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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

65流離う翼たち・431:2004/03/13(土) 21:23
 マドラスにたどり着いたアークエンジェルは、基地のドックに入渠するなり早速修理が始められた。何しろヨーロッパでは完全な修理を受ける事は出来なかったので、これが始めての本格的な修理と点検という事になる。考えなくても試作艦を整備無しで数ヶ月運用する事それ事態が間違っているのだが。
 入渠中の艦艇のクルーには当然の事ながら休暇が出される。普段は忙しくて仕方が無いマリューやナタルも、あんまり忙しくないフラガやキースも暫くは艦を追い出されて休暇を楽しむしかないのだ。

「ふう、困りましたね。私はどうしたら良いんでしょう?」

 ナタルに問われたマリューは荷物袋を担ぎながらナタルを見やった。

「どうしたらって、貴女は休暇をどうするのか考えてなかったの?」
「はい。てっきり艦の補修のチェックをやらされるとばかり考えていましたので」
「ここのドックは設備も人員も充実してるから、私たちの出番はほとんど無いわよ。時々回されてくる報告書に目を通すくらいで、私1人で楽に終わるわ」
「・・・・・・では、私はどうすれば?」
「街にでも出てショッピングでもしてこれば。どんなに不満でも一週間はやる事無いんだし」
「1人でですか?」

 困った顔で言うナタルに、マリューはニヤァと嫌らしい笑みを口元に浮かべ、表情を崩した。それを見たナタルがビクッと身体を引く。

「何言ってるのよナタルゥ? こういう時こそチャンスじゃないの」
「な、何のことです?」
「惚けちゃって。キース大尉に決まってるじゃない」

 ニヤニヤ笑いを浮かべて近付いてくるマリューに、ナタルはじりじりと後ずさった。何と言うか、表情が追い詰められた小動物のように引き攣っている。対するマリューはもう面白くて仕方ないと言いたげに緩みまくっていた。

「チャンスよ。ここで一気に勝負に出なさい」
「ななななん、何の勝負です!?」
「分かってるくせに。いい、ポイントは如何に男をその気にさせるかよ。少佐と違って大尉はちょっと枯れてるから、うまくムードを作って誘導するか、露骨にアピールするかのぢちらを選ぶかが問題だけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 マリュー御姐さんの為になるデートの決め手講座を、いつの間にかナタルは神妙な顔で聞き入っていた。だが、それが些か熟練というか、男を扱うのに慣れたマリューから出たものだという点に問題があり、マリューには当たり前のことでもナタルには顔から湯気が出そうなほどに刺激的なアドバイスばかりであった。

「じゃあ、頑張りなさいよ、ナタル」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ポンとナタルの方を叩いてマリューはアークエンジェルから出て行く。残されたナタルは顔を真っ赤にして本当に頭から湯気を出してそうなくらいにのぼせていた。

66流離う翼たち・作者:2004/03/13(土) 21:34
>> 過去の傷
ミリィさんは本当に病院に入れる必要がありそうですな。キラの苦労はどんどん増えて
フレイ様とカガリは、まさか百合w?

>> 散った花、実る果実
ミリアリア嬢は今回出てきませんでしたか。
クルーゼの甘言に踊らされてはいけないぞ、フレイ様

>> ザフト・赤毛の虜囚
はうう、泥沼だ、火曜サスペンス劇場だ
人は何時も過ちを繰り返すのでしょうか・・・・・・

67The Last War・13:2004/03/13(土) 23:03
「そうだ。この機体はかつて、パトリック・ザラがジェネシスの『番人』として準備していたもの・・・」

 ジェネシス。その名を聞き、キラの中で悲惨な記憶が甦った。それはかつての大戦末期、たった一撃で地球軍主力艦隊を、そして月面の大西洋連邦軍本部基地を灼き払った禁断の兵器。そのことを思い出すこと自体、彼には悲痛さを伴うものであった。

「・・・だが結局、ボアズへの核攻撃が原因で計画は凍結され、開発中だった機体そのものは解体され登録を抹消された筈だ!にも関わらず、何故貴様等がその機体を?!」
「これは彼が遺してくれたデータを元に、我々が手を加えて生み出したものだ。貴様の知っているデータなど何の役にも立たんぞ、アスラン・ザラ?」
「・・・『彼』?」
「そう・・・、私の、たった一人の友だった男のことだよ」

 『友』、その意外な言葉を前に、キラとアスランの二人は呆然とした。この冷酷非情な男にも、そのような存在がいたなど、考える方が難しいだろう。そんな二人の様子を知ってか知らずしてか、アレクセイは語り始めた。

「・・・彼と出会ったのは、私がまだプラントにいた頃。その時、彼は私に色々なことを教えてくれた。特に人の愚かさ、そして今あるこの世界の無意味さをな・・・。キラ・ヤマト、アスラン・ザラ、貴様達のことも彼から聞かされていた・・・」
「!!」
(まさか・・・!?)

 その瞬間、二人の脳裏に一人の男の顔と名前が浮かび上がった。

「彼は、誰よりもそんな堕落した世界のことを憂れいていた。それを救済することだけが、彼の望みだった。だが結局、彼はその望みを叶えることは出来なかった・・・」
「・・・・・・」
「・・・しかし、彼の夢はまだ終わっていない!彼は私に、その役目を委ねたのだ!」
「・・・黙れ」

 突然、アスランが口を挟んだ。その荒い声には、明確な敵意が込められている。

「その男に何を吹きこまれたかなどに興味は無い。だが、貴様のしようとしていることだけは分かる・・・!」
「・・・ほう。ならば、どうする?」
「これ以上、貴様達を野晒しには出来ない!貴様が隊長・・・、いや、ラウ・ル・クルーゼの怨念に取り憑かれているというなら、尚更だ!!」
「フフッ・・・、そうだ、それで良い!我が首、挙げてみせろ!!」

 相手にそう告げると、アスランはキラに向き直った。事実を明かされたためか、彼は項垂れる様にシートに座っていた。

「・・・キラ、俺は奴を倒す。もう他に方法は無いからな」
「・・・アスラン、僕のしたことは、やっぱり無意味だったのかな?」
「!キラ、お前・・・」

 その時のキラは、今にも消えて無くなりそうなほどに沈んでいた。そんな様子の彼を励ますように、アスランは彼に語りかけた。

「・・・いや、お前のしたことは間違っていない。だからこそ、俺は奴らが許せない・・・」
「アスラン・・・、有難う・・・」

 しかし、キラの表情は未だ沈痛な面持ちのままで、それが変わることは無かった。

(・・・そう、お前はお前のままで良い。業を背負うのは、俺だけでいいんだ・・・!)

 この時、アスランは一つの決意を固めていた。

68過去の傷・78:2004/03/13(土) 23:05
通路を歩いていたキラは。
「あ、サイ」
「キラ」
そうだ・・・。
「あの・・・サイそのミリィのことでちょっと・・・」
事情を説明した。
「そうか・・・そういうことなら今日も中止だな、じゃあミリィは俺にまかせろ」
「うん、ありがとう」
そんな時だった。
「あら、お二人方どうなさいましたの?」
「あ、ラクスさんこんにちは」
「あ、こんにちは」
「キラ様にサイさんこんにちは」
キラは彼女しかないと思った、キラは話をきりだした。
「あの・・・ラクスさんに頼みたいことがあるんですけど」
事情を説明した。
「そういうことですの、分かりましたわ、私の歌でよければ・・・」
「はい、ラクスさんの歌ならミリィも落ち着くと思うんですよ、ですから・・・お願いします」

