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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

1Mii:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。

遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。





パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。

     ・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
      勝ち越せない程度の実力しかありません。
      戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
      むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
      読むようにしてください(最重要)。

     ・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
      白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
      別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
      
     パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」

243Mii:2019/10/12(土) 21:31:41 ID:VNNXsmsg
ゼルダ「…………」モグモグ

ヒルダ「…………」モグモグ

ロゼッタ「デイジー姫、本当に、本当に助かりました」モグモグ

デイジー「いいのいいの。というかゼルダ、アンタは気付きなさいと言いたい。
     普通に前回も出てたでしょ。頭、大丈夫ー?」ニヒヒ

ゼルダ「アイテムありのルールなんて知りません」ムスッ

デイジー「あー、まー、そうか。大会中は基本『アイテム:でない』だって話だからね、ごめんごめん。
      とりあえず、食べ物とマキシムトマトだけをひたすら出るように設定しておいたから。
      これで飢え死にすることはなくなるはずだよ」

ロゼッタ「何から何まで…ありがとうございます」ペコリ

ゼルダ「ま、まあ。礼は言っておきます。ありがとうございました」

ヒルダ「本当にありがとうございました、ふふ、美味しいです…!」パクッ

244Mii:2019/10/12(土) 21:34:03 ID:VNNXsmsg
デイジー「あと、『アレ』も」ビッ

ロゼッタ「『アレ』……?」クルリ





激辛カレーライス×4「冷める前に食ってくれ」ドサッ





ロゼッタ「…あ、あれは遠慮したいのですが」

デイジー「まあまあ、そんなこと言わずにー!捨てるだなんて勿体ないよ!」アハハ





ロゼッタ「か ら あ い!!」ボオオオオオオオ

ゼルダ「きゃああああああ!!」ボオオオオオオ

ヒルダ「水、み、みず―――――!!」ボオオオオオ

デイジー「あはははは!」ボオオオオオ

245Mii:2019/10/16(水) 05:58:45 ID:mzEHWB1E
――食後のコーヒーで一息、なんて気の利いたものはありませんが、
――とりあえず食べられるだけ食べて、小休憩。
――デイジー姫はのほほんと、他の皆は、皮一枚繋がったことを噛みしめて。



物思いに、耽る。
冷静になってきて、ようやく考えるべきことを思い出しました。

まず、デイジー姫には、事の顛末をしっかりと伝えます。
私がメインで話し、ゼルダ姫とヒルダ姫が時折、補足説明をする。
時に呆れ、時に驚きながら、彼女は耳を傾けてくれました。

デイジー「そ、そんなことになってたんだ…ロゼッタもついてないね…」

ゼルダ「ロゼッタは自業自得ではないですか。
     一番ついていないのは、巻き込まれた私とヒルダ姫なのですが」

ロゼッタ「うぐっ」



ヒルダ「…ゼルダ姫、大人げないですよ」

デイジー「ないわー。その言い方はないわー」

ゼルダ「…じょ、冗談です!」

ロゼッタ「いえ、間違いではないので…申し訳ございません」

246Mii:2019/10/16(水) 06:03:09 ID:mzEHWB1E
デイジー「ときに、ロゼッタ。こうなっちゃった、そもそもの原因って
      推測が立ってたりするの?」

ロゼッタ「…分身体を作れば作るほど私の体調が顕著に悪くなったところからして、
     最初は空間魔法にだけ反応する呪いみたいなものを掛けられたと思いました。
     ですがそれだと、今の私が快調なことの説明が付きません。

     実は、解呪がてら、このあたりの空間を解析することができたのですが。
     ……ほんのわずかですが、淀んでいますね」

デイジー「淀んでる?」

ロゼッタ「簡単に言うと、『思念魔素』が薄く漂っているといいますか…」

ヒルダ「簡単ってなんでしょう」

デイジー「できればキノコ王国の言葉で教えてほしいなあ」

ゼルダ「ハイラル王国かロウラル王国の言葉でも全然かまいませんよ」

247Mii:2019/10/16(水) 06:06:47 ID:mzEHWB1E
ロゼッタ「ええっと…ナノレベルの微細物でありながら、散布者の組み込んだ、
      簡単なプログラムに従って集合や離散、周囲への干渉を行う物の総称、ですね」

ゼルダ「っ!?」バッ

ヒルダ「っ!?」バッ

ロゼッタ「…別に、口を押さえたところで意味がないですよ?
     皮膚からでも余裕で取り込まれるサイズですし。

     それに、悪さをするならとっくに体がおかしくなっています。
     時間差で発動するような高度なプログラムは仕込めないので。
     というわけで、一般には…さして影響のない存在ですね」

デイジー「まあ、そんなことだろうと思ったよ。ロゼッタ落ち着いてたし」

ゼルダ「いつも思いますが、デイジーは暢気すぎますよ」

ヒルダ「…逆に言うと、ロゼッタには思いっきり干渉する代物だったのですね?」

ロゼッタ「そのよう、ですね。実分身を使っているうちに体中に纏わりつかれて、
     コンディションの著しい低下を招いたようです。気持ち悪いですね…。
     幸い…と言っていいのか分かりませんが、今は――
     用済みとなったからなのか、私の体には、皆さんと同じ程度の思念魔素しか
     残留していませんが」

デイジー「…よし。事が全て済んだら、空間もろとも――私たちの体、ロゼッタの魔法で浄化してほしいんだけど。
      無害と分かっていても気味が悪い」

ロゼッタ「は、はい。承りました」

248Mii:2019/10/16(水) 06:11:56 ID:mzEHWB1E
ゼルダ「で、肝心の事件の犯人は分からない、ということでよろしいのですね?」

ロゼッタ「…はい。ある程度の空間魔法の使い手、ということと、
     膨大な量のFPを所有する者、ということくらいしかわかりません」

ゼルダ「膨大な量のFP?」

ロゼッタ「思念魔素って、陰で悪さをする上で非常に便利なのは確かですが、
     寿命が短くすぐ霧散してしまう、強力な威力を持たせられない、
     空間が大きくなるほど必要量も比例して多くなる…と
     デメリットも相当大きいのですよ。
   
     そんな代物を、おそらく――あちこちのフィールドにまき散らして
     獲物が掛かるのを待っていられる。
     FPを湯水のように使える術者でなければ、とてもできない芸当です」

ヒルダ「…そこまでして、一体何がしたかったのでしょうか」

ロゼッタ「…まず間違いなく、空間魔法に秀でた者を戦力として探していた、
      というところでしょう。それで、私の実力が眼鏡にかなったと」     

ヒルダ「さすがロゼッタです!」

ロゼッタ「ふっふっふ」

ゼルダ「調子に乗らないでくださいます?」バシッ

ロゼッタ「すいません!」ババッ

249Mii:2019/10/16(水) 06:19:20 ID:mzEHWB1E





デイジー「…………犯人、わかったかもしれない」

――デイジー姫のその一言が、私たちを黙り込ませました。





ゼルダ「……犯人に、心当たりが?」



引き締まった顔のゼルダ姫に対して――デイジー姫は、一息おいて、話し始めます。



デイジー「ピーチが、言ってた。前回の大会で。おまけに私も会場で観戦してたし。



     『亜空の使者事件』っていう事件がキーになると思うな」

250Mii:2019/10/16(水) 06:23:21 ID:mzEHWB1E
ロゼッタ「別空間に誘う者――『タブー』!?
      そんな存在が前回大会で――!」

ヒルダ「大変じゃないですか――!」

ゼルダ「まさか、そんなことが起こっていただなんて――!」

デイジー「いい加減にゼルダは反省しろと言いたい。
     アンタ、前回大会で何やってたねん」

ゼルダ「」



ロゼッタ「なるほど、そこまで大がかりなことができる敵なら、
     膨大な量のFPを持っている…というか他所から持ってこられることは
     十分に考えられますね。とりあえず、『黒』にしておきましょう――」



デイジー姫から頂いた貴重な情報をもとに、これまでを振り返って分析します。
敵側の描くシナリオが、おぼろげながら見えてきました。

251Mii:2019/10/16(水) 06:28:47 ID:mzEHWB1E
ロゼッタ「では、私の仮説を披露させて頂きます。
     
     前回大会で大いに暴れようとしたものの、マリオ達によって倒されたタブー。
     倒し切ったと思いきや、潜伏状態で生き延びて、
     野望を捨て切れないからか、はたまた恨み、復讐心からか…
     大会会場で虎視眈々とチャンスを伺っていました。
     
     しかし、このまま単独で挑んでは勝ち目は薄いと判断。
     自分の能力を補強できる空間魔法の使い手を手駒にして
     攪乱させることを目論みました。

     無尽蔵のFPを糧に、着々と準備を進めます。
     大会が開かれず警備が薄いことが災いし、誰も思念魔素に気付きません」

デイジー「いやまあ、それに気づくのはロゼッタか――
      キノコ王国の誇る最新技術くらいだと思うけど。
      常人に気付けというのは酷っす」

252Mii:2019/10/16(水) 06:34:45 ID:mzEHWB1E
ロゼッタ「そして大会直前、空間魔法を繰り出し続ける私に目を留めます。
     おまけにカンペキな分身体まで作れるとくれば、
     攪乱に使ってくれと言っているようなもの。
     いやぁ、我ながら気前のいいことをしてしまいましたね!
     敵に塩どころか兵糧と作戦ノートと金塊を送っていますね!

     あとは、頃合いを見計らって本体と入れ替わり、
     ついでにラッキーということでゼルダ姫やヒルダ姫もすり替えて。
     ゼルダ姫が強いことは分かっているため、下手に戦うよりは
     本体たちを隔離しておいてとっとと離脱した方が賢い、という判断をして。

     …もしも私が敵の立場だったら…そうですね。
     フィールドから出た後、何事もなかったかのように皆と合流しつつ、
     仕掛けを着々と施す一方で空間魔法を使った選手同士の仲違いを狙い、
     不信感が募りに募ったところで仕掛けの方が準備万端、
     一斉始動させて、してやったり…みたいなシナリオを描くと思います」

デイジー「えっと、ロゼッタが考えるってことは、コピー先の偽ロゼッタが
      考える可能性も高い作戦だってことでいいかな?」

ロゼッタ「実際には、私の思考回路とタブーの思考回路が合わさっていますから、
     より効果的な解が出ていることも考えられますが…」

デイジー「そっかぁ…中々、安心できる要素がないね…」

ゼルダ「状況を理解すればするほど、私達の偽者が間者として暗躍するなんて、と
    目の前が真っ暗になっていくのですが…」

ヒルダ「…………うう」

253Mii:2019/10/16(水) 06:39:43 ID:mzEHWB1E
――沈み込む皆さん。ただ、沈ませっぱなしの私ではありません。
――振り払ってしまえるよう、ある提案をしてみます。

ロゼッタ「デイジー姫、お願いがあります。
 
  

     ――――私たちを、鍛えて頂けませんか」

デイジー「…………はい?」

突拍子もないことを言われたからか、目をぱちくりさせるデイジー姫。
でも、意図はあるのです。

ロゼッタ「いますぐに、脱出できない。大会が終わるまで、釘付け状態。
     …このままでは敵の言いなりです。あまりにも悔しいではありませんか。
     せめて――敵の裏をかいてやる、最大限の努力をするべきだと思います。
     そのうえで一つ、大きな、かなり大きな期待要素があります」

