID:kzUPCcrA
>>1595

「自分の中のスイッチ、の様な物ですからね。」
「演技ともまた違いましょう、一面、という物で。」

一体どっちが素なのだろうか。
肩が凝るらしいし、あっちなのだろうか。

「ええ、では。」
「……さて、ヴォルケンが来る迄に練度を上げておくか。」クソガ

時々漏れる本音の呪詛を出しつつも、暫くは真面目に教師業に勤しんだとか。

1597とある世界の冒険者:2014/05/10(土) 23:55:06 ID:H8mQk9iQ
【ジグザール王国王都/郊外/森林】

「…………っ。」

ばすん、ばすん、ばすん、と。
森の中に火薬の炸裂音が響き、用意した円的の中心近くが弾丸に撃ち抜かれる。

「……っ、はぁ。」

全弾命中。だというのに引き金を引いた少年の顔はどことなーく晴れない。
なんというか、陰気だ。

1598とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:01:43 ID:4TgsQC52
「そしてぇ〜集いしぃ〜スターダースト♪
 100年目のぉ目ぇ覚めにぃ呼ぉばれてぇ〜♪」
何やら凄みのある歌を口ずさみながら黒髪ツインテ、黄色の瞳の少女が歩いて来る。

1599とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:03:59 ID:fNYe7pxA

「……。」

はぁ、とまた一つ溜息。
的にはあたっているのに一体なにが気に入らないというのか。

「……あ……。」

銃をしまおうとした……直後に、歩いてきた少女に気付く。
そういえば気まずくなって以来、あっていなかったような。

1600とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:08:25 ID:tLIqeHlI
「お?、クォーーーーーーーーヴレィッじゃん。おひさー」
大きく手を振りながら。誰だそれは。

1601とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:10:19 ID:fNYe7pxA
「……長いね、何か。」

相手側があんまり気にしていない様子なので、大丈夫かな、と思いつつ普通に接する。
なんだか、こっちはつかれた様子だ。

1602とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:17:05 ID:tLIqeHlI
「長いよ!」
長いか。そっか。

「クォーーーーーーーーーヴレィッはなんか元気なさそうだねー。
 幸薄人さんみたいになってるよ?」
どうやら彼女の中でレイジは幸薄人さんで確定したらしい。合掌。

1603とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:18:31 ID:fNYe7pxA
「……そ、そっか。」
お、おうと言う感じである。

「……? ああ、レイジさん」
何でそれで察してしまうんだ殺されてしまうぞ。

「いや、……うん、ちょっとだけ、疲れてて。」
見ればわかる。

1604とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:22:34 ID:tLIqeHlI
「疲れてるの? 何、ヌきすぎとか?」
おいやめろ。仮にも年頃の女子だろ。やめろ。

1605とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:23:53 ID:fNYe7pxA
「…………。」

「……はぁ。」

……突っ込まないし、照れもしない、だと!?

1606とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:26:56 ID:tLIqeHlI
「おー……ホントに疲れてるねぇ。
 なら家でゆっくりノンビリダラダラゴロゴロしてれいいのにー」
それは君の家での過ごし方だ。

1607とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:29:28 ID:fNYe7pxA
「ん……何か、じっとしてると、……逆に疲れて。」

それは何か呪的なあれじゃなかろうか。

1608とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:32:20 ID:tLIqeHlI
「ふーん。そういうもん?」
パーカーのポケットに手を入れて切り株に腰掛け。
呪いだとかには気付いていない。仕方ないね。

1609とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:34:56 ID:fNYe7pxA
「ん……なんだろう、本当に疲れてるのか……」

座り込んだまま、ふぃー、と息を吐く。
顔色も悪いし、帰ったほうがいいのではないだろうか。

……と、言うか。

腰のガンベルトに例の銃があるのは何でだろうか。
誰かに預けただとかなんとか聞いたような飢餓したが。

1610とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:36:50 ID:GwzUDCq.
「疲れてるっていうか憑かれてたりして」
本人は冗談だが核心を突いているから困る。

1611とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:38:28 ID:fNYe7pxA
「……怖い事言うのは、ちょっと。」

あ、そういうのダメなタイプだこいつ。
……ガンベルトの銃は禍々しく、鈍く光っている。

1612とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:41:21 ID:XSYv6nls
「ほら……こうしてる間にもクォヴの後ろに髪の長い女の人が……」
ヒュードロドロとか効果音がつきそうな表情と雰囲気で。

「っていうか、銃光ってない?」
あ、気付いた。

1613とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:42:24 ID:fNYe7pxA
「……!?」
びくぅ、としつつ振り返る。
いや、誰も居ないですから。


「……、? ……っ!?」
腰にそれがあるのに気付き、表情を驚愕に歪めると。
ひっつかんで放り投げた。

1614とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:45:24 ID:kN43tU22
「あ、まだ右肩に顔のっけてる……」
それ以上はやめて差し上げろ。

「あら、モモモモッタイナーイ」
放り投げられた銃を見て。

1615とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:48:29 ID:fNYe7pxA
「っ、はっ、はっ、……何で――……。」
からかいの言葉も聞こえない様子、なんだどうした。


「……何で、ここに……」
放り投げられた銃は、不気味に沈黙しているが。
……何か、妙な魔力と言うか、妖気が。

1616とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:52:31 ID:PrSQQUTo
「それ、こないだの銃だよね? 何アレ?」
ただの魔銃の類いでないことはパーでもわかるらしい。

1617とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:54:59 ID:fNYe7pxA
「……何か、魔具なのは、間違い、無いんだけど。」
「前から、怖くて、エンジュ撃って、嫌になって、それで捨てて、」

と……捨てた旨をエンジュに伝えて。
在るはずが無い、というのを強調する。
その様子はかなり混乱しているようだが……。


『』ギョロン

放り投げられた魔銃――生態的なそれの銃装に当たる部分に、眼が浮かび出た。

1618とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 00:59:20 ID:XSF.I/P.
「帰巣本能かな?」
そんな可愛らしいものでないことは確かだ。

「ふーん……」
立ち上がり、とことこ近付いて。

「お。意外とつぶらなオメメ?」
拾 い 上 げ た 。

1619とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:00:56 ID:fNYe7pxA

拾い上げたエンジュに、ばちいん、と強力な稲妻が弾ける。
手に持っていればしびれる、では済まなさそうだ、シャレの解らない銃である。

「……え、エンジュ、危ないから……!」

と、一応前に出る少年。多分これ君の所為です。

……弾けて転がった銃は全体が何やら変化していく。
どんどん、魔力を練り上げて、そう、人型のように。

1620とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:02:52 ID:XSF.I/P.
「うぉっとっとっと…!」
慌てて手を離す。

「おー……妖精かな?」
そんな可愛らしい(ry

1621とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:04:41 ID:fNYe7pxA

練り上げられた魔力は、黒と、金に近い鈍色のラインを持った……なんと言えばいいのか。
悪魔とか、そういう風な形に固まっていく。 ……何か面倒くさそうである。


「……エンジュ、……帰った方が、いいんじゃ、ないかな。」

エンジュの一歩前に出て、悪魔っぽいのを見つめて。
帰れとはなにごとだ。

1622とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:07:13 ID:WZKvamVc
「なんか…………金色のゴキブリみたいだなぁ……」
思っても口にして良いことと悪いことがある。

「ん。まぁヤバそうなら逃げるし」
この状況でこの呑気さ、ある意味大物かもしれない。

1623とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:13:21 ID:fNYe7pxA
「ゴキ……。」
緊張感の無い事であるが、……実際ゴキっぽい。


『―――――。』
「……なら、速くっ!」

と、言い終えた直後に目の前のゴキ……もとい、悪魔が。
右腕をそのまま銃の様に変えて射撃してくる。

1624とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:18:39 ID:MeUmBIC.
「時に落ち着け弟者」
誰が弟者か。
周囲から無数の蜂が集まり、二人の正面に蜂の巣のような形状の盾に変わる。

1625とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:21:25 ID:fNYe7pxA
どぱぁん、と鈍い音がして。
……着弾した箇所が、何かに削られた様に抉れる。

まるで最初から何もなかったかのようだ。
一体どういう原理なのだろうか、「魔力」のようなものは感じたが。

「……っ。」

少年の方はガンベルトから別の銃を二丁取り出して、エンジュから離れようと一歩踏み出す。
多分狙いはこっちだ。

1626とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:28:41 ID:mTnU4sAI
「おわぉ……凄い威力」
流石にこれには驚いたらしい。

「そういうカッコイイことはヘタレじゃなくなってからしようねー!」
駆け出したクォヴレーの襟を後ろから掴んで引っ張り、逆方向に走り出す。
他に方法はなかったのか。

1627とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:32:24 ID:fNYe7pxA
「っ、エンジュっ、アレ、多分、狙い、こっちだから!」
き、と真面目な時の表情になって、少し引きずられながらも体勢を直して走って。


『――。』
「エンジュは良いから、……!」

飛んできた通常の魔力弾らしきものを銃弾でげいげk……
あれ、今なんか凄い事さらっとしたぞ。

1628とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:35:33 ID:mTnU4sAI
「はいはい、そうだね。だからアタシだけ逃げるわけにいかないんでしょうがー」
駆け抜けながらも口は軽い。

「おお。実戦じゃないと本領発揮しないタイプ?」

1629とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:39:04 ID:fNYe7pxA
「っ、……良いから!!」
珍しい、怒鳴った。……それだけ何か嫌な予感でもしているのだろうか。


『――。』
「っ、……解かんないよ、そんなの……!』

飛来する銃弾と、何らかの魔力弾を器用に魔力銃とアウトマチック式で走りながら、迎撃する。
……「対人」、というかいきものっぽくないというのも影響があるのかもしれない。

1630とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:43:05 ID:zBPUOD0E
「やーだぷー。絶対一人じゃ帰らないぷー」
ふざけてる場合じゃないです。
が、当人は本気で一人で逃げるつもりはない。

「しょうがないなぁ……」
走りながらも蜂達を集め、8本の錐を生成。

1631とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:46:45 ID:fNYe7pxA
「……エンジュ!!」
珍しく、本当に焦っている、というか怒っている様子。
暖簾に腕押しなのが余計に危機感を煽ってるのか。


『―――――』
「……っ!」

こちらは、走りながら、飛行するように追ってくるゴk悪魔に対して。
器用に球切れしたアウトマチックをガンベルトの物と取り換え乱射、数発当たっているが堪えた様子はない。

1632とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 01:59:12 ID:3elxLmUU
「ぷっぷくぷーだ」
こっちもこっちで聴き入れるつもりはないらしい。

「よっ……と」
火の魔力を込めた錐を8本、ゴキb悪魔の足元へ投擲。
地面に着弾すると共に爆発を起こし、砂塵を巻き上げる。

1633とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:01:37 ID:fNYe7pxA
「……っ、ああ、もう!」
ざ、と自身は立ち止まってゴキbに向き直る。
素早い動作で右腕に回転式の大型拳銃、左腕にはリロードを済ませた魔銃を。

『――――』
ゴキブrは砂塵が無いかのごとく――恐らく見えているのだろう
使い魔、らしき蝙蝠の様な生物を四体、射出して来た。

1634とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:05:08 ID:3elxLmUU
「うわっ……めんどくさー。
 しつこさもゴキブリだねー」
ジャッと地面を滑り反転。立ち止まる。

「っていうか、何で追ってきてんだっけ?」
そういえば。

1635とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:08:42 ID:fNYe7pxA
「知らないけど、……狙いは、間違いないから……!」

拾え、と言っているのか、或いはクォヴレーに対して何かしようとしているのか。
兎角、ろくでもないのは確かそうだ。

何せ発泡して来てるし今もホラ。

『―――――』
エンジュ目掛け、何やら強烈な閃光を伴う魔力砲を――っておい。

1636とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:16:59 ID:UqzRlXeo
「はぁ……」
やれやれと首を振り

「めんどくさいなぁ」
スッと最低限の動きだけで、魔砲の射線から外れる。
仮にも忍の流れを汲むアサシンの一家、その跡取り。
射線が見えているなら、撃たれる前に限れば銃弾だろうが避けるだけの技量はある。

1637とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:18:46 ID:fNYe7pxA
「……っ、避ける余裕あるなら、そのまま、逃げて。 ……お願い、だから。」

……砲撃を最後に、一度攻撃が止んだ。
蝙蝠の様な生物は宙空でハバタキながら、待機している。

……先程起こした砂埃のせいか、いまいちゴキブリの姿が見えないが……。

1638とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:27:22 ID:yuGh7u3g
「だーかーらー。
 狙われてんのがクォヴだったら置いてけないでしょー」
軽口を叩きながらも感覚を研ぎ澄まし、気配を探る。

1639とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:29:11 ID:fNYe7pxA
「っ、狙われてるのがこっちならエンジュは逃げた方が安全だろ!!」
怒る。こんな時に喧嘩している場合でないのだが。

探った気配――いや、気配は不気味な程しない。
だが、「魔力」ならある。 不気味で歪な魔力の気配は……。



”上”だ。クォヴレーの。

1640とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:31:55 ID:yuGh7u3g
「…………!!」
返事をする間もなく、クォヴレーを突き飛ばして狙いを反らす。

1641とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:35:03 ID:fNYe7pxA
「! ――っ!」

ワンテンポ遅れて気付き、突き飛ばされながらも身体を捻り上空へ射撃。
その身体能力、多分銃使いには要らないです。


『――――』
上空に居たゴキは、クォヴレーの居た地点に蝙蝠の使い魔を一斉に向かわせる。
……が、そこに居るのがエンジュだと分かると蝙蝠の使い魔達は鋭い動きで、ゴキの元へ戻る。

1642とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:39:29 ID:yuGh7u3g
「あっぶない危ない……。
 もうさー、さっさと逃げようよー。王都まで行けば結界で入ってこれないんじゃない?」
と心底めんどくさそうに。

1643とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:41:36 ID:fNYe7pxA
「……。」
ふるふる、と首を横に振って。

「何か、……解るんだ。」
「……俺が居たら、多分、何処にでも、来る、って。」

ゴキ魔は上空で蝙蝠を自分の周囲に待機させて、クォヴレーをじっ、と見下ろしている。
……どんだけしつこいんだ蛇か。

1644とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:52:21 ID:v2UbcVI6
「なにそれキモいストーカー?」
それにしても言いたい放題である。

「ならどうすんのよー?」

1645とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:54:11 ID:fNYe7pxA
「……本当に憑かれてるのかも。」
嘘から出た真、ってそんなバカな。


「……逃げて、一人で、どうにか、する。」

……。
…………。

いや、確かに、普段より命中率もいいし、シャキッとしているし。
何というか男の子してるが。

無理だろう(断言)。

1646とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 02:57:25 ID:Jx4dCvE6
「うん、ヒロイックな気分に浸るのはいいけど現実的に考えよう?
 一人で何ができんの? 具体策はあるの? 何なのバカなの死ぬの?」
何だろう、この子に正論言われると凄く腹立つ。
というか後半はただの罵倒だ。

1647とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:00:21 ID:fNYe7pxA
「策は、ある。 ……それに、っていうか……」

「……エンジュには、」
「関係、無いだろ……!」

弾倉を開いた回転式拳銃に、何か魔力を込めた弾丸を装填して。
冷静では無いようにも見えるし、単純にムキになってるのだろうか。

ゴキの方は悠々と降りてきた、何がしたいんだ結局。

1648とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:03:20 ID:Lc.SXHvw
「あーもう……これだから男子は……。
 じゃ、死なない程度に好きにしたらー」
遂にその辺に座り込んだ。
なんだこの状況(困惑)

1649とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:13:28 ID:fNYe7pxA

「……怪我、しても、知らない、から。」
とは言え、邪魔をしなければあちらは手を出して来そうにないが……。


『―――――』
ごっ、とクォヴレーがエンジュから離れた後、悪魔がクォヴレーに近付いて至近射撃。
間一髪で頭だけ動かして避けるそれはガンナーの動きじゃない、格闘家の動きだアレ。

1650とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:15:25 ID:V6KsJQyw
「お。珍しい野草じゃん。こんなとこに生えてたんだ」
ダメだ、最早聞いてすらいない。

1651とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:17:40 ID:fNYe7pxA

「……っ――」
『―――――』

何やら、視界の端で至近距離で銃撃戦、なんて気の触れた事をやっている人とゴキが居るが気のせいだろう。
足元を見ればこの辺りでは見ない毒草がある、調合か何かに使えるだろうか。

1652とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:22:34 ID:ogr8JoCE
「この森意外と穴場だなー。これから通おうかなー」
二人の攻防はどこ吹く風、黙々と野草を摘んでいる。

1653とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:26:21 ID:fNYe7pxA

「………っ!」

どん、と炸裂音が響いた後に血の匂いが立ち込めた。
ちら、と視線を見てみれば左肩がゴキ魔の銃弾に撃ちぬかれたらしい、大口径だったらしく抉れたみたいな傷をしている。

『―――』
「……っ、の……!」

……あ、再開した。右腕と銃一丁で器用に射撃しながら格闘戦してらっしゃr……何かおかしい。

ちら見した先に珍しい花まで咲いている。確か気付け薬になったような。

1654とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:33:20 ID:XNmFLjs.
「おー。頑張れー」
死にはせんだろう程度の認識である。

「おお。色々あるねーここは。
 今度いっぱい採りに来よう」
うんうんと頷いて。完全に戦いはそっちのけだ。

1655とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:35:13 ID:fNYe7pxA
「……っ――!」
『―――――』

ガン=カタ染みた――最早そのもの、とも言えるかもしれない至近銃撃戦は続いている。
が、血の匂いが濃くなって来た。良く見るとクォヴレーの方が結構傷だらけになってきている。

そろそろ、放っておけば失血死しそうな勢いだ。まぁ暫くは大丈夫だろうが。


<キュー>
そして空気を読まずにエンジュの足元に現れるリス、可愛い。

1656とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:41:43 ID:E4Ru7SkY
「お? よしよし、木の実食べる?」
ウリウリとリスを擽りながら木の実を差し出す。
もう状況忘れてるんじゃないかな。

1657とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:45:50 ID:fNYe7pxA
<キュー>
と、リスはきのみを受け取ってかじりだす。
なんともファンシーな光景だ。


『――――――』
「……っ」

と、後方で何か炸裂音と倒れる音がした。
花火かな?(すっとぼけ)。

1658とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:51:21 ID:IPNwslo2
「あ、終わったー?」
話し合い終わった?みたいな言い方をしつつクォヴレーの方を見やる。

1659とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:52:49 ID:fNYe7pxA
『―――――』


振り向いてみれば血溜まりにべちゃっ、と音を鳴らして倒れ込んだクォヴレーくん、と。
見下ろす様にして右腕の銃口から硝煙を立ち上らせてる金ゴキ。

……あれ、死んだ?

1660とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:55:26 ID:nRBkY54c
「あーららー……言わんこっちゃない。
 これだからヘタレはもう……ねぇ?」
やれやれと首を振りつつ歩み寄る。
ゴキ魔に同意を求めてもどうしようもない。

1661とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 03:58:08 ID:fNYe7pxA
『―――――』

ゴキの方に反応は無い、エンジュの方見ようともしやがらねぇ。
……あ、もっぱつ撃った、心臓辺りに。 あれ綺麗に当たったら死ぬんじゃなかろうか。
いや、もう死んでる可能性のが高いが。

1662とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 04:04:19 ID:EJEakndM
「ダウトー」
シュッと放った錐が魔弾を防ぐ。

「悪いけど、今日のとこはこれぐらいにしてくれる?
 アタシもう帰りたいんで。割と真剣に」
よっこらしょとクォヴレーの身体を抱え起こしながら。
話が通じる相手ならこんな状況になってないんですがそれは。

1663とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 04:07:31 ID:fNYe7pxA
『――――』
無言の侭、銃口が「クォヴレーに」、向く。
担いで見たところ息……が、あるかは怪しいがまだ冷たくは無い。

『―――』
顔の動作だけで、クォヴレーと地面を指し示して。
「置いて行く」ように促す。 ……置いてけば問題無く帰れそうではあるが。

1664とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 04:13:47 ID:c49v7jXw
「お断りします(AAry」
例のポーズをとりつつ。余裕だな。

「んじゃ、ばいびー」
ニッコリ笑顔で手を振りつつ、無数の蜂達にビッシリ覆われ……
気付けば姿が消えていた。蜂の群れを残して。

1665とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 04:16:52 ID:fNYe7pxA
『――――――』
去る少女を追う事は、しない。
ただ、去っていったであろう方向を見て……。


音もなく闇色の球体に変じて、すーっ、と飛んでいった。

1666とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 04:18:39 ID:fNYe7pxA
//書き忘れたが、【FO】!

1667とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 22:33:28 ID:fNYe7pxA

「分かってる、わかってるんだ。だけどさ……っ」

拳を握ったまま、うつむき気味に。
表情は、硬い……というか、怒っている。

「あいつ、知ってたのに、知らない振りで」
「アリーナさんの事気にした様子もないのが、許せなくてっ……!」

1668とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 22:43:37 ID:lwytrC5E
「………」
クレドくんの言葉に、何も言い出すことができない。
話を聞くのもつらそうな表情で俯いてしまう。

自分でもアリーナちゃんの恋が報われないのは辛いと思っていたのだ。
せめて、叶わない恋でも相手が幸せになれるならと思っていたクレドくんからしてみればどれだけ辛いことか。

1669とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 22:56:44 ID:fNYe7pxA
「……知ってて、あれだけ、アリーナさんが思ってくれてるのにっ」
「”だからどうした”――って、おかしいだろっ!」

ばん、とテーブルに拳を叩きつける。
これは、……余り、というか今まで見たこと無い表情だ。
アリーナちゃん程でないが、怒るイメージは無かったというのに。

「……あ、ご、ごめんっ」

が、直ぐに我に返って、怖がらせていないか、と謝ってくる。

1670とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 23:06:35 ID:lwytrC5E
「―――ひゃい!?」
クレドの勢い、それとテーブルに叩きつけた音に驚いたのか飛び跳ねるように驚く。
少しばかり、涙が目の端に浮かんでいる。

「あ………いや、大丈夫です………。」
心配されればようやく我に返った様子でそう言うやいなや再び俯いていまう。
こんどはいたたまれなさではなく、単純な恥ずかしさで。

1671とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 23:13:23 ID:fNYe7pxA
「ご、ごめん、怖がらせるつもりじゃなくて、俺……ああ、もうっ……」

涙目になったコートニーに気付いたのか、頭を抱えて突っ伏す。
それだけ真剣に悩んでいる、のはいいが、……思いつめ過ぎだ。

「……アリーナさん心配させて、コートニー泣かせて、何してんだよ、俺……。」

1672とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 23:25:05 ID:lwytrC5E
「………い、いや。私だってクレドくんがどんな思いをしていたのか分かりましたし。
それを踏まえてこれからどうするかとか、そういう相談にも乗ってあげたいというか……。」
怖かったのやら落ち込んでしまったクレドくんを励ましたいやらでこちらもてんやわんやな状態だ。
纏まらない思考のまま、気分を切り替えてもらおうと必死に話しかける、

「そんな、」

1673とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 23:33:42 ID:fNYe7pxA
「……ごめん、情けないよな、俺。
 ……っはー……。」

自分も気持ちを切り替えようと、顔を起こして深呼吸。
しかしその表情は明るい、とは言い難い。

「……とにかく、一発なぐんないと、気が済まないんだ、ジャキの事。」
「けど、……俺だと、絶対、勝てないから、……頑張って、強くならないと。」

……それで無茶を、というわけだろうか。

1674とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 23:48:12 ID:lwytrC5E
「情けないなんてことないですよ!
私もアリーナちゃんも、心配症なところもありますし………。」
これ以上ネガティブになあれたら歯止めが効かなくなるかもしれないと思い、励ますように言葉をかける。
……クレドくんたちが無茶をしているのは事実だろうけど。

「………だからって、それ以上詰め込むのは良くないですよ。
普段から無茶してるようにみえるんですから。」

1675とある世界の冒険者:2014/05/11(日) 23:51:07 ID:fNYe7pxA
「……けど、心配掛けてるのは、ホントだろ?」
その言い方だと、特に、である。
実際、アリーナは心配そうだった、ひどく。

「……でも、許せないんだよ」
「俺は、良いよ。元から、……アリーナさんが好きなのは、知ってたし」
「けどっ、アリーナさんが、可哀想だろ、あんなの……!」

ぐっ、と。堪えるように言葉を絞りだす。

1676とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:02:26 ID:vrKywRt.
「………それは、そう……ですね。
ジャキさんも、クレドくんもアリーナちゃんも……。」
みんな、無茶をしがちですから、と軽く微笑んで

「……………。」
クレドくんの怒りは最もだと思う。
ずっと一緒に過ごした親友だからこそ、許せないことなのだろう。
そのことについて、コートニーは自分が口出しできる立場だとは思えなかった。

1677とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:04:29 ID:O/H1EXgA
「……・ごめん、無茶するな、って言ってくれてるのに。」
はぁぁぁぁ、と大きく溜息を吐いて。
身体から力を抜いて、顔を下げる。

「嫌なら、嫌で、ちゃんとアリーナさんに理由言え、って言うんだよ」
「それじゃないと、アリーナさんが、幸せになれないだろ、……っ」

ぶんぶんと頭を振って、……。
言いながらも、ちょっぴり、自分がー、なんて思いはあるのかもしれない。

1678とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:20:43 ID:vrKywRt.
「そう言っても、結局無茶をするんじゃないんですか?
……ジャキさんに勝ちたいって思ってるのは本気でしょうし。」
今までのことを考えるともともと無茶をしがちなタイプの上に絶対的な目標ができた状態だ。
……今はともかく、少しすればまた変わるのは処がないとも思えた。

「……………。」
どう声をかければいいかわからずに黙っている様子だ。

アリーナちゃんも一度告白して、フラレても慕っているのは変わっていない。
だからこそ、今のような状況になってしまったのだろう。
……クレドくんは事情を知らないからこそ行っているのだろうが、知らぬが仏というやつであろう。

1679とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:25:55 ID:O/H1EXgA
「……う。
 け、けど、俺は、ジャキ程才能ないから、頑張らないと……!」
確かに闘技場で一回戦っただけだが、あれはなんというか、別だ。
クレドが戦ってるのを見た事はないが普通にやったんじゃ勝てそうもない。

……とはいえ無理矢理にでも息抜きをさせないと、本当に倒れてしまいそうだ……。

1680とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:37:20 ID:vrKywRt.
「…………わかり、ました。
そういう考えなら、私にも考えがありますよ。」
何か、思いつめたように下を向いてそう宣言する
少しの間を置いてくれどくんのことをまっすぐ見ると、そこには面白げなことを思いついたと言わんばかりの笑みがあった。
邪悪な微笑みというべきなのだろう。とにかくいいよ感がしないのは確かだ。

「……私基準で、危なげに見えたら無理矢理にでもデートに行かせます!
好きでもないこと無理矢理のデートともなれば、過度な無理はしないでしょうし!」
なぜ、そうなったし

1681とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:39:45 ID:O/H1EXgA
「……ん、……コートニー?」
まさか、アリーナさんか上司にでも告げ口されるだろうか。
確かに上司――セシリアさんの方はそういうのに酷く厳しい。
ストラグル先輩はもっとやれ、な人だが、告げ口されては堪らない。
アリーナ何かに言われた日には全部ご破産だが……。


「…………へ?」
「……デート? 誰と?」

きょとん。 予想しなかった自体である。

1682とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:49:01 ID:vrKywRt.
「私です!私と!デートを無理やりさせます!
そんで、アリーナちゃんが誤解しちゃっても私、知りません!」
なんせアリーナちゃんは私とクレドくんが結ばれればいいとか言っている人だ
一緒に遊んでたりなんかしてる場面でも見かければ祝福するだろう。

「息抜きにもなるでしょうし、無茶をさせないための脅しにもなりえます!
これってなかなかいい考えじゃありません?」
斜め上の考えである提案を、ドヤ顔で語っているコートニーであった。

1683とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 00:50:44 ID:O/H1EXgA
「……へ、あ、コートニーと?」
きょとん、と。
いや、それは……ただの嬉しい誘いなのだが。
アリーナさんの事は好きだが、女の子に誘われれは、一応は。

「いや、ちょっ、……息抜きにはなるかもしれないけど!
 コートニーに迷惑は掛けられないって、俺!」

わたわたと、慌てた様子。そりゃそうだ。

1684とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:03:49 ID:vrKywRt.
「迷惑じゃないですよ?私、時折息抜きに一人で出かけますから。
一人で出かけるのが、二人に増えるだけです、なんの問題もない!」
そう言ってサムズアップ。
王都でよく出会ったのはそういうことなのだろう。

「というわけで決まりです!決まり!
女の子の提案には素直に頷いておくものですよ!」
ほとんど強引に決めるのであった。
理不尽である。

1685とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:04:55 ID:O/H1EXgA
「や、でもデートって……、
 そんな風に、悪いし。」
慌てた様子で否定、というか。
説得を続けてみるも……。

「……う、……はぁ。
 ……わ、解ったよ。」

根負け。女の子には勝てないのだ。

1686とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:12:01 ID:vrKywRt.
「はい、同意しましたね!
だから、あんまり思いつめちゃダメですよ?」
そんなクレドの様子を見て、楽しげに笑って

「数こなせば強くなれる訳じゃないですし、気分転換だって必要ですよ!
こうやって、二人でいるのだって気分転換になりませんか?」
場の空気が良くなったからか、両頬に手をついて軽い気持ちで聞いてみる。

1687とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:13:35 ID:O/H1EXgA
「……ん、…・・。」
「うん、ありがとう、コートニー。」
彼女なりに心配して、言ってくれているんだろうな、と思い。
なるだけ明るい笑顔でそう返す。……然しデートか。

「……うん、確かにコートニーと一緒なら、ちょっと気が楽かも。」
「一緒に居て楽しいし、色々話せるからかな。」

はは、と若干照れたように笑う。 そういう言い方だと逆に照れるかもしれない。

1688とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:25:26 ID:vrKywRt.
「………っ。」
クレドから言葉をかけられると、それが心に来たのか顔が少し赤くなると

「と、当然ですよ!それが私ですからね!
じゃんじゃん話してくれていいのですよ!!」
と、照れているのを誤魔化すように喋りだす。
色々わかりやすい。

1689とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:26:31 ID:O/H1EXgA
「……い、いや、コートニー?」
「そういう反応されると、こっちもちょっと、照れるんだけど。」

好きとはいえ、である。
女の子……割と可愛い部類の、仲の良い相手にそういう反応をされれば。

まぁ、照れるものである。

1690とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:35:02 ID:vrKywRt.
「にゃ、そ……そうですか。」
そう言われると、今度は逆に何も言わずに黙ってしまう。
顔が赤いまま、俯いて。

なんか、初々しい

1691とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:37:54 ID:O/H1EXgA
「…………。」
何だか、お互いにちょっと気恥ずかしい感じになってしまった。
クレドの方も、ちょっとそっぽを向いて照れた顔だし。


「……え、っと。」
「じゃあとりあえず、……今日はこのまま、息抜きに、デート……で、良いかな?」

恥ずかしそうにしながらもそう言う青年。
恥ずかしがるなら、言わなきゃいいのに。

1692とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:44:40 ID:vrKywRt.
「………そ、そうですね!
このままデートして……明日から頑張りましょう!」
こちらもこちらで恥ずかしそうだ。
……意識してしまってる状態だからか、少し動きもぎこちない。

1693とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 01:49:13 ID:O/H1EXgA
「えーっと、じゃ、じゃあ、えーっと。」
こちらも変に意識してしまったのか、何処と無くぎこちない。

「け、ケーキ屋とか、コートニー好きそうなところとか、行く?」
何て提案してみる。

「(何か、アリーナさんに、悪い気がするけど)
「(……コートニー、実際可愛いしなぁ……うぅ……」

と、心のなかで呟くが後半、声に出てます。

1694とある世界の冒険者:2014/05/12(月) 02:01:36 ID:vrKywRt.
「あ、あぁ……ケーキですか、いいですね!
それなら、早速行きましょうよ!」
そう言って立ち上がり楽しげな表情を見せる。
甘いモノは、好物なのだ。

「……ふぇ?か、かわいい……!?」
……ただ、漏れでていた声をはっきり聞き取ってしまっていた。

「へ、変なコト言わないでくださいよぉ!」
聞き取ってしまった瞬間、顔を真っ赤にしててんやわんやな状態になってしまっていた。
……ケーキ屋に行くのはもうちょっと時間がかかりそうだ。

【FO】

1695とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 02:27:09 ID:7gQU53rw
【王都、中央広場】
「………喧嘩、したのでしたよね。ジャキさんと。
というわけで……この前の話、覚えてますよね。」
怒り心頭、といった面立ちで話しているのはラフな格好をした少女。
相手を静かに責めているような、俗にいうジト目で対している青年を見ている。

「結局、あの話をしてもカアラなかったじゃないですか。
ともすれば……無理矢理にでも反省させますよ!反省!」

1696とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 02:29:10 ID:ytzV1lq2
「……いや、その。」
「あっちもイライラしてた、と言うか……うん。」
居心地悪そうに……。
つい先日話したばかりだ、というのに。
偶然図書館で出会ったジャキと喧嘩した挙句、殴り合いになった、という。

「う……はい。」
はぁ、と肩を落として。
いや、別にデート、は嫌でないのだが。

1697とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 02:33:54 ID:7gQU53rw
「そんなの関係ないんですよ。
お互いに機嫌が悪いとしても、仲直りくらいやろうとすればできますよ!」
攻めているのか励ましているのかよくわからない事を言っている。
ある種、二人の仲の良さを押し付けているようにも見える。

「というわけで、デートをしましょう。
………それで一つ、決めなければならないことがあります。」
そう言って、深呼吸一つ。

「―――どこに行きましょうか。」
決めてなかったのかい。

1698とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 02:35:36 ID:ytzV1lq2
「……そうかも、しれないけどさ。
 あれは、あっちが、悪いだろ。」
そっぽを向いて、反抗的だ。
……とは言え、比較的冷静な性格であろうジャキさんが殴り返すまで、となると。
よほど虫の居所が悪かったのかもしれない。

「それはいいんだけど……
 うーん、デート……?」
罰ゲームにデートは何か、違うような。
いや、たしかに自分が好きなのはアリーナだが。


「……コートニーってもしかしてデートしたこと――」
それ以上いけない。

1699とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 02:54:47 ID:7gQU53rw
「………もう!それだからいけないんですよ!
お互い、頑固なままだと仲直りできませんよ!」
プンスカプンスカ怒っている状態だ。

「あれ?名案だと思ったんですけど。
アリーナちゃん、私とクレドくんがくっつけばいいって思ってますし……
こうやって二人で過ごしているの見たら勘違いすると思いますよ。」
だからこそ、罰ゲームになりえるのだと説明する。
と言うより、サラッと酷いことを言っているが。

「………聞こえませんねぇ!?
すいません、もう一度行ってくださいますかぁ〜!?」
あ、地雷踏んだ。

1700とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 02:56:30 ID:ytzV1lq2
「いや、だって! ……あーもう、悪かったよ。」
下手に意固地になっているようだが。
……怒る女の子には勝てない。

「う。 ……そ、それは、うーん……
 あ、いやホラ、それだとダメだろ!
 コートニーが困るし!」

若干、ためらうような表情をしたが、すぐにそんなことを。

「あー、あー!ごめん、ごめんって!」

1701とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:03:19 ID:7gQU53rw
「それでいいんですよ、それで。
今は、謝らなくてもいいんですから、せめて殴りあったりしないでくださいよ、もう。」
そう言って、軽くため息をつく。
怒る気持ちもわかるからか、起こるのもこのくらいにしておこうと決めるのであった。

「大丈夫ですよ。あくまで誤解なんで、説明すればどうにかなりますとも。一回は。
そ・れ・に、クレドくんのこと、嫌いじゃないですから。」
からかうように、にししと目を細めて笑っている。
恥ずかしがっている様子もないし、確実に冗談だろう。

「…………ほら、デート行きますよ!」
謝り倒しているクレドの手を掴んでそのまま歩き出す。
………どこに行こうというのだろうか。

1702とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:06:10 ID:ytzV1lq2
「……そりゃ、先に殴ったのは、俺だけど。」

仮にも騎士学科が、それはどうなのか。
いや、聞くに思い切り返り討ちにされたそうだが。

「俺もコートニーの事は嫌いじゃない……っていうか、好きだけど。
 色々困るんじゃないのか?」
そういう意味でないにはしてもさらっとそういう事を言うのはやめた方が良さそうだ。

「いや、だから行き先はっ!?」

引っ張られ歩き出す。
無計画ここに極まれり。

1703とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:21:04 ID:7gQU53rw
「………先に手を出したらダメですよ。
騎士様なんですから。」

「や、女の子に……と言うより好きでもない子にそんな軽々しく言っちゃダメですよ?」
案の定、そんなことを言われただけで照れている。
見る限り、まんざらでもなさそうだ。

「適当に、近くのケーキ屋さんにしましょう!」
そう言いながらもあっちやらこっちやら連れ回している状態。
明らかに、テンパっている。

1704とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:26:09 ID:ytzV1lq2
「……解ってるけどさ。」

「え? ……あ、いや、そう言う意味じゃなくて!」
「別に全く思ってないとかそういうのではないけど、……あー、ごめん!」
自爆連続100といったところか。
こちらも赤い。

「近くって何処!?」
とりあえずはドコか腰を落ち着けるべきである。

1705とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:37:44 ID:7gQU53rw
「………約束、ですよ?」
そう、確認するように言うのであった。

「ア、アリーナちゃんがいるんですからそんなこと言っちゃダメなんですよぉ!
誤解してくださいって言ってるようなものじゃないですかぁ!」
こちらもこちらでクレドの言葉に過剰反応してしまっている。
と言うより誤解されても問題ないはずじゃなかったのか。

「と、とりあえずあそこにしましょう!」
そう言って入った店は小洒落たケーキ屋さん。なかなか悪くなさそうではある。
ただし、店にいるのは女の子だらけ……気まずいかも。

1706とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:39:18 ID:ytzV1lq2
「……うん。」
納得、行かない様子だが。嘘は吐かない人だ。

「いや、そりゃそうだけど……
 けど女の子相手だし!!」
紳士か。
……尚傍目から見れば完全に微笑ましいカップル。

「あ、うん……って。」
うーんと、首をひねる。
大丈夫だろうか……?

