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SSスレ

1魔術師1 </b><font color=#FF0000>(zbg2XOTI)</font><b>:2004/03/16(火) 06:06 ID:5tGeSj8I
比較的硬派なSSを投下するスレッドです。
本スレとほぼ同じ、詳細かつ綿密な設定を練ってSSを書いてください。


ハイテク兵器VS剣と魔法

戦国自衛隊のノリでいて新たなジャンルを開拓すべし
銃を手に、ファンタジー世界で生き残れ!

・sage推奨。 …いや、sageる必要ないか。
・書きこむ前にリロードを。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。
・SS投下中の発言は控えめ。
・支援は15レスに1回くらい。
・嵐は徹底放置だ。反論は許さん!…スレ住人が。
・以上を守らないものは………

本家スレ(2004 3月時点)
http://hobby3.2ch.net/test/read.cgi/army/1079351585/

88F猿:2004/06/27(日) 15:43 ID:qUq6iUEM
そして俺は今、紅い月を眺めている。
ここがどこなのか誰にもわからない。
ただ分かることがある。
ここなら俺は、俺でいられる。
生きるか死ぬか、その境界線でなら。

俺の名は青島、青島秀司。
俺は64式7.62mm自動小銃を敵へと向けた。

89F猿:2004/06/27(日) 15:45 ID:qUq6iUEM
途中で書き込めなくなったんで、間が開いちゃいました。

これは今書いてる奴の一番最初に書いた奴なんで、
今の話とちょっと矛盾してるところもあるんですが投下強行。

90名無し三等兵@F世界:2004/06/27(日) 21:11 ID:qUq6iUEM
防衛大学に入ったのは学費を払う余裕が無いからでもあった。
準国家公務員として給料が貰えるここしか選択肢が無かったのだ。

85と86の間にこれ入れといてください。

91S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/06/27(日) 21:31 ID:LgjpIS.M
初期設定からすると、青島は「やばいことを考えつく嫌参謀」系の
キャラですかね?政治的に配慮され、それでいて一発逆転な案が
出てきそうな危なさ。

92F猿:2004/06/28(月) 19:03 ID:qUq6iUEM
青島は初期設定よりかなり明るく前向きになってます。
最初は善悪を考えなければ最良の手段をためらい無く実行していくキャラのつもりだったんですが。

さすがにそれが主人公はまずいだろう、と。

93F猿:2004/06/30(水) 19:55 ID:qUq6iUEM
レッツ投下。

94F猿:2004/06/30(水) 19:55 ID:qUq6iUEM
「木造船・・・?」
「はい、おそらく木造船団と思われます。技術レベルは13〜15世紀、形状、大きさから排水量は50トン前後かと。」
観測員の言葉に狩野は又起き始めた頭痛に頭を抑えながら、いい加減これは現実なんだと自分に言い聞かせた。
「何隻だ?」
「・・・4隻、ですねまあ標準な数でしょうか。この距離からでは分かりませんが、武装もしているのではないでしょうか。」
狩野はいたって冷静な観測員をすこし奇異の目で見た。もしかしたらとっくのとうに慣れきっているのかもしれないが。
「宮野副長、どう思う?」
「は。なんにせよ、接触をとってみるべきだと思われますが。」
まあ、やれることはそれしかないのだ。情報収集も任務の一つとなっているし、あの少女と関係のある船かもしれない。
「向こうが敵意を示さないことを祈るばかりだな・・・。」

95F猿:2004/06/30(水) 19:56 ID:qUq6iUEM
「司令、漂流者の女性を連れてきました。」
「ああ、ご苦労。」
「・・・ほぅ。」
誰とも無く簡単のため息が漏れる。それだけこの少女は美しかった。
特に女性を見ること自体ほとんど無いこの状況では。数人女性自衛官がいないことも無いのだが、
それは少々女性としては・・・、いや、止めておこう。

狩野は目の前に立つ少女を眺めた。
流れる水のような金の髪に白い肌、碧の瞳、顔の作りはまるで神が全力で作り上げた石造のように端整だった。
どちらかと言うと顔のつくりは色素に反してモンゴロイド系のようだ。
そして嫌でも目に付くその長い耳がその少女が自分達とは違う存在であることをはっきりと示していた。
見た目では18かそこら。
病人服では少々分かりにくかったが胸の辺りの膨らみははっきりと女性のものであった。

外見としてはこのくらいだろうか。

96F猿:2004/06/30(水) 19:56 ID:qUq6iUEM
医務室から連れていかれた所は「カンキョウ」というところだった。
船長室の様な物だろうか。しかしそれにしてもここは広い、彼らは船だというが絶対に嘘だろう。
そこに居たのはオークのような男、そしてそれの隣に座っている大人しそうな小柄な老人だった。
オークのような男がきっと艦長で、老人のほうは執事だろうか。
しかし、艦長にしてはずいぶんと普通の服を着ている。
様子からして彼らは軍人らしいがそれにしては誇りを示す勲章も、序列を表すマントも付けては居ない。

「どうも、私がこの船の艦長、そしてこの艦隊の司令官の狩野海将補です。」
最初に口を開いたのは老人のほうであった。・・・って艦長!?
「は、はぁ・・・。」
この上なく間抜けな声が出てしまう。本当にこのひ弱そうな男が?さすがに疑ってしまう。
「・・・どうしました?」
「い、いえ!私はアジェント王国魔術仕官、セフェティナ・バロウです。お目にかかれて光栄です、狩野閣下。」
とりあえず知っている限りの礼を尽くして対応する。
こんなことなら士官学校でもっと礼儀の授業を聞いておくべきだったと深く後悔するがそんなことを言ってもしょうがない。
「どうも救助いただき有難うございました。」
「いえ、それが自衛隊の任務ですから。」
ジエイタイとはなんなのか、気になるが聞くのも無礼かもしれず、うかつな事はしゃべれなかった。

97F猿:2004/06/30(水) 19:56 ID:qUq6iUEM
しかし、この船は一体何なのか?
今まで召還されて来た島々はほとんど文明といった文明も持っておらずせいぜい弓矢で襲い掛かってくる程度。
しかし今自分の目の前に居る彼らは違う。アジェントの船の何倍もの大きさの船を持ち、トイレ、ベッドなど高度な文明が発達している。
特にベッドに掛けられていた布は今までに無い手触りと美しい光沢を持っていた。
もしこれが国内に流入したら信じられないほどの高値で売れるだろう。
特に驚いたのは鉄をふんだんに使用していること。
鉄はマナを遮る性質を持つのでアジェントではあまり使われていないのだが、この船は良く見ると鉄そのもので出来ているではないか。
魔法も使わず何故沈まないのか、なぜ魔法も無いのにこれほどの文明を持つのか。

なによりもアジェントはこんな船を大量に持つ国にもうすぐ攻め込むのだ。

いくら魔法があるとはいえ、魔法はそこまで万能ではない、魔法に精通するものほどそのことを良く知っている、
逆に知らないものほど魔法の力を過信しているのだ、あのジファンのように。
もし攻め込もうものなら勝敗は目に見えている。
背筋に冷たいものが走った。脂汗が流れるのが自分でも分かった。

98F猿:2004/06/30(水) 19:57 ID:qUq6iUEM
相手はひどく緊張している様子だった。
無理も無い、まったく知らない軍人達に囲まれているのだ。しかしそうしてばかりいる訳にもいかない。
「それで、まず聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。」
「は、はい!」
飛び上がるような声を出す少女。
なぜか出会ったばかりの時の妻を思い出してしまった。
こんな風に可愛らしく初々しかったのは始めの一週間だけ、すぐに自分を尻に敷いてしまった人だったが、元気だろうか?

