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歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」
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※ダンロンパロです
※そのため死亡描写あり〼
※AqoursとPDPが同時系列です
幼稚園、年中だった頃のお遊戯会。
緊張して泣き出しちゃった私に、彼女は言ってくれた。
「いっしょだから大丈夫だよ。ふたりで思いっきり楽しんじゃおうよ」
私は今でも、その言葉を覚えている。
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【クライマックス推理】
ACT.1
果南さんが内通者……モノっちーが発表した事実が、今回の事件のキッカケだった。
彼女を殺そうと、ある人物……かすみちゃんが動き出していた。
かすみちゃんは武器庫のゲームに参加して、凶器になる拳銃を持ち出したんだ。
その一方で、彼女のターゲットになっていた果南さんも行動を開始していた。
彼女は彼女で武器庫に向かい、ゲームに参加する。
そのゲームには失敗して、こめかみにインクが残ったけど……ナイフを手にしたんだ!
ACT.2
果南さんとかすみちゃん、2人がどんなやり取りをしたのか、今となっては分からない。
ただハッキリしているのは、2人は昨晩、別館の水槽広場に行ったこと。
そして、互いに持ち出した凶器を使って……。
結果、2人はそれぞれ致命傷になる痛手を負った。
ここまでだったら、2人の相打ちで終わる筈だったけど……。
そこに銃声を聞きつけたのか、第三者が訪れてしまったんだ。
ACT.3
その第三者は、2人を目にしてかなり焦った筈だよ。
いま彼女たちが死んでしまえば、最初に起きた事件がどっちか分からなくなってしまうのではないか。
そうなれば、学級裁判で正しいクロを当てられるのかどうか……。
何とかしようにも、目の前の2人の命は尽きかけている。
だから……その2人にトドメを刺したんだ。
背中からナイフ刺された跡は、その時についたもの。
そう……この第三者こそが、今回の事件の真犯人なんだ。
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ACT.4
クロを乗っ取った犯人は、幾つもの偽装工作に乗り出した。
その1つが、傷口にガムテープを巻いたかすみちゃんの死体を低温倉庫に放り込み、入り口のスイッチを破壊すること。
ただ、階段側のスイッチは甘く壊しておくことで、倉庫の中に入る余地を残しておいたんだ。
この時、犯人はかすみちゃんの靴を回収した。
現場に怪しい血の足跡を残すためにね。
死体にガムテープを巻いたのも、倉庫までに血を垂らさないためだったんだ。
ACT.5
そして犯人は、果南さんの死体を水槽に沈めた。
犯人は中で泳いでる魚をピラニアだと勘違いしていて、死体を食べさせる目的があったけど……。
実際に泳いでたは、見た目こそ似ているけど肉食じゃない魚、マナガツオだった。
そうとも知らない犯人は、足跡を校舎3階まで伸ばして、そこで偽装を終えた……筈だった。
けれども、そうは行かなかった。
偶然私が……校舎から戻ってこようとする犯人に気付いてしまったんだ。
ACT.6
慌てて私を薬で眠らせた犯人だったけど、既に打開策は思いついていた。
私を現場に運んだあと、理科室から磁石を持ち出した。
鉄で出来たナイフは、磁石にくっ付こうとする。
そのことを利用して、犯人は現場を密室にしたんだ。
ただ、その跡は扉に残ってしまったけど……。
こうして、犯人は全ての細工を終えたんだ。
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歩夢「一連の犯行は、結果的に私たちを救うことになった……そうなんだよね?」
歩夢「超高校級のスクールアイドル……優木せつ菜ちゃん……」
COMPLETE!!!
