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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』 その2

796遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/23(水) 01:07:14
>>795

 ――スッ   グゥ――zノゥン……

(! っ……これは、感情の鎮静化、かっ。ぐっ……『私』が表に出るのが
危ぶまれる……っ)

多重人格の遊部にとって、他の善に依った人格等を押しのけて出てくる今の
人格は一抹の知らぬ間に、少し危機に陥っていた。

(だが……っ、まだ耐えれる……まだこの程度ならば)

「はぁ……はぁっ! あ、貴方はスタンド使いなんですね。
じ、実は私もで、ある人の治療の為に他のスタンド使いのエネルギーを
収集してて、今日も、使い手を探してたら……襲われてっ」

    ジャリ……

「ヒッ……お、追ってきた……っ」

 湖畔の木の陰より、ヌゥとフードとロープで正体を隠す怪しい恰好の人物が
一抹と遊部より約40m程離れた場所より出てくる。

 『……』 チャキンッ  ザグッ  ザグッ

その人物は、袖よりナイフらしきものを出すと共に大股で貴方達へ近寄ってくる!

797一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/23(水) 06:36:50
>>796
指定なき『鎮静』は『悪感情』全般に作用する。
遊部の狂暴な人格たちにとっては握手できる『電気椅子』だ。確実な『好転』は遊部たちにとっては望むものではないだろう。

(『悪感情』を『鎮静』してるのに怖がる表情。
 この『恐怖の表情』は演技…ッ! 怖がっていない!)

それはそうと近くにある公園のベンチに駆け寄り持ち上げさせる(パス精:BCA)
そのまま『不審者』に向かって突撃。人間を越えた膂力と質量でド突いてぶっ飛ばす。
フードの下に『爆弾』が敷き詰められてようがベンチを盾に防御が可能だ。

「お前は誰のスタンドだ? 誘拐目的にして変です。
 倒される前提で彼女を追いかけて来ましたね?」

遊部を警戒しつつスタンドに問いかける。
何も言わなければ、『慈悲の刃しさ』で斬る

798遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/23(水) 09:08:15
>>797

(この少年の瞳に宿るのは ズバリ 猜疑心!
振る舞いは齢が自身より明確に低いに関わらず歴戦の戦士の雰囲気を
醸し出している! この標的……容易に突出した感情を産むのは
中々困難なようだ!)

君の様子を、遊部は恐怖の仮面を依然作り上げつつ冷静な内側で観察する。

そして敵(フラジール)へと『インダルジェンス』 の力によって持ち上げた
ベンチによる突撃!

(近距離パワー型っ、そして一切の躊躇なき攻撃。だが、然し……!)

   スッ…… カチッ  

  
   ――ビリィ     ――フッ!

! 君(一抹)のベンチが謎の人物に直撃する寸前、その姿が目の前から消える。
まるで瞬間移動したかのように一瞬でだ!

 (……犬用のしつけ首輪、電流流しタイプ)

今、遊部 玲実のポケットにはスイッチを忍ばせている。
そうだ、犬を躾ける為に危険性のない静電気を流すタイプの首輪。

(それをフラジール・デイズの腕に付け、その合図と共に指定している。
急ごしらえだが、この方法は中々良いぞ……
さぁ、少年よ……君はフラジールにどんな感情を覗かせる?)

「き、気を付けて! 私が襲われた時も、そうやって突然視界から消えて
突然現れたのよ!」

 遊部は焦燥した声と共に一抹に注意を呼び掛ける……。

799一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/23(水) 10:17:35
>>798
「やはり、スタンドだったか。超距離型で特殊タイプ。
 服を着ていたからには『実体化』していた?」

「ナイフは脅し。しかし、パワー不足を補う道具。
 今のは『解除』に近いけど『解除』じゃないッ!」

「さては下に隠れてるなァ!!」

とも思うが違う気もする。射程距離の長いスタンドは頑固で途中から行動を変えない。そして、解除などもっての他だ。

「ならば、『再発現』時を叩くのみです。
 お姉さんは私の横に! 背後からは守れないですッ!」

嘘である。隣に置いて監視するつもりだ。
『インダルジェンス』にベンチを振り上げさせて『再発現』する位置に叩きつける。
だが、至近距離に現れた場合は即座にベンチを放棄して殴打、蹴りで対応する。
ベンチの振り上げは敵の接近を誘う行為でもある。

(私は試されている。人によっては『不幸』となろうが
スタンドで抗える私は『試練』と捉えるッ!!)

また謎のスタンドが消えた時に隣から『合図』が聞こえないか注意して聞く。
スマホだとかスイッチなどによる行動で操作しているに違いない。その瞬間を見つけたい。流石に足元での操作ではないはずだ。

800遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/24(木) 09:44:16
>>799(レス遅れ、すみません。もう体調は大丈夫です)

(※PL宛て:  (;´・ω・) 流石に長距離・特殊型看破は現段階では難しくない?)

私は舞台外指定を『彼(一抹)』へ行い……そして指定する演技はメ欄:クラブ:5

こいつは『フーリガン』の『ウー』(※ギャザリングガーデンにて説明が少しあり)
要約すれば自分が挑むスポーツに勝つ為なら反則も躊躇なく行う危険人物だ。

そして、私はウーへと告げたのは……『石合戦』だ!

 『うおおっしゃああっ! ぶっ倒す、ぶったおーすっ!!』

 パシュッ パシュッ パシュッッ パシュッッッ!!

「きゃあぁ!」

 舞台外指定する故に、彼(一抹)には突如、見えない空間よりフラジールに
前もってコート裏に持たせてた砂利、ガラス片などの危険物が飛び込んでくる!
 無暗やたらに投擲してる為、隣の一抹にも投擲物は当たる筈だ!

無論、本体である私にも降りかかってくるが覚悟の上!
 こちらが襲われてると言う事実、彼(一抹)にこちらは被害者であると
印象付ける為には幾らかの傷は承知の上で受ける!

801一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/24(木) 11:03:38
>>800
(公園が遊具以外に隠れる場所無し、長距離を走って来た感じの遊部さんを見て…飛躍しました。すみません)

「事前にガラス片まで用意。近距離戦に自信無し。
 中距離型と言えど離れてはヴィジョン解除は不可能。
 しかし、貴女が疲れるほど追い回せる射程距離」

「近距離パワー型は2m。中距離型は10mとか…
 中距離型なら能力も変わったものであるはず…」

急いで『インダルジェンス』の片手で彼女をベンチ盾に引き込む。
再発現の場所が離れていなければ、多少は近いはず。
ベンチの隙間から『慈悲の刃』で投擲発生源に向けて刺突したいが…

「このままだと貴方に当たるので左右のどちらかに
 飛び出て逃げてください。私は手足が駄目になる
 まで戦いますッ!」

彼女が飛び出ると同時に私も砂をガードしつつ飛び出て逃げる。
それにしても傷つける気なら砂と硝子じゃなく木槌とか弓矢を使えば良いのに…
発現する度に武器を持ち出せるなら物量で戦えばいい。
流石に銃を出してきたら宗像さんとか夕立先輩を呼ばせてもらうが…

(逃げてくる最中に応戦した傷が彼女に無い…
『鎮静』で苦しむような表情を見せたことも怪しい…)

「貴方が逃げ切ったら本体探しに移行するので!」

運悪く失明しても音で何とかしよう。。
この見えたり見えなくなるスタンドは妙に武器を使う。
一応、周囲に本体が隠れていないか探しながら逃げるであろう彼女の様子も探る。

802遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/24(木) 11:25:03
>>801

(さて、今さっき『メ欄:スイッチ合図 自分の傍』にてポケットの
電流首輪の静電気による信号にて私の傍……つまり彼と重なるようにして
私のフラジールは立っている)

傍目には奇妙な絵図だ。舞台指定してる故に干渉し得ないフラジールと
一抹が、粗雑なCGでも見せられてるかのように合体してるような絵面。
一般人が見たら軽く悲鳴を上げそうだ。

(このまま、解除すれば能力による反発で彼とフラジールは弾かれて
中々の強さ(パC)、不意に手で突き飛ばされたぐらいの威力で相互に
飛ばされるが、彼の能力を考えれば再発現された場所を持ってるベンチで
投擲する程度の反撃は考えられる。弾かれて、立ち上がる隙を狙われて
ベンチを投擲でもされたら、結構な痛手だ)

警戒が強い状況だと一々舞台外指定を解除するのは危険だ。

『おい、さっさと再戦だ、再戦再戦再戦んんんっっ』

(演技も継続してるから喧しい……)

電流スイッチで一時的にスポーツのインターバルと認識させてるが
ウーは、興奮気味にスポーツの継続を訴えてる。

 (仕方がない……一時的に、解除!) カチッ

  パッ     ギュゥーンッ!!

舞台外指定解除をポケットのスイッチによる長押しで合図!
それと共に彼(一抹)とフラジールの重なりによる反発が起きて
互いに反対方向へ飛ぶぞ!

803一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/24(木) 12:09:42
>>802
「ググッ…グハッ…!? 何かと私が磁石みたいに弾かれる力が生じているッ!!」

「これは殴打じゃないッ!! ならばッ!」

ベンチを手放して『慈悲の刃』をアンカー代わりに不審者スタンドの足へと突き刺して抵抗(パス精:BCA)(展開のパス:BC)
本体は吹き飛ぶがスタンドだけは『フラジール』の側に無理やり残す。

「何らかの条件で『発現と再発現』が、いや、それだけじゃないッ! 見えてない時の条件があるな!」

「そこの彼女に関連した『何か』。それで出現してる!
 お前を自動操縦型とカテゴライズする…」

「意思持つスタンドだが『さんずさん』より知性が低い
 独り歩きの狂暴なスタンドなら絶対に始末する!!」

残る片手の『慈悲の刃』で重なる不審者スタンドを下から上に切り裂く。
コートの下にある武器だけでも失わせて逃げてきた彼女が死ぬ確率を減らす。

「お前の狙う彼女は怪しいが『正しくない』から助けない理由にならない…!」

こういった時に小林さんが居ると本体を見つけやすい。
だが、彼は癒えていない。彼の分だけ戦ってやる!

804遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/24(木) 22:24:52
>>803

不意の重なり合いの介助、からの干渉不可による弾きあい。
ベンチを離し、インダルジェンスで敵(フラジール)の足に刺す。
その手順は大まかに2工程を挟む為、堅実的とは言えない。

  パッ  ザシュッ!

しかしインダルジェンスの精度は弾きあいと言う想定外の吹き飛びの中でも
乱れる事なく相手に振るえる正確な軌道を保てる! 足に刺すのは適わずも
片足を切りつける程度は出来たぞ!
 それと、距離は1,2m 一抹と敵(フラジール)の間には空いた。
流石に直ぐに追撃とはいかなさそうだ。

 『……フッ   フ ハ ハ ハ』

 『どうやら、思わぬ程に貴様は大物のようだ。
打ち倒せば……あの方も喜びになられよう』

 ! な、何と自動追尾と思われた敵は笑い声と共に知性を伴った
喋りをしてきた!


とは、言え。大したトリックでもない。遊部の電流スイッチの合図により
メ欄:指定 ハート7 『夢想家 デルシー』と言う、特殊な役柄を
喜んで引き受ける役に変更しただけ……今のデルシーは
『大いなる正体不明の悪に仕える刺客』と言う形の役を演じてる。

 『あの方の為にも……貴様の命を貰う!』  タンッ!!

ナイフを翳しつつ、一抹へ敵(フラジール)は突撃する!

805一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/24(木) 23:59:53
>>804
「お前は意識が存在するというより『演技』してるよう
 に感じるよ。時々、噛み合わない感じがして…」

「今だって大袈裟な芝居を見せてくる。
 さっきのオラウータンよりマシだけど」

両手の『慈悲の刃』を最大展開して謎のスタンドの両手を切断し、肘で胸の部分を打って倒れさせる。
果たして『DF』は本体に届いているのだろうか?
逃げられないように謎のスタンドを踏みつける。

「聞いてびっくりして欲しい。私が一番格下だ。
 バランスの良さだけが取り柄のスタンド使い」

「お前を『アリーナ』の『タダヒト』派に引き渡す。
『バイタル』とやらを調べてもらいましょう」

スマホを取り出して『緒方』に電話をしようとする。
私の手に負えない奴だ。本体を探してもらおう。

「あれ? 逃げてきた彼女は…」

戦闘で荒ぶった心を静めようとしながら彼女を探す。
何やらスタンドエネルギーを集めていたらしいが…?

806遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/25(金) 16:35:00
>>805(レス遅れ失礼    感情高まってる?)

 ザシュッ!

「ガフ!! ク   クク お前には……決して……私も、あの方の
正体も突き止める事など出来ない……我々の事を……決して
いずれ……また……貴様たち 街に生きる全てを……」

 ザグゥ!

フラジール・デイズ、デルシーには敗色が濃ければ舌を噛み切って自決し
強制解除(消失)するように予め命じている。(※これは他の人格演技にも)

よって、両腕を切られると共にフラジール・デイズは貴方に謎の組織と言うか
黒幕を示唆して消滅するだろう……。
 あと、ちゃんと遊部は逃げたりせず貴方の傍で恐々と自分のスタンドが
消えていくのを見守っている。

「あ、有難う御座います。き、消えたって言う事はアレはスタンドだったんですね。
また襲ってきそうな事を言ってましたね……」

(さて、一応死闘を繰り広げたのだし。この少年
幾らか興奮して感情が昂っていて可笑しくないと思うのだが、どうだろう?)

「あ、あの。『献血』に、こんな時になんですけど協力して頂いても?」

『緒方』へスマホで連絡を試みようとする一抹に、控えめに協力を要請する。

807一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/25(金) 18:40:06
>>806
「本体を始末できなかったのが惜しい…
 次は絶対に逃がさず抹殺する…ッ!」

消えた不審者スタンドに並々ならぬ『殺意』を垂れ流す。
最後の言葉から『エクリプス』を連想したが…
それにしては『空気』を相手にするような、太門に刺された時の恐怖は無かった。

「『殺意』が無かった。『さんずさん』と真逆の…」

「えっ、あ、はい! 『献血』? 誰かが命の危機に?
 ど、どうやって? えっ、え?」

目の前で少年はパニックになっているが瞳には『フラジール』の足を突き刺そうとした時の『殺意』が宿る。
自分を犠牲にしてでも絶対に『フラジール』を殺る。
その『殺意』が未だに煮え立っていた。

「誰のためか、どうしてか、危険性が無いか。
 これさえ答えてくだされば…」

「ううっ、逃がしちゃってすみません!
 私が弱いばかりに…すみません…!」

口では自分を卑下するが明らかに苛烈な性格だ。
目の前に敵が立ち塞がれば、全力で叩き潰さないと気が済まない。
強烈な『自己嫌悪』からの『憎悪』で精神的に高ぶっている。平謝りで自分自身を痛めつけている姿からして明らかだ。
『両親』について突いていたら『大爆発』していたかもしれない。

808遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/25(金) 22:45:51
>>807

(昂った感情が鎮まる前に血を抜かなければ)

「え、えっと。私の知人が、結構特殊でスタンドエネルギーを一定の数値まで
吸収しないと病気が完治しないんです。
 だから、こちらのスタンド……『フニクリ』さんの生えてる注射器で
貴方のスタンドのエネルギーを分けて欲しいんです。
 本当の献血見たいに、ちょっと一日ぐったりしますけど翌日には
回復するんで……お願いです」

逸る気持ちを落ち着かせ、オドオドと普段のベソの仮面と共に
一抹へ、『献血』を望む。言ってる事は真実だ

(然し、この少年……若いのに関わらず内包する激情は今まで見た
スタンド使いの中で1,2を争う。
 相当、苛烈な経験をしてこなければ、こうはならないだろう)

内心、一抹の宿る瞳の業火に関心を見せつつ労わる調子で続ける。

「し、仕方がないですよ……捕まえられなかったのは残念ですけど
貴方のお陰で助かりました。本当に、有難うございます」

809一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/25(金) 23:55:43
>>808
「それなら私の『インダルジェンス』が役に立つでしょう。二回目の成長も近いから栄養がありますよ」

「私程度がお役に立てるなら…えいっ!」

『フニクリ』が注射器を出したら迷いなく『インダルジェンス』の腕に刺してスタンドパワーを与える。
刺されたり死に蘇った今となっては多少の痛みを恐れることはない。

「私のスタンドは典型的な近距離パワー型です。
 能力は『悪感情』の『鎮静』と無痛の刃が2つ。
 あとは、持続力が異様に高い程度となります」

「『フニクリ』さんは沢山吸ってね!
 私の『鎮静』はヴィジョン特性。常時発動型だから
 血にも能力が付与されているかもしれません」

私のスタンドが役に立てるような情報を与える。
能力をバラそうが『インダルジェンス』に不利はない。
最後に行き着く先は『慈悲の刃』の斬撃だからだ。

「本来は逃がしていけないのです。『不幸』は死ぬまで
 ついてくるので元を根絶やしにすべきです。
 奴の討伐の役に立てない非力を恥じるしかありません」

「本体に情けない…」

810遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/26(土) 10:39:00
>>809(レス遅れすみません、宜しければ次レスで〆ます)

>能力は『悪感情』の『鎮静』と無痛の刃が2つ。
 あとは、持続力が異様に高い程度となります

「へぇ〜、すごい能力なんですね」

(こいつ…………『危険』だ。
『私』 否……『我々』において、ひどく 危険な存在だ)

表面上は、呑気に感心する様子の遊部だが。内心では一抹を『脅威』と判断する。

戦士としてのポテンシャルもさながら、能力は『多重人格』たる負の属性に
偏った人格達が反旗を翻し、統一が出来かけてたのをリンゴ医師を挑発して
ようやく自分達が出てきたのだ。
 今更、こんな子供一人の手で台無しにされるような事は断じてあってはならない。

(やはり……早々に決めねばならない。このまま緩やかに我がフラジール・デイズの
成長を生活の中で千里の道を歩くように地道に進むのか。
 ――または煉獄に堕ちようとも、裂け谷の奥にある力を欲するか)

「あ、自己紹介遅れたけど。わ、私
遊部 玲実って言います。本当に、何から何まで有難う御座います」

ニコッ

「もし、何か困った事があったら。連絡先交換しますので何時でも
相談してください。わ、わたし余り役に立たないけど話ぐらいは聞きますから」

(ただ、少なくとも  ――こいつは、このまま放置は出来ない)

811一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/06/26(土) 11:41:10
>>810
「えっ、知り合い全員の中じゃ下の下ですよ!
 際立った能力が無いから壁役として臓腑を抉られ轢かれ
 たりして大変なんです…」

夕立先輩のような卓越した戦闘技術もなく、様々な状況を切り抜ける氷山先輩ほどの手数も持たない。
その気になれば倒せてしまうかもしれないほど弱い。
『フラジール・デイズ』にも押され気味なほどに。

「でも、殺らなきゃいけないときは絶対に…
 そのために残り『一歩』を…」

2つの刃も驚異となる凄まじい能力を持たない。
しかし、対峙した全員が致命的な傷を負わされている。
誰もが気がついた時には手遅れだった。

「中1に上がり立ての一抹 貞世です。
 連絡先を交換しましょう。またアレが来そうですし…」

まだ仕留める気らしい。敵と見たら執拗に追い回す。
こんな精神のスタンドが成長してしまったら…

「世間話だけじゃなくても悩みとか睡眠不足についても
 任せてくださいね。それしか取り柄がないのですから」

「あぁ、そうだそうだ。治療相手の場所にお急ぎを!
 タクシー代をあげますから! 早く早く!」

ただ、見ず知らずの病人を気遣っているだけだが…
それだけでも不気味に思えるかもしれない。

812遊部『フラジール・デイズ』:2021/06/26(土) 12:02:18
>>811(お付き合い大変感謝。またいずれ宜しく願います)

「え!? タクシー代まで……す、すみません。それじゃあ
お言葉に甘えて」

「うん! 一抹さん、また今後にでもケーキとかご馳走しますからー
ほんとーにありがとー!」

            ブロロロロォ……。

加宮の以前の体調を見れば、残された時間は正直いって一月保たないと
私見で判断した。タクシーに乗り込み、窓より笑顔で手を振り。
 そして、彼女の居る住宅街となる場所で降りて完全に人目が消えたと共に
『私』は表に出た。体の骨を鳴らし、精神を完全に肉体に同調させる。

 「――これで、こちらの準備は整った。
『殺意』・『憎悪』 彼女(赤月)と彼(一抹)より」

 「『フニクリ・フニクラ』……機は熟した。
加宮…………貴様は、何を見せてくれる? 何を得る?」

 「私は…………それが堪らなく待ち遠しいのだよ」

813喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/26(土) 22:12:30
場所ならば『自然公園』、時刻ならば『逢魔が時』。

『17時43分』。

私は『自然公園』のなかの『鈴蘭畑』にいた。
近くにある『小屋』―――
あそこに例の『鈴蘭の少女』が住んでいるのだろうか?

