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( ^ω^) 2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/11/22(木) 23:10:10 ID:.UzZnagU0
( ^ω^)ラノベ祭り投下及び報告スレだお
開催期間
11月18日(日)0時〜25日(日)23時59分
スレ立てを行った作品については、
作品URL
作品名
使用した絵のURL(任意)
以上のテンプレを使用して投下報告を行うこと
これがなければラノベ参加作品と見なされない
絵のURLについては、RESTさんのところからhを抜いて記載してくれればおk
スレタイに【ラノベ祭り】などの記載をするかは任意(宣伝効果はあるかもわからんね)
次スレは
>>950
を踏んだ人が立ててくれ
初代スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1348068145/
前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353163378/
183
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:01:37 ID:OgnYGdJQ0
(*゚∀゚) おーいフサフサー。
ミ,,゚Д゚彡 なーにつーちゃん。フサの名前はフサフサじゃなくてフサギコだから。
(*゚∀゚) そこはどうでもいいんだよ!それより、はい、これ!
ミ,,゚Д゚彡 ほえ?なーにこれ?
(*゚∀゚) フサ、今日誕生日だろ?プレゼントだよ、プレゼント。
ミ,,*゚Д゚彡 えっフサに?わぁ!つーちゃんありがとうだから!
(*゚∀゚) おう!感謝するが良い!
ミ,,゚Д゚彡 中身は……マフラー?もしかして手編み?
(*゚∀゚) ほつれてても勘弁してくれよ?オレは器用じゃねーからさ。
ミ,,*゚Д゚彡 ほつれてても全然構わないから!嬉しいから! クルクル
ミ,,*゚Д゚彡 ね、似合う似合う?
(*゚∀゚) おう、バッチリ似合ってるぜ!流石オレはセンスが良いな!
ミ,,*゚Д゚彡 つーちゃんの手編み……。あったかいから。
(*゚∀゚) あ、そうだ、これは言っとかないとな。
ミ,,*゚Д゚彡 ?
(*゚∀゚) フサ、誕生日おめでとうな!
ミ,,*゚Д゚彡 ……ありがとうだから!!
http://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/179.png
ミ,,゚Д゚彡フサギコの誕生日のようです(゚∀゚*)
おしまい!
184
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:04:14 ID:OgnYGdJQ0
以上、1レス自画自演でした
昨日がいいフサの日で一昨日がいい夫婦の日だったらしいので、よく考えたら三日間房津祭りができたハズでした
なんでさっき気づいちゃったんだチクショウ
185
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:05:02 ID:G1IxTADI0
乙乙
二人ともかわいいなぁ
186
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:11:53 ID:YJtI/q9k0
('A`)「おい、見舞いに来てやったぞ」
ノパ撿゚)「お、今日も来たか......ありがとうねドクオ君」
('A`)「おい。名前で、しかも君づけで呼ぶなっていってんだろうが」
ノパ撿゚)「うん、そうだった......かな?ごめん」
('A`)「ったく」
ノパ撿゚)「あはは!怒った怒った!」
('A`)「......そんなこといってるとこれやらねーぞ」
ノパ撿゚)「ん?それは?」
('A`)「ああ、リンゴ。好きだったろ?」
ノパ撿゚)「んー、知らない。なんか私いったっけ?」
('A`)「......おう、ずっと前に言ってたぞ?」
ノパ撿゚)「あるぇ?そうだっけ?あはは!わかんないや」
187
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:12:35 ID:YJtI/q9k0
('A`)「笑い事じゃねーっての、ったく」シャリシャリ
ノパ撿゚)「おおー。ドクオ君、皮剥くのうまいなー」
('A`)「そうか?やってみると意外に簡単だぞ?」
ノパ撿゚)「んー、やったことないことをやるのはなぁ......」
('A`)「ま、やってみろよ」
ノパ撿゚)「んー、こうか?」ジャリジャリ
('A`)「そうそう、ちょっとやり過ぎかんはあるが」
ノパ撿゚)「うーん、歪な形になってきたぞ......」
188
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:13:20 ID:YJtI/q9k0
('A`)「ま、はじめてのしては上手かったんじゃねーの?知らんけど」
ノパ撿゚)ゞ「いやー、それほどでも」
('A`)「本当はもっとうまかったけどな」
ノパ撿゚)「.....ん?」
('A`)「......いや、なんでも?」シャリシャリ
ノパ撿゚)「そうか」
('A`)「ああ......」シャリシャリ
('A`)「......っと、ほい剥けた」
ノパ撿゚)「お!ありがとうな!」
ノパ撿゚)「ん?」
189
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:13:28 ID:mrJ1IDpQ0
ヒート文字化けしてるぞー
190
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:14:00 ID:YJtI/q9k0
('A`)「どうした?」
ノパ撿゚)「なんでこのリンゴ、皮がついてるんだ?」
('A`)「ああ、それはなこうすると......」
ノパ撿゚)「おお!リンゴをくっつけたら毒って字ができた!」
('A`)「どうだドクオ特製の毒リンゴだ!」
ノパ撿゚)「ものすごく食いたくないな!」
('A`)「俺もそう思う!」
ノパ撿゚)「でさー、私はいつになったら退院できるかね」シャクシャク
('A`)「結局食べんのな......どうだろう」
ノパ撿゚)「大体でいいから!」
('A`)「んー、俺にはわからん」
191
:
文字化けはブラウザの問題みたいだからすまん
:2012/11/24(土) 00:15:05 ID:YJtI/q9k0
ノパ撿゚)「んー、じゃあ先生はなんかいってたか?」
('A`)「......」
ノパ撿゚)「?」
('A`)「......そろそろ退院できるってさ」
ノパ撿゚)「おお!本当か!?」
('A`)「ああ......明日にでも退院できるかもとも言ってたぞ」
ノパ撿゚)「おおおお......ついに家に帰れるのか!そうだよな!私、悪いとこ何てどこもないし!」
('A`)「ああ......そうだな」
ノパ撿゚)「なあドクオ君」
('A`)「......なんだ?」
192
:
文字化けはブラウザの問題みたいだからすまん
:2012/11/24(土) 00:16:04 ID:YJtI/q9k0
ノパ撿゚)「私な、高校生なんだ。へへ、部活ではエースでさ。バスケットやってんだよ」
('A`)「いいな、イメージ通りじゃん」
ノパ撿゚)「でもさー、こんなとこにいたらからだだめになっちゃうじゃん!あー、早く帰りたいなぁ!」
('A`)「......帰りたい、ねぇ」
ノパ撿゚)「おう!お父さんもお母さんもメチャクチャやさしいいい家なんだぞ!」
('A`)「へぇ、そいつはいいな。俺の家みたいだ」
ノパ撿゚)「へー、そーいやドクオ君の家って、どんな感じなんだ?」
('A`)「......暖かい場所だよ、ものすごく」
193
:
文字化けはブラウザの問題みたいだからすまん
:2012/11/24(土) 00:16:51 ID:YJtI/q9k0
('A`)「うちの家さ、母さんがいるとさすぐ心配そうに駆け寄ってくるんだよ。『手は洗ったの?』とか『テスト悪かったけど体調悪かった?』とかさ」
ノパ撿゚)「へー」
('A`)「それだけじゃないさ。料理もうまくてさ、あのリンゴの剥き方は母さんに習ったんだ」
ノパ撿゚)「器用だな」
('A`)「ああ、でも、ドジなんだよ。いい歳してさ、何もないところで転ぶのよ。見てられねーわ、いつ大怪我してもおかしくなかったし」
ノパ撿゚)「あはは!いいなそのおかーさん」
('A`)「優しくて、暖かくて......大好きだったよ」
ノパ撿゚)「ドクオ君は本当にそのおかーさんのことが好きだったんだな」
('A`)「ああ......今でも大好きだよ」
194
:
文字化けはブラウザの問題みたいだからすまん
:2012/11/24(土) 00:17:31 ID:YJtI/q9k0
('A`)「......母さん」
.
