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みほ「はあ…早く転校先の学校、決めなくちゃ…」

1名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/03(水) 19:05:58 ID:vyKM3SHo

みほ(――勿論、分かっています。その選択が、逃げだということは)

みほ(だけど、私はもう、黒森峰にはいたくない)

みほ(戦車道も…………続けたくない……、その……はずなのに)

みほ(気づけば、私は、港近くの競技場にやってきていました)

みほ(私が来た時には、試合は既に大詰めだったようで、フラッグ車のカルロ・ヴェローチェCV33が行動不能となり、試合終了を告げるブザーが鳴った)

『試合終了!――【アンツィオ高校】対【チームサティスファクション】の練習試合は、チームサティスファクションの勝利!」

『一同、礼!』

「「「ありがとうございましたー!」」」

ぺパロニ「いやー惜しかったー! あと一歩でしたねアンチョビ姉さん!」

アンチョビ「そうだな! あと一歩、じゃなーい! 惜しくないよ! 全然惜しくないよ!」

カルパッチョ「ボロ負けでしたもんね……」

ぺパロニ「ん? あー! あの制服はッ!?」

アンチョビ「話聞けよ」

ぺパロニ「そんなことより! あそこにいるのってあれっすよね!? 戦車道がちょー強いっていう……」

みほ(!? え? こっち指さしてる……な、なんだろ?)

ぺパロニ「えーっと、あー、なんだったっけ? 確かぁー……くろ、くろ……クロネコヤマトだっけ?」

カルパッチョ「黒森峰ですね」

ぺパロニ「それだぁ! ちょっと強豪だからって見下してんじゃねーぞ! べろべろべろべろべー!」

アンチョビ「ばっかもーん!」

ぺパロニ「ひでぶっ!?」

アンチョビ「私たちの試合のために足を運んでくれたんだぞ! きちんと礼節を弁えろ、このっ、おバカ者〜!」

ぺパロニ「す、すいませへぇぇ〜ん姉さ〜ん!」

104名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:25:53 ID:J6WYL0Jk
【スキドレバルバ】とか渋いっすね・・・

105名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:26:46 ID:spMbPlfA
鉄壁入りましたね・・・

106名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:42:02 ID:nNC8npSU

そど子「バトルフェイズ終了。私はカードを一枚伏せた後、永続魔法《魔力の枷》を発動するわ! そしてターンエンド」

そど子「……首の皮一枚ってところね」

そど子「でもどっちにせよ、《魔力の枷》効果で、私たちは500ライフポイントを支払わなければ手札からの召喚、効果の発動、セットはできない!」

そど子「つまり、ライフ300のあなたにもう打つ手はない!」

そど子「大人しく投降すれば、戦車、デッキの没収と反省文100枚で許してあげるけど?」

そど子(それにいくら足掻いても無駄よ。私の伏せたカードは《漆黒の落とし穴》!)

そど子(仮に《魔力の枷》を突破できたとして、どんなに強力なモンスターも除外してしまえば無力!)

エリカ「誰が、諦めるものですか……! 私はいずれ、この学校の頂点に立つ女よ……!」

エリカ「戦車もデッキも、渡すもんですか!」

エリカ「くッ……!」ズキッ

みほ「え、エリカさん……! さっきの衝撃で怪我を!?」

エリカ「平気よ、このくらい……」

エリカ(痛い……頭を打った……)

エリカ(でも、戦わなきゃ……。あの人と、カイザーとデュエルをするまでは……!)

エリカ(絶対負けないって、誓ったんだから!)

エリカ(私のライフは残り300…この状況を打開できるカードは手札にない……)

エリカ(次のドローにかけるしかないわね)

エリカ「私の……」

107名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:43:05 ID:DaY78Nz.
ちょうど良い具合にアニメっぽい展開でいいっすねぇ!

108名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:44:42 ID:J6WYL0Jk
カイザー・・・カエサルかな?

109名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:45:19 ID:nNC8npSU

みほ「――私のターン!」

『バトルロイヤルモード・スタンバイ。乱入ペナルティ発生、2000ポイント』

みほ「うう…ッ!」LP4000→2000

エリカ「なっ……!」

そど子「乱入!? 仲間がいたのね……! いいわ! まとめてとっ捕まえてあげる!」

エリカ「ちょ!? ちょっと、なにやってるの!」

みほ「エリカさん、怪我してるのに、まともに戦えるわけがない! 私も戦います!」

エリカ「はあ? こんなの全然余裕よ! 私一人でやれるわ!」

みほ「ダメです! 私も戦わせてください!」

エリカ「な、なによ……おどおどしていたかと思えば、急に強情になって……」

110名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:46:03 ID:0n6bykss
乱入ペナルティ定期

