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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか、今度こそ」

1Mii:2020/12/13(日) 04:46:59 ID:9GX1QhWw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 【前々スレ】

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」【前スレ】

に引き続く続編となります。前々スレ、前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。
過去作を読まれていないと把握困難な設定、独自解釈が多々あります。

遅い進行のうえに寄り道万歳のスレですが、引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。

ラナ「たったーん♪たかたかた〜ん♪
  そのほか、いくつか注意点をお知らせするよー。

     ・スレ主の、基礎体力面での戦闘能力解釈は、ざっくり言うと…
      キャラとしての登場時期の早さと、登場回数の多さで大方決まるからね!

      マリオ、クッパ、リンクを『3強』と表現してるけど、たとえばクッパVSガノンドロフだと、
      クッパが欠伸しながらパンチを繰り出すだけでガノンドロフを一撃粉砕できるくらいの力量差があるよ!
      パーティゲームに参加しないから仕方ないってことで、うん。敵があっさりやられても嘆かないで…。
      リンクとの差が付いた理由は、前々スレを読めばわかる、のかなあ…?

     ・前々スレ・前スレ同様、いろんなパロディ、メタ発言が散りばめられてるよ!
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義が白けるなら
      急がず慌てず別のスレに移って、このスレのことは忘れよう!
      
     ・ようやくスマブラ編が完結して…マリオカート編にちょっとずつ戻っていくんだって!よかったよかった!」

シア(…………ちょっとずつ?)

512Mii:2021/08/01(日) 08:21:27 ID:1bf7iop2
リンク「それにしても、最後の最後まで料理がふんだんに…これ、残ってたら捨てられるのか?勿体ないなあ」

マリオ「そんな勿体ないこと、当然しないぞ。祝賀会のあと、給仕の人たちが打ち上げで消費してくれるし…
   それにこれから、一気に食ってくれる奴がいるからな」

リンク「…あ、いつもの大食いコンビね」

クッパ「それは違うぞ。ヨッシーとカービィには別口で、料理が既に用意されているのだ」

リンク「…じゃあ誰が食うんだ?」

マリオ「おいおい、前回大会のこと忘れたのかー?」

リンク「前回大会…?たしかあの時は――――

   優勝者のマリオが、優勝祝いとか称して周囲から無理やり
   大皿料理をぐいぐい口の中に詰め込まれて地獄絵図に――――

   ――――――――えっ」

マリオ「…………」ニヤリ

クッパ「…………」ニヤリ

リンク「ちょ、ちょ、ちょっと待った!まさか俺が食うのか!?
   無理無理!結構この1週間食い続けてるんだ!これ以上無理――――」

マリオ「うおーーーーす、みんなー!時間的にも頃合いだ!
    俺とクッパがリンクをがっちり抑えとくから、
   片っ端から料理を食わせてけー!盛大に優勝者を祝ってやるぞー!!」

513Mii:2021/08/01(日) 08:23:47 ID:1bf7iop2
リンク「おいやめろ!こんな古臭いパワハラ演芸会イベントなんか止めちまえ!
   だからみんなやめろって喜々として料理持ってくんな!!」

マリオ「前回はリンクも煽ってた側だがな」

ワリオ「はーい、リンクちゃん、口を大きく開けましょうねー」グイイイィィィッ!!

リンク「もごごごごごごごごごごご」



ゼルダ「とりあえずこのローストビーフから行ってみましょうか。
   軽く1kgはありますけれどリンクなら大丈夫でしょう。
   は、はい、あーんしてくださいねー」ズズッ

フォックス「脂っこい物の後はサッパリしたもので口直ししたいよな!
     ソーメンとかどうだソーメン!ツユごと流し込んでやるから!」

オリマー「栄養が偏ってるから、ここはひとつ野菜を食べないか?
    赤ピーマンに黄ピーマンに青ピーマン!紫ピーマンに白ピーマンもあるぞ!
    もしかしたら2文字ほど字が違うかもしれないが」

デイジー「ヨッシーですら残した激辛トウガラシ、消費してくれる?
    ちょっと舌が悶えるかもしれないけれどなんとかなるっしょ!」

ネス「辛いものは甘いもので中和しよう!ほら、特製ケーキ!
  どれもこれもほっぺたが落ちそうになるくらい甘くておいしいよ!
  とりあえず5ホールほど行ってみようか!」

リンク「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」ビクッビクッ

514Mii:2021/08/01(日) 08:27:49 ID:1bf7iop2
リンク「………………………………ぬおお…は、腹がまだ痛いっ…………!
   あやうく漏らすとこだったぞ、やっべー」ギュルギュル

俺、勇者リンク。死闘のすえ、一目散にトイレに駆け込んで…ギリギリセーフ。
あやうく尊厳を失うとこだった。パワハラはんたい。
なんだかゼルダ姫が一番楽しそうだったのは気のせいか。

…………1時間くらいはトイレの住人にならざるを得なかった。
なんとか耐えきって、めでたしめでたし。
手を洗ったけれど、また腹痛が起こることを警戒して。
ちょっとトイレ内で待機して様子見だ。こんちくしょう。



リンク「それにしても、ピーチのほうは順調かな…。ルフレもなかなか思い切ったことを考えたもんだ」



ルフレの奇策が成立すれば、物事は一気に解決に向かう、かもしれない。
そして今は、ピーチが倒れそうな体を鞭打って「交渉」してくれている真っ只中だ。
多分ピーチなら…吉報をもたらしてくれるはず。信じよう。

リンク「まあ、ひとつ気懸りがあるとするなら、作戦決行中の俺が、
   新たな伝説に召喚されてしまわないかってことだけど…」

それをされると、全部パーになっちゃうんだよなあ。
ほんと唐突に体が光って、新たな魂植え付けられて、俺の意思関係ナシに飛ばされるから。
ほら、ちょうどこんな感じにピカーッと…………。

リンク「……………………」ピカーッ!

515Mii:2021/08/01(日) 08:32:15 ID:1bf7iop2
リンク「ぎゃああああぁぁ――――!?よりにもよってこのタイミングで召喚だとぉ!?
   そんなもん、許可できるかっ!ふざけんじゃねぇ!!
   
   …ピーチ、ごめん!前に嫌というほど忠告はされたけどっ!
   トゥーンのときみたいに、魂を強引に引っぺがすぞっ!!
   勇者分裂の責任問題とか、もう知らん!

   いっせーのー…でっ!!」



ベリイイイィィィィッ!!

ポンッ・・・・・・!!









リンクル「やっほー!!わたし、リンクル!よっろしくー!!」

リンク「」

リンク「」

リンク「…………性転換してる!?」

516Mii:2021/08/01(日) 08:34:52 ID:1bf7iop2
現れたのは、おれと同じく緑の衣を纏った、ボーガン持ってる女の子。
首に掛けたコンパスがキラリとひかる。



リンクル「私だって、もう一人の勇者だもんねー!
    どういうわけか、貴方の生まれ変わりであることと、魂の知識に関しては
    頭にしっかり記録されてるよ!!」

リンク「」

リンクル「…くんくん。
    ところでなんだか変な臭いがするけれど、ここどこ?」

リンク「見ての通り男子トイレっす」

リンクル「嫌あああぁぁぁ!?この人、痴漢ですっ!!
    いたいけな女の子をこんなところに連れ込むだなんて!」ズサァッ!!

リンク「叫ぶなおいっ!誰かに聞かれたらどうする!

   しっかし、まあ、驚いたな…。まあ、帰って来たらしっかり面倒は見てやるから。
   うむ、生活面はお兄ちゃんに全て任せておきなさい、妹よ。
   新たな伝説にむけて、どうぞ召喚されちゃってください。いってらっしゃーい。

   それで、今回はどんな伝説を紡ぐことになるんだろうな」



リンクル「誰が兄で妹よ、冗談じゃない――――うぐっ!?」

517Mii:2021/08/01(日) 08:39:52 ID:1bf7iop2
――――リンク達の活躍によって魔王ガノンドロフは倒され
――――ハイラル城は闇の力から解放されました。

――――これで平和が戻る――
――――誰もがそう思っていたそのとき、ハイラル城に
――――再び魔物の群れが押し寄せてきました。

――――ガノンドロフが倒され統率を失った魔物達が
――――凶暴な本性の赴くままに人々を襲い始めたのです。
――――今はゼルダもリンクもいません。
――――工事現場で働いていた任天堂スタッフ達も、もういません。

――――それでもインパは、ハイラルの人々を守るため
――――まだ先の戦いの傷が癒えていない兵士達から
――――戦える者を集めて魔物を迎え撃ちました。
――――デクババたちも、餌が飛び込んできたと張り切っています。



リンクル「頭の中に、情報が、かき、こまれて、いく…!行かなきゃ…!わたしがみんなを救うんだ!

    ………………………ぐ、ぐ。でも、そ、その召喚、ちょっと、待って。
    私だけじゃ、てんで力不足、かも…!
    こ、これ、新たな伝説、というより…この前の戦いの後半戦、だよぉ!
    ガノンドロフの残党たちが暴れ出してるんだって…………!」ガタガタ

リンク「この前の…って、ゼルダ姫が引き起こした、あの戦いのことか!
   まだ終結してなかったのか…魂1つ分のお前じゃ、ひょっとして荷が重い?」

リンクル(こくこく)プルプル

518Mii:2021/08/01(日) 08:43:15 ID:1bf7iop2
なんか、召喚に抗ってプルプル震えながら涙目になってる。
変な気分にはならないが庇護欲はちょっとあるかな。
…うん、俺に比べると確かにかなり弱っちい感じがする。比較対象があれだけど。

このまま乱戦の舞台に立たせたら結構命が危ないか?
でもすまん、俺が助太刀する訳にいかない事情があるんだ。



――――仕方ない、ちょっと周りを巻き込もう。



リンク「おいリンクル、だっけか。体感で、あとどのくらい召喚に抵抗できる!?」

リンクル「た、たぶん、が、がんばっても2,3分が限界…………!」プルプル

リンク「よっしゃ!こうなったら妹のためだ、手伝ってやるよ!とりあえず…!」

リンクル「と、とりあえず…?」プルプル







リンク「そこの個室に入って30秒でさっさと服を脱げ」

リンクル「」

519Mii:2021/08/01(日) 08:46:13 ID:1bf7iop2
バアアアァァ――――――ン!!



会場の扉が、勢いよく開かれて――――――――



リンク「――――――――はぁっ!はぁっ!はぁっ!」ピカーッ!

ゼルダ「ど、どうしたのですかリンク!そんなに乱暴に扉を押し開けて!
   マナーというものがなっていません!…え、その体の輝き、は」

リンク「ぜ、ゼルダ!大変だ!ハイラル城が危ない!
   ガノンドロフの残党が暴れ出してるらしい、よ!今こそ、勇者の使命を果たすとき――」ピカーッ!

ゼルダ「!?」

リンク「ほ、ほら、お、おれの体、見てくれ!召喚されそう!
   一気にハイラルまで飛ばされるみたい、だっ!この体が、恨めしいっ!

   お願いしますっ!ゼルダ、も、なるべく早く、舞い戻って、くださいっ!
   ハイラル、ゆかりの、他の方々も、ぜひっ!

   先に行って、待ってますからっ!!!」ピカーッ!



ゼルダ「な―――――――!?そ、そんな突拍子もないこと――――」

520Mii:2021/08/01(日) 08:49:01 ID:1bf7iop2





リンク「ゼルダっ!黙って、俺に、付いて来いっ!」ピカァーーー!!

ゼルダ「」

リンク「――――」シュンッ!!



「リンク?」を エリアから ロストしました。▼



ゼルダ「」

ゼルダ「」

ゼルダ「即刻ハイラルに戻りますっ!!」

マリオ「ちょ、ちょっと待てよ――――」

ゼルダ「待ちませんっ!リンクが私を必要としてくれているのですっ!!!」クワッ!



ザワザワザワザワ・・・・・・・・・!!!

521Mii:2021/08/01(日) 08:53:56 ID:1bf7iop2


ヒルダ「…………そーっと」コソコソ



ゼルダ「ヒルダ姫、貴方も当然行きますよね!手伝いなさいっ!ユガ役っ!」ガシッ!

ヒルダ「きゃああああ!!見逃してくださいっ!ユガ役って何ですか!?

