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投下用SS一時置き場

964私は、誰にもなれないのなら8/21:2006/12/11(月) 20:34:34 ID:nCh3u9QY

…やられた。アレフは敗北を、そしてその後に必然的に訪れる死を悟った。
彼にも素早さを高めるアイテムがいくつか手元にあったが、
完全に意表をつかれ、この時は動けなかった。
走馬灯とでも言うのだろうか、アレフは今までに出会った色々な顔を想起した。
まず初めに浮かんだのは、やはりローラ。幻の彼女に向かって彼は謝罪した。
(ごめん、ローラ。俺は、君を守るどころか、君にまた逢うことすらできなかった)

他にも幾つかの顔が脳裏をよぎる。共に戦った仲間もいれば、剣を交えたライバルもいた。
生きている者、既に逝った者…最後に浮かんだのは…よりにもよって、彼女だった。
(…サマンサ。俺は、君が憎い。だけど、勇者の血を重んじていた気持ちだけはわかる。)
その勇者の血を、俺は…こんなところで…!
でも、もう駄目だ。暗殺者の刃が目前に迫る、その軌道は確実にアレフを捉え、引き裂き
そして死の淵へと彼を飲み込もうとしていた。

しかし、そこで正確無比だったはずの軌道が急激にぶれた
「!?」
ピサロとアレフの間に緩やかな気流が沸き起こる。
暗殺者にとって、これは思いがけぬアクシデントだった。
故にその正確さがために、それた刃はアレフの急所を、心臓を外してしまった。
しかし、ピサロもさるもの。ただでは終わらせず、せめてもの代わりとばかりに
アサシンダガーをアレフの左足に深々と突き刺した。

「うわぁっ!!」
アレフは呻き、バランスを崩して倒れる。死んではいない。気を失ってもいない。
だが、すぐには如何ともしがたい損傷を負ったことは間違いなかった。
ピサロとしては、次は鎖鎌で、今度こそ確実に仕留める行動に出てもよかった。
しかし、彼はそれをせず、一旦大きく退いて間合いを取る。
予期せぬ要素が現れて、あの男を殺すのを妨害したとあっては
下手に暗殺に固執していては、かえってこちらが危険だと感じたのだ。




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