111名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:48:59 ID:nNC8npSU

みほ「私は速攻魔法、《ツイン・ツイスター》を発動!」

そど子「この瞬間!《魔力の枷》の効果も発動! 500ポイントのダメージを食らえ!」

みほ「……ッ」LP2000→1500

みほ「手札の《トイポット》を墓地へ送り、そど子さんの伏せカードと、エリカさんの《スキル・ドレイン》を破壊!」

エリカ「なっ……!? 《魔力の枷》を破壊しないの!? しかも、私のカードまで……!?」

そど子「ぷっ、あははははは!」

そど子「いきなり乱入してきたかと思えば、とんだ初心者! どのみち、次の私のターンで終わりね!」

みほ「いえ、これでいいんです! 私は、墓地へ送られた《トイポット》の効果を発動します!」

そど子「なっ、墓地から効果を発動ですって!?」

みほ「《魔力の枷》の効果は、手札からカードをプレイするときのみ有効! よってコストを支払う必要なし!」

みほ「私はデッキから《エッジインプ・シザー》を手札に加え……さらに《ファーニマル・オウル》を召喚!」LP1500→1000

エリカ「攻撃力1000の弱小モンスターを攻撃表示で……、何か効果があるんでしょうね!?」

みほ「勿論です! 《ファーニマル・オウル》の効果! この子の召喚に成功したとき、デッキから《融合》を手札に加えることができます!」

みほ「さらに、この子のもう一つの効果発動! ライフを500ポイント払って、手札・フィールドのモンスターで融合召喚が行えます!」LP1000→500

みほ「私は場の《ファーニマル・オウル》と手札の《エッジインプ・シザー》を融合して、融合召喚! 《デストーイ・シザータイガー》!」

《デストーイ・シザータイガー》ATK1900

そど子「融合モンスター……だけどそのモンスターじゃ、私の《ゴヨウ・エンペラー》は倒せない!」

112名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:50:28 ID:0n6bykss
【ファーニマル】流行らせコラ!

113名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:51:06 ID:nNC8npSU

みほ「それはどうでしょう。私はシザータイガーの効果発動! 融合召喚に成功したとき、融合素材にしたモンスターの数だけカードを破壊できます!」

そど子「なんですって!?」

みほ「――《ゴヨウ・エンペラー》と《魔力の枷》を破壊!」

そど子「そんな……!? 私の切り札が!」

エリカ「《スキル・ドレイン》を破壊したのはこれが狙いだったのね……」

みほ「はい。《スキル・ドレイン》は強力なカードですが、場の全てのモンスターに効果が影響してしまいますから」

みほ「私のお友達の力を借りるためには、破壊するしかなかったんです……ごめんなさい」

エリカ「……別に、気にしてないわ」

みほ「でも、エリカさんはその効果を活かすためのデッキ構築をしていて、素晴らしいと思いますっ」

エリカ「え――?」

みほ「分かるんです。エリカさんが戦車を、デッキを、すごく大切にしてるということが」

エリカ「貴女……」

みほ「それを没収だなんて……いくら風紀委員といえど、許せません!」

114名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:52:17 ID:nNC8npSU

みほ「私は手札のカードを一枚デッキへ戻し、墓地の《エッジインプ・シザー》の効果発動! この子を守備表示で特殊召喚します!」

みほ「そして、魔法カード《融合》を発動!」

そど子「さらに、融合召喚を……!?」

みほ「場の《エッジインプ・シザー》と手札の《ファーニマル・ベア》を融合!」

みほ「きて! 《ファーニマル・シザーベア》!」

そど子「な……っ、な、な……!」

エリカ「二体の融合モンスターの攻撃力が、ライフポイントを上回った……」

みほ「えへっ、えへへ。いつ見ても可愛いなあこの子たち」

エリカ「……貴女、中々いい趣味してるのね」

みほ「でしょ〜?」

エリカ「褒めてないわよ」

みほ「バトル! 私はボコ……じゃなかった、シザーベアとシザータイガーでダイレクトアタック!」

そど子「嘘よ……! 風紀委員の私が、この園みどり子がー!?」LP4000→0

115名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:53:39 ID:fEDrRogk
ファーニマル・オウルの効果はどちらかひとつしか使えません(小声)

116名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:53:53 ID:nNC8npSU

みほ「やった、やったあー!  勝ちましたよエリカさん!」

エリカ「そうね……ってコラ、くっつかないで!/// 痛ッ……!」

みほ「あ、ご、ごめんなさい……」

みほ「でもこれで、風紀委員からは見逃してもらえるんですよね?」

エリカ「何言ってんの? そんなわけないじゃない」

みほ「へ?」

ドゴーン!

みほ「うわああ!? また撃ってきてる!?」

エリカ「逃げるわよ!」

117名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:55:11 ID:nNC8npSU

???「…………」

???「《デストーイ・シザーベア》……」

???「――みほ、お前なのか?」

???「…………」

???「忘れてしまったな、西住流なんて言葉………」

118名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:56:15 ID:J6WYL0Jk
>>115
融合サーチを沼地でやった事にすればなんとか・・・

119名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:57:49 ID:nNC8npSU
>>115
あ、ほんとだ(赤面)
オウルのサーチ効果は使用せず、シザータイガーをオウルの効果で融合召喚して
ベアーは既に手札に一枚《融合》があったことにしといてください(震え声)

120名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:58:23 ID:1XBjYJwo
創作デュエルは難しいからね、しょうがないね

121名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 21:59:33 ID:nNC8npSU

エリカ「はあー…、流石にここまで逃げれば大丈夫よ」

みほ「す、すみません、エリカさん怪我してるのに……。私、操縦は苦手で……」

エリカ「いいわよ別に……で? ここが貴方の住む寮で間違いないの?」

みほ「はい……地図では間違ってないはずですが……」

みほ(なんというか、ものすごくボロい……!)

