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Key Of The Twilight

1イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/01(火) 19:01:24
移動してきました。

現在、参加者の募集はしておりません。

457メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/03/28(月) 22:38:23
【群青の街】

その一撃は、言動共に粗暴に見えるシャムからは想像も出来ない程の精密さで、放たれた。
タイミングを合わせたのか、はたまた偶然なのかは分からない。

しかし、針の穴を通すかの様な光線は、確かに疵面の男の胸を貫いた。
白磁の鎧が砕け、仰向けに倒れる男。

「……呆気なかったな、最後は。」

アグル、イスラの二人との連携は思った以上に上手くいき、苦戦したのが嘘かの様に騎士達を倒したメイヤは、刃に付いた血糊を払いながら呟いた。
考えるのは、倒すべき吸血鬼との共闘を終え、本来の目的である吸血鬼討伐に取り掛かるかどうか。

……答えは、否だ。
騎士達とそれを率いる男は倒れ、戦うならば四対一と此方が圧倒的に有利だろう。

しかし、今日は此処に来た最重要目的はイスラとバッハの救出だ。
少なからず消耗している今、無理に戦う必要性は無い。

そう、自らの中で理由を付けてメイヤは武器を収納する。

「なん、だ……!?」

その時だった。
城が大きく揺れ、破壊音が轟き響いたのは。

音と共に揺れは増し、頑強な筈の石畳が、積層壁が割れ、廊下は崩落の兆しを見せた。

「拙いですね、急いで脱出しましょう!」

地下にあるこの廊下が崩れれば、全員生き埋めになるだろう。
バッハの声にメイヤは素早く駆け出そうとし……思わぬ不意打ち、空間歪曲を利用した衝撃波によって吹き飛んだ。

「……まだ、終わりではないぞ?」

床に叩きつけられ、痛みに顔をしかめるメイヤは、進行方向、出口へと繋がる方へ視線を向ける。

「吸血鬼の長と戦うには、人の身では力不足でな……

毒を持って毒を制す、吸血鬼の血肉を取り込んだこの身は既に人ではないのだ……」

そこには、シャムの砲撃により倒れた、疵面の男が立っていた。
貫かれた筈の胸元は血に濡れているものの、傷口は塞がり。

黒の瞳は爛々と赤く輝き、口元には牙が覗く。
更に、その背には蝙蝠の翼が二対。

「本気を、出させてもらおう……!」

滅するべき吸血鬼の力を宿し、疵面の男は一行へと再び立ちふさがった。

458フィア ◆.q9WieYUok:2016/03/28(月) 22:45:04

ーーーーー

「死んだんじゃない、生きてなかっただけ……」

呼び掛けに応じ、上半身を起こしたDD。
彼女、もとい彼の無事を確認し、フィアはホッと安堵の息を吐く。

身体に浮かぶ黄金の模様、彼の秘策と言っても過言では無さそうな術式を見るのは長らく振りだ。
しかし、それは紛れも無い回復の証し。

「何故ノワールと同じ顔をしているのか、それは至極簡単よ。」

結界内部から、外の激しい戦いを瞳で追いながら、フィアは続ける。

「思い出してみて、私達が生まれ落ちた時の事を……」

記憶の奥底、遥か昔の事。
自分が自分である事を認識した、あの時。

「私達はオリジンを見た事が無い。

何故なら、私達はオリジンと言う存在を12分割して生まれたから……」

そう、あの時。
朧気な記憶に浮かぶのは、幼き12人の姿。

「オリジンを12分割して生まれた私達が、それぞれ血と肉と魂を寄り合わせて生んだのが吸血鬼の姫、ノワール。」

考えてみれば簡単な事だ。
ノワールとオリジン、それは限り無く近い存在なのだ。

「私達と言う血肉を失った器がオリジン、そのオリジンが血肉である私達を取り込もうとしている……つまりはそう言う事。」

思い出せば、自分を含めた幼き12人の中にジーナの姿は無かった。
しかし、彼女の魂の波長は紛う事無く自分と同じ長老だけが持つ独特の波長だ。

だが、今はそれを問い出す時では無い。
元々在ったモノを取り戻す事は決して間違えではないが、はい、わかりましたと首を縦に振る自分達ではない。

「私の命は私のモノ、そう易々と渡しはしない。」

メルツェルが放つ極大の火球が城を飲み込み、猛火が燃え盛る中、フィアは立ち上がる。

「相性は最悪だし、鬱陶しい奴だけど……メルツェルを援護するわ。」

そして、結界の中にDDを残して空間を跳躍。
メルツェルと同じく黄金にも漆黒にも見える鎧、12の鍵の一つ、黄金の水瓶の力を権限させ、謎の人物……オリジンの背後に現れた。

それと同時に、メルツェルは再び極大の火球を。
それに合わせてフィアは絶対零度の凍気の嵐を巻き起こす。

相反する二人の力は互いに打ち消し合う事無く相乗し、オリジンを中心に凄まじい大爆発を起こした。

轟音と閃光は止まず、灼熱の熱風と極寒の吹雪が吹き荒れ、メルツェルの居城は秒刻みで破壊されていく。

そして。
一瞬にも永遠にも思える破壊の嵐が止んだ後。

メルツェルとフィアの視線の先に浮かぶのは……

「……ケッ、あれでまだ死んでねーとはな……」

身体の七割程を失いながらも、宙に浮かぶオリジンの姿だった。

「……流石、ね。」

459リト ◆wxoyo3TVQU:2016/03/31(木) 12:36:32
【???】

正直、自分の今の状況が未だ分からない。
リトは戸惑いながら自分の膝の上に視線を落とす。

「・・・・・・・・・・。」

何故、

「お花!」

自分へと差し出される一輪の花。
リトがそれを受け取ると、先程から断りもなくずっと人様の膝の上を陣取っている幼児が嬉しそうに笑う。

自分は何故、見ず知らずの子供のお守りをしているのか。

「ジタン。」

どうでも良いが、そろそろ膝が限界である。
そんな頃、漸く子供の保護者が姿を現した。

「おいで、お客さまに面倒をかけちゃ駄目。」

保護者は子供を抱き上げてそのままリトの隣に腰掛ける。そして保護者・・・・・リトと同じ年頃と思しき少年は、軽く謝罪の意を述べた。

「・・・・あんた、アンヘルだっけ?」

戸惑いはしていたものの、特に迷惑をかけられていたわけでもない。
謝罪を軽く流したリトは、手遊びを始めた幼児を横目に見ながら少年に問う。

「ここが特殊な所だってのは理解した。けど、あんた達は地上に自由に出られるんだろ?あんたとは前にも会ったはず。」

「そうですね。」

「じゃあさ、あんた達と同じようにすれば俺も戻れるんじゃないの?」

リトはヨハンに連れられ謎の穴に落とされた。そこまでの記憶はある。しかし、その後気づけば「この場所」にいた。
場所と言うよりは世界と言うべきか。ここは自分が当たり前に生きていた世界とは別物らしい。なんともキテレツな話ではあるが、長い時を経て眠らされていた吸血鬼がいたり、その吸血鬼の故郷である世界に飛ばされたり、しまいには先祖なる存在が現れたりなど、最近意味の分からない出来事が多すぎて感覚が麻痺してきているようだ。不思議と受け入れられる。
落とされた穴の中で、闇に飲まれた。そして、自分は死ぬのだと理解した。しかし、この心臓は止まることなく今ここにいる。目を覚ました先の光景は一変しており、城のような空間で立たされており、目の前には偉そうに椅子に座りこちらを見据える男がいた。自分はその男を知っている。吸血鬼の世界に現れた、ルイと名乗る男。
男は呆れたように溜息を吐き、「お前を買いかぶっていた」だの、「情けない」だの散々嫌味をぶつけてきたと思えば、「ここからは簡単に出ることが出来ない」などと言ってきた。「元の場所に戻れるかはお前次第だ」と。連れてきたのなら帰せと抗議したが、「知らん」と一蹴。まったくわけのわからない男である。帰さないのは向こうであると言うのに、「ここにずっと居られるのは迷惑」「早く出ていけ」とまで言われた。腹立たしい。

嫌な記憶を思い出しているのか、どんどん苦い顔になっていくリトにアンヘルは苦笑いを浮かべた。

460リト ◆wxoyo3TVQU:2016/03/31(木) 12:37:16

「それは難しいです。」

彼はきっとルイの発言に腹を立てているのだろう。無理もない。ルイ、我が父は兎に角言葉が少ない。理由を述べることを面倒がって結論のみを口にするため、言葉を向けられる側は意味を理解出来ず機嫌を損ねてしまうのだ。

「僕とあなたは、今こうして話も出来るし、触れようと思えば互いに触れることも出来ます。でも、今あなたは少し特殊な存在なんです。僕達とはまた違う存在。」

今のリトは簡単に言ってしまえば霊体である。身体は今でも元の世界にある。しかし魂と身体を長い間切り離してしまえば死んでしまうので、意識だけをこちらに連れ出した。地上のリトから言えば夢を見ている状態に近いだろう。
あの時、闇に飲まれたリトを救うには一時的にでも身体と魂を切り離す必要があった。闇の力の核となる魂を喰われれば、あの世界は終焉を迎えることになったかもしれない。魔玉をその身に封じたセナの魂を引き継いだリトには、それ程の災厄をもたらしかねない威力があるのだ。よって、何としても魂だけは護る必要があった。

しかし、その魂は生きる気を失っていた。身体と引き離し、魂をルイの魔力を込めた宝玉に封じ護っても、魂が消滅を望んでしまってはいずれ跡形もなく消え去ってしまう。どちらにせよ災厄は防げただろうが、リトは危険な存在であるのと同時に、世の闇を制するには必要存在であり、失うには惜しい価値があった。故に少々強引ではあるが、身体と魂を引き離した上で、魂から意識をも切り離すことにした。今のリトの意思はその魂にとって毒でしかない。

「あなたは帰りたいと言っていますが、自覚していないだけで、戻ることを拒否しているのはあなた自身なんです。あなたが心から生を望めば、きっと帰ることが出来ます。」

リトを護るには致し方のない処置だった。ルイは口が裂けても言わないだろうが。

「ここにはいくら居ても構いません。自分の心に問いかけて見てください。ここは、もとより自分を省みる為に存在する場所です。」

「もっとも、省みるのは自分じゃなくてパパなんだけどね。」

アンヘルの説明に突如割って入る声。いつ来たのか、背後から少女が仁王立ちで見下ろしていた。
この少女にも一度会ったことがある。たしか、アンヘルの姉で、名前はアネスだったか。

「自分じゃないって?」

「ここは魂を選別する場所。あんたも聞いたことあるでしょ?閻魔とか、天国とか地獄とか。あれ、迷信じゃないから。生涯を終えた魂がどちらに行くか、生前の記録を辿って決めるのがパパの仕事。」

「は?」

「あ、あんたは死んでないから安心していいよ。ここにいるのは死者だけじゃないから。私もアンも、末っ子のジタンもちゃんと生きてるし。」

なんだかとんでもない情報を押し付けられた気がする。
トンデモ状況が多すぎて感覚が麻痺してるとは言え、流石に衝撃的すぎるのではないか。自分は本来死んだ後にしか会うことのない存在を目の当たりにしているのか。

「姉様、何か用事?」

「あー、そうそう。ティータイムだって、ママが呼んでる。」

言ってアネスはある方向を指さす。
視線を向ければ、庭の奥の方で先に席についているのであろう女性が笑顔で手を振っている。

「あんたも参加ね。パパを呼んでも来なかったから、このままだとママが落ち込んじゃう。」

色々な情報が一気に押し寄せてきて処理が追いつかないところを勝手に欠員の穴埋めにされ、リトはわけもわからないまま促されるままに従うこととなった。

461ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/04/02(土) 01:22:48
【イスラ》板組も消滅したぽいしなぁ……

色々やりたいネタは沢山だけど、話まとめないと収拾着かなくなりそうだww三十路までにはきっと完結……してるハズ!

リマ》感動の涙は完結まで取っておこうぜ!
ww

同期の女子と合コンしたり、同期の友人の友人とかでこう捜して行けば出会いは沢山あるはず〜!

と言う訳でマジラブはイスラとデュエットするのでwwww←】

462アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/02(土) 19:14:29
【過去】

不意に名前を呼ばれ、アブセルは飛び上がった。ヨノが居るとは思ってもみなかったのだ。
なぜ自分だと分かったんだ、とでも言いたげな面食らった表情で入室するや、直ぐに床に這うリトの姿が目についた。

「リト…、昨日は大丈夫だった?」

リトはやはり応えない。代わりにヨノが頷いてくれた。
彼はどうやらスケッチブックに向かって絵を描いているようだ。
傷だらけだったらどうしようと思ったが、見る限りは元気そうで、アブセルはほっと胸を撫で下ろす。

次いで、渡したいものがあったと後ろ手に隠したクローバーの存在を思い出す。
しかし、いざ渡すとなると何やら恥ずかしくて中々切り出せない。
アブセルは暫しモジモジと逡巡した後、ついに意を決した。

「あの…これ…、昨日のおわび…」

照れくさそうに言って、緑の束をリトの目の前に差し出す。

「これからはリトが外に出られるようになるまで、俺が代わりに外のものを持ってきてリトに見せてやるから」

463アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/02(土) 19:16:05
【ポセイドン邸】

小さくて柔らかい女の子の手。リマの手はまさにそんな感じ。
彼女の手に触れるのはなにも今回が初めてではないが、不意に手を握られた時、アブセルは一瞬ドキリとした。

おかしい。普段なら何とも思わないのに。
何だか顔も火照ってきたような気がするし、風邪でもひいたのかもしれない。
そんな疑念を自分に抱いていると、丁度セナとそしてナディアが戻ってきた。

「うん、まあね。そっちはどうだった?
…てかセィちゃんさんのあの顔の傷ってもしかして奥さまが…?」

アブセルは二人の分の紅茶を淹れながら、ナディアに小声で問いかける。
しかし彼女の表情を見れば、返答など聞かずとも分かった。

どうしたものかと考えている内、ふと前々から思っていた疑問が口をついて出た。

「奥様のアレって本当に精神的な病気なのかな…。
リトに対する態度のこともあって、俺あの人のこと好きになれないけど、ほんとは凄い優しい人だってことは分かるよ」

あの人は身分に拘ったりしない。使用人に対しても変わらない態度で接してくれる。

だからこそリトに対してのみ、別人のような振る舞いを取る彼女に違和感を覚えていた。
まさかそれが実の祖父の洗脳によるものなど、アブセルは夢にも思っていない。
今回の騒ぎの一件で、ミレリアの件もヨハンの陰謀の一つではないかと疑い始めていた程だ。

464DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/02(土) 19:17:51
【城】

DDはメルツェルやフィアとは考えが違った。

「つまりは…って、そんなんじゃ納得できないわ…」

今から何百年前か…。
あの日、自我が芽生えた瞬間は奇妙なものだった。
そこがどこで、自分が何者なのかも分からなかった。
ただぼんやりとした意識の中、理解していたことがある。
自分がとある一つの存在から生まれ落ちたことと、周りの子供達も自身と同様の存在であるということだ。

そしてDDは、自分を含んだ12人を兄弟と、そして顔も名も知らないそれを親のようなものだと捉えていた。

メルツェルからオリジンを庇ったのは、DDにとってそれがノワール同様、貴い存在であったから。
自分達に力を与え、血と肉をくれた。
だからこそ、オリジンが自分達の存在を消すべく現れたと知った時、ショックを感じずにはいられなかった。

自分の命は自分のもの。確かにフィアの言う通りだ。
本来ならばフィア達に加勢するべきなのだろうが、しかしDDは動けなかった。

ただ知りたかった。何故、今更になって自分達の前に姿を見せたのか。そして自分達が生まれることになった経緯、元々ひとつだった存在が12個に分かれた利用を。

465イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/03(日) 22:42:55
リマ>おめでとうございます!受かって稼いで藍ちゃん買えますね!(笑)

マジかー…、うたプリ恐るべしww
確かライヴとかもあるんですよね?チケットとかも直ぐ売り切れそう…
ロボットでも問題ないんだw何でもロケットパンチとかも出来るらしいですね。強い(笑)

自分も思いましたwやはり親子ってことですかね

書く書くって言って、結局諦めて書かないってことも有り得ますので期待はしないでくださいw


ヤツキ>完結…できるといいなぁ…
自分はネタとか全く思いつかないのでヤツキさんについていきます!(*`・ω・)ゞ⬅

466メルツェル ◆.q9WieYUok:2016/04/10(日) 01:44:48
【群青の街】

二人で七割削れたならば、後一押しか。
頭部と僅かに残った上半身だけで宙に浮かぶオリジンの姿を見つめながら、フィアは声を挙げる。

「DD、貴方の援護が有ればオリジンを倒せるわ!」

しかし、援護を求める言葉に対する返事は無く、DDが動く気配も無い。
それはフィアに取って予想外の出来事であり、思わず視線をDDへと向けた。

その瞬間、オリジンは自分自身とその周囲に流れる時を巻き戻し、傷付いた身体を元通りに。
それはほんの一瞬の間だったが、オリジンに取っては充分過ぎる間だった。

元の小柄な身体からは想像出来ない速さで宙を駆け、腕の一薙で周囲の空間そのものを引き裂くと同時に、背後のメルツェルが放った熱波を振り向き様に発生させた重量波で相殺。

更に、そのまま高速で横回転しながらフィアへ突撃。
フィアが張る凍気の障壁を薄皮の如く破り捨て、黄金期にも漆黒にも見える鎧を砕き、彼女を吹き飛ばした。

そこでオリジンは一旦動きを止め、空間跳躍によって死角から現れたメルツェルの首筋を小さな手で鷲掴みにし、先程地に叩き付けられたフィアの隣へ投げ捨てる。

単純な物理的な攻撃に見えるも、その一撃一撃、一挙動毎にオリジンは自身のみぞ知る異界の術式を絡ませていた。
それは吸血鬼の最上位種、長老にすら決定的なダメージを与えれるモノだ。

その直撃を受けたフィアとメルツェルは何とか立ち上がるも、反撃の手が出ない。
動かない二人を見下ろし、オリジンは両の腕を大きく広げる。

小さな掌の先に超高密度の魔術紋が集積し、空間が、時空が歪む。
そして、二つの魔術紋が合わさり、雷光とも極光とも見える眩い光の雨が周辺一帯に降り注いだ。

ーーーーー

砕け散った模倣の世界を集め合わせ、生まれたこの世界は言わば紛い物。
その世界は、傷付いた身体を癒やす隠れ蓑にするには丁度良かった。

世界そのものと言っても過言ではない中枢システム、黄龍が動き出す前に十字界を世界の裏側に仕込み、血肉を分けた種を蒔き、育った長老と言う実を収穫する。

そして先ずは、歪な世界をリセットしようとしている黄龍を滅ぼし、遥か古に敗れた白焔の龍皇へ再び戦いを挑もうではないか。

467メルツェル ◆.q9WieYUok:2016/04/10(日) 01:47:20
ーーーーー
12に分かれた黄金と漆黒の力、その一片すら取り戻して居ないが、それでもオリジンの放つ攻撃は凄まじい。
一粒一粒が大爆発を巻き起こす圧倒的な破壊の雨は、城を、その周囲一帯を、群青の街を焦土に変える。

美しく輝く死の雨が降り止み、焦土と化した城の跡で、フィアは何とか立ち上がった。
全身全霊で張った絶対零度の結界は、あの四霊のキールの全力に勝るにも劣らない堅固さを持っていた。

しかし、その結界を持ってしても即死を免れる程度であった。
黄金にも漆黒にも見える鎧は見るも無惨に砕け散り、五体満足ながらも無傷な部位は見えない程に傷付いている。

その隣で、同じくボロボロの状態で膝を着くメルツェルは、血反吐を吐き捨てて立ち上がった。

「……くそったれが、これじゃァもう勝てる見込みは無ぇ……」

3人で畳みかければ勝機は合ったが、死んでないだけと言うのが正しいこの状態では撤退する事すらままならないだろう。

「冷血女、オカマ野郎を連れて退け。

ガラじゃねーが俺が囮になってやらァ……」

ならば、と立ち上がったメルツェルはオリジンを睨み付け、空間を跳躍。
宙を浮かぶオリジンの眼前へ姿を現す。

そして、その小さな身体を確と抱き締めた。
それは恋人同士の熱い抱擁では無く、真逆の死の抱擁か。

「ガキと心中なんて全く、何の楽しみも無ぇじゃねーか……クソが。」

諦めの声をぼやき、メルツェルは残る全ての力を、その魂を燃料にしーーーー

ーーーー起こるべき爆発は起きず、その存在全てを吸収され、消えた。

宙へ浮かぶオリジンの姿は無傷で、変わった所を挙げるならば、銀にも白にも見える髪が一房、赤に染まっただけだった。

「12に分かれた内の一つ、燃える毒蠍の力……回収した。」

靡く髪はそのままに、オリジンは無機質な声でそう呟いた。
そして、立ち尽くすフィアの姿を睥睨し、彼女へと手を伸ばす。

「極凍の水瓶よ、毒蠍に免じて今回は見逃そうか。」

伸ばした手の先、浮かぶ魔紋を握り潰し、オリジンは身を翻してその姿をゆっくりとフェードアウトさせた。

468リト ◆wxoyo3TVQU:2016/04/10(日) 18:45:07
【過去】

目の前に差し出された緑の束を、リトは不思議そうな顔で見つめる。
ついでヨノへと視線を移すと、それは幸せを運ぶものだと教えてくれた。
手を差し出すとアブセルが四つ葉を握らせてくる。