その夜のことである。
キラとフレイの部屋では。
「ええ、ばっちり覚えたわ、私才能あるかもしれないわ」
「そう・・・でもカガリがねえ・・・そうだ」
「キラ?」
「明日からは僕が君に教えよう」
「え!?キラが教えてくれるの!?やった!」
「う、うん・・・さっそくだけど明日は実戦練習にするよ、カガリとモビルス−ツ戦をやってもらう」
「ええ、分かったわ」
「でも・・・実をいうと僕は君にはモビルス−ツの操縦はしてほしくない・・・だから明日もできるだけ練習時間の少なくする」
「キラ・・・分かったわ・・・・ねえキラ」
「なに?」
「話しない?」
「話?」
「うん、ほらア−クエンジェルにいた頃の私達ってろくにちゃんとした話なんてしたことなかったじゃない・・・傷つけ合うばかりで・・・私もそう・・・復讐のことで頭がいっぱいだった、キラは戦って死ぬのってずっと思ってた、そのために貴方に女として接近したわ、貴方を誘惑した・・・いろんなことがあった・・・貴方の好意に対して同情だと思い込んで貴方に罵声を浴びせた・・・でもいまは違うわ・・・貴方も分かってると思うけど、それで貴方のことが知りたいの・・・ゆっくりこうして二人で話したかったの」
「フレイ・・・」
そう、私はキラとゆっくりこうして目と目を向き合って正面から話がしたかったの、それが私の望みでもあったの・・・ごめんねキラ、ほんとの貴方を見ようとしないで、悲しませて・・・傷つけて・・・ごめんね、キラは私の行為に対して全て許してくれた・・・だからこれからはキラの彼女として、恋人として、そしてキラの人生のパ−トナ−としてこれからもうんとやさしくしてあげよう・・・パパ、私この人に決めたわ、キラと将来結婚するわ、私キラが好きで好きでたまらないの、キラに決めたわ。
「うん、そうだね・・・僕も君とゆっくりこうして話がしたかった・・・僕の思い出について話すね」
キラは話した、名前が出さなかったがアスランとの幼少時代について話した、フレイは黙って話を聞いていた、一時間程話した、ア−クエンジェルの頃の二人では考えられないことだっただろう、いまの二人がほんとうの恋人というものだろう。
「そうなの・・・大事な友達なのね」
「うん、トリィも彼が作ってくれたものなんだ、僕にとっては一番の友達なんだ」
「そう、あら、もうこんな時間ね、キラ寝ましょ」
「うん」
キラとフレイは同じベッドで同じシ−ツの中に入る。
「キラ・・・おやすみ」
「うん、フレイ・・・おやすみ」
二人は眠りについた。

69過去の傷・作者:2004/03/13(土) 23:25
>>散った花 実る果実
クル−ゼ隊長の言葉に飲み込まれないようにしてくださいねフレイ様。
フレイ様頑張れ。
>>ザフト・赤毛の捕囚
この恋愛劇にはなにがあるんだ?まあ・・・これを元にした人達は誰だか想像できますが。
そして次からはフレイ様ですね、頑張ってください、いつも面白くて早く読むのが楽しみです。
>>翼たち
なんという、マリュ−さん機嫌いいですね、そしてナタルさんにアドバイス、頬が赤くなったナタルさんはやっぱりいいですね、ナタルさんがどういった行動を起こすのか楽しみです。
>>The Last War
この男は・・・まさかあの人とも知り合いだったとは。
アスランが怒っている、決意・・・だいたいは分かります。
不穏な空気が。

70The Last War・作者:2004/03/13(土) 23:29
 アプカリプスのイメージはクロスボーンのディビニダドみたいな非人型の機体です。
 
》赤毛の虜囚
 アル・ダ・フラガは酷い奴ですね。メルデルさんだけでなく、ムウさんも幼い頃苦労したんでしょう。
 それに比べるとユーレンは良い人に思えますが、そんな彼が後に何故あんなことをしてしまったのか、気になります。
 次回のフレイ様サイドに期待させて頂きます。

》過去の傷
 ミ、ミリィが大変なことに・・・。取り敢えずトールは無理でも、ディアッカを無理矢理にでも引っ張ってきた方が良いのではw?
 フレイ様とカガリが仲良しになってきてますが、ここまでくると別の意味で怪しいですねw。

》散った花、実る果実
 今更ですがクルーゼ・・・、そこまで優しくしておいて何故あんなことを・・・(涙)。役に立つとか言ってますが、メンデルでの場面はいつ頃になるんでしょうか?

》流離う翼たち
 今回のナタルさん、可愛かったですね。キラに対してはまるで姉のような接し方でしたし。
 次回は久々に休暇ですか。今回はどんなことが起こるんでしょうか?楽しみです。

71ザフト・赤毛の虜囚 30:2004/03/14(日) 07:40
6.継承 9/12
[私に一杯染み込ませて]

「キラ、私達、間違ってなんか無い…」
「ああ、そうだねフレイ、僕は君のこと………」

(とても幸せ……)
私は夢を見ていた。

ブリーフィング・ルームのような部屋の椅子で、私は長い眠りから目を覚ました。
まだ、夢の余韻で、頭がぼうっとしている。夢の内容は思い出せない。でも、心には、
その残り香がある。キラと見つめ合った時のことだったかもしれない。私は、しばし、
それを慈しむように反芻する。

(もっとして。一杯して。私に一杯染み込ませて)

あれ、私、こんなこと考えてたっけ?
どうして、分からないの? 自分のことなのに……

キラとのこと、最初は無我夢中だった。考えもしなかった。痛みだけを感じていた。
これが復讐なのだと思っていた。

途中、月のものがあって、それから避妊を意識しだした。でも、戦艦の中、孤立している私には、
どうしたらいいのか分からなかった。そんな時、キラもフラガ少佐に言われたらしくて、
避妊に協力してくれることになった。

でも、それから、私達は欲望に溺れて……
避妊のために、いろいろして…… かえって、エスカレートして……
マリューさんからピルと避妊具をもらったのは、キラがオーブに仕事に行った後だった。
もっと、早くもらっておけば……

キラが私を最後に抱いたのは、オーブに仕事に行く日の前日。キラを一杯、私の中に染み込ませた。
それが、キラとの最後。お姫様の奇麗なドレスを着たカガリに嫉妬して、私の方からキラを
満足させたくて、それができなくて、翌日、私はキラに懇願したのだ。キラを力一杯抱きしめて……

あれから数えると、もう一ヶ月も過ぎている。夜ごとに、私を悩ませた体の渇きも、いつのまにか、
すっかり納まっている。キラの体の感覚は、ずいぶん遠くなってしまった。今は、時折、思い出される
記憶のみがキラの体を呼び起こさせる。私は、また、夢の余韻にすがるように想いを馳せた。

72ザフト・赤毛の虜囚 31:2004/03/14(日) 07:44
6.継承 10/12
[ここは君専用の観覧室だ。堪能してくれたまえ]

一人想いにふける私。やがて、ドアの開く音がした。入ってきたのはクルーゼだった。
私は、また上着から銃を取り出して構えた。銃を持つ手は、やはり震えている。今までと同様、結局、
撃てないのは分かっている。それでも、何も無い無防備な姿を晒すよりは心が休まった。

相変わらず、クルーゼは銃を向けているのを、意識していないかのように話しかける。
「戦争が始まるよ。見たいかね」

クルーゼは、私の意思を聞くまでもなく、モニタのスイッチを付けた。いくつかあるモニタに、
戦場を写す各所のカメラからの映像を映しだした。

「司令部は別の場所にある。ここは君専用の観覧室だ。堪能してくれたまえ」
「なんで私を……」

私は困惑した表情でクルーゼに問いかける。銃は相変わらず震えている。

「世界がどうなっているのか。私が何をやっているのか君に知ってもらおうと思ってね」
クルーゼは、モニタを示した。

やがて、戦争が始まった。モニタの映像は次々と自動的に切り替わりながら、戦いの様子を
映し出して行く。

──海から現れたずんぐりしたモビルスーツがミサイルを打ち出し、船を次々に沈めて行く。
──羽根を持つモビルスーツが次々と戦闘機を打ち落とし、地上の砲台をつぶして行く。
──宇宙から降りて来たらしい降下ポッドが飛び散り、中からモビルスーツが現れる。
   それらは次々と銃を打ち、戦車をつぶし、施設を破壊して行く。

だけど、それらのモビルスーツも無事とは限らない。

──海のモビルスーツの体に無数の穴が開き沈んで行く。
──羽根のモビルスーツも、地上から放たれた火線で手足を失い四散していく。
──降下ポッドから出てきたモビルスーツも、やがて多数の戦車に囲まれ地に倒れて行く。

というより、攻め込んだ、ほとんどのモビルスーツが最終的には倒されているように見えた。
なまじ人に似た姿をしていることで、その破壊される様は、とても残酷に見える。
私は、その恐ろしさに目を蓋った。

「どうだね。戦争を、こういう形で見るのは」
クルーゼは満足そうに話す。

「爆発するモビルスーツ、戦闘機、戦車の一つ一つの影で、どれだけの人命が失われるか、
 考えたことがあるかね。戦場では命など安いものだ。一瞬で失われる。それでも、
 母国のため大義のために人は戦い続けるのだ」

クルーゼは、私には構いもせず、一人、悦にいったように語り続けている。

「やめて! こんなこと」
私のクルーゼに向ける銃の動きがピタと止まった。クルーゼの心臓に向けられた。

73ザフト・赤毛の虜囚 32:2004/03/14(日) 07:48
6.継承 11/12
[そのために、一人の命を犠牲にしたというのに]

