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歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」Part2

232 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:43:52 ID:9utAojC.
歩夢「それはきっと……情報処理室にあったパソコンのせいだよ」

ダイヤ「パソコンが……?」

歩夢「校舎や学生寮を撮影した監視カメラの映像は、全て壁に掛かったモニターに映っていた」

歩夢「きっと、今までもそうやって監視して来たんだろうね」

歩夢「でも……“別館を撮影した映像”は違う」

歩夢「それを見るには、パソコンを操作する必要があったんだ」

しずく「じゃあ、モノっちーが死体を運び出すところを知らなかったのは……」

歩夢「“壁のモニターに気を取られている隙に起きた出来事”だったから」

歩夢「そうでなければ、モノっちーがわざわざ“公平な推理の材料”として情報処理室の鍵を開ける必要もないからね」

歩夢「前回の裁判で、音のない監視カメラの映像を見せて来たりもしたけれど……」

鞠莉「さしずめ“映像オンリーだから、起こったことに気付きにくい”ってところかしら」

鞠莉「襲撃事件を幾つも起こしていたんだから、そっちに意識を取られてもおかしくないもの」

233 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:44:51 ID:9utAojC.
歩夢「穂乃果さんが襲撃事件を起こした理由は、私たちを1か所に集めるためだと思っていた」

歩夢「でも……本当は違ったんだよ」

ダイヤ「多発的に事件を起こすことで、モノっちーに決定的な瞬間を見せない為……ですか」

歩夢「間違ってない筈だよ、モノっちー」

モノっちー「……ノーコメント。流石にセンシティブすぎる話題だからネ」

穂乃果「コメントする必要はないよ。だって、みんな机上の空論で疑問を解消したつもりだろうけど……」

穂乃果「まだ、大事な疑問が残っているからね」

ダイヤ「まだ、何か?」

穂乃果「そもそも、低温倉庫のスイッチは壊されていたのに……どうやって、死体を運び出したのかな?」

穂乃果「モノっちーにも回収出来なかったなら、私や花丸ちゃんにも不可能だよね?」

234 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:45:55 ID:9utAojC.
歩夢「……」

しずく「歩夢さん。事件の時、スイッチを確認したから分かるんです」

しずく「あれは、専用の道具がないと直すのは不可能だと思いますし……」

歩夢「工具箱は……校舎から脱出しようとした時に、私が第2多目的室に置きっぱなしにして来た。あとで回収することは可能だった筈だよ」

ダイヤ「そういえば捜査の時、どこにも見当たりませんでしたわね」

しずく「で、ですけど……専門の知識がないと、穂乃果さんや花丸さんにも、修理は難しいんじゃ……」

穂乃果「そうだね。私はメカニックでもないし、発明家でもないよ」

穂乃果「花丸ちゃんは作家だけど……本から得た知識程度で、どうにかなるのかな?」

歩夢「どうにかなった可能性はあるよ」

穂乃果「……えっ?」

235 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:46:46 ID:9utAojC.
歩夢「穂乃果さんは、自分のことを《超高校級の絶望》だって言ってたけど……」

歩夢「本当に、そうなの?」

穂乃果「……」

璃奈「そっか。穂乃果さんの才能って、分かってないままだったね(・v・)」

鞠莉「もっと言えば、千歌っちとして接していた頃の才能も分かってないまま」

鞠莉「あの時は、あなたが黒幕だっていうフェイクと、絶望だなんて大げさな肩書に騙されたけど……」

鞠莉「本当の才能は、何だったのかしら?」

穂乃果「……この状況で、私が喋ると思う?」

歩夢「穂乃果さんが喋らなくっても……手掛かりは、既にあったんだよ」

歩夢(そう。この裁判中で、引っかかる発言をした人がいたんだ)

【小原鞠莉】
【天王寺璃奈】
【モノっちー】

正しい選択肢を選べ!

236 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:47:47 ID:9utAojC.
→【モノっちー】

歩夢「さっき、穂乃果さんが黒幕じゃないって話をした時……モノっちーが言っていたんだ」

歩夢「“武器庫のゲームを最高難易度でクリアした”って」


モノっちー『オマエらが騙されてただけの話だよ。そして、大体は今しがた議論された通りだネ』

モノっちー『ロシアンルーレットを“最高難易度でクリアした”彼女は、そこで得た情報をキッカケに計画を立てた』


歩夢「ロシアンルーレットは、銃に弾をこめる運試し」

歩夢「難易度を上げようとしたら……弾の数を増やすしかないよね」

ダイヤ「ですが、それでクリアしようとすれば、相当な運が……っ!」ハッ

ダイヤ「まさか、彼女の才能は……」

歩夢「……うん。考えられる可能性は、これしかないよ」

【超高校級の不運】
【超高校級の幸運】
【超高校級の美少女】
【超高校級の若女将】

正しい選択肢を選べ!

237 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:48:24 ID:9utAojC.
→【超高校級の幸運】

歩夢「自分の運に頼って、狙った結果を引き寄せる……」

歩夢「自分の運によって、壊されたスイッチが稼働する……」

歩夢「《超高校級の幸運》だったとしたら……どうかな」

璃奈「超高校級の、幸運……(?□!)」

穂乃果「で、でも……エマちゃんだって、幸運の才能だったんだよ?」

穂乃果「同じ才能の人が2人居るだなんて、あり得るのかな」

歩夢「《超高校級の幸運》は、毎年虹ヶ咲学園が抽選をして、一般の学生から募集を掛けている」

歩夢「そう……“毎年”ね」

鞠莉「ここで生活を過ごしていくうちに、私たちは“学年が違う”ことを知った……」

鞠莉「だから、高坂穂乃果が《超高校級の幸運》であったとしても何もおかしくはない……ということね」

238 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:49:31 ID:9utAojC.
穂乃果「……っ」

歩夢「エマちゃんの事件のお陰で、どこか勘違いをしていたのかも知れない」

歩夢「幸運と言っても、結局は普通の高校生……無意識にそう思っていたのかも知れない」

歩夢「でも、超高校級なんだ。こんなことが出来てもおかしくはないよね」

ダイヤ「そうなると、死体を運び出したのは穂乃果さんなのでしょうね」

ダイヤ「とはいえ、どこかで着ぐるみの中身を移し替える必要はありましたが……」

歩夢「多発的な襲撃事件を監視カメラ越しに見せつけることで、その過程をモノっちーに知られないようにしたんだ」

歩夢「そもそも、情報処理室に呼び出したことにも意味があったのかも知れない」

しずく「意味……ですか」

歩夢「鍵が掛かっている部屋には入れない。もし破ろうとしたら、モノっちーは校則違反を知らせなければいけない」

歩夢「そうやって……“黒幕を情報処理室の奥の部屋に釘付けにさせておく”狙いがあったんだ」

歩夢「情報処理室自体には、モノっちーを操作したりする機械なんかは、どこにもなかったからね」

239 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:50:25 ID:9utAojC.
歩夢「つまり。この事件のクロは……同時に見つかった死体の中でも、先に殺された方の犯人」

歩夢「かすみちゃんを殺したクロ……せつ菜ちゃんだってことになる」

歩夢「そして、既にクロはオシオキが完了しているか──」

穂乃果「まだ終わってないよ!」

歩夢「……えっ?」

穂乃果「歩夢ちゃんもみんなも……肝心なことを忘れているよ。とびっきりの、謎」

鞠莉「まだあるのかしら? あなたに反論の余地が」

穂乃果「着ぐるみの死体がかすみちゃんなら……梨子ちゃんはどこへ行ったの?」

240 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:51:17 ID:9utAojC.
しずく「それは……かすみさんと入れ替えで、低温倉庫の中に」

穂乃果「それじゃあ意味がないよ。監視カメラを見たら、中に居ることがバレちゃうからね」

鞠莉「とはいえ、学校のどこかに隠したとしか考えられないけど……」

ダイヤ「どうなのですか、モノっちー。あなたなら、梨子さんの居場所を知っている筈ですよ」

モノっちー「……」

歩夢「きっと……モノっちーにも犯人が分からない理由が、これなんだ」

璃奈「どういうこと(・v・)?」

歩夢「着ぐるみの死体がかすみちゃんか梨子ちゃんか。穂乃果さんのせいで、モノっちーにも確証が持てなくなった」

歩夢「だからこうして、私たちに解かせようとしているんだ。消えた3人目の行方を……」

241 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:52:24 ID:9utAojC.
穂乃果「だったら……どこに消えたかなんて、分かるのかな?」

歩夢「分かるよ」

穂乃果「っ!?」

歩夢「梨子ちゃんは、監視カメラが絶対に届かない“ある場所”に居るんだ」

穂乃果「……」

歩夢「この事件の、最後の真実……」

歩夢「明らかにしてみせるよ!」

242 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:53:23 ID:9utAojC.
【理論武装 開始!】

穂乃果「あの死体は梨子ちゃんだよ」

穂乃果「かすみちゃんなんかじゃない」

穂乃果「他の可能性なんて考えられないよ」

穂乃果「ふざけるのはそろそろ終わりにしようよ」

穂乃果「歩夢ちゃんは何も分かってない」

穂乃果「どうしてモノっちーに力を貸すの?」

穂乃果「モノっちーのせいで、みんな死んだのに……」

穂乃果「あなたに、私の痛みなんて分からない!」


穂乃果「【梨子ちゃんはどこへ消えたっていうの!?】」

      △:ぐるみ
□:中         ○:着
      ×:の

243 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:54:18 ID:9utAojC.
→○△×□ [|着ぐるみの中>

歩夢「これで……終わりだよ!」

Break!!!

