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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」

1Mii:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】

に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。

遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。

ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
  そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。

     ・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
      キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!

      マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
      クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
      パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
      リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?

     ・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
      急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
      
     ・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」

シア(…………ちょっとずつ?)

612Mii:2021/08/10(火) 09:06:19 ID:VfyrD.AE
デイジー「…ふふっ!まあ、念のためにね、奥の手を用意しておきましたっと!

    星の精のマールさん、おでましー!!」

マール「呼ばれてきたわー!」

ロゼッタ「――――あっ。ど、どうも」

マール「私の子守唄で、多少強引にでも眠って貰うわよ。
   これで今夜はぐっすり眠れるはず!自然に起きるまでそのまま寝かせておくわ!」

ロゼッタ「…わ、わあ!それは助かります!」



なんだかんだ言って、しっかり睡眠をとりたいのは本心ですから…!



マール「――――――――そぅれ!!!」パアアアアァァァァ





ロゼッタ「――――――――くぅ」スヤァ

デイジー「はぁ、これでようやく一安心、だねえ。ありがとう、マール!」

マール「このくらいお安い御用よ!」

613Mii:2021/08/10(火) 09:08:31 ID:VfyrD.AE
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・



ファイアロゼッタ「―――――――――」パチッ

ファイアロゼッタ「ここは…………」



ふと目を開けて、しばしのまどろみのあと、起き上がります。
まわりをキョロキョロ見渡せば、不思議な空間。

なにぶんつい最近、似たような目に遭ったため、慌てて立ち上がって警戒しますが…。

なんとも周りがグニャグニャで、おぼろげで。
星がところどころ、キラキラとファンシーに輝いています。
何者かの空間魔法に囚われた、というよりは――――



ファイアロゼッタ「…………って、いつの間にかファイア状態になってる。
        ――――ああ、これ、夢の中ですか」ポンッ

なんとなく分かることがあるんですよね、自分が夢の中にいるってことが。
いざ起きてからは、内容を覚えていないことがほとんどなんですが。

614Mii:2021/08/10(火) 09:10:11 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「これはマールの子守唄がバッチリ効いてくれたみたいですね。
         少しは疲れも取れるとよいのですが…………。
 
         さて。夢の中と分かったならば、一体何をしましょうか」



ファイアロゼッタ「…………………………………………」



ファイアロゼッタ「あんまりはしゃぎまわると、夢の中とはいえ睡眠効果が薄れますよね?」



ファイアロゼッタ「…………………………………………」



ファイアロゼッタ「よし、寝ましょう!寝れないまでも、せめて安静にしておきましょう!
         つまらないと言われようと、より体を休ませるためです!」

ベッドなどありませんが。再び地べた?にコテンと横になり。
ああ、なんだかいい寝心地です。さすが夢の中、万能です。



現実の私と同じく、夢の中の私もすやすやと深い眠りに――――

615Mii:2021/08/10(火) 09:12:37 ID:VfyrD.AE

    「起きてください」



ファイアロゼッタ「――――――――――――」スゥ・・・



    「起きなさい」



ファイアロゼッタ(――――――――――――ん?)



    「もう無理やり起こさないっかなー☆」

    「それもそうですね」

    「じゃあー、さっそく……」



ぽかっ!



ファイアロゼッタ「…!?」

616Mii:2021/08/10(火) 09:14:23 ID:VfyrD.AE
ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!ぽかっ!



   「起きろと言っているでしょう」

   「おっきろー☆」

   「起きないと、どんどん力を強めていくのー」



ファイアロゼッタ「痛い痛い痛いっ!
         誰ですかっ!レディの頭を好き勝手にポカポカ叩くのは!」ガバッ!








ハロウィンロゼッタ「Trick or Delete!消されたくなかったら悪戯されなさい!」キリッ

オーロラロゼッタ「やっほー! オーロラロゼッタ、ここに見参☆」キラッ

スイマーロゼッタ「眠いのはわかるのー。私もちょっと眠いのー。
         スイマー…じゃなくて睡魔がガルルーって襲ってくるのー」ウトウト

ファイアロゼッタ「本当にどちら様ですか!?」

617Mii:2021/08/10(火) 09:16:53 ID:VfyrD.AE
私ですか!?それもなんだか不思議な…コスプレ、をした!?



イタズラが好きで、冷静そうな……
魔法帽子被って杖を片手に澄まして見せる、魔女っぽさなら一番の1人目。

ちょっぴり見栄っ張りで、陽気そうな……
アイドルのようにポーズを堂々と見せ付ける、オーロラの色合いを醸し出す2人目。

昼寝を良くする、おっとりそうな……
南国に似合う涼し気なワンピースを着こなす、なんだかのほほんとした3人目。



ファイアロゼッタ「特に2人目っ!イタイ!なんだかすごくむず痒いので、
        控えて頂けませんか!せめてもっと優雅にですねっ!」

オーロラロゼッタ「恥ずかしさは何も生み出さない!ありのままに自分を表現するのが大事よ!
        皆の注目を浴びることが、私を何より輝かせるの!
        さあ貴方もご一緒に!世界が開けるわ!」シャラララーン

ファイアロゼッタ「ハイテンションでウインクとか止めて頂けませんか!?
        本当にお願いしますからっ!悪い意味でトリハダ物ですっ!?」ゾワッ

スイマーロゼッタ「慌てず騒がず落ち着くのー。焦ってもいいことないのー。
        目を閉じて、深呼吸して、そのままふかーいふかーい眠りに…」

ハロウィンロゼッタ「せっかく起こしたのにまた眠らせちゃだめでしょう。
          急ぎ、やって貰わなきゃならなないことがあるんですから」

618Mii:2021/08/10(火) 09:19:29 ID:VfyrD.AE
やってもらいたい…こと?一体なんなのでしょう。

ファイアロゼッタ「それにしても、それ…その、アクセサリ…」

スイマーロゼッタ「それ?どれー?」

ファイアロゼッタ「…貴方がたが付けている、その…黒光りする棘付きの首輪ですよ。
         クッパが付けているような。やたらめったらゴツゴツして、首を回すのも辛そうな。

         なんといいますか、すっごく悪趣味ではないでしょうか…?正気を疑うのですが…」



3人とも漏れなく装備済み。…正直、全然似合わないと思います。まるで奴隷の雰囲気、背徳感までプンプンします。
夢の中の流行ファッションとかだったら二重にビックリです。
クッパならば強面、そして大魔王としてのパワフルさと相まってサマになると思いますが。



ハロウィンロゼッタ「人のこと、言える立場なのですか?ふう…」

ファイアロゼッタ「な、何を言って――――――――」ピトッ



ファイアロゼッタ「………………………………………」サワサワ



ファイアロゼッタ「――――何か首に付いてますっ!?」ガーン!

619Mii:2021/08/10(火) 09:21:32 ID:VfyrD.AE
いつ!?誰が!?どのタイミングで首輪なんて取り付けたのですか!?
あれ?あれれ!?いくら力を加えても一向に外れません!
というより、ロック機能もなにもない唯の輪っか構造で、取り方そのものがわかりません!
…イタッ!?我武者羅に引っ張っていたら、普通に棘で手を引っ掻いて痛いです!



ファイアロゼッタ「ちょっと!これっ!どうにかしてくださいよっ!
         いつまでもこんなもの付けておきたくありません!」

オーロラロゼッタ「お揃いお揃い!みんな仲良しだね☆」

ハロウィンロゼッタ「…………さあ、始めますよ」サッ



アタフタする私をよそに。ハロウィンスタイルの私が、ため息ついてから、杖を一振り。
まばゆい光が、前方の広い、ひろーい空間を包み込みました!



ゴゴゴッ……ズガガガガガガガッ!!



激しい地鳴りが起こり、ギョッとします。

何もなかった…ように、少なくとも私は思っていた、目の前の空間に。
まるでキノコ王国の試合会場に、フィールドがゴゴゴッ…と呼び出されるのと同じように。
氷と星空に覆われた、どこか見慣れたコースが出現しました…!

620Mii:2021/08/10(火) 09:24:10 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「貴方もよく知る、『ロゼッタプラネット』。ちょっと改変した箇所はありますけれどね。
          相似拡大させ、1周あたり21.0975kmの長大コースに作り替えています」

ファイアロゼッタ「――もう、いいです。相手にしてくれないのなら、首輪の外し方は1人でじっくり考えます。

         21.0975km、ですか。1周、凄まじく長いですね…!?おまけにやたら中途半端。
         一体どうしてですか?というより、どうして今、コースを急造したのですか?」

話についていけません。それにしても凄い魔法ですね、私も出来る…かもしれませんが。
私にやって貰いたいことと関わりがあるのは確実そうです。
問題は、どこにもカートが見当たらない所ですが…。



ハロウィンロゼッタ「それが今回の本題ですよ。今から――――」

ファイアロゼッタ「…今から?」










ハロウィンロゼッタ「このコースを2周、全力疾走してきてください」

ファイアロゼッタ「どうして!?」

621Mii:2021/08/10(火) 09:26:30 ID:VfyrD.AE
いきなりそんなこと言われてもですね!?ほかの2人も、特に異論はなさそう。私は大ありです!

ファイアロゼッタ「何が悲しくて、夢の中でそんな疲れることをしなければならないのですか!
         意図があるのでしょうが、お断りします!やりたかったら自分で勝手に走って下さ――――」



ハロウィンロゼッタ「――――『無性に42.195km走りたくなる魔法』!!」ポワワワワーン

ファイアロゼッタ「きゃあああああああっ!?
   
         一体何をしでかすのですか!いきなりっ!
         だいたいですっ!いきなり人の夢の中に乱入してきておいて、
         こんな暴虐、こんな仕打ち!失礼極まりないとは思わないのですか!
         せっかく人が休もうとしていたのにっ!

         あああ、こんな相手に、非効率で無駄な話をしている暇ではありません!
         早く42.195km走り切らなければっ!それが私の使命ですっ!邪魔ですっ!どいてくださいっ!!」

ハロウィンロゼッタ「はいどうぞ。『スイマー』、1周目だけ案内してあげて」

スイマーロゼッタ「2周頑張れとか言われたらどうしようかと思ったのー。
         1周だけならまあ…しぶしぶ合点承知なのー」

オーロラロゼッタ「私もいっくよー!」

ハロウィンロゼッタ「貴方はいいから。気温がもっと下がるわ」

オーロラロゼッタ「ええええー☆」

622Mii:2021/08/10(火) 09:28:38 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「それじゃあ、しっかり付いて来るのー!
         どこもかしこも滑りやすいから気を付けてー!

         あ、私のことは『スイマー』って呼んでほしいのー」タッタッタッ

ファイアロゼッタ「はい、わかりました」ダダダッ

案内、とは言われても。設計者であるからには、このコースは知り尽くしています。
相似拡大以外にも、宣言通り、ちょっと改変されたっぽい箇所はちらほらありますが、
気にするほどの差ではありません。

スイマーロゼッタ「カートじゃないけど、ジャンプアクションすればあら不思議―!
          しっかりと加速できるのー!見てて、こんな風に――――」



ツルッ。



ファイアロゼッタ「あ」

スイマーロゼッタ「ふんぎゃ!?」ベチィ



ファイアロゼッタ「だ、大丈夫ですか?」

スイマーロゼッタ「……滑るとこうなるってことを実演してあげたのー。わかったー?」グズッ

623Mii:2021/08/10(火) 09:30:32 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「は、はい。それでは――――やってみます!」ピョン



――NICE! ――GREAT! ――EXCELLENT! ――FANTASTIC!



ファイアロゼッタ「ふっ!それっ!えいっ!確実に――踏み切って!
       
         …なんだ、簡単じゃないですか!初見でもこのくらい余裕しゃくしゃく!
         特殊なポーズを取らなくていい分、運転時より大幅に楽なのでは?
         速度が落ちなくて不思議な感覚ですが、気持ちいいですね!」ダンッ! ダンッ!

スイマーロゼッタ「な、なにおー!私だって当然そのくらい――――――――」



――――NICE!    ―――NICE!    ――――NICE!



ファイアロゼッタ「……………………」

スイマーロゼッタ「…い、いやー。今日は調子が悪いのー。コンボが繋がらないのー。
         わ、わわっ!?なんかちょっと足を捻ったの!痛い!助けて!」グキッ



ファイアロゼッタ「……あれれ?」

624Mii:2021/08/10(火) 09:33:45 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「はあっ、はあっ…ちゃ、ちゃんとついて来て、るー?
         どうしてもっていうんなら、一休みしてあげても、いいのー」ゼェ ハァ

ファイアロゼッタ「申し上げにくいのですが、むしろ、こっちの台詞なんですけど…。
         『スイマー』、割とフラフラになってきていませんか?
         私は息ひとつ上がっていないのに。…その、案外運動は苦手だったり?
         口笛吹きながらでも余裕で付いて行けるような速度まで落ちていますよ」タタタ

スイマーロゼッタ「何気なく発せられた、上から目線の突き刺さる暴言なのー!
          しょうがないの!私は悪くないのー!脚本が悪いの!
          私、登場したてなの!アプリ内の話でいうならLv1.0なの!」

ファイアロゼッタ「アプリ内…?Lv.1.0…?」

スイマーロゼッタ「しっかたないの!ここは夢の中ってことで、なんでもあり!
         私のステータス見せてあげるの―!貴方も復唱ねー!
         すううぅぅ……ステータス、オープン!」バーン!

