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明日へ繋ぐ想いのようです
1
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:34:27 ID:29OTBHmg0
神曰く、「双子の鍵が生まれた」。
やがて滅びゆくこの世界の遥か未来を開く鍵を守り通すこと。
それがお主らの使命だ。
.
2
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:35:16 ID:29OTBHmg0
明日へ繋ぐ想いのようです
.
3
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:35:56 ID:29OTBHmg0
遥か遠く後方に火の手が上がっている。
夜の帳の降りた濃紺の空は本来の色合いを失い、不吉な赤に染められていた。
(;ФωФ)「くっ……故郷の方角か……」
从;゚∀从「ああ……だが今は後ろを向いてる場合じゃないぜ」
(;ФωФ)「前も塞がれているか」
森の中、道なき道を強引に進む三台の馬車の行く手を塞ぐのは魔物の軍勢。
その中で先頭に立つ、おそらく指揮官であろう蜥蜴の魔物が右手に禍々しい大剣を掲げる。
それと同時、無数の炎の球が軍勢から一斉に発射された。
ζ(゚ー゚;ζ「大いなる大地よ、我らを守りたまえ!」
(;‘_L’)「水よ、襲い来る炎を飲み込め!」
二人の声が重なる。
一つは大地の魔法。
デレの声に反応して地面が瞬時に盛り上がる。
そして、火球から馬車を守る土の壁となった。
一つは水の魔法。
土の盾でも防げなかった炎を飲み込み、水蒸気へと変えてしまう。
4
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:36:31 ID:29OTBHmg0
水蒸気の目眩ましに乗じて後方の馬車から数人が勢いよく飛び降りる。
ノパ⊿゚)「よっし、ここはあたしらの出番だな!!」
(;-_-)「うぅ……これを全部僕らで止めるのか……」
ノパ⊿゚)「なーに弱気になってんだ! ヒッキー、行くぞ!!」
ヒートが赤い髪を振り乱して真っ先に駆け出した。
ζ(゚ー゚*ζ「大地よ、道となり、かの者の跳躍の助けとなれ」
駆け出したといっても短距離だ、しかしヒートは魔法の力を借りて人の力では及ばない高さまで跳躍した。
対する魔物の軍勢は一人空に飛び上がった無謀な人間に火球を放つ。
ヒートはそれを全てかわし、あるいは武器で振り払って進んだ。
(・∀ ・)「あはは! 敵は上だけじゃないんだぞ!!」
地上を走り抜ける小柄な影。
武器に纏うのは火球を超える超高温の青き炎。
(-_-)「炎よ、邪悪なるものを焼き尽くせ」
ヒッキーの言葉に反応してまたんきの纏う炎が大きく燃え上がる。
(‘_L’)「水よ、戦士に力を!」
フィレンクトの放つ水がヒートを包み込む。
5
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:37:14 ID:29OTBHmg0
次の瞬間、魔物の軍勢の指揮官は姿を消していた。
正確には、またんきの炎によって黒い炭となって地面に崩れ落ちたのだ。
ヒートは重力に従い地面に降り立つ、と同時。
纏った水を刃に変えて周囲の魔物たちに放つ。
それだけで数十の魔物が姿を消していた。
ノパ⊿゚)「数、あんまり減ってないな」
(・∀ ・)「多いもんなー」
(-_-)「それでも、ここは僕らがどうにかしないと……」
騒ぎに乗じて、既に二台の馬車は先に進んでいる。
_
( ゚∀゚)「文句言ってもどうしようもねぇぞ。
俺らの役目は未来を開くことだって、アラマキの爺さんもうるさいくらいに言ってたろ」
|゚ノ ^∀^)「村でだってたくさんの人達が魔物と戦っているわ。
ここで弱音を吐いたら、その人達の気持ちも無駄にしてしまう」
从'ー'从「そうだね。……木々よ、大いなる盾となれ!」
武器を振り回してきた魔物の攻撃を伸びた枝が防ぐ。
从'ー'从「おしゃべりしてる余裕はないようだね……」
6
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:37:46 ID:29OTBHmg0
ワタナベは先端に緑色の宝石のついた杖を握りなおし、レモナに背を預けた。
(‘_L’)「私達ならできるはずです。早く片付けて先行部隊に追いつきましょう」
|゚ノ ^∀^)「ええ、そうね」
七人の若者は円型に陣を構え、各々の武器を構える。
周囲は完全に囲まれている。
七人の乗っていた馬車を引いていた馬は逃げ出してしまった。
流れ弾に当たって燃える打ち捨てられた馬車の影から一体の翼を持った魔物が飛び出してくる。
|゚ノ ^∀^)「水よ、矢となり邪悪を撃ち落とせ!」