195
:
文字化けはブラウザの問題みたいだからすまん
:2012/11/24(土) 00:18:22 ID:YJtI/q9k0
ノパ撿゚)「ドクオ君!」
('A`)「......なに?」
ノハ^撿^)「その言葉はちゃんとおかーさんに伝えないとダメだよー。私に伝えたって伝わらないぞ?」
('A`)「......」
('A`)「......うん、わかってるよ」
ノパ撿゚)「さ、時間も時間だし今日はこれでおしまい!私も寝たいしね」
('A`)「......ああ、お休み。また、明日も会おうな」
ノハ-撿-)ノ「んー、わかったぁ......おやすみぃ......」
ノハ-撿-)スースー
('A`)「......」
196
:
文字化けはブラウザの問題みたいだからすまん
:2012/11/24(土) 00:19:07 ID:YJtI/q9k0
( A )「......」
( A )「......なんでだよ」
( A )「なんでなんだよ母さん!!」
( A )「なんで俺を息子だと見てくれないんだ!!なんで俺を君付けなんかで呼ぶんだよ!!」
( A )「俺は......俺はぁ......」
(;A;)「どうして俺は覚えてるのに忘れちまうのさ......母さん......」
(;A;)「なんで怪我なんかしたんだよ......なんでそんなに重症なんだよ......なんで、なんで母さんが......」
(;A;)「......母さんが、このまま母さんじゃなくなったら」
(;A;)「もう、俺たちは家族じゃないのか?」
(;A;)
(;A;)「......また、明日か」
(つA⊂)グシグシ
('A`)「......勿論来るさ。だからさ、明日こそは俺のこと」
「ちゃんと思い出してくれるよね?」
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_056.jpg
197
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:21:05 ID:YJtI/q9k0
>>186-196
お邪魔しました
タイトルは「また明日会いたいようです」で
198
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:22:05 ID:mrJ1IDpQ0
乙
お母さんだったか……
せつない
199
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:39:01 ID:g0e4aXm20
投下します
二つ前の作品と絵が被ってるけどキニシナイ!
200
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:39:12 ID:byFXksvI0
乙
ありがとう
201
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:40:13 ID:veFLL0HU0
乙
202
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:41:02 ID:g0e4aXm20
( ´_ゝ`)兄弟案内人のようです(´<_` )
l从・∀・ノ!リ人「・・・あれ?」
l从・∀・ノ!リ人「ここはどこなのじゃ?」
l从・∀・ノ!リ人「なんだか、大きい建物がいっぱいなのじゃ」
( ´_ゝ`)「あれ? こんなところで迷子とは珍しい」
(´<_` )「そんなセリフ打ち合わせであったか兄者」
( ´_ゝ`)「いいんだよ! こういうのは雰囲気だ雰囲気」
l从・∀・ノ!リ人「・・・お兄ちゃん達、誰なのじゃ?」
( ´_ゝ`)「「・・・」」(´<_` )
( ´_ゝ`)「ちょ、ちょっと、今のもう一回」
l从・∀・ノ!リ人「? お兄ちゃん達、誰?」
(* ´_ゝ`)「あーもう感無量ですわ。たまらん。お兄ちゃんだってよ弟者!」
(´<_` )「うるせーわこのロリコン。騒いでんじゃねーよ!」
( ´_ゝ`)「そんなこといってお前も頬が緩んでんじゃねーか!」
l从・∀・ノ!リ人「・・・?」
203
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:41:32 ID:7TLyj4qs0
これは辛い・・・悲しいな・・・
乙・・・!
204
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:42:38 ID:g0e4aXm20
( ´_ゝ`)「おーっと、いけないいけない。俺達が誰なのかだったな」
(´<_` )「俺たちはここの案内人だよ」
( ´_ゝ`)「といっても新人の研修員扱いだけどな」
(´<_` )「で、お嬢ちゃん、お名前は?」
l从・∀・ノ!リ人「名前?」
(´<_` )「お嬢ちゃんのことをなんて呼べばいいか分からないと、
呼び方に困るからさ」
l从・∀・ノ!リ人「・・・分かんないのじゃ」
(´<_` )「え?」
l从・∀・ノ!リ人「何にも思い出せんのじゃ。名前も、どうやって来たのかも・・・」
(´<_` )「そいつは困ったなぁ・・・。どうする兄者」
( ´_ゝ`)「よし、とりあえず仮として、俺が名前を付けてあげよう」
l从・∀・ノ!リ人「ほんと!?」
( ´_ゝ`)「あぁ、そうだな・・・まどかちゃんとかどうだ!」
(´<_` ;)「おいおい、それ兄者が見てたアニメの女の子だろ・・・
もっと考えて付けてあげなよ」
205
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:43:27 ID:g0e4aXm20
(#´_ゝ`)「なんだよ! まどかタソのどこがいけないんだよ! アルティメットかわいいだろ!」
(´<_` ;)「そういう問題じゃなくてだな兄者・・・」
l从・∀・ノ!リ人「・・・妹者がいい!」
( ´_ゝ`)「「え」」(´<_` )
l从・∀・ノ!リ人「兄ちゃんたちの名前が兄者と、弟者だから、私は妹者!」
(´<_` )「・・・そんなんでいいの?」
l从・∀・ノ!リ人「いい!」
( ´_ゝ`)「・・・じゃあ、妹者ちゃん、でいいか! な! 弟者」
(´<_` )「・・・ああ! そうだな!」
l从・∀・ノ!リ人「決まりじゃ!」
(´<_` )「さて、これからどうするか」
( ´_ゝ`)「ところで妹者ちゃん、おなか空いてない? いい店知ってるんだ」
(´<_` )「ずいぶん露骨な誘い方だな兄者・・・ナンパじゃないんだぞ」
( ´_ゝ`)「獅子は兎を狩るにも全力を尽くすというだろう」
206
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:45:34 ID:g0e4aXm20
(´<_` )「不審者は幼女を連れ去るにも食べ物で釣ろうとする、
の間違いじゃないのか」
(#´_ゝ`)「誰が不審者だ! せめて紳士と言え!」
l从・∀・ノ!リ人「別に空いてないのじゃ!」
( ´_ゝ`)「そうか・・・おいしい料理を用意してるから
丁度いいと思ったんだけど」
(´<_` )「え? 兄者料理なんてできたっけ?」
( ´_ゝ`)「まさか。俺が用意なんてしたらネタ的な意味で