ファイアロゼッタ「す、すてーたす、おーぷん!?」バーン!
    


【スイマーロゼッタ  基礎体力レベル Lv.1.0(現実世界換算Lv.10)
          最大HP      00020
            魔法レベル   Lv. 7.0(現実世界換算Lv.70)
           最大FP      00256              】パパッ!


スイマーロゼッタ「ほらね、目の前に、異世界アニメっぽいスクリーンが現れたでしょー!
         これが私の実力なの。ハロウィンとオーロラも大体同じ――――」チラッ

625Mii:2021/08/10(火) 09:38:47 ID:VfyrD.AE
【ファイアロゼッタ  基礎体力レベル Lv.4.6(現実世界換算Lv.46)
       最大HP         00800(通常ロゼッタ時00675)
        魔法レベル      Lv. 13.0(現実世界換算 Lv.130)
        最大FP          02048               】パパッ!

ファイアロゼッタ「ふむふむ…私、強く、なりましたね…」シミジミ

スイマーロゼッタ「」

スイマーロゼッタ「…………うがー!!」

ファイアロゼッタ「!?」

スイマーロゼッタ「ああ、もー!要するに私…ううん、私たち3人はみーんな、
          現実世界でいうところの基礎体力レベル10なの!
          アプリ換算でLv.5に到達せんとする人にはこの辛さが分からないの!
          まとめると、もうちょっと労われーってことなのー!」

ファイアロゼッタ「よく意味が分かりません…私より弱いということだけは分かりましたけど…」

スイマーロゼッタ「むきー!そんなことを言う人は…
          挙動制御できないまま、つららに当たって痛い目に遭えばいいの!」

ファイアロゼッタ「並走する私なんか見ずに、前見てください前っ!!」

スイマーロゼッタ「ほへ?」

つらら「やあ」

626Mii:2021/08/10(火) 09:40:40 ID:VfyrD.AE








スイマーロゼッタ「ふべらっ!」ゴチーン!










スイマーロゼッタ「…………ふえぇ…ポイントは増えたから、いい、のー…」



ファイアロゼッタ「…な、なんだかすっごく懐かしい気分…!!」

スイマーロゼッタ「化石化した前々スレのネタを持ってくるのはアウトなの…」

627Mii:2021/08/10(火) 09:42:21 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「とりあえず1周おわり!2周目です!」ダダダダッ

スイマーロゼッタ「つーかーれーたー。リタイア、なのー」

オーロラロゼッタ「がんばれー☆応援してるよー!」





ハロウィンロゼッタ「…『スイマー』。そのまま2周目も走り続けてください」ヒラヒラ

スイマーロゼッタ「ちょっとちょっとー。約束が違うの―!?」

ハロウィンロゼッタ「1周、48分も掛かってる。遅すぎます。
          このタイム…『下の道』を通っていないでしょう?
          貴方の減速が足枷になったのがまるわかりです。
          ちゃんと全部案内してください!」

スイマーロゼッタ「…え、でも――――
         わ、わかったのー。そうするべきなら、やってみるのー」



ファイアロゼッタ「…………下の道?」



なにか…意味深な助言を『スイマー』にした彼女を通り過ぎて、
私たち2人は2周目に入っていきました。

628Mii:2021/08/10(火) 09:45:09 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「じゃあ、少し違うルートを通っていくのー!覚悟はいーい?」

ファイアロゼッタ「ふふふ、任せてください!この位の速度ならへっちゃらです!」

スイマーロゼッタ「よしきたー!
        
         それじゃあ、氷の割れ目から――――冷たーい水の中に飛び込むの―!!それー!」バッ

ファイアロゼッタ「それー!



         ――――え、水?……………………水ぅ!?」



水の中、コースアウトにならないのですか!?
私、そんなつもりで水を張った覚え、ないのですがっ!?



〜ヨースター島〜

ピーチ「いや、普通に水中コースアウトの概念なくしてレースに採用してるからね?
   ロゼッタ、デイジーと試走したときは走ってなかったけど。マリオカート7舐めないでほしいわ」

マリオ「どうかした?」

ピーチ「…気の迷いで呟きたくなったのよ」

629Mii:2021/08/10(火) 09:47:34 ID:VfyrD.AE
ザッブゥーーーン!

スイマーロゼッタ「ひゃっほー!加速、加速なのー!

         水中は私の庭みたいなものなのー!
         ぶっちゃけ、泳いだ方が走るより速いくらいなのー!」ゴウッ!

スイマーロゼッタは 潜水耐性レベル70で 水中負荷が69%軽減!
減速しにくいうえに 溺れない!▼



スイマーロゼッタ「さあ、遅れないで付いて来てるー? 」クルッ



ファイアロゼッタ「            」ゴボゴボゴボ

ファイアロゼッタは 潜水耐性レベル3で 水中負荷を ほぼモロに受けた!▼



スイマーロゼッタ「…あれれ?」

ファイアロゼッタ「                」ゴボゴボゴボゴボ

スイマーロゼッタ「あ、やばいのー!?残機制度とか、ここには無いのー!
         死なれたら夢から醒めた時に魂が欠落して大変なことになるのー!
         とっととさっさと救助するのー!」ヒュゴウッ!

630Mii:2021/08/10(火) 09:50:09 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「とりあえず連れ帰ったのー!なんだか重かったの!
          ドレスが水をたっぷり吸ったからかなー?」

ファイアロゼッタ「寒い寒い寒い寒い寒い寒い――」ガタガタガタガタガタガタガタガタ



もともと、このコースは確かに気温が低い、ですが。
流石に水の中に飛び込むなんて愚挙をしでかすと、寒さが半端ありませんっ!

ファイアロゼッタは 氷耐性を 持っていない!▼



オーロラロゼッタ「情けないぞっ☆私たちの中で一番厚着なのに!」

ファイアロゼッタ「…え、え?」

オーロラロゼッタ「むしろもっと冷やしちゃえ!ア イ ス ☆ ボ ー ル 3連だーん☆」ブンッ!

ファイアロゼッタ「ひぃあ!?危ない、掠めましたよ、ドレスもろとも凍り付かせる気ですかっ!?
         状況悪化させてどうするんですか寒い冷たい寒い冷たい痛い――!?」

ハロウィンロゼッタ「いい加減にしなさい、『オーロラ』。…仕方ないですね。
           ドライの魔法を掛けてあげますよ」パアアアア

魔法を掛けられたそばから、熱風が凍り付いた体を包み込んで、
体温が正常に戻っていきます。纏わりつく氷は水に戻り、その温度も上がってきて。
ああ、なんとか持ち直してきました!服も徐々に乾いて…乾き切りました!

631Mii:2021/08/10(火) 09:52:09 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「…ありがとうございます!えっと――――」

ハロウィンロゼッタ「『ハロウィン』と呼んでください。ファイアボールには到底劣りますが、
           このぐらいの威力なら他系統魔法もお手の物です」

オーロラロゼッタ「私は『オーロラ』でいいよ☆」

ファイアロゼッタ「わ、わかりました。つまりは――
         ハロウィンが『魔法多彩の私』で。
         オーロラが『氷特化の私』で。
         スイマーが『水特化の私』…ということなのでしょうか」

ハロウィンロゼッタ「おおよそはその解釈で構いません」

スイマーロゼッタ「とりあえず、今回の所はー。
         水中経路はやめておいた方が無難そうなのー。
         うまくやればアクションポイント稼げたんだけどー。

         まあ、そんなわけで、こんどは1人で――
         普通に陸路を、自分なりに走り切ってほしいのー。
         まだ2周目は続いてるのー」

ファイアロゼッタ「そうでしたそうでした!はやく走り切らなければ!
         時間を大幅にロスしてしまいました、急がないと!
         ――――『スイマー』、案内ありがとうございました!」

スイマーロゼッタ「どういたしましてー」ニコニコ

健康状態が良好となったので、ふたたびコースに戻って走り始めます!

632Mii:2021/08/10(火) 09:54:14 ID:VfyrD.AE
〜32分後〜

ファイアロゼッタ「…ゴール!まあまあ疲れました……」キキーッ

オーロラロゼッタ「おめでとー☆42.195kmを80分かあ、まずまずだね!
         がんばればもっともっと短縮できるはずだよ!
         基礎体力レベルの低い私たちが言うのは失礼かもしれないけど☆」

ファイアロゼッタ「体を凍えさせながら全力疾走して、その仕打ち…
         …いえ!そもそも私は一体どうして42.195kmも走って…!?
         まさか操られて…?本当に何をしたのですか!」

ハロウィンロゼッタ「まあ、それはそれとして」

ファイアロゼッタ「置いておかないでください!」

私を無視して話を進めることに少し慣れてきましたが、「ハロウィン」の態度は相変わらず。

そんな彼女に手招きされて、どこからか新たな人物が現れました。男性のようです。
なにか大きな箱を抱えて、ブツブツ言いながら近づいてきます。
な、なんだか影を抱えていますね。振り回されているのでしょうか、私みたいに。



ファイアロゼッタ「は、はじめまして」

「……………………ああ」

ややぶっきらぼうな態度。一体何者なのでしょう。
さすがに敵とかではないと信じたいですが。状況的に。

633Mii:2021/08/10(火) 09:57:44 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「あの、この方は一体、どういった方なのですか?」

するとハロウィンは、ぱちくりまばたきして、ちょっと思案して。
彼のそばに駆け寄り、殊更に明るい表情になって、言いました。

ハロウィンロゼッタ「ダーリンです」

ファイアロゼッタ「ダーリンさんですか、それはそれはってえええええええええええええええええ!?」

え?ええ?えええええ!?寝耳に水にも程があるんですけれどっ!!

ハロウィンロゼッタ「おかしいですか?」

ファイアロゼッタ「…………そ、そうですよね。いくら私と瓜二つっぽくても、夢の中といえば夢の中。
    彼氏がいることくらい、有り得る話ですよね。驚きすぎました」

一体、彼とどんな邂逅があったのか知りませんが。
いえ、そもそも夢の中のそんな設定など、それこそ何の根拠も理由付けも要りませんね。

ファイアロゼッタ「で、では。その、貴方にとって、ダ、ダーリンである彼について。
        うう、聴く方が恥ずかしくなってきます…。改めて詳細なところを紹介して――――」



オーロラロゼッタ「ふふっ!ちなみに、私にとっても彼はダーリンだよー」

スイマーロゼッタ「右におなじくー」

ファイアロゼッタ「ちょっと待ってええええええぇぇぇ――――!?
         なんでそんなインモラルな関係が構築されているんですかぁ――――っ!?」

634Mii:2021/08/10(火) 10:03:35 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「ちなみに、貴方にとってもダーリンだったりしますよ」

ファイアロゼッタ「」

ファイアロゼッタ「」

ファイアロゼッタ「それはいいい一体どういうことですかわけがわかりません正しい王国の言葉で
         話してもらいたいものですねそれとも私の耳が腐ってきたのでしょうか脳が理解を
         放棄していますああもしかして3人とも彼の毒牙に掛かってあるいは催眠にでも掛
         かって服従を誓わされているとかそれで今度は私を巻き込もうとしているのですね
         なんということでしょう一刻も早く助け出さなければなりませんああでも3人が抗え
         なかったからには私も回避の術も自信もありませんもしかして絶望が待っているの
         でしょうか急ぎ夢から目を覚まさなければ一体何をどうすればいえちょっと待ってく
         ださいもしかしてもしかするともしかしなくてもこれは未来視というやつで将来の私
         のパートナーだったりするのでしょうかいえでもですね今の私にはそんな気も覚悟
         も心の準備もまるでできていなくてですね刺激が強すぎてどうにかなってしまいそう
         ですとりあえず失礼かもしれませんが一旦ここはお帰りになって頂いてですね気持
         ちを整理してしっかり心持が定まったら改めてこちらから声を掛けさせていただきま
         すのでどうかお待ちいただけないでしょうか申し訳ございません私もその時になれ
         ば少しはマシな挨拶と落ち着いた言動ができることをここに宣言しておきますから
         何卒、何卒誠に恐縮ですがよろしくお願い申し上げま――――」

スイマーロゼッタ「というより、誰にとってもダーリンなんだけどねー」

ファイアロゼッタ「――――はい?」

ハロウィンロゼッタ「以上、ダーリンもとい『ダークリンク』を使った会心のドッキリでした」

ファイアロゼッタ「ちょっとキレてもいいですか!?喧嘩なら買いますよ!?」

635Mii:2021/08/10(火) 10:06:28 ID:VfyrD.AE
オーロラロゼッタ「私は止めようとしたんだよ!でもハロウィンがどうしてもって☆」

スイマーロゼッタ「だーかーらー、焦りは禁物なのにー」

ファイアロゼッタ「貴方たちも同罪です!」

ダークリンク「さっきから黙ってりゃ、人をダシにして遊ぶなコノヤロウ!」イラッ

ロゼッタ「ご、ごめんなさい!
    …ちょっと待ってください。どうして私だけ謝るのですか。
    貴方たちも謝って下さいよ。理不尽なことこの上ありません」



ダークリンク「チッ、めんどくせぇ。…まあいい、俺は俺の仕事をする。
       お前、42.195km走り切ったんだな?そら、20ルビーやるよ」

ファイアロゼッタ「あ、ありがとう、ございます…?」



ファイアロゼッタは 20『ルピー』 手に入れた!▼



ファイアロゼッタ「…あれ?ルビー?ルピー?ルビーって赤色のはずですよね…?
         これ、思い切り緑色なんですけど…?というより、
         これってルビーじゃなくて、ハイラルの代表通貨であるルピー…………」

ダークリンク「…………」ズーン

636Mii:2021/08/10(火) 10:09:59 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「そこは突っ込んではいけません。どのみち使用してしまえば同じことです。
          何せ、彼は――――



          ルビーとルピーっていう詰まらない繋がりだけで
          わざわざスレ主から『夢の中のイベント管理者』という…
          他に話の広げようもない、地味な出番を貰ってしまった不運な方なので」

ファイアロゼッタ「」



ダークリンク「こんなのってないぜ…スレ主張っ倒してやる…!串刺しにしてやる…!
       リンクの野郎が他所の王国に出張中、ゼルダその他は掃討戦に大忙し…
       だからって残り物の俺を、関連性のへったくれも見出せない、
       こんな意味不明なところに釘付けにするとか。ガノンも引く人権侵害っ…!