歩夢「梨子ちゃんの居場所は……あなたが着けている、その“着ぐるみの中”だよ!」

穂乃果「……」

しずく「あ……あの中に、梨子さんも居るんですか!?」

鞠莉「てっきり大浴場のどこかにでも眠らせていると思ったけど、違うのね」

鞠莉「あそこには監視カメラがないから、隠すにはちょうど良いでしょう」

歩夢「勿論、その可能性もあるけど……穂乃果さんの目的を考えると、そうとは考えにくい」

歩夢「彼女の目的は、このゲームそのものを破壊することだと思うから……」

244 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:55:04 ID:9utAojC.
モノっちー「ゲームの破壊、ネ……」

歩夢「“黒幕でさえ犯人を間違えた”“コロシアイゲームは成立していない”」

歩夢「それをこの場で証明するためには……梨子ちゃんが、穂乃果さんの“手の届く場所”に居る必要がある」

鞠莉「なるほど。だから文字通り手の届く場所……あの着ぐるみの中ってわけね」

歩夢「……うん」

穂乃果「……」

穂乃果「全然違うよ。妄想もいいところだね」

歩夢「妄想なんかじゃない。これまでの全てを振り返って……あなたにも認めさせる」

歩夢「これが事件の真実だよ!」

245 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:55:38 ID:9utAojC.
【クライマックス推理】
ACT.1
穂乃果さんと璃奈ちゃん、そして花丸ちゃん。
複数の人が作り上げた大掛かりなトリックを、紐解いて行くよ……。
まず穂乃果さんは、自分の計画のために璃奈ちゃんを脅迫した。
これから起こす事件のために……花丸ちゃんに変装させたんだ。
その裏で穂乃果さんは、本物の花丸ちゃんとも繋がっていた。
璃奈ちゃんに知らせなかったのは、自分以外に真相を知っている人を出さないためだろうね。

ACT.2
璃奈ちゃんが最初に誘い出したのは、私。
着ぐるみを着た本物の花丸ちゃんが合流して、私を気絶させる。
そこから2人は、しずくちゃんと鞠莉ちゃんを気絶させたりして、多発的に襲撃事件を起こしたんだ。
その裏では……穂乃果さんが、今回の事件の肝になることを実行していた。
襲撃事件の監視にモノっちーが気を取られているうちに……低温倉庫から、あるモノを運び出したんだ。
壊れたスイッチの問題も……彼女が持つ超高校級の幸運の才能なら、クリア出来たんだよ。

ACT.3
そうやって運び出されたのは……前回の事件から放置されていた、かすみちゃんの死体。
それを着ぐるみの中に入れて、穂乃果さんは別館を後にしたんだ。
梨子ちゃん、ダイヤさんを気絶させて……最後に、璃奈ちゃんを気絶させる。
何も知らない花丸ちゃんとして、このあと学級裁判の場に立ってもらうためにね。
その裏では、着ぐるみの中身の入れ替えが行われていたんだ。
梨子ちゃんは穂乃果さんの着ぐるみに、花丸ちゃんは着ぐるみから出て、そこにかすみちゃんの死体が。
ただ、襲撃事件を隠れ蓑にしたお陰で……モノっちーでさえ、その実態を把握することが出来なくなっていたんだ。

246 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:56:28 ID:9utAojC.
ACT.4
こうしてモノっちーを欺く準備を終えた穂乃果さんは、次に私たちを騙すための準備を始めた。
私たちに用意された偽の真相……罠に掛かった人物がクロになるトリックのためにね。
そのために穂乃果さんは、梨子ちゃん以外の気絶させたみんなを第1多目的室に放り込んだ。
そして廊下と、死体発見現場になる第2多目的室にガソリンを撒き、ライターを準備した。
結局、花丸ちゃんがここで死んだのか、本当に罠で死んだのか……今となっては分からない。
でも、議論の焦点をそこに向かわせること自体が、穂乃果さんの仕組んだ本当の罠だったんだ。

ACT.5
次に穂乃果さんが準備したのは、意図的に火事を起こす仕掛け。
水溶性の糸を第1多目的室の扉に括り付けて、それをライターと結んだ。
こうすることで、閉じ込められた私たちが扉を開けようとした瞬間、倒れたライターが火事を起こす。
糸が水溶性だったのは、火でも燃えなかった場合を考慮して、消火設備のスプリンクラー頼みにするためだろうね。
仕上げに用意したのは、弓。
置いたのか、セットしたのか……とにかく、扉を開けた人がクロになる可能性を生むようにしたんだ。

ACT.6
こうして全ての準備を終えた穂乃果さんは、着ぐるみに身を潜めて裁判に臨んだ。
気絶したままの梨子ちゃんを、一緒の着ぐるみに入れたまま。
最後まで私たちを……いや、何よりモノっちーを騙しきって、本当の黒幕を倒すために。
扉を開けた人物か穂乃果さん、どちらかがクロだと指名させたあとで、梨子ちゃんの姿を出すために。
この事件で指摘されるべきクロ……かすみちゃんを殺したせつ菜ちゃんは、既にこの世を去っていると糾弾するために。
これが、穂乃果さんたちが協力して作り上げた、犯人不明トリックの全貌だよ。

247 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:57:23 ID:9utAojC.
歩夢「一連のトリックは、あなたの才能があったからこそ成立した……」

歩夢「そろそろ、その着ぐるみを脱ぐ時だよ」

歩夢「《超高校級の幸運》高坂穂乃果さん……!」


COMPLETE!!!

248 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:58:30 ID:9utAojC.
歩夢「この推理が合っているかどうかは……着ぐるみを脱げば、分かる話だよ」

穂乃果「……その前に、今度こそ投票だよ」

鞠莉「まだ粘るつもりかしら」

穂乃果「当たり前だよ……まだ私は負けてない。モノっちーが負ければ、このコロシアイを台無しに出来るんだ」

歩夢「いいや……穂乃果さん」

歩夢(言いながら、着ぐるみの方へと歩き出す)

穂乃果「こ、来ないで!」

しずく「逃げないでください!」ガシッ

璃奈「どうしてこんなことをしたのか……ちゃんと答えて(>_<。)!」ガシッ

ダイヤ「もう、逃げ場はありません」

歩夢「あなたの……負けだよ」

穂乃果「違う、私は──」

249 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:59:12 ID:9utAojC.

「もうやめて!」

250 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 21:59:48 ID:9utAojC.
歩夢「────!」

歩夢(着ぐるみの中から……穂乃果さんのものとは違う、もう1つの声がした)

穂乃果「っ!? は、離して……」

歩夢(予想外の出来事が起きたらしく……穂乃果さんが困惑している)

歩夢(私は、中で何かが暴れている着ぐるみの頭を外し……)

穂乃果「……」

梨子「……」

歩夢(最後の行方不明者が……ようやく、その姿を現した)

251 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:00:36 ID:9utAojC.
モノっちー「ぐぬぬ……」

モノっちー「本当……やってくれたよネ」

モノっちー「いいよ。状況が状況だから……」

モノっちー「この学級裁判の中止を、ここに宣言するよ!」


    学 級 裁 判  
      閉  廷

252 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:01:19 ID:9utAojC.
穂乃果「……」

梨子「まずは……心配させてごめん、かな?」

梨子「それから……ただいま」

ダイヤ「……おかえりなさい」

穂乃果「……」

歩夢(穂乃果さんは……私たちの方に、睨むような視線を向けていた)

穂乃果「……結構、しっかり縛ったつもりだったんだけどなあ」

梨子「……ごめんなさい」

しずく「り、梨子さんが謝ることなんて……」

253 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:02:08 ID:9utAojC.
鞠莉「とにかく……話してもらうわよ」

穂乃果「……」

歩夢「お願いだよ、穂乃果さん。璃奈ちゃんと……花丸ちゃんのためにも」

穂乃果「……」ハァ

穂乃果「トリックの関係で、璃奈ちゃんだけは動いてもらう必要があったけど……」

穂乃果「元々、花丸ちゃんを巻き込むつもりはなかったんだ」

璃奈「……どういうこと(>_<。)?」

穂乃果「花丸ちゃんは……私が黒幕だっていう“嘘”に気付いていたんだよ。そして、手紙を入れて来た」

254 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:03:13 ID:9utAojC.
『────だったり、武器庫の件だったり。以上の理由から、穂乃果さんが黒幕だとは考えられない』

『きっと穂乃果さんは、璃奈ちゃんの力を借りて、コロシアイを壊そうとしているんですよね』

『だったら、私も協力します』

『どうしても信用出来ないなら、大浴場で待ってます 国木田花丸』


穂乃果『……』

璃奈『穂乃果、さん……(>_<。)?』

穂乃果『……何でもない、よ!』

バチバチィ!