おいしくなってしまうわ」
(´<_` )「あぁ、ウカノミタマ様に頼んだのね」
( ´_ゝ`)「そういうことだ」
( ´_ゝ`)「よーし、それじゃあおなかが空くまでここ、色々見て回るか!」
(´<_` )「妹者ちゃんがどこから来たのか、思い出すかもしれないしね」
(´<_` )「と、その前に・・・」
(´<_` )「えっと・・・この稲荷を口にくわえて・・・こうか!」
l从・∀・ノ!リ人「わ、なんじゃ?」
l从・∀・ノ!リ人「服があかとしろの服に変わった!」
207
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:45:41 ID:/TLmgNsQ0
支援( ・∀・)
208
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:47:12 ID:g0e4aXm20
(´<_` )「境内の中に入るなら、服装もそれなりにね」
( ´_ゝ`)「さすが弟者、巫女服とは分かっているな」
( ´_ゝ`)「俺的にはもっとフリルを入れてもいいと思うが」
( ´_ゝ`)「これにプラスして・・・ほい! リボンとかどうだ!」
(´<_` )「おお、兄者にしてはセンスいいじゃないか」
(#´_ゝ`)「にしては余計だ!」
l从・∀・ノ!リ人「ねーねー! ちっちゃい兄者!」
(´<_` )「ん? 俺の事か? どうした?」
l从・∀・ノ!リ人「お尻に付いてるふわふわしたの、それ何なのじゃ?」
(´<_` )「ああ、これ? 狐の尻尾だよ」
l从・∀・ノ!リ人「シッポ?」
(´<_` )「ここの案内人になった時にいつの間にか付けられたのさ」
( ´_ゝ`)「ここの住人である証なんだと」
l从・∀・ノ!リ人「妹者も欲しいのじゃ!」
209
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:48:17 ID:g0e4aXm20
(´<_` )「無い方がいいよ? 意外とこれ邪魔だし重いし」
l从・∀・ノ!リ人「えー、でもこんなにフワフワでモフモフなのに・・・」
(´<_` )「触ってもいいよ」
l从・∀・ノ!リ人「ホント!?」
(´<_` )「ああ」
l从*・∀・ノ!リ人「わーい、モフモフー!」
( ´_ゝ`)「ノイタミナ様はもっとモフモフだぞ。凄い数の尻尾があるからな」
(´<_` )「ウカノミタマ様だぞ兄者」
l从・∀・ノ!リ人「すごいかず!? 会ってみたい!」
( ´_ゝ`)「まぁそのうち会うだろ」
(´<_` )「さて、じゃあ移動しようか。ほいっと!」
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/190.jpg
l从・∀・ノ!リ人「おお! 凄いのじゃ! 一瞬で広いところに出たのじゃ!」
( ´_ゝ`)「お、物を出すだけじゃなく瞬間移動も出来るんだな」
210
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:50:16 ID:g0e4aXm20
(´<_` )「貰った稲荷が五枚だけだから、さっきのを含めて
あと三回だけだけどね」
(;´_ゝ`)「え? 嘘! あれ無くなったらまた貰えるんじゃないの!?」
(´<_` ;)「一度きりって言ってたじゃないか・・・
まさか兄者、全部使ったのか!?」
( ´_ゝ`)「だって、パソコン無いんだものココ・・・。
回線とか色々揃えたら無くなったわ」
(´<_` )「兄者らしいというかバカというか・・・。
てかこんな所に回線繋がるのか」
l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者! ちっちゃい兄者! これ何?」
(´<_` )「ん? ああそれは蹴鞠の球だな」
l从・∀・ノ!リ人「けまり?」
(´<_` )「このボールを落とさないように蹴り合うんだよ」
l从・∀・ノ!リ人「面白そうなのじゃ!」
( ´_ゝ`)「よーしやってみるか!」
(´<_` )「兄者大丈夫か? 体育なんて大の苦手だろ」
( ´_ゝ`)「フフ、なめるなよ。俺は外国のFIFA加盟国
サモアからスカウトが来るほどの実力だぞ」
211
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:51:20 ID:g0e4aXm20
(´<_` )「またよくわからん見栄を・・・ちなみに何位の国?」
( ´_ゝ`)「204」
(´<_` ;)「・・・かなり下じゃないか。見栄を張るならもっと堂々と張れよ」
(#´_ゝ`)「かなり下じゃない! 最下位だ!」
(´<_` ;)「そこを堂々としてどうする!」
l从・∀・ノ!リ人「兄者! ちっちゃい兄者! 早くけまりしよ!」
( ´_ゝ`)「よーし俺から行くぞー」
( ´_ゝ`)「それ!」
( ´_ゝ`)「・・・」
(´<_` )「・・・ホームランだ」
l从・∀・ノ!リ人「ホームランじゃ!」
( ´_ゝ`)「・・・弟者、頼んだ」
(´<_` )「お前が取ってこい」
( ´_ゝ`)「・・・はい」
212
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:53:03 ID:g0e4aXm20
〜一時間後〜
(´<_` )「・・・まさか兄者がここまで下手だとはな」
l从・∀・ノ!リ人「兄者ヘタッピー」
(;´_ゝ`;)「ぜぇ・・・ぜぇ・・・こ、こんなはずでは」
(´<_` )「妹者ちゃんを見習えよ兄者。
兄者が休んでる間にリフティング五十回超え達成したんだぞ」
l从・∀・ノ!リ人「コツは足首を伸ばすことじゃ!」
(;´_ゝ`;)「もう・・・無理・・・。
だって・・・俺が蹴るたび・・・短距離走なんだもの・・・」
(´<_` )「自業自得だな」
l从・∀・ノ!リ人「そろそろお腹が空いてきたのじゃ!」
(;´_ゝ`;)「お・・・よし・・・じゃあ・・・飯にするか・・・ぜぇ・・・」
(´<_` )「ホント体力無いな」
・・・・・・・
( ´_ゝ`)「というわけでここがその店だ」
213
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:54:53 ID:g0e4aXm20
( ´_ゝ`)「もう料理も用意してある」
l从・∀・ノ!リ人「わー! 凄いごちそうなのじゃ!」
( ´_ゝ`)「欲しいものあったら何でも言ってくれ。ウカムルバス様に頼んでみるから」
l从・∀・ノ!リ人「じゃあ、ケーキが欲しいのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「・・・わ! 本当に出てきたのじゃ」
(´<_` )「おー凄い。じゃあ俺はとんこつラーメン」
( ´_ゝ`)「じゃあ俺も。満漢全席で」
(´・ω・`)「お前らちょっと手加減しろよ。あとウカムルバスじゃなくてウカノミタマ様な」
(´<_` )「うわ、ついに出てきた」
( ´_ゝ`)「神様なんだからいいだろこれくらい」
(´・ω・`)「神様だからって何でもできるわけじゃないんだぞ」
l从・∀・ノ!リ人「わー! すごい! シッポ!
