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イベント優先スレ
885
:
七郎『』&十夜「」
:2012/10/14(日) 22:17:20 ID:SmXQZqJk
>>884
「う、うわあああああ!?」
辺りを見渡した十夜の視界に入って来たのはインコレツジが放った鉄球だった。
鉄球は十夜の目の前に迫るが――
『あぶねぇ!!』
白髪の男性――瞬時に人化した七郎により突き飛ばされ、十夜は鉄球から一時だが逃れられた。
『ぐはぁっ!!』
しかし、変わりに十夜の居た位置に来た七郎に鉄球が直撃する。七郎はそのまま吹き飛ばされ、近くの木に激突する。
『いきなり……攻撃かよ……くそ……』
放たれた鉄球は8発。1人に2発ずつだとすると、十夜の分も合わせ残り3発の鉄球が七郎に迫ることになる。
1発でこのダメージ――おそらく骨はいくつか折れているだろう――あと3発も食らえば、ほぼ確実に死ぬと思われる。
『十夜!!逃げろっ!早く山から出るんだ!!』
「で、でも…」
『いいから逃げろ!!』
十夜は七郎のことが心配なようで、すぐに逃げ出さなかった。だが、さすがに怖くなったのか七郎に強く言われた後、十夜は泣きながら逃げ出していく。
>>883
『なぁ、アンタが何者だか知らねぇが頼みがある。』
十夜が逃げ出した直後、七郎は波洵に話しかける。
『さっきの人間の子供が無事に山から出れる位まで、あの猿を移動できないように足止めしてくれ。どのみち戦うつもりなんだろ?』
口元から血を垂らしながら、辛そうな口調で話す。
886
:
波山とか
:2012/10/16(火) 21:57:23 ID:cpTCnr7.
>>884
「ぐぅあ!!」
十夜に気を取られていたのか、突如放たれた砲弾に波洵は対処が遅れた。
1発目、とっさにガードした腕の骨が砕かれ、体に衝撃が走る。
2発目、仰け反った波洵の身体の中心に直撃し、波洵を後ろまで吹き飛ばして木にめり込ませる。
土煙の中、波洵の姿が浮かび上がる。
両の腕はグシャグシャに砕かれ、内臓もやられているようでペッと口に含んだ血を吐きだした。
「くっそが・・・。こんなか弱い女の子に向けてよくもこんな暴力的なことができるね」
>>885
波洵はじっとりと湿った目で七朗を睨む。
「それでも男かよ、こんな女の子に守ってくれだなんて」
しかし波洵は立ち上がる。
変化する波洵・・・〝攻撃を食らう前の自分″へと。
「ま、引き受けたけどさ」
十夜の前に歩み出る波洵。
既に攻撃を受けた傷は跡形もなく、波洵はせせら笑うようにインコレツジを見下す。
「この世に生きることが許されなかった存在だって?
くだらねーな、どいつもこいつも・・・どうしてそんなに自分が生まれた意味に拘るんだ」
波洵は指さし、堂々と宣言する。
「そんなに惨めな存在だったら、今から私に虫けらみたいに殺されても文句は無いよね?」
887
:
インコレツジ(忌黄烈迅)、山猿青介
:2012/10/19(金) 18:04:09 ID:znuO.6vI
>>885
>>886
「惨めという言葉ですら、我を形容するに値せぬ
我は、もはや異常な存在として、ある種、生きること自体が悪で、その生への渇望は・・・憎しみに溢れていた」
「四肢の一つが欠けていたとしよう。それは、生まれが名門であれば、その家の血を忌まれ、それ以上の出世が望めなくなる――【だから私は殺されたのです。生まれて三日のことでした】」
状況の仮定が終わると、子供の声が木霊する。
その辺りに落下したままの鉄球から、声が出ているようだ。
「易を読むことができたとしよう。しかし、その時代の終わりに占いは忌まれた
職につこうにも、村人によって手配所と噂は回り、結果、何も悪事を働かずに政府の獄に入れられた
罪無き汚名を被るまいと――【そう、だから私は自ら死を択び、目玉に橋を突き抜いた】」
今度は声変わりした男の声。
「海は綺麗だった。その島では金が採れたとしよう
