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ξ゚⊿゚)ξお嬢様と寡言な川 ゚ -゚)のようです

279 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:05:51 ID:53.STGpE0

 それとはまた別に、果たしてツンの意思はクーを傷つけるか否か――傷つける。
 結局はこれも独善に等しいものであり、クー自身はツンが傷つくことや苦しむことを望まない。

 だがツンは信じていたし、確信をしていた。“己はクーだけのものだ”と。
 だからツンは己が誰かの下へと嫁いだら、二人の絆は二度と戻らないと悟った。

川 - )「……申し訳ありません、マスター」

 世に善悪、正否と呼べる事柄は、実を言えばない。だがツンの想いこそは真実で、それは純白だった。
 クーはそんな彼女と対すると気付く。己は意思を示すことも出来ず、彼女の愛情に報いることも出来ないのか、と。

 応えることは憚られた。
 それはツンの幸福を破壊することで、きっと、互いに優しい未来は待ち構えていないと悟るが故だった。

 だが、もう、彼女は逃げるのをやめた。
 正面から対峙した二人。そして正面から自身と対峙したクー。

 本当の幸福とは何か。
 それはきっと、互い、本当は、求めることは同じだった。

 傷つけない為に、そして護る為に――幸せになってくれるようにと願いをこめる。
 だがそんな幸福の帰結は、本当は、とても単純なことだったのかもしれない。

川 - )(一緒に生きること……それがどれだけ幸福か。それはとても難しいことだ。でもそれは、願いは、夢は、本当は叶うんだ。
     ずっと怖かった、それを口にすることが。そうしたらきっとお嬢様は傷つく。でも、きっと……きっと、どんな絶望だって、二人なら乗り越えられるんだ……!!)

 彼女はツンの手を取り、ティレル卿を真正面から見つめる。
 瞳には強い意思があった。それはツンと同等の覚悟を秘めたものだ。
 そうして彼女は毅然と立つ。己と言う存在と対峙し、そして真実を求め、答えを得て、応える為にと決意をすると――

280 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:06:23 ID:53.STGpE0






川 ゚ -゚)「私はツン・ティレルお嬢様を愛しております」





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281 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:07:19 ID:53.STGpE0

――そう、口にする。
 その言葉にツンは驚き振り返るとクーに抱きしめられた。

川 - )「ずっと……ずっと、愛しておりました、お嬢様。ずっと逃げ続けて、ずっと背を向け……あなた様の愛からも、自身の感情からも目を背け。
     ですが……あなた様はどこまでも真っ直ぐで、恐ろしいくらいに純白で……」

 クーは静々と涙を零す。
 温かなそれを受けてツンも再度静かに涙を流した。

川 ; -;)「気付くのです……己の幸福とは、そしてあなた様の幸福とは何なのかを。私は……あなた様を失いたくない。
      誰にも手渡したく……ないっ。そう気付いたら、もう、もうっ……もう、止まれないのですっ、お嬢、さまっ……」

ξ;⊿;)ξ「クーっ……!!」

 いつの日かツンが口にした台詞――“誰かの言うことや、世界の定めたものに従い続けるだけじゃ永遠に手に入らない何かもある。己達は偶々そうだっただけだ。”

 偶々と言う言葉がクーは好きだった。それは運命性、或いは因果性を思わせる。
 つまり、言外に、そして意識せずにツンはクーに対して純粋な愛を紡いでいた。

 それを思い出すとクーは胸が温かくなり、それは自信となる。
 己は真実の愛を向けられている。そして己はそれに今、確かに応えたいと願っている、と。

( ^ω^)「……偽りはないのかお、クー」

川。゚ -゚)「……はい。申し訳御座いません、マスター」

( ^ω^)「そうかお。了解したお」

282 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:08:33 ID:53.STGpE0

 クーは覚悟をした。殺されるにしても、それでも己は愛する者の想いと心に応え、確かに報いることが出来た。
 だからここで滅ぼされても、己には意味が生まれ、確りと愛する者の胸に気持ちは刻まれたはずだと。
 彼女はアリスを抱きしめたままにその時を待つ。
 或いは剣、ないしは銃、ともすれば他の凶器――何で殺されるにしても構わない。

( ^ω^)「ツン。継承権を寄越せだのなんだのと……この僕の意思をくみ取れない程に君は愚かだったかお」

ξ#゚⊿゚)ξ「……愚かなのかどうかは、やってみなきゃ分からないでしょう」

( ^ω^)「やらせる? 何をだお? 軍(いくさ)の指揮を? 君は人の死を受け取められるのかお?
      自身の死や、責任や、それを差配する立場になることを?」