1707とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:46:58 ID:7gQU53rw
「…………うん、ありがとうございます!」
クレドくんの気持ちもわかるからか、お礼を言う。
……ここで折れるべきなのはジャキさんであろうけど、クレドくんが折れるのが一番穏便に済むのだろう。
そう考えると、悲しい物があった。

「………クレドくん。女の子にモテますよね?
そんな歯が浮くセリフ言っておいて、気にしないのはアリーナちゃんくらいですよ?」
またもやジトーっとクレドを攻めるような目線で見ている。
……顔が赤いのはご愛嬌。

「………えっと、その……どうしましょ。」
入ったはいいけど……と言いたげな顔でクレドを見上げる。
と言うより、手をつないだままだ。

1708とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 03:55:02 ID:ytzV1lq2
何せ相手は、ジャキだ。
闘技場で若干戦い、数度顔を合わせたが……、

何というか、生きる世界が、ズレている。

「え? ……んー、どうだろう。
 あんまり話さないからな、他学科の子と。」
尚周囲にはアリーナが彼女と思われているので、勝ち目がない、と思われている模様。
本人は知らぬ事である。

「とりあえず、座ろうか。
 立ったままじゃなんだし。」

と、今度は自分から手を引いて、適当な席に座る。

1709とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 04:00:18 ID:7gQU53rw
(……今度、ジャキさんともお話する必要があるかもですね。)
あまり、ジャキさんの事情を知らない人間だが、そう思えるほどの迫力というか、そういうものがあった。
……だが、ジャキさん視点でアリーナちゃんをフッた理由は、なんとしても聞くべきなのだろう。

「………そうですか?
なんだか無意識に女の子を引っ掛けていて、後ろから刺されそうな感じですのに。」
例えが すごく 失礼だ!

「あ、そ……そうですね。
わりと良さそうな店ですし、味も悪くないんでしょう。」
手を繋いでることも意識しないまま、椅子に座る。
自然と、座る市はクレドくんの隣だ。

1710とある世界の冒険者:2014/05/14(水) 04:02:16 ID:ytzV1lq2
アリーナちゃんは、仕方ない、風に言っていたが……、
一体、どんな仕方ない理由であんな娘を振るのだろうか?

「……俺、そんな感じなのか?」
あ、傷付いた。

「女の子が多いみたいだし……
 コートニーは好きな感じかもしれないな。」

……なんとなく手をつないだまま、メニューなんかを広げて。
つないでいるのが自然みたいになってきている。

1711とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 22:20:06 ID:IIp5BklU
「あ、いえ!別に否定してるわけじゃないんですよ!
ただ………その、クレドくんかっこいいですし、そんなセリフ言ってたら告白の一つでもされてておかしくないんじゃないかなって思ってまして。」
クレドを傷つける意図はなかったのか落ち込んでいるのを見ると慌てて否定しだす。
………なぜだろうか。こんな話をしていると胸の中にもやもやが溜まってくる。

「甘いのが嫌いな女の子なんてめったにいませんからね。
とりあえず、メニューでも見ましょうか。どれどれ……」
二人でひとつのメニューを見ることになる異常、自然と肩が触れ合うくらいまで距離が詰まる。
手をつないでいるのもあって、傍目からすれば完全にカップルだ。

「………あ、これとか美味しそうですね。」
ショートケーキやアップルパイなど、色とりどりなケーキの中からコートニーが選んだのは苺のタルトだ。
メニューに乗っているそれを指さしながら言っているので、距離の近さには気づいていない。

1712とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 22:27:13 ID:DO9qpRZQ
「別に、そういう事も……うーん……中学校の頃はあったっけ……、
 でもあの時はアリーナさん達と遊んでる方が楽しかったし……。」

ちょっと悩む感じで昔のことを思い出しているのか。
なんだか、女の子の話題を出すのはよくない気がする。

「アリーナさんも好きだしなぁ、甘いの。
 俺はそんなにー、だけど……。」
こちらも自然すぎて、逆に意識していないのか。
肩が触れても特に何も無い……が、クレドの少し長い金髪がコートニーに触れる。

「タルトかぁ……確かにちょっと美味しそうだな。」
尚、周りの目はキャーとかナカイイナーみたいなそんな眼である。

1713とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 22:42:35 ID:IIp5BklU
「………ああ、アリーナちゃんたちとは中学生からの縁でしたか。
達って言ってることは……その頃から、三人だったんですか。」
女の子の話題を避けるように、別の話題に変えていく自分を、自分自身でも不思議に思った。

「男の人で甘いモノが好きだと難儀しそうですね。
こういうお店に男一人は肩身が狭そうですし……んっ。」
髪が触れた箇所が擽ったかったのかむず痒そうに顔だけ距離を離す。
そこまで顔が近くなっていることにまだ気づいていない。

「クレドくんはどうします?
甘いもの以外ってなるとちょっと厳しいみたいですけど。」
念のためひと通り見てみたが、甘いもの以外となるとバタートーストくらいで、ほかはケーキとかパフェとかそういうのばかりだ。
メニューに集中しており、周りの視線とか間rで気にしていない。

1714とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 22:47:16 ID:DO9qpRZQ
「あ、うん。 ……三年生の頃にジャキと合って。
 で、学校祭で一緒に色々やって、そっからはずっとかなぁ。」
懐かしいなぁ、と思い出すように染み染みと言う。
つまりアリーナとは、もう少し前から、になるのだろうか。

「知り合いに一人居るけど、女性限定のお店があって辛いー、って言ってたかな。
 あ、ごめん、擽ったかったかな。」
と、触れた髪を手で少し払って。
こちらも気付かない、……いや、気付けそろそろ。

「うーん……ああ、じゃあビターチョコのケーキにしようかな、
 これならそこまで甘くもないだろうし……。」
メニューを少し覗き込むようにして。
……ちょっと身を乗り出したからか、肩が触れる。

1715とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 22:58:49 ID:IIp5BklU
「ジャキさんとはそのくらいからの仲なんですねぇ。
学校祭で色々やって、って言われてもジャキさんが馬鹿騒ぎやってるイメージが全然湧きませんけど……。」
その言い方だと、アリーナちゃんとはもっと前からの付き合いのようにもおもえたが それと同じくらい気なる発言があったのでそっちを聞いてみる。
……いや、馬鹿騒ぎと決まったわけじゃないのだが、学園祭と言われたら馬鹿騒ぎがまず思い浮かぶ。

「あー、そういうのは女の子の知り合いに頼まないといけないでしょうし大変でしょうねぇ。
あ、いえ。大丈夫………じゃなかったですね!色々と!」
髪が触れ、肩が触れ、そこでようやく触れたものがクレドの髪だと気付いて、そしてこうまで近づいていたことに気付く。
恥ずかしげな様子でちょっとだけ距離をとったが、未だに手はつないだままである。
そっちにまで意識が回っていないだけだが。

1716とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 23:01:58 ID:DO9qpRZQ
「うーん……そうだなぁ、それで仲良くなるまでは、クラスでもいっつも一人だったんだけど、
 友達に、俺とアリーナさんがバンド誘われて……で、なんでかアリーナさんがジャキ連れてきて。」
学校祭のバンド、ありがちである。クレドみたいなタイプは誘われればやりそうであるし。
とは言え、ジャキとアリーナはどことなくイメージが違うが……。

「らしいよなぁ、男のそういう専門店できないかなって言ってて…
 ……え? あ、うわ、ごめん!」
と、こちらも少しだけ離れるが……やっぱり手は繋いだまま。
と言うか驚いたからか、ちょっと強く握るようなかたちに。

1717とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 23:16:58 ID:IIp5BklU
「へぇ、バンドですか!それを機に仲良くなったんですね。
……あれ、アリーナちゃんとジャキさんもですよね。ジャキさんはなんとなく絵になりそうですけど。」
以外というかなんというか、アリーナちゃんは結構押しが強いのでジャキさんがバンドに入ったのはわかるが……。
そもそもとして、アリーナちゃんがバンドをやるイメージがない。と言うかそんなロックな歌を歌うイメージが湧かない。

「あ、謝らなくてもいいですよ!
えっと、今更こんなことしてたら怪しく見えちゃいますって!」
強く手を握られて、今まで手を繋いでいたことに気づくが、これに慌てて更に行動を取れば悪目立ちするのではないかと考える。
結果として意識しながらも手は繋いだままという状態だ。
といっても、恥ずかしいようで、時折チラチラとクレドのことを見ていたり。

(そ、そんな珍しいものでもないのに………。
そんなに見ないでもいいじゃないですか……!)
と、ここに来てようやく視線に気づく。
本人的には恥ずかしいことやってる最中なので、正直たまったものではない。

1718とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 23:22:06 ID:DO9qpRZQ
「うん、その後はジャキもクラスに馴染むー、みたいな感じでさ。
 そうそう、ジャキはギター上手くて……アリーナさんも、すっごい歌上手なんだよ。」
なんとなくイメージは付かないが……歌は上手そうだ、確かに。
聖歌、なんかも謳ってはいるのだろうし。

「「あー……えっと、じゃあ、この位置で……?」
不自然に見えるのも変だし、他の人の後期の目線にコートニーを晒すのもあれだ、
となれば、と思って、余り離れない位置に、手を繋いだまま……。


『仲の良いカップルさんだねー』
≪……羨ましい≫

周りをちら、っと見てみれば……、
やっぱり、そんな声が聞こえてきちゃうわけで。

1719とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 23:36:02 ID:IIp5BklU
「いやぁ、アリーナちゃんが歌歌うのが上手なのはわかるんですけどね。
こう、ポップスとか歌うイメージが湧かないのですよ。
………あれ、そうするとクレドくんは何やったんですか?」
ふと、クレドがバンドで何を担当したのか聞いてみる。

「そ、そうですね……。そこなら大丈夫かと。
……そろそろ、注文しましょうか。このままなのもアレですし。」

(カップルですか………そ、そう見えますよね……。
手繋いじゃってますし、さっきまで本当に近かったですし。)
周囲の声を聞いてなおさら恥ずかしがるコートニーであった。
なんだかんだ言って、周囲からあんなことを言われるのは初めてだ。

1720とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 23:39:07 ID:DO9qpRZQ
「アリーナさん、結構色々聞いたりするんだよ、アレでも。
俺? 俺はベースで、友達がドラムとキーボードだったかなぁ。」

ちょっと意外である。
……いや、ジャキの影響、とかはあるかもしれない。

「ん、そうだな。 っと……すいませーん。」
と、店員さんを呼び止めて注文するクレドくん。
こういう所率先してやってくれる所はやっぱり、というかなんというか。

……どうしても意識してしまうのではなかろうか。

1721とある世界の冒険者:2014/05/16(金) 23:58:14 ID:IIp5BklU
「そしてボーカルがアリーナちゃんと。今度、お話でもしましょうかね。
クレドくんはベースと。今もやってるんですか?」
クレドの担当よりもアリーナちゃんが歌ったことが意外だったようで。
……ジャキさんの影響でその時代から色々聞いていたとするなら結構古い付き合いになるわけだし

「あ、私は紅茶でお願いします。
……自分の分は払いますので。」
注文をとりに店員が来るまでに、そう言っておく。
さすがに、強制的にデートさせておいて自分の分まで払わせるのは理不尽だ。

そして、繋いだ手を見ると軽く微笑んで、
……意外と、クレドくんとのデートも、悪くないなぁとも思い始めたり。

1722とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:01:41 ID:7H3429m6
「俺はー……偶にかなぁ。
 アリーナさんも、鼻歌で歌ってるの聞くぐらいだし。」
専ら聖歌、というわけである。
……急に連れてきた、という事はアリーナの方はジャキの事をもう少し速く知っていそうだ。

「え? いや、うぅん……けど、デートだし。
 そのー……」

と、自分の分を払うというコートニーの言葉にかえして、
一度ためらうように言葉を切って。

「……俺も結構、っていうか、楽しんでるし。
 良かったら奢らせてくれると、嬉しいんだけど。」

繋いだ手を見た後、少し恥ずかしげに頬をかいて。

1723とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:19:01 ID:I2flcTbo
「さすがに、今はおふたりとも忙しいでしょうしねぇ。
趣味って開いた時間にやるものでしょうし。」
特に協会の運営やら騎士になろうとしてるやらで忙しい二人には厳しい物があるのだろうか。
……アリーナちゃん、中学生にふられたとか言っていたし、出会いはもっと前になるか。

「……!楽しんでくれてるんですか!
その……付き合うのも大変かと思ったんですけど、ありがとうございます」
楽しんでると聞いて思わず嬉しそうな表情になる。

なぜだろうか、元々は反省させるためのデートのはずだったのに。
いい雰囲気になっている。なってしまっている。

1724とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:21:49 ID:7H3429m6
「そうだなぁ……ジャキは多分、してないだろうし。」
尚、クレドの知らぬ事ではあるが偶に自分の部屋で一人でギターをいじっている事はあったりする。

「今度さ、アリーナさんの歌聞いてみたい、って言ってみよう、きっと謳ってくれるし。」
それは何だか愉しみである。

「え? いや、だって、コートニー、可愛いし……、
 そりゃ、楽しくない訳無いと思うけど。」

きょとん、としてそう返す。
……が、言った後に顔がゆっくり赤くなってくる。

墓穴。

1725とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:31:12 ID:I2flcTbo
「ジャキさんは何でも屋さんでしたっけ。
……三人の中では一番暇を持て余しそうな感じだとは思いますけど。」
何でも屋と聞いて猫探しとかそういう人気のない探偵めいたイメージしか沸かないコートニーにはそんな偏見があるのであった。
それと同時に、一人でギターいじってるのがあんまり似合ってなさそうだなぁという失礼な考えも。

「あ、それいいですね!
アリーナちゃんの歌声、綺麗ですからそういう歌も歌ってくれればって思ってたんですよ!」
その時のことを考えると楽しみでしょうがない。
……つぎのデートはそれでもいいかもしれない、と思うのだった。

「………言って恥ずかしくなるのならわざわざ言わないでくださいよ!
こ、こっちだって恥ずかしくなるんですから!」
こちらは一気に顔がボンッと赤くなる。対照的だ。

1726とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:33:57 ID:7H3429m6
「んー……傭兵とか、も兼ねてるらしいけど。
 その、悪魔祓いだとか……王都の外の、魔物の退治、とか。」
どちらかというと、請負人とか、掃除屋、とか。
そういうたぐいの何でも屋、なんだろうか。

「うんうん、だろっ?
 そういうの謳ってくれるなら、俺もギター持って来るし。」
うんうん、と頷いて。
……別の女の子の話で盛り上がってるのもなんだか不思議である。

「い、いや、だって嘘吐くのもアレだったし……、
 ほ、ほんとにそうは思ってるから!一応!」

慌てて否定するが墓穴を広げているだけだ。

1727とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:45:23 ID:I2flcTbo
「………そんな稼業やってるのにアリーナちゃんのとこ行ったりする余裕はあるんですねぇ。
もしかして、相当な腕前だったりします?」
闘技場で戦った事こそあれど、外部からの評価とかその辺りは全くわからない。
ただ、とにかく強いことはわかっているのだが。

「おお、クレドくんも腕前披露するんですか!
…………ああ、一緒に演奏とかすれば二人の距離も近づくかもしれませんしねぇ。」
それに同意すると同時に、距離が近づくかもとからかうように言う。
………クレドくんが好きな相手がアリーナちゃんということを考えると、チクリと胸が傷んだような気がした。

「い、一応ってなんですか!?
女の子褒めてるんですからそんな言葉付け足さないでくださいよ!」
顔を赤くして、見当違いな方面に怒っている。
……こっちまで墓穴を広げだしている。駄目だこりゃ

1728とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 00:47:53 ID:7H3429m6
「あー…………」
「……うん、だから、ハードワーク、してたかも、」
少なくともクレドじゃ絶対に敵わないぐらいには強い、ということだ。
……とは言えクレドも騎士学科筆頭だし、相当なものだろうが。

「ん、……そっ、かなぁ?」
「そうだと良いんだけど。」
ちょっと照れたように言って笑うクレド。
何だろうか、 ……ちくりと胸が傷んだせいなのか、ずきずきするような。

「わ、解ったって! コートニーは可愛いよ!
 だから俺もデートできて楽しいし正直、すごい嬉s……ああーもう何をっ!?」

墓穴、拡大中。

1729とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:02:46 ID:I2flcTbo
「……だからって、無茶しちゃダメですよ。」
(そこまでの差となると……努力、才能の差だけじゃなくて、他にも何かあるんでしょうねぇ)
クレドも相当に強いはずなのにそこまでの差となると才能という言葉でも埋められない何かがあるのだろう。
……というよりそう思わないとやってられないと思う、魔術師のコートニーであった。

「………ええ、そのまま急接近!って事もありえるかもしれないですね!」
けらけらと、背中を押すように笑顔のままそう言う。
……胸の痛みをごまかすかのように明るい発言をしたのに、ごまかせないどころかより痛みは大きくなって。

「あわわ、もう変に喋るとどんどんひどいことになりますよ!
それに、あんまり騒ぐと周囲の人に迷惑ですし、喋らないのが賢いかと!」
先ほどの視線を思い出したのか、あたりを見回しつつ、そういうのだった。
実際、周囲の視線が気になる小さな人間でもあるのだ。

1730とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:04:52 ID:7H3429m6
「……うん、ごめん。」

素直に謝る。
あれだけ言われれば、流石に、というもの。

「そっ、かなぁ……?」
と、ちょっとだけ期待するような様子だが。

「……? コートニー?」
何処か様子が変なコートニーに気付いたのか、疑問ゲに名前を呼びかける。

1731とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:20:20 ID:I2flcTbo
「まぁ、あんまりしつこく言うのもなんですからね。
適度に頑張りましょう!」

「………ああ、なんですか?
いいじゃないですか。アリーナちゃんと仲良くなれるいい機会ですよ?」
なんとなく、なんとなーくクレドにはわかるだろう。
怒っているというか、怒りを持て余しているというか、負のオーラをまとっているというか……。

1732とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:24:05 ID:7H3429m6
「……え、っと……」
怒った、というか。
何だか不満気な様子のコートニーを見て。

「……――あ。」
察した。彼は別に朴念仁でもなければ、
別段鈍感な方でもないのだ。


「ご、ごめんコートニーっ!」
そして何かに気付くや否や、両手でコートニーの手を取って申し訳なさそうな表情で、顔を寄せる。
やだ、ちかい、はずかしい。

1733とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:31:17 ID:I2flcTbo
「や、なんですか急に!近い、近いですよ!
ほら、他の人も見てますって!」
顔を寄せられるのが恥ずかしいのか少し後ろに仰け反って。
……貧相な体つきなのでプロポーションが強調されたりとかなかった。

そして、この怒りは自身でもイマイチ原因がよくわかっていなかった。
なにせ、今日はじめて味わう感覚なのだ。気持ちの整理も全然ついていないというのに。

1734とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:35:59 ID:7H3429m6
「その……ごめん、俺デート中なのに、アリーナさんの事ばっか言って……」
「……無神経だったと思う。」
手を両手で取って真面目な表情。
……はて、コートニーからすれば、別にクレドがアリーナの事を言うのは問題無い。

問題無い、筈なのだが。

「その、なんていうか変な感じになるけど……、
 デート中は、コートニーの事だけ、見るからっ。」

……真面目な表情でそんな事を言われるとどうすればいいのか解らなくなりそうである。

1735とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:45:17 ID:I2flcTbo
「………あれ、いや、クレドくんが好きなのはアリーナちゃんですよね。
うん、私だってわかってますよ。それは。」
それなのに、胸の痛みは自然と収まって。
それどころかぽかぽか温まる感覚。これも初めての感覚だ。

「あぁ、真面目な顔でそんなこと言わないでくださいよ……!
照れるじゃないですか………!」
クレドのことをまっすぐ見れないくらい恥ずかしいようで、顔を赤くして俯いてしまう。

1736とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 01:47:19 ID:7H3429m6
「それは、……そう、だけど。
 ……半分ぐらいは、自分でも認めたくないけど、諦めてる、みたいな所も、ある、し。」
特に、ジャキとアリーナの件を色々と知って、喧嘩何かをしてしまえば。
自分が入るような隙は思っていたより少ないんじゃないか、と時々思ってしまったりも。

「え、あ。……ご、ごめん!?」
手を離してしまい、少し離れて慌てた様子。
何だか、離れると離れるで、それはそれで寂しいような。

1737とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 02:00:05 ID:I2flcTbo
「……そう、ですか。」
なぜだろうか。この前であれば発破をかけていたのに。
今は発破をかける気になれなかった。

「……………。」
恥ずかしさは抜けきっていないようで、そのまま無言で俯いている。
手が離れても寂しくはなかった。ただ、手がこんな季節なのに一気に冷えた感覚がしただけ。

1738とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 02:01:49 ID:7H3429m6
「……うん、あんまり、認めたく無い、っていうか……何だろ。
 アリーナさんにはちゃんと幸せになってもらいたい、っていう、みたいな感覚、なのかな。」
うぅん、と少し悩ましげに、途切れ途切れ。

「……え、と。」
「こ、この店ちょっと寒い、よな?」

何て惚けた事を言いながら、離れた手を繋ぎ直す。

1739とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 02:10:34 ID:I2flcTbo
「それは………私だって、そうですけど。」
(―――クレドくんはそれでいいの?)
ジャキに怒った理由もそういうことなのだろう。
そして自身が報われない恋をしたとしても相手のことを思ってられる優しい人だとも思う。
だが、それでは最終的にクレドはどうなるのだろうと思わざるを得なかった。

「………そ、そうですね、寒いですね。
暖かいものが来るまでこうしてましょうか。」
まんざらでもない様子で、手を握るのであった。

1740とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 02:14:27 ID:7H3429m6
「…・・うん、何か変な感じ、なんだけど」
「それで、良いの、かも。」
少し自分に言い聞かせるかのように言い終えて、
小さく息を吐いてこの話しは終わり、といった風に首を振る。


「うん……、
 ……ちょっと、落ち着くし。」
手をつないでいるとお互いの体温を感じられる。

1741とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 02:22:02 ID:I2flcTbo
「……それでいいのなら、とやかく言いませんよ、もう。」
不満そうではあるが、そこまで口を出す気にはなれなかった。

「………はぁ、暖かくて、いいですね。」
一息ついたかのように息を漏らして。
なんだか、幸せそうな様子。

でもこれ、傍から見れば完全に(ry

1742とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 02:24:01 ID:7H3429m6
「……ん、なんか、ごめん。」
苦笑い。なんとなく、そういうふうな笑顔は似合わない気がする。

「……ん。」
ふぅ、とちょっと落ち着いた様子で一息吐いて。
二人して安心して幸せそうにする様子はその場に居合わせた女子をして、

ええ、なんかとっても仲良いカップルでした、だったとか。

1743とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 23:27:27 ID:B5y0le5g
<王都近くの草原>

【周囲は闇に包まれ、視界が悪い王都の草原。
柔らかく照らしているはずの月も今は雲に隠れてしまっている。

そんな草原に何かの影が蠢いている。
形としては人の形をしているが、その足の動きは覚束ない。

そして、時折ざわざわとその体の表面は波紋の様に揺れ動く。】

『…………。』

【その影は目的が無いのか、適当に辺りをうろうろしているだけのようだ。
ふと、少しばかり強い風が吹く。

体の表面はさらに波打つ……と、同時に甘ったるい香りがその風に乗った。】

1744とある世界の冒険者:2014/05/17(土) 23:50:58 ID:B5y0le5g

『…………。』

【適当にぶらぶらとしているように見えるが、手足を確認するように
動かしているような印象もある。

そして、自身の腕を掴んで撫でるように動かした。
すると、ストン、と撫でたところから溶ける様に腕が落ちた。

だが、その〝影〟は焦る様子も無く、落ちた腕を放置するとそのまま歩き始める。】

「カワイソ、ウ、……オロカナ……。」

【甘い香りと同時になにやら水っぽい音が響くように。】

1745とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:05:32 ID:QUvAHCdg
魔法使いの女の子、上空から箒で降りて来ました

「よっと、たまには街の外もいいよね〜♪」

と、ノー天気に呟くが、影の存在に気付く


「な、何!?」
と、影の方をじっと見つめて警戒してます

「大丈夫……いざとなれば魔法で……」

なんて呟く

1746とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:08:54 ID:f4FujhJs
「……なんだ、この匂い?
誰かがキャンプ張ってるわけでもねぇよなぁ。」
そこを偶然通りかかることになった大剣を背負った皮鎧姿の青年。
いや、通りかかったというより甘い香りに惹かれてきたのだろう。

「なんだあれ。ありゃ、人か?
その割にゃあ怪しいナリってもんじゃないが。」
そしてただ歩いている影を不穏そうに見ている。
仕事帰りでもあるのだ。危なそうに見えるのならとっとと退いて報告すべきだろう。

1747とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:13:40 ID:HCAVsLyk
>>1745-6
『…………?』

【その影は現れた二人を察知したらしく、首を動かしている。
一応、真っ当な動き方はしているようだ。……いつのまにか、先ほど落ちた腕は戻っていた。

見る限りでは人型……周囲が真っ暗な所為でそれしか分からない。
分かるのは背丈くらいのものだ。……その背格好は少女のものである。

すると、雲の切れ間が訪れた。
月の光が雲の間から徐々に漏れ、その姿を青白く浮かび上がらせていく。

依然として、甘い香りが周囲を漂う。】

1748とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:20:43 ID:QUvAHCdg
>>1146
「あ、おーい、なんか変なのうろついてるし注意した方がいいよ〜」
と、青年に気付くとこんな事叫んでます
ひざくらいまでまっすぐ伸びた長い茶髪に緑目、箒を持って魔女帽にローブと完全な魔女っ娘ルックです

>>1147
「……もしかして……女の子??」
と、そう語りかけます

「えっと、こんな所で何してるのかな??」
と、きょとん顔で

1749とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:27:06 ID:f4FujhJs
>>1746-1747
「気にすんな、見た限り穏便そうだ。
刺激しなけりゃ大丈夫だろうよ!多分な。」
叫んでいる魔女っ子に対しては余裕を隠さずヘラヘラと言っている。

見て、すぐに跳びかかってこないことを考えるとそこまで好戦的でないことは確実だ。
ただ、逃げないところから臆病でないとこも確かだろう。
まぁ……甘い匂いがこの影の持っているお菓子が原因で正体がただの女の子であればやってることはただの変態だが。

「だがまぁ、積極的に交戦する様子は無さそうか。
これだったら、別に問題ねぇか!」
中立の存在であれば手出しをする気にはならなかった。
見たところ、ただ徘徊してるだけのようだし。
ただ、その姿がシルエットしか見えておらず本当に人かどうかは、せめて確かめる必要があったが。

1750とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:32:56 ID:HCAVsLyk
>>1748-9
【その姿が月明かりによって明らかになった。
今まで、影と思っていたソレは影ではなかったようだ。

まさしく、それはただの〝真っ黒な少女〟であったのだから……。
少女の形をした黒い汚泥。静かに流動しているのかその体の表面は波打っている。

そして、少女の形を模しているだけであるため、その顔は無い。
その汚泥の塊が何故か甘い香りを振りまきながら、徘徊している。

この少女が甘い香りを振りまきながら彷徨うという構図は2人が王都周辺の事故について
明るければ、思い当たる節があるかもしれない。

…………蜂蜜の怪物と呼ばれた少女、のことである。】

1751とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:40:54 ID:QUvAHCdg
>>1749-1750
「ホントに大丈夫かな〜………」
と、余裕を見せるギャリーに対して呟いて

「…………怖!!」
黒い少女の姿を見るなり反射的に言います
その後苦笑して、一呼吸置いてまた黒い物に語りかけます
「と…………喋れないの?こんな所で何してるのかな??お姉さんに話してみなさい」
なんて偉そうに言っとる

蜂蜜の怪物については知らない様子

1752とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:45:31 ID:f4FujhJs
>>1750-1751
「――――おいおい、マジかよっ!」
慌てた様子でバスターソードを抜刀。
左手をかざし、宙に魔法陣を描くとそこから炎の精霊が飛び出てきてギャリーの周囲を漂い出す。
その姿を見てから一瞬で戦闘態勢を整えるのであった。

「おい、嬢ちゃん!離れろ!ありゃヤバい!厄ネタってもんじゃねぇ!」
そして、その姿を見ても怖じけないどころか話しかけている魔女にただならぬ様子で怒鳴っている。

冒険者として周囲の事件を調べている以上、その怪物を知らないわけがない。
あくまで噂話程度だが、それでも危ない存在であることは存じていた。

「けど、待てよ。おかしくねぇか?
………蜂蜜の怪物は討伐されたって聞いたぞ?
つーことはアレはパチモンか?それとも、同じ種族か?」
ただ、噂によるとすでに討伐されているはず。
それが、なぜ今こうしているのかがわからなかった。

1753とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:52:13 ID:HCAVsLyk
>>1751-2
『アマイ、モノ――――スキ?』

【真っ黒に塗りつぶされた少女の形をした泥の〝口の部分〟が不出来に割れて言葉を述べる。
声もそれほど明瞭では無いが、確かに人間の言葉を発している。

言葉を述べ終わると同時にその口の部分から汚泥が零れ落ちた。
汚泥が地面にこぼれ、広がると更に甘い香りが強まる。】

『――――……。』

【ただならぬ様子で剣を引き抜いた少年の方へ顔を向ける。
なぜかは分からないが〝嘲笑〟された気がする。】

1754とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 00:59:31 ID:QUvAHCdg
>>1752-1753
「む、嬢ちゃんって……私二十歳なんだけど〜」
とか言ったそばで、黒い怪物の、言葉と、広がる甘い匂いを察知して

「ヤバいかも…………」
咄嗟に手に持った箒を浮かし、後方へと距離を取る

「でも…………ヤバい怪物ならぶったおしてレオナちゃんの名前売るチャンスって感じだよね」

等と言って、右手からぼんっと火の玉出して、それが漂ってます

1755とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:07:51 ID:f4FujhJs
>>1753

「……………。」
『#$+*@?』
「あー、わかってるよ。そんなすぐに手は出さねぇさ。」
怪物の嘲笑っているような様子を見て、見るからに苛立っている。挑発に弱いようだ。
が、側にいた精霊がなにやら言うと落ち着きを取り戻した模様。

「……って、年上か。
てっきり、年下かと思ったわ。その辺りの娘の年齢は見た目じゃわからんな!」
……言動的にもっと幼いかと思ったのは黙っておく。

「お、アンタも火を使うのか。俺の予想が正しけりゃ、ありゃ蜂蜜のバケモノだ。よく燃えるだろうよ。
………なんかその割にはなんか色が黒いけど。」
右手だけで持っていたバスターソードを正面に構える。
そうすると刃が炎を纏い、周囲を明るく照らす。

1756とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:15:09 ID:HCAVsLyk
>>1754-5
『…………!』

【突如、左腕をレオナのほうへと突き出した。
左腕の先がどろりと溶けたかと思うと、そこから赤紫の魔力が収束する。

その速度は異常なほど早い。その速さと魔力の密度と量に相反する。
そして、時間を待たず暴力的なまでに膨れ上がる魔力が左腕が発射される。

下手な障壁では障壁自体が弾き飛ばされてしまうほど。】

『――――アマ、イ……。』

【体から汚泥がどろどろと零れだしながら、言葉を紡ぎ出す。】

1757とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:24:46 ID:QUvAHCdg
>>1755-1756
「そりゃどーも、見た目幼いのは自覚してるし〜…まぁ、火に弱いならレオナちゃんに任せなさい」
まぁ身長153センチしかないし
等と言ったそばから、黒い怪物の左腕を見て感ずく
…………来る!っと

その、右手から出した火の玉に魔力を注入して、大きくすると、それを飛ばします
向かって来る魔力の少し下に直撃するように
狙いは、起動をずらずら事
火の玉を放った本人は直後に左方向へと駆け出してます

「いきなりレオナちゃん狙って来るなんていい度胸じゃないの!」
なんて言いながら右手でまた魔力を溜めてます

1758とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:31:59 ID:f4FujhJs
>>1756-1757
「あいあい、了解したぜ。レオナちゃんよ!
即席の連携なんざできねぇだろうし、こっちも好きにするからそっちも好きにやりな!」
その言葉とともに斬れるか斬れないかあたりまでの間合いまで近づいていく。
自身の得意射程にまで。

無論、誤射されて嬉しくはないので斬り合うにしても一瞬で済ますが。

「……どぉ―――」
その言葉とともに剣先を化け物に向けたまま背中を向ける様に一回転。

「―――ーっせぇい!」
そしてその勢いのままに横薙ぎを振るう!
そのままでは遠くから素振りしただけだが、バスターソードに纏っていた炎がそのまま化け物に向かって飛んで行く!
狙うは腕先。おそらく飛んでくるであろう追撃を潰すが為に。。

炎の精霊は機を見ているかのように動かない。
が、それが来るのを待っているかのように魔力をためているようだ。

1759とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:41:24 ID:HCAVsLyk

『…………。』

【びしゃり、とその腕が吹き飛び、更に炎の魔法によって逸らされる。
だが、それは空中で大きく爆裂した。赤紫色の光が一時的に周囲を照らす。

その最中に吹き飛ぶ腕は、地面に落ちるとそのまま汚泥となって飛び散った。
切られた断面は燃え盛っているが、そのことに動揺することは無い。

そして、切り口の部分が赤紫色に輝いたかと思うと、そこに燃え移った炎が吸い込まれていく。】

『…………ォ、ウェ……っプ』

【一度、ふらりと体勢が崩れたかと思うと、口から泥を吐き出す。
それはやはり、見た目にあわない甘い香りに満ちている。】

1760とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:49:11 ID:QUvAHCdg
>>1758-1759
「このまま一気に消し炭にしてやるんだから!
そっちの君は巻き添え喰らわないよう注意してね〜」
等と言って、魔力を溜めた右手、人差し指で魔法陣を空に描きます
「これはさっきのファイアボールとは違うからね!」
魔法陣を描き終えると、そのまま魔法名を言う
「イラプション!!」

すると、蜂蜜の怪物の足元周辺から熱気が現れます
その熱気の周辺、地面からはマグマが吹き出す!

1761とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 01:55:35 ID:f4FujhJs
>>1759-1760
「了解っと!一気に決めちまいな!」
レオナの行動に合わせるようにこちらはバックステップで離れて攻撃に巻き込まれないように避難をする。
レオナの近くで剣を逆手に持って、万が一に備えて盾にするように立つ

「……これで、うまくいきゃあいいんだが。」

1762とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:05:07 ID:HCAVsLyk
>>1760-1
『…………――――。』

【その場から黒い汚泥の塊は飛ぶ。
すると、みるみる内に宙へと浮き上がっていく。

地面に落ちた黒い汚泥はマグマに飲み込まれていった。
しかし、宙に浮き上がったほうに何らかのダメージは見られない。

体から離れた泥全てが本体と繋がっているわけではないらしい。】

『…………コワレ、……ル……!』

【左腕を構えると今度は魔力の塊ではなく、赤紫色の光が照射された。
それは二人のほうを照らすようにして、放たれた。

見たところ、あたったところでダメージは無さそうであるが……?】

1763とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:11:38 ID:QUvAHCdg
>>1761-1762
「む〜………全部一掃するような魔法じゃないとダメなのかな……」
等と言ってまた構えます

「て、何この光〜!」

と、箒に乗って浮かび上がって回避しようとするが右足には当たりましたね

1764とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:17:57 ID:f4FujhJs
>>1762
「それでも足んねぇか!」
左腕の動きを見れば即座に剣を地面に突き刺して自身の魔力を開放する。
そもそも、障壁では光線を防げないシロモノであれば、どうしようもないのだが。

「攻勢障壁だ!いっけえええ!!」
光線があたったかどうかも確認すらせずにそのまま剣を跳ね上げるように斬り上げると障壁が炎の壁となって、そのまま怪物に迫っていく。
そして、自身はそのまま障壁を壁にするように近づいていく!

1765とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:29:33 ID:HCAVsLyk

『…………。』

【光がレオナの足に、障壁に着弾すると、ものすごい力で引っ張り上げられる。
まるで、その光が当たっているところだけ、重力が反転してしまったかのように。

どうやら、この光は吸い上げる力を持つらしい。
すると、左腕の部分の泥がはじけるようにして飛び散った。

左腕があった部分は巨大な目玉がめり込むようにして、存在している。
そして、光はその目玉の瞳から発せられていた。

人間だろうと、障壁であろうとその目は吸い込もうと。】

1766とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:40:21 ID:QUvAHCdg
>>1765
「ひゃ〜!な、なにこれ〜!!」
と、必死に箒に捕まって、抵抗します

「こ、こんな……やばい……早くなんとかしないと…………!!」

そう言って、思考する
この状態、手を使う魔法は無理だ、と判断すると

「フラム〜!出てきなさい!!この光なんとかして!!」

彼女のネックレスから紅い光が飛び出して、その飛び出した先には、火の鳥の姿をした精霊が現れました

『レオナ様を…………放しなさい!』

精霊は現れるなり、炎の羽根を、複数まっすぐに飛ばします
それはまるで炎の雨のように怪物へと降り注ぐ

1767とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:48:56 ID:f4FujhJs
>>1766
「……ああ、こりゃまずいな……!!
だが、逆に言えばチャンスでもあるなぁ!」
見た限りでは、レオナを吸い込もとしている間は隙を大きく晒しているのだ。
それを逃して勝機があるとは思えなかった。

「―――相棒!今だ!
ありったけを注げぇぇぇ!」
『+>+$%+!!!』
そう言って剣を真上に掲げれば今まで待機していた精霊から放たれる魔力を剣で受け止める。
それによって過剰なまでな魔力によってミスリル製のバスターソードが赤く変色する!
その魔力を開放すれば、自らすら焼きつくしかねないほどの、オーバーロードともいうべきほどの魔力だ。

無論、レオナが持ちこたえてくれること前提であるが、これを隙を晒している相手に叩き込めれば……!