デイジー「え、なになに?何か希望を見つけたの!?」

ロゼッタ「ええ。私の力というより、思いっきり運によるものですが。
     とりあえず、タブーの知識量は置いておいて…
     分身体は、その他には、分身体を作った瞬間の私の知識しかありません」

デイジー「そりゃあ…そうでしょ?」

ロゼッタ「つまり、立てられる作戦も、そのときの私を基準としたものになります。
     その後に私が知った情報について、分身体は考慮することができません。
     そこを衝けば、敵の作戦の裏をかくことができるはずです」

254Mii:2019/10/16(水) 06:45:55 ID:mzEHWB1E
デイジー「えっと、何かめぼしい新情報ってあったっけ?」

ヒルダ「…とりあえず、私達が十分生きられそうな環境が整ったというのはありますね。
    でも、どのみち脱出できないのでは敵への干渉のしようが…」

ゼルダ「…ああ、そういうことですか。一番のイレギュラーがありますね」

デイジー「イレギュラー?」



ゼルダ姫と二人して、同じところを見つめます。

…見つめられた「彼女」が、再び目をパチクリ。



ロゼッタ「デイジー姫の存在ですよ」

デイジー「……ほへ?私?」



私は大きく頷きます。まさに僥倖、運はまだ残っているようです。

255Mii:2019/10/16(水) 06:50:46 ID:mzEHWB1E
もちろん、ゼルダ姫やヒルダ姫がこれからもたらしてくれる知識が、
敵の裏をかく要因になることも多少は考えられます。
ゼルダ姫やヒルダ姫の姿を象った分身体と言えど、知識まで彼女たちのものを
持っているわけではないので。所詮、知識ベースは私なのです。

ですが、分身体の私は、少なくとも――

「本体の私が、ゼルダ姫やヒルダ姫の知識を参考にするだろう」

という推測は、当然ながら立てているはずで、対策もしているはず。
つまり、あまり出し抜くことが期待できません。



その一方で、デイジー姫のことは、あの感じだと…
仮眠室でくぅくぅ寝ていることなど、まるで知らなかったことでしょう。
空間魔法探知に躍起になるあまり、通常の索敵ができなくなっているというのは
なんだかシュールです。…大助かりですけれどね。

言うなれば――デイジー姫を皮切りにした作戦は、裏をかき放題です。

256Mii:2019/10/16(水) 06:54:02 ID:mzEHWB1E
デイジー「だからって、どうして私が鍛えることになるの?」

ロゼッタ「ではひとつお尋ねします。真剣に答えてください――」

デイジー「…………うん」ゴクリ

ロゼッタ「実は、ここから抜け出す裏口みたいなものをご存知だとか!」

デイジー「ふっふっふ、実はこう見えてフィールド設計の内部事情に詳しくて…
     って、なんでやねーん!」ビシィ

ロゼッタ「でしょう?」

……まあ、さすがにそこまでご都合主義とは思っていません。
冗談であることをさすがに理解しているのか、ゼルダ姫もヒルダ姫も、
とやかく言うことはありませんでした。

ロゼッタ「ですから、愚直に、単純明快に――
     デイジー姫には、私達のレベルアップの手助けをしていただけないかと。
     相手が想定するよりずっと早いペースで力を伸ばすことで、
     強引に結界を破る総合力、あるいはブレイクスルーとなる新技…
     それらを得ることに期待するのです」

257Mii:2019/10/16(水) 07:00:18 ID:mzEHWB1E
デイジー「本当に地道だね…。うーーーん。
     …………でも、期待されているところ悪いけれど、
     この中でいうと私って…ゼルダとどっこいどっこいの実力しかないよ…?」



ヒルダ姫は、そうなんですか、と言いたげな顔。
ゼルダ姫も、うんうん、と頷いています。






…………そ、そんなゼルダ姫には、すこし耳障りな話を、しようとしているのですが…。
ええい、現状打開のためです!思い切りが大事です!

258Mii:2019/10/16(水) 07:06:35 ID:mzEHWB1E





ロゼッタ「…………それって、本当に本当ですか?
     実際は、ゼルダ姫の数倍強かったりしませんか?」

ゼルダ「…は?」イラッ





デイジー「…え?いきなり何を藪から棒に。
     ロゼッタも知ってるでしょ、私、ピーチに負けまくってるじゃない。
     冗談はやめてよー」ケラケラ



ロゼッタ「以前、ピーチ姫に伺ったことがあるのですが…」

デイジー「え、何を……?」

259Mii:2019/10/16(水) 07:09:21 ID:mzEHWB1E

・・
・・・

ピーチ「ふわぁ…今日も平和ね…平和が一番」

ロゼッタ「これも、ピーチ姫の日頃の努力の賜物ですよ」

ピーチ「ふふ、ありがと。まあ、一大事にはマリオ達が駆けつけてくれるし、
    なんだかんだ言ってクッパは協力的だし、それほど憂いがないってのは
    大きいと思うけれどね」

ロゼッタ「1人でこなす仕事量が半端ないことくらい、とっくに知っていますよ…。
     他の誰が代われるっていうんですか…」

ピーチ「あー、それはそうかもしれないわね、我ながら」

ロゼッタ「ちなみに、仮に今、クッパが本気でキノコ王国を侵略しに来たら
     キノコ王国としてはまずいことになるのですか?
     あんまり戦力関係を理解できていないのですが」

ピーチ「…王国のトップに、無邪気な顔して何て話題を振るのよ。
    そうねえ、王国内に戦力を潜伏されてからの不意打ちだとしたら、
    正直な所、王国が半壊してもおかしくないけれど。

    そんな卑怯なことは流石にしないだろうから、
    宣戦布告のうえで陣取って全面戦争するとして…
    結構な痛み分け、くらいの表現ね。まあ耐えられるとは思うわ」

260Mii:2019/10/16(水) 07:13:22 ID:mzEHWB1E
ロゼッタ「仮に今、マリオが催眠術で操られるとかで――
      キノコ王国に反旗を翻した場合はどうでしょうか?」

ピーチ「え、なに?ロゼッタ、キノコ王国つぶしたいの?
    なんだったら牢屋に放り込んであげましょうか」ユラア

ロゼッタ「めめめ滅相もない!申し訳ございません!」

ピーチ「マリオが反逆、かあ。それはもう、大変なことになるわね。
    王国の弱点という弱点、知り尽くしてるし。

    なにより、マリオとルイージが引いた配管系、何万本あると思ってるのよ。
    その気になれば、全部を計画暴走させて、可燃ガス有毒ガスばら撒いて…
    王国木っ端微塵とかにでもできるんじゃないかしら…うわぁ」

ロゼッタ「うわぁ」

261Mii:2019/10/16(水) 07:24:13 ID:mzEHWB1E
ロゼッタ「ま、まあ…そんなことあり得ませんし、他の方でそれほど強者などいませんし。
     キノコ王国も、ピーチ姫の御身も、至極安泰ということですね!」

ピーチ「目の前の貴方が不穏なIFを提示してくれていることを除けばね。
    …………あ、私の命については、そうでもないか」

ロゼッタ「…え、えええ?倒したつもりだけれども復活が恐ろしい敵が、
     まだまだいる、とかですか?ディメーンのときみたいに」

ピーチ「いいえ、当然ながら、今は普通に味方の人の話よ?」

ピーチ姫は、小さく笑いながら…





ピーチ「もしも――――

     デイジーに本気で憎み恨まれて、1対1の状況を見計らって襲われたら、
     私の命は1時間…いえ、10分も持たないと思うわ。間違いない、うん」



絶句する私に、ピーチ姫は笑い続けながら、こう続けました。

――もしかしてロゼッタ、私の方が一回りも二回りも…
――いえ、その感じだと五回りくらい強いって思い込んでた?
――本気を出したときのデイジー、おっそろしく強いわよ?

262Mii:2019/10/16(水) 07:28:03 ID:mzEHWB1E
・・・
・・


ロゼッタ「……と、ピーチ姫が話されていたので。
     どういうわけか、そのあと急に『今の話は忘れてちょうだい』と
     あたふたされていましたが」

デイジー「…………ピーチめぇ」ボソッ

デイジー「…コホン。それ、ピーチがロゼッタを驚かせようと思って、
      テキトーにでっち上げたホラ話だよ、気付いてないの?
      私がそんなに強いわけないじゃーん、おっかしー」

ロゼッタ「神に誓って言えますか?」

デイジー「言えるともさ!」フフン





ロゼッタ「任天堂に誓って言えますか?」

デイジー「……………………いいいいいいいいえると、ともさ!」ダラダラ

263Mii:2019/10/16(水) 07:29:15 ID:mzEHWB1E










ロゼッタ「嘘を付いてしまうと冒険ができなくなるかもしれませんよ?」ハクシン

デイジー「ロゼッタの鬼ぃぃぃぃ――――!!」

ゼルダ「」

ヒルダ「」

264Mii:2019/10/16(水) 07:31:19 ID:mzEHWB1E
デイジー「…………いやいや、ロゼッタ、ここは落ち着こうじゃないか。
     私は、そうだね、本気を出すとちょっとは強くなるかもしれない、
     それは認めてあげようじゃないか。嘘を付いてごめんね?
     でもね、このチカラは厄介なことにね、すっごくリスクを伴うんですわ。
     いわゆる『軽くヤバイ』ってやつ?そうそう、それだよ。それなんだよ。
     とりあえず救助待ちができるこの状況で、行使するようなものじゃないっす。
     おとなしく救助を待ってようよ、ね?それが賢明、最適解だよ。
     もちろん、普通の範囲で特訓に参加するのは全然かまわないからさ?
     別に手を抜いているわけじゃないよ、総合的に判断してこう言ってるんだ。
     一時的に効果があっても、みんなすぐに後悔する羽目になるよ?
     というか私が後悔するので絶対使いたくないし使わない、おーけー?どぅーゆーあんだーすたん?
     ロゼッタはちょっとドジかもしれないけど、賢いからわかってくれるよね?
     ゼルダはハイラルって言う大国を統治する者として、冷静な判断できるよね?
     できないなら大人しく引退してリンクの尻を追っかけてるといいよ。
     ヒルダはいい勉強材料として、落ち着きの有難みを理解しなきゃ駄目だよ!
     いやあ、ロゼッタが変なこと言うもんだからすっかりお腹がすいちゃったよ。
     よし、もっと何か食べようか!よーし食い倒れるぞー!
     激辛カレーライス、一番多く食べた人が勝ちってことでどう?
     よーし燃えてきたぞー!」

ロゼッタ(溢れんばかりの凄まじい拒絶の意志を感じる)





怒涛の勢いで捲し立てるデイジー姫に気圧されて、この日はお開きとなりました。
…デイジー姫に気圧されて、食い倒れ大会をやってから。
仮眠室でみんな横になりましたが、唇がヒリヒリします…………。
それにしても……。

265以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/20(日) 18:05:41 ID:kTeQvGU6
〜翌日〜

ガチャッ……

デイジー「おはよー!みんな、よく眠れた?
     昨日は、私の勝手な食い倒れ大会に巻き込んじゃってごめーん!
     さてと、朝日は特に見えないけど…今日も張り切って、脱出に向けて頑張ろう!」