『鈴蘭の少女』は私のことをまるで知らないだろうが、私は彼女のことを知っている。
『過去閲覧』を始めて、そんな関係の人物がすこしずつ増加している。
一方的に他者の過去の『一瞬』を切りとる事に、後ろめたいものがないわけではないが………
それ以上に私は『ビトウィーン・2・エンズ』という魔法に魅入られていた。

『時の変わり目』の木の葉が擦れるような
ざわざわとした気持ちを抱えながら、
私はこの『鈴蘭畑』に包まれるような形で佇んでいた。

814りん『フューネラル・リース』:2021/06/26(土) 23:03:48
>>813
『鈴蘭』のシーズンも、もう終わりを告げるこの時節、『鈴蘭畑』に佇む喜古
『鈴蘭の少女』はいるのだろうか?

―――キィィィ

『小屋』の開く音だ
出てきたのは、件の『鈴蘭の少女』だ

何かチラシのような物を持っている少女
喜古を見つけると、その少女は人懐こそうな笑顔で歩み寄って来た

「こんばんわ〜、おねえさん
 ここで何してるの?」

815喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/26(土) 23:29:57
>>814

―――キィィィ

私が見ているのはいつも『静止画』だ。
だから、『小屋』の扉が『開く』という当たり前の事実に軽い感動を覚える。
そして、扉が開き、そこから出てくるのは、
私だけが一方的によく知った『鈴蘭の少女』だ。

                  「何しているって………そうね」

いきなり話しかけられた事で私は少し狼狽してしまう。

「こんなところに『小屋』があるから、なにかなと思って。
 貴女はここに住んでいるの?」

多少の間をあけたのち、私は少女に率直な質問をぶつけてみた。
『過去再現』では鈴蘭少女の詳細は分からずじまいだった。
まさか『自然公園』の中の『小屋』が、普通の民家のはずはないと思われる。

そこに『住んでいる』という事ならば、
少女の立場がなにかしら『特異』なものである可能性が高くなる。

816りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 07:40:07
>>815
「うん、そうだよ〜
 ここはうちの家だよ〜」

喜古の質問に答える鈴蘭の少女
どうやら『ここに住んでいる』らしい

「ここはね、『花畑』を管理する人の家なんだ
 『花畑』をお世話するっていう約束で、前の管理人さんがうちにくれたんだ〜」

だそうだ
この少女は『花畑の管理』を生業としているのだろうか

「ここにいたら、ずっと『家族』と一緒にいられるし
 それに、何かここにいなきゃいけない気がするんだ…」

畑の『鈴蘭』達を見回して、『家族』という言葉を使う少女
そして、地面を見て寂しそうな顔で『ここにいなきゃいけない』と呟いた

817喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 14:12:26
>>816

 「……………」

           やはり、おかしい。

『鈴蘭の少女』の言葉をきいた私はそう感じる。
この小屋が『鈴蘭畑の管理のためのもの』というのは
ありえない話ではないかもしれない。

ただ、『自然公園』内にある以上、その管理は
それなりにしっかりとした団体が関わっていることだろう。
すくなくとも、このような幼い少女に任せられるものでは到底ないはずだ。

「『家族』―――というのはこの『鈴蘭』のことを言っているようだけど。
 『お父さん』とか『お母さん』なんかと一緒に住んでいないの?」

もしかすると彼女の親が、『管理団体』に所属しているのかもしれない。
その親が不在の際に、少女に『鈴蘭畑』の管理を任せている?

 ………学校も行かせないで?

自分の推理に納得のいかないまま、
私はすでに見知っていた『鈴蘭の少女』の正体を探る。

818りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 14:37:43
>>817
「お父さんとお母さんはもう…
 『枯れちゃった』からいないんだ…」

少女曰く、『枯れた』らしい
人間の『死』を『枯れる』と表現したと、強引に解釈出来なくもないが…

「だからうち、一人で『家族』をお世話しなきゃいけないから大変なんだ
 でも頑張って育てたらみんな綺麗になるし、美味しくなってくれるんだよ!」

目をキラキラ輝かせて『家族を美味しい』という少女
まるで『鈴蘭』を食べているような口ぶりだ

「そういえば、さっきまでお夕飯作ってたんだ
 おねえさん、良かったら食べてかない?
 今日のは自信作なんだ!人間にも食べてほしいな!」

喜古をお夕飯に誘う鈴蘭の少女
何を食わされるか分からない
どうする?

819喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 15:02:00
>>818
「………そうね、それじゃあ頂こうかな」

『鈴蘭の少女』の話はなにかしらが『ズレている』。
端々から感じられる、まるで自身が『人間ではない』ような言いっぷり。
両親がいないらしい彼女がここで普通に暮らせているのがすでにおかしい。
通常なら警戒して、彼女の食事など口にしない方がいいのかもしれないが―――

陽が落ち始めた今の時間帯、ザワザワと蠢く私の精神はそんなリスクよりも、
『過去閲覧』で何度か確認した
奇妙な『鈴蘭の少女』の『正体』を確かめたいという思いに囚われていた。

  「どんな料理なのかな?
         あまいものが好きそうではあるけど」

何気なく放った言葉。言ってしまってから、
これは、『過去閲覧』で『お菓子の差し入れ』をもらっているのを見たから
不用意に放ってしまった感想だという事に気づく。

これだけで、不審がられる事はないとは思うが―――

820りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 15:23:40
>>819
「うん、甘い物は好きだよ
 今朝も友達からお菓子もらっちゃってねぇ
 今日のご飯は、そのお菓子を隠し味に入れてるんだ」

喜古の失言には気付いていない
幼い女の子だから、あまいものが好きそうと判断するのは何もおかしな事ではない
見た目で判断するのは偏見だが

―――キィィィ
「えへへ、いらっしゃいませ」

『小屋』の戸を開け、喜古を招き入れる
中は、この季節の色々な花が飾られており
パソコンや本やゲーム機といった物も置いてあり生活感がある

そして、何やらスパイスの匂いが漂ってくる

「今日のメニューは、カレーです!
 本当は鈴蘭カレーにしようと思ったんだけど、今日は普通のだから人間にも食べられるよ」

821喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 15:43:45
>>820

 「失礼するね」

『小屋』の中にお邪魔する。実際に中に入るのは初めてであり、
せいぜい『玄関付近』しか再現した事がなかったので、新鮮な気持ちで室内を確認する。

中を拝見するに、たしかに実際に暮らしているようだ。
つまり『管理小屋』としては少々不適切とも言える。

「カレーかァ。いかにもおいしそうだけど。

   『鈴蘭』………?

              『鈴蘭』って食べられる花なんだっけ?」

たしか毒があるはずだが、河豚だって適切に捌けば食べられる。
もしかしたら『食用』に品種改良されたものがあるのか………?

 ………いや、そんなことを考えるより、
      もっと『気になること』に直球で切り込んだ方がいいのかもしれない。

「ねえ、さっきから気になっていたんだけど。

  『人間』って言葉を、

  まるで『自分は違います』といったふうに使っているような気がするんだけど、

      だとするならば

                あなたは、いったいなんなの?」

822りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 16:13:39
>>821
『鈴蘭』は全草に毒のある花だ
河豚なんかとは違って、どうやっても人間に食べていい物ではない
大昔には強心剤に用いられた事もあるというが

それより、もっと『気になること』

―――りんが最も聞かれたくない事

                暴いてはいけない事

「…」

カレーをよそう手が止まる

「…違う」ボソッ

振り返り、喜古に笑みを見せて
二人分のカレーをテーブルに置く
―――その笑みには、少しの戸惑い、不安が交じっていた

「えっへへ、何言ってるの?
 どう見たって人間でしょ?
 ちょっと頭から鈴蘭咲いてるけど…それ以外は普通の人間だよ!」

「花じゃないよ…」ボソッ
喜古に聞こえるかどうか、小声で呟くりん

「ほ、ほら、そんな事より食べよう、ねっ?
 この野菜ね、うちが育てたんだよ
 お肉も今朝うちが猟って来たんだ!」

カレーには、この季節の野菜がゴロゴロと入っている
そしてお肉、ちょっと小さめの鶏肉のような物が入っている

823喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 16:32:13
>>822

 「………そうね、カレーを、食べましょう」

『鈴蘭の少女』、『鈴蘭が頭から生えている少女』。
もちろん、ふつうに考えるならば、それは『飾り』だ。

   「おいしそうなカレーだね。これは、なんの肉かな」

          ―――『曖昧』。

昼と夜が混ざりあっているかのように『少女の存在』は『曖昧』だ。
それでも『少女の弁明』が、私をうまく『納得』させてくれれば良いのだが、
話せば話すほど、『少女』がふつうの存在ではないのではないかという疑惑はましていく。

 『鈴蘭』………

少女を特異たらしめている象徴が、頭上の『鈴蘭』だ。
であれば、あれが本当に『咲いている』のかどうか確かめられれば、
『少女』がただ少し変わった、不思議系の『人間の少女』なのか、
あるいはそれ以外、つまり『本当に鈴蘭を咲かせた少女』なのかが分かる。

私の視線は自然と『鈴蘭の少女』の頭上、『鈴蘭』に向けられてしまう。

824りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 17:00:52
>>823
「ふふふふ……
 このお肉はねー…ウシガエルだよ♪」

そう、この肉は食用ガエルの中でも代表的な外来種
『ウシガエル』の肉だ
そのプリッとした肉は、鶏肉にも勝るとも劣らない美味さだ
カエル肉といえば、唐揚げにするのが一般的だ
カエルカレーとはあまり食べる機会の無い珍しい料理かもしれない

「うちの『血』をね、ちょっと小川に流して
 ちょっと痺れてもらうんだ
 そうするといっぱい猟れるんだよ」

古来より『根流し』という
人間には無害な毒を撒く事で魚を麻痺させて捕まえる漁の方法があるが
この少女はそれに似た事を『自らの血』で行ったという
もしもそれが本当だとしたら、やはりこの少女

―――『普通の人間ではない』

「いただきまーす」
パクッ モグモグ

「うん、やっぱり美味しい!
 奮発して良い水使った甲斐があるよぉ
 隠し味のチョコレートも良い味出してるよ」

頭部の『鈴蘭』を揺らしながらカレーを食べる
『鈴蘭』は見れば見るほど、本物にしか見えない
『鈴蘭』独特の香りも漂っている

「あ、そういえばまだ自己紹介してなかったね
 うちは『りん』って言うの、おねえさんは?」

自らの家に招き入れ、食事を共にするのだ
お互いに名前くらい知っておきたいだろう

825喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 17:21:56
>>824

  「う、ウシガエル………」

なんにせよ、とりあえず食べてみようかと考えていた私の手は止まる。
『カエル』………食べられるものもあると言うが、
それは専門的な知識の手できちんと処理した上でのことだろう。
『鈴蘭の少女』にそれだけの知識があるかは正直、疑問だ。

そして、『血を流して痺れさせてもらった』というさらなる不審な発言。

      私の『疑い』は、『確信』へと変わりつつある。

 とはいえ、

  『過去閲覧』で見た、見事な『竪琴』をかき鳴らす姿。
              他の少女と仲むつまじく交流する姿。

 それらを思いかえすと『鈴蘭の少女』を信じてあげたい気持ちも浮上する。

 「『りん』………『りんちゃん』ていうのね。

  私は、『喜古(きこ)』。

   コがつくから名前と勘違いされやすいけど、これは苗字」

私は、名乗る。
たしかに招待されたのだから名前くらいは知っておきたい。

 ・・・・・・・・・・・・・・

  「それで、『りんちゃん』。

    その頭の『鈴蘭』のことだけど、

                  それってホンモノなの?

     ホンモノだって言うのなら、『触ってみてもいい』?」

  そして――――『疑う心』と『信じる心』。

二つの『心の変わり目』に翻弄された私が出した答えは、
           『率直に思いを伝える』という事だった。

826りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 18:01:24
>>825
「はえ^〜喜古さんって言うんだ
 ちょっと珍しい、かっこいい苗字だねぇ」

そんな毒にも薬にもならんつまらない
呑気な感想を言うりんだが

>『触ってみてもいい』?

「!」

喜古のその言葉を聞いた途端、顔を強張らせ頭を抑える

「あ、あぅ…」

何か怖い思い出を思い出すようにカタカタと震える

「…ちょっと怖いけど、喜古さん優しそうだし…
 いいよ?あ、でも、絶対に抜かないって約束してくれる?」

少し怖がりながらも、『鈴蘭』に触れる事を許可する


『鈴蘭』は触るだけでも毒があるから気を付けよう!
触ったらすぐ手を洗う事、触った直後に食べ物を食べない事!

827喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 21:06:23
>>826

「『抜かない』………

                       うん、わかったよ」

私はテーブルの椅子からゆっくりとたちあがり、
『りん』と名乗る『鈴蘭の少女』に近づく。

じつは、この『頭上の鈴蘭』、私はすでに観察したことがある。
『魔法使いの過去再現』ならば、いくら近づいても誰にも咎められる事がないからだ。

ただし―――その『花』にふれることはかなわなかった。
すべての事柄に『ルール』があるように、魔法使いにも『ルール』がある。

            「じゃあ、ちょっとさわらせてもらうね」

『りん』の態度から、本心では彼女があまり『鈴蘭』に触れてほしいのは理解できている。
しかし、私はそれでもなお、自らの『探求心』を満たすために彼女の『鈴蘭』に触れるつもりでいた。
『過去を知る事ができる』私の能力は、こんな私のひどく貪欲な『好奇心』を具現化したものなのかもしれない。


     ス ゥ ………


             そして、ふれる。

   ・・・・・・・・・・

今までさんざん観察したかぎりでは、『りん』の言う通り、
本当に『咲いている』としか思えない『精巧さ』だった。
そして、すこし触れただけでは結局のところ、
『観察しているだけ』とさほど変わりはないだろう。

つまり、それは『曖昧さ』から逃れられないということ。

                    ・・・・・・・・・・・・・・

  「ちなみに―――

              『抜いてしまうと』

                             どうなるの?」


        『過去を知る事ができる』能力をもつ、
         私の『好奇心』は、ひどく貪欲だ。

828りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 21:40:11
>>827
実際に触ってみると分かる、『本物』の感触
魔法使いの見せる映像越しには分からない、この手触り、匂い、紛れもなく『本物』だ
そして、完全に『頭部と融合』している事が分かる

一体この存在は『何』なのだろうか?
『人』なのか、『花』なのか、一体どちらなのか?
まさしく『曖昧』な存在だ

>『抜いてしまうと』
>どうなるの?
「…」

あの痛々しい記憶を思い出しながら
りんは静かに語る

「…あのね、前にね、抜けそうになった事があるの…
 頭が凄く痛くて、怖くて、もう、死んじゃうのかなって思った…
 きっと、この『鈴蘭』は…
 ―――うちの『命』
 なんだと思う」

829喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 21:58:22
>>828
「『命』………」

 つまり、これを抜くと『死んでしまう』というわけか。


 ・・・・・・・・・・・・・・


本当は引っ張ることで『最終確認』したかったが、
万が一にも抜けてしまった場合、
『りん』の命が失われてしまうというのならば話は別だ。
触れるだけでも得られる情報もあった事だし………

「ありがとうね………本当に。

     たしかに、あなたの頭から『鈴蘭』は生えているようね」

         そう言って私は『鈴蘭』から手を放す。

                そして―――

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「そうだ。『りんちゃん』、あとひとつ、お願いがあるの。

   『竪琴』、あなた、弾けるでしょう?

               ぜひ、それを聴いてみたいな」

私は、完全には満たされなかったわずかな『好奇心』を、
もうひとつの欲求を解消する事で満たす事とした。
『鈴蘭の少女』を初めて観測した時に確認した『竪琴の演奏』。
あの音色をぜひ聴きたいと思っていたのだ。

『なぜ竪琴のことを知っているのか?』と不審がられるかもしれないが、
『鈴蘭畑』でおおっぴらにやっていたこと。
『見た』と言えば、否定できるものではないだろう。

830りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 22:28:04
>>829
「うん、弾けるけど
 喜古さん、何でうちが『竪琴』弾けるの知ってるの?」

やはり出て来る疑問
このくらいの歳で、『竪琴』を弾ける子供などあまりいないだろう

「あ、ひょっとして前に弾いてたの見られちゃったかな?
 へへ、何かちょっと恥ずかしい…」

照れ顔で頭を掻いて

「いいよ、聴かせてあげるね
 『新しい友達』のために」

そう言ってりんは、奥の部屋から『竪琴』を引っ張り出して来た

「ご飯の途中だけど…
 外に出ない?『家族』にも聴かせてあげたいんだ」

『鈴蘭畑』での演奏が望みのようだ
魔法使いの見せたあの光景が、現実で見られるかも知れない

「喜古さん、何かリクエストってある?」

831喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 22:41:17
>>830

 「そうだね、ちょっとだけ『覗き見ちゃって』。

                 なんだか、ごめんね」

 『覗き見』の方法は言っていないので、嘘ではない。

   「外で聴けるなら、その方がいいな、私も」

あの時の『再現』。弾く姿だけで聴けなかった
あの『音色』が聴けるのはありがたいことだ。

「リクエスト? レパートリーはたくさんあるの?

         いつも弾いているのがあれば、それでいいよ」

どんな曲を弾いてくれるにしても『あの時』、
弾いていたものだと信じる事としよう。

準備ができたのなら、『りん』とともに『鈴蘭畑』へと出る。

832りん『フューネラル・リース』:2021/06/27(日) 23:13:19
>>831
外はもう、暗くなってきた頃だ
『鈴蘭畑』の中心に座る、鈴蘭模様の白いワンピースを着た少女
観客は喜古、そして『鈴蘭』達

「じゃあ、聴いてください
 うちの大好きな曲」

―――ポロロン
       ―――ポロロン…

その旋律は、大好きな『家族』のために優しく
この下にいる『誰か』を慰めるかのように切ない鎮魂歌のように
まさに、『あの時』の再現
そして

―――ポロロン♪

『新たに出会った友達』のために、楽しく
彼女は、『音』を奏でる事を『楽しんで』いた

月明りに照らされる鈴蘭の少女の竪琴の音楽会
今宵は、『喜古』のために奏でられるのであった

833喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』:2021/06/27(日) 23:54:34
>>832

外に出て、『鈴蘭の少女』、りんが『鈴蘭畑』の中心に座る。
『竪琴』を持ち、『鈴蘭』達の中央に座るその姿はまさしく、
私が垣間見たあの『過去』の再現となっていた。

違うのはただひとつ、
私という存在が、リアルタイムで彼女の『コンサート』に参加していることだ。
もうすっかり陽は落ち、私の心の不安定さも落ちつきを取り戻しつつある。
さきほどは『りん』に悪いことをしたかもしれない、と反省しつつ、
彼女の『演奏』に真摯に耳を傾けることを『謝罪』に変えようと心に決めた。

―――ポロロン

        ―――ポロロン…

『りん』の口上にかるく拍手をし、私は『演奏』を見守る。
予想どおりの、いや、予想以上に美しい音色に、私は心奪われていく。

 ―――ポロロン♪

音を楽しむ月夜の『音楽会』。
『過去』に潜り、さまざまな風景を見るのも心踊るが、
そこからさらに深く、『現在』を楽しむのも悪くない。

『鈴蘭の少女』は真に『頭から鈴蘭を咲かせた少女』だった。
そしてとびきり『竪琴の巧い少女』でもあった。
今日の収穫は、それだけだが、それだけで十分だ。

 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●

ひとしきり、彼女の『独演会』を楽しんだあと、
私はそのままお暇することとした。
彼女の『竪琴』はすばらしかったけれど、
それと『カエルカレー』を食することはまったく別の問題だからね。

834村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/06/29(火) 20:01:16
ピカッ!

夜闇を懐中電灯の光が引き裂く。

ガツ ガツ!
        ググッ!