「リト、ありがとうは?」

ヨノが促すも、やはりリトは答えない。
しかし今回ばかりは少し違った。

リトはスケッチブックを手に取ると、描いていた絵を切り取る。そしてそれをアブセルに差し出した。

「・・・・・あげる」

それまでリトに隠れて見えなかったが、スケッチブックには猫や花、そしてクレープのような物を持った人間の絵などが描かれていた。
色々な物が乱雑に描かれていたが、それは昨日リトが初めて目にしたものだった。人間は色合い的にアブセルを描いているのだろう。

「それ、アブセルちゃんに渡すために描いていたの?」

リトが言葉を口にしたことにも驚きだが、それ以上にリトのとった行動には更に驚かされた。
ヨノの問いかけにリトは頷く。

「要らないならあげない。」

469シャム ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/10(日) 23:32:45
【城】

人の身でありながら、自ら吸血鬼の血肉を取り込んだというのか。

「そのイカれっぷり、逆に感心するぜ」

シャムは人外のモノに変貌した相手の姿を、まるでお面白いものでも見るような目で見据える。

直後、周囲の壁が本格的に崩壊を始めた。
ひび割れ、崩れ落ちる壁面や天井。このままでは生き埋めになる…。そう思った時、不意にそれらの決壊がピタリと止まった。まるで時間が止まったかの様に。

「早く…、何とかしてくれ…。長くは持たねー、から…」

誰の仕業かと見れば、珍しく険しい顔で汗だくになったアグルが、トールの力を発動させていた。
どうやら周囲一体に特殊な磁場を発生させ、城全域を浮かせているらしい。

「へぇ…意外とやるじゃねーか」

シャムは言う。
そして、要望通りに何とかしてやるとばかりに、その場にいる疵面の男を除いた全員を空間跳躍で移送した。

………、

「え」

目の前に広がるは黄昏の空色。全身を包む冷たい空気。
転移した先は何と上空だった。

「悪ぃ、悪ぃ。俺様、空間跳躍とか苦手なんだわ」

「ちょ…っ、ふざけんなし!」

バッハ、メイヤ、イスラはまた別の地点に飛ばしてしまったかもしれない。
眼下に見える群青の街に落下していくアグルを目の端で見送りながら、シャムは別の方へ意識を向ける。

「やっぱ無事だったか。来いよ。ここなら思いっきり、暴れられる」

シャムの右腕に寄生している蟲は、今や背面、そして左腕にも影響を及ぼしている。
両腕を剣に変え、背から奇怪な翼を生やし飛ぶ彼は、同じく地下から脱出し、対面する疵面の男に向かって不敵な笑みを送った。

470メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/04/11(月) 22:44:00
【群青の街】

「吸血鬼の長でありながら、異形の蟲を宿すキサマも中々のイカレ具合だ。」

崩壊どころか焦土と化した城跡から姿を現した疵面の男……バルドは、紅瞳を歪めて凶笑を浮かべた。
そして、宙へ浮かぶシャム目掛けて漆黒の翼を広げ、空を駆ける。

その速度は並みの吸血鬼とは比にならない程速く、ほんの数秒でシャムを射程圏に捉え、突撃。
大翼で身体を包み、高速で横回転するその様は黒い砲弾か。

頂点部品から銀剣の切っ先を突き出し迫るそれは、シャムの胴を掠めて更なる高みへ登り、翼を広げて急停止すると共に黒羽の弾丸を眼下へと撒き散らし、空間転移。

シャムの眼前へと姿を現したと同時に、鋭い刺突を繰り出した。
吸血鬼に致命傷を与えうるその刃はシャムの頬を掠め、鮮血を散らす。

「血沸き肉踊る戦い、嫌いではないが今はその時では無い。
見るが良い、周りを。
我が主は目的を達し、キサマの同胞……一人の長老はその存在を消した。」

シャムの返り血を一舐めし、バルドは続ける。

「騎士団はほぼ壊滅したが、さほど問題は無い。
主と我が居ればな……
もう一度言おう、この街へ来た目的は達した。」

そう、長老達の血肉と魂の器、オリジンとその部下である騎士団がこの地に来た目的、メルツェルの討伐、吸収は達成された。
ならば、もうこの場に留まる必要は無い。

刺突を繰り出した姿勢のまま、悪鬼にも見えるバルドの姿は、ゆっくりとフェードアウトしていく。

「次に会いまみえる時は、全力でキサマを滅してしんぜよう……!」

そして。
その姿が消えたのと、メイヤら三人が城跡へ辿り着いたのはほぼ同刻だった。

「……城どころか街のほぼ全域が焦土だ。

一体何があったんだ……!?」

シャムによってメイヤらが転移したのは街の外れ。
そこから中心部の城へと走って来たのだが……

471ナディア他 ◆wxoyo3TVQU:2016/04/12(火) 22:13:57
【ポセイドン邸】

(・・・・!!)

12人の長老の血肉によって生まれたノワールは、その根底で長老達と繋がっている。故にノワールの身に異変が起きれば長老達は察知することができ、ノワールもまた然り。
メルツェルが消えたその時、突如としてノワールの身に悪寒が走った。

誰の身に?何が起きた?最悪の事態でなければいいが・・・・・

自分が何百年もの眠りに就いている間、十字界は印象が変わった。
一見して変わりないように見えるが、皆がいくら平静を装っていてもその位分かる。しかし、それを隠されている以上自分には知る由もなく、自分はまず、皆が待ち望んでいる我が子、新世界の吸血鬼を見つけ出すことを優先するべきだと考えた。

「・・・・・」

ノワールは思案げな表情を浮かべた後、席を立つ。
そしてセナの腕を引いた。

「話がある」

------

「あんたの言う通りだよ」

アブセルの漏らした疑問に、ナディアは苦笑しつつ頷いてみせる。
嘘はつけない。だが、それがアブセルの祖父の仕業だとはとてもじゃないが言えない。アブセルをこれ以上傷つけたくはなかった。

「母さまは、術にかかってる。リトを恨むようにね。全く呆れた話だけど、あの人(ヨハン)はリトをもともと人柱として母さまに生ませたんだ。一応、母さまのことは愛してたから、我が子を奪って傷つけたくなかったんだろうね。」

そしてナディアは溜息をつく。

「長い間洗脳を受けてたから、もう術を解くことは出来ないらしい。今後リトに心を開いてくれるかは母さま次第だね。セナに対しても態度は変わらなかったよ。取り敢えず、顔合わせは済んだから葬式はまぁ何とかなると思う。」

472シャム他 ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/15(金) 20:20:06
【飛行挺】

熾烈を極めた戦いから数時間後が経過し、日もすっかり暮れた頃。
飛行挺内部は収拾がつかない状態に陥っていた。

「アタシがメルちゃんを殺したのよぉっ!
ごめんねぇメルちゃん!成仏してぇ!」

「るっせぇんだよックソカマ!
いつまで泣きゃあ気がすむんだボケッ」

掌で顔を覆い、おいおいと泣き叫ぶDDに。
オリジンの出現、それによる同じ長老であるメルツェルの死、敵を仕留め損なったことと、様々な要因が原因で荒れるシャム。
そして…

「……何でこの人達ここに居んの?」

アグルはアグルでそれに対し不満を洩らしていた。

イスラ達が崩壊した城跡にたどり着いた時、そこで発見したのが負傷したフィア達だった。
当初、彼女らの傷は深くとても立ち上がれるような状態ではなかった為、何となく放っておくのは忍びないという理由で、彼らを匿うことになった訳だか…。
上空から落とされ、何とか無事だったアグルはそんな話は聞いてないとばかりに、むすりとしていた。

「アタシもうどうしたら良いか分からないわ〜!」

もはや聞き苦しいと言うか、相手にするのも鬱陶しくなってきた。シャムはイライラしながら言った。

「どうもこうも別に悩むような話じゃねぇだろ。ヤツ(オリジン)をブッ殺す。それだけだ」

「それは駄目よぉ!」

しかしそれに対し、DDは間髪入れず言葉を返した。

「そんなことしたら、残った長老VSオリジンの戦いが幕を広げちゃうじゃない!
そんなの嫌よぉ!悲しすぎるわぁ!」

DD曰く、"親子"で争うのは、見るのも堪えられないらしい。
しかしだとしたらどうしたいと言うのか。

「ならテメェはヤツに大人しく喰われても良いっつーのかよ」

「そんなのわからないわ…、そうした方がいい気もするし…。
でもアタシまだやりたいこと沢山あるのよォ!
気になるオトコのコも山ほどいるし、まだ女の幸せ掴んでないし!」

オリジンの意思で生まれたのなら、オリジンの意思で消えるのもまた道理である、とDDは考える。
メイヤちゃんアタシを慰めて!と叫ぶ彼に、シャムはいい加減うんざりし匙を投げた。

473アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/15(金) 20:21:44
【過去】

「い、いる…っ!ちょうだい!」

リトが自分の絵を描いているとは驚きだった。
それ以上に、彼が自分のことを想ってしてくれたであろう、その行為と気持ちが嬉しかった。

アブセルはリトから絵を受け取ると、それを改めて眺めてみた。

「ふふっ…ヘタクソ…」

そうは言うが、昨日はアブセルにとって特別な日になった。
そこに描かれた絵は確かに、昨日の出来事が夢でないことを語ってくれた。
本当は涙が出そうなくらい嬉しかったのだ。

しかし、その絵には一つ足りないものがあった。
何を思ったか、アブセルは黄色いクレヨンを手にすると、貰った絵に何かを描き足し始めた。

やがて出来上がったものを二人に見せる。
そこにはトウモロコシに手足が生えたような奇妙な物体が描かれていたが、アブセルはそれを指し"リト"と言った。

絵の中のアブセルとリトはクレープを手に、二人で笑っていた。

「………」

その絵を描いている間…、いや四つ葉を探していた間も、もしくは昨夜からずっと、彼の脳裏にはとある二人の言葉が反芻していた。

一つはジルの「リトの側にいてあげればいい」という言葉。
そしてもう一つは、ナディアの「リトを護ってあげて欲しい」という言葉だ。

アブセルはぽつりと口を開いた。

「俺…リトと仲良くなりたい…」

子供ながらにリトと自分は立場が違うことを何となく理解していた。
彼は名家の子息で、自分はその家の使用人。こんなこと、本当は言っちゃいけないのかもしれない。
でもずっと言いたかった。言いたくて、そのつど呑み込んでいた言葉。
アブセルは等々それを口にした。

「俺と友達になってほしい…」

474アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/15(金) 20:26:36
【ポセイドン邸】

「何だよそれっ!最悪じゃんか!」

半分は予期していたにも関わらず、やはりナディアの口から聞かされたものはアブセルにとって信じ難いものだった。
思わず大きな声を上げてしまう。

どれだけリトを卑しめれば気がすむんだ。
ミレリアを傷つけない為だとはいえ、彼女の気持ちは蔑ろにしてもいいというのか。
愛する人に精神干渉の術を施すなんて正気の沙汰とは思えない。

「ねえ、何とかなんねーの?
ここには今、最強の癒しの守護神ポセイドンが二人もいるんだよ。それにセイちゃんさんやノワールだっているし、あと一応俺も…。絶対イケるって!」

これだけの面子が揃えば、解けない術なんてもはや存在しないのではないだろうか。
アブセルは同意を求めるように「なっ」とセナ達の方へ視線を向けるも…

「って、いないし…」

いつ抜け出したのか、そこにセナとノワールの姿はなかった。

475リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/04/17(日) 20:11:23
薬剤師名簿登録通知来ました!これからは正真正銘の薬剤師です(๑ÒωÓ๑)

ヤツキ>>うん、完結するまで泣かずに耐えとくわ(笑)

病院が激務すぎて合コン言ってる余裕ないから、取り敢えず仕事慣れるまで出会いはなさそうだ(笑)

マジかwww個人的にアニメ2期から登場した主人公達の先輩グループの歌がセクシーで好きなので、そっちをマスターしてもらって聞きたいな|ω・`)チラッ笑

イスラ>>
稼ぐようになったら沼にハマるwwwでも初任給は5月らしいので、まだ藍ちゃん買うのは難しそうです(笑)
そう言えば自分もうすぐ誕生日でして、友人がプレゼント買うから欲しいの教えろって言ってくれたのですが、思いつかなすぎて、欲しかったけど引きに行く機会がなくて手に入らなかった一番くじの藍ちゃんのキュンきゃらなる物の画像をふざけて貼り付けてみたら、Amazonで見つけたとかでマジでプレゼントされそうな気配(笑)

ライブあります!チケットは抽選みたいですね|ू・ω・` )
藍ちゃんは中の人も美形なので見応えがありそう(笑)
ゲームやってる人で当初から人間だって疑わずに好きだった人にとっては衝撃かもですが、自分は藍ちゃん気になってwiki調べた時に知ったので特に何も思わなかったですね(笑)
へー本当はロボットなんだーふーん可愛い
みたいなwwwただ、親の借金のせいで事務所に売られたドリームが消え去ったのは残念でした(´・ω・`)笑
そして藍ちゃんは事務所社長が制作費を出してコーディネートした、理想のアイドル像を具現化した存在らしいので、つまりは藍ちゃんは社長の好みそのものなんだって思うとちょっとモヤモヤしますね(笑)
ロケットパンチ凄いですよね!怒ると攻撃してくるらしいですよwwwもー可愛い!

親子なんですねー、ちゃんと血がつながってた(笑)
ヨハンはミレリアのことが無ければトーマとの関係も崩れなかったと思いますし、育った環境が違ってたらあそこまで性格歪んだりしなかったでしょうから、少し可哀想な人なんですよね(´・ω・`)
本当はリトのこともちゃんと愛してたって感じに持っていきたかったのですが、ヨハンの行動にリトを愛する要素がなさすぎて諦めました(笑)まー始めから人柱にしようと思って生ませた子なので、情が分かないように虐めてたってことにしておきます(´・ω・`)

え、残念ですが私もそんな感じなので期待せず待ってます(笑)

そしてDDが面白すぎてツボです(笑)

476イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/17(日) 23:52:02

今、吸血鬼編がアツいので…オリジン描きたい!長老達の絵描きたい!と思って挑戦してみたのですが、見事に挫折しました…
とりあえず誰トクか不明ですがルドラ&ラディック、DDのイラスト描いたのであげときます
他の方々はまた今度リベンジしてみよう…!
imepic.jp/20160417/853730
imepic.jp/20160417/853740


リマ>いいなぁ、薬剤師って給料いいんでしょう?⬅
5月までの辛抱ですね(笑)ファイトです^^

いや良かったじゃないですか、優しいご友人で羨ましい。それより自分は欲しいものが思い付かない、ってとこに驚きを隠せません⬅

へー抽選なんだ
自分の同級生に歌プリファンがいますが、結構頻繁にイベントとかに行ってるみたいで(恐らく一人で)真面目だなぁ、と感心してます
もう何でも可愛いんですねww
何ですかそのドリームwまぁ気持ちは分かりますけども…、不幸設定って何かそそりますよね(笑)
モヤモヤしますね(笑)社長は男なのか女なのか…
それは可愛い…のか?いえ、可愛いんでしょうきっと(錯覚)

少しどころか相当可哀想です(T-T)
そもそも自分がリトを人柱に深淵を開けて方舟がどうたらとよく分からん設定を考えて、それをヨハンの目的にも直結させてしまったから、こんなことになってしまった訳でして…

ワヅキもヨハンを利用しただけで、ヨハンの野望とは一体…って感じであやふやなまま終わっちゃったし、色々勿体なかったですねー(--;)
それにあの話のくだり、ヨハンの野望からはちょっと外れた感じでしたし、ほんと終始訳わかんなかったですね!誠に申し訳ない…

あ、そうだ。ヨハンも世界政府に脅されてたとかどうですか?協力しないとポセイドンの一族潰すよ?的なことを言われてて、ヨハンは一族を護るため頑張ってたとか。まぁポセイドンの一族を政府が潰せるかは甚だ疑問ですがw


ちょっとラブストーリー閃いた…!かも
そこで相談なのですが…
ヨハン母は生まれつき声が出せない、とのことですが、魔物に声を取られたってことにしても良いでしょうか?

んー…DDなぁ…、こんな女々しいキャラにする筈じゃなかったんですけどねーw自分からしたら「やばい、面倒くさい人になっちゃったよあーあ…」って感じですが…面白いなら良かったです(笑)

477メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/04/19(火) 11:35:31
【飛行艇】

泣き叫ぶDDと、声を荒げるシャム。
そんな二人とは対称的に、沈黙したままなのはフィアだ。

三者三様、吸血鬼達の様子にメイヤはどうしても良いか分からず、無言のまま先の戦闘で負った傷の処置をしていたのだが……

「とりあえず、一旦落ち着いてくれ。

船内はそう広くないから声が響くし、苛々を物に……壁なんかにぶつけられても困る。」

そろそろ我慢の限界だろうか。
言葉通り船内、一同が集まる広間兼食堂は決して広くはない為、声は響き、正直な所騒がしいを通り越して煩い。

ましてや苛々を発散する為に壁に大穴でも開けられてしまえば大変だ。
これ以上続けられると、収集が着かず面倒になるだろう。

DDとシャムを宥める声を掛けながら、これらどうするべきかとメイヤは考える。
するとそこで、椅子に腰掛け俯いたままのフィアが顔を上げ、沈黙を破り口を開いた。

「私はシャムと同意見よ、黙って喰われるつもりなんて無い。

何より、私はまだ死ねない。

レオの敵を討つまでは絶対に死ねないの……」

そう、十字界での争乱、激闘の末に命を落としたレオの敵討ちの為に、フィアはこの人間界へ来たのだ。
ノワールの護衛や異質な存在の調査、そして人間との共闘で日和っていたが、先のオリジンとの戦いで一番の目的、復讐の炎は再び確と燃え上がったのだ。

だが、だからといってオリジンの存在を無視する訳にはいかない。
放っておけば他の長老が、眷族が、そして娘であり姫であるノワールにまで魔の手は伸びるだろう。

「ジーナに頼まれていた異質な存在の調査、一応は終わりね。

異質な存在はオリジンで、かの存在は私達長老に害を成す。

先ずは十字界に戻り、どうするか早急に話し合うべきだわ。」

DDとシャムの二人へ声を掛け、フィアは立ち上がる。
泣き続けるDDと匙を投げたシャム、声を掛けなければ二人はきっとこのままだろう。

「私達もバルクウェイへ、師団の元へ戻りましょうか。」

その様子に合わせ、バッハもまた、イスラとアグルへ声を掛ける
討伐対象であった吸血鬼の長、メルツェルはその命を落とし、奇しくも依頼された任務は達成された。

目的を果たした今、生存者0、廃墟と化したこの街に留まる理由も無い。
幸いにも自分を含めた四人全員無事であり、今すぐにでも出発出来る状態だ。

「吸血鬼の皆様方もこの街を発つようですし……まさか一緒に行動する訳もないでしょう?」

一応は確認の声を掛け、バッハは全員の顔を見回した。

478リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/04/20(水) 16:51:57
イスラ>>

ルドラ美少年!ヤバイ!足!足!!!
てかまた画力あがってませんか!?ヤバイ!足!!!
そしてDD!なんかすごいwww思わず二度見三度見しちゃいましたwww
ラディックはどうゆうわけか自分の想像と全く同じな容姿をしていますwww


残念ながら自分は病院薬剤師なので給料は高くないんです( •́ .̫ •̀ )
稼ぐならドラッグストアですかね|ू・ω・` )

5月までお金ない・・・・・交通費も支給されてないから出費しかないです(笑)

本当にプレゼントは藍ちゃんになったみたいですwww
2人の友人が割り勘で買ってくれましたwww
実用性のあるものはもう持ってますし、ゲームとかもしないので遊具も必要ないし、もう学生じゃないんで可愛い洋服とかも持ってても使い道ないしって感じで今は欲しいもの見当たりません(´・ω・`)
ミイラの飼い方と言う漫画のヘンテコな生き物達が最近クレーンゲームでぬいぐるみ化して、聞かれた当初はその漫画のミイラのぬいぐるみが欲しかったのですが、普通に自分で仕事帰りにゲーセン行って取っちゃいました(笑)

たしか抽選だったと思うんですが・・・・・あれ?違ったかな??
真面目wwwそれだけ好きなんでしょうね(●´ω`●)なんか、ネット見てるとキャラクター宛に開店祝いに送るような花とか贈ってる人達が結構いて、凄いなぁと思ってます(笑)私なんて溺愛してやまないシエルにすらバレンタインとか誕生日とかお祝い送ってない←←
そそりますよね、何故か(笑)まー、藍ちゃんは別の方向で不幸を背負ってるのでゲームでは涙なしにはプレイ出来ないみたいですよ( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )

社長は変なオジサンです←
可愛いです!(確信) 怒って攻撃してくるなんて子供過ぎて鼻血出ます(*´﹃`*)いつもは冷静で周りの大人(25歳男児)を冷ややかな目で見つめ、毒を吐き、後輩達(皆年上)に振り回されてる子なのに、何だかんだで子供っぽいところが堪りませんね(/ω\*)そして馬鹿にしまくってる25歳のその人に「一生懸命憎まれ口を叩くアイアイが好き」とか何だかんだ包容されてて、自分の素になった子が25歳のその人の親友だったことを知って、「ボクにちょっかいをかけるのは、あの人とボクを重ねてるから」とか嫉妬しちゃうところとか、「レイジといるとろくな事がない」とか言いながらいつも一緒にいるところとか、肩に担がれながら「嫌だ嫌だ」と足をばたつかせながら連行されていくところとか、めちゃくちゃ子供で可愛いです!!(鼻息)

479リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/04/20(水) 16:53:07
ごめんなさい、藍ちゃん語ってたら長くなっちゃいました( •́ .̫ •̀ )

え、相当ですか|ू・ω・` )?
いやいや、自分的にもヨハンはあくまで「母と自分を虐げてきた一族への復讐」が第一目標で野望とかよく考えてなかったのであやふやになってしまって申し訳なかったです(٭°̧̧̧꒳°̧̧̧٭)

お、そのネタいいですね!
多分政府如きに潰せはしないでしょうが、ポセイドンの長であるナディアとかはヨハンにとっては庇護すべき我が子ですし、護るために頑張ってもおかしくないと思います(๑ÒωÓ๑)
じゃあトーマを殺したのも本当はヨハンではなく、ヨハンがおかしくなった事を気にかけた彼が色々調べていくうちに政府の闇を知ってしまい、そのことで政府に消された設定にしてしまおうかな|ू・ω・` )
そんで人柱としてリトが生まれたけど、渡したくなくて隠してた(監禁してた)ことにしようかな|ू・ω・` )トーマが知ったことで協力を得て、存在が相手にバレる前にリトを彼に託そうとしたけどその前にトーマが殺されて、そんでもってリトが17になって外に出られるようになったのは存在がバレたリトを逃がすためだったとか。
あれ?ヨハンいい奴じゃん。不器用なだけでちゃんと皆を愛してるじゃん。めっちゃ可哀想な人じゃん(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)←

やったー!ヨハンの母の設定は好きに弄っちゃって大丈夫ですヾ(●´∇`●)ノ

大丈夫です、こうゆうキャラも必要だと思います(笑)
面白いのでこのまま突き進んじゃってください!(笑)

480リト ◆wxoyo3TVQU:2016/04/20(水) 23:35:37
【過去】

友達って何だろう?
リトが首を傾げると、横からヨノが笑顔で教えてくれた。

「お友達はね、手と手を取り合って、色々な事を一緒に頑張っていくんだよ。」

例えばこんな感じ、とリトの所持する絵本を広げて見せる。
そこには手を握りあって楽しそうに笑う動物がいた。

「りとはどうぶつじゃない・・・・・」

「例えば、だよ。動物にも人間にも、友達はいるんだよ。」

リトがこんなに言葉を口にするのは初めてだ。全く喋らないものだから、言葉を理解出来ていないのかと思っていた。良かった。
アブセルの存在は、確実にリトにとって良いものとなっている。

ヨノはアブセルの手を取りリトの手に重ねる。

「はい、友達!」

ナディアが以前、アブセルが来てくれて良かったと言っていた。本当だ。
この屋敷では皆がリトを遠ざける。けど、アブセルは違うのだ。
まだ幼いから理解出来ないのかもしれないけど・・・・・、いや、アブセルならきっと、これからもずっとリトの傍にいてくれるだろう。

「リトを宜しくね、アブセルちゃん。」

481DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/24(日) 17:40:29
【飛行挺】

バッハの問いにイスラやアグルは"まさか"と言うように顔を見合わせる。
その一方で…

「うう…、ぐすっ、分かったわフィア…」

一先ず引き上げると言うフィアに従い、DDは悲しみを引きずりながらも素直に腰を上げる。
そして飛行挺の持ち主である四名に向けて、幾分か平静を取り戻した様子で別れの挨拶を述べた。

「取り乱しちゃってごめんなさいね。一時でも落ち着ける場所を提供して貰えて助かったわ。
それから…メルちゃんがあなた達に対して行ったイジワルはアタシの方から謝らせてちょうだい。

あのコ、昔は本当にイイ子だったのよ。臆病で小さな虫も触れないような子でね。皆が面白がってからかうからきっとグレちゃったのね…」

思い出したらまた涙が出てきた。
正直どうでもいいような思い出話を聞かされ微妙な表情をするアグル達を残し、DDは目元をハンカチで隠しながら飛行挺を後にした。

そして外に出たのち、じゃあ十字界に帰ろうかという時、出し抜けにシャムが口を開いた。

「とりま俺は姫ちゃんに今回のことの報告に行ってくるわ。
んで、そのまま姫ちゃんの近辺を警戒しつつ、オリジンの居場所やら情報やらを探る。
何か掴んだら知らせるからよ」

あわよくば闇討ちをしてでもオリジンを倒す気だったが、それを口に出すことはない。言えばDDが口煩く止めるのは目に見えているからだ。
シャムはじゃあな、と軽く腕を上げ二人の前から姿を消した。

482アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/24(日) 17:41:42
【過去】

「うん!」

重ねられる二つの手。
アブセルはリトのその手をぎゅっと握り、ヨノの言葉に力強く頷いた。

そして、時が流れるのは早いものでー…


「たっだいまー‼」

数ヶ月後、アブセルは学校に通うようになっていた。
学校から帰宅するや、鞄を置きに自室に向かうこともなく、そのままリトの部屋へ直行する。

「リト帰ったよー!遊ぼー!」

そして、そこにリトの姿を見つければ、嬉しそうに彼に飛びついた。端から見れば飼い主に戯れつく犬のようにも見える。

初めはリトとの接し方もたどたどしかったアブセルも、今ではすっかり…、と言うか異常なほどに彼に慣ついているようだった。
朝は必ずリトにおはようと言ってから屋敷を出て、午前で終わる学校から戻れば、直ぐ様リトの部屋に行き、仕事の時間までそこで過ごす。
もちろん夜も彼が寝つくまで一緒にいる。

「今日は何する?オセロ?神経衰弱?レースゲーム?
お、いいもの見つけた」

おもちゃ箱を漁っていたアブセル。そう言って彼が取り出したのはジェンガだった。

「負けたらバツゲームな。負けた方がディア姉かヨノ姉のスカートをめくる」

うしし、と悪ガキがするような笑みを浮かべ、アブセルはリトの返事も待たず遊びの準備に取りかかった。

483イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/24(日) 20:01:31
リマ>足がどうしたww
たぶん画力は上がってないんじゃないかなー…(;´д`)なかなか上がりません…
DDはもっとカマカマしい方が良かったかな?⬅髪型IKKOさんみたいにしようかと迷ったけど止めといたw

ドラッグストアの方が高給なんだ!病院の仕事の方が大変そうな気がするけど…;

マジか…(・・;)
てかミイラの飼い方…!?どうしよう、可愛さが分からない…!⬅てか自分で取ったの凄い(笑)
自分は欲しいものいっぱいですよー;しかも値の張るものばかりだから誕プレに友人にねだると怒られますw

自分もキャラクター宛にプレゼントを送ったことはないですねー(笑)だってあれ…どうせ最終的には捨てられるんでしょう?⬅

社長オジサンなんだw
そして25歳児ww
いえいえ、どんどん語ってくれて構いませんよ^^面白い(笑)
てかリマさん、刀剣乱舞はやらないんですか?リマさんああいうの好きそうだけどな(適当)

なるほど、いいと思います!(^ω^)
まぁ政府はポセイドン一族の爵位や領地を取り上げられるぐらいの権力はあったんでしょう、きっと⬅
しかしヨハン気の毒ですね…、ジルに復讐の相手と勘違いされて亡くなってしまったことになる訳ですし…
リトに暴力ふるってたのも、恨まれてた方がリトと別れる時辛くないから…とかですかね?なんて不器用(--;)

ありがとうございます!
閃いた!と思ったけど、ヨハン母と爺が結婚できなかったのも政府のせいにしたくなったので、また設定考え直しです⬅一体いつ出来上がることやら…

面白いキャラで続けられるよう頑張りますw
何ぶん本体自身が面白くない性格なので…wちゃんとオネェキャラ出来てるか心配

484ナディア他 ◆wxoyo3TVQU:2016/04/25(月) 06:59:13
【ポセイドン邸】

母の病に気づいた時、自分の能力を知った時、ナディアは幾度も母への治癒を試みた。
しかしどう言うわけか全く改善の兆しなく、初めは自分の力不足と感じていたが、歳を重ねて力をフルに使いこなせるようになっても尚、事態を好転させる事は出来なかった。
何故か分からなかった。しかし、母の病が人為的なものと知った今、その理由に納得が言った。
自分の力はまだアブセルの祖父に敵わない。おそらくそう言うことだろう。
しかし、自分には無理でもリマならどうだろうか。純粋なポセイドンの力を持つリマなら・・・・・
アブセルの言葉にふと思い当たってリマを見るも、リマは申し訳なさそうな顔をして首を横に振った。彼女の力をもってしても母を救う事は出来ない。術を掛けた当人ですら解くことが出来ないのだ、致し方ないのだろう。

「母様のことはおいおい解決するとして、今はあの人の葬儀の事を考えないとな。正直あんま気は乗らないけど・・・・・つかセナは何処行ったよ?アブセル、セナ見つけてからリトとしての身支度を済ませてきて。」

ナディアがそう言うとリマがすかさず立ち上がり、アブセルの横に並ぶ。

「私も行く!アブくん、一緒に行こ?」

485ノワール他 ◆wxoyo3TVQU:2016/04/25(月) 07:00:11

ポセイドン邸は邸も大きければ庭もかなりの広さだ。
適当に数分歩けばすぐに人目のつかない場所に行くことが出来る。
ノワールはセナを伴い暫し庭の中を進み、手頃な場所を見つけるや、セナの方へ向き直る。
そして口を開いた。

「そなた、わらわを知っておるな?」

セナは答えない。ノワールはセナを睨んだ。

「忘れたとは言わさぬぞ。闇の王子よ。」

「・・・・・吸血鬼の住まう十字界、その種族の姫、名はノワール。」

言い逃れは許さない、ノワールのその視線を受け、セナは漸く答えた。
その言葉にノワールはふんと鼻を鳴らした。

「やはり、気づいておったか。よくも今までわらわを無視してくれたな。」

「お前は突如姿を消した。その後の行く末など興味無い。再び見えようと、私に関係のないことだ。」

「"姿を消した"と?"関係のないこと"?わらわにあの様な仕打ちをしておいて・・・・・」

セナの言葉にノワールは怒りを顕にするが、ふとジュノスの言葉を思い出す。
あぁそうだ、あの男は水面下のことをセナに何も知らせてないと言っていた。水面下・・・・・利用するだけしておいて、目的を果たした後には人知れず消した、コケにされたものだ。

「あぁ、そうじゃ。そなたは所詮黒十字宗主の人形・・・・・何の疑問も持たず言われるままに動き、多くは知らされぬ。その行動がどのような結果をもたらそうと、己の意思のないそなたが気に止める謂れはない。」

ノワールは最大限の嫌味を投げたつもりだったが、セナは顔色一つ変えなかった。あの時と同じ、幾ら挑発しても動じなかった過去のあの時と。自分は彼の感情を動かす価値もない、取るに足りない存在なのだと見せつけられているようでとても悔しかった。
最悪な気分だ。セナを苦しめてやりたい。いっそ生まれた子の存在を明かしてやろうか。しかし、それはジュノスとの取引で口止めされている。

「名をリマと言ったか。あの女子に影響を受けているかと思えば・・・・・そなたはあの頃と何ら変わらぬ。わらわとの関係も、宗主に命じられただけじゃと申すのじゃろうな。」

その言葉に、ノワールの言わんとしていることを察する。

「宗主の命に従ったのは事実だが、それを盾に言い逃れをする気はない。しかし、あれは黒十字と十字界の利が一致してのこと。一方に非を求める謂れもない。」

「そなたに誠意は求めておらぬ。そう、そなたの組織と我が種族、互いに利があったはずじゃ。じゃが、実際に利を受けたのがそちらだけだとしたら?」

ノワールはセナに歩み寄り、続けた。

「黒十字との契約は我が十字界には害でしかなかった。が、それを責めても最早意味の無いこと。ならば今ここで与えた分を返してもらうぞ。」

ノワールにとって有益なものと引き換えに。

「十字界について、そなた達黒十字の握る情報を全て教えろ。わらわも知り得ぬ事情が、なにか分かるかもしれぬ。」

486メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/04/26(火) 14:08:34
【飛行艇】

長老の幼き時の話など誰得だったが、それはDDにとっては必要な話、自身に一区切り着ける為のモノだったのだろう。
別れを名残惜しむ様にも見えたDDを含めた三人の長老を見送り、メイヤはホッと一息着いた。

「結局の所、俺達は大して何もしなかったな……

でも、全員無事で何よりだ。」

任務である吸血鬼討伐は成功したかと言えば何とも微妙だが、結果だけを見れば
完了だろうか。

「ここを発つのは明日にしよう、無事だけど多少の負傷と疲労もある。

一晩休むのが無難だと思う。」

時刻は夕暮れから夜に。
師団の元へ戻るのは夜が明けてからで良いだろう。

ーーーーー

数日振りに戻ったバルクウェイは不穏な空気が漂い、ざわついていた。
バッハと共に師団長のレオールへ任務の結果報告、事の顛末を話した後。

不穏な空気の原因を……自分達が吸血鬼討伐の任に着いていた間に世界で起こった事を聞き、メイヤは目を見開いた。

「今先程説明した通り、四霊を率いて黄龍が大々的に動き出した。

いよいよ世界が終わる時が見えて来たかもしれん。」

師団の母艦より奪った特殊鉱石を核とした、超大型光学破壊兵器により南部の大陸が消滅。
巻き上げられた地殻は成層圏まで上昇し、殻の様に世界を包み込もうとしている。

また、世界各地を巡る龍脈、レイラインと呼ばれる世界そのものの動かすエネルギーの流れが活性化しており、ソレをコントロールする龍穴なる遺跡も黄龍によって押さえられていた。

「偵察隊によれば、世界を覆う殻は加速度的ににその面積を広げている。

情報を照らし合わせた結果、龍穴の遺跡が一つ起動する事に比例し、殻……外郭もまたその面積を広げている様だ。」

そして、遺跡を奪還しようとするも敵部隊は強く、奪還作戦はほぼ失敗続きであった。

「敵戦力は個よりも数。

超再生能力を備えた兵を大量展開し、圧倒的な兵数で攻めて来ている。」

各自に配られた資料と、会議室中央に置かれた立体映像装置から浮かぶ映像を見ながら、レオールは説明を続ける。

「現在、師団が抑えている龍穴はマルトが抑えている一カ所のみ。

周辺国と情報を共有し、連携を取ろうとしてはいるが……中々な。」

そして、一通りの説明を終え、一息着くと再び口を開いた。

「そこでだ。

帰還したばかりで申し訳無いが再び出撃をお願いしたい。」

新たに配布した資料を横目に、そして皆の返事を待たずに続けた。

「メイヤとイスラ、レックスとアグルで二人一組を作ってくれ。

後は今の資料に書いてある通り、二カ所の龍穴を強襲する。

強襲、制圧後はどちらか片方が残り、後続の部隊と合流し龍穴の防衛を。

防衛に回らなかった二人は合流し別の
龍穴を強襲し……と、上手く行けば三カ所の龍穴遺跡をこちらが抑える事が出来る。

現状考えられる最善の一手、どうだろうか?」

487リト ◆wxoyo3TVQU:2016/04/27(水) 17:28:39
【過去/ポセイドン邸】

最近、五月蝿い訪問者が増えた。
もともといたのは姉のナディア。そして増えたのがアブセルと言う名のこの少年。

「・・・・・。」

リトは本を読みながら、楽しそうに木製のブロックを弄るアブセルを横目に見る。二人の関係はトモダチと言うらしい。まだその関係性を上手く理解出来ない。
一緒にいる時間は増えたと思う。この少年は暇さえあればこの部屋に来る。真似っこが好きなのか、食事が運ばれてくれば自分の分を持ってきて一緒に食べ、ナディアやヨノがリトに勉強を教えに来れば"宿題"と言うのをやり始め、リトが絵を描いていれば隣で同じように描き始めたりする。ただ、リトは本が好きだが、アブセルは好きではないらしくこれだけは真似してこない。代わりに邪魔をしてくる。夜になり就寝時間になるとベッドに入ってこようとするし、風呂にも付いてきて鬼の形相をした爺に引き攣られて行く。隙を見ては抱きついたり、頬に擦りついてきたり、とにかくベタベタしてくる。そして再び爺に引き摺られていくの繰り返し。
これがトモダチなのか、トモダチと言うのは暑苦しい存在なんだな。正直なところ、リトにとってアブセルは"よく分からない存在"だった。
実姉である二人を除き、リトと親しくすることは禁じられている。禁じているのは使用人の長であるアブセルの祖父本人であるため、アブセルはそれはもう大層こっ酷く扱かれているようだが、何ど連行されようと頭にたん瘤をつくってヘラヘラしながら戻ってくるアブセルを見て、馬鹿なんじゃないかと思う。

「どうせ・・・アブセルが負ける。」

準備が終わったらしい。
早く始めようと急かしてくるアブセルに、リトは本から目を離すことなす答えた。

488リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/04/27(水) 21:58:28
イスラ>>
生足素敵(*´﹃`*)
いやいや上がってますって!いいな|ू・ω・` )←
カマカマしいってwwwこれでIKKOヘアだったら完全ツボに入って笑い死ぬところだった・・・・・危ない危ないwww

ドラッグストアだと調剤以外に商品並べとか普通の仕事もしますからね、それもあるんじゃないでしょうか|ू・ω・` )
病院はどこも仕事量の割に・・・・・って感じです( •́ .̫ •̀ )ただ、薬剤師としてのスキルアップには1番適しているとは思います|ू・ω・` )

いやいや、名前で検索してみてくださいwww普通に可愛いですからwww多分今イスラさんの頭の中にはピラミッドに住まうミイラが浮かんでるwww
友達にねだっちゃうんですねwwwやはり友達からの誕プレだと値段考えちゃいますし、難しいですよね:(´◦ω◦`):

どうしよう、夢が無さ過ぎて笑えたwww
たしかに、食べ物だとスタッフが美味しく頂けると思いますが、物だとそうなっちゃいそうですよね( •́ .̫ •̀ )

しかも、かなりインパクトのあるオジサンですwww
25歳児です(笑)何だかんだ包容力のあるお兄さんなんですが、三枚目キャラ演じちゃってて周りからの扱いが酷いですね( •́ .̫ •̀ )そして何かこのキャラの性格や立ち位置って(リーダーポジと言うところを除いては)自分に似ていてどうも気になっちゃいますね|ू・ω・` )そして「頑張ルンバー♪♪」とか、「宜しくマッチョっちょ☆」とか、口調が昭和臭いのですが、この前自分も研究室に入る時「ただいマンボウ〜」って自然に口走っちゃって、物凄く悲しくなりました( •́ .̫ •̀ )

え、本当ですか(☆∀☆)そしたら遠慮なく語りまくっちゃいますよwww

あー、刀剣乱舞人気ですよね|ू・ω・` )自分はやってないんです(´・ω・`)友達に凄くハマってる子がいたので何となくは知ってるんですけど、キャラが多すぎてちょっとプレイする気にはなりませんでした(笑)

よし、そうしよう!
政府の設定雑www
設定ちょっと弄っただけでヨハンが物凄く可哀想な人になってしまいましたね(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)と言うかジルも可哀想ですね( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )根は優しい子なので、勘違いで殺したなんて知ったら立ち直れないかも|ू・ω・` )まージルはヨハン以外にも色々殺っちゃってるんで今更感もしますけど←
不器用だ・・・・・リトが読んでる本とかも実はヨハンが用意していたりして。ナディア達も色々持ってくるけど、時々おもちゃ箱に見覚えのない新しいおもちゃが増えていたりするんだ。子供だからナディアもヨノも疑問に持たないだけで←
家族を守るために自ら恨まれにいくなんてヨハンめ(╥ω╥`)手記か何かが何処かに残っていて、いずれ誤解が解けるといいな|ू・ω・` )きっとヨハンの本性は爺だけが知っている←

マジかwww
気長に待ってます(●´∇`●)

まさかのwwwいやいや、充分オネェ出来てると思います(笑)てかイスラさん変な性格のキャラ作るの上手な気がします!←失礼

489イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/30(土) 07:18:50
【バルクウェイ】

バルクウェイに戻って早々に聞かされた情報は、いよいよ世界の危機に不安を覚えるものばかりだった。

龍穴やレイラインなど聞きなれない単語もあったものの、レオールの説明を一通り聞き終えたイスラは、静かにそして誰に言うでもなく口を開いた。

「もはや異論を唱えている状況でもないのだろうが…、やはり戦力的には心許ないな…」

なんせ四神の内の二名が不在なのだ。
こんな時にも関わらず、未だバロンは戻ってこないし。

次に、こんな時にも危機感ゼロな男アグルが、手を上げて質疑を投げる。
南の大陸が消し飛んだと聞かされた時も、彼は顔色一つ変えなかった。

「敵、強いんだろ?俺らに制圧できる見込みなんてあんの?
つーか、そんな危険な遺跡なら防衛なんかせずに、さっさとぶっ壊した方が良いんじゃねーの?」

それから、と彼は続ける。

「メイヤの兄貴達は今何してる訳?
援軍とか待った方がまだ勝機はあると思うけど」

490ルドラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/30(土) 07:20:05
【ポセイドン邸】