       リンクがハーレム状態だからって俺も適当にロゼッタに囲まれとけ、
       みたいな馬鹿な発想してたりしないだろうな…!
       こんな役、チンクルにでも任せとけよ…クソが…!」イライラ



ファイアロゼッタ「」

ハロウィンロゼッタ「ダークリンク、本題に移りましょう」

637Mii:2021/08/10(火) 10:12:07 ID:VfyrD.AE
ダークリンク「…はいはい。俺もこんな仕事さっさと終わらせてぇよ。
       で、今しがた渡した20ルピーを使うとだな。
       こちらの箱から、玉が沢山入ったクジを4個引くことができるんだな。
       白玉がハズレ、赤玉が当たり。

       クジの総数は…そう、97個。
       当たりは、たったの1個だ。分かったら、さっさと4個引いてくれ。

       ちなみに夢ならではのご都合主義、完璧なブラックボックスで、
       のぞき込んでも何も分からないし空間魔法でも内部を解析できない。
       ズルをしようとしても無駄だぞ」

ファイアロゼッタ「それはまた、当選確率が低いですね…まあ、やってみましょう」



クジを引く理由、および当たった時の効果もサッパリですが、
「やって貰いたいこと」の一部なのでしょう。断るのも馬鹿らしいです。



1個目。…………白、ハズレ。
2個目。…………白、ハズレ。
3個目。…………白、ハズレ。
4個目。…………白、ハズレ。



4個目を引く直前に、格好を付けてちょっと時間を溜めてみましたが、
案の定、全く効果なし。まあ、予想通りの結果でしょう。

638Mii:2021/08/10(火) 10:14:02 ID:VfyrD.AE
ダークリンク「…………チッ」

ハロウィンロゼッタ「…………はぁ」

オーロラロゼッタ「ざーんねん!」

スイマーロゼッタ「がっくりなのー…」

ファイアロゼッタ「この結果が一番確率高いのに、そこまで非難される筋合い無いんですけど!」

もうちょっと私のやる気を引き出す努力をしてくださいよ!まったくもう!

ハロウィンロゼッタ「…こうなっては仕方がありません。それでは、今から――――」

ファイアロゼッタ「…今から?」









ハロウィンロゼッタ「このコースを2周、全力疾走してきてください」

ファイアロゼッタ「」

どういう訳か、夢の中。
長い、ながーい旅路のスタートです。

639Mii:2021/08/10(火) 10:15:58 ID:VfyrD.AE
訳が分かりません。
全く訳が分かりません。

ファイアロゼッタ「嫌です!さっき走ってきたばかりなのに!賽の河原の石積みですか!
         鬼ですか、悪魔ですかっ!ですから、勝手に自分で走って来れば――――」

ハロウィンロゼッタ「――――『無性に42.195km走りたくなる魔法』!!」ポワワワワーン

ファイアロゼッタ「デジャヴ――――!?…ぐ、ぐ、ぐぐぐぐぐう…!!

         ああ、あああ、あああああ!はやく走りたい!走らなければー!!」ダダダダダ



ハロウィンロゼッタ「頑張ってください」ヒラヒラ

オーロラロゼッタ「貴方ならきっとできる!」

スイマーロゼッタ「千里の道も一歩から、なのー」



ダークリンク「…………」

BOXの中身が 強制リセットされた!▼



ダークリンク「さて、何時までかかることやら」

640Mii:2021/08/10(火) 10:18:31 ID:VfyrD.AE
〜60分後〜

ファイアロゼッタ「はあっ!はあっ!2周、走り切りましたよっ!…つ、疲れすぎです…!」

スイマーロゼッタ「そう言いつつ、まだまだ余裕はあるよね、凄いのー。
          しかもしっかりタイムを縮めて来てるのー!」
   
ダークリンク「おつかれさん。お前、42.195km走り切ったんだな?
       そら、20ルビーやるよ」

ファイアロゼッタ「…ぐっ、またデジャヴ…ということは…?」

ロゼッタは 20『ルピー』 手に入れた!▼

ダークリンク「…はいはい。俺も同じような事思ってるよ。
      で、今しがた渡した20ルピーを使うとだな。
      こちらの箱から、玉が沢山入ったクジを4個引くことができるんだな。
      白玉がハズレ、赤玉が当たり。

      クジの総数は…そう、97個。
      当たりは、たったの1個だ。分かったら、さっさと4個引いてくれ。
      
      ちなみに夢ならではのご都合主義、完璧なブラックボックスで、
      のぞき込んでも何も分からないし空間魔法でも内部を解析できない。
      ズルをしようとしても無駄だぞ」

ファイアロゼッタ「ハズレクジがもとに戻ってます!?」

周りの3人から、無言の圧力。引けば、引けばいいのでしょう!?

641Mii:2021/08/10(火) 10:20:33 ID:VfyrD.AE
1個目。…………白、ハズレ。
2個目。…………白、ハズレ。
3個目。…………白、ハズレ。
4個目。…………白、ハズレ。

今度は毎回、ちょっと時間を溜めてみましたが、
案の定、全く効果なし。まあ、予想通りの結果でしょう。

ダークリンク「…………チッ」

ハロウィンロゼッタ「…………はぁ」

オーロラロゼッタ「ざーんねん!」

スイマーロゼッタ「がっくりなのー…」

ファイアロゼッタ「ですからっ!その反応は絶対におかしい!
         この結果が一番確率高いのに、そこまで非難される筋合い無いんですけど!」

ハロウィンロゼッタ「…こうなっては仕方がありません。それでは、今から――――」

ファイアロゼッタ「……………え、ちょ、ちょっと待ってください、あの?」





ハロウィンロゼッタ「このコースを2周、全力疾走してきてください」

ファイアロゼッタ「誰か助けてっ!!」

642Mii:2021/08/10(火) 10:22:46 ID:VfyrD.AE
ぶっ通しで走り続けることは、無理難題とわかりました。体力が持ちません。
頑張れば、2周60分は、まあ安定。そのたびに60分休むことにしました。
休む時は、座り込んで、ただひたすらに休みます。



…ええ。こんな計画を立てなければならないほどに――――
サイクルが、延々と繰り返されます。――――延々と。そう、延々と。



〜6サイクル目 走破!〜

ファイアロゼッタ「もう250km以上走って…ます…」グッタリ



これは、もう、あれですね。
当たりをなんとか引かないと、半永久的に走らされるループ仕様のようです。
まったく、末恐ろしい悪夢です。

夢から醒めるのを待った方がいいのかも…と思ったこともありましたが。
『スイマー』から、

    『こちらでミッションを達成するまでは、現実世界の貴方は…
    易々とは起きない仕様になってるのー。むしろ強引に起こされると魂が抜けるのー。
    時間の進み方は違うけど、早くしないと、周りが大騒ぎ、貴方も不幸になるよー?』

という、笑っていられないトンデモナイことをのほほんと宣告されたので、
ただひたすらに走って走って走って…!走るしか、選択肢が、ありませんっ!

643Mii:2021/08/10(火) 10:25:45 ID:VfyrD.AE



    『ちなみに、この夢の世界の14日間が、現実でいう1日に相当するのー。
    つまり、こっちで14時間経つと、現実では1時間経ってるのー』



疲れ果てたまま寝始めた、そのことは周りも知っているので。
現実世界でいうと、8時間なら寝続けても余裕でしょう。
10時間でも、多分放置される。大丈夫。

…12時間も眠りこけると、流石に不審に思われて、無理やり魔法で覚醒させられるかも。
スイマーの言ったことが本当ならば、周りを悲しませ、私も不幸になります。



ファイアロゼッタ「…つまり、最長でも7日間くらいしか猶予がありません…」



2時間ごとにクジを引く。
睡眠や食事は本質的に不要な空間とのことですが、それらを全て切り捨てたとしても――
最大で、1日12回が限度。単純計算で、理論上は84回引けます。
…すでに6連敗しています。

期待値としては、これだけ引けば…相当高い確率で当たる、はずですが。
なにぶん、私は運に見放されがちなので。当たるまでは安心できません。
おまけに、疲労蓄積によるサイクル遅延も無視してしまっています。

644Mii:2021/08/10(火) 10:28:17 ID:VfyrD.AE
    『あと、大事なことー。
    この夢の世界では残機制度が働かないのー。



    それだけじゃなくて、回復魔法が  使 え な い のー!



    アプリゲームならではのダメ要素なのー!スタミナ制、無駄に再現するなんてー!
    よりにもよって、このアプリに関してはスタミナ制じゃないのに、ひっどいのー!
    自然回復に任せるしかないから、HPの管理と怪我の回避には本当に気を配って―!』



ファイアロゼッタ「……もう。意味不明な単語もいくつか出てきましたが――
         現実世界でも、回復も無しにここまで走りつくす人は…そうは、居ませんよ…………」



6敗目のクジを目の当たりにしたダークリンクが、
疲れ果てた私を眺めて呆れた顔をしています。





ダークリンク「…………………」

645Mii:2021/08/10(火) 10:34:00 ID:VfyrD.AE
〜その頃、遠い土地〜

リンク「料理番任せちゃって悪いな、ルキナ。それじゃ、いただきます」

ファイ「いただきます」

ルキナ「いえ、このくらいさせてください、リンク様。
   間違っても料理上手なんて豪語はできませんが…」

リンク「…その『リンク様』って、やめない?」

ルキナ「いいえっ!このような状況になったからには、下につく者として、
    マルス様やアイク様に劣らぬ敬意は当然払ってしかるべきと考えます!」

リンク「…やれやれ、堅苦しいなあ…それ、直してけよ…?とりあえず食べるか。
   はは、俺なんか基本『採ったまま』か『丸焼き』の料理素人だから、俺よりは絶対に上手いって」

ルキナ「全く自信がありません…。
    そういえば、ファイ様と、何を話されていたのですか?伺ってもよろしいですか?」

リンク「いや、そのな?進軍計画を議論してたんだ。俺としては、こんなシナリオを描いてる。

   まず、元凶のギムレーを『速やかに』ぶっ叩く。敵軍の士気もガタ落ちになるしな。
   居城を完全制圧したら、そこから徐々に手を広げて安全地帯を増やす。
   自衛できるくらいの味方を集めて配置して、拠点を盤石にする。
   あとは、遠方に出征して残党も迅速に撃破する」



ルキナ「…素晴らしいシナリオだと思います!」パアァ

646Mii:2021/08/10(火) 10:36:18 ID:VfyrD.AE
リンク「そこまで素晴らしくはないんだよなあ…。

   このあたりの村々に寄り道すれば助けられる命を、
   最速でギムレーの所に向かうがために拾い逃すことがある、かもしれないぜ?

   全体としては被害を一番抑えられるからっていう…
   俺としても苦渋の決断だ。ルキナはそれでも納得するか?」

ルキナ「…はい。大丈夫です。よろしくお願い致します」

リンク「ルキナの知識と記憶によれば、ここからギムレーの本拠地まで、
   直線距離でざっと700km…道なりに進めば1000kmほどあるんだよな?」

ルキナ「はい。通ったことのある道ですし、方角も大体のことはわかっているつもりです」

リンク「…モグ。うん、食べられる食べられる。旨いぞ。
   それでさ、ファイとの打合せで、ギムレーの所に直行するとこまでは、
   問題なく意見が合致したんだけど。ファイが、ルキナの体力を考慮せず、



   『明日の朝一に出発して夕方にはギムレーを討ちましょう』



   とかいうもんで」モグモグ

ファイ「申し訳ございません、思慮不足でした」

ルキナ「」

647Mii:2021/08/10(火) 10:39:01 ID:VfyrD.AE
ルキナ「え、ええ!?そ、そんなの無理です!」

リンク「だろだろ?だから、なんとか俺がファイを説得して大幅に遅らせたよ」

ルキナ「ホッ…どんな強行軍になるのかと…ペガサスでもなければとても無理――
   いえ、それ込みでもとても――――」



リンク「そういうわけで。

    明日の朝一に出発して明後日の朝日と共にギムレーを討とう」

ルキナ「」



リンク「だから、早めにゆっくり休んで明日に備えてくれな。
   最悪、ルキナが嫌がろうと俺が無理やり背負って連れてくぞー。
   体を密着させるのが嫌ってんなら、頑張って厚着しておいてくれー」

ルキナ「」

ルキナ「」

ルキナ「お、お待ちください!リンク様!
   恐れながら、1日、2日でたどり着ける距離ではありません!