   帰りたいですっ!祝賀会が終わったらすぐにロウラルに帰りたいだけなんですっ!!
   これ以上ロウラルを放置したくないんです巻き込まないでくださいぃ――!」ズルズルズルズル・・・

ラヴィオ「ヒルダ様ぁ――――!え、ぼ、僕もですか!?
    ま、まあヒルダ様が向かわれるのなら当然同行させていただきますけれど!」バタバタ

ゼルダ「それでは、みなさん!
   突然のお別れになってしまいましたが、お暇させていただきます!御機嫌よう!」

ヒルダ「たーすーけーてぇ――――」ズルズルズルズル

マリオ「…………リンクがいなくなっちまっただと?やっべ、作戦が…!」ボソッ

ゼルダ「何か言いましたか?」クルッ

マリオ「い、いやなんでもない。わ、忘れてくれ。いってらっしゃい…」

ラヴィオ「この程度の戦い、勇者くん…リンク1人でお釣りがくるじゃないですかぁ…!」バタバタ

デイジー「す、すこしでも早く解決したいってことじゃないのかな、ハハハ」

522Mii:2021/08/01(日) 08:56:19 ID:1bf7iop2
ラナ「私だってもちろん手助けに行くからね!勝手に連れてって許さない!」タタタ

シア「そうね、魔物達を地獄の業火で焼いてあげましょう」タタタ

リンクル「ゼルダ様、ヒルダ様、負けないでくださいねっ!
    お姉さんたちも、頑張って下さーい!」ブンブン

ラナ「ありがとー、名前も知らない女の子―!」タタタ

シア「任せておきなさい、この程度の残党狩りなどあっさりと――――」タタタ







ラナ「――――」ピタッ

シア「――――」ピタッ





ラナ「…………」クルッ

シア「…………」クルッ

リンクル「あ、あの?どうかされましたか?」ギクッ

523Mii:2021/08/01(日) 09:00:05 ID:1bf7iop2
ラナ「……………………」ジーッ

シア「……………………」ジーッ

リンクル「い、いやですわそんなに見つめられて恥ずかしい……………………」

ラナ「…私たちって、さあ。これでもいっぱしの魔女だから。
  観察している人の魂の区別、しっかりできたりするんだよね」

リンクル「えっ」



チャキッ。――――――――カシャッ!



シア「――――お宝写真ゲット。これでご飯3杯は行けるわね」キラキラ

ラナ「あとで私にも見せて見せてー!…状況がよくわかんないけど『貸しイチ』にしとく♪」

リンクル「」

ラナ「よーし!ゼルダ姫!急いでハイラルに戻ろうよ!
  そこに間違いなく『リンク』がいるから!そう、勇者『リンク』が!」タタタ

シア「『リンク』があれだけ懇願していたら、『リンク』を助けるためにハイラルに戻る以外の選択肢などないわね。
   ゼルダ、『リンク』のためにも全力疾走で駆けなさい!」タタタ

ゼルダ「言われなくても当然です!」ダダダダダッ!

524Mii:2021/08/01(日) 09:02:23 ID:1bf7iop2
リンクル「…賑やかに去っていった」

リンクル「…………」

リンクル「だが、よぉし。開き直るぞー。これでスムーズに作戦が進行――」


















マリオ「…………それで、一体あれは誰だったんだ、『リンク』さん?」

リンクル「なぜバレた!?」

クッパ「なぜバレないと思った」

デイジー「いやまあ、素体がいいから女装姿もさまになってるけど」

525Mii:2021/08/07(土) 14:16:13 ID:JgP6WN9o
ロゼッタ「………………………」パアアアァァァ

ロゼッタ「………………………」パアアアァァァ

チコ「ママ、これ何作ってるのー?」

ロゼッタ「ルキナさんに渡すお守りを作っているのよ。まあ、気休め程度の効果かもしれないけれど」



机の上の小さめな魔法陣には。
小さな星型のペンダントが、ふわりと浮かんで光り輝いています。
結構、造形制御が難しいんですよね。



チョール「おー、やっとるやっとる。いつ頃に準備ができるかのう」

ロゼッタ「あ、星の精の皆さん!えっと、あと1時間くらいお待ちください」パアアアァァァ

チコ「…………?」フヨフヨ

チョール「ほっほ、星の子よ。ロゼッタ姫は、かつてピーチ姫がマリオに渡したお助けアイテム――
    そう、『ラッキースター』なるものを作ろうとしておるのじゃ。
    最後に、我々星の精たちが一晩かけて、星々の願いのチカラを降り注いで完成じゃな!」

チコ「…らっきーすたー?」

ロゼッタ「そう、ラッキースター。持っていると、うまくいけばアクションの効果を高めることができるわ。
    ママには原理はまったく分からないけれど」

526Mii:2021/08/07(土) 14:19:43 ID:JgP6WN9o
残念ながら、私の担当箇所は「星の精たちがチカラをこめられる、綺麗な形のペンダントを作る」ところだけ。
空間把握能力を最大限発揮して、ちょっとずつちょっとずつ削り取っていって、
幾何学的にできるだけ完璧な星型を作ります。こうすることで神秘性が増すんだとか。

……マジックアイテムとしての効力に関しては、一切関与していません。
私の領分は空間魔法と回復魔法だけですからね、あしからず。



チコ「アクションの効果を高めるって、どういうこと?」

チョール「例えば、ジャンプ攻撃の回数が1回から2回になるとか」

マール「ハンマー攻撃の威力が格段に上がるとか」

ハール「敵からのダメージを1減らすとか」

ニール「敵からの状態異常付与をシャットアウトするとか」

ネール「いつまでも連続ジャンプし続けるとか」

テール「仲間をノーダメージにするとか」

ダール「ダメージが半分になる代わりに5回攻撃になるとか」



チコ「へえぇー」

ロゼッタ「へえぇー」

527Mii:2021/08/07(土) 14:23:17 ID:JgP6WN9o
マール「…でも、祝賀会最終日とかだったんでしょ?1人こうして自室にこもってるのは、ちょっと残念ね…」

ロゼッタ「まあ、ピーチ姫に是非にと依頼されましたので。こうして私ならではの役割を果たせますし、それに――」

マール「…それに?」

ロゼッタ(『ロゼッタはうっかり屋さんだから何かの拍子に口を滑らせて作戦漏らすかもしれないからね』とか言われちゃいましたし)

ロゼッタ「…なんでもありません」ズーン



ロゼッタ「――――できました!どうぞ!」

魔法陣を解除し、ゆっくり落ちてくるペンダント。
自らの手で優しく受け止め、何度も様子を確認。…うん、いい出来です!

チョール「…うむ、素晴らしい出来じゃ!我々のチカラも馴染みやすいじゃろう!
    明日の朝までには万全の状態でお返しするぞ!楽しみに待っておれ!

    ロゼッタ姫よ、せっかくじゃ!製作者として、改めて銘打つとよい!
    このアイテムならではの、カッコいい名前を付けてやるのじゃ!」

ロゼッタ「め、銘打ちですか!?考えてもいませんでした…。『ラッキースター』そのままではだめなのですか?」

チョール「そういったところで手抜きをすると、意匠登録とか権利関連とかが面倒なのじゃ、たぶん」

ロゼッタ「たぶん」

チョール「そう、たぶん」

528Mii:2021/08/07(土) 14:26:29 ID:JgP6WN9o
ロゼッタ「……わ、わかりました!それでは――――――――ええと。




    
    ――――――――『流星』でお願いします」

ダール「ロゼッタ姫にピッタリ!シンプルながらカッコいいですな!」

ロゼッタ「使って頂くのは私じゃなくてルキナさんですけれどね」



ロゼッタ「ふ――――う、疲れましたー」

周囲に誰もいないことを確認して、ググっと伸びをする私。今はトコトコ、キノコ城まわりを散策中です。
祝賀会会場に向かってしまうとうっかりボロが出てしまうかもしれないので、ええ。
…なんだかあんまり納得できませんが。



大会スタッフ「あっ!ロゼッタさん!ちょうどいいところに!」

ロゼッタ「……はい?」

大会スタッフ「大変申し訳ございませんが…ちょっと来ていただけますか!
       選手登録の際、必須項目の入力不手際があったもので!」

ロゼッタ「…………?わかりました」

529Mii:2021/08/07(土) 14:30:40 ID:JgP6WN9o
〜測定室〜



大会スタッフ「いやあ、ヒルダさんは同スタイル扱いのゼルダさんのデータを完コピすることで強引に乗り切ったんですが!

       飛び入り参加状態だったロゼッタさんの身長と体重、今の今まで登録するのを忘れてたんですよっ!
       ふむ、身長は205.0cm、当初の設定のまま変わらずですね。それでは――――――――」





体重計「こちらへどうぞ」

ロゼッタ「」





大会スタッフ「大丈夫です、私も女ですから!気にせずドーンと!
       体重計に乗るだけで、自動的に値が公式記録に反映されます!」

ロゼッタ「いいいい嫌ですよっ!?記録に残るってことでしょう!?」

大会スタッフ「…………それは他の皆さんも同じですよ?特別扱いはできません」

ロゼッタ(私、大会中に相当ふとっ……たくましくなった自信があるんですけどっ!?)

530Mii:2021/08/07(土) 14:35:11 ID:JgP6WN9o
ロゼッタ「何のために体重なんか載せるんですか!?」

大会スタッフ「ふっとばされやすさの目安ですけれど…
       そもそも運動競技でアスリートの身長体重を載せるのは普通でしょう?」
      
ロゼッタ「くっ、反論できません…!」

大会スタッフ「というわけで、さあさあ――――」

ロゼッタ「…い、嫌っ、ちょっと待ってください――――!!」



ロゼッタ「…………」



ロゼッタ「自動的に記録される?」

大会スタッフ「……?はい、そうです」

ロゼッタ(つまり、たとえ変な値が出たとしても、この場で突っ込まれて
    測り直しになることはない、ということですか…)



ロゼッタ「…分かりました、ええ分かりましたとも。覚悟を決めました。
    …………チコ、お願いだから来てちょうだい」

チコ「はーい」

531Mii:2021/08/07(土) 14:38:15 ID:JgP6WN9o
大会スタッフ「あはは、自分から重くしちゃってどうするんですか。
       なるほど、合計体重にして有耶無耶にしちゃう算段ですね、まあOKですよ。
       それでは測定しますからねー」





ロゼッタ(――――――――   反   重   力   っ  !)ガシッ!!

チコ「ふおおおおおおおおぉぉぉ!!」↑





体重計「5.9kg、登録しました」ピコーン

大会スタッフ「プリン(5.5kg)よりはおもいけどピカチュウ(6.0kg)よりかるぅい!!?」

ロゼッタ「いやあこれはおどろきですねえ」

チコ「でも、流石に軽すぎたんじゃないの?」ヒソヒソ

ロゼッタ「いいのよ。ふふっ、なんとか難局を乗り切ったわ!
    とくに反重力の強さを調整したつもりはないのだけれど!」ヒソヒソ



ロゼッタ「…………………………………………」

532Mii:2021/08/07(土) 14:42:21 ID:JgP6WN9o
……………あれ?ってことは、私のホントの体重、これよりチコの体重分…40kg重いだけ?
妙に軽くなっているような…………これなら普通に測っても良かったのでしょうか。



…いやいや、そんな馬鹿な。ナニカがおかしい。



あんまり思い出したくはありませんが、いつぞやのタブー戦で、割と体重があることが発覚したはずで…
パルテナさん曰く、あの土煙のせいで、な、70kg超えが確定したとかなんとか。
あの戦闘だけでさすがに何十kgも痩せるとはとても思えないのですが。

大会スタッフ「お、おーい!ロゼッタさんの体重、もう測って貰っちゃったかー?
       くっそー、遅かったかっ!修正ができなくなってるぞ、あっちゃぁ!」

大会スタッフ「…う、うん。何か問題があったの?」

大会スタッフ「もともと、『ロゼッタ&チコ』で1選手扱いだろ?
       でも、公式記録を見る人の大半は、ロゼッタさんの体重と捉えるはずだ。

       一緒に体重計に乗って、重く見られたらロゼッタさんが可哀想だから、
       特別にマイナス40kg計算するように設定されてたんだよ!
       逆にロゼッタさんだけで乗ることを想定もせずに!」





ロゼッタ「        」

533Mii:2021/08/07(土) 14:45:18 ID:JgP6WN9o
大会スタッフ「なぁんだ、それなら大丈夫よ。ちゃんと2人で体重計に乗ってくれたから」

大会スタッフ「…あ、それなら別によかったんだが。要らぬ心配だったってことか」

大会スタッフ「…あれ?じゃあロゼッタさんとチコさんで2人合わせて、
       実際はゴニョゴニョ(45.9kg)だったってことか。
       …チコさんがやたらめったら軽かったのかな…?」



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「はち、じゅう、ごー、てん、きゅう…………!?」ガタガタガタガタガタガタガタガタ



身長205cm-体重85.9kg   BMI:20.4
普通体重に到達! ロゼッタは 至って健康だ!▼



ロゼッタ「しばらく霞だけ食べて生きて行きたい…」フラ・・・フラ・・・

チコ「ママ!しっかりしてー!ママー!」ペシッ ペシッ

534Mii:2021/08/07(土) 14:48:55 ID:JgP6WN9o
〜 12月13日 22:00 小会議室 〜

マリオ「いやー、最高の祝賀会だったなー。綺麗に幕を閉じられた。
   リンク、優勝の余韻には十分浸れたか?」

リンク「腹を壊した…もとい壊された場面以外はね、うん。
   思い出したくもないぞ…まったく。

   そんで、ピーチ。首尾のほうは?」



ピーチ「……………………」

ピーチ「……………………」ニンマリ

ピーチ「――――――――勝訴っ!!」

マリオ「勝訴て」

ピーチ「――――――――勝訴っ!!!!」

クッパ「お、おう。相当に無理をして頑張ったのだな。
   そんなにコワーイ目を見開かなくても苦労は分かるのだ」

ルフレ「やったっ!本当に!本当にありがとうございます!」ウルッ

マルス「ルフレ、さすがに涙ぐむのはまだ早いよ。最後の仕事が残ってる。
   …いや、無粋か、すまない。これはもう…ただただ感謝するしかないね」

535Mii:2021/08/07(土) 14:51:37 ID:JgP6WN9o
ピーチ「明日の準備と行動段取り、ちゃんと予定通りに…お願いするわよ?」

マルス「ああ、誓って」



ルフレ「…それで、ロゼッタ姫は、どうしてそんなにやつれていらっしゃるのでしょうか」

ロゼッタ「なんでもありません…」ボロッ

ピーチ「…きっと、相当に魔法を行使して疲れちゃってるだけよ。
   ルキナ用のマジックアイテムの作成を依頼してたの」

ルフレ「そ、そんな状態になるまで必死に作業に当たって頂けるとは…っ!
   感服いたしました、本当に…本当に有難く…!」

ロゼッタ「いえ、そんなことは、これっぽっちも…………ははは」

デイジー(ロゼッタの目がなんだか死んどる)



ピーチ「さあみんな!ラストスパートよ!」

オオオオオオオオオ――――ッ!