アブセルとリマがセナを捜しに立ち去ったその直後、一人残ったナディアの元に一羽のムクドリが飛んできた。

「おい、そこの人間」

その小さなクチバシから人の言葉が飛び出してきたかと思えば、それは突如人の姿へと形を変えた。

軽やかな動作でテーブルの上に着地する元ムクドリ、改めルドラ。
ルドラは足元の菓子を踏んづけようが、ポットが倒れて紅茶が零れ落ちようが知らん顔で、偉そうに腕を組んでナディアを見下ろした。

「ここ暫くノワールの周囲の人間共を観察していた。
見たところお前がここのボスのようだ。よって、お前に姫へのメッセンジャーを頼むことにする。有り難く思え」

シャム達とは別行動を取っていたルドラは、姿を見せずともずっとノワールの護衛役として彼女のことを見守っていた。
そう、ただ見守っていたのだ。断じてストーカーなどではない。

そしてナディアに伝言を頼むのも、ノワールと直接顔を合わせるのが恥ずかしいだとか、昔の負い目があって気まずいだとか、そんな意味が含まれている、なんてことも決してない。

ルドラは一方的に、そしてぞんざいな態度で言葉を続けた。

「(ノワールの)娘の行方の手掛かりを手に入れた。
どうやら龍穴と言う遺跡を起動させる鍵として、黄龍だとか四霊だとかいう奴等に使われているらしい。
調べてみたところ龍穴は幾つか存在しているようで、その内のどこかに娘が匿われている可能性がある。

それから…メルツェルがやられた。
やったのはオリジンだ。奴は我々長老の命を狙っているんだそうだ。詳しいことは未だ不明だが、姫も十分注意されたし。

…以上だ。ちゃんと覚えたな?」

そう言うとピシリと腕を伸ばし、犬などに命令するかの如く、ノワールのいる方向を指し示した。

「さあ姫に伝えに行け、くれぐれも失礼のないようにな」

491アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/04/30(土) 18:56:30
【ポセイドン邸】

了解、とナディアの言葉に頷いたのが数分前。
アブセルとリマは庭を並んで歩き、セナを捜している最中だった。

「セイちゃんさん、どこ行ったんだろうな」

その疑問に答えられる人間は勿論ここにはいない。
尤も、セナと共にノワールの姿も消えていたことから
、大方ノワールが彼を連れ回しているのだろうとは思うが…。全く困った奴だ。

しかしそれはそれとして…。アブセルはちらりと隣のリマを盗み見る。

(忘れてたけどこの人、リトや姉ちゃん達のご先祖様なんだよな…。
そんでもって初代ポセイドンの後継者で、闇の王子と世界を救ったとか何とか…)

改めて思うと凄い人が目の前にいたものだと思う。
失礼な話、見た限りではとてもそんな英雄的な人物には見えない訳だが。

「そう言えばさ、ポセイドンの姉ちゃん…は長いから、これからは"リマ姉"でいいや」

リマ姉でいいよね?と半場強引に許可を貰い、アブセルは改めて本題に入る。

「リマ姉とセイちゃんさんって付き合ってんの?それとももう二人結婚してるとか?」

492イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/01(日) 18:31:05
リマ>そうなのかー…(--;)
まぁスキルアップは大切ですよね^^頑張ってれば昇給するかもしれないですし!

いやいや検索した上での感想でしたよアレはww
何か…普通なんですよ、別段可愛いとも感じなければ嫌とも思わないような(笑)
これ、よく見るフォルムにただ包帯巻いただけじゃね?的な(笑)

ですよねー、だから誕プレは大体いつもご飯おごって貰うとかそんな程度で済ましてますね

人気キャラによってはバレンタインとかもスタッフだけじゃ食べきれないぐらい貰ってるだろうし、多分人によっては捨ててる所もあるんだろうなー、とか思うと何かね…⬅


口癖移ってる(笑)面白いじゃないですか、もうこの際とことんそう言うキャラでいっちゃいましょうよ(^ω^)⬅
はい、語り尽くしちゃってかまいませんよ。ただ自分の反応は薄いかもしれませんが(笑)何ぶん知識がないのでw

ああ言うのはキャラの多さが売りみたいなとこありますしw
まぁ自分もやってないんで有名どころのキャラぐらいしか知らないんですけどねw
でもやりたいなーとはずっと思ってるんですよ、艦これとかも。何か面倒くさくて手出さず仕舞いなだけで(笑)艦これの島風とかもう最高ですから、Tバック堪りませんから⬅


やー…ジルが心配ですね…、誰か支えて上げなければ…。
それにヨハンも健気で…(T_T)
結構前のレスなんで忘れてるかもしれませんが(笑)爺がヨハンの手記をナディアに渡してたし、それにヨハンの本当の気持ちなんかが書いてあることにしちゃえば良いんじゃないですかね?

いや自分なんて本当普通ですよ(--;)
なんせ車の免許とる際の適性診断?的なやつの結果に「あなたは特徴のない性格です」って書かれてましたから。何故かすごくショックでしたね(笑)
だから多分変な人に憧れてるんだと思いますw

あ、少し相談なのですが、今リトが不思議な空間にいますよね?そこにサンディも登場させたいのですが良いでしょうか?
サンディって今現在、爆発に巻き込まれて生死不明状態なんですよ。どうやって復帰させようか迷ってたので、リマさんさえ良ければ是非…!

493ナディア ◆wxoyo3TVQU:2016/05/01(日) 21:30:45
【ポセイドン邸】

アブセル達がセナ達を連れて帰ってくるまで、取り敢えずお茶でも飲んで待っていよう。
ナディアは未使用のティーカップを手に取るが、中にお茶が注がれることは無かった。
何やら鳥が飛んできたかと思えば、それが人間の姿となって卓上のポットを倒したのだ。ポットだけではない。菓子から何までめちゃくちゃだ。

「・・・・・。」

クムドリ、もとい、少年は何やら偉そうに、声高々に用件を述べると、これまた偉そうに何やら命令してくる。

は?ノワール?誰それ?あ、もしかしてリトが連れてきたあの幼女?

疑問は色々あるが、今は"どうでもいい"。

ナディアはむくりと立ち上がれば言われた通りノワールの元へ、行くはずもなく、目の前の少年の襟首を掴んでそのまま地面に薙ぎ倒した。

「おいガキ。食べ物は粗末にしてはいけませんってママから教わらなかった?」

そして続けざまに頭を掴むと、グリグリと地面に押し付ける。

「あんたみたいに躾のなってないガキは初めてだよ。このテーブルの上の惨事どうしてくれんの?え?あんた弁償してくれるわけ?全部でいくらすると思ってんだ?答えてみな?つかあんた誰だよ?誰に向かって生意気な口きいてくれちゃってんの?この世からサヨナラしたいの?」

494リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/01(日) 22:05:47
【ポセイドン邸】

「え、付き合うだなんてそんな・・・・・!け、けけけけ結婚・・・・・!?」

声が裏返る。
居なくなったセナとノワールを探していたはずなのに、何ということだろう。
アブセルの何気ない疑問にリマは瞬時に顔を赤らめた。

「セィちゃんは幼なじみで、一緒に育ったからお兄ちゃんみたいなもので、たしかに小さい頃は結婚しようねって約束したことこともあるけど・・・・・っ」

リマの反応からは明らかにセナを意識していることが伺えるが、何故か気持ちを否定しようとする。

「でもナディアさんやリッちゃんがいるってことはリマはセィちゃんのお嫁さんになったってことで・・・・・でもでもセィちゃんはリマを妹くらいにしか思ってないだろうし・・・・・!リマのこと子供扱いするし!!」

セナはよく頭や頬を撫でてくれる、嬉しい。ギュッとしてくれる、凄く幸せ。しかしリマは、セナのそのような行動はすべて年下の存在に向ける慈愛のようなものだと感じているらしい。
リマはセナの気持ちを知らない。リマへの想いを、自分の抱えた罪の重さから懸命に抑えていることを知らない。

リマの記憶の中にあるセナは10歳の純粋な少年のままだ。見た目は成長していても、そのような浮ついた感情とは縁遠いように感じていた。そしてリマ自身もまた、神の子として崇められ、清い存在として育てられたため、恋とは無縁に生きてきた。

アブセルの発言にあーだのうーだの声を漏らしながら悩む姿は恋に憧れる年頃の少女そのものだが、リマ本人が自分の気持ちに気づかず、処理出来ていないようだった。

「と、とにかく!そんな関係じゃないよ!残念だけど・・・・・」

ごにょごにょ。

495リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/01(日) 22:39:21
イスラ>>
ありがとうございます、病院薬剤師は憧れでしたし、出来るところまで頑張ろうと思います(●´ω`●)

なんですとー(OдO`)
これはあれですね、実際に漫画を読んでみるべきだと思います(笑)
あの丸っこいフォルムがたまらないのに←

あー、なるほど!ご飯奢ってもらうのもありですね(●´ω`●)
昨日その友人二人とお世話になった大学院の先輩と一緒に焼肉食べ放題行ってきたんですが、まじで藍ちゃんをプレゼントとして貰いました(笑)
取り敢えずホコリかぶると嫌なのでシエルのフィギュア入れてるブースに居候させてみたのですが、シエルはガチの奴で藍ちゃんはちまキャラなものですから不釣り合いすぎてどう見ても異物混入にしか思えない(笑)藍ちゃん用のケースを探すことにします(笑)

あー・・・・・たしかに、そう考えると捨てられてる気がしてきました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
やっぱ自分は送るのやめとこう←

移っちゃいました(笑)まー、もともと自分も似たようなキャラってこともありますが← え、嫌ですよメッチャ変な人じゃないですか(笑)
てか、「新曲出たよ、このPV見て!この瞬間のレイジがめっちゃカッコイイ!」「ねぇこれ見て!このレイジめっちゃセクシー!」「ねぇこのレイジさ!」的な感じで、友人に話を振る時は藍ちゃん差し置いてやたらその25歳児を褒める発言が多いので「あんた藍ちゃんが好きなんだよね?え?こっちが本命なの?」って疑われたことがあります(笑)
反応薄くても大丈夫です!語りたいだけですから!←
自分漫画好きとか殆ど世間に公表してないので語る場が無くて困ってるんです←

数撃ちゃ当たる感がして何とも形容し難い気持ちになります|ू・ω・` )←
あ、自分もあのキャラなら知ってます。頭になんかぶら下げてる黒髪の←
自分はもしハマったら悔しいのでやめとこうかな(笑)
艦これも何か凄まじい人気ですよね(笑)TバックwwwTバックなんだwwwwww

一応ヨノの存在が支えになる予定だったのですが、加害者と被害者の娘の恋って許されるのだろうか|ू・ω・` )ヨノもジルと同じように恨むべき相手に恋情抱いた自分を許せなくなりそうですね|ू・ω・` )しかもヨノの場合相手は直接の加害者ですし。
ヨハンはリト以上のツンデレかもしれない←
あ!すみませんすっかり忘れてました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)そう言えば貰ってた!思い出した!
自分を罰してくれって言った爺に「罪の償い方は自分で決めな」って言ったのは覚えていたのですが←
じゃあそうしようかな|ू・ω・` )

特徴のない性格wwwたしかに地味にショックですねwww
じゃあその憧れを存分に発揮しちゃいましょう←

おー!どうぞどうぞ(●´ω`●)
あの空間は簡単に言っちゃえばスカイ・ハイみたいな所なんでウェルカムです←
城主のルイは面倒ごとが嫌いなので間違いなく迷惑がってるかと思いますが嫌味に耐え抜いてください←←

496リト他 ◆wxoyo3TVQU:2016/05/01(日) 23:40:12
【??】

魂を選別する場所、少女はそう言った。
しかし、この場所の訪問者は必ずしも生涯を終えた者ばかりではないらしい。

リトは先程までいた殺風景な城内とは打って変わった、何故だかとても温かみのある庭園内で、勧められるまま茶を口にする。
まだ処理が追いつかない。そんな彼を察してか、このお茶会を開催したらしい女性が色々と説明してくれた。

「死した者の生前の記録を見返し、極楽の場で転生を待つ天の国へ向かうか、自身の罪を悔い改める地の国へ向かうかを決めるのが主人の務めとなります。この場所は魂を選別する場所として、俗に裁きの間とも呼ばれますが、生死の狭間にいる方が迷い込むことも少なくありません。貴方のように生に迷いのある方も中にはいらっしゃいます。そのような方の魂を癒し、ご自身の人生を見つめ直す機会を差し上げるのが私の役目です。」

言って女性は柔らかに笑う。成程、たしかにこの女性には何処か気が安まる雰囲気がある。

「何かご不便がありましたら仰ってくださいね。うちの子達がご迷惑をお掛けしてはいませんか?」

「いや、大丈・・・・・」

ん?子供?

「うちのママだって言ったでしょ?」

女性の発言にリトが驚き顔を上げると、隣に座していた少女アネスが呆れたように言ってきた。
たしかに先程「ママが呼んでいる」的な事を言っていた気はする。しかし、

(若くないか・・・・・?)

目の前の女性は、とてもじゃないがこんなに大きな子供がいるように思えない容姿をしている。少女と形容する見た目ではないが、少なくともうちの長女と同じくらいには見える。
そう言えばルイと言う男も見た目は青年だ。どうなっているのだろう。

「私達は人間ではないので、人とは時の流れが違うんですよ」

奇怪な者を見る表情でもしてしまったのだろうか、女性は可笑しそうにクスリと笑った。
とても柔らかい、優しげな人だ。リトは自分の心が絆されるのを感じた。

「あんた、誰かに似てる・・・・・」

誰だろう、考えた末、一人思い当たる人物を見つけた。
自分の母親だ。人を慈しむ優しげな表情が、母のミレリアの雰囲気と合致する。自分には向けられたことの無い、優しい眼差し。それに気づいた途端、胸のあたりが痛くなった。隠すようにもう一口、茶を口に含む。
そんなリトの姿を見て、女性は目を細める。

「貴方の心が癒されますように・・・・・」

そして何か呟いたが、とても小さな声でよく聞こえなかった。
顔を上げると女性は先ほどと変わらぬ笑みを浮かべていた。

「そう言えば、ママ。」

「お母さまと呼びなさい、もう幼子ではないのですよ。」

「あー、はい、お母さま。カップが一つ多いみたいだけど、パ・・・・・お父さまが来るの?」

アネスの言葉にリトも視線をそちらに向けると、確かにティーカップが一つ余っている。
あの男が来るのか?とてつもなく居心地が悪くなりそうなのだが。

「いいえ、あの人はお忙しいようだからいらっしゃることが出来ないと。別のお客様をお呼びしたのですよ。」

「お客様?」

「えぇ、貴女と同じくらいの女の子ですよ。何があったかは存じませんが、色々と彷徨られた末にこちらへたどり着いたようで。ルイ様に託されました。仲良くなさいね?」

497レオール ◆.q9WieYUok:2016/05/02(月) 09:54:14
【バルクウェイ】

確かに、アグルとイスラの言葉通りだ。
後続の部隊が居るとは言え、会敵必至の遺跡に乗り込み、制圧からの防衛を任せれるのか。

戦略を練り、戦略を整えてから動くべきではないのか。
援軍は期待出来ないのか。

「すまない、イオリとの連携も、他の援軍の期待も出来ない。」

アグルの質問に、レオールは申し訳なさそうな表情で答え、説明する。

「遺跡の破壊、それは真っ先に考えたがそうする訳にはいかなかったんだ。」

まず、レオール率いる108空挺師団のスポンサーは、世界政府に反する多数の中小国家である。
宿敵とも言える世界政府が倒れて以降、その後釜を狙うべく我こそはと中小国家は動き出した。

世界そのものを動かすエネルギーライン、その重要地点である龍穴を抑えるべきだと声を揃える中小国家の意向に反すると言う事は、支援が打ち切られてしまう事を意味する。

「それに、破壊するとしても周囲の影響を予測し、下準備が必要になる。

残念ながら準備をしている暇もない、今は一刻を争う非常事態なのだ。」

遺跡は七つ、内一つは空挺師団が。
三つは黄龍の軍勢が抑えている。

残るは四つだが、手付かずなのは三つだ。
そ今回制圧しようとしているのはその三つだ。

「4/7、半数以上を制圧し、防衛出来れば何とか、世界が闇に閉ざされるのは防げるだろう。

余る一カ所は……闇の巣、ありとあらゆる闇が集まるあの場だ。

あそこならば黄龍もそうそう手を出せないだろう。」

498アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/03(火) 09:18:00
【過去】

「それはどうかなー、なんたって俺修行したからね!
いつもと同じだと思って甘く見ない方がいいよ」

ただの遊びごときで一体なんの修行をしたと言うのか、アブセルは得意気に鼻を鳴らす。
しかも彼のこの台詞、今回が初めてではない。いつも似たような口上と共に自信満々でゲームに臨み、敗北。「あれ、おかしいな?こんなつもりじゃなかったのに」がお決まりのパターンである。
それでもアブセルは何度負けても、今度は勝つ、としつこくリトに挑むのだった。

それは兎も角として、いくら急かしてもリトは読書をしていて中々乗ってきてくれない。
痺れを切らしたアブセルは、彼の背中に被さってのしかかり攻撃を始めるも…
不意に「あ」と言って動きを止めた。

「そう言えばさー、ずっと前に二人で街に出かけたことあったじゃん?
そん時助けてくれたオンジンのこと覚えてる?」

"恩人"。
以前、街でリトが倒れてしまった時、助けてくれたジル達家族のことを彼はそう呼んでいた。

「さっき学校の帰りにちょっと寄ってみたんだけど、あそこの家…何かなくなってた。
道間違えたのかと思って探してみたけど、やっぱり見つかんなかったし…もしかしたら引っ越したのかもしれない」

あそこの兄妹とは、また一緒に遊ぶ約束をしていた。ただその条件が"ちゃんと親に許可を貰ってから"と言うことで、自分は兎も角リトが外に出して貰えないため、結局今の今まで機会に恵まれずにいたのだが…。

裏切られた、と感じたのかもしれない。アブセルはむくれた様な表情を見せる。しかし次には少し不安気な顔になり、肩越しにリトに言った。

「…リトはいなくなったりしないよね」

アブセルは恐れているのだ。
昔の母や可愛がっていた子犬と同じように、大切な人が自分の前からいなくなることを。
リトの肩に触れた手に、知らずと力が入る。

「黙って勝手にいなくなったら怒るからな」

499アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/03(火) 09:19:14
【ポセイドン邸】

なんというか…予想外の反応だ。
普段の仲睦まじい様子を見ている側にとっては、二人が「付き合っていない」という事実の方が驚きだと言うのに。
真っ赤な顔をして慌てて否定するリマを見て、アブセルは思わず吹き出してしまった。
何かこの人すごく可愛いぞ。

「リマ姉、そんなんで良いの?そんなことじゃセイちゃんさん誰かに取られちゃうよ?」

二人は俗に言う、友達以上恋人未満な関係らしい。
リマは現状に満足していないようにも見えるが、それ以上の関係を望むのは贅沢なのではないかと、そう思っているようにアブセルは感じた。

「リマ姉はセイちゃんさんが好きなんだろ?で、好かれたい、とも思ってるんだろ?
ならもっとガンガンアピった方が良いって。
例えば意味もなく抱きついてみるとか…、1日一回は大好きって伝えるとか」

良いこと教えてあげようか?と、アブセルはニヤリとして言った。

「夜中、セイちゃんさんの部屋に夜這いに行くんだよ。そんで、「お願い、私をめちゃくちゃにして!」って言ってみな。トントン拍子に上手くいくから…って、雑誌に書いてあったから」

もっとも、自分がリトにやったときはベッドから蹴り落とされてしまったが。

500ヨハン、トーマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/03(火) 23:01:06
【過去】

「ヨハン様、お客様がいらしております。」

学舎を卒業して数年後、ヨハンはその才能と努力の甲斐あって着々と権力をつけてきた。
最近では本家当主の目に留まり、仕事を任されるようにもなってきた。全て当初の計画通り。このまま上手く事が運べば、本家の跡継ぎである娘との婚姻も夢ではない。

「やぁ、ヨハン!」

全ては順調なのだ。ヨハンの人生の中で、この男の存在を覗いては。

「・・・・・」

「露骨に嫌な顔をするね君は。まぁ、感情を隠さなくなったのはいい事だと思うよ。」

学舎以来の付き合いであるこの男、トーマは卒業後もやたらとヨハンを訪問してくる。因みにトーマの住まいとヨハンの屋敷は決して近い距離ではない。にも関わらず、トーマはその距離を物ともせずに足しげく通ってくるのだ。わざわざヨハンに会うためだけに身支度を整えて。
トーマはやんごとなき家系の御曹司ではあるが、本人はその権力に全くと言って良いほど興味がない。そして財のある暮らしにも未練はないようで学舎を卒業して間もなく庶民街で一人暮らしを始めていた。以前ヨハンが用事で街に出た際に会ったことがあるが、庶民に紛れて暮らすトーマはそれはもうみすぼらしく、目も当てられない程だった。ボサボサの髪に、何処から調達してきたのか不明である品のない瓶底メガネ、ヨレヨレのシャツと言った具合に、庶民と言うよりスラムから抜け出して来たのかと勘違いするような見た目で、一瞬誰だか分からなかった。いや、認めたくなかったのかもしれない。こんな芋男と知り合いだと。あれは庶民に扮しているのではない、この男の素のだらしなさがもたらした結果だろう。
だが今はどうだろう。頭の天辺から爪先まで整い、どこからどう見ても育ちのいい好青年だ。もっとも、これが学舎時代から知っている彼の姿なのだが。屋敷に訪問するのだからと、トーマは芋男を脱してドレスコードを完璧にしてくるのだ。とても同一人物だとは思えない。