   接敵への対処で手間取ることも考慮するならば、
   せめて2週間くらいは所要時間を見た方がっ!」

648Mii:2021/08/10(火) 10:42:11 ID:VfyrD.AE
リンク「え、なんで?

   俺、その気になれば悪路だろうと……
   特に副作用や反動もなしに、時速150kmくらいでまる1日走り続けられるぞ?
   ルキナを背負って、安全面のケアを欠かさないとしても時速100kmは堅い。
   街中でやると、家屋やら道やらズタズタにして周囲からキレられるけど」

ファイ「私はそこまでの高速移動はできませんが、
   ネオ・マスターソードに宿っていれば全くの無問題なので…」

ルキナ「」





ルキナ「……せ、せめて…3日掛けて、くださいませんか…?」プルプル

リンク「その1日の差で、ギムレー軍の被害を被る奴が増えるかもしれないぞ?

   ホントのホントに強行軍で行くなら、それこそ筋肉痛覚悟で…
   ルキナのことをファイに任せて、この瞬間に俺一人で時速300kmで駆ければ
   今日中にカタを付けることもできなくはないんだよ。…道に迷わなきゃ、うん。
   流石にぽっと出の俺1人でそんなことしたら大顰蹙だからやらないけど。

   そっから比較すると、さすがにこれ以上ノロノロ進軍するのはなぁ」

ファイ「マスターのMAXスピードは、ソニックには劣りますがマリオ以上、
   堂々の世界二位設定です」

649Mii:2021/08/10(火) 10:44:27 ID:VfyrD.AE
ルキナ「…時速、300、きろ?…ノロ、ノロ?」



ルキナ「…………」

ルキナ「………………………………ガンバリマス」



リンク「よし、決まり。明後日はどうやってギムレー倒そっかなー。
   この王国内だと耐久力が反映されちゃうから、剣を使うのは論外だな。
   ギムレーなんぞにそんなコストを支払うのは勿体ない。

   面倒だから普通に殴り飛ばして…いや、その辺の石ころで…」

ファイ「また私の唄で消し去るのは如何でしょう」

リンク「それもいいな。……あ、でもそれだと
   『ルキナにトドメの一撃を任せて溜飲を下げる』ことができないな、
   ホントに一瞬で消し炭になっちまう。ちょっと考えさせてくれ」

ファイ「わかりました、期待しておきます」フフッ



ルキナ「え、え、えええええ?冗談、です、よね?そうだと言ってください!」アゼン

650Mii:2021/08/10(火) 10:47:42 ID:VfyrD.AE
〜ロゼッタの夢の中〜

ダークリンク「…そんな馬鹿なら、案外いるかもしれないな」ボソッ


ファイアロゼッタ「…ダークリンク?何かおっしゃいましたか?」

ダークリンク「…いや、何も」



…おっと、彼のことを気にしている余裕なんてありません。
休むことに専念しないと。

ダークリンクにはのぞき込まれないよう、ドレスをほんの少しめくって。
酷使している自分の脚を、見やります。…ちょっと熱を持っている、程度。
ガタガタ震えて動きが鈍ってきたこともなければ、腫れていることもなく。
ねん挫や骨折をしているわけでもありません。

回復魔法なしで250km以上走ったにしては、意外なほどに…持っています。
Lv50間近にまでのし上がってきたらしい、基礎体力の賜物です。
かつての私からすると信じられない光景で、ちょっと嬉しい。



ファイアロゼッタ「ですが…84セット、フルで走ったとしたら…ええっと…
         ……さ、3500km以上ですか、うわあ…………絶対無理な気がしてきました」

651Mii:2021/08/10(火) 10:49:43 ID:VfyrD.AE
…気の滅入る発想はやめておいたほうが良さげです。
ちらりと、『ハロウィン』、『オーロラ』、『スイマー』の方を見やります。



オーロラロゼッタ「クリスマスが〜今年も〜やってくるぅ〜☆
        コインボックスに喜ぶ〜みなの懐、痛めながらぁ〜☆」ネッショウ

ハロウィンロゼッタ「運営さん、Trick or Treat!
           …間違いました。Trick or Ticket!
           …またまた間違いました。――Trick or UR Ticket!」エイショウ

スイマーロゼッタ「15時更新、お仕事ちゅうー。帰ってさっそく、記録かくにーん。
          勝っていても気を抜くなー。追い抜かれてたら追い抜き返せ―!
          でもでもぉ、無理と悟ったら大人しく寝るの―!…ぐぅ――」スリープ



ファイアロゼッタ「いい加減に理解できる会話を聞きたいです…」



ため息付く私に頷き返してくれたかのように。
不本意に首に付けられてしまっている首輪が、コトリ、と小さな音を立てました。
…別に外れてくれたわけではないですけれどね。
ちょっと首輪に触れてみて―――ふたたびため息ついて。



さあ、続きをやっていきましょうか。

652Mii:2021/08/10(火) 10:51:55 ID:VfyrD.AE
〜10サイクル目 走破!(約420km)〜

ファイアロゼッタ「……まだまだ、当たりは遠い感じですね、とほほ…………」ガクッ



――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ!















ハロウィンロゼッタ「…それにしても、暇ですね」

オーロラロゼッタ「何か遊んでおこっか〜☆」

スイマーロゼッタ「Zzz・・・」コックリ コックリ

653Mii:2021/08/10(火) 10:57:37 ID:VfyrD.AE
〜16サイクル目 走破!(約675km)〜

ファイアロゼッタ「…………さす、がに。足腰が、きつく、なって、きました。
         やはり、理想通りには、いきま、せん…………」フラッ

――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ!

ハロウィンロゼッタ「1番、ハロウィンロゼッタ、物真似やります。
           『この面汚しめ』と侮蔑の形相で目前の相手を見下す、バケーションピーチ姫!」ハッ!

スイマーロゼッタ「わ、迫真の演技!怖い、怖すぎる顔なのー!」ビクッ

オーロラロゼッタ「よりにもよって、清楚系のバケーションピーチ姫が
         誰相手だろうとそんな顔する訳ないよ〜☆名誉棄損〜☆」



ハロウィンロゼッタ「ただし目の前にいるのは探検家ピーチ姫とする」

オーロラロゼッタ「それなら納得ですね」マガオ

スイマーロゼッタ「探検家ピーチ姫が何をやったっていうの!風評被害なの!」ガーン!

ハロウィンロゼッタ「ちなみにスレ主は、マリカツに限っては。派生数が多い=CPU妨害が目に付く、
          おまけに悪役or黒色でイメージに合うわけでもないのにボム兵キャノン持ちの影響で…
          誰かをリストラしなければならないと運営に言われたら
          クッパ7人衆でもなくそのほかのクッパ軍の人気低めの誰かでもなく
          即答で『マリオかピーチをリストラして』と答えます」

スイマーロゼッタ「」

654Mii:2021/08/10(火) 11:00:59 ID:VfyrD.AE
〜24サイクル目 走破!(1000km突破)〜

ファイアロゼッタ「…………まずい、まずいです、タイムがみるみる落ちてきました。
         試行回数が狂ってきてしまいます、どうにかしない、と…!
         で、も、脚がぁ…!!期待値的には当たってもよくなってきた、のに…!

         …駄目です、よね。ここまでで当たっていたら運が悪いとは言いません。
         ふふ、分かっていましたよ、ふふふ……はあああああぁ……」

―――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ! ――ハズレ!





スイマーロゼッタ「――――リイィィィーーッチ!!」ドンッ!

ハロウィンロゼッタ「…………ぐっ!?…………これは、通るっ!!」バチッ





スイマーロゼッタ「…………ふーっふっふっふ。
         ――――その『トゲゾーの甲羅』、貰いーなの!出た、一発ロンッ!!」ジャラッ

ハロウィンロゼッタ「…え゙」

オーロラロゼッタ「あ、やっちゃった☆」

655Mii:2021/08/10(火) 11:04:08 ID:VfyrD.AE
スイマーロゼッタ「リーチ一発で二翻!
          緑甲羅、赤甲羅、ハテナボックス+の『三暗刻』で二翻!
          さらに『甲羅三色』で二翻!
          さらにさらに、現状1位のハロウィンに最下位からトゲゾー牌でトドメを刺した『下剋上』で一翻!」

ハロウィンロゼッタ「ああああああ……あっという間に最下位に転落…
           くっ、なんとか盛り返さないと…!!」



スイマーロゼッタ「…………何を言っているの?」

ハロウィンロゼッタ「…………はい?」

スイマーロゼッタ「さらにさらにさらに、ハテナボックス+は『1牌あたり二翻』だから
         六翻追加で役満なの。ハロウィンが断トツの最下位で終局なの」

ハロウィンロゼッタ「」

オーロラロゼッタ「」

スイマーロゼッタ「ダッシュリングやアイスフラワーごときと一緒にしないでほしいのー」



ハロウィンロゼッタ「…………」ボカボカボカボカ

オーロラロゼッタ「…………」ゲシゲシゲシゲシ

スイマーロゼッタ「痛い、痛いのー!?冗談、冗談なの!」

656Mii:2021/08/10(火) 11:08:14 ID:VfyrD.AE
〜28サイクル目 走破!(約1180km)〜

ファイアロゼッタ「脚が…重い、です…へとへと…!なんとかしたいぃ…!
         なのに、全然、進展してくれない…!」

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!

ハロウィンロゼッタ「思えば、私たちって…物凄く優遇されていますよね」

オーロラロゼッタ「どういうこと〜?」

ハロウィンロゼッタ「考えてもみてください。

          スレでもまさに取り上げられているロゼッタツアーで
          満を持してファイアロゼッタとメタルマリオをリセマラゲット、
          手に入るルビーを片っ端から後半ドカンにつぎ込んで私たち3人をゲット。

          ニューイヤーツアー後半ドカンでURマリオを効率的にゲットでき、
          アーバンスタイルドカンでほどなく探偵ベビィロゼッタが手に入り、
          通常ロゼッタ・ベビィロゼッタはゴールドパス等で自然入手。
 
          ちゃんと計画を立ててさえいれば、
          ゴールドパス以外は無課金でも、かなりの高確率で…
          ほんの数か月で全ロゼッタが揃い、副産物でかなりのマリオも揃い、
          おまけにログインボーナスが豪華な期間をしっかりと味わえる。

          ご存知の通りスイマーに集中投資しておけば
          それだけでスコアが初心者と思えないほど鰻登りになり、
          更には戦力が高まってきたころにトータルポイントチャレンジ等の
          利便性の高いミッションが開始されたという」

657Mii:2021/08/10(火) 11:18:40 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「スレ主も思う存分あやかったみたいですが、
           怖くなるくらいの至れり尽くせりっぷりではないですか?」

スイマーロゼッタ「確かに、キャラの中で一番…
         控えめに言ったとしても、マリオの次くらいには優遇されてると思うのー!
         取り立てて嫌われるスペシャルスキルもないのー。

         ファイアロゼッタは『ロゼッタ(ファイア)』表記じゃなくて
         しっかりとモデル確立しているのも隠れた評価点だし、
         このスレを作ってた影響でさっさとLv.6にしてみたら…
         どういう風の吹き回しか、思いのほか痒い所に手が届く最適性だったの!

         よりにもよって忍者道場と野球場に貰うとか、このスレを製作者が見てるんじゃないのー?」

オーロラロゼッタ「まっさかー☆」

ハロウィンロゼッタ「ふふ、でも恵まれているのは確かですね」









オーロラロゼッタ「でもロゼッタプラネットの適性についてだけは一言――」

ハロウィンロゼッタ「それは禁句です」

658Mii:2021/08/10(火) 11:21:16 ID:VfyrD.AE
〜32サイクル目 走破!(約1350km)〜

ファイアロゼッタ「はぁ、はぁっ…また、げき、てきに、タイムが……脚の動きが、おか、しい…!
         このまま、…はぁ、行くと…はぁ、脚、壊れ、ます…!
         や、休む時間、90分…いえ、120分に伸ばし、ましょう…はぁっ!

         ずる、ずる、伸びて…96時間も、ここまでに使ってしまったのです、か!?
         もく、ひょう、64時間、なの、に…!大変なビハインド、ですっ!!

         現実時間に換算して…ほ、ほぼ7時間も経ってしまいました…!!」



――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!



――――――――当たり!



ダークリンク「――――おっ!」

ハロウィンロゼッタ「――――っ!!」

オーロラロゼッタ「――――ああああっ!それって!」

スイマーロゼッタ「わあ――――」

ファイアロゼッタ「――――――――え?」

659Mii:2021/08/10(火) 11:22:56 ID:VfyrD.AE
どうせ外れるものと早合点して、碌に確認もせず引いたクジ。
その、4個目に引いたクジは――――



それまで散々引いてきた白さなど、まるでなく。
綺麗な綺麗な、赤色をした玉でした。



ファイアロゼッタ「これって――――まさか――――」



突如として、私の体に異変が。
天空から、玉と同じく赤色の光が、避ける間もなく、私に祝福として降り注ぎ。



ポンッ!!



ファイアロゼッタ「わ、いきなりビックリしました――――
         って、あれ?首輪が、無くなってます!」



首元から――散々嫌がっていた首輪が、真っ二つに切断された状態で、
がっしゃんと地面に落ちました。

660Mii:2021/08/10(火) 11:24:37 ID:VfyrD.AE
パチパチパチパチ・・・・!!