その価値を我々は知らなかった。ある日、一人の漁師を保護し、国へ返してやった
すると翌日、大軍が来た――【我々は、税を払っていた国主率いる正規軍に、皆殺しにされた】」
子供、女、男、老人。今度は何百という声色が、きちんと調和をもって、一つの鉄球から流れた。
「そんな我々、一万少しの怨念が
惨めか。虫けらか」
「強者は、今ここで去ね
冥土で、敗れ血潮に塗れる苦しさを知れ
そして、思うとおりに生きられた幸福を、冥土で噛み締めろ
お前の絶望だけが、我々の癒しだ」
それは。きっと、異物の妬みだ、社会秩序に組み込まれなかった者が抱く、社会に融和できた者への、羨望だ。
「お頭ァ、そりゃ、妖怪にもなりゃすあな
けど、お頭。アンタのせいで、ここに転がってる猿の屍は、社会から弾き出されたんだぜ
そこから身を守るには、アンタが死ぬしかない
アンタは過去で、逃げた人間の子供と25匹の猿は・・・これからを社会で生きていくしかない、未来そのものなんだわ」
自分を語り始めてから、獣の本能が徐々に曖昧になっていく
その段階を踏むたびに、近接戦闘能力は低下する。
砲台。インコレツジは、今鉄球へと近づいていて、その戦闘能力は砲台へとシフトしているようだ。
なら、攻略の鍵は、5門による砲撃の突破だろうか?
888
:
七郎
:2012/10/19(金) 20:47:44 ID:SmXQZqJk
>>886
「性別なんざ関係ねぇ…だろ……つーか…それ言ったら俺は小動物だ」
辛そうに息切れしながら話す。
「感謝するぜ。……それにしても便利な能力だな。
攻撃食らった時は俺はもう駄目だと思ったが、アンタが味方なら俺も生きてこの山から出られる…かもな……」
傷が無くなった波洵を見て言う七郎。
同時に、もし波洵が敵だったらヤバかっただろうなと思った。
>>887
「いったい何が起こってんだ……?なんでこんなところにこんなに怨念が……?
考えたって分かることじゃねぇか……それより、十夜が心配だ。あいつは、こういった念とかに人一倍敏感だ……もし、この声が聞こえていたら……」
(ちくしょう……怪我さえなけりゃこの場から逃げて十夜を追いかけられるってのによ……)
今の七郎に出来ることは少ない。僅かな力を振り絞り炎で攻撃するか、ボロボロの身体で逃走を試みるか――
だったら早く敵を倒せるように、炎でサポートをする方を七郎は選ぶだろう。
「やってやるよ!過去だか未来だか知らねぇが、俺は現在(いま)を生きたいんでね!!」
七郎は、両腕に炎を灯し立ち上がる。
889
:
名無しさん
:2012/10/19(金) 21:27:25 ID:jvPZh9Bc
>>887
>>888
「へぇ、小動物か。その割には上手く変化したじゃん。私ほどじゃないけどね。
まぁいいや。私が味方に付いたからには、こんな小物いくら相手にしたって問題ないね!」
波洵はインコレツジに向き直り、さて、と一呼吸おいて語りかける。
「強者? それは少し違うかもね。現に私は負けたことの方が多い。
私は天魔雄神・第六天魔王他化自在天の波洵。誰でもあって誰でもない。
その気になればそのくだらねぇ、無念を背負う死者の誰にでもなれたんだぜ?
まぁ、今は無理だけどさ」
波洵はクツクツクツと笑うと、一呼吸おいて大声で捲し立てる。
せっかく語ることで収まりかけたインコレツジの攻撃本能を挑発する。
「無念? 恨み? アホくさ。生きることが許されなかったから、
今度こそマトモに生きてみたい、とかいうならまだわかるけどさ。
せっかく掴んだ2度目の命を復讐なんかに使うなんて馬鹿みたい!」
波洵の服を突き破り、肩から生えるのは蜘蛛のような、蟹のような。
長く甲殻に覆われた4本の脚。
その4本は波洵の身体を持ち上げ、波洵は高みから見下すようにインコレツジを一瞥し、中指を立てて言い放つ。
「お前等は結局私達にどうして欲しいんだ。どうやれば満足するんだ。
全ての者に理解されたいのか? 生きとし生ける者全てに死んで欲しいのか?