戦場で、次々に破損し、四散していくモビルスーツ。戦闘機。戦車。そして、死んで行く人。
それをモニタで見ながら語り続けるクルーゼ。

私のクルーゼに向けていた震える銃の動きが止まった。クルーゼの心臓に向けて。

「ほう……」 クルーゼは関心したように声を上げて、私を見ている。

私の中には、かつての自分自身の言葉が蘇っていた。

  ── キラ、守ってね。あいつらみんなやっつけて。
  ── キラ、あなたは戦って戦って死ぬのよ。じゃないと許さない。

  キラは、こんなものをずっと見てきたの。私は、キラにこんなことをさせていたの?
  戦って辛くて泣いて、それでも私のために立ち上がって、泣くのを我慢して。
  そして……、いつの間にか泣かなくなったキラ。

  私は、アークエンジェルで同じように戦場を見ているはずだった。でも、ずっと目を
  背けていた。ベッドで毛布にくるまり、キラが守ってくれることだけを考えていた。
  そして、戦場で身も心も傷ついて帰ってきたキラに、私は安堵と、さらなる保身の契約のつもりで、
  自分の欲望をぶつけることしかしていなかった。

  当たり前だ、キラが、私以上に欲望に溺れたのは。私を狂ったように抱いたのは……
  キラが変わっていったのは……

「やめて! こんなこと」 私は、銃を突きつけて、もう一度言った。

「フレイ・アルスター、連合の兵士として、私を撃つかね。私を撃てば、少しは、
 この状況も動くかもしれないな」

クルーゼは、相変わらず動じない。まるで自分の命そのものに興味が無いように。

「だが、戦争は一人でするものでは無い。ほんのちょっと状況が変わっても、戦争そのものは
 終わらない。どちらの優勢に働いても、立場が入れ代わるだけで、そこで失われる人命は同じだ。
 何も変わらない。そのために、一人の命を犠牲にしたというのに」

また、私の銃が揺れ始めた。

  キラ…… その命を散らして、得られたものが何一つ無かったことに私は愕然とした。
  結局、アラスカに行っても何も変わらなかった。そのまま、アラスカも自爆して……
  残ったのは、私一人。それも、何もできない捕虜。

  アークエンジェルで、キラが守ろうとした人の顔が次々に浮かんだ。マリューさん。
  フラガ少佐。ノイマン少尉。マードック曹長。サイ、カズイ。そして、ミリアリア。

  私の中に、ミリアリアの狂気の顔が浮かんだ。ミリアリアはトールを失った。
  いや、ミリアリアはキラとトールの二人とも失ったのだ。なのに、それで得られたものは、
  なんだったというのだ。ただ、悲しみの心だけ。だから、ミリアリアも狂った。
  私を傷つけた。私から全てを奪った。私を失意のどん底に落とした。

  だけど、それを責めることはできない。それは戦いの生んだ狂気、誰にでも内に秘めるもの。
  私は、それを一番良く知っているから。私も同じようにパパを失って、キラを傷つけたのだから。
  そして、サイまでも辛い目に合わせてしまった。

「それに、以前も言ったように、君が、今ここで私を撃っても、その直後に君は死ぬ。
 兵に撃たれてな」
クルーゼは、薄笑いを浮かべている。

「それでも、自軍の大義に忠実であり、命を捨てる覚悟があるのなら構わないが……
 だが、君には似合わんな。軍服を着ていても君は軍人ではあるまい」

  そう、私は、そんな覚悟なんか無い。軍に入ったのだって復讐のためだった。それすら、
  自分では手を汚さずキラを頼っていた。

「もうすぐ、フィナーレが始まるよ。何が起こるか期待していてくれたまえ」

クルーゼは出て行った。私は、銃をダラリと下に垂らした。そのまま、銃は床に落ちた。
そして、二度と拾われることは無かった。

74ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/03/14(日) 07:50
パナマ戦、TV本編ではフレイの出番は、ここまでですが、SSでは、まだクルーゼの言う
フィナーレの一話が残っています。

>>流離う翼たち
A.A. 修理ですか。TV本編のような訳の分からない理由でオーブで修理というよりもいいですね。
マリューさん、ナタルの援護で、迷指揮官ぶりを発揮してますね。しかし、ナタルが実直に、その作戦を
実行するとしたら見物です。

>>The Last War
クルーゼの狂気の連鎖再びですか。彼のことを言われると、まだキラは辛いのですね。
アスランが男として決意している。これが状況を動かすのでしょう。かっこいいです。

>>過去の傷
ついに、キラが動きだしました。サイにラクスとは、TV本編を考えると以外(?)な人脈ですね。
見事、ミリィを癒すことができるのか? キラとフレイ様の、ほのぼのシーンも良かったです。

75流離う翼たち・432:2004/03/14(日) 20:19
 同じ頃、アークエンジェルが入渠しているドックの外では、同じ官舎をあてがわれた(というより、フレイが与えられた士官用官舎にカガリとミリアリアが転がり込む形で一週間同居する事になった)3人が荷物袋を背負ったり、鞄を持って歩いていた。

「とりあえず、今日は宿舎に行って部屋割り決めたり、色々しなくちゃね」
「そうだな。まあフレイのおかげで雑魚寝から解放されるんだから、フレイの指示優先だけどな」

 そう、兵士であるミリアリアと傭兵扱いのカガリは本来なら兵士用の共同官舎に放り込まれる筈だったのだが、フレイがそれなら家に来ないかと誘ったのだ。本来なら士官とはいえ、仮官舎に一軒あてがわれる事は無いのだが、仕官の消耗が早くて官舎に空きが多かったのだ。これまでのアークエンジェルの苦労を考えたマドラス基地司令の好意でこれらの官舎が士官に開放され、マリューたちは大きな家を1人で使える幸運に恵まれたのである。
 ちなみに、キラの家にはサイ、トール、カズィが転がり込んでいる。トールは官舎を与えられていたのだが、キラの所に転がり込むからといって辞退している。
 他にもキサカがキースの家に転がり込んでいたりと、中々面白い状態になっている。

「でさあ、午後からどうする。街にでも行く?」
「街かあ。大丈夫かなあ」

 ミリアリアの提案にカガリが考え込む。何か都合が悪い事でもあるのだろうか。そしてフレイもまたすまなそうに両手を顔の前で合わせている。

「御免、私はこれからマドラス基地に行かなくちゃいけないのよ」
「あら、何かあるの?」
「士官は全員司令官に挨拶に行くんだって。艦長に私やトールも出ろと言われてるのよ」
「ふうん、じゃあキラやキースたちも出るんだ」
「そうね。だから悪いけど、街には貴女たちだけで行って頂戴。なんならサイやカズィも誘ってさ」

 フレイに謝られたミリアリアとカガリはどうしたものかと顔を見合わせたが、2人して同時に溜息をつくと、仕方なさそうに微笑を浮かべた。

「まあ、まだ明日もあるし、今日は良いさ」
「そうね、今日は官舎の掃除でもしてましょう。一週間はお世話になるんだし」
「うう、御免」

 すまなそうに謝るフレイに、2人は小さく笑って気にしなくて良いと言うのだった。料理の出来ない3人だが、掃除くらいはできるのだろうか。



 ちなみに、男どもの方はというと・・・・・・・・・

「何だよこの家、埃が溜まってるぞ」
「こりゃまず掃除しないと使えないよ」
「大変だねえ」
「そうだなあ」

 困り果てたサイとカズィとは対照的に、キラとトールは余裕の表情だ。その一言にサイとカズィがギンと2人を睨む。

「お、お前ら、まさか俺たちに押し付けて逃げ出そうとは思ってないよな?」
「御免ねサイ。これから基地に行かなくちゃいけないんだ」
「ああ、軍人は辛いよなあ」

 そう言ってずりずりと後ずさっていく。それを見たサイとカズィが何か言おうと口を開いた瞬間、2人は脱兎の如く逃げていった。

「待てこらぁ!」
「この卑怯者〜〜!」

 2人の非難の声は届かず、キラたちが帰ってくる事も無い。サイとカズィは裏切り者2人に憎しみで人が殺せたら、と言わんばかりの憎悪を向けていたのだが、やがてそれも空しくなり、仕方なく掃除道具を手に掃除を始めるのであった。

76流離う翼たち・作者:2004/03/14(日) 20:32
>> The Last War
むう、キラとアスランは運命の対決をする事に。アスラン君が特攻しそうですが
しかし、仮面の遺志を継いだならば、やはりホークアイが決着をつけるべき・・・・・・

>> 過去の傷
あえて言おうフレイ様、人生そんなに早く決めちゃいけませんw
将来にもっと良い男が現れる可能性はかなり高いので、キープ君に留めておきましょう

>> ザフト・赤毛の虜囚
パナマ戦ですか。フレイ様は抜け殻状態でぼんやりしてる時期ですな
反応は少しは違うのかな。とりあえず拳銃のブレが止まったのは、撃つ気になったと
グングニル後の惨状にどう反応するのでしょうなあ

77過去の傷・79:2004/03/14(日) 21:31
その一時間後のことだ。
(ミリィの様子でも見に行くかな)
フレイと部屋を一緒に過ごし、一緒に寝ているキラ、こんな可愛い子にべた惚れされてるだけでも幸せなのだが、一緒に寝るなんてキラは幸せだろう・・・ただ一緒にずっと寝ていて分かったのだが、一つだけ気になることがあるのだ・・・それがこの・・・
「パパ・・・私将来はサイと結婚するの」
(まただ・・・)
そう・・・この寝言である、それも毎晩だ・・・。
「あんた、自分もコ−ディネイタ−だからって」
(!!!)
「本気で戦ってないん・・・う−ん・・・むにゃむにゃ・・・」
(なんなんだ!?あの時の夢を見てるのか・・・?)