ξ#゚⊿゚)ξ「っ……覚悟は、できてるもん……!!」

( ^ω^)「……そうも単純で、簡単なことじゃ――」

ξ#゚⊿゚)ξ「なくったって!!」

 ツンは叫んだ。クーの手を握りしめながら、震えつつも、それでも愛する父へと気持ちをぶつける。

ξ#゚д゚)ξ「クーを笑わせる為なら、クーを幸せにする為なら、わたしは歩いていける!! クーと一緒に、どこまでだって行ける、なんにでもなってみせる!!」

 その言葉にブーン・ティレル卿は瞳を伏せた。
 ツンとクーは息を飲み彼の反応を待つ。

( ^ω^)「……そうかお。そこまで……いや、やはり君達はそうも愛し合っていたのかお……」

ξ;゚⊿゚)ξ「え、やはりって……」

川;゚ -゚)「き、気付いていらしたんですか、マスター……?」

 ティレル卿は、まるで後悔するように息を吐いた。
 ツンとクーはその様子に若干の驚きをみせる。

283 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:10:13 ID:53.STGpE0

( ^ω^)「僕を誰だと思ってるんだお、お前達。ツン、お前は僕の娘だお?
      そしてクー。君を雇い、レディースメイドに任命したのは僕だお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「お父様……?」

川;゚ -゚)「マスター……?」

( ^ω^)「噂はよぉく聞いていたし、戦争に行く前からお前達は常々仲がよかっただろうお。決定的だったのは婚姻の話だおね。
      あれをしたら二人とも大層様変わりして……あれで確信したけど、今思えば酷なことだったろう。そればかりは謝ろう。済まなかったお……」

 そう言ったブーン・ティレル卿だが、二人の愛の関係に対して反対するでもなく、そもそも驚愕すらなかった。
 同性での恋愛、ましてや主従の間柄だと言うのに、彼の反応にツンとクーは若干の混乱をした。

ξ;゚⊿゚)ξ「え、と……お父様……? その……お話、理解してる……?」

川;゚ -゚)「わ、私たちは、女同士で、そのっ……」

( ^ω^)「お? 何が可笑しいんだお? よもや歴史を知らんわけじゃないだろうお?
      クー、古来より貴族王族とはどう言ったものか……理解しているだろうお?」

川;゚ -゚)「え……あっ」

ξ;゚⊿゚)ξ「え、なになにっ、どういうことなのっ」

川;゚ -゚)「……その、お嬢様。古来より、その……まぁ、なんと言いますか……」

ξ;゚⊿゚)ξ「なに、なんなのっ。気になるよ、早く教えてっ」

川;゚ -゚)「端的に申しますが、あの……多かったのです……」

ξ;゚⊿゚)ξ「なにがっ」

川;- ,-)「同性愛、および……同性での性的趣味趣向が……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……えっ」

284 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:11:44 ID:53.STGpE0

 事実だ。それは古今東西、如何なる地方だろうが紛うことなき史実。
 特に衆道(しゅどう)――男性同士のこれは大流行し、王族のみならず貴族にすら男妾は控え、一般でも男娼は存在した。

 更には女性――暇を弄ぶ姫君、令嬢方はやはりコンパニオンや侍女と関係を持つことがままあった。
 つまり、どうあっても貴族王族にとって同性愛というのは歴史的に見ても切っても切り離せない内容だった。

 十九世紀頃になると同性愛も鳴りを潜めるが、しかし歴史ある御家柄とは、つまりは理解力を意味する。

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ……ぇえ!? そうなの!?」

川;゚ -゚)「はい、事実……王家の歴史でも、やはりそう言ったお話はあります……歴代のクイーンも然り……」

ξ;゚⊿゚)ξ「お、お父様、それ本当!?」

( ^ω^)「おっ、本当だお? 何か可笑しいのかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ((感性が古い人だった!!))(゚- ゚;川