一拍おいて、周りの皆さんが、拍手で私を迎えます。



ハロウィンロゼッタ「おめでとうございます。ミッション完遂、お疲れさまでした」

オーロラロゼッタ「凄く頑張った!褒めてあげてもいいよ!
         それとも賛美のダンスを踊ってあげようか☆」

スイマーロゼッタ「長い、長い旅だったの―!やきもきさせるだなんて、悪い子なのー。
        でもでも、本当におめでとうなのー!」

ダークリンク「…はあ、ようやくお役御免か。まあ、運が悪いと言ってた割には、
       そこそこの回数で終えられたんじゃないか?」

ファイアロゼッタ「はぁ、はぁ…あ、ありがとう、ござい、ます――――!」

そもそも、この苦行が始まった理由も分からずじまいですが。
なんとか無事に終えられたようで、よかったです――!



ハロウィンロゼッタ「…………それでは。…うん、許可が下りていますね。
           ――――それっ!!」パアアアアアア



目の前に、光り輝く扉が、現れました。

661Mii:2021/08/10(火) 11:26:31 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「今の状態なら、貴方は支障なく元の現実世界に戻れます。
          さあ、扉の先の通路を、振り返らず走り抜けてください。
          精神疲労は少しあるでしょうが…夢から醒めることができますよ」

ファイアロゼッタ「――――はいっ!えっと、色々ありましたけど、お世話になりました!
         ちょっとは筋力が付いてくれていると嬉しいですね、夢の中ですけど!」

なんだかんだ、体感で4日間も一緒にいたので、ちょっと情が湧いた気がします。
でも、夢の中ですから。私の脳波次第で、なんだってありじゃないでしょうか。

ファイアロゼッタ「また、いつかお会いしましょう!それでは!」



ハロウィンロゼッタ「――――――――ええ、そうですね」

オーロラロゼッタ「――――――――また会える日、楽しみに、してるよ」

スイマーロゼッタ「――――――――もちろん、なのー!健康には気を付けるの―!」



少し後ろ髪引かれながらも、私は――――その場を後にして扉を潜って。



ばたん、と扉を閉めて、前を見てみれば。
わあ。光り輝く通路が、私の通過を心待ちにしています。

私は、迷いもくれずそのまま――――

662Mii:2021/08/10(火) 11:28:39 ID:VfyrD.AE
ハロウィンロゼッタ「――――――――――――」

スイマーロゼッタ「――――――――――――」

オーロラロゼッタ「――――――――――――――――」フラッ



ファイアロゼッタが駆けて行ってから、1分ほど、経過したか。
糸が切れたかのように、『オーロラ』がその場に、へたり込む。

ダークリンク「…おいおい、大丈夫かよ」

オーロラロゼッタ「…うん、大丈夫」

ハロウィンロゼッタ「――――――――『オーロラ』…」

オーロラロゼッタ「ねえ、みんな。

         私、ちゃんと…笑えてたかな?」



この声は、さっきまでとは…打って変わって、震え声。

スイマーロゼッタ「うん、最後がほんのちょっと怪しかったけど、大丈夫だと、思うのー。
         よく頑張ったのー。よく堪えたのー」

オーロラロゼッタ「――――――――そっか。そっかあ。――――よかった、な」

663Mii:2021/08/10(火) 11:30:15 ID:VfyrD.AE
ポタリ。ポタリ。

オーロラロゼッタ「――――あ、れ。
         どうして、わたし、泣いてるん、だろう」ポロポロ

ハロウィンロゼッタ「…………泣いても、いいんですよ?」

スイマーロゼッタ「そーなの。むしろ泣くべきなの。
         本体が生還できたからって、私たち自身がどうでもいいなんて…
         そんな達観、する必要は――どこにも、ないのー」

オーロラロゼッタ「――――っ!―――――――うわあああぁぁぁぁ…」ポロポロ



すすり泣きはやがて号泣へ。
『ハロウィン』と『スイマー』が、優しく『オーロラ』を抱き止める。



オーロラロゼッタ「――――――――死にたく、ない、よぉ」ポロポロ

ハロウィンロゼッタ「――――――――まったく、です、ね」

スイマーロゼッタ「――――受け入れがたい、苦難、なの…」ションボリ

ダークリンク「…………」

ハロウィンロゼッタ「…あ、関係のないダークリンクは大丈夫ですよ。
         普通に『本体の覚醒』と同時に元の世界に戻れますから」

664Mii:2021/08/10(火) 11:32:31 ID:VfyrD.AE
ダークリンク「…あ、ああ。だが何とも後味の悪い結末、だよな。
       前もって聞かされてはいたけれどよ。

      そんなに辛くて悲しいんなら、本体に言えばよかったじゃないか。
      『どうかもっと苦労して、私たちを助けてください』って」

オーロラロゼッタ「…そんな、こと、言えない、よぉ」

ダークリンク「じゃあ、せめて真実を伝えるくらいの努力はしろよ。一瞬だろ?
       結局、本体自身、相当に悔やむんじゃないのか?
       …まあ全てを闇に葬るつもりなんだろうが」

スイマーロゼッタ「そんな酷な話、絶対に伝えられないの―…」



ハロウィンロゼッタ「そうですよ――――いくらなんでも。

          『このまま本体が覚醒したら、首輪が締まって私たちの命が事切れる』

         なんてこと、伝えられるわけ、ないじゃないですか。
         伝えたら最後、どんな行動に出るか、分かるでしょう?

         所詮私たちは、夢の産物。命の優先順位は、はっきり、させておかないと」

ファイアロゼッタ「私はそういう考えは嫌いです。大嫌いです!
         命の貴賤なんて悲しいこと言わないでくださいよ…」

ハロウィンロゼッタ「そうは言っても、これは譲れない所なので
          どうか分かって頂けないで、しょう、か…………?」

665Mii:2021/08/10(火) 11:34:19 ID:VfyrD.AE
オーロラロゼッタ「……………………??」

スイマーロゼッタ「……………………???」

ダークリンク「……………………????」





ファイアロゼッタ「……………………………………」ニコッ





4人「「「「…………………………………………」」」」ダラダラダラダラ





ファイアロゼッタ「とりあえず。まずは一言。



         ――――全員、正座しなさいっ!!!!!!」

ダークリンク「何で俺まで!」

666Mii:2021/08/10(火) 11:36:15 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「何か、おかしいと思ったんですよ、全くっ!
         私にも付いていた首輪と同じ首輪をしていて、
         私の首輪が当たりを引いたとたんに砕け散るってことは、
         何か別の『当たり』によってそれらも解除できるんじゃないかって!
         …いえ!解除しないと、大変なことになるんじゃないかって!

         ちょっと、懐を改めさせてください!はい、Trick or Treatですよっ!」

ハロウィンロゼッタ「……ああっ!?なん、です、か、いきなり…!」ヒュッ

オーロラロゼッタ「……きゃっ!?」ヒュッ

スイマーロゼッタ「…ちょ、ちょっと、何するの―!?この人、痴漢なのー!
          基礎体力レベル差の暴力なのー!!」ヒュッ



ファイアロゼッタ「……こんなことだろうと、思いました」ガシッ



3人からそれぞれ奪い取ったもの。



『ハロウィン』からは、ちょっぴり怪しげな紫の。
『オーロラ』からは、凍てつくほど冷たさを感じる青色の。
『スイマー』からは、透き通るような清らかな水色の。

明らかに白くはない、綺麗な綺麗な、玉でした。

667Mii:2021/08/10(火) 11:40:06 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「私を帰らせることを最優先にした結果――――

         どういう原理かは相変わらずさっぱりですが、
         自分たちの当たりクジ、あらかじめ、抜いておいたんですね。
         総数97のクジとか、いかにも中途半端です」



ダークリンク「…おっといけねえ。

       今更ながら、注意です。本当に、正真正銘の注意です。
       スレ内で取り扱う『クジ』は、その構成、キャラ確率などが、
       実際のアプリの内容とは…それはそれは大きく異なります。

       『どのURロゼッタも同時に1%ピックアップか!』と信じた結果生じた…
       皆様の懐事情や友人関係への一切の損害についてスレ主は責任を取りません。
       くれぐれも、あらかじめご了承ください。楽しくドカンしようぜ!

       …まあ、ツアー期間はとっくに終了してるけどな!」



スイマーロゼッタ「…………そ、それ、どうする、の?」

ファイアロゼッタ「決まっています!ダークリンク!クジの箱を貸してください!」

ハロウィンロゼッタ「――――だ、駄目っ!!」

ハロウィンに、これからやることをなんとなく悟られましたが、関係ない!
そこには歴然たる体力差、私を止めることなんてできないですから!

668Mii:2021/08/10(火) 11:42:38 ID:VfyrD.AE
『ハロウィン』の制止も難なく振り切り。ダークリンクから箱をひったくって。
確保したばかりの3つの玉を、箱の中に強引に放り込んで――――



ファイアロゼッタ「えい、やああああああっ!!」



箱ごと砕けよとばかりに、あらんばかりの力をもって、地面に叩きつけました。



ぐしゃりという不吉な音と共に、中の玉が大量に零れ出します。
3人が息を呑むのがわかりました。
じっと私を見つめる、最後の1人に問いかけます。



ファイアロゼッタ「ダークリンク!イベント管理者とかいう、よくわからない役職の貴方に問います!
         このクジの取り扱いは、不正行為に相当しますよね!」

ダークリンク「……ああ、そうだな。それでは処置を言い渡す。

      ――――先刻のクジの結果、無効!――――最初からやり直し!
      クジの構成内容に変更あり!――クジの総数、100!――当たり、4!」

BOXの中身が 強制リセットのうえで再構成!▼

3人「「「!?」」」

669Mii:2021/08/10(火) 11:45:02 ID:VfyrD.AE
ファイアロゼッタ「よしっ!予想通りです――――うぐっ!」

クジの結果が無効となり 再び首輪に囚われた!▼



ファイアロゼッタ「…………これでいいです、うん!」ブルブル

唖然としたままの3人。

さあ、時間の猶予など、これっぽっちも…ありません!



ファイアロゼッタ「さあ!もうひと頑張りしてみますか!よーい…どんっ!」ダッ!

ハロウィンロゼッタ「――――!!無茶ですっ!!無茶すぎますっ!!
          4個中4個を当たりにするなど、貴方でなくても不可能です!」

オーロラロゼッタ「…………そん、な――――」

スイマーロゼッタ「…………こうなること、わかってたのー」

ファイアロゼッタ「そんな境遇を。そんな理不尽さを。――そんな泣きそうな顔を。
         ――――放って、見過ごしてしまえるわけ、ないでしょうがあああぁぁ――!!」



「唖然」が「絶叫」に変わっても、私の想いは変わりません!
新たな思いを背負い、再びコースを走り始めますっ!

670Mii:2021/08/15(日) 19:56:29 ID:yi3EbC9s
去りゆく背中は、すでに遠く。



ダークリンク「…………ははっ」

ハロウィンロゼッタ「何が。…何がおかしいのですか!」

ダークリンク「いや、そりゃあな。あいつ自身が貧乏クジの塊みたいな行動選択をしているのに、
       よりにもよってあいつが一番諦めずに頑張ってんだ。なのに、観てるだけのお前らが投げ出すのが滑稽で」

オーロラロゼッタ「滑稽…って…………!私たちの気も、知らないでっ!!」

ダークリンク「そいつは、偉い御身分からの大層な逆恨みだな。
       正直なところな。俺は御免被りたい。終わったと思ってた面倒事が延びたんだぜ?
       冗談じゃねぇやと言いたい。あいつに割と腹を立ててる。

       でもよ、お前らだけは応援してやらなきゃ駄目だろ。
       『あいつ』は『お前ら』で、『お前ら』は『あいつ』なんだから」

ハロウィンロゼッタ「―――――――――っ!!」

オーロラロゼッタ「――――――――っ!」

スイマーロゼッタ「――――なんだかちょっとカッコイイと思っちゃったのー。
         一生の不覚―。ダークリンクの癖に生意気なのー」

ダークリンク「剣の錆にするぞこのアマァ!」

スイマーロゼッタ「もっちろん海女なのー!」

671Mii:2021/08/15(日) 20:04:08 ID:yi3EbC9s
〜33サイクル目 走破!(約1390km)〜

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!

ファイアロゼッタ「うぐぅ…」

ハロウィンロゼッタ「……ほら、みなさい」

スイマーロゼッタ「……」

オーロラロゼッタ「…………どうしようどうしよう」



〜34サイクル目 走破!(約1430km)〜

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!

ファイアロゼッタ「ダメですか…」

ハロウィンロゼッタ「……本当に、貴方、大変なことをしたのですよ!」

スイマーロゼッタ「……まったくなのー」

オーロラロゼッタ「…………」グズッ



テーレッテレー!
(ファイア)ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.47に 上がった!▼

672Mii:2021/08/15(日) 20:08:46 ID:yi3EbC9s
〜35サイクル目 走破!(約1480km)〜

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!

ファイアロゼッタ「な、なんてことないです!」ダラダラ

3人「「「……」」」




〜36サイクル目 走破!(約1520km)〜

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――青玉!  ――ハズレ!



オーロラロゼッタ「――――っ!!」パリーン! ガシャーン!

オーロラロゼッタの 首輪が 外れた!▼



ファイアロゼッタ「あ!やった!ひとつ外せました!」

ハロウィンロゼッタ「どこがですか!当然リセットですからねっ!」

スイマーロゼッタ「なんにも解決してないの!」

オーロラロゼッタ「…わあ…これが首輪が外れた…解放、感…」ウツロ

673Mii:2021/08/15(日) 20:11:22 ID:yi3EbC9s
〜37サイクル目 走破!(約1560km)〜

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!