レモナが素早い動作で弓を引絞りき矢を放った。
水を纏ったそれは正確に魔物の翼を貫く。
_
( ゚∀゚)「やっぱり一体一体はそこまで強くねぇな」
眼前の魔物を大剣で切り裂きながらジョルジュが言う。
(-_-)「やっぱり強い魔物は塔の方に配置してる、のかな……」
(‘_L’)「その可能性が高いでしょう」
ノパ⊿゚)「だったらやっぱりあたしらも追いつかないとな!」
(・∀ ・)「おれ、燃えてきたぞー!」
7
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:38:27 ID:29OTBHmg0
ヒートとまたんきが揃って魔物の群れに突っ込む。
从;'ー'从「もう! ちょっとは私達のことも考えて行動してよー!」
ワタナベが素早く杖を振るう。
杖の動きに従う木々が魔物の攻撃を阻害し、ヒートとまたんきの前にだけ細い道を作る。
_
( ゚∀゚)「ワタナベ、俺をあいつらのとこまで運んでくれ」
从;'ー'从「もう、私の魔力が尽きちゃうよ!」
そう言いながらもワタナベはジョルジュの胴に植物の蔓を絡ませると、その力で彼を宙に持ち上げた。
急激に伸びる蔓は力強く伸びながらもジョルジュの体にかかる負担を考えながら
ゆっくりと地面に向かって、彼を下ろした。
地面に足を着けると同時、ジョルジュの剣が赤く輝きだす。
_
( ゚∀゚)「焼き尽くしてやるぜ!!」
炎の剣を振り回しながらヒートとまたんきの背後の敵を薙いで行く。
さらに雨のように降り注ぐ水の矢と炎の球が三人の前衛を援護する。
|゚ノ ^∀^)「まったく、血の気が多いんだから」
呆れたように、しかし笑顔でレモナは呟く。
その表情は希望に満ちている。
.
8
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:39:41 ID:29OTBHmg0
二台の馬車はボロボロになりながらも道を駆ける。
馬に治癒魔法を掛けながら進むが、それでも生き物の体力には限界がある。
( ゚д゚ )「そろそろ馬車を放棄しないとならないかもな……」
( ´_ゝ`)「ここまで結構距離あったもんな」
从 ゚∀从「徒歩ってなると魔物に囲まれないように今まで以上に警戒が必要になるな」
(´<_` )「たぶん、塔に全員で辿り着くのは無理だ。早めに配置を考えた方がいい」
( ´_ゝ`)「そんなの最初から決まってるだろ。精鋭は前の馬車に乗ってる。残るのは俺達の方だ」
从 ゚∀从「まぁ……そうなるわな」
( <●><●>)「あのバカ二人が素直に頷くか、それが問題ですが」
( ゚д゚ )「頭が痛いな。二人は能力があるだけに余計に性質が悪い」
ミルナはそう言って馬車を引く二人の子供に目を向ける。
若者と呼ぶにもまだ幼い年齢の二人だが、優秀な魔術師だ。
その未来ある優秀な子供二人さえ戦わねばならないという悪夢のような状況に眩暈がした。
9
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:40:12 ID:29OTBHmg0
馬車は馬を休ませるために一時停止する。
前の馬車に続いてミルナ達の乗る馬車も停止した。
森の途切れる少し手前、小さな広場に若者たちは腰を落ち着けた。
時間に追われる旅である、しかしまったく休息せずに進み続けることは不可能である。
馬車での長時間の移動は慣れていない者が多いうえに、
特に幼い三人の子供は慣れない馬車に揺られているだけで体力を消耗しているようだった。
他の者達に休息を命じ、ミルナとハイン、ロマネスクとデレの四人は輪になって今後の作戦を話し合う。
( ФωФ)「うむ……この場の最年長は吾輩であるが……」
从 ゚∀从「苦しい決定になるのは皆わかりきってることだ。誰も文句は言わねぇし、私が言わせねぇよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだね。安心して最終決定をしてほしいな」
優しく言うデレの表情は固い。
言葉ではそう言いつつ、ロマネスクの決断に間違いは許さないという意思が滲み出ていた。
( ФωФ)「目的地は『時の塔』。しかし全員で辿り着くのは無茶である。
奴らはもう吾輩らの行動に対して先手を打ってきている」
从 ゚∀从「……裏切者どもが、予言のことも言ったんだろうな」
( ゚д゚ )「あいつらが戦力としていれば、まだこの戦いもましなものになっただろうが」
10
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:40:54 ID:29OTBHmg0
ζ(゚ー゚*ζ「過ぎたことを言っても仕方ないよ。私達は手持ちの駒だけでこの危機を乗り越えないと」
( ФωФ)「……デレの言うとおりである。
しかし、最初は四台で出発した馬車もすでに二台にまで減ってしまった」