「この詐欺師め・・・・・」

「あはは、ヨハン、口が悪いのは相変わらずだね。」

ヨハンはトーマがここへ訪問した用件を聞くが、やはり理由など無かった。用がないのならとその場から立ち去ろうとするも止められる。結局世間話に付き合ってやるのがいつものパターンだ。

501ヨハン、トーマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/03(火) 23:03:35
「あ、そう言えばさ。最近面白い子に会ったんだ。」

どうでもいい話を長々と聞かされいい加減嫌気が差し始めたところでトーマは思い出したように話を変える。クッキーを手に取りながらクスリと笑う。

「良いところのお嬢様なんだけどね、民街に興味があるみたいで頻繁にお屋敷から抜け出してくるんだ。でも見るからにお嬢様な子だから街に出たら浮いてしまってね、実際初めて会ったときはやっぱりお金目的の怖いおじさん達に絡まれてたよ。」

この男が女の話をするなんて珍しい。ヨハンは思わず耳を傾けてしまった。

「だからね、庶民っぽい格好をしておいでって言ってみたんだ。ちゃんと庶民っぽくなれたなら、街を案内してあげるよって。その子、結構頑張ってくるんだけど、やっぱり育ちの良さは抜けなくって・・・・・」

「お前が化け方でも伝授してやればいいだろ」

「化け方って失礼だな。んー、手伝ってあげてもいいけど、これは彼女と僕のゲームだからね。」

言ってトーマはイタズラな笑みを浮かべる。まったく悪趣味な奴だ。
しかしヨハンはこの話で一つ気づいたことがあった。

「気に入っているのか、その娘を。」

「気に入っている、かな。けど、これが恋愛感情と聞かれれば、答えは"ノー"だ。」

僕は誰かを愛するつもりはない、トーマはそう続けた。

「・・・・・」

その理由を、ヨハンは知っている。

「お前の父親は、随分と好色な方だな。以前社交の場で見かけたが、多くの女に囲まれていた。」

「君のその何事も包み隠さないところ、すごく好きだよ。うん、そうだね、もういい歳なのに、未だに"お遊び"をやめられないみたいだ。」

恵まれた環境にありながら、何故自分の立場を嫌うのか。以前のヨハンは理解が出来なかったが、社交界に出るようになった今では分かる。
トーマの父親は底抜けの女好きで、お抱えの女が数多くいることで有名だった。トーマは正妻の子だが、その下にいる弟は第二夫人の子であるらしい。二人は歳が近い為幼い頃から比べられ、意図せず権力争いの波に飲まれていたようだ。特に第二夫人は気性が荒くトーマ母子への対抗心が強い。争い事を好まない性格のトーマには辛い環境だったのだろう。

「僕にはあの人と同じ血が流れているから、女性を幸せにする自信がないんだ。それに、あの子は貴族だから、仮に妻に迎えるとしたら自分の身分を戻さなきゃいけない。幸い僕の母親は権力とかに興味がない人で僕を自由にさせてくれてるのに、愛の為に窮屈な暮らしに戻るなんてごめんだよ。」

「庶民に憧れる物好きな娘なら、庶民として嫁がせる事も可能だろう。」

「その子の親が赦すわけないよ。可哀想だけど、女の子は権力を維持する道具に使われやすいからね。」

「お前は社交の場にも出ないからな、どうせどの家系の娘なのかも知らないんだろう。」

「よく分かったね、その通りだよ。にしても・・・・・」

ヨハンがここまで話にのってきてくれるのは珍しいね、そう言ってトーマは笑みを浮かべた。

502ヨハン、トーマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/03(火) 23:04:32


無自覚だった。たしかに、自分は何故ここまでトーマの話を真剣に聞いてやっているのだろうとヨハンは気付き、顔が熱くなる。

「僕はいいんだ、あの子とこのまま遊べるだけで満足だよ。それよりさ、そっちはどうなの?本家筋のお嬢様。」

何だか気恥ずかしくなった気持ちを誤魔化すかのように咳払いしていたヨハンは、続くトーマの問いに眉をひそめる。またこいつの"聞きたがり"が始まった。

「何度か見かけた事はあるが、一度正式に挨拶したきり会ってはいない。俺が訪問する時は決まって部屋に閉じこもっている。」

「可愛いね、その子。何となく君が旦那様になるって気づいているんじゃない?それで恥ずかしがっていると見た。」

「婚約の話は1度たりとも出ていない。父親の信頼を得る為にはまだ時間がかかりそうだ。」

「君ならやってのけるよ。ここまで頑張ってきたんだからね。ただ、一つお願い。その子と結婚出来たら、ちゃんと大事にしてあげてね?政略
の末に不幸になった僕の母親と同じ目に合わせないであげて。」

まぁ、君は大丈夫だと思うけど。
応援しているよ、トーマは楽しそうに笑った。

二人は知らないのだ。
庶民に憧れるお嬢様と、ヨハンの狙う本家筋のお嬢様が、同じ人物であることを。


【長くなっちゃった・・・・・(´・ω・`)】

503フィア ◆.q9WieYUok:2016/05/04(水) 13:54:56
【十字界】

シャムと別れた後、フィアはDDと共に十字界へ、ジーナの元を訪れていた。

「と、言う訳よ。

私としては今すぐにでも他の長老を集め、オリジンを討伐するべきだと思うわ
。」

群青の街では後一歩の所まで追い詰めた。
メルツェルを吸収したオリジンが如何に強くなろうとも、五人……いや、六人居ればオリジンを滅する事が出来る筈だ。

ノワールに害を及ぼすであろう、と声を掛ければマゼンタとヴェントは釣れるだろうか。
だが、そうそう勝手に動く訳にはいかない。

「だけど、その前に。

ジーナ、貴女に聞きたい事があるの。」

この世に生まれ出た長老はジーナを含めず12人。
しかしながら、ジーナは自分達と同じく長老であり、同じ魂の波長を持っていた。

「貴女、何者?

オリジンについて何か知っているわよね?」

彼女は一体何者なのか、どう言う存在なのか。
ジーナに詰め寄るフィアは静かに、しかし力の籠もった声で、問う。

「答えによっては、オリジンより先に貴女と戦う事になるかもしれないわ。」

交錯する紅瞳、フィアの眼光を眼鏡の奥で受け止め、ジーナはゆっくりと、口を開いた。

「……話始めたら長くなるけど、良いかな?」

ーーーーー

元々、オリジンと呼ばれる存在は三人居た。
その内の一人が、とある者との戦いに敗れ、放浪の末辿り着いたのか再構築が始まったばかりの世界だった。

生まれたばかりの世界を隠れ蓑にし、十字世界を作り上げ、長老を創った。
オリジンの目的はただ一つ、育ち切った長老を吸収し、自らを破った者と再戦を果たす事。

メルツェルを吸収し力を付けた今、オリジンは容赦なく長老達を、そしてノワールを狙って来る筈だ。
特に、言うなればオリジンと同じ存在であるノワールは必ず消されるだろう。

選択肢は二つ。
決別し戦うか、素直に吸収されるか。

戦い、オリジンを打ち取れば存亡の危機は免れるだろう。
また、後る二人のオリジンはこの世界に干渉する事も無い。

ーーーーー

「それと、ボクは君達の従姉妹みたいなモノなんだ。

君達の元となったオリジンとは別個体の、オリジンから生まれたのがボク。

ついでに言うと、オリジンとの戦いで鍵になるのはノワールだよ。

あの娘はオリジンと同じ存在でありながら、オリジンには無いモノを……ボクの血肉を、七大魔王の因子を持っている。

もう一つ言えば、ノワールの近くに居るであろう闇の王子もボクとは別の七大魔王の加護を受けれる筈さ。

とまぁ、聞きたい事とそれに対する答えはこれ位かな?」

504ルドラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/04(水) 17:53:54
【ポセイドン邸】

「イタイイタイイタイっ!ちょっ、何すんだ!止めろ無礼者‼」

地面に頭を押し付けられるなんてあり得ない。しかも愚かで下賤な人間なんかに。
ルドラは屈辱に顔を歪ませ、怒りのままに吠えた。

「ラディック!誰か!もう何でもいいからコイツを今すぐ殺せ!」

そこでハッと思い出す。
そうだ。今、配下の者は誰もいないのだ。全く揃いも揃って役立たずばかり。

頼れる者がいないと分かるや、途端ルドラからは威厳のいの字もなくなった。
駄々をこねる子供のように手足をバタつかせる。

「くそっ、くそっ!人間のくせに!
離せよ肉だんご(胸の辺りが)!×××女!××××!×××××
ッ‼」

そして放送禁止級の罵声を口汚く浴びせるが……。

その数分後…

「すみませんでした…。」

そこにはボロボロの姿で土下座をしているルドラの姿があった。
ナディアに余程酷い目に合わされたのか、顔色が真っ青だ。

「僕は姫の臣下でルドラと言うものです。訳あって姫には会えないので、伝言を…お、お願いしたいのですが…」

その口調は若干棒読み気味だが、先ほどとは売って変わった弱腰な態度である。
屈服という文字が彼の背景に浮かんで見えてきそうな程だ。

505サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/04(水) 17:55:19
【??】

どうも此処に来る以前の記憶が曖昧だ。
確か自分はバルクウェイの闘技場にいた筈だったと思う。
最後に覚えているのは、闘技会中に賊が侵入してきて大会が滅茶苦茶に荒らされたこと。
クロスと言う少年の力が暴発して、彼そのものが暗黒の虚に変貌してしまったこと。

そして自分はそれを封じるべく、あろうことか無策で虚の中に飛び込んだ。

そして…、気がついたら此処にいた。

初めはついに天国に来てしまったとばかり思ったものだが、聞いた話ではどうやら違うらしい。
ここは死者の魂を選別する場所だと、一番偉い人に教えてもらった。
では自分は死んだのだろうか。そう訊ねると男は首を横に振る。"正確にはまだ死んでいない"、と。

まだ、とはどう言うことだと疑問に思ったが、その時のサンディの感想は…「ふーん」だった。
自分でも驚くほど他人事で、不思議なことに危機的感情が全くわいてこなかった。まるで不安とか恐怖とか、負の情報を伝達する脳の回路が切断された感じ。

現に今だってお茶会に誘われたものだから、呑気にそこに足を運んでいる。しかも割りとルンルン気分で小さくスキップしながら。

「ごめんなさい、お待たせしましたー…」

お茶会の席には既に人が集っていた。席に腰かける面々を順に眺め、そこでふとサンディは目を見張った。

「あれ?あなた…セナさん…?
いや違うな………あ!もしかして姉御の弟くん!?えっと確か…そう!リト君!」

彼を見たのはバルクウェイで深淵から救い出された後の姿だけ。ずっと眠ったままだったから直接喋ったこともないが。
少しの間だけ行動を共にしていたセナと顔がそっくりだから、直ぐに分かった。

「良かった!目、覚めたんだね!」

サンディは嬉々とした様子でリトに駆け寄り笑顔を向けた。

506イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/04(水) 17:56:47
【バルクウェイ】

(闇の巣…)

レオールの口からその言葉を聞くや、アグルは思案気な面持ちでそれきり黙りこんでしまった。

代わりにイスラが言葉を挟む。

「こんな時でも自国の利益か…。
失敗すれば世界そのものがなくなるってのに…」

何だかやるせない様な気持ちになる。

しかし、それも仕方がないことだと思う。
自分達のように前線に出て戦う役割の人間もいれば、それを指揮する人間、今の戦いよりももっとずっと先を見据えて動く役割の人間もいる。

適材適所と言うやつだ。
全ての戦いが終わった後、社会を立て直していくには、むしろ彼らのような人間の力こそが必要となるのだろう。

「…状況はキツいがやるしかないな。なんせ世界がかかってる」

ここにいる数名で背負うには余りにも重すぎる荷物だが。
そこまで言うとイスラは不意に一同を見渡し、重い空気を吹き飛ばすかの様に破顔した。

「皆、自分の力を信じて全力を尽くそう。そして必ず生きて帰ってこよう」

507リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/08(日) 22:30:17
【ポセイドン邸】

いきなり抱きつく・・・・・のは結構無意識にやっている。大好き!って言葉もよく発言している気がする。
しかしセナは動じていない。微笑み返してくれることもあれば、無反応な時すらある。

だがアブセルの言葉の中に一つ実践したことのない事柄があった。

「よばい・・・・・?」

リマは首をかしげる。
ヨバイとはなんだろう。めちゃくちゃ?

「それやると上手くいくの?夜中に?セィちゃんきっと寝ちゃってるよ??」

あ、添い寝的なものだろうか。

「小さい頃は、セィちゃんとよく一緒に寝てたなぁ。リマ、雷が怖くて夜眠れなくなっちゃうから、心配してセィちゃんがいつも来てくれるの。リマが寝るまで傍にいてくれるつもりで来てくれるんだけど、いつもいつの間にか二人で寝ちゃってるの。懐かしいなぁ・・・・・」

リマは昔を思い出して楽しそうに笑う。
そう言えば・・・・・

「今もやっぱり夜の雷は怖くて、どうしても怖い時はセィちゃんのお布団に入っちゃうの。セィちゃんは背中ポンポンしてくれるから安心するんだ・・・・・」

そこまで話してリマはハッとする。さすがに恥ずかしい事を口走ってしまったことを自覚したのだ。

「・・・・それで・・・・・朝起きていつもジュノスさんに怒られるの・・・・・」

しかしここまで言ってしまえば引くにも引けず、声は小さくなりながらも最後まで言い切った。

508イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/08(日) 23:02:21
リマ>漫画かぁ…、機会があれば読んでみます⬅

おぉ、良かったですね^^
しかし異物混入ってwwちゃんと別のケース用意するのが偉いwあ、誕生日おめでとうございます!(^ω^)

いや、ただの自分のネガティブ妄想ですので、本当のところは分かりませんよ?(笑)ああ言うのは気持ちの問題なので、リアルの事情は気にしちゃ駄目なんだと思いますw

いやいや大丈夫大丈夫、変じゃない変じゃないw
てか本当に本命レイジなんじゃないの?(¬_¬)⬅
公表すればいいじゃない(笑)

頭になんかぶらさげてる黒髪……誰だ(笑)情報がアバウトすぎて分からんww
悔しいって(笑)まぁ秋ぐらいにアニメ化するみたいなので、見ましょうよ(^ω^)⬅
そう、あんなロリロリしいくせにTバックなんですよ。はー可愛い⬅

うーん…、自分的にはジルヨノで引っ付いて欲しいですけど。ただそれはそれで二人とも辛くなりそう…。その感情を乗り越えて幸せになってくれれば良いのですが…(--;)
このぉヨハンめ!可愛いじゃないか!( σ´∀`)σ⬅
そうしましょう!⬅

スカイハイw
ありがとうございます!頑張ります(笑)

509DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/08(日) 23:03:41
【十字界】

十字界に着いた頃には、少なくともジーナの話に大人しく耳を傾けられる程度には、DDの精神状態も回復していた。
そして、オリジンについての一連の話を聞いたのち、彼は大きな溜め息を吐いた。

「何だか…正直がっかりだわ。
あの人は本当に自分のことしか考えてないのね…」

なんというか、愛がない。とDDは言う。

オリジンが長老達を造った理由も、そして己の消滅を逃れる為、長老達がオリジンに反旗を翻すのも愛がない。

「分かる?ラブが足りないのよラブが!
アタシ達の心に愛がないばっかりに、こんなことになってしまったの!」

また面倒くさい高説が始まりそうである。
しかし続くのは長いため息だけ。どうやらそれだけの元気もないようである。

「とにかく…ごめんなさい。アタシは話を聞いてもまだ踏ん切りがつかないの…。
少し時間をちょうだい。他の長老達の意見も参考にしたいの」

消滅か決別か。DDは未だ決断を決めかねていた。
とは言え、気持ちは傾きつつあるようで。
ノワールに害が及ぶのだけは何としても避けたいと考えていた。

510レオール ◆.q9WieYUok:2016/05/10(火) 14:21:19
【バルクウェイ】

質問に対する答えに応えず、口を閉ざしたアグル。
そして、アグルとは対称的に声を挙げるイスラ。

彼の言葉に一同……アグル以外の面子、レオール、バッハ、そしてメイヤも頷く。

「すまないな……出来うる限りの援護、支援はさせてもらう。」

確か世界の命運を背負うには人数的にも重過ぎるかもしれない。
だが、一騎当千と言う言葉もある。

「出発は明日の朝にしよう。

皆の力を、無事を信じている。」

ーーーーー
「と、言う訳さー。

側近のマルトは戦争孤児、バッハはエクソシストの家系、どっちも異能者だ。

世界政府に追われる異能者や敗残兵やらを取り込み、師団は大きく成ったってこった。

まぁ、その中でも一番おっかなくてヤバい奴が裏切ったのは色々と不味いかもな。」

バルクウェイを発って二日、東南地域の大河を進む船の上、ウエスタンハットを被った男は調子外れな口笛を吹いた。
そろそろだな、と帽子の男……ビリーは船を泊め、前方を指差す。

「東南地域の龍穴遺跡はジャングルの奥に眠るピラミッドの中。

激しい戦いになる様なら退いた方が良さそうだ、側の大河から水が流れ込んで来たらお終いだからな。」

男の指差す方、そう遠くはなく見えるピラミッドに、レックスは目を凝らした。
大河のほとり、密林の先。

「手はず通り、僕とアグルの二人で遺跡へ侵入。

制圧の合図は無線機で、制圧後は後続の部隊と合流。

中継連絡は任せました。」

短く、最低限の作戦事項を口にし、レックスは歩き出す。
その歩調は速く、次第に早足、駆け足となり、レックスは一陣の風となって密林を駆け抜けた。

511レックス ◆.q9WieYUok:2016/05/10(火) 14:23:30
【東南地域/龍穴遺跡】

遺跡の中はカビ臭く、澱んだ空気が充満していた。
風を操る力で気流を生み出し、侵入口から絶えず新鮮な空気を送り込んでいるものの、如何せん臭いが鼻につく。

(澱んだ空気。

侵入痕も見受けられませんね……)

バルクウェイからの道中と同じく、アグルとの会話は必要最低限だ。

「アグル、そろそろ最深部の筈です。

今の所は僕達以外の侵入者は居ない様ですが、用心を。」

そして、自身もまた三叉鎗を構え、進んだ先。
淡く光る幾何学模様が張り巡らされた広い部屋、遺跡中枢へと辿り着いた。

燐光に満ちた部屋は、驚く程空気が澄んでおり、やや肌寒い。
広さは野球場程か、高さも有り、円柱形の様だ。

光る模様が走る床をゆっくりと踏み、レックスは最深部中央、台座の様な何かへと歩を進め……止めた。
眼鏡の奥、黒瞳が見据えるのは台座に腰掛ける小柄な女性。

「……先回り、されていた様ですね。」

くすんだ金髪と鮮やかな碧眼、身を包む鎧は重厚だ。
謎の人物、恐らくは敵であろう女性にレックスは鎗の矛先を向け、問い掛ける。

「貴女は、何の用で此処に?」

しかし、その問いの答えが来るのを待たず、疾走。

「私はラセツ。

黄龍の使いで、此処に来る者を皆殺しにしろと言われたの。」

女性が答えると同時に、勢いの乗った刺突を繰り出した。

「きっと、私は貴方達の敵。

貴方達も私の敵でしょう?」

風を纏ったその一撃は、台座から降り立った女性の片手、たった二本の指で止められてしまった。
その様にレックスは僅かに苦い表情を浮かべ、口を開く。

「そうですね、やはり敵の様です。

申し訳無いですが、容赦はしません!!」

そして、ラセツの名乗る女性が黄龍の軍勢、敵である事を確認出来たと同時にレックスは突き出した鎗を更に前方へと押し込む。
穂先でラセツの手を、腕を絡め取り、身を捩って反転。

中枢入口に居るであろうアグルへと投げ飛ばし、返しの穂先を横薙に一閃。
投げ飛ばしたラセツへと、巨大な風の刃を追い打ちにと放った。

「アグル!!任せましたよ!!」

512ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/05/11(水) 16:44:31
【ここにきて二人のレス速度が上がってて驚愕orz

レックスアグル組には新キャラあてがったんだけど、イスラメイヤ組にはどうしよう、既存の誰かを出すかはたまた……

一応出せる新顔は居てるんだけど、シデンさん出てきます?