「ライト良し。ブーツ良し。手袋良し…と。
道具もこれだけあれば十分だろ。面倒なのに絡まれねえうちに済ませよう…」

835村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/07/01(木) 19:27:17
>>834

 「ポイントに目星はつけてある…待ってろよ…」

 「『オオクワガタ』…!」

そのまま勢い勇んで駆け出し、夜の雑木林の中へと消えていった…

836宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/05(月) 18:38:36

      ザッ ザッ ザッ

かつて俺には『生き甲斐』があった。
それを失った時、俺の心には『別の目的』が生まれた。
『目的』を果たした今、俺には何も無くなった。
残っているのは、漠然とした息苦しさだけだ。
それでも俺は生きている。

      ザッ ザッ ザッ

今の俺に、生き甲斐と呼べる物は無い。
しかし、自ら命を絶つ権利も無い。
生きる理由が無くとも生きなければならない。
現世という『地獄』の中で、最後の瞬間まで苦しみ続ける。
それが罪を犯した者の『義務』だと解釈している。

      ザッ ザッ ザッ

今の俺には『仕事』が全てだ。
仕事をしている時だけは、
自分が生きている事の無意味さを忘れられる。
だが、『休日』は仕事が無い。
仕事が無い日は『やる事』が無い。
そして、俺は『何か』を探しに出掛ける。

      ザッ ザッ ザッ

『何か』というのは文字通りの意味だ。
『時間潰し』と呼ぶ事も出来るかもしれない。
恐らく、そこに大した違いは無いのだろう。
『それ』が見つかるかどうかは分からない。
ただ、俺が歩いているのは、
ここで『何か』を見つけようとしているからだ。

      ザッ ザッ ザッ

837赤月『サクソン』:2021/07/06(火) 22:23:06
>>836

「・・・・・・・・。」

何をするでもなく歩き続ける宗像の前方に
清月学園中等部の学生服を着た少女が立っていた

少女は右手に何かの紙切れを持ち、左腕には包帯が巻き付けられている

「む・・・・」

     ビュオオオオォォォォ・・・

訝しげな表情でしばらく紙切れを眺めていたが、
そのうち風に攫われて紙切れが宗像の方へと飛んでいく

その『紙』にはこのような『文章』が書かれていた

『星見町いのちの電話ホットライン』・・・・そしてその連絡先だ


       じわ・・・・

よく見ると左腕の包帯には微量ながら、赤い血の様なものが滲んでいた

838宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/06(火) 23:18:59
>>837

『塀の中』の生活は、
『世間の流れ』から隔絶された環境だった。
外に出た時に、自分が『取り残されている』事に気付いた。
俺の時間は止まっていた。
だが、世界は変わり続けていた。
そして、『俺が知っていた世界』は既に無い事を理解した。

          ザッ

だが、中には変わらない物も存在した。
それが足を止めた理由の一つだった。
同時に、別の理由もある。
俺は『何か』を探し、そして『何か』があった。
そういう事だ。

           スッ

飛んできた紙を拾い上げ、
手の中にある『それ』を『持ち主』に差し出す。
同時に、『左腕』に巻かれた『包帯』に視線が向いた。
滲んでいる『血』が見えた。
ある程度の『予想』も立てた。
だが、『事情』を知らない人間に口を挟む義理は無いだろう。

その時、俺が『左腕』から目を離せなかったのは、
『スタンドの左腕』から『血』を採られた出来事が、
頭の中に蘇ってきたせいかもしれない。

839赤月『サクソン』:2021/07/06(火) 23:38:35
>>838

「すまない・・・『ゴミ』が飛んで行ってしまったみたいだ
 拾ってくれてありがとう」

『紙切れ』を持ち主に返すと、その少女は素直に礼を言った
『こういった』事情を抱えているとは到底思えない程、さっぱりとした表情だ
後ろめたい感情はあまり感じられない

左手に視線を向けるも、何の変哲もない包帯が巻かれているだけだ

「そうだ、ここで会ったのも何かの縁・・・・君に一つ聞きたいことがあるのだが
 『これ』は一体何の連絡先なんだ・・・・?
 『いのちの電話』とは・・・? 何かの暗号の様なものなのか?」

840宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/07(水) 00:21:40
>>839

「いや、大した手間にはならない」

それを『ゴミ』と呼んだ事から、
元々の持ち主ではない事が分かった。
俺と同じように拾っただけなのだろう。
『偶然』にしては妙に合致しているようにも思えるが、
そういう話もあるのかもしれない。
いずれにせよ、俺が口出しする事では無い。
それだけは確かだ。

「『自殺』を考える人間を思い留まらせる為の広告だ」

一瞥した感想を口にする。
おぼろげな記憶の中に、これと似たような内容があった。
もっとも、利用した経験は無い。

「『恐らくは』――だが」

記憶は永遠ではなく、使われなければ薄らいでいく。
同じように、俺の知識は錆び付いている。
答えてはいるが、
この説明が間違っている可能性は否定出来なかった。

「何処で見つけた?」

この質問そのものに意味は無い。
ただ、俺は『何か』を求めていた。
敢えて尋ねたのは、その為だ。

841赤月『サクソン』:2021/07/07(水) 00:36:56
>>840

「『自殺』・・・・なるほど、だから『いのち』なのか
 しかし、電話番号を記す事が何故、『自殺』を止める事に繋がるのだろう?
 ・・・・・わからない」

受け取った『紙切れ』の文面をやはり、しげしげと眺めながら
心の底から不思議そうな顔でそんな事を呟く

文面の内容や筆跡など、日の光に透かしたりしながら眺めていると
宗像から質問の言葉が投げかけられた

「『トレーニング場』・・・・だ
 学校の学生寮の裏手にあまり使っていない空き地があったから、
 勝手に『トレーニング場』として使っていたのだけど・・・・ある日、突然こんな紙が落ちていた」

「私以外に人を見かけた事がないから、てっきり私宛の手紙かと思ったけど、
『自殺』を思い留めさせるための連絡先なら、違うか」

842宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/07(水) 01:32:56
>>841

「『それ以外の解決策』を提示する為だろう」

別の道を示したとして、最終的な決定権は当人自身にある。
他人には決められない事であり、決めてはならない事だ。
『他人の命の処遇』を決める行為は、
決して許される事では無い。
『殺し』に『殺し』で応じた瞬間、俺も奴と同じ存在になった。
そして、『生きる理由』を失った。

「『その場所を使っている人間』が他にもいたか――」

「あるいは『風』で飛ばされてきたか」

「――考えられる可能性は、それぐらいだな」

『目の前の少女』に宛てた。
客観的には、それが最も妥当な解釈だろう。
『他の人間を見かけていない』という点と、
『血の滲んだ包帯』が裏付けとなっている。
これを置いた人間は、
この少女が『自殺』を考えていると思ったのかもしれない。
だが、同時に疑問も浮かぶ。

俺は、この少女が『紙』を手にしている所を見かけ、
『その可能性』を考えた。
だが、『紙を置いた人間』は、恐らく違うのだろう。
『紙を手にしている所』を見てはいない筈だ。

『包帯を巻いている人間』を目にして、
『自殺の可能性』に思い至る人間は少ない。
『紙を置いた人間』がいたとするなら、
何故『その可能性』を考えたのか。
例えば、自分で自分を傷付けている姿を見たのなら、
そう感じるのも自然かもしれないが。

「差し支えなければ聞かせてくれ」

「『トレーニング』というのは、具体的に何をしているんだ?」

843赤月『サクソン』:2021/07/07(水) 18:38:55
>>842

「『それ以外の解決策』・・・・
 『自殺』を選ぶほどに強い決断が人と話すくらいで変わる事がある・・・のか?
 ・・・・・・・私にはわからない」

腕を組みながら目を瞑り、不思議そうに唸りながら考え込んでいる
本当にその人間の気持ちがわからない、といった様子だ

「ああ、最近は早朝の日課にしているんだ
 走ったり、飛び跳ねたり、力を鍛えたり
 基礎訓練は何をするにも重要な事、らしいからな」

そう話したところで、宗像の視線に気付く
彼はどうやら左腕の『包帯』を見ていたようだ

「ああ・・・・これは少し、ちょっとした『トラブル』があって」

844宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/07(水) 20:21:51
>>843

「分からなければ掛けてみればいい」

淡々とした口調で簡潔に答える。
恐らくは、それが最も簡単な方法だろう。
俺も利用した事が無いのだから、他に言いようが無かった。

「『体調』は万全にしておくべきだろうな」

『妖甘』と『道具屋』の依頼で、
『エクリプス残党』の『下村右京』を殺した後の、
『七ヶ月』の入院期間を思い出す。
体が動かなければ『仕事』は出来ない。
仕事が出来なければ、ただ『無意味な生』があるだけだ。

「――『トラブル』か」

ここまで淀みなく喋っていた人間が、話をぼかした。
だからどうだとは言わない。
俺には関わりの無い事だ。

「俺が君なら『トレーニング』は程々にしておく」

「『訓練』は『本番』に備える為にある」

「いざという時に体が動かなければ意味が無い」

『包帯』を見ながら、誰に言うでもなく言葉を紡ぐ。
あの『紙』を置いた人間は、
あるいは『何か』を見たのかもしれない。
そして、『それ』は事実なのかもしれない。
だが、俺に誰かを諭す権利は無い。
俺に言えるのは、ただの『独り言』だけだ。

845赤月『サクソン』:2021/07/07(水) 21:26:55
>>844

「用もなく電話を掛ける事を『いたずら電話』というのだろう?
 流石の私も、そのくらいの常識は弁えているよ」

ほんの少し非難がましい視線を宗像へと送る
まあいいか、と一言呟いて『紙切れ』をポケットの中に仕舞った

「う・・・・それも、そうだな・・・・
 やり過ぎてしまっては、本当の『戦い』に差し支えてしまう
 ましてや、こんな事・・・・ あれ以降、奴は現れていないし・・・・」

ばつの悪そうな顔で左腕を眺める
後半部分はほとんど囁くような小声でつぶやいていた

846宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/07(水) 22:16:37
>>845

『常識』という言葉。
少女が放った『それ』が耳に響いた。
思いがけず大きな響きだった。

「あぁ――」

「そうだな」

その一言で気付かされた。
俺は自分が考えていた以上に、
『常識』という代物に疎くなっていたようだ。
理解していたつもりだった。
だが、実際には遥かに大きかったらしい。
『塀の中』で過ごした時間の重さを、
改めて思い知らされる。

「俺は多くの事を忘れている」

「これも『その一つ』らしいな」

その言葉は、自分自身に対する呟きだった。
今後、『それら』を思い出す機会があるのかどうか。
俺には分からない。

「――『戦い』を控えているのか?」

少なくとも、今の俺にとって重要なのは一つだけだった。
空虚を埋めてくれる『何か』だ。
こうして『他愛の無い会話』を続けている理由は、
それ以外に無い。

847赤月『サクソン』:2021/07/07(水) 22:52:40
>>846

「不思議な事を言う人だ
 私からしてみれば、君の方が多くの事を知っているように見えるのに・・・」

実際、赤月にとってはつい最近になってようやく、世の中の事を知り始めたばかりだ
自分よりも遥か先を行く『先達』が、そんな事を言う理由も、
彼女はまだ知らないし見当もつかない

>「――『戦い』を控えているのか?」

「・・・・・・そうだ
 私の全てを懸けて、やろうと決めた『戦い』がある
 止めるわけには・・・・いかない」

口元をキッと固く結び、表情が固くなる
人生経験も、知識も乏しいが、決意だけは確かなのだ

848宗像征爾『アヴィーチー』:2021/07/07(水) 23:18:58
>>847

「『全てを懸けて』――か」

「何処かで聞いた言葉だな」

『古い記憶』が脳裏を過ぎる。
それは、その時の俺自身が思った言葉だった。
これも偶然か。
あるいは単なる思い過ごしか。
この少女の詳しい事情は知らないし、
仮に知っていたとしても俺に言える事は恐らく少ない。

「『終わった後』の事も考えておく事を勧める」

         ザッ

「『その余裕があれば』の話だが」

会話を切り上げ、踵を返す。
『全て』を懸けて『全て』を失った。
『愛する者』も、『憎むべき敵』も、そして『自分自身』さえも。
俺には何も無い。
何処までも続く『無間地獄』を除いては。

「――俺には『考える余裕』が無かった」

その言葉を残し、湖畔から立ち去っていく。
だが、少なくとも『何か』は見つかったようだ。
今の俺にとっては、それだけが『ただ一つの救い』だった。

849赤月『サクソン』:2021/07/08(木) 00:09:21
>>848

「『終わった後』・・・・?」

それは・・・今まで考えた事もない言葉であった
いや、むしろ考えたくもない言葉・・・・と言ったところか
全ての事柄を終え、『復讐』を果たした自分に残るものがあるなんて、思ってもなかったからだ

そんな事を考えていると、言葉を残した男は去って行った
やはり、不思議な印象を受ける男だ、と赤月は思った
そこにいるのに何もなく、未来のようで過去である、ぼんやりとした印象だ

「『終わった後』・・・・」

本当の所、この町に来たばかりの赤月には『復讐』以外のものなど存在しなかった
『兄』の存在は自分の全てであり、それを奪った者への『復讐』こそが生きる理由であった
だが・・・・・

「後か・・・・」

『復讐』を果たした後に、自分に何が待っているのかを考える
報復として殺されるかもしれないし、司法の手によって捕らえられるかもしれない
そうなった時、かつての自分と同じく悲しむ者達の顔が思い浮かんだ
この町に来て、初めて出来た『友達』と『恩人』の顔だ
・・・・・その姿を思い浮かべると、お腹の奥の方が少しだけ重くなった

「・・・・・・・・・。」

どうしようも出来ない気持ちを抱えたまま、寮へと帰って行った
ポケットの中の紙切れを握りしめ、この気持ちも誰かに相談すれば別の何かを教えてくれるのだろうか、と
とりとめのない事を考えながら

850円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/10(土) 00:22:48

パンダのような柄の帽子を手に、
バス停のベンチに座っている。

「…………」

今日も市内のスケートリンクに行くためだった。
フィギュアスケートを始めてから月日は経つ。
セララは特別に優秀な選手というわけではないが、
特に辞める理由もないので、ずっと続けていた。

        クルクルクル

手先で帽子を回しながら、バスの来る方の道を見る。
バスが来れば良いし、別の気になる何かでも良い。

851衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/10(土) 18:27:11
>>850
ド サァ ッ

「暑いな…今日は…」

バスを待つ円谷の隣から影が差した。
少し隙間を開けて、隣に人が座ったらしい。

ズオ ォ ォ  ォ …

目をやると、座っている今でさえ円谷からは見上げるような体躯が目に入るだろう。
大きなクーラーボックスを肩にした、スキンヘッドにサングラスの壮年の男性だ。

852円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/10(土) 18:58:10
>>851

「ねーっ、ほんとほんと! 暑すぎですよー!
 ついこの前までは涼しかったのにさー、
 びっくりしちゃいますよネ、あはーっ!」

話しかけられた、と解釈し、
帽子を被り直して男を見上げた。
猫のような目を細めて笑っていた。

「おじさんは釣りの『帰り』とかですかー?
 あたしは、習い事しに行く『行き』の方でーす」

時間帯としては半端だった。
つまり行きの人間も帰りの人間もいるくらいの頃だ。

853衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/10(土) 19:26:58
>>852

「!」

「いや、僕は…『帰り』だ。
街の外の『漁港』で食材をたっぷり買って…その帰りだよ。」

口端を歪め、ぽんと戦利品の入っているであろうクーラーボックスを叩くと、クーラーボックスが僅かに震える。
中のものはまだ生きているらしい。
サングラスで定かではないが、おそらく笑っているのだろう。

「蒸し暑いのならまだいいのだけどね。
日差しが強いのは辛くてね…この頭だからかな。」

854円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/10(土) 20:17:00
>>853

「あーっお買い物だったんだ!
 間違えちゃった、間違えちゃった。
 お買い物お疲れ様でーす」

        ペコ

「あたしは蒸し暑いよりはこっちの方がマシかも!
 そろそろ夏が来るんだーって思いますしー。
 蒸し暑い時も、ジュース飲むといつもより美味しいけど」

父親の友達が釣った魚を持って来る時、
クーラーボックスに入れていたのだ。
よくあるというわけではないが、
それは楽しい記憶なので、覚えている。

「あははーっ、そっか! 直射日光だもんねー!
 おじさんって面白ーい!
 でもでもちゃんと似合ってますよー。あはーっ!」

自分から頭髪のことをネタにするなら、
セララとしても迷わず乗れるものがあった。
ひとしきり笑った後、クーラーボックスを見て。

「すっごいたくさん入ってそーだけどー、
 バーベキューでもするんですかー?
 あたし、バーベキューで焼く大きいエビ大好き!」

         「それともぜーんぶお刺身?」

855衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/10(土) 20:31:29
>>854

  「ふふ。こういう季節ばかりは髪の毛が恋しいよ。日焼けも結構困るんだ。」

丸めた頭をつるりと撫でる。
スキンヘッドの手入れもなかなかに面倒なのだ。
 
  「半分は自分で食べるつもりだけど、もう半分は『教材』だ。
  刺身でも、煮つけでも、唐揚げでも・・・何でも美味しいし、一年を通して水揚げがあって味が落ちない。
 『教材』にはもってこいの食材だよ。」

 「数をさばくから、練習にもちょうどいいんだ。」

856円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/10(土) 20:56:31
>>855

「あはーっ! ですよねーっ!
 だってあたしでもお日様強くって困りますもん!
 あ、日焼け止め持ってるけどいる?」

        ゴソ

「これシュッてしたら全然日焼けしないですよ!」

塗り直し用に持っている小さいUVスプレーを、
置いていた鞄から取り出して見せた。

「へーっ、キョウザイ? 教材……
 あ! もしかしてー、お料理学校の先生ってコト?」

     「生徒さんの練習用、でしょー!
       どうどう? 当たってますー!?」

他には中にエッジケースやタオル、ティッシュ箱、
エッジカバーのついたスケート靴等が見える。

ともかく、身を乗り出して『衣笠』に笑顔を向ける。

857衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/10(土) 21:10:27
>>856

 「おや、当てられてしまったか。
 一応、社会的には『家庭料理研究家』と言うことになっているけれど」

 「おかげさまで、自分の『料理教室』を持ったんだ。
 この見た目のせいかな…大繁盛とは行かないけれどね。」

言葉少なながら、男の語気が少し弾んだ。

 「君は…『スケート選手』かな。
 なんにせよ、若いうちに身体を鍛えるのは良いことだ。
 健康であってこそ、日々を楽しく過ごせるのだからね。」

858円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/10(土) 23:34:08
>>857

「うそーっ、正解!? あたしすごいすごーい!
 でもでもー、おじさんもすごいですよー!
 人にお料理教えるって、なんかかっこいーっ!
 見た目もあたし、プロっぽくていいと思いますけどねーっ」

     「生徒さん、たくさん来るといーですネ」

父親も母親も料理は好きなのだが、
本格な『料理人』というわけではない。
手伝うセララも、もちろん違う。

「あはーっ、選手ってほどじゃないですよー!
 パパとママのおかげで昔からやってるから、
 ちゃんと滑れはするしー、あたしすっごい元気でーす」

セララはいわゆるトッププレイヤーではない。
両親も特別にはそうあることを望んではいない。
やりたいと言ったから、やらせて貰えてる。
やめたいと言えば、それも、叶う事なのだろう。

「あ! おじさんおじさーん、家庭料理ってことはー、
 肉じゃがとか、焼き魚とかが上手ってコト?
 それともそれとも、外国の家庭料理とかも知ってたりしますかー?」

    「前にママがインド料理ブームだったんですけど、
     作り方分かんないのとか、結構あったらしーんですよネ」

859衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/11(日) 00:02:17
>>858

 「うん。そんなところだね。
  どこの家庭でも手に入るものを使って、どこの家庭でも作れるように簡単に、可能な限り美味しく作れるように…
 そういう教室だよ。」

良い食材を調理して美味しいものが作れるのは当然。
では調理師の腕の見せ所はどこなのか?
衣笠はこれについて「手際」…つまりいかに「簡便にするか」だと考えていた。
本来手間のかかる処理を簡単に。時間のかかる工程を可能な限り短く。特殊な器具が必要な捌きを簡易に…
それにこそ、『技術』を傾けるべきだと考えていた。

 「それにしても、君のその愛嬌は好ましい。
 …ぼくも見習わないとな。このままじゃ『ブルース』にも申し訳ないからな。」

860円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/11(日) 00:46:28
>>859

「へーっ!? いがーい! そういう感じなんだー!
 お料理教室ってー、上手なお料理を教えると思ったけど、
 普段作るお料理を教えてくれるんですねー!?」

      「そーゆー感じだったら、
       生徒さん集まりそーなのに!
       お仕事って難しーっ。大変ーっ」

感心しきりのセララは、
大きな身振りで驚いた。
だから通います、とまでは言わないが……

「えーっ! なになに!あたしすっごい褒められてる!
 愛嬌って、カワイくて良い子って事でしょー!?
 しかも好ましいって! あはーーっ、ほんとー!?」

          ニコニコニコ

「あたし、これっくらい嬉しいでーす! ほんとですよー!」

満面の笑みで両手を広げて、喜びを表現する。

「あたしはおじさんも良い人だと思いますよー!
 褒めてくれるし、お話分かりやすいしー。
 『ブルース』さん?ってヒトもきっと、
 おじさんのこと怒ったりしてないですよー!
 だいじょーぶだいじょーぶ、あはーっ」

「あ、でもおじさんはカワイイ系ってよりは渋い系ですよネ」

861衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/11(日) 01:19:28
>>860

 「『だからこそ』なのかもしれないよ。
 お金を払って普段と変わらない料理を学ぶなんて馬鹿らしい・・・そう思う人もいる。
 ただでさえ近年は技術が進歩して、そこかしこに情報があふれているから。
 ぼくの教室に来なくても、学べることはたくさんある。」

 「とはいえ逆もまた然りだから、ぼくの教室はぼちぼちやっていけているんだけど。」

悲観的なセリフだが、言葉の調子は暗くない。
むしろ高揚感を感じさせる、力強い口調だ。

 「でもね、これがぼくの夢だったんだ。
 祖父母が父母に、父母が子供らに教えるように、『技術』をぼくの手から伝え、残していくこと・・・
 それが『ブルース』に、20年来の友達に報いる唯一の方法だと思ってね。」

 「少し遅くなったけど、これからがぼくの『羽ばたくとき』なんだ。」

にこりと笑って、誰へともない『宣言』を口にする。
すると、アスファルトの陽炎の向こう側から『バス』がやってきたようだった。

862円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/11(日) 01:40:14
>>861

「あーっ、そっかそっか!
 Youtubeとかにお料理の動画たくさんあるもんネ。
 あたしも目玉焼きとか作るとき、
 そーゆーのけっこう見ちゃいまーす」

セララ一人で本格的な料理はしないが、
ちょっとしたことをする時には役立つものだ。

「あ! ねえねえ、いーこと思いつきましたー!
 おじさんもYouTubeとかに投稿したら!?
 お料理教室の先生だしー、見た目も目立つし、
 もしかしたらバズるかもですよ! あはーっ!」