エリカ「貴女、転校早々この寮に入れられるなんて、編入試験で何かやらかしたの?」

みほ「やらかしたって……普通に教官の人をワンショットキルしただけなんですが……」

エリカ「あっ、ふーん(察し)」

エリカ(明らかに私怨ね……大人げない)

みほ「この寮って、そんなにアレなんですか?」

エリカ「アレも何も、ウチの学校は生徒寮が上から順に、ブラック、ブルー、イエロー、レッドの四つに分かれてて」

エリカ「ここは問題児が集う最弱のレッドよ」

エリカ「ちなみに、自慢じゃないけど私は最強のブラック所属」ドヤ

122名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:00:04 ID:0n6bykss
遊戯王ssではよくありますねぇ!
邪剣脳内補完しますね

123名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:04:18 ID:nNC8npSU

みほ「最弱……ってことは、デュエルの強さでクラス分けがされてるんですか?」

エリカ「そうね。デュエルの勝率や授業、テストの成績に基づいて、半年に一度、所属寮の振り分けが行われるわ」

エリカ「ま、貴女の実力なら、すぐ上に上がれるんじゃない?」

みほ「いえ、私なんかそんな……全然、大したことないですよ」

エリカ(風紀委員や教官をワンショット・キルした奴が何を)

エリカ「……んじゃ、私はそろそろ行くわ」

みほ「あ、はい! ありがとうございました! いろいろ教えてくれて、案内までしてもらっちゃって……」

エリカ「別にいいわよ。…………私も、助けてもらったし」

みほ「ん? エリカさん何か言いましたか?」

エリカ「な、なんでもないわよ! それじゃあね!」

みほ「……行っちゃった。顔真っ赤にして、どうしたんだろう?」

つづく!

124名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:08:44 ID:nNC8npSU
テキストを読み間違えてしまった非力な私を許してくれ…
満足編は基本ノリで書いてるのでこれからも省略デュエル&ガバガバ展開が多いと思いますがお兄さん許して

125名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:11:38 ID:ooLtHoBM
アニメとOCGで効果違ったりするし多少はね?

126名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:14:38 ID:LZScAIzw
遊戯王はほんへも大概ガバガバだから大丈夫大丈夫ヘーキヘーキ
プラシド爆散オチでも構わないからゆっくりねっとりしっぽり書いて、どうぞ

127名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:16:03 ID:spMbPlfA
ファーニマルは性能イラストどちらも相手に好印象を与える良デッキですわ〜

128名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:25:49 ID:nNC8npSU
もうホントにアニメのデュエル構成すごいってね、架空デュエル製作者すごいってね、またひとつ確信させていただきました
あ、そうだ(唐突) 西住殿のルームメイトになるレッド寮所属キャラを安価で決めます
あんこうチームのキャラから一人、それ以外のキャラから一人選んでください

↓3(A:武部沙織、B:五十鈴華、C:秋山優花里、D:冷泉麻子)

↓8(あんこうチーム、西住まほ、逸見エリカ以外の誰か一人)

129名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:27:10 ID:LZScAIzw
D

130名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:28:03 ID:NgDpLUMk
んじゃDで

131名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:28:25 ID:SklU5eiw
じゃあ俺もDで

132名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:28:31 ID:53W6KgzY
D

133名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:30:35 ID:Vtpfb3rY
http://urx.red/rNO5

134名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:30:48 ID:DaY78Nz.
西さん

135名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:31:57 ID:l3AVVQcs
ローズヒップ

136名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:32:10 ID:W81NaFgM
鈴木貴子

137名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 22:37:30 ID:nNC8npSU
麻子と貴ちゃん(カエサル)了解です!がんばります!
アンツィオ編も次回には必ず上げますので許してくださいドゥーチェがなんでもしまむら(適当)

138名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 23:10:05 ID:7DKIFiDw
チームサティスファクションからのデュエル展開は草
乙ゾ

139名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 23:15:24 ID:nHH/5SQU
これもうどっちが本編かわかんねえなあ…
ミホチョビ姐さんあくしろよ

140名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 01:01:21 ID:8VJKGzwM
デュエルしたりミホチョビしたりしろ(無茶振り)

141名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 07:33:33 ID:pEI4bG5I
どっちの続きもめっちや気になるゾ〜

142名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 02:21:08 ID:ZXhMiGw.
完全に番外編が本編じゃないか(困惑)

143名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 18:41:15 ID:XJy/LfUY
続きあくしろよ(せっかち)

144名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 20:55:23 ID:jwvjkJ6U
アンツィオ編はどこ…?ここ…?

145名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 19:59:55 ID:s3Nqv2eQ

カルパッチョ「えーっと……十、二十……集まった一年生は全員で二十四人ですね」

アンチョビ「おおー! 沢山集まったな! 頑張ってビラ配りした甲斐があった!」

ぺパロニ「観客も大勢いるし、今屋台すれば大盛況間違いないっすね!」

ぺパロニ「よしみほ! 今からナポリタン売りに行こう!」

みほ「ええっ!?」

カルパッチョ「私たちが抜けちゃ駄目でしょ……」


アンチョビ「やあ諸君! 今日は集まってくれてありがとう! 私はドゥーチェ、アンチョビだ!」

『ドゥーチェだ!』

『ちっちゃい!』

『かわいい!』

『『『ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ!』』』


みほ「大人気ですね、アンチョビさん」

ぺパロニ「姐さんのカリスマ性ははっきり言って異常だからなー」

146名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:00:43 ID:7nW0Ll9k
もう始まってる!