とと、遅なりましたがリマさん資格試験合格おめおめ!社会人一年目ガンガレ!】

513イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/11(水) 17:37:08
大丈夫また遅くなるもよう(´∀`)b⬅
ゴールデンウィーク明けてから忙しくなっちゃったぃ
レスはポツポツ返していきますー

シデンさんはー…、ちょっとまだ待機で。すいません、新顔さんお願いしますm(_ _)m

514リト ◆wxoyo3TVQU:2016/05/13(金) 18:46:41
【過去】

「・・・・・リトは此処から出られない。」

"リトはいなくならないか""勝手にいなくなったら許さない"……おそらくアブセルはリトから"自分はいなくならない"などの意思をもった返事を求めているのだろうが、リトはただ事実のみを口にする。
リトはこの部屋から、一族の監視の目から逃れることが出来ない。勝手にいなくなるなどの行為は、自由が赦される者にのみ出来ることなのだとリトは暗に示していた。

「いなくなるのは、アブセルの方。」

リトとアブセルが離れることがあるとすれば、それは自由の赦されるアブセルの方が自分の意志でこの屋敷から出ていく時だろう。今一緒にいるのだって、アブセルが勝手に近づいてくることによる結果なのだから。

それにしても、

「・・・・・。」

重い。
暫く大人しくアブセルによるのしかかりを受けていたリトだが、不意をついて後頭部を上げアブセルの鼻頭に頭突きを食らわす。

出会った当初は何をしても反応を示さなかったリトであるが、最近では極稀に、このような感情のある仕草を見せるようになっていた。
それだけアブセルによるスキンシップが鬱陶しいとも言える。

515リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/13(金) 18:49:26
ヤツキ>>
ありがとう!
自分もイスラに同じく、頻度がまちまちだから早い時もあればめっちゃ遅い時もあって、分からないよ(笑)

516メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/05/14(土) 10:28:13
【東南地域/遺跡付近】

レックスとアグルが遺跡へ向かった後。
船の甲板で煙草を吹かすビリーは、無線機を、会敵の信号を受信したソレを握り締める。

空挺師団長のレオールを筆頭に、参謀、両翼共に異能力者だ。
非能力者の隊長分隊長も多々居るが、やはり戦力として上がるのは異能力者だろう。

(こんな時こそあの野郎、裏切り者のビカが居りゃあ良かったんだがなー…)

中でも、マルトと共に師団の両翼として武勇を馳せた男、ヴィカルトの強さは筆舌しがたい程だった。
強さをだけを追い求め、強者との闘いを楽しむ凶戦士ではあったが……

「まっさか黄龍側に着いてる訳無ぇよな、流石にビカ相手じゃ団長以外に勝ち目は……」

ーーーーー

【砂漠地帯/龍穴遺跡】

指定された遺跡は砂漠地帯にあり、夜の内に侵入を果たした遺跡内は静まり返っていた。
何者かの侵入痕はあるものの、数は一人分だけであり、予測していた大多数の敵勢力との戦闘は回避出来そうであった。

否、大多数の敵との戦闘は回避出来、呆気ない程簡単に遺跡の最深部へと到着したのまでは良かったのだが……

口腔内の血を吐き捨て、メイヤは再び剣を構える。
構えた剣の切っ先には長い銀髪の男。

(強い、強過ぎると言っても過言じゃない……)

イスラと共に到着した最深部には、一人の男が佇んで居た。
黄龍の使い、ヴィカルトと名乗る男は遺跡の装置を起動させるが、止めたければ剣を抜けと、イスラとメイヤに剣を抜かせた。

そして、十数分後。
圧倒的な強さを見せるヴィカルトに対し、メイヤは攻め倦ねていた。

イオリにも勝るとも劣らない、寧ろ上回っているであろう剣術、体術。
そして結晶……珪素を操る異能は絶対的な防御力を見せ、闇の力を失ったメイヤでは突破は不可能。

会敵し、剣を抜いたからには退く訳にも行かない。
しかし、この敵を倒せるかと言われれば……

「どうにか、攻撃を通せないか……

イスラ、イスラの炎ならあの結晶の鎧を破壊出来るだろうか?」

517ナディア ◆wxoyo3TVQU:2016/05/15(日) 18:07:08
【ポセイドン邸】

「は?嫌だよ面倒臭い」

ルドラが大きく出ようと小さく出ようと、ナディアの答えは始めから決まっていた。
彼女は基本的に誰かの為に動いたりしない。その相手が知り合いでないのなら尚更。

ボロボロになりながら屈服するルドラを前にしてもナディアは全く動じず、全く興味無い様子で手をヒラヒラ振りあしらう。

「今こっちも立て込んでんの。自分で会えないんだったら諦めるか・・・そうね、あんた私たちのこと覗き見してたなら知ってるでしょ?今さっき目付きの悪い不良みたいな奴と女の子が席を外したの。あの二人があんたの姫?とやらと一緒に消えた男の子探しに行ってるから、追いかけて伝言頼んでみたら?」

518リト ◆wxoyo3TVQU:2016/05/15(日) 22:03:24
【???】

「は?誰・・・・・?」

客がもう一人来る。女性の言葉通り、まもなくして1人の少女がやって来た。それはいい。
驚いたのは、その少女が自分を知っていると言うことだ。そして馴れ馴れしい。
いつか会ったことがあるのだろうか?記憶がない。リトは考えを巡らせた所で、少女の言葉からある単語を拾った。

「姉御?あんた、ナディアの知り合い?」

彼女はリトのことを姉御の弟と言った。姉は二人いるが、そう呼ばれる可能性があるのは長姉の方だろう。

それより、目覚める目覚めないとは一体・・・・・

「あんた、"あっち"では眠った状態なんじゃない?良かったね、体は無事みたいだよ。」

リトの疑問を察してか、アネスがクッキーを食べながら口を挟む。
なるほど、元の世界に実在する自分の現状を知っているということは、深淵に落とされた自分の体は救い出されているのだろう。

納得しつつ、リトは少女を見た。
それにしても・・・・・

「あんた、此処で会ってる時点で俺が無事じゃないって分かんないの?あんたも死にかけてるんだろ?馬鹿なの?」

この場所が普通の世界でないことは聞かされているはずだ。女性の話によればこの少女も死んではいないようだが、少なくとも生死の境くらいにはいるのだろう。

519アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/15(日) 22:51:45
【ポセイドン邸】

「………二人で一緒に寝て何にもないの…?本当に?朝まで?」

アブセルは信じられないと言った様子で目を丸くする。
と言うか同棲までしてるのに恋人同士でも何でもないなんて…。おまけに雷が怖いとか、リマ姉はお子ちゃまだな。などと、負けず劣らず恋愛偏差値の低いアブセルは苦笑する。でも背中ポンポンはちょっと羨ましい。

「あのさ、いい?夜這いってのはこうやって相手とー…」

言ってアブセルは何の気なしにリマの腕を取る。
彼女の腰に手を回しかけたところで、はたと動きを止めた。

…………。

(あ…あれ?)

何故だ…。なぜ自分はドキドキしているんだ。

もしこれがリトなら、ふざけて抱き締めたり押し倒したり、下ネタ発言だって何だって出来るのに…。
何故か相手がリマとなると、例え冗談でも抵抗を感じてしまう。

それ以上踏み込むべきか決め兼ねていたアブセルだったが、リマの純粋無垢な瞳に見つめられていることに気づき激しく動揺した。顔を赤くして反射的に彼女から身を離した。

「や、…やっぱり何でもない…!
てかこんなことして遊んでる場合じゃないし!早くセイちゃん見つけないと!」

自分から話を振っといてとんだ態度ではあるが、リマに背を向けると、一人のしのしと早足で先を歩き出した。

520リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/05/17(火) 19:11:45
イスラ>>
さては乗り気でないなwww

かわいいです(●´ω`●)
うた〇リと黒執事は同調出来ませんでしたねwww嵩張りますが、別のケースに入れた方がやっぱりしっくり来ましたwww
ありがとうございます(●´ω`●)でもそろそろ年取りたくないwww

完全自己満足ですもんね、あれ。自分もイスラさんと同じ意見です(笑)

いや、絶対変な人ですって(笑)
いえいえ、好きなのは藍ちゃんです(●´^`●)
たしかに暇すぎてテレビのチャンネル回してる時「あ、う〇プリやってる」ってなって、チャンネル飛ばそうとした自分の手を止めたのはレイジでしたけど!「あれ、うた〇リにイケメンいる」ってなったけど!レイジは見掛け倒しなんです、あんな残念な人だとは思いませんでした!はじめのトキメキ返して欲しい( ー̀ н ー́ )
でもすぐ様マイエンジェル(藍ちゃん)が画面に映り、「なんか電波な子いるwww」ってなり、「つかショタっ(♢ω♢)」となりまして、めでたく「可愛い!好き!!」に至りました(●´ω`●)

自分は一般人にしては漫画に精通ひすぎており、かと言ってオタクと言うにはまだまだ甘ちゃん過ぎて、凄く微妙な立場なんです(´・ω・`)

あれです、刀剣乱舞の表紙を飾ってる袴の人。
え、あれアニメ化するんですか(OдO`)
うたプリも秋からやるみたいなんですけど、どっちが金稼ぎますかねwwwwww
可愛いんだwww

まーきっと、そこんとこはナディアが何とかするでしょうwwwあんなんでも頼りになりますしwww
まさかヨハンが可愛いと言われる日が来ようとはwwwツンデレこじらせると大変ですね←
よし、そうしましょう!!

スカイハイが通じたwww
あ、あの場所は死者も通る道だからヨハンも裁き受けに来れるぞ?あれ?いや、私は何も気づいていない←
そう言えば今リトたちがいる場所、良い名前が思いつかないで【】の中何もかけなくて困ってるんです( •́ .̫ •̀ )←

521ジーナ ◆.q9WieYUok:2016/05/18(水) 20:08:04
【十字界】

「ラブが足りない……確かにそうだね、この世界は殺伐とし過ぎてラブが足りない。」

DDの言葉にジーナは目を丸くし、しかしすぐさま彼の言葉に肯いた。

「でも、ラブで世界を救おうにも、オリジンに牙を剥こうにも準備は必要さ。
今すぐ決めろなんて言わないし、言えないよ。」

DDらしいと言えば彼女……彼らしい言葉にジーナは笑みを浮かべる。

「取り敢えず僕は行方知れずの他の長老を捜してみるよ、何かあればまた連絡くれると嬉しいかな。」

単独行動は避けて、なるべく二人一組で動くように、どうしても一人になるなら気をつけて。
と、ジーナは付け足し、開いたままの書物へと視線を落とした。

その様子が意味するのは会話の終わりだろうか。
フィアはどうする?とDDへ目を向ける。

「二人一組、丁度良いとは思うけど……」

522アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/20(金) 22:11:10
【東南地域、龍穴遺跡】

カビ臭い遺跡の最深部に待ち構えていたのは、重厚な鎧を身に纏った一人の女性。

ただ引っかかる点は、ここに辿り着くまで遺跡内部に人が進入した形跡が見られなかったことだが…。
しかし今それを考えている暇はない。相手が一人ならこちらも好都合だ。

「あの眼鏡…、女相手に手加減なさすぎ…」

容赦のないレックスの畳み掛けを眺めつつ、アグルもまた武器を構える。

そして最速の踏み込みから、雷撃を纏った刺突の嵐を繰り出す。
織り成す槍撃の衝撃波が、吹き飛んでくる敵に向かって放たれた。

523サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/20(金) 22:14:08
【?】

「あっ!た、確かに…!」

指摘されて思い出した。そう言えばここは通常とは異なる世界だった。

「じゃあリト君こんなところで何やってるの!?
早く帰らないと、姉御すっごい心配してるよ!」

浮かれている場合じゃないと分かるや、サンディの表情はそれまでとは一変。今度は膨れっ面でリトに詰め寄る。
今まさにお茶会を楽しみに来た彼女の言えた台詞ではないが、自分のことは眼中にはないようだ。

「あ、それから!あんたじゃなくて、あたしはサンディって言うの。これでも一応アマテラスの力を継いでるんだから!」

524レックス ◆.q9WieYUok:2016/05/21(土) 20:00:05
【東南地域/龍穴遺跡】

雷を纏った槍撃と巨大な風刃による挟撃は、人一人を粉砕するには十分以上の威力を持っていた。
しかしながらラセツは挟撃の直撃に耐え、腕の一振りで粉塵を払い、その姿を現した。

(……一応は予想していましたが、無傷、ですか。)

悠然とした姿でアグルの前方へ立つラセツに、ダメージは見えない。
最重要地点に遣わされたのはたったの一人。

しかしそれは、その一人が単独で遺跡を制圧、防衛出来る実力を持つと言う事を表している。
決して手を抜いた訳でも無い刺突を、アグルとの挟撃を無傷で防いだその実力は、少なくとも自分達と同等かそれ以上と見るべきだ。

レックスは再び三叉鎗を構え、鎧を纏う女、ラセツを注視し……放たれた拳を、寸の所で受け止めた。
予備動作は全く無く、寧ろ受け止めれたのは単なる偶然、強いて言うならば本能的な直感のおかげか。

捻りを加えた拳の一撃から続くのは、逆の手による喉への一突。
それをレックスは手の甲で叩き落とすと同時に、三叉鎗を捨てて短剣を腰から引き抜く。

(予備動作も無く!まるで瞬間移動ッ!?)

逆手に握る短剣でラセツの脇腹を狙うも、肘鉄により刃は粉砕。

(アグルよりも、背後の僕を狙うのは確かに意表を突けますが……ッ)

砕けた刃の破片が地に落ちるよりも速く。
踏み込んだ足裏は地を砕き、肘鉄から繋がる掌打は、寸分の狂いもなく、レックスの胸部を打ち貫いた。

(何よりも、僕らの攻撃をどうやって防……!?)

何かが弾ける様な澄んだ音が最深部に響き渡り、続く破砕音……吹き飛んだレックスが、最深部中央の台座の様な物に激突し音を立てた。
二種の相反する音が止んだ後、レックスが立ち上がらないのを確認したラセツは、残るアグルへと身体を向ける。

「次は、貴男か?」

525リト ◆wxoyo3TVQU:2016/05/22(日) 20:23:36
【??】

好きで此処にいるわけじゃない。
早く帰れなどと偉そうに説教をたれ始めたサンディに、今度はリトがムッとする番だ。

「余計なお世話だ」

かと言って「戻りたいけど方法が分からない」などと素直に言うはずもなく、リトは途端に不機嫌になって、自棄糞気味に手元にあった紅茶を飲み干した。

「・・・・・」

紅茶は苦手だ。クセのある匂いと味がどうも体に合わない。ちょっとずつ口に含むなら飲めないこともないが、一気に飲むとやはり紅茶の味が強調されてキツイものがあった。

「あんた、アマテラスだって?」

口直しにクッキーを食べ、落ち着いたところで先程のサンディの名乗りを思い出す。

アマテラス・・・・・ポセイドンに並ぶ四神の一人だ。

「あんたはどっち?今の人間?それとも初代?」

自分でも奇天烈な質問をしていることは自覚しているが、ポセイドンの力を受け継いだ者の初代であるリマに会ってしまっている以上、仕方の無い疑問だった。

そして、彼女が初代であるのなら、聞きたいことがあるのだ。

「アマテラスも、トールも、フレイヤも、何故闇の王子を始末しなかった?」

ずっと疑問だった。世界を滅亡の危機に追いやった一因である闇の王子を、何故生かしたのか。仲間でありながら、敵であるはずの王子に惹かれていくポセイドンを何故止めなかったのか。王子が後に改心し世界を救った事実があるとしても、今現在英雄として語り継がれていることが気に入らない。ポセイドンとの関係を悲恋を語る美談とされているのも気に入らない。

王子の存在のせいで闇は滅びなかった。二人が子を繋いだせいで、こうして闇は受け継がれてしまった。

「ポセイドンには出来なくても、あんた達には出来たはず。王子は消えるべきだった。」

そう口にした途端、ズキリと胸が痛くなった。リマの泣く姿が脳裏に浮かんだのだ。王子を求めるリマの姿を知っている。離れ離れになってとても不安そうだった。凄く会いたがっていた。表では笑顔を見せていたが人目のないところで嗚咽を漏らしている姿を見かけたこともあった。別人だと分かっていながらも自分を王子と重ねて安心を得ようとしていることにも気づいていた。
王子が消えたら、彼女はどうなっていたのだろう。ちゃんと生きていけたのだろうか。
彼女の事を思うとこんなに辛くなるのは何故だろう・・・・・

「・・・・・」

自分は残酷なことを言っている。分かっている。でも、止まらない。

「闇の王子さえいなければ俺は生まれずに済んだのに・・・・・」

526イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/23(月) 01:59:01
【砂漠地帯、龍穴遺跡】

流石単身で遺跡に派遣されただけのことはある。
悔しいが相手の剣術や身のこなしは自分よりも数段は上手だ。
二人係りで苦戦を強いられているのが良い証拠である。

(次に備えて体力温存…なんてこと言ってられないな…、全力で行くしかない…)

どうも彼の鎧は耐熱性に優れているようで、小手先だけの技では通用しない。

「分からないがやってみる…、フォローは頼む…!」

イスラはそうメイヤに言うと、構えを取った。
イスラにとっては数年前…、この時代から見れば何百年も前の出来事である、"塔"での戦いで見せた白き焔が顕現し身を包む。
彼の髪は赤茶から白髪へと染まり、背からは白く燃え立つ翼が広がった。

「いざ…!」

目映く光る剣は大気を焦がしながら一気にヴィカルトの元を駆け抜けた。
一閃、二閃、三閃…。剣筋が光る度、白焔の業火が舞い上がった。

527アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/23(月) 02:02:13
【過去】

「いった!」

不意に頭突きを食らい、後ろに倒れるアブセル。
だが彼はどんな仕打ちを受けようと、自分の行動にリトが何かしらの反応を返してくれることが嬉しいらしい。
にんまりと笑うや素早く起き上がり、懲りずにまた抱きついた。

「俺はいなくならないよ。ずっとリトと一緒にいる」

なんならポセイドンの神様に誓ってもいい。とアブセルは言う。

「リトは知らないだろうけど、俺リトと出会えて変われたんだよ。
何かさ…前まではずっと狭くて真っ暗なところに閉じ込められてる感じがしてた。すごく怖くて寂しくて…、抜け出したくても何か身動き取れなくて…。
…でも、それをリトが助けてくれたんだ。
リトが俺を明るいところに連れてってくれたって言うか、リトそのものがキラキラしてた…?って言うか…」

上手く言い表せないのが、もどかしい。
少ない語彙の中で暫く一生懸命言葉を探していたアブセルだったが、直ぐに諦めた。

「とにかく!俺はリトと一緒にいる時間が一番楽しいってこと!
だから、同じぐらいリトのことも楽しませてあげたい!リトに恩返しできるまではずっと側にいる!」

アブセルはアブセルなりにリトを喜ばせようと、あれやこれやと考えて行動していたらしい。
もっともその八割方は、彼自身の願望が前面に押し出されている為、周囲には伝わり難いが。

「いつかリトだって、ここから出られる日が来るから安心しろよ!
いまディア姉達がその為に色々準備してるんだってさ。だから"リトお衛り隊"の構成員である俺もそれに協力するんだ!」



【長々とアブセルの過去話に付き合って頂きありがとうございました!(^ω^)
何か止め時が分からなくなってきましたが…(笑)取り合えず自分の方はやりたいことも大体やったので、もしリマさんが良ければ切りの良いところで纏めて終わりにしようかなーと思いますが…如何でしょ?】

528メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/05/24(火) 11:09:55
【砂漠地帯/龍穴遺跡】

燃え上がる白焔に、メイヤ同様ヴィカルトも目を細めた。
先程までとは違う、猛々しいその焔はイスラの全力だろうか。

「師団は理由が無いと剣を抜かない者ばかりだった。
貴様達もきっとそうなのだろうが……面白い、私を楽しませてみせろ!」

白焔を纏い、その背からは燃える白翼が。
大気を焦がし、迫るイスラの剣閃は業火を巻き起こす。

珪素結晶の鎧が白焔を受け輝き、瞬く間に燃え上がる。
耐熱性などまるでなかったかの様に火が上がる鎧を脱ぎ捨て、ヴィカルトはイスラの剣を水晶の剣で受け流し、捌く。

しかし一閃、二閃ごとに水晶の剣も融解し、三閃目を受け止める事は叶わず。
剣を投げ捨て、ヴィカルトは回避行動を取ろうとするも、そこで死角からの一撃……背後に回ったメイヤの一突きが迫る。

だが、それを見越していたかの様にヴィカルトは身を反らし、その場で横回転。
360度水平に回転する身体に続く様に、彼の足元からは大小様々、無数の結晶の剣が飛び出した。

渦を巻ながら広がるそれは、まるで花弁の如く。

「く、そ……っ」

間一髪、即死を免れたメイヤは呻き声を上げる。

(闘技場でアグルが同じ様な技を使っていたから、咄嗟に反応出来たけど……!!)