( ゚д゚ )「ああ、まだ塔までは距離がある。それも……これから進むのは遮蔽物のほとんどない平原だ。
空を飛ぶ魔物たちに一方的に襲われたら全滅も見える状況だ」
从 ゚∀从「途中で足止めは必須だ。私は予定通りそっちを率いるが……」
( ゚д゚ )「俺もワカッテマス達と共に、状況次第ではハインと同じタイミングで外れることになるだろうな」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだね……塔にどれだけの魔物がいるかわからない状況だし、
出来れば屋内戦向きのミルナには最後まで残ってほしいけど……」
( ゚д゚ )「単純な戦闘能力ならドクオやクーの方が上だ。
おそらく奴らにとっての最後の砦には一番強い奴らが配備されていることだろう。
俺じゃ力不足だ」
夜明けが近い。
薄紫の空が次第に明るくなってゆく。
森のはずれの、この広場にも光が射し始める。
( ФωФ)「……当初の予定通り、行くである。ハインと流石兄弟が最初、次にミルナ達に抑えを頼む。
残りの全員で塔に入れれば、吾輩らにも勝機はあるはずである」
11
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:41:27 ID:29OTBHmg0
三人が力強く頷いた。
从 ゚∀从「ああ、任せろ。別れることになっても、絶対に魔物達を殲滅してすぐに追いついてやるからな」
だがロマネスク、一つだけ頼みがある。裏切者のことなんだけど……」
ハイン以外が揃って息を呑んだ。
風の音さえ聞こえぬ静かな広場、ハインの声だけが静かに響く。
从 ゚∀从「ブーンのことだけ、気を遣ってやってくれ。あいつが一番、奴のことを気にしてたからさ」
( ФωФ)「……分かった。話だけはしておくのである」
ζ(゚ー゚*ζ「メンタル面なら私の方がいいかもね。ロマネスク、口下手だから」
(;ФωФ)「むぅ……デレはこんな時でも毒舌であるな……」
ζ(゚ー゚*ζ「事実を言っただけなんだけどな」
四人は出立の準備を始める。
元より目立たぬために焚き火も存在しない、準備は眠っている者達を起こすだけでいい。
遥か遠くに薄っすらと残る三日月の方向、それが目指す先だ。
.
12
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:41:53 ID:29OTBHmg0
草と疎らな木しか存在しない広大な平原を二台の馬車が疾駆する。
いつの間にか霧に覆われた中、遠くに目的地である塔の影が薄っすらと見えてきた。
ξ゚⊿゚)ξ「このまま何もないといいんだけどね……」
川 ゚ -゚)「そうはいかないさ。敵だってここが正念場、
私達を今ここで始末できれば目的に大きく近付くことになるんだからな」
ξ゚⊿゚)ξ「クーって、本当にクールよね。私はやっぱり割り切れないわ」
川 ゚ -゚)「私はツンのそういう優しいところが好きだよ」
前を走る馬車の御者台には二人の若い女。
目の下には揃いの僅かな隈があるが、その目には疲れを感じさせない力強い光があった。
川 ゚ -゚)「『鍵』の様子は?」
ξ゚⊿゚)ξ「うん。よく眠ってる。ご両親の魔法がよく効いてるのね」
川 ゚ -゚)「さすが親子。魔法の相性は抜群か」
ξ゚⊿゚)ξ「でも……もうあの子達は……」
13
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:42:27 ID:29OTBHmg0
川 ゚ -゚)「これは仕方ないことだ。アラマキ先生の予言に従い、村の皆で決めたことだ。
いや、街や異国に出ていた人達までわざわざ戻って力を貸してくれてるんだ。
私達にはやれることをやる義務がある」
ξ゚⊿゚)ξ「……わかってるわ」
ツンが静かに呟いたその時、後方の馬車から大声。
(´<_`;)「敵襲だ!」
オトジャの声がする。
それに続いて激しい音がツンとクーの耳に届く。
(;´_ゝ`)「雷よ、我らを守りたまえ!」
アニジャの放つ雷が大きな光の膜を作り走る馬車を守る。
(;ФωФ)「敵は空からであるか……」
(´<_`;)「ああ! だがここで止まったら囲まれる、せめてまた森に入るところまで行かないと……!」
馬車から顔を出したロマネスクと二台目の馬車に乗るオトジャが大声で会話をする。
いつの間にか空は僅かな朝日さえ遮られ黒に染まっていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「あんな大軍……全員の魔力が空になっても片付かないわ……」
14
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:43:00 ID:29OTBHmg0
川 ゚ -゚)「霧がなければ今頃は対処のしようがなかっただろうな。
ツン、君は馬車に下がれ。ここは私とロマネスクさんに任せろ」