ファイアロゼッタ「…あ、うん。別に当たり出すとか、ないですよねー。ははは」



ハロウィンロゼッタ「笑っている場合ですか!!」ボカッ!

スイマーロゼッタ「このバカー!!」バシッ!

ファイアロゼッタ「痛くないけれど心が痛い!!」





オーロラロゼッタ「」





オーロラロゼッタは 動く気力が 残っていない!▼



ファイアロゼッタ「」

674Mii:2021/08/15(日) 20:15:30 ID:yi3EbC9s
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・



〜41サイクル目 走破!(約1730km)〜

――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!



ファイアロゼッタ「………………………ちょっと、きゅう、けい」バタッ



このままだと、いくら足掻いても、やっぱり、駄目。
なにか、策を、かんがえ、ないと…!



ファイアロゼッタ「…………長めに…6時間だけ、休ませて、くだ、さい」

ハロウィンロゼッタ「…はい」



半ば、諦めてしまったような顔の3人から…眼を逸らすような形で、
汗びっしょりのまま、ゴロンと横になりました。

675Mii:2021/08/15(日) 20:22:09 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「……………………」



窮地に陥った時、私はこれまでどのように解決してきましたっけ。
仲間がいるならば土下座してでも頼ればよいのですが、あいにくそれは難しそう。



…ああ、そうだ。久しぶりに禅問答でもやってみましょう。



疲れ果てつつ、大の字に寝ころんだままで。

――――なるべく、呼吸を、ゆっくり、ゆっくりにしていきます。
――――目を閉じて、心落ち着かせて――――



ファイアロゼッタ「……………………」スゥッ



――――問題は、なにか。



当たりが4個ある100個のクジから4つ引いて、全て当たりにするという、
超低確率の前にまるで歯が立たない。

676Mii:2021/08/15(日) 20:28:14 ID:yi3EbC9s
――――問題は、なにか。



当たりを覗き見することも、ハズレを当たりと偽ることもできない。
そもそもの「首輪を外すために当たりクジが必要」という所からしておかしい話だが、
この前提を覆すことは…この夢の世界では出来ない模様。理不尽さを嘆くのは後にするべき。



――――問題の噛み砕き、実行。



当たりを4個とも引くには、取り出し個数が4個というのは少なすぎる。
どうにかしてこれを緩和し、たとえば「8個までOK」となれば、
チャレンジ数が増えるほど、成功率は劇的に、指数関数的に変わってくる。



――――問題の噛み砕き、実行。



そもそも、取り出し個数は何によって決まるか?
…そう。コースを2周し、42.195km走り切ると、ルビー20個が与えられ、結果的に
クジ4個分の取り出し権が得られるらしい。全く意味がわからないが、そういうものだと飲みこんでおく。
更に、あくまで私が走り切らないとクジを引く権利は得られない様子。

なら、この権利を溜め置いて、一気に使うことはできないか。

677Mii:2021/08/15(日) 20:32:25 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「…………………………………………そうだ!
         あ、あの!ダークリンク!ちょっとよろしいですか!

         たとえば、まとめて50周走ってからクジを引くことにして、
         通常の25倍である100個引きをするというのは可能ですか!?」

瞬いた名案に、思わず体を起こして問いかけます。
これが可能なら、問題は一気に解決に向かうはず!



ダークリンク「駄目だ」

…あっさり却下されました。



ダークリンク「…俺も、脳内に叩き込まれたルールを参照するしかない立場なんだが。
       あくまで42.195km以上走り切った報酬として、ルビーが与えられ、
       クジを引く権利が与えられるらしい。『42.195kmごとに』じゃない」

ファイアロゼッタ「え、えっと。それでは…そもそもの対価であるルビーをストックしておけば…
         500ルビーまとめて使えば、問題ないですか?」

ダークリンク「それも駄目だ。42.195km再び走り出そうとクジ箱から離れるたびに、
       残しておいたルビーは自動消滅する。ストックは効かないそうだ」

ファイアロゼッタ「そんなあ…」ガクッ

消沈して、ふたたび大の字に寝転がる。…………八方塞がり、ですか。

678Mii:2021/08/15(日) 20:39:36 ID:yi3EbC9s
――――問題の噛み砕き、再開。



つまり、42.195km走り切った段階で、ルビーをどうにかして大量に確保しなければならない。
しかし、ルビーを大量に確保したかったら、その分、42.195kmという距離をたくさん走らなければならない。ああ矛盾。



ファイアロゼッタ「……………………」



ファイアロゼッタ「……………………猫の手も借りたいです…」



ファイアロゼッタ「……………………」







ファイアロゼッタ「……………………………………ちょっと、待ってくださいよ?」



一か八か、妙案を思いつきました。

679Mii:2021/08/15(日) 20:41:50 ID:yi3EbC9s
宣言通り、十分休んで、体力を回復して。
起き抜けに、溌剌とした声を、頑張って張り上げます。



ファイアロゼッタ「――――――――実分身《リアルアバター》っ!!」

ハロウィンロゼッタ「…え!?」



ボカン! ボカン! ボカン!



とりあえず、頭の中で計画を立てた、おためし実験ということで。
分身体を3人、出現させてみせました。



ファイアロゼッタ「2人は私に付いて、一緒に42.195km走り切ってください!残る1人は待機でお願いします!」ダダッ

ファイアロゼッタ(分身体1)「はい、わかりました!」ダッ

ファイアロゼッタ(分身体2)「さっさと走りましょう!猶予が有りません!」ダッ

ファイアロゼッタ(分身体3)「お待ちしております!」

当然ながら、私の分身体たちは「私の意図」をしっかり理解。
素早く行動に移ってくれます。さあ、本当に急ぎましょう!!

680Mii:2021/08/15(日) 20:47:14 ID:yi3EbC9s
〜42サイクル目 走破!(約1770km)〜

ファイアロゼッタ「…ふう、休んだおかげで…それなりに余裕がありますね。さて、と」


待機していた、3人目の分身体と合流。そして、何を思ったか、私。



ファイアロゼッタ「あの、『オーロラ』。技量に不満かもしれませんが、彼女らと踊ってあげていただけますか?」

オーロラロゼッタ「…え、えええ?べ、別に、いいけど…何のために?時間が、勿体ない…」



目を逸らして、気まずそうに、怖気ている『オーロラ』を強引に呼び込んで。
音楽など掛かっていませんが、小さなダンスパーティの開幕です。
そう、自分を大きく鮮やかに表現するのが、なにより『オーロラ』らしい。

…さすが『オーロラ』、脚の運びが見事です。非の打ちどころがありません。
くるくる回って、ステップ踏んで、アクロバティックに飛び跳ねて。まさに踊り子といった感じです。

分身体たちは、それに比べると動きがなんとも粗いですが、楽しそうに踊っています。
…そう。1人は『オーロラ』と一緒に、残る2人も組になって。



ハロウィンロゼッタ「……いい光景ね」

スイマーロゼッタ「皆、とっても輝いてるのー!」

681Mii:2021/08/15(日) 20:50:57 ID:yi3EbC9s
最初は、後ろめたさか何かで表情が優れなかった『オーロラ』も。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、ダンスにノッてきたのか、明るい表情になってきました。躍動感が増していきます。
ならば負けじと、『オーロラ』に比べて基礎体力で優れる分身体たちも、それに追随。
ナチュラルに組替えをしていきながら、踊り、踊り、踊り尽くします…!!



15分ほどの宴が、無事に終了しました。



オーロラロゼッタ「――はあっ!――はあっ!――はあっ!…………とっても楽しかったぁ☆みんな、ありがとう!!」

ファイアロゼッタ(分身体)「いえいえ、こちらこそ!」

ファイアロゼッタ(分身体)「本当に楽しかったです!」

ファイアロゼッタ(分身体)「ここまで踊りに酔いしれるとは考えてもみませんでした!」



皆、とてもいい笑顔。企画した甲斐があったというものです!
…まあ、一旦それは、おいといて。



ファイアロゼッタ「それでは、踊りに惚けていたダークリンク。クジを引きたいのですが、構いませんか?」

ダークリンク「…はっ!?惚けてないし!勝手な事言うんじゃない!
       ほら、さっさとルビーを俺から貰ってクジを引けよ。いつまで待たせるつもりだ」

682Mii:2021/08/15(日) 20:53:31 ID:yi3EbC9s
言われた私は、さっそくルビー20個を貰いました。
ただ、クジを引く前に…ちょっと聞いてみます。

ファイアロゼッタ「あのー。あとルビーを20個貰いたいのですが、特例とか認められませんか?」

ダークリンク「認められるわけないだろう、馬鹿」

ファイアロゼッタ「馬鹿とは酷いですね…」

すごすごと引き下がって…………では、テスト開始です。



ファイアロゼッタ(分身体)「では、私もついでにルビーを――――」

分身体の1人がルビーをついでに貰おうとしたところで。
ダークリンクが、たちまちその腕を掴みます。

ダークリンク「駄目だ。お前にルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ(分身体)「え?そ、そこをなんとか――――」

ダークリンク「駄目ったら駄目だ」

ファイアロゼッタ(分身体)「…はい、わかりました」シュン



1人目、許可されず。

683Mii:2021/08/15(日) 20:55:46 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ(分身体)「それでは、私ならどうでしょう――――」

別の分身体がルビーを貰おうとしたところで。
ダークリンクが、再びその腕を掴みます。

ダークリンク「駄目だ。お前にルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ(分身体)「しょうがないですね…」シュン



2人目、許可されず。



ファイアロゼッタ(分身体)「では、今度こそ――――」

最後の分身体がルビーを貰おうとしたところで。
ダークリンクが、みたびその腕を掴みます。

ダークリンク「駄目だ。お前にルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ(分身体)「ちょっと、冷たくないですか?もう…」シュン





…………3人目、許可されず。――――結果、全滅。

684Mii:2021/08/15(日) 20:58:58 ID:yi3EbC9s
スイマーロゼッタ「なんだ、そういうことをやりたかったの…?でも、見事に無駄に終わっちゃったの…」

ファイアロゼッタ「いえ、もうちょっとだけ足掻いてみましょう」

スイマーロゼッタ「…え?」



……そう。もうちょっとだけ、テストは続いているのです。



ファイアロゼッタ「ところでダークリンク。私は全然余裕なんですけれど…
         貴方、分身体3人の区別って、付いていますか?」

ダークリンク「…なに?」

彼は、つい先ほど順番に会話をした3人を見やります。
ただでさえ外見が同じ上に、ダンス中に頻繁に位置替えを繰り返しました。
まず間違いなく、断言できるまで分かっているのは私だけです。

ダークリンク「いや、さっぱりわからん。それがどうかしたか?」

ファイアロゼッタ「いえいえ、その回答で十分です。
         貴方は、どの分身体が『42.195km走らなかった分身体』か、断言することができない。
         つまり、貴方の主観で、分身体たちに…何かしらの待遇差を、
         付けることはできないとみてよろしいんですね?」

ダークリンク「…?そういうことになるな?」

685Mii:2021/08/15(日) 21:02:10 ID:yi3EbC9s
さてと、仕掛けは済みました。ここからが…本番。
唐突に。私は、分身体の1人を消し去り、経験値を「還元」します。

ファイアロゼッタ(分身体)「後のことは任せましたよ!」シュウ・・・

ファイアロゼッタ「任されました!」

ダークリンク「!?」

ファイアロゼッタ「さてさて、それではいい加減クジを引きたいのですが、その前に。
         私に追加のルビーを下さいな」

ダークリンク「あのなあ!さっきから言ってるが、そんなこと、できるわけないだろう!」



ダークリンクはそう捲し立てて――――――――





――――――――私に、20ルビー差し出したのでした。



ダークリンク「全く…で、今しがた渡した20ルビーを使うとだな。
       こちらの箱から、玉が沢山入ったクジを4個引くことができ――あれ?」

――――第一関門、突破です!!

686Mii:2021/08/15(日) 21:06:01 ID:yi3EbC9s
ダークリンクが激しく混乱していますが。クジを引くのを更に待ってもらって、第二の作戦。
残った分身体のうち更に1人を、同じように還元します。…その結果。



ファイアロゼッタ「はい、追加で20ルビーくださいな」

ダークリンク「駄目だ。追加でルビーを渡すことは許可されてない」

ファイアロゼッタ「ですよねー。さっきの分身体は42.195km走ってないですもん」

ダークリンク「な…」

ファイアロゼッタ「つまり、今の私は、『42.195kmを2重に走った私』として
         判定を受けているみたいですね」

ダークリンクの意思とは別の、超越的な判断から、分身体の走破フラグまで認識されたうえで、
ルビーが貰えるかどうかが決まるみたいです。掻い潜り甲斐がありそうです。

では、今度こそクジを引いてみましょう。



――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!
――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!  ――ハズレ!



ファイアロゼッタ「あちゃあ…相変わらずというか、なんというか…」

687Mii:2021/08/15(日) 21:08:59 ID:yi3EbC9s
さて、それでは最終テスト。

最後に残っていた、「42.195km走り切った分身体」を還元します。
これで、今の状態としては「42.195kmを3重に走った私」扱いになるはずですが…?