147名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:01:56 ID:SlUM/ltA
やったぜ。

148名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:03:39 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「おー! みんな気合十分だな! よーし!」

アンチョビ「今から二チームに分かれて、紅白戦を行うぞー!」

「ファッ!?」

「へええ!? いっ、いきなり実践ですかぁ!?」

アンチョビ「そうだ! いきなり実践だ! 戦車道の楽しさを知ってもらうには、実践が一番だからな!」

「で、でも私、操縦の仕方、まったくわかりません!」

アンチョビ「そのための私たちだ! 私たち四人が各チームに二人ずつ就くから、分からないことがあれば何でも聞いてくれ!」

アンチョビ「さあ! グッとパーでわかれましょして、この紅白のゼッケンに着替えろー!」

「「「おおおおおおーー!」」」

149名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:08:09 ID:qSQgwJO.
>>グッとパーでわかれましょして

かわいい

150名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:10:09 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「白チームのみんな! 集まったかー!?」

「「「はーい!」」」

「うわあ! この戦車、小さくて可愛いですねー!」

みほ「これはCV33っていって、偵察や警備のためにイタリアで開発された車両なんです」

「へえー!」

アンチョビ「まずは各チームでポジションを決めよう! と言ってもウチの戦車は小さいから……」

みほ「CV33は操縦手と機銃手の二人乗り、セモヴェンテは装填手と操縦手、それに砲手の三人乗りですね」

アンチョビ「ポジションに希望あるやついるかー?」

「あたし、機銃撃ちたい!」

「アンツィオで砲手に……就職♂」

「お前人のモノを……!」

151名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:10:59 ID:7nW0Ll9k
ちょっとサンダースのスパイ混じってんよ〜(指摘)

152名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:14:49 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ(装填手兼車長)「よーし! 準備はいいかお前たち!?」

みほ(砲手)「はっ、はい!」

「操縦手になったお( ^ω^)そうなったお( ^ω^)」

アンチョビ「がんばれよ後輩!」

「ブスリ♂(イグニッション)」

「いざぁ……♂」

みほ「うっ、うわわ! 後退してます!」

アンチョビ「ぎゃ、逆だー! 止まれ止まれー!」

「いやぁスイマセーン」

アンチョビ「気にするな! 落ち着いてけ!」

みほ「まずはクラッチを踏んで、ギアを一速に入れましょう」

「いくぞオラァ!」

153名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:21:43 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「――よし。全車輌、所定の位置についたようだな。試合開始だ」

アンチョビ「どうする? 景気づけに一発撃っちゃうか?」

「スタイリッシュに決めろ♂」

みほ「うーん、闇雲に撃つのは……」

ドドドドドド!

「なんだあのでっかい音……」

アンチョビ「ッ!? 機銃音! ぺパロニたちめ、いきなり攻めてきたな……」

アンチョビ「迎え撃つぞ! みほ!」

みほ「ッ! はい!」

みほ(スコープを覗きこんで、トリガーを握った――その瞬間)

みほ「………あ、れ?」

みほ(私は、頭が真っ白になっていた)

154名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:24:07 ID:s3Nqv2eQ

『――試合終了! 黒森峰高校、フラッグ車走行不能! プラウダ高校の勝利!』

みほ(……あ)

『十連覇が……! 私たちの夢がぁ……!』

みほ(ああ……)

『ふざけんな!』

『あんたのせいで、私たちの三年間全部パーよ!』

『もう許さねえからな〜?』

『お友達を助けられて満足? この偽善者!』

『謝れ! 謝れよ! 月島さんに謝れ!』

みほ(…………私の、せいだ)

『お前さえいなければ――!』

みほ(私なんか……、いなければよかったのに――)

155名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:25:13 ID:RDbc3o/k
変なのが混じってるゾ

156名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:26:19 ID:SlUM/ltA
ちょっと黒森峰にホモ交じってんよ〜(指摘)

157名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:26:38 ID:PG/cLlu2
黒森峰が去年優勝できたのも月島さんのおかげだし気持ちは分かるけど言いすぎなんだよなぁ・・・

158名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:30:04 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「みほ? お、おいっ! どうしたんだ!? みほ!」

みほ「――ハッ!? はあッ、はあ……ッ、うあ……アンチョビ、さん……」

アンチョビ「だ、大丈夫かっ!? 顔色悪いぞ!? 熱でもあるのかッ!?」

みほ「……ごめん、なさい……」

みほ「…………ごめんッ、な、さい……」バタッ

アンチョビ「みほ!? みほッ!」

「もう終わりだぁ!」

アンチョビ「ッ、そ、そうだな! おいお前ら! 試合は中止だ! 中止ー!」

ぺパロニ『どうしたんすか姐さん!?』

アンチョビ「みほが倒れたんだ! とにかく保健室に運ぶぞ! 担架持ってこーい!」

159名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:16:50 ID:7nW0Ll9k
これは気になりますね…

160名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:27:43 ID:dgrq1YOw
もう待ちきれないよ!早く続編を出してくれ!