いちにーさん・・・いっぱいある!」
l从・∀・ノ!リ人「ねー兄者! 触ってもいいかな!」
( ´_ゝ`)「どうかな。俺が触っていいか聞いたらダメって言われたし」
214
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:55:54 ID:g0e4aXm20
l从・∀・ノ!リ人「えー」
( ´_ゝ`)「ちゃんと頼んでみたら触らせてくれるかもよ」
l从・∀・ノ!リ人「うん! 頼んでみる!」
l从・∀・ノ!リ人「えっと、神様!」
(´・ω・`)「ん?」
l从・∀・ノ!リ人「モフモフしてもいいですかっ」
(´・ω・`)「いーよ」
l从・∀・ノ!リ人「わーいやったー!」
( ´_ゝ`)「流石だな妹者、なるほどそうすればいいのか」
(´<_` )「え、兄者まさか」
(´・ω・`)「ほーれ右にモフモフ左にモフモフ」
l从*・∀・ノ!リ人「きゃー!」
( ´_ゝ`)「・・・あのっ!(裏声)」
(´・ω・`)「ん?」
215
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:57:06 ID:g0e4aXm20
( ´_ゝ`)「モフモフしてもいいですかっ(裏声)」
(´・ω・`)「ダメ」
(;´_ゝ`)「な、何故だ・・・まったく同じことをしたのに・・・」
(´<_` )「次は女装とかやめてくれよ兄者」
( ´_ゝ`)「え、なんで俺の考えてる事分かったの?」
(´<_` ;)「冗談で言ったのにもうやだこの兄」
(´・ω・`)「あ、そうだお前ら、勝手に変なのぼり作ったろ。『流石稲荷神社』とかいう」
( ´_ゝ`)「あ、バレた?」
(´<_` )「あれは流石にやり過ぎたか」
(´・ω・`)「片づけろ! 二人で! 今すぐだオラ」
( ´_ゝ`)「「え、ちょ、おま」」(´<_` )
l从・∀・ノ!リ人「消えちゃった・・・」
(´・ω・`)「ごめんね妹者ちゃん、ちょっと一人で遊んで待っててくれるかな」
l从・∀・ノ!リ人「うん!」
216
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:58:19 ID:g0e4aXm20
(´・ω・`)「すまんね、俺も遊んであげたいんだけど、色々と仕事あるのよ」
(´・ω・`)「おもちゃを何個か置いておくから」
l从・∀・ノ!リ人「ありがとなのじゃ!」
(´・ω・`)「さて・・・いってくるか」
・・・・・・
( ´_ゝ`)「ふぅ。やっと片づけ終わった」
(´<_` )「やたら多かったな、いくつ作ったんだよ兄者・・・」
(´<_` )「さてと、はやいとこ妹者ちゃんのところに・・・」
( ´_ゝ`)「! 待て! 弟者!」
(´<_` )「ん? どうしたんだ兄者」
( ´_ゝ`)「見てみろ」
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/43.png
l从・∀・ノ!リ人「おいおとじゃー。おなかすいたぞー、めしはまだかー」
l从・∀・ノ!リ人「なんだあにじゃー、さっきばんごはんたべただろー?」
l从・∀・ノ!リ人「しょぼーん」
217
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:59:27 ID:mrJ1IDpQ0
以上!
こんな時間に支援㌧
ちなみにラノベ祭り作品です
ラノベ祭りって何ぞって奴は今進行中のスレに行ってこい
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353593410/
218
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 00:59:48 ID:g0e4aXm20
(* ´_ゝ`)「・・・天使だ」
(´<_` * )「ああ・・・」
(´<_` ;)「じゃ、なくて! 早くいってあげようよ! 一人じゃ可哀そうだろ!」
(* ´_ゝ`)「天使だ・・・」
(´<_` ;)「こいつ見惚れてやがる・・・」
・・・・・・
l从-∀-ノ!リ人「・・・ウトウト」
(´<_` )「どうした? 妹者」
l从-∀-ノ!リ人「なんだか・・・眠くなってきたのじゃ」
(´<_` )「あれだけ遊んで食べてはしゃいだから、そりゃあ眠くもなるかな」
( ´_ゝ`)「無理するなよ?」
l从-∀-ノ!リ人「ううん、まだ、兄者達と遊ぶ・・・」
( ´_ゝ`)「起きたらまた遊べばいいさ」
(´<_` )「兄者それは・・・」
219
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:00:09 ID:mrJ1IDpQ0
誤爆した! 誤爆した! すみません!
220
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:01:27 ID:g0e4aXm20
( ´_ゝ`)「な? 弟者」
(´<_` )「・・・ああ、そうだな」
(´<_` )「ゆっくり寝て、起きたらまた遊ぼう?」
l从-∀-ノ!リ人「・・・うん、分かった」
l从-∀-ノ!リ人「ちょっとだけ寝るのじゃ・・・おやすみ・・・」
( ´_ゝ`)「あぁ、おやすみ・・・」
・・・・・・
(´<_` )「・・・消えちゃったか・・・」
( ´_ゝ`)「分かってたつもりだろ、弟者」
(´<_` )「ああ」
( ´_ゝ`)「妹と会えるのは一度きり。それもここに妹が来て寝るまでの間だけ」
それでも充分過ぎるくらいだ」
(´<_` )「そうだな」
(´<_` )「本来生まれてきていないはずの妹と、
成長した姿で会えるんだから」
221
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:02:28 ID:g0e4aXm20
( ´_ゝ`)「俺達もアホだよなぁ。お腹の中の妹の為、お守りを買った帰りに交通事故に遭うだなんて」
(´<_` )「ホントだよ。妹より自分の身を心配しろって」
(´<_` )「俺達が本当の兄だって知ったら、喜んでくれたかね? 妹者は」
( ´_ゝ`)「さぁな。それを教えたら俺達即刻クビになってたし」
(´<_` )「尾を持たない外部の魂と、過度の接触は厳禁らしいからね」
( ´_ゝ`)「俺達を神社の案内人として境内に留め
さらに妹者の魂を呼んでもらえただけ、ラッキーか」
(´<_` )「ここで食事をすれば、魂が元気になるらしいから」
(´<_` )「これで元気の無かった、お腹の中にいる妹者が元気に生まれればいいな」
( ´_ゝ`)「母体の母者まで危ない状態だったからこそ、
俺達は祈願しにいったわけだしな・・・」
( ´_ゝ`)「結果、こうして死んだ後もその神社の神様に面倒みてもらったわけだから」
( ´_ゝ`)「マカロニサラダ様には感謝しないとな」
(´・ω・`)「お前わざとやってるだろ、ウカノミタマ様だよ」
(;´_ゝ`)「うわ! また出た! いつの間にかいなくなってて安心したのに!」
222
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:04:10 ID:g0e4aXm20
(´・ω・`)「出た! じゃねーよ。願いを叶えてやったんだからそれ相応の仕事をしろや新米」
(´・ω・`)「とりあえず境内の掃除からだ」
(´・ω・`)「妹との最初で最後の食事を演出してやったんだ!
しっかり恩に報いてもらうからな! オラ!」
( ´_ゝ`)「「え、ちょ、おま、また飛ば」」(´<_` )
(´・ω・`)「ふう・・・あんなかわいい妹を残して逝くなんてな」
(´・ω・`)「・・・手間のかかる兄弟だまったく」
・・・・・・
( ´_ゝ`)「うわ! 無理やり広場に飛ばされた!」
(´<_` )「なんで俺まで・・・」
( ´_ゝ`)「神に逆らうとか流石だよな俺ら」
(´<_` )「一緒にするなバカ兄者」
( ´_ゝ`)「・・・ん?」
(´<_` )「どうした、何か落ちてるのか?」
( ;_ゝ`)「これは・・・いつの間に・・・」
(´<_` )「これ・・・写真? しかも日にちが・・・
俺達が死んでから何年か経った現世の写真なのか・・・」
( ;_ゝ;)「あーくそ・・・。せっかくさっきは泣かずに済んだのに・・・カッコつかないわ。
あのクソ神野郎、余計な事しやがって」
(´<_` )「この人形と笑顔・・・どうやら、妹者はどう思っていたかなんて、
無駄な心配だったみたいだな」
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/198.jpg
223
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:06:21 ID:g0e4aXm20
終わりです
NO.48、190、198の素敵な絵をお借りさせていただきました
ありがとうございました!