ロゼッタ「――――――――――――――――おー」

536Mii:2021/08/07(土) 14:56:38 ID:JgP6WN9o
〜 ルキナの部屋 〜

メイド「まあ、そうですか!明日、帰郷されるのですね。ルキナ様のご武運をお祈り申し上げます」

ルキナ「…………あまり芳しくない…いえ、そんな言い方では生ぬるい。
   正直、かなり無謀な戦いが待ち受けてはいます。いつ何時、絶命しても全くおかしくないほどの。

   それでも、勇気と希望、ここにいる間にたくさん、受け取り育みました。
   …やれるだけのことは、やってみようと思います」



既に帰郷の段取りはマルス様やアイク様、ルフレさんと相談済。
…とはいっても、故郷の領域に近づいた途端に各々の時代・世界線へ自動転送されるから
特に用意することも準備するものもない…とかいう、
学のない私には理解が及び難い内容だったのですが。

…………最後まで、ルフレさんは、
「なんだったら僕たちの世界に一緒に来てもいいんだよ」と提案してくれました。
適当に手でも繋いでおけば、私本人の世界線はそっちのけで、連れて行ってもらえるそう。



ギムレーが倒され、完全とは言いませんが平和になった世界。



とても魅力的。とても喜ばしい。思わず頷いてしまいそうになる。
…それでも最後まで、私が頷き切ることはありませんでした。
ここまでの積み重ね、全部無駄にしてしまいますから。

537Mii:2021/08/07(土) 14:59:39 ID:JgP6WN9o
ルキナ「貴方にも、長い間お世話になりました」ペコリ

メイド「メイドの仕事がようやく降ってきて『ひゃっほーい!』って感じです
   (メイドとしての当然の務めですから)」

ルキナ「…え?」

メイド「…………メイドとしての当然の務めですから
   (メイドの仕事がようやく降ってきて『ひゃっほーい!』って感じです)」

  ※キノコ城のメイドは大抵の仕事(雑務含む)をピーチ直々に奪われているため
    どれだけキノコ城が広かろうがたとえ5人しかいなかろうが非常に手持無沙汰です。

ルキナ「そ、そうですか」

メイド「はい!」

流れるような手つきで、紅茶を淹れていく彼女。
一切無駄のない洗練された動きで、武骨な私からするとすこし羨ましい。

差し出されるまま、口を付けます。
…………本当に美味しい。これが飲めるのも、今日…いえ明日で最後ですか。

メイド「とりあえず、明日の正午ごろに起こしに参りますね」

ルキナ「…あ、いえ、できれば明日は…朝から出発したいと考えています。
   延ばしても後ろ髪を引かれてしまうだけですから。

   ああ、そういえば微妙に出発準備が不十分でした!
   就寝前に最後の清掃片付けと持ち物整理を行っておかないと――――」スクッ

538Mii:2021/08/07(土) 15:02:31 ID:JgP6WN9o
メイド「――――いえいえ、たった今から、正午までどうぞごゆっくり」

ルキナ「それって、どういう――――――――」



ぐらっ。



ルキナ「――――えっ」

猛烈な、眠気。足元覚束なく、体を支えられなくなり、メイドの方へ倒れ込んでしまう。
幸い、彼女は驚きもせず…ガシッと私を支えてくれました。

――――そうなることが分かっていたみたいに。
――――そうしているうちにも、瞼がますます重くなる。

ルキナ「い、いったい、なにが、起こって――――」

メイド「――――おやすみなさいませ、ルキナ様」



ルキナ「くぅ」スヤァ

メイド「…本日の睡眠導入剤も、仕込み問題無し。前回より量は抑えて…と。
   推定される覚醒時間帯、明日12月14日の11時から13時までの間。

   これにて任務完了いたしました。ルキナ様、お大事に」

539Mii:2021/08/07(土) 15:04:22 ID:JgP6WN9o
ルキナ「――――――――――――――――」

ルキナ「――――――――――――――――」

ルキナ「――――――――――――――――あ、れ?」パチッ



のそっと身を起こして、しばし静止してまどろんで、違和感。

なんだか、就寝前の記憶が曖昧です。
ベッドには収まっているので、普通に寝静まった…?おや?

…ああっ!そうです、とにかく今は出発の準備をしないと!
昨晩は準備し損ねた感があります!



メイド「ルキナ様、おはようございます」

ルキナ「…あ、おはようございます!すいません、寝過ごしてしまっていたようで…」チラッ



日付表示「12月14日  12時30分です」

ルキナ「本気で寝過ごし過ぎています!?」

メイド「ふふっ」

540Mii:2021/08/07(土) 15:07:58 ID:JgP6WN9o
メイド1「髪をセットさせていただきますね」

ルキナ「あ、あの」



メイド2「お疲れのご様子。消化のよい朝食…いえ昼食を部屋にお持ちしました。どうぞ召し上がって下さい」

ルキナ「え、えっと、そのあたりは端折ってしまってですね…」

メイド2「召し上がっていただけないのですか?」

ルキナ「…………た、食べます」



メイド3「僭越ながら、帰郷用の服装を見繕わせていただきました。
   ピーチ様が仰るには、着の身着のままのご来訪であったということで…。それぞれご試着されてください」

ルキナ「そ、そこまでしていただかなくても…それより出発を…」

メイド4「…ねえ、まだなの?まだ姫様の極秘会合が長引いているの?」ヒソヒソ

メイド5「もうちょっと!もうちょっとだけだから時間稼いで!もう1回様子見てくるからっ!」ヒソヒソ

メイド4「あんまり引き留めるネタもないのだけれど…………」ヒソヒソ

メイド5「『ルキナ様の御出向を祝し、ここで1曲歌わせていただきます!』とかどうかな」ヒソヒソ

メイド4「却下です、そのような幼稚な作戦は」ヒソヒソ

541Mii:2021/08/07(土) 15:09:55 ID:JgP6WN9o
メイド5「…………」



メイド4「…………」



メイド4「ルキナ様!ここはひとつ、チェスでもしましょうか!
    どことなくFEに似ていますし!復活しない所とかも!」

ルキナ「」






メイド5(あんまり作戦レベルが変わってないよ)

542Mii:2021/08/07(土) 15:13:21 ID:JgP6WN9o
〜 17:00 乗船場 〜

ルキナ「…………すっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。
   あれよあれよと時間を潰してしまい、このざまです。

   なんだかメイドの皆さんにそそのかされていたような気もしなくはないのですが」

ロゼッタ「…あはは」

大幅に時間が後ろにずれこみ、ルキナさんが落ち込んでいます。



アイク「いいってことだ。俺達も今来たとこ――――」

マルス「アイク、それは流石に無理がある」

アイク「いや、でも本当に――――」

マルス「――――ア イ ク?」

アイク「なんでもない!なんでもないぞルキナ!」ビクビク

ルキナ「…はぁ」

マルス「……ルキナ。一応、連絡だけしておくよ。ルキナがいた、そして今から戻ろうとしている『絶望の世界』に、
   僕やアイク、あるいはマリオなんかが飛び入り参戦して万事解決…ってことができるのが一番よかったんだけれど、
   事情あって無理なんだ。本当に申し訳ない。お役に立てず、悔しい限りだ」

ルキナ「…!い、いえいえ、そのような!マルス様が謝られることではありません!」

543Mii:2021/08/07(土) 15:16:47 ID:JgP6WN9o
ルフレ「ルキナ、そのかわりといってはなんだけどね。
   リンクさんとロゼッタ姫が、時間の都合が付いたってことで。
   わざわざ見送りに来てくれたんだよ。怪我の功名という奴だね。
   別れるところぎりぎりまで、乗船までしてくれるって!」



まさかこのような待遇を受けるとは露ほども思っていなかったのか、
ルキナさんが大層驚いています。



ルキナ「本当、ですか!…………ひ、日付を跨ぎかねないのに、ご迷惑ではないのですか?」

リンク「いやいや、こんくらいお安い御用さ。弟子たちの見送りはしっかりやってあげないとな、なんちゃって」

ロゼッタ「私の場合は実利も兼ねていますけれどね。ルキナさんにお渡ししたいアイテムがありまして。
    乗船中が最後の機会、使い方を教えておかないと。

    ピーチ姫を始めとして、本当はまだまだ見送りに行きたいという方は
    大勢いらっしゃったのですが。あまり多くても目立つということで…
    戦後処理で手が離せないままのピーチ姫の推薦もあって、リンクと私ががこうして見送りに参りました」

ルキナ「…………!きょう、しゅくです!」グズッ



感極まったのか、とうとう泣き出してしまうルキナさん。
そんな彼女を、私はそっと抱きしめます。

544Mii:2021/08/07(土) 15:19:37 ID:JgP6WN9o
そのまましばし。ルフレも貰い泣きしている様子。
ゆっくりと解放してみるや、眩い笑顔で見上げられて。

ルキナ「…どうかルキナとお呼びください。それで十分…いえ、それが好ましいです」

ロゼッタ「では、ルフレともども『ロゼッタ』と呼んでくれるのですよね?」

ルキナ「…わかりました。ありがとう、ロゼッタ。

   私は、ロゼッタを尊敬しています。あのタブーへ立ち向かう姿も、凄いの一言でした。
   …貴方のような、強くたくましい戦士になりたい。
   戦闘分野は大きく異なりますが、貴方を倣って成長して参りたいと思います」



照れくさそうな表情で、驚きの言葉が飛び出して――――







ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……………………私みたいに、成長、したい?」

545Mii:2021/08/07(土) 15:21:46 ID:JgP6WN9o
〜 妄想中 〜



ルキナ「良かった…!また強くなれました」

ルキナの HPが 1上がった!
ルキナの  力が 1上がった!
ルキナの  技が 1上がった!▼

■■■「おおっ!よかったな、ルキナ!」

ルフレ「うんうん」

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

ルキナ「この調子で、もっともっと強く…」

ルキナの  力が 1上がった!
ルキナの 魔力が 1上がった!
ルキナの  技が 1上がった!
ルキナの 速さが 1上がった!
ルキナの 守備が 1上がった!▼

■■■「さすがだぞ、ルキナ!いい成長だっ!」

ルフレ「………… 」

546Mii:2021/08/07(土) 15:23:23 ID:JgP6WN9o
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

ルキナ「もう誰も…死なせはしません…!」

ルキナの HPが 1上がった!
ルキナの  力が 1上がった!
ルキナの 魔力が 1上がった!
ルキナの  技が 1上がった!
ルキナの 速さが 1上がった!
ルキナの 守備が 1上がった!
ルキナの 魔防が 1上がった!▼

■■■「凄い!凄すぎるぞ!ルキナ、お前は最高だ!」







ルフレ「…………それにしても。

   何か月も戦っているのに、一向に幸運だけ上がらないね…」

ルキナ「」ギクッ

■■■「そ、そんなのは偶然だ!そのうち上がるだろ!ルキナの幸運成長率を舐めるな!」

547Mii:2021/08/07(土) 15:25:32 ID:JgP6WN9o
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

ルキナ「ここまで強くなれば未来も変えられるかも…!」

ルキナの HPは 限界値です!
ルキナの  力は 限界値です!
ルキナの 魔力が 1上がった!
ルキナの  技は 限界値です!
ルキナの 速さは 限界値です!
ルキナの 幸運が 1下がった!
ルキナの 守備が 1上がった!
ルキナの 魔防が 1上がった!▼









ルキナ「」

■■■「」

ルフレ「動いたと思ったら下がったああああああああぁぁぁ――――!?」

548Mii:2021/08/07(土) 15:29:39 ID:JgP6WN9o
〜 妄想おわり 〜





ロゼッタ「やめましょう」





ルキナ「えっ」

ロゼッタ「それはやめましょうルキナ!本気で!ろくなことになりませんっ!

    ぜっっっったいに、私なんかの模倣成長はなさらないでくださいっ!
    いいですねっ!約束ですよっ!命に関わりますっ!」ガシィッ!

ルキナ「どうしてですか!?」



リンク「見事なまでの後ろ向きだなあ」

アイク「はははははははははははは」

マルス「…くっ…さ、さすがに、これは…くくっ」

ロゼッタ「言っておきますけれど冗談ではありませんからねぇっ!」

549Mii:2021/08/09(月) 13:37:24 ID:28rO9.d.
〜 乗船移動中 〜

リンク「スカイウォードォ!!――――よっしゃ!命中っ!」

ファイ「お見事です」

マルス「…何をやっているんだい、リンク」

リンク「海上遠くに石をぶん投げて着水前にぶった斬る練習!
    爆散させず、適度な力を込めてスパッと斬るって難しいんだぜ!」

マルス「…………危ないからやめてくれないか」



ロゼッタ「えーっと、星の精たちのアドバイスによると…
    タイミングよくアクションをすると、そのペンダント…………
    ルキナが首に掛けたペンダントの効果が発揮されます」

ルキナ「…タイミングよく?」

ロゼッタ「はい、タイミングよく」

ルキナ「…とはいえ、攻撃を敵に当てる、あるいは敵の攻撃を正しく防ぐこと自体が
   既にタイミングを図った結果の産物ではないでしょうか…?