「まず、我々は日本国、という国に属しています。日本国をご存知ですか?」
「ニホンコク・・・?すみませんが知りません。」
少女は首をかしげる。一筋の期待はあったのだが、予想通りの答えであった。
本当はこれから日本の状況を事細かに説明したいところだが、この少女の国が敵に回る可能性もある為、そううかつな行動は出来ない。
さらにもう三十分もしないうちに未確認木造船団とぶつかるだろう。あまり時間も無い。

「詳しい説明は後でしますが、今この船の進路上に船団があるのです。心当たりはありませんか?」
少女はしばらく考え込んだ後、少し目を背けて言った。
「・・・あります。」

99F猿:2004/06/30(水) 19:57 ID:qUq6iUEM
少女からあの船団に関する全ての事情――自分がつき落とされた可能性がある――も含めて、を聞いた時には、
未確認船団はあと、10分という距離に迫っていた。

100F猿:2004/06/30(水) 19:58 ID:qUq6iUEM
投下終了!
ご意見ご感想お待ちしております。

101名無し三等兵@F世界:2004/06/30(水) 20:21 ID:Gu0Gep4w
Good Job
ワクワク

102名無し三等兵@F世界:2004/06/30(水) 21:47 ID:6DkgH/I6
日本人がアジェントの奴隷制度を見て自分達も下手をすればその中に入るかもしれなかったと知ればバルト帝国を同盟を結ぶかもしれない・・・。
規模は違えど同じ機械を使っている国家だし、ともかく続編の投下を期待しています。

103S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/06/30(水) 22:51 ID:LgjpIS.M
鉄が魔法遮断物質と言うことは、少なくとも高機動車に籠もっていれば
幻惑や精神介入なんかは喰らわない、ということですか。
魔法の巻き起こす物理現象までは止まらないでしょうけど。

そうなってくると、幌トラックや随伴歩兵が一番危険か・・・

アジェンド艦隊は、風を無視して突っ走る船をどう叩くのか?
風の精霊で帆船コントロール?海戦に期待しつつ待っております。

104名無し三等兵@F世界:2004/07/01(木) 23:04 ID:.DRH/B7E
しかしこんごうの搭載兵器では何使っても相手が沈みそうですな
自衛隊の駆け引きに期待

105F猿:2004/07/03(土) 20:18 ID:qUq6iUEM
投下、行きまーす!

106F猿:2004/07/03(土) 20:19 ID:qUq6iUEM
「怪我人だ!早く医務室へ!」
何でこんなことになってしまったのか。
俺の手は血で真っ赤に染まっていた。目の前の部下の身体を今さっきまで流れていた血で。
かすかに震えているこの手。
なぜ、あんなことをしたのか。
目の前の船から真っ赤な炎の玉がこちらに飛び込んでくる。

「魔法」
イッタイナンナンダコレハ。

俺は慌てて身を伏せ、甲板で激しい火柱が巻き起こった。

107F猿:2004/07/03(土) 20:19 ID:qUq6iUEM
「つまり、あの船はアジェント王国所有の・・・」
「はい、奴隷商船です。といっても実際はラーヴィナ候が管理されてますが。」
思わず宮野と顔を見合わせる、まさか奴隷を国家が売買しているとは。
確かに木造船などの文明レベルを見れば理性では分からなくも無いのだが。
「どうしました?別に何の変哲も無い奴隷商船です。多少、いや、かなりの武装が施されていますが。」
「いや、そうではなくてね・・・。」

「私達の国では奴隷は認められていないのですよ。」

「え?」
狩野の言葉にセフェティナは目を丸くする。
「じゃあどうやって国家が成り立っているのですか?」
「私達を含め全ての国民が平等に人権を持ち、平等に勤労の義務を負っています。
そして彼らの納める税によって国が運営されているのです。」

108F猿:2004/07/03(土) 20:20 ID:qUq6iUEM
「・・・よく分からないのですが、国民全てが平等なんて・・・きっと素晴らしい王によって治められているのでしょうね。」

「いやいや、我が国の王・・・天皇と言いますが、は政治に関わる事を禁止されているのですよ。」
「は?」
間の抜けた声を出すセフェティナを狩野は娘を見るような目で見つめた。
彼女は元気だろうか、大学生活を謳歌していて最近会う暇も無かったが、もし帰ったらこの話をたっぷりと聞かせてやろう。
そう思う。

「さ、この話は又今度にしましょう。そろそろこちらも交渉の準備に入らなければなりません。
あなたも漂流している時に来ていた服を乾かしておいたので着替えて下さい。」
「あ、はい。わかりました。」
隊員に誘導されていくセフェティナの背中を見ながら狩野は基地と通信をつなげた。

109F猿:2004/07/03(土) 20:24 ID:qUq6iUEM
「・・・今、なんとおっしゃいました?」
「交渉の正使として福地殿を任命する、と言ったのだ。…気持ちは分かる。奴の傲慢さは有名だからな。だが、我慢してくれ。」
狩野は先ほどの暖かい空気から突然氷の張った湖に叩き落された気分であった。
「…はい、それがご命令ならば従います。」
「すまないな、軍人が政治的交渉をするわけにはいかないのだよ、この国ではな・・・。」

狩野が振り返るとやっと健康状態も回復しかと思われる福地が立っていた。
通信を福地に渡す。
「・・・ウム、どうした?・・・ああ、そうか。ああ、任せておけ。」
そう短く済ますと福地は通信を切った。

「狩野君はもう聞いているようだな、まあ、そういうことだ。補佐を頼むよ、…まぁ、いらないとは思うがね。」

いつもの人を見下した、嫌味ったらしい顔でこちらを見る。
もし自衛隊員ならば宮野から鉄拳が飛んでいるところなのだが、そういうわけには行かない。相手は文民様である。
「どうした、不満そうな顔をしているが?・・・軍人などに外交を任せられるわけが無いだろう、少なくとも君よりはこの仕事に精通しているつもりだが?」
「はい。」
狩野は答え、不満を顔にあらわにしていた隊員をチラリと見た。隊員はあわてて顔を取り繕う。狩野は申し訳なさそうに笑った。

「それで、遭遇は何分後だ?」
「はい、早くて5分前後と思われます。」
「そうか、では早めに段取りを決めておくとするかな。」

仮にも補佐役である自分に相談もせずにさっさと行ってしまう福地を狩野は不安な面持ちで見つめていた。

110F猿:2004/07/03(土) 20:25 ID:qUq6iUEM
投下終了です。間があいた上短くてすみません。
次回は来週の土曜以降かも・・・。その代わり戦闘一気に終わらせます。

ご意見、ご感想お待ちしています。

111_:2004/07/03(土) 21:43 ID:oX1OywGc
期待して待ってます。

112F猿:2004/07/09(金) 17:54 ID:qUq6iUEM
あああああ!
時間が無い!
レポートにテスト多すぎる!
福地がうまく動かせない!青島ただの嫌キャラ化してる!佐藤影薄い!種2って何だ!
魔法の設定がうまく生かせない!