   「そしたら生徒さん増えるかもですし!」

などと言っていると、バスが見えた。

「あっ、来た来たー。
 あれ、あたしが乗るバスでーす。
 おじさんもあのバス? 違うバス?」

鞄を背負い直して、バス停のそばに立つ。
バスがウィンカーを灯し、ゆっくりと停車した。

「じゃあじゃあ、あたし行きますね!
 あ、そーだ、あたしセララって言いまーす。
 セララちゃんってみんな呼んでる!」

        ニコ ニコ

「おじさんの夢、叶うといーですね!
 それじゃーまたね。バイバーイ!」

                プシュー ・・・

     「あ、ブルースさんにもよろしくー! あはーっ!」

そうして開いたバスの扉に、手を振りながら消えて行ったのだった。

863衣笠『コックサッカー・ブルース』:2021/07/11(日) 05:16:45
>>862

 「なるほど。確かにそういう手もないではないか。
 でも、あんまり人前に顔を出すのはちょっとね・・・」

衣笠はこれでなかなかシャイだった。
サングラスも、顔を隠す手立てのうち一つなのだ。

 「うん、ぼくの乗るバスはこれじゃないみたいだ。きみも元気で。」

発車するバスが見えなくなるまで手を振って見送ると、ベンチに腰を下ろしなおした。

864仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/12(月) 22:59:35
「さいふ… 無くしちゃって…
 このへんだと思うんだけどなぁ」

「うう〜〜〜ん」

「ぜったいこの辺に落ちてるはずなのに」

「見つからないなあ〜〜〜〜」

散歩コースの外れを歩き回っている女子高生。
独り言をたくさん呟きながら、たまに藪を蹴っている。

865円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/12(月) 23:45:02
>>864

「あれーっ、ねえねえ、何してるんですかー?」

と、声が掛かった。

振り返ると歳の近そうな少女がいた。
パンダのような帽子を被っており、
タイシャツに薄手のパーカーを羽織っている。
知らない顔だ。

「なんか探してるの?
 あたし、手伝ったげますよ!」

馴れ馴れしいが……
セララとしては『同級生』であると推測していた。

866仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/13(火) 00:16:02
>>865
ちなみに仁宇は清月の制服を緩く着ている。髪型はツインテ。
仁宇は、確かに円谷と同じ学年で、そして面識はない。
お互いなんとなく顔ぐらいは覚えてるかもしれないが。

 「えっ 手伝ってくれるの!? 嬉しい!」
 「財布落としちゃった」
 「絶対!ぜったいこの辺にある…」

そう。よく見ればすぐに見つかる位置にある。屈めばすぐに拾える。

「…ちなみに何しにここに来たの?散歩?走り込み?トレーニング?」

質問をしながら少女の背後に回る。

867円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/13(火) 00:38:22
>>866

「あはーっ、いいよいいよー!
 あたし、お散歩に来ただけだからヒマだし!」

      「宝さがしみたいなものですよネーっ」

気安い事を言いながら、
周囲を見渡し始める。

が、セララもまた足元を見てはいない。

「そーゆーきみは? きみもお散歩?
 あ、でもでも制服着てるし―、部活の帰りとか?」

くるっと軽快に振り返り、背後の仁宇に問いかける。

「あたしもさー、お家このへんなんだよねー!」

『も』なのかどうかは、全く分からないわけだが……

868仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/13(火) 00:50:54
>>867
周囲を見回す女子の後ろに回って、深呼吸……

「散歩、ね 
 スゥ――――――

 「――――え 家?そっそうだね!
  
  わたし?遠いよ!もう全然 
  さいきんここに来るようになったっていうか、
  部活はやってないんだけど運動に目覚めたというか?
  ね?あははは……

  ……ところであなたは部活やってる?運動部?」

饒舌。

869円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/13(火) 01:13:12
>>868

後ろで深呼吸すると、ハーブのような系統の匂いがした。
良いシャンプーでも使っているのだろう。

「あはーっ、そうだったんだー! いいじゃん、いいじゃん!
 あたしも運動するのって好き!体動かすのって楽しいよねー。
 まー、あたし部活はやってないですけどネ」

セララは好きなものごとが多かった。
親も、セララのしたいことはさせてきた。

「でも、習い事でフィギュアスケートやってまーす。
 きみは? 何の運動やってるのー?
 あ! ダンスとか? 背、高ーいですもんねー! 踊ったら映(ば)えそうー!」

                 クルッ

「てゆーか後ろに来るのなんでなんでー!?
 あはーっ、おしゃべりしづらーい!」

後ろに回られるたびに、くるくると回ってまっすぐ視線を向けようとする。

870仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/13(火) 01:47:29
>>869
後ろへと仁宇。
向き合う円谷。

 「スゥ――……!?楽しいよね!運動!
  わたし、最近はじめたんだ 本当に楽しい!」

なぜか背後に仁宇。
だが振り返る円谷。

 「ふ、ふうん…フィギュアスケート…
  氷の上で飛んだり回ったりするやつだっけ…なるほどね…」

回る仁宇。
回る円谷。

 「…ダンス?やったこと、ないかなあ」
 「ま、まわるの、うまい、ね……」

仁宇。
円谷。

 「ぜえ………  ハア……」

871円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/13(火) 02:20:59
>>870

「だよねだよねーっ! あたしたち、気が合いそう!」

       クルッ

「そうそう! 回ったり飛んだりしちゃーう!
 テレビに出てくる選手の人みたいに、
 あんなにたくさんクルクルは出来ないですけどネ」

      「すごいよねーっ、
        小学生でトリプル飛んだりとか!」

セララは『6級』のフィギュアスケーターだ。

          クルッ

「でもでも、けっこーたくさん回れまーす!
 氷の上で踊るのって難しーけど楽しーですよ。あはーっ!」

つまりダブルアクセルが跳べる。そこまでだ。
トップ選手との間には埋めようの無い差がある。

「っとと、あれあれ、だいじょーぶ?
 なんかすっごいシンドそー! お茶あげよっか?」

             ピタ

ふと、息の上がった様子に気づき、
そこでようやく回るのを止めた。

「今日も暑いよねーっ、
 家出た時は涼しかったのにー!」

そのまま小さいカバンの中を漁り始める…………

872仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/13(火) 02:44:57
>>871
「はぁーーーっ   はぁーーーー
 …回って飛べるんだね
 スケーターって、やっぱり、『足』?足を鍛えるの?」

鞄を漁り始めた少女を、
仁宇は、肩で大きく息をしながらじっくり見つめ………
大きく息を吸って、息を止めて………円谷の下半身を睨みつけ……

 「ふぅ〜〜〜〜ッ…… 」

何かを諦めた様子で、地べたに座り込む。

 「ダンス?みたいで。楽しかったし。もういいや。たしかに暑いもんね。  
  ああ〜こんな所に財布みっけ〜〜」

 「お茶?ふつうのお茶?
  ヘンなやつじゃないよね?」

近くの草むらから財布を引っ張り出し、
爪先をぱたぱた、鞄から出てくるものを眺める。

873円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/13(火) 23:22:06
>>872

「んー脚もするけど、あとはねー、体幹、体幹!
 あとあとー、バランス取ったりするのに腕とかも?
 あたし、おかげでダイエットした事ないかも!」

   「それにダンスも沢山できるし!
    あはは、でも今日はここまででーす。
    おつかれさまーっ」

言葉通り、セララの脚はしなやかで、
余計な脂肪らしき物はなかった。
ただ、筋肉の塊というほどでもない。
そこまで自分を追い込むこだわりは無い。

「って、えーっ! うそーっ、お財布あったのー!?
 見つかって良かったーっ、やったー! あはーっ!」

  「ほら、なんだっけことわざの!
   灯台もと暮らし? だっけ!
   あーゆーのってホントにあるんだネ」

            ゴソッ

「あはは、ヘンなお茶ってなになにー!?
 ハーブとかたくさん入れてるお茶のこと?
 あたしのママはそーゆーの好きだし」

水筒はステンレスやプラスチックではなく、
ガラスで出来た、透明のものだった。
中身は確かに紅々として、おかしな物はなさそうだ。

「あたしもミントティーとか好きだけど、
 これはね、普通にスーパーで買ったお紅茶でーす」

    「あ、毒見したげましょっかー? あはーっ」

874仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/14(水) 19:41:53
>>873
「体幹かあ…鍛えてみようかな?」

女子にしては長めの背筋を捻ったりしてみている。

「ヘンなお茶っていうか…
 そう、それなんだけど!聞いて!」

「なんか…妙にオシャレな手作りオニギリ渡そうとする変な人と会って…」

「タカミサカリって先輩なんだけどぉ…
 わたしの前でズボン脱ごうとしたり…
 間接キスとか気にせずわたしのもの飲むし…
 ……ど〜思う!?」

うわ〜きっっっも〜〜〜、と共感してほしい。
ほんとキモかったんだもん。

875円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/14(水) 22:26:50
>>874

「あはーっ、おすすめおすすめ!
 コーチが言ってたよ、姿勢良くなるんだってー!
 あとね、体幹強いとすっごいヤセるんだって!」

ダイエット的な効果については、
細身な仁宇には無縁の話かもしれない。

「え、なになにー!? 変なお茶の話? 聞く聞く!」

          コポポポポ

フタに紅茶を注ぎながら……

「わっ……えーっ!? えーっ、うそーっ!
 なにそれーっ! こわーい、そんな変な人いるのー!?」

怪人物の噂に、戦慄するセララ。
フタを差し出しながら、頭の中に人物像を描く。

「やだーっ、体触られたりとかしなかったー!?
 すっごい怖いねーっ、そのタカミサカリ……」

あまり深刻ではなさそうに話に乗る。
セララは、人の悩みにあまり共感しなかった。
だが……

       「……あれあれあれ!?」

「ちょっと待って待って、その人ってさー!
 もしかしてすっごい身体おっきくて、
 それで、タンクトップ着てたりとかしなかったー!?」

その姿が『友達』の輪郭を帯びてきて、聞かずにはいられない。

876仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/14(水) 23:01:59
>>875
「……えっと、 大きくて、タンクトップだった
 『そうかァ…君は制服をモッているんだネェ…』(声真似)
 とか言ってたかな?」

「これはお詫びだ、みたいな感じで
 『チーズとパセリとトマトのおにぎり』出してきて。
 でも手作りオニギリってそういうシチュで出る? 
 ってわたしビックリしちゃって」

首をかしげながらあの日の事を思い出す。
発する言葉がいちいちヘンな人だったな。


「え 知り合い?
 ………まさかとは思うけど 『セララ』って名前、わかる?」

様子を見てお茶を受け取りながら聞いてみる。
ひょっとしてひょっとする?

877円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/14(水) 23:47:40
>>876

「えーっ、うそうそ、どうしよー、制服とか、おにぎりとか、
 その人、あたしの『友達』かも……! てゆーか絶対そう!
 苗字も同じだし……どうしよどうしよ、あたしもビックリだよー!」

「すっごい面白いひとなんですよー!?
 わーっでもでも、ちょっとヘンなとこあったかも……!」

          「冬眠するって言ってたしー」

彼の連絡先のアイコンは、
確かにおにぎりだった。
あれも、洒落た逸品だったのだろうか?

「あれあれっ、なんであたしの名前知ってるのー!?
 あっ! もしかしてもしかして、
 ミモリーがあたしのお話してたー!?」
 
    「あ、ミモリーってゆーのは、
     多分、その人のあだ名で、
     あたしが付けたげた! あはーっ」

「それで、ピンポーン! あたしがセララちゃんでーす。よろしくネ」

ひょっとするのだった。
彼は自分をどういう人間として仁宇に話したのだろか――――

878仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/15(木) 00:35:59
>>877
「わ〜〜!ご本人!」

「たかみさかり……ミモリー先輩がね、セララちゃんのこと話してたよぉ」

ミモリーパイセンの方に至っては、
気になってるだの恋をしそうだの抜かしていたが、
同時に『セララちゃんには悪く言わないでくれ』とも言っていた。
悪いことしちゃったかな。いいところも言ってあげよう

「…確かにヘンなひとだったけど、悪気はないのかな…?
 ケガしてる人に救急車呼んであげてる所見たよ
 きっと良いひとなんじゃない?」

「それと御影さん、髪がなっがい大学生のおねーさんも!
 あなたの事話してたよ」

「ふたりとも、セララちゃんの事『明るくて、とってもいい子だ』って
 …だから…気になってて〜……だから〜」

「あの………私の名前  『仁宇 櫻子(ニウ サクラコ)』。
 あの………」

モジモジしている。

879円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/15(木) 01:18:54
>>878

「あはーっ、ご本人様登場でーす。
 うんうん、やっぱりミモリーっていいとこあるー!
 今度会ったら、いいことしたねって褒めたげなきゃですねーっ」

        ニパッ

「でもでも、ズボン脱いだりしたらだめですよー!って、
 それもちゃんと言っとかなきゃ!
 まったくもー、何でそんなことしたんだろーね?」

不穏な情報が塗り替えられ、
一層笑顔を深めるセララ。
無論謎の露出行為は気になるが、彼の事だし、彼なりの理由はありそうだ。

「え! 御影さんってー、もしかしてもしかして!
 髪の長い……えーっ、あはっ、ほんとにー!?
 もーっウレイさんってば! ほんとほんと、ほーんとに、
 あたしの事大好きなんですね―! あたしうれしーっ。あははーっ」

ひとしきり笑ってから、ふと、仁宇の様子に気付いた。

「サクラコちゃん、教えてくれてありがとネ!
 あ、ウレイさんもねー、見た目ちょっと怖いかもだけど、
 すっごくすっごく良い人なんでーす。あたしの友達!」

「それでねそれでね、あたしサクラコちゃんとも友達になりたーい!
 年近いしさーっ、あたしも清月なんだーっ。友達ってたくさんいる方が楽しーですよ!」

880仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/15(木) 01:57:18
>>879
「ミモリー先輩は
 オシャレとか、女子の流行を知りたいんだって 
 それでズボンを脱ぐ流れになったんだよ  …?…なんでぇ?」

あの邂逅はホントに訳が分からなかった。
セララには近づかないほうが良いよ、危険人物だよ、と言いたいが、
でも悪気はなさそうだからなあ…ううん…

 「! 『友達』〜〜〜!」

ぱ。と、そんな擬音が出てそうな笑顔。
勢いよく立ち上がる。

 「うん…セララちゃんさん …友達に…なってください!」

 「こういう時どうすればいいんだろ 友達あんまりいなくて…
  …あ これ!連絡先!」

アドレスとか交換するって聞いたことある!スマホを出して伝えてみる。

881円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/15(木) 02:25:08
>>880

「えー!? あたしも分かんないですよー!
 なんでだろ、なんでだろ!?
 スカートに履き替えようと思ったのかなー?
 ミモリー、絶対ズボンの方が似合うと思うんだけどネ」

大きな目をぱちくりとさせて、困惑と笑いがないまぜになる。

        「ほんとミステリアスー!
         流行とか気にするの意外ー!」

ミステリアスで片づけて良い個性かは分からない。
が、本人がいない以上、今分かる事は何も無いし、
セララは『ミモリー』を面白い友達だと思っていた。

「あはーっ、よろこんでー! 友達増えて嬉しーでーす。
 別にさんとか付けなくていーよ、あたしの事、
 みんなセララちゃんって呼ぶから!」

          ススッ

「あたしもサクラコちゃんって呼んでいーよね?」

手慣れた様子で、素早く連絡先を交換した。

「いつでも連絡してくれていーよ! あ、でも夜は寝てるかもー!?
 あたしもー、何か面白いことあったら、いっぱい、いーっぱい連絡しちゃいまーす」

882仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/15(木) 02:50:53
>>881
 「わ 増えたぁ」
 「………うふふふ」

ともだち一覧に追加された円谷のアドレスを見つめる。

 「友達になっちゃった」
 「ダべったり…走ったり…追いかけっことかしたいなあ」
 「………えへへへへ」

体をくねって、かなり嬉しそうな仁宇。

 「わたしも なにかあったらお話するよ!
  なにもなくても連絡する〜〜!学校でも会おうね」

 「ミモリ―先輩にも 御影さんにも よろしく言っておく!」 

エビで鯛を釣ろうと思ったら、新しい友達が掛かっちゃった。超やったぁ。
………うん。
お茶をいただいて、そろそろ『釣り』に戻ろうと思うんだ。

883円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/07/15(木) 20:40:23
>>882

「えー!? もっともっと楽しいことしよーよ!
 追いかけっことかもけっこう楽しいけどさー!
 海行って、ビーチバレーとかみんなでしたりー、
 おっきいスイカ持ってきて割って食べたり、
 あとはなんだろ、花火たくさんやったりとか!?」

     「だってもう夏だもんねーっ。
      あはーっ、海開き海開き!
      サクラコちゃん水着買いましたー!?
      まだだったら今度モール行こ!」

   クルッ

暑い季節に茹だる者もいれば、
楽しみを過熱させる者もいる。
表裏一体かもしれないが、セララは表を出し続ける。

「うんうん、休み時間とか遊びに来てネ。
 あたしもそっちのクラス行くから!
 あはーっ、ミモリーだけじゃなくって、
 ウレイさんにもいっぱいお礼言わなきゃですね。
 おかげで新しいお友達が出来ましたーって」

紅茶を飲み終えたようなら、
フタを返してもらい、締め直す。

「それじゃーあたし、お財布も見つかったし、
 お友達も出来たし! そろそろ帰ろうと思いまーす」

           ゴソッ

水筒も仕舞えば、ここに後に残すものはない。
仁宇がそもそもここで何の運動をしてたのかも、
セララの関心ごとでは既になかった。

「じゃあじゃあー、また学校でね! バイバーイ!」

だからカバンを背負い直して、手を振り、その場から立ち去った。

884りん『フューネラル・リース』:2021/07/18(日) 06:41:03
自然公園内 ひまわり畑

「だーい好きなのはー ひーまわりのたねー♪」

せっせとひまわりに水をやる10歳くらいの
『頭に鈴蘭を咲かせた』少女が一人

『鈴蘭がひまわりの世話をしている』珍妙な光景だ

885坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』:2021/07/18(日) 17:14:30
>>884
 
「たまげたなあ」
 
すっかり夏の日差しに参ってしまってぱたぱたと手で顔を扇ぎながら歩く私が見たのは、
ひまわりにお水をやっている小さい女の子だったりして。
 
や、梅雨が明けちゃったら夏のお花って水とかどうしてるんだろねってのは、
こうなってみると確かにもうちょい気にしても良かったのかなって思うけど、
だからってその答えがこんなんだっていうのは、いくらなんでもびっくりだよ。
 
「ええっと、夏が暑くてどうしようもないって間はさ、
 そういう、お花の妖精さんみたいのが水やりしてくれてるってことで、いいのかな?」
 
確かに今日はとびきり暑くはあるし、私のシアーシャツはやっぱり長袖で手首まできっちりボタンを留めてはいるけれど、
それでもだからっていって、暑さにやられて幻覚を見てるだなんて流石に思いたくなかったから。
 
そんなつもりでもって私は頭に鈴蘭を咲かせたその子へ軽い気持ちで声を掛ける。
ためらわなかったと言えば嘘だけれど、ついてもお天道様に叱られないくらいの軽さの嘘だったんだ。

886りん『フューネラル・リース』:2021/07/18(日) 18:04:56
>>885
「こんにちは〜人間のお姉さん♪」

声をかけられてのこのこと近付いてくるお花の妖精さん(?)

「よく妖精さんって間違われるけど、ちゃんと人間だよぉ
 この公園のお花をお世話するのが、うちの仕事なんだぁ〜」

朗らかな笑顔で答えるりん
本人曰く人間だそうだが、頭に花が咲いた人間など存在するのだろうか?
この鈴蘭、近くで見ると決して造花には見えないクオリティだ

887りん『フューネラル・リース』:2021/07/20(火) 08:06:04
その後、色々あって和解したりんと坂下は
一緒にサッカーしたり、りんが捕まえた蛇料理を食べたりして親交を深めた

「今日は楽しかったよ、また遊びに来てね〜
 今度は鈴蘭茶用意しておくからね〜」

帰り際に貰った日傘は鈴蘭柄だった



        \    \

 \
         \          ,,、
                ./^l、.,r''^゙.i′
                l゙:r i:i′ .|
             :i^¨''iノー-i (_.vv,、
             i.、/:::::::::::::::::゙彳_ >
            _,ノ i::::::::::::::::::::.('`,.ヽ
            ( 、:|:::::.i;i;i:::::::::::i:.'^゙'<
            '' ::.!:::::.ii;i.|::::::::::.i‐ ,フ''
           .< :::i::::::.ii;i;|:::::::::.,「=(
            `ー::|,.:::::i;i;::::::::::/.\^':、
             ./゙,r|:::::::::::::::::,i゙.'!'=;^′
            .) ,/ソ,:::::::::::,l'_ .).:r
             ゙'レ'´i''!゙ー/'(゙゙ | .|
                | ._,i'!(冫.;i .|
                   .. |. |
                     .! .i   ._,,,‐''^^'''''>
           、....,,,,..,,_      ! .;! .,/'゙`,_   .,ノ
           \  .⌒\  │ .|!.,,iミ/ ._,,,./′
             i  '^'''‐、..゙'hノ| .|厂 . ̄′
            .ヽ_    ゙メリ| .|
                ̄ ̄   |. |    ._,,,‐''^^'''''>
                     .! .i  .,/'゙`,_   .,ノ
           、....,,,,..,,_      ! .;! .,/'゙`,_   .,ノ
           \  .⌒\  │ .|!.,,iミ/ ._,,,./′
             i  '^'''‐、..゙'hノ| .|丿 ̄′
            .ヽ_    ゙ヽリ|, .|!