1768とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 02:58:59 ID:HCAVsLyk
>>1766
『…………。』

【炎の雨が降り注ぎ、それは確かにその目玉に降り注ぐ。
しかし、その炎は当たったそばから目玉の中へと消えていく。

炎を飲み込んでいくと、その目玉は〝瞳〟を歪ませて嘲笑う。
炎すらも飲み込んでしまうその目玉……光が出ている間はレオナすらも飲み込んでしまうだろう。

飲み込まれてしまえば……どうなるかは想像に難くない。】

>>1767
『…………!』

【魔力の上昇に敏感に判断したらしく、その光の照射をやめた。
無論、途中まで引っ張り上げていたレオナと障壁は離してしまう訳である。

レオナはもちろん、落下していくだろう。

すると、目玉がケラケラと笑いながら、汚泥を纏い始める。
目玉があっという間に泥の塊になったこと思うと、その塊が一気に圧縮された。

ギャリーが準備している間に、その目玉は消失してしまった。……逃げた、ということだ。】

1769とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 03:05:10 ID:QUvAHCdg
>>1768
「あ、あ〜〜!!!」

吸い込みが止まると同時に落下していき、きゅっと箒で止まります

「ふぅ…………助かった〜………」

と、一息です

『それでは私はこれで…………』
火の鳥の姿をした炎の精霊はまた紅い光となってレオナのネックレスへと入って行きます

「…………あんの目玉〜!次会ったら極大魔法ぶちかましてやる〜〜〜〜!!!」

と、ご立腹な様子

1770とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 03:11:10 ID:f4FujhJs
>>1767-1768
「これがぁ!!俺のぉ……ッ!!」
その言葉とともに大きく振りかぶり………!
―――――逃げられる。

「全力ゥゥ!!
―――っだったのに。」
光の照射が収まった上、目玉が消失したのを見ればそこに本体がいないというのもわかってしまう。
追っかければ見つかるかもしれないだろうが、今の状態は小回りがきくようなものではなかった。
赤熱していた大剣も、次第に放熱されて元の白銀の色に戻る。

隙だらけとも言えるほどに時間をかけたのも原因だろう。
だが、しかし……撤退させたとはいえ傷をろくに与えられなかったのは痛手である。

「………だぁ、魔力が………。
レオナの嬢ちゃんも……無事で、なによりだ………。」
おまけに、さっきの攻撃は後先考えない全力の一撃でもある。
叩き込めていないとはいえ使った魔力に大差はない。
レオナが無事だったことだけ確認して、魔力切れで地面に倒れ込むのであった。

『$&#……♪』
所詮、骨折り損というやつではないだろう。
精霊は面白がってみているだけだが。

1771とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 03:16:06 ID:HCAVsLyk
>>1769-0
【まだ、ケラケラと笑うあの声が聞こえるような錯覚がある。
だが、その目玉はあっという間に消えてしまった。

目的はいまいち不明であったが、害をなすものであることには間違いないであろう。
それに蜂蜜の怪物の様な素振りを見せていたのも不可解だ。

あれが本当の蜂蜜の怪物であったのだろうか。……それにしても〝蜂蜜〟は現れなかった。
考えれば、様々な疑問が浮かび上がってくるところだが今は、考えられる余裕はないのかもしれない。

……どこかに泥が残っているのか甘い香りはまだ漂っていたとか、FO】

//時間的に限界ですので、この辺りで。遅い時間までありがとうございました!

1772とある世界の冒険者:2014/05/18(日) 03:23:20 ID:QUvAHCdg
>>1770-1771
「……あらら…………仕方ない、この子は酒場にでも運んであげるか〜」
と、そう言って

「…………重い」

ずりずり引っ張り、紐で胴体と箒で縛って吊るして

「やっぱり重い…………速度は出せないな〜…」
そう言って街へと飛んで行きます

「あの怪物……次は絶対消し炭にしてやるんだから……!」

と、悔しそうに言ってます

中//落ちますね〜、絡みありがとうです〜

1773とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:22:06 ID:z1Xc7j.I
【――王国領/人里離れた古城】

王国領と帝国領の境目の山の中腹――。
そこに遺棄された古城がある。 

嘗ては辺境伯の古城だったそこは何十年も前に放棄され無人となっていた筈だが……、
麓の村では、そこには白い悪魔が住んでいる、と実しやかに囁かれていた。


……そんな古城の、とある一室。
豪奢なベッドに鎖で繋がれている、誘拐の様な形で連れて来られてしまった少女が、一人……。

1774とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:34:39 ID:v/KKjZDw
「…………。」
ベッドに腰掛け、何処を見るでもなくぼーっと宙を見つめるのは、
古の精霊を身に宿した寄り代の少女。
精霊の方は一度眠りについてしまった様だ。
誘拐され、鎖で繋がれているものの、
恐怖に打ちひしがれて泣き叫ぶわけでもなく、妙に落ち着いている様子。

もちろんこれからの自分の身を案じていない訳ではないが、
恐怖もある一線を越えると逆に落ち着いてしまうのであった。
もっとも、この後も平静を保っていられるかは分からないが……。

1775とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:39:50 ID:z1Xc7j.I

……やがて、ぎぃ、とドアが開いて――。
ミトと見た目的には同年代か、少し下の白い長髪の少女が入って来る。

そして、その後ろからミトを攫ったあの金髪の男が……。

「やぁ、気分はどうかな?」

入って来た男は、柔和な笑みを顔に浮かべて。
コートのポケットに手を入れたまま、ミトの方へと近づいてくる。

1776とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:48:55 ID:v/KKjZDw
入ってきた男をじっと睨み付けると、ふいっと顔を逸らす。

「………手首が痛いのじゃ。」
自身を繋ぐ鎖をじゃらじゃらと鳴らし、不平を口にする。

「早く外してくれぬかのぅ?
 そろそろ家に帰りたいのでな、見送りも結構じゃよ。」

1777とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 21:51:43 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、それはごめんよ。」

顔を逸らした少女に近付いて、鎖で縛られている手を勝手に取って。

「ご希望通り……これは外そう。
 不便な思いをさせて悪かったね?」

ぱきん、と音を立てて手首とベッドを繋いでいた鎖がひとりでに壊れる。
自由の身にはなったが……。

「アリーサ。」
『はーいっ♪』

……廊下の方から荷台に乗せて運ばれてきた薬瓶などをみるに、
返してくれるわけではなさそうだ。

1778とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:00:44 ID:v/KKjZDw
「………。
 ……むぅ……ちと痣がついてしまったではないか。」
開放された手を不機嫌そうに擦りながら見つめる。

「それで……わらわ、もう帰りたいと言ったのじゃが……。」
拘束から開放はされたものの、少女はまだ自由の身となったわけではない。
男に掛けられた暗示のせいで、逃げ出す事ができなくなっているに違いない。
そして、運ばれてくる妖しげな薬瓶……。
ろくでもない事が始まりそうな予感に、落ち着きを見せていた少女も少し顔色が悪くなってくる。

1779とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:05:04 ID:z1Xc7j.I
「はは、ごめんよ。
 ――これでどうかな?」
無遠慮に少女の手を取って、指先で手の平からゆっくり、となぞる。
……鎖に撒かれていた痛みが消えて、心地よさがやってくる。

「ああ、解っているさ。――少し僕に付き合ってくれればすぐに返すよ。」
「大丈夫、少し痛いかもしれないけれど、危険な事はないよ。」

取った手を引いて、ベッドから立たせるようにして部屋の椅子へと導いて。

「勿論、君の家までしっかり送る事も約束させてもらうし――」
「何だったら、お礼をさせてもらう事だって考えてる。」

椅子へと座らせる。

1780とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:09:48 ID:v/KKjZDw
「……ふむ……。
 ……ま、よしとするかのぅ……?」
痣の消えた手首を見つめ、ひとまず満足げに頷く。

「……本当かのう……?
 人を攫っておいて、そなたの言うことを信じろと言う方が無理と言うものじゃ。」
反抗的な態度を取るが、しかし暗示の効いた体は従順に椅子へと導かれていく。

1781とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:19:15 ID:z1Xc7j.I
「本当さ、僕は嘘を吐かない事を信条にしてるんだ。
 昔の約束で……僕"本人"は、こうやって王都、とは癒えない所にいるしね。」

座ったミトに、先ずは何のし掛けもない紅茶と、甘いケーキを出して。
自身も対面に座って、同じように紅茶とお菓子を。


「少し、僕の好奇心を満たすのに協力してくれればいいんだ。」
「君の身体に興味があって、ね。」

1782とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:25:17 ID:v/KKjZDw
「……ふん……わらわの身体なんぞ、調べたところで何も面白くないぞよ?
 フォスファーの奴も、今はもう殆ど力は残っておらぬ事はそちにもわかっておるじゃろう。」
反抗的な態度をとりつつも、
フォークを手に取り、少々乱暴に切り分けて口に放り込むのであった。

1783とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:28:02 ID:z1Xc7j.I
「いいや、そうでもないよ。」
「そもそも……普通の人間が精霊をその身に取り込めている、なんて事が普通じゃないんだから。」

与えられたケーキは甘く、とても美味しい。
かなり良い店の物のようで自然と頬がほころんでしまう。

「だから例えば……そうだね……。」
対面の男は、少し考える様子で、椅子から立って。

1784とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:34:06 ID:v/KKjZDw
「………。」
一瞬、ケーキの甘さにうかつにも表情を緩めてしまいそうになるが、
どうにか堪えてすまし顔。

「…………。
 ……何をするつもりじゃ……?」
急に立ち上がった男に、早速何かされるのではと警戒した様子。

1785とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:36:08 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、怖がらなくて良いよ。」
「少し熱いかもしれないけど……そう痛くはないさ。」

立ち上がった男は、ミトへと近付きフォークを持っていない方の手を取って。

「例えば――こんな風に。」
どうやって、かは解らないが。
「火の精霊」の魔力をミトの身体の中に大量に、流し込む。

1786とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:44:23 ID:v/KKjZDw
「………っ!?」
突如、自身の中に流し込まれる熱い異物。

「……ふぁっ……あ、あああっっ……。」
流し込まれたモノが体内を暴れまわっている様な感覚がしばらく続く。
火照る身体を押さえて、がくがくと震える。

「……はぁ、はぁ……。
 ……何を、したのじゃ……。」
だが、すぐにそれは自身の身体の奥深くに馴染んでいった様である。

1787とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:47:22 ID:z1Xc7j.I
「――ほらね?」
「痛い所か、心地よかっただろう?」

震えた後に、落ち着いた様子の娘を見下ろして。
冷たさを感じさせる瞳で、優しげな笑顔を浮かべて。

「精霊の魔力を流し込んだんだよ、昔僕が、手に入れた物を、ね。」
「普通は身体から漏れ出るか、そもそも受け入れられない、……けど……。」

そこで取った手を引き寄せ、ミトを立たせて、
自身の方へと引き寄せる。

「君は、耐えられる。」
「こんな風にしても、恐らくは。」

そうして今度は、雷の精霊の魔力を同じように……。

1788とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:54:18 ID:v/KKjZDw
「……変な感じじゃ……。
 わらわの中に、違うものがいる様な……。
 それに、急にあんなことされたら、驚くのじゃよ。」


「ま、またするのかや……?
 ……ひあっ、ああああっっっ!!!」
今度は、全身に電気が流れる様な鮮烈な感覚。

「……あ、ああ……はぁ、はぁ……。」
体質的に耐えられる、とは言え身体に負担がかかる事には違いない。
急激に大量の魔力を2種類も流し込まれ、少しぐったりとする少女。

1789とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 22:59:10 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、大丈夫さ……魔力だけ、だからね。
 意思はとうの昔に咀嚼し終えているから、乗っ取られる事は無いよ。」
引き寄せた少女の頭を撫でて、落ち着かせるように。
何だか、近くで聞いていると心が落ち着いて来るようだ……。


「ああ、ごめんよ、少し辛かったかな?
 ――休もうか。」

くた、と疲れた様子のミトを持ち上げて……、
先程のベッドまで運んで、寝かせる。

1790とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:04:50 ID:v/KKjZDw
「……はぁ、はぁ……
 ……も、もういいじゃろう……家に帰して欲しいのじゃ……。」
ベッドに横たわりながら弱々しく訴える少女。

なんだか男の声を聞いていると、物事がうまく考えられなくなってくる。
(……気を許してはダメじゃ、これもきっと暗示みたいなものじゃ……。)
しかし、今のところ正気を保ててはいるようだが……。

1791とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:06:57 ID:z1Xc7j.I
「もう少しさ、休憩を挟みながらだから……そう長くはならないよ。」
「そうだね、明日には絶対に返すよ。――君がそう望むなら。」

後半を、強く、耳に残るように。
何だか、男から離れたくない、と思うような気持ちが自分の中に、あるような……?

「少しつらいだろうけど、我慢しておくれよ……。」
そうして額に手を置くと、今度は氷の精霊の魔力が、無理矢理に流し込まれる。

1792とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:11:24 ID:v/KKjZDw
「……ふぁぅ………。」
今度は全身が急に冷え込む様な感覚。
ふるふると身体を震わせながら流し込まれる魔力に耐える。
3度目ともなると少し慣れてくるが、それでも異物が流し込まれる違和感は拭えない。

「………うぅ……ダメじゃ、はやくこやつから離れねば……
 ……なんだか、わらわはおかしくなってしまいそうじゃ……。」
ぼんやりとしてくる意識の中で、必死に男の暗示に抗おうとするが……。

1793とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:14:40 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、これも問題無し、と。」
「それじゃあ次は……ああ、大丈夫だよ、怖がらなくても。」

柔和な、一目見るだけでは優しげに見える笑顔のまま。
今度はミトの腹部に服の上から触れて。

「疲れてるなら、ゆっくり休んでくれてもいいよ。
 寝ている間には済ませておくから、ね。」

地の精霊と、風の精霊の魔力をまた流し込んでいく。
本来ならとっくに身体がはじけ飛んでいる筈だが……。

1794とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:23:20 ID:v/KKjZDw
「……うぐ……なんだか、身体が変じゃ……。
 ……いろんな魔力が、渦巻いて……。」
大量の魔力を何種類も流し込まれ、非常につらそうな様子である。
しかし、非常に辛そう、程度で済んでいる辺り、やはり少女の魔力容量は底知れない様だ。
……さらに無茶な改造を施しても耐えうるこの身体は、まだまだ弄りがいがありそうである。

1795とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:26:32 ID:z1Xc7j.I
「大丈夫だよ、落ち着いて。」
今度は手を、ミトの頬へと当てて、
顔を寄せ、耳元で頭に響く様な言葉を、囁く。

……ささやかれると、本当に魔力も頭も落ち着いてくるようだ。

「さ、次で最後だよ、大丈夫、怖くない、怖くない――」

そうして最後、と言う言葉と共に光、闇、虚無……。
特殊な属性の精霊の魔力が、思い切り流し込まれてしまう……。

1796とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:29:18 ID:v/KKjZDw
「……ほんとに、最後なのじゃな……?
 ……ひぁっ……あああああっっっ……!!」
一際大量の魔力を一気に流し込まれ、
今までで一番の苦痛に大きな声をあげて悶え苦しむ。

「……はぁっ……はぁっ…………」
意識が遠のきそうなのを感じつつ、乱れた息を整える。

1797とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:40:11 ID:z1Xc7j.I
「うん――これで、終わりさ。」

手を離す前に、魔力の封印術――
精霊の魔力が、身体の外に逃げぬよう、封印を施して。


「よく頑張ったね。お疲れ様。」
ミトの身体を起こした。どうやら、終わりらしい。

1798とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:46:52 ID:v/KKjZDw
「……んくっ……!」
最後に封印が刻まれ、びくんと身体を跳ねさせる。
無理やり移植された魔力が、今後彼女にどんな影響を与えるのだろうか……。

「………まだ……なんだか、変な感じじゃ……。
 ……頭が、ぼーっとする……。」
身体を起こされても、ぼんやりとしたまま……。
短時間のうちに引き起こされた身体の変化に、まだ頭がついていってない様である。

1799とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:51:59 ID:z1Xc7j.I
「ふふ、……少し、ゆっくり休むと良いよ。」
「――大丈夫、起きたら何もかも忘れて、君の家に戻ってるからね――。」

そういい、手で少女の顔を覆い瞳を閉じさせる、

……娘が起きた時、自分がしばらく何をしていたのかも忘れ、
自分の部屋のベッドで眠っていた、とか……。

1800とある世界の冒険者:2014/05/25(日) 23:56:25 ID:v/KKjZDw
「………ん……む……
 ………ゆ、夢……?」
気が付くと、そこは自宅のベッドの上。
何か、悪い夢を見ていた様な……。
なんだか、酷く体が重い。
その上、自身の身体に妙な違和感を感じる気がする……
すぐに猛烈な眠気に襲われ、少女は再び深い眠りへと落ちるのであった。

1801とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:32:16 ID:1woIxqeM
<王都から少し離れた場所 〜サルデフェクト寺院の礼拝堂〜>

「……〜♪」

【小さく鼻歌を唄いながら、礼拝堂内に居るのは修道服を着た女性だ。
この寺院内の主である彼を除けば唯一の聖職者である。

何をしているのかと言えば、礼拝堂内の掃除である。
彼女はこの寺院内にて面倒を見ている者の世話をするとき以外は大体、こうして寺院内の掃除だったり
手入れだったりをしているのである。】

1802とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:36:16 ID:QlL23F12
>>1801

「精が出ますね、シスター」

そこにやってきたのは、同じく修道服に身を包んだ、褐色肌の女性だ。
彼女は最近になってここの扉を叩いた人物だ。
今まで、特に何か大きな問題を起こしたことはないが、謎多き人物である。

「少しはお休みになっては如何です?」

こうして声をかけるのも、いったい如何なる動機からか。

(彼が手元に置き続ける彼女を知るのも、彼に気に入られるための何かを掴む手掛かりになるはず……)

1803とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:43:56 ID:1woIxqeM

「おや、マアスーメさん。
……ふふ〝シスター〟だなんて。今は貴女もそうじゃないですか。」

【マアスーメを見つけると姿勢を正した。
風の魔力で編まれた雑巾を使用して掃除をしていたようである。

やはり、礼拝堂であるが故に普通とは違って気を使って掃除をしなければならないようだ。】

「それに、私は神に仕える身です。
だから、いつも休んでいますし、休んでいないんですよ。」

1804とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:47:01 ID:QlL23F12
>>1803

「その敬虔さには、頭が下がる思いです」

そう言いながら、実際に下げる。
”上手くやれている”彼女は自分をそう評価する。
相手が彼でなくば、自分はうまく自分をコントロールできるし、取り乱すこともそうない。
……尤も、自分の手練手管が通用しない相手だからこそ、仕えるに値する”風帝”足りえると言えるのだが。

「ならば、私も遊んでいるわけにはいきません」

「手伝いましょう。どこをやりましょうか」

掃除道具を用意しながら、そう尋ねる。

1805とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 22:55:50 ID:1woIxqeM

「はい、ありがとうございます。」

【犬の様に小さく首を傾けながら、慎ましい笑顔を向けた。
彼女はいつもこのような振る舞いである。

少なくとも、彼女が不満な顔をしたという所は見たことがない。
寺院に転がり来る者の多くは〝普通ではない〟

そんな者たちを全て受け入れ、包み込む懐の広さを彼女は持っている。】

「それなら……窓ガラスやオルガン、椅子などの拭き掃除をお願いします。
何を使えばいいかは分かりやすくしていますけど、分からなかったら聞いて下さいね?

私は床を掃除するので。」

【そういうとこちらは雑巾を収めると、モップを取り出した。】

1806とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:02:09 ID:QlL23F12
>>1805

「お心遣いに感謝いたします。では、励んでいきましょう」

雑巾をバケツに組んできた水で浸し、よく絞ってから丁寧に窓を拭いていく。
彼女はその工程に、自分の風魔法を組み込んだ。濡れ拭きの後の空拭きの代用だ。
熱く乾いた風が、ガラスの水を乾かしていくのである。

(……こういう作業も、なかなか悪くない)

しばらく、黙々と作業していた。
当初の予定を忘れてしまう程にだ。
……いけない、と首を軽く横に振って、掃除をしながら、横目でトレアを確認する。さて彼女の仕事ぶりはどうだろう。

1807とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:10:44 ID:1woIxqeM

「……〜♪」

【小さく鼻歌を唄いながらモップを使い掃除をしている。……鼻歌は賛美歌だ。
楽しいのか微笑すら零れている。

モップも風の魔力を応用して作られたものらしい。
曰く、大掃除のときは水拭きをするらしいのだが、普段はこうして空拭きである。

実はこの礼拝堂にはちょっとした仕掛けが施してあり、隅の一部が小さく開くようになっている。
こうして集めたゴミなりはそこから、外に出すのである。】

1808とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:17:47 ID:QlL23F12
>>1807

(……向こうも夢中というわけ)

そのひたむきな態度が、彼の歓心を特に買ったのだろうか。
しかし、彼女のその純朴さが、妙に危ういものに彼女は思えた。
仕えている身だからこそ、彼女は叫びたい。彼は、ザーという神父の顔をした人物は――。

――途方もなく、意地悪な男なのだと。

(陰謀を企む者程、悪趣味をもっているものだけれど)
(あんな娘にひどいことをするのがそうだというなら、無くなった私の良心も傷んでしまう)

いや、さすがにひどいことはしないのだろうが。
そんなことを考えていたら、作業の手が思わず止まる。……見つかったら、何か心配されてしまうだろうか。

1809とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:31:26 ID:1woIxqeM

「…………〜♪」

【丁寧にモップを使って床を拭き、磨いている。
いつから彼女が彼の元にいるのかは分からないが〝毒されていない〟らしい。

つまりは行き過ぎた教育の様なものは受けていないようにも見える。
もっとも、既に受けた後なのかもしれないが。】

「……?……何か、掃除で不手際でもありましたか?」

【視線に気づいたらしく顔を上げて、そんなことを尋ねる。】

1810とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:36:19 ID:QlL23F12
>>1809

「……失礼。見惚れてしまいまして」

話を引き出すために、”ひっかける”ことを試みる。
後日改めた席を作り、色々と聞き出したいところだ。

「敬虔深く、陽だまりのような雰囲気でもって人を魅了する。御使いのようだと、思ったのですよ」

掃除の手を再開させながらそういう。
そしてそれは、何となく不器用な手つき。何かに動揺している。そう思わせるためだ。

1811とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:49:41 ID:1woIxqeM

「いえ。私はただ……あら?」

【ゆったり首を振って、そんな言葉は自分には相応しくないと
否定しようとした矢先に、マアスーメのそんな様子に気づいたようだ。

モップを適当な位置に立てかけると、マアスーメのほうへと向かっていく。】

「……大丈夫ですか?なにやら、先ほどよりも動きが震えているみたいですよ……?

……も、もしかして、無理をしてこうして手伝って下さっていたのですか?
それとも、昨日の夜はあまり寝付けなかったとか、体の調子が悪いとか……?

その、別に無理をしなくても良いのですよ?
休息をしないといけない場合はきちんと休息を。……それは怠慢でも怠惰でもないのです。」

【マアスーメの手をとり、両手で包み込むようにしながら、そんなことを。
動揺とかそういうことではなく、単にマアスーメの体調がよろしくないと受け取ったようだ。】

1812とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:52:41 ID:QlL23F12
>>1811

「いえ、失礼……シスタートレア」

彼女の手をとれば、その手は小さく震えていることがわかるだろう。
その細い肩も、何やら震えてきている。

「私には家族がいなく、故郷も追われるように後にしました」

「ですが、あなたを見ていると、否応なく郷愁と、顔も知らぬ家族に会いたいと思ってしまうのです」

声を震わせながら、そう答える。

1813とある世界の冒険者:2014/05/26(月) 23:58:56 ID:1woIxqeM

「……まあ。」

【手を包みながら、驚いたように。
こちらからしても、目の前の女性は彼が突然連れてきた人物である。

その人となりなどは知る由もない。】

「そう悲壮に満ちずとも良いのです。マアスーメさん。

貴女に家族が居らず、故郷を追われてしまったのも主のお導きによるものです。
その道を歩む方が貴女にとって、良い事だから。

そして、それがあったからこそ、こうして今の貴女が居るのです。」

【こちらは目を軽く閉じて、穏やかな表情に。】

1814とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:03:14 ID:je6j1wJw
>>1813

「あなたといると、さざ波だった心も穏やかになるように感じます」

うまい具合にいった。
彼女の関心を得た。次に聞き出す内容を後々考えておかなければならない。

「家族がいるならば、きっとあなたのような人なのだろうと思います」

「……いけませんね。やると決めたのならば、きちんとお掃除をしなければなりません」

「後で、お話を聞かせてくださいますか、シスタートレア」

まず間違いなく、この提案にはうなずいてくれる。
彼女はそう確信しているが――。

1815とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:09:42 ID:yzBpbK.w

「もちろんです。マアスーメさん。
神父様ほどではありませんが、私に出来ることならお力になります。」

【マアスーメの思惑通り、彼女はその提案に頷いた。

それは本当にマアスーメを心配しているような様子である。
妙に勘繰るとすれば、〝関心を得すぎ〟である。

トレア自身もマアスーメの話を聞いて、思うところがあったという所だろうか。】

「今すぐにでも話したいのではないのですか?
掃除は後からでも出来ますし、仮にここで投げ出したとしてもお咎めは無いでしょう。」

1816とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:15:32 ID:je6j1wJw
>>1815

(やりすぎた……?)

とっさに出すには切り出し方が”重すぎた”か。
あるいは、こちらの考えを”読んで”いるのか。
もしかすれば、もしかするのかもしれない。

「……いえ。こんな状態では失礼かと」

「少し落ち着いて、からでないと……言いたいことも言葉になりません」

深く息を吸って、吐いて、心を落ち着かせようとする演技をする。

1817とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:24:55 ID:yzBpbK.w

「……なんと。……はい、分かりました。
確かに勇気を持って、告白して下さった上に更に重ねて求めるのは失礼ですね。

では、この掃除が終わって……いや、夜の方が貴女も整理がついているでしょうね。
そうですね……私の部屋に来ますか?それとも、そちらに伺った方がいいですか?」

【そんな演技に見事に引っかかっているのか、小さく首を振って納得したように。
先ほどから実にマアスーメにとって〝都合よく〟解釈している。

怪しんだり、疑ったりしてもおかしくは無いであろうに。】

1818とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:28:19 ID:je6j1wJw
>>1817

「……では、是非あなたの部屋にお邪魔させてください」

頭を垂れる。そうでいながら、漠然と不安感が胸に広がった。
組しやすい相手だと思った。純朴で、何も疑いを知らない哀れな小娘だと思った。
その考えが正解であってくれればいいと思う。いや、祈る。

(蛇の大口だったら、さてどうしたものか――)

自ら大蛇の口の中に探検しにいく。
そんな愚を犯すことは、狐としてはあってはならないことなのだが――。

//では、こんな感じで!

1819とある世界の冒険者:2014/05/27(火) 00:45:17 ID:yzBpbK.w

「はい、お待ちしていますよ、マアスーメさん。」

【慎ましい微笑と共に。
手を一度、少しだけ力を込めると、その手を離した。

そして、先ほど置いたモップを手に取る。】

「……では、掃除を再開しましょう。
幸い、それほど作業量は残っていませんし、すぐに済むでしょう。」

【その声を皮切りとして掃除を再開し始めた。
確かに純朴で何の疑いも知らない哀れな小娘……なのかもしれない。

だが、一点だけ引っかかるとすれば彼女はあの男の下にいて
なおかつ、彼女を認めていると言う点だ。

マアスーメが危惧すべきとすれば、ただのその一点であろう。
もしかすれば、また〝あの時〟と同じように彼が裏に居るのかもしれない。

そんな勘繰りをしてしまってもおかしくない状況だったとか、FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1820とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 21:35:16 ID:SffTYJN2
<王都のどこか 〜サルデフェクト寺院 トレアの私室〜>

【静けさが支配するサルデフェクト寺院、のここは居住スペースだ。
主にここに来た者達が住む部屋が並ぶ場所……見方によればホテルのようだがもちろん、絢爛ではない。

トレアの私室はこのスペースの一部屋にある。別に彼女だからと言って特別な仕様ではない。
すなわち、マアスーメが使っている部屋よりも手狭なのだ。

あの男のことなのだから、トレアが希望すれば広い部屋も用意しただろう。
しかし、そうなっていないということは、もしかすれば彼女がこの部屋を希望したのかもしれない。

そして、ドアには自身の私室であることと在室状況を示す札が掛かっている。
もちろん、現在は在室していることを示す札が掛かっていた。】

1821とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 21:43:52 ID:scVgV2D2
>>1820

(南に存在するという、人食い花でなければよいが……)

褐色肌の少女は、そっとその扉を叩く。
何しろ今晩、こうして会う約束を取り付けたのだから。
それはあるいは、踏まなくていい獣の尾だったのかもしれない。
好奇心は猫を殺すのかもしれない。

――しかし、運命の悪戯なのか、最早引けぬのだ。

(覚悟を決めるしかない。アーレア・ヤクタ・エスト……)

扉の前で、少し緊張しながら返事を待つ。

1822とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 21:58:27 ID:SffTYJN2

【扉が叩かれると、少し間が開いた後に扉の向こうから足音が聞こえる。
そして、ゆっくりとノブが回され、その扉が開いた。】

「こんばんは。お待ちしてましたよ、マアスーメさん。」

【そこに居たのは掃除のときと全く以て変わらない修道服を着た女性であった。
人に警戒心をそれほど与えないその雰囲気は実に優秀な素質だ。
もっとも、それだけに神の使いとしての厳格さは無いのだが。

そして、彼女は自身の部屋を指し示すように手をむけ、マアスーメを誘い入れる。

部屋はザーと同じく華美なものではない。
ベッドに数着しか入らないであろう小さめの衣装ダンス、これまた小さな本棚。

また、対面で話せるようにテーブルと椅子が置かれている。
だが、複数の来客は考えていないようで、サイズから考えて一対一でしか話すことができない。

少し違うのは観葉植物が置いてあったり、鏡台があったりするくらいだ。】

1823とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:09:37 ID:scVgV2D2
>>1822

「夜分に、失礼します……」

頭を下げて、部屋の中に入る。
扉があいた瞬時には、昼間の時のような、弱く、震えた少女の演技をしていた。
見破られているのではないかという懸念もあったのだが、演技を辞めるのも不自然だ。
都合、それを続けるしかない。

(私物は少ない……どう分析するべきか)

不自然にならない程度に部屋を確認する。
何か、トレアの正体にでも繋がりそうな情報は見逃したくないが……。

1824とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:16:16 ID:SffTYJN2

「……ちょっと狭いですけど、許して下さいね。
神父様のお部屋なら、ゆったりとお話が出来るのでしょうけど……あ、そこの椅子にどうぞ。」

【そんなことを言いながら、自身も進み、唯一落ち着いて話ができそうな
椅子へと座るように促した。

部屋の確認には気づいていないようだが、その実、正体は探り難いことこの上ない。
もっと言えば、〝聖職者としての彼女〟を示すものしかこの部屋には無い。

家族との写真だとか、嗜好品だとかそういうものは一切、存在しない。
本棚も聖職関係のものがほとんどで後はガーデニングだとか料理だとか
そういうこの寺院で彼女がやっていることに関するものぐらいしかない。】

「それで〝私から聞きたい話〟ってなんでしょうか?」

【自身も椅子にかけると早速と言わんばかりに話を切り出した。】

1825とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:19:33 ID:scVgV2D2
>>1824

「はい、失礼します」

腰かけて、息をつく間もなく本題が切り出される。
そうだ。ここへはトレアに質問をしにきたのだ。

(きた……)

「はい。シスター、トレアが神父様に出会ったときのことを聞きたくて」

とりあえず、その辺りから質問をしてみることにした。

1826とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:34:52 ID:SffTYJN2

「……神父様と?」

【その質問に一瞬、面を食らったような表情をしたが
すぐにいつもの微笑へと戻った。】

「神父様との出会いは……正しく、運命でした。
私が?目覚めたとき?辺りは黒い土煙に覆われて、澱み、血と硝煙の匂いに満ちていました。

私はその中から這い出ようと努めましたが叶わず、そうこうしていると辺りが更に暗くなってきました。」

【胸にある十字架を優しく包むようにしながら語り始める。
出会いと言うには、あまりにも奇妙なそれを。】

1827とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:41:49 ID:scVgV2D2
>>1826

「……まぁ」

戦場で発見されたのだろうか。
口を両手で覆うしぐさをしながら、そんなことを考える。

「では、彼に助けられたと……?」

妙につかみどころがないあの男だ。
確かに、そういう状況下なら、救おうとするだろう。

1828とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:48:59 ID:SffTYJN2

「……その通りです。それからすぐなのか暫く過ぎたのかは分かりません。

気づいたときに目の前に居たのが神父様でした。
まるで大木のようで……地面に這い蹲っていた私を見下ろしていらっしゃいました。

神父様は無言のまま、私にのしかかる瓦礫を取り除き、朦朧とする私を救い出し……
泥や土煙で汚れ、傷だらけの私を抱きかかえて下さいました。

そして――――途切れそうになる意識の中で、神父様は口元に微笑を浮かべていらっしゃいました。
今から……7年前、私が14の頃ですね。」

【そこで軽く目を閉じる。恐らくはそこで彼女の意識は途切れてしまったのだろう。
これがトレアとザーの馴れ初めだ。】

1829とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 22:51:28 ID:scVgV2D2
>>1828

(微笑み……?)

何か違和感を感じた。
それはどんな意味の微笑みだったのだろうか。

「なるほど……すいません、つらいことを思い出させてしまったでしょうか?」

そういいながら頭を下げて。

「それなら、彼に何か、習ったことは……ありますか?」

何となく、その微笑みの正体が想像通りなら。
彼から、間違いなく何かを学んでいるはず。

1830とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:05:28 ID:SffTYJN2

「……いえ、私にとっては大切な思い出です。

聖職に関することは神父様から学び、モノにしていきました。
時に私を修行に出して、聖職者として磨いて下さったのです。」

【そして、恐らくは凄惨な有様だった当時のことを思い出と言ってのけた。

学んだことは聖職、だと言う。
恐らく、例の夜歩きには彼女はついていかなかったようだ。

もしかすれば、ついてこさせなかった理由があったのかもしれない。】

1831とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:11:25 ID:scVgV2D2
>>1830

「聖職……ですか」

色んな宗教が混ぜられて、体系もよくわからないのだが、どうにか整合性をつけたのか。
その辺りを詳しく聞いていなかったので、ふむ、と考え込む。

「ここにいながら、不信心者で申し訳ない話です。よろしければ、今度……そちらについてのお話も聞かせてください」

よりこの組織に溶け込むには、あの宗教も知っていなければ。
何となく、話を合わせる程度にしか押さえていないのは問題だと判断したらしい。

(学んだこと……は的外れか)

「何か魔術や、そういったものは何も……?」

望み薄だとはわかりながら、そこを聞いてみる

1832とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:23:46 ID:SffTYJN2

「魔術……色々と教わりましたがどれも平凡だったみたいです。
でも、障壁魔法には才があったみたいで、それは教えてくださいました。

あとは退魔の力の行使ですね。」

【一通りは教わったようだが、別に魔法に向いていたわけではないらしい。
いや、これはそもそも教える側が悪かったのかもしれないのだが。】

「聖職は……一応、見習いが修了した証として、この十字架を神父様は授けて下さいました。
けれど、私はまだまだその程度ですので、教えられることはあまりないか、と。」

【そういって、首に掛けられた十字架のネックレスを見せる。
特注品らしく、彼女の名前が彫られていた。"トレア=サルデフェクト"と。】

1833とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:28:25 ID:scVgV2D2
>>1832

「なるほど……」

(障壁魔術……?)

想像していたようなものではない。
昼間のトレアの、蛇の大口のような雰囲気、トレアを助けた時にザーがしたという微笑み。
パーツがまだ足りない。何か、つながらない。
どう引き出したものかと、彼女は考えを顔に出さないようにして、考えを巡らせる。

「いえ、私は恥ずかしながら、神の教えをいまいち理解していないので」

「ここにいる以上は、ただしく認識せねば、と思っているのです」

特注の十字架。それも、ここの聖職の見習いが修了した証として。
普通の宗教団体ならば、別に不思議にも思わないが……ここは普通ではない。
それなのに、そんな手間をかけるのは妙だ。
見ただけで何かわかることはないかと、その十字架を注意深く見る。

1834とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:40:30 ID:SffTYJN2

「私は神父様から様々なものを頂きました。
聖職の教えにそれに順ずる力、この十字架……そして、名前に命、と。

神父様には感謝してもし切ることは出来ないでしょう。」

【十字架に特にこれと言った奇妙なところは無い。
一応、魔力を伝道しやすい材質で作られていると言うことぐらいだ。】

「なんと……敬虔な方なのでしょう。
神の家に入ったことに満足をせず、さらにそこから高みを目指そうとするなんて。

……ああ、もしかしてこのために私の部屋へと来たのですか?