璃奈『ぅ……』ドサッ

穂乃果『……』

255 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:03:59 ID:9utAojC.
穂乃果「気付かれてしまった以上は、巻き込むしかなかった」

穂乃果「でも予想外だったのは……“花丸ちゃんから、今回の事件のためのトリックを提案してきた”ことだよ」

歩夢「は、花丸ちゃんが!?」


花丸『……どうかな。きっとこれなら、モノっちーを騙せると思うけど』

穂乃果『……本気で、言ってるの?』

花丸『ずら?』

穂乃果『この計画だと……花丸ちゃんが、死ぬことになるんだよ?』

花丸『それでも……穂乃果さんが考えたトリックよりは、モノっちーを騙しやすい筈だよ』

花丸『ううん……幸運の才能に頼っても、穂乃果さんの計画は隙だらけで失敗するずら』

穂乃果『……っ』

256 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:04:53 ID:9utAojC.
穂乃果「……私が最初から考えていたのは、璃奈ちゃんの才能と、かすみちゃんの死体を利用すること」

穂乃果「でも……それとは別に、モノっちーには“本当に人が死んだ瞬間”を見せないといけない。花丸ちゃんはそう言ったんだ」

ダイヤ「花丸さんが、そんなことを……」

鞠莉「それでも……花丸を殺すことに乗ったのは、あなたの方でしょう」

穂乃果「私だって、殺したくはなかったよ!」

鞠莉「っ……」

穂乃果「もう……嫌だったんだ。これ以上、誰かが死ぬのは」

穂乃果「曜ちゃん……ううん。“花陽ちゃん”が死んで……全部、思い出しちゃったんだよ……」

しずく「ハナヨちゃん……?」

歩夢「曜ちゃんとして接していた子の、本当の名前なんだよね」

穂乃果「……うん」

257 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:05:46 ID:9utAojC.
────3度目の裁判の後、穂乃果の自室

千歌?『あの曜ちゃんの正体も』

千歌?『私の才能も』

千歌?(……私の、本当の名前も)

千歌?(海未ちゃんやことりちゃんたちが、死んじゃったことも……)

穂乃果『全部、思い出しちゃった』

穂乃果(……でも、どうしよう?)

穂乃果(ただコロシアイを終わらせようとしても、絶対に上手くいかない)

穂乃果(モノっちーを学級裁判で騙すことが出来れば……何とか、コロシアイを壊せないかな?)

穂乃果(でも……学級裁判をやるってことは、誰かが死ななきゃいけない……)

穂乃果(どうすれば……)

258 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:07:02 ID:9utAojC.
穂乃果「だから……せつ菜ちゃんが起こした事件の全貌を知った時、これしかないって思った」

穂乃果「かすみちゃんの死体を使えば、これ以上誰も死なずに、事件を起こせるから……」

モノっちー「でも、残念でした。結局、みんなの手で真相は暴かれちゃったワケだネ!」

穂乃果「……」

穂乃果「……ごめんね、みんな」

穂乃果「璃奈ちゃんも……ごめんね。どうしても、あなたの力が必要だったんだ」

穂乃果「梨子ちゃんも、巻き込んでごめんね。誰か1人は、着ぐるみの中に入ってないといけなかったんだ」

穂乃果「それに……私の本心は、絶対に知られるわけにいかなかったから」

穂乃果「怖い思いをさせちゃって……本当に、ごめんね」

梨子「……」

璃奈「穂乃果さん……(>_<。)」

しずく「ですが……どうして花丸さんは、自分を殺させるような真似をさせたのでしょう」

穂乃果「……その答えになるかは、分からないけど」

259 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:08:12 ID:9utAojC.
────昨晩、第2多目的室

穂乃果『……本当に、いいの?』

花丸『うん。前回の事件で、色々思うところがあったから……ね』

穂乃果『……深くは聞かないでおくよ』

花丸『ただ……1つ心残りがあるとすれば』

穂乃果『……?』

花丸『オラが今までに書いた小説には、歩夢ちゃんのような優しい探偵さんは出てこなかったから』

花丸『あんな人を主人公にした本を書けなかったことが……ちょっぴり、残念、かな』

穂乃果『……そっか』

花丸『バイバイ、穂乃果さん。みんなにもよろしく頼んだずら』

穂乃果『……っ』グッ

ヒュッ

260 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:09:10 ID:9utAojC.
歩夢「……」

鞠莉「彼女は……自ら殺されることを、望んだ……」

穂乃果「だから私は……勝たなくちゃいけなかったんだ」

ダイヤ「花丸さんの想いを無駄にしないために……ですか」

モノっちー「うけけけけ……さっきも言ったけど、結局は無駄な苦労になったネ」

モノっちー「この件をキッカケに、ボクはより警戒するようになる」

モノっちー「オマエは黒幕じゃないことをバラされて、同じ手は使えない」

モノっちー「何より国木田さんは、ただの無駄死にになっちゃったんだからネ!」

歩夢(モノっちーの不愉快な笑い声が、裁判場にこだまする)

歩夢(……これで、良かったんだろうか)

歩夢(希望を見つけ出すために謎を解いた結果……却って、希望を閉ざしてしまったのではないか……?)

261 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:10:22 ID:9utAojC.
モノっちー「まあ……寛大なボクは、オマエの取った行動は不問にしておいてやるよ」

モノっちー「だから、オシオキはしない。でも次からは、妙な真似が出来ないように校則を──」

穂乃果「……その必要はないよ」

モノっちー「……うん?」

穂乃果「本当に凄いね、歩夢ちゃん。花丸ちゃんが監修したトリックを、全部解いちゃうなんて」

歩夢「え、えっと……」

穂乃果「心配しなくていいよ。ここまでしても解かれる可能性は十分あるって、事件を起こす前からずっと思っていたから」

穂乃果「ううん。きっとみんななら全部解いちゃうだろうって、信じてたから」

歩夢「信じてたなら、どうして……」

穂乃果「……どうして、だろうね」

穂乃果「やっぱり……歩夢ちゃんと一緒に、何かをやりたかったんだと思う」

穂乃果「幼稚園の時みたいに、ね」

262 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:11:26 ID:9utAojC.
歩夢「そ、それって……!?」

穂乃果「もしかして、今まで忘れてたの? ちょっと酷いなあ」

穂乃果「お遊戯会の時……歩夢ちゃんの手を引っ張って行ったんだよ?」

歩夢(おぼろげな記憶の中にいる少女。私が夢を歩き出すキッカケになった少女)

歩夢(それが……穂乃果さんだったのか)

穂乃果「きっとあなたならやり遂げられる、輝ける。精一杯のときめきを放ってくれる、って……そう、思っていたから」

穂乃果「間違ってなかったよ。だって歩夢ちゃんは《超高校級の歌姫》になったんだもの」

穂乃果「だから……私は、これで満足したよ」

263 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:12:02 ID:9utAojC.
歩夢(そう言うと……オレンジ色の髪をした彼女は、おもむろにポケットから何かを取り出した)

歩夢(それが“何かのスイッチ”であるということに気付いた時には……)

カチッ

歩夢(小さな音が鳴り)

ドォン!

歩夢(どこかで……大きな音がした)

264 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:13:13 ID:9utAojC.
しずく「な、何事ですか!?」

梨子「今のって、爆発!?」

モノっちー「……まさか、オマエ!」

穂乃果「武器庫にあった爆弾は小さくて、鉄の扉は壊せない」

穂乃果「でも……“学園長室の扉の鍵”なら、壊せるよね」

モノっちー「────高坂穂乃果ァァァァァァァッ!」


ウーーーッ ウーーーッ ウーーーッ


璃奈「こ、今度は何(?□!)!?」

鞠莉「鍵の掛かった扉を壊したってことは……校則を破ったってこと」

鞠莉「つまりこれは……」

歩夢「校則違反を知らせるサイレン!?」

265 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:14:10 ID:9utAojC.
穂乃果「最後の手段なんだ。謎が全て解かれたり、モノっちーが駄々をこねたりした時のためのね」

歩夢「な、何をしてるの!? 校則を破ったら……」

穂乃果「大丈夫だよ、歩夢ちゃん」

穂乃果「これでモノっちーは、追いつめられる側になった」

穂乃果「あとは……あの絶望を倒すだけだよ」

モノっちー「クソッ……こうなったら……」

モノっちー「こ、校則違反者へのオシオキを、準備させて頂きました!」

穂乃果「それから、鞠莉ちゃん」

歩夢(今度は、爆弾のスイッチが入っていたのとは逆のポケットから……何かが放り投げられた)

266 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:15:34 ID:9utAojC.
鞠莉「これは……USBメモリ?」

穂乃果「私の部屋の、ベッドの下を調べて。外の世界についての“嘘”も、分かる筈だから」

鞠莉「外の……!? いえ、分かったわ」

穂乃果「きっとモノっちーは、最後の勝負を挑んで来る」

穂乃果「今までよりも大きな、最後の絶望を叩きつけてくる」

穂乃果「でも絶対に……負けないで」

穂乃果「あ、それから! 大事なことを忘れてた!」

穂乃果「エマちゃんの幸運も……信じてあげて」

歩夢「そ、それって、どういう……」

モノっちー「それでは、張り切って参りましょう……なんて言ってられるかよ!」

穂乃果「みんな……」

モノっちー「オシオキターーーーーーーイム!」

267 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:16:13 ID:9utAojC.