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歩夢「これが……この事件の全てだよ」
しずく「こんな、こんな結末って……」
ダイヤ「ですが……真実が明らかになったお陰で……せつ菜さんを信じたまま、終わることが出来そうです」
梨子「そうね……。決して悪い人なんかじゃなかった、そう思えるだけでも……」
せつ菜「優しいんですね、皆さん……」
せつ菜「……投票に、移りましょうか」
モノっちー「えー、どうやら議論の結論が出たみたいなので……」
モノっちー「それじゃあ皆さん、お手元のスイッチで投票しちゃってください!」
モノっちー「ああそうそう。ちゃんと誰かに投票してネ? 投票を放棄した人も……オシオキだからさ」
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VOTE
優木 優木 優木
GUILTY
学 級 裁 判
閉 廷
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モノっちー「今更言うことでもないだろうけど大正解! これで4連続だネ!」
モノっちー「《超高校級のダイバー》松浦果南さんと《超高校級のパン屋》中須かすみさんにトドメを刺し、クロを乗っ取ったのは……」
モノっちー「《超高校級のスクールアイドル》優木せつ菜さんなのでしたー!」
せつ菜「おめでとう……ございます、皆さん」
歩夢「めでたくなんか、ないよ……っ!」
歩夢「死んじゃうんだよ、せつ菜ちゃんが……」
せつ菜「それでも……全員が死ぬよりはよっぽど良かったと思っています」
鞠莉「十分最悪よ……こんなの、誰も救われないじゃない……」
せつ菜「……ごめんなさい、ですね」
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せつ菜「ですが……この事件に関しては、もう何も言うことはありません」
せつ菜「超高校級の歌姫さんが、全て明らかにしてくれましたから」
歩夢「それ……それだよ、せつ菜ちゃん。私が超高校級の歌姫って、本当なの?」
せつ菜「ええ。千歌さんの話を聞いて、うっすらと思い出したんです」
せつ菜「幼稚園の頃、お遊戯会で歌った歌が、多くの保護者や先生たちを魅了したらしいこと」
せつ菜「その才能が大きく飛躍したのは、動画サイトにアップロードされた、いわゆる“歌ってみた動画”」
せつ菜「それが人気を博し、時々イベントに呼ばれるようになったと……」
歩夢「……」
歩夢(にわかに信じがたい話、という言葉は、こういう時に使うのだろう)
歩夢(勿論、私自身その記憶を忘れているだけで、本当に歌姫と呼ばれるだけの才能があったのかも知れない)
歩夢(動画投稿サイト……。善子ちゃんだったら、何か知っていただろうか)
歩夢(……けれど。1つだけ、どうしても引っ掛かる言葉があった)
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歩夢「ねえせつ菜ちゃん。幼稚園のお遊戯会って……年中の?」
せつ菜「ええ。確かそうですけど……」
歩夢「観に来た人たちを魅了した『らしい』って言ったのが、ちょっと引っ掛かってさ……」
歩夢(同じ幼稚園に通っていた筈なのだから……ごく自然に『らしい』なんて伝聞表現が出て来たことが、妙に感じられたのだ)
せつ菜「……お恥ずかしながら、あの日私は風邪をひいてしまいまして」
せつ菜「主役としてステージに立つ筈だったのですが、代理として、仲が良かった歩夢に負担を掛けることになってしまいました」
歩夢「……なっ!?」
歩夢(じゃあ、あの日……せつ菜ちゃんはそもそも来ていなかったってこと……?)
歩夢(だったら、度々夢に見る“アレ”は……)
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モノっちー「何だか話が脱線してるようだけどさ……」
歩夢「っ!?」
モノっちー「オマエら、被害者2人については触れないんだネ」
しずく「被害者……?」
モノっちー「まあボクから触れたところで、単なる捕捉でしかないんだけどさ……」
モノっちー「このままクロとそのお友達に気を取られて、影が薄くなるのも考え物でしょ?」
モノっちー「だから、音声は入ってないけど……こんな映像を用意しましたー!」
歩夢(そう言ってモノっちーがスイッチを押すと……大きなモニターに“それ”は映し出された)
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鞠莉「果南と、かすみ……!?」
梨子「しかも、水槽広場ってことは……」
花丸「事件が起きた時の映像ずらね」
歩夢(何かを話しているようだが、内容までは分からない。ただ、揉めているような空気がひしひしと伝わって来る)
モノっちー「この2人、前回の裁判のあとからずっとこんな感じだったんだよ」
モノっちー「内通者であることを隠さないといけない人と、内通者よりよっぽど裏切り者っぽいことしてる人だもん、ソリが合うワケないよネ」