っと、取り乱してすみません。
てなわけで明日の夜投下したいと思います。

113名無し三等兵@F世界:2004/07/09(金) 22:03 ID:XFwU2gsc
お待ちしております
でも、無理は禁物ですぞ

114F猿:2004/07/11(日) 14:30 ID:qUq6iUEM
遅れてすみません、投下します。

115F猿:2004/07/11(日) 14:30 ID:qUq6iUEM
初対面の時、何故こんな任務を自分が受けたのか分からなかった。
部下兼護衛。
「青島海尉の身に危険が迫った時は、左官よりも優先してその安全を確保しろ」
噂には聞いたことがある。
「世界各国の首脳、官僚と渡り合えるだけの幹部を養成する計画。」
青島は本人には秘密で行われるらしいこの計画の被験者らしかった。

将来の幹部。どんな若者か楽しみにしていたが、
目の前に居たのはふざけた軟派な男、佐藤―――実際はそうでもなかったが、と
それに舐められた口を聞かれてもへらへらと笑っているどこか陰のある男、青島だった。
「こんな人間のために命を賭けろと?」
俺はそう思った。
しかし俺は自衛官、下された命令はなんであろうが必ず遂行する。

116F猿:2004/07/11(日) 14:31 ID:qUq6iUEM
「我々に交戦の意思はなーーーい!」
「漂流者を一人保護しているぞーーーお!!」
すさまじい音量で放送が流されていた。
「な、なんだこれは?」
天野は耳を押さえながらうめいた。
ビリビリとあたりが音によって震える。
「な、なんでも――――これから接触する船に――呼びかけているらしいです―――」
佐藤の声も半分近くかき消されてしまう。
「なら――無線を使えばいいんじゃ――ないのか―――」
「それが――通じないら――しいんです――」

「こーしょーをもちたーい!」
放送も半ばやけくそに近くなっているようだった。

「それにしてもうちの隊長上によばれてったけどどうしたんだろうなぁ?」
隊員の一人がこれ又耳を塞ぎながら呟いた。

117F猿:2004/07/11(日) 14:32 ID:qUq6iUEM
「あの・・・」
セフェティナがおずおずと狩野に話しかける。
この放送が始まった時はずいぶんと、まるで子供の様に驚いていたがだいぶ落ち着いたようだ。
「なんですかセフェティナさん、すいません。少し騒がしくて。」
「いえ、けれどこれは向こうの船に呼びかけるためにしているのですよね。」
「はい。」
「なら、私に通信手段があるのですが・・・。」
艦橋に死にすらも似た沈黙が流れた。
放送がとめられたのはそれから30秒と経たなかった。

118F猿:2004/07/11(日) 14:32 ID:qUq6iUEM
ジファンは一人でほくそ笑んでいた。
うるさかったエルフの女も始末した。
後は奴隷達を収穫して持っていくのみ。多少の横領も許されている。
「クク・・・。」
ニヤニヤしながらジファンは自分の右手に付けられた篭手を見た。
制御石が組み込まれた篭手。魔法国家アジェント隆盛の象徴。
「そういえばこれを作ったのがセフェティナだったな。戻ったら新しいのを作らせるか。」
ジファンの足元にはセフェティナが安否を気にしていた女性奴隷の冷たくなった身体が倒れていた。
それを無造作に蹴飛ばしジファンはすくりと立ち上がった時、一人の船員が部屋に慌てて飛び込んできた。
「た、大変です!ジファン様!」
「どうした?」
「そ、それが・・・、前方に鳴き声を上げる船のようなものが。」
「鳴き声・・・?鳴き声をあげる船があるわけないだろう。」

・・・
あった。
甲板に出て、望遠鏡で見ると、紛れも無く船の形をしたものが、ここからでは聞き取りにくいが鳴き声をあげていた。しかし、マストも無い、あんなにも巨大。船とは言いがたい。
「な、なんだ。あれは・・・?海竜の一種か?とりあえず総員戦闘配置。特に魔術師隊は巨大生物相手の海戦の用意をしろ。」
ジファンはそれから呆然と目の前のモノを見た。

119F猿:2004/07/11(日) 14:34 ID:qUq6iUEM
セフェティナは右手を自分の顔の前に持ってきて、篭手を見た。
「(あの篭手・・・、救助隊員からどんなことをしても外れなかった、と聞くが。)セフェティナさん、我々はこの国のことには疎いのですがその篭手が何か通信に関係が?」
「あ、・・・はい。」
そうだ、そういえばこの人たちは魔法のことを知らないのだった。
ジファンの持っている篭手は自分が作ったもの。篭手の制御石の波長、というか特徴を知っておけば、普通は微弱なマナの振動を強めて意思を伝えることが可能なのだ。
魔術師はこれを共振通信と読んでいる。
といってもごくごく近い距離でしか出来ないが、相手の船が視認可能なこの距離なら十分だろう。
・・・アルヴァール魔術大臣だけは圧倒的な魔力でマナを振動させ、城から国中の魔術師に命令を伝えることが出来る。と聞いたことがあるが、どうせ眉唾物の話だろう。
だいたいいつも彼はエスフィリーナ様に仕事を押し付けてあっちへふらふらこっちへふらふら・・・。
「どうしました?」
「あ、すみません!・・・は、はい。詳細は省きますがこの篭手でわずかですが意思の疎通が出来るのです。」


キィン!!
「!?」
ジファンは突然頭の中が震えるような感覚に陥って、慌てて辺りを見回した。
誰も居ない。
・・・キコエ……マス・・・カ・・・
「声?・・・共振かっ!?馬鹿なっ!」
もう、自分に共振通信を繋げられる人物はこの周辺には居ない。
奴はもう今頃海の藻屑のはず。
・・・オウトウ・・・オネガ・・・イシマス

といってもここで通信をしないわけにはいかない、奴を生かしてアジェントに返せば、
良くて追放刑、最悪「破門」奴が生きている可能性がある以上、必ず見つけ出して消さねばならない。