ロゼッタ「――――」ヒソヒソ

ゼルダ「――――」ヒソヒソ

ヒルダ「――――」ヒソヒソ



デイジー「……3人して小声で、私をのけ者にして何話してるの?」

ロゼッタ「…………あ、いえ、なんでもありません!おかまいなくおかまいなく!
     さあ朝食としましょうか!」タタタッ

ゼルダ「ほぼお腹は空いていないのですけれどもね…デイジーは気にしないでください」

ヒルダ「そ、そうです。つまらない話をしていただけですから」

デイジー「…ふーん?」ハテ

266Mii:2019/10/20(日) 18:11:41 ID:kTeQvGU6
ゼルダ「ハンバーガーにピザにローストチキンにドーナツに……
     正直、油がきつすぎるラインナップですね…ジャンクフードが多い…」

デイジー「パーティっぽくて私は結構好きだけどね、こういうの。
     パーティといえば、マリオパーティでよく見かけるかな、うん。
     確かに飽きやすそうではある」

ヒルダ「体に悪そう……ランダムで出現するに任せているので
    仕方がないのですが……冷蔵庫もないことですし、食べてしまいますか…」

ロゼッタ(あ、でも最近の私としてはカロリーの心配は全くしなくなりましたね)

ロゼッタ「とりあえず…マキシムトマトを使ってトマトジュースを作ってみました。
     少しはサッパリして口直しとなればよいのですが」

デイジー「お、気が利くじゃーん!ありがとー!
     あとは果物がいくつか湧いてくれると、なおありがたいんだけどね。
 
     それでは席について…いただきまーす!
     さっそく、そのトマトジュースを頂くね。…牛乳ビン?まあ、いいか」サッ

267Mii:2019/10/20(日) 18:17:20 ID:kTeQvGU6
ロゼッタ「ところで、デイジー姫……」

デイジー「んー?」ゴクゴク







〜ケース1 単刀直入に頼み込んでみよう!〜

ロゼッタ「昨日話に出た『本気のチカラ』、私達に披露してくださいっ!」

デイジー「ぶふぉっ」ブハッ



ゼルダ「神回避っ!!」ズサーッ!!

ヒルダ「きゃああああああっ!?トマトジュースがぁ――っ!!
    私になすり付けておいて神回避だなんて言わないでください――っ!!」

268Mii:2019/10/20(日) 18:19:56 ID:kTeQvGU6
デイジー「……ごほごほっ」

ロゼッタ「…………」キラキラ

ゼルダ「…………」

ヒルダ「体中が真っ赤なんですけど。洗いたいんですけど」ポタポタ

デイジー「いやいや、ウチ断るって言うたやん」

ロゼッタ「色々と事情はあるのでしょうが、そこをなんとか!
     私達を助けると思って!」

デイジー「ぜ っ た い 嫌!」

ゼルダ「まあ、私を遥かに超す力というのはハッタリでしょうがね。
    そんな力、デイジーにあるわけがない」

デイジー「言い方がなんか癪だけど、ゼルダの言う通りだよ。
     大したこともないし、期待するだけ無駄、無駄。
     諦め給へ、ロゼッタくん」

ロゼッタ「ゼルダ姫はどちらの味方なのですか!?」

269Mii:2019/10/20(日) 18:26:52 ID:kTeQvGU6
〜ケース2 論破してみよう!〜

ロゼッタ「私、思うんです」

デイジー「何を?」

ロゼッタ「何だかんだ拒絶しながらも、デイジー姫は…私達が空想妄想するしかないチカラについて、
     リスクだとか使用条件だとかを少しずつ説明してくれていますよね?
     本当に使う気がないなら、一切合財無視しておけばいいだけというのに。

     これは、あれですよ。深層心理で、自分自身が持てあますチカラとやらについて、
     周囲に理解してほしい、受け入れてほしいという想いがあって、
     自分を言いくるめてみなさい、という立場を取って、
     私達に試練という名のチャンスを与えてくれているのですよ。
     合ってます?合ってますよね!

     さあ、デイジー姫のチカラ、私達は忌み嫌ったりなどしません。
     すべて受け入れますから、思い切って使って見せてください!」ドーン!
     


デイジー「妄想乙」ハッ!

ロゼッタ「鼻で笑われました!?」

ヒルダ(手強いですね)

ゼルダ(というより、ロゼッタの演技が微妙過ぎて…
デイジーにクリティカルヒットしないというのも大きくないですか?)

270Mii:2019/10/20(日) 18:30:40 ID:kTeQvGU6
〜ケース3 罰ゲーム化してみよう!〜

デイジー「…その、牛乳ビンに入った…棒?は何なのかな?」

ロゼッタ「あ、はい!キノコ王国で余興として流行っているという、
     『王様げーむ』というものをやってみたいなと思いまして!
     この面子だと『女王様ゲーム』に改名した方がいいかも知れませんが、
     野暮なツッコミは無しということでお願いします!」

ゼルダ「わあ、面白そうですねー」

ヒルダ「さっそく4人でやってみましょうー」

デイジー「…………」



4人「「「「王様だーれだ!!」」」」スッ



デイジー「…の前に、空間魔法で棒のすり替えくらい楽勝と思われるロゼッタと、
     棒の交換を要求しまーす。確認してないからいいよね?異論は認めない」ガシィッ!

ロゼッタ「」

ゼルダ「あ」

ヒルダ「あ」

271Mii:2019/10/20(日) 18:36:14 ID:kTeQvGU6
デイジー「はーい、王様、わたしー!」パーン

ロゼッタ「そ、そ、それで、デイジー姫。どんな命令を出しますか?
      ちょ、直接名前で指定しての命令は駄目ですよ?
      全員が対象になってしまったり、特定の人を狙えるような命令の仕方も駄目ですよ!」ダラダラ

デイジー「そんなのはいいから、私にチカラの行使を迫るような命令は今後一切禁止ね」

ロゼッタ「な、なんのことでしょう?ははは…」

デイジー「……あれ、引き下がってくれないのー?別の命令に変えろって?」

ゼルダ「ま、まあ、こじつけでもなんでもいいからなりふり構わず、という状況なので…」

ヒルダ「身も蓋もありませんけれどね、ふぅ…」

デイジー「…………………………よーし、じゃあ。命令を実行する番号はすぐ後に発表するとして。
      先に、罰ゲームの内容から宣言しちゃうぞー。マジでやらせるからねー。

      私がこの命令を言い終わった瞬間から、フィールド外に無事脱出して、
      タブーを倒し切るその瞬間まで、周囲の人たちになんと言われようとも、
      ガン見されようと写真を撮られようと、下着含めた一切の衣服を身に付けずに行動するk」

ロゼッタ「さあ特訓の続きに戻りましょうかぁ!!!」ダダダッ

ゼルダ「全くですね!!急ぎましょう!!」ダダダダッ

ヒルダ「こんなことをしている暇ではなかったですねっ!」ダダッ  

デイジー「…………やれやれ」

272Mii:2019/10/20(日) 18:41:32 ID:kTeQvGU6
〜ケース4 脅してみよう!〜

スッ…。

ロゼッタ「…………こうなったら、私も、賭けに出ます」

デイジー「な、なにを。危ないよ、ナイフなんて首に当てて!」

ロゼッタ「チカラを使ってくれなければ…もはや光明を見出せません。
     思い直せば、私が原因で皆を苦しめてばかり。
     私、状況に…自分自身に、絶望しました。この命、絶ってしまおうと思います。
     デイジー姫、これまで色々と…お世話に…なりました」

デイジー「…………」

ロゼッタ「…………さあ」ゴクリ

デイジー「いや、『さあ』じゃないよ。ちょっとは驚いたけど…冷静になったらさ、
      そんな勝手な暴挙に出られてもロゼッタのことを見損なうだけなんだけど」

ロゼッタ「えっ」

デイジー「というよりですね。今更、料理用のナイフごときで致命傷を受けるとも思えないし、
     なにより万が一の際は残機で復活するじゃないですか」

ロゼッタ「それもそうでした」

デイジー「…ほんと、ロゼッタはドジだなあ。頭に血がのぼってきたよ」ピキピキ

ロゼッタ「ごめんなさいごめんなさい」ガクガクブルブル

273Mii:2019/10/20(日) 18:44:31 ID:kTeQvGU6





ズドドドドッ…………。ズガガガガ――――ッ!



デイジー「ゼルダ、さっきの攻撃、いまいち連結が上手くいってないっぽいよ。
     着地硬直の解除も甘い。ゼルダならもうちょっと改善できるはずだから」モグモグ

ゼルダ「ありがとうございます……」イラッ

デイジー「どういたしましてー」モグモグ



デイジー「ヒルダぁ、相手の攻撃に怯むなとは言わないけど、目線を逸らしたまま相手と対峙するのだけはやめた方がいいなあ。
      思い切り、回避位置を探し回ってるのがばれるよ。
      あと、隙あらば虚を突いて突撃する癖があるみたいだけれど、ヒルダの身体能力だと…ぶっちゃけ隙になってない。
      片手間で対処されちゃう。むしろ、無謀さを露わにして斬って捨てられるだけだよ…味方の動きを束縛させる最悪なパターンだ」

ヒルダ「わ、わかっては、いるのですが…申し訳ございません」

デイジー「ま、今は深く考えなくていいよー。じきに理解できるようになるさー」モグモグ

274Mii:2019/10/20(日) 18:48:17 ID:kTeQvGU6
デイジー「ロゼッタは…魔法は素晴らしい、はずなんだけど。まだまだ活かし切れてない感がある。
      そもそも、何より、発動が遅すぎっ!もっともっとフレーム数を減らさなきゃ!」

ロゼッタ「は、はい!」スタッ

デイジー「せっかくのテレポーテーションもさあ。事前に溜めが必要だなんて、
      見切られやすいことこの上ないよ、もったいない。
      専門外の私が首を突っ込んでいいのかは分からない所だけど」

ロゼッタ「対処を間に合わせないくらい…もっと、発動を早く、ですね。参考になります」

デイジー「それにしても、ロゼッタがここまで基礎体力が上昇しているのは驚いたー。
     その勢いで、レベル上げていこう!」ムシャムシャ

ゼルダ「ところで、デイジー。いい加減、口先ばかりで、結局私任せの特訓とするのは、辞めて頂けませんか?
    一人だけ呑気に物見遊山気分で料理を堪能しながら、というのはどうかと思いますが?」

デイジー「……だって、教え方、ゼルダの方が上手だもん。今更私が直接指導するまでもない気がするしー。
     それに正直、今日はロゼッタの陰謀を掻い潜るので疲れちゃった。
     …うげ、そんなに睨まないでよ。ま、明日からはまた考えるよ」ヒラヒラ

ロゼッタ「…でも、のほほんと観戦しているように見えて、かなり的確に問題点を洗い出してくれているような」

デイジー「経験値は割とあるからねっ」ドヤァ

ゼルダ「どうだか…………」

デイジー「…どうしようロゼッタ、ゼルダちゃんが反抗期だ」

ヒルダ「あはは…」

275Mii:2019/10/20(日) 18:51:37 ID:kTeQvGU6
時を経るごとにデイジー姫とゼルダ姫との軋轢を生みながら、
特訓は続いて行きます。


デイジー姫を精神的に疲労させた私達――というより私――が悪いのです。
一体、なにをしているのでしょうか、私は…!