穂乃果「ファイトだよ!」

268 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:17:46 ID:9utAojC.

       EMERGENCY
コウサカさんがこうそくいはんをおかしました。
    おしおきをかいしします。

269 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:19:10 ID:9utAojC.
高坂穂乃果が連れて来られたのは……ベルトコンベア。

学校の机と椅子の上に座らされ、身動きが取れないようになっています。

ベルトコンベアの向こうには……ピストン運動を続ける、巨大な鉄の塊。

どうやらモノっちーは、このプレス機で彼女を潰すつもりのようです。


      〈(無名のオシオキ)〉
   《超高校級の幸運 高坂穂乃果処刑執行》

270 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:19:53 ID:9utAojC.
ドスン、ドスン。

鈍い音を立て、鉄の塊は上下します。

ゆっくりと、そちらへと流れるベルトコンベア。

穂乃果の目の前にあるのは教壇を模したセットと、教師の恰好をしたモノっちー。

黒板に書かれているのは、幾つもの暴言。

校則違反をした彼女へ向けられた、罵詈雑言です。

モノっちーは「分かっているのか!?」と言いたげに、鞭を教壇に叩きつけます。

穂乃果はその光景を、黙って見続けています。

しかし、その額には……やはり、玉のような汗が浮かんでいました。

271 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:20:52 ID:9utAojC.
ドスン、ドスン。

鉄の塊が上下するたびに、ベルトコンベアにも振動が伝わります。

ガチャガチャ……ガチン!

おや……? どうやら、彼女を椅子に縛り付けていた拘束が、外れたようです。

振動のせいで壊れたのでしょうか……流石は、超高校級の幸運です。

焦ったモノっちーが、穂乃果に飛び掛かろうとします。

力づくで抑え込むつもりのようですが……彼女は、するりと抜け出しました。

逃げようとすれば、今すぐにでも逃げられます。

ですが……穂乃果の取った選択肢は、違いました。

覚悟を決めたような顔で、プレス機の方へと駆け出したのです。

やがて、後に残されたのは……。

血に染まったベルトコンベアと鉄の塊、そして。

返り血を浴び、苛立ちを抑えきれない表情のモノっちーでした。

272 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:21:53 ID:9utAojC.
モノっちー「うぐ、ぐぬぬぬぬぬぬ……」

歩夢(穂乃果さん……いや、穂乃果ちゃんは、死んだ)

歩夢(最後までモノっちーに盾を突くような形で、消えていった)

歩夢(泣きたい。悲しい。私にとって、もう1人の幼馴染だった筈の人が、居なくなったんだ)

歩夢(いや……もしかしたら、私は既に泣いているのかも知れない)

歩夢(でなければ……口の中にしょっぱい味がしみこんで来ることなんてないだろうから)

歩夢(でも……立ち止まっちゃいけないんだ)

歩夢「行こう……穂乃果ちゃんが残してくれた、手掛かりを見つけに」

273 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:22:59 ID:9utAojC.
歩夢(私の言葉を皮切りに……みんな、エレベーターへと乗り込んで行く)

歩夢(そして、裁判場を去る間際。モノっちーは、私たちに向かって叫んだ)

モノっちー「次に行われるのは、最後の学級裁判だよ」

モノっちー「詳しくは、後で学園中にアナウンスしてやるよ」

モノっちー「絶対にオマエらを絶望させてやる」

モノっちー「オマエらへの仕返しを、終えてみせる」

モノっちー「バッドエンドまっしぐらにしてやるから、覚悟しておくんだネ……」

歩夢(仕返しという言葉が少し引っ掛かったが……そんなもの、モノっちーに言われる筋合いはない)

歩夢(むしろ、仕返しをするのは私たちだ)

274 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:23:44 ID:9utAojC.
歩夢(穂乃果ちゃんが繋いでくれた希望で、絶望を打ち破ってみせる)

歩夢(そして……私たちは、これから望むことになる)

歩夢(希望と絶望のぶつかり合い)

歩夢(全ての謎が解き明かされる)

歩夢(最後の“学級裁判”を──)

275 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:24:47 ID:9utAojC.
Chapter5 END

https://i.imgur.com/4J1GtrG.png

To be continued……


プレゼント“役目を終えたスイッチ”を獲得しました。

276 ◆8TImjtGSKs:2020/02/28(金) 22:25:30 ID:9utAojC.
今回はここまで。

277以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 03:36:05 ID:Al.bEdZo
おつおつ
いよいよ6章か

278 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:41:00 ID:kxPgDpz6
────幕間 ある夏の昼下がり

「ねえ花丸ちゃん、しず子知らない?」

「しずくちゃんなら居ないずらよ」

「あれ、そうなの?」

「確か、公演でしばらく沼津に行ってる筈だよ」

「じゃあ花丸ちゃんでいいや。遊びに行かない?」

「マルは一服したら、原稿を仕上げないといけないから……ごめんね」

「マキちゃんみたいなこと言わないでよ」

「ああ……薬の調合で忙しいって言ってたずらね。昨日見かけた時も髪がボサボサだったよ」

「なんか、危険な薬が出来ちゃったとか……毒とかじゃないよねアレ」

「ヘビから作る薬って言ってたから……可能性はあるずらね」

「うえぇ!? わ、私、ヘビはダメなんだけど」

「だったら、しばらくは研究室に近寄らない方がいいよ。きっと地獄絵図だし」

279 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:41:45 ID:kxPgDpz6
「むー……。りな子は鞠莉先輩たちとどっか行ったし、ルビィちゃんたちは実家に帰ってるし」

「それに、他のみんなはどこかに出掛けて寮に居ないし……」ブツブツ

「しずくちゃんの演劇でも見に行ったら?」

「今から行っても間に合わないでしょ。彼方先輩とか、何人かは見に行ったみたいだけど」

「とにかく、今日はかすみちゃんの遊び相手にはなれないずら」

「アイス奢るから……ダメ?」

「た……食べ物で釣ろうとしても、ダメずらよ」

「ぐぬぬ、今日は頑固だ」

「じゃあ部屋に戻るから、絶対に邪魔しないでね? またダイヤさんたちに目を付けられても、今度は庇いきれないから」

「ちぇー」

───
──


280 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:43:18 ID:kxPgDpz6

     Chapter6

This is the end 〜■■宣言〜 
    非日常編

281 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:44:02 ID:kxPgDpz6
ピンポンパンポーン

モノっちー『あー、あー、本日は晴天なり本日は晴天なり。マイクチェック、ワンツー』

モノっちー『オマエら、ちゃんと聞こえてるよネ? 聞こえても聞こえなくても返事はしなくていいからネ』

歩夢(穂乃果ちゃんの事件を終えて、裁判場から戻って来た私たち)

歩夢(間髪入れずに……アナウンスが、校内中に響いた)

282 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:44:52 ID:kxPgDpz6
モノっちー『さて。ここまで行われて来た“コロシアイ学園生活”は、これより最終局面へと入ります』

モノっちー『え、最終局面が何かって?』

モノっちー『壮大なミステリの最終局面といえば、やっぱり“真の回答編”でしょ!』

モノっちー『というワケでオマエらにはこれから、最後の捜査をしてもらいます』

モノっちー『公平を期すために“全ての部屋のロックが解除されている”ので、思う存分調べちゃってください』

モノっちー『その後は……さっきも言ったように、最後の学級裁判を行います』

モノっちー『裁判の結果次第では、オマエらは晴れてこの学園から卒業となります』

モノっちー『ただし……結果次第では、全員オシオキとかになっちゃうかもネ』

モノっちー『じゃあ、また後で会おうか。うけけけけけ……』

プツン

283 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:45:42 ID:kxPgDpz6
歩夢「……」

梨子「この学園の謎を解いてみろ、ってわけね」

ダイヤ「この歪な学園から解放されるためには、どのみちやるしかありません」

しずく「で、でも!」

璃奈「どうしたの(・v・)?」

しずく「解放されたところで……この学園の外って、とっくに滅んでいるんですよね……」

鞠莉「校則違反のサイレンで聞こえなかったかも知れないけど、その件は、穂乃果がこんなことを言ったのよ」


鞠莉『これは……USBメモリ?』

穂乃果『私の部屋の、ベッドの下を調べて。外の世界についての“嘘”も、分かる筈だから』

鞠莉『外の……!? いえ、分かったわ』

284 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:46:28 ID:kxPgDpz6
しずく「う、嘘……?」