120F猿:2004/07/11(日) 14:34 ID:qUq6iUEM
―――聞こえている、無事だったようだなセフェティナ。お前が海から落ちたと聞いて、エスフィリーナ様になんと報告すればいいか、不幸な事故だったな。―――
―――事故っ!?―――
向こうの気持ちが手に取るように分かる。共振通信は精神に依存する魔力でマナを動かす物だから具体的な言葉よりも相手の精神状態のほうがよりクリアーに伝わるのだ。
―――それより・・・今、船が見えますか?―――
―――船のようなものなら見えないことも無いが・・・。―――
―――私は今、その船に保護されているんです。―――
―――本当にそれは船なのか?―――
―――はい、現在私が乗っていることが何よりの証拠です。―――
どこの船かは知らないが余計なことをしてくれる。
そう、アレが船なら相手は何者なのか。あんな船アジェントには存在しない。
―――相手は何者だ?もし、帝国ならば今頃お前は八つ裂きにされているはずだが―――
―――はい、それが良く分からないのですが・・・、おそらく召還された人々かと―――
―――なに?―――
・・・そういえば、今日は召喚の儀式の次の日だったか?
しかし奴隷を召喚するとは王家やアシェナの連中もえぐい事を考える。
特にアシェナの連中は「アシェナの神の庇護を受けられない哀れな異世界人達を救い出す」
などという綺麗ごとを言って自己正当化しているが、自分達の奴隷欲しさというのは火を見るより明らかだ。

121F猿:2004/07/11(日) 14:35 ID:qUq6iUEM
―――しかし、そのドブネズミ共があんな船を持っているのか?―――
―――ドブネズミ、なんて・・・。―――
―――そうだろう、奴隷になるしか道の無い奴ら―――
―――彼らの持っている力は侮れないものがあります。くれぐれも刺激するようなことは―――
―――魔法も無い奴らが我々に傷を付けると?それで、身柄を引き取ってやる、どうせ交渉しろというのだろう?大体の異世界人はそうだ。井の中の蛙だからか?―――
―――有難うございます。交渉場所は―――
―――こちらの船でだ。それ以外は認めん。―――
―――はい。―――・・・ブツッ。
通信は切られたようだった。
ジファンは篭手をはめなおした。
「もう一度、これにお世話になる必要があるようだな?セフェティナ。」

122F猿:2004/07/11(日) 14:36 ID:qUq6iUEM
とりあえず投下終了。
レポートやテストがあるし、大体続きも書き上がってるんで、次は早いと思います。

123名無し三等兵@F世界:2004/07/11(日) 19:49 ID:Gu0Gep4w


124_:2004/07/11(日) 20:15 ID:oX1OywGc
奇態age

125S・F </b><font color=#FF0000>(g/XuFmDQ)</font><b>:2004/07/11(日) 22:28 ID:LgjpIS.M
>>122乙です。しっかし籠手でのやりとりで心が見えるとは、ジファンが知らない
のかセフェティナがお目付役だからか・・・どっちもですか。

精神の伝達レベルは、両者の魔法力の差に依存するのですかねえ?
この辺の状況によっては、通信の序列やらいろいろ有りそうですね。

126F猿:2004/07/11(日) 23:20 ID:qUq6iUEM
いえ、あそこで気持ちが分かる、と言ったのはジファンがセフェティナの気持ちを読み取ったんです。
それで「ははん、動揺してやがるなこの小娘が。」といった感じです。
魔力に差があったとしてもセフェティナの精神的均衡が崩れればジファンにも読み取れてしまうわけで。
考えていることが見える、と言うより喜怒哀楽が分かるという程度です。
あと、―――←って言うのは通信会話用のカギ括弧です。
分かりにくくてすみません。

あと、一人重要人物が名前だけですけど登場しているので覚えていてくれるとずっと後に楽しめるかも。

127S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/12(月) 09:25 ID:LgjpIS.M
遅レスですが、ジファンの方が読んでましたか。いや、セフェティナの台詞
直後だったものでつい・・・カギカッコはちゃんと分かりました。

喜怒哀楽って事は、電話で言う声音とかそういう感じですか?まあ精神に直通
している以上、いわゆる「声の調子」なんてのは無いですしね。

重要人物が一人って事は、幾つか出てきた他の名は?って
それも後の楽しみですね。

128F猿:2004/07/12(月) 22:12 ID:qUq6iUEM
ただいまから投下します。
3・・・2・・・1・・・

129名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:13 ID:qUq6iUEM
「ええっ!?じ、自分が、ですか?」
青島は狩野、福地、宮野という艦隊首脳のまえに呼び出されていた。
「ああ、君の隊に私と福地さんの二人を護衛してもらうこととなった。本当は我々の船で交渉を行いたかったんだが先方が絶対に自分達の船で、と言い張るらしい。」
「狩野君!」
青島が何かを言うより早く福地が怒鳴った。
「何を考えているか分からん未知の連中との交渉に行くのに何故こんな若造を!」
「彼は優秀な指揮官ですそれは保障いたします。それに・・・。」
上からの「青島に少しでも多くの現場を経験させろ」などという命令が無ければ私も彼を選んだりはしない。そう狩野は言いかけてやめた。
「それに?」
「いえ、なんでもありません。」
未だ不満そうな福地から狩野に向き直る。
「ということだ、青島君。君には期待している。大丈夫、そんな危険な任務ではない。」
「・・・はっ!了解いたしました。」
青島はどこかやるせない気持ちを抱きながらも敬礼をした。

130名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:14 ID:qUq6iUEM
「ということになった。」
こんごう甲板の空いたスペースに40名近くの小隊員が並んでいる。
「『ということになった』じゃわかりませんよ隊長。」
「読者の方々は分かってくれているだろうからいいんだ。」
「誰ですか読者って・・・。」
緊張した空気が一瞬や和らぐ、しかし青島が真剣な顔に戻るとまたすぐに空気は張り詰めた。
「我々の小隊で司令一行の護衛をすることになった。といっても先方の船の大きさから考えると行けるのは我々の中から行けるのはせいぜいヘリ一台分だがな。よし、今から行くものを読み上げる。天野!」
「は!」
まず名前を呼ばれた天野が一歩前へ出る。続けて呼ばれた者もそれに従った。
「・・・佐藤!」
「はっ!」
最後を佐藤で締めくくると青島は目の前に並ぶ5人の部下を見据えた。
青島自身を含め皆、緊張した面持ちで立っている。
「これは我々の艦隊だけではない、今後の日本の将来すら占う重要な交渉だ、それだけに護衛も重要な任務である。各自、最善の行動を期待する!」

131名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:14 ID:qUq6iUEM

「はっ!」
青島の顔はしっかりと指揮官のそれになっていた。
「(この男・・・、思ったよりも見込みがあるようだな。)」
天野は守るべき対象が二つあるこの任務に対し、微かな喜びを抱き始めていた。

132名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:15 ID:qUq6iUEM
「うひゃあああっ!」
セフェティナが突然尻餅をつく。
「どうしました?」
「・・・・なに、何あの化け物?」
セフェティナが指をさす先には風を巻き起こしながらたたずむヘリコプター(SH-60J哨戒ヘリ)があった。
「ああ、あれはヘリコプターと言って、あれで空を飛んで先方の船に行くんですよ。」
佐藤がここぞとばかりに紳士を装ってセフェティナに話しかける。
「空を・・・?信じられない・・・。」
「(こっちからしたら篭手で通信が出来るほうがよっぽど信じられないんだが)」
セフェティナは未だに立ち上がれないままヘリをぼんやりと眺めていた。