確かに聖職を教授して欲しいと頼むのは羞恥を感じるかもしれないでしょうね。
そういう風な理由を作ってしまうのも、仕方がないことなのかもしれません。

ですが、安心して下さい。そんなことに羞恥を感じなくとも良いのです。
教えは望めば、誰にだって平等に与えられるもの……遅いも早いもありません。」

1835とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:42:56 ID:scVgV2D2
>>1834

(しまった)

違う地雷を踏んだ。
正体探りは延期されそうな雰囲気。
まさか、この状況で違うとは言い出せず。
……が、まるきりその通りだとも言いたくはなかったので。

「もちろん、それもあるのです」

「ですが、それと同等程度には、シスター、トレア。あなたのことも知りたくて」

どういうニュアンスで捉えられるか。若干賭けであった。

1836とある世界の冒険者:2014/05/29(木) 23:59:03 ID:SffTYJN2

「ふふ、なんと律儀な方なんでしょう。

神に仕える人間というのは、実はそれだけになってしまう人も多いのです。
もちろん、その方々は実に尊い存在です。
しかし、聖職は人あってのもの……それゆえに人を愛することはとても大事なのです。

なので、貴女の様に神に仕えるだけではなく、人を愛することが出来ると言うのは素晴らしいことですよ。」

【聖職だけにかまけてはいないというように捉えられたようだ。
だが、自分を知りたいといわれて、それを人を愛することが出来ると言うように結び付けるのは無理がある。

思えば、彼女はあの昼の件から一貫して、疑うことそして否定することをしていない。
…………全てを受け入れている。】

1837とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:04:21 ID:wcTpSeY2
>>1836

「……愛、ですか」

博愛主義者とでも言うべきだろうか。
それも、かなり程度の激しい――。
彼が手元に置いているのは、彼女に特別な何かがあるわけではなく――。
――”外に出せない”のではないだろうか。

(……彼にも聞いておこう)

「そうですね。愛は素晴らしいものと聞き及びます」

「隣人を愛せよ。神もそう説かれましたね」

トレア本人からは有用な情報は得られないと判断。
あとは、適当に話して、終わらせるつもりだ。

1838とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:14:05 ID:77OVOZP6

「はい。神父様も一番、最初に教えてくださいました。
恐らく、私が空っぽだったからでしょう。

何もかも忘れた私に神父様は光を下さったのです。
そして、気を取り戻した私を、神父様は祝福して下さいました。」

【どうやら、彼女は拾われる前の記憶が無いらしい。
彼女の人となりを推測できそうなものが何一つないのはこのためであろう。

つまり、今の彼女からすればザーと出会ったそのときが誕生のときなのである。】

1839とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:17:51 ID:wcTpSeY2
>>1838

「……なるほど」

小さくうなずく。
まさか。
――彼女をそんな、極端な博愛主義者にしたてあげたのは。
他ならない、ザーではないだろうか。

(……考えすぎ? そうだとして、動機がわからない)

どうやら、彼には聞くことができたようだった。

//ではこのあたりで! 絡みおつありでした!

1840とある世界の冒険者:2014/05/30(金) 00:27:35 ID:77OVOZP6

「っと、私の話ばかりじゃいけませんね。」

【こほん、とつい話し込んでしまったとばつが悪そうに。】

「では、時間が許すのなら聖職について教えて差し上げますよ。
そうですね……マアスーメさんが分からないところを教えていただけますか?」

【気を取り直して、と言わんばかりに聖職について教えようとする。
ある意味で目的を終えたマアスーメからすれば、もはや苦行にしかならないものかもしれない。

結局、トレアと言う存在については掴み切れた様で、その実、掴み切れていないのかもしれなかった、FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1841とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:29:18 ID:eZ6IesYY
――サルデフェクト寺院 ザー=サルデフェクト私室

こんこんと、ノックが響いた。

「私です。伺いたいことがありまして」

続いて聞こえてきた声は、マアスーメのものだ。
何やら質問があるらしい。
――わざわざ時間を選んだということは、聞かれてはまずい話ということだろう。

(……どういう返事が返ってくることか)

何故か早打つ胸を押さえて、返事を待つ。

1842とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:38:07 ID:V.ccKeQI

【そのノックの音を待たずして、部屋の中から重々しい足音が響く。
そして、それが扉の前まで来たかと思うと、ゆっくりとその扉は開かれた。】

「このような時間に訪問とは珍しい。」

【開けたところに立っていたのは辛子色の法衣を纏った長身の男。
いつものごとく、重々しい雰囲気……というよりも重圧に近いものを放っている。】

「…………まぁ、良いだろう。遠慮せずに入りたまえ。」

【ふと、わざとらしくマアスーメの"格好"に視線を落としたが何事も無かったかのように部屋の中に招き入れる。
言葉にはしないが、明らかにいつぞやあられもない格好で訪ねて来た件のことを露骨に思い出させ

1843とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:44:26 ID:eZ6IesYY
>>1842

「またアレを着れば、私に欲情してくれるというならば、喜んでそうしますが」

視線の意図に気づいたのか、恥ずかしげもなくそんなことを言う。
彼女のできる精一杯の皮肉、ないしは強がりといったところだ。

「……そんなことより、聞きたいことがあるのです」

「シスター……シスター、トレアについて。彼女について伺いたいことが」

彼女の名前を出して、どんな反応をするのか。
それを見逃さないように、ザーの顔をしっかりと見つめて。

1844とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 22:57:46 ID:V.ccKeQI

「くく。ムキにさせた気は無かったのだがね。
いや、君が着たいと言うのならば、止めはしない。」

【もとより興味は無く、そんな戯言を言いながら部屋の奥へと。
あの時はベッドであったが、今度は椅子とテーブルだ。

自身が座ると、対面の位置に座るように促す。】

「ほう。トレアについて、か。
……アレが何か妙なことでもしたのかな?」

【その言葉を聞いても、動揺はない。
ただ、その余裕の中に期待が叶ったかのような喜び、が見えた気がした。】

1845とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:07:14 ID:eZ6IesYY
>>1844

「……成果が得られないと確信する行動をするのは、徒労というのです」

暖簾に腕押し糠に釘。
しかし、暖簾や糠の正体が隠されていたなら、そんなこともしてしまう。
が、今の彼女は、目の前の意地悪神父が暖簾や糠だと学んだところだ。

「彼女は……本来人間が備えるべき心理的な防衛が見られません」

「すなわち、人の言葉を疑うという事。この世に嘘が存在することを知らぬかのようで、あまりに不自然です」

「彼女を拾ったのは、あなたです。私は、あなたがトレアに、わざとそんな教育をした――そう邪推しますが。実際のところはどうなのでしょう」

彼女は義憤を抱いているわけでも、なんでもない。
単純にわからないからだ。もし自分の考えで正解なら、それの意味がわからない。

1846とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:14:52 ID:V.ccKeQI

「……以前、言ったはずだ。彼女は"天使"だと。
いや、あの時は"天使の様な"、と言ったかな。」

【ちょっとした言葉遊びとも取れるセリフ。
どうやら、あのセリフは言葉遊びであると共に真実でもあるらしい。】

「人を疑わず、非難せず、あらゆることを飲み込み、善の方向に再構築する。それが彼女だ。
だが、それは私が施したわけではない。私が拾ったときから彼女はそうであった。

無理も無かろう。あの凄惨な死の渦の中で彼女だけは奇跡的に命を繋いだ。
しかし、命は繋いだが記憶は全て失った。」

【微妙にトレアが語っていなかった部分である。
どうやら、トレアを襲ったその死はトレア以外を全て飲み込んだらしい。

そして、最後に残ったは彼女のみ。】

1847とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:21:51 ID:eZ6IesYY
>>1846

「――」

彼の関与は無かった。
信じがたいことだが、嘘をつく理由がない。事実であるのだ。それは。

「外に出せぬわけです……」

そしてそれは、ザーの行動故という事態よりも、はるかに重い。
それは、もはやトレアがもう少し人間的に”まとも”即ち”汚れる”ことは難しいからだ。

(物言わぬ兵隊を作り上げるためのテストケース。そんなところだと思ったのだけれど……)

どうやら、全くの外れだったらしい。

1848とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:29:36 ID:V.ccKeQI

「記憶を失った同時に彼女の中の"悪"も死んだようでな。
流石に私も拾って、しばらく経つまでは気がつかなかった。」

【ショックで記憶と共に"悪の部分"が死んだらしい。
すなわち、トレアは人間としてみれば致命的に壊れている。

何せあらゆることを善に帰結させるのだから。
つまり、彼の"天使"という表現も大いに皮肉である。】

「外に出せない?……くく、私はそんな事を思ったことは無いが。
それにアレも私が教育したとはいえ、聖職者だ。そのあたりのことは真似事でも行っている。

……いや、正確にはアレが自ら望んだ、というところであろうか。
その覚悟かはたまた礼のつもりか、私の与えた名に"サルデフェクト"の性を付けた。」

1849とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:34:42 ID:eZ6IesYY
>>1848

「――」

しばし考え込む。
トレアの悪の心は死んだ。しかし、サルデフェクト姓を名乗る事を、ザーが決めたのではなく、彼女が決めた?
それは、まるで――。

「あなたに、無自覚か、あるいは意識してか――父を重ねているように思いますが」

自分を助け出した人物に父を見る。
考えられない話ではない。

1850とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:39:18 ID:V.ccKeQI

「恐らく、そのように考えて正解であろうな。
アレが望んだのであれば、私は文句は言うまい。」

【と、話したところで一度、不自然に間を開けた。】

「……さて。マアスーメよ、今までの話を聞いて、どう思った?」

【何時も以上の重圧。
神託を告げるシャーマンのあるいは判決を下す閻魔のような重い声。

そんな思わず、背が伸びてしまう声と共に問いかけた。
…………何を、期待しているのだろうか。】

1851とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:44:44 ID:eZ6IesYY
>>1850

「――どう思えば良いのかわかりかねます。そもそも私は、彼女は何か特殊な教育、悪くて洗脳を受けてああなったと思ったからです」

そうしてみれば、彼女の内から発生したもの。
精神的なものがその原因であり、ザー本人はほとんどノータッチだった。
それはつまり、彼女がザーに求める、深謀遠慮と千思万考を尽くす風帝の像とは少々異なるのだ。

「まぁ、しかし。個人的な事を、言わせてもらうのであれば」

「あなたにとっての、二人目の風帝の子(カエサリオン)というわけです。意地悪な次代に殺されないようにしてあげてほしいところですが」

肩をすくめる。
彼女は、彼女の言う伝説の王と、不遇の死を遂げた王の子を神聖視している。
ザーを風帝ととらえたならば、トレアは当然――というわけだ。

1852とある世界の冒険者:2014/06/01(日) 23:53:45 ID:V.ccKeQI

「アレについて、ではない。
そもそもの経緯についての話だ、マアスーメ。

確かにアレは奇跡的に唯一生き残ったが、惜しくも記憶と悪を失った娘だ。」

【どうやらトレアについてではなく、そもそものこの話についてらしい。
とくに矛盾も無い話であるし、疑う余地なども無いであろう。】

「そして、私がアレを見つけて、拾ったのは疑いようも無い事実だ。
だが、そもそも考えても見たまえ。

何故、アレ以外の全てが死の渦に巻き込まれるほどの事態に、私が"偶然"通りがかったのか?
何故、私は"偶然"その死の渦には巻き込まれなかったのか?」

【低く、暗い声が喉から響く。
そう、偶然に偶然が重なっている。それもあり得ないほど綺麗に。

それほどの事態ならば、下手をすればトレアとて死んでいたかもしれない。
だが、彼の言葉からして、その戦渦の直後に彼はトレアを拾っている。つまり――――。】

1853とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:00:30 ID:97lixY.g
>>1852

そういえば、そんなことは思い当らなかった。
らしくない失態だ。おもわずこめかみを押さえる。
しかし、言葉通りに受け取るのも危険だ。これはミスリーディングを誘う罠だ。彼女は直感する。

「いろいろ考えられます。丸く収まるのが、その死の渦を怪物として、その怪物は神聖性を嫌うため、神父であるあなたが通りがかったので退散した故」

「丸く収まらないのが、あなたのマッチポンプだという場合。こっちなら、相応の理由をお聞かせ願いたいところです」

「――それか、あなたは何らかの集団の裏切り者の場合ですか。その死の渦は当時のあなたの仲間か仲間による産物だった」

「仲間を殺す理由はない。あなたは平気だった。しかしあなたは何らかの理由で目の前で倒れた娘が気がかりになった。たちまち集団を脱し、娘を拾った」

「こっちの場合は、なかなかドラマティックです」

さて正解は今あげた中にあるのか。
あるような気もするし、無いような気もする。彼女はなんとなくどれも違うような予感はしていたが。

1854とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:10:30 ID:UBDIDTmI

「ふむ。中々にして夢のある答えだ。
近しいのは"丸く収まらない場合"であろうな。

私はただ、目的のための実験を行っていたに過ぎないのだがね。」

【彼の目的とは人の本質を知ることである。
何も無い真っ白な世界に人が置かれたときに、それはどんな性質を示すか。……途方も無いことだ。】

「小さな不確定な不安を与えれば、それはやがて増幅する。
それが膨れ上がった頃に"本物"を与えたとすれば……どうなると思うかね?

例えば……"最近、この村の近辺で盗賊団の姿が目撃されているらしい"、とか。」

1855とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:21:03 ID:97lixY.g
>>1854

「……」

言葉を失う。
今のは自白と考えていい。何も疑わぬ人間。それを培養するために、行ったのだと。
そうして、培養に成功したので、そろそろ実験の一つ二つも計画中だという話だ。

「その手伝いをすればよろしいので?」

呆れた王だった、と見限るか。
そんな発想が脳裏を過ったが、それは短絡的すぎる。
もう少し見ていたい。せっかくの底知れぬ王を見つけたのだから。

1856とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:29:03 ID:UBDIDTmI

「……ん?君は勘違いをしていないかね?

結果的に、その実験は失敗している。
私が見たかったのは、不安が破裂してパニックを起こす群衆とそれを蹂躙する力だ。

どちらの勢力も理性と言う箍が外れると思ったが……実際は欲に駆られた愚者が暴れるだけだった。」

【別に彼はトレアを作ることが目的だったのではない。
作りたかったのは小さいながらも理性が消え失せ、本質が露呈するであろう世界だ。
だが、それは失敗に終わっている。

そもそも、彼女はその戦渦が終わった後に、彼によって拾われている。
"奇跡的に生き残った少女"という言葉は嘘ではないのだ。】

「それらが全て息絶えた後、私は奇跡的に生き残っていたアレを見つけた。」

1857とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:33:33 ID:97lixY.g
>>1856

「――失礼。疲れているらしく」

口から出まかせというか、ごまかしだったというか。
トレアに聖職の教えを乞うたせいで、結構疲れ気味なのであった。
中身が眠いというのが最大の原因だが。

「……それで、これからどうするおつもりで」

あの娘をこれからどうしたいのか。
そこを尋ねることにする。

//では中身が限界なのでこんな感じで中断で!

1858とある世界の冒険者:2014/06/02(月) 00:51:08 ID:UBDIDTmI

「……アレについては――――。」

【一応、彼としてもトレアについてどうするかは考えているようだ。
確かに、もしもこれから様々なことが進むとすれば、色々と障害はあるだろう。

その時、善しか知らぬ彼女がどういう反応を見せるか。それは分からない。】

//了解です。ありがとうございました!中断!

1859とある世界の冒険者:2014/06/04(水) 21:22:33 ID:SncVXSaA
――森林奥地、とある廃墟

テレン村での少女蒸発事件が発生してから、早くも数週間が経過しようとしていた。
村の補佐役、ヴァローネ女史が探索隊を組織し、指揮したものの、森の脅威達の前に捜索は難航する。
冒険者に依頼をだしたものの、思うような成果はあがらずにいた。

――そして、村の人間や冒険者が易々と立ち入らないような、森の奥深くの、打ち捨てられた洋館の前にその少女はいた。
彼女の右目は赤く、煌々と光っていて、身体は返り血にまみれていた。
足取りも覚束なく、ふらふらと扉の前に立つ。目的があってこの廃墟にたどり着いたわけではない。
雨風が凌げるところを探していたところ、たまたま見つけたのだ。
植物によって浸食され、所々壊れているように見えるが、それでもまだ活用できそうだった。
彼女はそっと扉に触れて開こうとするが――鍵があるのか、開かなかったので、強引に蹴り飛ばして開ける。
廃墟は奇妙な魔力の残滓が残っており、少女はそれを感じ取って、休む前に探索をすることに決める。
やがて地下室を見つけ――下っていくと――。
幻想的な美しさの人形が二体、よりそうようにして、品の良さそうな棚に置かれていた。
彼女はそれに触れると、人形がかすかに彼女の魔力によって反応するのに気が付く。
この人形は魔法の人形で、即ち、使い魔になりうるものだと彼女は理解し、その人形に魔力を通すことで疑似的な契約を交わす。
そうすると、人形たちは物言わぬまでも彼女の思うがままに動き出した。
表情もなく、愛嬌もないが、彼女を満足させるには十分なものだった。
そして、人形に手紙が仕込まれているのに気が付くと、彼女はそれを読み、満足げな笑みを浮かべる。

「――素晴らしい。この私の、救われぬ旅の道連れというわけだ」

「素敵な演出だ。観客も胸を躍らせよう。私を待つ永遠の眠り姫! さあ、彼女を熱い接吻にて起こしにいこうではないか!」

歩き続けた疲れも何もかも忘れ、彼女は行動を開始した。
――彼女の名をエウノモス。そして、彼女が見つけた廃墟こそはかつて王都攻撃を目論んだグァルネリの人形たちの狂気の館。
彼女は、人形たちの忘れ物を回収しに、今旅立った。

【fo】

1860とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:16:40 ID:0J93V.tk
――王都郊外

薄手の黒いコートを羽織り、フードを目深く被った人物が、ふらふらとした足取りで歩く。
その傍らには、その人物の付き人というにはあまりにも浮いた、幼い少女二人がいた。
少女らは身体に似合わぬ大きさのクロスボウを手にしていて、異様な雰囲気を出していた。

「――まさか姫君が借金漬けだとは思わなかった」

「早急に資金を工面する必要があるが――さてどうしたものやら」

その人物は芝居がかった口調で独り言を言うが、傍らの少女は何も言うことはなく。

1861とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:27:23 ID:XvWxydyU

「……ここまで送り届けてくれたことに感謝だね。」

【少し前に馬車が通る音が聞こえたような。
すると、暗闇から規則正しい足音が聞こえてくる。

やがて、姿を現したのは黒髪にメガネを掛けたスーツ姿の男性だ。
こんな時間にこのような格好をした者が歩くのは逆に異様である。】

1862とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:34:17 ID:0J93V.tk
>>1861

「――おや?」

やってきた人影を見つけると、途端にフードに隠れた表情が険しくなる。
ナーブからは、妖しく光る赤い光が見えるだろう。これは彼女の右目の義眼の光だ。

「私は幸運らしい。ひょっとすれば金ぐらいは貸してくれるかもしれんな」

「君たちの姉上のためならば協力をしてくれるかもしれん」

コートの人物は少女らに楽しげに話しかける。
少女達の返事はないが、それを気にすることなく、ナーブに歩み寄ってくる。

「ごきげんよう! まずはこの出会いに感謝をしたい!」

「私の名前はエウノモス。古の王が如く断固としながら流麗なる響きであることは紳士たる君には伝わると信じる!」

「さて――突然だが、私は人探しをしている。彼女らの姉なのだ。一つ助けてほしいのだがね」

芝居がかった口調で愉快気に話しながら、フードを外す。
黒い髪の、凛とした少女の顔が露わになる。妙なのは、激しく発光する右目だ。

1863とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:47:20 ID:XvWxydyU

「…………僕かい?」

【歩み寄られて、立ち止まる。
こんな夜なのだから、少しは警戒しても良さそうだがまるでそんな様子は無い。

柔らかな微笑みを浮かべる青年は実に話しかけやすいだろう。
しかし、その瞳に輝きは無く、そちらを見ているようで見ていない。どこか虚空を見ているかのようだ。】

「ああ。ご丁寧に。僕はナーブ=ブランク。
……助けて欲しいって言うのはどういうことなのかな?」

【もしも、魔法を勉強することがあったのなら、その名前はどこかで見たことがあるかもしれない。
何せその名は多くの論文などに記されていたとある学者なのだから。

尤も、それは"はるかに昔"の話であるのだが。】

1864とある世界の冒険者:2014/06/05(木) 23:54:44 ID:0J93V.tk
>>1863

「彼女らの姉上、そして私の姫君となるべくその可憐なる乙女は、悲しいかな、借金という鎖に縛られて身動きが出来ずにいる!」

「所詮女の身。返せる金額ではとてもない――しかし、私は幸運だった。君に出会えることができた」

彼女は長い間を小さな寒村で過ごしていた。
それでも一定の学はあるが、魔法に関しては我流の部分が大きく、論文に目を通したことはない。
そのため、名前を聞いても特にリアクションはなかった。

「はっきり言おう。こういうのは単刀直入にやるものだ。金を貸していただけないかな」

「担保は何もないし、はっきりといついつまでに返すという算段も立てられん。卑劣なようだが、君の安全との引き換えなわけだ」

彼女が右手を挙げると、傍らの少女達がクロスボウをナーブにへと向ける。

「抵抗は君の権利だ! 私はいわば夜盗だ! 正義は君にあるだろう、しかし、私の胸は愛によって満ち、情熱で姫君を救出する責務がある!」

「君が選ぶのならば、ここで争うとしよう。好きな方を選びたまえ、選択は君の権利なのは神も覆せん真理なのだから!」

彼女は狂気に満ちた笑みを浮かべている。
ただの物盗りにしては、狂いすぎている。

1865とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:06:59 ID:zRp8FIlE

「夜盗……ああ、なるほどね。」

【向けられるクロスボウをいまいち輝きの無い瞳で見つめる。
そして、少しばかりの逡巡……考えているというより、困っているように見える。】

「でも……うーん、困ったな……今、持ち合わせが無くってね。
君たちのお姉さんを助けてあげたいのは山々、何だけどね。

良かったら、どうしてお金が必要なのか教えてもらえないかな?」

【怯えたり反射的に戦闘体勢をとったりしていいものだ。
だがしかし、彼はそういうことはせず、むしろ無防備だ。

そして、何事も無いかのように話を続ける。……主にその姫君とやらを助ける方法はないか、と。】

1866とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:13:26 ID:5qQ1hKP.
>>1865

「――なんという紳士であることか。実に素晴らしい演技だ、観客の紳士淑女からのため息が聞こえるようだ」

「紳士とはかくあるべきだな。不届きな盗人に恫喝されてなお、当人の事情を気にする、その器の大きさの素晴らしきことよ」

両手をあげて、しばし虚空を見つめる。
それと同時、右目の赤い発光が多少、穏やかなものになり。

「言っただろう。姫君には借金がある。この借金はそのまま売値というわけだ」

「勇者のように正面から激突して奪い取ることも考えた。しかし、それは国を相手取るという意味だ。当局からは追われる。私だけならまだしも、彼女と姫を連れて逃げるなど不可能だ」

「故に、如何なる手段をもってしても金が必要なのだ。ご理解いただけたかな?」

芝居がかった仕草で、一礼をする。
ナーブの態度は、彼女の好戦性を多少和らげたのは間違いない。
しかし、未だに傍らの少女たちはナーブにクロスボウを向けている。

1867とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:22:40 ID:zRp8FIlE

「なるほど。でも、僕はさっきも言ったけど持ち合わせは無いんだ。
……お金は持ち歩かないんだ。」

【どこまで信じられるかは分からない。
見たところ身なりはきちんとしているし、いわゆる貧困層と言うわけでもなさそうである。

また、カバンなどもあり、財布を収納する場所はそれなりにありそうだ。】

「それとも、荷物の中身を見てみるかい?
汚したり破ったりしないなら、見せてもいいんだけれど。」

【相も変わらず、警戒心という物が無い。

そして、普通に喋っている。少女達の琴線に触れることを一言でも喋れば
自分が蜂の巣になってしまう可能性だって、ゼロではないのに。】

1868とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:26:21 ID:5qQ1hKP.
>>1867

「――そんな身なりで、無一文だと言うのか?」

「嘘はもっと上手につくものだ。それとも、最後のささやかな抵抗というわけかね」

ぱちり、と指を鳴らす。
少女たちはクロスボウを油断なく構えたまま、じりじりと歩み寄り、やがて一人がカバンを奪うだろう。
もう一人はクロスボウを突き付けてナーブを冷たく見据え、もう一人がカバンの中を検分する。

1869とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:42:42 ID:zRp8FIlE

「身なりは……勘弁して欲しいかな。
流石にこれくらいはちゃんとしておかないと差し支えるから……っと。」

【困ったように笑う。少女の一人がカバンを奪い取る動作も見切れずにそのまま許してしまう。
やれやれ、と光の無い瞳のまま、苦笑する。まるで、幼子の悪戯に呆れているかのようなそんな素振りだ。

カバンを開けると出てきたのは良くわからない球体。
そして、あとは紙の束である。紙の束はいくつにも分けられており、どうやら意味があるらしい。

だが、文面は認識阻害の魔法がかけてあるらしく、内容を読み取ることは難しい。
そして、本当に財布とか封筒とかお金が収めてありそうな物は何一つとして、出てこなかった。】

1870とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 00:49:15 ID:5qQ1hKP.
>>1869

少女は検分を終えると、エウノモスに向けて首を横に振る。
そうしてから、少女はナーブにカバンを返し、クロスボウを持ち直しながら下がる。
もう一人の少女も同様にして下がって、エウノモスの傍らにへと戻る。

「これは驚いた。本当に素寒貧というわけだ」

「然らば、我らの腹の虫を抑えるために、その赤い血で支払っていただこう――それが台本であったが」

ため息とともに首を振る。
そうして、右手をあげて、それから下げる仕草をすると、少女たちがクロスボウを下げた。

「それでは観客たちからもブーイングがくるだろう」

「せめて君が見目麗しい淑女であるのなら、一つ略奪してみるのも面白いが――」

「あいにく私は男が嫌いなのだ。男は獣だ。獣は恐ろしい。私の四肢を食いちぎり、目玉を潰したのだから」

右目の光が、少しだけ強くなり、それから弱まる。

「だがその怒りを君にぶつけるのは聊か筋違いらしい。ああ結構結構。私共はこのやり場のない怒りをどこか適当なモノで済ませるとする」

「ではまた会う日までごきげんよう。次に出会う時には、金貨の詰まった革袋を持参願いたい。ではさらばだ」

最後まで彼女は芝居がかった口調と態度で、興味を失ったように背を向けて歩き出した。
目指す先は、さて――どこだろうか。

././ではこんな感じで! おつきあいありでした!

1871とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 01:36:42 ID:zRp8FIlE

「それは申し訳ないね。僕も流石に性別を変えることはしたくないかな。
いや、これは助かった、と安堵するべきなんだろうね。

女性であったのならば、支払いを強制されていたみたいだし。」

【どこか間の抜けている言葉だ。
まるで、今の自分のみに起こっている出来事が他人事であるかのようなそんな錯覚を覚える。

カバンも受け取り、律儀なまでに丁寧な態度である。】

「"覚えていたら"持っていくことにするよ。だから、君たちも覚えていて欲しい。」

【そういうと懐から手帳を取り出して、なにやらさらさらと書いたかと思うと、収めた、
彼女らが犠牲者を生みかねない行動をしていることについて気にする様子も無かったとか、FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1872とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 21:45:56 ID:5qQ1hKP.
――森林

豊かなこの森は奥へ進めば進むほど光を拒むようになっている。
そのため、奥地に行けばいくほど、光を拒み、それだけ凶暴な生物が存在するが――。
入り口付近、浅い部分は比較的穏やかだ。
――迷い込んだ生物を狩る、蜘蛛のような狩人達が時折、あらわれるが。

「ふーむ。君たちを囮にしての金策は効果的だが長期的な成果は望めんな」

「噂が立ってしまえば意味がない。出来るだけ痕跡は残さんようにしているが……」

倒木の上に座り込んだ、黒いコートを羽織った人物がぶつくさと何事かを呟く。
月光に照らされているためか、あまりここは暗くない。
その人物の傍らには二人の少女がおり、コートの人物の両腕に取り付き、分担して、何事か行っている。

1873とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:08:32 ID:tbkFY8Xc
「参ったな……。
ここに来て痕跡を見失うとは、迂闊だった。」

夜の闇にほど近い紺色の髪を揺らし、利発そうに整った顔立ちの青年が歩む。
銀縁で出来た眼鏡のブリッジを押し上げ、辺りを見回しながら森を歩く。

なんびとかが行う何事かには、まだ気付いていない様子だった。

1874とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:15:12 ID:5qQ1hKP.
>>1873

「おや? ――ふむ。急いでくれ。足は平気だ」

少女らの作業を急がせて、ゆっくりと立ち上がる。
暗視機能を備えた、赤く光る右目でやってきた青年の姿を認めながら、フードを被りなおす。
青年の方も、この怪しい赤い光に気が付くだろう。

「また男か――あの手のは『女泣かせ』というのだ。勉強になったかね」

傍らの少女たちに話しかけながら、出方を伺う。
まだそちらに対して何のアクションもしかけないということだ。

1875とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:19:20 ID:jVqd.c4w
>>1874
「……赤い……光?」

眼鏡の奥の双眸が、鋭く細まる。
それと共に何気なかった足音が規律正しいリズムを刻み始めた。

すなわち、"何か"との距離を図るために歩んでいるのだ。

赤は人の本能に攻撃性を訴え掛ける光。
今青年は、明らかに警戒をしている事だろう。

「誰か、そこに居るんですか?」
独りごちていた時より少しトーンを落とし、光の先へ問う。

1876とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:26:54 ID:5qQ1hKP.
>>1875

「ああいるとも! 君のご期待に添えるかどうかわからないが、確かに私はここにいる!」

芝居がかった口調の、そんな声が返ってくる。
その声は男と断じるにはやや高いぐらいで、女と見るに妥当だろう。

「だが用心するよう。好奇心は猫をも殺す。私が善人たる確証は無く、恐ろしい悪党であるかもしれん」

愉快気に言葉は続く。
青年からこの人物の姿は認められないだろうが、もし見えたのなら、肩を揺らしてくつくつと笑う姿が見えたことだろう。

1877とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:36:15 ID:/Sl90J2U
>>1876
「すみませんがこちらは魔物を追う身ゆえ、ふざけないで頂きたい!
無為な冗談で人を傷付ける様な事になっては、困ります!」

遠間の芝居がかった口調にに声を張り、投げる。
このやり取りひとつもってしても、冗談は通じそうにないタイプだ。
良く言えば誠実、悪く言えば堅物。
その様な印象が声色からもひしひしと伝わってくる。

声は動いている。やはりそちらへ近付いている様だ。
向こうから飛んできた音のお陰か、足取りはきちんと一向へと向いた。

1878とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:40:58 ID:5qQ1hKP.
>>1877

「なるほど。狩人というわけだ。幕にはまだ少々遠そうだね」

傍らの少女に向けて話しかける。
少女からの返事は無く、また、この声掛けはスーノには聞こえないだろう。

「冗談といったか? 別に冗談を言っているつもりはないのだがね」

「まあいい。顔ぐらいは見せてもらおう」

少女らはクロスボウをいつでも構えられるようにして待機し、コートの人物はにやにやとした笑顔を浮かべながら、スーノがやってくるのを待つ。

1879とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:45:09 ID:KmPO0IWo
>>1878
そんなやり取りはいざ知らず、次第に闇が影となり
「ならば、悪党かもしれないなどと言う言葉は誤解の素です。」

輪郭となり、その輪郭が月明かりに剥がされてゆく。
そうして現れた青年は、法衣を身に纏い、太陽の意匠が凝らされた杖を左手に持っている。

1880とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:53:15 ID:5qQ1hKP.
>>1879

「それも誤解ではなかったとしたら、さてどうするかね?」

フードを外す。露わになった顔は、凛とした雰囲気の少女の顔だ。
しかしそれは、怪しく光る赤い右目と、狂気に満ちた笑みによってまるで別物になる。
彼女は芝居がかった態度で両手を高く掲げ、虚空を見つめる。

「たとえば、このように」

「有り金全てを出せと、まあ脅すわけだ」

傍らにいた少女たちが、クロスボウを油断なく構え、スーノに向ける。

1881とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 22:57:30 ID:ubpUE1OA
>>1880
「…………成程。」

ザ……と足音が止まり、狂気をくゆらせた少女と両脇の少女を眼だけで追う。
その爛々とした右目を見ても、無表情に近い表情は曇り一つ見せない。

「すみませんが、金銭は持ち歩きません。
金目の物もこの杖だけですが、これも家宝なので易々とお渡しする訳にもいきません。
大変お手数ですが、他を当たって下さい。」

あまつさえ、律儀に断わりを入れる始末。
危機管理という言葉を成長の過程で欠いたのか、それとも……

1882とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:04:50 ID:5qQ1hKP.
>>1881

「まあそんなところだろうと思ったよ。金がある風には見えんし」

「それを奪い取ったところで売り捌くツテもない。慌ててくれれば余興にはなったがそうもいかん。男という生物は退屈なものだ」

嘆かわしい、と彼女は大げさな仕草で首を横に振り、手を下す。
それを合図に、少女らはクロスボウを下げて。

「ステージの観客からは失望のため息が聞こえてきそうだ」

「役者としては背筋の凍る思いである。恐ろしい」

再びフードを被りなおす。
彼女の顔は隠れ、右目の光が殊更目立って。

1883とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:11:07 ID:7rGLUcro
>>1882
「退屈だとはよく言われますが、僕には理解に難い様です。」
男の中でも、殊更役者に向いていなさそうなタイプだ。彼女から言わせれば。

「……ですが、先程のは如何でしょう。
冗談にしては、少しやり過ぎの様に感じます。
それとも、もし本当に僕が金銭を持ち合わせていたら、奪ったのですか?」

尚も冷静沈着そこにありと言った態度で、フードを被り直す少女へ向いて問う。

1884とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:18:29 ID:5qQ1hKP.
>>1883

「私の姫君は借金で縛られた身。女の身で簡単に稼げる額ではない」

「彼女たちの姉上、そして私の姫君をこの手に抱くためには、手段を選んではいられない。そういう訳でね」

そのため、夜盗と化して金品を巻き上げている。
もうすでに何件かこなしていることだが、わざわざそこまでは言わない。

「つまるところ、金があるならば拾う。それだけのことだ」

「おっと。坊主だからと面倒なご説教は御免こうむりたい。正論には興味がないのでね」

肩を竦めながら、彼女はそう語る。

1885とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:26:10 ID:PjGZMxw2
>>1884
「……そこまで周到になれるのなら、賞金首を駆る方が早いんじゃないだろうか?」

思った事は口にしてしまう性分。
彼女なりの美学なり規律なりがあったりするのだろうが、その辺りは眼中の外である。

「一先ず君達は困っている。それだけは分かった。
説教をするつもりは無いが、誰かを襲う事に関しては見過ごしておけない。
それにそんな悪因を作っても、悪果が帰って来るだけだ。

……と言われる事をしてまででも、君達はやるんだろう?」

1886とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:33:58 ID:5qQ1hKP.
>>1885

「賞金稼ぎねぇ。なかなかいい着眼点だ。小銭を拾うのに飽きたら考えておこう」

「だが私は繰り返すが男が嫌いでね。悪党というのは大体がむさくるしい男だ。少しばかり、相性が悪い」

そうも言ってばかりはいられない。
それは彼女自身が言った通りである。彼女はため息をついた。

「因果応報か。誰も彼も因果の滑車を回してしまう!」

「ならばそれも良い。私は私の因果故に滅びるだろう」

「――だが、それはまだ先だ。私はすでに”前払い”している。悪果の前払いをしている。故に悪因をどれだけ重ねようが、それに届くまではこの身は焼かれぬというわけだ!」

「前世に遡られては理不尽という他にないがね。納得せんぞ」

愉快気に笑う。
彼女の言う前払いというのは、どういう意味なのだろうか。

1887とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:39:56 ID:5tnsCKlE
>>1886
「賞金首と言っても、人の限りではないからな……。
特に僕達一家は魔物退治を生業としている。その中のも居るんだ、云わば"札付き"が。」

彼もまたその魔物を追っていた途中だったのだが、取り逃がした訳で。
ある意味、お互いがハズレのクジを掴まされた様な結果になった。

「……先程も言ったが、それは君と因果との約束だ。
出来る限り、他人は巻き込むべき物じゃない。
……しかし、なりは若いのに随分と背負う物が多いんだな。
その子達も君の協力者みたいだが……厭くまで主体は君だろう?」

やはり気になった前払い、という言葉。
先程彼女が告げた"姫"と何か関係があるんだろうか……と考える。

1888とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:46:16 ID:5qQ1hKP.
>>1887

「見ればわかるだろう。私は怪物相手には少々分が悪い」

彼女自身の力は不明だが、彼女は恫喝するのに、少女の構えるクロスボウを使った。
クロスボウの一撃で死ぬ人間、それも、比較的軽装備の人間に限るのだ。

「ああ。私は私の意思で動いている。ほかの何者もそれには干渉しない」

「うん? 彼女たちかね? ああ――簡単なことだ。彼女たちは人形だよ。物言わぬ人形だ」

俄かには信じがたい話だが、彼女は傍らの少女を人形だと話す。
先ほどから一言も口を開かないのはそのためだとも。

1889とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:52:55 ID:KDsBzB9k
>>1888
「……早計だった。すまない。」
小さく首を横に振り

「だがそれでは、尚の事先の危険は増すんじゃないか?」
少し困った様な表情をして見せ、左手を顎に添えた。

「干渉もされたくない、と。
…………人形だったのか?」
素直に驚く青年。
その所作はどこを取っても少女を人形だと悟らせないほど、彼にとっては精巧に見えたからだ。

1890とある世界の冒険者:2014/06/06(金) 23:58:50 ID:5qQ1hKP.
>>1889

「良い出来だろう。いい拾い物であったが、あるいは彼女達は神からの贈り物だ」

「私の無謀を、神は助けてくれたものと確信している。故に、彼女らの姉上を助け出すことが急務であるともね」

少女らの頭を乱暴に撫でる。
少女は何のリアクションもしない。

「さて――すまないが、私は男と長々と話している気はあまりない」

「男はケダモノだ。私はケダモノが恐ろしくて仕方がない。私の四肢を食いちぎり、目玉を潰した野獣とはね」

「君が同類だと言いたいわけでは、ないがね……ふむ。観客はあまり納得いかないようだが、これも台本の内だ。失礼しよう」

「ではごきげんよう。次に会うとするならば、金貨の詰まった革袋をご持参願いたい」

大きく笑って踵を返す。
少女らもそれに続き、その内の一体は、スーノを監視するようにしばらく気にしながら歩いていた。
こんな仕草も、全て――あのコートの少女が操っていることなのだ。

//では、こんなところで。おつきあいありがとうございましたー

1891とある世界の冒険者:2014/06/07(土) 00:13:28 ID:sj5xn5S2
>>1890
「蜘蛛の糸……か。」
彼女の芝居じみた言い回しは、彼が理解するのを苦手とする言葉の類である。
故にあまりはっきりとした事は分からなかったが……

「すまないが、四肢を食う趣味は無いし金貨は余り持ち歩きたく無いな……」
しかし、はっきりと言えるのは、彼女らが根っからの悪人でないという事だった。

3人が完全に消えた後、突然何かを思い出した様にして彼もその場から去って行った。

//おつかれさーん!