ξ゚⊿゚)ξ「でも」
川 ゚ -゚)「今は力を温存するのが君の役目だ」
ツンは何も言い返せないまま馬車の中に入った。
川 ゚ -゚)「ロマネスクさん、馬をお願いします」
(;ФωФ)「ここで魔力を使い切るではないぞ」
川 ゚ -゚)「分かってますよ」
クーはアニジャの作り出した雷の盾をすり抜けてきた魔物たちを弓矢で射ってゆく。
霧の中でも正確無比な狙いにより、いまだ馬車に接近する魔物はいなかった。
(´<_`;)「アニジャ、俺が代わる」
(;´_ゝ`)「弟よ、後は頼む。魔法の維持って体力使うんだよ」
(´<_` )「だから日頃からもっと体力付けろと言ってたのに……」
(;´_ゝ`)「お、俺の勝手だろ。俺は体力使わない派手な魔法をドーンとやる方が好きなの!」
(´<_` )「はいはい。じゃあ手綱は頼んだぞ」
15
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:43:25 ID:29OTBHmg0
アニジャが生み出していた雷の盾は少しずつ厚さを失っている。
盾を強引に突破した魔物達が馬車に襲い掛かる。
(;ФωФ)「渦巻く風よ、我らの敵を遠ざけよ!」
片手に手綱を握ったまま、器用にロマネスクが魔法を放つ。
広範囲に渦巻く風が魔物を強引に遠ざける。
川 ゚ -゚)「大丈夫、まだ馬車には近付けさせていないぞ」
クーが弓矢で魔物を撃ち落としながらオトジャ達に声を掛ける。
(´<_` )「雷よ、我らに大いなる守りを!」
アニジャの盾を覆うようにオトジャの放つ雷光が広がった。
その雷光の一部は天を貫き、黒い空に青い穴さえ開けた。
(´<_` )「俺の魔法は長くは持たない。出来るだけ早く森まで進んでくれ」
(;ФωФ)「もちろんである」
二台の馬車は速度を上げる。
森はまだ遠い。
しかし黒い空は少しずつ、だが確実に晴れていた。
16
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:43:58 ID:29OTBHmg0
川 ゚ -゚)「雷の魔法が苦手な魔物だったようだな。少しずつ撤退しているみたいです」
( ФωФ)「しかし油断は禁物である。
この先のことを考えると、追ってくる分はやはり迎え撃つ必要はあるな」
川 ゚ -゚)「……出来れば、ここにいる全員で塔に挑みたかったのですが」
( ФωФ)「……吾輩も同感だ」
(´<_` )「よし……順調だ」
( ´_ゝ`)「俺の魔法だとあんまり効いてないみたいだったんだけどな」
(´<_` )「それはアニジャの魔法が守りだけを考えていたからだ。
俺みたいに盾と矛を一体化した魔法を意識すれば同じことが出来たはずだ」
( ´_ゝ`)「『魔法は使い手の意志を具現化したもの』
……とか言ってたのはアラマキの爺さんだっけか?」
アニジャは時折オトジャの盾とクーの矢で防げなかった魔物達を雷の矢で打ち抜きながら呟いた。
川 ゚ -゚)「二人とも随分余裕が出てきたようだな」
17
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:44:37 ID:29OTBHmg0
(´<_`;)「ほんとは俺、結構きついんだけど……」
( ´_ゝ`)「まあ、本当にやばくなったら俺が交代するよ。
兄弟だから魔力の相性もばっちりだし、
次はオトジャの盾の効果を引き継いで俺も維持出来るだろ」
( ФωФ)「アニジャは体力面が不安であるがな」
(;´_ゝ`)「それさっきオトジャにも言われた」
太陽は徐々に南中する。
魔物の迎撃は順調だった。
アニジャとオトジャは交代で雷の盾を維持し、魔物を防いでいた。
クーの弓の腕前も疲れで鈍ることはなかった。
しかし、休みなく平原を駆け続けた馬は限界も近かった。
交代で治癒魔法を使い疲れを癒してやるが、それでも限界はある。
ζ(゚ー゚*ζ「もう少しで森だね。この子達の状態が心配だけど……」
川 ゚ -゚)「森に入ったらもう馬は使えそうにないか……」
ζ(゚ー゚*ζ「徒歩だと結構時間が掛かりそうだけど……
代わりの馬が都合よく調達出来るわけもないからね……」
18
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:45:04 ID:29OTBHmg0
川 ゚ -゚)「せめてイヨウかジョルジュでもいればな。
あいつら動物の扱いがうまいから、何かしら見つけられたかもしれません」
ζ(゚ー゚*ζ「……それはどうかな。この辺りは魔物の放つ瘴気の影響も大きいから、
そもそも野生動物自体がほとんどいないかも」
川 ゚ -゚)「しかし徒歩だと……あの子達のことをどうするか……」
ζ(゚ー゚*ζ「それならあの子達のご両親から預かった紐があるけど」
川 ゚ -゚)「ここにいる中で子供を抱えてまともに戦闘出来る人間なんているんですか?