呻き声と共に込み上げる血反吐を吐き出し、文字通り、剣山に突き刺さり動きを止められたままヴィカルトを睨んだ。
風魔装束を着込んでいた為に即死は免れたものの、身体のあちこちが切り刻まれ、メイヤは動けない。

そんなメイヤに視線を向ける事無く、ヴィカルトは再び水晶の剣を生成。
イスラへその切っ先を向け、凶笑を浮かべた。

「白く輝くその焔、自らで受けてみるか!?」

その瞬間、白焔の輝きに照らされた剣山が、その輝きを乱反射させ光を増大させる。
周囲を塗り潰さんばかりに増した光はヴィカルトの持つ剣へ収束し、臨界点を突破。

水晶の剣を瞬時に蒸発させながらも、莫大な熱量を持った光線が、イスラへと放たれた。

529リマ他 ◆wxoyo3TVQU:2016/05/26(木) 20:23:08
【ポセイドン邸】

「?」

リマは不思議そうに首を傾げるも、アブセルの心情など知るはずもなく、その行動を不審がることもなかった。
そして、

「あ、セィちゃん!」

庭の中を一通り歩いたところで、漸く目的の人物を見つけた。
リマはセナの姿を見るや、嬉しそうに駆けていく。

-----

「何じゃと・・・・・」

セナの口にした言葉に、ノワールは驚愕の声を漏らす・・・・・

「到底信じられぬ・・・・・」

十字界に、自分の知らない秘密が存在し、何かが暗躍している。
黒十字はその全貌にしろ一端にしろ何かしらの情報を入手し、巻き込まれぬように手を引いたのか。その時点で奇しくも自分は既に身篭っており、向こうの目的は果たしていたというわけか。

「甘く見られたものよ」

ノワールは自嘲気味に笑った。

「だぁれだ!」

その時、この場の空気に合わず緊張感の全くない声が入る。
リマが背後からセナの目を隠しじゃれついたのだ。
途端、セナの表情がふっと柔らかくなる。
先程までの冷たい雰囲気が嘘のように。憑き物が取れたように。

「セィちゃん見つけた!ナディアさんが呼んでるよ?行こう」

二人がどのような会話をしていたのか疑問にも思わない様子で、リマは無邪気にセナの手を引いていく。
セナ自身もまた、これ以上話す気はないようだ。

「そなた、何故あの娘を連れてきた」

言いようのない怒りが込み上げ、ノワールはアブセルを睨む。

「わらわはあやつと話をしておったのだ。邪魔をするでない。」

530サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/27(金) 23:32:22
【?】

「え…、えっと……」

思ってもみない切り返しにサンディはすっかり困惑してしまった。
そもそも、なぜ闇の王子を始末しなかったのか、そんなこと疑問に思ったこともなかったのだ。

「残念だけど…、あたしはその時の当事者じゃないからその問いには答えられないよ…」

言ってサンディはしずしずと席に腰を下ろす。しかし身体はリトに向けたままだ。

「でも初代アマテラスのいー兄は、闇の王子のこと、敵だなんて見てなかったよ…?
むしろセナさんに対しては何だかいつも申し訳ないって顔して接してた」

この時代に来たイスラを見ていると、まるで久しぶりに再会した知人か何かのようにセナと接しているのが分かる。
だがその態度はいつもどこか遠慮がちで、変に気を使っていることをサンディは気がついていた。

「闇を封じる為、溢れ出た闇の全てをセナさんの身体に押し付けたんだよね?
いー兄言ってたよ。世界を救うためにセナさん一人に業を背負わせてしまったって。誰が犠牲になることもない最善の道が他にあったんじゃないか、って」

過去の話をイスラから少し聞いたことがある。
あの時は何が最善かを考える時間もなかったと言う。しかし彼は後悔しているようだった。

「リト君…、辛かったんだね…?」

話にきけば、リトは件の闇の王子の血を受け継いでいるらしい。
そのリトが今までどんな生涯を送ってきたのか、サンディには分からない。ただ彼の表情や言葉の節々から滲む痛みや苦しみといった感情は、悲しいぐらいに本物で、 また疑いようのない真実だった。

531サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/27(金) 23:34:03
リマ>バレたかww←

個別ケースとは何て贅沢なw
同意です、永遠の十代でいたいww

トキメかされましたか、詐欺ですね(笑)しかしなんやかんやレイジに縁があるようでww
めでたく、ってwwリマさんが楽しそうで何よりですww

自分もそんな感じですよー(^ω^;)確実に一般人じゃないけど、オタクからしたらにわか、みたいな。
結構周りにそう言う人いっぱいいますww

あー、多分あれかな?皆におじいちゃんって言われてる人(笑)
難しいところですねー(笑)でも自分は刀剣乱舞を応援します⬅
可愛いですよー。自分あと一ヶ月くらいしたら誕生日ですので、友人に島風の何か可愛いグッズをプレゼントでお願いしときましたw

そうか、ナディアさんに任せれば間違いないな(笑)
ツンデレこじらせた結果が家庭崩壊ww

お、良いじゃないですか!あの世でリトとヨハン再会させて和解させましょうよ⬅

んー、それなら…冥界とか黄泉国とか彼岸とか裁きの間とか…?そんくらいしか思い付きません(^^;

532ルドラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/28(土) 23:36:37
【ポセイドン邸】

「立て込んでる…?」

…とてもそんな風には見えないが。
あんたさっき暇をもて余すかの様に茶を飲もうとしてたじゃないか。
…と言いかけて、ルドラは止めた。
またボコられでもしたら堪ったものではない。
しかし…。

(会えないと言うか…、多分姫の方が僕に会いたくないと思うんだけどね…)

それにしても、見事な人選ミスだった。
彼女が一番発言力がありそうだったから頼んだのに、すっかり当てが外れてしまった。
かと言ってまた他の人間に頭を下げるのも癪だし…。

「もういい」

ルドラは諦めた様にそう一言。その場を空間跳躍しナディアの前から姿を消した。

533DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/05/28(土) 23:38:14
【十字界】

ジーナは相変わらず表立っては動かない気なのだろうか。
会話を区切って書物に目を移した彼女の傍ら、DDはフィアの言葉に頷いてみせた。

「フィア、アタシ思ったの…。今までアタシ達長老は独自の派閥を作って皆が皆、好き勝手に暮らしてきたわ。
中には派閥同士で争ったり、お互いを蹴落としあったり、それこそ他所のことなんて無関心だったり…。長老同士の接触も必要最低限で閉鎖的な状態が続いてきた…。
でもっ!そんなアタシ達だからこそ、今が力を合わせる時だと思うの!皆で協力してこの難題を解決させましょう!」

手始めに居場所が知れてるヴェントとマゼンダの所に行って、意見を聞いて来ようと話をまとめていた矢先、部屋の扉が音を立てて開いた。

「あれあれ〜?御二方もうお帰りですかぁ〜?
せっかくお紅茶淹れて来ましたのに〜」

間延びした声と共に入室してきたのは、トレイを手に抱えたラディックであった。
事件の後、彼はジーナの元で雑用をさせられていたらしい。

ラディックはニコニコしながら、二人に一礼した。

「フィアさんもDDさんもお久しぶりですぅ〜。
ルド坊っちゃんはお元気ですかぁ?」

「ええ、アタシ達とは途中で別行動になっちゃったけど、元気だったわよ。あと可愛かったわ〜」

そう応えたDDに対し、「そうですかぁ、良かったですよぉ〜」と言って、ラディックはジーナの方へ顔を向けた。
椅子に腰かけるジーナと目線を合わせる様に少し膝を屈め、掌を合わせて拝むような仕草を見せる。

「ジーナさん〜、そろそろ私も釈放させてくれませんかぁ〜?。坊っちゃんの元に行きたいんですよぉ。
あの方はは私がいないと何も出来ないダメダメな子なんですから〜。
ね?もう悪巧みもしませんからー、お願いしますぅ〜」

534リト他 ◆wxoyo3TVQU:2016/05/29(日) 17:57:29
【過去】

アブセルにとってリトの存在はとても大きいものらしい。
リトにとってもまた、言葉には表さずともアブセルによる影響は良い意味でとても大きいものだった。

言葉を発することの無かった彼が、話すようになった。
ずっと一人遊びばかりしていた彼が、トランプなどのゲームに興味を持つようになった。

リトの背に抱きつくアブセルには見えていないだろう。

"ずっと一緒"、そんな言葉を受けたリトが、照れくさそうに読んでいる本で顔を隠したのを。
"嬉しい""楽しい"、そんな感情をリトに教えたのは他でもない彼なのだ。

それは血のつながった姉達ですら成し遂げられなかった。友情とは、それだけ貴重なものなのだろう。

「・・・・・」

扉の隙間から、二人の様子を見つめる男が一人いた。
その眼光に傍にいた使用人達は皆萎縮する。
「すぐに追い出す」と平謝りするアブセルの祖父に、「放っておけ」と男は冷たく答えた。

「あの子供は相当なバカらしい。いくら罰を与えようと懲りずにあれ(リト)と関わろうとする。躾など意味を持たん、馬鹿らしくなった。」

そう吐き捨てて、男---ヨハンは部屋を後にする。

アブセルを連れてきた事は果たして正解なのか、未だに判断はつかない。
リトと同じ年頃の男子がいると知り、リトの退屈凌ぎにでもなればと思い迎え入れた。
正直、アブセルがリトを外に連れ出した時は自分の判断を悔やんだ。あの結果、リトの存在が世間に知れてしまったのだ。
隠し通せると思っていた。隠したかった。
存在が公になってしまった以上、この屋敷内も安全ではない。リトが成長し闇が成熟すれば"奴ら"はリトを奪いに来る。
しかし外に逃がす事も出来ない。判断を誤り続けた結果、トーマを巻き込み死なせてしまった。自分があがけば足掻くほど、犠牲が増える。

リトは生まれてはならなかった。しかし、生まれついた赤子の息を止めるほど自分は卑劣になることは出来なかった。リト1人の命で一族が助かるのなら容易いものだと、いくら自分に言い聞かせようとしても無理だった。

そして今もまた、リトがアブセルを気に入っているのを目の当たりにし、彼の存在を黙認してしまった自分がいる。

あの子に家族を教え、友を与え、果たしてこの行動は正しいのだろうか。

リトの進む道には死が待つのみ。それなのに、生への希望を持たせて良いのだろうか。

分からない。

何が最善の道なのだろうか。自分はこれからもずっと悩み続けるだろう。


【せっかくなのでヨハンの心情も絡めて締めさせてもらいました(ˊᗜˋ*)

こちらこそ、過去話にお付き合いいただきありがとうございました(●´ω`●)】

535アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/04(土) 23:26:16
【東南地域、龍穴遺跡】

鈍い衝撃音を耳に、アグルは相手の視線を真っ向から受け止める。再び手に槍を構え直した。

「…そうみたいだな」

レックスのことも気がかりだが、今は他人のことに構っている余裕はない。

しかし不可解なのは先の挟撃の際や、レックスとの応戦で見せた、彼女の瞬間移動のような攻撃手段。
単純に周りからは視認できぬ程の速さで動いているのか、それとも何か秘密が隠されているのか…。
まずはそれを暴かなければ勝機はないだろう。

(見極めてやる…)

刹那、夥しい数の雷槍が出現し、遺跡内部の空間をびっしりと埋め尽くした。
妖しい輝きを放つ、何千、何万という槍の切っ先がラセツを標的に狙いを定める。
そしてそれらは、完全に彼女の退路を遮断する形で、アグルの号令の元、風切り音を置き去りにその場から一斉に射出された。

536アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/04(土) 23:28:45
【ポセイドン邸】

話なんていつでも出来るだろ。と、いつもの調子で言い返しかけ、アブセルはふと思い直した。

「…悪かったよ」

そして何を思ったか、素っ気なくも謝罪の言葉を述べる。

「でもお前もどっか行くんなら一声くらいかけてから行けよな。無駄に探しちゃったじゃん」

どうもセナとノワールはお互い面識があるらしい。
そのことは今までのリトに対するノワールの言動や、彼女の故郷で意図せずして小耳に挟んだ話などから何となく分かっていた。
ただそれらを踏まえた限り、二人はあまり良い間柄とは言えないようだ。

二人がどんな会話をしていたか、気にならないと言えば嘘になる。だが聞いてもどうせ彼女は教えてくれないだろうし、本人にも事情があるだろう。
アブセルもそれ以上は何も言わず、リマやセナに続いて踵を返した。
と、その直後。

「姫」

背後から声がした。
見ればどこから入り込んだのか見知らぬ少年がノワールの足元に跪いていた。

「その…、報告したいことがある。
分を弁えぬ行為で申し訳ないが、今だけは御身の前に参じる無礼を許してほしい」

そうして彼はノワールに何やら耳打ちする。
内容はナディアに語ったものとほぼ同じものだ。

「見たところ、姫は今この場所を動けないご様子。
姫に代わって僕が子の捜索を行うことも可能だが…、如何しよう?」

全く気に入らないが、ノワールはリトと言う少年を主として置いているらしい。
そのリトが動けない現在、彼女自らが地に赴くのは難しいだろうと踏んでの発言だった。

537ジーナ ◆.q9WieYUok:2016/06/08(水) 00:44:07
【十字界】

確かにそうだ。
今こそ、今のこの状況だからこそ、一致団結するべきなのだろう。

フィアもまたDDの言葉に頷き、ヴェントとマゼンダの下へと空間跳躍しようとしたその時。
ポットとカップを乗せたトレーを片手に、知った顔……ラディックが姿を現した。

此方に一礼するその姿にフィアは小さく舌を打つ。
先にあった十字界での争乱、レオが命を落としたあの戦いの一因は彼にあるとフィアは今も思っているのだ。

膝を着き、拝むラディックにジーナは苦笑いを浮かべる。

「うーん、君の淹れる紅茶が飲めなくなるのは少し寂しいかな。
午後の一時は君の淹れる紅茶が無いとね?」

だが、その苦笑いもすぐに意地悪めいたモノに変わった。

「でも、ルドラの坊ちゃんが心配なのはわかるよ。
だけど今は非常時だ、彼の隣には君が居ないとね。」

そして、立ち上がったジーナはその意地悪めいた表情を浮かべる顔をラディックへ近づけ、続けた。

「ーーーーー」

その声は小さく、近くに居たフィアですら聞き取れない程。
しかし、もとよりジーナはラディックだけに聞こえる様に話しており、それを感じ取ったフィアは聞き返す様な真似もせず、話が終わるの待った。

「ーーーーーーと、言う訳さ。
言わば司法取引、交換条件だ。
坊ちゃまと合流してからでも、する前でも良い。
今さっきの“お遣い”きいてくれたら君を無罪放免にしよう。
どうかな?」

【お遣いとして適当に後々使えそうな伏線張っときます、内容はイスラさん自由にしてもらって大丈夫っす!】

538ラセツ ◆.q9WieYUok:2016/06/10(金) 16:54:18
【東南地域/龍穴遺跡】

アグルの号令の下、放たれるのは莫大な数の雷の槍。
遺跡を埋め尽くす程のソレからは、逃れる術は無いだろう。

ラセツは襲い来る雷槍の群れを一瞥し、フッ、と、笑った。

「眩しいな。」

それと同時に、雷槍が着弾。
轟音を撒き散らし、破壊の限りを尽くすその光は数刻の間止むことは無かった。

そして、遺跡内を破壊し尽くした後。
粉塵が止み、周囲の様子が見える用になった頃。

重厚な鎧の端々を焦がしながらも、ラセツがその姿を現した。
鎧は焦げ、身体の所々が黒ずんではいるものの、深刻なダメージを負っている様には見えない。

「今のは危なかった、選ぶべき未来が殆ど見えなかった。」

焦げた金髪を掻き上げ、ラセツはアグルへと視線を向ける。
アグルへと向けられた瞳は元の緑から虹色に変わっており、淡く輝いていた。

「不思議だろう?この、瞳は。」

その声はアグルの上空から。
落下と共に振り下ろした拳は僅かに目測を誤り、アグルの足元を砕いた。

砕け散り、舞い上がる破片に紛れるかの様に、ラセツはゆらりと立ち上がる。
その様子はひどくゆっくりにも見えた。

「黄龍が言っていた、私の眼はこの世の理から外れていると。

全てを見据える瞳は、ありとあらゆる可能性を、無限に分岐する未来を見据える。

私はその中から、一番良い道を進み続けてきた。」

そして、ゆっくりとした動きから反転。
破片が地に落ちるよりも速く、ラセツはアグルへと掌打を繰り出した。

「私には視える、貴方がどう動くのか。

私はどの未来を選べば良いのか。

貴方には見えるか?

私に打ち勝つ未来が!」

539DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/11(土) 20:16:04
【十字界】

ジーナから返ってきたのは了承の言葉だった。それに対しラディックはにまりと笑い頷いた。

「分かりました〜。お安いご用ですよぉ」

そうして居住いを正すと、まるで演目の終わりに見せる様な、恭しくそれでいて優雅な動作で礼を決める。

「ではでは〜、今までお世話になりました〜。
またお逢いできる日までご機嫌よう〜」

言い終わるや、彼の姿はその場から忽然と消え去った。
それを見届けたDDも「アタシ達もそろそろ行きましょう」とその場を後にする。

そして…、訪れたのは和風な概観をした立派な門扉の前。
マゼンダの屋敷だ。

使いの少年に、マゼンダに会わせてくれと伝える。
取り合えず客間に案内して貰い、暫し待つように言われた。

「それにしても…、ここは相変わらずね」

案内役の少年が部屋を出ていった後、DDは誰に言うでもなく口を開いた。

右を見ても、左を見ても、年少の男の子ばかり。
マゼンダの趣味が窺える。
可愛いものを愛でたい気持ちは解るが、流石に子どもに手を出そうとはDDだって考えない。



【ヤツキ>了解しました^^
お遣いの内容は本当に何でもいいんですか?
あ、それから戦闘レス遅くてすみません;
自分、戦闘描写苦手なので戦闘パートに突入すると途端に遅くなります(苦笑】

540フィア ◆.q9WieYUok:2016/06/14(火) 21:02:36
【十字界/マゼンダ邸】

一礼と共に消えるラディックと、彼が置いていった紅茶を味わうジーナ。
二人の間に交わされたやり取りも気になるが……

フィアはDDの言葉に頷き、彼と共にマゼンダ邸へと向かった。
そして、和風の門をくぐり抜けて客間へと歩を進め、屋敷の主を待つ。

「まぁ、人それぞれ好みがあるって事ね。」

DDの呟きに声を返し、フィアは続ける。

「DD、マゼンダとの話は任せて良いかしら?
私はちょっと馬が合わないと言うか、苦手なのよ……彼女が」

【何でも大丈夫ッス!それこそ希少
な紅茶を送ってくれとか些細なのでも良いですし、上手い具合に伏線としてどこか重要な局面で使ってくれても良いですしおすし!

了解すー、と俺も会話パート苦手ですのでww】

541リト他 ◆wxoyo3TVQU:2016/06/17(金) 14:14:52
【冥界】

あの時代で何が最善だったかなんて知らない。興味もない。
セナと言う男が本当はどんな人間で、四神が彼に何をして、どんな罪悪感を抱いているかなんてどうでもいい。
業?犠牲?元はと言えばセナが属していた組織が起こした惨劇ではないか。

・・・・・違う。こんなことが言いたいのではない。
サンディがあの時の四神の一人だったとしても、自分の胸のうちを明かすつもりなどなかった。
自分はどうして・・・・・

「・・・・・申し訳ございません。少し、席を外しますね?」

二人のやりとりを見ていた女性が不意に声をかけてくる。
そして、彼女が動き出して初めて気づいた。椅子に座っているものと思っていたが、彼女が座していたものは車椅子だった。アンヘルが手伝おうとしたが、大丈夫だと伝えて場を離れていく。

「始末するとかしないとか、凄く物騒。と言うか五体満足で生まれたクセして生まれたくなかったとか贅沢じゃない?」

リトが去りゆく女性を目で追っていることに気付き、すかさずアネスが口を挟む。

「あの人・・・・・」

「あぁ、母さまが行ったのは別にあんたの言葉が癪に触ったとか、そんなんじゃないと思うから安心していいよ。」

「・・・・・姉さま」

「私空気重いの嫌いなんだもん。あー、はい分かった分かったったら!」

アネスは放っておいたら憎まれ口を叩きかねない。アンヘルは姉を促し席を立たせる。

「私達がいたら話し辛いでしょ?事情は知らないけど、早いとこ自分たちで解決しなね。」

そう言ってアネスはアンヘルに連れられる形で席を離れていった。

「・・・・・」

場の空気を悪くした自覚はある。
悪くしたくてしているわけではない。のだが、気づいたらいつも憎まれ口をたたいている。

リトはサンディへ目を向ける。ほら、やはり沈んでいる。
こんな時はどうするんだっけ・・・・・

「・・・・・悪かったよ」

そう、リトはぶっきらぼうながらも謝罪の意を唱えた。
短い間であるがリマと接していていつの間にか身につけていたことがある。謝罪だ。
自分に非が認め、謝る。当たり前の事だが、リトには今まで出来なかった。
アブセルはいくらリトが冷たくしても嬉しそうにしているし、ナディアは腹を立てことすれいつの間にかケロッとしている。ヨノも笑顔で受け入れてくれる。今まで誰もリトに謝罪の機会を与えてこなかったのだ。だからリトは相手も傷つくのだと、そんな当たり前の事をイマイチ理解出来ていなかった。
しかしリマはどうだろう。自分の発言に一喜一憂する彼女はとても新鮮だった。感情が顔に出やすいため傷ついている時もすぐ分かる。

「あんたに言ったって仕方ないことだ。今の話は忘れて。」

542マゼンダ ◆wxoyo3TVQU:2016/06/17(金) 21:05:24
【マゼンダ邸】

「奇遇だね、私も同じだよ。」

時少なくして召使の少年に連れられたマゼンダが部屋に入って来た。彼女にしては早いお出ましだ。

「だけど私はあんたのこと苦手どころか、嫌いだね。」

フィアの言葉が耳に届いていたらしい。普段から来客を好まない彼女は、更に不機嫌そうな顔をしている。

「私は女が嫌いだ。特にノワールと、あの娘に肩入れするお硬い性格のあんたがね。」

マゼンダの趣味は相変わらずだが、最近"お遊び"の方は大人しくなったようだとヴェントが言っていた。あの時の失敗で懲りたのか、あの少年以上に気に入った容姿の者に会えないからか、理由は不明ながらも良い傾向ではある。

マゼンダは客人の向かいのソファに腰をおろすと、面倒くさそうに口を開いた。

「何の用だい。くだらない用件じゃないだろうね?話があるならさっさと語って帰んな。」

543アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/19(日) 12:43:45
【龍穴遺跡】

彼女の放つプレッシャーに、肌が粟立つ。
体感時間が妙にゆっくり感じるのは相手に圧倒されているせい?