   敵の急所を狙うということでしょうか、それとも不意を衝くということでしょうか。
   はたまた、躊躇せず速やかに仕掛けるということでしょうか。
   もしかすると、攻撃間隔を調節してリズミカルに攻撃しろということでしょうか」

550Mii:2021/08/09(月) 13:41:21 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「もっとちゃんと説明を聞いておけば良かったですね、申し訳ありません…。

    それっ!…ちょっと、このスターピースを試し斬りしてみましょう。
    軽く投げますから、思い切ってズバッと剣を振るってみてください」

ルキナ「わかりました。――――――――ハッ!」ガンッ!!



ヒュウウウウウウウウウウウウウウ――――――――!!!



ロゼッタ「わあっ!素晴らしい精度ですっ!海に飛んで行きました。

    …ですが、斬って真っ二つ、というわけではなかったですね。
    スターピースって頑丈ですから…」

ルキナ「このマジックアイテムがしっかり発動していれば斬れていたかも、
   ということでしょうか。今の所、何か不思議な力が付与された感じはありませんが」

ロゼッタ「も、もう少し続けてみましょう!」

ルキナ「は、はい!」



ルキナ(も、もしかして、私の『技』がまだ低いから発動しにくいのでは…………?
    ロゼッタの厚意を無駄にしないように頑張らないと…!!)

551Mii:2021/08/09(月) 13:46:57 ID:28rO9.d.
〜 海上  PM 22:00 〜


船長『みなさーん!お待たせしましたー!本船は間もなく、イーリス大陸の領海内に入りまーす!

  領海内に入り、更に大陸にある程度近づいたところで、マルス様、アイク様、ルキナ様…
  それぞれの世界線に繋がる時空扉を開きまーす!それを潜ることで、元いた世界線に戻ることができます!

  ロゼッタ様!扉の同時解放のため、空間魔法で出力補助して頂けると大助かりです!
  現状世界線に帰郷されるルフレ様は、このまま港まで乗船しておいてOKでーす!』

ロゼッタ「引き受けましたっ!」タタタッ

船長『ハイラル王国ほどではないですが時間の揺らぎが発生しているので、
  迷子にならないように突入、帰郷されてくださーい!
  万が一間違われても、戦乱の最中に飛び込んでしまっても、私は責任取れませーん!
  なお、次の巡回時期は未定でーす!』

ルキナ「時空、扉…ですか?」

アイク「ああ。最寄りの港、あるいは海岸までひとっ飛びだ。
   距離を離して飛ぶことで、現地人をオーパーツ技術でビックリ仰天させないで済む。
   向こうからすると『なんか人が急に現れたぞ!?…魔法かっ!』って認識になる」

ルフレ「…なんだか想像しがたいですね」

マルス「はは、僕たちにとっては出港にも帰港にも、何度も活用している常識だけれど…
   ルキナの為に放送してくれるとは粋な船長だね、助かるよ。さあ、アカネイア大陸までもうすぐだ」

ルフレ(い、今はイーリス大陸って呼ぶんですけど、言いずらい)

552Mii:2021/08/09(月) 13:50:24 ID:28rO9.d.
船の明かりと月の光だけが照らす、ほぼほぼ真っ暗闇。
船長は、船の現在位置をしっかり把握できているようですが。



ルキナ「――――あ」



キノコ王国で見た、「転生の扉」とは、だいぶ違う。
人が2、3人ほど入ればいっぱいになりそうな…小規模な光の扉が3つ。
本当に、船の甲板上にパッと、現れました。

神秘的で、吸い込まれそうな光の扉。うっすらと光って、私たちを誘い込む。



マルス「…直感で分かるだろう?…自分が、どの扉を潜るべきかは」

ルキナ「――――――――」



たしかに、わかる。
懐かしい匂いというか、運命の導きというか。
3つあるうちの、真ん中の扉が、そう。

甲板に佇むということは、扉自体は船と一緒に動いているということ?
どういった原理で?どんな技術で?正しく機能する保証はどこに?
…そんなことを問いかける気も起こさない、有って当然と主張するその姿。

553Mii:2021/08/09(月) 13:52:17 ID:28rO9.d.
これを通り抜ければ、私は―――――――――――――――――



元の世界に、戻されてしまう。
…いいえ。元の世界に、「戻ることができる」。



マルス様が、アイク様が。それぞれ、左と右の扉に向かって歩いて行って。
扉の目の前まで進んだところで、立ち止まってこちらを振り返って。



マルス「心が整ったら、歩き出すといいよ、ルキナ」

アイク「覚悟は十分だろうな、ルキナ」



ルキナ「――――――――」コクッ



私も、同様に――真ん中の扉に向かって前進、前進。



最後の最後に、身に着けている武器防具、道具、携帯食料をチェック。
かなりの部分について、ピーチ姫の援助を受けることができました。

554Mii:2021/08/09(月) 13:54:20 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「――――いよいよですね、ルキナ」



後ろから掛かるロゼッタの声に振り向く。ロゼッタと一緒に並ぶのは……
緑の衣を身に纏う勇者、神妙に佇む剣の精霊、「知っているけれど知らない」神軍師。



ファイ「貴方ならきっと、大丈夫です」

ルフレ「そちらの世界の『僕』…いや『僕(ギムレー)』にもよろしく。
   いつか必ず、完膚なきまでに何度でも叩きのめしちゃって」

リンク「――――さあ、準備はもちろんできているな!ここからが始まりだ!」

ルキナ「――――はいっ!みなさん!これまで長らく――――お世話に、なりましたっ!」



零れる涙をぬぐいもせず。
扉を再び見据えて。

マルス様が扉の先へ、アイク様も扉の先へ。





そして、私も――――――――

555Mii:2021/08/09(月) 13:57:43 ID:28rO9.d.
ザザァ・・・ ザザァ・・・

波風が、夜の海原に静かに響く。



ロゼッタ「…行ってしまわれましたか」

ルフレ「…行ってしまいましたね」



2人とも、感無量といった感じで、黙りこくる。



ロゼッタ「引き続きルフレの見送り続行というわけですが…………
    私、とりあえず今、無性にやりたいことがあるんです」

ルフレ「ほほう、何でしょうか」

ロゼッタ「驚かれるルキナを想像しながらハイタッチとかどうでしょう」

ルフレ「いいですね、身長差があるのが男としては悲しいですが。
   ちょっとくらいは屈んでもらえると助かるなあって…せぇのっ!」



2人「「大・成・功――――っ!!」」パチーン!!

556Mii:2021/08/09(月) 13:59:28 ID:28rO9.d.
ルキナ「――――――――」

ルキナ「――――――――」

ルキナ「――――――――ここ、は」パチッ

閉じていた目をゆっくりと開ける。



そこにあったのは、潮香る海辺を臨む、傷んだ畦道と、焼け焦げた草原。
キノコ王国からは極度にランクの落ちた、周囲環境。

荒れに荒れ、死と隣り合わせの、絶望の世界。
僅かに生きる人々が、身を震わせ糊口を凌ぐ、悽惨な世界。



――――戻って、来たんだ。



装備などは、一切失っていない。まさに、準備してきたままの万全状態。
でも、人員は、味方は――――すべからく欠落した状態。
お父様もいない。ルフレさんもいない。…誰も、いない。
強大な敵と、魑魅魍魎だけが、数多居る。

ここは、そう。そんな、「過去」の世界。
「未来」からやってくるという裏技を使っておきながら救うことができなかった世界。
時間帯のずれが生じたのか。目に眩しい朝日だけが、僅かに私を支えてくれる。

557Mii:2021/08/09(月) 14:02:57 ID:28rO9.d.
一旦、目を閉じて、物思いにふける。

――――そんな弱気で、どうしますか。
――――死ぬ確率の方が何百倍も高くても、足掻くと決めた。とっくに、決めた。



村人「いやぁっ! 助けて…! だれかぁっ! たすけてぇーっ!」

ルキナ「――――――――っ!!」カッ!



何を、ぼうっと突っ立っているのか。
畦道の少し向こうに上がる火の手。――――休む暇など、ありはしない。

ギムレー本体を倒すことも、大事。
村や町の人々を見つけ次第ことごとく助けていくことも、大事。
異形が蔓延らないよう対策をとることも、大事。

あらゆる自警活動が、一切手抜けないほど、一刻の猶予もないほど――――大事なのに。

ならず者「ぐはははっ! 奪えっ! 殺せっ!奪い終わった家には火を放て!町ごと消し炭にするんだ!
    これを見りゃ、抵抗しようなんて気が起きなくなるだろうからな!」

生き残りの人間同士ですら、強弱が生まれる。心を悪に染めた者が…
異形たちと徒党を組んでまで、略奪、殺戮の限りを繰り返す状況になるなんて。

彼らも、もしかしたら切実な苦しみ…已むに已まれぬ境遇に陥ったのかもしれませんが、
だからと言って無実の一般人を襲っていいはずがない。…当然、成敗対象です。

558Mii:2021/08/09(月) 14:06:07 ID:28rO9.d.
1人1人は私に比べて弱くとも、時として多勢に無勢は起こり得るもの。
気を引き締めて、再臨した最初の一歩を踏み出すことに、いたしましょう。





リンク「考えるより動けだ、ルキナっ!絶対誰も殺させやしないぞっ!!」ダダダダダッ!

ルキナ「はいっ!この剣に誓って、護り抜きますっ!!」ダダダダッ!



私たちの、夢と希望は、ここから始まっていくのです――――――――!!!







ルキナ「…………………………………………?」クルッ



リンク「余所見してんじゃねぇぞルキナ!」ダダダダダッ!

ファイ「マスターに完全に同意します」スイーッ

ルキナ「――――――――!?!?!?!?!?!?!?!?」

559Mii:2021/08/09(月) 14:09:24 ID:28rO9.d.
ルキナ「り、り、り、リンクさんっ!?それにファイさんっ!?
   え?あれ?ど、ど、どどどどうしてここに!?」



リンク「水臭いぞルキナぁ。『タッグ組んでやる』って言ったじゃないかー。
   まだまだ弟子が心配だから、ちょいと派遣されてきましたー!

   おっとぉ、時空扉はとっくに消えてるし、こりゃしばらく帰れないなー!
   しゃーない、1年か2年か、ルキナの御供でも頑張るかー!」





ルキナ「」





ファイ「マスター、ルキナ様が完全に固まっていますが」

リンク「ははっ!ドッキリ大成功ってか!そこまで驚かれるとこちらとしても本望だ!
   村人の救援に向かいながら、種明かしをするとだな――――――――」

560Mii:2021/08/09(月) 14:12:17 ID:28rO9.d.
・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

〜 12月12日 AM 0:30に遡る 〜



ピーチ「…ハァ?リンクをイーリス聖王国に送り込んでギムレーを倒す、ですって?」

ルフレ「はい!その通りです!」



ピーチ「……………………正直がっかりよ、ルフレ。それをして何になるの?
   マリオの代わりにリンクを派遣したところで、今度は――――
   イーリス聖王国が、ハイラル王国の属国になるだけよ?馬鹿なの?