私の気持ちは、徐々に、徐々に、果てしなく沈んでいきました。

276Mii:2019/10/20(日) 18:56:39 ID:kTeQvGU6
〜夜〜



ロゼッタ「…デイジー姫」

デイジー「どうしたの、改まって」

ロゼッタ「本日は色々と…ご迷惑をお掛けして、申し訳ございませんでした」ペコリ

デイジー「あー、そのこと?いいよいいよ、気にしてない気にしてない。
     変にほのめかした私も悪かったよ。

     これでロゼッタの無茶ぶりな作戦は全て攻撃終了、
     ひゃっひゃっひゃっひゃ、やったー!私の勝ちだー!」

ロゼッタ「その、ゼルダ姫とも仲直り…していただければ、と」

デイジー「そんなに悲観的な顔をしないでって。
     そりゃ、ちょっとはロゼッタやゼルダにムッときたけどさ。
     …わかった、適当に下手に出ていればゼルダの気も収まるよ。
     あと…明日からは、やっぱり私もちょっくら直接指導することで
     納得してくれるでしょ」

ロゼッタ「…………はい……………………」ウツムキ

277Mii:2019/10/20(日) 19:00:28 ID:kTeQvGU6
デイジー「ロゼッタの行動は時として調子っぱずれな音を奏でるけど、
     それはそれでロゼッタの個性だし。何も悪いことじゃないよ。
     今回ヘマをしたと思ったのなら、次に挽回すればいいんだし」



ロゼッタ「……………………」

デイジー「…………ひょ?ロゼッタ?」








ロゼッタ「――――――――――――――――――――――――
     ずみまぜん、でじだあ゙ぁぁぁぁぁぁぁ―――――――」ポロポロ

デイジー「」

デイジー「」

デイジー「……いやいや!いやいやいやいや、待って待って!!」ナニゴト!?

ロゼッタ「あああああああああぁぁぁぁ――――――――――――」ポロポロポロポロ

余りの申し訳のなさに、不甲斐なさに、うずくまって。
大粒の涙が、次から次へと溢れ出てきます。

278Mii:2019/10/20(日) 19:04:54 ID:kTeQvGU6
ゼルダ「……っ!なるほど!ロゼッタのバトルフェイズは、まだ終了していない!」ハッ!?

ヒルダ「何か知っているのですか、ゼルダ姫!」クルッ

ゼルダ「にっちもさっちもいかなくなったときの最終手段……
     速攻魔法発動!『泣 き 落 と し』っ!」

ヒルダ「な、泣き落とし!?」

ゼルダ「プライドを全てかなぐり捨てて、効果発動!
    これは相手の妥協が出るまで、何時間でも情に訴えて、
    理屈や道理による拒絶を選択肢からデリートするモード……っ!

    そしてその時間の分だけ、最大FP1500以下のファイターは――
    精神的に追加攻撃できるっ!」

ヒルダ「最大FP1500以下…?ハッ!?」



    ゼルダ:元々FPが高いうえにトライフォースの加護のおかげで最大FP+3000
    ヒルダ:元々のFPは高くないがトライフォースの加護のおかげで最大FP +3000
    ロゼッタ:大会7日前時点で最大FP896



ヒルダ「ロゼッタったら、そこまで考えて…
    …って、違いますよね、絶対!?どう考えてもこじつけではないですか!?
    何か悪い物でも食べましたかゼルダ姫!?」

279Mii:2019/10/20(日) 19:07:18 ID:kTeQvGU6
ゼルダ「さあ、ロゼッタが仕掛けますよ!
    まず1時間目!涙をドロー!魔法戦士ロゼッタ、追加攻撃っ!!」ビシッ!

ヒルダ「ゼルダ姫!?正常な思考回路の貴方に戻ってきてください!
    幽閉生活のせいで少しおかしくなっているのですか!?」ユサユサ



デイジー(外野の喧しいやりとりも、丸聴こえ、なんだけど)チラッ



ロゼッタ「うわああああああああああああ――――――――」ポロポロ



デイジー(……………………これ、作戦とかじゃなくて
     正真正銘のマジ泣きだあああああああぁぁぁぁ!?)

チコ「ママを泣かせるなんて、酷いっ!」

チコ「そうだそうだっ!」

デイジー「ちょっとだまらっしゃい!!」

280Mii:2019/10/20(日) 19:09:58 ID:kTeQvGU6
〜2時間後〜

ロゼッタ「――――――――っ、えぐっ、えぐっ」グズグズ

デイジー「いい加減泣き止んでくださいなロゼッタさんや!
     女性の涙は女性には効果はいまひとつ、これ基本!
     おまけに私の10倍以上の年齢を重ねてて、そんなにガチで泣いて…
     恥ずかしくないの!?恥ずかしいよね!?だからさっさと泣き止んで!?」

ロゼッタ「年齢の話をしないでくださあああい!!
      そうですよ、私はダメダメな人間なのですよぉ―――――!!!」ポロポロ

ヒルダ「あ、号泣の勢いが5割増しになりました」

デイジー「」

デイジー「」

ゼルダ(…割と効いている感じがありますね)

ゼルダ「ところで私とヒルダ姫はそろそろ就寝しますね」スタスタ

ヒルダ「えっと、えっと、おやすみなさい」スタスタ

デイジー「ちょ」

281Mii:2019/10/20(日) 19:12:30 ID:kTeQvGU6
〜4時間後〜

ゼルダ「ZZZ・・・」

ヒルダ「ZZZ・・・」



デイジー「…いい子いい子、だからお願いだからいい加減…
     泣き止んでほしいなあ、日付変わっちゃったんだけど」ナデナデ

ロゼッタ「わ、わだじ、だぢが。……わだ、じが。
     もっど、づよぐで、がじごがっだら。
     …ごんな、ごどに、ならながっだ、のに」

デイジー「いや、別にロゼッタ達の強さや知能に不満があるから使わないとかじゃ…」

ロゼッタ「ぐずっ……おおいに、ありまず、よお!」バンッ

デイジー「どうして、そう思うのさ。一回、涙拭いて落ち着いて、話して、みてよ…」



ロゼッタ「……………………」フキフキ

ロゼッタ「…………」スゥー

ロゼッタ「だ、だって。デイジー姫に、何があったのかは、知り得ませんが。
      私に、話すには、ま、まだ――信頼が足らないって、ことでしょう?」

282Mii:2019/10/20(日) 19:15:33 ID:kTeQvGU6
デイジー「そんなことないよ!ロゼッタも、ゼルダも、ヒルダも!信頼してるよ!
      いきなり何を言ってくれちゃってるのさ!」

ロゼッタ「――で、も。ピーチ姫は、そのチカラについて、
     目にして、その強さも、もろさも、理解している、んですよね?」

デイジー「うっ…」

ロゼッタ「なのに、だというのに――!
     私は、ピーチ姫と違って、受け止めることができない…と。
     誤って理解してしまう…と、デイジー姫に思われて、気遣われているから、
     今の、今まで、教えてもらえずに、いる。

     そん、な、デイジー姫の信頼を勝ち取れていない自分が、悔しく、て――!」ポロポロ

デイジー「違う、違うからっ!!ピーチが私のチカラについて詳しいのは、
      あくまで成り行き上仕方なかったの!私の方から教えたりなんかしてない!
      ロゼッタにだけ、気に食わないから、信じてないから話さない、なんてこと、
      絶対にありえない!!」

ロゼッタ「私は、ピーチ姫に比べればずっと弱くて、泣き虫で……!
     何をするにも、自分だけでは解決できずに、むしろ問題ばかり起こして……っ!
     自分を責めて反省しているようで、実はそれが一番楽であることも薄々と気付いていて、
     ますます悲しくなっていって…っ!」

デイジー「ちょっとは聴く耳持ってくれないかなあ…!
      ――――――――――――――――――――――――」

283Mii:2019/10/20(日) 19:17:40 ID:kTeQvGU6











デイジー(あ、れ。



      この感覚…このロゼッタの振る舞い、どこかで…









       いつ、だった、だろう…………?)

284Mii:2019/10/20(日) 19:21:25 ID:kTeQvGU6

・・
・・・

デイジー「お父様、聞いて聞いて!私、今日も、城下の子供たちと沢山遊んだよ!
  生意気に駆けっこ勝負を挑んできたから、ぶっちぎりの返り討ちにしてやったわ!
  流石に涙目になってて可哀想と思ったから、肉まんの一つでも奢ってあげたら、
  あっさり元気を取り戻してくれてさ。子供って単純だよねー」

国王「おお、そうかそうか、デイジーは元気で偉いなあ。
   でも、遊ぶのもいいけど、家庭教師さんとの約束を放り出したのは
   やっちゃいけないことだったって気付いてるかー?」ナデナデ

デイジー「ぎくっ。……ちょ、ちょっと悪いことしたかなーって。
     でも、あの人、少し間違うだけですぐに怒るしさ。
     勉強中は私語は禁止―、とか居眠りしないー、とかうるさいし。
     だいいち、経済学とか帝王学とか、面白くないしつまんないよ」

国王「…魔法や体術の修業の方は?」

デイジー「…………てへ」コツン

285Mii:2019/10/20(日) 19:24:11 ID:kTeQvGU6
国王「…はぁ。デイジーも、もう二十歳を過ぎてるだろう?
   いつまでも子供っぽい行動じゃ許されないぞ?
   そんなことを言っていると、将来、立派な女王になれないぞ?
   学問に王道なし、だ。

   かのキノコ王国のピーチ姫は、最近即位したばかりだが、
   それはそれは有能な傑物で、どんな難題もたちどころに解決してしまうそうだ。
   デイジーも、そんな人に少しでも近づきたいだろう?」

デイジー「い、いやね?こう、城下を巡っている間に、
     若者同士の喧嘩を取り押さえたり、迷子を案内してあげたり、
     治安向上に結構貢献してるよ?王国民の立場で物事を見るって大事だよ、きっと。
     最近は、知識を深めるために各国を行脚してみたいなーとも思い始めてるし。
     あ、そのキノコ王国ってところにも行ってみたい!ぜひ!」

国王「稽古事から解放されて、旅行して美味しい物を食べたり観光したりしたい、
    の間違いだろう?懲りないな」

デイジー「…………てへ」コツン

国王「二度目は禁止。……はあ、とにかくすぐに、家庭教師さんに十分謝ってきなさい」

デイジー「かしこまりましたっ!」

286Mii:2019/10/20(日) 19:27:00 ID:kTeQvGU6
大臣「王よ、いくら愛娘といえど、齢21にもなって、立場を理解しない愚鈍な振る舞い、
   いい加減に本気で矯正してやらねば…サラサ・ランドの将来が危ういですぞ?」アキレ

大臣「全くですな、もはや手遅れの可能性もありますが…
   これは、夜逃げの準備をしておいた方がよいかもしれません」タメイキ

国王「うむ、皆の言い分も至極もっともだ。…だがまあ、
   デイジーはこの明るさが最強の持ち味だからな!
   その分、私と妻がしゃかりき働いて見せるから大目に見てやってくれ」ドーン!