 首を傾げるティレル卿を見てツンとクーは内心でそんなことを思う。
 が、しかしティレル卿は二者の愛の関係を受け入れはするが――

( ^ω^)「しかし家督云々についてはお。そればかりは……頷くことは出来んお」

ξ;゚ -゚)ξ「っ……」

( ^ω^)「けれども……そうも頑固だって言うのなら、見せてみるといいお、ツン」

ξ;゚⊿゚)ξ「え……?」

( ^ω^)「何を呆けているんだお? 君は我が娘、我がティレル家が嫡女。貴族とは斯くあり。
      貴族とは……働かず、出歩かず。しかして――紳士淑女として“足る者であれ”」

 ツンはその言葉に恐る恐ると顔を上げる。

285 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:13:05 ID:53.STGpE0

( ^ω^)「然らば……“それを手に入れなければ足らぬ”のであれば、“足る者”になればいいお。
      欲しいのなら示さねばお。違うかお、ツン?」

ξ;゚⊿゚)ξ「お父様……!」

( ^ω^)「認めた訳ではないお。だが英国人(イングリッシュ)としての矜持くらい……持たずして何がティレルの嫡女かお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「それって……!」

川;゚ -゚)「マスターっ……!」

 ティレル卿は言う――ならば頷かせてみろ、と。
 現実の一つも知らず、歳若く拙いツン。そんな彼女はやはり、戦争の全てを知る訳ではない。
 だが、彼女が見せた意思、或いは情熱の全てを受け、彼は無碍にするような外道は、実に紳士らしくない、と完結する。
 願わくば愛娘には平和の中で安寧に包まれてほしい――だがそれを己の意思で拒むのであれば、現実と対峙しようと言うのであれば、鬼のティレルとして受けて立つべきだ、と。

( ^ω^)-3「まったく、誰に似たんだかお……ネラア卿にも話を通さんとお、少しばかり話を待つように、ってお」

ξ*゚⊿゚)ξ「お父様……!」

( ^ω^)「おー、クーが僕の言いたかった台詞を全て言ってしまったからお、もう言葉を用意していないお。
      まったく、昔からクーはよくできた子だおね。今度またピアノを聴かせてもらえないかお?」

川 ゚ -゚)「はっ。畏まりました」

 ティレル卿はそこで一度息を吐くと、途端にくたびれたような顔をした。

286 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:14:14 ID:53.STGpE0

(; ^ω^)「はーあぁ、もう、帰って早々にこれだお……疲れたし風呂に入ってくる。そうだ、食事は用意できているのかお?」

川 ゚ -゚)「はっ。いつでもご用意は可能で御座います」

( ^ω^)「ん、了解したお。では風呂からあがったら今一度食事の席で続きでもしようかお、ツン?」

ξ*゚⊿゚)ξ「っ……! うん……!」

 感触的に悪くはない――ツンはここからが正念場だと悟る。
 だが不思議とやる気に満ちるのは、傍に立つ愛する者のお蔭だろうか。
 兎角、ツンとクーは互いに笑みを向けると、部屋から出ていこうとするティレル卿を見送るのだが――

( ^ω^)「ああ、それと……ツン」

ξ*゚⊿゚)ξ「え? なぁに?」

287 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:14:39 ID:53.STGpE0




( ^ω^)「いいところだろうお……ハートフィールド。僕も好きなんだお」



ξ;゚⊿゚)ξ「「――えっ!?」」(゚- ゚;川



.

288 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:15:15 ID:53.STGpE0

( ^ω^)ノシ「おっおっ。それじゃ、また後でおー」

 そんな驚きの言葉を残して彼は湯浴みへと向かった。

ξ;゚⊿゚)ξ「ねぇ、お父様って地獄耳なの……?」

川;゚ -゚)、「分かりません……ですが、本当にお優しいお方で御座いますね……」

ξ;-⊿-)ξ「うん……あぁ、心臓に悪いよっ、もうっ……」

 緊張から解放された二人。
 ツンを椅子へと腰かけさせると、クーは労わるように言葉を紡ぐ。
 が、ツンと言えば未だに腫れた目元のままにクーを正面へと手招いた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、クー」

川 ゚ -゚)「……はい」

ξ*゚⊿゚)ξ「もう一度……もう一度聞かせて?」

川 ゚ -゚)、「っ……お恥ずかしゅう御座いますのでっ……」

ξ*゚⊿゚)ξ「ダメだよっ。ついに応えてくれたのに……ねぇ、お願いっ」

川 ///)「……一度、だけですよ……?」

ξ*゚⊿゚)ξ「うんっ!」

 クーはツンの前に跪く。それはまるで忠誠を誓う騎士のような姿だった。
 それを前にツンは黙す。ただ一言、何よりも幸せな一言を待った。

289 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:15:47 ID:53.STGpE0




川*゚ -゚)「愛しております、お嬢様。あなた様を……心の底から愛しております」


ξ*。゚ -゚)ξ「クーっ……!!」




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290 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:16:09 ID:53.STGpE0