ファイアロゼッタ「ぐっ…脚が…!…さてさて。追加のルビーを貰えるはずですよね?」





ダークリンク「駄目だ。追加でルビーを渡すことは許可されてない…え、そうなのか?」





オーロラロゼッタ「え、どうして!?」

ハロウィンロゼッタ「何故…!?」

スイマーロゼッタ「頭がこんがらがってきたのー!」

ファイアロゼッタ「…………」

ファイアロゼッタ「試しておいて、よかったあ…!!」ホッ!



そして、今さらながら、我慢していた脚の痛みに…倒れ込んだのでした。

688Mii:2021/08/15(日) 21:13:39 ID:yi3EbC9s
結論その1。

分身体にもコースを走らせて、クジを引く前に経験値を還元しておけば…
ダークリンクの拒絶とか非難とかは関係なく、その分だけ、追加のルビーが手に入り、
結果としてクジを沢山引くことができる。

ただ、クジを引く権利とともに肉体負荷までまるごと引き継ぐので、
一度に還元しすぎると最悪…脚への負担が一気に跳ね上がって大ダメージ、再起不能になる。



結論その2。

一旦クジを引き始めると、その時点で新たにルビー報酬を受け取る権利を失う。
後付けでクジを引く回数を増やすことはできない。

要するに、「クジを引き切った、当たらなかった、もうちょっとルビーを足そう」という
チマチマとした日和見の安全策が使えない。
最初から、最終的に引きたいクジ数に相当する分身体を一度に還元し、
ルビーを大量確保しておく必要がある。



皆に解説したのは、ざっとこんな感じです。たぶん、合ってる、はず。





ファイアロゼッタ「…ということで、このクジには…苦しむこと必至ながら、単純明快な必勝法が有ります!」

689Mii:2021/08/15(日) 21:25:23 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…………必勝法!?」

オーロラロゼッタ「…………ほんとうに!?」

スイマーロゼッタ「どんなのどんなの!?」

ファイアロゼッタ「ズバリ!分身体を24人作って、私含めた25人全員で42.195kmを走り切り、
        経験値を全て私に還元して、クジを4×25で…100個分、箱の中全てを一気に引けばよいのです!」

3人「「「おおおお――――っ!」」」

ダークリンク「…ずるくね?…あ、いや、なんでもないぞ。そんな目で見るな、睨むな」

感心する3人。これは私も自画自賛したくなるナイスアイディアです!
…ん?3人が感心すること自体が自画自賛なんでしょうか?ややこしいですね。

オーロラロゼッタ「…で、でも、それって。脚は…脚は、大丈夫なの?負担が集約されて大変なことに…」

ファイアロゼッタ「ふふふ、大丈夫ですよそのくらい」

オーロラロゼッタ「そうなんだ、よかった〜☆」



ファイアロゼッタ「ちょっとバキボキっと原型留めないくらいに複雑骨折して、
         骨が飛び出ちゃったりして、周囲を赤く染め上げるかもしれませんが、
         まあ数時間くらいは絶命しないでしょう。クジは引けます」

オーロラロゼッタ「全然だいじょばない!?」ガーン!

690Mii:2021/08/15(日) 21:34:09 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…あの、そもそも24人も…分身体を作れるのですか?」



――――痛い所を衝かれました。



ファイアロゼッタ「…そこがネックなんですよね。今まで目一杯頑張って、最高で11人ですから…。
         あのときはアドレナリンがドバドバ出ていたので気にも留めませんでしたが、結構、魔法回路が飽和状態でした。
         まあ、その時の感覚からするに、ちょいと分身体の出来を落とせば…きっとなんとかなるでしょう」

というより、なんとかしなくてはありません。魔法レベルの成長はほぼない状態ですが…!
体力的にも、時間制約としても、ラストチャンスに近い状況です…!



ダークリンク「あ、ちなみに『450ルビーあれば100個引けるんじゃね?』
      ……っていうツッコミはなしな。この夢の中に10連ドカンとかないから」

スイマーロゼッタ「融通利かないの」ボソッ



ファイアロゼッタ「それでは、改めて最後の休憩を行い、できるだけ万全の状態から作戦を開始したいと思います」

スイマーロゼッタ「勝っても、負けても、最後、なの…」

オーロラロゼッタ「……………………がんばって」

691Mii:2021/08/15(日) 21:37:13 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…一つ、忠告しておきますね。

          その作戦を実行し、貴方が助かると知れた段階で。
          私たち3人の中から『救いの手から漏れる者』が居たとしても――

          今度こそ、そこで終えて、元の世界に戻ってもらいますから」

ファイアロゼッタ「――――え?」



ハロウィンロゼッタ「……あまりにも未練がましい、その時は――――
          私が代表して、責任を持って――――




          救いの手から漏れた者の首を掻っ切ります。…諦め、つけてもらいます」



ファイアロゼッタ「そんなこと――――」ギリッ

ファイアロゼッタ「そんな、こと――――」ギリリ





――――絶対に、させませんっ!!

692Mii:2021/08/15(日) 21:40:35 ID:yi3EbC9s
休憩、終了。スタミナ、回復。
回復魔法が使えないせいで完全回復ではさらさらないのが、ちょっと気懸り。

『ハロウィン』が。『オーロラ』が。『スイマー』が。ダークリンクが。
それぞれ私のことを見守ります。期待には、応えたい。

神妙に、両手を組み合わせて印を結び。――――全神経を集中させて……いざっ!!



ファイアロゼッタ「参りますっ!!
 
         ―――――――― 実 分 身 っ!!!」



ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!
ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!
ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!
ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!ボカンッ!



ハロウィンロゼッタ「お、おお!この数の分身体を、よくも見事に…!!」

オーロラロゼッタ「凄い!凄い!凄すぎるよ〜☆」

スイマーロゼッタ「さすがオリジナルなの〜!」

ダークリンク「――――こりゃあ、壮観だな、おい」

693Mii:2021/08/15(日) 21:43:13 ID:yi3EbC9s
ちょっと1人1人の出来は悪いですが…分身体、見事に作成完了!いい感じですっ!
我ながら、惚れ惚れしますねっ!走り切るくらいまでは余裕で持つでしょう!
さあ、ここから反撃!そのまま終止符を打ってしまいましょう!



ファイアロゼッタ「さあみんな!しっかり42.195km走り切りますよ!
         ゴールは目の前です!私たちの勝利が近付いていますよ!
         ――――心の準備は…よろしいですかー!」



ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おーーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」







ハロウィンロゼッタ「…………む?」

オーロラロゼッタ「…………あれ?」

スイマーロゼッタ「…………ひい、ふう、みい…」



3人「「「――――!?」」」

694Mii:2021/08/15(日) 21:50:53 ID:yi3EbC9s
スイマーロゼッタ「ちょ、ちょ、ちょっと!!ちょっと待つのっ!
         ファイア、分身体が23人しかいないのっ!1人足りないの!!」

オーロラロゼッタ「ね、ねえ!あと1人くらい、ちゃんと増やしてからにしよう!」

ファイアロゼッタ「え?あ、本当です…!それでは、えいっ!」





ぽすんっ。

【ERROR! キャパシティオーバーです!】





ファイアロゼッタ「…………あ、私の魔法制御限界でこれ以上増やせないっぽいです。
         まあ、ただでさえ超高難易度の魔法なので仕方ありませんね。
         幾ら私の魔法レベルが高くても厳しいということでしょう。

         でも、私より格段に魔法レベルが低いタブーにはできたのに。
         がん細胞みたいに悪人化すると増殖制約が無くなる…?」ブツブツ

ハロウィンロゼッタ「…まさか…全体人数が4の倍数にしかなれないというマリオゲーの呪縛……!?」

オーロラロゼッタ「」

695Mii:2021/08/15(日) 21:56:21 ID:yi3EbC9s
スイマーロゼッタ「だ、だったら考え直すの!保留にするのっ!私たちが悪かったから!
         何か別の案を探してみるの!1人でも引けなかったら後悔するんでしょ!?」

ファイアロゼッタ「まあ、いくら私の運が悪くても大丈夫ですよー!なんといっても、これで…
         100個のクジから96個も引けるんですよ?勝ったも同然ではないですか!」

スイマーロゼッタ「あああああ!?嫌な予感がするの!オチが見えたのー!!
         ハロウィン!オーロラ!ファイアを、本体を止めるのっ!」

ハロウィンロゼッタ「もちろんっ!」

オーロラロゼッタ「あたりまえだよねっ☆」



ファイアロゼッタ「…………くどいっ!!」バッ!!

妙に心配性が過ぎる3人に必死に抱き着かれつつも、
体のバネだけであっさり振りほどいてしまいます。身体能力差万歳。

ファイアロゼッタ「行ってきまーす!!」ダダダダダッ!

ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――――ゴー!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」ドドドドドドド・・・



3人「「「」」」チーン

ダークリンク「」

696Mii:2021/08/15(日) 21:59:01 ID:yi3EbC9s
〜 1人+23人、まとめて走破っ!! 〜

ファイアロゼッタ「――――走り、きり、ましたっ!」

ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――――とうちゃーく!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

3人「「「――――」」」

ファイアロゼッタ「…………すぅ、はぁ。深呼吸して、痛みの覚悟決めて――――
         ―――――――――――――――――全員、経験値、還元っ!!!」

ファイアロゼッタ(分身体)×23
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――――それっ!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

流れるように、分身体の皆が私にタッチしては消えて行き―――――――――



ファイアロゼッタ「――――――――はうっ」



ぐちゃっという不吉すぎる音。
一瞬にして脚の感覚が消失し、前のめりになって顔面から倒れ込みました。



テーレッテレー!
(ファイア)ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.48に 上がった!▼

697Mii:2021/08/15(日) 22:03:18 ID:yi3EbC9s
3人「「「――――」」」ビクゥッ!



ファイアロゼッタ「―――――――――――――――――っ!あああああああっ!!!
         ――――――――あ、あの、い、ま。私の、あ、し。どう、なっ、て」ボロボロ

スイマーロゼッタ「…だ、だいじょうぶ!真っ赤なドレスのおかげで、そんなに血が目立ってない…気が、するの!
         具体的にはちょっとバキボキっと原型留めないくらいに複雑骨折して、
         骨が飛び出ちゃったりして、周囲を赤く染め上げて――――――――」

ファイアロゼッタ「やっぱり説明はもういいです!痛いっ!とにかく痛いぃっ!!」



とりあえず、この夢の中では、少なくとも。もはや私の脚は使い物にならなくなりました。
まさにラストランだったというわけです。

あ、そうか。今は残機制度が働かないから、特に精神が不安定になっているんですね。
タブー戦で学習しました。平時の切羽詰まった戦闘にも身を投じなければいけませんね。
涙堪えて…みることは無理っ!ですが、歯を食いしばって、痛みに耐えて、耐え続けます!



ファイアロゼッタ「…………る、ルビーを、わたしに、くだ、さい、な!」ドクドク
   
ダークリンク「…ほ、ほれ。480ルビー、やるよ。
      …しつこいようだが、45ルビーで10個分引くとかはできないからな。話の進行的に」

ファイアロゼッタ「なんですか、それぇ…………!」ドクドク

698Mii:2021/08/15(日) 22:08:16 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「…ほ、ほかの、事に意識を、傾け、ない、とっ!!
         痛みをいちいち、意識、して、たら、追いつかないっ!キリがないっ!
         そ、それでは、さっそくクジを引いていきましょう!
         幸先よく、1個目から当たったりして――――せーの!」ガシッ

わざわざ身を屈めて箱を傍に持ってきてくれたダークリンクに心の中でお礼を言いつつ、
震える手をのろのろと箱の中に投じ、ボールを1個、掴みますっ!それっ!



――――――――1個目、白玉。



ダークリンク「…箱を近づけた俺が言うのもなんだが…引き始めちまったか、もう俺も知らん。
       ここに箱置いとくぞ、勝手に引いてけ。俺はあっち行ってる」

ファイアロゼッタ「…………むむ、この、玉…ぱっと見で、白玉の、ようですが、
         よーく、見ると、うっすらと、水色っぽくありませんかっ?
         ひょっとして、『スイマー』の、当たりクジ――――」プルプル

スイマーロゼッタ「目の錯覚なの。御覧の通り、私の首輪もそのままなの」

ファイアロゼッタ「……………………フンッ!」ブンッ

ダークリンク「うおぉい!あっぶねぇ!どこ投げてるんだ!?」

ちょっとバツが悪くなって、および流血の痛みから目を背けたくて、
背後に広がるロゼッタプラネットのコースの方に思いっきりぶん投げました。
ほぼ寝そべりながらの手投げの割には、良く飛びましたー!

699Mii:2021/08/15(日) 22:13:28 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…………大人げない」



オーロラロゼッタ「さて…もう、あなたと一蓮托生☆」



スイマーロゼッタ「あとは野となれ山となれ、なの…」



ファイアロゼッタ「――――それだけ文句を言う元気が有れば、十分ですね。
         私が貴方がたを見事救い出す瞬間を、心待ちにしておいてくださいまし!」



ハロウィンロゼッタ「…貴方と心中ですか…それも、まあ、悪くは有りませんが――――」

ファイアロゼッタ「心中とは失礼な!気を取り直して、気持ちゆっくり――――



        さあ、どんどん引いていきますよっ!!」バッ!



私には、明るい未来が見えています!4人で喜び笑い合う、そんな未来が…!!