大臣「では、王が退位された暁には…私、お暇を頂きますね」

大臣「あ、私も」

大臣「俺も」

国王「えっ あの それはちょっと困るなあ、我慢してくれないか?
    デイジーも悪い子じゃないんだよ、うん。お転婆なだけで」アセリ

大臣「まあ、元気のないデイジー姫が爆誕したらそれはそれで気持ち悪いな」ヒソヒソ

大臣「言えてる言えてる」ヒソヒソ

287Mii:2019/10/20(日) 19:31:20 ID:kTeQvGU6
デイジー「大臣さんたちー、聞こえてるよー。というわけで、謝罪しに行ってきまーす。
      のびのびと成長出来て、私はサラサ・ランド、大好きだよぉー!じゃあねー!」タタタッ

国王「うむ、そうしてきなさい」ニッコニコ





大臣「いや、のびのび過ぎだろ。親バカここに極まれりだな」

大臣「全くだ…これでなんとかなっているのが不思議でならん。
    それだけ王が有能ということになるが…本気で次代が心配だ」

大臣「まあ、侵略されたことが一切なければ、こんな王国でもやっていけるってことだろ」

国王「こんな王国で悪かったなー、はっはっは!」

大臣「しょうがないですね」

大臣「まったく、ふふ…」

・・・
・・


288Mii:2019/10/20(日) 19:33:02 ID:kTeQvGU6
デイジー「―――――――っ」ギリッ



デイジー(状況は全然違う、はずなのに。
     昔の私と、今のロゼッタが、重なって見える)グサッ

デイジー(…………吐き気が、する)






ロゼッタ「私にできることなら、なんでも、しますから。
     何をすれば、デイジー姫の、信頼を、勝ち取ることが、できますかー!」グズッ





デイジー「――――え」

289Mii:2019/10/20(日) 19:34:55 ID:kTeQvGU6




――――嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だっ!嫌だっ!!
――――こんな自分、要らないっ!何にも守れないなら、死んだ方が万倍まし!
――――いなくなってしまった方が、いいっ!!

――――だから…マリオッ!私の、一生のお願いっ!
――――私に力を。全てを、一切合財を…己でねじ伏せてしまえる、力をちょうだい!
――――それさえあれば、私はどうなってもいい!なんだってする!
――――体を慰み物にされたって、悪魔に魂売ったって構わないっ!!




デイジー「――――っ!!」ハッ!



――――私は…ロゼッタをみて、何を想う?
――――もしロゼッタの立場だったら…自分の無力さに苛まれてたら…
――――それをヒラヒラ手を振りつつ「また今度」と受け流されたら…どんなに絶望する?



デイジー「わ、たし、は」

――――なんて、酷いことを、していたんだろう。

290Mii:2019/10/20(日) 19:38:43 ID:kTeQvGU6
ロゼッタ「くー」スヤァ

ロゼッタ「……うーん。あら?もしかして…泣いて泣いて…そのまま寝ちゃいました、か…?
     時刻は…ああっ!もう昼過ぎ!?すっかり寝坊ですっ!」ガバッ!



デイジー「…………」ズーン

ゼルダ「…………」

ヒルダ「…………」



ロゼッタ「…あのー。これは一体、どういう状況ですか?」

ゼルダ「…ああロゼッタ、ようやく目が醒めましたか。お寝坊さんですね。
     私とヒルダ姫が起きてきたときから、あの調子です。
     時折、聞き取れないくらいの小声でぶつぶつ呟きながら、
     呼びかけにも碌に応じず突っ伏したままの状態で」

ヒルダ「ロゼッタ、あのあと一体…何があったのですか?」

ロゼッタ「何があった、と言われましても。 私がその…無様に泣いて泣いて泣き続けただけで、
     特に何か妥協を得られたわけでは…むしろ、重ねてデイジー姫に無礼を働いたということで
     謝ることが増えたと言いますか…」

ヒルダ「…ロゼッタ、お疲れ様です!」ビシッ

291Mii:2019/10/20(日) 19:40:27 ID:kTeQvGU6
デイジー姫は、うっすら眼を開けて、無表情のまま、焦点の定まらない視線を…
ただ前方へ投げやっています。

ゼルダ「きっと、ロゼッタの渾身の泣き落としが効いたのですよ。さすがですね」ヒソヒソ

ロゼッタ「何がさすがなのか気になる所ではありますが…本当にそうなのでしょうか」ヒソヒソ

ヒルダ「もうひと押しと言うことですか?ロゼッタ、頑張ってください!」ヒソヒソ

ロゼッタ「わ、私が最後まで押し切るんですか…?
     お二方の助太刀も欲しかったりするのですが」



ゼルダ「私とヒルダ姫では追加攻撃出来ないので駄目です」

ヒルダ「駄目だそうです」

ロゼッタ「何の話ですか!?」

292Mii:2019/10/23(水) 00:34:29 ID:nJDn.zMQ
デイジー「……………………アンタたち、聞こえてるよー」



ロゼッタ「!!」

ゼルダ「あら」

デイジー「……ああ、別に心配しなくていいよ。……参った、降参。
      私のチカラ、使ってあげても、いい、よ」

ロゼッタ「ええっ、どういう風の吹き回しですか?」

デイジー「まあ、細かいことはいいじゃん。

     ただねぇ、そこは踏ん切り付いたうえで、チカラを使うことを既定路線にして、
     100通りほどシミュレーションしてみたんだけど。

     どう転んでも、この事件の全てが片付いた後に…
     私、3人から絶縁求められる結末しか導けなくて。
     ほとほと困ってたところなんだよ、はぁ」トオイメ

ロゼッタ「私たちが…」

ゼルダ「絶縁を…」

ヒルダ「迫る…?どういうことですか…?」

293Mii:2019/10/23(水) 00:37:15 ID:nJDn.zMQ
ありえません。そんなこと。
無理を言ってチカラを使ってもらうことになったというのに。

デイジー姫は、やや乱暴に頭を掻きむしってから、諦めの心持から言葉を紡ぎます。
笑って見せていますが、生気が欠けていて、あまり見ていられません。

デイジー「私って、チカラを使っているときの記憶、結構あやふやなんだよね…。
     無意識に忘れようとしているのかな?サラサ・ランドで頻繁に使う割に。
     毎度、気が付いたら全てが片付いてる…って認識が合ってる、か」

ロゼッタ「…あっ!もしかして、サラサ・ランドに戻るたび、
      溜まりに溜まっていた仕事を…その能力を使って超速で片づけていたんですか!?
      それで政務がなんとか持ちこたえている、と」

デイジー「…………妙な所で勘が冴えてるね、ロゼッタ。その通りだよ。
     チカラを使うと、基礎能力も知性も跳ね上がる、からね…」

そんな都合のいいことが起きるなんて、とでも思ったのか。
ゼルダ姫が息を飲みます。

ゼルダ「…そんなに万能な力なら、どう考えてもさっさと行使すべきでしたでしょうに。
     決まりですね、さあ、使って見せてください。フィールドに向かいましょう」



そう、一件落着とばかりに席を立つゼルダ姫。
デイジー姫も、つられてゆっくりと立ち上がり…あら?

向かおうとする先が、フィールドではありません。

294Mii:2019/10/23(水) 00:40:11 ID:nJDn.zMQ





デイジー「…ごめん。今日はちょっと準備があるから、『明日』になる」テク テク





ゼルダ「はい?まだ昼を少し回った程度の時間帯ですよ?
     それとも、まだ決意が定まっていないので――」

そのとき。
これまで…見たこともないような険しい剣幕で、
デイジー姫が怒号をあげたのです。



デイジー「ほんとに準備があるのっ!!馬鹿にしないでっ!
      それと悪いけど、明日になるまで、一番奥の部屋…貸切るから!
      絶対に、入ってこないでね!!」キッ



さしものゼルダ姫も、あまりの剣幕に、一喝に、思いっきり怯みます。
鼻息荒く立ち去っていくデイジー姫を、止めることすらできません。
ヒルダ姫は、すっかり縮こまってしまいました。

295Mii:2019/10/23(水) 00:41:46 ID:nJDn.zMQ
ロゼッタ「ま、まあ。明日には披露して頂けるということですし、いいじゃないですか。
      それではゼルダ姫、本日も…よろしくお願い致します!」タッ タッ タッ

ゼルダ「……これで、大した底上げにならなかったら承知しませんからね、デイジー」イライラ



少し進展した、と思いつつ。今日も今日とて、ゼルダ姫に鍛えてもらうことにしました。
明日が楽しみです。















デイジー姫は、夕食の時間になっても、一切姿を現そうとはしませんでした。

296Mii:2019/10/23(水) 00:44:00 ID:nJDn.zMQ



ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。



デイジー「……………………………………………………
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない……」ガンッ ガンッ



ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ。
壁に、床に、やり切れず頭突きの音が響き渡る。
凹むばかりは、壁の方。

297Mii:2019/10/23(水) 00:45:50 ID:nJDn.zMQ
デイジー「……………………………………………………
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない
     嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない……」ガンッ ガンッ

デイジー「…………」ピタッ

デイジー「……………………無駄なあがき、かあ」グズッ

デイジー「よし、気持ち、切り替えるよ。私がやるべきことを、するんだ。
     これで、私達が、少しでも、活躍できるようになる…なら」グズッ



デイジー「……………………せーの」スゥー

298Mii:2019/10/23(水) 00:48:09 ID:nJDn.zMQ
デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

299Mii:2019/10/23(水) 00:48:48 ID:nJDn.zMQ
デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
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     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

300Mii:2019/10/23(水) 00:50:16 ID:nJDn.zMQ
キイイイイイイィィィィィ――――――――ン…。



デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
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     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
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     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
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     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

301Mii:2019/10/23(水) 00:51:00 ID:nJDn.zMQ
キイイイイイイィィィィィ――――――――ン…。



デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
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     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
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     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……」ブツブツブツブツ

302Mii:2019/10/23(水) 00:52:39 ID:nJDn.zMQ
キイイイイイイィィィィィ――――――――ン…!!!!!!!!

デイジー「私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛
     私は最強私は強靭私は無敵私は天才私は秀才私は女王
     私は帝王私は覇王私は万能私は君主私は聡明私は明晰
     私は王者私は傑物私は烈王私は博識私は精強私は屈強
     私は頑強私は英明私は俊敏私は利巧私は聡慧私は明敏
     私は怜悧私は利発私は勇敢私は豪胆私は勇烈私は勇猛……

      私は…わ、た、し、は…………」ウツロ

303Mii:2019/10/23(水) 00:54:33 ID:nJDn.zMQ
〜翌日〜



ロゼッタ「いよいよですね!」ワクワク

ゼルダ「ロゼッタははしゃぎ過ぎですよ。
    今頃、大きく出過ぎたかと冷や汗たらたらの状態なのかもしれませんよ?」

ヒルダ「あは、それはちょっと見てみたいです…」



会話をしながら軽く身支度をして、さあ仮眠室を出よう…というところで。



がちゃり。



扉がぎいい、と開けられます。



デイジー姫が、妙に静かに――唐突に、部屋にやってきました。

304Mii:2019/10/23(水) 00:56:38 ID:nJDn.zMQ
ロゼッタ「おはようございます、デイジー姫!
      えっと、まずは朝食にしましょうか――――」





デイジー「フィールドに、全員、集合。…………以上」

バタン。





どうしたことでしょう、出鼻を挫かれました。
私の言葉を、いともあっさり遮って…デイジー姫は抑揚のない声で短く指示をして。
もう興味をなくしたかのように、また扉の向こうへ行ってしまいました。