 ツンはクーへと抱き付く。堪えていた涙を零し、その小さな体で必死でクーを抱きしめる。
 それを受け止めるクー。彼女はもう迷わない。
 己の全てを解放し、心に従い、そして愛する者の為にと決意をした彼女はもう揺るがない。



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291 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:16:35 ID:53.STGpE0




ξ*;ー;)ξ「愛してる、クーっ……ずっとずっと、ずぅっとっ……一緒にいてねっ……」


川*。゚ー゚)「愛しています、お嬢様っ……ずっと、ずっと……あなた様と共にっ……」



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292 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:17:09 ID:53.STGpE0



 誰の邪魔もなく、そして何の柵もなく。二人は愛を誓い合った。
 羞恥もなく、戸惑いもなく。二人は唇を重ねる。
 それは音もなく、静かで、穏やかで、けれども二人はこの時、真実として永遠を約束し、夢を叶えた。


.

293 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:19:13 ID:53.STGpE0









 Girls and sugar “Magik”...







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294 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:20:03 ID:53.STGpE0




 Outro



.

295 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:20:27 ID:53.STGpE0

 梢にとまった鳥が朝の調べを奏で、軽やかな旋律は霧に包まれたロンドンに新たな一日を告げる。
 季節は冬。湿度と低い温度も相まって霧の都は今日もドレスを纏った。

川 ゚ -゚)「お嬢様。起きてくださいませ、お嬢様」

 霞に包まれた白い屋敷がある。ロンドン市近郊にあるその館はティレル侯爵の持ち物だった。
 十八世紀頃に建てられた館はヴィンテージな佇まいをしている。

 館の一室では一人の侍女が声を出した。
 侍女の眼下には金色の髪をした少女が寝息を立てている。その姿を見る侍女の瞳は何も語らず、声色も平淡だった。
 侍女は無感情な表情のまま、一度瞳を瞬かせる。再度見開かれた瞳は黒い輝きを見せ、先よりは柔らかく見受ける。

川 ゚ -゚)「お嬢様。ツンお嬢様。朝で御座います」

ξ-⊿-)ξ「ん……」

 侍女の澄んだ声に金髪の乙女は反応を示した。
 微睡む意識を引きずりながら瞼を擦って穏やかに覚醒をする。
 起き上がった少女は霞む視界のピントを修正しながら、大きな瞳を侍女へと向けた。