鞠莉「私たちがなるべく個室に引きこもってくれた方が、彼女の計画にとって都合が良かった」

鞠莉「それに黒幕を騙るなら、嘘は大きければ大きいほど良い……ってことでしょうね」

璃奈「だったら……窓の外の景色は、何だったんだろう(・v・)?」

梨子「確かにあれは、映像じゃなくて本物だと思うけど……」

歩夢(……そうだ。私たちは『外を泳ぐ魚たち』や『海藻らしきもの』なんかを、第2多目的室の窓の向こうに見た)

歩夢(だからこそ、穂乃果さんの話が現実味を帯びていたんだ)

歩夢(でも……)

歩夢「……それを含めて、解き明かせばいいんだよね」

鞠莉「そうよ」

285 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:47:02 ID:kxPgDpz6
歩夢「それに……今度の裁判は、私たちの中に潜んだ犯人を捕まえることじゃない」

歩夢「黒幕を、私たちをここに閉じ込めた犯人を、暴き出すんだ」

歩夢「だから……私たちが疑い合う必要は、どこにもないんだよ」

梨子「歩夢ちゃん……」

しずく「……そう、ですよね」

鞠莉「さて、そうと決まったら、捜査を始めましょう」

ダイヤ「ええ。調べなければならない場所は、かなり多いですから」

璃奈「みんなバラバラに捜査しないと、間に合わないかも(>_<。)」

鞠莉「バラバラになっても、協力し合えないわけじゃない。それを忘れちゃダメよ」

鞠莉「じゃあ私は、穂乃果の部屋に行って来るわ。彼女の置き土産を1つ1つ調べて行く必要があるもの」

286 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:47:50 ID:kxPgDpz6
ダイヤ「では、私は──」

梨子「えっと、じゃあ私は──」

歩夢(みんなそれぞれ、学園中に散って行く)

歩夢(最後に残った私も……)

歩夢「……よし」

歩夢(もう少しで、終わるんだ)

歩夢(この狂気に満ちた学園を脱出して、生き残ったみんなで帰るんだ)

歩夢(だから……始めよう)

歩夢(これが私たちの、最後の戦い──!)

287 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:48:47 ID:kxPgDpz6
【捜査開始!】

歩夢「まずは……あっ」

歩夢(今回はモノっちーファイルが手元にない。事件が起きたわけじゃないのだから、当然なのだが……)

歩夢(嫌なクセが身に付いたなあ、と実感する)

歩夢(そうなると、調べに行くべきは……)

288 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:49:19 ID:kxPgDpz6
────学園長室

璃奈「歩夢ちゃんも、ここを調べに来たの(・v・)?」

歩夢「うん。穂乃果ちゃんが、命懸けで壊した扉だから……」

璃奈「……(・v・)」

歩夢(閉ざされていた学園長室の扉は、鍵を壊されたことで自由に出入り出来るようになっていた)

歩夢(鍵の破壊には爆弾が使われたが、中の物が損傷している様子はなさそうだ)

歩夢(とはいえ……この部屋に入った時、私が最初に感じたことは)

歩夢「随分と、殺風景なんだね」

璃奈「それは……私も思った(・v・)」

歩夢(想像していた学園長室とは、随分と違った印象の部屋)

289 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:49:58 ID:kxPgDpz6
歩夢(学園長室といえば、大きな机と革製の大きなソファ、そしてカーペット)

歩夢(歴代校長の写真が壁に飾られ、奥には学園長が座る椅子と、荘厳な雰囲気を纏った机)

歩夢(細かい違いはあるけれど、てっきりそういう物だろうと思っていた)

歩夢(だが、この学園長室にあったのは……たった1つの、パイプデスク)

歩夢(そして1冊の冊子と、璃奈ちゃんが手にしている大きなファイルだけ)

璃奈「表紙だけ見たけど、パンフレットの方はただの学校案内みたいだよ(・v・)」

歩夢(璃奈ちゃんの言う通り……でかでかとそびえ立つ校舎の写真を表紙にした冊子のようだ)

歩夢(だが、学校案内に目を通して行くうちに……私はある“違和感”を覚えた)

歩夢「ねえ、璃奈ちゃん」

璃奈「?」

歩夢「“こんな部屋、この校舎にはなかった”よね?」

290 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:51:09 ID:kxPgDpz6
璃奈「……ど、どういうこと(・v・)?」

歩夢「ほら、これを見て」

歩夢(今の問い掛けを疑問に感じた璃奈ちゃんが、こっちに駆け寄って来る)

歩夢(私が開いているページ──設備紹介のコーナーとある──には、次のような記述があった)


『体育系の才能から、文科系の才能まで。幅広く取り揃えられた設備』


歩夢(その記述と共に掲載されている、プールや体育館、図書館にコンピュータールームらしき部屋、ついでに学生寮の写真)

歩夢(問題はそのどれもが……“この校舎にあった同一の設備と、造りがまるで違う”こと)

歩夢(『私たちが閉じ込められている虹ヶ咲学園』のものと比べると明らかに広く、そして数が多いのだ)

歩夢(勿論……“研究室”と書かれている、薬品棚や何らかの機械なんかが詰め込まれた部屋も、この学園にはない)

歩夢(理科室ではないかとも疑ってみたが、やはり部屋の形状からして違っている)

歩夢(私のように歌を歌う人なら何度もお世話になるであろう“レコーディングルーム”なんかも、このパンフレットには載っていた)

291 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:51:39 ID:kxPgDpz6
璃奈「こんな部屋、なかったよね(?□!)」

歩夢「……うん」

歩夢(学園長室の写真が載ったページもあったが……やはり、こことはまるで雰囲気が違う)

歩夢(パンフレットを持つ手が、少し震えていた)

歩夢(ここに書いてあることが、間違っているのだろうか?)

歩夢(それとも、このパンフレットは偽物なのだろうか?)

歩夢(……もし、そうでなかったとしたら)

歩夢(私たちが閉じ込められている“この虹ヶ咲学園”は一体……?)

《虹ヶ咲学園学園案内》のコトダマを入手しました。

292 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:52:18 ID:kxPgDpz6
歩夢(設備の件は気になるが……学園案内には、それ以上特筆すべきことはなかった)

歩夢「……ところで、璃奈ちゃんが持ってるファイルは何だったの?」

璃奈「虹ヶ咲学園の在学生名簿……みたいだよ(・v・)」

歩夢「在学生名簿……」

歩夢(鞠莉さんたち14期生、私たち15期生、璃奈ちゃんたち16期生。名簿に載っていたのは、計27人分だ)

歩夢(情報として掲載されているのは、本人の名前と才能、そして顔写真)

歩夢(せつ菜ちゃんや善子ちゃんたちの本名については、ここでは触れられていない。あくまで名簿としての目的のみを果たす物だ)

歩夢(当然……気になる情報が、幾つか浮かび上がって来る)

293 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:53:17 ID:kxPgDpz6
歩夢(まず目を引くのは、私たちの記憶にない8人の名前)

第14期生
《超高校級の占い師》東條希
《超高校級のバレリーナ》絢瀬絵里
《超高校級のアイドル》矢澤にこ

第15期生
《超高校級の弓道部》園田海未
《超高校級のデザイナー》南ことり

第16期生
《超高校級の陸上部》星空凛
《超高校級の農家》小泉花陽
《超高校級の医者》西木野真姫

294 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:54:13 ID:kxPgDpz6
歩夢(《超高校級の弓道部》園田海未さん……)

歩夢(前回の事件に用いられた弓は、彼女の私物だったりしたのだろうか……というのはさておき)

璃奈「小泉花陽……って、確か(・v・)」

歩夢「……うん」

歩夢(前回の事件で穂乃果ちゃんが言っていた“渡辺曜”の正体は、彼女のことで間違いないだろう)

歩夢(プロフィールの顔写真と“私たちと接していた曜ちゃん”の顔も、一致している)

歩夢(では、本物の渡辺曜のプロフィールはといえば……)


第15期生
《超高校級の船乗り》渡辺曜


歩夢(……顔つきこそよく似ているが、やはり、この学園で過ごして来た曜ちゃんではない)

歩夢(だったらどうして、小泉花陽は曜ちゃんとして接していたのだろうか。本物の曜ちゃんは、どこに行ったのだろうか……?)