   時間かけて導いた答えが、それなの?」イライラ



ルフレ「…………」フッ

ルフレ「さあ、馬鹿と解釈されるのは、果たして僕の方でしょうか。
   ピーチ姫こそ、実は…とんでもない固定概念に囚われていませんか?」

リンク「いつぞやの袋小路に嵌ってた俺みたいになー」

ピーチ「…………固定概念?」

561Mii:2021/08/09(月) 14:14:46 ID:28rO9.d.
ルフレ「ちょっと質問させていただきますね、ピーチ姫。

   マリオさんって、その強大な戦力がどこの軍の管轄かと言われたら…
   ――――当然、キノコ王国軍ですよね?」

ピーチ「当たり前じゃないの。王国の危機にはマリオに目一杯働いてもらうんだから」

ルフレ「僕もそれに同意しますが、さて。一方のリンクさんの戦闘力って、ハイラル王国軍の管轄ですか?」

ピーチ「もちろんよ、そんなの決まって―――――――――」









リンク「いーや?俺、べつにハイラル王国軍に含まれる戦力じゃねーぞ?」ニヤリ







ピーチ「……………………」

ピーチ「――――――――はああああぁぁぁぁ!?」

562Mii:2021/08/09(月) 14:19:43 ID:28rO9.d.
リンク「驚くことじゃないだろ、考えても見ろよ。

   ハイラルに問題が生じたら、ゼルダ姫やインパの命令もなしに俺が速攻で片づける。
   強いて言うなら伝説の幾つかでゼルダ姫に
   『リンク、お願いですから(部下も軍資金も付けずに)あれやってください』
   って頼まれることがあるくらいで、見返りも何にもないボランティア。
 
   伝説間のパトロールだって、自主的行動だからハイラル軍全く絡んでない。
   
   住んでるのは専らキノコ王国だから、実効従属と言い切るのも無理がある。

   …こんなふうに何の庇護も受けてないのに、管轄されてるって言えると思うか?」



ピーチ「…………」パクパク



リンク「むかしマリオとピーチが言ったんだぞ、『勇者の肩書に縛られるな』って。
   俺の立場は、正式には…せいぜい妙に戦闘力が高い自称勇者ってとこだ。

   …要するに、俺がどっかの国のいざこざにしゃしゃり出ても、
   無所属の旅ガラスが自己責任で暴れたってだけで、国際問題にはあたらないはずだ。
   ゼルダ姫に塩対応され続けていたのが逆によかったってことだな。

   ハイラル王国側からハイラルの名に泥を塗ったとは『マナー違反で』糾弾されるかもしれないが、
   そのくらいはまあ、甘んじて受けるよ」

ピーチ「な―――――――」

563Mii:2021/08/09(月) 14:25:48 ID:28rO9.d.
ルフレ「はい、これでピーチ姫が無意識のうちに却下していた大前提が崩れました。
   あと必要なものは…僕が思うに、3つです。

        『単独行動とはいえ、大義名分があるか』
        『誰がリンクさんに依頼するのか』
        『依頼に対し、万人が納得する正当な対価を払えるか』

  これらについても、幸いながら目途が立ったんですよ。

  大義名分は、なんのことはない。
  ギムレーがキノコ王国に喧嘩を売った。キノコ王国とハイラル王国は軍事同盟関係。
  一個人として、義憤に駆られたリンクさんが動いた。以上です。
  同盟の『効力』としての協力は不可ですが、動機付けにはなるということですね」

リンク「残る2つなんだけどさー。ピーチも知っての通り(プラスアルファあるけど)、
   実は最近、ロゼッタにものすっごい借りができたんだよね、俺。
   で、なんでもしますからって頭を下げたら、ロゼッタがさ。
   『世界平和のため、ルキナさんの世界を守ってあげてください』とか言い出して。
   そんなら渡りに船ってことで。

   俺の時間的拘束とロゼッタへの借りとの価値を比較すると、
   少なく見積もっても丸1年はルキナを手伝って文句は言われないと踏んでる。

   『ロゼッタ』と『リンク』の個人間の仕事依頼で、
   『ロゼッタ』がもたらした恩恵の対価として、『リンク』が世界平和に貢献する。

   何なら貢献できるかなと探してたら、好き放題やってるワルモノ発見。
   調べてみたら俺とファイだけが飛び込む分には国家に迷惑かけなさそう。
   ハイラル王国民のはしくれとしてキノコ王国を助けるのも吝かじゃない、よし決めた。
   …………悪くない筋書きだろ?俺も感心したよ」

564Mii:2021/08/09(月) 14:32:04 ID:28rO9.d.
ピーチ「……………………」

リンク「ふふん、ルフレを存分に褒めてくれてもいいんだぜ。
   あとは、任天堂さんに間違っても抑止力働かせないようピーチが話し合って――」



ピーチ「……………………駄目ね」

リンク「なんでさ!?」

ピーチ「…話はわかった。綻びが有るけど、私の口八丁で埋め合わせできる程度には
   イイ線のツギハギ方をしてると思う。なんとかスタッフを丸め込みたいところ…だけど。
   でも、肝心のところが抜けてる」

リンク「…肝心の?」

ピーチ「にっくきギムレーはね、頭に来ることに――――
   立場上は、キノコ王国に敵対する、なんて宣言はしてないのよ。
   あくまでタブーの暗躍の傍らでちょっとちょっかい掛けてきた扱い。
   さんざん興味本位だったともほざいていたわね…。
   言質を取られないように、あいつもずる賢く動いていたの」

リンク「べ、別に動機づけなんだからいいだろ?
   実際の所は、軍事同盟があろうとなかろうと俺は怒るよ」

ピーチ「その感情はとてもうれしいけれど、交渉では使えない。まるで駄目ね。
   強引にリンク派遣のためのストーリーを組み立てるとしたなら、
   『軍事同盟の効力発動』自体は実際に起こってくれないと主張が弱い。
   リンクが義憤に駆られてそこまで動こうとするには、必須事項」

565Mii:2021/08/09(月) 14:36:16 ID:28rO9.d.
ルフレ「……言質という無形の物だけが後は必要ということならば、なんとかなるかもしれませんね」

ピーチ「…………え?」

ロゼッタ「実はですね。あの戦いで、たっくさんの分身体を、この身に還元して。
    ――――最後の最後で、記憶と経験値、一切合財戻ってきたんですよ。
    忌まわしい内容に恐れ戦き続けましたが、今となっては大戦果です。
    ギムレーと一緒にいた『私の分身体』が、ギムレーをそそのかしてくれてですね。



    ――――堂々とやってくれてるんですよ、キノコ王国への宣戦布告を、ねっ!!」

ピーチ「――――――――!?」

ルフレ「そんでもって、ロゼッタ姫の記憶を頼りに、一直線にイベント現場に向かって、
   手当たり次第に監視カメラの録画結果から探し当てた映像がこちらです。
   はい、プロジェクターどうぞ」



ギムレー『我、ギムレーが、『ギムレー本人』の立場として無慈悲の鉄槌を下そう。

     愚昧なるキノコ王国に対して、我がペレジア王国は――――
     傘下のイーリス、フェリア、ヴァルムとともに――ここに宣戦布告する!
     全てを破壊し尽くし、滅ぼしつくし、奪い尽くして見せよう!』



ピーチ「                」

566Mii:2021/08/09(月) 14:40:04 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「……そ、そんなわけで…大変心苦しいのですが。もうひと頑張り、ですね。
    ピーチ姫には、なんとかリンク派遣のための段取りをしていただきたいなあ、と」



カシュッ・・・。

ピーチ「――――――――」ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク



ロゼッタ「栄養剤一気飲みしました!?」

ピーチ「…やってやろうじゃないの、そこまでお膳立てされたんならね。
   楽しみに待ってなさい、皆。そして、楽しみに首を洗って待ってなさい、ギムレー。フフフフフ…!」



〜 12月12日 おひる 〜

ロゼッタ「ピーチ姫が、2日でやってくれるそうです。大量の原稿と資料片手に、意気込んで会議室に向かわれました。
    『ルキナはベッドに拘束しているから安心ね』とか不穏な言葉を口にしていましたが…」

ルフレ「ピーチ姫には頭が下がりますね…。あ、お分かりかとは思いますが、今回の作戦。
   ルキナは勿論として、リンクさん以外のハイラル関係者に漏らしてはいけませんよ。
   念のため、ヒルダ姫にも。他の方にもよくよく注意しておきましょう」

ロゼッタ「…どうしてですか?」

ルフレ「リンクさんが年単位で居なくなると知ったら一部で暴動が起きます」

567Mii:2021/08/09(月) 14:45:29 ID:28rO9.d.
〜 12月14日 あさ 〜

ピーチ「…と、いうわけで、ファイターの皆!ちゅうもーくっ!
   リンクがギムレーを懲らしめに行く件について、任天堂からの許可が下りたわっ!抑止力は一切発動なしっ!
   
   具体的には、『リンクおよびファイの1年以上3年以下の共闘・支援』!
   そして『ルキナによるハイラル由来品の有効携帯』を勝ち取ったわっ!
   私、凄くないっ!?褒めて褒めてっ!」



デイジー「テンションがおかしくなって私みたいになっとる」

ルイージ「自分で言っちゃう?」

デイジー「ルイージ酷いっ!私のテンションがおかしいですって!?」

ルイージ「」



マルス「それでは、予定調和かもしれないが…宣言しておこう。
   
   英雄王マルスとして宣言する。
   このたびの『ルナティック+世界線イーリス聖王国へのリンク達の介入』について、
   リンク達が意図的にイーリス聖王国に害をなすことがない限り、
   一連の介入を是とし、拒絶・非難・損害請求等の対抗措置を検討・実施しない。

   また、第三者が我々に代わって同等の対抗措置を実施しようとした場合、
   この実施を解消することに尽力するものとしよう」

568Mii:2021/08/09(月) 14:48:45 ID:28rO9.d.
ルフレ「分岐世界線のFE組代表ルフレとして宣言します。
   このたびの介入は現状世界線の意向に沿うと同時に歓迎される類の助力であるため、
   僕たちはリンクさん達が最大限のパフォーマンスを出せるよう、
   必要な物資や情報を彼らに提供することを約束します。

   また、この同意内容について、現状世界線の仲間たち、家族たちに
   十分に浸透・承認させるための努力を惜しみません」

リンク「えーと、ルキナをしっかり護衛しつつ、ルキナを鍛えて自立させ、
   ついでにギムレーをボコってきます。以上」

ピーチ「まじめにやりなさいよ!」

リンク「分かりやすい方がいいじゃん…」

ピーチ「…まあ、いいわ。これで(ハイラル勢除く)全員に内容が行き渡ったわね」

マルス「……とりあえず言えることは。――――ギムレー、ご愁傷さま」

アイク「そうだよな、よりにもよってリンクを送り込まれるとは…」

ファイ「私の計算では。ネオ・マスターソード装備のマスターが駆け回った場合。
   ギムレー8192人までなら……マスターと私のみでも勝つ確率、99%」

パルテナ「ルナティック+のギムレーがいくら強いからって、
    経過成長込みでも基礎体力レベルはたかだかLv.40設定ですからね…
    そこにただでさえ相性絶対有利のLv.148とLv.70の核弾頭を放り込んだらぶっ壊れですよ」

ルフレ「なにそれこわい」

569Mii:2021/08/09(月) 14:53:44 ID:28rO9.d.
リンク「…ところで、『ルキナによるハイラル由来品の有効携帯』ってなに?」

ピーチ「私は、リンクが去った後のことも考えて交渉したってことよ。
   
   リンクは知らないかしら。本来、マジックアイテムの収納には制約が有ってね。
   『所持者の出身』が『アイテムの由来』に合致しないといけないの」

リンク「…………?????」

ピーチ「たとえば、キノコ王国由来の1UPキノコがあるでしょ?
   これを、マリオが鞄に入れようとすると99個だか999個だか入るのよ。
   でも、リンクが自分の鞄に詰め込もうとすると1個か2個しか入らないわ。
   この仕様は、無闇に他国に強力なアイテムを輸送させない役割を持ってる」

リンク「…ああ!要するに圧縮効果が働かなくなるってことか!
   本来なら、適用するアイテムしか碌に持ち運びできないってことだな!」ポンッ!

ピーチ「でも、今回は違う。ハイラル由来のアイテムなら、ルキナは――
   自分の鞄の中にほぼ無尽蔵に詰められるわ。うふふふふ…」

リンク「…でもさ、水を差すようだけど、俺、というかハイラルって、その。
   あんまり有用な、局面を一気に打開できるようなアイテムの候補がなくて…。
   そりゃ、キノコ王国なんかだと、条件次第でとんでもない効果を発揮するアイテムとか、
   俺が知ってるだけでもワンサカあるけどさ」



ピーチ「大丈夫よ、全く問題はないわ。ガワさえハイラル由来のアイテムなら大丈夫だから」

リンク「…どういうことだ?」

570Mii:2021/08/09(月) 14:56:02 ID:28rO9.d.
ピーチ「そういうわけで、リンク。















    ありったけの『あきビン』を出しなさい」



リンク「今んとこ100本くらいしかないけどいいかな?」ドサッ



マルス「」

アイク「」

ルフレ「」

571Mii:2021/08/09(月) 14:58:44 ID:28rO9.d.
ピーチ「さあっ!みんな!…強者どもよ!!」



ザワザワザワザワ・・・・・・・・・・・・・・・・・!



ピーチ「再取得可能な消費アイテムで構わないから…

   便利アイテム!万能アイテム!チート級アイテム!

   ルキナのことを応援したいなら、どんどん出してちょうだいっ!
   あんまり大きいのは入らないけどっ!

   安心して!私の意地で、相場の倍のコインを払わせて頂くわっ!!」



一同「…………………………………………」



マルス「…ま、まさか――――――――」

アイク「え?ちょ、おま――――――――」」



タブーにむかっ腹を立てていたファイター達の心が、いま、ひとつに――――――――

572Mii:2021/08/09(月) 15:07:11 ID:28rO9.d.
マリオ「攻撃アップ、防御超アップっ!言わずと知れた無敵アイテム、『スーパースター』!」

ルイージ「遠くの敵を消費無しで遠距離攻撃、『ブーメランフラワー』!」

カービィ「ハーイ!(『コピーのもと』つめあわせ)」

サムス「破壊力バツグン、なんでも吹き飛ばす『パワーボム』!」

ピット「触れたもの一瞬で凍らせる!『冷却ブレスレット』!」

ポケトレ「…………………………………………」

ニャース「自軍全体を最高クラスの生命蘇生力で全回復っ!『聖なる灰』!…と言ってるニャ!」

ロゼッタ「火球で自在に遠距離攻撃、『ファイアフラワー』!……え?しつこい?そそそそんなことないですよ!」

ルカリオ「ガチ対戦では日陰に隠れるが、攻撃のたびに与えたダメージに応じて体力を回復、『貝殻の鈴』!」

ヨッシー「視界内の敵全員に大ダメージ、『どこでもPOW』!」

ワリオ「謝礼は弾めよ?…ジャンプ力アップ、空まで飛べる!『ジェットの壺』!」

ルフレ「…はっ!僕からの分は別にあきビンってやつに詰めなくてもいいんですよね。
   よし、マスタープルフやらチェンジプルフやら術書やら、あるだけルキナにあげちゃおうか」



マルス「」

アイク「」

573Mii:2021/08/09(月) 15:10:43 ID:28rO9.d.
ピーチ「残りのあきビンには、片っ端から1UPキノコと緊急キノコを詰め込むわ!
   リンク、最初は自分で持っておいて、そのうちルキナに説明がてら渡してね!