ゼルダ「…なんですか、あの態度は。そろそろ許し難くなってきたのですが」

ロゼッタ「ま、まあまあ。デイジー姫の中で何かしらの葛藤があったということで、
     すこーし気が立っているだけですよ!」

ヒルダ「そうですね、とりあえずデイジーの所に向かってみましょう。
    彼女にも何か考えがあるのですよ」

これ以上、デイジー姫とゼルダ姫の仲をこじらせてはたまりません。
ヒルダ姫と協力してゼルダ姫を宥めに宥めて、揃ってフィールドに向かいます――。

305Mii:2019/10/23(水) 00:59:13 ID:nJDn.zMQ















――――地獄の宴が、開かれようとしていることにも気付かずに。











気付いていた者がいたとしたら…それはきっと、『もともとの』デイジー姫、くらいでしょう。

306Mii:2019/10/23(水) 01:00:43 ID:nJDn.zMQ
フィールドに向かってみると、既に到着しているデイジー姫。

――目を閉じ、腕を組み、柱の一つに背中を預けて、もたれ掛かっています。
――らしくない振る舞いだなあ、と一瞬思って……。



ロゼッタ「…………!?」ビクゥッ



足を止めてしまった私は、悪くないと思います。

――何か、違う。
――デイジー姫の雰囲気が、纏う何かが、凄まじく、違う気がする。

――いつもなら、満開の向日葵のような…優しく照らす太陽のような…
   明るく朗らかな雰囲気に満ち溢れている、はず。なのに。

――今のデイジー姫からは、それが一切感じられません。

しかし、ゼルダ姫とヒルダ姫は。
違和感こそ感じたものの、さほど気にしないようで。
特に歩みを止めないまま、デイジー姫の元に向かいます。

慌てて私も、付いていく。
…針のむしろの感覚を拒絶する体を、強引に、向かわせて。

307Mii:2019/10/23(水) 01:04:07 ID:nJDn.zMQ
ゼルダ「…はっきり申し上げますと、その態度、気に食いません。
    私たちを馬鹿にしているのですか?
    コミュニケーションをとるための態度と言うものがあるでしょうに!」

またもや、ゼルダ姫がおかんむり。
そろそろ、実力行使にも出かねない感じです。
それでもなお、デイジー姫は態度を改めません。

…いえ。それどころではありませんでした。
薄く目を見開いて、小馬鹿にするような感じで私たちをすいーっと見渡した後。
信じられない、とんでもない行動に出たのです。



いきなり、指を3本、突き立てて。



デイジー「さてと。今から、私が直々に特訓してやるわけだけど。
     『お前たち』には今後、約束事を3つ、守ってもらおうか。

     ひとつ。順番に特訓してやるから、私に休む暇を与えないくらいの気持ちで
     3人交代で絶え間なく掛かってこい。

     ふたつ。特訓は本気(マジ)でやれ。手抜きと逃げは万死に値する。

     そして、みっつ。      私の命令には 絶対 逆らうな。
                                             ……以上だ」

ロゼッタ「!?」

308Mii:2019/10/23(水) 01:06:38 ID:nJDn.zMQ
ゼルダ「…なっ!!」カアッ!

ヒルダ「…え?えっ?」



あまりの無理強い、無理難題。
デイジー姫の言い分を飲むなら、主従関係…いえ隷属にも当たるかもしれません。

私は…いえ、私とヒルダ姫は、「いきなりどうして、こんな激変した態度をとるのか?」という疑問が
真っ先に浮上してしまい、腹を立てるどころではありません。

――しかし、ゼルダ姫を怒髪天にするには、十分すぎたようです。

ツカ、ツカと速足でデイジー姫に迫るゼルダ姫。
当然ながら激しい口調で、デイジー姫を非難します。



ゼルダ「フラフラと訳の分からない態度を取っていたかと思えば…
    今度は横柄極まりない、一方的な命令姿勢…!!何様のつもりですかっ!!
    冗談ではありませんっ!ふざけないでください!
    
    これ以上の狼藉は、こちらとしても重く受け止めなければならなくなりますよ!
    ピーチには悪いですが、ハイラルに翻意ありとみなしてもよろしくて?」

309Mii:2019/10/23(水) 01:08:44 ID:nJDn.zMQ
デイジー「…………」

デイジー姫は、なんとも面倒な物をみるような視線を貫きます。
それが、ゼルダ姫の機嫌をますます急降下させることになるの、分かっていますか!?



デイジー「…………」

ゼルダ「なんとか言ったらどうですか!?」


デイジー「じゃあ言わせてもらう。
     …最後通牒。私の命令に逆らうな。どうなっても知らないが?」

ゼルダ「いい加減にするのはそちらでしょう!
    あいにく、ロゼッタやヒルダ姫はそこまで気に留めていないようですが、
    私はそうは参りません!誇りが、立場が私を奮い立たせます!
    私を誰だと思っているのですか!私はハイラル王国の――」

310Mii:2019/10/23(水) 01:11:43 ID:nJDn.zMQ
ギュンッ!



――「デイジー姫以外の」全てが、スローモーションに、見えました。
――デイジー姫の、腕が。こう、グイッと、伸ばされたのです。

――ヒルダ姫は、反応できない。
――私も、やっぱり反応できない。

――――ゼルダ姫ですら、何が起こったか分からない。



――伸ばされた腕は、いともあっさりとゼルダ姫の首に届いて…………。








――ぽきり、と。首を折りました。



…え?

311Mii:2019/10/23(水) 01:14:35 ID:nJDn.zMQ
ヒルダ「…え?」

――私も、ヒルダ姫も。
――ナニガオコッタノカ、ワカラナイ。

ただ、5秒ほどして、ようやく。
ゼルダ姫が、四肢をだらんとぶら下げて…屍に変わったことが、わかりました。
デイジー姫が腕を離せば、たちどころに支持を失った体が崩れ落ちます。
…動き出すことなど、ありません。

ぞわっ!

一瞬で、全身から汗が吹き出します。
心臓がバクバク言って、激しく警鐘を鳴らします。

危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!危険!
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

312Mii:2019/10/23(水) 01:17:54 ID:nJDn.zMQ
どれだけ、意識を飛ばしていたか。
一瞬のような、永劫のような。
デイジー姫は、全くゼルダ姫を心配する様子もなければ、
自分の愚行に反省する様子もありません。

デイジー「まあ、そんなに気にするな。どのみち…ほら、見てみろ。
     残機があるおかげですぐ復活できるんだから」

ゼルダ姫が、全身を光らせつつ、命を再び宿します。

…ええ、確かに、その通り。
その通り、では、ありますが。

単に吹っ飛ばされて撃墜、と。
非業の死を遂げて骸となる、とでは。
精神負荷に、雲泥の差があります。

ゼルダ姫はうつ伏せのままほんのすこし、目を開けた後。
一瞬で覚醒して立ち上がり、喉に手をやり激しく呼吸。
…目は血走り、完全に過呼吸になっています。

313Mii:2019/10/23(水) 01:19:53 ID:nJDn.zMQ
何が起こったのか、分からない、動揺。
ちょっと考えて、どうしても「それ」しか可能性が無くて、混乱。
「それ」を引き起こしたのが、目の前の彼女という結論に至り――
それでも、一瞬だけ、決壊を踏み止まって。

ゼルダ「は、はは、は。デイ、ジー。
    気の迷い、ですよね。今なら、土下座、して、くださるのなら、
    慈悲深い、私が、許して、あげ、ても、いいです、よ?」バクバク



デイジー「約束を破った愚か者を制裁しただけだが?
     自業自得なのに慈悲深いとは聞いて呆れる」フッ

ゼルダ「」ブチィッ



激怒。激昂。憤怒。憎しみ。

ありったけの感情を込めて、デイジー姫に襲い掛かります。



ゼルダ「ハアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ――――!」ダダッ!



嘘っ!こんな、本気の殺意を込めたゼルダ姫を、私は知りません。
振るう拳には魔法で力も籠められているのか、鈍く光る。とんでもない速さと威力です。

314Mii:2019/10/23(水) 01:22:14 ID:nJDn.zMQ



…………それを、デイジー姫は。



デイジー「せめて」ザシュッ

ゼルダ「…………ああああっ!!?」

――――「指一本」の、一振りで、手首から切り落とし。



デイジー「肉弾戦でなくて」ドスッ!

ゼルダ「があ゙っ」ズンッ
    
――――助走動作すらない「足蹴り」で、空高く打ち上げて。



デイジー「純粋な魔法で勝負を仕掛ければ…多少はダメージ、与えられたかもな」ガッ!

ゼルダ「」ベチィッ!

――ハイジャンプで上を取り…
   落下に転じたゼルダ姫を、フィールド目掛けて弾丸の如く叩きつけました。

315Mii:2019/10/23(水) 01:28:40 ID:nJDn.zMQ
時が、止まっています。…いえ、時だけではなく。ゼルダ姫も、止まっています。

赤い、赤い、赤い。

ほんの一瞬にして、あたりは血の海です。

ゼルダ姫の腹部に……風穴が空いているのが、見えてしまいました。
ヒルダ姫は、先ほどから、目を見開いて、涙を溢れさせて、
痙攣したかのように「あ、あ、ああ」と錯乱するだけです。

またもやゼルダ姫「だったもの」が光に包まれ、ゼルダ姫、復活。

デイジー「あー、ようやく起きた。気分はどうだ?」

ゼルダ「――――っ!!?」

ゼルダ姫は、今度は一転して、後ずさる。
魑魅魍魎を見たかのような、恐怖と怯えが駆け回っている表情です。

デイジー「いい加減、命令に従ってくれると、こちらとしても話が楽なんだが」

ゼルダ「いやあああああああああああぁぁぁっ!!!」

――――明らかに動転しながら、恐怖に怯えながらの破れかぶれな、魔法の連打。
――――ロクに当たらず、意味もなく。

デイジー「…あっそう、もういいや」

無造作に掴んだ腕で、ぽいっとゼルダ姫の体を投げ飛ばします。
フィールドの柱の一つにめり込んだ結果…頭を垂れて、微動だにしなくなりました。

316Mii:2019/10/23(水) 01:30:52 ID:nJDn.zMQ
ヒルダ姫は、とうとう…余りの惨状に、気絶してしまった様子。
…それで、正解だと思います。

ロゼッタ「…デイジー姫。…デイジー、姫!!どうして!?
     どうして、こんなこと、するのですか!?」

デイジー「どうして…って、お前たちが願ったことだろ?
     私に、鍛えてほしいと散々頼んできたのは…そっちじゃないか」

ロゼッタ「どういった関係があるのですか!?
     行動も、その口調も、性格も、狂いすぎていますっ!!
     いつもの…いつものデイジー姫に、戻って下さい!」



途端に、腕を一振りされました。

…………おかしいですね、私の左腕。
肘から先がありません。何故か、地面に落ちています。
鎌鼬というやつですか。



激痛にたまらず転げまわる私。至って見下す表情で、デイジー姫は私を見ています。
幸い、すぐに命を取られることは…ありませんでした。

317Mii:2019/10/23(水) 01:35:09 ID:nJDn.zMQ
痛みを涙目で堪えつつ、最後にあがいてみます。



ロゼッタ「では…せめて。デイジー姫の身に今、何が起こっているのかだけでも、
     教えては頂けないでしょうか?」ポタポタ

デイジー「ああ、表の顔の私から…しっかり聞いておくんだったな。
      多少は『今の私』への対策、できただろうに。
      別にいいぞ、つまらない話だが」

…あれ?完全にこちらからの要望が無視される、というわけではないようです。
よかった。事情を話してくれる分には、いつものデイジー姫よりも素直そうで。

ロゼッタ「…………つまらないかどうかは、私が決めます。
      …このちぎれた腕、どうしましょうか。回復魔法でさっさと…
      でも、やっぱり、先に話を聞いておきたいです」



ふと思います。妙に私、冷静ですね。こんな…状況なのに。

318Mii:2019/10/23(水) 01:38:12 ID:nJDn.zMQ
デイジー「…………………………………………
     昔、サラサ・ランドに、一人の姫がいた。
     素質と言えば人より多いFP量くらいで、大した才能もなければ努力もしない。

     やることなすこと人に頼り切り、父となる国王や大臣たちに任せきり。
     国王は姫を甘やかし、大臣は早々と諦めて、姫はその環境に居直った。
     それでも、優秀な人材たちのおかげで、問題なく王国は動いていた」

ロゼッタ「……………………」



まるで、私が以前やったような――昔話、自分語り。



デイジー「あるとき、不届き者の宇宙怪人が、王国中の人たちに催眠を掛けて、
      王国を乗っ取ろうとした。姫を、自分の妃にしようとするおまけ付きだ。
      それまで外敵など想定すらしていなかった王国は、大混乱に陥った。
      幸い、宇宙怪人を塵のようにあしらえるヒーローに守られる幸運を得た姫は、
      悪の手が及ぶことなく救出された」

319Mii:2019/10/23(水) 01:41:48 ID:nJDn.zMQ
ロゼッタ「ああ、よかったです」ホッ

デイジー「だが…キノコ王国を襲う魔王が、王国の姫を『魔法の力を邪魔と感じ』、
      第一段階として姫を攫ったのとは状況が違った。
      最初から、一気に王国を潰す気で、塵野郎は動いていた」

ロゼッタ「……え?」

……ああ、姫を妃とすることと王国侵略は別の話で、
姫を攫ったからといって一息ついてくれる敵ではなかったということ…で……。
……………………ま、まさか!