161名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:31:31 ID:f2SYwQk2
シリアスな場面なのに哲学者が多すぎる

162名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:51:32 ID:s3Nqv2eQ

みほ(――あの決勝戦の後から、こんな夢を見ることがある)

みほ(海なのか、川なのか、それとも池なのか――それは分からないけど、とにかく水底に沈んでいく夢)

みほ(ひたすら冷たい、墨汁みたいに真っ黒な水の中に、溺れる夢)

みほ(そこから、私は水面を見つめてる)

みほ(水面の先には、きっと、酸素があって、光があって、空がある)

みほ(しかし、私はそこには行けない。どんなに手を伸ばしても――届かない)

みほ(だからいつしか、もがくことを諦めてしまっていた)

みほ(ゆっくりと、冷たい水が私の温度を奪っていく)

みほ(暗い……怖い……)

みほ(私は、ひとりぼっち…………)

163名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:53:50 ID:s3Nqv2eQ

みほ「……? こ、ここは……?」

みほ(目を覚ますと、私は白いベットで寝かされていました)

カルパッチョ「保健室ですよ、みほさん」

みほ「あっ、カルパッチョさん……、すいません。私、倒れて――」

カルパッチョ「ごめんなさいっ!」

みほ「え……?」

カルパッチョ「私たちが無理矢理連れ出さなければ、こんなことには……」

みほ「そ、そんな! 頭を上げてください! 私の体調管理がなってなかっただけですから……」

カルパッチョ「……さっき、みほさんのこと、少し、調べさせてもらいました」

みほ「……っ」

カルパッチョ「ご、ごめんなさい。私たち、知らなくて……無神経なことを」

164名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:55:45 ID:s3Nqv2eQ

みほ「いえ……自分で言い出せなかった、私が悪いんです……」

カルパッチョ「でも」

みほ「あ、あの……今、何時ですか?」

カルパッチョ「あ、え、えっと、八時です」

みほ「……そんなに倒れてたんだ、私」

カルパッチョ「もう少し、横になっていた方がいいんじゃ」

みほ「……今日は、もう帰ります」

カルパッチョ「じゃあ、家まで送りますよ」

みほ「大丈夫です……一人で、帰れますから……」

カルパッチョ「そう、ですか……」

165名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:05:16 ID:s3Nqv2eQ

みほ(戦車道……それは、物心ついたころから、既に私のそばにあった)

みほ(西住家の次女として生まれた私は、当然、西住流の人間として育てられた)

みほ(お姉ちゃんと同じように……)

みほ(お姉ちゃんは、本当に凄かった。どんな時も西住流の人間として、私のずっと先を行っていた)

みほ(私は、そんなお姉ちゃんに憧れた。お姉ちゃんに褒められたくて、お姉ちゃんのようになりたくて、戦車道をしていた)

みほ(黒森峰に入学したのも、きっと、お姉ちゃんがいたからだ)

みほ(でも私は、黒森峰から……、お姉ちゃんから逃げてしまった)

みほ(それじゃあ――私の戦車道は、どこにあるんだろう)

みほ(それが、この人たちとなら、見つかるかもしれないと思って)

みほ(だからアンツィオに転校してきたんだ)

みほ(――結局、私はいつだって、誰かに甘えてるだけなんだ。一人じゃ何もできない、弱い人間)

みほ(いなくなったって、誰も気づいてくれないような――そんな、ちっぽけな存在なんだ)

166名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:07:07 ID:s3Nqv2eQ

――――そうやって、また逃げるんだ?

みほ「………え?」

――――怖いんだ、傷つくのが。

――――だからまた、都合の悪いことから目を背けて、逃げるんでしょ?

みほ「わ、私は……」

――――分かるよ。だって、アナタは私だもん。

――――だからさ、一緒に逃げよ? 戦車道なんか、辞めちゃおうよ。

――――普通の女の子として生きるのも、きっと、悪くないよ。

みほ「……で、でも、……それは……」

――――あんな人たち、気にする必要ないよ。どうせいつか、離れて行っちゃうんだから。

――――アナタが信じられるのは自分だけ、そうでしょ?

みほ「……違う……私は、ただ」

みほ「ただ……」

167名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:34:31 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「み、みほ! 昨日は大丈夫だったか!? 心配したぞ!」

みほ(翌日の朝、アンチョビさんが校門の前で私を待っていた)

アンチョビ「しかも、いきなり帰っちゃうなんて……」

みほ(ああ、この人は昨日、私のために何かしてくれてたんだ)

みほ(多分、食事を作ってくれてたとか、そんなところだろうか)

みほ(本当に、優しいなあ……)

アンチョビ「お、おい? 大丈夫か? 辛いなら、また保健室に連れてって……」

みほ「……今日もやるんですか?」

アンチョビ「へ?」

みほ「昨日の戦車道の体験授業、今日も……やるんですか?」

アンチョビ「お、おい! 無理するな! また倒れたらどーする!」

168名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:37:42 ID:s3Nqv2eQ

みほ「お願いです……。お願い、します……」

アンチョビ「みほ……」

みほ「ここで逃げたら……、きっと、後悔する。……私が、私じゃなくなる気がするんです……っ」

アンチョビ「……分かった。お前がそう、自分で決めたのなら」

アンチョビ「ただし! 私が危険と判断したら、また保健室に連れていくからな!」

みほ「はい……」

アンチョビ「うん。……なあ、みほ」

みほ「……?」

アンチョビ「あまり一人で抱え込むなよ?」

みほ「……大丈夫ですよ、私は」

アンチョビ「……そっか。じゃあ、また午後の授業でな」

アンチョビ「あ、そうだ! せっかくだから教室まで付き添ってあげよう」

みほ「だ、大丈夫ですよっ! 一人で歩けますからっ」

アンチョビ「遠慮するな!」

169名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:39:08 ID:GoopQW9I
ドゥーチェが小さい体でちょこまか励ましてるイメージだけど実際はほとんど背丈同じくらいでしたね