1892とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 21:23:03 ID:TgAiaBCk
――王都 『永崎屋』

4月馬鹿も過ぎ、4月7日、細かな硝子工芸品の製作販売を行うこの小さな店も、いよいよこの日を迎えることになった。
丁稚奉公による子供の雇用である。彼らは能力的に何ら必要とされるわけではなく、給金も皆無の場合が殆どである。
彼らは住み込みでこまごまとした労働を行い、対価として衣食住と技術を得るのである。

この日、女主人、永崎鐘に対して、カバン一つで挨拶に来た少年の名はキャルヴィン・フィルポッツ。
まだ6歳ながら、その目や雰囲気には、幼くして親元を引き離されたという動揺が感じられず、それどころか
どうにかここまできた、と安心しているような様子でさえあった。

「これからお世話になります、キャルヴィン・フィルポッツです。どうかよろしくお願いいたします」
「ませた子供じゃな。私は永崎鐘――まぁ、頑張って働いてもらおうかの」
「はい、頑張ります」

これは何かのびっくりで、中に大人が入っていそうな落ち着きぶりだ。
鐘は平静を保っているが、内心は動揺している。
傍らにいるであろう刹忠のリアクションは、さて――

1893とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 21:32:43 ID:z/XDDwys

「おぉ、これまた落ち着いた少年、でござるなぁ。」

【そんな少年の立ち振る舞いに感心しているのは和装の青年だ。
ただし、下は通常のズボン、和服も腰の辺りで仕立ててあるという奇妙さである。】

「一時はどうしようかと相談していたでござるが、心配はなさそうでござるな。」

【こちらに来るキャルヴィンの年などを聞いて、どうしたものかと
相談したものだが、それは杞憂に終わったらしい。】

1894とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 21:43:27 ID:TgAiaBCk
>>1893

「そちらは……旦那様で」
「まぁ、そういうことになる。んむ。まだ色々あって内縁の、がつくんじゃが」
「なるほど。改めて、よろしくお願いいたします。

刹忠に向けても、彼は深く頭を下げた。
奇妙なほど手がかからない。それはそれで問題にもなりうる。

「とりあえず――2階の空き部屋が奉公人の部屋じゃ。お前しかいないから、ぜいたくにも個室になるんじゃがな」
「すぐにその過ぎた幸運も返上になると思います。奥様」
「くふ。プレッシャーをかけられてしまったんじゃよ。とりあえず、荷を置いてきなさい。戻ってきたら、適当な仕事を任せるから」
「はい。早速ですね」

クスクスと楽しげに彼女は笑う。
商家の三男坊。その立ち位置が、過酷だった故に彼という人間が出来上がったのだろう。
少年はもう一度頭を下げてから奥の階段を上り、入ってすぐの空き部屋を見つけるだろう。
丁寧にも、部屋の戸には【奉公人寝室】という張り紙を用意したのだから。

「……ふーむ。手がかからんというのは、拍子抜けじゃな」

1895とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 21:55:06 ID:z/XDDwys

「うむ。刹忠と申す者でござる。
以後、よろしくおねがいするでござるよ」

【こちらも軽く挨拶をして、二階へと上がってく少年を見送った。】

「吉と出るか凶と出るか楽しみでござるなぁ。
あ、いや、吉と出ないと困るんでござるな。」

【そのリアクションを楽しみかけてしまったようだ。
それではいかんと自身のデコを叩いて見せた。】

1896とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 22:05:00 ID:TgAiaBCk
>>1895

「私は、てっきり生意気なはなたれ小僧が来ると思っていたんじゃがな」

「まぁ、教えることは沢山あるじゃろうな。しっかりした風に見えるが、字は怪しいとみてよさそうじゃ」

「計算も指を使うと踏む。ふふ、”そろばん”の成果を見せるときがきたもんじゃな、旦那様」

その手の教育の担当は、以前話したように刹忠の役割となるわけだ。
しっかりしなければ、自身の威厳にかかわるというわけで、その威厳は、どうしてもなければならないのだ。
否応なく、鐘と刹忠の二人は、この6歳の少年の上に立つことになったのだから。

そんな話をしていると、少年が戻ってきた。
鐘は早速彼に仕事を与える。

「いきなり職人の技術を叩き込むわけにもいかんし、掃除も色々と注意しなければ割りたい放題になるのは目に見えておる」

「というわけだ。まずは2階の掃除。つまりは自分の暮らすことになるスペースを掃除してもらうぞ」
「はい。わかりました」
「道具はそこじゃからな」

彼がモップだの雑巾だのバケツだのをつかんで、早速再び二階に戻ったのを確認して、ため息をつく。

「仕事をどう割り振るかも、決めなきゃならんわけじゃなー……」

よろよろと店舗スペースのカウンターに。
刹忠にもついてくるように、手でくいくいと袖を引っ張って。

1897とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 22:17:25 ID:z/XDDwys

「むむ……拙者に威厳を求めるのは酷でござるよ。」

【そういう風に言われて、少々、臆している。
無論、教育は永崎によって施されていたが、自信が無いのは確かだ。

剣の腕ならば、これほど苦心する必要もあるまい、と。
剣をそろばんに持ち帰れば、彼も形無しと言ってもよい。】

「ん〜……まぁ、頑張るでござるよ。」

【袖を引かれると、それに応じた。

やはり、ここが今まで商売を行っていた永崎との違いか
いまいち、主人らしくは振舞えていない。

というよりも、いつもの刹忠だ。】

1898とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 22:21:33 ID:TgAiaBCk
>>1897

「日中を通して客がそう多くは入らないというのが、多少の救いじゃな」

客が少なければ、それだけ考え事に時間が回せる。
この店が多少忙しくなるのは、学校の始まる前と終わった後。
可愛い物好きの女学生が、こまごまとした物を求めてやってくる。
立派な皿や器が欲しいお金持ちなんかは、手紙のやり取りと代理人の派遣で済ませてしまう。

「この割れ物の要塞と化している売り場を、どう6歳児の小僧に任せるか」

「――小物程度なら大した損害にもならんのじゃが、皿なんかを割られると貧血を起こしてしまうじゃろうなあ」

人を使うというのは、何とも難しい話なのだ。

1899とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 22:30:18 ID:z/XDDwys

「うむむ、確かにそれは困るでござるな。
拙者も剣を持つ故にいくら、身の一部といえど緊張はしたでござる。」

【確かにそれでは大損害である。
剣士は己の得物も含めて、自身の体としているが、その刹忠でさえも
永崎の店を訪ねたときなどは人一倍、気を使って身体を運んでいた。

自分でさえこうなのだから、キャルビンにしても同じであると。
だが、いくら落ち着いているとはいえ、相手は子供だ。

やはり、不安が残ることにはまちがいはない。】

1900とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 22:42:52 ID:TgAiaBCk
>>1899

「……これは私がくっついて掃除を教えんといかんようじゃな」

普通の店ならば、それは先輩の奉公人が行うことである。
しかし、受け入れがこれで初めてとなるこの店では当然それは不可能なことだった。
一寸、刹忠に任せてみようとも思った鐘だが、より安全策をとったのだろう。

「んー……なんじゃな」

「順調に進めば、店を大きくすることも可能かもしれんわけじゃが」

「そうなればなるほど、二人の時間がなくなってしまうわけじゃな――」

困ったように笑って、それから刹忠を見上げる。

1901とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 22:52:18 ID:z/XDDwys

「その方がより安全でござろう。
拙者も、流石にここの全ては把握していないでござる、からな。」

【どうあっても今のところ彼は同居人である。
本分は剣を振るうことなのだから、クエストに出かけることもある。

とはいえ、最近はそろばんの教授などあり、減ってはいるのだが。】

「…………。」

【その目をじっと見つめて、少しばかり間が空く。
だが、その間は彼が浮かべた微笑によって、破られた。】

「今が、踏ん張り時やもしれんでござる。
この店が大きくなって、さらに安定すれば、時間は出来てくるでござるよ。」

1902とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 23:03:04 ID:TgAiaBCk
>>1901

「――そうか。そうじゃな」

ここが正念場。
確かにそうかもしれない。この一年は大きな意味を持つ。
また、近い将来、正しくこの店の後継者が誕生するかもしれないという期待もある。

「だが、その時は、お互いに年寄になってる、なんてこともあるんじゃな」

「老いての楽しみも素敵じゃが――若いうちに、出来る楽しみは、出来るだけ楽しんでおきたいものじゃな」

それは容易なことではない。
それをわかってはいるが、それでも、出来うる限りは――。
そんな、欲張りな彼女の願いであった。

1903とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 23:11:17 ID:z/XDDwys

「それは……無論、でござるな。」

【それも承知はしているようだ。
こうして丁稚を取ることも、後々にラクになるためのものでもあろう。

ずっと、彼からすれば主人としてずっと店を切り盛りしていた永崎に楽をさせ
年頃にするべきであった遊びをさせてやることも、ある種、責務だと考えているのかもしれない。

それに剣の修行に身を置いていた彼も例外ではないのだ。】

「若いうちに出来ることはしなければ、後悔しても遅い、でござるし。」

【その欲張りな願いも叶えようと努めるのもある種の甲斐性ではないか、と。】

1904とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 23:19:56 ID:TgAiaBCk
>>1903

「――んでは、一緒に考えてくれるじゃろな」

「今後の、かわいい丁稚君をどう扱うか……」

くふふ、と笑みを浮かべて。
彼のポテンシャルは高そうだが、それが花開くのは10年、彼が天才ならば5年の歳月が必要だろう。
それまでは、彼は単純労働のための人足でしかなく、だからといってずっとそれに従事させていては、ずっと単純労働者というだけ。
なかなか、難しいものなのだ。

「せいぜい頭脳労働をするんじゃよ」

店のカウンターで二人、うんうん悩まなければならない。
そんな事態に、鐘は刹忠を引き込んだのである――。

//ちょっと早いがこんなところで!

1905とある世界の冒険者:2014/06/08(日) 23:30:54 ID:z/XDDwys

「……心得た。
拙者も協力をするでござるよ。」

【二つ返事でそれを了承するが、彼の中では少し複雑な思いが渦巻く。
それは不満とかそういうものではない。

間違いなく、この先、この店は大きく動く。

それに永崎だけでは手に負えない部分が出てくるであろう。
そうなった場合、協力するのは彼が主となるであろう。

となれば……ますます、自分が欠ける訳にはいかない。
故に――――そろそろ、覚悟を決めるときが来ているのだ、と。

剣か……それとも。FO】

//了解です。お疲れ様でした!

1906とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:17:18 ID:7ofKJ1z6
−前回までのあらすじ−

半魔の身体を作らな、と胡散臭い男に言われて材料調達に奔走するモノ一人。
小さな島に隠された大きな秘密の先っちょ位に触れてなんだか妙なことになりつつある。
とりあえず目的の魔力結晶は手に入ったので建物の外に出るべきだと思うが…

しかし囚われの竜を開放するってどうやったものだろう。

1907とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:22:58 ID:YuCR4Oms
「…………後には引けないってこの事を言うのかしらね。
全く、これじゃ隷属みたいな物じゃない。」

首筋の左寄りを手で押さえながら、やれやれと言った風に呟く浅葱色の髪の女性。
押さえている場所の丁度下あたりには、例の契約の印が刻まれている。

「(…………痕が残ったらノルにどうやって説明したものかしら。)」
まず眼に咎められる機会も定かでは無いが、三白眼でよそを眺めながら考え事をしている風だ。

1908とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:28:27 ID:7ofKJ1z6
>>1907
とはいえ物理的にではなく魔術的に刻まれた刻印だ。
現状、魔術的視覚でしか見ることも叶わないので普段の生活に問題はない…だろう。
まあ、お供の半魔は現状魔術的な要素に傾いているので気づく可能性大だが。

何はともあれ材料はそろった。
あとは胡散臭い男がなんやかんやで身体を作るのだろう。

1909とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:30:12 ID:YuCR4Oms
>>1908
「…………"アレ"も何処まで信用して良い物やら。」

とはいえ、愚痴を零しても始まらない。
兎に角今は、レンの体を作る事……即ち、魔力結晶を届けるのが先決だ。

来た道を逆へと辿り、皆の下へと帰る路を進む。

1910とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:39:24 ID:7ofKJ1z6
>>1909
男「お、帰ってきたね」
半「おかえりなさいー」

野外で苦労も知らず外でのほほんと
背が高く面長でヒトの良さそうな青年と
なんか全体的に透けてる長髪の娘が迎える。

男「どうやら無事持ってこれたようだね。さて、次の段階に移ろうか」

1911とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:41:00 ID:YuCR4Oms
>>1910
「…………。」

何を思ってのジトっとした視線かは分からないが、それで全員を一瞥した後

「さっさとして頂戴。」
ぶっきらぼうに、男の胸元へと魔力結晶を押し付ける。

1912とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:53:09 ID:7ofKJ1z6
>>1911
男「了解了解。すぐに取り掛かろう」

そういうと男は風呂敷のようなものを広げ、
そこに結晶や毒々しい色の液体、粉末、乾燥した何かの葉や根を置いていく。

半「…」

何が起こるのかなー、と期待に満ちた感じで半魔がその様子を見ている。

1913とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 22:56:22 ID:YuCR4Oms
>>1912
「…………。」

フンと小さく鼻を鳴らし、服の肩口を少し上げてから岩へと組み足で腰掛ける。
腕も腰の辺りで組ませ、男の動向を監視に近い視線で眺めている。

1914とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:00:20 ID:7ofKJ1z6
>>1913
男「そしてこれを…」

並べた道具を風呂敷に包みこみ…

男「こうしてこうしてこう!」

ドカン、ガシャン、バリン、グシャ!!
と、風呂敷を振り回し地面や岩やらに叩き付ける!!

半「おぉぅ…」

コレには流石の半魔も苦笑…ドン引きである。

1915とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:05:49 ID:YuCR4Oms
>>1914
「……………」

人の苦労して取って来た道具に何て事を。
と言いたい所ではあったが、変に噛み付いて話が長くなっても面倒だ。

なんとも言えない表情で見守る事にする。

1916とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:07:38 ID:7ofKJ1z6
>>1915
男「よし、みんな離れて!」

といって風呂敷を投げ捨て駆け出す青年。

半「え?」

事態が呑み込めず棒立ちの半魔。
投げ捨てられた風呂敷から白煙があがり、妙な震え方をして輝きだした!!

1917とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:14:19 ID:YuCR4Oms
>>1916
「な………ッ!?」

あまりにも普通えないその風呂敷の反応にぎょっとし、それから背を向けずに大きく後ずさる……


「って、ちょっとレン!?」
が、約一名呆けているのに足が止まった。

1918とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:17:41 ID:7ofKJ1z6
>>1917
ずどーーーーん!!

船乗りA「ああ、また爆発だぁ」
船乗りB「おそろしやおそろしや…」

島から離れた海原で船乗り達が島から立ち上るきのこ雲を見たそうな…

半「ほぎゃー!?」

そして爆心地で半魔が被害をこうむっていた。

1919とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:23:30 ID:YuCR4Oms
>>1918
「………れ、レン!?
レーーーーーーーーン!!!!」

並大抵でない爆発。
咄嗟に爆心地へと空の手を伸ばし、名前を叫ぶ。

1920とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:29:27 ID:7ofKJ1z6
>>1919
男「いやあ、少し張り切りすぎたかな」

いつの間にか隣に立ち、
柔和な笑顔でいい汗かきながら青年が言う。
一切の罪悪感を感じられない!!

半「はらほろひれはれ…ほへぇ」

爆発が収まり視界が開けたあたりで、
目を回しよろめきながら半魔が現れ地面に突っ伏した。

1921とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:30:58 ID:YuCR4Oms
>>1920
「(コイツ…………いつか殴る。)」

八重歯を剥き出しにする程歯を噛み締め、恨みの籠った視線を送るメルフェ。

「ハッ………レン!」
爆煙の中から眼を回しているレンを発見するや、男をそっちのけで駆け寄る。

1922とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:35:56 ID:7ofKJ1z6
>>1921
半「か、身体が吹き飛んで…
男「いや、それはもうだいぶ前に起きたことだよ?」
半「そうでした……ぐふぅ」

ボケをかますあたり未だ余裕はあるようで。
周囲は爆発によって浅いクレーターとなっている。
そして爆発の中心には虹色に輝く砂の山が築かれていた。

男「うんうん、いい感じに出来上がったなあ」

1923とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:40:43 ID:YuCR4Oms
>>1922
「レン……ああ、なんて事……。」

「ちょっと、一人で納得してないで説明なさい!!」

とうとう耐えかねたのか、男へと噛み付く様な形相で胸ぐらを掴む。

1924とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:47:07 ID:7ofKJ1z6
>>1923
男「ん?説明?具体的には何が聞きたいんだい?」

胸ぐらを掴まれたまま余裕綽々で青年が問う。
悪気は一切ないのだろう…

半「…」

突っ伏したまま顔だけあげて成り行きを見守る半魔。

1925とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:49:57 ID:YuCR4Oms
>>1924
「貴方、わざとレンを巻き込む風に投げたんじゃないの?
先程からの行動の理由、一から十まで説明しなさい。
さもなくば……………もぐわよ。」

何を、とは言わない。
が、目元が陰って見えない程の凄み。良いチンピラである。

1926とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:54:15 ID:7ofKJ1z6
>>1925

「いや、一人暮らしが長いせいか周囲に気を使うといった事がどうにもおろそかになってしまってね。
 振り回しているあたりで、そういえばこれ最終的に爆発するんだったと思い出してね」

「えーっと、つまり?」

「すまない、注意を即すにはあまりに時間がなかったし、
 爆発も物理的な要素の方が強いからつい、雑な忠告になってしまった」

「まあ、油断していた私も悪いですし…お互いさまということで」

あっはっは、と笑う二人。

1927とある世界の冒険者:2014/06/17(火) 23:59:38 ID:YuCR4Oms
>>1926
「………………。」

頭を抱えて盛大な溜め息を吐く。
どうしてこうも、危機感に乏しいんだろうか。……今更か。

「頓馬。」

と思いつつも、とりあえずレンに軽くデコピンをしておいた。

1928とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:04:10 ID:x8e1pQaw
>>1927
スカっとデコピンが空しく宙を切る。

半「あー、早く身体欲しいですねー」
男「デコピン好きなのかい?」
半「いや、デコピンは好きじゃないですよー?」

あほな会話を続ける二人。

半「それでー、あれをどう使うんですかー?」
男「ああ、後は君次第だよ、レン」
半「…はい?」

1929とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:09:42 ID:HbeHlMpU
>>1928
「くっ………!」
行き場を失った手が虚しく宙に泳ぐ。

「だから説明を…………はぁ、もう良いわよ。
それで可能性としては戻せるの、戻せないの、どちら寄りなの?」

1930とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:19:38 ID:x8e1pQaw
>>1929
男「まあ、いうよりも実際に現象を見せた方が早いだろうから」
半「はいー?」

そういうと青年は虹砂をすくい上げ半魔へとばらまく。

半「わわっ……おぉう?」

意味のないことであるが、咄嗟に落ちてくる砂から目をかばおうと翳した
半魔の手に砂が触れて留まる。


「この砂は君の魔力に反応する。
 君が独自に作り上げていた身体と然程理屈は変わらない。
 しかし姿を維持するための魔力消費は遥かに少ない」

「成程〜…つまりこれを使っているうちは消える心配はない?」

「ああ。より使い方に磨きをかければ戦うことも負担にはならない」

1931とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:24:35 ID:HbeHlMpU
>>1930
「…………貴方を誤解してたみたいね。」

摩訶不思議な砂だが、レンの魔力に合わせて作った物。
つまり、彼女の魔力の何たるかを把握していないと出来ない芸当だ。
だとすれば。

「……余計に怪しいわ。
貴方、何者? ……たまたまここに居ただけなの?本当に。」

1932とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:29:43 ID:x8e1pQaw
>>1931

「勿論此処に居ただけだよ、僕は。
 訪ねてきたのは君達の方だろう?」

「そうですねー。メイに言われて来た訳ですから」

「まあ、前から色々と見させてはもらっていたけども」

謎がとかれるのかどうかは…次回に続く

1933とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 00:36:51 ID:HbeHlMpU
>>1932
「……………。」

言われての事とは言え、何とも納得がいかない。
思えばこの島に来てからそうだったが……兎に角次回につづくのであった。

1934とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:39:38 ID:khyoA9nc
――― (魔境である)ジグザール王都(の中でも治安が悪い事で有名な)森 ―――

「――――ユニコーンの毛、竜の血で穢れし短剣」

暗い暗い森の中、一人の少女の声が響く
ぽっかりと空いたとあるスペースに描かれた銀色の五芒星の魔法陣、4隅に置かれている柱の上には緑色の炎が置かれ
辺りを緑色に照らしている

そしてそんな魔法陣の中央で、一人怪しげなローブ姿の人物(小娘)が何やら怪しげの真っ最中
古い革表紙の本を片手に、呼応した物品を魔法陣の中央に置くと 不思議とその物品が消滅する

1935とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:44:26 ID:x8e1pQaw
「…」

赤い頭巾を目深に被り、編上げブーツを履き、
左手にバスケットを持ち歩く金髪碧眼の娘がふらり、とその場を訪れる。
その左手には艶の無い黒骨製手甲が装備されている。

1936とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:45:52 ID:wcbSBu1c
>>1934
そこに、何やら声がかかった。

「これは如何なる祭事かな――」

声の方を見れば、森の奥、赤い光が見える。時折緩やかに明滅するそれは、段々と近づいてくる。
光が近づいてくると、それはどうやら人型をとっていたことがわかる。光は人間でいうなら右目の位置に存在している。
さらに近づいてみれば、何のことはない、薄手の黒いコートに、フードを目深にかぶった人物であるというだけだ。
右目はおそらく、機械式の義眼ないしは魔術による光であるとわかる。

「なかなか愉快げだ。観客たちも期待に固唾を飲むことだろう」

「さて。私のアドリブでこの舞台はどうなることやら」

コートの人物は、自分のほかに三人の少女を連れている。
幼い双子らしい少女と、それの姉らしい、少しだけ大人びた少女。
双子の少女は表情がなく、姉らしき人物は、無表情であろうとしていることがわかる。

1937とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:50:11 ID:khyoA9nc
>>1935-1936

「―――若者の血を吸い続けた、血の苔……」

突如現れた5人の人物に意を介さず、重々しい雰囲気の中儀式を続ける
毒々しい黒色の苔を瓶から取り出し、魔法陣の中央に放り込むと
銀色の魔法陣が一点、どす黒い光を放った

見た限りで、普通の魔法を行使しようとしているわけではない
もっとどす黒い何かを呼び出す、そんな魔法陣だ
まだ若い少女だが恐らく、何かしらの闇を抱えているのだろう

「――――――老火竜の、逆鱗……」

「は、無かったので火トカゲの干物で代用」

そしてすぐにそれはぶち壊された

1938とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:55:37 ID:wcbSBu1c
>>1937

「――。」

ぽん、と手を打つ。
今まで無視されたことはなかった。「そういうこともあるのか」という新鮮な感動を得たのである。
とはいえ、「邪魔だ」というリアクションすらない。おそらく、この工程が終わって初めてアクションがあるとみていい。
となれば、これを見学している分には現状問題ないということだ。コートの人物はそう判断する。

「魔女の儀式をそっと待つ役割ということだな。結構結構」

うんうんと満足げに頷き、もう一人人物がいることに気が付く。
都合、興味の対象は一時的にそちらにシフトする。

>>1935

「おや、そこにいるのは赤頭巾ちゃんというわけだ」

くつくつと肩を揺らして笑う。

「お使いは終わりかな? 狼を退治したところだろう。寄り道はいかんな――それも、魔女の鍋を見に来たと?」

「まぁいい。好奇心は大事なものだ。赤頭巾。君はこの魔女の鍋をどう見るかな?」

さてこっちは何かリアクションしてくれるだろうか。

1939とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:57:14 ID:x8e1pQaw
>>1936>>1937
「っ…、……」

代用品が出てきたあたりで一人ズッコケそうになる。
しかし頭を振って、バスケットを右手に持ち替え左手を小娘へと翳す。
艶の無い黒骨製手甲に紫炎が灯り、ォォォオと地から響くような妙な音を出し始める。

この手甲、型が古く、それ故に特定の集団にはよく知られているモノでる。
正式名は不浄の左手、通称『魔女狩りの手』とも呼ばれている、ある人物が使っていた代物だ。

1940とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 21:58:09 ID:x8e1pQaw
>>1938
エウノモスを一瞥すると小娘へと向き直り左手をかざしている…

1941とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:05:35 ID:khyoA9nc
>>1938-1939
「覇王の名を持つ仙人の掌の持つ 可憐な紅色の花」

「……投入」

数人のギャラリーに相変わらず気にもとめず、もう一人は自分に危害を加えようとしているにも関わらず
覇王樹、そして仙人掌と呼ばれる植物に咲くという紅い花を、そっと魔法陣に乗せた
なおどちらも『サボテン』と詠むもよう

「―――――穢れ無き、少女の血……」

「必要な量が多い、 生理食塩水で充分であろう」

王都立病院の物と思われる瓶の中から透明な液体を魔法陣の中央に注ぎ込んだ
魔法にちょっとした心得があるものならわかるだろう 血とは魔法の材料として使ううえで特別な意味を持つ者だと
つまり下手なもんで代用しちゃ駄目だと言う事を

1942とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:11:24 ID:wcbSBu1c
>>1939

「待ちたまえ。ロクに言葉も交わさずにソレでは観客も興ざめというものだ」

「大体君に何の大義名分があるというのかね? ぜひお聞かせ願おう」

少女の肩を掴み、止めようとする。
伸ばした右手は義手によるもので、鋼が使われている。

>>1941

「……」

魔術には決して明るくない。
明るくないが「それはいいのか」という、理性の欠片がこの人物をつつく。
しかし、それをあえて口にすることもしない。そんなメタ的な視線からの発言は、まさしく役者がするべきことではないからだ。

「さて。何が起こるやら」

自分に危害が加えられそうな状況下なのに、この集中ぶり。
それほどまでに行いたい儀式なのだ。期待もする。

1943とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:16:54 ID:x8e1pQaw
>>1941
「……はぁ」

溜息と共に紫炎が掻き消える。
両腕をだらりと垂らしやる気なさげに様子を見守ることにした赤頭巾。

>>1942
「…」

肩に伸ばされた手を見た目とは裏腹に強い力で振りほどく。
エウノモスを見る其の目は冷めている…

魔女と称されるものの間でやっと3割程度のモノが知る話であるが…
かつて魔女狩りの手を使っていた人物は魔女であり、
三人の従者の裏切りによってその魔力を失い封印されたという。
当然その持ち物も何かしらの処分が行われたであろうが…

1944とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:20:38 ID:khyoA9nc
>>1942-1943
「そして最後の贄………」
「闇に堕ちた若人を、魔法陣に捧げよ…… ふむ……」


「……………」

魔法陣を描き、色々と捧げ
どうやら最終段階に辿り着いたようすの少女
今ようやく、本から顔を上げ、赤ずきんとエウノモスに向き直り 意味ありげに笑った

1945とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:24:25 ID:wcbSBu1c
>>1943

「おお、恐ろしい赤頭巾もいたものだ」

肩を竦めて、やれやれと手を広げる。
突っついていけば楽しめそうだが、今は大人しくしておく。
そんな打算が彼女にあった。あくまで興味の中心はそこの魔女だ。
二兎を追う者は一兎も得ずというわけである。

「おつかいの帰りというわけでもなく、後日談の存在というわけだ」

「グレてしまった赤ずきんというわけだ。さて何が足らなかったのか――」

とはいえ、そんな事を言って一人笑うことはするだが。

>>1944

「ほう。なるほど、ここで我々ということか。闇に堕ちた若人、その適任者がいるではないか!」

彼女が白手袋に包まれた右手で持って指し示すのは、赤頭巾だ。
自分より年下、赤ずきんなのにずいぶんと穏やかならぬ態度。”闇に堕ちた若人”として見るに相応しい。

「とはいえ、それに協力するような殊勝な輩ではあるまい」

「どうするのかね、魔女としては」

お手並み拝見といくというわけだ。

1946とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:32:48 ID:x8e1pQaw
>>1944>>1945
「…」

バスケットを無造作に手放すと、ゴシャァ!と重々しい音を立てて地面にめり込んだ。
それを軽く蹴り転がすと鉈やら斧やらナイフやらが転がり出てきた。
ガン、と手近な得物を蹴り上げ手にする。
先端がL字に折れ曲がった鉄の棒、バールである。

1947とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:36:26 ID:khyoA9nc
>>1945-1496
「フッ…… それもそうであろう、誰が好き好んで生贄などとなる?」
「見返りも無しに誰が命を投げ出す? 安心するがいい、我は懸命だ」

「我は悪の魔法使い、王都の月を破壊せんともくろむ者」
「さぁ魔法陣の上に膝着くがいい!今なら我が下僕の中でも高位の役職をくれてやろう!」


悪くない話だろう?とばかりににんまりと笑う魔法使い
要約すると 「生贄になってくれたら自分の家来にしてやろう」 こっちに対してメリットも糞も無い話だった

1948とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:41:27 ID:wcbSBu1c
>>1946-1947

「ほほう」

言っていることはスケールがでかいばかりで良くわからない。
が、それがメリットでも何でもない事ぐらいはわかった。
コートの人物は横目で赤ずきんの様子を見て、ため息をついて言う。

「しかし、赤頭巾は怒ってしまったようだが」

「刃物がいくらでもあるのに、結局取り出すのはただの鉄の棒。鈍器というわけだ。つまりそれぐらい頭に血が上っているのだろう」

「魔女よ。君の命の方が危ないのではないかな?」

行く末を見守ることにした。
あるいは漁夫の利狙いの鳥といったところか。

1949とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:44:59 ID:x8e1pQaw
>>1947>>1948
「…」

口は開かず、相手を射抜くような鋭い目だけがモノを言う。
曰く『ふざけてんじゃねえぞ、奥歯にバール突っ込んでガタガタ言わせたろうかぁっ!!』
両足を開き、腰を低くし、左手より再度紫炎が発せられる。
両手で構えるバールにも炎が纏わりついていく…

1950とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:50:19 ID:khyoA9nc
>>1948-1949
「どうも我の思考についていける事ができる知能の持ち主はこの場にいないようだ」
「わかりきったことだが何とも嘆かわしい、怒りとは最大の無知、無知は罪だというのに……」

頭に血が上っている赤ずきんに、それも今にもこっちを殺したくてうずうずしている赤ずきんに臆さず、
さらに馬鹿にしたような態度をとった
多分この少女も罪深き存在なのだろう。 怒っている相手にしちゃいけない事をしらないという意味での無知で

「ふっ…… こうなっては仕方があるまいな」



「最後の贄こそはと思ったがこちらも代用品を探すまでよ しばし待っているがいい」

ごーれっつごー と掛け声と共にスタコラサッサとこの場から去った
逃げた?

1951とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:52:39 ID:wcbSBu1c
>>1949

「これは、私も防衛を考えた方がいいということだろうか」

「気に入らないのならば立ち去ればいいだろうに。赤ずきんというのは偏屈な娘だったのだな。いやはや、勉強になったものだ」

赤い右目を激しく明滅させて、その場で両こぶしを握って構える。
それから、それまで何の行動もしていなかった双子の少女がクロスボウを取り出して、しっかりと構える。
もう一人の少女は、エウノモスの背に移動し、視線をコートの人物と少女、それから魔女の間を泳がせていた。

>>1950

あてにしていた一人がさっさと立ち去った。
何の儀式をしたいのかわからないが、代用品が多すぎやしないか。

「――なるほど。これはコメディだったか!」

何が面白いのか、構えた両こぶしを解いてぱんぱんと叩き、腹を抱えて笑う。

「いやあ、恥ずかしいやら気持ちがいいやら。真剣に舞台に躍り出た自分がバカバカしいな!」

余程面白かったのか、笑いはしばらく止まることがなかった。

1952とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:56:03 ID:x8e1pQaw
>>1950
「……」

ボウボウとバールが紫炎を纏って燃えている。
二度目の肩透かしに、イライラは募るばかり。
険しい目つきが更にきつくなった。

>>1951
「……」

取りあえずこっちに八つ当たりしようか、と半ば本気で考え始める。

1953とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 22:59:27 ID:wcbSBu1c
>>1952

「いつまでも真剣に怒っていると、それだけ観客からは馬鹿に思われるぞ、赤ずきんちゃん」

もう本人にやる気はない。
それでも、双子の少女は油断なくクロスボウを構えて牽制しているが。

「演目が気に入らないのならば退場したまえ。君の好きな悲劇の海に消えるがいい」

指を立てて、ちっちっ、と振る。

1954とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:02:38 ID:khyoA9nc
>>1951-1953

『いいいいいいいいんやああああああああああああ!!!』


エウノモスと赤ずきんが火花を散らすと、突如森の中に響く甲高い男の悲鳴
さらに服が裂けるような音が混ざり、妙にハーモニを奏でた

しばらく続いていた悲鳴が止み、茂みが揺れる音
目当ての物が見つかって満足そうな顔をした少女が何かを汚らしい物を持つかのような手つきでもち戻ってきた

1955とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:05:26 ID:x8e1pQaw
>>1953>>1954
「…!……」

暫くエウノモスを睨んでいたが、妙な叫び声に視線を向ける。

「………」

取りあえずこれ以上なんかバカをやったら容赦なくバールをブン投げようと固く誓うのだった。

1956とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:06:34 ID:wcbSBu1c
>>1954

「――!?」

男の声なのに甲高い。
何だ、何事だ。この奇妙なソプラノは。思わず面食らうことになる。

「さてどんな小道具を用意したのやら――」

さて何が起きているのでしょう。

1957とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:14:40 ID:khyoA9nc
>>1955-1956
「ククク、素直に待っているとは愚かではあるが見どころはあるようだな?」
「愚民にも一つや二ついい面はあるのだな、愚直という名のな」

さらにエウノモスと赤ずきんが素直に待っているのを見て気分をよくしつつ
何か汚らしい物を持つ手つきで持つ何かを、魔法陣の中央に放り込んだ

なんかバカをやること、それはほとんど確定事項だった
考えてほしい、男の甲高い声、そして服が破ける音 そっから普通の何かが起こるはずがない
魔法陣に放り込まれたそれはどう見ても男モノのパンツであった

「――――さぁ、穢れた存在を贄に捧げた! 我が眼前に姿を現すがいい!」
「アッサーラームサ!!アッサーラームサ!!!いあいあ!!!」

魔法陣の中央で、何か大声で呪文を唱え始める少女
中央から黒煙が立ち上り、ふと月の光に陰が刺した
角を生やした巨大な陰が、実体のない何かが少女たちを見下ろしていた

1958とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:16:53 ID:wcbSBu1c
>>1957

もう人ですらなくて下着だった。
あんなに妥協しまくりのアイテムで呼び出される存在ってなんだろう?
再び大笑いしながら儀式の行く末をワクワクしながら見守っていたわけだが、何やら本当に呼べてしまった。

「――おや?」

影はあれども姿は見えず。
さてはて。一体どんな存在なのか。

1959とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:20:01 ID:x8e1pQaw
>>1957
「!!」

容赦なく出現した何かに紫炎を纏ったバールをブン投げる。
何者であろうが、こんないい加減な召喚に応じた時点で突っ込みを入れずにはいられない。
些か、ツッコミにしては物理的魔術的に殺傷力が極めて高い。
実体がなかろうが構わないのだ、これは、その、なんというか遣る瀬無さを表したのだから!!

1960とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:26:43 ID:khyoA9nc
>>1958-1959
「さぁ今こそ!契約を!」
「我が宿敵月を破壊する、力を!」

宙に向け、片手をつきあげる少女
実態のない影のような物が手を上げ、少女の手と交差する
今まさに契約が、行われてしまった

かに思えた


影『―――――!』

赤ずきんにより投げられたパール
それが影の腕にクリーンヒット、契約を阻害した
さらに契約直前で不安定な状態だったのかみるみる薄れ、サイズが小さくなっていく影

「あ、ああぁ……!!!」

1961とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:32:29 ID:wcbSBu1c
>>1959-1960

綺麗に飛んでいく突っ込みバールは、なるほど実体なき影に直撃したらしい。
その証拠に、みるみる内に縮んでいったではないか。
あんなに妥協しまくったものでは、弱いのは仕方ないと言うべきか。

「――ッ!」

もう、声にならないほど笑って、木に捕まってバンバンと幹を叩く。
力の加減が出来ず、幹にどんどん傷がついていく。

1962とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:34:29 ID:x8e1pQaw
>>1960>>1961
「…」

なんかこう、この場を吹き飛ばすような物騒な得物はないかとバスケットをあさる。
状況があまりに混沌としていて本来の目的を忘れている赤ずきん。
今はとりあえず、このツッコミどころの多い空間にツッコミを入れねばと。

1963とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:38:35 ID:khyoA9nc
>>1961-1962

そして完全に、影は消え去り後はただの落書きと化した魔法陣が残るのであった
妥協に妥協を重ね、完成にこぎつけたが
残念な事に赤ずきんの一撃によって脆く失敗したのであった

が、魔法陣が不意に光を放ち、中央から何かを吐き出した
そしてそれを最後に、サラサラと灰と化し完全に消滅する魔法陣
後に残ったのは

『……………』クネクネ

『?』クネクネクネ

緑色の大量の触手が目立つ、ローバーと呼ばれる種族
生物に縁がある人間なら恐らく、草食性の触手と判断することができるだろう

1964とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:43:22 ID:wcbSBu1c
>>1962

「あー笑った……」

ようやく大笑いも収まった。
やれやれとぼろぼろになった木を杖にして体勢を治す。

「それで、どうするかね赤ずきんちゃん。君がこのコメディのオチをつけたも同然だが」

なお、すでに双子の少女のクロスボウも降ろされている。

>>1963

「おや。パンドラの箱では最後の希望が残ったが、愉快な魔女殿の儀式では最後に軟体が残ったというわけだ」

「何かに活用できそうですかな?」

そんな意地悪な質問もしてみたくなったり。
時折、思い出し笑いでぷるぷる震えながら。

1965とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:47:25 ID:x8e1pQaw
>>1963>>1964
「…」

バスケットから取り出したのはワイン瓶。
コルクを手甲のはまった左手で抜き取ると瓶口に布を詰めた。
そして左指に徐に灯した紫炎で着火。
ローバー目掛けブン投げる。

1966とある世界の冒険者:2014/06/18(水) 23:52:40 ID:khyoA9nc
>>1964-1965
「…………」

『?  ?』クネクネ

「ふむ、王都を火の海に沈める事はできなさそうであるがこれはこれで……」

『……?』クネー?