そもそも下の兄弟の面倒を見てたのが私とブーンと流石兄弟くらいです」
ζ(゚ー゚*ζ「いなくてもやらなくちゃ。最初は私がやるから、周りの警戒はクーに頼むよ」
川 ゚ -゚)「……わかりました、デレさん」
限界を超えて馬達は走り続けた。
太陽が頂点に達した頃、馬車はとうとう森の中に隠れることが出来た。
そして、馬達はとうとう力尽きてしまった。
動けなくなった馬達を解放し、最後に治癒魔法を施してやる。
それでも動けるようになるまで数時間は掛かるだろう。
19
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:45:59 ID:29OTBHmg0
从 ゚∀从「予定通り、私と流石兄弟がここに残ろう。空の魔物をここで減らしておけば後が楽だろ」
( ФωФ)「……そうであるな」
ロマネスクは苦々しい表情を隠しもせず頷いた。
( ><)「ハインねーちゃん、僕達とお別れなんです?」
从 ゚∀从「ああ、しばしの別れだ。ミルナの言うことよーく聞くんだぞ」
(*‘ω‘ *)「……ねーちゃん、絶対また会うっぽ」
从 ゚∀从「ああ、もちろん。私もアニジャもオトジャも、
すぐにここの魔物どもをどうにかして助太刀に行くからな」
( <●><●>)「……」
从 ゚∀从「ワカッテマス、そんな顔すんなよ。私が今まで約束破ったこと、あったか?」
( <●><●>)「ええ、何度も。明日は剣術を教えると言ったのが
急に狩りや釣りになったことが数え切れないほどあります」
从;゚∀从「よく覚えてんな……」
ハインは頭をかきながらワカッテマスを見下ろす。
20
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:46:40 ID:29OTBHmg0
( <●><●>)「でも……洒落にならない嘘は吐きません。
つまらない冗談を言うし忘れっぽいし約束をすっぽかすけど、
僕らを悲しませることはしません。あなたは優しい人ですから」
从 ゚∀从「……良いこと言うな、ワカッテマスは」
ハインはワカッテマスの頭を乱暴に撫でた。
これがいつものハインの撫で方だ。
( ><)「ワカッテマスくんずるいんです!」
(*‘ω‘ *)「ぽ!」
小さな二人もハインの元に寄ってくる。
そんな二人を同じようにわしわしと撫でる。
いっそ髪をかき混ぜるような撫で方だった。
从 ゚∀从「ワカッテマス、ビロード、ちんぽっぽ……私達の未来を、頼んだぞ」
ひと時の別れの言葉に、幼い三人は力強く頷いた。
('A`)「ハインさん、そろそろ……」
ドクオがハインに声を掛ける。
ハインは三人に手を振ってドクオの元に駆け寄った。
从 ゚∀从「おう。ドクオ、あいつらのこと頼んだぞ」
21
:
◆ZZAuuuWmmA
:2017/08/20(日) 14:47:22 ID:29OTBHmg0
('A`)「……わかってる。それにハインさん、すぐに追いついてくるんならそんな心配ないだろ」
从 ゚∀从「お前は話の分かる奴だな。そういうとこ、好きだぜ」
('A`)「そういうのやめてください」
从 ゚∀从「もう、冗談だってのに可愛くない奴。少しはちびっ子三人組を見習えよ」
二人は年長者達の元に集まる。
ロマネスクが真剣な表情でハインを見つめた。
( ФωФ)「頼むぞ、ハイン」
ハインは無言で頷く。
無言だが、その頷きに全てが込められていた。
( ´_ゝ`)「ハインさん、そろそろ魔法を解くぞ」
从 ゚∀从「ああ、私が合図したら頼む。あいつらが盾の圏内ぎりぎりまで行ったら合図するから」
去りゆく背中達を見つめる。
誰も振り返らない。
从 ゚∀从「よし、アニジャ」
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