170名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:39:51 ID:s3Nqv2eQ

みほ(そして、午後になった)

「ああん? 西住さん!?」

「大丈夫なんですか!? 昨日倒れたって……」

みほ「皆さん、心配かけて申し訳ありませんでした。もう大丈夫です」

ぺパロニ「大丈夫って……昨日はホントに辛そうだったぞ?」

カルパッチョ「ええ。ひどく魘されていたようでしたし……」

みほ「大丈夫ですから。……やらせてください」

ぺパロニ「おいおい、本当に大丈夫かあ?」

カルパッチョ「……ドゥーチェ」

アンチョビ「ああ、わかってる。無理だと思ったら、すぐにやめさせるから」

アンチョビ「だけど……、今はあいつの意思を尊重してやりたいんだ」

171名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:44:07 ID:AJdK4R2s
アンチョビみたいな気配りできる上司が欲しい…

172名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:49:48 ID:s3Nqv2eQ

みほ(私は再び乗り込んだセモヴェンテの中で、ひたすらスコープを覗き続けた。まるで、何かから目を逸らすように)

みほ(トリガーを握る手が震える。視界がぼやける。カチカチと歯がなる)

みほ「……っ」

みほ(あの決勝戦の後、さんざん言われた言葉が頭の中でフラッシュバックされた)

みほ「……ううっ」

みほ(思わず項垂れてしまった、その時――)

アンチョビ「なあ、みほ。よかったら、話してくれないか」

みほ(誰かが、震える私の手に、そっと手を重ねてくれた)

みほ(アンチョビさんだった。相手を安心させてくれる笑顔と、深く澄んだ瞳で、彼女はそこにいた)

アンチョビ「お前がこんな辛い想いをしてまで、戦車道を続ける理由」

みほ「…………」

みほ「……私の家が、西住流っていう戦車道の流派だということは、知ってますか?」

アンチョビ「ああ、知ってるよ」

みほ(それから、私はぽつぽつと語った)

みほ(西住流のこと、お姉ちゃんのこと、黒森峰のこと……、あの決勝戦のこと)

みほ(私自身が目を背け続けていたことを、少しずつ思い出しながら――)

173名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:50:39 ID:PG/cLlu2
みぽりんが帰還兵みたいになっとる・・・

174名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:52:05 ID:s3Nqv2eQ

みほ(最初からわかってた。でも、気づかないふりをしていた)


『あ、あのっ……私、戦車道初めてで……ふ、不束者ですが、がんばりますっ!』

『うわあああ……! 西住さん格好いいっ! 私も西住さんみたいになりたいなぁ……』

『え? 西住さん、今日もコンビニのお弁当なんですかっ!? いつか身体壊しちゃいますよっ?』

『ダメですっ! 私がお弁当作ってくるので、一緒に食べましょう!』


『西住みほ! まほ隊長の妹だからって、楽に副隊長になれるなんて思わないことね!』

『きーっ! 余裕ぶっちゃって! 今日こそ絶対貴女に黒星つけてやるんだから!』

『はあ!? 単騎でのおとり作戦って……無茶にもほどがあるわ!』

『……わかった。貴女を信じるわ、副隊長』


『――準決勝、見させてもらいました。まほ、貴方を西住流の当主として、誇りに思います』

『みほも、よくやったわね。……それでこそ、私の娘です』

175名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:54:11 ID:s3Nqv2eQ

みほ(どうして、黒森峰から逃げたのか)


「――赤星さん! 赤星さん! 返事をしてください!」

『………ザザザ……ザザッ……』

「赤星さんっ!」

『……ザザッ……ザザザ……にし、……ザザザッ……ずみ、さん……?』

「赤星さん! 怪我はありませんか!?」

『私は……平気、……です。少し、頭が……ぼーっとするけど……』

「待っててください! すぐに救助が来ます!」

『嫌だ……! 暗いよぉ……怖いよぉ!』

「だ、大丈夫です! 落ち着いてください! 浸水することはありませんから!」

『開けて! 開けてよぉ! ここから出してよぉ!』

『パパー! ママー!』

「あ……、赤星さん! 聞こえますか!? 衝撃に備え、身を屈めるよう皆さんに――」

『…………誰か、助けて……』

176名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:55:51 ID:s3Nqv2eQ

みほ(どうして、戦車道から目を背け続けていたのか)


『……なんで、逃げたりしたの?』

『貴女なら、背中を任せて戦えると思ってたのに……』

『だけど、私の思い違いだったみたいね』


『あ、あの、西住さん……私、私……っ……!』

『……っ』

『…………ごめん、なさい』


『転校か……』

『みほ。お前が自分でそう決めたのなら、私は止めないさ』

『……何もしてやれず、すまなかった』


みほ(私が本当は――何を怖がっていたのか。そんなの、自分が一番よくわかってる)

177名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:03:41 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「……そっか。そんなことが」

みほ(アンチョビさんは私の嗚咽交じりの声を、神妙な面持ちで聞いてくれていた)

みほ(――瞼の奥が、火傷しそうなくらいに熱くなっていた)