「ト−ル・・・ト−ル・・・」
「困りましたわ・・・先程からそればっかり・・・」
ラクスがミリアリアを落ち着かせるようと歌を歌ったりしているのだが、ミリアリアはこの調子だ。
「あらら?もうこんな時間・・・アスラン・・・今日は一緒に強引にでも寝ていただきます」
「・・・ト−ル?」
ト−ルではなかった。
「ミリィ」
「あら、キラ様・・・では私は失礼します」
「あ、ラクスさんありがとうございました」

「ミリィ・・・昨日ト−ルの話をしたのは悪かったよ、だからごめん」
もっとも全ての原因を作ったのは出て行った歌姫なのだが・・・。
「うう・・・ト−ル」
浮気になるのは分かってる、でも・・・ほっとけないのだ、特にこんな可愛い女の子は、それにミリィとは友達だから・・・友達は励まさないと。
ミリアリアの目の下には隈が出来ていた、昨日は眠れなかったのか。
「キラ・・・そんなはずないの」
「ミリィ」
「ト−ルが死んだなんてそんなの、信じられないよ・・・私・・・遺体はまだでしょ?・・・」
「・・・くそ・・・くそ!!!」
地面と思い切り叩く、戦争というものをキラは憎んだ、叩いた手が痛む。
「痛い・・・痛い・・・痛い!!!」

次の日の朝、そう・・・ついにフレイのモビルス−ツ戦初日である。
「さあ、頑張るわよ・・・」

ハッチでは。
「今日存分に楽しまなきゃ、だって明日は休みだもん」
そう、実はあのあとモビルス−ツに乗る代わりにキラに条件を出されたのだ、操縦は二日に一回、それもたったの一日一時間(さらに休憩時間十五分も含まれている)なのだ、フレイは不満そうだったが・・・渋々条件を呑んだのだ、まあこれもキラがフレイをそれだけ大切に思ってるからである、恋人でもあるがキラにとっては(フレイにとってもそうだが)フレイはこの世で一番大切な存在なのである、アスランよりもだ・・・。
カガリがやってきた。
「おはよう」
「カガリ♪おはようカガリちゃん♪」
「や、やめろその呼び方は!」
「だって可愛いんだもん」
「な!・・・」
「ふふ・・・可愛い♪」
そんな時キラがやってきた。
「そろったね」
「あ、キラ!」
あわててカガリは逃げるようにキラの後ろに回った。
「キラ・・・」
フレイはキラが来たので頬を少し赤く染める、フレイも本気で好きになった人に対しては可愛い仕草を見せるのである。
カガリが機体について聞いた。
「機体はどうするんだ?ル−ジュは一つしかないぞ」
「ああ、カガリはMIアストレイに乗ってもらう、大丈夫組み換えも完了したから」
「キラ・・・私は?」
「フレイは・・・僕の愛機フリ−ダムで」
「な!?ちょっと待て!?」

78過去の傷・作者:2004/03/14(日) 21:40
>>ザフト・赤毛の捕囚
あの頃ですかですか・・・でもクル−ゼ隊長・・・貴方は・・・
フレイ様、よかった・・・でも震えている・・・うむうむ・・・可哀相・・・一人ぼっちで・・・でもとりあえず銃を離してよかった。
>>翼たち
掃除・・・軍人のいいところと悪いところが感じられるなあ・・・フレイ様はいないけど、カガリとミリィはどうするんでしょ・・・サイ達を誘うのかな?それも見てみたいです・・・

79ザフト・赤毛の虜囚 33:2004/03/15(月) 04:28
6.継承 12/12
[キラを継ぐ資格]

やがて、また宇宙から降りてきたらしい、ひときわ大きなポッドがモニタに映った。
複数のモニタに同じものがいくつも映っていた。それに、モビルスーツが取りついて行く。
その途中、モビルスーツは次々に打ち落とされていく。その中で、コーディネータという人が
死んで行く。やがて、何機もの犠牲を糧に一機のモビルスーツがポッドに辿りついた。
別のモニタのポッドでも、辿りついたモビルスーツがいる。未だ、取りついていないのもある。

その様子は、ここで、まったく場違いなものを、私に想像させた。卵子への受精。
二億もの精子が、数々の困難を経て、遺伝子を継ぐために卵子を目指す。
そして、辿りつけるのはたった一つの精子。それだけが、実際に受精できる。
残った精子は、捨て駒として死んで行く。でも、それは可哀想じゃない。
精子は生命でさえ無いから。生命を創るためのシステム。遺伝子を男から女に
運ぶだけの器。

これは、誰から聞いたことなんだろう。サイと、こんな話するはず無い。
やっぱり、キラ? でも、いつ聞いたのか思い出せない。

やがて、ほとんどのポッドにモビルスーツが辿りついた時、モビルスーツの操作で、
一斉にポッドが弾けた。まばゆい光。だけど、爆発では無かったように思う。
Nジャマーがあるから核は使えない。だけど、この光はなんだろう。私は目を細める。
次々とモニタの映像が消えて行く。この光で、カメラが破壊されたのだろうか。

たったひとつ残ったカメラには信じられないものが映っていた。私もオーブで何回も
見たことがあるマスドライバー。それが、宙に浮くように不自然にバラバラと崩壊して
いった。私には、その理由は分からない。ただ、それが核爆弾にも劣らない超兵器の
ためであることは分かった。そして、次々と破壊されていったモビルスーツが、
これを使うための捨て駒に過ぎなかったことを。

卵子と受精しないほとんどの精子、その死んで行く精子のように、この次々に死んで行く
モビルスーツ達、それに乗っている人達も、可哀想とは思ってもらえない。
戦争のシステムとしか思われていない。

キラは、モビルスーツをアラスカ基地に渡せば、戦争は変わると言っていた。
でも、結局、モビルスーツだけでは戦争は変わらない。核じゃない、核みたいなものが
結局出て来る。モビルスーツも、それを使うための駒のひとつ。その中に乗っている
人の命が、いくら失われようと顧みられることは無い。キラがアラスカに着いても、
結局、この運命が待っていただけなのかもしれない。ましてや、キラはコーディネータ
なのだ。アラスカの人は、道具として、人とさえ考えないかもしれない。いくら、私が
キラを愛していようと…… アークエンジェルの人達がキラと私を認めていようと……

「キラ、私のキラ……」

私はキラのメモリチップを出して、また握り締めたまま泣いた。
私は、初めてキラが死んだことを運命として受け入れていた。
キラは死んで、永遠に私のものになった。連合の捨て駒として使われる運命だけは
逃れられた。私は、それで良かったのだと思った。

後は、私が継ぐのだ。キラの後を私が継ぐのだ。

さっきのポッドに辿りつくモビルスーツから想像した受精のイメージ。それが、私に
別の想像を抱かせていた。もし、それが私の想像通りなら、私はキラを継ぐ資格を
得たことになる。いや、資格というより宿命だ。だけど、私は、それを受け入れるだろう。
それが、私の生きる証しだから。

モニタのいくつかが復帰して、その後の様子を伝えていた。あれ程の損害を出して、
やっと生き残ったモビルスーツが、既に無抵抗になった連合を次々に撃ち殺して行く。
音の無い映像だけなのが、かえって、その悲惨さを大きくした。私は、その様子を
正視できず目を背けた。一人うつむいて震えていた。

それでも、そんな悲惨な事を無くすために、何かしなければならないと思っていた。

──「そして、いつか戦争を終わらせたい。そうすれば、みんな悲しまなくてすむ。いつか…」

キラを継ぐ資格。キラを継いで、キラの理想をかなえるために。

80ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/03/15(月) 04:33
これで、パナマ戦編「6.継承」は終わりです。「クローン・フレイ」、「コスプレ」へと続くため、この展開は
避けて通れず、メルデルの話も、これに乗っ取ったものでした。
次は、ミリィSS、二章連続で行きます。迷っていたミリィは、ここで転機を迎えます。