133名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:16 ID:qUq6iUEM
「福地さん、すみませんね。本当ならAS332Lでお連れしたいのですが。」
「フン、軍人にそんな気の効いたものは期待していない。」
ズンズンと効果音を立てそうな調子でヘリに乗り込んでいく福地、
「宮野君、後は頼むよ。」
「は。」
そして狩野は福地に続いて乗り込んでいった。
「さあ、セフェティナさんも早く。」
未だ躊躇するセフェティナに対し佐藤は手を握って誘導しようとした、が。
「ひゃあああっ!」
セフェティナは慌てて手を振り払い飛びのく。

そんなこと佐藤は知る由も無かったが、元来エルフと言うものは男性も非常に女性的な、というより両性外見が変わらないのだ。そのために森で純粋培養されてきた彼女にとって人間の男と言うものは彼女を非常に戸惑わせるものであった。
(佐藤はおしおきとして天野にプロレス技を食らったらしい。)
その後なんとかしてなだめてセフェティナをヘリに乗り込ませ、狩野一行はジファンの船へと飛び立っていった。

134名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:16 ID:qUq6iUEM
「うおおっ!なんだあれは!?」
「か、神の使いか!?悪魔の使いか!?」
「落ち着け!ジファン様によるとアレが交渉相手らしい!」

バリバリバリバリバリバリ!
激しい音を立てて二台のヘリが甲板へと舞い降りる。
ヘリから降りた狩野一行はジファンと向かい合った。
一応胸に手を当てている(こちらの世界の敬礼の様な物らしい。)とは言え、
周りからは奇異、好奇、恐怖、様々な感情の視線がこちらに向けられている。
しかしその中に「侮蔑」の感情が含まれているのは何故だろうか?
艦長レベルの人間と交渉する相手はたとえ敵であっても尊敬してしかるべきなのだが。

135名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:17 ID:qUq6iUEM
「やあ、良くぞいらっしゃいました。この船の船長を勤めさせていただいておりますラーヴィナ候ランヴァーナ家の執事、ジファンと申します。
このたびはセフェティナ=バロウの救助をしてくださって、心から御礼申し上げます。」
「こちらこそ、私は経済産業省エネルギー庁福地と申します。」
福地が狩野たちに対する態度とはうって変わって満面の笑顔で握手を求める、そしてジファンもそれに答えた。
「私は日本国海上自衛隊護衛艦隊司令、狩野と申します。」
「さあ、このようなところで立ち話もなんですから、船長室へどうぞ。」
日本人達の聞きなれぬ肩書きに戸惑うことも無くジファンはニコリと笑うと狩野たちを手招きした。
しかし狩野はその顔に一瞬浮んで消えた軽蔑の表情を見逃しはしなかった。
「(この男、見かけほど好人物でもお人よしでもなさそうだな。)」
狩野は自らの腰にささっているSIG9mm拳銃を確認した。
「よし、それじゃあ佐藤と沢松、村田の三人はここでヘリの警備をしていてくれ。」
「はっ!」
「(・・・隊長)」
「(ああわかっている、あの男だけじゃない、この船全体、臭いな。)」
狩野だけではなく、青島と天野もまた、この不自然さを感じ取っていた。

136名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:18 ID:qUq6iUEM
展開が遅くなってますが投下終了です。
ご意見、ご感想、心からお待ちしております。

137名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 23:25 ID:MTBbKnPA
イイヨイイヨ〜
づづきを楽しみに待ってますよ。

138名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 23:42 ID:MgC.CLEA
続きマダー?(チンチン)
って早すぎですか
期待age

139S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/13(火) 00:24 ID:LgjpIS.M
は、早い!うーむ。
しかし帆を畳んでいるとはいえ、帆船の甲板にヘリってのはいい絵ですなw
しかも二台・・・上から見ると、変なブレードが生えた船に。天界船?

期待しつつ、佐藤はなにを喰らったのか考えてみます。
卍固めとかコブラツイストだろーか。

140名無し三等兵@F世界:2004/07/13(火) 15:06 ID:z6YPz/so
続きが楽しみです。
福地はここで現実を理解できずに殺されそうな予感・・・。
それとバルト帝国はいつごろ出てくるのでしょうか?

141F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:09 ID:qUq6iUEM
皆様ご意見、ご感想ありがとうございます。やる気の源です。

>140さん、バルト帝国ですか、もちろん出しますが、
時期を言うだけでもかなりのネタバレになっちゃうので勘弁してください。

それでは投下行きます。

142F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:10 ID:qUq6iUEM
天使を信じていた。いや、今も信じている。
アシェナの神は言った。「世が乱れ、罪無き者が死に、罪深き者が生きる世となった時、私は我が僕を遣わし、罪深きものを滅し罪無き者を救うだろう。」と。
今がその時ではないのか、罪の無い異世界人が無理やり呼び出され、虐待される。
アシェナの神に仕えるはずの我々はそうして暴利をむさぼる。
私は天使が来る、来てくれると信じていた。

143F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:10 ID:qUq6iUEM
「どうぞ、こちらへ。」
幾つもの脇道を持つ少々長い廊下を通り、通された先は船長室であった。
日本側全員は息を飲んだ、床一面に張られた金で縁取りされた紅い絨毯、壁に張られている白く美しい模様を持つ壁紙、棚にはおそらく酒と思われるボトルが所狭しと置かれていて、その棚の上には美しい女神像がおかれていた。まるで王侯貴族の部屋である。
「見事な絵だ・・・。」
そして狩野の目を一番引いたのは美しく巨大な油絵だった。この世界の宗教画だろうか、神聖な雰囲気の漂う男性(神だろうか?)が幾人もの光を放つ槍を持った騎士達(天使?)を従えていた。しかし、これだけの部屋をなぜ一船の船長程度が持てるのだろうか。なにか財源があるのだろうか?
「どうしました?お座り下さい。」
「あ、ああ。」
ジファン殿と机をはさんで福地と共に豪華な細工のされた椅子に座る。
座り心地はあまり良くは無かった。
まあ、中世レベルの技術をこちらの技術と比べても仕方ないが。

144F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:10 ID:qUq6iUEM
「どうぞ。」
「あ、結構です。」
「うむ、頂こうか。」
美しい女性が先ほどの棚から酒のボトルを取り出し、こちらに酒を勧める。
福地は受けたようだが、こちらは万一に備えて断った。
しかしこの女性、確かに美しいことは美しいのだが、どこか悲しげで、・・・体中に痛々しい赤い傷跡がある。これはなにかで叩かれた跡・・・。鞭、だろうか。
「どうしました、その女が気に入りましたかな?よろしかったら差し上げてもかまいませんが。」
「いえいえ、まさか。」
「ほう、随分と太っ腹な船長様のようだ。」
福地の言葉でハッハッハとジファンと彼が笑い出す。しかし、ジファンは目が笑ってはいかった。