最悪な、予感が、よぎる。
こういう時の予感って、的中してしまうものなんです。



デイジー「…………姫『は』助かった。なんの怪我もなく、ヒーローに連れられて、
     呑気に城へ戻ってきた。

     

     …………催眠による同士討ちと、防衛戦の大失敗により、
     城下の5割と城内の9割の人を失った城にな」

ロゼッタ「な…………!!」

――それは、一体。
――どんなに、おぞましい光景なのでしょう。

320Mii:2019/10/23(水) 01:43:59 ID:nJDn.zMQ
デイジー「姫は、3日3晩、泣き喚いた。
     1週間経っても、歩くことすらままならなかった。

     1か月後、人員不足から半強制的に政務に駆り出されたものの、
     王国の未来の為に勇敢に散っていった人たちのことを、
     己を生き永らえさせるためだけに散っていった人たちのことを、
     生き残った人から聞くだけで、己の愚かさに気が狂いそうだった。
     
     強くなろうと誓った。ひたむきになった。
     だが、すこし身体能力に自信があるくらいでは、
     怠けていたツケを払えるほど、世の中は甘くない。

     姫はヒーローに縋った。
     『今更ながら、全てを己の手でねじ伏せてしまえるチカラをくれないか』と。
     『そのためなら、己の運命含めて、渡せる限りの物を渡すから』と。

     無理を言われ、思案した彼が姫にもたらした物は――――『仮面の姫』」



――仮面の、姫?それはいったい…?

321Mii:2019/10/23(水) 01:46:41 ID:nJDn.zMQ
デイジー「弱い自分を『強くする』のがベストだが、
     今すぐ矯正したいなら、強い自分を用意してやればいい。

     嘘八百。自己暗示。自己催眠。

     塗り固めて、塗り固めて、徹底的に…塗り固める。
     少々時間は掛かるけれども、一度『強く』なったら、易々とは解けはしない。
     それが…姫の特技。精神崩壊と隣り合わせで手に入れた、禍々しい宝物。

     『誰よりも強い、賢い。負けるはずがない、負けてはならない』という意識。
     『己の思い通りに物事は動く。動かさなければならない』という自覚。

     これが、姫の全てを支配する。誰も、姫自身すらも、逆らえない。
     親友だとか家族だとかすら、関係がなくなってしまう」

ロゼッタ「そ、んな…………!!」

そんな、ことって…………!
有り得て、いいのですか……!?

デイジー姫は、自嘲気味に続けます。…続けていきます。

デイジー「親の、そして王国の敵の塵野郎と、再会する機会があった。
     敢えて残機を与えたうえで、このチカラを使って、ざっと千回、命を奪った。
     精神崩壊の末に記憶喪失になったらしいんで、適当に捨て置いた。
     今頃は、どこかで小悪党でもやっているのだろうな」

執念深さに、身の毛がよだちます。
…はっと、気付く。あまり、他人事では、ありません。

322Mii:2019/10/23(水) 01:49:08 ID:nJDn.zMQ
デイジー「…私のつまらない話は、以上だ。何か質問でも?」

ロゼッタ「い、いえっ……!」

デイジー「じゃあ、特訓の続きと行くか」





ザンッ!!!!!!





ロゼッタ(速すぎる…!避ける、いえ避けようと動き始めることすら、できない!?)
     


ぽたり、ぽたり。
繰り出された右腕が、脇腹を掠って、ドレスごと…根こそぎ血肉を持って行きました。

323Mii:2019/10/23(水) 01:51:33 ID:nJDn.zMQ
ふと。
背中の方から、デイジー姫の囁く声が、聞こえます。

デイジー「そうそう、言っておいた方がいい情報があったな」

汗と、血を、ただただ消費する。――振り向けない。威圧が、凄まじい。

デイジー「流石の私も、マリオやクッパ、リンクに勝てるとは…よもや思っていない。
     あいつらは、基礎体力レベルが飛び抜けている。
     私の記憶なら…マリオがLv.160、クッパがLv.158、リンクがLv.147…だったか」

ロゼッタ「は、はは。マリオについては私も知っていましたが…みなさん、凄いですね!」

そう、乾いた笑いをしたところで。
デイジー姫が、面白そうに、妖絶に続けます。

デイジー「ところで、私は魔法がからっきしでな。
     ピーチと比較されては劣化だの下位互換だの笑われていたから、
     せめて基礎体力だけは負けないと、鍛えに鍛えてきた。
     そのおかげで、気付いてみれば……
     『表』の方の私でも、ピーチにそろそろ追いつく…くらいの基礎体力はある」



ロゼッタ「…え?」

324Mii:2019/10/23(水) 01:58:11 ID:nJDn.zMQ
デイジー「少し前に、ピーチに勝手に測定された数値だから、
      今なら更にひとつかふたつくらいはレベルが上がっているはずだが…



     『こっち』の私の基礎体力レベルは  1 1 5  だ。
     規格外ポジションの3強のヤツらを除けば…物理面に限って言えば、
     女性の中で、どころか世界全体で見てトップの数値みたいだから。

     …今の私は、『お前たちを鍛える』ことに全精力を費やし出して、止まらない。
     死にすぎたくなかったら、私の機嫌を損なわないよう、必死で足掻くんだな」クスッ



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」



追撃を食らって、意識が薄れて行って。
でも、先ほど受けた衝撃は、絶対に忘れないでおこうと誓いました。



とりあえず、残機が尽きませんように。

325Mii:2019/10/29(火) 00:23:55 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ「……………………」

ロゼッタ「…………ううっ」ムクッ



短い時間、なのでしょうが。気を…失っていました。

もっとも、一度や二度のことでは、ないのですが。
よろよろと、ふらふらと、身を起こします。



ちらりと右を、見れば。
うつ伏せに倒れ伏し、痙攣して、血の吐いた跡まで残る、見るも無残なゼルダ姫。
私同様、全身が血濡れ、衣装はボロボロであったりします。
手が、脚が変な方向に曲がっている…気がします。
小さく、うめき声を上げているのは、気のせいでしょうか。
ハイラルの人たちが見たら、絶望で心中しそうな光景です。

命を失えば、衣装もろとも残機のおかげで復活します。
半殺しというのは、全身を駆け巡る痛みのせいで、
…惨めさをまざまざと感じなくてはならないせいで、余計に辛いのかもしれません。



あら?ヒルダ姫は…どこでしょう。

326Mii:2019/10/29(火) 00:31:06 ID:L3Ow0O9U
…あ。

デイジー姫と対峙している…もとい、
蛇に睨まれた蛙以上に委縮していて、何も出来ない状態です。



ヒルダ「あ、ああ、あ゙あ゙あ゙あ゙!?」ガクガクブルブル

デイジー「…あのさ。一撃入れてみろとは言わないから、
     真面目に特訓に参加してくれないか?
     さっきから、泣いてばかり、棒立ちしてばかりじゃないか」



ヒルダ姫は、デイジー姫の挑発にも…泣き腫らしながら首をぶんぶんと振るばかりで、
行動に移せません。目に見えて、デイジー姫の機嫌は下降の一途を辿ります。



デイジー「私が、5数えるまでに向かってこなかったら…」

ヒルダ「…………………え?」



デイジー「5」

ヒルダ「…っ!?」

327Mii:2019/10/29(火) 00:33:47 ID:L3Ow0O9U
デイジー「4」

ヒルダ「……っ!……っ!!」ポロポロ

なんとか、己を奮い立たせようと。



デイジー「3」

ヒルダ「………………………………」ポロポロ

…しては、いるよう、なのですが。
効果のほどは、お察しください。



デイジー「2」

ヒルダ「…………………………む、り、です」ガクリ

全てを諦めてしまって、その場にペタンと尻餅をついて…
顔を、覆って、うずくまってしまいました。



デイジー「1」

あとはもう、震えているだけ、泣き続けるだけ。

328Mii:2019/10/29(火) 00:35:43 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…………0」ググッ




ヒルダ「……………………」

ビクッと。ヒルダ姫の体が、ひときわ大きく震えます。



しかし、デイジー姫は『その場から』動こうとはしません。



5秒、10秒、15秒。
来たるべき衝撃が来ないことに気付き、
少しずつ、少しずつ手のひらをどかせていき。






ドズンッ!!!!!

329Mii:2019/10/29(火) 00:39:05 ID:L3Ow0O9U

・・
・・・
ピーチ「これでもマリオは、魔法苦手な方なんだけどねー。
    そうね、物理の方なら多分…もし貴方に対してマリオが本気になれば、
    5メートル離れた所からの『何の変哲もない』パンチの衝撃波だけで絶命だわ」
・・・
・・




ピーチ姫の台詞が、思い起こされてしまいました。



ヒルダ姫の目の前には、拳を振るったあとのデイジー姫が、
動作を終わった姿勢で止まっています。

どうなっているのだろう、向かってこないのか。
それとも、あくまでハッタリだったのか。
…もしかしたら、そんな淡い期待を持ったかもしれません。
一瞬ほっとしたような表情を見せたヒルダ姫は…………





ごぼっと、大量の血を吐きました。

330Mii:2019/10/29(火) 00:44:34 ID:L3Ow0O9U
そりゃあ、そうです。

ヒルダ姫は極度の恐怖で感覚がマヒしているのか、気付いていませんでしたが…

心臓や肺もろとも、胸のあたり10センチくらいを、
拳からの衝撃波が貫通していきましたから。

今さらながら、現実を受け止められないまま、ゆっくりと、ゆっくりと。

下を向いて行って、胸にぽっかりと穴が空いたことに気付いて、

再度絶望して、そのままフラリと…前に倒れ込んでいきました。



まもなく、復活することでしょう。そしてまた…。



失礼しました。半殺し以上に、死ぬのって、辛いですよね。苦しいですよね…!
明らかに、一番絶望の底にいるのは、ヒルダ姫でしょう。

331Mii:2019/10/29(火) 00:52:59 ID:L3Ow0O9U
現在、デイジー姫は、私たち3人を…存分に手を抜きつつ、1人ずつ相手しています。

気絶するか、命を失うかで、交代。



自分の順が回ってきても気絶状態なら、とばされて…ではなく。
髪を千切れんかというばかりに強く引っ張られたり、バケツの水を掛けられたりして、
強引に叩き起こされます。

だれがどう見ても、紛うことなく、拷問です。ええ。
本当にありがとうございました。
地獄の終わりが見えません。

デイジー「なんなんだろうな、全く…。
     ゼルダは、まるで歯が立たないとわかったら、いつもの生意気さはどこへやら。
     ろくに戦おうともせず半狂乱になって…這いつくばってでも逃げようとする。
     ヒルダはヒルダで、最初から無気力状態になって。
     ますます一撃で倒されやすくなって、特訓のし甲斐もありゃしない。
     先に私を煽っておいて、舐めているのか…?」ゴゴゴゴ

ロゼッタ「……!!」

デイジー姫が、手首をブラブラさせながら、
詰まらなそうにつぶやいていますが…じょ、冗談ではありません!
これ以上、ゼルダ姫とヒルダ姫に無理はさせられません!
本当に廃人になってしまいます!