    十ヽ -|-、レ |
    d⌒) /| ノ ノ

888小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/24(土) 18:27:04

森の中に立つ『喪服の女』。
その右手には一振りの『ナイフ』が握られている。
『スタンド』だ。

           スゥッ……

『ナイフ』を持ち上げ、左の掌に鋭利な刃を滑らせる。
白い肌が薄っすらと裂け、細く赤い線が滲み出す。
それを見つめながら、静かに物思いに耽っていた。

  ――いつか……。

『鎮静剤』は手放した。
大きな理由は、自分自身の気持ちに『整理』をつけるため。
それまでの自分とは違う『新たな自分』として、
この『命』を全うするまで生きていきたいと考えたからだ。
また、別の理由もあった。
『今の自分』には、もう『必要なくなった』からでもある。

  ――会いに行きます……。

『本体の身体』を切り離す『スーサイド・ライフ』は、
『本体自身』を傷付ける能力を持たない。
しかし、『本体以外の生物』を切り離す『ビー・ハート』には、
『本体』を傷付ける事が出来る。
それも、『鎮静剤』を捨てた理由の一つだった。

  ――待っていて下さい……。

滴り落ちる雫に穏やかな眼差しを向け、『彼』を想う。

889仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/24(土) 19:12:26
>>888
「ふゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
「『自傷行為』!」

 ガサ ガサ

少女の声。
藪をかき分け、小石川の右あたりから歩いてきているようだ。

「わたしも参加、いいかなぁ?」

890小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/25(日) 17:33:16
>>889

         スッ……

不意の物音を聞いて、そちらを振り返る。
右手には、まだ『ナイフ』が握られていた。
左の掌からは、滴り落ちる赤い水滴。

  「――……すみませんでした」

  「『お見苦しい所』を……」

現れた少女を見て、困ったような表情で頭を下げる。
『参加したい』という言葉の意味を図りかねていた。
『自傷』を人に見られた経験は何度かあったが、
そんな事を言われたのは初めてだったからだ。

891仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/25(日) 22:24:14
>>890
 ガサ  ガサ

 声の主が藪から出現。ダボついたブラウス。パンツ。髪を左右に括っている。
 女にしては背が高めだが、あどけなさの残る顔立ち。女子高生っぽい。

 「お邪魔しまぁす  続けてていいよ〜」
 「……あ! 『参加』っていうのは」

    ジャキ

 「あなたの体を傷付ける大会!にエントリー?なんだけど」
 「いいかなあ」
 「ダメなら今日暑いし喉乾いたしやめたげるよ」

背中から覗く、湾曲した二振りの刃(鎌か?)と、昆虫の脚の『ビジョン』。
………『スタンド使い』だ。それも、『悪意』のある。

(当PC、このままだと『通り魔行為』を始めますが、
そちらが望まないようであれば、刃を引っ込めて普通の場スレをします 
如何でしょう?)

892小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/25(日) 23:05:25
>>891

現れた『ヴィジョン』に目を向ける。
少女が『スタンド使い』である事は理解していた。
何故なら『ビー・ハート』が見えているからだ。

  「――……!」

しかし、『それに続く光景』は予想の範囲外だった。
『悪意を持つスタンド使い』と出会った事は何度かある。
つい先日も、『窃盗グループのリーダー』と、
廃墟になったビルで交戦したばかりだ。
ただ、この少女は今までに出会った相手とは違い、
どこか無邪気な雰囲気が漂っている。
それが『異質さ』を強調しているように感じられた。

  「『争う事』は苦手なもので……」

       ――フッ

  「……『ごめんなさい』」

言葉と同時に、右手の『ナイフ』が消える。
それは、『戦うつもりはない』という意思表示。
『刃』を振るうのは、どうしても避けられない時だけ。
話し合いで解決できる状況であれば、
誰かを傷付ける事はしたくない。
だからこそ、自ら『刃』を収めた。

893仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/25(日) 23:28:30
>>892
「そう? じゃ やめる!」

  ガチャ

少女の『スタンド』も、刃を下ろし
ビジョンが消える。

 「ここみたいな 人のいない所って『色々』できるし?やるけどぉ」
 「『そういうの』は初めて見た ふつう家とか風呂でやるものじゃない?」

 「ん?あれ?わたしの勘違い?
  じつは『虫に餌やってました』ってかんじ?」

 「ヤブ蚊 いっぱいいるよね ビックリしちゃった……夏だね!」

何事もなかったかのように会話を始める。

894小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/26(月) 00:08:04
>>893

  「――……ありがとうございます」

『刃』を交えずに済んだ事に、胸を撫で下ろした。
先程の様子から察すると、彼女は、
人に『刃』を向ける事に躊躇いを持たないように見えた。
けれど、『話』は通じる。
きっと『心根』は優しいのだろう。
本当の所は分からないが、そう信じたかった。

  「ええ……」

  「『おかしい』――ですね……」

         クス……

少女の言葉に、寂しげな微笑を返す。
確かに『外』でやるべき事ではない。
自分にとって、『自傷』は『自殺衝動』を抑えるためのものだ。
いつ何処で『衝動』に襲われるかは分からない。
それがあるせいで『場所』を選ぶ事は難しかった。

  「この辺りには……よく来られるのですか?」

会話を続けながら、ハンドバッグから『包帯』を取り出し、
手馴れた動作で左手に『止血』を施す。
『自傷』を行った時のために、
普段から持ち歩いているものだ。
『鎮静剤』である『果物ナイフ』を手放した後も、
これだけは変わらず持ち続けていた。

895仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/26(月) 00:54:21
>>894
 「『おかしい』っていうのは、違くない? 
  自分で自分を だなんてヘンだな〜とは思うよ でも?う〜〜〜ん?」  

包帯を巻く様子を見ながら、少し考え込んでいる。

 「 …『悲しい』ことだと思う」
 「悲しいよ せっかく元気なんだから……」

やや伏し目がちになっている。
先ほどまで自分が襲おうとしていた相手に
こういう態度をとるあたり、確かに『異質』な少女ではあるようだ。

 「…お!?   …包帯 ……上手だね!」
 「看護師さんにも負けてないよぉ すごいすごい」

君が手際よく治療を行う様子を見て
湿っぽいのを忘れ、なんだかテンションが上がっているみたい。

896小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/26(月) 01:29:57
>>895

人間は一つの面を持っているだけではなく、
多くの違った側面から成り立っている。
おそらくは、彼女も様々な面を抱えているのだと思えた。
そして、『自分自身』も――。

  「……そうですね」

      コク……

少女の言葉に、静かに頷いてみせる。

  「ありがとうございます……」

先程の行動にも、きっと何か『理由』があるのだろう。
そうせざるを得なかった何かが。
それが何かは知らなくとも、
垣間見えた彼女の『優しさ』に答える事は出来る。

     ニコ……

歓声に対して微笑で応じる。
柔らかい微笑み。
その表情は少しだけ明るくなったように見えた。
『止血』は、すぐに終わった。
ハンドバッグを探り、小さな『水筒』を取り出す。

  「『喉が渇いている』と……おっしゃいましたね」

         スッ

  「――『ハーブティー』です。
   お口に合うかどうかは分かりませんが……」

少女に『水筒』を差し出す。
中身は冷えた『ラベンダーティー』。
摘み立てのラベンダーから抽出した濃い目のお茶を、
たっぷりの氷で冷やしてある。
使われているラベンダーは自宅で栽培したものだ。
『ハーブの女王』と呼ばれるラベンダーには、
精神を落ち着かせる『沈静作用』があり、
気持ちが昂ぶった時には、その香りに助けられていた。

897仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/26(月) 02:05:38
>>896
「笑った そっちの顔のほうが悲しくなくていいよ」
「え?お茶! …いい香り! いただきま〜す」

  ゴク

「こないだもねー  ここで『やろう』!って思って……」

    ゴクゴクゴクゴク  ゴク プハー
   
「………やれなかったんだけど。
 そのコからお茶貰ってお友達になったんだよねぇ」

「……仕損じたのにお茶貰っっちゃったぁ!2回も!
 失敗してもいい事あるねぇ」

「そう! マラソンコースの外れとかでさあ 『やる』んだけど
『よくここに来る?』ってさっき言ってたよね?
 ……最近なの!ここに来るようになったの! 
 スゴイね ここ みんな元気で 倒した人もみんな水筒持ってる」

「夏の運動ってすっっごい喉乾かない?びっくりしちゃって」

喉が潤ったら元気になったのか、
ラベンダーの鎮静作用などいざ知らず、ずいぶんとお喋り。
人と話すのも運動も大好き!という雰囲気。
端々が不穏だが、まあ子供らしくて無邪気ではある。

898小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/26(月) 18:04:56
>>897

途中で口を挟む事なく、少女の話に耳を傾ける。
薄々は感じていたが、その内容から、
『攻撃の意思』を見せたのは初めてではない事が分かった。
おそらく、何度も繰り返しているのだろう。

  「……『運動』した後は水分を摂って下さい」

  「『熱中症』になってしまうと大変ですから……」

しかし、こちらがスタンドを解除した時、
彼女は攻撃しなかった。
完全に丸腰の状態だったにも関わらず、襲ってこなかった。
たとえ『敵意』があったとしても、
彼女の心には『優しさ』も同居していると信じたい。

  「……私は『散歩』に来ているんです」

  「『森林浴』が好きなもので……」

          ソッ

包帯を巻いた左手で、近くに立つ木の幹に触れる。
森の空気を吸うと、自然と気持ちが和らぐ。
この『自然公園』は、町の中でも特に好きな場所だった。

899仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/26(月) 23:31:05
>>898
 「…『森林浴』かあ…私は…う〜ん わたしは…」

 ガシッ      ブ ラ~~~ン

 同じ木、 両手で幹を掴み、ぶら下がる。

 「…木登りしにきてる! 危ないし まだちょっと怖いんだけど」
 「見て見て!これ! こないだ鉄棒覚えたんだ だからこういう事も……」
  
    ドサッ
 
 着地。疲れたのか腕が震えている。

 「はぁ〜〜〜……………できたぁ !」
 「……いつか登るっ!ぶらさがるんじゃなくて登る!」

900小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/27(火) 00:12:05
>>899

木に掴まる少女。
その無邪気な姿を、穏やかな微笑を湛えて見守る。
震えている腕を見て手を差し伸べようとしたが、
無事に着地した所を見届けて、安堵の表情を浮かべた。

  「……無理はしないで下さいね」

  「『ご家族』も、きっと心配しますから……」

  「ゆっくり……少しずつ出来るようになりましょう」

少女に声を掛け、木を見上げる。
彼女にとって、それは『大きな目標』なのだろう。
人それぞれに『背景』があり、
それぞれの『目指すもの』がある。

  「私にも――叶えたい『目標』があります」

『彼』の分まで『生きる事』。
この『命』を全うする事が、自分の『目標』であり、
『彼』と交わした『約束』だ。
『その先』で『彼』と再会するために、私は『今』を生きている。

  「――『一緒』ですね……」

        ニコ……

人の数だけ『想い』があり、それらには様々な形がある。
どのような形であっても、『想い』は純粋。
『町』で生きる内、それを実感してきた。
この少女の『想い』も、また純粋なものだと思える。
だからこそ、彼女に『慈しみ』を覚えるのだろう。

901仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/07/27(火) 00:59:52
>>900
「お姉さんほどになると、
 木登りなんかよりもっとずっと難しい『目標』なんでしょ?」
「まあ、でも一緒なのかな?わかんないや」

木の幹を撫でてみている。
これって何か楽しいのか?という表情だ。

 「あ!…そういえば確かに 
  そろそろパパママが心配しそうな時間になってきたかも 
  急でごめんね!  帰るっ  ばいばーい!」

バイバーイ、と手を振り、

「……あ!『心配』で言うと 手首!あんまり切り過ぎないでね」
「体も気持ちも、だめそうなら病院行こうね 
 病院いいよ ここの東の『アポロン』は腕がいい! 
 常連のわたしが言うんだから間違いない!」

ちょっとだけ言い残し、来襲者は立ち去る。
木登りとか、目標、親、森林浴、残虐な折り方、友達、水筒ほしい、などなど考えながら。

902小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/07/27(火) 18:26:19
>>901

『病院』に通い慣れているらしい少女。
彼女にも、自分と『通じる部分』があるのかもしれない。
人と人は時として争い合う。
反対に、人は分かり合う事も出来る。
立ち去っていく少女を見届けながら、
心の中に生じた『想い』を感じていた。

  「……ありがとうございます」

       ニコ……

  「さようなら……」

緩やかに手を振り返し、
小さくなっていく少女の後ろ姿を見守り続ける。
それが見えなくなった後、触れている木に視線を移した。
木は何も言わず、ただそこにあるだけ。
けれど、確かに『生きている』。
だからこそ、そこに触れていると、
『生きる力』を分けてもらえるように思える。

         スッ

やがて、包帯が巻かれた手を幹から離し、
静かな足取りで森の中を歩き出した――。

903甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/07/31(土) 07:52:12
爽やかな緑風が吹く森の中
ハンモックに揺られて森林浴

ホーホケキョ

森に住む鳥の鳴き声をBGMにうたた寝

>>904は共に森林浴に来た同士か、ただの通りすがりか

904ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/07/31(土) 21:52:07
>>903

「ねえねえ、この前はわたしのお陰で助かったでしょ」

生意気そうな顔立ちの幼稚園児がいた。
いつも通り、『有名私立幼稚園』の制服を着ている。
三つ編みにしたプラチナブロンドの髪と、
エメラルドグリーンの瞳が特徴的だ。
テディベアを枕にして、同じくハンモックに揺られていた。
寝転んだまま、湖周辺を指差す。

「ねえ、ちゃんと聞いてる?『ここ』よ!『ここ』!」

「この場所で『二度』も極悪非道のスタンド使いに……!」

一度目は湖に叩き落された。
二度目は大岩を落とされて泥だらけにされた。
忌まわしい記憶だ。

「あいつら……!!絶対に泣かせてやる……!!」

         バババババババババッ

『オンリー・ガール』を発現し、シャドーボクシングを始める。

905甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 05:51:23
>>904
「ん…」

うとうとしていた所をダイアナの大声に叩き起こされてしまう
寝惚け眼を擦りながら、彼女の声に耳を傾ける

>ねえねえ、この前はわたしのお陰で助かったでしょ

突然のアッパーカットで気絶させられた事を思い出す
あれは痛かった、意識がぶっ飛ぶくらいに…

「えぇ、この前はありがとう」

>あいつら……!!絶対に泣かせてやる……!!

「…どうどう」

身を起こして、冷えた麦茶を入れてダイアナに差し出す
これでも飲んで頭を冷やせという事だろうか

>この場所で『二度』も極悪非道のスタンド使いに……!

「そんな凶悪な奴らがいるのね…」

この前は良い勝負をしたと聞いた気がするが、
この様子だと惨敗だったように見える
あま公は訝しんだ

906ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/08/01(日) 06:20:14
>>905

「ふぅー…………」

「――――もらっておくわ」

      ズズズズズ

渡された麦茶を飲んでクールダウンした。
喉越し爽やかだ。
お陰で少し落ち着いてきた。

「片方は『あきは』っていう名前なの。
 あま公と同じくらいの年のヤツよ。
 もう片方は分からないけど、『変な格好した女』だったわ」

「とにかく悪いヤツらよ。
 子供に暴力を振るうくらいだから。
 わたしだから切り抜けられたけど、
 あなたも気を付けなさい」

多分に主観が含まれた『氷山』と『八瀬』の悪評を吹聴する。

「『ブラックリスト』に載せてあるから、今度は退治するわ。
 そのためにトレーニングしなきゃ!」

         ドシュッ!

下の方では、『オンリー・ガール』が蹴りを放っている。
『空間の歪み』のような半透明の人型スタンド。
動きは速いが大振りなので、それだけで当てられる状況は、
相手が記憶喪失にでもなっていなければ難しい。

907甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 06:58:02
>>906
「あきは…」

そういえば、この前海岸で会った
鮫を殴ってた少女があきはという名前だった事を思い出す
感じの良い奴で悪い奴には見えなかったが、別人か?

「…そうね、気を付けるわ」

取り合えずダイアナの言葉に相槌を打つが
あま公は、この目で見て確かめるまでは鵜吞みにしない
本当に悪人かどうかは自分で判断する

>ドシュッ!

これでは落ち着いて静かに森林浴が出来ない…
木々の間から差す木漏れ日を浴びて、鳥の鳴き声を聴きながら
自然の空気に包まれてゆっくりと寝たいのに

「特訓、付き合おうか?」

ダイアナを静かにさせるためにも、もっと疲れさせる事にする

908ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/08/01(日) 07:13:27
>>907

「それから、もう一人いるの。
 あま公よりも年下に見えたけど、そいつも悪いヤツよ。
 だって、自分で『悪の首領だ』って言ってたもの」

さらに『朝山』にも風評被害を及ぼす。
彼女については自称しているので、必ずしも間違いではない。
これに関しては『くすぐられた』だけだが、
しっかりと『ブラックリスト入り』している。

「いいの?じゃあ、お願いするわ。
 言っておくけど、本気で行くわよ」

       ザッ

「――かかって来なさい!」

『オンリー・ガール』が構えを取った。
とはいえ素人なので、『やる気の表明』以上の意味はない。
適当に付き合っていれば、
その内疲れて勝手に寝るかもしれない。

909甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 07:33:52
>>908
ダイアナによってどんどん風評被害が
しかし悪を名乗っているなら、本人にとっては本望なんじゃないだろうか
それにしても、『悪の首領』とは…痛い奴だ!

>――かかって来なさい!

特訓に付き合うのはいいが、普通に殴るんじゃ芸が無い
少しは工夫でもするか?

「行くわよ」

人型スタンド『BSS』を発現し、
まずはまっすぐ行ってぶっ飛ばす
右ストレートでぶっ飛ばす(パス精DCC)

910ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/08/01(日) 07:49:06
>>909

「フフン!甘いわ!そんなスピードじゃ当たらないわよ!」

         ヒュッ

殴りかかってきたのを見るなり、
得意顔で横に避けようとする(スB)。
『何かあるんじゃないか』とか、そういう発想は一切存在しない。
ダイアナは思慮も経験も浅く、
とりあえず回避できればいいという考えだ。

(『避けてからパンチ』!フフン!我ながら完璧な作戦だわ!)

至って底の浅い作戦を脳内で展開しつつ、ほくそ笑む。
本人としては、これ以上ないくらいの知略のつもりなのだ。
ちなみに『あきは』の時は、
次の瞬間には『湖』まで吹っ飛ばされていた。

911甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 08:02:44
>>910
『オンリー・ガール』の動きは素早く、
『BSS』のパンチなど容易くかわせるだろう

>>909メ欄
地面に触れる事で『お菓子』を出せるようにしておいた
トリックでもなんでもないが…

予めタッチしておいた箇所から、
でっかい『ウェディングケーキ』を作成する
(ttps://tabi-labo.com/283029/lenovellecake)

『ケーキ』の一部を蹴り飛ばして、
『オンリー・ガール』への目潰しを行う

912ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/08/01(日) 08:26:49
>>911

「フフン!さぁ、反撃を――――ブッ!?」

パンチをかわした所で、『巨大なケーキ』が現れる。
それに驚いた直後、『ケーキの目潰し』が飛んできた。
全くの予想外。
目潰しは見事に命中した。
当然、頭の中で思い描いていた『作戦』は、
止む無く中断せざるを得ない。

「こ、このッ…………!」

「そっちが『その気』なら、こっちだって!」

         ダンッ!

何を思ったか、『巨大なケーキ』に向かって突撃を敢行。
目が見えない状態でも、
位置が分かっていれば飛び込めるだろう。
『オンリー・ガール』の能力は『固形の無生物』への『潜伏』。
その能力を使い、『ウェディングケーキへの潜入』を試みる。
最大サイズは『2m』なので、
それ以上デカいと失敗するが……。

(わたしだって、それくらい出来るのよ!フフン!)

特に深い意味はなく、相手が能力を使ったので、
それと張り合おうという考えだ。
『ビター・スウィート・シンフォニー』のお菓子は、
『スタンド物質』ではあるが、『実体化』しているなら、
もしかすると入れるかもしれない。
その辺りは、後で『確認』しておく必要がありそうだった。

913甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 08:42:44
>>912
「?」

『ケーキ』に突撃をかます『オンリー・ガール』
あま公にはダイアナが何をしたいのか分からない
自分から入っていくのか…くらいにしか

しかし、ダイアナも何の考えも無しに突っ込んで来る馬鹿ではないだろう
それくらいはあま公も分かる
『ケーキ』を利用して何かをするつもりか?