>>流離う翼たち
官舎とは言え、仕官が家一軒まるごと借りれるとは豪勢ですね。もっとも、三、四人の同居状態ですから、
A.A. とは、また別の趣の共同生活になるみたいですけど。憎しみで〜 というところでは、小説版ガンダムで
「憎しみで人は殺せませんよ」というアムロの台詞を思い出しました。このときは、セイラのそもそもの
「シャアを殺してくれて」という願いそのものの意味合いも複雑でしたけど。一方、TV本編のSEEDでは、
憎しみが連鎖して人殺しまくってましたなあ。

>>過去の傷
フレイ様、キラの心臓に悪い寝言言うんですね。キラも申告して改善要求しないと、結局、
寝室は別なんてことに。
歌姫の歌は、どうもミリィには効かないようですね。私は「水の証」なんかは好きなんですが。
それに、あの時の衣装が一番ラクスに、似合っていると思いますし。

81白い羽:2004/03/15(月) 06:43
そうと意識しないでも日々は過ぎていく。
思う通りにいかなくとも。
守るべきものが守れなくても。
悲しみに打ち沈んだとしても時間は律儀に歩みを止めることはない。

とうとう15歳を越えることのなかった彼女。
守りたかった。守れなかった。
最後に微笑んで見せたあの表情が、今でも忘れられない。
今までで一番綺麗な彼女の顔。
守れたと思った。今度こそ。
やりなおせると思ったのに・・・・

「雪だ・・・・・・」
3月も半ばにして季節はずれの雪。
知らず僕はつぶやいていた。
羽のように軽い雪が舞い降りては溶けてゆく。
雪の白さがまぶしくて僕は目を閉じた。

『泣かないで・・・・・』
彼女の声が聞こえた気がして目を開ける。
しかし、もちろんそんなはずはなく、瞳に映るのは雪の白さばかりだった。
ポケットに入っているリップスティックを握り締め、僕は彼女の名をつぶやく。
頬に落ちた雪が溶けては流れ・・・僕の代わりに泣いてくれているようだった。
「何故、君が・・・・・」
あの時から何度となく繰り返した問いに答えるものは何もない。

『私の本当の思いがあなたを守るから・・・・・』
見えるはずのない、感じるはずのない彼女をあの時僕は感じた。
それは、僕の感傷による思い込みだったかもしれないし、意識を失って夢を見ていたのかもしれない。
でもあの時、確かに僕は彼女の優しさ、暖かさを感じたと、そう思えた。
『あなたは、幸せになって・・・・・・』
声が聞こえた気がして振り向くと、一筋の光が差し込んできて目を眩ませた。
その瞬間、光に包まれた視界に、少女の肢体が見えた気がした。
雪の羽を従えた彼女は、まるで天使のように・・・・・・

「こちらにいらしたのですね・・・」
どの位そうして立っていたのか、遠慮がちにそう声をかけられ、呆然としていた自分に気がつく。
「ごめん、ちょっと・・・考えたい事があって・・・・・」
彼女の瞳に少しの翳りを見つけながらも僕はうまくそれを消してあげる事はできなかった。
今日は、今日だけは、紅い髪のわがままな少女の事を考えていたかった。

誰より明るい笑顔が似合う娘だったのに。
戦争が、僕の弱さが彼女の微笑を奪ってしまった。
どんなに悔やんでももう彼女が帰ってくることはない。
本当なら今日16歳を祝ってあげられるはずだった。
彼女の幸せを守ってあげたかった・・・

「行きましょう。わたくし達の戦いは、まだ始まったばかりなのですから・・・・」
瞳には決然とした光を、唇には微かな笑みを浮かべて彼女は言った。
「そうだね・・・まだ、僕たちに出来ることがたくさんあるはずだ・・・・」
僕達の世界がどこに向かっていくのかまだわからない。
でも一つでもできることをしよう。
力だけが僕のすべてじゃない、そう信じさせてくれた人達の世界を生きていこう。
『それでいいのよ・・・・・・』
覚えのあるぬくもりが、僕を包んだ、そんな気がした。

82白い羽:2004/03/15(月) 06:47
散った花作者です。懲りもせず誕生日記念投下。
この間、雪の降った日に思いついたものです。固有名詞はあえて出さないようにしました。
16歳になれなかったフレイ様を悼む作品です。

感想は帰ってからUPしますね。
本当は日付が変わってすぐ投下する予定だったのですが、どうしても入れなくて出勤前に投下。(笑)

83過去の傷・作者:2004/03/15(月) 08:17
アクセレイですね・・・間違えやすい・・・訂正してます。

84過去の傷・80:2004/03/15(月) 08:38
「ちょっと待て!あきらかにお前ひいきしてるだろ!」
カガリが声をあげる。
「う−ん」
「だいたい、この機体はアストレイじゃない!お前自分の世界を考えろ!ここは外伝の世界じゃないんだ!オ−ブを馬鹿にするなよ!あの機体にはな・・・アサギ、ジュリ、マユラの魂が宿ってるんだぞ!」
「・・・なんのこと・・・?」
「たしかにお前達は恋人同士だ・・・でもひいきはやめろよな!」
「カガリ様〜」
一人の女の子が駆けつけてきた。
「な!マユラ!?生きてたのか!」
「お久しぶりです!私だけですけど・・・なんとか・・・ぎりぎりに・・・いままで入院してたんですよ、もうこの通り元気になりました、キラさんもお久しぶりです」
「や、やあ」
顔を赤くしてキラは少し照れた・・・
「痛っ!」
「なにでれでれしてんのよ!この浮気者!」
物凄い形相のフレイに足を思い切り踏まれたのだった。

「ミリィさん・・・こうなったら荒治療しかありませんね、サイさん」
「はい?」
「ミリィさんにト−ルという人になったつもりでキスしてあげてください」
「え!?いや無理です・・・俺には・・・」
「仕方ありませんわね・・・なら私が・・・」
「え!?」
ラクスはミリィの唇に・・・。

85キラ(♀)×フレイ(♂)・40−1:2004/03/15(月) 19:43
「こちら、ブラボーワン。敵機影…」
「遊んでいるんじゃない。真面目にやらんか!」
「へへっ、すいません。一度やってみたかったもので。……それでは、改めて、
こちら、空中探査中のディン部隊。敵機影、熱反応共にありません」
「同じく海底探査中のグーン部隊。足付きは影も形も見当たりません」
斥候を続ける各MS隊からの報告にモラシムは軽く眉を顰める。
足付き討伐に失敗してから一夜が明けた。カーペンタリア基地からの増援部隊と合流し、
戦力を回復させたモラシム隊は再攻勢に出たが、標的はまるで神隠しにでもあったかの
ように消失した。空中探査は当然の事として、本来、宇宙戦艦である足付きに潜水能力
はないと思われたが、念の為に海底探査まで行ったというのに一向に梨のつぶてである。


「隊長、この近くには例のオーブ領サドニスがあります。もしかして、足付きはうっかり
デーモン・ウォールに迷い込んで、既に海の藻屑となったのでは?」
「馬鹿を言え。そんな間抜けな敵なら、クルーゼがあそこまで梃子摺るわけはない」
クストーのブリッジで艦長がそう意見を具申したが、一刀両断で切り捨てられた。
モラシムに限らずザフトの隊長クラスで、仮面の道化者(クルーゼ)を好いている
者は恐らく皆無であろうが、その能力を疑問視する者もまたいなかった。
ザラ国防委員長の懐刀と称され、高い作戦遂行能力を持ち、自身もザフト軍最高クラスの
パイロットと目される智勇兼備の名将であるクルーゼに比肩出来る者は少ない。
故にザフトの一線級指揮官の羨望の眼差しである、オペレーション・スピッドブレイク
の総指揮官という栄誉を授けられたのだろう。
そのクルーゼに能力的に唯一対抗出来そうな逸材は砂漠の虎ぐらいだったが、(彼も彼で
クルーゼとは違った意味で性格に癖がありすぎたので、軍の主流とは言い難かったが)
その虎は砂塵での戦闘で既に戦死し、ザフト内部での足付きとMSパイロット(キラ)
のWANTED(賞金首)としての価値は鰻登りに高まる一方である。

「判りませんよ、先週もジブラルタルからカーペンタリアへ向かっていた輸送機が、
計器の故障とかでデーモン・ウォールに嵌まって行方不明になっていますからね。
不沈艦の末路も案外あっけないものかも知れませんよ」
悪魔の壁の怖さを知り尽くしている艦長が再度注意を喚起したが、モラシムは軽く
肯いただけで、気にも留めなかった。第二級戦闘配備を解かずに、より一層哨戒体勢
を強めるように部下たちに指示を下した。
だが、油断や楽観論とは無縁の優秀な戦術指揮官であるモラシムも、まさか足付きが
オーブ中枢の意を汲む者の手引きで、難攻不落のデーモン・ウォールを突破して、
悪魔の壁に囲まれた楽園の中で、その身を癒しているとは想像もつかなかった。