332Mii:2019/10/29(火) 00:55:46 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ「次は、私が行かせていただきますっ!」ザッ!

デイジー「…次はゼルダの番のはずだが?」

ロゼッタ「ゼルダ姫は、もう少し休憩したいそうなので!

     …あ、えええええっと、これも…
     デイジー姫のいうところの『命令に背く』ことになってしまいますか!?」

デイジー「……まあ、それは構わないが。だが、意気揚々と変わろうとする割には、
      ロゼッタも体力の限界の――」

ロゼッタ「なら一回、飛び降りてきますっ!!」ダダッ

デイジー「ようだ、が――――――」





ロゼッタ 残機-1

ロゼッタ「あいたたた…復活ですっ!…お待たせしましたぁ!」シュタッ

333Mii:2019/10/29(火) 01:00:25 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…くっくっく」

ロゼッタ「…あれ?どうされましたか、デイジー姫?
     何か、おかしかったですか?」

いきなりデイジー姫が、おかしそうに笑っています。
機嫌が悪いうえでの空笑い、とかではなさそうです。よかった。
でも、失礼ではないでしょうか。…口には決して出しませんが。それはもちろん。



デイジー「…くく、おかしいさ。おかしいとも。
     
     マリオカートWiiの時のロゼッタの号泣っぷりを思い出してみろ。
     正直、3人の中で…真っ先に音を上げるのはロゼッタとばかり思っていた。
     それが…まさか、回復のためとはいえ、残機減らしを一切躊躇わないなんて。
     なかなかどうして。図太くなったものじゃないか」
     
ロゼッタ「……あー、まー。言われてみれば。
     自分でも、なんでだろうって思うんですけれどね」

なんだか、命を失うための大義名分があるなら、
まるで躊躇しなくなっているような…たしかに、改めて考えると、異常ですね。

まあ、そのおかげで冷静さを保てているというのなら、有難くあやかっておきましょう。

334Mii:2019/10/29(火) 01:03:12 ID:L3Ow0O9U
デイジー「ゼルダを見てみろ。下手をすれば、次に復活した時には
     手遅れな所まで精神がお陀仏になっているかもしれないぞ?」

ゼルダ「がはっ…だ、れ、が、だず、げ、で…ぐ、ださ…」シンダメ

ロゼッタ「可哀想です…ここまでやる必要があったのですか?」ムッ



デイジー「ヒルダもこのとおり、悲惨なありさまだ。
     今や、復活するから命を奪われるのか、
     命を奪われるために復活しているのかわかりゃしない。

     …おい、復活したのなら、少しは精神統一でもして
     自分の番の準備をしておけよ」ユサユサ

ヒルダ「――――」

ロゼッタ「復活したてで、まだ気絶しているのではないですか?」

デイジー「どうだろうな…?」

335Mii:2019/10/29(火) 01:05:40 ID:L3Ow0O9U



ピキッ…!



ヒルダ「――――っ!?」

デイジー「さっさと起きた方が身のためだぞ」

ロゼッタ「」



ピキッ!



ヒルダ「いやああ゙あ゙あ゙あ゙アアアアアアアアアアアアアアアアア!!」ガタガタ

デイジー「そら見ろ、狸寝入りじゃないか」

ロゼッタ「確認のためだけに指の爪をはいでいくのはやめてあげてください!?
     今のデイジー姫、機嫌を損ねるととんでもない暴虐に走りますね!?」

336Mii:2019/10/29(火) 01:10:04 ID:L3Ow0O9U
デイジー姫は、えぐえぐと泣くばかりのヒルダ姫など、もう放置して…
ふたたび、こちらに歩み寄ります。…歩み寄ってきます。

5センチも離れていない所に、デイジー姫の顔が迫ってきました。



デイジー「やはり、異常だな。
     ここまで、ゼルダやヒルダの状態を気遣い、心配することはあっても…
     虐げることは間違っている、許せない…という主張がほとんどない。
     絶望のあまり泣き叫んで、止めるよう懇願してもおかしくないというのに。

     …むしろ、お前が『ニセモノのロゼッタ』であると言われた方がまだ納得がいく。
     …本物のロゼッタか?こっそりすり替わっていやしないか?」

ロゼッタ「本物ですよ!?本人ですよ!?証拠とかは特にないですけど酷くないですか!?
      …えっと、泣き叫んだら、止まってくれるのですか?」

デイジー「余計に殺意が増すな」

ロゼッタ「ですよねー。分かっていました。
     だったら、私はデイジー姫に応えるべく、やれるだけのことをやるだけです。
     デイジー姫だって、嗜虐心だけで私たちを屠り続けているわけではないでしょう?」



今のデイジー姫は、恐ろしい。それは…確かです。
でも…少なくとも、デイジー姫を責めるのはお門違いだと思うのです。
唆した私達3人の自業自得、あるいは発端の私だけが責められるべきなのです。

337Mii:2019/10/29(火) 01:12:24 ID:L3Ow0O9U
デイジー「…………面白い。実に面白いぞ、ロゼッタ。
     ならば、こちらとしても丁重に『O・MO・TE・NA・SHI』しようじゃないか。
     その余裕が、どこで悲嘆の顔に変わるのか、あるいは乗り越えてみせるのか…
     非情に楽しみになってきた…!」

ロゼッタ「……あれ?あれれ?藪蛇ですか?
     …あと、なんだかニュアンスが変だったような。

     『とっても楽しみ』なんですよね?
     『あらん限りの絶望を与えることが楽しみ』とかじゃないですよね?」タラリ



デイジー「さあ、いざ、参る!」スッ・・・



ロゼッタ「…っ!こうなったら、当たって砕けろの精神で参りますよっ!」ビクッ

338Mii:2019/10/29(火) 01:16:38 ID:L3Ow0O9U
すぅっと、しっかりと、デイジー姫の方を向きつつ、身構えます。
…嘘です。格闘におけるポジションなど知りません。
ついでに言うと、心臓を隠せるようにだとか、足腰のバネに力を蓄えてとか…
にわか仕込みの、小手先の動きでどうにかなる相手ではないのです。

身長差からすると、私が有利…なんてことはなく、むしろ掻い潜られそう。
そう思った矢先っ!



デイジー「フッ!!」ゴウッ!

ロゼッタ「……っ!!」

――認識できない、ほどではない、拳。
――余裕を持って躱せる、なんてことはさらさらない、拳。

直感で腕を伸ばして、鳩尾を狙うデイジー姫の腕の軌道を妨害――



ロゼッタ「――しても無駄なのでっ!」



手のひらから…隔壁を、幾重にも展開、展開、展開っ!!
ただし、間違っても真正面から生成してはいけません。
デイジー姫と私との力量差の前では、向こうの拳が貫通弾となってしまいます。
繊細に…力を逃がすべく、斜めに滑らせ、受け流す!

339Mii:2019/10/29(火) 01:26:43 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ(よし、うまくいきました!!受け流し成功で――)

デイジー「人間の腕が2本あるのはなんでか、知ってるか?
      …交互に拳を絶え間なく繰り出すため、だぞ?」



ドガガガガガガッ!!

ロゼッタ「わっ、わわっ!?」パシン パシン

駄々をこねる子供のように、遮二無二腕を振り回すデイジー姫。
当然ながら、体のひねりなどロクに使えないため、力は籠められないはず…なのですがっ!
1発1発が、凄まじく、速くて重いですっ!山カンで防ぎに行くのが精いっぱい!



右、左、右、左、左――――っ!



フェイントも時たま交えつつ、連続攻撃で弄ばれます。
私はひたすら、体の脇へ脇へと受け流す、受け流す!

ピイイイイイィィィィン――!!

それでも。反発の勢いで、腕が大きく逸らされていきます。
その勢いは凄まじく、体ごと持って行かれます。

その隙を…見逃してくれるわけがありません。

340Mii:2019/10/29(火) 01:31:18 ID:L3Ow0O9U
くるり、とデイジー姫が身を翻します。



デイジー「セイヤッ!!!」ドゴォッ

ロゼッタ「がはっ」ガフッ ダンッ!



…何回かバウンドしながら、フィールドの反対側まで吹っ飛ばされました。
たいじゅうのこもった、ま、まわしげり、だなんて、は、はんそくです。
そんな威力の体術、秘匿しないでおいてほしかったですね。

…ああ、また口元に血が付いています。
いい加減、血を吐くのは飽きてきました。
このままではドレスが赤く染まって、ファイアロゼッタになってしまうではないですか…なーんて。
…実際は復活のたびに汚れはきれいさっぱりなくなりますが。

袖でグイッと拭って、さっさと立ち上がることにします。
そんな私を、フィールドの反対側から見ている、デイジー姫。
早く戻ってこい、と手招き状態。

…なんだか、にやにや笑っている気がします。
余裕ぶった態度に、少しだけ、カチンと来ました。

341Mii:2019/10/29(火) 01:33:58 ID:L3Ow0O9U
ロゼッタ「――――よし」ポワアアアン

何食わぬ顔で近づきつつ、こっそりFPを充填していきます。

一歩。また一歩。
歩くたびに、どんどんFPを蓄えます。

デイジー「のんびり歩くな、時間は有限だぞ」

ロゼッタ「すいません、今行きまーす!」

こう、呑気に手なんか振ってみたりして。

相手の視線、および死角の確認、OK。
移動先の座標、OK。
移動後の迅速な正拳を、イメージ。



…なんだか、わくわくしてきました。
ダメージを与えられるかどうかはともかく、
これが当たって、デイジー姫が少しでも驚いてくれたら、と考えただけで。

…準備完了。
最後は、少し小走りになりつつ、残り10メートルになったところで――

342Mii:2019/10/29(火) 01:38:08 ID:L3Ow0O9U
シュンッ!!

ロゼッタ「それっ!!」ブンッ!

テレポートからの、完全なる不意打ちですっ!
素晴らしい集中力の賜物で、数F程度のラグをもって拳を振るえています!
後頭部…は気が引けたので、背中に…会心の一撃!これは決まりました!





デイジー「……」クルリッ グワシッ!





ロゼッタ「…ふえっ!?」

…あれ?あれれー?
どうして、振り向きざまに拳を掴まれているのでしょう?

デイジー「気配。癖。それに勘。見破る鍵はいくらでもあるぞ。
     妙にワザとらしく手など振って、姑息なことを考えていることがバレバレだ」

ロゼッタ「」アゼン


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