ならば―――

『オンリー・ガール』が『ケーキ』に『潜伏』する直前に
『ケーキ』を解除する

標的を失った『オンリー・ガール』は、
勢い余って素っ転ぶかもしれない
その場合、『オンリー・ガール』を『BSS』で支えてやる

914ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/08/01(日) 09:11:51
>>913

『ウエディングケーキ』はスタンドの産物。
解除して消す事は簡単に出来る。
そして、『オンリー・ガール』が飛び込むよりも、
『ケーキ』を解除する方が早い。

            「はッ!?」

      ズザァッ!

(なんで!なんで触れないのよ!
 あんな大きいものを、あんな一瞬で動かしたの!?)

『突入した後』の事は何も考えていなかったため、
その前に消されてしまうとどうにもならない。
そもそも目潰しされているので、
消されている事にさえ気付いていなかった。
だから、なぜ『当たらないのか』が分からない。

「あッ――――」

            ガシッ

あわや転びかけた瞬間、
『ビター・スウィート・シンフォニー』に支えられた。
相変わらず見えていないので、
何が起きているのか全く把握できない。
そのせいで、軽くパニックに陥っていた。

(なに!?なに!?なんなのよ!?)

      「もォォォォォ〜〜〜〜〜ッ!!」

            ドヒュゥッ!

癇癪を起こしつつ、
『オンリー・ガール』が拳を繰り出す(パス精CBE)。
本来の精度は平均的だが、視界は塞がれている。
しかも、適当に放っているため、狙いは非常に雑だ。

915甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 10:05:29
>>914
癇癪を起し、感情のままに殴りかかる『オンリー・ガール』
スピードは速いが、狙いが雑なら受け止める事は可能だろう
『BSS』の腕で受け止めてやろう(パス精CCC)

「…」

パニックになり暴れるダイアナを見て、
やり過ぎたかと反省するあま公

「ごめんなさい、やり過ぎた」

顔のクリームを拭きとってやる

「凄いスピードね、まともにやりあったら勝てないわ」

ダイアナの性格は大体分かってきた
こういう時は褒めて機嫌を取るべきか

「そろそろ、休憩にしない?」

916ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/08/01(日) 10:26:40
>>915

       ――――パシッ

ただ闇雲に殴りかかるだけの雑な攻撃。
普通に立っていても当たらなかったかもしれない。
当然、それを受け止める事は造作もなかった。

  「もう!!もう!!もう!!」

                  ダンッ!ダンッ!ダンッ!

クリームを拭ってもらいながらも、地団駄を踏む。
見るからに不機嫌そうだ。
このままでは収まりがつかなかったかもしれないが――。

「フフン!そうでしょ!『オンリー・ガール』は強いのよ!」

褒められた事で、コロッと態度を変える。
気位は高いが、乗せられやすい性格のようだ。
分析は的中した。

「ちょっと疲れたし、今日はこの辺で許してあげるわ」

               ドヒュンッ

          シュバッ

『オンリー・ガール』を近くの木に飛び込ませる。
そこを経由して、ハンモックの上に出現させた。
最終的に、枕にしている『テディベア』の中に入り込む。

「ふぁ…………」

           スヤァ…………

眠たげな表情で、小さく欠伸をする。
そして、まもなく寝息を立て始めた。
思惑通り、『静か』にする事が出来たようだ。

917甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/01(日) 11:01:13
>>916
ようやく静かになった
中々狂暴だが、子供らしくかわいいものだ
もう少し心に余裕を持つべきだと思うが、
それはこれから身に付けていけばいい

ハンモックに揺られ眠りについた事を確認して

「おやすみ」

自分もハンモックに身を預け、夢の世界に旅立つことにする


                ピーヒョロロー


流れる川の音 木々の騒めき 鳥の鳴き声 澄んだ森の空気
とても快眠だった
ダイアナと一緒だった事もあってか、子供の頃の夢を見た
まだ何も失っていない、単純に世界を楽しめていた頃だった
今みたいな乾ききったつまらない人間になったのは、いつ頃だったかな…


目を覚ました時、そこは真っ暗闇の世界だった

イヒヒヒヒヒヒ
アーヒャッヒャッヒャッヒャ

鳥の鳴き声が、不気味な笑い声に聞こえる
ここはまるで
―――迷いの森だ

918小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/03(火) 01:16:59

「……この森の周辺には、蝙蝠は やはり少ないな」

あの『通り魔事件』で、終盤に見かけた『蝙蝠』

街周辺を散策してみたが、それらしき影はスタンドを使って改めて
捜索してみたが影の形も無かった。

自然豊かな、こちらの湖畔付近には野生の蝙蝠が住める樹洞は幾つかある。
しかし森林性の蝙蝠が、あの時歓楽街周辺に一匹のみ迷い込んでいたとは
考えにくい。何より、あの野生動物の瞳には確固たる意志が見え隠れした気がした。

「……っ」  グラ……。

意識が怠い。ここ最近、眠りが浅く頭痛は波が大きくなる事はあれど一定の水位より
下がりきらず波は続いている。

「少し、座ろうか……」

眩しい日差しを遮る梢に背中を預けて座る。
誰かが>>919通るのを目にするかも知れない。

919円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/08/03(火) 02:22:10
>>918

       スタスタスタスタ

バス停のある方向から、
パンダのような帽子を被った少女が歩いて来た。

「……あれあれ!!
 ちょっとちょっとー、大丈夫ですかーっ?」

そして小林に気付いて、
手を広げて、大きな身振りで驚いた。

今日は暑い。熱中症で倒れていると思ったのだ。

920小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/03(火) 09:30:59
>>919

瞼を閉じると、木々の枝と葉のカーテンを掻い潜った上空からの線条が
薄く隔たった一枚の肉皮を照らし褪せた真白のような色合いを灼け映す。

かつて 何処か遠い場所でも眩い一条の何かが過った気がする。

>ちょっとちょっとー、大丈夫ですかーっ?

うつら うつらと沈みかけた意識が唐突に飛び込んだ声で
海中の魚が釣り針で引き揚げられたかのような重苦しさを肺に生じさせ
開いた眼前には白と黒が混ぜ合わさった被り物の少女を目にした。

「……えぇ、えぇ。大丈夫ですよ」 ニコッ

「ただ……えぇ、少々 探し物をしてたのですが」

「その手掛かりが掴めず……ほんのちょっとだけ、腰を下ろしたかっただけなんです」

僅かに顔を伏せた。土の香りが鼻をくすぐる。

私は何をしてるのだろう。見知らぬ少女にも気を遣われ
あてもなく意図も目的も定かでないものを追い続けている。

「ですので……ね。ご心配には及びませんよ」 ニコッ・・・

何時もの微笑を浮かべ、何でもないと少女に声をかける。

921円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/08/03(火) 23:28:04
>>920

           キュ

パンダ柄のキャップのズレを直しながら、
日差しを背負って青年に笑みを向ける。

「へーっ、そーなんですねー!
 大丈夫なんだったらよかったよかった!
 今日ってお日様ギラギラですっごい暑いからー、
 倒れちゃったのかと思ったんでーす」

明らかな憔悴があるならともかく、
そうでもないなら、内心には気付かない。
心配しなくていいなら、しないだろう。

「ねえねえ、きみの探し物ってなーに?
 よかったらあたし、探すの手伝ったげますよー?
 この後しばらくヒマだから! あはーっ」

だが、セララには素朴な善性があった。
深い気遣いはしない時にも、浅い協力は迷わない。

922小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/04(水) 16:45:21
>>921

>よかったらあたし、探すの手伝ったげますよー?

「はは、ご好意は嬉しいですが」

ご迷惑に、そう告げようとして思案が浮かんだ。

彼女が一般人として、日常の街中で『蝙蝠』。あれがスタンドであれ
スタンドで操作してた実際の生物か実体化していたのであれ
普通の人間に見えないものならば、目撃情報だけでも知らせてくれれば
こちらとしても有難い。街の深部で蠢く悪意を、少しでも早く感知できるのなら。

「……そうですね。私が探してるのは『蝙蝠』なんです。
ですが、普通の蝙蝠と違って……なんと言うか普通のと異なって
街中で人間を観察するようなもの」

それを、探してるんです。と円谷に説明する。

「……街中でも幾らか探してるんですが、どうも影や姿形一切見られず。
こうして、蝙蝠が群生する場所で何かしら似た個体がいれば手がかりに
なるかと考えて湖畔の方に足を運ん……そこで、少し疲労が襲って」

こうして貴方と会ったわけです。と自身が座る事情を穏やかに説明し終えた。

923円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/08/04(水) 19:04:05
>>922

「えーっ、コウモリー!? なーんだ!
 落とし物とかじゃないんですねーっ。
 コウモリって汚くって病気持ってたりするから、
 触っちゃダメって聞いたことありますよ!
 顔はちょっとかわいーけど」

    「豚さんに似てるんだよネ」

          スタスタ

炎天下で話す趣味は無いので、
木陰の、少し離れた位置で立ち止まり、
くるっと身を翻して木に背を預けた。

「しかも、人を見てるコウモリなんて初耳ー!
 ねえねえ、なんでそんなの探してるの?
 あ! もしかしてー、きみのペットだったりとか!
 どうどう? 当たってる?」

           ケラ

「それともそれともー、
 その子に噛まれて怒ってるとか? あはーっ」

       ケラ

笑いながら話を聞く。
今のところ、さほど重要だとは思ってもいない顔だ。
こだわる理由も無い話だと思っている。

924小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/04(水) 22:46:50
>>923

「いえ、私のペットでも噛まれたわけでもないですよ……ただ」

「…………そうですね。
ただ、私の身の回りで『不幸』がありました。
とは言え、死んだとかでは無いです。身内でも無いですが
色々と抱えていた知人だったんです。
 その内の二人が倒れた際に『蝙蝠』は居たんです。
無関係かも知れませんが、仮に私の知人二人が倒れる原因と
なった原因に近いものなのなら、何としてでも正体なりを知りたい」

そう言う話なんですよ、と寂れた微笑で心中を吐露する。

「とは言え、荒唐無稽にも近い話でしょう?
ですから、手伝ってくれるなら有難いですが、そこまで深入り
するような事では無いんです」

ただ声を掛けてくれただけの善意の人間に、スタンドまで含めた
あらましを伝える気はない。

ただ、ぼかした言い方だが内容は事実だ。

あの『蝙蝠』には確かに、何らかの『意思』を見え隠れした。
 本当に、ただの蝙蝠であったのなら良い。
だが、そうでないとは勘が囁くのだ。

925円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/08/05(木) 01:45:17
>>924

「なにそれなにそれーっ!
 えーっ、なんか不気味ー!怖ーい!」

怪談話でも聞いたような、
笑い混じりのテンションだった。

「そんな趣味悪ーいコウモリいたら、
 たしかにあたしも探そうと思っちゃうかもでーす」

円谷が本気にするには、実際に、荒唐無稽すぎた。
勿論それは小林の配慮が届いたという事でもある。

とはいえ――――

「でもでも、コウモリはコウモリだしー、
 その時いたのと、別のコウモリと、
 ちゃんと見分けるのってすっごい難しそーっ」

それでも協力――――
という程ではなくとも、話を聞く興味は残る。

「だって、ずっと人を見てるって、
 決まってるわけじゃないですよねー?」

「うーんうーん、見た目が珍しい子だったら良かったのにネ」

あるいはセララも『スタンド使い』で、
そうした不思議の存在を信じているからかもしれない。

926小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/05(木) 02:14:56
>>925(お気になさらず)

「そうですね……特殊な個体であったり、外見に特徴があれば……」

そう言えば、リュウカさん達には刀傷があったと村田さんが述べてた。
蝙蝠と関連した話で説明しようと思ったが。それだとどうしても
齟齬のある内容に至ると考えて、別の話として会話にのせる。

「……あ、それと。これは蝙蝠の話とは関係ないのですが。
まぁ、こんな事は当たり前なんですが刀を、刃物を持った不審者らしき人物が
街のほうで出没してたとの事ですから」

「唐突かも知れませんが、どうも其の蝙蝠の一件と。その周辺で見かけられた
凶器を持った不審者の目撃情報の位置が結構近いようだったのでね」

もし、あの事件の首謀者がスタンド使いで、その形が蝙蝠を操る系統なのなら
この説明が伝播して他の星見街の善意あるスタンド使い達に知られて警戒に
及べるなら良い傾向だ。

だから、これは推測も交えた虚偽だが……彼女を通して誰かの注意喚起となって
悪意から逃れられる事を願う。

927円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/08/05(木) 02:37:49
>>926

「え! なになに急に! えーっそっちも怖ーい!
 じゃあじゃあー、そのコウモリって、
 不審者の人のペットかも……ってことー!?
 『ハリポタ』のフクロウみたいに、
 コウモリにお使いさせたりするんでしょーか!?」

短絡的な結論をつけるセララだが、
それが外れているかは分からない。
なにせ、全てが謎の中だからだ。

「……あ! そういえばそういえば!  
 ねえねえ、あたしも耳寄り情報持ってまーす!
 あたしの知り合いの人が言ってたんだよね、
 歓楽街で通り魔があったんだーって!」

   「女の人でー、あたしより背が高くてー」

小林の知る限り『刃のスタンド使い』は男だ。
恐らくは別件と思われる。

「それとはまた別の人なのかなー!?
 怖いねーっ、暑いからバカな人増えてるのかもネ」

セララはやはりあまり深刻ではなさそうに、
笑顔のままでそんなことを言っていた。

928小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/05(木) 02:55:20
>>927(次レスで〆たいと思います)

「通り魔……」

もしかしたら、と思い聞いた所、女性。
(リュウカさんの事件が、遅れて耳にされたのだろうか?)

「えぇ、物騒ですね。ですので、危ない場所は一人で居ない。
これが鉄則です」

もしかすれば黒羽さんの友人だったりするかも知れないが
ここで変に追及して話を拗らせる事もないだろう。

話を続けてる内に体調も回復してきた。
 立ち上がり、頭を振ってから、私や彼女も自己紹介など
してなかったなと思い出す。

「そう言えば自己紹介遅れました。
小林。小林 丈と思います。清月の高校三年ですよ」

「作家崩れでしてね……話のネタを探して散策も日課に含まれてますから
こうして、また会う事があるかも知れませんよ」 ニコッ

929円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/08/05(木) 03:38:06
>>928

「うんうん、弱い通り魔ならいーけど、
 すっごい強ーいかもしれませんもんねーっ!」

       コクコク

「ヘンタイとかだとやっつけても気持ち悪いし!
 あはーっ、友達と一緒にいるのが一番いーですネ」

分かったような分からないような、
そんなリアクションで、笑っていた。

「わーっ! 清月三年! それじゃあ先輩だったんだ!
 あたし、一年の円谷 世良楽って言いまーす。
 作家ってことは小説書く人ですよねー?
 じゃあタケル先生だ! あははーっ!」

           タンッ

「あたしの事はセララちゃんって呼んでいーですよ。
 みんなあたしの事そうやって呼ぶから!」

木を軽く蹴るようにして体を前に押し出し、
軽やかに小林と、その木陰から離れた。
 
「今日はもうあたし帰るけどさー、
 次会ったら、書いてるお話読ませて!
 あ! タケル先生も一人だし、帰り気を付けてネ」

       「それじゃーまたね、ばいばーい!」

そしてそのまま、風が吹くようにして去っていく。
また会う事があれば、その時は作品をせがむのだろう……

930小林 丈『リヴィング・イン・モーメント』:2021/08/05(木) 17:56:25
>>929

「はは。はい、それじゃあ また」

夏の熱気を一時忘れさせるような涼やかさと勢いを秘める娘だった。
こう言った娘と話すと、一時的に頭に過る錐で突かれたような痛みも
忘れられそうになる。

使い手であるにしろ、ないにしろ。あぁ言う子は人好きになるだろう。
 応援された手前、手掛けている文集にも今日は腰を入れて取りかかろうか。
少なくとも、今日一日で刀傷の首謀者に行きつくのは難しいのだから。

「……そうだ、千草さんのゴミ処理の仕事の件について。
今度話してみるのも良いかも知れないな。
きっと、良い知り合いになれる」

   フラッ・・・。

「親友に、今日の事を話そうか。
また会った時に、彼だと冗談通じると思って行き成り口説くような
つまらないパフォーマンスをするかも知れないしな」

 頭痛の中に、蝕むように睡魔も出没する。

嗚呼 しかし私はまだ止まる訳にはいかない。
 見つけなくては。木偶の坊として終わる訳にはいかぬのだ。

でなければ・・・『あの子』に・・・申し訳が立たない。

「…………そし て」

「ああ……そし……………………」



そして、小林 丈は倒れた。
 ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1625483444/194


                      To be continued...

931七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 20:04:53
 その日、手にビニール袋を持った少女が湖畔付近にやってきたのは偶然だった。
 焦げ茶の髪を暑いからかポニーテールにし、ラフなGパン姿で歩いている。

――…どこにしよう…。
――『オジロ』、プレゼントは嬉しいんだけど…やっぱり『コウモリ』は…。

 どうやら時折自室に届けられる『コウモリ』を埋めに来たようで、七篠はきょろきょろと周囲を見渡す。



 そんなときだった。
 木陰に年上の男性が倒れているのを見かけたのは。

「……!?
 だ、大丈夫ですか!?」

 慌てたように駆け寄った七篠に対し、返答はない。
 どうやら男性は意識がないようだった。

「も、もしかして…熱中症…!?
 病院、救急車…!」

 七篠は手に持ったスマホで119番にかける。
 救急車が到着するまでの間、どうにか冷やしたいようだが手段が思いつかないようだった。

「冷たい木なんてないし…ひとまず葉で『うちわ』を…。
 あ…でも大きい葉は『落葉樹』ばっかり…ど、どうしよう…」

932度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 20:22:12
>>931

       コツ コツ コツ コツ コツ

『アジト』を出て、久しぶりに太陽の下にいた。
懐刀である『御影』は大学に行っているため、一人だった。
杖をつきながら歩いている最中に、その光景が視界に入る。

(『病人』か?この時期なら有り得る)

(何にしても放ってはおけないな)

         スッ

「――良ければ、『これ』を使って下さい」

目深にフードを被った男が、『ミネラルウォーター』を差し出す。
買ったばかりらしく、よく冷えている。
それを掴む手は傷だらけだった。

933七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 20:41:50
>>932

 杖をついた男性が差し出した『ミネラルウォーター』を七篠は頭を下げながら受け取った。
 ちらりと手の傷に心配そうに目をやるが、倒れている男性を介抱することを優先するようだ。

「あ、ありがとうございます!」

 流石に気を失っている相手に飲ませるわけにもいかず、氷枕のように首筋に当てるようだ。
 ひとまず、今できることをやりきった七篠は一呼吸し、改めて度会に向き合った。

「すみません、助かりました。
 ……『ミネラルウォーター』、その、買ってすぐだったんですよね…。
 よく冷えてましたし…。すみません、いただいてしまって…」
「なにかお礼ができればいいんですが…」

 七篠が今持っている物はポケットに入れたスマホと財布、そして手に持ったビニール袋だけだった。
 植物さえあれば『埋める』ためのスコップ代わりの枝は生やせる。それ故の軽装だ。

934度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 21:01:23
>>933

フードに隠れて顔はよく見えないが、
二十台半ば程の男性である事は分かる。

「いえ、大した事じゃありません。熱射病は命にも関わる。
 これが助けになるなら安い出費だ」

より重いのは当然『人命』。
苦しむ人間は救われるべきだ。
『費用対効果』としても効率はいい。

       ジッ

少女が持つ『ビニール袋』に視線を移す。

「なら――少しの間だけ『話し相手』になってくれませんか?」
 
「『救急車が来るまでの間』さ」

       コツ コツ コツ

                 ザッ

手近な木陰に移動し、そこに座る。

「君は、『ここ』へは何をしに?」

935七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 21:11:03
>>934

「ありがとうございます。そう言ってくれると…」

 七篠はそう言ってまた頭を下げた。
 そして、『ビニール袋』に視線が向いていることに気付き言葉を返す。

「『話し相手』くらいでしたら是非。こっちの木陰でお話ししますか…?」

「ここに来た理由…ですか?
 私がここに来たのは…この『ビニール袋』の中身を埋めるためなんです。
 ……あんまり見て気分がいいものじゃないと思いますが、見ますか…?」

 もし『ビニール袋』の中身を確認するのであれば、『噛み跡のあるコウモリの死体』が入っているのがわかるだろう。

――『野犬』だって話したらまた『オジロ』が困ることになるかもしれないし…。
――どうしよう…。

936度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 21:30:29
>>935

「これは…………」

          ガサッ

覗き込んだ『袋の中身』に、意外そうな呟きを漏らす。
何かと思えば、まさか『コウモリの死骸』とは。
次に関心が向けられるのは、死体に見られる『噛み傷』だ。

「いや、驚いたよ。
 そんなものが入っているとは思わなかったものだから」

「コウモリを見かける機会は割と多いけど、
 こんな風にお目に掛かるのは初めてだ」

           ザッ

      「聞いてもいいかな」

袋から視線を外し、改めて少女に向き直る。

「――どういう経緯で『これ』を?」

そこらで死んでいたのか、それとも『駆除』か何かか。
いずれにせよ話のタネにはなりそうだ。
あるいは、『それ以上』にも。

937七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 21:40:55
>>936

 驚いた様子の度会に対し、七篠も『ビニール袋』の中身を覗いたことに驚いていた。
 差し出したのは自分とはいえ、『気分がいいものではない』と言っているものを躊躇なく――七篠には見えた――覗き込んだのだ。