からかっているエウノモス、そして火炎瓶を作り始めた赤頭巾に目もくれず、
じっとローバーを眺め、何やら気に入った様子

「ククククククク、面白い、面白い…… やはり悪者にはこうしたグロテスクな生物が必要だろう」
「さぁ来い我が下僕よ! これから手となり足となり働くのだ!」

『!?』クネクネクネ!?

触手の一本を掴むとひきずるようにしてローバーを捕獲、立ち去ろうとする少女
必死に抵抗するローバーだが力が足りないのか遠慮してるのか、なすすべもなく引きずられる


『!!!!!』クネー!!

そして赤ずきんの投げたワインを空中で掴むと、そっと地面に置き一安心
だがどこかへと引きずられ、そのまま姿を消すのであった

1967とある世界の冒険者:2014/06/19(木) 00:01:49 ID:lJAjHvKM
>>1965

「ああ、恐るべきカクテルでの歓迎とは恐れ入る」

「あれはあれで愉快だったが、いやはや、これはこれで観客も面白がることだろう」

ばりん、とローバに引火してのた打ち回る。
そんなのを想像していたのだが――なんとキャッチしたではないか。
そしてそのまま引きずられるにまかされている。いや、本人(?)は抵抗しているのだろうが。

「……ああ、間違いない。観客は今まさに爆笑の渦だ!」


>>1986

「最後まで私宛のセリフはもらえなかったが、次の機会を期待するべきか」

ふふ、と何度もうなずいて。
またも何も得るものがなかったが、これはこれで気に入った様子。
少女達を引き連れて、自分もどこかへと消えることにしたのだった。

1968とある世界の冒険者:2014/06/19(木) 00:06:06 ID:bbKNHit2
「…、………」

かぶりを振ってどこかに消えたそうな…



……
………と思ったが一度戻りワインを回収して帰ったそうな。

1969とある世界の冒険者:2014/06/19(木) 23:41:42 ID:B1pOwQMQ
-王都 名前の無い画材屋-

「う〜〜ん、湿気が多いと絵の具のノリが……ぶつぶつ。」

やや長身で細身。
茶髪に赤いベレー帽の映える娘が、画材屋の奥でカンバスと向き合っている。

かつて絵師に身をやつした魔女が営んでいたこの店は、今は名無しの小さな画材屋として生計を立てていた。
やはり一定の需要は保てるらしく、商売も上がらず落ちずの平行線らしい。

1970とある世界の冒険者:2014/06/19(木) 23:46:52 ID:BoA6Tf8s

「邪魔するぞ。」

と、少し遅い時間、ドアベルを鳴らして入って来るのはジーンズにシャツ、
黒のパーカーを被った完全普段着の傷んだ朱髪の青年。

彼は、以前とある魔女に係る事件に関わった人間であり――
時偶、と言っても月一か、その程度だが、仕事の関係か趣味にでもなったのか、
はたまた実家の孤児院にでも送っているのか――画材やら何やらを購入しに来る、

所謂ある意味でのお得意さん、である青年である。

1971とある世界の冒険者:2014/06/19(木) 23:57:03 ID:B1pOwQMQ
「おや、いらっしゃい!」

愛想よく、奥のカーテンから顔だけ出して挨拶をする娘。
師を突然失い、独りとなったラファは、それでも持ち前の明るさと根気でひとり店を切り盛りした。
装いはさほど変わらない。だが少し背が伸び、大人っぽくなった。

「ボクに会いに来てくれたの?ジャキ!」

こんな冗談を口にする程度には。

1972とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:02:59 ID:9QgCroQk
「そうだ、と言ったらどうする?」

くす、と小さく笑みを浮かべてそう返す。
……彼は事件以来――何を思ってか、監視なのか、或いは心配からなのか。
本当に定期的にこの場に来ている、ともなれば少しは気心も知れる、というものである。

「画材やらを買いに来たんだがな。 
 この間、少しネオベイに行ったんで忘れない内に書いておきたい。」

特に、ここ最近は雰囲気がより柔らかくなった気がする。
髪の色だけが、剣呑な傷んだ朱だが。

1973とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:11:49 ID:pfi4hH/Q
「照れちゃうかな♪」
ウインクをしながら筆を軽く振り、番台へと歩いて来る。

「にしても、無理してここで買わなくても良いんだよ?
馴染み易い絵の具とは言え、他より高いのは確かなんだし。」

ここに買いに来るのは、基本的に絵を生業とする人間が多い。
ジャキがどこまで趣味にのめっているかは存じないラファは、ジャキがドロシーの件で気を遣っていると考えている様だ。

余談だがこの絵の具、その魔力適正から専門外の人間が買いに訪れる事もある。
理由は触媒。この絵の具を触媒にすると"色"が魔法陣に乗り易いのだ。
流石は腐っても絵画の魔女。これにおいては良い仕事をしたものだ。

1974とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:17:45 ID:9QgCroQk
「何なら、デートにでも誘うか?」
くく、と愉快そうに笑ってそんな冗談を言う。
こんな冗談を言える程度の仲ではいる、と青年の方は思っている。

「俺が買いたいからそうしてるんだがな、 ……それに仕事、の方で考えると質もかなり良いんだ。」
「陣……、魔法陣を描くのに、かなり適しててな、それを考えると一番良い。」

仕事で何からの魔法陣を描く事は多いし、私生活でも、稀にある事だ。
ここの画材は研究や実験用の魔術に使うのに、非常に適している――それはドロシーの件で解っていた事である。
故に、積極的にここを理由する、というのも勿論あるのだが。

「後は……どうせ妹やら弟やらに使わせるなら良い方が良い、しな。」

後は単純に、兄バカである。

1975とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:27:54 ID:pfi4hH/Q
「えぇー、ボク年上の方が良いなぁ。」

からからと笑いながら言う。
無論、彼女の方も軽口を叩き合える友人というのはジャキを置いて数少ない。

「成程ね、じゃあボクも助かってるしお言葉に甘えようとするかなぁー。」
朗らかな様子で言う。
実際、邪気の様にかなりの数を注文してくれるのは有難い。
ハンドメイドなので売り上げ-材料費=収入なのだ。
素人が店を立ち上げる分には、この形態はまだ救いがあったのかもしれない。

「……ふふっ、お兄さんしてるね♪」

1976とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:32:08 ID:9QgCroQk
「フられてしまったか、良縁に恵まれんな、俺も。」

冗談めかして笑って、そんな事を言う。
初対面の時に比べれば、ずいぶんとまぁ、変わったものである。

「心配なのは本当だが、使えない物に金を落とす趣味は無いし、な。」
店内を軽く見回しながらそんな事を言う。
元々、実利主義の面もあるし、心配の念だけで行動は……
……しないだろう、多分。解らないが。

「他に、らしい事も出来ないからな。」
「未だに、下の方とは接し方が良く分からんよ、俺は。」

何かをあげたり、直してあげたりする事ばかりだ。
一緒に出掛けてやったり勉強を見てやったり、そういう事は殆どしてやれていないと苦笑いしながら。

1977とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:41:07 ID:pfi4hH/Q
「ボクにアタックしようと思ったら、同じぐらい絵を描けないとね。」

冗談っぽく両手を広げて

「そうかな、ジャキの場合は無くも無さそうだからなぁ。
お金持て余してそうだし?」
クス、と笑って体を少しだけ前に傾ける。

「ふぅん、そうなんだ。
よく分からないって、どういう風に?」

1978とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:45:29 ID:9QgCroQk
「これでも、そちらが思うよりは描いてるんだがな、やる事が無い時なんかは特に。」

実は、割と事実である。
時々仕事が何もない、という時があったりする。
そんな時は引き篭もって、絵を書いてみたりもしているのだ。 ……風景画だったり人物画だったり。

「持て余してるのは確かだがな……とはいえ、半分は実家に送っているし。」
「経費もそこそこ掛かるから、金持ちという訳でもない。」
尚送ったお金は積立貯金されている模様。

「なんと、言えばいいんだろうな。」
「触ったら壊れたり、穢してしまいそうで怖い、というべきか。」

リンダや、カルル……それに、赤ん坊の素直な笑顔なんかを見ていると、特に。

「自慢ではないが、まぁ、やっぱり」
「俺は世間一般に、ろくでなしの部類では、あるからな。」

とはいえその台詞は前までの自嘲的な物とも少し違って、
本当にどうすればいいか困ったような感じだ。

1979とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 00:54:22 ID:pfi4hH/Q
「ふっふっふ、ボクに勝てるかなぁ〜?」

やや勝気な様子で腕を組む。
流石に仕事にしている人間が吹っ掛ける勝負ではないだろう。

「その気が無くてもお仕事しちゃうんでしょ。ビョーキだね?」
ボクもだけど、と付け加えて。

「画家は奇なれ。

師匠がよく言ってた言葉だよ。
師匠は道を間違えたけど……本人達がジャキを好きって言うんなら、多分それは正解だよ。
世界のルールなんて、いっぱいの絵の具が薄くなって混ざり合っただけだよ。
って、ちょっとインモラル過ぎた?」

1980とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:00:20 ID:9QgCroQk
「流石に本職に勝つ自信は無いな……と、言うより負けてはダメだろう?」

その様子に、何処か楽しげな表情で。
尚、偶にラファの絵を買って行ったりもしている……事務所の自室やらに置いていたりするらしい。

「他にやる事も無いからな。 絵を描いたり、実家に行ったり程度しか。」
一度、半年ぐらいのんびりしてみたいものだ、なんて言ってみたり。

「……画家は奇なれ、か。」

ドロシーの事を思い出して――少しだけ苦々しげ顔をする。
自分はミラナやユンヌの為に、あれを喰らい殺したが、殺すというのは奪うということで。
今でも、時々、……むしろ今になってからだからこそ、考えたりする事もある。

「(奪ったのは、俺だしな)」

言葉自体は、いいものだ、と。
素直に思うけれど。

「いや……良い言葉だと思う。」
「問題は、……俺が黒色の絵の具だから、なんだろう。」

1981とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:08:34 ID:pfi4hH/Q
「負けたら廃業だよ、参ったね?」

ペロっと口の端から舌を覗かせてウィンクする。
裏伏せて買っていくが、自分の絵を買うのはジャキぐらいの物だし、ある程度気付いていたりもするらしい。

「ここに来る時はのんびりじゃないかー。」
ほのほのとした笑みを浮かべて、番台に備えられた棚を漁る。

「師匠も、きっと多分……いっぱいいっぱいなだけだったんだよ。
素直で可愛いんでしょ、じゃあきっと白だよ。白は一番薄い色、黒は一番濃い色。
混ざって真ん中で丁度さ。」

筆をゆらゆらとさせながら、片手で棚から取り出した小瓶をポンと棚に置く。

「はい、試供品。持ってってよ。」

1982とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:12:21 ID:9QgCroQk
「そう言われると万が一勝てても勝てんな。」
「ああ、買った場合俺が養えばいいのか。」

下らない冗談を言いつつタバコを取り出して……、やめる。
流石に画材屋でタバコを吸うほど非常識ではない。

「それは……そうだな、ここに来る時は仕事の事は考えんしな。」
研究の事を考えたりはするが、それはプライベートであるし。
そう思えば貴重な息抜きの場かもしれない。

「…………すまん。」
ドロシーの件に一言だけ、目を逸らして謝罪の言葉を。
こういう所は、直らないし変わらないもので。

「鼠色、か。 温かい色で、嫌いではないな。」
「ん……、これは?」

置かれた小瓶を手にとっと、確かめてみるが……。

1983とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:23:41 ID:pfi4hH/Q
「止めてよぉ、ボクもっと冒険したいんだから!」

いつか話していた。
店を保つ必要が無くなれば、絵を描く旅に出たいと。

「全く、息を抜かなさすぎ……ふあぁ〜……。」
言ってる途中に欠伸をする。

「師匠はね、止めてくれてありがとうって思ってるよ。ボクの勘だけどね♪
鼠色は奥が深いよ〜、とても渋いんだから。」

「それね、絵の具に魔術的プロトコルを組み込んでみたんだ。
筆さえあれば勝手に描画してくれる……と、思う。」
言葉尻が曖昧なのは、試供品だからか。
中身は無色透明の液体だ。

「色は、属性に引っ張られて変わる筈なんだよ。」

1984とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:27:56 ID:9QgCroQk
「くく、冗談だ、俺も誰かと一緒になる気も無い。」
可笑しそうに、笑ってさらりとそんな事を言う。

「然し冒険だったか? ……お前一人だと不安が残るな。」
何せ知る限り、冒険の心得は殆ど無いだろうし。

「お前は少し、抜きすぎだな。」
「眠いなら、そろそろお暇するが?」

欠伸をした様子のラファを見て、年下の妹でも見るような穏やかな笑みを浮かべて。

「……だといいがな。」
「確かに、温かい印象も冷たい印象もあるな、灰も、鼠色も。」

「ほう……。」
視線が真面目な物に、眼の色は黒から魔眼を示す蒼へと変わって。
その成分や術式何かを、確り確認してみたり。

「ありがたく貰っておこう、何かに使えるだろうしな。」

1985とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:34:17 ID:pfi4hH/Q
「とか言って、自分ルールなくせに。」

クスッ、と笑いながら痛い所を突いて来る。
裏表が無い分厳しい時は厳しい。

「大丈夫だよー、スキアーちゃんと一緒に行くから。」
余 計 に 心 配 だ 。


「じょーだんじょーだん、まだまだ営業中だよー?」

「どちらが濃いかでどちらにもなる。人間らしい色で、ボクはとっても好きだよ。」

「あぁでも、ジャキぐらいの魔力で普通にやろうとすると爆発するからね。
絶対、ぜったい爆発するからね!」

1986とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:38:15 ID:9QgCroQk
「…………お前に言った事はあったか?」

確か、無かったような、と思って。
いや、無かった筈だ、多分。

「………………その時はどうにか都合合わせて付いて行ってやる。」
拙い(確信)。 と言うか拙いどころか拙い通り越して偉いことになる予感しかしない。

「無理はするなよ? 別に、長く居座る気も無いしな。」
眠いなら素直に寝た方がいいのである、自分と違って。

「人間らしい――か。」

「……気をつけよう。」
多分言わなきゃしてた。

1987とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:42:55 ID:pfi4hH/Q
「あ、やっぱり。
すーぐそういう風にしちゃうんだから。」

どうやらカマを掛けられたらしい。
しかし感心しない、といった表情だ。

「ええ、そうかなぁ。絵を描くだけだよ?」
二人とも絵を描く事しか考えていない。
純粋な戦闘能力で言えばスキアーの方が上な分また困った物だ。

「いやいや、もう一人お客さん来るしね。」
まるで分かって居る風な口ぶり、常連でも居るんだろう。

「灰色になれるなら人間って事さ。
あ。それちゃんと使うなら、感想ちょうだいね!」
もともとドロシーの絵画魔術を見よう見まねで覚えた身。
そっちの方にも才能があるのやもしれない。

1988とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:47:52 ID:9QgCroQk
「む。 ……俺とした事が。」

こんな簡単な手に引っかかるとは。
オフとは言え気を抜きすぎた、と苦々しげな表情。

「あのな、野党にでも襲われたらどうする。」
「脅威やら、侵負……怪物も多いだろう。」
くどくど、と少し真面目にお説教。

「その口振りだと、スキアーではなさそうだが……。」
まぁ、知らない客だろう、と結論付けて。

「……ありがとう。」
そんな言葉に、嬉しそうな笑顔を浮かべ。

「ああ、解ってるさ。
 然し、こういうのも出来るんだな。」

1989とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 01:59:53 ID:pfi4hH/Q
「まぁでも、ほんとに腰落ち着けた方が良いんじゃない?
皆の為にもさっ。」
自分の為、ではなくあくまで皆の為だと言い。

「流石にそんなに簡単に負けないよぉ。
それに、危険を省みて良い景色には巡り合えないし!」
確かに絶景とはかくも危うい所にあるものだ。
人の手が入らなければこそ、なのだが……。

「どう致しまして♪
魔法だって師匠から教わったからね、仕組みから。」
魔法の凝固体たる精霊から直接なのだ、非凡でない方がおかしいのかもしれない。

1990とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:03:59 ID:9QgCroQk
「そうもいかんさ、もし俺がそうなった時にそういう相手が居て、悲しませるのも嫌だし、
 何より万が一そういう相手が出来て、被害が行きでもしたら今度こそ気が狂ってしまうぞ、俺は。」

昔に。 一度終わった、と思った時にラファ――あの時点ではただの知人、友人程度の顔見知りが、ドロシーに取り込まれた時、
ひどく攻撃に葛藤してた、と(人伝)に聞く。 そういうのも解らなくはないが。

「お前は余り王都外に出んから分からんかもしれんがな、異常に危ないぞ、最近は。」
「とにかく、何処か遠征しに行く時は言え、不安でしょうがないわ。」
特に、あの二人、警戒心も薄そうである。 魔物以外にも何があるか分かったものではない。
スキアーなんぞ簡単にさらわれるのではなかろうか?

「精霊式の魔法は、独特の物が多いからな。」
「俺の用に取り込むなら、また別だが……良く学んだものだ。」

1991とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:16:45 ID:pfi4hH/Q
「もう、ネガティブちゃんだなぁ。
楽しい事を先に考えようよ、あーあ。ボクも誰か良い相手居ないかなぁ……なんて。」

「あー……聞いてる。
でもほら、ここを畳むのも何年先かって話だし、暫くはまだここに居るよ。」
困った様な笑みを浮かべて言う。
例の切り裂き魔が捕まったと聞いた時は大層に安心したものだ。
スキアーはどちらかと言えばついていく感覚なのが困る。
そうそう、死にもしないのだが。

「努力の成果だよ、ボクはこれだけ出来たからね。絵に関わる事なら頑張ろうって♪」

1992とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:21:00 ID:9QgCroQk
「悲しい思いはしたくないし、させたくない。誰だってそうだろう?」
ネガティブ、の言葉にそう返す。 それは、そうだろうが。
少し臆病過ぎるかもしれない。 いや、そういう生活なのだが。

「俺に"しがらみ"が無ければ、良い女だ、とは思うがな。」
くく、と笑って。 別に冗談ではなく、探せばすぐに相手は見つかるだろう、なんて意味だろう。

「それなら、いいがな。
 ……お前は、心配ないだろうが余り危険な事はするなよ。
 俺はお前だって怪我をすれば、悲しいし、嫌だ。」

何せ数少ない友人である。
王都の危険――人外のそれは事前に排除している、とはいえ。
人間の所業に、自分は余り関わってはいないし、いけないし。

「好きなものに熱心になれるのは、良いことだ。」
「俺も何かこれ、というのでも見つかればいいんだがな。」

1993とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:33:22 ID:pfi4hH/Q
「そうだけど、それじゃ楽しくないよ?
恋ってそういうのじゃないじゃない。薄紅色みたいなさぁ、温かくて、優しいの♪」

「んー。でも今はあんまり興味無いし、やっぱり良いかな。」
最初から言ってみて、その気は無いという奴である。

「大丈夫、昔のボクよりはずいぶん成長したんだから!」

「あージャキは忙しすぎるんだよぅ。
一つの事をやる時間ってあんまりないんじゃない?」

1994とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:39:08 ID:9QgCroQk
「それは――」
ふと、思い出す。
自分が今ここにこうしているのは。

「……そう、だな。」
「けど、今の俺には無縁の物だよ、やはり。」
誰かへの恋慕の情が始まりだったなぁ、と。
その気持ちと、感覚は、いい思い出として残っているから、否定することはしない。

「まぁ、その内でいいんじゃないか?」
「焦ってするものでもあるまい。」
この間出会ったハンターはなんかもう偉いことになっていたが。

「だといいが……。」

「……そうだな、仕事が終われば次の仕事の準備があるし……」

1995とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:45:46 ID:pfi4hH/Q
「ジャキくんはお子様で頑固だからなぁ。
ま、できるよ君なら。ボクは人を見る眼だけはあるんだから。」
ピン、と指を弾いてウインクする。

「別に焦ってはないよー?
焦るのは博覧会の締切ぐらいかなー。」
それはもう少し焦ってもいい。

「はいそれじゃ、ラファお姉さんから宿題!
次来る時までに趣味を見付けておくこと! と言う訳で、お客さん来るから準備して来るよー?」

1996とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:48:14 ID:9QgCroQk
「くん、付けはやめてくれ、どうも苦手だ。」
あの人を思い出したりするし、いまさら年下扱いもむず痒いものだ。
……実際にはこれで、三つも年下なのだが。

「それは焦った方がいいんじゃないかと思うがな。」
のんびり気合を入れて描くのも解らなくはないが。

「だから年下扱いはやめろと……まぁいいが。
 ……読書が趣味に入ればいいが……ああ、ならそろそろお暇するとしようか。」

1997とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:55:00 ID:pfi4hH/Q
「たまにはお姉さんぶってみないと、ジャキそのへん忘れてそうだし?」
気紛れらしい。
結構に心臓に悪い気紛れである。二重の意味で。

「そうだねえ、今日は徹夜かな。」
クリエイターの性と言うか。
火がつくまでは何があっても何も出来ない。閃きの一瞬を待つばかりらしい。

「読書感想文くらいは書いて貰うかなー。
なんちゃって、それじゃボク引っ込むからまたねー♪」
と言いつつ、番台から後ろのカーテンへと引っ込んでいく。

1998とある世界の冒険者:2014/06/20(金) 02:57:41 ID:9QgCroQk
「お前は、余り年上という感じはしないな……。」
「……はぁ。」
どちらかというと、対等な友人である。
……やはりくん付けは苦手だ、妙な意識をしてしまう。

「程々に、な。
 無茶苦茶はするなよ。」
自分の言えた台詞ではないが、そもそも造りが違う。

「学生はとっくに卒業したよ。
 ああ、またな。 ――さて……。」

腕時計を見て、時間を確認。
まだ、フリーの時間は少しある。

「巣箱にでも寄って、帰るか……。」

そしてドアベルを鳴らし、静かに出て行ったとか。

1999とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 22:39:42 ID:wBc1MFNo
――某地域 森林地帯

この日、とある地域においての森林に、ゴブリンの巣が見つかったという報告があがった。
迅速な調査の結果、すでに近隣集落に被害が発生しつつあると判明。
急ぎ冒険者らが募られ、強行軍でのゴブリン巣穴の攻撃が行われることになっていた。

「――ピクシー、警戒を続けて! スプライトも、サボらない!」

しかし、この強行軍は失敗する。
攻撃を仕掛けるべく進軍中の冒険者らに、左右からゴブリンが奇襲攻撃を行ったのである。
半壊した冒険者らは撤退を余儀なくされ、難度の高い撤退戦を強いられることになったのである。

(敵の全体が掴めない――!)

薄いベージュのコートに、同色のハットを被った女が一人、殿部隊として最後尾でゴブリンの攻撃を耐える。
彼女の炎の魔術はゴブリンらを焼き殺し、炎はそのまま侵入を拒む防壁としても機能するが、数に勝る相手にはジリ貧であった。

2000とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:12:29 ID:XUYp1KEY

「…………。」

木の上から、何をするでもなく、その様子を眺める黒いジャケットの青年が一人。
その顔には何も表情が描かれていない仮面、右手には大型のナイフを持って、

「(……さて)」

――助けるでもなく、先ずは眺める。

2001とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:14:21 ID:WKbrbHS2
「んー、大遅刻の結果がこういう状況に遭遇っていうのも中々あるもんじゃあないよね」

おそらくは恐慌状態にあるであろうこの場において、
退くのではなく殿へと戻ってくる者一名。
それは左手に鹿革製の手袋をはめている以外飾りっ気の無い黒髪の狩人風娘。
左目に妖しげな煌めきを宿し登場である。

「やぁ、どんな具合?」

2002とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:24:08 ID:wBc1MFNo
>>2000

害意がない監視者の存在を、彼女の感知魔術が発見することはない。
彼女は視界の拡張も行っているが、ゴブリンを相手にするのにそのリソースを使っているため、やはり気が付かない。
ただし。

(……何かがいる?)

隠れている存在としては、発見することに成功する。
害意はないが隠れた存在。気にはなるが、気にしてはいられない。

「――邪魔ァ!」

彼女の右腕が赤く発光し、彼女が左手で握る杖から鞭のように撓る炎が出現し、襲いくるゴブリンを焼き払う。
飛来する矢に関しては、感知術でいち早く存在をキャッチし、鋼鉄の右腕でもって払う。

(――まずい)

じりじりと後退しながらの応戦で、疲労も激しい。
支えきれるかどうか、ここが正念場であった。

>>2001

「どうもこうもないわね。鉄火場ってのはこのことかしら!」

飛んでくる矢を右腕で弾き飛ばしながら、おどけて返す。
さらに、処理しきれなかった矢が彼女の帽子を貫き、どこかへと運ぶ。

「――お気に入りだったのに!」

射手の一団に向けて、範囲の火炎魔術を飛ばす。
豪快に炎魔法を行使するが、もう数十分もこの絶望的な撤退戦の殿をしている。
限界は、もうすぐそこにまできていた。

2003とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:29:21 ID:XUYp1KEY
>>2002
「…………」
くい、と仮面の口元を少し開けて、コートの下から何か飲み物――
この場に場違いな、アルコールの匂い――酒だろうか、それを一口煽って。

「…………やれやれ。」

酒瓶を右側のゴブリンの群れへと放り投げて、
仮面を付け直し、右側の群れの中心へと飛び込んだ。

2004とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:30:49 ID:WKbrbHS2
>>2002
「なーる…とりあえず魔法は温存しちゃって。
 まだ必要かもしんないし……んー、とりあえずコッチ側に行こうか?」

何かを確認するように左目に手をやり、ある方向を指さす。
森の状況に左右されるのだが、
上空から戦場の様子が全く確認できないのであれば半々。
出来るような茂り方であればまず間違いなく。
狩人娘の指し示す方向に差し迫った危険は訪れない。

2005とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:40:42 ID:wBc1MFNo
>>2003

火炎瓶は集団に少なくない動揺と混乱を与えることに成功する。
しかし、この状況では聊か不十分だろう。その一打でゴブリンの右翼部隊が大きく勢いを削がれるということはない。

(やっぱり、何かがいる――?)

右手中央部分に、自分のものではない火があがったのを見て、パメラは第三者の存在を確信する。

>>2004

「こっち(殿)が逃げたらこの後ろが危険、そういうわけにもいかないでしょう」

先頭集団を安全に逃がすための殿だ。
ここで時間を稼ぎ、勢いを削ぐ必要がある。
あるいは、目くらましでもはったりでもいいから、一時的にゴブリンらの動きを封じて、一目散に逃げることができればいいが。

「自分たちだけ助かっても、目覚めが悪いわ」

森の木々に火が移り始めた。
大規模な森林火災が起こることは避けられそうにないが――。
逃げるという一点においては、利用できそうでもあった。

2006とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:44:56 ID:XUYp1KEY
>>2005

「――悔恨灯し、憎悪燃やし、呪念抱き、悪意孕め」
「――憤怒喰い、殺意焦がし、敵意刻み、呪詛燃せ」
「"死面:殺界"――接続、切り裂き魔」

小さい呟き――恐らく聞こえるか聞こえない程度の詩が聞こえて来た後に、
右側の中心部で妖気――瘴気に近いものがどっ、と溢れ。

先ずは、周囲のゴブリンを手元に権限させた大鎌で一閃。
完全な奇襲。――大半はこれで上身と下身が別れを告げるか。

2007とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:47:34 ID:WKbrbHS2
>>2005
「いやいや、殿なんだから騒いで引きつけるよ?
 でも挟み撃ちになったら私達だけ逃げられなくなるじゃないさ。
 それに私は未だ諦めてないんだなあ、この討伐戦」

にっひっひ、と狩人娘は笑った。

「大規模な森林火災はノーサンキューだなぁ。
 私の狩場ではないけど良い所そうだし荒らすのはねえ?
 後生だよ、だまされたと思ってさあ」

2008とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:54:58 ID:wBc1MFNo
>>2006

「――!?」

突然、右翼方向のゴブリンが半壊する。
統率するゴブリン・リーダーも巻き込まれ死亡したらしく、目に見えてゴブリンらがまとまりを欠き始める。
それに連鎖するように、左翼方向の攻撃も一部鈍化し始める。

「何事……?」

>>2007

「仕方ないわね……責任はあんたが被りなさいよね!」

「みんな、こっちに逸れるわよ!」

共に応戦する殿の冒険者らに声をかけ、彼らを引き連れて道を逸れることにする。
先頭は当然言い出しっぺの狩人娘ということになるだろう。

「騒ぐって……どう」
『こうすればいいんだろ!』

騒いでひきつける、ということで同行する冒険者らは武器を打ち鳴らし始める。

2009とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:59:18 ID:WKbrbHS2
>>2006>>2008
「やる気のある吾人もいるようで何よりだねー」

あっはっは、と騒ぐ連中引き連れて狩人娘が歩き出す。
騒ぎを聞いてゴブリン共も幾らかはやってくるだろう。
そいつらがやって来た時が狩人娘の作戦その壱の決行の時となる。
まあ、それまでちょくちょく弓など撃って必死に逃げるふりだ。

2010とある世界の冒険者:2014/06/29(日) 23:59:19 ID:XUYp1KEY
>>2008

「……"我が手は影を追う"。」

小声で何者かが詩の続きを呟いて、返す刃で大鎌を振るう。
今度の機動は、縦。ゴブリン達の頭上から縦一閃に放り投げられた大鎌は、

左翼方向へと真っ直ぐ飛来し、廻転しながらゴブリン達を蹂躙し、切り裂く。
姿も見えぬ、獲物を手放した筈の何者かは全く同じ鎌をもう一本取り出して、なんでもないかのように、近場のゴブリンの群れへと、

先程と同じ様な、横一線。

2011とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:06:28 ID:ww877Vx.
>>2009

目論み通り、後からゴブリン部隊がやってきた。
先ほどから起きている謎の混乱によって、想定より数は少なく、弓持ちもいないようだ。

「で、作戦って……?」

逃げながら、肝心のそこを尋ねる。

>>2010

左翼方向のゴブリン集団も一部が切り取られる形で減っていく。
こちらの統率の担当はゴブリン・シャーマンとも呼ばれる、多少なりとも頭の回るゴブリンだ。
部隊のいらぬ減少を防ぐため、防御術式を組み上げ、号令をあげて出来うる限り退却を開始する。
右翼集団の残党を吸収しつつ、巣穴へと戻るのだ。
統率可能範囲から漏れたゴブリンに関しては、右往左往とさまようか、狩人のしかけた誘導に巻き込まれる形となる。

2012とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:10:53 ID:XIqD8BIA
>>2011

「(さて)」

何者かの影――は、撤退していく冒険者と、
その中の一人知っている少女の方を見て、少し考える。そして。

「……頭は潰しておいてあげようか。」

地面を踏み蹴って跳躍、群れの中から飛び抜け出て、
右手に持った大鎌を分かり易く、上段に構える。

「"偽盾"」
そのまま重力に従う――事はせず、空宙で魔力の【盾】を創りだし足場に、
それを蹴り、左翼へと飛翔し、今度こそそこで重力に従って

「――」
ゴブリンシャーマンの首と、序にその周囲の雑魚も、同じように横一閃。
――やっている事はひどく、単純だ。

2013とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:17:13 ID:kMJzt.9w
>>2011
「ああうん、もっと多いとインパクトあったと思うんだけどなー」

立ち止まり集まったゴブリン共に向き直る。
右手をピストルの形にし

「BANG!!」

と、言った。

……一拍の空白時間。
この瞬間、魔力を視覚として捉える事が出来る駆け出し魔法使いレベル以上の存在なら気づくことがある。
ゴブリン部隊の中央に天から照射されているであろう魔力伝導率を上げるための魔法が。
察しのいいもの、危機感地に優れたもの、この魔法が意味する所を知るものなら、
その場から一目散に逃げ出すだろう。
逃げ出せばこの後に訪れる脅威にさらされる危険は少ないからだ。

狩人娘の台詞から一拍おいて、天から降り注ぐ範囲型の魔砲弾!
伝導率の強化によって速度威力共に通常の規格を超えるものとなっている!!

2014とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:29:01 ID:ww877Vx.
>>2012

あまりの一瞬の出来事に、対応する間もなく一団は壊滅。
残党は散り散りに潰走せざるを得なくなる。

「ギギ……」

――しかし、ゴブリンという種族は決して何物にも劣る、劣等種族ではない。
力も知能も、何もかも確かに人間や他亜人類には劣るだろう。
彼らの武器は、恐ろしいまでの数だ。しかし、それの他にもう一点、恐ろしいものがある。
それは――往生際の悪さだ。執念とも言うだろう。

シャーマンから噴き出る血が突然沸騰を始める。
血は空中で凝固し、突然に魔法円を描く。
大地に飛び散った、自身と、同朋の血もまた同様に。

――死をトリガーにした、報復の大呪だ。
呪いについて強い耐性があれば、勢いを削ぐことはできる。しかし、これを殺すのはかなり難しい。
呪い。身を蝕む、真綿で首を絞めるような緩慢とした病。それを患う恐れがある。
病という形を取る以上、何らかの方法での治癒は可能ではあるが。

>>2013

「えっ、ちょ、あんたなにしてんの!?」

動揺する女。
それと同じぐらいには動揺するゴブリン達。彼らはリーダーを失い、いわば盲目的に追ってきたので、逃げる者はいなかった。
そのため、天から降り注ぐそれを、まともに受けることになる。

「この規模の集団に使う!?」

こうなってしまえば、一瞬で消えてしまうゴブリンらを傍観するほかになく。
付き従った冒険者らも、あっけにとられるしかない。

2015とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:38:17 ID:kMJzt.9w
>>2014
「いやー、そこそこ規模の大きい術だもの。
 一旦始めたらキャンセルするよりぶっ放した方がねえ」

うんうん、と頷き威力には満足したようで。

「でもなんか見せつける相手が軒並み行動不能っぽい?
 まあいいや、そいじゃ追撃戦に移ろうかな〜
 へっへっへ、私の眼は地上と空にあるんだかんね、
 集団で逃げるとそのまま住処まで案内することになっちゃうんだぜっ!」

上空になんかいるらしい。
まあ空から魔法が降ってきたのだから何かいるのは当然なのだが…

2016とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:41:04 ID:XIqD8BIA
>>2014

「……莫迦だね。」

湧き出る血を見ても、表情を――といっても仮面なので、声色、と言うべきか。
それを変える事はなく、只平静、と言った様子で血まみれになった大鎌を放り捨てて。

「”のろい”で、獣が人に勝てる訳も無いのに。」
何をするでもなく、死面――仮面を外して、コートから煙草を取り出す。
何をする必要も無い、何故ならば。

”既に呪われているモノは、より強い呪でなければ上書きできないのだから。
だから、その呪がこの男に届く事は無い。 ――ゴブリンの数が、何処かの国民総勢より多いのであれば別だろうが。

2017とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:44:50 ID:ww877Vx.
>>2015-2016

「これだけ時間を稼げば先頭は撤退を終えた頃あいよ」

「攻撃をしかけるにしても、一度合流しないと、私達生死不明の行方不明よ?」

攻撃を仕掛けるにも、この殿を務めていた部隊では少数だ。
負傷者も出ている。攻撃は無茶だ、という意見が大半だ。

「一度報告を入れないと。それに、敵が原因不明の混乱を生じているのも不気味よ」

考え直すように女が説得にかかろうとしているところ――。

――森に移った火を消し止めるように、雨が降り始めた。
最初は穏やかに、やがて、視界が煙る程の豪雨に!