それとも同情して欲しいのか、供養して欲しいのか?
「違うだろバーカ」
「お前らがやりたいのは結局意味の無い八つ当たりだろ、ただ暴れまわって殺しまくりたいんだろ?
そんな下らねーことに付き合ってやるほど、私達生きてる奴等は暇でもお人好しでもないんだよ!」
波洵の両の手は蠍の尾のような鞭となる。
もはやその姿は異形と化した波洵、それでも高らかに宣言する。
「死んでる奴が泣き言ぬかすな、黙って死んでろ!!」
ここまで唯我独尊、同情の欠片も見せないとなるともはや清々しい。
波洵は情け容赦なく、先端に穂先の付いた鞭を伸ばし、インコレツジを貫こうとした。
890
:
インコレツジ(忌黄烈迅)・山猿青介
:2012/10/20(土) 20:24:46 ID:znuO.6vI
>>888
>>889
インコレツジは、ぼんやりとした頭で、右腕を鞭槍へ伸ばした。
インコレツジは、信じられないという表情で、波洵の穂先が刺さったてのひらを眺める。
「ここでも」
「この時代でさえ」
「我々は否定されることしか
社会の枠組みに組み込まれることさえ
その願望の一つさえ
許されずに、また死を選ばされる」
「虫けら。人と呼ぶべき人間が、人とすら認められぬ我々に
理の外にある、余計な存在だ、と」
「我々が生き、その骨灰が埋まりし場所には、新たな生命が、芽吹けば……いいのにな」
幾千の人間の声が重なった雄叫びを天に上げてから、その歪んでしまった心根を露呈する。
「生きるとは。生きるということは
社会に認められる以外に、もう一つある
我々が、我々が、我々を否定する、ヒテイする、生き物全て――死に絶えた時ぞ」
確信を得た妄執は、既に世界の真理の如く思考を突き動かし
そして眼前にそびえる、敵、敵、敵。
自分を認めてくれなかった敵。
「許さない」
「我々は我々を認めるため、自然と同化して、身(てつ)を放ち人を殺す怨念となる」
怨念自体が自然へ帰ろうとしている。
「我々の往くべきだった生命の大道を築く」
七郎へ、二発。
波洵に、三発。
インコレツジは、鉄鉱石を最終的な魂の形態とする。行き着くのは鉄でも、それを解き放つ爆発力はルーツにない。
修行し身につけた妖術の一つ、砲撃。
唯一苦手とする動作。火薬の用意に、二秒かかった。
その隙を、七郎・波洵が活かしきれるかどうか。
近接戦闘能力が皆無の、大猿(インコレツジ)という鉄(くろがね)の外装を叩き壊せるのか。
一方で、山猿青介は、地面に窪みを掘って隠れていた。
自分はいわば保険である、と青介は考えていた。
あの五発が身の上を通り過ぎたら、この剣でインコレツジの首を撥ね上げる。
再発射までの間隔を、ずっと見てきた青介だから狙える。
だが、波洵を見ていれば、たぶん大丈夫だという気もした。
七郎は、きっと耐え切るとも思った。だから、二人の心配はしない。
大怪我をしても、この妖怪の世を守ってくれると、思いたいから……いや、思わせてしまうだけの強さと覚悟を、二人は示していた。
891
:
七郎『』&十夜「」
:2012/10/20(土) 21:47:59 ID:SmXQZqJk
>>889
『は、はは……想像以上にヤバい奴だったみてぇだな……天魔雄神って、おいおい……
今の俺にとっちゃありがたい存在だけどよ……』
波洵の正体に驚愕する七郎。それと同時に若干の畏怖の念を抱く。
>>890
『また鉄球か!?』
今の七郎には鉄球を避ける体力は無い。つまり、七郎が取る行動は一つ。
『耐えてくれよ、俺の身体!狐炎螺旋!!』
鉄球の進行を止めるべく、掌から螺旋状の炎を放った。
しかし――
『ぐはぁっ!!』
炎と鉄では相性が悪かった。鉄球を止めきれず、再び吹き飛ばされる七郎。
激しく地面に叩きつけられる。そこに2発目の鉄球が迫る。これを食らってしまえば、確実に致命傷になる。
(くっ……ここで終わりなのか……?)