「『これ』、は……その、『寮』の部屋の前に時々置いてあるんです。
 ちょっと前に『猫』を助けたんですが、その子の『お土産』なんだと思います」

 七篠は『オジロ』のことを話さないことにしたようだ。
 『猫』と『犬』では体格も違う。当然、噛み跡も違うため、疑われる可能性もある。
 だが、疑われることより『オジロ』の安全を取るようだった。

938度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 21:55:25
>>937

目の前の男は、躊躇なく袋の中身を覗いた。
特に躊躇う様子も見せなかった。
『慣れている』のかもしれない。

「なるほど、そういう事だったのか」

「『猫がネズミを取ってくる』というのは、よく聞く話だ。
 『コウモリを取ってくる』事もあるのかもしれないね」

しかし、ネズミはともかく、
『コウモリを取ってくる猫』など聞いた事がない。
そもそも取れるのだろうか?
通常、ネズミは地上にいるが、
コウモリは地面の上にはいない。

「それで君は、『猫』から『コウモリ』が届けられる度に、
 こうして埋めに来ている」
 
「――そういう訳だね?」

これは『誘導尋問』だった。
実際は、届けられるのが『コウモリだけ』とは限らない。
もしかすると普段は『ネズミ』で、
たまたま今日は『コウモリ』になっただけかもしれない。
だが、敢えて『コウモリ』に限定して尋ねる。
置き土産が『毎回コウモリなのかどうか』を確認するためだ。

939七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 22:10:59
>>938

「確かに、『ネズミ』を飼い主に見せに来るのはよく聞きますよね。
 『コウモリ』なのは珍しいのかも…」

 七篠は『オジロ』の食生活に思いを馳せているようで、首を傾げている。
 犬のスタンド使いである『オジロ』が『コウモリ』を捕ることができるのは納得できる。
 だが、なぜ『コウモリ』を選ぶのか。そう疑問に思ったようだった。

「はい、流石に『寮』の近くで埋めちゃうと問題になりそうですから。
 ゴミに出しちゃうのもあんまりよくないだろうし、こうして『埋め』に来ています」

 『埋め』に、と言うが手にはシャベルもなにもない。

940度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 22:28:40
>>939

「人に好みがあるのと同じで、
 『猫』にも好みがあるんじゃないかな」

「僕の知り合いにも『変わった好みの奴』がいるんだ」

(『否定』しなかった、か)

これは『毎回コウモリである可能性』が高くなった。
普通の猫には難しいだろうが、
『スタンド使い』なら不可能ではない。
そうだとしても、
さすがに『能力』まで推し量る事は難しいが……。

「確かに、その通りだ。わざわざ大変だね」

何も『人間の死体』を埋める訳ではない。
コウモリを埋める程度の穴なら、
そこらの石でも枝でも使えば、
さして労せずに用意できるだろう。
そう考えた上での発言だった。

「僕も手伝おうか。
 そんなに深い穴は必要ないだろうけど、
 こういう事は人手が多い方が早い」

少女に『協力』する旨を告げる。
現状、『猫』には『スタンド使い』の可能性を疑っているが、
この少女に対しては、まだ疑念がない。
よって、この申し出は、
『猫』について更に知るためのものだった。

941七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 22:46:35
>>940

「なるほどです。
 あの子は確かにちょっと『変わってた』のでそういう好みだったのかもしれないです」

 個性的な人間が多いらしい『スタンド使い』なのだから、『スタンド使い』の犬もおそらくそうなのだろう。
 七篠は内心そう納得したようだった。

「そう、ですね…。お願いしてもいいですか…?
 それならちょっと…んと…」

 七篠はそう言うときょろきょろと周囲を見回した。
 そして近くの『大きな葉』を2枚気付かれないように拾うと『リルトランク』を発現させ、こっそりとそこから『樫の枝』を太めに生やした。

「あの、これ使ってください。
 これくらい太ければ掘りやすいと思います」

 度会の前に『端に葉が張り付いた太い樫の枝』が差し出される。ここは木陰のため、枝そのものは不自然ではないかもしれない。

942度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 23:06:04
>>941

『一般人』の度会に『リルトランク』は見えない。
反応がないことから、
『スタンド使い』ではない事が分かるだろう。
だが、度会は『スタンド』を知っている。

「ありがとう。それじゃあ、どこにしようか…………」

枝を受け取ると、杖で体を支えながら立ち上がり、
周囲を見渡す。

「あぁ、『ここ』が良さそうだよ」

        ガッ ガッ ガッ

柔らかい地面を見つけて、そこを『樫の枝』で掘り始めた。

「さっき『寮の部屋』って言ったけど、
 もしかして『学生寮』に住んでるのかな」

「ひょっとして――――『清月館』?」

        ガッ ガッ ガッ

「そういえば、最近『清月学園』の辺りで、
 『ちょっとした事件』があったとか」

『御影』からの報告では、
音楽室で『光を使うスタンド使い』と遭遇したらしい。
『危険性がある』と判断したため、
深夜の校内で『情報拡散』を行わせた。
しかし、偶然にも『赤月』が居合わせたせいで、
『仕事』を邪魔されたようだが。

943七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/05(木) 23:30:04
>>942

「あ、確かにここなら掘りやすそうですね!」

 七篠はそう言い、すこしだけ緊張した様子で地面を掘り始めた。
 おそらく倒れていた人物を見つけてから気が動転していたのが抜けたのだろう。
 改めて今こうして話している相手が男性であることを認識したようだった。
 とはいえ、水を分けてくれた上にこうして掘るのを手伝ってくれていることからあまり警戒はしていないようだ。

「はい、『清月館』です。
 ……もしかして、『OB』の方でしたか…?」
「事件…。たまに不審者情報なんかは『寮』に時々チラシが貼ってありますけど…。
 この間見たのは『ビルで通り魔が…』なので違いますね」
「なんだか…物騒で嫌ですね…。
 ちなみにどんな事件なんですか?」

 七篠は身近で起きた何某かがどのような内容なのか疑問に思い、身を守るためにも情報は知りたいようだった。

944度会一生『一般人』:2021/08/05(木) 23:51:56
>>943

清月館には『御影』を潜り込ませている。
コウモリの事も、何か掴めるかもしれない。
寮の部屋の前なら、そこそこ目立つだろう。

「そうだよ。『元生徒』という事になるかな」

それは事実である。
ただし、まともに通っていたのは『13年前』までだ。
『アリーナ』と『エクリプス』の抗争に巻き込まれて、
全身に重傷を負い、以後は病院でリハビリの毎日だった。
今では自分の足で歩けるまでに回復したが、
未だに後遺症は残っている。
そのせいで、外出時には杖が欠かせない。

「『ビルで通り魔』…………」

「いや、それは知らないなぁ」

『ビラ』をバラ撒かせたのは他でもない自分だが、
あくまでもシラを切った。

「12歳か13歳くらいの女の子が、
 学校の近くで人を襲っていたそうなんだよ。
 両目が、それぞれ『金色』と『銀色』だったらしい」
 
「場所から考えて、
 襲われたのは『生徒の一人』なんだろうね。
 『犯罪の低年齢化』なんて言われてるけど、
 何というか……『ここまで来たか』という感じがするよ」

途中で『ビラ配り』が中断されてしまったため、
この件については、まだ拡散しきれていない。
正体が露見する恐れを考慮すると、
すぐに残りをバラ撒くのも危険があった。
よって、『ほとぼりが冷めるのを待つ』という結論に至った。

945七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/06(金) 00:08:25
>>944

「『元生徒』…。それなら先輩なんですね。
 この街、『清月』の人が多いんでしょうか。
 他の学校の人は全然見なくって」

 そう言いながら穴を掘り進めていく。
 そろそろ埋めるにはいい深さになっただろうか。

「そんな小さい子が…。
 ……ご家族さんはなにをしてるんでしょう」

 七篠はすこし怒ったように言う。
 冷房を求めて部屋に来る一抹や一人暮らしのナイ、記憶喪失の人を殴る幼稚園児、更に人を襲う『オッドアイ』の少女。
 七篠が知る限り、この街の子供たちは厳しい境遇であったり攻撃的だったりしすぎるように思えた。

「小さい子には普通に…幸せに笑っていてほしいです…。
 苦しかったり悲しかったり、そんなことがないのが一番です…」

 七篠は静かにそう言いながらできた穴にコウモリを埋め、手で土を被せた。

946度会一生『一般人』:2021/08/06(金) 00:36:15
>>945

「…………あぁ」

枝を下ろし、身じろぎ一つせずに、
『コウモリの埋葬』を見つめていた。

「そう――――思うよ」

少女の言葉に、自分と『従姉妹』の過去を思い出した。
『力のある者』に傷付けられた時、
『同じ力を持つ者』なら抵抗できる。
だが、『力のない者』はそれすら出来ない。
ただ泣き寝入りする以外にないのだ。
それをいい事に、奴らは『力のない者』を塵芥のように扱う。

「だから、せめて君は『その気持ち』を忘れないで欲しい」

(『アリーナ』も『エクリプス』も『住人』も関係ない。
 『スタンド使い』は等しく『怪物』だ。
 『力のない者』にとっては『危険な敵』でしかない)

「苦しんだり悲しんだりする子供達にとって、
 それが『救い』になるはずだ」

(思い上がった『化け物共』――――
 この街を貴様らの自由にはさせておくものか)

         コツ

「――なんていうのは、ちょっと説教臭かったかな」

(『決して』だ)

杖をつき、体の向きを変える。
救急車のサイレンが、遠くから聞こえてきた。
おそらく、ここに向かっているのだろう。

947七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/06(金) 00:44:14
>>946

「……忘れないで、いたいです。
 こうして悲しんだり怒ったりできないようになれば私は私ではなくなるので」

――私は、『名無しの』じゃなくて私でいたいから。
――『この気持ちを忘れないこと』は…たぶん子供たちにというよりも私自身に『救い』なのかも。
――……初対面の人に流石に言えないけど。

「説教だなんて、そんなことないです。心に留めておきます。
 ……あ…救急車、来ましたね」

 七篠は先程の人物が倒れていたところまで戻り、救急隊員に事情を説明するつもりのようだ。

948度会一生『一般人』:2021/08/06(金) 01:07:26
>>947

「――――『僕も忘れない』」

救急車を眺めながら呟いた言葉は、
サイレンの音に溶けて消えた。
それは少女――『七篠』が持つ決意とは異なる。
全く違う方向を備えた意思だ。

「もう出来る事はないかな。
 悪いけど、『説明』は宜しく頼むよ」

    コツ コツ コツ

       「話し相手になってくれてありがとう」

            コツ コツ コツ

                 「『いい時間』だった」

杖をつき、片足を引きずりながら、その場を立ち去っていく。
ここで出来る事はないが、『やるべき事』は山積みだった。
直接ぶつかったなら『一般人』に勝ち目はないが、
頭を使えば十分に『勝てる』。
スタンド使い達の『秘密』を探り出し、
それを使って奴らの動きを封じるのだ。
『力を持たない者』にとっては、
『情報』こそが最大の武器となる。

(俺は――――『忘れはしない』)

949七篠 譲葉『リルトランク』:2021/08/06(金) 01:22:05
>>948

「こちらこそお手伝いとお水、ありがとうございました!
 今日も暑いので、お気をつけてください」

 『呟いた言葉』は聞こえなかったのだろう。
 七篠は度会に頭を下げてから救急隊員に説明に向かった。



「あ、はい、呼んだのは私です。ここに倒れているのを見つけて…たぶん熱中症じゃないかなと思って119番しました」
「面識がないので病歴とかも…すみません…」
「あ、救急車…もしかして一緒に乗った方がいいですか…? ……そうなんですね、わかりました」

 いくらか会話をし、どうやら救急車に乗る必要はなさそうだと理解した七篠は救急隊員から離れ『寮』に戻ることにした。
 途中、『木の枝』をそのままにしてしまっていたことに気付いたが、『リルトランク』の枝は30m離れれば解除される。
 誰かが『枝』の近くにいて解除を目の当たりにしない限り特に問題にはならないだろう。

 救急隊員に七篠は名乗りもしなかった。
 倒れていた人物>>930が熱中症から回復し、病院で目覚めたとしてもなぜ病院にいるのか等、知ることはないはずだ。

950甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 06:47:30
湖畔のキャンプ場
>>951とBBQを楽しむあま公

「…そろそろマシュマロ焼いていい?」

951村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/12(木) 14:39:33
>>950

ジャッ ジャッ  ジャッ ジャッ ・・・

 「・・・おお。」

一旦川魚の鱗を剥ぐ手を止め、木柄の金串を手渡す。
放射状に亀裂をいれた丸太の焚火が、ぱちぱちと音を立てて爆ぜる。

 「火傷するなよ。薬の類はねぇからな。」

ジャッ ジャッ  ジャッ ジャッ  ジャッ ジャッ ・・・

952甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 16:15:23
>>951
「そんなヘマはしない」

ちょっと離れた所でチェアに座ってるあま公
焼いてるのはスタンドだから安心!

ぴょん ぴょん
ビャッ!(飛んで来たバッタ君が焼かれる音)

飛んで火にいる夏の虫とはまさにこの事

「食べる?」

953村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/12(木) 16:48:15
>>952

 パラ パラ

川魚に塩をふる。この時鰭にもしっかりと塩をまとわせるのがコツなのだ。


グ  グィ   グイ

口から金串を刺し入れ鰓へ。そのあとは背骨を縫うようにして串を打つ。
『のぼり串』、「『うねり刺し』などと言われる、基本の串打ちだ。

 「おれにはこれがあるからいい。
 ・・・このへんの生け簀で養殖されてる『鮎』だ。」

火にかけると、皮目の脂が焼ける香ばしい匂いと音が聞こえてくる・・・

954甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 18:00:12
>>953
誰にも食べられずに無駄死にしたバッタ君
彼(?)の虫生は一体何だったんだ…
次回作(来世)には期待しよう

「『鮎』ね…
 夏の魚といえばこれね」

夏が旬の魚といえば、やはり鮎だ
若い鮎ならばじっくり焼けば骨まで丸ごと食べられる
やっぱり鮎は塩焼きがいいなぁ、などと考えるあま公

鮎の塩焼きに思いを馳せながら、自分の焼いたマシュマロを拾い上げる
そこにチョコレートとグラハムビスケットを合わせて、スモアを完成だ

バクッ

「ん…?」

何か異物が混入しているのを感じる

955村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/12(木) 18:36:33
>>954

 「これがなきゃあ、夏って感じがしないからな。
 夏が過ぎたら『落ち鮎』も美味い。一度で二度美味しいわけだ。」

じゅうじゅうと音を立てて脂がしたたり、火に落ちて爆ぜる。
遠火で皮目からじっくりと火を通す。
直火の遠赤外線によって、ふっくらと柔らかく、香り高く仕上がる…

 「…どうした?まさか、舌でも火傷したか?」

956甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 20:23:48
>>955
「いや…」

さっくりしたビスケットにサンドされた、
あま〜いチョコレートとかりふわな焼きマシュマロ
そこに混じる動物性たんぱく質
カリッと香ばしく、海老のような風味、そして草のような青臭さ

そう、さっき自殺したバッタが混入していたのだ

「…」

バリッ
モグモグモグ

虚無の表情でバッタスモアを食べるあま公
恐らく、こんな組み合わせで食べた人類は、世界でただ一人だろう

「…ショウリョウバッタ」

バッタを食べながら思い出す
そういえば、そろそろお盆だなぁ

957村田 瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/12(木) 20:43:20
>>956

 「バッタ?…あぁ、なるほどな。」

虚無感溢れる表情で甘味を頬張る甘城を見て納得する。
野外の料理ではありがちなことだ。

 「何かの番組で、昆虫のタンパク質含有量は同量の肉の3.5倍だと言っていたな。
 カルシウムも牛乳の2倍とかなんとか…ま、口に入ってしまえば身体にはいいだろうさ。
 もっとも、自分から口に入れるのはごめんだけどな。」

ガ ブ!

にやりと意地悪そうに笑って、焼き上がった鮎にかぶりつく。
ほろりとほどける旨みの強い身と、ほんのりとしたワタの苦味が食欲をそそる。何匹でも食えてしまえそうだ。

 「『口直し』が必要か?」

958甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 21:26:16
>>957
「…昆虫は古来から食されてきた、
 優れた食材だからね」

昆虫食に忌避感を示す傾向にある日本人だって
昔から蜂の子やイナゴを食べて来たんだ
近年ではコオロギが食材として注目を集めているし、
長野にはバッタソフトなる物が存在する
これも似たようなものだと思えば食えなくもない

「…食用の物が食べたかったけど」

とはいえ、野生のきたねぇバッタなど食うもんじゃない
だがまぁ、ゴキブリよりはマシだろう

>『口直し』が必要か?

「口直し…?」

何だ、何かくれるというのか?
もしかしたら村田はあま公に更なる虫を食わせてくるつもりかもしれない…

959村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/12(木) 21:43:47
>>958

 「大したもんじゃないが、ちょっと待ってな。」

焚火の上にスキレットを載せ、その上に弁当などに使う『アルミカップ』を置く。
『アルミカップ』に『砂糖』と、それが浸るくらいの水を入れて熱する。

フツ  フツ

砂糖がすべて溶け、カラメル状に色づいたあたりで引き上げて冷ませば・・・

 「これが『べっこう飴』だ。ま、『バッタ』よりはマシだろうさ。」

冷ました『べっこう飴』を甘城に差し出す。

960甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 22:06:14
>>959
「どうも」

『べっこう飴』を受け取り、口に入れてみる
なんて事はない、ごく普通のべっこう飴
砂糖と水だけというシンプル過ぎる材料だからこそ、
素材の質に大きく味が左右される

「美味い」

砂糖が良かったのか、水が良かったのか、両方良かったのか
このべっこう飴は美味い
バッタに侵された舌を素朴な甘さが癒してくれる

「何かお返し、いる?」

要求すれば何か貰えるかもしれない
まぁ、大した物は出て来ないだろうが

961村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/12(木) 22:48:28
>>960

 「『お返し』か・・・そうだな。じゃあ、こいつを喰ってみてもらおうかな。」

いつの間に焼いたのやら、焚火の周りには何種類かの魚が炙り焼きにされていた。
そのうちひと串を手に取り、甘城のほうへ差し出す。

差し出された焼き魚は丸のままではなく、開きのようになっていた。
焼き目はこんがりと色付き、焼けた『みりん』と『胡麻』の香ばしい匂いがする。
・・・おそらく何かの『みりん干し』だろう。
ほぐれた身の色合いから、『赤身』であることがわかる。

 「おれはうまいと思うんだが、他人に勧める気にはなれなくてな。
 せっかくだから毒見・・・いや、味見してもらおうかと思うんだが。」

962甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/12(木) 22:57:40
>>961
「貰ってばかりな気がするわね…」

何の魚とは言われてはいない、謎の赤身魚
謎の魚なので多少の不安はあるが…
毒見役を引き受けた以上、食べる他あるまい

「…いただきます」

ガブリ

意を決したあま公は、みりん干しを口に入れる
みりんと胡麻の香りが食欲を引き立てるが、その味は果たして…?

963村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/08/13(金) 10:41:39
>>962

ガブ !

赤身の干物にかぶりつくと、歯応えのある身がそれに応じた。
しっかりとした肉付きと脂にみりんが絡み、噛むほどに旨味と甘味が引き立つ。
身は弾力があって硬めではあるが、食すのに難儀するというほどでもない。
脂はしっかりとしていて、特に腹と皮目に乗っている。旬の『鰻』を連想させるような、つよい脂だ。
・・・ここまでなら『うまい』と言っていて良かっただろうが・・・

モグ  モグ ゴクン

・・・すこし顔をしかめる程度には『コケくさい』、『泥臭い』。
後味に『ザリガニの水槽』のような、『夏場の用水路』のような・・・そんな匂いが、すこし後味に残る。
そしてやたらと『小骨』が多い。少々食べづらい・・・

 「・・・なんの『干物』なんだ?って顔してるからネタバラシするが・・・それは『鯉』だ。」

意外ッ!それは『鯉』!

