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890インコレツジ(忌黄烈迅)・山猿青介:2012/10/20(土) 20:24:46 ID:znuO.6vI
>>888>>889
インコレツジは、ぼんやりとした頭で、右腕を鞭槍へ伸ばした。
インコレツジは、信じられないという表情で、波洵の穂先が刺さったてのひらを眺める。
「ここでも」

「この時代でさえ」

「我々は否定されることしか
 社会の枠組みに組み込まれることさえ
 その願望の一つさえ
 許されずに、また死を選ばされる」

「虫けら。人と呼ぶべき人間が、人とすら認められぬ我々に
 理の外にある、余計な存在だ、と」

「我々が生き、その骨灰が埋まりし場所には、新たな生命が、芽吹けば……いいのにな」

幾千の人間の声が重なった雄叫びを天に上げてから、その歪んでしまった心根を露呈する。

「生きるとは。生きるということは
 社会に認められる以外に、もう一つある
 我々が、我々が、我々を否定する、ヒテイする、生き物全て――死に絶えた時ぞ」

確信を得た妄執は、既に世界の真理の如く思考を突き動かし
そして眼前にそびえる、敵、敵、敵。
自分を認めてくれなかった敵。

「許さない」

「我々は我々を認めるため、自然と同化して、身(てつ)を放ち人を殺す怨念となる」
怨念自体が自然へ帰ろうとしている。

「我々の往くべきだった生命の大道を築く」

七郎へ、二発。
波洵に、三発。
インコレツジは、鉄鉱石を最終的な魂の形態とする。行き着くのは鉄でも、それを解き放つ爆発力はルーツにない。
修行し身につけた妖術の一つ、砲撃。

唯一苦手とする動作。火薬の用意に、二秒かかった。

その隙を、七郎・波洵が活かしきれるかどうか。
近接戦闘能力が皆無の、大猿(インコレツジ)という鉄(くろがね)の外装を叩き壊せるのか。

一方で、山猿青介は、地面に窪みを掘って隠れていた。
自分はいわば保険である、と青介は考えていた。
あの五発が身の上を通り過ぎたら、この剣でインコレツジの首を撥ね上げる。
再発射までの間隔を、ずっと見てきた青介だから狙える。
だが、波洵を見ていれば、たぶん大丈夫だという気もした。
七郎は、きっと耐え切るとも思った。だから、二人の心配はしない。
大怪我をしても、この妖怪の世を守ってくれると、思いたいから……いや、思わせてしまうだけの強さと覚悟を、二人は示していた。


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