「……無理よこれ。戻らないと」

雨がひどいため、上空視も、視界拡張も困難なものとなる。

2018とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:46:35 ID:XIqD8BIA
>>2017

「(……さて)」
「(当面これで、生命の危険はなさそうかな)」

大雨と、周囲の状況とを見て。
誰に気づかれる前にもはやく、とん、とまた地を蹴って……

どこかに姿を消してしまったようだ。

2019とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:50:34 ID:kMJzt.9w
>>2017
「ありゃりゃ、確かにこれじゃキッツいね」

左目の煌めきが消える。

「せめて巣穴の正確な位置は知りたかったんだけど
 …うん、あんまり無理はよくない。慢心駄目絶対」

それと同時に幾分か雰囲気が落ち着く。

2020とある世界の冒険者:2014/06/30(月) 00:54:14 ID:ww877Vx.
>>2018-2019

「そんなわけで、慌てずに引きましょう」

「潜伏しているのには、気を付けて」

左手で握る杖のランプを灯す。
荒天でも火を消さずに済むもので、とりあえず明かりはとれた。
落ち着いて、慌てずに進めば戻れるだろう。

「――はい。じゃあ歩く」

ずぶ濡れになりながら一同は撤退を完了させる事に成功。
一同の姿を見た冒険者たちは、武器を鳴らして帰還を祝ったという。

――翌日、冒険者たちは再編成を完了し、巣穴への攻撃を解することになる。
かなりの部隊が損耗したゴブリン達は壊滅し、この地方の秩序が守られることになった。

2021とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 21:45:09 ID:EWvUB/Y2
<王都のどっかスターキャッツカフェ内>

【明かりはぶら下がるランタンのみ。木製の薄暗くレトロな雰囲気を醸し出す店内。】
【カウンターに立つは黒布を巻いた二足歩行で尾にリボンをつけた小さな渋めの黒ネコ。

店内の隅にはネコ耳をつけた2m弱の大男の人形があるが気にしてはいけない。
そしてカウンターの目立つ箇所に"酒場のマスター"とサインされたカードが飾られている。】

2022とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 21:54:07 ID:mHVbAoLA

「うにゃー!」

しゅるしゅるといつものように梁から落下してくるミニ妖精。
カウンターに叩きつけられる寸前で羽ばたき、浮遊する。
今日はコスプレをしていないようであった。

「あー。ついに夏が到来したにゃねー」

そろそろサマーフェアか、などとしみじみと頷き。

2023とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:00:38 ID:EWvUB/Y2

「コスプレの代わりに、飛行テクで魅せるにゃか……グッドにゃ。」

【サムズアップ……のはずだがその手はどうしようもなく肉球である。
なので、それっぽく見えるだけで、その実、サムズアップではない。】

「弾けるような、もとい張り裂けるような夏!
あれにゃね、いつも以上にクールなメニューとか面白そうにゃ。」

2024とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:06:34 ID:mHVbAoLA
>>2023

「食べたら強烈に冷え冷え〜ってメニューってわけだにゃ」

「ミント攻勢でもしかけるかにゃ」

確かに爽やかな素材だ。
夏らしくもあるだろう。とはいえ、それをどうするかが問題なのだが。

「あとやっぱりかき氷でも出すかにゃー」

喫茶店というより茶屋っぽくなるが。

2025とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:19:25 ID:EWvUB/Y2

「ということは……ミントのカキ氷?!
にゃー、正直、地獄絵図しか思い浮かばんにゃー。」

【なんとも短絡的な発想である。
以前、ブラックハーブティーなんていう悪魔の飲み物を開発している感覚は残っているようだ。】

「でもまぁ、ネオベイの方向性を取り入れるのは面白いかもしれないにゃ。」

2026とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:21:45 ID:mHVbAoLA
>>2025

「適当なシロップを青く色つけてぶっかけて、んで、その上にミント乗せればだいぶ爽やかじゃねーかにゃ」

その場合あくまでミントは添え物である。
それに気づき、いやいやと首を振る。

「ミントシロップを作ってみるとかどーだろにゃ」

甘く、それでいてすっきり冷涼感があるものを、だという。

2027とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:30:18 ID:EWvUB/Y2

「にゃるほど……けど、ミントシロップって何に書けたらいいんにゃろうか?
シロップって言うと、やっぱホットケーキとか思い浮かぶにゃが……違う気がするにゃ。

さっき言ったみたいにカキ氷にかけるのも、大変なことになる気がするし……。」

【その爽やかな味わいにあう料理とか品物が思いつかないようである。
腕を組んで、考えているような素振りを見せる。】

2028とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:34:37 ID:mHVbAoLA
>>2027

「んまぁ、甘さ控えたミルクアイスあたりにでもにゃー」

冷たいアイスがさらにひんやり食感に。
そんなポップでもつけて売り出せばいけるかも、と。

「あとは逆転の発想で激辛でもやってみっかにゃ」

スパイスの入手がネックだが。

2029とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:37:36 ID:EWvUB/Y2

「おお、にゃるほど。アイスがあったにゃ。
そういえば、たまーに添えられていることもあるモンにゃ。」

【ふんふん、と首を縦に振って、納得している。】

「激辛……それもいいかもにゃ。
その手のことに詳しい知り合いも吾輩には居るし。」

【よく分からないが、激辛に関してある程度、造詣が深い友人が居るらしい。
もしかすれば、アンリも見たことがあるかもしれない。

…………黒い法衣を着た大男の姿を。】

2030とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 22:48:54 ID:mHVbAoLA
>>2029

「辛さも極端になれば涼しくなるってゆーしにゃ」

「えーっと、カレー好きにゃんだっけ?」

どうやら、何となく覚えているようだ。
……記憶は曖昧なようだが。

「激辛フードとミントスイーツ、ミントティーといった感じでいくかにゃ」

そこそこ夏らしくていいだろう、と頷く。

2031とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:01:28 ID:EWvUB/Y2

「そうそう。チョコと偽ってカレールーをくれるデビル神父にゃ。」

【いつぞやの……といってもアンリが店員になる前の話だが
バレンタインにいつもお世話になっているから、という理由でそんなことをしたようだ。】

「激辛のものについては彼奴を頼るしかあるまい。
悪魔の様な辛さを作れるんにゃから、程ほどのもできるにゃろうて。」

【というわけで激辛のものについてはお願いするらしい。】

「にゃにゃ、それらを一品ずつ売るのはもちろんにゃけど、
全部ひっくるめてサマーセットみたいにしてもいいかもにゃ。」

【セットメニューと言うのはある意味では基本だ。
もちろん、一品ずつ頼むより少しお得にするのである。】

2032とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:03:03 ID:EWvUB/Y2

「そうそう。チョコと偽ってカレールーをくれるデビル神父にゃ。」

【いつぞやの……といってもアンリが店員になる前の話だが
バレンタインにいつもお世話になっているから、という理由でそんなことをしたようだ。】

「激辛のものについては彼奴を頼るしかあるまい。
悪魔の様な辛さを作れるんにゃから、程ほどのもできるにゃろうて。」

【というわけで激辛のものについてはお願いするらしい。】

「にゃにゃ、それらを一品ずつ売るのはもちろんにゃけど、
全部ひっくるめてサマーセットみたいにしてもいいかもにゃ。」

【セットメニューと言うのはある意味では基本だ。
もちろん、一品ずつ頼むより少しお得にするのである。】

2033とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:07:10 ID:mHVbAoLA
>>2032

「んまぁレシピさえわかればにゃんとかにゃりそーだしにゃ」

「にしても激辛カレーかにゃ……んーむ。これは雑誌受けしそうだにゃ」

そんなに辛ければ、適当な実績を作って再び紙面を騒がせるのも面白い。
そんなことを企み始めたようだった。

「んむ。セットは基本だにゃ」

学生にも受けることだろう、と。

2034とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:16:12 ID:EWvUB/Y2

「うむ。今、店にあるカレーとはまた違ったタイプにしないといけないだろうにゃ。」

【既に存在しているカレーと差別化を計らなければならない、と。
もちろん、それが辛さである。あとは季節の野菜を添えるとかすればいいぐらいか。】

「あと、カレー抜きのセットも作っておかないとアレにゃね。
辛いのが苦手な人は結構、いるからにゃ。」

2035とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:19:24 ID:mHVbAoLA
>>2034

「とことん爽やかに、激辛! 夏野菜カレー! とか人気出そうだにゃ」

夏は野菜が美味しい季節だから、と涎を拭う仕草。

「そうだにゃ。辛くないフードも用意するべきだにゃ」

「……んー。そっちは冷製トマトスパとか、夏っぽくて良さそうだにゃ。エビもいれっかにゃ」

と、そんな魅力的な新メニューの話をしていると、アンリのお腹が小さくなった。
どうやら、話している内に空腹になったらしい。

「……にゃー」

2036とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:28:44 ID:EWvUB/Y2

「にゃっにゃっ。
結構な時間にゃし、中々にお腹の虫を刺激する話にゃったね。

……んー、何か食うかにゃ?」

【一応、ここは店内で、まだ営業中である。

だが、幸いにもお客はいないため、アンリのおなかを満たすくらいのものならば
ちゃっちゃと用意ができるであろう。】

2037とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:30:43 ID:mHVbAoLA
>>2036

「んじゃ、とりあえず余り物でなんか食いたいにゃー」

浮いた状況からへろへろと降下し、カウンターの上に着地。
力なくその場でつぶれる。

「具体的に何かは、まかせるにゃー」

2038とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:43:55 ID:EWvUB/Y2

「了解したにゃ、まどまーぜる!」

【大げさなことを言いつつも向かうのはおなじみの影だ。
チャオウスの足元から、びょーんと伸びて厨房のほうへと向かった。】

「確か今日は……にゃにゃ!
色々と余りものはあったはずにゃから、期待しておくといいにゃよ!」

【ピンと来たらしく、早速、作業に取り掛かる。
もちろん、取り掛かるのは影であるが。】

2039とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:51:43 ID:mHVbAoLA
>>2038

「んむ、くるしゅーにゃいぞ!」

びしり、とのりのりで応じる。

「ほほう。期待できるにゃ?」

一体何が出てくるのかと、わくわくした様子で再び浮き上がる。

2040とある世界の冒険者:2014/07/03(木) 23:59:52 ID:EWvUB/Y2

【結果として、それはかなり手早く出来上がった。
影が持ってきたのはトマトベースのスープで煮込まれたお米である。
具材は小さく刻まれたキャベツと挽肉だ。

あえて、料理名を付けるとすればキャベツと挽肉のトマトリゾット風といったところだ。
ちなみに、実際にメニューとして出しているロールキャベツを解体して米と一緒に煮ただけである。】

「うむ。ロールキャベツはそこそこ作り置きがあったからにゃ。
それを利用すれば、こんなメニューが出来上がったわけ。」

【無論、アンリ用の食器類にちゃんと分けてある。
そして、ちゃっかり自分の分も作ってあったりする。

……というよりはアンリのみの分を作るのは量的に難しいからであろう。】

2041とある世界の冒険者:2014/07/04(金) 00:07:05 ID:EW0fb8qs
>>2040

「にゃるほど。ロールキャベツかにゃ」

おいしそうだ、と今度こそ本当に涎を拳で拭う。
自分用の食器の前に座り、小さく一礼していざ実食。

「んー、なんか如何にもな賄料理って感じでグッドにゃね」

「こういう客に出さない特別な感じがいいんだにゃー」

うまいうまい、と嬉しそうに食べる。

2042とある世界の冒険者:2014/07/04(金) 00:13:28 ID:ndgvjJYA

「にゃー、確かにこういう特別な感じは良いにゃね。
それが客に見つかって、メニュー化するなんて例もあるしにゃ。……っと。」

【自分も食べようとしたが、その前に店の入り口のほうへと。
ドアを開けて、OPENの札をCLOSEDにして、再びドアを閉める。今日は閉店だ。】

「ま、今日のところはこれで閉店でいいにゃろうね。」

【そういいつつ、自身も席について、そのリゾット風を食べ始める。
味は我ながら、いい出来だったようで頷いている。】

2043とある世界の冒険者:2014/07/04(金) 00:20:51 ID:EW0fb8qs
>>2042

「ま、こんな時間に珈琲のみに来る奴はいにゃいだろうしにゃー」

すっかりくつろぎモードだし、働く気はもう起きない。
とりあえず目の前のリゾットに夢中だ。

「うし。明日からぼちぼちメニューの試作に向けて頑張るかにゃー」

「まあアンリは横から口出すぐらいしかできにゃーが」

包丁を持てばそれはグレートソード! 鍋は巨大な塹壕。
身体が小さいのはこまりものだ。

「んー……でもこれは本当に、賄いメニューって売り出すと売れそうだにゃー」

//ではこんなところでー

2044とある世界の冒険者:2014/07/04(金) 00:26:58 ID:ndgvjJYA

「にゃにゃ、話をするというのはありがたいけどにゃ。
別に料理の研究をするわけじゃにゃいんだし、独りでやるのは中々に寂しい。」

【それに自分とは違う視点を持つ相手と言うのは実に大事である。
まして、このような"新しいものの開発"という点ではかなり重要だ。

現に今までも助けられたことは数え切れないほどにある。】

「にゃから、ガシガシと突っ込みを入れてもらえるとあり難いわけにゃよ。」

【と、明日から始まるであろうメニュー開発について、アレコレと語ったとか、FO】

//了解、お疲れ様でした!

2045置きレスRP:2017/02/01(水) 14:06:24 ID:l2FElGnQ
-フルークガストカンパニー 王都支部店内-

ビー! ビー! ビー!

けたたましい警報音が店内カウンター奥、閉じられた扉の中から響いてくる。

ビー! ビー! ビー!

「コード110発生。コード110発生。
 緊急対策プロトコルを実行します。緊急対策プロトコルを実行します。
 シークエンス1、チェック……オールグリーン。
 シークエンス2、チェック………オールグリーン。
 シークエンス3、チェック………・・エラー、エラー、再確認実行。
 シークエンス3、チェック……………エラー、エラー、手動操作による認証を要します」

2046フレズ:2017/02/02(木) 22:16:18 ID:qYMJZd7c
-フルークガストカンパニー 王都支部店内-
扉から一人の装甲騎兵が店内に入っていった
プレートアーマーを身に纏いつつも兜に値する部分は装着しておらず、顔が解る
ショートヘアーよりやや長めで利発そうな女の子。身長もやや低めで体型はプレートアーマーなので良くわからない。
辺りを警戒しながら、店内を見渡し
「ちわー……郵便でーす……」
だが、見た目とは裏腹に何処となーくやる気が無いような声が拍子抜ける
肩にはくたびれた鞄が目につく

「うわ、何この警報……え?爆発するの?」
「てか、コード? シークエンス3からエラーが出てるんだけど……」
「取り敢えず、調べよ。配達目的の人がいればいいけど……」
寂しいのか先ほどからずっと独り言を呟きつつ、鳴り響く警報音に惑わされぬように警戒しつつ、剣を構えて店内を探索し始める

「扉の奥……すごく……怖いです」
閉じられた扉の奥から響いてくる。警戒してそちらに向かう

2047置きレスRP:2017/02/02(木) 22:34:59 ID:Jkn/9yqE
>>2046
ビー! ビー! ビー!

「シークエンス3、チェック………エラー、エラー、魔術回路に深刻な損傷がみとめられます。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを実行します。
 サブプロトコル始動、システムチェック開始………」

相変わらず閉じられた扉の向こうでけたたましい音が鳴り響いている。
目ぼしいものが随分前に無くなり閑散とした店内とは対照的に賑やかだ。
扉にはロックがかかっているらしく抉じ開け様とした形跡も認められるが失敗に終わっているようだった。

2048フレズ:2017/02/02(木) 22:49:51 ID:qYMJZd7c
>>2047
「ふむふむ……」
腕を組み、考え込む

――「シークエンス3、チェック………エラー、エラー、魔術回路に深刻な損傷がみとめられます。
――緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを実行します。
――サブプロトコル始動、システムチェック開始………」

聞こえる警報音と何やら、回復装置が作動している。

目ぼしいものが随分前に無くなり閑散とした店内。そしてロックがかかっているらしく抉じ開け様とした形跡も認められるが失敗に終わっている扉

これ等が示す一つの答え。それは

「この中にお宝が!!」
きゅぴーんという効果音が鳴り響く場面かツッコミが入る場面であろうが、生憎このシリアス空間にそんなものは無い

「なわけないよねー」
はぁっとため息をつくフレズ。中堅冒険者だった名残だろうか、如何にもこういった場面に〝弱い〟のだ
ダンジョンならともかく、非常事態とはいえ、此処はお店なのだ監視とか警備ゴーレムが来たらいろいろと終わりなのだ

「でも本当にこれ、どうしたら良いのかな……」
開かない扉を前にうーんと考え
「よし、やっぱり壊そう! 非常事態だしイケるっしょ!」
脳筋的解決方法を試そうと剣を取り出して、扉を前に構える。
若干16歳の少女 フレズ。仕事の疲れから錯乱し今、犯罪に走ろうとしている!

2049置きレスRP:2017/02/02(木) 23:02:48 ID:Jkn/9yqE
>>2048
ビー! ビー! ビー!

「システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを実行します。
 サブプロトコル始動、システムチェック開始。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを―」

何やら準備が整ったらしく、同じ文言を繰り返すようになった扉の向こう。
突っ込みもいないのでフレズの行動を止めるものは少なくとも店側にはいない。

2050フレズ:2017/02/02(木) 23:26:20 ID:qYMJZd7c
>>2049
「あっ……」
同じ文言の繰り返しから、何かが整ったのを察知すし、動きが止まる
其れと同時に突入を諦める。
そもそも、この扉が自身の剣で壊れるかどうかすら分からない。
てか、壊れたら誰かが突入成功しているんじゃね?
そして、今持っている剣が壊れたら私あのお外の獣のおやつになるじゃん!等と冷静に考え始める

「よし」
ポンと手を叩いてから
「普通に入ろう。そして〝らふめいかー〟が何かを探るしかない! 」

ゆっくりと扉のノブに手を掛けて回し始める

2051置きレスRP:2017/02/02(木) 23:28:39 ID:Jkn/9yqE
>>2050
だが扉が開くわけもなく。

ビー! ビー! ビー!

「システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを実行します。
 サブプロトコル始動、システムチェック開始。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを―」

扉の向こうでは音が鳴り続けている。

2052フレズ @次で寝ます:2017/02/02(木) 23:53:12 ID:qYMJZd7c
>>2051
「ダメか……」
予想通りと言ったところか、肩をがっくりと下げる
少しは開くのではと淡い期待をしていたが如何やら駄目だったようだ。

「仕方ない!秘儀!」
キランと目が光るそして
その眼差しはまるで獣の様だった

「すみませーん!!郵便でーす!!」
扉を叩いて、大声を上げる
先ほどの目つきと今の姿。さながら新聞勧誘員である。

「ここ開けてくださーい!!」
次第に、大声と扉を潰す勢いで自身の拳を叩きつける
「誰か居ますかー?」
叩くのを止めて聞いてみる

「早くしないと―なまくらな剣でこの扉を叩き開けますよー!!」
何処からか拾ってきた店内の剣。なまくらで、初心者や稽古用の剣である
其れを扉に叩きつけている

2053置きレスRP:2017/02/02(木) 23:56:34 ID:Jkn/9yqE
ビー! ビー! ビー!

「システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを実行します。
 サブプロトコル始動、システムチェック開始。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 緊急対策プロトコル実行不可能の為、サブプロトコルを―」

呼びかけ空しく帰ってくるのは警報音。
どうやら扉の向こうに誰かがいるということはないのだろう…
最早何らかの方法で扉を開けるしかないわけだが。

2054フレズ おやすみ:2017/02/03(金) 00:05:14 ID:JQtIlYdM
>>2053
「何か鍵とかあるのかなぁ……」
呼びかけも扉こじ開けも意味が無いとするともはや店内に鍵を探すしかないのだ

「しかし、鍵なんてあるのかな?」
閑散とした店内を見渡す。下手をすると、持って行かれている可能性もある

「もしかしたら、凄く変な所にあるのかな?」
例えば床下の収納とか、迷彩された金庫とかを思い浮かべる

「探すか!」

店内をくまなく探し始める。これで見付かなければいよいよ突入である

2055置きレスRP:2017/02/04(土) 13:41:10 ID:BZUwYAvM
>>2054
開かずの扉前、店内カウンターデスク裏。
其処にこれ見よがしに怪しいスイッチがあった。
思わず「ポチっとな」と言いたくなる赤い短い円柱のボタンが。

2056フレズ おやすみ:2017/02/04(土) 19:40:19 ID:VHSrSDoY
>>2055
「おぉう……何と言うボタン」
カウンターデスク裏にある怪しげなボタン
此れを見つけて時若干の戸惑いが出てしまった

しかし、そんな事はこのボタンの発見の前では些細な事だったようだ

「これは私の感が言っている」
「これがこれこそがこの秘密のゲートのボタンだと!!」
「元、冒険者だった私の感がそう言っている!!」
ビシッとボタンに指を指してキメのポーズをしている
誰もいない店内。誰もいないからこそこのような芸当が出来るのだろう

だがもし、この場に誰か居たら……
恐らくこの女の子がのたうち回る姿が見れたであろう

「ポチっとな」
軽快な鼻歌交じりで独り言
ボタンを軽く押し込む

2057置きレスRP:2017/02/04(土) 20:13:59 ID:BZUwYAvM
>>2056
ぴー がしゃこん がしゃこん ずずずず……

扉が音を立てて横にスライドして開いた。
同時に警報音が音量を増した。当然のことであるが。
とてもうるさい。

ビー! ビー! ビー!

「システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。
 システムオールグリーン、ラフメイカー起動準備完了。」

警報音は相変わらず同じ文言を繰り返している。

2058フレズ:2017/02/04(土) 21:03:17 ID:VHSrSDoY
>>2057
「開いた」
扉が開いた事に喜んでいる

「いやー冒険者としての感が働いたわーよかったわー。ふふふ」
自画自賛して、ニヤリとトレジャーハンターが宝物を狙う様な笑いを浮かべてそのまま扉の向こうにがちゃりがちゃりと進み始める

2059置きレスRP:2017/02/05(日) 12:50:24 ID:2lonRUHQ
>>2058
扉の向こうは中世ファンタジーよりSFの色合いが濃い空間だった。

部屋中心に置かれた椅子を囲む様々なデバイスが結果、特殊な王座のように鎮座している。
更にそれを囲むようにして空間に投影されている数々のモニター画面。
あるモニターはジグザール全体の地図を映し、あるモニターはリアルタイムで何処かの風景を映し出している。

そんな中、画面を赤く明滅させているモニター1つ。

「 ラフメイカーを起動しますか?
   (YES)     (NO)    」

タッチパネル式らしく、YESとNOの文字が交互に点滅している。

2060とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 21:16:03 ID:gkelBHp2
>>2059
「なにこれ……」
茫然と様々なモニター類やら何やらを見ている

「これ何なの……」
戸惑いしかなかった。今までのダンジョンとは明らかに違う
異質の空間に

通常ならこの様な状況だと警備隊、若しくは騎士隊に連絡するだろう

しかし、現状ではそのような事は物理的に不可能である

中央の画面に出ている
――「 ラフメイカーを起動しますか?
   (YES)     (NO)    」

の文面に目をやる


「ラフメイカーってなによ……」
ボタンを探しつつ、画面のYESの部分を甲冑越しの指で触ったりしている

2061置きレスRP:2017/02/05(日) 21:43:40 ID:2lonRUHQ
>>2060
モニターに触れると、ピポッと音がして表示が切り替わる。

「ラフメイカー 起動」

警報音が止んだ、がその直後。
ぎゅいいいいいん!と入ってきた扉とは逆。
椅子を隔てて、向かい側の壁に何本もの光の筋が明滅を繰り返し走る。

ガシャンガシャンガタガタガタ……ぽひー!!

突如機関車の警笛のような音が部屋に響き、壁の一部が崩れる。
いや、壁と思っていたそれは全くの別物だった。

ぶいん… がしゃこん がしゃこん

背中に蒸気を吹き出しガチャガチャと音を立て忙しなく動く謎機関を搭載した
全体的に丸みを帯びたフォルムでモノアイヘッドの全長2m越えメタルゴーレム。
そのモノアイに光が灯り動き出したのだった。

2062とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 22:17:46 ID:gkelBHp2
>>2059
「……」
腰を抜かして立てないでいる
自身の理解の範疇を越えてしまっているのだ

「え? なにこれ?」
混乱しつつも第一声がゴーレムに対しての感想である
魔物やモンスターなら解るがメタルゴーレムは初めてなのだ

「……」
これ逃げなきゃ死ぬかなぁ……と思うやいなや
少しづつ少しづつ扉に向かって這いながら進み始めるのであった

2063置きレスRP:2017/02/05(日) 22:21:34 ID:2lonRUHQ
>>2062
「ふぁ…オハヨウゴザイマス〜……あれ?何方様でしょうかあ?」

メタルゴーレムからおもっくそ可愛らしい声が発せられた。
目を瞑って聞けば美少女のそれだ。
がしゃがしゃぽひー と言う機械音と見た目も相まってものすごい違和感がある。

2064とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 22:38:28 ID:gkelBHp2
>>2059
声が聞こえた方向に振り向くフレズ

「シャベタァァァァァぁぁぁぁ!?!?!?」
そして大絶叫。
混乱の極みとはまさにこの事

「イヤァァァァァ殺さなでぇぇぇぇぇぇ!!!!」

彼女視点に立てばこう見えてしまう
外は獣だらけの異変
店内にある謎の私設
見た事ない壁の模様と何か
そこから表れたメタルゴーレム

感情的には隠しダンジョンに入ってしまった村人Aである

「まだまだ、やりたい事とかあるんですぅぅぅ……」
手紙が入っている鞄を枕に本当に泣いている。

2065置きレスRP:2017/02/05(日) 22:44:27 ID:2lonRUHQ
>>2064
ゴーレム「ええ〜…」

ゴーレムからしてみれば見知らぬ誰かが一人で自室に入ってきて挙句とち狂うという図である。
こちらもこちらでドン引きしていた。

しかし、フレズはちょっと不用心すぎだった。
現在の王都は獣蔓延る危険地帯。
機能していたころのフルークガスト支部であったならもう少しセキュリティがあったのだが…

獣「ぎしゃああああ!!」

けたたましくなっていた警報音は外にまで漏れていた。
興味を引かれたのか一匹の獣が店内にまで入り込んでいたのだ!!

2066とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 22:54:10 ID:gkelBHp2
>>2059
声が聞こえた方向に振り向くフレズ

「シャベタァァァァァぁぁぁぁ!?!?!?」
そして大絶叫。
混乱の極みとはまさにこの事

「イヤァァァァァ殺さなでぇぇぇぇぇぇ!!!!」

彼女視点に立てばこう見えてしまう
外は獣だらけの異変
店内にある謎の私設
見た事ない壁の模様と何か
そこから表れたメタルゴーレム

感情的には隠しダンジョンに入ってしまった村人Aである

「まだまだ、やりたい事とかあるんですぅぅぅ……」
手紙が入っている鞄を枕に本当に泣いている。

2067とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 22:56:04 ID:gkelBHp2
//ごめんなさい、ミスった>>2066は気にしないで

2068とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 23:02:15 ID:gkelBHp2
>>2065

「あー……」
獣が入り込ん瞬間。悟った
あ、これ死ぬわ。前門のグリフォン後門のドラゴンとかそんな感じでしんだわ
と悟りを開いた

「よ、よし!こうなれば!」
へたり込みながらも、自身の剣を獣に向けて構える
なぜ獣に剣を向けたのか?
それはゴーレムへの対処の一つとして拠点防衛型のゴーレムは原則的に剣を向けなければ無害である

そのような原則がたしか冒険者の手引きとかそんなのにのっていたとフレズは思い出したのだ

2069置きレスRP:2017/02/05(日) 23:07:18 ID:2lonRUHQ
>>2068
ゴーレム?「きゃー!化け物ーー!!」

ひゅん、がすぅっ!!

獣「きゃいん!?」

フレズが身構え獣を真っすぐ見やった瞬間、その獣が真横に吹っ飛んでいった。
吹っ飛んだ方向から見ておそらく外まで飛んだんじゃないだろうか。

ゴーレム?「ああもう!何がどうなってるんですか〜」

見ればゴーレムが投擲姿勢をとっていた。
おそらく何かが投げつけられ獣は吹っ飛んだのだろう。
声は可愛いがパワーはゴーレム、凄まじい。

2070とある世界の冒険者:2017/02/05(日) 23:31:19 ID:gkelBHp2
>>2069
目が点になった
獣が外まで飛んで行った光景を目にしたせいだろう

「………わたしにはわかりません……」
何がどうなってるんですか〜の問いに思わず本音を漏らした。


「えっと、貴方は誰ですか?」
冷や汗をだらだらとかきながら、棒読みで質問し始める
何故質問をするのか。それは単純に敵対心が無い事をゴーレムに伝えたかったのだ

出来るだけ生き延びる確率を増やすための戦略である

2071置きレスRP:2017/02/06(月) 20:22:21 ID:ltAbZyQE
>>2070
ゴーレムっぽい何か「私ですか?型式番号ARG-78-2 ラフメイカーです」

がちゃがちゃ、ぽひー

ゴーレムの背中の機械が目まぐるしく動き、時折水蒸気を吐き出す。
お宝ではなかったようである。

2072とある世界の冒険者:2017/02/06(月) 20:41:46 ID:QTzMB.iU
>>2071

「えっと、ラフメイカーさんでいいのかな?」
困惑しながらも、何とかカウンター伝いで立ち上がる
ここら辺の立ち直り加減は冒険者といった所か

「えー……私は貴方とその他の者に危害を加えません」
ゴーレムの対処法の一つにこうした宣言がある。
こうして敵では無い中立状態であるという意志をしめすのだ

※但し軍用ゴーレムを除く


「そのえっと、ぽぴーってなってるけど大丈夫なの……?」
初めて水蒸気(?)機関をみて戸惑っている
恐らく壊れているのではと思っているのだろう

2073置きレスRP:2017/02/06(月) 22:00:05 ID:ltAbZyQE
>>2072
ラフメイカー「はぁ…あ、はい、現在の稼働率は80%ですからすこぶる調子はいいですよ?」

明確な身分証明も出来ていない為、
不法侵入者フレズという認識が全く改善されてはいない状況の中、
ゴーレムはそこそこ冷静に対処をしていた。

ラフメイカー「……あ、そういえば私は何で起動してるんですかねえ?」

2074とある世界の冒険者:2017/02/06(月) 22:44:40 ID:QTzMB.iU
>>2071

「あ、それは良かったです」

如何するべきか悩んでいる。一歩間違えれば死の状況で何とか中立的な立場でいてくれるゴーレムに少しだけ感謝している

「あー……それはですね」
うーんと悩み始める。さて困ったものだ
何で起動しているのかを説明するを使用にも、説明に困る部分もある

「ものすごくさっくり簡単に説明しますと、隠し扉を開けて何かボタン……ボタン?を押したらあなたが起動しました……んだと思います……?」
うんと頷き、説明を終える
事実だけをつなげると只の強盗だな私と思っている
ただ、如何しようも無いのもあるのが辛いのだ
というか、本当に私が起動したの?と思う部分もあるのだ


「まぁ全てを説明しますと、とても長くなりますけどいいでしょうか?」
どんよりとした面持ちでラフメイカーに言う
正直彼女もこの事態に巻き込まれた人間

2075置きレスRP:2017/02/07(火) 20:50:15 ID:03drbBiw
>>2074
ラフ「……え、ボタン?」

かしゃかしゃかしゃ、ぽひゅぽひー

ラフ「って、なんですかこれえええええええええ!?」

暫くの沈黙の後、ゴーレムが慌てだした。

ラフ「え?え?ジグザール龍脈の30%が喪失!?バックアップも壊滅状態!?」

椅子の近くにゴーレムが寄ると、
その周囲に浮かんでいた数々のモニターが目まぐるしく画面を変えていく。

ラフ
「ああ…説明は結構です。のっぴきならない状況なのは理解しました。
 至急フルークガスト本店に連絡をとらないと」

2076とある世界の冒険者:2017/02/07(火) 22:08:51 ID:6dbAYqFs
>>2075
「ま、まぁそんな感じだからね……?」
何とかこの秘密の部屋への侵入をうやむやにしようとするフレズ
まぁ実際この部屋で何かを得たかと言うと全くであり、厳重注意でゆるしてくれないかなーと思って居るのだ

(なんか色々と変わっていっておもしろいなー)
画面の変化とか書いている文字とかなんだかよくわからないが
取り敢えずきれいだなーぐらいにしか思って居ない

実際、技術知識がほぼ無いのでこの感想は的外れでは無いと思う


「連絡……それって手紙を出すって事?」
フレズは民間の武装郵便屋であり、今の王都ではひっきりなしであちこちを避難所を中心に配達している
現状、魔道通信は軍用が中心で短波での通信もあるが、自警団が主につかっており、市民には回っていない
とはいえ、このゴーレムの性能から必要かどうかと言われると疑問になる

2077置きレスRP:2017/02/08(水) 20:12:12 ID:moMenuPM
>>2076
ラフ
「いえ、本店との直通魔導回線が
 ……うぁ、これも駄目ぇ?もうだめだぁ、おしまいだ〜」

かたかたぽひぽひぷすん

ゴーレムが項垂れ膝をついた。
目まぐるしく変わっていたモニターも赤い画面ばかりになり、1つ、また1つと消えていく。

ラフ「魔術的機構が軒並みダウンなんて……復旧するにも私ひとりじゃあ……」

2078とある世界の冒険者:2017/02/08(水) 21:50:28 ID:aAJ/b.k.
>>2077
「えっと……まぁ、その……ドンマイ!」
ビシィっと親指を立てて膝をついたゴーレムの肩をトントン叩く
フレンドリーな笑顔を見せている

「復旧を手伝ってあげたいけど……生贄とか魂とかが必要な系列じゃないよね……?」
黒魔術的な物を想像しているフレズ
まぁ見た事も無い物だらけで正直な所、内心は震えていたりする



//第四汎用更新してるよー

2079置きレスRP:2017/02/08(水) 22:17:21 ID:moMenuPM
>>2078
ラフ
「とりあえずポータルを置けばいいんですが…現状を鑑みると生贄を捧げるようなもんですね。
 今の王都を動き回るのは並大抵の腕前では自殺行為ですから」

かしゃんかしゃんかしゃんぴひょろぅ

ゴーレムの気分を反映しているのか背中の謎機関の勢いが弱い。
出てくる水蒸気も気が抜けたものだ。

ラフ
「支店長さんも近くにはいないようですしぃ……ああ、困ったなあ」

2080とある世界の冒険者:2017/02/08(水) 22:54:00 ID:aAJ/b.k.
>>2079
「まぁ私たちだって本来なら安全な道しか通らないしね。その安全な道も大体三つの避難所の往復だしね」
ゴーレムの貴方なら一人でいけるんじゃないの?と言いそうになったが心の奥にしまった。
きっと燃料的な問題とか色々とあるのだろう

さて郵便屋とて全ての道を自由に行けたりしない
おおむね、大きな避難所通しの比較的安全な道を決死の覚悟で移動したりしている

ではフレズは何故此処にいるのか
理由は簡単で、彼女はルートの開拓に来たのだ。
中堅以上の元冒険者を主体とした開拓チームの一人が彼女だ
何故中堅以上か? それは自身の限界と撤退が出来る経験があるからだ
まぁ今の所中堅(笑)状態ではあるが


「えっと……如何すればいいのかな……?」
ラフに問いかける。何か出来る事があるのかもしれないと思ったからだ

2081置きレスRP:2017/02/11(土) 12:30:08 ID:na8Ahlwk
>>2080
ラフ
「現状出来る事は…ううん……
 やっぱりポータルを設置して緊急魔術回路の一部だけでも復旧しない事には始まりません。
 複数回に分けて設置距離を徐々に延ばすようにしてポータルを置いて本店とのコンタクトを可能にしないと。
 支店の機能が少しずつでも復旧できればコンタクトへの道筋が見えてくる……はず」

かしゃかしゃかしゃぽひぽひぽひ

ゴーレムの背中の謎機関の動作と共にモニターが又目まぐるしく画面を変える。
思考の度に何かが映り消え又何かが映る。

ラフ
「問題は簡易設置型のポータルが化物の興味をひかないか……ううん、難しいかなあ」

2082とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 20:34:10 ID:xemtLkM2
>>2081
「えっと……つまり支店にぽー……ぽすたる?を置けばいいんだね?」
ようやく話が見えてきたフレズ。寒村出なのであほの子だったりする

「うーん……その支店って何か所あるの? もしかしたら、配達ルートにあるかも? 地図とか無いかな?」
いかにフルークガストカンパニーが大きくともその場所を把握していないと分からなかったりする
それは全ての店に言えることで、この状況だと地図は文字通り命綱なのだ

「うーん……私も武装が自分のだったら良かったんだけど……探さないといけないしね……」
重装騎士の格好をしているが、本来彼女は高速近接戦闘が得意なのだ
ただ彼女が使っていた武装も逃げる時に宿屋に置いてしまった。
結構高価な物も使ってたようでもしかしたら盗まれたのかもしれないが

「貴方はポータルを置きにかないの?」
ラフメイカーと一緒に行けば、もしかしたら解決するのではと思い声を掛ける

2083置きレスRP:2017/02/11(土) 20:48:01 ID:na8Ahlwk
>>2082
ラフ
「いえ、王都の支店は此処だけです。
 ポータルを置くべき場所は王都の数か所。
 とは言え設置すべき場所を確定する為の調査用に先ずポータルを適当に設置するという作業もあります。
 そしてその場所の特定やポータルの稼働状態をリアルタイムで確認できるのは支店の此処だけ。
 私がポータルを設置していては作業時間にどれほどの時間がかかるか……後、戦闘用ではないですので」

2084とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 21:42:40 ID:xemtLkM2
>>2081
「うーん……」
何かを考えている。

「よし!私がやろう!」
即決とはまさにこの事である

「どうせ、このまま郵便屋さんしていても死ぬだけだし、最後ぐらい何かしたいしね」
ニコッと笑う。フレズは郵便に崇高な意志を持っていなかった。それは届け先が殆どの確率で死んでいたり
発狂していたり、生きていても病人だったりと悲惨な場面が多かったからだ

勿論、生きている人間にも届けた。だが結果は……


やる気に満ち溢れていた仕事は、何時しか絶望を届けるだけの仕事に変わっていたのだ

だからせめて希望を残したいと思ったのだろう


「先ずは最初のポータルを何処に設置すればいいのかな」
机に地図を広げて、羽ペンとインクを取り出す



ガシャンと店の奥で物音がした

2085置きレスRP:2017/02/11(土) 21:45:47 ID:na8Ahlwk
>>2084
ラフ
「とりあえず此処から少し離れた場所であれば何処でも構いません。
 設置した事で起こり得る状況を把握できればまずは良しとしましょう。
 その次の行動は……今何か物音がしませんでしたか?」

ゴーレム(以下もうラフと書いたほうが短いのでラフと書く)は首を傾げる

2086とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 21:55:52 ID:xemtLkM2
>>2085
口に人差し指を当てる。
静かにっという事だろう

そのまま、なまくらな安物の剣を片手に店の奥に進む

また獣が来たのと勘違いしたのだろう


暫らく時間が経って


「なにこれ……」

片手で持ってきたのは巨大な刃を持つ片手斧

しかし変なのは刃と持つところが比例していない。おかしな斧

「んー……」

くるくると斧を調べているフレズ。ラフが調べたら何か解るかも知れない

2087置きレスRP:2017/02/11(土) 22:13:13 ID:na8Ahlwk
>>2086
ラフ「…武器ですねえ。うちでは扱っていない類のようですが」

ラフの指ではキーボードもボタン四つ同時押しになってしまう為、見るに留まる。

ラフ「何故こんなものが…怪しい」

2088とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:31:23 ID:xemtLkM2
>>2087
「んー……」
何度か斧を持ってラフに当たらない様に振り回す

「まぁ、使えるものは何でも使うのがいいかな……」
そういいながら、斧を両手に持って柄に力を入れた瞬間

ガシン!!