224
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:07:14 ID:dyoN2jGQ0
乙!
蹴鞠の兄者汗かきすぎwww
ラストは泣きそうになったわ
225
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:07:36 ID:mrJ1IDpQ0
乙!
二つのイラストの違いを上手く使ったな
それにしても妹者マジ天使
ついでに報告
作品URL
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353679061/
作品名
('A`)約束と現実のようですζ(゚ー゚*ζ
使用した絵のURL(任意)
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/157.jpg
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/72.jpg
226
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:08:40 ID:g0e4aXm20
大事なことを書き忘れ!
支援、誤爆共々感謝!
227
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:21:07 ID:/TLmgNsQ0
乙!妹者まじ天使
228
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:26:42 ID:PQf8Omd.0
うわあああああああすみませんNo198を描いた者です。
投下する際に全てのイラストに目を通していなかったばかりにNo48とAA、構図が丸被りするという事態となってしまいました。申し訳ありません。
決して意図して真似たものではないことだけは明記させてください…。
>>202
使用していただきありがとうございました!
229
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:30:07 ID:BujgFKe.0
>>225
vip規制されてるからここで言わせてもらおう
ものすごくよかった。乙
230
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:55:42 ID:/TLmgNsQ0
>>225
俺も向こうで規制されてたから、こっちで最大級の乙を!
231
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 01:57:20 ID:g0e4aXm20
>>223
No.48じゃなく43だ!訂正させていただきます・・・
使用させていただいたのはNO.43、190、198の作品です
大変失礼しました・・・(;'A`)
232
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 02:05:15 ID:H48m6N9o0
>>225
すごくよかった、泣いた おつ!
233
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 02:36:56 ID:CoWgozZgO
作品URL
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/13029/1353684328/
『(ー@A@)犯罪撲滅科D&Hのようです』
使用した絵
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/45.jpg
234
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 06:17:34 ID:Pd08e3Ag0
ラノベ祭り参加作品を投稿させていただきました
作品URL
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353703531/
作品名
土曜日に会いましょうのようです
使用した絵のURL(任意)
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/91.jpg
235
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:37:38 ID:5jyn46hU0
>>225
157描いたものです
夜勤行ってる間にスレ落ちちゃったようなのでこちらに
他の方の絵と組み合わせて使って頂くのは難しい絵かなと思っていたのですが杞憂でした
きれいなお話にしていただきありがとうございます
236
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:37:58 ID:mrJ1IDpQ0
投下後報告が主流のなかあえてスレ立て後報告
作品URL
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353724193/
作品名
(・∀ ・)と兄弟のようです
使用した絵のURL(任意)
今まで出た絵
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/11.jpg
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/21.jpg
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/5.png
あと一枚使う
237
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:51:07 ID:u/2Xswb20
投下します
238
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:52:06 ID:u/2Xswb20
今から話すのは、私とブーンの出会いの話。
懐かしくて、少しだけ恥ずかしい昔話。
秋の終わり頃のこと。
その日はなんとなく、本当になんとなく寝付けなかった。
どうしようかな、そう思って寝室を見に行ったのだけれど、
お母さんもお父さんもすうすうと寝息をたてていて。
仕方なくもう一度布団に入ろうとして、けれど、目はすっかり覚めてしまって。
だから、上着を羽織って星を見に行くことにしたんだ。
ξ゚⊿゚)ξ「いってきます」
二人を起こさないよう小さくそう言って、静かにドアを閉める。
夜の町はいつもと少しだけ違って見えて、まるで初めて訪れた地を探検するような、そんな心地。
上を見上げると星がきらきらと光って見えた。
どこへいこう。
少し外に出たくらいで家に戻る気はさらさらない。
もっと近くであの星に手を伸ばしたい。
そう思って、家から少しだけ離れた丘へ向かうことに決めた。
239
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:52:46 ID:u/2Xswb20
誰もいない町を歩く。
街灯に照らされ、踏切を渡り、並木道のゆるやかな坂を上って。
街灯は並木のあたりから少なくなって、
いつのまにか月と星の明かりだけが頼りになっていた。
ふう、と一つ。
息をついたらもうそこは、丘の上。
ξ゚⊿゚)ξ「あら?」
( ^ω^)
先客を見つけた。
私と同い年くらいの、星のような、男の子。
膝を立て、後ろに回した両手を地面に突っ張るようにして、夜空を見上げている。
厚手のグレーコート。
その隙間から見える、透き通るように白い肌。
夜風に揺れるさらさらな白髪。
思わず見入ってしまうその容姿に目を離せないでいると、
ふいに男の子が振り返って。
私ははっと息を呑んだ。
( ^ω^)「…お」
男の子の両の瞳は、淡い青色をしていた。
240
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:54:05 ID:u/2Xswb20
ξ゚⊿゚)ξ「綺麗な瞳ね。隣、いいかしら?」
こくりと頷いたのがわかったので、静かに腰を降ろした。
男の子と同じようにして、上を見上げる。
星は家の前で見たときよりもずっと輝いて見える。
どれくらい経っただろうか。
ふいに夜空に吸い込まれてしまいそうな気がして、気が付く。
一瞬だったかもしれないし、30分はそうしていたような気もする。
星のような男の子は、変わらず私の隣にいた。
ξ゚⊿゚)ξ「あの星、とても強く光ってるわ」
なんていうのかしら、小さく呟く。
( ^ω^)「フォーマルハウト」
じっと黙って星を見つめていた男の子が、口を開いた。
ξ゚⊿゚)ξ「フォーマルハウト……」
( ^ω^)「だお」
どうやら、そういう名前らしい。
初めて聞く言葉だ。
男の子の言葉は、止まらない。
( ^ω^)「秋の一つ星。地球から見て、16番目に明るい恒星だお」
ξ゚⊿゚)ξ「恒星?」
( ^ω^)「太陽みたいに、自分で光を出して輝く星のこと」
やっぱり、星みたいな男の子だ。
ξ゚⊿゚)ξ「詳しいのね」
男の子はその白髪をふるふると振った。
( ^ω^)「お父さんの受け売り。僕は、星が好きなだけだお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうなんだ」
だから、こんな時間に(といっても時計を確認してないから
何時かはわからないんだけど)外に出ていたんだ。
241
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:56:34 ID:u/2Xswb20
そんなことを考えて、そろそろ帰らないとなぁ、なんて思う。
本当は、もう少しこの男の子と、話をしていたい。
でもお母さんとお父さんには心配をかけたくない。
ξ゚⊿゚)ξ「私、そろそろ帰らなくちゃ」
立ち上がる。
( ^ω^)「……お」
男の子は視線を星から私に移して、何か言いたそうに口をぱくぱくさせた。
( ^ω^)「おー…」
なかなか言葉にならない。
だから、私から先に言わせてもらうことにした。
ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、名前を教えて頂戴?」
( ^ω^)「……!」
男の子は驚いたように細い目を真ん丸く開いて、私をじっと見つめた。
ちょっと、恥ずかしい。
( ^ω^)「ブーン」
ξ゚⊿゚)ξ「えっと、それ…名前?」
ブーンはふるふると頭を振って、ニックネームだと言った。
( ^ω^)「本当は、内藤文哉。文章の文に哉で、ふみやって書くお」
( ^ω^)「弟が、僕の漢字を見てブンと読んで…
それからずっとブーンだお」
242
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:56:58 ID:/TLmgNsQ0
支援!