みほ「…………でも、本当に怖かったのは、傷つくことじゃなくて」

みほ「戦車に乗るのが、怖くなったわけでもなくて……」

アンチョビ「……うん、うん」

みほ(もう、止まらなかった。耐えられなかった)

みほ(攪拌された泥みたいにぐちゃぐちゃの感情が、涙とともに溢れていた)

みほ「ただ……! 戦車道を嫌いになってく自分が、怖くて!」

みほ「大好きな戦車を嫌いになんかなりたくなくて!」

みほ(――だから、あの決勝戦以来、私はずっと戦車道から距離を置き続けた)

みほ(大切な人たちとの、大事な思い出だけは、綺麗なまま残しておきたかったから)

みほ「っ……うぅううっ、うわああああああん!」

みほ「ひぐっ、ひぐっ、うぇぇぇ……わあああああああん!」

アンチョビ「……よしよし」

178名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:10:02 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「……私もな。一度、戦車道を辞めようかと思ったことがある」

みほ「え……?」

みほ(私が泣き止んでからしばらくして、アンチョビさんがぽつりと零したその言葉は、ひどく意外なものだった)

アンチョビ「一年生の頃な、スカウトされてこの学校にきた私は、自分がアンツィオを引っ張っていくんだって使命感に燃えてた」

アンチョビ「でも現実は厳しくて。当時の先輩に嫌われて、雑用ばっかり押し付けられてたよ」

アンチョビ「……まあ私は戦車の整備、好きだからよかったんだけど」

アンチョビ「二年生になって、私を慕ってくれたぺパロニとカルパッチョにまで嫌がらせが及んだ。……それは我慢ならなかった」

アンチョビ「その時は、本気で辞めようかと思ったよ」

アンチョビ「……でも、それ以上に悔しくてさ」

アンチョビ「だから三人で愚痴垂れながら、アンツィオの戦車を全部、見たこともないくらいピカピカに磨いてやったんだ」

アンチョビ「そしたら先輩たち、みんな腰抜かしてさぁ! 今度は自分たちがもっと綺麗にしてやるとか言って」

アンチョビ「気づいたら、みんなで戦車を整備するのが、私たちの日課になってたんだ」

アンチョビ「その時思ったんだ。私一人の力は本当にちっぽけ。だけど、みんなの力を合わせれば、その力は十倍にも百倍にもなるって!」

アンチョビ「それが、私たちアンツィオ高校の最大の武器なんだって!」

179名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:14:25 ID:s3Nqv2eQ

みほ「…………でも、私。こうして皆さんの足を……引っ張って」

アンチョビ「足だろうが胸だろうが引っ張ってくれて構わない! 私たちは仲間なんだから!」

アンチョビ「……それに心配するな! 誰かが失敗したら、全員で取り返せばいい! そうだよなー! みんなぁー!」

『そのとおーり! それがアンツィオ魂だぜー!』

『みほさん! 一緒に戦車道、楽しみましょう!』

『ゆきぽ派?』

『いや、みほ……』

『よっしゃー! 全員でみほを応援だー!』

『『『おおおおおおおおーー!!』』』

『『『――みーほ! みーほ! みーほ! みーほ! みーほ!』』』

みほ(無線から、皆の声が聞こえた。白チームだけじゃない、紅チームも……)

みほ「こんなの、滅茶苦茶だよ……」

アンチョビ「あっははは! 確かに滅茶苦茶だ! でも、それが私たちアンツィオ高校なんだ!」

180名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:27:07 ID:GoopQW9I
っていうかイタリアモデルなら赤と黒でチーム分けしたほうが(赤シャツ隊と黒シャツ隊)いやなんでもないです

181名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:31:11 ID:Ut9VzbD6
(引っ張るだけの胸が)ないです

182名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:36:23 ID:s3Nqv2eQ

アンチョビ「それにさ。お前には誰よりも戦車道を愛する、強い気持ちがあるじゃないか!」

アンチョビ「一度は逃げたのかもしれない。だけど、今こうして、必死に自分の過去と向き合ってる!」

アンチョビ「それはきっと、誰にでもできることじゃない。お前は、凄い奴だよ」

みほ(そう言って、アンチョビさんは頭を撫でてくれた)

みほ「……あ」

アンチョビ「お前のことを責める奴もいるかもしれない。だけど、そんなの気にするな! お前はお前の信じる道を進めばいい!」

アンチョビ「その途中で、どうしても悲しくて泣いちゃったのなら、私が慰めてやるから」

アンチョビ「困ったことがあれば相談に乗るし。テストが赤点だったら、まあ、私が勉強教えてやるし」

アンチョビ「――辛いことがあったら、そばにいてやる」

みほ(ぎゅ、っと。アンチョビさんは、また私を抱きしめてくれた)

みほ(…………温かい)

183名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:44:25 ID:s3Nqv2eQ

みほ(きっと、この人は、底抜けに優しい人なんだ)

みほ(溺れてる私の手を、躊躇なく掴んで、助けちゃうような人なんだ)

みほ「……アンチョビさん」

アンチョビ「ん?」

みほ「ありがとう」

アンチョビ「……うんっ」

みほ「……えへへ」

みほ「…………私、……ここにいても、いいですか?」

みほ(不思議な質問だった)

みほ(本当は――黒森峰の皆や、お姉ちゃんや、あるいはお母さんに――訊きたかったことなのかもしれない)

みほ(でも、アンチョビさんはひたすら明るい笑顔で)

アンチョビ「ああ! もちろんだ!」

みほ(そう答えてくれた。その短くも力強い言葉は――たぶん、私がずっと求めていたものでした)

アンチョビ「だから、自分を信じろ。みほ」

みほ(そして、誰かにこうしてほしかった。こんな風に、優しく頭を撫でてほしかったんだ)

みほ「……」グスッ

みほ(軽く目元を拭ってから、ぐっと、トリガーを握る――震えはもう、止まっていた)

つづく!