「おぉう!?」
柄が伸びた。如何やら柄を伸縮できる機構が内臓されているようだ

長さ的にはやや柄が短いハルバードに近いだろうか

「これ凄いよ!!」
柄を伸縮させて少し楽しそうにしている

伸びきった時の柄に書かれていた文字。其処には処罰と古代の文字で書かれている事にラフは気が付くかもしれない

2089置きレスRP:2017/02/11(土) 22:40:06 ID:na8Ahlwk
>>2088
ラフ「う〜ん…」

はしゃぐフレズを見つつ古代文字には気が付くラフ。

ラフ「………いや年代物だとしたらますます何故此処に」

物騒な意味の文字であるし実は呪いの品なんじゃないかと真剣に思い始めている。

2090とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 23:00:00 ID:xemtLkM2
>>2089
「今の所、呪いとかの様子はないし大丈夫だよ!」
一応フレズも元は中堅の冒険者。呪いの鑑定は出来なくもない
すごく簡単な検査をしても呪いの様子が無かった

実際、今の所呪いの様子は見られない

「所でラフメイカー、これって読める?」

ラフメイカーに手渡した一通の手紙
それは黄ばんでおり汚く、そしてかなりの年代が立っている
それも、10〜20年単位では無く1恐らく00年前と思われる

「こんな字、初めて見るんだけど」

その手紙には古代文字でこう書かれている

――狩人様へ

そう書かれている

2091置きレスRP:2017/02/11(土) 23:23:22 ID:na8Ahlwk
>>2090
ラフ「あー…読める、と思いますが」

その太い指では以下略。

ラフ「ええと、大昔の狩人宛の手紙のようですね……ええぇ………」

降って沸いた強力な武器に戸惑いしかない理系魔法生物。
年代物であることも確定、魔法概念武器としても立派に役目を果たせるだろう。

ラフ「……あーもー仕方ありませんそれ使ってプランを進めましょう」

遂に思考を放棄した。
一時的後方進軍です、と彼女は言うが。

2092とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:50:11 ID:ASoKSBu6
>>2091
「ふふん!任せてよね!」
Vサインをラフメイカーに見せる
「でもこれ使えるかな……」
幾ら武器が良くても使い手が駄目なら問題外である

「よし、私がんばるよ!!」
やる気だけは十分のようだ

2093置きレスRP:2017/02/12(日) 01:23:08 ID:DgpN.AqA
>>2092
ラフ
「では先ずこの吊り下げランタン型ポータルを此処から離れた場所に設置してください。
 十分な距離が取れたと判断したら連絡を入れます…あ、ポータルにそういう機能がありますので」

用意されたのはソコソコ嵩張りそうなランタンと其れを吊り下げるための支柱。
複数持ち歩けなさそうなのがなんとも困る。

2094とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 21:39:18 ID:uc5itZ4g
>>2093
「ほうほう……」
ソコソコ嵩張りそうなランタンと其れを吊り下げるための支柱を手に持ち眺めている。

「此れがポータル……ランタンがぽーたる?」
若干誤解しつつ、一体どういう機能なのかさっぱり分からないといった表情でこの装置を見つめている
複数持ち歩けない事に関してはさほど不満は無さそうだ。

「此れって設置したら如何いう機能が使えるの?」
首を傾げながらラフを見つめている
この装置が如何いった機能を示すのか、これを使えば何が改善するのか
興味本位で聞いているよう

2095置きレスRP:2017/02/13(月) 21:52:30 ID:mLpWHlHY
>>2094
ラフ
「簡単に言えば此処から王都の現状がリアルタイムで確認できるようになります。
 主に魔力反応面で、ですが。
 数が増えれば遠く離れた本店との相互通信を可能とし…上手くすれば物資の補給が可能になります。
 最終的には現在失われている魔術回路の代用となってピースメイカーの起動が可能になるでしょう」

2096とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 22:35:26 ID:uc5itZ4g
>>2095
「ほうほう……」
ラフの説明を受けて考える。実際ラフの言っている事は解る
だが何故そうなるかが分かっていないようだ

「取り敢えず一杯あれば、王都の様子が丸見えになると」
噛み砕いて自分なりに納得をしようとがんばっている。

「物資の補給って店ごとに可能なの?それとも任意?」
もし物資の補給が出来るのであるなら、避難所に分け与えたいと思っているようだ

「ぴーすめいかー?」
首を傾げてきょとんとしている
恐らく直訳で考えてしまっているのだろう

2097置きレスRP:2017/02/13(月) 22:43:38 ID:mLpWHlHY
>>2096
ラフ
「此処の支店に本店からの物資を転送することが可能になるんです。
 ……一応機密なんですよ?国とかとの取り決めが滅茶苦茶厳しいんですから」

知りすぎると消されるやつだコレ。

ラフ
「あー、まあそういうコードネームの作戦があるんです。これも機密事項なので」

2098とある世界の冒険者:2017/02/14(火) 23:46:17 ID:jwxmCc5g
>>2097
「あ、分かりました」
聞かなかった事にしたフレズ
好奇心はなんとやらだ、深入りするのもほどほどにした

「まぁ、とにかくポータルを置いて来るね」
そういって、武器を片手に持ちながら店を出ようとする

2099置きレスRP:2017/02/15(水) 21:09:37 ID:gCggU36M
>>2098
ラフ「お願いします」

フレズを見送るゴーレム。
此処から紆余曲折を経て話は進むのだが…次回に続く。

2100王都外部避難所導入:2017/03/04(土) 10:32:25 ID:e5NEs.VQ
「仕事の話をしよう。・・・あぁそうだ。仕事の話だ。」
貴方に、そう声をかけて来たのはかの事変に於いて左脚を失った王国の騎士。

ここは、件の王都事変に於いて王都外へ避難できた者たちが集まる集落。いわば難民キャンプである。

-王都近郊 白銀山麓 難民キャンプの一区画-

「仕事と言うのは・・・まぁ君も察してくれているとは思うが。」
周囲を見渡すと、そこには明らかに設備が足りていなく、粗末な仮設のテントなどが並ぶだけの光景である。
「この施設の資材や、食料の調達などを君たち冒険者にこの施設を代表して、私がお願いしているのさ。」

「本来なら私の様な者が率先して行うべき事なのだが、見ての通り最早満足に動き回れる体ではないものでね。」
そういうと彼は貴方の目の前で自身の失った左脚を指す。

「報酬の件だが・・・本当に申し訳ない話だが君たちが満足できる額の報酬は用意できない。」

「何せこの事態だ。この額でもこちらとしては限界寸前でね。」グッ・・・
そういうと騎士は悔しそうに机の上に握り拳を置く。

「あぁそうだ。自己紹介がまだだったね。」
「私の名前は『ふざけるな!』。『それは俺の配給分だろうが!!』と言う。以後、良好な『静まれ!』を築き上げれる事を祈る。」

どうやら近くで揉め事があったらしい。その為一部の内容が聞き取れなかったようだ。

2101ゲイリー:2017/03/04(土) 23:20:25 ID:Fm547lts
>>2100
「すまん、表が騒がしくて聞き取れなかった……何の騒ぎだ?」

単眼の覗き穴がある頭蓋を模した兜を被り革ツナギ風全身鎧の上にコートを纏う長身の男。
それが外の様子を見ようと動く。

2102隻脚の騎士:2017/03/05(日) 00:45:34 ID:/57ZVeBc
>>2101

「あぁ、私の名は『自分の食料を良くみろ!』。『良いからいったん落ち着け!』さ。」
「以後良好な関係を築き上げたい物だね。」

ここでメタフィクションなる物が入る所、現状では名前は特に決まっていないのだ。
故に名前が完全に決まるまではこの隻脚の騎士は自己紹介を完遂することができないのである。

「よっと…っ、やはりすぐには慣れない物だね。」
騎士は杖に身を委ねる形で立ち上がり、窓から外を見る。

「恐らく配給の食糧の事で何かしらの一悶着があったんだろう。」
「そうだな。大方予想するに片方が目を離した隙に食料をこっそり盗んだか」
「この極限状況で疑心暗鬼に陥った結果出た言葉が原因でモメたか。どちらかだろうね。」

その左脚には鉄の輪にこれまた鉄の棒を溶接で無理やり拵えた様な義足らしき物が。
その作りは実に粗雑であり、失った足の部分に巻かれた包帯も相まって痛々しく見える。

「この様な事態においては決して珍しいことでは無いさ。どんな極限状態であろうと誰だって腹は減る。」
「そういう風に出来てるからね。大抵の生物は。」

「それに家族と離れ離れになってしまった者だって大勢いる。」
「・・・ここに避難した人達は皆、程度の差はあれど追い詰められてるのさ。」

窓から見える光景には、既におとなしくなった騒ぎの主の姿と、1人の憲兵の姿。

「そして、これが我々が君たちに仕事を依頼する理由でもある訳だ。単純に中の仕事で精一杯って訳なんだよ。」

2103ゲイリー:2017/03/05(日) 11:07:34 ID:FfiuDCM6
>>2102
「…もう一度…いや、そうだな、俺もそう思う」

メタを察したのか名を知ることを諦め、不可解な格好の男は話をつづけた。

「報酬の件は気にするな、寧ろ出世払いにしてもらった方がいいかもしれん。
 王都が一時的に機能しなくなった今、此処でこうして代表を務めているアンタだ。
 復興の際には十分な褒美をもらえるだろう?
 こちとら金で動く身だが目先の金だけで動くほど俗物でもない」

2104隻脚の騎士/今更ながら乱入歓迎:2017/03/05(日) 15:53:50 ID:/57ZVeBc
>>2103
「その様に言って貰えると、こちらとしては非常に助かるよ本当に。」

「代表と言っても、お飾りみたいな物さ。」
自身の脚をチラと見つめ、視線をそちらに戻す。

「ただ効率の良い人員配備を行った結果こうなっただけだからね。
 精々他の者たちの足手まといにならない様に努めるだけさ。」

「まぁ復興がいつになるか、なんて物は正直私程度には予測もつかない。
 それに復興が終わったとしてその時の私の立場だってどうなるかはわからない。
 それでも、可能な限り善処はさせてもらうつもりさ。
 これはこの施設の人間の総意という訳ではない。
 王国騎士としての私、いち個人の意思さ。」

数秒の間を経た後、騎士は本題に乗り出す。

「さて、お喋りが少し過ぎた様だね。これは私の悪いクセだ。」
 椅子に座り、片眼鏡(モノクル)を右眼にかけ、机の引き出しから数枚の羊皮紙を取り出す。

「こうなる前にも良く言われた物だよ。一度喋りだすと中々止まらん奴だとね。」
トントンと羊皮紙を一度均し、机の上に並べる。


「これが、今現在我々施設の人間が君の様な冒険者達に依頼する内容さ。」

その羊皮紙には単純に
「資材確保」
「食料調達」
「人材募集」

等と言った人によれば少し肩透かしを食らうような内容が記入されている。

「勿論他にも頼みたい依頼は山ほどあるにはあるんだ。
 しかし、今の状況での優先度から見るとこれらの部分を可及的速やかに解決したいんだ。」

2105ゲイリー:2017/03/05(日) 16:27:25 ID:FfiuDCM6
>>2104
「…」

終始聞くことだけに徹する男。
無駄話は好かないのだろうか…
そして羊皮紙を見ながら男は尋ねる。

「資材、食料はまあいいとして…この人材募集というのは?
 何処から見つけてくるかという問題もあるが、詳しく教えてくれ」

2106隻脚の騎士/今更ながら乱入歓迎:2017/03/05(日) 17:50:07 ID:/57ZVeBc
>>2105
「そうだね。悩ましい事に憲兵の者達も含め我々は基本的に治安維持や有事の際の防衛などに能力が特化していてね」

「治安維持などは我々でまかなえるが、どうしても効率が悪くてね。避難者たちが立ち直れるまでの当面の施設の・・・スタッフといえる人材が欲しい。」

「まず1つ目は建築技術を持つ人材」

指折り1つ。

「施設の拡充などをしようにも我々の技術では良くて仮設のテントを建てるくらいが関の山さ。」
「幸いこの周辺に比較的新しい廃村があるにはあるが、正直焼け石に水さ。」

「避難民の中から自己申請で名乗り出る者も少なからず居るには居るが、素人の集まりだからね・・・監督者が欲しい所だ。」
建築技術や単純に作業要員としての人材

「そして2つ目。炊き出し等の調理スタッフ」

指折り2つ。

「それに食事だってそうさ。今見えるだけでもかなりの数の避難者たちが居るが、全体に配給する為の効率もそうだが」
「こう言った状況であるからこそちゃんとした味の物を食べないといけない。」
「今の配給の内容がこれなんだが・・・」
どうやら食事をまだ摂っていなかった模様だ。

そこには見るからに硬い小ぶりに切られたパンと茹でた芋に小さい肉の様な物が僅かに添えられただけの粗末なもの。
これらが小さい皿に1つに盛られている。

「恥ずかしながら調理といえる様な物ができる物が1人も居ない。
 このパンだって元々備蓄していた物を無理やり小さく切り分けただけの物さ。」

「これは持論なんだが、窮地であればこそちゃんとした食事を摂るべきだ。」
「大勢の食事を効率的に提供できる、もしくはそう言う経験がある人材が欲しいのさ。」

「大まかに言うとこの2つだ。
 他にも細かい部分を言えばいくらでも挙げれるが今はこの状況の収拾を優先する為、この2つに絞る形になる。
 勿論後々落ち着いてくれば避難者の中から募集をかける。あくまで当面の人材で良い。」

「長々と話してしまって申し訳ないね。もっと手短に終わらせる事もできたかも知れないが、生憎私は生来こういった性質でね。」

2107ゲイリー:2017/03/05(日) 21:28:49 ID:FfiuDCM6
>>2106
「いや、詳細に答えてくれて感謝する。
 問題は何処で探すか、だろう。
 確実なのは国外だろうが……現状を考えると態々此方に出向くモノ好きはいないな。
 そうなると国内の生き残りを探す、という案になるが」

暫し黙る男。

「四の五の言ってられんな。
 当然国外への救援は誰かが行っているのだろう?
 なら矢張り中で探す、それしかない」

2108隻脚の騎士/今更ながら乱入歓迎:2017/03/05(日) 22:23:48 ID:/57ZVeBc
>>2107
「その案には概ね同意するよ。」
騎士は水を一口飲み、続ける。

「あぁ、当然国外への救援申請は使者を派遣しているんだが・・・」
 苦虫を噛み潰した様な表情を一瞬みせ、直ぐに元に戻る。

「今まで2回程、各国に派遣したが、誰一人として帰ってきていない。」

「理由は不明さ。派遣した者たちが職務を放棄し、現地で生活をしているのかもしれない。」
「まぁこの可能性なら一番マシだけどね。」

指折り1本。

「次に、道中で魔物や山賊などに襲撃され命を落とした。
 この可能性だって十分に考えうる。」

指折り2本。

「一番考えたくないし、一番あって欲しくない可能性だが・・・」

右手を左手でぐっと握る。その表情は一周まわって最早無表情に近い。

2109ゲイリー:2017/03/05(日) 22:43:34 ID:FfiuDCM6
>>2108
「…準備ができ次第仕事にかかる」

下手な慰めも、悲観するだけの無意味な行動も必要ない。
やらなければならないことが多いのだ、無駄な事をするのは当分先になる。
兜に覆われ落ち着いた声の男からは何の感情も読み取れないだろう。

「虱潰しに内を探索していくしかないのだろうが…何か充てはあるか?」

2110隻脚の騎士/今更ながら乱入歓迎:2017/03/05(日) 23:02:45 ID:/57ZVeBc
>>2110
「あぁ、すまない。また話が長くなるところだった。」
こめかみに指を当て、一瞬考える。

「そうだね・・・この避難所以外にも各地にここと同じような場所があるという情報もいくつか聞き及んでいるね。」

「だが、詳細な場所などは耳に入っていないんだ。すまない。」
軽く頭を下げる。しかしその直後に

「・・・そうだ。川辺には村や集落などができる事が多い。この近くの廃村しかりだ。」
「もしかしたらこの川に沿って歩を進めれば何かしらの進展が得られるかも知れないね。」

騎士はそう言うと机の引き出しから何かを取り出そうと探し始めた。

2111ゲイリー:2017/03/05(日) 23:22:13 ID:FfiuDCM6
>>2110
「成程な…ん?何かあるのか」

出発しようと動くも、足を止める男。
暫し待つ。

2112隻脚の騎士/今更ながら乱入歓迎:2017/03/05(日) 23:42:48 ID:/57ZVeBc
>>2111
「いやなに、もし私と同じような騎士団の生き残りと遭遇した時に話を少しでもスムーズにできるようにね。」

そういうと羊皮紙と羽ペンを取り出し

「サッサッサ・・・ってね。」

紙に記入していく。その内容は自身の現在の身体状況および依頼内容など。

「あくまで簡易的な物だけど正式な依頼証明という形をね。
 騎士団の人間にはプライドが高い人間も多いからね。無駄な争いを避ける為さ。」
しかし、その字はかなり独特の筆跡の為所々読みづらい部分がある。特に立場とか名前とか。

「あぁ、私の字は汚いからね。わかる人は逆にそれでわかってくれると思うよ。」
そう言いながらその証書を3つ折にし、机の上に置き、指先から淡い光を放ち証書にかざす。

「勿論私のことを存じ上げない者も居るはずさ。
 自分で言うのもアレだが、普段はあまり表立って目立つ様な者ではなかったからね。
 だからもし通じなかった時は申し訳ない。」
指先の光が消え、そして差し出す。

「はい。わざと破ろうとしない限りはやぶれないはずだよ。」

2113ゲイリー:2017/03/05(日) 23:51:17 ID:FfiuDCM6
>>2112
「了解した。では今度こそ行く」

ものを受け取り、自身のバックへと詰め込み男が外へと歩き出す。

「2、3日で戻るつもりだ、成果があろうがなかろうが。
 徐々に探索範囲も広げる、短期決戦とはいかんだろうしな」

2114隻脚の騎士/今更ながら乱入歓迎:2017/03/06(月) 00:05:46 ID:1hL3RIe.
>>2113
「あぁ、わかった。その身に難無き事を願うよ。幸運を。」
左手を胸に当て、会釈をしその姿を見送る。

外は仮設テントの下で生気を失った表情で虚空を見上げる者

この世の全てを憎むような眼で地面見続ける者

何かしらのいざこざがあったのか、憲兵に押さえ込まれている者

声も上げずにただただ涙を流し続ける少年少女

散々たる光景が広がる。

『だぁからそっちの薬は痛み止めじゃねぇっつってんだろ!!
 この患者より酷ェ目みせっぞゴルァ!!!』

仮設の診療所から薬剤師の様な者の怒号が聞こえてくるが、この状況だ。些末なことである。

2115ゲイリー:2017/03/07(火) 22:02:22 ID:nE7Z2XSY
>>2114
「…はぁ」

溜息をついて歩みを止める男。

(何なんださっきから、こう彼方此方でギスギスしていると
 俺が帰ってくる頃には此処は無くなってるんじゃないのか?)

内心で毒づく男。
現状、診療所は最も重要な場所の一つだろう。
それがまともに機能していないのでは今後が不安だ。

(ああクソ、仕事でもないってのに)

だが気になったのだから仕方がない。
踵を返し診療所へと向かった。

2116診療所の教師エランド/乱入歓迎:2017/03/08(水) 00:32:58 ID:TNBWu6Co
>>2115

診療所は2棟あり、その内の診察にあたる棟の方からの声だ。

「はぁ・・・何回でも言うけどな。これは傷み止めとして使うには効き目があり過ぎンだよ・・・」

白衣の男が心底面倒そうに解説をしている。どうやら麻酔を求める者が居た様でそれを疎めて居た様だ。

「そんな軽い理由で出せる程たくさんある訳じゃねぇしよ。」
「痛てェって言える内はまだ大丈夫だから我慢しろ。お前さんのはただの捻挫だ捻挫。」
「渡した湿布貼ってろ。」
そう良いながら湿布を取り出して患部に貼り付ける。

その姿は本当に気だるそうでしかないが、腕は確かな様だ。

「そこ!ベッドはできるだけ離せっつってんだろ!!感染症のリスクが高まるだろうが!!」

患者を乗せたままベッドを離す白衣の男。
細身の身体であるが、その肉体は引き締まった筋肉で構成されている。

結構な数の患者をどうやら現在1人で診ている様で、ちょうどゲイリーがそちらに来る頃には診察中の人間は居なかったようだ。

「あ゙ー・・・疲れた・・・こればかりは天才でも疲れた・・・」

2117ゲイリー:2017/03/11(土) 21:10:18 ID:tNoh/TOE
>>2116
(医者も探した方がいいなこれは)

状況を見、男は医者に声をかけるでもなく其処を後にする。
医療の心得は並みの冒険者が持つ応急処置の類しか男にはない。
変に首を突っ込む必要もなさそうであるし、仕事を片付ける理由が増えただけであった。

2118白銀山麓難民キャンプ/乱入歓迎:2017/03/19(日) 00:18:44 ID:jf0OXEtU
ここは、王都近郊、白銀山の麓に位置する難民たちの避難所である。

「ふむ。」
幾数十枚の羊皮紙を見つめ、思案にふける男がいる。

「となると、この場合は彼に依頼するとして・・・この件は・・・」
「うぅん・・・効率が悪いね・・・一旦人事入れ替えをするべきか。」

『報告します!!』
「ん?どうかしたかい?」
ふと、周辺の警護を担当する憲兵の声に向き、そう答える騎士。

『現在当施設における予想での食料が残り1週間分を下回りました。』
「うぅん、まずいね・・・非常にまずい。」

『つきましては、当施設で何か食料を自給できるシステムを導入するのはいかがかと思い、報告および提案に参りました次第です。』

「成る程・・・備蓄はあと1週間として、食料は冒険者達にも依頼をしているからね。誤差はあるだろう」
「まずは・・・それに適した土地があるかを確認しようか。」
「すまないが、少しの間ココを任せてもいいかな?」

騎士は杖をついて立ち上がり、覚束ない足取りで出口に向かう。
その左脚は失われていた。その部分には鉄の棒で無理やり拵えた義足の様な物で補っており、見るからに痛々しい。

『かしこまりました。・・・あの、この様な事を言うのは無礼であるとはわかっているのですが』
『その、その脚で大丈夫なんですか・・・?』

「なぁに、生きてるだけで儲け物だよ。それに、生きてさえ居れば代わりになる足を作れる技術者とも出会えるかもしれないだろう?」
「こう言う時にこそ前向きに考えるのさ。それじゃあ、留守を頼むよ。」
『お気をつけて。』


これが、およそ2時間前の出来事である。

そして現在

「ふむ、川が近くにあるのは把握していたが、中々にきれいな水だな・・・」

川辺に居た。
避難所から通常ならば20分ほど歩けば到達する位置である。

2119難民キャンプ周辺の小川/乱入、置きレス歓迎:2017/03/20(月) 01:54:27 ID:nfR27RUg
>>2118
「よいしょ・・・と」
近場にある岩に腰を下ろし辺りを一望する。その直後、騎士の眼前の空間に小さい魔方陣の様な物が現れた。

「距離にしておおよそ・・・」フィンフィン

そしてその魔方陣に指を合わせ形を変えていく。どうやら周辺地域の大まかな見取り図を作っていた様だ。

「しかし、本当に色々覚えておいて正解だったね・・・周りにはいつも呆れられてたなぁ・・・」

ふと、風が吹く。
「・・・ッ くぅ〜・・・傷口に染みるねぇ・・・もう無いってのに。」

一人、そう呟き魔方陣に描かれた見取り図を確認する。

「水を引くにしても・・・いやそれよりも・・・」

再び思案に入る騎士。身体的特徴も含め、川辺で魔方陣を浮かべながら思案に更ける騎士というのは中々に目立つ風貌である。

2120 ◆/yjHQy.odQ:2017/07/21(金) 21:54:04 ID:wV2CkvIM
【今は遠く、しかしかつて確かにあった時代】


 荒野と、それに連なる岩山。
 真冬の月が塵舞う風を照らす丑三つ時。
 僅かに咲く寒気の癒やしが花弁を散らした。
 風、いや違う。
 駆け抜けていった、黒き影に当てられ、腐り果てた証拠だった。


「アアアハハハハハッッ! ハハッ! ハハハハアァァ!!」

 金切り声にも似た、哄笑。
 細身を隠した全身の包帯、それを更に覆う鎧の断片達。
 踏み出した一歩が大地を揺らし、奮った腕が木々を手折る風を生む。
 剥き出しの歯は鳴り響く、腐った喉は理性無き咆哮を繰り返す。

 それを知る者は今やない。
 故に語ろう。
 ジャガーノート。
 かつて戦場にて屍山血河を築き、死せぬまま妖魔に作り変えられた、【バケモノ】だ。


「……間に合わんか」


 相対する男が呟いた。
 鴉のような黒髪が月光を拒む。
 手に握る妖刀が喧しく響鳴する。
 白衣を加工した戦闘服が、度重なる死闘に点々と朱を残す。

 重ねて語ろう。
 彼の名は、ゼオ。
 ゼオ・ウッドフィールド。
 この【バケモノ】が垂涎して付け狙う、【エモノ】である。


「クエストメンバーが集結するポイントまで山一つ」

「逃げに徹してかかる時間は三十分強、こいつが俺を四回はくびり殺せる距離となる」

「戦闘続行時間は」

『三分五十秒』

「博打は好かんのだが、な」

2121 ◆/yjHQy.odQ:2017/07/21(金) 22:17:15 ID:wV2CkvIM

「シィアァァッッ!!!」

「!」


 痺れを切らした【バケモノ】が、先手を打つ。
 大きく振りかぶった拳を、彼の顔面めがけて一直線に振り下ろす。
 やや大げさ、拳三つの距離を開けて半身で回避するゼオ。
 
 ……直後、彼の後ろの山肌に直径3mほどの小さなクレーターが出来る。
 風圧、及びこの怪物の魔力、気力のたぐいが当てられた、残滓の結果。
 ミノタウロスやサイクロプスと言った豪腕自慢の怪物たちを粘土細工に変える、悪魔の膂力の結果だった。


「……ア?」

 
 が。
 怪物は、次なる一撃を放つ前に、宙へと浮いていた。
 正確には、地面へと強烈に叩きつけられてのワンバウンド・フライング。
 ゼオの、【エモノ】のカウンターじみた背負投によるものだった。


「纏え――!」


 念じた、そして、喚んだ。
 ゼオの両手足には大気が渦巻き、どこからともなく金属の装甲が纏わりついていく。
 右腕は白銀の輝きを強めた。
 

「奏でよ、雷光の調……我が手に宿り敵を穿て」


 続いて、詠唱。
 下級の雷魔術、魔法学校での必須科目のそれ。
 しかし、右腕の輝きはそれの比ではない。
 加えて、絶えず変質した稲妻の輝きは、ついに増幅を圧縮させ、剣刃が如き雷孤を生み出した。
 
 射出。
 下級魔術とは思えぬ威力と速度、怪物の顔面を捉えて即座に放電、霧散した。
 この間五秒もなく。
 投げられて崩した体勢を更に崩した上で、彼は跳躍した。
 右手に握る刃を構えて。

2122 ◆/yjHQy.odQ:2017/07/21(金) 22:51:03 ID:wV2CkvIM
「はぁぁっ!!」


 斬り上げる。
 刃には霞のような黒紫の妖気。
 金属の塊を、強大な斧刃で叩きつけたような音が響いた。
 
 更に、二旋。
 続けて、三尖。

 猛牛の集団の突進を物ともしないこの怪物が、四肢を揺らして受けるがまま。
 刃は鎧を断ち、包帯に食い込み、その奥の肉体を砕いていた。
 そこから左足で蹴り上げ、一回転。
 巻き起こる風の柱に、五体は為す術無く岩壁へと叩きつけられた。


「まだ――?!」


 こんなものでは無いと、身を乗り出す。
 虚空を蹴って疾駆する体勢。
 男は一瞬、されど致命の瞬間を、確かに見た。


(間に合うか――!)


 刀を落とし、両手をかざし魔力を放つ。
 無詠唱の盾魔法、しかしやはり強度は遥かに堅い。

 それを確実に貫通し、彼の身体に突き刺さっていく、飛沫。
 浴びせられた極小の破片が、嵐の如く男に襲いかかったのだ。


「ぐ、ぁ……!!」

「ギャハハハハハァァッッ!!」


 それは、ただの石礫。
 怪物の腕力で投擲されただけの、【凶器】であった。
 墜落する男を嘲笑が追った。
 一瞬の逆転劇。
 怪物の跳躍が、矢の如き破壊を伴い男へと一直線。

 かざした腕の先は、もちろん男の頭部。
 握りつぶさんと、一心不乱に伸ばした。

2123 ◆/yjHQy.odQ:2017/07/23(日) 02:02:12 ID:h0vM2CUA

「ッギィ!」


 また響く、豪閃の一響。
 甲冑と包帯の奥の腐った眼が、見開かれる。
 歪んだ空間に包まれた腕を、横合いから何かが斬りつけた。
 彼の頭を大きく逸れて、掌は空気を握りつぶす。

 闇魔刀。
 そう呼ばれるゼオの愛刀が【事前に託された】一撃。
 リモートで発動した歪曲精神空間からの一撃であった。

 一瞬。
 また戦局は大きく動いた。
 視界を戻したジャガーノートの、全身が弾かれ吹き飛ばされる。
 そこには巨大な岩石の拳、それのみが中空から発生している。
 更に、その四肢は突如として発生したシールドマジックに衝突し停止。
 怪物へ浴びせられる追撃は豪炎の砲弾、雨霰。
 着地さえも待たず、部分召喚、遠隔魔術発動、輪唱魔術と矢継ぎ早の高等術法連続照射が繰り出される。


「ドヴァー…フス…ナァク……!!」

   
 まだだ、まだ終わってはいけない。
 彼の焦燥と決意は、頭上のジャガーノートへ。
 このまま数秒と待たず、虚空を蹴り上げ一直線に自分へと飛び込んでくる。
 何ひとつの恐怖も宿さない、がらくたの破壊衝動がやつの正体だ。

 着地と同時、拾い上げた闇魔刀に【竜の言葉】を吹き込む。
 峰に指を滑らせ、刀身の妖気と言葉が合わされば強烈な縁を生み出す。
 地面を裂きながら深く斬り上げる。
 その剣閃の先端、切っ先に放たれる妖気の形状は、竜の顎となって上昇。
 此方を見据えた直後の怪物へと一息に食らいついた。


「アギィィアアアァ!!!」


「喧しい、どうせ効いちゃいまい……!!」

2124 ◆/yjHQy.odQ:2017/07/23(日) 02:33:49 ID:h0vM2CUA


「とっておきだ……喰らって死ね!」

 駄々をこねるように、鋼鉄の霧に等しい竜の顎を殴り砕く怪物の手足。
 だが、時間は十分に稼げる。
 始めた詠唱は何の変哲もない、【ただ難しいだけの高等魔術】。

 しかし、迸る魔力の波長は明らかに通常のプロセスを組んでいない、異常な流入を見せている。
 違うのは、何だ。
 詠唱――否。
 媒介――無。
 発動手段――非。

 それは、魔力源。
 全身から発せられる膨大な量の魔力を以て生成される、術式の強制拡張。


 そして、それは訪れる。
 顎を砕いた瞬間、静止した空間に放られたジャガーノート。
 妖刀の一撃さえ瞬時に治癒する肉体が、それに包まれた瞬間一切の抵抗も無に帰し凍結。
 音を伝達する一切合財を巻き込んだ、静謐とともに結晶化していく。
 ――そうして、発動した氷結魔術。
 せいぜい一人を凍らせる程度の範囲を、ゼオの立つ場所一つ除いて岩山一つ氷晶に飲み込み尽くす大規模魔術へこじ開けた、魔力的な力押し。

 マナ解放。
 肉体を魔力に変換して術式を強制的に高次元へと引き上げる、強制強化魔術の一種がそれの正体だった。


「……死さえ許されなかった頑強さに免じて、しばしの眠りをくれてやる」

「何もしなければ一年程度は溶けない魔晶の牢獄だ。寝坊、永眠、好きな方を選べ」


 その絶大な効果をもたらす代償に、全身を朱に染めつつ膝をつく【エモノ】。
 煌めく透明なショーケースに呑まれた【バケモノ】に背を向けて、いつ終わるともしれぬ逃避行を再開した。
 
 分かっている。
 奴は、氷の中で抵抗と魔力の吸収を繰り返す数日の間に復活を遂げる。
 だがそれだけ稼いだ時間で、冒険者たちがこの怪物を操る者の真意に到達するはずだ。

 
「分の悪い……博打だ」


 だが、不思議と気分は悪くなかった。
 まあ、そういう日もある。
 小石の散弾に穿たれ、血を漏らす太ももを庇いながら、男は浮かべた笑みの意味さえ分からず、進み続けた。

2125うさぎ:2017/11/06(月) 03:22:53 ID:a0l8AeZg
tp://ssks.jp/url/?id=1451

2126とある世界の冒険者:2019/12/11(水) 21:36:43 ID:.Do.2/QI
<ジグザール王都のとあるゲート―”怪異”の発生から間もない頃―>

王都を未曽有の怪異が起こってから、少しばかり経ったある日に1人の少女がジグザールへとたどり着いた。
彼女の名前はモル・リステュリア。……とある王国の次期女王候補である。

此度は自身がより女王として、ふさわしい存在になるための修行の一環としてジグザールにやってきたのだが
そのジグザールは彼女が聞き及んでいたものから、あまりにもかけ離れた状況であった。
彼女の事前知識によれば、ジグザールといえば、巨大な王立図書館を中心として栄えた魔法都市だ。
古今東西の知識が集まる英知の都。優秀なる魔法の担い手の学び舎。そして、齎される英知は人の欲望を加速させ、大小限らず事件も多いと聞いている。

そんな王国を肌で感じることが出来れば、自身の目指す”優しくて強い女王”に一歩近づくと信じてモルはこの地へと降り立ったのだ。

だが――――。


「……これが”あの”ジグザール王国だと言うの?」

自身が目にする惨状に思わず、声を漏らす。
都市は荒れ果て、空は不気味な色に染まり、否――――、空にはそもそも人でないものが不気味にこちらを見下ろしている。
当然、外を歩く人間はほとんどいないばかりか、遠くの方でこの世のものとは思えない咆哮が聞こえてくる。

「けど、そんな短期間で国がここまでの状態になるなんて、ありえない。
……何か、うん。何かあったに違いない。」

そうつぶやくと彼女は踵を返す――――わけではなく足を進め始めた。
それは、ほんの知的好奇心だったのかもしれないし、”異変”の規模を見極められなかった未熟さ故かもしれない。
彼女はジグザールで起きている異変を直感的に感じ、また同時に「助けなければ」と放っておくことが出来なかったのだ。

かくしてモルは異界と化したジグザール王国へと足を踏み入れていく。
そんな王都で彼女が様々な事件に巻き込まれるのはまた別の話――――なのかもしれない。

【終】

2127とある世界の冒険者:2019/12/11(水) 22:05:39 ID:.Do.2/QI
<とあるアジト跡地―”怪異”発生から間もないころ―>

王都の郊外にあるとあるアジト。
かつては夜盗の一団の塒であり、夜な夜な”戦利品”による宴会が開かれていた。
しかし、そんな話ももはや、数十年前、その夜盗は捕らえられ、処刑がなされたという。
欲望の溜まり場であったアジトも今やただの忘れ去られた穴倉だ。

そんな穴倉のガラクタを蹴散らしながら不機嫌そうに歩く影が一つ。
明かりも何もないはずだが、彼の周りは鈍い赤色が照らしていた。

「あァん?クソ、どこもかしこもボロボロじゃねぇかァ……!」

悪態をつきながら、影が蠢く。
影はひょろひょろと幽鬼のように、アジトだった場所をさ迷い歩く。

彼の名はレホロン=ブラッパー。このアジトを塒にしていた夜盗の一員だった者だ。
無論、彼も処刑にかけられた一員であることは言うまでもない。
しかし、彼は生き返った。――――否、アンデッドと化したのである。

「おいおいおォい、俺様のオキニはどこ行ったんだよォ……?」

アジトにある埃の被った豪奢な鏡に映る姿は、正しくガイコツだ。
肉と呼べるものはほとんどなく、肋骨が異様に発達し、トラバサミのようになっている姿は正に異形だ。
王都に怪異がもたらした変化は空の色や、人々の獣化に留まらなかったのかもしれない。
彼は怪異発生から間もなくして、自身の墓から”這い出てきた”のである。

「おっ、へへへ、なんだ、あるじゃねぇか」

廃墟と化したアジトを蹴散らしながら、ようやくお目当てのものを見つけたようだ。
それは、自身がかつて身につけていた衣服だ。

皮の帽子に、ズボン、そして毛皮のマントである。
異形と化してしまった彼にはもはや必要のないものだが、気分の問題である。

「いよォッし、ようやくスイッチが入った気分だぜぇ……。
この俺様をこんな姿にしやがって、覚悟しやがれよ。」

次の野望にぎらぎらと目を輝かせる姿はその痩せこけた体には全く見合わないものだったとか。

【終】


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