《8人の生徒名簿》《渡辺曜の生徒名簿》のコトダマを入手しました。

295 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:54:52 ID:kxPgDpz6
歩夢(次に私の目に留まったのは、見知った名前の中にある、2つの名前)


第15期生
《超高校級の幸運》高坂穂乃果
《超高校級の若女将》高海千歌


璃奈「結局、私たちと一緒に居たのは……穂乃果さんで良かったんだよね(・v・)?」

歩夢「うん。目の色が合ってるのは、穂乃果ちゃんの顔写真だからね」

歩夢(先の事件でオシオキされたのは、オレンジの髪に、青い目をした女の子)

歩夢(やっぱり、赤い目をした“本物の高海千歌”は、最初から行方が分からないということになる)

歩夢(……湧き上がるのは、同じ疑問)

歩夢(本物の千歌ちゃんは、どこに居るのだろう)

歩夢(どうして穂乃果ちゃんは、千歌ちゃんとして接して居たのだろう)

歩夢(しかも、彼女は自分の正体を“思い出した”と言っていた筈だ)

歩夢(それが意味する物って……?)

《2人の15期生》のコトダマを入手しました。

296 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:55:54 ID:kxPgDpz6
歩夢(……残った16人の名簿には、不審な点はない)

歩夢(私の才能も《超高校級の歌姫》として記載されている)

歩夢「この部屋には、もう手掛かりになりそうなものはないかな」

璃奈「そうかも(・v・)」

歩夢「まだまだ調べないといけない場所はあるし……頑張ろっか、璃奈ちゃん」

璃奈「うん(・v・)」

歩夢(……そういえば、どうして私は才能に関する記憶までも失っていたのだろう)

歩夢(穂乃果ちゃんもそうだ。彼女は自分の正体どころか、高海千歌としての才能すらも把握していなかった)

歩夢(これって、何か理由があったのだろうか……?)

297 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:56:32 ID:kxPgDpz6
────情報処理室

モノっちー「……」

歩夢「……?」

歩夢(学園長室の捜査を終えて情報処理室を訪れた私を出迎えたのは、無言のモノっちー)

モノっちー「……」

歩夢(いや。無言というか……動いてない?)

モノっちー「……おや、歩夢さんですか」

歩夢「えっ?」

モノっちー?「私です、黒澤ダイヤです」

歩夢「え、えっ?」

モノっちー?「詳しいことは奥の部屋で話します」

歩夢「は、はぁ……」

298 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:57:12 ID:kxPgDpz6
────情報処理室、奥の部屋

ダイヤ「何も、そんなに怯えながら入って来なくても」

歩夢「あ、いや……黒幕の罠かと思っちゃいましたし」

ダイヤ「確かに……少々、おふざけが過ぎましたわね。お詫びします」

歩夢「い、いいんですよ別に。それよりも、この部屋は……」

歩夢(情報処理室自体も、大量のモニターが異様な雰囲気を造り出していた)

歩夢(けれども、この部屋はそれ以上に異質な空気を醸し出している)

歩夢(幾つもの機械やパネル、レバーにスイッチ、いかにもな椅子が真ん中に1つ)

歩夢(機械特有のブルーライトが、目にあまりよろしくない刺激を与えてくる)

歩夢(まるで、ロボットを操縦するコックピットみたいだけど……)

歩夢「もしかして、モノっちーを動かす部屋……?」

ダイヤ「そうなりますわね」

299 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:57:48 ID:kxPgDpz6
歩夢「じゃあ、さっきのはダイヤさんが?」

ダイヤ「ええ。試しに動かしてみたのですが、こういった機械は得意分野ではありませんね」

歩夢(ダイヤさん曰く、モノっちーの操作周りはこんな感じ)

・まず、モノっちーを出したい部屋や廊下等を、パネルから選ぶ

・レバーで動かし、マイクに向かって発した声がモノっちーの口から(機械音声に変換されて)出てくる

・モノっちー越しに周囲の音を拾うことが出来るが、視界はモノっちーの目に内蔵されたカメラだけ

・「絶対押すなよ!」というスイッチがあるが、何なのかは押してないので分からない

歩夢(これらを総合すると、1つ、分かることがある)

歩夢「私たちを監視する部屋と、モノっちーを動かす部屋が別ってことは……」

ダイヤ「モノっちーの操作をしている間は、私たちの監視が不完全な物になる」

ダイヤ「穂乃果さんたちが講じた一計は、あながち間違いではなかったのでしょうね」

歩夢(あの事件は、本当にモノっちーにも真相が分かっていなかったんだ……)

《モノっちー操作室》のコトダマを入手しました。

300 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:58:25 ID:kxPgDpz6
ダイヤ「そういえば歩夢さん。先ほど、妙な物を見つけたんですよ」

歩夢「妙な物?」

ダイヤ「この部屋の隅にあるゴミ箱の中に入っていたのですが……」

ダイヤ「危険すぎる代物なので、こちらに置いてあります」

歩夢(ダイヤさんが示した先……サイドテーブルの上に、それは置かれていた)

歩夢「これ……何ですか?」

歩夢(ざっくりと言うなら……それは、有体に恐らくゴム製であろう持ち手の付いた、金属の棒)

歩夢(スイッチらしき物が付いているけど……?)

ダイヤ「恐らく、それは──」

301 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:58:55 ID:kxPgDpz6
ジリリリリリリリッ!

ダイヤ「な、何の音ですの!?」

歩夢「何かが、部屋の外で鳴ってるみたいだけど……」

歩夢(慌てて、私とダイヤさんはモノっちー操作室を出る)

歩夢「め、目覚まし時計?」

ダイヤ「どうしてこんな所に……」

ガチャリ

歩夢「……えっ?」

歩夢(音の正体に気を取られているうちに、奥の扉から妙な音がした)

302 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 20:59:36 ID:kxPgDpz6
ガチャガチャガチャ!

ダイヤ「か、鍵が!?」

歩夢「嘘!?」

歩夢(慌てて私もドアノブに触れてみる。だが、やはり結果は同じ)

歩夢(モノっちー操作室への扉は、鍵が掛かってしまったのだ)

モノっちー「いやはやごめんネ、奥の部屋は封鎖させてもらったよ」

歩夢「モノっちー……」

ダイヤ「……オホン。全ての部屋の鍵を解除した、のではなかったのです?」

モノっちー「言ったネ、確かに言ったけど……閉鎖しないとも言ってないよネ!」

303 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:00:08 ID:kxPgDpz6
歩夢「ず、ずるいよそんなの!」

モノっちー「まあ、あの部屋を開けっぱなしにしておくと、ボクを動かせなくなっちゃうからネ」

モノっちー「どこかで締め出しておかないと、放送も出来ないでしょ」

ダイヤ「では、やはりあの部屋は……」

モノっちー「お察しの通り、ボクを動かすための部屋だよ」

歩夢「待ってよ。だったら、今も誰かがモノっちーを動かしてることになるけど……」

モノっちー「うん、それがどうしたの?」

歩夢「あの部屋には私とダイヤさん以外、誰も居なかったよね」

ダイヤ「確かに、人が隠れられるスペースもありませんでしたが……」

304 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:00:43 ID:kxPgDpz6
モノっちー「人は居なかった……? いやいや、そんなことはないよ」

モノっちー「うけけ……天井裏までは、普通は気が回らないよネ」

歩夢「て、天井裏!?」

ダイヤ「なるほど。天井裏を通じて、私たちをあの部屋から追い出すために、こんな真似を」

モノっちー「まあ、気付いたところで内鍵に阻まれちゃうんだけどさ」

モノっちー「というワケで、モノっちー操作室は閉鎖です。なので、得た情報は責任持ってみんなと共有しておくように!」

モノっちー「あそうそう。この情報処理室もすぐに閉鎖するから、とっとと出て行けオマエら!」

歩夢(こうして、半ばモノっちーに追い出されるような形で、私たちは情報処理室を後にした)

305 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:01:26 ID:kxPgDpz6
ガチャリ

歩夢「……本当に締まっちゃった」

ダイヤ「ですが……これで、危惧していた可能性もなくなりましたわね」

歩夢「可能性?」

ダイヤ「ええ。“生き残っている私たちの中に黒幕が潜んでいる可能性”を考えてもいたのですが……」

歩夢「ああ……黒幕はモノっちーを動かしたりしないといけないから、それは無理だということですね」

ダイヤ「そうなります。つまり、黒幕は私たち以外の誰かだと断言出来ますわね」

《黒幕について》のコトダマを入手しました。

306 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:02:13 ID:kxPgDpz6
歩夢「あ、そうだ。ダイヤさん、結局あの棒は何だったんですか?」

ダイヤ「その話の途中でしたわね。あれは恐らく、電流警棒だと思われます」

歩夢「で、電流警棒……?」

ダイヤ「ええ。本来の用途は暴徒撃退用なのですが、何故あの部屋にそんなものがあったのかが分からなかったもので」

歩夢「確かに、モノっちーがそんな物を使う理由は見当たらないけど……」

ダイヤ「ただ、何かに使われたのは事実かと。大して手入れはしていなかったようですが」

歩夢「えっ……?」

ダイヤ「金属の部分……電流が通る箇所に、水垢らしき汚れが付いていたんですよ」

ダイヤ「まあ、だから何だと言われれば、それまでなのですが……少し気になっただけです」

歩夢(……電流警棒に、水垢?)

歩夢(もしかして……いや。それが本当だとしたら……?)