キラは高台にあるカフェの椅子に腰を下ろして、緑溢れるサドニスの自然美を堪能
しながら、カルピスをストローで啜り、咽喉の渇きを癒している。
今のキラの格好は白の清楚なワンピース姿で、日除け用に麦藁帽子を被っている。
この何処にでもいそうな大人目の少女を、数え切れないほどのザフトの歴戦の兵達
を地獄に叩き落してきたA級賞金首と看破し得る千里眼の持ち主などサドニス島には
いないであろう。

「へへっ、見つけたぜ。まさか、こんな場所で再会出来るとは夢にも思わなかったぜ。
キラ・ヤマト。いや、裏切り者のコーディネイターで、ストライクのパイロットか」
否、一人だけいたようだ。その人物は、キラのいるカフェのさらに高みの位置から
獲物を狙う禿げ鷹のような目付きでキラを睨んでいる。金髪に碧眼、中背でキラと同い年
ぐらいの少年だが、他者を見下すようなギラギラとした瞳と余裕のない表情が、端正と
言っても良い少年の顔を歪めて、第一印象を暗いものとしている。

彼の名前はマイケル・タカツキ。キラやアスランと同じ月の幼年学校時代の級友である。

86キラ(♀)×フレイ(♂)・40−2:2004/03/15(月) 19:44
未だ朝靄が残る早朝時、サドニス島南岸部の港町の波止場に数台のモータボートが接舷
され、私服に着替えたアークエンジェルのクルーがわらわらと上陸してきた。
寛大にも艦長のマリューから臨時休暇をもらった彼らは、かつて観光名所として栄えた
サドニス島で、各々リフレッシュ休暇を楽しむ所存だ。壮年のクルー達に混じって
学生ぐらいの少年少女もいる。云わずと知れたヘリオポリス組のメンバーである。
「それでは、集合時間までには全員波止場に集まること。
尚、ヘリオポリス組に関してはその限りではないので、一端、艦に戻るなり、
ホテルに宿泊するなり自由にすること。では、解散!」
「うおぉおぉおおお!!!!!」
率先役のノイマンの解散合図と同時に、休暇第一陣のクルーは奇妙な雄叫びを上げて、
激しい地響きの音を立てながら、蜘蛛の子を散らすような勢いで駆け出して行く。
自由と娯楽に餓えたクルーの迫力に唖然としていたキラは、気づくとポツンと一人
波止場に取り残されていた。


「ミリィ達も薄情なんだから…。一人ぐらい待っていてくれてもいいのに」
キラは友達甲斐のない級友達を詰ると、ガイドブックを片手に繁華街へと繰り出した。
人の数自体は少なかったが、街中は意外に活気付いている。例の事情から、訪問客が途絶
えて久しく、観光島としては寂れざるを得なかったが、島の人々は、乱世のご時勢での
平穏な生活をそれなりに楽しんでいるようだった。また二重の安全性(中立と悪魔の壁)
を買われて、富豪の一家が避暑の如く移民してくるケースも多く、彼らの投資により、
今現在は自給自足に近いシステムが確立されているらしい。

「どうしようかな、アミューズメント・パークなんか一人で行っても詰まらないし」
ガイドブックのお勧めコースに従って、キラはまずは土産屋を冷やかしながらも、
孤独な一人旅に物足りなさを感じて、横顔に暗い影を落とした。
途中、ナンパに精を出すトノムラやチャンドラ達と遭遇したが、お互いの存在に気づくと
気まずそうに俯いて互いをやり過ごした。コーディへの偏見や、味方殺し疑惑が土壌と
なったキラとAAクルー達との精神的な隔離状態は根強く続いている。以前、フレイは
キラを「醜い家鴨の子」と評したが、その評価は正鵠を得ていたかも知れない。
そんなキラが何とか普通に話せそうな大人のクルーは、フラガぐらいだったが、幹部三人
は健気にも休暇返上で艦に残ったので、翌日の休暇第二陣にすら組み込まれていない。
コーディに差別意識のないヘリオポリス本家の級友達の有り難味をキラが実感した刹那、
海岸線を見下ろせる高台の公園で、仲睦まじく腕を組んだトール達を発見した。


「綺麗ね、トール」
太陽の光を乱反射して、万華鏡のような幻想的な美しさを醸し出す海岸線の景色を
眺めながら、ミリアリアはウットリとした表情でトールに問い掛ける。
悪魔の壁に取り囲まれているとは思えないほど、サドニスの海は透明で穏やかだ。
「確かに綺麗な景色だね。けど、その海も君の美しさの前には霞んでしまうよ、ミリィ」
急に詩人のような戯言を宣うトールに、ミリィはパチクリと瞬きした後、プッと噴出した。
「に…似合わないよ、トール」
「そ…そうかなあ」
照れ隠しに軽く頭を掻くトールに、ミリアリアは目に涙を溜めながら笑い転げた。
「そうよ、トール。あなたはあなたの良さがあるんだから、肩肘張らずにドーンと
構えていれば良いのよ。一時は物足りないと思ったこともあったけど、今はトール
のそういう野暮ったさが私は大好きよ」
「ミリィ…。俺も君が好きだよ」
トールはミリィを抱き寄せると、そのまま自然とお互いの唇を重ね合わせた。
気の利いた台詞回しなど使わずとも、いくらでも雰囲気は作れるみたいだ。
特に才走った所はなかったが、二人は極めて等身大の似合いのカップルだった。

87キラ(♀)×フレイ(♂)・40−3:2004/03/15(月) 19:45
遠目から一部始終を眺めていたキラは、結局、声を掛けずにその場から離れた。
最初は合流したいとも思ったが、完璧に二人の世界を作り上げたトール達の間に
お邪魔虫として割って入れるほどキラも野暮ではない。
何があったかは知らないが、まるで壊れた古時計が再び時を刻み始めたかのように、
アークエンジェルに巻き込まれて以後、ずっと停滞していたトールとミリィの二人の
時間が、突然動き始めたかのようだった。

「いいな、二人とも…」
トールとミリィのフレッシュな関係を羨ましく思ったキラは、人知れず溜息を吐いた。
単純な異性関係の深さだけなら、キラとフレイの一組の方がトール達よりも一歩も二歩
も先んじているのだが、身体の結び付きが強まれば強まるほど、反ってお互いの心が
離れていくような嫌な錯覚をキラはずっと感じているのだ。
恋人(?)のフレイとは、昼と夜とで態度が180度異なる奇妙な二重生活が未だに
続いている。今朝方も、ついフレイを避けるかのように、彼とは別のボートに
乗り込んでしまったキラの反抗的な態度に気分を害したのか、フレイはキラを
待つことなく、殺気立ったクルーに紛れて姿を消している。
こういう時、フレイの代役を務めるのは、キープ…ではなく、プラトニック担当のカガリ
なのだが、彼は不法入国したアークエンジェルの滞在許可交渉を目的に、キサカと一緒に
領事館を訪問中だ。ザフトに狙われている軍船の寄港など、サドニス側からすれば傍迷惑
な話だろうが、カガリはオーブ領共通の水戸黄門の印籠を所持しているので、きっと何と
かしてくれるだろうとのAA幹部達の強い期待を受けていたからである。

「あれは…、フ…フレイ!?」
神のお導きであろうか。一人に寂しさを覚えていたキラは、極めてレアな確率の元に
涼みに入ったカフェの一つで、捜し求めていた想い人と再び遭遇(エンカウント)した。
軽いロンリーシックに掛かっていたキラは、パッと表情を輝かせ、子犬なら尻尾がはち
切れんばかりの勢いでフレイに駆け寄ろうとしたが、途中でその動作を停止させてしまう。
フレイの座っているテーブルには、キラと同い年ぐらいの少女が二人、楽しそうにフレイ
と会話している。高価な身なりからすると、彼女達は良い所のお嬢様なのかも知れない。
どちら側から誘ったのかは不明だが、まるで磁石のS局とN局が惹かれ逢うかのように
女性に対する異常な吸引力を発揮するフレイは、ナンパの相手にも事欠かないようだ。