   …そういうわけで、ロゼッタ」

ロゼッタ「…な、なんでしょうか?」

ピーチ「依頼主の貴方が、リンクに『ギムレーを殺ってこい』と――――
   最後に気迫篭った指示して締めなさい。私が言うと問題になるから。
   ふふふふふ、結果が楽しみでたまらないわ――――――――」

ロゼッタ「いやですよ、そんな乱暴な言い方はっ!?」

デイジー「あ、ピーチったら何気に怒髪天突いてる」













アイク「ここにギムレーの墓を建てよう、スコップ持ってくるわ」

マルス「駄目だよアイク、ちゃんと街の外に移動してからじゃないと」

574Mii:2021/08/09(月) 15:12:54 ID:28rO9.d.
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・

リンク「――――みたいなカンジ?」

ならず者たち「「「「「「「「」」」」」」」」チーン

ファイ「そうこうしている間に、村の暴動の鎮圧が完了致しました」

ルキナ「」



リンク「ま、やってきたもんは仕方がない。世界平和のため頑張るぞ!エイエイ、オー!」

ルキナ「」

リンク「いつまで呆然としてるんだよ。とっととこの王国、平和にしてやろうぜ!
   それがルキナの願いでもあるんだろ!次だ次、さあ行くぞルキナ!
   この瞬間にも、誰が死んでるかわかんねーんだろ!
   とりあえずは、いの一番に、ギムレーさんを〆に行こうぜ!案内よろしくぅ!」スタスタ
   
ファイ「さあ、一歩を踏み出しましょう。でなければ置いていきますよ?」

ルキナ「え、ちょ、ちょっと待ってくださ――――――――い!
   嬉しい、ですけれど!嬉しいんですけどっ!ま、まだお話が終わっていませんっ!!」バタバタ


私たちの、夢と希望は、こ、ここから、始まっていく、みたいです――――――――!?

575Mii:2021/08/09(月) 17:37:37 ID:28rO9.d.
〜キノコ城 城下〜

デイジー「…………はあ」ピッ

デイジー「……………………まずった。
    『桃葵の誓い』をロゼッタのためにパルテナへ差し出すのは後悔してないけど。
    勝手に決められたことに、うちの家臣たちがむっちゃ怒ってる。

    そりゃそうだよね、提供ノルマ30本…年3本計算のうち、
    私個人に割り当てられてるのは1本だけだからなー」

メールで簡易報告だけして済ませようとしたら、怒涛の着信。
10回目あたりで観念して恐る恐る出てみれば、大臣さんのキッツイお叱り。
順繰りに代わられて、ひとりひとり怒られて泣かれて叫ばれて。

いやあ愛されてるなあ、あの神酒。あれだけで財務が動くのは伊達じゃない。
大多数の人にとって、一生で一度飲めたらそれだけで豪運だものね。

デイジー「どうしよっかなー、ちょっと帰るのが怖くなってきた…………
    対策を考えないと…………代わりの物、何か用意できるかな…………
    このままだと冗談抜きで、首輪付けられて執務室に1年くらい閉じ込められるよ…」



――――メールダヨ!メールダヨ!



デイジー「…ん?ピーチからだ、なんだろ」ピッ

576Mii:2021/08/09(月) 17:41:04 ID:28rO9.d.





ピーチ『大事なお話があるから、誰にも悟られずに執務室に来てちょうだい。
   特にロゼッタにバレるわけには行かないから、遠出している今しかないわ。
   下手したら半日、いえ1日掛かる長丁場になるだろうから、食事は先に済ませておいて』





デイジー「…………な、な、なんだろ、ホントに」ビクビク



デイジー「…………」コソコソ

デイジー「…………」コソコソ

デイジー「…………」ササササ

デイジー「誰にも見つかりませんように、見つかっても悟られませんように…」





ルイージ「……ん?」

577Mii:2021/08/09(月) 17:42:24 ID:28rO9.d.
ルイージ「…デイジー、こそこそ壁に張り付いて何やってるの?」

デイジー「のわあぁっ!?」



ルイージ「……?」

デイジー「何でもない何でもない!放っておいて!
    ちょっとピーチと、かくれんぼしてるだけだから!」

ルイージ「…へ、へえ、そうなんだ」

デイジー「じゃ、じゃあ私はこれでっ!」スタコラ



デイジー(よし、ごまかせた!)







ルイージ(…………何あれ怪しい)

578Mii:2021/08/09(月) 17:48:05 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「ルフレも無事に見送って!帰ってきましたキノコ王国!
    余裕で日付を跨いで、かなり眠いししんどいですが…
    とりあえず、ピーチ姫に報告をしに行かなければなりませんね」



何気に海の上の小旅行って感じで、初めての体験で楽しかったというのはあります。
ですから、眠いといえどもちょっと興奮気味でもある。複雑な心意気。

ピーチ姫も、ルフレやルキナのことをとっても気に掛けていましたから。
無事に故郷へ送り届けられたことをお伝えして安心してもらいましょう。



〜キノコ城〜

キノじい「大変申し訳ない、ロゼッタ殿。
    姫様は只今、戦後処理のラストスパートで面会謝絶中ですじゃ。
    ご報告は後日でも全然かまいませんので、本日はお引き取り願いますかの」

ロゼッタ「…そ、そうでしたか。こちらこそ失礼いたしました、お忙しい時に」



若干ぶっきらぼうな門前払いを食らいました。
しかたありませんね、ピーチ姫の体がすでにストレスで悲鳴を上げていそうです。



それでは、ここは諦めるとしましょう、か。

579Mii:2021/08/09(月) 17:55:31 ID:28rO9.d.
〜キノコ城 城下〜

ロゼッタ「それでは適当な喫茶店で遅めの朝食でも――――――――
    あら?ルイージ?どうしたのですか?」

ルイージ「うーん?うーん?むむむ…」

ロゼッタ「…ルイージ?」

ルイージ「あ、やあロゼッタ、ごめんごめん!戻ってたんだね。
    その様子だと皆を無事に送り届けられたようで何よりだよ。

    …うんうん唸ってる、変な所を見られちゃったなあ。いや、ただデイジーが挙動不審だったから…」

ロゼッタ「…挙動不審、とは?」

ルイージ「周りを警戒しながら、人目のつかない裏道脇道進んでるみたいで。
     なんでも、ピーチとかくれんぼしてるんだってさ」

ロゼッタ「かくれんぼ」

ルイージ「そう、かくれんぼ」

ロゼッタ「それは確かに変ですね。しかし、ルイージにはあっさり見つけられたと」

ルイージ「ふふふ、影が薄すぎて警戒されなかったのさ!」

ロゼッタ「…………そ、そ、そうだったんですかー!なるほどー!」

ルイージ「ごめん!今更ながら自虐で苦しみだしてます!」

580Mii:2021/08/09(月) 17:59:16 ID:28rO9.d.
ルイージ「と、とにかくだね!人目を忍んでコソコソ動いて、かくれんぼ中の子供みたいだったけど。
    妙に不自然で怪しかったというか…。気になってさ。
    …でも、ピーチとかくれんぼしているという割にはキノコ城に近かったんだけど」

ロゼッタ「…それ、単純にコッソリとキノコ城に向かいたかっただけじゃないですか?」

ルイージ「あー、そうかもしれない。やっぱり他の人にこそ見つかりたくなかったのか」

ロゼッタ「…わざわざ、戦後処理中のピーチ姫の名前を出すというのも変な話ですね…」



もしかして、ピーチ姫と重大な話を抱え込んでいるのかも。
ちょっと、探りを入れてみるのもアリかもしれません。
私でも少しは手伝えるかもしれませんし。踵を返しましょう。














――――――――この安直な考えが、のちに私を大いに苦しめることになりました。

581Mii:2021/08/09(月) 18:01:38 ID:28rO9.d.
キノじい「ど、どうかされましたかな、ロゼッタ殿」

キノじい、そしてキノピオたちは…どうやら私をピーチ姫に会わせたくないみたいです。
改めてお城に向かってみたら、あからさまによそよそしかったので間違いありません。

…そう、『よそよそしい』。ピーチ姫の時間が取られる、というよりは、
私が向かうことで不都合が生じる、とでも言いたそうな言動っぷりです。
これは、ますます怪しくなってきました。



ロゼッタ「どうしても、執務室に向かってはならないと?」

キノじい「大変申し訳ないのですが、はい――――」

ロゼッタ「…それでは、別にピーチ姫の所ではなくて構わないので、
    どこかで休ませて頂けないでしょうか…?少し、船旅でくたびれてしまいまして」

キノピオ「あ、そういうことならどうぞどうぞ!こっちです!」

ロゼッタ「ありがとうございます」テクテク

皆さんには悪いですが、ここは素直に引き下がった振りをして――――




ロゼッタ(分身体の私。囮役は任せました)

ロゼッタ(分身)「……………」グッ

582Mii:2021/08/09(月) 18:05:28 ID:28rO9.d.
「本体の私」は、何食わぬ顔でコソコソと、逆側を探索していきましょう。
…なんだか、私も悪知恵が働くようになってきましたね。

なんだかんだ言って、私も体が鍛えられてきました。身のこなしは上々。
おまけに、念には念を押して、久しぶりの魔法浮遊歩行…歩行?

音を立てずに、物陰に隠れて逐一キノピオたちをやり過ごし、
割とあっさりと執務室の前までたどり着きました。
監視カメラの類は、流石にわかりません。後でばれてしまうのは諦めましょう。







扉『面会謝絶』ドドーン







…確かに、何か重要なことを中でやっていそう。
ピーチ姫と…おそらくデイジー姫が、大事な打合せでもしているのでしょうか。
いきなりノックするというのも、ましてや扉を蹴破って入るというのも、できるわけがなく。

仕方ありません、はしたないですが身を扉にピッタリ付けて、耳をそばだてて――――
下品とは分かりながらも盗み聞き。割と聴覚は鋭い方ですから――――

583Mii:2021/08/09(月) 18:07:23 ID:28rO9.d.













ピーチ「――ロゼッタは、まだ子供よ。大人の辛さをまるで知らない。
   それでいいの、この議題を対処するのは絶対に不可能よ」














――――ピタリと、体が固まって。頭の中が真っ白になりました。

584Mii:2021/08/09(月) 18:11:15 ID:28rO9.d.
デイジー「そんな言い方は…まあ、わからなくはないけど……」



ピーチ「とにかく、保護者代わりの私たちが全部面倒みることにする、それでいいわね?
   繰り返すけど…ロゼッタに、こんな責任はポテンシャル不足、荷が重すぎるわ。
   全力で助けてあげないと、音を上げて泣きわめくのが目に見えてるじゃない」



デイジー「…なかなかキッツイなあ、その尻拭いの代償、立て替えるの…………。
    サラサ・ランドの大臣たち、ますます無茶苦茶怒るだろうなあ。
    私、しばらく遊びに行けそうにないよ、とほほ。…………でも。
 
    そうだね、そうだよね。…全く、手のかかる子なんだからー。
    ロゼッタは負の面を知らずに、朗らかに笑ってるのが一番だよ。
    あんまりこれ以上、苦労掛けさせてあげないようにしなくちゃね」



ピーチ「いい?今回の議題については、絶対にロゼッタに漏らさないでよ?
   最後の最後まで騙し通さないと、ロゼッタが悲しむからね?
   ちゃんと責任とります、みたいな…勢いに任せた安請け合いをしかねないからね?」




――――なにか、崩れていく、音がする。
――――培ってきたもの、グラグラと、崩れていく、簡単に。
――――嘘だ。こんなこと、お二方が陰で言うはずがない。

585Mii:2021/08/09(月) 18:13:33 ID:28rO9.d.
デイジー「まっかせときなさい!ロゼッタの性格、人となりはしっかり理解してるよ!
    じゃあ、この書類は万が一ロゼッタに見られでもしないよう、処分しといてね!
    大丈夫!私の頭の中に、しっかりとインプットされたから!
    …というか、よくここまでぎっちりと正式文書を試し書きする時間があったなぁ」

ピーチ「もちろんそうするつもりよ。
   ぎっちり書き込んだ理由は…まあ、デイジーにしっかり理解してほしかったからね。
   あとで『忘れた』とか言われるのもなんだったし。…ロゼッタの事、しっかり護りきるわよ」

デイジー「うん!――――さぁて、やっぱりお腹がすいちゃった。
    打合せも終わったところで、何か食べに行こうよ、さあ――――――――」ガチャッ



デイジー「」ピタッ



ピーチ「…どうしたのデイジー、いきなり固まったりし――――――――」



ピーチ「」ピシッ



ロゼッタ「――――――――どう、して」ボロボロ

固まるお二人をよそに、その場に泣き崩れました。

586Mii:2021/08/09(月) 18:16:24 ID:28rO9.d.
ピーチ「…な、なんで?どうして!?人払い、してたはずなのに…!
   ――――――――っ!ロゼッタ!?まさか、聴いてたのっ!?」