モノっちー「そんな2人だから……ほら、ネ」
歩夢「ッ──」
歩夢(思わず、目を背けたくなるような光景)
歩夢(果南さんが、かすみちゃんに向かってナイフを──)
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千歌「先に攻撃したのは果南ちゃんだったんだね」
モノっちー「でも、松浦さんはこのあと、自首するつもりだった筈だよ」
モノっちー「彼女はロシアンルーレットのことを知っていながら、ペイント弾を6発中6発入れたんだよネ」
しずく「そんなことしたら、必ずインクが残ってしまうじゃないですか……」
璃奈「始めから、かすみちゃんを殺すつもりで……(>_<。)」
ダイヤ「わざと証拠を残すことで、自分の犯行だと説得力を持たせるつもりだったのでしょうね」
モノっちー「自分が事件を起こす代わりに、オマエらにとっての障害となる中須さんも排除する。その考え自体は悪くなかったんだけど……」
歩夢(何人かが、息を呑む音が聞こえた。果南さんの口から、抑えたお腹から、赤い液体が垂れて行く……)
モノっちー「残念でした! 中須さんが隠し持ってた拳銃に、反撃を許しちゃったんだよネ!」
歩夢(やがて……銃声を聞きつけたせつ菜ちゃんがモニターに映り。そこで、映像は終了した)
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モノっちー「実際、優木さんの介入がなかったら、この事件は更にややこしいことになってただろうネ」
モノっちー「内通者と反乱分子。どちらが正道でどちらが邪道なのか……それを問う議論で、泥沼に入ってたと思うよ」
モノっちー「そういう意味では、エンターテインメントに仕上げてくれた優木さんには、非常に感謝してるんだ」
せつ菜「……もう、いいでしょう」
モノっちー「おろ?」
せつ菜「これ以上、あの2人の意思を踏みにじらないでください」
せつ菜「踏みにじられるのは……私だけで十分です」
モノっちー「じゃあ、いつものやつ行っちゃっていいんすネ?」
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歩夢「待ってよせつ菜ちゃん! 私は、まだ──」
せつ菜「大丈夫ですよ、歩夢」
歩夢「えっ……」
せつ菜「私は居なくなりますけど……私の想いは、あなたに託します」
せつ菜「そして、いつかこのコロシアイが終わったら……」
せつ菜「私のお墓にでも、歌姫として活躍する日々を、聞かせてください」
歩夢「せつ菜、ちゃん……」
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モノっちー「さて。《超高校級のスクールアイドル》優木せつ菜さんのために、スペシャルなオシオキを用意しました!」
せつ菜「だから、歩夢。あなたは決して、諦めないでください」
モノっちー「それでは、張り切って行きましょう!」
せつ菜「皆さんにも……本当に、ご迷惑をお掛けしました」
モノっちー「オシオキターイム!」
せつ菜「……さようなら、歩夢」
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GAME OVER
ユウキさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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いつものように、執行の対象となる人は首輪で舞台へと連れて来られます。
優木せつ菜が連れて来られた空間は……文字通り、舞台。
虹の装飾や赤いライトなどで照らされたステージの中央に立つ彼女。
そんな彼女を囲うように、巨大なトラバサミが1つ……。
〈優木せつ菜 inファイナルステージ〉
《超高校級のスクールアイドル 優木せつ菜処刑執行》
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やがて鳴り始めるのは、せつ菜の大好きな曲でした。
それは、いつかの夕食会でも披露したあの曲。
観客席には審査員風にふんぞり返ったモノっちーと、1から20までのランプ。
「パフォーマンスを決めてみろ」ということです。
即座に理解したせつ菜は、踊り、歌い。
空っぽの曲に、魂を吹き込んでいきます。
一切のミスもなく順調に進んで行く、慣れ親しんだ曲。
5、6、7……徐々に点灯していくランプも、それを物語っています。
20を出せば合格のようですが……そうは問屋が、もといモノっちーが卸しません。
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突然、上から水が降ってきたり。
ステージに向かって、サイリウムが投げ込まれたり。
パフォーマンスを失敗させようと画策しますが……それでもせつ菜は動じません。
水を受けても意にも介さず、投げ込まれるものは踊りながら次々跳ね返します。
17、18、19……サビに来て、ランプが一気に点灯します。
そして、いよいよ歌い終わるといったところで。
ガン!