キラは落ち窪んだ表情で、フレイに気付かれないようにカフェの外に出ると、屋外の
テーブルの一つに腰を下ろして、飲み物を注文した。目の前には緑溢れるサドニスの
美しい大地が広がっていたが、その景色を堪能出来る心の余裕はキラにはなかった。
女連れのフレイに見咎めでもされたら惨めでしょうがないので、咽喉の渇きを癒せたら、
早くこの場を立ち去ろう。そう考えて、キラはストローを氷の隙間に差し込んで、
乱雑な勢いでカルピスを一気飲みする。
そんなささくれだったキラの心の隙間に浸け込むかのように、何者かが声を掛けてきた。
「おい、ヤマト。そこにいるのは、キラ・ヤマトじゃないか?」
慌てて振り返ったキラの前には、冒頭でキラを吟味するように眺めていたボロのシャツ
を着込んだ金髪の少年が立ち尽くしている。今の少年の顔付きは先のギラギラした態度
が嘘のように穏やかで、こうして見ると中々の美男子だ。
「だ…誰?」
一瞬、ナンパされたのかと思ったが、相手が自分の姓名を知っているのは妙だ。
カガリに無防備すぎると称されたキラも、流石にちょっとばかり警戒心を発揮しながら、
そう尋ねると、少年は少しだけ傷ついた表情をしながら苦笑いする。
「覚えてないかな。ヤマト、俺だよ。月の幼年学校で一緒だったタカツキだ」
少年が素性を名乗ってから数瞬後、キラの瞳孔が大きく開くと同時に、
手に持っていたグラスを床に落としてしまい、グラスは粉々に砕け散った。
「タ…タカツキ君?」
キラは信じられないという表情で、タカツキという級友の少年を見上げている。
予期せぬ旧友との再会に、キラは驚き戸惑っているのだろうか。
いや、そうではないようだ。キラは天敵を見つけた小動物のように身を縮ませて、
膝元はガクガクと震えている。月の幼年学校時代、キラにとって、タカツキという少年
は天敵というよりも敵(エネミー)そのものの存在だった。

88キラ(♀)×フレイ(♂)・40−4:2004/03/15(月) 19:45
戦争の激化によりヘリオポリスに疎開する以前、キラは5歳から13歳までの
長きに渡る間、小中教育に該当する月の幼年学校に通っていた。

「えっとお…、わたしのきょーしつは…あうっ!?」
「じゃまなんだよ!ボーっとしてんじゃねえよ、たーこ!」
入学式の翌日、自分の教室を探して要領悪くマゴマゴしていたキラは、後ろから意地悪
な級友に突き飛ばされて尻餅をついた。今とは比べ物にならないぐらい涙腺の弱かった
幼少時のキラは、「え〜ん、え〜ん」と泣き喚いていたが、薄情な級友たちは、遠巻きに
クスクスとキラの醜態を嘲笑うだけで、誰も手を貸そうとはしなかった。
「だいじょうぶ?」
そんな折、彼女に救いの手を差し伸べた一人の少年がいた。その黒髪の少年は、キラの
手を引いて、立ち上がらせると、懐から取り出したハンカチで涙を拭いてあげた。
「きょうしつはこっちだよ。君とはおなじクラスみたいだね。いっしょに行こうか?」
「だ…だれ?」
「ぼくは、アスラン。アスラン・ザラだ。よろしくね」
黒髪の可愛らしい少年はニッコリと微笑むと、軽くキラの手を握った。
これが、キラとアスランとの最初の出会いだった。

それから刷り込みの如く、キラがアスランに懐いたのは自然な流れというものだろう。
キラはアスランの袖の裾を掴んで、彼の後ろに隠れるように半歩下がった位置をキープし、
世智辛い世の中に対して、常に彼の肩越しに気弱そうな表情を覗かせていた。
「こいつ、だい一せだいのコーディネイターなんだって!?」
「それじゃ、おやはナチュラルかよ。プッ、だせぇ!」
子供という人種が、異分子を冷遇したがる傾向にあるのは、ナチュラルでもコーディでも
変わらないらしく、ほとんど第二世代のコーディの子息で構成された幼年学校で、第一
世代のキラは珍しく、そんな下らない理由で入学当初のキラは苛めの対象になっていた。
「身体的特徴(目の色やルックスなど)や、潜在能力(知力、運動神経など)を自由に
遺伝子操作可能な偉大なるグレン・マニュアルにも、性格を好みにコーディネイトする
術は記されていなかった」
後の歴史家が、そう皮肉を混めて書き残したように、コーディでも有数の潜在能力を誇る
キラも、その引っ込み思案の性格はいかんともし難く、アスランはそんな臆病なキラの
誠実な騎士として、彼女を付け狙う有形無形の魔の手から、キラを守り続けてきた。
そんな二人が、自然と両想いになるのに、それほどの時間は必要なかっただろう。
蜜月と言ってもよい幸福な時期が長く続いたが、アスランは家の事情から、キラは
勇気の欠如から、その想いを相手に伝えることはなかったが…。
学校にも馴れ、苛めもそれなりに収まり、アスラン以外の友達もチラホラと増え出し、
ようやくキラが独り立ちし始めた頃、マイケル・タカツキがキラ達の視界に現れた。


マイケルは、幼年学校では常に主席だったアスランに次ぐ優秀なコーディの一人だった。
親はプラントの下級議員で、プライドが高く、常に取り巻きとなる級友を引き連れている。
優等生だが、他人を見下す癖があり、ナチュラルはおろか、同類の中でも劣った者には
侮蔑心を隠さなかったので、人望は低く、取り巻き以外の級友達からは嫌われていた。
そんなマイケルにとって、能力・家柄など全てにおいて彼の上を行くアスランの存在は、
まさしく目の上のタンコブだっただろう。とはいえ、意外と身の程を知っている彼は、
マトモに戦っても勝てないことも悟っていたので、敢えてアスランとはぶつからずに、
井の中の蛙に徹してプライドを維持してきた。
彼がアスランに根強いコンプレックスを抱いていたのは確かだが、そのアスランという
惑星の周りをうろつく衛星としか映らないキラのことなど当初は眼中にはなかった。
キラに全校生徒の前で赤っ恥を掻かされるまでは…。

89キラ(♀)×フレイ(♂)・40−5:2004/03/15(月) 19:46
まだMSが実戦投入される前の時代、幼年学校に後のMSの雛形になる戦闘用ロボット
のシミュレータが導入された。各種訓練が授業科目にも取り入れられてから数ヶ月後、
その成果を試す為のトーナメントの大会が開かれた。
「何だよ、緒戦の相手はザラの腰巾着か。歯応えが…!?な…なにぃ!?」
大会に優勝してアスランの鼻を明かそうと意気込んでいたマイケルだったが、運悪く
一回戦で最高のコーディたるキラと当たり、手痛い敗北を喫した。
結局、大会で優勝したのはアスランだ。キラはマイケルの異常な悔しがり様から、
身の危険を悟って、ワザと手を抜いて二回戦で敗退したが、時既に遅く、その行為は
反ってマイケルの下馬評を下げ、彼の反感を買うだけの結果となった。
「ねぇ、見た?タカツキの奴、泣き虫のキラにコテンパンにやられたんだって」
「何時も偉そうにしている癖に、本当は口先だけかよ。最低じゃん」
身から出た錆ともいうべきか、普段から他人を貶めることで、相対的に自分を高く
見せようとしてきたマイケルに募っていた全校生徒の反感が一気に爆発して、
彼は学校中の笑い者になった。自業自得の末路ではあるが、内省とは無縁の彼は、
自身の態度を省みることなく、ひたすら自分を窮地に貶めたキラを憎悪した。

それ以来、キラは逆恨みされたマイケルのグループから陰湿な虐めを受け続ける事になる。
キラの身の周りにはアスランが常に目を光らせていたので、大抵は事なきを得ていたが、
ある時などは、人気のない体育倉庫に連れ込まれて危うく乱暴され掛けたことさえあった。
鳥頭…、もとい自己転移療法の大家であるキラは、嫌な(あるいは自分にとって都合が
悪い)記憶を封印する術に長けていたので、ヘリオポリスに疎開しアスランと別れて以後、
マイケルの存在もすっかり失念していた。サドニス島で再び彼と遭遇するまでは。