うつむいたまま、力なく、頷きます。



――私は、浅はかでした。一人前と認められているだなんて早合点して、調子に乗って。
――まさか、2人の目からは全然対等に見えていなかっただなんて。
――よくよく考えてみれば当たり前のこと、気付けていなかった私がなお恨めしい。

悔しい。悔しい。涙が一向に止まりません。
ピーチ姫とデイジー姫は、顔を青くしてオロオロするばかり。



キッと泣き腫らしたまま顔を上げ、固まるピーチ姫の手から、
分厚い分厚い書類の束をひったくります。

ピーチ「ちょ、ちょっと!ロゼッタ、それは見ちゃ駄目っ!!!」



書類「議題  ロゼッタによる、マリオカート8に向けた新規コースの製作について」



衝撃の事実に目を見開きつつ、ページを手繰る手を止めません。

587Mii:2021/08/09(月) 18:19:44 ID:28rO9.d.
――――このたびのタブー戦での活躍に対する褒賞の一環として。
――――ロゼッタに、新規コースの製作を手掛ける名誉を与える。
――――該当のコースは、絶賛調整中の『マリオカート8』の1コースとして
――――特段の承認工程を踏まず、無条件で正式採用させられるものとする。
――――以降、この文面において、コース名を仮に『スカイガーデン』と呼称することとする。

あまりに慌てたピーチ姫が奪い返そうとする行為を、チコたちに協力してもらって…
私も、上がってきた基礎体力を活かして、なんとか回避。そのまま、どんどん読み進める。

何が援助され支給され、何を自分で考案しなければならないかが、つらつらと。



――――私なんかでは、とても処理できない案件と捉えられたのですね。
――――ちょっと前、『ロゼッタプラネット』を作った実績は有りますが…
――――何も気にせず自由気ままに作っていったのとはわけが違う、ということでしょう。



紙の束から目を離し、フラッと立ち眩み。どうにかなりそうです。

デイジー「…………あわわわわ」

ピーチ「…よ、読んじゃった、の?」オロオロ

ロゼッタ「…………はい」



沈黙が、3人を支配する。

588Mii:2021/08/09(月) 18:23:03 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「そこまで――――私、信頼されて、いなかったんですね」

自嘲するしかありません。なんと滑稽な事か。



デイジー「違うっ!違うよっ!ただ私たちはロゼッタのことを思って――――」

ピーチ「そ、そうよ!ロゼッタにできるわけがないじゃないっ!!」

ぐさりと、言葉の刃が襲い掛かる。
本当に、なんにも、信頼されていなかったんだ。



ロゼッタ「――――どうしてっ!どうして、私に任せていただけないのですかっ!
    私は…私はっ!お二人の子供でも、操り人形などでもありませんっ!!」

ピーチ「――――っ!」

デイジー「――――っ!」

ロゼッタ「…こんな、弱弱しい、私でも。
    出会ってから、ほんのちょっとずつ、強くなって、期待されて。
    それなりに、責任ある仕事を、担って行けるようになって。
    それが嬉しかった、信頼されていると思った…

    私の想いは、ただの幻想、私の想い違いだったのですかっ!?」ボロボロ

ピーチ「そ、そんな、つもりは、ぜんぜん――――」

589Mii:2021/08/09(月) 18:26:19 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「ならば、私に、私自身の責務、果たさせてくださいっ!!
    どれだけ苦難が待ち構えていようと、四苦八苦する私に心無い言葉が投げ掛けられようとっ!
    当然の運命として、打破すべき逆境としてっ!誠心誠意受け止めますっ!

    後ろめたい気持ちを持ちながら今後皆さんと付き合っていくなんてこと、
    私には、できません!お願いしますっ!!」

ロゼッタ「おねがい…………します、どう、か――――」ボロボロボロボロ



滴が、上から、落ちてくる。
ピーチ姫が、私と同じように、ボロボロと泣いていました。



ピーチ「…ごめんなさい、ごめんなさい――――」ボロボロボロボロ

ロゼッタ「――――――――」

ピーチ「私、ロゼッタの事分かってるようで、なんにも分かってなかったのね。
   偉そうに上から目線で、なんでも世話してあげなくちゃって考えて…。
   ロゼッタの気持ち、願い、ぜんぶ踏みにじってきたんだわ。

   貸し借りなしじゃないと、本当の対等な付き合いだなんて、できないわよね…」ボロボロ

デイジー「ピーチ…………」グズッ

ピーチ「私のバカ、バカ、バカ…………!」ボロボロ

590Mii:2021/08/09(月) 18:28:46 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「どうか、その仕事…私に、一任してください。
    精一杯、励みます。そして、必ずクリアして見せますから。
    その出来しだいで、再び私が子供同然だと判断されるのなら…
    もうそれは、甘んじて受けます」

ピーチ姫が、ブンブンと首を振る。とんでもない、と言ってくれているかのよう。



ピーチ「そんなこと、絶対に二度としない。もう、私と貴方は対等なのだから。

   …デイジー、わざわざ私の与太話に付き合ってくれて、ありがとう。
   でもあれは、忘れてちょうだい、全部。一切合財、ロゼッタに…任せるから」

ロゼッタ「…それは、本当ですか」

デイジー「…………わ、私は、別に、そのくらい気にしないけど…い、いいの!?
    ロゼッタの心配はしなくて…!?進捗次第だと、本当に槍玉にあげられるよ!?
    大げさに言うと、牢屋に閉じ込められちゃうかも…っ!」

ロゼッタ「…デイジー、姫」

デイジー「そ、そんな悲しそうな目で見ないでっ!わ、わかった!わかったよ!
    私だってロゼッタのことは信用したい…いや、信じてるから!
    なんとか奇跡的なすっごいことが起きて、ロゼッタが上手くやってくれるって!」



ロゼッタ「――――」ズキッ

591Mii:2021/08/09(月) 18:32:16 ID:28rO9.d.
言葉の刃は、時折、続く。



ピーチ姫にも、デイジー姫にも、まだまだ私はひよっ子に見えている。



…やってやる。ぜったいに、やってのけてみせる。
むしろ、見返したい気持ちで、いまは一杯。
私の精神は、以前からは十分に…強かになったはず。



ピーチ「そのかわり…最後まで絶対に、諦めないで。
   私も心を鬼にして、一旦ロゼッタを突き放すから――――」

ロゼッタ「――――のぞむ、ところです。
     贔屓もなにもない唯のロゼッタとして、そのままに批評してください」

ピーチ「…ああ、ロゼッタがこんなに強い女性になっていたなんて。
   私って、本当に…バカだったわ」グズッ





三者三様に泣いて、泣き腫らして――――
私の想いは、なんとかお二人に届いた、そういうことにしておきました。

592Mii:2021/08/09(月) 18:35:08 ID:28rO9.d.
ピーチ「じゃあ、その書類はそのままロゼッタが持っておいて。
   その書類、もう処分はしないわ。むしろ残しておくべきだし。

   私は、このことを心変わりしないうちに大臣たちにすぐに周知させるから。
   みんな、やきもきしていたのよね…」

ロゼッタ「私を責務から逃がす代償に釈明に追われていた、ということですね…
    大口を叩きはしましたが、本当に…申し訳ありません」

デイジー「改めて、その書類、しっかり細部まで目を通しておいてね。
    なんだったら、そこの椅子と机を使うといいよ」

ピーチ「私の固定席なんだけど…まあ、いいわ。好きに使って。それじゃ」バタン

デイジー「私はご飯でも食べてくるねー」バタン



ロゼッタ「……………………」



ロゼッタ「……………………ほっ」



涙の跡をしっかり拭いて、書類をしっかり握りしめて、示された席へ。

流し読みしてしまいましたから、ちゃんとゆっくりと読み直しましょう。
失敗したり、仕様を勘違いしたり、ずさんな仕事をしてしまったりしてはいけません。

593Mii:2021/08/09(月) 18:38:44 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「製作概要…………」ペラッ

ロゼッタ「期日…………」ペラッ

ロゼッタ「費用…………」ペラッ

ロゼッタ「デザインポイント…………」ペラッ

ロゼッタ「安全性…………」ペラッ

ロゼッタ「レース展開、逆転性…………」ペラッ

ロゼッタ「観客動員、収益性…………」ペラッ



詳細を読めば、ますますピーチ姫の知識と頭のキレに驚愕するばかり。
ここまで丁寧な内容なら、実行する私としてもかなり助かります。
それこそ読むのが面白くて、読みふけってしまうほど。瞬く間に、1時間ほど経って行きました。

…ふう。特段、奇天烈すぎる内容は有りませんでしたね。
真面目にコツコツ工程を組めば、なんとかなりそうです。

チコ「がんばれ、ママー!」

チコ「負けるな、おー!」

チコ「元気出して、ピーチ姫を見返してあげよー!」

ロゼッタ「ええ、もちろんよ。しょげてばかりじゃ、駄目だもの」

594Mii:2021/08/09(月) 18:40:30 ID:28rO9.d.



チコ「…あれ?まだ書類が残ってるよ?」



ロゼッタ「…あ、本当だわ。議題が終わったとばかり勘違いしていたのだけど。
    添付資料でも付いていたのかしら」











書類「議題 ロゼッタに対しての諸費用請求について」








ロゼッタ「………………………………しょひようせいきゅう?」ペラッ

595Mii:2021/08/09(月) 18:43:49 ID:28rO9.d.



  『ロゼッタは、このたびのタブー戦において、キノコ王国に対し
   看過できない程度の被害・損害・特別経理の計上を負わせた。

   そのうち、分身体らによる一切の被害は本人の意思がないため除外するとして、
   以下に挙げる項目について、賠償責任を負うものとする。

   ・スマブラ試合会場ならびにフィールド構成システムを自らの意思で半壊させ、
    実質的に全体を再建築せざるを得なくなったことに対する責

   ついては、ロゼッタはキノコ王国に対し、

   42億9496万7296コイン(430億円相当)の金員、あるいはその額と等価以上の物品を支払うこと。

   支払い完了までの利息は年1%とする』





ロゼッタ「…………………………………………………………………………
    よんじゅうにおくきゅうせんよんひゃくきゅうじゅうろくまんななせんにひゃくきゅうじゅうろくこいん?」





ロゼッタ「――――!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」サァッ

596Mii:2021/08/09(月) 18:47:34 ID:28rO9.d.
デイジー「お腹いっぱいになって戻ってきましたー!」ガチャッ

ロゼッタ「デ、デ、デデデデデデ――――」

デイジー「…デデデ大王?」

ロゼッタ「デイジー姫っ!こ、こ、これっ!
    この損害賠償って、いったいなんですかっ!?!?!?」バンッ! バンッ!

デイジー「……??何を今さら。さっき確認してたじゃん。
    ロゼッタ、最後のでっかい隕石でフィールドぶっ壊したじゃない」

ロゼッタ「え、あの、その」マッサオ

デイジー「已むに已まれぬ不可避行動ならもちろん免責になるんだけどね。
    余裕もって倒せたはずのマリオ達の助力を断って、あの攻撃でトドメを刺したってことは…
    不必要な破壊ってことで、あの場面の被害はどう解釈しても、法律上は…

    100%、ロゼッタの有責器物破損行為になっちゃうんだよ」

ロゼッタ「」

デイジー「おまけに、あのフィールドだけじゃなくてさ。
    根本的なフィールド呼び出しシステムがお釈迦になったみたいで。
    まもなく、試合会場全体を一から建設し直しになるみたいだよ。

    国家プロジェクトで何年か掛けて作ってた施設だし、高くついたみたいだね…
    ピーチが嘆いてたよ。半壊というよりむしろ全壊って言いたいくらいだって」

ロゼッタ「」

597Mii:2021/08/09(月) 18:52:34 ID:28rO9.d.
デイジー「…本当に、どうしたの?」

ロゼッタ「……………………かくかく、しかじか」

デイジー「かくかく、うまうま」

ロゼッタ「……………………」

デイジー「……………………」

デイジー「――――!? 二つ目の議題知らずに大口叩いちゃったのぉ――――っ!?」

ロゼッタ「…………ハイ」

デイジー「えっ、ちょっと落ち着こう。こんがらがってきた。…じゃあ何?ひょっとして、あれ?

     私たちが『ロゼッタにコース製作なんてできるはずありませんわオホホホホ』みたいな
     シンデレラの継母的なイジワルをしてるって思ってたわけ!?悲しくなってくるんだけど!?」

ロゼッタ「すいませんすいませんすいません………!で、ですが、
    それでは一体どうして、私を護るとかいう発言が…?」

デイジー「多大な出費を強いられて難しい顔をする上層部に、信賞必罰のプラマイ相殺を強引に持ち掛けて
    コース製作の名誉を諦めてもらう代わりに借金帳消し・肩代わりに動いてたんだけど…
    賛同した私も、おまけで責任被ることにして…ロゼッタよりはお金の工面の余地があるし…」



ロゼッタ「」

598Mii:2021/08/09(月) 18:56:23 ID:28rO9.d.
ガチャッ!