目を瞑る七郎。そこに――
「七郎っ!!憑依だよ!憑依!」
現れたのは十夜だった。
『十夜!?なんで戻って来たんだよ!?』
「話しは後!早く憑依を!!」
『くっ!仕方ねぇ!!』
このままでは、自分だけでなく十夜も危ない。七郎はやむを得ず憑依をすることにした。
そして、辺りが光に包まれた。その後、七郎の居た場所には七郎の姿は無くなり、変わりに髪が白く変化した十夜が立っていた。
「行こうっ!七郎!」
『無茶はするなよ!隙を見て逃げ出すんだ!』
憑依十夜は腕に炎を灯す。まずは目の前の鉄球をどうにかするつもりだ。
「『狐炎鉄槌!!』」
二人の声が重なり、腕の炎が大きくなる。そして、そのまま鉄球を――殴った!
鉄球は勢いを失い、その場に落下する。
892
:
名無しさん
:2012/10/20(土) 22:07:18 ID:Glf.uH9o
>>891
「ふふーん、もっと怖れろ、敬え。この波洵ちゃんを」
得意気に胸を反らせる波洵。
やはり畏れられることは妖怪にとって気分が良いらしい。
>>890
「あーーーーっ、もう! ゴチャゴチャゴチャゴチャと!
何が言いたいのかさっぱりわからねぇ! 私にはもう心を読む力がないんだからもっとわかりやすくしゃべれよ!!」
インコレツジの言い回しは、短気な波洵が理解するには回りくどすぎた。
再び砲門がエイムされてるのをチラリと見据えると、さも愉快そうに笑った。
「そー何度も食らってやるかっての!」
4本の脚が一瞬で縮み、直後に跳躍。
その瞬間は大きな砲門を構えるインコレツジよりも幾分か早かった。
「こんなつまんねー技ばっかりなんて脳がないね! この能無し!!」
跳躍した真下にはインコレツジ。
波洵は長い鞭のような腕をらせん状に融合させ、一本の長い槍を作り出す。
「とっとと死ねっ!!」
風を切る長い突撃槍が今まさにインコレツジを貫かんとした。
あと波洵、護衛の事すっかり忘れてる。
893
:
インコレツジ(忌黄烈迅)・山猿青介
:2012/10/21(日) 13:10:26 ID:znuO.6vI
>>892
>>891
槍は、忌黄烈迅の頭蓋を貫いた。
「自然へ還るとき が 、 来た ようだ」
幾重にも重なった声色で、インコレツジが呟く。
「山猿青介。此処(ここ)という場所は、無念が募りやすい
また我々を見つけたら、今度はちゃんと、二度目の生を送れるように
赤子の猿の時から、躾てやってくれまいか・・・」
山猿青介は微動だにせず、凛然と地面の窪みから立ち上がった。
インコレツジの姿が薄れ、光粉となって消えていく。
鉄屑が辺りに散らばる音と共に、インコレツジは存在を消した。
――
<エピローグ>
――
山猿青介は、十夜と波洵に向き直る。
「すみません。助かりました
ここに無念が募ったら、俺は」
青介は息がつまった。
「俺が、そういう役割の振られた猿の赤子に、ちゃんと、その時その時、とどめ刺します」
それは、社会で生きることが許されなかった者への、焼き直しにほかならない。
しかし、心底にある歪みきった感情を目の当たりにして、生かしておくことも、青介にはできなかった。
――
<イベント終結>
――
「狐さまのほう、怪我平気ですか?