せつ菜が跳ね返したサイリウムの1つが、ランプに当たってしまいました。
途端に、彼女を囲っていたトラバサミが閉じて行き──
真っ赤に染まったステージ、ぐったりと動かなくなったアイドル。
20と書かれたランプはひび割れ、0の文字だけになっていました。
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歩夢「……」
歩夢(全てが終わったと分かった時には、私は膝から崩れ落ちていた)
歩夢(全身が、無力感で包まれるような……)
歩夢(まだ、話したいことだっていっぱいあったのに)
歩夢(逆に、訊きたいことだって沢山残っていたのに)
歩夢(せつ菜ちゃんは……居なくなってしまった)
しずく「いつまで……こんな残酷なこと、続けるんですか……」
モノっちー「さあネ? いつかは終わらせなきゃいけない時が来るけど……」
モノっちー「そのいつかは、少なくとも今すぐなんてものじゃあないだろうネ」
モノっちー「うけけけけけ……」
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歩夢(モノっちーの高笑いは、しばらく続いた)
歩夢(疑問、怒り、哀しみ……私たちが抱いていたありとあらゆる感情を無視して)
歩夢(私たちが裁判場を去るまで……ずっと続いた)
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────夜時間前、食堂
ダイヤ「『コウサカホノカと、その仲間に気を付けて』」ボソッ
歩夢「えっ……?」
ダイヤ「果南さんの部屋を調べていた時に……見つかったメモです」
ダイヤ「鞠莉さんもこのことは知っていますが……あなたには知らせておくべきだろうと」
歩夢「……」
歩夢(私たちの感情を置き去りにしていくのは、モノっちーだけじゃない)
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────夜時間、学生寮・鞠莉の部屋
ピンポーン
ガチャリ
千歌「……」
鞠莉「こんな時間に何の用かし──」
バチバチィッ
鞠莉「づぁっ……!?」
鞠莉(スタン……ガン……!?)
バタン
千歌「……」
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歩夢(コロシアイ学園生活という物語そのものも、終わりに向けて動き始めていた)
歩夢(そして私たちは、経験することになるんだ)
歩夢(絶望に満ち溢れた、最後の事件を──)
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Chapter4 END
https://i.imgur.com/lFLZbTA.png
To be continued……
プレゼント“薔薇と羽根の髪飾り”を獲得しました。
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今回はここまで。
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おつおつ
この千歌こわすぎる・・・次の章がヤバそう
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乙!そろそろ1000だけどこのまま続けるのかな?次回も楽しみにしてる
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「……」
(■■ちゃんも、■■■ちゃんも……それに、■■ちゃんも)
(みーんな、死んじゃった)
「……」
(もう、いいよね)
(コロシアイを終わらせちゃっても)
(だって、このコロシアイを始めたのは……)
「……私なんだから」
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Chapter5
キボウハドコニ? (非)日常編
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────学園生活20日目
歩夢(この日……私がベッドから身体を起こしたのは、昼前のことだった)
歩夢(せつ菜ちゃんが死んだ)
歩夢(その事実を受け入れるには、1日そこらじゃ到底足りなかったのだ)
歩夢(超高校級だなんだと言われていても、結局は高校生)
歩夢(親友の死をすんなり受け入れられるような、超高校級の精神は持ち合わせていない)
歩夢(自分が何の超高校級かさえ忘れていた私なら尚更……なのだろうか)
歩夢(そんなことを考え、僅かな空腹を覚えつつ)
歩夢(私は、食堂に向かった)
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────昼、食堂
歩夢「……おはよう」
しずく「あ、おはようございます」
ダイヤ「……もう昼ですわよ」
璃奈「ちょうどこれからお昼ご飯(・v・)」