700Mii:2021/08/15(日) 22:18:06 ID:yi3EbC9s
〜 2時間後 〜



ファイアロゼッタ「……………………」



1分間に1個くらいの、贅沢に時間を使ったクジの引き方。
体力が徐々にすり減り、動きが鈍くなっていくのですから、仕方ありません、ね。

…もとい。なかなか当たらなくて、少し冷や汗かいてきて、慎重に引くようになっていったので、仕方ありません、ね。

とはいえ、100個のうち96個引けるという、圧倒的有利な物量攻めの威力は絶大。
そして、とうとう…4個の当たりクジが。…赤と、紫と、青と、水色の、真ん丸な玉が。見事に集ったのです―――――!!





レアリティごとの残数:
        ウルトラレアピックアップ・・・4/4
        ウルトラレア       ・・・0/0
        その他          ・・・0/96

……………………もともと100個の玉が入っていたらしき、BOXの中に。



ファイアロゼッタ「                 」

701Mii:2021/08/15(日) 22:22:00 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「                 」

スイマーロゼッタ「ふわああああぁぁぁぁ…!!す、凄いのっ!!!
         こ、こ、これは感動ものなのっ!奇跡なのっ!!
         96個も引いて、全てのハズレクジを引き切るだなんてっ!!
         神懸かってるとしか言いようがないのっ!!悪運ここに極まれりなの――――っ!!!」

ハロウィンロゼッタ「そんなこと言って感動している場合ではないでしょうが――っ!!」

オーロラロゼッタ「あ、あ、ああああああ…」マッサオ

ダークリンク「マジか。これ、最初の4個引きで当たり4個全部かっさらう確率と一緒だぜ」

ファイアロゼッタ「」

ファイアロゼッタ「」



ファイアロゼッタ「    」サァッ

とんでもないことを、わたしは、やってしまいました。



ハロウィンロゼッタ「運がないのにも程が有りますよっ!どうしてくれるのですっ!?
          ああもう、色仕掛けでもなんでもしてあと4個引かせて貰いなさいよっ!」

ファイアロゼッタ「ふえっ!?」

702Mii:2021/08/15(日) 22:26:30 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「ななな、何をいきなり言い出すのですか!冗談はよして――――」



ハロウィンロゼッタ「…………そのくらい、そのくらい、我慢してでも――――っ!
          助かるのなら、どんなに、よかったこと、か――――」ポロポロ

ファイアロゼッタ「――――」



私の首元掴んで必死の形相でとんでもないことを言い出していた『ハロウィン』も、
10秒もしないうちに無駄だと悟り、力が抜けてしまいました。

私は自分の考えの甘さを呪います。『ハロウィン』の言葉は冗談なんかではありませんでした。
…いえ、色仕掛けでなんとかなるとか言われたらそれはそれで大問題なんですけどね!

もはや策なし…悲しみのあまり、彼女はへなへなと地に伏します。



ハロウィンロゼッタ「……………」グズッ

ファイアロゼッタ「…………あ、あの」

ハロウィンロゼッタ「…………」キッ

――パンッと。涙ぐんだまま、乾いた音の平手打ち。避けることができませんでした。
――あまり痛くはないのですが、心はとても痛いです。
――彼女も、せめて私だけはどうにか夢の世界から脱出させたいと必死なのでしょう。

703Mii:2021/08/15(日) 22:29:33 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「――――行きますよ」スクッ

ファイアロゼッタ「――――行くって、どこ、へ」ドクドク

ハロウィンロゼッタ「躊躇している暇などありません――――こうなったらっ、貴方を担ぎ上げてでも、
          コースを回らせて限界が来るまでクジを引き直させます。…諦めて、なるものですか」



――――それは、無茶すぎる。
――――仮に私を庇い、背負いつつコースを2周することが有効だとしても、
――――いったいそれにどれだけの時間がかかることか。



ハロウィンロゼッタ「さあっ!!一刻の猶予もありませんっ!2人ともっ!少しは手を貸しなさいっ!!」

オーロラロゼッタ「あ―――う、ん」

スイマーロゼッタ「…わかった、の」

――――『ハロウィン』のほかに『スイマー』と『オーロラ』が助太刀してくれたとして、
――――満身創痍の私が2周するのに、優に3時間は経ってしまうでしょう。
――――おそらく、それより前に――――出血多量でHPを刻一刻と失う私の命が、儚く消える。

――――そもそも、それでぎりぎり間に合ったところで、ルビーは20個しか集まらない。
――――つまりクジを引ける個数は再び4個に逆戻り。一方のBOX中身はリセットされている。

――――はっきり言って、絶望です。
――――結局、自分の運のなさを過小評価していた私が、全て悪かったのです。

704Mii:2021/08/15(日) 22:33:36 ID:yi3EbC9s
ファイアロゼッタ「でも――――ほかに、てが、ない」ドクドク

ハロウィンロゼッタ「そういう、ことですよ」

ファイアロゼッタ「すいません、ダークリンクさん!後生です、からっ!
         あと4個だけ!4個だけ、クジを、引かせてくださいっ!!」

ダークリンク「断る。今のお前はそのためのルビーを持ってない」

ファイアロゼッタ「です、よ、ね――――」ガクッ



悲しみの渦に包まれる私たち。ダークリンクすら、呆れた面持ちでこちらを見やります。

……って、呆れた表情?え?ダークリンクってこんなに薄情だったのですか!?
彼も本心では私を助けたいと思っている、みたいな考えは間違っていたのですか…!?しょ、衝撃、です…。



ダークリンク「…………」

自立できない私の体が、ゆっくりと3人の手によって持ち上がり。
脚の感覚がないせいで、千切れ落ちていたり、して。
血濡れが拡がることなんてみんな気にせず、ただ悲痛で死んだ目をして持ち上げられ。



このまま歩かれて行ったら、垂れる血が道を作っちゃう、なあ――――
そんな、とてもくだらなくて無駄が過ぎる現実逃避を――――

705Mii:2021/08/15(日) 22:41:42 ID:yi3EbC9s
ダークリンク「…そういうわけだから。とっととその――――
       20ルビーで、クジを4個引けよ。アンタ。やってることがまどろっこしいんだよ」ハァ

ファイアロゼッタ「――――はい?」



全然深刻そうにみえないダークリンクが、ある方向を向いて、訳知り顔。
意識朦朧としながら、私も、釣られて同じ方向に視線を投げました。



   「――――――――わっかりましたー!でも、やっぱりクジを引くのは『引くべき人』がっ!」



『ハロウィン』、『スイマー』、『オーロラ』も、今更ながら、気付いた。

誰かが、いつの間にか、傍にいた。
…そうか、クジを引くことに躍起になって、他のことにまるで気が付かなくて…!



ファイアロゼッタ「――――え?」

ハロウィンロゼッタ「な…………」

オーロラロゼッタ「…いったい」

スイマーロゼッタ「なんなの…………!?」

706Mii:2021/08/15(日) 22:47:43 ID:yi3EbC9s
口をポカンと開け、動揺するしかない私たちのもとに「到着していた彼女」は。
まだ軽く疲れたような雰囲気で、しかし表情は晴れやかで。

    「『ハロウィン』、『オーロラ』、『スイマー』・・・
    彼女たちが走ったところで、夢の世界の住人ということでマラソンを走ったことにはならない。
    でも…『自分自身』が走る分には、しっかりカウントされるんです!

    そして、『クジを引き切る前』になら、ルビーもしっかり貰えましたっ!
    これは盲点、思わぬ先入観というやつですね!」

ファイアロゼッタ「――――――――!!」

    「まあそれにしても…運よく、1個目に拾い上げてくれて、よかったぁっ!
    なん、とか!作戦を、投げ出される前に、走り切れてっ!!頑張りましたよっ!
    乱暴にポンッと投げられてタンコブができたことは大目に見てさしあげますっ!

    ――――――――――――――――そういう、わけでっ!!」ニコッ!









ロゼッタ(R)「私の分の、20ルビー……………………ミンナニハ ナイショダヨ!」ポンッ

ファイアロゼッタ「あ――――――――」キャッチ

707Mii:2021/08/15(日) 22:54:39 ID:yi3EbC9s
シュパッ――――――――!

彼女が光の粒となり、私の体に融け込んで――――――――



レベルアップ!!
(ファイア)ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv50に 上がった!
第一レベルキャップに到達! レベルが極端に上がりにくくなります!▼

ファイア状態時 ハイスピンジャイロファイアが 使えるようになりました!!▼



――――ひとまずの、強さの到達点に来た、感覚……これは!?



まじまじと、そのルビー(ルピー)を見て、ぎゅっと握り締めて。



ダークリンク「お前らがクジ箱の前でアタフタしてる間に、
       コッソリ近づいて驚く顔が見たかったんだと。困った奴だなあ。

       そんで、どうよ。クジ、引くか?」



ファイアロゼッタ「――――――――はい」

708Mii:2021/08/15(日) 22:59:20 ID:yi3EbC9s
1個目…………紫。天空から、玉と同じく紫の、『ハロウィン』への光の祝福。

ハロウィンロゼッタ「……ああ、これが――――」



2個目…………青。天空から、玉と同じく青の、『オーロラ』への光の祝福。

オーロラロゼッタ「…なんて、綺麗――――」



3個目…………水色。天空から、玉と同じく水色の、『スイマー』への光の祝福。

スイマーロゼッタ「…とてもやさしくて暖かい光なの――――」



4個目…………赤。天空から、玉と同じく赤の、私への――――フィナーレとなる、光の祝福。

ファイアロゼッタ「――――――――」



4人の、全員分の――忌まわしい首輪が。
がっしゃんと、地に落ちて…消えて行きました。
       
ファイアロゼッタ「――――――――や」

4人「「「「やったああああぁぁぁぁ――――――――っ!!!!」」」」

709Mii:2021/08/15(日) 23:02:20 ID:yi3EbC9s
私含めて、みんなして。わんわん泣きながら笑って、拳高く突き上げて。
気持ちが高揚したまま、抱き合って、4人仲良くハイタッチ!!
わわっ!気付いたら、脚のケガもいつの間にか完治していますっ!
ミッション完了のご褒美ってことですか、嬉しいです!

オーロラロゼッタ「…う、うわあぁぁーん!よ、よかった、よかったよぉ――――」ポロポロ

スイマーロゼッタ「一時はどうなることかと思ったの…ヒック」グズッ

ファイアロゼッタ「…ふふっ、だから何とかしてあげると言ったでしょう?」ジワァ

ハロウィンロゼッタ「…全くっ、ほんと、調子がいいのだから――――」ホロリ



ダークリンク「ははっ、ようやく俺もお役御免か」

ファイアロゼッタ「…あ、ダークリンク…………」

ダークリンク「――――よせやい。そういう目で見るな。
       単に暇つぶしに付き合ってやっただけだ、感謝の言葉なんていらねぇ」

ファイアロゼッタ「…………それでも。ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました」ペコリ

ダークリンク「…まあ、なんだ。1人じゃ無理な事でも、4人もいれば何とかなるもんだ。
      これからは精々助け合って生きていってくれ」

ファイアロゼッタ「――――はいっ!!」

彼はすっごく照れくさそうに、視線を横に反らしつつ。

710Mii:2021/08/15(日) 23:09:51 ID:yi3EbC9s
ダークリンク「そんじゃ、もう会うことも無いとは思うが…じゃあな」

少しずつ、体が透けて行って――――フッと、消えて行きました。
お役目御免というのは、どうやら本当のことだったみたいです。



ハロウィンロゼッタ「…はっ!まだ気を抜いてはいけません。
         いつ、現実世界の貴方がむりやり起こされるかわかりません。
         安全のため、一刻も早く現実世界に戻るべきです。

         ――――さあ、帰りの道を作りました。
         ――――今度こそ、振り向かずに通り抜けてください」パアアアァァ



『ハロウィン』が作り出したるは、
ベッドから起き上がり、仲間たちと再び会うための…光り輝く脱出口。
ええ、もう心残りは…ありません。

ハロウィンロゼッタ「では、もう…この長大な『ロゼッタプラネット』も、
          要らなくなりましたね。消しておきましょう――――
          …って、なんですその目は」

ファイアロゼッタ「…………い、いえ。特に支障がないなら、このまま私の夢の中に残しておけないかなーと」

夢の中に残したまま目を醒ますことで、また夢に出やすくなるのかな。
走り出した最初のころはなんでこんな目に遭うのかとゲンナリさせるばかりのコースでした。
…今は、ちょっと名残惜しい、記念に残しておきたいと思ったり。

711Mii:2021/08/15(日) 23:12:50 ID:yi3EbC9s
ハロウィンロゼッタ「…ふふ、それならば残しておきましょうか」

オーロラロゼッタ「4人の思い出のコースだもんね☆」

スイマーロゼッタ「それはグッドアイディアなの!」



こころが絆で温まる。とてもいい感じです。



ファイアロゼッタ「――――――――それでは帰りましょうか、現実世界へ。
         …というより、貴方たちは私が夢から醒めたらどうなるのです?
         もしかして、起きた私の周りにポカンと次々に現れて、
         これから賑やかな4人での共同生活が始まるとか…ですね?

         私もあんまり裕福ではないですが、というより絶賛借金返済中ですが、
         めげずにくじけずに一緒に楽しく暮らして――――」






ハロウィンロゼッタ「…ええ、そうですね」

オーロラロゼッタ「…そう、これからはずーっと一緒☆」

スイマーロゼッタ「しょうがないから、貴方のこと、陰ながら応援してあげるの―」


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