《電流警棒》のコトダマを入手しました。

307 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:03:07 ID:kxPgDpz6
ダイヤ「ところで歩夢さん。電流警棒の件以上に、ずっと気になっていることがあるのですが……」

歩夢「?」

ダイヤ「結局“絶対押すなよ”のスイッチは何だったのでしょうか」

歩夢「えっ」

ダイヤ「いえ。単なる私の好奇心なのですが……押すなよと言われると、押してみたくなるような」

ダイヤ「けれども、ここで押すということは黒幕の掌の上で踊らされているような……そもそも私は、年長者なんですよ。それなのに……」ブツブツ

歩夢(……ダイヤさん。多分そのスイッチは、自爆ボタンだと思います)

歩夢(一番最初に体育館に集められた時に、爆発してたし……)

308 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:03:50 ID:kxPgDpz6
────生物室

歩夢「さ、寒い……」

歩夢(前回の事件から開いていた、生物室)

歩夢(霊安室としての役割を果たすこの部屋は、しずくちゃんが言っていたように、低温倉庫並みの寒さ)

歩夢(そして、彼女の話通り……壁に、ロッカーのような物が埋め込まれていた)

歩夢「ロッカーの鍵は……」

ガチャガチャガチャ!

歩夢「……流石に、開いてないよね」

歩夢(まあ、ロッカーは部屋じゃないと言われればそうなので、開いていなくても不思議ではない)

歩夢(仮に開いていたとしても、遺体が入っているロッカーを好んで見たいとは思わないが……)

309 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:04:50 ID:kxPgDpz6
歩夢「……」

歩夢(改めて、遺体安置用のロッカーをよく見てみる)

歩夢(埋め込まれたロッカーの数は、縦3列、横10列の計30台)

歩夢(しずくちゃんの話では、ロッカーの横にランプがついていたそうだが……)

歩夢(確かに、青いランプがロッカー毎に光っている。“何台かを除いて”だが)

歩夢「1、2、3……」

歩夢(多少まばらに点在しているそれを確認してみると、ランプが点いていないロッカーは全部で9台だということが分かった)

歩夢「……」

歩夢(これが意味するものって……?)

《生物室のロッカー》のコトダマを入手しました。

310 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:05:34 ID:kxPgDpz6
────校舎3階、廊下

梨子「あ、歩夢ちゃん! そっちはどう?」

歩夢(生物室での捜査を終えた私は、別館の方から歩いて来た梨子ちゃんと遭遇した)

歩夢「色々……あったよ」

梨子「私もよ。ちょっと、歩夢ちゃんに見て欲しい物があるんだけど」

歩夢「見て欲しい物?」

歩夢(梨子ちゃんが出して来たのは……1冊の、手帳だった)

歩夢(裏表紙には小さく、西木野真姫と名前が書いてある)

歩夢「あれ、この名前って……」

梨子「知ってるの?」

歩夢「学園長室のファイルで見たんだ。私たちの1つ後輩に《超高校級の医者》として名前が載っていたんだよ」

311 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:06:23 ID:kxPgDpz6
歩夢(ペラペラとページを捲っていく。内容は、西木野真姫という人物が日々の研究に励む手記……のようだ)

歩夢(聞いたこともない新薬を開発したり、何らかの細胞の培養とやらだったり……小難しい話ばかりだ)

歩夢「これが……どうかしたの?」

梨子「折り目が付いてるページがあるんだけど……わざわざこんなものが置いてあるなんて、気になるでしょ?」

歩夢(梨子ちゃんに促され、折り目が付いてるページ……手帳の後半にあったそれを目にする)


『何よ、今度のプロジェクト』

『研究中の再生医療技術が、どうしてクローンの研究に転用されてるのよ』

『人道的に大丈夫なのかしら、アレ』

312 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:07:01 ID:kxPgDpz6
梨子「再生医療って……事故なんかで失った身体の部位を復活させるアレ、よね。テレビで聞いたことがあるけど」

歩夢「確か、そんな感じだったと思う。でも、この書き方だと……」

歩夢(この研究は、騙されて行われた物のような書き方だ)

歩夢(でも……手帳には、まだ続きがあった)

歩夢(少し後の方に、再び折り目の付いたページが登場する)


『疲れた。評議委員会の人たちとお話して、なんとかプロジェクトを凍結させた』

『あんなもの倫理に問題大アリだし、私の立場も危うくなるもの』

『しばらく暇になるし、久しぶりに凛や花陽たちと遊びに行こうかしらね』


歩夢(これって、さっきのクローン研究のことなのかな?)

歩夢(だったら、このプロジェクトは凍結……行われなくなったことになるけど……)

《西木野真姫の手記》のコトダマを入手しました。

313 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:07:36 ID:kxPgDpz6
梨子「愛ちゃんの事件に使われた毒薬も、元はもしかしたらこの人が作ったのかなって……」

歩夢「そう……かもね。あの時の裁判で、モノっちーもそんなことを言ってたし」


花丸『もしかして……“本来存在しないような毒薬”ってことずら?』

モノっちー『まあ、そういうことだネ。“とある人が作った薬をボクが改良した”物なんだよ』

せつ菜『とある人って、誰なんですか?』

モノっちー『しーん……』ボウヨミー


歩夢(何が“改良”だ。人の研究を奪って、最悪な代物に作り変えただけじゃないか)

歩夢(……とはいえここで怒っても意味がない。まだ捜査出来ていない場所はあるんだ)

歩夢(梨子ちゃんと一旦分かれて、私は次の場所へと向かった)

314 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:08:12 ID:kxPgDpz6
────学生寮・穂乃果の部屋

鞠莉「いらっしゃい」

歩夢(前回の裁判の最後に、穂乃果ちゃんからお土産を受け取った鞠莉さん)

歩夢(ノートPCを横に置いて、ベッドの上に座っていた)

歩夢「そのパソコンって……」

鞠莉「ベッドの下にあったのよ。やっぱり穂乃果が持っていたわ」

鞠莉「それにしても、とんだプログラムよ。このUSBが絶対に必要だったとはね」

歩夢(PCの詳しい知識は持ち合わせていないが……どうやら、USBメモリ自体が解析の鍵になっていたようだ)

歩夢(2つで1つのプログラム。USBメモリが刺さっていない限りは、絶対に解析が不可能だったのだ)

315 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:08:55 ID:kxPgDpz6
鞠莉「さてと。色々分かったことがあるけど……まずは、これかしらね」

歩夢(鞠莉さんが見せて来たPCの画面に映し出されていたのは……【虹ヶ咲学園・極秘プロジェクト】)


『虹ヶ咲学園は、更なる才能の獲得・育成に努めるべく、新たなプロジェクトに着手した』


歩夢(この出だしは……図書室で鞠莉さんに見せてもらった時のものだ)

歩夢(過去に様々な超高校級の才能を研究し続けて来た虹ヶ咲学園のレポート。以前は途中までだった文章の、続きが読めるようになっていた)

『そして、それらの才能を継承して行くべく、今回の希望継承計画は幕を開けた』


歩夢「希望……継承計画?」

316 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:09:42 ID:kxPgDpz6
『希望継承計画とは、唯一無二である超高校級たちの才能を、2つの観点からクローン技術によって継承していくもの』

『1つは、才能に関する記憶をデータ化し、それを被験者の脳に移植する方法』

『知識を主とする超高校級の才能は、この方法で継承が可能となるだろう』

『もう1つは、記憶と共に、筋肉等身体の必要部位も移植する方法』

『本人の技術による才能は、このアプローチでの継承を予定している』

『当然ながら、必要部位だけをそう簡単に用意することは出来ない』

『だが、超高校級の医者が研究していた再生医療の技術を転用することで、その問題はクリア出来るだろう』


歩夢「……っ」

鞠莉「驚いたでしょう? 世界各国が禁止の動きに向いているクローン技術の研究を、虹ヶ咲は行っていたみたい」

歩夢(しかも、生徒の研究を使って……だ)

317 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:10:44 ID:kxPgDpz6
歩夢(途中の文章は、頭が痛くなるような小難しい文章ばかり)

歩夢(だが……手記にあった通り)

鞠莉「もっとも、その計画は頓挫したみたいだけどね」


『──7月頭。希望継承計画、凍結』

『14期生西木野真姫やその周囲からの反発の声が大きかったことを表向きの理由としているが、別の理由も存在する』

『今回のプロジェクトの本命である超高校級の幸運という才能を、どうしても再現出来る目処が立たなかったためだ』

『14期生エマ・ヴェルデの、運を他人に分け与える才能。15期生高坂穂乃果の、狙った結果を引き寄せる才能』

『16期の幸運を募集した際に抽選を行う機械が幾度も故障したことと言い、幸運については解明出来ていない部分が多い』

『多すぎるがゆえに、どこから手を付けて良いか分からないといった具合だ』

318 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:11:34 ID:kxPgDpz6
『本プロジェクトは凍結となったが、幾つかの技術は残しておく』