梨子「歩夢ちゃんの分も、ちゃんと用意してるからね」
花丸「食べ終わったら、校舎の探索ずらね」
鞠莉「……」
歩夢(みんな、何気ないように、普通に接してくれる)
歩夢(でも、やっぱりそれは、どこか取り繕った普通だ)
歩夢(『大丈夫?』)
歩夢(流れ込んで来る無言の気遣いが、胸に痛い)
歩夢(だからこそ……昨日のことを思い出してしまう)
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歩夢「……」
歩夢(それでも、せつ菜ちゃんに頼まれたんだ)
せつ菜『私は居なくなりますけど……私の想いは、あなたに託します』
せつ菜『だから、歩夢。あなたは決して、諦めないでください』
歩夢(ここで立ち止まっているワケにはいかない)
歩夢(死んだみんなの想いを背負って、私たちは生きているんだ)
梨子「食欲がないなら、無理にとは言わないから……」
歩夢「……ううん、食べるよ」
歩夢(みんなで生きて、ここから脱出する。今はそれだけを考えよう)
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歩夢「ところで、千歌ちゃんは……」
ダイヤ「っ……」
歩夢「……? 何か、あったんで──」
鞠莉「その話は後でするわ。まずは、食べたら4階の探索をしましょう」
歩夢「……」
歩夢(今こうして“みんな”の中に入っていない千歌ちゃん)
歩夢(今までも、事あるごとに様子がおかしくなる人は居た)
歩夢(自分の怪我のこと、記憶を失っていたこと、大切な人が死んだこと。理由は色々ある)
歩夢(でも、彼女のそれは……今までの誰よりもその期間が長い)
歩夢(そのことだけが少し、気掛かりだった)
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────校舎4階
https://i.imgur.com/kRIrxpL.jpg
しずく「ここが……虹ヶ咲学園の4階……」
歩夢(前回は開いていなかったシャッターが、今度こそ開いていた)
璃奈「あまり部屋は多くなさそうだね(・v・)」
歩夢「うん。でも、何だか……」
歩夢(漂って来る空気は、今までのそれより少し冷たくて……)
歩夢「……嫌な雰囲気」
ダイヤ「出てくるのは、鬼か蛇か……」
花丸「セイウチにはあまり会いたくないずらね」
鞠莉「あら、なかなかジョーク利いてるじゃない」
梨子「……ジョークなの?」
歩夢「さあ……?」
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────武道場
梨子「……桜ね」
しずく「……桜ですね」
歩夢(そういう2人は桜内と桜坂……という冗談を、喉の寸前で抑え込む)
歩夢(武道場は、板の間と砂利のエリアに分かれている)
歩夢(板の間は真ん中にビニールの畳が張られていて、ここで剣道や柔道なんか出来そうな雰囲気)
歩夢(砂利のエリアには両サイドに何故か桜の木が植わっていて、向こうの壁には3つの的が設置されていた)
梨子「どのロッカーにも、弓と矢がセットで入ってたわ」
しずく「もしかしたら、あの的も含めて弓道部の人が使っていたのかも知れません」
しずく「この“園田”と名前が掘られた弓なんて、かなり使い込まれていますけど、大事に扱われていたような感じがして……」
梨子「虹ヶ咲の卒業生の中に、超高校級の弓道部が居たりしたのかもね」
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歩夢(超高校級の弓道部……その単語を、私は聞いた覚えがある)
歩夢(【虹ヶ咲学園・極秘プロジェクト】……)
歩夢(鞠莉さんが解析を進めていたノートパソコンの中にあったファイルだ)
歩夢(超高校級の医者、超高校級の占い師、超高校級の幸運、そして超高校級の弓道部)
歩夢(過去、虹ヶ咲学園が超高校級の才能を研究し続けて来たらしいレポートの中に、その肩書はあったのだ)
しずく「──しっかり当てたら、格好いいんでしょうね」
梨子「ダイヤさんあたりは似合いそうだけど──」
歩夢(……そういえば、ノートパソコンの解析はどうなったのだろう)
歩夢(談笑を交わす2人の邪魔をしないよう、私はそっと武道場を後にした)
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────情報処理室
ガチャガチャガチャ!
ダイヤ「……どうやら、鍵が掛かっているみたいですわね」
歩夢「地図だと、この部屋の向こうにも部屋があるみたいなんだけど……」
ダイヤ「校則で扉を壊せない以上は、鍵を探すか諦めるしかないのでしょう」
ダイヤ「ところで、地図と言えば……歩夢さんは気付きました?」
歩夢「気付いたって、何にですか?」
ダイヤ「今までの階にあった“ある物”が、この階にはないことです」
歩夢「え、えーっと……何だろう?」
ダイヤ「ぶっぶー、時間切れですわ。後で食堂に集まった時にお話します」
歩夢(今までの階にあって、この階にない物……?)