 「そのしかめっ面を見るに、どうも『ニオうみたいだな・・・
 食性的に仕方がないんだが・・・『酢』をつかって臭みぬきをするべきだったか・・・?」

964甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/08/13(金) 14:21:36
>>963
「……」

食において匂いは重要だ
どんなに味が良くても、これが悪ければ食欲を減衰させてしまう
中には、くさやのように強烈な臭いを売りとしている食品も存在するが

『鯉』は天皇陛下の料理として献上された事もある由緒ある食材だ
然るべき場所で、食用として育てられた鯉を、正しく調理すればちゃんと美味しく食べられる
ただし、そこら辺のどぶ川で釣ったような鯉は注意が必要だ
臭いは勿論、肝吸虫のリスクも高い
あま公は鯉料理なら洗いが好きだが、食中毒は勘弁
とはいえ、これは臭いはともかく寄生虫のリスクは取り除かれているだろう
一度口にした物は最後まで責任を持って食べるのがあま公の流儀だ

「味は良いけど臭いが全てを台無しにしてる」
「これはどこで獲った?綺麗な川なら獲ってすぐ正しい下処理をすれば臭わない」

口の中の泥臭さを洗い流すために爽健美茶を飲みながら感想を言う

ビュオオオオオオオオオ

風が強くなってきた
ここの所、強風や大雨が続いている
困ったものだ
そろそろBBQもお開きにしなくてはならない

「お盆は晴れるといいんだけど」

墓参りにも行かなきゃいけないし、灯篭流しが出来なくなったら寂しい
そう考えながら後片付けを始めるあま公だった

965氷山『エド・サンズ』:2021/08/16(月) 20:23:49

膝丈程の草花が青々と生い茂る湖畔の一角
そこに一玉の『スイカ』がぽつんと置かれていた

966眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 16:41:02
>>965

「こんなところにぃ、『スイカ』…?」
「今年は『スイカ』のネイルがよく出たけどぉ…食べれなかったのよね…」

 前下がりショートの黒髪を揺らし、背の高い女性――眠目が『スイカ』を見つけしゃがみ込んで観察しはじめた。
 時折身の詰まり具合をみるようにコンコンと叩いている。

967氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 19:04:28
>>966

ゆらぁりぃ・・・・
          ザリィ!
眠目が草むらに無造作に置かれた『スイカ』に触れた瞬間!
眠目の背後から『殺気』とともに土を擦るような足音が聞こえる!

       ビュオオオォォォ・・・・!

振り返ると大上段に木刀を構え、目隠しをした少女の姿が見えるだろう!
彼女は眠目の耳元を掠めるような軌跡で木刀を振り下ろす!

968眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 19:23:54
>>967

「ひぃい!!?」

 眠目は普段の気怠げな様子が嘘のように後ろに素早く飛び退――こうとし、転ぶように尻餅をついた。

――目隠し…もしかしてぇ『スイカ割り』…?
――てことはぁ…『見えてない』…? このままだとまた…!?

「ご、ごめんなさいぃ。『スイカ』が落ちてたからどうしたのかとぉ!!
 叩かないでぇ…!」

 眠目は慌てて言い訳するように声を上げた。

969氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 19:57:46
>>968

後ろに飛び退こうとして体勢を崩す眼目
命乞いの様なその声を聞き木刀を構えた少女は・・・・・

「え?」

ビュオオォォォ―――――ッ!!

何という事か! その言葉に思わず振り下ろす木刀の軌道が逸れる!
手振れにより歪んだ軌跡は眼目の頭上へと迫り・・・・・そして!

   ガッシィィイイ――――ッ!!

『ア・・・・ 危ネェ、危ネェ・・・・・』

その木刀は眼目の眼前で『止められた』
            ヴィジョン
和風の意匠を持つ人型の『 像 』・・・・
何者かの『スタンド』が目の前で木刀を握りしめている!

970眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 20:26:07
>>969

「す、『スタンド』ぉ…!」

 眠目は慌てたように自身も『ノワール・デジール』を出し、近くにある『小石』を『強化硝子の瓶』に封じた。
 即席の武器であり、また叩かれそうになったら盾にできるかもしれないと考えているようだ。

「……貴方もぉ『スタンド使い』…なんですか…?」

 眠目はゆっくりと立ち上がりながら警戒するように声をかける。

971氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 20:39:52
>>970

「え・・・・ えぇ・・・・!?」

ぺろり、と目隠しを取る少女
日本人らしい黒い瞳が中から現れ、その眼は驚きと焦りに満ちていた
よく見ると、清月学園高等部の制服を着ている(これで学校にクレームを入れる事も出来るだろう)

「ご、ごめんなさい!
『スイカ割り』をしていたらうっかりと巻き込んじゃってて!
 お怪我は・・・・え? 『スタンド使い』・・・・?」

『和風のスタンド』が苦笑するように肩をすくめながら右手を離す
すると木刀がドサッという音を立てて地面へと落下した

だが、氷山は木刀には視線を向けずに、ただただ『ノワール・デジール』を見つめていた

972眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 20:56:18
>>971

――うーん…目はちょっと残念…でも若い目玉ねぇ…。
――っと…そんなじゃなくて…。

「怪我はぁ…ちょっとお尻を打ったくらいね。
 大丈夫、こちらこそ急にごめんなさいねぇ」

 眠目は落ち着いたふりをしながら言葉を返す。
 よく見れば黒猫ネイルをした指先が細かく震えているのがわかるかもしれない。

「……見えてるのよね…。
 『スタンド使い』同士だからぁ、仕方ないけど…」

 眠目は硝子瓶を手にしたままの『黒い人型のスタンド』をちらりと見ながら会話を続ける。

「私が『スイカ割り』にぃ割り込んじゃったせいだから、気にしないで。
 ……わざとじゃあないんでしょう?」

973氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 21:29:04
↓ところで遅ればせながらこんな感じです!
【対応してくださる方々へ】
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/150-151

>>972

自身の眼が値踏みされているとは知らずに
あわあわとした感じに瞼をぱしぱしとする氷山

「わざとじゃないんです・・・・でも・・・でも・・・・」

ガバッ!と宙を舞うくらいに大きな動きで飛び跳ねる様に『体勢』を変える
そして体は地面へと落下し・・・・・この体勢は『土下座』だ!

「すいませんでした―――ッ!」

額を土に擦り付けるくらいに下げ、膝をつきながら謝罪の言葉を口にした
見れば『スタンド』の方も腰を直角に曲げて頭を下げている

      クスクス
             クスクス

遠くの方で黒い影が笑い声をあげたかもしれない・・・・

974眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 21:43:21
>>973

「だ、だめよ…??
 女の子がそんな簡単に頭下げたら、それも『土下座』なんて…。
 変な人にぃ、利用されちゃうかもしれないし…」

「『スタンド』までぇ、そんな風に動かさなくていいから…。
 ほら、立って立って? 『スイカ割り』するんでしょう…? 」

 眠目は土下座した氷山に面食らったような顔で立つように促す。

「ほらぁ、あっちで笑われてるし…」

 眠目は黒い影を指差しながら話す。

975氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 21:57:03
>>974

「変な人・・・・?    ア リ ー ナ
 うーん・・・ 確かに『変な人達』には利用されたり、利用したりしましたけど・・・・
 ですが、私からの謝罪の気持ちは伝える事が出来たみたいで・・・」

立ち上がり、膝に着いた土を払う
スタンドの方も頭を上げて、少女の傍に控える様にして立ちつくす

「うん? あっち・・・・?
『さんずさん』、何か見えますか?」

『イヤ? 全然何モ見エナイガ・・・・?』

さて、眼目の指差す方向に向く二人(?)だが、何も気づいていないようだ
目が悪いのか・・・・ふざけているのか


     クスクスクスクス・・・・

976眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 22:10:01
>>975

「うんうん…ちゃんと伝わったからぁ…。
 ……既に利用され済みなのね…」

 眠目は頭が痛いとばかりに『ノワール・デジール』の持っていた『硝子瓶』をおでこに当て冷やした。

「見えないのぉ …? あそこでまだ笑ってるのに…」
「もしかしてぇ、お話しできる『スタンド』なの…?
 『フニクラ』と同じような感じ…?」

 眠目はぼそりとつぶやいた。
 以前出会ったスタンドを連れた少女のことを思い出しているようで続けて言葉が漏れる。

「……あのあとふらふらして怠くなったしぃ…」

 また『血』を抜く話になるとは限らないが眠目は警戒しているようだ。

977氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 22:28:39
>>976

「大丈夫ですか・・・?
 やっぱり、さっきの一撃でどこか怪我を・・・・?」

『硝子瓶』をおでこに当てる眼目を見て、何を勘違いしたのか
心配そうに顔を見つめる

「あ、すいません、自己紹介がまだでした
 私は『氷山あきは』と言います
 そして、こっちにいるのが・・・・」

『「エド・サンズ」ダ 「フニクラ」ッテノガ何ナノカハ知ラネェガ
 多分、俺ト同ジ「半自立型」ッテタイプの「スタンド」ダロウナァ・・・・
 嬢ちゃんモお察シノ通リニ、俺ハ意思ヲ持ッタ「スタンド」ッテェヤツダ』

「ところで、本当にあちらに何かが?
 私には何も見えませんが・・・・もしかして、本物の『悪霊』・・・・とか?」

『悪霊』の可能性を考えて全身がぶるっと震える

978眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 22:46:18
>>977

「ああぁ、頭を打ったとかそういうんじゃなくて…。
 『変な人たち』に利用されたりしてるみたいだから心配でぇ…」

――…名乗ってくれた…。
――本気で心配してるしぃ、攻撃とか心配しなくてもよさそう…?

「私はぁ『眠目(サッカ)』といいます」
「『スタンド』は『ノワール・デジール』。『エド』さんのようにお話はできません」

 眠目はすこし警戒を解いたようで、軽く自己紹介をした。
 『ノワール・デジール』は名前から能力が推察しやすいスタンドではない。『硝子瓶』そのものは見られているがどのようなことができるかはおそらく未知数だろう。


「『悪霊』かはわかりませんがぁ…さっきから笑い声が聞こえて…。
 ほらぁ、あそこに『黒い影』が…」

 そう言って眠目は一度首を傾げ、改めて『黒い影』の方向に目をやり口を開いた。

「……? そういえば、ここは『湖畔』の近くで開けているのにぃ…。
 どうしてあの子はぁ、『 黒 い 影 』なの…?」

979氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 22:55:31
>>978

「あ、ああ〜〜・・・・なるほど!
 う〜ん・・・・心配をしてくれてありがたいのですが、
『変な人達』とはそれなりに仲良くやってるから・・・・多分、大丈夫、かな?」

『お前ノ「大丈夫」ハサッパリ当てニナンネェケドナァ・・・・
 ソレヨリモ、「黒い影」ダッテ?』

「そういえば、海に行った時もそんな風に言われた事がありましたね
 うーん・・・・やっぱり何かが突いてきてるのかな?
『さんずさん』・・・・ちょっとアレを出してください」

『オウ』

そう言うと、氷山の手の中に一つの白い塊が『出現』した
何もない空間から湧き出る様にして物体が出現するさまは『ノワール・デジール』の『硝子瓶』にも似ている
それは卵の殻を和紙で蓋したような物体で・・・・

「えい!」

氷山はおもむろに『それ』を投げた!
『黒い影』の周囲にもうもうと煙の様に謎の粉末が広がる

980眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 23:11:02
>>979

「仲良くやれてるならよかったけどぉ…。
 女の子なんだからぁ油断はしちゃだめだし、
 『土下座』はしないようにね」

 そう言ってから氷山の行動を見守る。
 『スタンド能力』だろうか、なにかを作り出して…投げた。


「『ノワール・デジール』!」


 眠目は慌てたように『ノワール・デジール』で投げられた『粉塵』らしきなにかを触れた。
 すると『粉塵』は姿を消し、代わりに『ノワール・デジール』の手には『硝子瓶』が握られていた。

「……『黒い影』、ちっちゃい子供みたいに見えるの。
 これがぁ…なにかはわからないけど、『子供』にぶつけたら危ないでしょう…?」

 眠目がちらりと『黒い影』の方向に目をやると『膝丈ほどの草むら』の影に隠れているのかすぐに見つけることはできなかった。

981氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 23:24:09
>>980

「は、はい・・・・」

今一つ忠告されている事がわかっていない表情で答える
とはいえ、悪そうな連中(『アリーナ』)との付き合いもここ最近多くなった氷山にとっては
割と今更な忠告なのかもしれないが・・・・

「『ちっちゃい子供』・・・・?」

ふっ、と硝子瓶に詰められた『粉塵』が姿を消す
破裂による使用が終了して解除されたのだ

「え? それは本当ですか?
 私が出会った『悪霊』の中には小さな子供はいなかったから・・・・
 そうなるとまさか、本物の『幽霊』・・・・・・?」

それまでそこそこ強気だった表情に怯えが混じる
サーッと顔が青ざめて、震えが強くなってきた

982眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/17(火) 23:46:18
>>981

「……?
 『悪霊』ってぇ…実在するの…?」

 眠目は『出会った悪霊』という言葉に顔を青くする。
 『ホラー映画』を見るのは好きだが、それが実在するのであれば話は違うといった表情だ。
 それ故か『ノワール・デジール』に持たせていた『粉塵入り硝子瓶』を落としてしまう。

  パリンッ
    ふわっ…

 『硝子瓶』が割れ、解除される音と中に入っていた『粉塵』が一瞬広がり『強制解除』されたように消えた。

「……き、気のせいか、なんだか肌寒くなってきた気がしませんかぁ…?」

 クスクスクス クスクスクス

「ま、また『声』がぁ…!」

 『スタンド使い』が二人揃って顔を青くして話しているのが面白いのだろうか、
再度現れた『黒い影』はなにかにこの様子を書き連ねているようだった。

983氷山『エド・サンズ』:2021/08/17(火) 23:57:54
>>982

「え、ええ・・・・ 私が遭った事のある『悪霊』は下品で恨みがましくて・・・
 悪意に満ちた嫌な連中ですけど、『倒す』事は出来ました!」

正確に言えば勝手に消えていっただけなのだが、
打倒する事が出来たという点では間違いない
割れた『硝子瓶』とともに『粉塵』が消失していく・・・・

「こっちの『黒い影』は・・・全然見えないし、子供だし、声もかけてこないし・・・・
 ホラー映画とか怪談話に出て来る『幽霊』みたいで・・・」

恐怖のあまり、眼目の腕をぎゅっと掴む

『ン〜〜〜? 俺ニハ全然ミエナイシ、笑い声モ聞コエナイケドナァ?』

「わからないから怖いんですよ!」

震える二人を護るかのように『エド・サンズ』が前に出る
だが、『黒い影』の姿が見えないせいか、視線を向ける方角がだいぶズレている

984眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/18(水) 00:11:35
>>983

「……本当に『悪霊』って感じなんですねぇ…。
 だとするとぉ…『黒い影』は本当に『幽霊』とか『お化け』って感じがしますね…」

「遠くからぁ、私たちを見て笑ってるだけみたいですし…。
 なにか物が動いたり、するわけでもなくぅ…
 ただそこにいて『観察』してるみたいな…」

 腕を掴む氷山をそのままに、改めて『黒い影』の方向を指さして眠目は言葉を続ける。

「『エド』さん、こっちです。すこしズレてます。
 ……『スタンド使い』だからぁ見えてるわけじゃないのが…不気味ですねぇ…。
 『スタンド使い』なら見えるなら氷山さんも見えるはずですし…」

985氷山『エド・サンズ』:2021/08/18(水) 00:25:11
>>984

「『観察』・・・・? うう・・・・怖い・・・・
 わからないっていう点が一番怖い! 何が目当てなんでしょうか・・・・?」

「でもここは・・・・『さんずさん』!」

『ウーン・・・・コッチカ? マア、ヤルダケヤッテミルカ!』

その瞬間、『エド・サンズ』の手元に『さすまた』が出現した
眼目の言葉を聞いて修正した方向に対して『さすまた』を構え・・・・そして!

『トオオッ!』

『さすまた』を前方に突き出すようにして突進した!
狙いは眼目の微調整により『黒い影』に直接向かっている!

986『サマー・フォーエヴァー!』:2021/08/18(水) 22:49:30
>>985(氷山)

『氷山』は眠目の言うとおりの場所に『さすまた』を突き出し突進する!
『眠目』が言うことが正しければ、『さすまた』は『黒い影』をしっかりと捉えているはずだ!

 ………

            だが、手ごたえは、ない。

いや、正確には『地面』に『さすまた』がぶつかった手ごたえはあった。
しかし、それは当然の事………『黒い影』を仕留めたという感覚はまるでない。

………そもそも、『少年の姿の黒い影』とやらは『氷山』には認識できない。
     本当に、そんなもの居るのだろうか?
     今、それを主張しているのは、ふと現れた正体不明の眼前の女性だけ。
     『エド・サンズ』を数に入れれば、多数派は『いない』派である。

>>984(眠目)

『眠目』に時々見えているのは『影絵』のような『少年』の『シルエット』だ。
当人―――いや『当影』は、『草むら』に隠れているつもりだろうが、
『草むら』の大きさが微妙に小さいため、ちらちらと『眠目』に見えている形だ。

『氷山』の『さすまた』は『影少年』に当たった。
しかし、普通の『影』にいくら攻撃しても無駄なように、
『影少年』にはなんの影響も与えていないようだ。

『草むらの影』に隠れて完全には見え辛いが、
『影少年』はもっている筆記用具で何かを熱心に書いているようだ。
その視線はおそらくだが、『氷山』の方を向いているように思える。

987眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/18(水) 23:03:36
>>985-986

「あっ…」

 眠目は指さした方向に『槍のようななにか』を持って突進する『エド・サンズ』を見て声を漏らした。
 『黒い影』は当たった『槍』にも痛痒を感じないようでなにかを書き連ねている。

「……当たってますけどぉ…。
 全然効いてませんねぇ…なにか書いてるのかな…?」
「……『スタンド』で攻撃しても効かない…『スタンド使い』にも見えない…。
 『スタンド』じゃないなにか…本当に『お化け』なのかもぉ…」

 眠目はまた顔を青くしながら話している。
 声がすこし震えているかもしれない。

988氷山『エド・サンズ』:2021/08/18(水) 23:19:52
>>986-987

『さすまた』が地面を抑える感触はあるが、
眼目の言う『黒い影』をどうこうした手ごたえはまったくない
氷山は眼目の腕に抱き着きながら震えているが、『エド・サンズ』はそうでもないようだ

『第一ヨォ・・・・「黒い影」ナンテ本当ニ居ルノカネェ?
「スイカ割り」に巻キ込マレタ事ニ腹が立ッテ、カラカワレタダケナンジャアネェノォ?』

「え・・・・ まさか、眼目さん・・・・ 本当は・・・・?」

それまで眼目の腕に巻き付いていた手が離れる
申し訳なさそうに眉を顰めながら、すすす・・・と距離が離れていく

989氷山『エド・サンズ』:2021/08/18(水) 23:20:22
>>988メール欄途中送信失礼しました

990眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/18(水) 23:35:45
>>988

「えっ…もしかしてぇ…疑われてますか…?」
「ほらぁ、『海』でも言われたんですよね? 『お化け』はやっぱりいるんですよぉ…」

 >>979で言及していたことを眠目は覚えていたようで『お化け』の存在を主張する。
 だが、離れていった氷山を見て、一度ため息をついて諦めたように言葉を続けた。

「……警戒も当然ですね…。
 私も『スタンド使い』相手ならぁ…罠の可能性も考えますし…」

991氷山『エド・サンズ』:2021/08/18(水) 23:46:53
>>990

「い、いえ! 罠だなんて思ってはいないですよ!?
 確かに『海』でも同じような事を言われましたし、なんか自分でも変だなぁ〜って感じはしますけど
 でも・・・・なんだか実感がわかないというか・・・・?」

自身の迂闊な言動で眼目を傷つけてしまった事に対して、慌てて弁解をしようとする
だが、どうにも上手い言葉が思い浮かばずにむなしい言葉だけが出ていく

「う・・・わかりました! 家で少し『黒い影』について調べてみます!
 私も変な『幽霊』に憑りつかれているとしたら怖いですし・・・・」

992眠目倫『ノワール・デジール』:2021/08/19(木) 00:02:30
>>991

「……複数回言われてもぉ『実感がわかない』…?」

 眠目は眉を顰めながらも言葉を止めた。

 なにかが『おかしい』。
 だがおかしなものが見えているのは自分だ。氷山ではない。
 『おかしい』のは自身か氷山か判断がつかない以上、追及は混乱の元にしかならないだろうという考えのようだ。

「……『黒い影』についてぇ、なにかわかるといいですね。
 『お化け』でなければいいんですがぁ…」

「……話し込んじゃいましたねぇ。
 それではまたぁ、『スイカ割り』の邪魔をしてしまってすみませんでした」

 眠目はそう言うと氷山から離れ、スーパーにスイカを買いに行こうと歩き出した。

――……しばらく『黒い影』がいないか気をつけてみないとぉ…。

993氷山『エド・サンズ』:2021/08/19(木) 00:16:48
>>992

「え、ええ・・・・それでは
 何かわかりましたらお伝えします」

そう言うと、この場を離れる眼目に別れを告げて、
草むらに放置された『スイカ』を回収する
・・・・暑い夏の盛り、周囲ではけたたましく蝉の声が鳴り響くが『影』の気配はまるで感じない

「『黒い影』・・・・私には全然見えないのですが、まだここにいるのでしょうか?」

『気ニハナルケドヨォ・・・・ヤッパリ、皆ガからかってるダケナンジャネェカ?
「さすまた」持ッテツッコンデミタケドヨ、手ごたえモ歯ごたえモナカッタゼ?』

「うーん・・・・気になります
『悪霊』とは違う本物の『お化け』だったら・・・・どうしましょう」

一人になるとやはり少し怖くなったので
『清めの塩』の代わりに『投卵子』の目つぶし粉を体中に振りかけて帰って行った

994『星見町案内板』:2021/08/28(土) 08:42:54
次スレ→ 【場】『 湖畔 ―自然公園― 』 その3
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1630107603/1-


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