『再生医療の技術は、改めて本来の目的で活用してもらうことに』

『記憶をデータ化する技術、及び移植する技術。こちらも、何らかの形で再利用が出来ないかと検討中』

『虹ヶ咲学園・評議委員会』


歩夢「……」

歩夢(これが、希望継承計画の全貌だった)

歩夢(にわかに信じがたいSFチックな話だが……手帳に書かれていたこととも一致している)

鞠莉「虹ヶ咲の偉い人たち、結構デンジャラスな橋を渡ってたりしたみたいよ」

歩夢「でも……ここに書いてある“幾つかの技術”って」

鞠莉「ええ。私たちの記憶が奪われているのは、この技術を使って行われたことかも知れないわね」

《希望継承計画》《記憶喪失について》のコトダマを入手しました。

319 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:12:25 ID:kxPgDpz6
鞠莉「このフォルダはこんな物かしらね。次はこっち」

歩夢(PCに表示されたのは【持ち出し厳禁】と書かれたフォルダ。中にあるのは【ヒミツ】と【秘密】の2つのファイル)

歩夢(どっちから見る? と問われたので……上に表示されている【ヒミツ】の方から順番に見ることにした)


『研究発表』

『才能を活かした物となったら、大きな建物でも建ててしまう?』

『土地の問題:ウチの所有している島?』

『いっそ海底?(果南の研究発表の拠点としても役立つし)』

『学校の設備を丸ごと作ればいい ←後輩たちも自由に使えるように』

『この手の建築に強いメンバー:……』

320 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:13:15 ID:kxPgDpz6
歩夢「……」

歩夢(中身は、箇条書きのように書き連ねられたテキストファイル。誰かの研究発表の、構想メモの様だが……)

歩夢(……何、これ?)

鞠莉「中身についてはノーコメントでお願いするわ。まあ……強いて1つ言うとしたら」

鞠莉「……はっちゃけ過ぎじゃないかしら、これ考えた人」

歩夢(鞠莉さんの笑いがどこか自虐めいているのは……多分、気のせいじゃないと思う)

歩夢(ただ、この構想メモの通りなら。私たちが今いる場所についても説明が付く)

歩夢(きっと穂乃果ちゃんは、これも知っていたんだ。だから『世界崩壊』なんて、大それた嘘のシナリオも用意出来たんだ)

《海底学園》のコトダマを入手しました。

321 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:14:19 ID:kxPgDpz6
歩夢(フォルダにあった、もう1つのファイルにも目を通す)


『希望隔離計画』


歩夢「……えっ?」

歩夢(出だしの文字に、私は目を丸くした)


『彼女がクロである証拠を掴んだ』

『捕まえるのは簡単。でも事は穏便に済ませたい』

『希望継承計画の技術を使うしかない』

『希望を絶望から隔離するのが、最善手の筈』

322 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:15:31 ID:kxPgDpz6
歩夢(ファイル名もカタカナで、どこかふざけている様子だった【ヒミツ】と比べると……)

歩夢(【秘密】に書いてあるそれはとても短く、それでいて不穏さを感じさせる内容だった)

鞠莉「そっちのテキストもノーコメント。抽象的すぎて、何が言いたいのかを測り兼ねるわ」

歩夢「穂乃果ちゃんは……これも、知っていたのかな」

鞠莉「それもまだ分からない。ただ……黒幕がこれを、USBを使ってまでヒントとして残していたってことは」

鞠莉「この【希望隔離計画】は、重要な手掛かりになる筈よ」

歩夢「……っ」

歩夢(希望を、絶望から隔離する計画)

歩夢(でも、今の私たちが置かれている状況から見るに……)

歩夢(その計画は、失敗したのだろうか?)

《本当の希望隔離計画》のコトダマを入手しました。

323 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:16:08 ID:kxPgDpz6
歩夢(その後。生徒プロフィールについても改めて確認させてもらったが……)

歩夢(先に学園長室で名簿を見ていたこともあって、これといって気になる箇所はなかった)

歩夢(そして──)

324 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:17:20 ID:kxPgDpz6
ピンポンパンポーン

モノっちー『始まりと終わりの線など引けないと言いますが、ボクはあえて線を引きます』

モノっちー『捜査という時間は終わりを告げ、学級裁判という時間が始まるのです』

モノっちー『オマエらという希望が勝つのか、ボクという絶望が勝つのか』

モノっちー『全ての決着を、つけようじゃありませんか』

モノっちー『いつもの場所で待ってるからネ。うけけ、うけけけけけけけけけけけけけけけ……』

プツン


歩夢「……始まる」

鞠莉「行きましょう、歩夢」

325 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:17:58 ID:kxPgDpz6
────学生寮、廊下

しずく「わっ!?」

歩夢(穂乃果ちゃんの部屋を出ようとした矢先。扉が思わずしずくちゃんにぶつかりそうになった)

鞠莉「大丈夫かしら」

しずく「い、いえ。問題ないです」

歩夢「そういえば、しずくちゃんはどこを調べていたの?」

しずく「鍵が解除されていたということで各階の隠し部屋と……お恥ずかしながら、自分の部屋で心の整理を」

鞠莉「そういえばあったわね、あのブレーカーだけしかない小部屋」

しずく「はい。本当に、ブレーカーしかない部屋でした……収穫ゼロです」

326 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:18:40 ID:kxPgDpz6
しずく「それどころか……心の整理をつけていた筈なのに、何かモヤモヤが残っている気がして」

歩夢「だ、大丈夫だよしずくちゃん。そんなことだってあるから!」

鞠莉「ここで不安になっても仕方ないわ。どのみち、この後の裁判で全て明らかにするだけなんだし」

しずく「あ、いや。そういう話じゃなくって……“何か、なくなっている物がある”ような気がするんです」

鞠莉「……はい?」

しずく「この学園に私物はなかった筈なのに、部屋から何かが消えているような……妙な感覚がするんです」

歩夢「気のせい……って言い切るのは簡単だけど……」

歩夢(とはいえ、消えるほどの物があった覚えもない。やっぱり気のせいでは──)

鞠莉「……うっかりしてたわ」

歩夢「えっ……?」

327 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:19:38 ID:kxPgDpz6
鞠莉「……」

歩夢(鞠莉さんは、物凄い形相で何かを考えこんでいた)

しずく「あ、あの……何か、不味いことでも……」

鞠莉「……話は後。行くわよ、学級裁判に」

しずく「え、あ……はい……」

歩夢「……?」

歩夢(スタスタとエレベーターに向かう鞠莉さんの後を、2人で追う)

歩夢(何かに気付いた様子だけど、今の話で何か分かったのだろうか……?)

《しずくの違和感》のコトダマを入手しました。

328 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:20:58 ID:kxPgDpz6
────赤い門の前

歩夢「……」

歩夢(みんな、覚悟を決めたように無言)

歩夢(璃奈ちゃん、ダイヤさん、梨子ちゃん)

歩夢(鞠莉さん、しずくちゃん、そして私……6人全員が、集まっていた)

歩夢(最初は18人で始まったコロシアイ学園生活も、今はたった6人)

歩夢(減ってしまったことを実感しながら。今まで死んでいったみんなのことを思い返しながら)

歩夢(私たちは、エレベーターに乗り込み……)

歩夢(そして、向かうべき場所へ下り始めた)

329 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:21:36 ID:kxPgDpz6
歩夢(6人を乗せた鉄の塊は、いつものように地下へと潜っていく)

歩夢(深く、深く、深く深く深く深く……)

歩夢(ゆっくりと、私は目を閉じる)

歩夢(この裁判で、絶望を打ち砕くと信じて)

歩夢(希望が勝つということを証明して)

歩夢(残酷で醜悪なゲームを、終わらせてみせる)

歩夢(最後には、みんなで生きて帰る……そのことだけを考えて)

歩夢(やがて、鉄の塊が動きを止め……私は目を開けた)

330 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:22:33 ID:kxPgDpz6
────地下???階、裁判場

モノっちー「……うけけ、待ってたよ」

歩夢(最後ということを意識してか……裁判場は、やけに豪華な造りになっていた)

歩夢(例えるなら、それはコンサートホール)

歩夢(上からはシャンデリアが光を灯し、裁判場を取り囲む壁紙は数多の座席が描かれている)

歩夢(そして中央には、私たちの議席と、12の遺影)

歩夢(モノっちーはといえば……王冠まで被って、玉座で頬杖をついていた)

歩夢(我こそがこの学園の王である、と言わんばかりに)

331 ◆8TImjtGSKs:2020/03/29(日) 21:23:22 ID:kxPgDpz6
ダイヤ「始める前に、1つだけ確認しておきたいのですが」

モノっちー「ん?」

ダイヤ「穂乃果さんたちの遺体は、既に生物室に?」

モノっちー「何を確認するかと思えば……そうだネ、あいつらは全員ロッカーに収めた後だよ」

モノっちー「途中で捜査に来ていた人もいたけど、その時には既に納品しております」

ダイヤ「……そうですか」

《モノっちーの証言》のコトダマを入手しました。


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