243
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:57:30 ID:u/2Xswb20
私はそれを聞いて、首を傾げた。
それじゃあブーンは、
ξ゚⊿゚)ξ「日本人なの?」
( ^ω^)「生粋の日本人だお」
驚いた。
てっきり、私と同じかと思っていたから。
そうなんだ、そう言って私も名前を言う。
ξ゚⊿゚)ξ「私は、ツン。そのまま片仮名で、ツン・エイリー」
ブーンはやっぱり、という顔で私を見ていた。
( ^ω^)「外人さんなんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、生まれは日本だけどね。父も母も、もちろん私もイギリス人」
私はくるくるに巻いてある髪を指で触りながら、答えた。
金色の柔らかい髪は、自分でも気に入っている。
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは、違うのね」
244
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:58:21 ID:u/2Xswb20
( ^ω^)「ツンは、アルビノって知ってるかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「アルビノ…ホワイトライオンなら、聞いたことあるわ」
( ^ω^)「僕はそれの、人間版」
そう言うと、にっこりとした細い目が少しだけ悲しそうに垂れた。
ドキッとしたけれど、何も言えずに、ほんの少しの沈黙が流れて。
ぽつりと、アルビノがどんなものか教えてくれた。
ブーンの話はときどき難しい言葉が出てきて半分もよくわからなかった。
だけどきっと要するに、ブーンのような人のことだと思う。
そう、星のような人。
私にはそれで十分。
ξ゚⊿゚)ξ「楽しかったわ、ブーン。それじゃあ私は今度こそ帰らないと」
( ^ω^)「おやすみなさいだお、ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、おやすみ」
くるり、背を向けて歩き出す。
ξ゚⊿゚)ξ(…あ)
大事なことを聞き忘れた。
二、三歩進んだところで足を止め、声をかける。
ξ゚⊿゚)ξ「明日もここにいるかしら?」
ブーンはまだこちらを見ていた。
( ^ω^)「いるおー」
それじゃあと駆け寄って、小指を差し出した。
ξ゚⊿゚)ξ「明日もまた、会いましょう?ほら、指切り」
( ^ω^)「おっおっ、約束だお」
その答えに満足して、それじゃあまた明日、と一言残し。
今度の今度こそ、その場を去った。
245
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 11:59:18 ID:u/2Xswb20
翌日。
ξ゚⊿゚)ξ「ツイてないわねぇ…」
昨日の真夜中のお散歩はなんともあっけなく、両親にばれた。
朝に玄関の鍵が開けっ放しだったこと、私の靴が脱いでそのままだったこと。
一番の失敗は、
ξ-⊿-)ξ「…まさかこんなに寝坊するなんて」
私が大寝坊をやらかしたことだった。
今日は日曜日。
本来なら7時に起きて家族全員で朝ごはんを食べる。
昼はお出かけし、夜は明日の支度をして、眠る。
そして私が起きたのは11時。
うわぁ、と思ってリビングへ行くと見つけたのは一枚の置き手紙で。
内容といえば昨日の夜何をしていたのかを問い詰める文、
起きてこないからお母さんとお父さんだけで出かけるという文、
そして。
ξ゚⊿゚)ξ『今日はお出かけ禁止。家でしっかり反省していなさい』
ξ゚⊿゚)ξ「…あーぁ」
これじゃあまた夜、あの丘に行くのは不可能だろう。
かといって、昨日の今日で約束を破るのも…。
考える。
少し、意地の悪い思考が、広がる。
ξ゚⊿゚)ξ(お父さんもお母さんもいないし、夕方までに帰れば大丈夫よね)
ブーンは多分、あの丘のすぐ近くに住んでいるはずだ。
昨日の口振りからしてたまたま居たというわけではないと思う。
探せば、今の時間でも見つかるはず。
ちらり、と時計に目をやる。
時刻は12時と少し。
お昼は遅い朝ごはんで済ませた。
ξ゚⊿゚)ξ「よし」
あの丘へ、行こう。
246
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:00:40 ID:mrJ1IDpQ0
wktk
247
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:01:16 ID:u/2Xswb20
明るい町を進む。
まだ光っていない外灯は太陽に遠慮しているかのようで、面白い。
並木道を歩いていると日が差して、葉と葉の間がきらきらと光って見えた。
その様子はまるで、昼の星空のようで。
風が吹いた。
ξ*゚⊿゚)ξ「わ……」
橙や黄色に染まった葉が、目の前を舞う、舞う、舞う。
飛んでくる砂粒に目を閉じるのも忘れてしまうほど、それは、迫力があった。
ふいに、目の前が暗くなる。
「だーれだ」
聞き覚えのある声。
目隠しされた手は、冷たい。
そうか、今、探していた。
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン!」
手を振り払って、そのまま後ろを振り向く。
( ^ω^)「おっおっ、正解だお」
昨日と同じ厚手のグレーコート。
同じぐらいの身長。
そこには、まだ夜じゃないお、と笑う白髪の男の子がいた。
248
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:02:00 ID:u/2Xswb20
ξ゚⊿゚)ξ「手、冷たいのね」
急に目隠しされたことに、ちょっぴり腹がたって意地悪く言う。
ブーンはそんなことを少しも気にしてない風に、笑う。
( ^ω^)「手が冷たいのは心が暖かいからなんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなの、聞いたことないわ」
( ^ω^)「それじゃあまた一つ賢くなったおね」
そう言ってまた楽しそうに笑うブーンに、
なんとなく丸め込まれたような気がして、納得いかない。
けれど、それよりも気になるものがある。
ブーンの足元。
ξ゚⊿゚)ξ「それは何?」
( ^ω^)「ほうきと袋だお」
また一枚、桜の葉が舞う。
ブーンは私との間に来たその葉を片手で優しく掴む。
( ^ω^)「こうやって散った葉の、お掃除をするんだお」
掴んだ葉を袋にいれて、ほうきを持ち上げて見せた。
249
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:02:44 ID:u/2Xswb20
10分もしない内に、ブーンが持ってきた袋はいっぱいになっていた。
ξ゚⊿゚)ξ「全然減らないのね」
袋はいっぱいになったけれど、目の前の落ち葉に変化は見られない。
( ^ω^)「そういうもんだお」
そのいっぱいになった袋を担いで、ブーンは笑った。
( ^ω^)「さてと」
そう言って、歩き出す。
私はよくわからなくて、とりあえずその後ろへ着いていく。
( ^ω^)「本当は、」
道からそれて、並木の間へ。
がさりと音をたてつつ、伸び放題になった雑草をかきわける。
そこには、平らな石が並んで階段のようになっていた。
( ^ω^)「今日の夜に持っていこうと」
ふらふらしながら降りる私に、振り向いて手を差し出す。
( ^ω^)「思ってたんだけど、おっ」
降りた先にあったのは、それなりの広さがある空き地。
端にはいくつもの枝と、丸まった新聞紙、他にも色々置いてある。
ブーンはその枝を真ん中に集めて、ポケットから四角いライターを取り出した。
ξ゚⊿゚)ξ「…もしかして」
ぱっと駆け寄る。
( ^ω^)「そのもしか、だお」
丸まった新聞紙を開けた。
ころころとしたさつまいもが、二つ。
ブーンはそれをアルミでくるんで、集めた枝と葉の中へ埋め、そのライターで火を付けた。
火はあっというまに燃え上がって。
出来た焼き芋を手に、少し、話をした。
250
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:03:24 ID:u/2Xswb20
私はそこで、ブーンについて少しだけ知った。
弟くんの名前とか。
朝よりも、夜に外にいることの方が多いだとか。
その容姿が原因で、ブーンは友達がいないと思っていること、とか。
だから、私は、ずっと貼り付けた笑顔を浮かべるブーンに。
ただ、笑って言ったんだ。
「ブーンと私はもう、友達でしょう?」
251
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:04:06 ID:u/2Xswb20
銀杏が舞う空き地で。
ぱちぱちと音を立てる小枝と。
両手の中の焼き芋は。
しばらくの間。
確かに、私たちを、暖めていた。
252
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:05:37 ID:u/2Xswb20
私の話は、これでおしまい。
これから何年経った今でも、ブーンは私の隣にいる。
心からの笑顔を、浮かべて。
ξ゚⊿゚)ξ秋風のようです
http://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/6.jpg
253
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:07:06 ID:u/2Xswb20
終わりです
◆No.6 の素敵すぎるイラストを使用させていただきました
254
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:09:17 ID:mrJ1IDpQ0
乙!