掌打がくると途端に現実に引き戻されたような気がした。アグルはハッとし、咄嗟に腕を上げてガードするも、それは腕をすり抜けてそのまま鳩尾をついた。

息が止まる。気がつけば後方の壁まで吹き飛ばされていた。

これが彼女の言う、力だろうか…。
先程の、手がガードの下をすり抜けて見えたのは、恐らく目の錯覚。彼女は攻撃が通る最も適した軌道とタイミングで掌打を放ったのだ。

喉奥から何かが込み上げかけたが、アグルはそれをぐっと堪えた。槍を支えにゆっくりと身体を起こす。

「未来が見える、か…。そいつは凄ぇな。
スゲー便利で…、スゲー退屈な代物だ…」

くく、と口から乾いた笑いが溢れる。

人生ってのは、何が起こるか分からないから面白いんだろう。初めから答えが解りきってるゲームなんて俺はまっぴらだね。

…きっと兄貴だったらこう言っただろう。

「あんたに打ち勝つ未来…?そんなん知らねーよ。…だけど、これだけは言える」

ふとアグルは口を閉じ、静かに呼吸を整える。
じゃりっと靴と地面が擦れたような音が聞こえたかと思えば、次の瞬間、彼の姿は忽然とその場から消えていた。

「俺はここで死ぬつもりはない」

そして現れたのはラセツの目の前。ぐっと彼女に肉薄し、それに合わせて槍を突き出す。

今のアグルは脊髄に直接信号を送り、反射だけで筋肉を動かしていた。
それは情報伝達に脳を介さない分、先程までよりもずっと速い行動を可能にした。

しかし無論、初撃は避けられてしまうだろう。
彼女の回避方向を予測して、更にそこに雷撃を放つ。
アグルはラセツの動きの何手先も先読みして具現化させた六つの槍と、そして雷撃を自在に操り、電光石化の如く怒濤の連続攻撃を繰り出した。


【ヤツキ>分かりました〜、簡単なのじゃ味気ないので、もし出来たらストーリーに関わる何かを考えてみます^^】

544サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/19(日) 12:49:49
【冥界】

「わかった。忘れる」

リトからの謝罪の言葉を受けるや、サンディは俯けていた顔を上げ、パッと表情を明るくさせた。

「あたしの方こそごめんなさい。よく知りもしないのに偉そうなこと言って」

席を立たせた三人には悪いことをしてしまった。
サンディは気持ちを切り替える意味も含め、カップに手を伸ばし紅茶を一口。…おいしい。
霊体になっても味が分かるなんて不思議だ。

「何かびっくりだよね。死んだ後もこうやってお茶呑んだり、お喋りしたりできるなんてさ。
あ、でも正確にはまだ死んでないんだっけ?幽体離脱って言うか?これが噂の臨死体験…!?みたいな!
リト君もそうなんでしょ?」

こんな状況にも関わらずサンディの口調は極めて明るい。
それどころか現状を楽しんでさえいるように見える。そしてお喋りな彼女の口は、油を挿した後の車輪並みによく回る。

「あたしもね、元いた世界に帰らなきゃって思うんだけど、正直言うと、このまま死んでもいいかなーって気持ちもあるんだ」

言いながら彼女はカップの縁を指でなぞる。紅茶の表面が緩やかに乱れ、そこに映り込む少女の影も合わせて揺れた。

「あの世にはお父さんとお母さんがいるから。二人に逢えると思うと死ぬのは全然怖くないの」

ふふふ、と笑う仕草は冗談ではなく、本当に嬉しそうだ。
そうしているかと思えば、今度は「でも」と言って、不意に視線をリトに預けた。

「リト君にはあたしと違って、心配してくれてる人も帰りを待ってくれてる人もいるの知ってるから。
だからさっきはつい"早く帰れ"なんて言っちゃった。ごめんね」

ナディアは態度には出さないが、ずっとリトのことを気にかけていた様だ。
リトの側に引っ付いていた男の子なんて、まるで世界が滅亡したかのような顔をして落ち込んでいた。
きっとその二人の他にも、彼にはまだ彼の帰りを待ち望んでいる人がいるはずだ。


【リマ>感動的な文章で締めていただきありがとうございました。
ショタリト可愛いよ!(*≧з≦)ショタリト!

しかし過去話やって思ったけど
アブセルの本命、ナディアでもおかしくなかったな、とか思いました。屋敷に来てからは初めて、自分の存在を言葉にして肯定してくれた人ですから。

まぁ今はリマにホの字な感じなんで、もう遅いんだけどww】

545ラセツ ◆.q9WieYUok:2016/06/21(火) 16:51:17
【東南地域/龍穴遺跡】

人生とは、選択する事の連続だ。
無限に枝分かれする選択肢から何をどの様に選ぶのか。

それが果たして正解なのか、不正解なのか。
目には見えない選択肢、未来とは未だ来ないモノ。

もしそれが、目で見えたのなら。
多くの人が、自分にとって最善の未来を選ぼうとするのだろう。

しかし、数多ある選択肢から一つを、大海から一粒の砂を探す事は難しく。
選ぶ以前に、無限なる選択肢が持つ情報量を脳が識別処理出来いのだ。

ただの人間が、ラセツと同じ瞳を持とうとも、彼女と同じ様に振る舞う事は出来ない。

「つまらないか。
確かにそうかも知れない。」

超高速の刺突から続く怒濤の連続攻撃は、その一撃一撃が凄まじい威力を秘めていた。
六本の槍と迸る雷光は、先程の雷撃を遥かに上回っており、アグルの気迫が感じられる。

それら全てを、ラセツは捌いていく。
受け流し、回避し、時には防御し、身に纏っていた重厚な鎧が原型の殆どを失った頃。

「だけど、泥沼に足を踏み入れる事が最善の選択肢だったりするんだ。」

先代のトールから受け継がれた槍の一撃をラセツは左腕を犠牲にして防ぎ、言った。

「戦う相手が強ければ強い程、最善の一手は見えにくくなる。
久し振りだよ、こんな怪我をしたのは。」

槍の穂先に貫かれた左腕から流れる朱を一舐めし、ラセツは笑った。
気付けば足元は濡れており、辺りからは滾々と水が溢れ出している。

どうやら激しい攻撃の余波で遺跡最深部の壁や床に罅が入り、遺跡側を流れる河水と地下水が流れ込んでいる様だ。
刻々と水量は増し、水嵩もそれに比例している。

546 ◆.q9WieYUok:2016/06/21(火) 16:52:51
唇を血の朱で染め、ラセツは辺りを見渡す。

「水没するまで余り時間は無さそうだ。
溺死したくなければ戻った方が良い。」

そして、再び虹瞳をアグルへ向け、槍に貫かれた左腕を一閃。
槍ごとアグルを弾き、浮かべる笑みを更に深くする。

「と言っても、戻らないのはわかってる……だから。
貴方の強さに敬意を表して、全力でいくわ。」

それと同時に、大気を歪める程の闘気が彼女を包み込む。
煌々と、そして猛々しく揺れる闘気を纏い、ラセツは再び掌打を、直撃すれば人間など木っ端微塵になる威力を持った一撃を繰り出した。

しかしその一撃がアグルを爆砕する事は叶わず。
掌打を受けた圧縮された空気の塊が弾け、突風が二人の……三人の周囲に吹き荒れた。

「初手でKOされてスミマセン……と、冗談を言う場合では無さそうですね。
アグル、僕が援護します。
全力でいきましょう!」

ラセツとアグルの間に割って入ったレックスは、吹き荒れる突風に髪を靡かせ、力強く、そう言った。

547ノワール ◆wxoyo3TVQU:2016/06/26(日) 19:28:28
【ポセイドン邸】

「そなたが何故ここに?」

目の前に参じた少年に驚くも、彼からそれ以上に驚くべき事実を伝えられたノワールは目を見開く。

「あの子が・・・・・」

生きていた。愛しい我が子。
生まれて間もなく引き離された、抱くことも乳をやることも叶わなかったあの子が。
しかし、伝え聞いた事態はとても喜ばしいものではなく。

閻魔に施された術により、ノワールはリトの側を一定以上に離れることが出来ない。リトが目覚めない今、ノワールはこの場を離れられないのだ。そして、たとえ離れられたとしても力を封じられ唯の小娘に過ぎない自分一人で救い出せるとも思えなかった。

ノワールは歯噛みし、目の前の少年を見据えた。

「そなたを行かせ、運良く探し出せたとする。じゃが、その後はどうする?そなただけで救い出せるのか?申してみよ。」

548リト ◆wxoyo3TVQU:2016/06/26(日) 21:10:46
【冥界】

少女は実に単純な作りをしているらしい。先程まで落ち込んでいたのが嘘のように、たった一言でコロッと表情を変えた。
自分で言った立場でなんだが、忘れろと言われて簡単に忘れられるものなのだろうか。

「嬉しそうだな」

楽しそうにつらつらと言葉を並べる彼女を、リトは面倒くさそうに頬杖を付きながら眺めた。
この感覚は懐かしい。お喋りな女・・・・・身近にもいた気がする。

(あぁ・・・・・)

リトの脳裏に二人の少女が浮かんだ。小さな体で態度のデカイ黒髪の少女と、そんな子供と同等に渡り合えてしまう知能レベルを持った銀色の髪の少女。二人は物珍しそうに世界を見て、その日あったことを嬉しそうに話してきた。二人同時に話すもんだから何を言ってるのか分からなくて、こっちは疲弊してるのにそんな状態に何故か嫉妬したアブセルが二人に張り合って割り込んでくる。騒がしい旅だった。

(けど・・・・・)

退屈はしなかった。
ノワールもユニも今はどうしてるだろう。アブセルに連れ戻された際、二人は邸についてきていないようだった。
リマと一緒だろうか?なら問題ないだろうが・・・・・二人は放っておくと何をするかわからないから。

「あんた、両親のこと好き?」

嬉しそうに両親の話をするサンディにリトはふと疑問を投げる。
彼女の口ぶりからは両親に愛されていたことが分かる。

「俺は好きかどうかも分からない。生きているのに、どっちも存在していないようなものだったから。」

母に拒絶され、父に冷遇されていた。両親と言う認識はあるものの、二人に対して何の感情もない。そう言えば、憎しみも恨みもないのは不思議だ。

「あんた、別に天涯孤独ってわけじゃないんだろ?人から嫌われるような性格でもないみたいだし。あんたこそ、誰かしら帰りを待ってるんじゃないの?変なこと言ってないでさっさと帰れば。」

549リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/06/26(日) 21:21:42
イスラ>>
ショタリトは自分の好みを最大限に詰め込みました(笑)
一人称が自分の名前とか、今のリトが知ったら恥ずかしさのあまり死んでしまうかも(笑)

たしかに!まぁナディアは女として魅力ないから惚れるとか難しいでしょうね(笑)】

550ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/07/01(金) 23:49:10
【こっちに来て二周年か、おめっとさんです!】

551イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:07:26
【砂漠地帯、龍穴遺跡】

目を眩ませんばかりの光に、イスラは思わず腕を上げ顔を庇う。

(これは…っ!?)

直後、ヴィカルトの剣から大量の光が噴出した。
莫大な熱量と殺傷力を秘めたそれが、一直線に襲いかかってくる。

イスラは咄嗟にアマテラスの神器の一つ、宝鏡を生成する。
鏡面に触れた光線は鏡を蒸発させると共に別の方向へ屈折し、着弾した遺跡の壁と地面を粉砕し、溶解させた。

だが、それを持ってしても全ての光を逸らすことは叶わなかった。屈折しきれなかったものがイスラの片翼を穿つ。
痛みはないが再び飛べる様になるには少し時間がかかりそうだ。
そして、いくら炎で結晶を溶かそうと、こう反射させられては堪らない。

イスラは神刀、月読に手を伸ばす。

「…剣技、桜花爛漫」

抜刀するや、桜の花弁にも似た結晶の粒が一面に舞い上がった。まるで吹雪の中に迷いこんだかの様に花弁が視界を埋め尽くす。
そして…。

「メイヤ、大丈夫か?」

その隙に、イスラはメイヤを救出した。

もしかすると、今がヴィカルトに不意を与えられる絶好の機会だったのかもしれない。しかし彼の性格上、仲間を後回しには出来なかったようだ。

552アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:10:09
【ポセイドン邸】

「正直なところ…必ず救い出す、と断言することは出来ない。
なにせ相手はそうとうヤバい奴等らしいから」

黄竜という連中達の戦力は未知数だが、少なくとも大陸一つを消し飛ばす程の力を持っていることは間違いない。
ルドラは言葉を続ける。

「でも出来得る限りの手は尽くすつもりだ。それこそ身命を賭す覚悟だってある。
そもそも元を辿ればこんなことになった原因の一部は僕にある。
こんなことで罪滅ぼしが出来るとは思わないが、過去、君に冒した罪の償いをさせて欲しい」

恐らくそれは本心からの言葉なのであろう。
そう語る彼の眼は真っ直ぐとしたもので、嘘偽りの匂いは感じられない。

ルドラはノワールの返事を待ったが、しかしそれよりも前に、別の何者かの声が場に割って入ってきた。

「私も参りましょう」

傍らの茂みがガサガサと揺れ、草かげから男が姿を現した。服に着いた葉っぱを払いながら、彼…ジュノスは微笑を浮かべる。

「話は聞かせて頂きました。
微力ながら、私もお力添え致します」

それを見たアブセルは、思わず半歩引き驚きの声を上げる。

「おっさん居たのかよ…。つかどっから出てきてんだ!もしかしてそこでずっと盗み聞きしてたのか!?」

「もちろん!そこの吸血鬼とセナ様を二人きりにさせるなど不安でしかありませんからね。
彼女が余計なことを口走らないように見張っておりました」

「…………。(完全に変質者じゃねえか…)」

それはさておき…と、ジュノスは視線を動かす。
ナディアの元に戻るのであろう、並んで歩くセナとリマはこちらの存在には気づいていないようだ。二人の後ろ姿を何か眩しいものでも見るかの眺め、ジュノスはノワールに言った。

「安心してください。保護したのち、子供をどうこうしようなど考えていませんから。
子の捜索を引き受けていた手前、そろそろそれらしい働きを見せておかなければと思っただけです。
それに…」

それに、今では一応自分も一児の親だ。
こう言ってはなんだが、ノワールの気持ちも分からなくもない。

しかし唯一の気がかりは、セナとリマ、そしてノワールを残して出かけることだが…。…そこはまあ、何かしらの手を打って置くことにしよう。

553サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:12:48
【冥界】

「うん!大好きだよ」

両親のことを聞かれれば、サンディは大きく頷いた。

「あたし一人っ子でね、家もお客さんなんて滅多に訪ねて来ないような山の中にあったから、小さい頃は両親以外の人と接する機会ってあまりなかったんだよね」

今思えば、あれはわざと人目を避けて暮らしていたように思う。両親は知っていたのだ。いつか自分達の身に危険が及ぶことを。

「それでもあたしはその生活を嫌だと思ったことなんてなかった。
お父さんはあたしに剣を教えてくれたし、お母さんは落ち着きのないあたしが怪我をしないようにずっと側で見守っていていてくれた。
夜祭りの日は皆で里に降りて、花火みたり出店で金魚すくいしたりするの。星がよく見える時期はもっと山の上の方に登って、三人で並んで空を見上げながら色んなお話をして…、他にもいっぱい、いっぱい…」

懐かしい。
二人とも子どもの立場から見ても親バカだった。優しくて温かくて…。出来ることならあの頃に戻りたい。

「もしあたしが死んだとして…、多分、悲しんでくれる人はいるとは思う…。
でも、どうせみんな直ぐに忘れちゃうよ」

今更ながら、自分には特別に親しくしてきた人などいなかったことに気づく。
両親が死んでからは親戚だという家庭に引き取られたが、そこはあまり居心地がいいと言える場所ではなかった。
暫く一緒に旅をしてきたナディア達にしたって、出会って数ヵ月と短い付き合いだ。

一時的に悲しんではくれても、きっと直ぐに各々の生活に追われ、自分のことなど思い返しもしなくなるだろう。

「皆が必要としてるのはアマテラスの力であって、きっとあたし個人じゃないんだよね。それに…」

言いかけてサンディは口を閉じた。
目の前の、見えない何かを振り払うかの様に、手をブンブンと振る。

「…って、やめやめ!暗くなっちゃうね。
ねぇ、リト君のことも聞かせてよ。さっきからあたしばっか喋ってる」

554サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:14:46
遅くなりすみませんでした;
二周年おめでとうございます!

555メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/08/04(木) 23:46:03
【砂漠地帯/龍穴遺跡】

発射点である剣を蒸発させながらも放たれるその光条は、天照の宝鏡をもってしても防ぎ切る事は叶わず。
イスラの片翼を吹き飛ばし、遺跡の壁面に大穴を開けた様子から見るに、直撃すれば影すら残らなかっただろう。

イスラの技、煌めく結晶の桜吹雪に紛れ救出されたメイヤは、彼の言葉に何とか頷いた。
風魔装束のおかげで即死と致命傷は免れたものの、裂傷は多い。

鎧に宿る治癒能力で多少は塞がってきているものの……

「死にはしなかった……けど」

直ぐには動けない、と続ける事は出来ない。
何しろ、ヴィカルトはまだ攻めに転じていないのだ。

先程までの戦いは全て、此方側から仕掛けたもの。
二人の連携を、そして白焔を凌いでの反撃だけでこれ程とは……

メイヤは無理矢理身体を動かし、剣を握る。
僅かに震える切っ先をヴィカルトへ。

(足手まといだな、これじゃあ……)

メイヤの戦闘力は、闇の力を失ってから数段下がっていた。
闇による攻撃力と再生力を武器にした、防御を省みない極端な攻め方はもう出来ない。

思えば今の一瞬も、イスラに取ってヴィカルトへ攻撃を仕掛ける最大のチャンスだった筈だ。
剣を向けながら、メイヤは唇を噛む。

闇の力があれば、いや、自分がもっと強ければ。
オンクーとの戦いは、相討ちであったが実質的には自分の負けであった。

(もっと力があれば、サンディを守れたかもしれないのに……もっと、もっと!)

今まで、力を渇望する事などなかった。
ましてやそれが誰かの為、誰かを想ってなどなかった。

だからこそ、今この胸に渦巻く感情が重く、辛い。
それは心身共に蝕んでいく毒の様にも感じられた。

556メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/08/04(木) 23:48:22
「……俺が囮になる。」

唇を噛み、剣を掲げるメイヤは声を絞り出す。
隣のイスラからは角度的に見えないだろうが、その表情は硬く、悲壮感が浮かんでいた。

「決定打が打てるのはイスラだ、だから……後は頼む!」

その表情を変えないまま、メイヤはヴィカルトへと駆け出していく。
それは地を這う蛇の如く、ヴィカルトを刃の射程圏に捉え、メイヤは下方からの斬り上げを放つ。

更に、斬り上げを起点にメイヤは連続して斬撃を繰り出していく。
しかしながらその全てをヴィカルトは受け止め、流し、反撃の一閃がメイヤの胸元を大きく切り裂いた。

だが、メイヤは止まらない。
水晶の刃を振り切ったヴィカルトへ長方形の箱……折り畳まれた巨大手裏剣を押し付け、展開。

「う、ぉぉぉおおおお!」

四方に広がる刃がヴィカルトの首筋、腹部、両肩を切り裂く。
更に、押し付けた手裏剣を捻り、メイヤは傷口を抉っていく。

そして、ヴィカルトの身体を抉る手裏剣を横薙し、投げ捨てたと同時に真白の剣を前方へ。
予想外の反撃、攻撃にヴィカルトは驚きの色を目に宿すが、迫る真白の剣に笑みを浮かべた。

「死ぬ気か、中々やる!」

同時に、抉られた傷口から水晶が噴出。
傷口を炭素繊維で塞ぎながら、噴出する煌めきが文字通り、前方のメイヤを削っていく。

そして、噴出する死の輝きが剣の型を成し、メイヤの突き出した真白の剣へと衝突。
一瞬の拮抗の後、水晶の剣がメイヤの左胸を大きく穿つ。

しかし、メイヤ持つ真白の剣もヴィカルトの左肩を貫き、更に。
取り出した二本目の長方形の箱を展開、瞬時に広がる手裏剣で、自分とヴィカルトの足先を突き刺し、地面に縫い付けた。

「今だ、イスラ!!」


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