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────生物室
ガチャガチャガチャ!
歩夢(ここの扉にも、鍵が掛かっている)
歩夢(扉の僅かな隙間から、うっすらと冷たい空気が漂っていて……)
鞠莉「……」
歩夢(そして、閉ざされた扉の前に……鞠莉さんが立っていた)
歩夢「あの……鞠莉さん」
鞠莉「千歌っちのことでしょう?」
歩夢「あ……それもあるんですけど、ノートPCのことも少し気になっていて……」
鞠莉「……」
歩夢(鞠莉さんは『oh……』と言わんばかりの苦々しい顔で、頭を抱えるジェスチャーをした)
歩夢(そして、誰にも聞かれたくないといった様子で、私に耳打ちを始めた)
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鞠莉「昨日……裁判が終わったあと、部屋に来た千歌っちに襲われた」
歩夢「……!?」
鞠莉「スタンガンでね。多分、武器庫から持ってきたんでしょうけど……」
歩夢「いや、そうじゃなくって……」
歩夢(なんでこの人はそういうことをさらっと言いのけるの……!?)
鞠莉「特にケガらしいケガはなかったから、私の心配は大丈夫よ。ただ、パソコンは部屋からlostしていたけどね」
歩夢「lost、って……なくなってたんですか?」
鞠莉「千歌っちが持ち去った……って信じたいわね。ダイヤたちがそれをするとは思いたくないし」
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鞠莉「目的はよく分からないけどね。だから悪いけど、解析結果はお預け」
歩夢「……」
歩夢(パソコンを千歌ちゃんが持ち去った)
歩夢(仮にそうだとしても、プログラム知識豊富な鞠莉さんですら手を焼いていた代物なのに)
歩夢(実は彼女が超高校級のプログラマーだった、とかでもない限り解析は難しいんじゃないだろうか?)
歩夢(でも、今までプログラマーだった素振りなんて見せてなかったし……)
歩夢(そもそも千歌ちゃんは、何の超高校級なんだろう?)
歩夢(武器庫に行ってるんだから、自分の才能も知ってる筈だけど……)
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────多目的室
璃奈「本当に、多目的室って感じだね(・v・)」
歩夢(隅に置かれたホワイトボードや、部屋の真ん中を陣取る折り畳み式の机と椅子)
歩夢(会議室としても使えるし、机と椅子を退ければ体育館ほどではないがスペースを確保出来る)
歩夢(相変わらず小窓が塞がれているのを除けば、どこにでもある多目的室。そうとしか表現出来ない、実にシンプルな部屋だ)
歩夢「この様子だと第2多目的室も特に何もなさそうだし、食堂に──」
璃奈「ねえ、歩夢ちゃん(・v・)」
歩夢「どうしたの?」
璃奈「その……あんまり、背負い過ぎないでね(>_<。)」
歩夢「……えっ?」
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璃奈「前に進まないといけない。そればかり考えても、どこかで躓いちゃうから(>_<。)」
璃奈「私はもう、みんなに躓いて欲しくない。悲しい出来事は、もう見たくない(>_<。)」
歩夢「っ、だから私は……」
璃奈「止まっても、いいんだよ。後ろに戻ったって、いいんだよ(>_<。)?」
璃奈「愛ちゃんがノートに書いてたことの、受け売りだけど……」
璃奈「最後に前に進めていれば、きっと大丈夫だから(・v・)」
歩夢「璃奈ちゃん……」
璃奈「ここにはみんな居る。だから……ひとりで抱え込むのは、駄目だよ(・v・)」
歩夢「……ありがとう」
歩夢(愛ちゃんのノートで、結果的に私が励まされちゃった)
歩夢(それに関しては、ノートを璃奈ちゃんに渡すよう言ってくれたかすみちゃんのお陰……なのかな?)