145F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:11 ID:qUq6iUEM
まず行われた事は情報交換であった。
当然である。日本側の至上命題は情報収集なのだから。
ジファンは少々焦っていた。
まず一つにセフェティナが生き延びたこと。これで奴は相当警戒するようになるだろう。
元々この船で一番の魔法の使い手なのだからあまり暴れさせることは出来ない。
そしてさらに大きな理由として、目の前の異世界人共の予想以上の文明レベルの高さであった、どうやっているのかは知らないが、やたらパリッとしている、黒い服(背広)
物腰の丁寧さ、キチンとした上下関係から言って教育も相当行き届いている。
そして何よりもあの魔法を使っているとしか思えない空を飛ぶ鉄の箱と巨大な船、いくらなんでも魔法を使って沈められないことは無いだろうが―――後に彼はこれが大きな誤算だったことを思い知る―――船員達が皆萎縮してしまっている。

146F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:13 ID:qUq6iUEM
「(私の使命は3つある、セフェティナの抹殺と、こやつらの言う「ニホン」の情報の収集及び奴らの船の奪取、そしてこの人間達の抹殺。そのためにはまずは快く迎えるフリをしなくてはならない。まあ所詮は魔法も使えぬ野蛮人、騙す事くらいわけも無いが)
それではお聞きしたいのだが、ニホン、と言う国は何処にあるのですかな?」
「はい、ユーラシア大陸の東の島国です。」
「ユーラシア大陸?どこでしょうか、そこは」
「・・・やはりお知りになりませんか。」
福地はため息をついた。
「実は我々はこの世界のものではないようなのです。」
「・・・やはり、そうですか。」
ジファンの「やはり」と言う言葉に福地は意外そうな顔をした。
「何か知っておられるので?」
「ええ、我が国、アジェント王国、と言いますが、は年に一度昼に出た月が黄金に輝く時に召還の儀式を行います。そして異世界の島々を呼び出すのです。」
「では!あなた達が我々を呼び出した!そういうことですか!」
福地が顔を真っ赤にしてガタンと立ち上がった。グラスが倒れ酒がこぼれる。
「はい、・・・遺憾ながらそういうことになりますな。」
「いったいなぜ・・・!そしてどうやって・・・!っ・・・ゴホゴホ!」
目の前の男達が魔法について知らないことを確認できた、ジファンはほくそえんだ。
「それではお話しましょう。」

147F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:13 ID:qUq6iUEM
ジファンはそれから一呼吸した。
「その前に一つ質問させてください。あなた達の乗る巨大な船と空を飛ぶ箱、あれらはどうやって動いているのですか?」
「あれは機械で動いているのですよ。」
咳き込む福地の変わりに狩野が答える。
「!」
「!」
ジファンの顔色が変わり青島と天野は64式自動小銃に手をやった。と同時にセフェティナも息を呑む、アシェナ教が禁止する機械に今まで乗っていたのだ。
「機械・・・ですか。つまりあなた方は帝国の仲間、ということですか?」
「帝国、とは?」
唇をふるわせながらジファンは首を横に振った。
「ご存知ありませんか、バルト帝国。機械文明を推進し、今我が国と対立している国です。
そして我が国アジェントの国教、アシェナ聖教は機械を禁止しているのですよ。」
「・・・そうですか。」
福地と狩野は思わず顔を見合わせた、国と深く結びついている宗教が機械を禁じていると言うことは完全な機械文明である日本とはあまり親密な関係は結べないと言うことなのだ。

148F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:13 ID:qUq6iUEM
「・・・おっと、といっても我々はあなた達と敵対するつもりはありませんよ。」
ジファンはニコリと笑い立ち上がって右手を差し出し握手を求めた。
福地と狩野も笑ってそれに答えようとする。
「司令、福地さん!危ない!」
猛烈に嫌な予感がしてセフェティナが叫んだ時、彼女の目の前を何かが通り過ぎた。
次の瞬間、船長室に血飛沫が舞った。

149F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:14 ID:qUq6iUEM
いやな所で以下次回。すんません。
ご意見、ご感想お待ちしています。

150名無し三等兵@F世界:2004/07/14(水) 01:07 ID:Ew6Q62u2
次回戦闘の予感・・・
楽しみにしてます

151S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/14(水) 01:33 ID:LgjpIS.M
取り敢えずこれで、バルトとニホンがアジェンドと対立する構図が
できたわけですな。

さて次回は、血飛沫の舞う戦闘が!

152名無し三等兵@F世界:2004/07/14(水) 14:15 ID:NpTRDIPM
やはり日本は帝国側と組むんでしょうか

153F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/14(水) 22:04 ID:qUq6iUEM
すんません。魔法の設定に矛盾が生じたことを今更発見。
現在大幅書き直し中の為毎日更新は無理でした。

国家レベルの話はこの章が終わったら入ります。
どこがどう動くかは、プロットを一応組んであるので
期待・・・しないでお待ち下さい。

154名無し三等兵@F世界:2004/07/14(水) 22:15 ID:0F/hz0KI
明日には投下できますか?

155F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/14(水) 22:45 ID:qUq6iUEM
イエッサー、努力します。

156名無し三等兵@F世界:2004/07/15(木) 00:09 ID:0F/hz0KI
楽しみにしているので頑張ってください。
ただし矛盾しているようですがあまり無茶はしないようにお願いします。

157F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/15(木) 23:01 ID:qUq6iUEM
すいません。
リアルが忙しくて、ちょっと今日は無理・・・というか明日も無理かも・・・。

158名無し三等兵@F世界:2004/07/18(日) 22:02 ID:o69u.trA
矛盾点とは何だったんだろう?

159名無し三等兵@F世界:2004/07/19(月) 09:28 ID:LgjpIS.M
>>158魔法が通らない「鉄」製のはずの艦内で魔法の通信が出来たところですかね?
ガラスが透過できるなら、そこを通ったのかもしれませんが。

160F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:55 ID:qUq6iUEM
どうも、お久しぶりです。というかすみませんでした。
矛盾点、と言うのは今書いていたので出来てしまった物です。
どんなものかは恥ずかしいんで秘密。
ってな訳で投下、行きます!

161F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:56 ID:qUq6iUEM
青島は夢中になってジファンと狩野達の間へと飛び出していた。
自動小銃では間に合わない、と判断してのことである。
見えたのだ、ジファンの左手の中に幾つもの黒い釘のような物が浮いているのを。
「司令っ!」
ジファンが黒い釘のようなものを浮ばせる左手を下手投げの要領で振り上げようとした時には、青島はジファンと机越し、狩野の目の前へと移動していた。
「(間に合った!)」
そして青島はすぐ自分に降りかかるであろう激しい痛みを覚悟した。
そして青島の身体は真っ赤な血で染められた。
青島自身の血ではなく、天野の血によって。

162F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:56 ID:qUq6iUEM
くそっ、この坊やが!
天野は自分よりも早く飛び出していく青島を見てそう叫びたい気持ちでいっぱいになった。
確かにベテランである自分を上回る反応速度と上官のために命を捨てるその覚悟は素晴らしいものだ。
しかし、自分の体がどれだけ大切なものであるかを知らない以上、ヒヨッコなのだ。
このような仕事は自分や佐藤、そう下の仕事なのだ、青島のような将来の高級幹部の仕事ではない。
机を踏み台替わりにしてジファンに飛びつく、机の上のワイングラスが踏みつけられ粉々に砕け散る。
そして天野は腹部を何かがすり抜けたように感じた。
そして、激痛。
天野は自らの防弾チョッキ――チタン製防弾プレートで貫通力重視のライフルでもない限り防げると言う触れ込みのはずだったが。――
に三つ銃の跡のような丸い穴が開いているのを見て、倒れた。