綺麗で心が温かくなる話だった
アルビノブーンいいな
255
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:25:58 ID:4scHyIT.0
乙
ほんわかした
256
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:30:32 ID:5jyn46hU0
おつ
落ち着いた雰囲気のブーンかわいい
257
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:33:12 ID:abPsglt20
( °д° )
258
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 12:35:20 ID:/DRjJl6EO
ふんわかしていい感じ
おつ
259
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 13:06:48 ID:l0qGp8Ic0
>>142
うおおおお流石稲荷の絵使って頂いてありがとうございます!なにこの神社お参り行きたい
それぞれ話がちゃんとまとまって繋がっててすごい。わちゃっとお礼に来るみんなのシーンが大好きです
兄弟かっこええ妹者ひたすらかわいい。大好きな他沢山のイラストとのコラボで非常に嬉しいです!
>>202
う……うわああああ自分の絵でコラボキタワァ(n‘∀‘)η゚・*:.。.
絵柄違うけど流石稲荷も天使妹者も自分だったりします流石兄弟妹大好きなんです……
やべぇ!やべぇ!イラストの使い方が秀逸!やだマカロニサラダ様男前
まさかのしんみり……と思いきや最後の妹者の笑顔でほっこりしましたブワッ(;∀;)
イラスト2枚も使って頂いてありがとうございました
No198さんも構図被りなんてよくあることですお気になさらず!
むしろこういう形でコラボされないかなーなんてひそかに期待してた自分ガイル…そして実現されて狂気乱舞な自分ガイル
ラノベ祭り万歳
260
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 16:25:22 ID:Bmc.1xwM0
vipに来てるやつ面白いな
それにつけても猿の多さよ
261
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 16:29:15 ID:n7oxMqgo0
VIPの規制が憎い
俺の分まで支援は頼んだ
262
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 16:30:51 ID:zWpndBA.0
>>238
自分の絵使ってくれてありがとうございます!なんだこの心が暖かくなる話
はぁぁぁああ!!ありがとうございますありがとうございます!!
ニヤニヤしすぎて変な顔になってきた!
263
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 20:45:20 ID:y72MjMr20
作品URL
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353252395/145-171
作品名
(-_-)爪'ー`)y‐从 ゚∀从神社の六子さんのようです
使用した絵のURL(任意)
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/160.jpg
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/98.png
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/150.jpg
投下報告です
264
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 20:54:47 ID:cpSk32KI0
IDもすっかり変わって今更感すごいけど天下一武道会の私信をば…タイミング失ったんや…
前スレ
>>881
ドア信さんENDの絵までありがとうございましたっ
ξ゚⊿゚)ξの妄想は具現化したようです
スピンオフクルー?
前スレ
>>915
こういう絵も描けるとは…ありがとうございました!
正直こんな形で使っていいのか迷ったんですけど迷ったらGOって誰かに言われたんでGOしました!
快く使用させて頂き改めてありがとうございました〜
265
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:13:03 ID:GFlG7z5cO
投下報告します
作品URL
http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/13029/1353411116/1-
(
>>65
から)
作品名
('A`)陰陽師のようです
使用した絵のURL(任意)
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/175.jpg
266
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:22:30 ID:FN6HLAZc0
投下する
267
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:24:27 ID:FN6HLAZc0
秋の夜長のようです
.
268
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:25:26 ID:l0qGp8Ic0
しえ
269
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:26:03 ID:FN6HLAZc0
爪先の冷たさは、無意識の溜息にかき消された。
('、`*川「はぁーぁー……」
静まり返ったリビング。
日に日に寒さを増す霜月の夜、ペニサスはテーブルに頬杖をつきながら、
一昨日の出来事を思い出す。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
『ごめん、別れてくれないか。他に好きな人が出来たんだ』
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
270
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:27:48 ID:FN6HLAZc0
最後の授業が終わり、放課後、
付き合っていた男子生徒に呼び出された先に待っていたのは、
実にあっさりとした別れの言葉。
一瞬困惑したペニサスだったが、彼の眉をひそめた顔と低い声に押され、
つい、「うん」という了承でもって返してしまった。
('、`*川(たった二ヶ月かあ)
過ごした毎日を思い返して、また溜息を一つ。
手を繋いでいた日々の終わりが、暮秋の末枯れた景色と重なる。
向こうから『付き合ってくれないか』と言われたのは、
まだ僅かに暑さが残る、九月の終わり頃。
図書室での読書に集中している最中だった事と、
自分が誰かと付き合う事はないだろうな、と思い続けていた事もあって、
大いに驚いたのを今でも覚えている。
ペニサスもその男子生徒の事は嫌いではなかった為、二つ返事で告白にOKを出した。
271
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:29:26 ID:FN6HLAZc0
後で理由をそれとなく聞き出してみると、「物静かな雰囲気が気に入ったから」。
ならばそのままでいようと、高校生活は今まで通りおとなしく、相手にも嫌われないように努めた。
休日は誘われるがまま、連れられるがまま、町へ繰り出した。
最初は向こうからの一方的な思いだったが、次第にペニサス自身の思いも募っていった。
高校三年に上がる頃には、自他共に認める立派なカップルになっているかも知れない、と夢見ていた――
が、それはまさしく幻想そのもので、十一月に入った頃から、徐々に関係は疎かなものとなり。
そしてそのまま尻すぼみとなってしまい、彼氏彼女の関係は終局を迎える。
('、`*川(やっぱり私が原因かなあ……?)