ここの頭として、一応、ちゃんと最後まで義務は果たさないといけないですね
妖気の溜まり場が山と山の間にあって、そこなら怪我も早く癒えると思うので、これから案内しますね」
青介が、義侠染みた声で言った。
「波洵さまは、痛いところ、まあ、無いと思うんですが。ありましたかい?」
894
:
七郎『』&十夜「」
:2012/10/21(日) 21:53:24 ID:SmXQZqJk
>>892
,
>>893
『終わったか……』
「ねぇ、七郎……あの妖怪っていったい……」
『さあな、俺はなんにも聞いちゃいねぇからわかんねぇよ。』
七郎はあえてインコレツジのことを十夜に話さなかった。
その後、静かに憑依を解き、元の狐と黒髪の少年に戻った。そして、青介の方を向き
『礼なら俺には言わなくていい。俺は十夜と自分の身を守る以外、何もしてねぇよ。
って言ってもこんな怪我でしかも十夜にまで助けられて守れたって言えるのかは疑問だけどよ……』
苦笑いしながらそう答える七郎。
『つーか、俺が十夜に礼を言わなくちゃだな。』
「いいよそんなの。それより、七郎が無事で良かったよ……」
十夜は目に涙を浮かべながら嬉しそうにする。
『ああ、それはアイツが居てくれたからだよ。アイツがいなかったら、多分俺は今ごろお陀仏だっただろうよ。』
そう言って七郎は、波洵の方を見る。
「あなたが七郎を助けてくれたんですね!ありがとうございます!」
『俺も言う。マジで助かったぜ。ありがとよ。』
と、十夜は波洵に頭を下げた。
『で、怪我の具合か?まぁ……そうとう酷いな。治せるんだったら早いとこ治しちまいたい。また、あの厄介なのが現れてもおかしくないからな。連れて行ってくれ。』
早いとこ怪我を治したい七郎は、青介に答えた。
『十夜は先に帰ってろ。妖怪にとっちゃ有益な妖気でも、お前みたいな人間には危険だろうからな。』
「う、うん。」
七郎が話した後、十夜が頷く。そして、七郎は再び波洵の方を向く。
『あ、あと、何から何まで世話になっちまうが十夜が山から出るまで護衛頼めるか?いや、もう大丈夫だと思うんだけどよ。念のためな。』
895
:
波洵
:2012/10/23(火) 16:02:24 ID:IsFf8T.o
>>893
長い突撃槍が頭蓋を貫いたのを見届けると、
波洵はそれを勢いよく引き抜き、元の人のような腕に戻した。
「おや、あっけないね。この程度なのかい、お前等の無念とやらは?」
拍子抜けしたようにせせら笑う波洵。
最後まで欠片も同情はしない、代わりに完全に拒絶もしない。
彼女はもっと悪逆で、エゴイスティックな精神によって産み落とされたから・・・。
「私に踏み潰される程度の無念だったらどーってことは無いから、
次は綺麗さっぱり忘れて生まれて来いよ。どーせ次があっても今のままじゃ大したことはできないぜ?」
波洵は消えゆく光の粒子に、満面の笑みで中指を立てた。
――
しばしの後、あくび半分に青助の訴えを聞く波洵。
どこかうんざりしたような顔で言い捨てる。
「あの程度の妖怪で大袈裟だっつーの。
未練だのなんだの知らないけど、間引きだとかそんなことしなくても良いだろうが。
・・・またあーいうくだらねーのが生まれても、一応見届けてやれよ。
成長して、生き抜いて、それでもあんなロクデナシになったなら、私に知らせなよ。また踏み潰してやるからさ」
最後に波洵はニヤッと笑った。
――
お礼を言う七郎に波洵は少し頬を赤くして、胸を反らせる。
「そーだろ、助かっただろー。
もっと褒めろ、讃えろ、敬え、この波洵ちゃんを」
青助の提案に波洵は即答する。
「いらねーよ、そんなもん。
あんなくだらねー奴相手に怪我するわけないだろ?」
空元気である。
波洵の変化による治癒は、怪我のダメージの先延ばしに他ならない。
消耗した分はじっくり時間をかけて回復するしかないのだ。
「おっけー、また任されたぜ。それじゃいくぞおガキ様」
十夜の護衛を快諾する波洵。
大変不安の残る護衛である。
こうして万から成る一匹の妖怪の呼んだ騒動は終わりを告げた。
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