高岡は白目を剥いたザコの猫山をそっとベンチへと寝かせ、改めて予選の情報へと向き直る
Black Sheepの隣に表示されていた『2nd Round』の表記は、『待機中』へと切り替わっている
結果の反映に少々時間が必要らしい。この短く長い時間にヤキモキせずにすんだギコにぃは幸運だと、高岡は自身の過失をプラスに捉えることにした
Black Sheepの二回戦突破を報せる『3nd Round』の表示へと切り替わっていた。猫山と同じく、文彦のチームを気に掛けていた獏良も報告に来たのだろう
初出場で二回戦突破は、アマチュアなら快挙である。とは言っても、『二回戦』だ。通過点を勝った程度にしては、ギコにぃじゃあるまいし少々オーバーな喜びように見えた
Black Sheepの分析を行い、宝木の結論と一致したプロチームは、揃って同じ感想を抱く事となる
『舐められている』。ジャパンカップという大舞台で、今や誰も見向きしないアビリティを抱えて挑まれている
競合相手の実力を安く見積らねば出来ない決断は、そのまま『挑発』として捉えられる。例えそれが意図したモノでは無いにしても、『生意気でデカい口を叩くポッと出の新人』というイメージは避けられない
蟒蛇はラスト・ワン主義の超攻撃型プロ集団。売られた喧嘩は常に買う。明日行われる大規模な予選三回戦で、やろうと思えば早々に決着をつけられる
徳雄に執着する気持ち悪いキャプテンと、『憎悪を隠そうともしない新しいジョッキー』とは違い、フラットな柊木は『その方が都合が良い』と考えた
Black Sheepの宣戦布告が、彼らの思惑以上に広まっているならば、明日は本戦以上の激戦を強いられる筈である。その機に乗ずれば、ライバル候補を楽に蹴落とせるのだ