相手側に非は無いだろう、もしあるとするならばそれは自分だ。
でも、何がいけなかったんだろう。自分がそのままでいたのが不味かったのか。
272
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:31:00 ID:FN6HLAZc0
疑問は紐解けず、頭に巻きついたま離れない。
両親と妹も寝静まり、あと三十分で日付も変わってしまうというのに、
時が過ぎるのも忘れて悩み続けていた。
秋は太陽の足も速く、夜はすぐに来るが、明けるまでの時間は長い。
加えて空模様は変わりやすく、抜けるような青空になったと思えば、
一日足らずで雲に覆い尽くされる。勿論、雨が降る事もある。
そんな様は、昔からよく人の心にたとえられた。
('、`*川(今夜の空はどうなってるかな)
椅子から立ち上がり、窓を開いて夜空を見つめる。
周りに高い建物がほとんどないお陰で、星の粒が散りばめらた空が良く見えた。
三日月も、都会のビルや電線から解き放たれて、のんびりと浮かんでいる。
273
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:32:35 ID:FN6HLAZc0
('、`*川(そういえば……)
ペニサスは昔読んだ本の中に、月を鏡に見立てた詩があった事を思い出す。
会いたい人が遠くにいる時は月を鏡にすればいい、というような詩だった筈だ。
しかし、今夜は三日月。
欠けた鏡には何が映るのだろうか。
('、`*川(寒い)
ふいに入り込んだ木枯らしに身を震わせ、思わず窓を閉める。
夜風のそよぐ音も、乾いた葉音も聞こえなくなった。
身を翻し、月影に背を向ける。
月の船には、二人は乗れない。船に乗った者は、真下にある深い淵を見る事は出来ない。
手の届かない遠くへ行ってしまうのを、ただ見送るしかないのだ。
また椅子に座り、左手で頬杖をつく。
すると、がちゃん、と扉が開き、一人の少女が入ってきた。
274
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:32:35 ID:G1IxTADI0
支援
275
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:34:48 ID:FN6HLAZc0
*(‘‘)*「……まだ起きてるの?」
('、`*川「うん、ちょっとね? ヘリカルは?」
*(‘‘)*「ふぁー……」
入ってきたのは、妹のヘリカル。ペニサスと目を合わせた後、寝惚け眼で欠伸をし、目を擦った。
流石に深夜は眠たいらしく、しきりに瞬きをしている。
('、`*川「どうしたの? またコーヒー?」
*(‘‘)*「コーヒー……ブルーマウンテンのニュークロップってやつ飲んでみたい……」
('、`*川「眠れなくなっても知らないよ、あとそんなものが家にある訳ないでしょ」
ヘリカルは、はぁーい、と蚊が鳴くような声で返事をし、薬缶に水を注ぐ。
そしてクッキングヒーターで温め始めると、
棚からドリップパックを二つ取り出して、白いカップに乗せた。
276
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:36:06 ID:FN6HLAZc0
('、`*川「二つ?」
*(‘‘)*「あ……えっと、お姉ちゃんはいらない?」
('、`*川「じゃあ貰おうかな」
*(‘‘)*「分かった」
普段はしっかりしているが、ときおり抜けた所を見せる。
この事で良くからかっていた小学生時代の記憶が、にわかに蘇ってきた。
('、`*川「はぁー……」
*(‘‘)*「どうしたの?」
('、`*川「ちょっとね……」
277
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:38:23 ID:FN6HLAZc0
*(‘‘)*「もしかして振られた……?」
('、`*川「またストレートに来たね」
オブラートに包めないものなのか。
そう思いながら重い息を吐き、頬杖を右手に替える。
*(‘‘)*「やっぱりそうなんだ」
('、`*川「何で分かったの」
*(‘‘)*「勘……そんなに落ち込んでるって事は、そうかも知れないな、って……思っただけ……」
('、`*川「そう」
*(‘‘)*「うん……」
妹に相談してみるのも良いかも知れない、と思い立ち、
ペニサスは事の顛末をゆっくりと、包み隠さず話す。
ヘリカルは椅子に座りながら、まだ冴えない頭のまま、話に耳を傾けていた。
278
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:39:44 ID:FN6HLAZc0
('、`*川「……で、こうなって……」
丁度話が終わる頃にお湯が湧き、コーヒーが淹れられる。
ヘリカルは湯気が立ち昇るカップをペニサスの前に置いて、自身も座った。
('、`*川「好きだねー、コーヒー」
*(‘‘)*「ジュースなんて、子供の飲み物だからー……」
('、`*川「あんたもまだまだ子供でしょーが」
*(‘‘)*「そうかもー……」
やはり十分に頭が回ってないらしい。
ミルクと砂糖を入れ、スプーンでかき混ぜる手の動きも、緩慢そのものだ。
ペニサスはというと、コーヒーに手もつけず、どこか遠くを見るような目でぼうっとしていた。
このまま夜の闇に溶け込んでしまえたら楽なのに、と感じながら。
279
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:41:21 ID:FN6HLAZc0
http://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/143.jpg
('、`*川「なんで振られたんだろ……」
*(‘‘)*「うーん」
ヘリカルは軽く唸り、コーヒーをごくりと飲み込む。
('、`*川「分からない?」
*(‘‘)*「分かんない、けど」
('、`*川「けど?」
*(‘‘)*「……お姉ちゃんが消極的だからっていうのも、あるんじゃない?」
痛い所を突かれ、言葉に詰まる。
確かに今まで、ペニサスが自分から相手に対して何かを働きかけた事は、ほとんど無かった。
280
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:43:48 ID:FN6HLAZc0
('、`*川「それは……」
*(‘‘)*「当たってる?」
('、`*川「……かも」
*(‘‘)*「的中ー」
ヘリカルがコーヒーを一口飲み、ふぅ、と息を吐く。
*(‘‘)*「でもさーその男子も、自分から付き合ってくれって言った癖に、
消極的だからって理由で振っちゃうなんて、随分と自分勝手だよね」
('、`;川「うーん……」
適当な言葉が見つからない。
コーヒーを飲んで多少なりとも覚めてきたのか、ヘリカルは本来の調子で話し始める。
効能だとしても少々早い気がしないでもないが。
281
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:45:19 ID:FN6HLAZc0
*(‘‘)*「お姉ちゃんはその人の事、どう思ってたの? 好きだったんだよね?」
('、`*川「最初はそうでもなかったけど……好き、だったと思う」
頼もしい人で、いつも自分を引っ張ってくれる。自分を好いてくれている。
いつしか好意だけではなく、羨望の眼差しすら向けるようになっていた。
*(‘‘)*「ふーん」
('、`*川「でもまあ、別れちゃった事は仕方ないのかな……」
*(‘‘)*「その男子もお姉ちゃんを手放すなんてもったいない事するよね」
('、`*川「そう? そうでもない気もするけど……」
*(‘‘)*「ほらもっと自分に自信を持とうよ! 次があるって!
今日の淵は明日の瀬って言うし! ね?」
282
:
名も無きAAのようです
:2012/11/24(土) 23:47:04 ID:FN6HLAZc0
過ぎた事はしょうがない。次へ進もう。
実にありふれた言葉だが、今の傷心には良い薬になるだろうな、とペニサスは思う。
('、`*川「何だかヘリカルの方がお姉ちゃんみたい」
*(‘‘)*「じゃあ今日一日は私がお姉ちゃんって事で」
('、`*川「もう十五分足らずで終わるけど」
*(‘‘)*「あ」
気付けば、日が変わるまであと七分程度しかない。
*(‘‘)*「……もう寝る! じゃ、おやすみ!」
('、`*川「おやすみー……あと」
('、`*川(「今日の淵は明日の瀬」、じゃなくて「昨日の淵は今日の瀬」、の方が正しいからねー)
心の中で訂正。
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