ξ-⊿゚)ξ「……おはよう、クー」

川 ゚ -゚)「お早う御座います、お嬢様」

ξ-⊿-)ξ「うん……」

 ツンと呼ばれた少女は返事をするが、未だ完全には覚醒を果たしていない。
 そんな己の主を見た侍女――クーは、それでも無表情のまま、何を言うでもなく不動に立つ。

296 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:20:49 ID:53.STGpE0

ξ-⊿-)ξ「……もう少し寝てもいいかな、クー」

川 ゚ -゚)「いけません。朝食の用意も整っています」

ξ-⊿゚)ξ「んー……だめ?」

川 ゚ -゚)「なりません」

ξ-⊿゚)ξ「昨日は夜遅くまで起きてたの……だから眠くて眠くて……」

川 ゚ -゚)「遅くまで明かりがついていたのは存じておりました。しかし、朝は起きるもので御座います、お嬢様」
  _,
ξ-⊿-)ξ「んんー……」

 ベッドの上で猫のように伸びをするツン。
 背を鳴らす少女を見るクーは何かを言いたそうにするが、しかし表情は変わらずに無のままだった。

ξ-⊿-)ξ「ふあぁ……」

川 ゚ -゚)「お嬢様」

ξ-⊿゚)ξ「……起こして、クー……」

川 ゚ -゚)「……お嬢様」

ξ-⊿-)ξ「お願い……」

 うつ伏せのまま言うツンにクーは数瞬沈黙をするが、ややもすると静かにツンへと近づくと――

297 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:21:23 ID:53.STGpE0

川 *- ,-)「んっ……」

ξ*゙ -゙)ξ「んむっ――」

 クーはツンの唇へと己の花弁を宛がい、そうして刹那を永遠に求めた。
 ツンはその温もりと柔さを得ると次第に覚醒し、そうして動く腕でクーを抱きしめる。

ξ゚ー゚)ξ「……ふふっ。お目覚めのちゅー?」

川 ゚ー゚)「はい。何せ眠り姫は……こうして起こすものだと教わりましたので」

ξ*-⊿-)ξ「そうなんだ? でも……まだまだ眠いなぁーっ」

川;゚ -゚)「……お嬢様。折角マスターからチャンスを得たと言うのにもかからず、朝からそうも――」

 紡ぎかけたクーの唇を塞いだのはツンだった。
 クーはそのままツンの手によりベッドへと引きずり込まれる。
 それに抗いもしないクーも、やはりツンと同じ気持ちだった。

298 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:22:02 ID:53.STGpE0

ξ*゚ー゚)ξ「……好き」

川*゚ー゚)「……好きです、お嬢様」

ξ*゚⊿゚)ξ「ねえ……クー?」

川*゚ー゚)「なんでしょうか?」

ξ*^ー^)ξ「……愛してるよ」

川*^ー^)「……私も、愛しております」

ξ*-⊿-)ξ「ずっとずっと、永遠に……愛してるよ」

川*゚ -゚)「……私の方が先に老けますよ?」

ξ*゚⊿゚)ξ「いいよ、別に。クーが好きなの」

川*- ,-)「……勿体無い、お言葉です」

ξ*゚ー゚)ξ「ふふっ……ねぇ、それじゃあ、朝の授業をお願いしてもいい?」

川*゚ -゚)「どうせまた、保健体育が云々と仰るおつもりでしょう?」

ξ*゚⊿゚)ξ「ううん? 今日はねぇー……生物学っ」

川;- ,-)「……呆れてものも言えません、お嬢様……」

ξ*^ー^)ξ「ふふーん、いいもーんだっ

299 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:22:48 ID:53.STGpE0



 ロンドン市近郊にある白亜の館にはティレル侯爵の一人娘が住まう。
 その娘の名はツン・ティレル。背の低い、華奢な十三歳の少女だ。
 長く柔らかな金髪を持ち、瞳は大きく碧眼で、顔立ちは誰が見ても認める程に可憐で美しい。性格も明るく笑顔がよく似合う。

 そんなツン嬢の身の回りの世話をするレディースメイドがいる。
 普段から不愛想で、何を考えているかも謎だった。声には感情の一つも宿らないが、その美貌は類見ない程だった。
 彼女の長い黒髪と大きな黒い瞳、そして描かれた純白のような肌の美しさは、さながらに美の象徴とも呼べた。

 二人は長らく心を別ち、素直になれないままでいた。
 だが二人は己の気持ちと向き合い、また、互いの心と向き合い、そうして次第に秘めていたはずの感情を解放する。
 そんな二人は愛を交わす関係となり、後の世でツン・ティレル“卿”は名将として名を轟かせるに至るが――


.

300 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:23:14 ID:53.STGpE0





ξ*^ー^)ξ「「愛してるっ……」」(゚ー゚*川




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301 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:23:34 ID:53.STGpE0




――今は未だ、乙女達は夢の心地のままに愛を交わすのだ。



.

302 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:24:04 ID:53.STGpE0





 The end.





.

303 ◆hrDcI3XtP.:2019/10/12(土) 23:24:47 ID:53.STGpE0

 読了、お疲れ様です。以上で「ξ゚⊿゚)ξξお嬢様と寡言な川 ゚ -゚)のようです」は了となります。
 作中、「アリス」だの「シャロ」だの人物名が出てきて「は?」と思った方々もいらっしゃると思います。
 実はこのお話は某所で掲載していた「アリス嬢と寡言なシャロ」と言う一般文芸をブーン系に編集したものでした。
 これもまた数年前のお話で、拙い部分が目立ちますが、それもまたいいかな、と思いあまり手直しはしておりません。
 ですがミスの連発は流石に言い訳もできません――名前のミス等――ので、改めてお詫び申し上げます。

 こちらと同時に投下していた「( ^ω^)病んでヤンでレボリューションのようです」も終わりましたので、
 よろしかったらそちらにも目を通して頂けたらば、と思います。

 それではお付き合いいただきありがとうございました。
 おじゃんでございます。

304名無しさん:2019/12/08(日) 12:15:14 ID:mmaBRlmA0
今更ながら読んだ乙
良質な百合だった


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