歩夢(……きっと、大きく矛盾しているんだろうけど)
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────食堂
ダイヤ「ぶっぶーーーーーですわ!!」
歩夢(梨子ちゃんが作ってくれたクッキーを食べながら、私たちはダイヤさんの大声を聞いていた)
歩夢(調査報告があらかた済み、4階の構造に関するクイズをみんなにも出していたのだ)
ダイヤ「本当に、皆さんはきちんと4階を見て回ったのですか?」
鞠莉「lockされた部屋が多かったから、みんなに任せてたわよ」
ダイヤ「部屋の話ではありません。あの階全体を見れば、気付く筈です」
しずく「あっ……もしかして、階段でしょうか?」
璃奈「階段(・v・)?」
しずく「だって、地図を見ればほら……“上への階段がない”じゃないですか!」
https://i.imgur.com/kRIrxpL.jpg
歩夢「……あっ!」
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ダイヤ「ピンポーン、正解ですわ」
ダイヤ「そう。この虹ヶ咲学園は、4階で打ち止めということになるのです」
歩夢「じゃあ、ついにこの学園の全貌が……」
梨子「だったら、後は隠された謎を解き明かすだけなのね? それで……この学園を出られるのよね?」
鞠莉「ここからが大変でしょうけど、やるしかないわね」
歩夢(少しずつ見えて来た“希望”。それに向かって、みんなも活力を取り戻しつつあった)
花丸「……本当に、そうなのかな」
歩夢(ただ、1人を除いて)
璃奈「どうしたの、花丸ちゃん(・v・)?」
花丸「その様子だと……誰も、第2多目的室は見てない、ずらね……」
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歩夢(真っ青な顔で喋る花丸ちゃん。どう見ても様子がおかしい)
璃奈「もう片方の多目的室には入ったけど……特に何もなかったよ(・v・)?」
ダイヤ「もしかして、職員室の時のように写真が落ちていたりしたのです?」
花丸「……そういうのじゃない。あんなの、見ちゃ駄目だよ」
梨子「そこまで言われると気になっちゃうじゃない。二度手間だけど、見に行く?」
歩夢(報告会も終わり、折角だからとみんな食堂を後にする)
歩夢(今思えば、それは単なる好奇心だったのだろう)
歩夢(見るなと言われれば見たくなる。この異様な学園に閉じ込められていても、それは変わらない)
歩夢(或いは、幾つもの死に立ち会ったせいでどこか感覚がおかしくなったのか)
花丸「……マルは止めたずらよ」
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歩夢(けれども……私たちは忘れていた)
歩夢(好奇心は猫をも殺すし、ここは明らかに異常な学園であるということを)
歩夢(そして私たちは、第2多目的室の扉の先に──)
歩夢(4階を訪れてから感じていた“嫌な雰囲気”の正体を見た)
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────校舎4階、第2多目的室
「きゃあああああああああっ!?」
歩夢(最初に悲鳴を上げたのは、誰だっただろう)
歩夢(けれどもそんなことは、どうだっていい)
歩夢「何……これ……」
歩夢(最初は、常識のラインを遥かに超えた視覚情報)
歩夢(壁にや床、天井にまで飛び散った、幾つもの乾いた赤黒い飛沫)
歩夢(争った形跡と形容するにしても痛々しい、刃物の傷や、千切れたロープ類など……)
歩夢(次に飛び込んで来るのは、鼻を劈く嗅覚情報)
歩夢(強烈で不快なそのニオイは、血と脂と、体液かも知れない何かが混ざったような……)
歩夢(“死”のニオイ。そう表現せざるを得なかった)
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歩夢(つまり、この部屋はかつて……)
鞠莉「……惨いわね。まるで、虐殺でも起きたみたい」
歩夢(尋常ならざる出来事があった部屋。それこそが、この第2多目的室という地獄だった)
しずく「こ、ここで、何があったんですか……!?」
歩夢(分かるワケがない。分かりたくもない)
歩夢(脳が逃避を望んだ結果、一つの結論に達する)
歩夢「モノっちーが……これを……?」
モノっちー「またボクのせいなの?」
モノっちー「そうやって何でもかんでもボクのせいにして……グロいもん見たからって、少しは考える脳ミソを持ちなよ!」
梨子「あなたが何もしていなければ、こんな風になる筈……」
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【!】
これまでの状況をセーブしますか?
〔はい〕 いいえ
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次スレに移行します
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