ピーチ「おまたせっ!しっかりと皆には伝えてきたわ!
   文句垂れていた人たちも、私たちの目を醒まさせた顛末を聴いて、
   『さすがはロゼッタ様だ!素晴らしい責任感と潔さ!』って絶賛してたわよっ!
   しっかり借金返してくれるのなら、なにも文句言わないって!」バンッ!



ロゼッタ「あ、ああ、ああああ」マッサオ

デイジー「」

ロゼッタ「あ、あの、わ、わたし、そんな大金、どこにも――――」ガタガタガタガタ

ピーチ「わかってるわよ、ロゼッタの懐事情くらいは。






   
   大丈夫、これから頑張って体で払ってくれれば問題ないから!算段は付いてるの!」



ロゼッタ「」

599Mii:2021/08/09(月) 19:00:30 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「        」



ロゼッタ「                」



ロゼッタ「………………………………………………………………………………………
    …………………………………………………………………………………………
    …………み……………………う……………………り…………?」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ



ピーチ「」

デイジー「幻滅しました。ピーチのファンやめます」

ロゼッタ「許してください他のことならなんでもしますお願いします」ドゲザ

ピーチ「ちっがーう!何から何まで違うから!…もうっ!ちょっと来なさいっ!」





ロゼッタ「――――――――――――」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

デイジー「ドナドナー」

600Mii:2021/08/09(月) 19:05:21 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「私、どこに連れて行かれるんですか…なにを、されるんですか…?」ガタガタガタガタ



放心状態で書斎に連れて来られたと思ったら、一冊の漫画を押し付けられました。

ピーチ「付箋の付けられたところから読んでみて?」

ロゼッタ「………………………は、はあ――――」ペラッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ロゼシ「うわああああああぁぁぁぁぁ――――!!」ヒュウウウウ

デイ太「わああっ!ロゼシさんが底も見えない崖から落ちたっ!
   …ああっ、なんとか掴まってるみたいだけど時間の問題!
   早く助けに行かないと一巻の終わりだよ!ピチえもん、なんとかしてよ!」

ピチえもん「だから、便利な道具はみんな置いてきちゃって……あ、待って。あれが使えるかも…………!
     
                      『重力ペンキ』――――っ!!

     これを塗ると、塗ったところが下になる!
     ペンキの道を踏み外したら真っ逆さまだけど、崖に塗りたくって助けに行きましょう!

     それっ、ペタペタペターッと!」ヌリヌリ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

601Mii:2021/08/09(月) 19:12:50 ID:28rO9.d.
ロゼッタ「…………………付箋の間の箇所は、よ、読み終わりましたけど…???」



ぱたりと本を閉じると、満足気に突っ立ったままのピーチ姫。
私はただただ怖くて、体が震えています。

ご、ごくごく短い量でしたし。ものの2分も掛かっていません。
い、いったいこれに、何の意味があるのでしょうか…………!

それともこれは、思わせぶりのダミーの仕掛けで、既に何かしらの魔法拘束によって
ピーチ姫の都合のよい状況に追い込まれて……まな板の鯉状態、だったり…っ!





ピーチ「そう、読んだわね?」ニヤッ

ロゼッタ「は、はひっ」

ピーチ「さてと、ものは相談なんだけど――――」





ロゼッタ「え、どうして顔を近づけてくるんですか、
    あの…………こ、こわいです――――、誰か、助けて――――っ!」ガタガタガタガタ

602Mii:2021/08/09(月) 19:17:31 ID:28rO9.d.
〜イロドリタウン〜

僕は、ペンキ―!ペンキのことならなんでもお任せの名アシスタントさ!
そしてここは、色彩の楽園と名高いイロドリアイランドの中心部、、イロドリタウン!
大人の雰囲気がするリゾート地のイロドリタウンの一番の観光スポットは、
6つのビッグペンキスターから色とりどりのペンキが枯れることなく湧き出る「イロドリの泉」!

…そんな、ペンキの聖地が、ある日突然――――



クッパ「さあ、どんどんペンキを運ぶのだ―!
   クッパシップに積載してキノコ王国まで運ぶのだー!」

ヘイホー 「ヘイホー!」

ヘイホー「ヘイヘイホー!」

ペンキ―「なにごと!?」

クッパ「うむ!すでにイロドリタウンの市長には話をつけてあるのだ!
   そのご自慢の無尽蔵のペンキ、我々が適正価格で大量に買い付ける!」

ペンキ―「え、ええ?」

クッパ「とりあえず10万リットルくらい第一陣として買い取るが、
   調子が良ければまだまだまだまだ買い取るぞ!
   せいぜいイロドリの泉のメンテナンスは欠かさずやっておくのだ!」

ペンキー「」

603Mii:2021/08/09(月) 19:21:57 ID:28rO9.d.
〜キノコ城〜

キノピオ「オーライオーライ、どんどん運んじゃってくださいっ!特設タンクに流し込んでくださーい!」

トゲノコ「よしきたっ!追加注文は早目にお願いするぞ、輸送手続きにもある程度時間かかるからなっ!」

キノピオ「お気遣いありがとうございまーす!」





〜 キノコ城地下室 研究ラボ 〜

大量のフラスコにビーカー、そして薬品が所狭しと収められている。
他の研究機関の追随を許さない設備を誇る一室――――――――





ロゼッタ「――――――――――――――――――――――――



          『反重力ペンキってあったらいいな、できたらいいな』――――



    ―――って、なんですかああああああああああああああぁぁぁぁ――――――――っ!!!」パアアアアアアァァァァ

604Mii:2021/08/09(月) 19:24:56 ID:28rO9.d.
ピーチ『本当にごめんなさいっ!マリオカート8の準備が遅れに遅れてて!

   反重力で浮き上がる、未来志向の斬新なコースを作りたくて…
   ずーっと研究に研究を重ねてたんだけど!
   研究班の開発が一向に進まないのよ、やばいくらいに!

   マリオカート7による延命もそろそろ限界なの、実はっ!
   そういうわけでロゼッタの力を借りたいわ!それはもう!
   
   こう、なんというか。塗りたくるだけで反重力場が形成されるような、
   お手軽で使い勝手のいいペンキみたいなもの、作ってくれない!?それも大量にっ!
   とりあえず、素の状態のペンキは用意できるから自由に使って!
   ペンキ発注量は開発進捗次第でロゼッタに委ねるわ!研究ラボも開放するから!

   成果を挙げるまで、ほうき星には帰らないでね!それがけじめってものよ!



   とりあえず、最終目標は――――100万リットルくらい!!
   安全マージンをとると、その3倍量くらいは欲しいんだけどね!!』



ロゼッタ「ひいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」パアアアアァァァァ



ピーチ姫の台詞が繰り返し繰り返し思い起こされます。
いくら呑気な私にも分かりますっ!
これ、下手すると、何十年もほうき星に帰れないっ!準地下牢生活ですっ!?

605Mii:2021/08/09(月) 19:28:44 ID:28rO9.d.
キノピオ「あ、お忙しい所すいません、ロゼッタさん!
    ペンキの第一陣、10万リットルが無事届いたとのことです!
    言われればすぐさま持ってきますからね!お願いします!」

ロゼッタ「ま、まだ理論構築段階、それに試験管レベルから徐々にスタートですからっ!!
    今は1リットルもあれば十分ですっ!プレッシャー掛けないでくださいっ!
    あと、ピーチ姫にどうしても言いたいことがっ!」

キノピオ「…姫様なら、手続きを済ませてバカンスに行ってしまわれましたが」

ロゼッタ「」

キノピオ「あと、姫様からの言伝があります。
    
      『バカンスから帰ってくるひと月の間に、最低限の仕事はしてちょうだいね、じゃないと考えがあるわ』

    とのことです」

ロゼッタ「…………………………」ガクガクガクガクガクガクガクガク

ロゼッタ(ピーチ姫、本気かも、しれま、せん。あまりに酷いと、本当に、身売りの憂き目に遭う、かも)ガタガタガタガタ

ロゼッタ「おとなこわいおとなこわいおとなこわいおとなこわいおとなこわい
    いっしょうこどもでいいですあはははは…………」ガタガタガタガタ

キノピオ「お気を確かにっ!!」

ぐつぐつ。ぐつぐつ。
繰り出す魔法陣の数々と、怪しげな沸騰する液体に囲まれて、
私ロゼッタの…強敵(ピーチ姫)との決死の戦いが、始まってしまったのでした。

606Mii:2021/08/10(火) 08:50:54 ID:VfyrD.AE










〜 第4章 〜








          ロゼッタ、お金を稼ぐ

607Mii:2021/08/10(火) 08:52:31 ID:VfyrD.AE
〜12月24日〜



ルイージ「ジングルベール、ジングルベール、すっずーがー、なるー!
    やっほーロゼッタ、様子を見に来たよー!!」







ロゼッタ「        」ボロッ

ルイージ「出だしから机に突っ伏して灰になってる!?」





ロゼッタ「………………………………………………………
    クリスマス・イヴだというのに………今日も変わらず、実験、実験…。
    体の浄化と食事とお手洗いと僅かな睡眠以外はずっと実験…………。
  
    お風呂に入りたい…………せめてシャワーを浴びたい…………」ボロッ

ルイージ「…………うわあ、魂が抜けかけてる」

608Mii:2021/08/10(火) 08:55:15 ID:VfyrD.AE
デイジー「あ、ルイージじゃん。どうしたの?疲れ切って無防備なロゼッタの姿を眺めて鼻の下伸ばしてる、
    とかなら私じきじきに正義の鉄拳制裁を――――」

ルイージ「違う、違うっ!心配になったから様子を見に来ただけだって。
    ピーチはバカンスに行ってるし、兄さんはピーチの付き添いだし、
    ロゼッタの面倒を見てあげられる人が少なくなってそうだったからね」

デイジー「いまごろ、お二人さんいい雰囲気になってるのかな、いひひ…」

ルイージ「それはないでしょ。ヨースター島にはヨッシーたちがワンサカ居るし」

デイジー「なんでそんなところ選んだ!?」

ルイージ「なんでも、兄さんが口寄せの術の話をしたらピーチが興味津々だったんだって」

デイジー「へ、へええ?」

デイジー(口寄せってなんだろう…忍者?)

ルイージ「ロゼッタも、1日くらいしっかり休んだらいいのに」



ロゼッタ「――――先日、夢を見たんです」

ルイージ「…夢?」

ロゼッタ「はい。…その夢の中では、私は相変わらず借金返済に追われていて。
    頑張っても頑張っても、積み重なる利息分すら支払えなくて。
    ほうき星を借金の一部のカタに取られてしまったんです――――」ウツロ

609Mii:2021/08/10(火) 08:58:31 ID:VfyrD.AE
〜回想(夢)〜

ピーチ「へえ、これだけ?これっぽっちしか返せないって?」

ロゼッタ「…………」ブルブルブルブル

ピーチ「駄目ね、全然足りない。もうちょっと真面目にお金を稼いだらどう?」

ロゼッタ「…………すいません、すいません――――」ブルブルブルブル

ピーチ「もう面倒だわ、ほうき星から呑気にやってきた魔法使いさん。
   いつかは自分たちの彗星に帰りたいと、星を眺めていたわね…
   
   アルティメット・ギャラクシー・ヒステリックボムゥ―ッ!!」

ロゼッタ「…………………え、ほ、ほうき、星」



デイジー「デデ――――――――ン!!」

ほうき星は きれいさっぱり なくなりました。▼



ロゼッタ「あ…あ……ああああああああああああぁぁぁ!!!」ボロボロ

〜回想(夢)おわり〜

デイジー「」

610Mii:2021/08/10(火) 09:01:03 ID:VfyrD.AE
ロゼッタ「ぴ、ピーチ姫に、なんの、前触れもなくっ!
    ほうき星がっ!一瞬の気まぐれで、消し去られてっ!!

    うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」ボロボロボロボロ

ルイージ「ロゼッタ!それ夢!ただの夢っ!
    ちゃんとほうき星はあるから!残ってるから!」

デイジー「なんか私が悪魔の片棒を担がされてるんですけど!?」





ロゼッタ「…手なんか抜けないんだ…死に物狂いでやるしかないんだぁ…」ボロボロ





ルイージ「これは末期症状かもしれない。対策必須だね…!

    …よし、デイジー!ピーチとマリオがいない間、僕たちでなんとかしないと!
    デイジーはとりあえず、この場を収めて、今日は無理やりにでも休ませて!
  
    僕は、なにかロゼッタがストレス発散できそうなイベントを練ってみる!」

デイジー「よしきた!」

611Mii:2021/08/10(火) 09:03:52 ID:VfyrD.AE
〜12月24日 夜〜



ロゼッタ「ねむれません……………………ほうき星を取られるのは、嫌…
    身売りするのも、絶対嫌……………」ガタガタガタガタ

デイジー「そんな要求、ピーチがするわけなかろうに」



ロゼッタ「そんなことどうして言えますかっ!
    心を鬼にしたピーチなら、不出来な私の様子次第では十分あり得ます!」

デイジー「ピーチさーん!なんか脅しが効き過ぎて、
    ロゼッタからの信頼度がものすっごく下落してるぞー!?」



ロゼッタ「……………………」ブルブルブルブル

デイジー「とりあえず、今は、寝れっ!とっとと眠れ!
    疲れたままだとなんにもいいことないよ、健康が資本!」

ロゼッタ「ねむれません、よぉ……………………」

デイジー「じゃあ強引に眠らせる!」

ロゼッタ「…………え?」


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