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895波洵:2012/10/23(火) 16:02:24 ID:IsFf8T.o
>>893

 長い突撃槍が頭蓋を貫いたのを見届けると、
 波洵はそれを勢いよく引き抜き、元の人のような腕に戻した。

「おや、あっけないね。この程度なのかい、お前等の無念とやらは?」

 拍子抜けしたようにせせら笑う波洵。
 最後まで欠片も同情はしない、代わりに完全に拒絶もしない。
 彼女はもっと悪逆で、エゴイスティックな精神によって産み落とされたから・・・。

「私に踏み潰される程度の無念だったらどーってことは無いから、
 次は綺麗さっぱり忘れて生まれて来いよ。どーせ次があっても今のままじゃ大したことはできないぜ?」

 波洵は消えゆく光の粒子に、満面の笑みで中指を立てた。

――

 しばしの後、あくび半分に青助の訴えを聞く波洵。
 どこかうんざりしたような顔で言い捨てる。

「あの程度の妖怪で大袈裟だっつーの。
 未練だのなんだの知らないけど、間引きだとかそんなことしなくても良いだろうが。
 ・・・またあーいうくだらねーのが生まれても、一応見届けてやれよ。
 成長して、生き抜いて、それでもあんなロクデナシになったなら、私に知らせなよ。また踏み潰してやるからさ」

 最後に波洵はニヤッと笑った。

――

 お礼を言う七郎に波洵は少し頬を赤くして、胸を反らせる。

「そーだろ、助かっただろー。
 もっと褒めろ、讃えろ、敬え、この波洵ちゃんを」

 青助の提案に波洵は即答する。

「いらねーよ、そんなもん。
 あんなくだらねー奴相手に怪我するわけないだろ?」

 空元気である。
 波洵の変化による治癒は、怪我のダメージの先延ばしに他ならない。
 消耗した分はじっくり時間をかけて回復するしかないのだ。

「おっけー、また任されたぜ。それじゃいくぞおガキ様」

 十夜の護衛を快諾する波洵。
 大変不安の残る護衛である。


 こうして万から成る一匹の妖怪の呼んだ騒動は終わりを告げた。


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