163F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:57 ID:qUq6iUEM
天野を貫通し、背中から生えてくる「黒い釘」は青島の防弾チョッキの表面に当たって弾けて消えた。
「ばっ、バカな・・・。」
この呪文はあらゆるものを貫く、庇ったからと言って防げるものではない、のにもかかわらず傷を負ったのは飛び出てきた男一人。
「ええい、もう一度撃てば済むこと!」
ジファンが叫び指を鳴らす、すると後ろに侍っていた三人の男が青島たちの方を向き、ぶつぶつと何かを言いながら右手を前に出す、その手の中でまた「黒い釘」が形成されていく。
倒れ行く天野の後ろで呆然となった日本側一行、その中で唯一動いた人間が居た。
青島であった。

164F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:57 ID:qUq6iUEM
彼は本来ならば一番動揺していてもおかしくない位置であった。
しかも体中あちらこちらが血で染まっている。
しかしこれをキレた状態と呼ぶのだろうか、青島は恐るべき冷静さ、恐るべき速度で護身用の9mm拳銃を引き抜き、安全装置を外す、そして倒れる天野を支え、その身体を盾のようにして男の一人の肩に拳銃を向け、引き金を引いた。
ガンパウダーに火がつき、炸裂し、弾が、あらゆるものの命を問答無用で奪い取る死神が打ち出された。

165F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:58 ID:qUq6iUEM
男の一人、魔術師は篭手を構えた。
幸い敵は呆然としている、自らの精神力を媒体としてマナを手中にかき集め、圧縮する。
そしてそれは自分の魔法詠唱によって比類なき貫通力、殺傷力を持つ。
それを目の前に居る人間達、いや、エルフも一人居るが、の司令官らしき人間の心臓に狙いを定めて放つ。
今までそれで何人もの人間を殺してきたか、ジファンがこの地位に上り詰めるために、同じラーヴィナ候の部下を撃ち殺してきたこともあったが、皆例外なく倒れ伏した。
しかし、何かが破裂するような音がした、そう思った時には魔術師は肩に強烈な痛みを感じていた。
「がっ!…なんだ・・・熱・・・い・・・?」
と呟いた時には視界には天井しか映ってはいなかった。

166F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:58 ID:qUq6iUEM
ジファンの横を風が通り過ぎた。
「がっ!」
悲鳴と共に部下の一人が仰向けに床に倒れる。
振り向くまもなく又一人が足を何かで撃ちぬかれ倒れる。
目の前のひ弱そうな男が握る黒い鉄の塊から煙が出ているのが見える。
「新型の弓矢か!?」
そう叫ぶと同時に自らの命の危険を感じ取りジファンは横に跳び、非常で入り口に向かって走りだした。
「逃がすか。」
青島はいったんジファンに狙いを定めるが、すぐに我に帰って最後の魔術師へと銃を向けた。
魔術師の黒い釘がこちらに向けて放たれようとしている――反応が遅れた――青島は身を強張らせた。

167F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:59 ID:qUq6iUEM
ダァンッ!
手がはじけ飛ぶ、魔術師の腕が。肩から千切れた腕が地面に転がる。
青島が後ろを見ると部下の一人、出雲が64式自動小銃を構え、呆然とした顔で自らの煙を吹く銃を眺めていた。
「お、俺・・・は?」
「よくやった、出雲。天野の応急処置をしてやってくれ。」
呆然とする出雲の肩を青島はポンポンと叩いて、狩野たちのほうを向いた。



「ご無事でしたか?狩野司令、福地さん、セフェティナさん。」
「ああ、大丈夫だ・・・。ありがとう。」
狩野が未だにショック症状の福地の代わりに答える。
「今ならまだ、敵指揮官を潰せると思いますが。」
「いや、良い。怪我人の処置が先だ、船に戻る。それに我々は自衛隊、自分から攻めてはいけない。」
「は。」
青島は敬礼をすると天野の怪我の処置をおどおどとする出雲に代わりてきぱきとやっていく。

168F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:59 ID:qUq6iUEM
「天野・・・、大丈夫か?」
「隊長、心配・・・なさら・・・ないで下・・・さい。」
「何が・・・何が大丈夫なものか!」
突然叫びだす人間が居た、福地である。
「おい!ああいう人間を片っ端から殺すのがお前達の仕事だろう!なんだこのザマは!」
狩野に掴み掛からんばかりの勢いで攻め立てる。
狩野はその福地の襟をぐいと掴んだ・
「な、何をする・・・?」
「ここはもう戦場です、生き残りたければ軍人の指示に従ってください。」
「き、貴様らにそんな指揮権は・・・。」
「それに、まだ正体も知れぬ相手の握手にニコニコと無用心に応じたのはだれでしょうか?」
「ぐっ・・・。」
狩野は襟を放した時、青島に通信が入った。

169F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 15:00 ID:qUq6iUEM
ヘリ防衛部隊からであった。
「どうした佐藤?」
「た、大変です!船員達が突然矢や剣で我々に攻撃を!威嚇射撃だけでは防ぎきれません。正当防衛射撃の許可を!」
「代わりたまえ。」
狩野は青島の通信機を持つと叫んだ。
「我々も攻撃を受けた、敵船団には明確に我々に対する攻撃の意思があると見られる、正当防衛射撃を許可する。撃て!これは戦争だ!」
「・・・了解。」

異世界に転移してから約2日後、日本は戦後初めての戦争の口火が切られようとしていた。
日本では後に異界戦争、異世界側からは第一次アジェンド大戦と呼ばれる戦いの始まりであった。

170F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 15:01 ID:qUq6iUEM
投下終了しました。
次回はいつかは未定です。けど今週中には必ず・・・。

ご意見、ご感想待ってます。

171名無し三等兵:2004/07/19(月) 16:23 ID:oX1OywGc
乙カレー

172名無し三等兵@F世界:2004/07/19(月) 21:38 ID:d58Vxv6s
GJ!

173名無し三等兵:2004/07/22(木) 18:16 ID:oX1OywGc
ところで今週中って日曜の12時までっことか?