184名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 23:58:55 ID:es53GlNg
アンチョビお母さんに甘えてぇな〜俺もな〜

185名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 00:47:02 ID:pUKGwNvo
ええ話やこれは…(涙腺ダバァ)

186名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 00:57:08 ID:1US7EYt2
私もこんな文が書ける心の優しい人間になりたい(切実)

187名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 00:57:14 ID:XlN.XF5Q
痛みに耐えてよく頑張った。感動した!(小泉並感)

満足編もお待ちしてナス!(強欲な壺)

188名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 00:58:57 ID:gcQqpgXo
>>181
ドゥーチェ結構いい身体してるだろ!いい加減にしろ!(ぺパロニ並感)

189名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 01:04:01 ID:1Rm0s9ns
すごいですねこれ
満足編もアンツィオ編も別ベクトルで尚且つ面白いとか、やっぱりホモは文豪なんやなって…

190ヒゲクマ調理師:2016/02/09(火) 13:39:04 ID:???
レ厨紛れ込み過ぎなんだよなぁ...
いいぞ、もっとやれ

191名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 21:59:58 ID:qjTnUd3.
いい話だぁ…(恍惚)
ドゥーチェはロリ枠っぽいけどみぽりんと身長2センチしか違わないし
出るとこちゃんと出てるってそれ一番言われてるから
http://i.imgur.com/Q3FsuQw.jpg
http://i.imgur.com/P9rDGzd.jpg

192名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 22:05:51 ID:WZTxzYxI
ペパロニがバカだけどスケベボディだからね、アンチョビが相対的に霞むのもしょうがないね

193名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/09(火) 22:10:13 ID:ad4nx6AM
言葉で励まさず静かに抱きしめながら背中トントンしてくれそう
してほしい

194名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/10(水) 00:50:37 ID:luPXcxOg
>>191
下の画像初めて見た
2014年はOVAのみだったからか、アンチョビとみほのカップリングイラストがかなりあったよね

195名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/10(水) 20:14:43 ID:jImwcfaA
http://i.imgur.com/Hx3TqIa.jpg
トラウマを乗り越えアンツェオで完全復活したみぽりんUCすこ

196名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/11(木) 07:46:04 ID:yvJZzn2I
>>195
すごい、みほに見える

197名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/11(木) 08:31:32 ID:ff7x6m8w
なぽりん

198愛されるより 愛したい:2016/02/11(木) 12:22:45 ID:???
りぼんなぽりん?

199名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/11(木) 12:37:13 ID:QCICb4s.
リボ払いみぽりん?

200名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/13(土) 07:47:34 ID:UbgFQO/2
ドゥーチェほんとすこ
泣かせたくなる

201名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/13(土) 21:42:56 ID:OFj1isys

【番外・クラッシュタウン学園編 04】

<ヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼ♪

みほ「……ん、うう〜ん……」モゾモゾ

みほ「朝……起きなきゃ……」

みほ「…………」

みほ「って二度寝しちゃダメ! 起きなきゃ――へぶっ!?」ガンッ!

みほ「……痛い」

カエサル「気をつけなよ。ここの三段ベット、間が狭いからさ」

みほ「あ、カエサルさん……気を付けます」

みほ(彼女はレッド寮で同室になったカエサルさん。格好はちょっと変だけど、とっても良い人だ)

カエサル「おはよう西住さん。朝早いね」

みほ「実家で寝過ごすと怒られていたので、自然に……」

カエサル「ふーん。冷泉さんにも見習ってほしいもんだ」

202名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/13(土) 21:44:26 ID:OFj1isys

麻子「…………朝っぱらからうるさいぞお前たち」

みほ「麻子さん。おはようございます」

麻子「ん。おはよう、そしておやすみ」バタッ

カエサル「相変わらず朝に弱いな彼女は……」

みほ「のび太くんみたいですね」

みほ(彼女もルームメイトの冷泉麻子さん。成績は二年主席クラスだけど、遅刻や居眠りが祟ってレッド寮に落とされたらしい)

みほ(本人としては、こっちの方が気楽でいいとかなんとか……)

みほ「確か、朝食は七時半からでしたよね?」

みほ(それまで日課のジョギングでもして時間を潰そうかな)

カエサル「ああ。君の実力を試すいい機会だ」

みほ「へ? 実力?」

カエサル「私の挑戦、受けてもらえるか?」

みほ「……望むところです!」

203名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/13(土) 21:45:54 ID:OFj1isys

「何々? 朝っぱらから何が始まるの?」

「デュエルだよデュエル!」

「二年のカエサルさんと、転校生の西住って人らしいよ」

「転校生!? いたんだぁ」

「西住? どこかで聞いた覚えが……」

「がんばれー! タカちゃ〜ん!」

カエサル「タカちゃん言うな! ……準備はいいか? 西住さん」

みほ「大丈夫です!」

カエサル「風紀委員を倒したという君の力、見せてもらおうか!」

「「デュエル!」」


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