174F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:39 ID:qUq6iUEM
僕のSSを待ってくれている人が居る、こんなにうれしい事は無い。
とまあ某ネタを使って今の気持ちを表現したところで、

投下いきます。

175F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:39 ID:qUq6iUEM
「具合はどうなんだ?」
「はい、出血等から見るに幸い臓器の損傷は無いみたいです。」
天野の応急処置を終え青島は答えた。
そして倒れている魔術師達のほうをチラと見る。
「あの・・・殺さないんですか?」
セフェティナがおずおずと青島に尋ねる。彼女の世界、いや青島たちの居た世界にとって敵は必ず殺すべき存在である、常識である。尋ねるまでも無い事なのだが、しかし、彼ら自衛隊はその点世界の非常識であった。
証拠に彼は明らかに殺さないように魔術師達を攻撃した。それもセフェティナの常識を揺るがすものであった。それに元々同じ国の民である、傷つくのは見ていて気分の良いものではない。
セフェティナの言葉に答える代わりに青島は叫んだ。
「出雲!止血と消毒だけでもしてやれ。」
「!」
セフェティナは息を呑み、その表情が少し明るくなる。
青島はその顔を見て少し口元を緩めるとまた真剣な表情になり狩野に向き直った。

176F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:39 ID:qUq6iUEM
「ヘリコプターは自動小銃があれば確保できるとは思いますが、天野二曹の怪我もあります。あまり時間はありません、甲板に急ぎましょう。」
「ああ。そうだな、大丈夫ですか福地さん。」
「・・・ああ。少なくとも船に戻るまでは君たちに従うとしようか。・・・船に戻るまでだがな。」
「十分です。」
笑って言う狩野に福地は渋い顔をした。

177F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:40 ID:qUq6iUEM
長い廊下を歩いていく、異様なまでに静かなその一本道。
「いったい、あの攻撃はなんだったんだ?あの黒い釘のような・・・。」
沈黙を紛らわすかのように青島がセフェティナに尋ねる。
「はい、ネイルと言います、呪文詠唱がほとんど必要ない上、マナの干渉波もほとんど無いから良く暗殺用に使われる魔法です。」
「へえ・・・。え?」
少しだけ感心して、止まる。聞きなれない言葉、いや子供のころには何度も聞いたが―――が当然のように出てきた。
「・・・今何て言ったの?」
「え、・・・ネイルと言って」
「いやそっちじゃなくて、魔法?」
「はい、魔法です。別におかしくともなんとも・・・あ。」
彼らの居た世界にはマナが無い、それに今更セフェティナは気づいた。
「話すと長くなるので、後でお話します。」
「ああ・・・頼むよ。」
魔法。魔法、子供のころ猿のようにハマったRPGに良く出てきていた。
まさかこの世界には月が紅いだけじゃ飽きたらず魔法まであると言うのか。
舐めていた、この世界を。
青島は自分が置かれた状況を改めて思い知らされた。

178F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:41 ID:qUq6iUEM
「・・・おかしいな。なぜこうも攻撃が無い?」
狩野は一人つぶやいた。
当然の疑問と言えば疑問である。ここで後ろからの追撃も無い、前からの攻撃も無いとなればいつわれわれに攻撃を仕掛けてくるのか。甲板で一網打尽にする気なのか。
「ジファンは・・・ここでみすみす私達を逃すような人間ではありません。」
ダダアンッ!!セフェティナが呟くのが早いか、何かが弾けるような音がして、だいぶ離れたところにおいてあった樽が木っ端微塵に弾ける。
「げうっ!」
と、同時に鈍い悲鳴が上がり、陰に隠れていたのか、バンダナに剣と言う海賊スタイルの男が血を流して倒れた。

179F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:46 ID:qUq6iUEM
「くそおっ!」
倒れた男の影から、もう一人、右手に篭手を付けている――魔術師である証拠――がヤケクソ気味に青島たちに手を向ける。
ダアンッ!
「があっ!」
しかしそれもまた足を撃ちぬかれ、地面に倒れる。
音のしたほうをセフェティナが恐る恐る見ると、青島の持っている自動小銃が煙をまるでタバコのようにふかしていた。
「天使・・・様?」
その悪――セフェティナの価値観で、だが――を容易くなぎ倒すにもかかわらず、不殺を貫く彼を、セフェティナはある種の憧れの視線で見つめていた。

「良い判断だ、青島二尉。」
「いえ、もし自分が敵ならここに間違いなく伏兵を配置する、そう思っただけです。」
「ほう・・・。」
狩野はなぜこの一見軟弱に見える男が何故将来の高級幹部に選ばれたか、それが分かった様に思えた。
一方青島は、セフェティナの自分に対する視線が変質してきているのに気づいていなかった

180F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:46 ID:qUq6iUEM
投下終了!
ご意見、ご感想、お待ちしております。

181名無し三等兵@F世界:2004/07/24(土) 23:05 ID:hz/whlgs
キタキタキタキター!

182名無し三等兵@F世界:2004/07/24(土) 23:05 ID:hz/whlgs
キタキタキタキタキタキター!

183名無し三等兵@F世界:2004/07/24(土) 23:13 ID:BTjRvT6Y
この調子で続編を期待しています。

184F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:29 ID:qUq6iUEM
投下、いきまーす!

185F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:30 ID:qUq6iUEM
一方佐藤は血溜りの中に居た。自分を襲おうとしていた人間は大半がその血溜りでピクリとも動かない。鉄の殺人兵器「64式自動小銃」人を殺す、そのことだけを追い求めた人類技術の結晶はその威力を佐藤の眼前でまざまざと証明した。
「し、死んでる・・・人が・・・?」
「落ち着け、佐藤。止血するぞ。」
肩から流れる血に気がつきもせずに呆然とする佐藤の頭を鉄兜越しではあるが村田三曹がポンと叩いた。
しかし治療をしている村田もまた足に浅くない傷を負っていた。

186F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:31 ID:qUq6iUEM
「明らかに火炎瓶や銃と思われる攻撃があった・・・。しかし何故だ?この船の文明レベルを見るにそんなものはあったとしても火縄銃ぐらいだが・・・。ええい、沢村!ヘリに故障は無いか!?」
考えるのをそこで打ち切ってヘリの点検をしている沢村に声をかける。
「はい!表面が少し火にあぶられた程度です!飛行に支障はまったくありません!」
「そうか。」
明るい沢村の声に少し安心、少し苦笑して通信機を取り出し狩野へと連絡を取る。と言っても向こうには青島と天野が居る、滅多な事はあるまい。
「司令、ヘリの確保に成功しました。こちら側は軽傷、自分を含む二名、重傷、死亡者はなし。敵方は死亡者8人軽傷者6名です。・・・司令、我々は人を殺してしまいました・・・。」

187F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:31 ID:qUq6iUEM
「・・・。」
通信機を通しても狩野が奥歯を噛みしめたのが分かった。それだけの意味があるのだ、この自衛隊が始めて人を殺した、と言うことは。
「・・・よくやった。その場でヘリの確保、敵軽傷者の治療を行ってくれ。」
「了解しました。」
通信機を切って村田は自分の手を見た。血で汚れた、人を殺めた手。
「もうこの手じゃお前は抱けないな、真由美?」
村田は一人苦笑して、未だ呆然とした敵の応急処置に向かった。

佐藤には彼が泣いているように見えた。佐藤も沢村も実は銃を撃っていない。
二人が呆然としている間に村田が一人でこの血溜りを作ったのだった。
まだ若い二人に人殺しを経験させたくない、という村田の配慮だったのだろう。
佐藤は漠然とそう思っていた。


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