予期せぬ運命の邂逅(ここで会ったが百年目的であるが)を演じてマイケルと相対した
キラは、両腕で自分自身を抱き締めるような体勢になって、強く身を固める。
それも当然で、虐めというのは、不器用なコミュニケーションの一部などと行為を正当化
出来るような代物ではなく、受ける側にとっては、まさしく死活問題そのものなのである。
マイケルを見上げるキラの脅えた瞳には、恐怖とトラウマに満ち満ちていた。
「やっぱり、俺の事、恨んでいるみたいだな。まあ、当然か…」
マイケルは憂いを帯びた表情で、軽く溜息を吐くと、ガラスの割れる音に気付いて、
何事が起こったのかと駆け寄ってきたウェイターに声を掛けた。
「すいません、コイツは俺の昔の知り合いなんです。何か驚かせちゃったみたいで。
勘定と壊れたグラス代はこれでよいですか?」
萎縮して声も上げられないキラに代わり、マイケルは弁償を代行すると、再びキラに向き
直った。その蒼い瞳は、遣る瀬無さに溢れている。少なくとも、キラの目にはそう映った。
「俺、前々からずっと、お前に謝りたかったんだ。
あれから色々あって、自分の馬鹿さ加減にようやく気付けたんだ。
けど、今更そんな事言うのは虫が良すぎるし、ヤマトにとっても迷惑な話しだよな」
自嘲するように心情を告白するマイケルを、キラは唖然とした表情で見つめる。
今現在のマイケルが、キラの記憶にある悪鬼のような姿と全然一致しないからだ。
「じゃあな、ヤマト。一目、お前の元気そうな姿が見れて良かったよ」
マイケルは最後にそれだけを告げると、クルリと身を翻した。謝罪でなく、別れの言葉
を口にせざるを得なかった彼の背中は、キラにはとても小さく見え、キャッチセールス
の電話を自分から切ることが出来ない典型的な弱気人間のキラは、こうまで下手に
出られると、このまま帰しては申し訳ないような複雑な想いに囚われ始めた。
「ま…待って!」
思わずキラはマイケルを呼び止め、場を去ろうとしていた彼はピタリと足を止めた。
「ねぇ、どこか落ち着いたところで、ゆっくりと話しをしない?」
ガヤガヤと自分達を見つめる野次馬の存在に気付いたキラは気恥ずかしそうに俯いて、
マイケルを誘った。キラに背を向けたマイケルの口元は、「かかった」とでも言いたげに、
怪しく歪んでいる。もしかすると、先の誠実そうな態度は単なる演技なのかも知れない。
以前もキラは、最悪に近い関係からフレイを許した前歴があり、その結果、泥沼の愛憎
関係を未だに継続中だというのに、再度、同じ過ちを繰り返そうとしているのだろうか。
「最悪の出会いは、やがて最良の伴侶を得る温床となる」という恋愛小説の黄金の不文律
でも信じているのか、浪漫主義者(ロマンチスト)のキラは、上っ面だけで男性を判断
する傾向があり、性質(たち)の悪い男に騙される妙な才能にも恵まれているみたいだ。

90キラ(♀)×フレイ(♂)・40−6:2004/03/15(月) 19:47
「あれは、キラか?んっ、なんだ、あの男は?」
店の外が騒がしくなったので、軽い好奇心に駆られて外に飛び出したフレイは、見知らぬ
少年と仲良く二人連れで、店から離れていくキラの姿を発見する。
「チッ、あの尻軽女、相変わらず…」
フレイは軽く舌打ちしたが、彼も女性と同伴だったので、あまり人の事は言えないだろう。
それよりも、フレイはキラの隣にいる金髪を尻尾のように後ろに束ねた少年が気になった。
「あいつ…、なんか嫌な感じだな」
嫉妬心とは無縁に、フレイは謎の少年(マイケル)の性根をそう断定する。
本来、人間とは善悪二元論に分類出来るほど単純な生命体ではないが、対人鑑定眼に
優れるフレイは、大よそ第一印象だけで、その人間の魂がどっち寄りかを見分けられる
という稀有な技能(スキル)を所持していた。
ほとんど直感としか呼べないあやふやな代物だが、実際に深く付き合ってみて、第一印象
を外した体験はなかったので、フレイは自分の先入観を是正する必要性を認めなかった。
「アルテミス要塞の軍人さん達を除けば、彼でちょうど二人目か。こんなご時勢なのに、
世の中は意外と善人に満ち溢れているみたいで、けっこうなことだね」
己自身を遠くの棚に放り投げるなら、ヘリオポリスが崩壊してから、フレイが直接お目に
掛かった民間人で、魂が悪(エビル)寄りに傾いた逸材に出会えたのは、二人目となる。
ちなみに、一人目の逸材は、既にアークエンジェルを降りて、今はプラントにいるはずだ。
「ねぇ、どうしたの、フレイ君?何か面白いことでもあったの?」
後ろから、サドニスで知り合った女性二人が声を掛けてきた。少女達は、この島に疎開
した富豪の娘で、実は先にフレイに声を掛け、逆ナンパしてきたのは彼女達の方である。
「あっ、いや。何でも、ありませんよ」
お嬢様方の問い掛けにそう応じながらも、フレイの視線はキラ達に注がれていた。
まあ、いいか。一瞬、尾行しようかとも思ったが、その誘惑をフレイは払い除けた。
奴がどの程度のワルかまでは判らないが、大方、キラの身体が目当てのチンピラだろう。
どれほどキラが傷つこうが、生きて戻ってきさえすれば、後はどうにでも慰められる。
相変わらず、女性の貞操観念を軽視するフレイはそう悪ぶりながらも、何故か彼の
スコープ(視線)はキラ達をロックオンして離れることはなかった。


キラとマイケルは、横並びに坂道を下りながら、キラ達がボートを泊めた波止場と
正反対の港町を目指して歩んでいた。そこに彼の家があるというのである。
「ふーん、タカツキ君は今は家族みんなでサドニス島で暮らしているの?」
「そうだよ。姉ちゃんがナチュラルの男性と結婚したんで、そのツテでね。
正直、昔はナチュラルの奴らを、「進化し損ねた出来損ないの猿共」とか見下して
いたけど、実際付き合ってみれば、俺達と同じ温かい血の通った人間なんだよな。
本当に馬鹿みたいたぜ。能力だか下らないことで一々他人にラベルを貼るなんて」
「タカツキ君…」
キラは感心したような顔つきで、マイケルを見上げている。

先程からのマイケルの与太話は全て嘘八百である。彼は一人っ子で姉などいなかったし、
そもそもサドニス島に住居など構えていない。ここに辿り着いてから、まだ一週間も
滞在していないのだ。彼が本気で猿と見下しているナチュラルを持ち上げるような戯言
をほざいたのも、そう主張すれば、今現在、ナチュラル達と一緒に行動しているキラ
の心証が良くなるだろうとの打算からである。案の定、他人を疑うことを知らない、
極めて善人よりの魂(ホーリー・ソウル)を持つキラは、完璧に騙されて、マイケルに
抱いていた警戒心をみるみる氷解させている。
「それより、ヤマトはどうやってサドニスに来たんだ?
知っていると思うけど、この時期にここに入るのはかなり苦労するんだぜ」
「そ…それは……」
キラは言葉に詰まった。まさか、コーディである彼に、連合に所属してザフトと
戦っているなどと馬鹿正直に打ち明けるわけにもいかないだろう。
嘘を吐くことに慣れていないキラには、適当な言い訳の一つすら思いつかなかった。
「別に言いたくなければ、構わないよ。人それぞれ事情はあるだろうし」
「ご…ごめんなさい」
それとなく探りを入れたマイケルは、キラの口から彼女を取り巻くバックグラウンド
を吐かせたいと思ったが、この場では断念した。キラを捕獲しようと企んでいる
彼としては、万が一にも逃げられでもしたら、元も子もないからだ。

91キラ(♀)×フレイ(♂)・40−7:2004/03/15(月) 19:48
薄々気がついている人もいるだろうが、彼もまたアスランと同じザフトの軍人である。
キラが月から去った後、アスランと同じく、プラントの仕官学校(アカデミー)に
入学し、そこで初めて彼は人生の挫折を味あうことになる。
アスランが、イザーク、ディアッカなど後のクルーゼ隊の連中と共に士官学校でも
優等生グループを維持したのに対して、幼年学校ではエリートだったマイケルは、
アカデミーでは物の見事に「その他、大勢の一員」に落ちぶれてしまった。
マイケルがあまり褒められた人格の所有者ではないことは確かだが、彼は、決して無能
ではない。むしろ、コーディ全体の中でも上から数えた方が早い優秀な逸材ではある。
ただ、アスランやキラのような超がつくエリート達と正面切って張り合えるか?
と聞かれると、生まれ持ったプロパティ(潜在能力)の容量を呪うしかない。
彼のようなタイプは、分を弁えて「蛇の頭」を抑えて天狗となっていれば、自他共に幸せ
であったのだが、何を間違えたのか、「竜の尻尾」に必死にしがみ付いてしまったので、
「竜の頭」に位置するアスランに、いらぬコンプレックスを抱く羽目となったのだ。

戦時による需要から、弱齢の彼らが士官学校を早期卒業し、アスラン達がザフトの
エリートの証たる「赤服」を与えられ、エリート街道(クルーゼ隊への配属)を歩んだ
の対して、「緑服」のマイケルは地球のアフリカ地方に飛ばされた。
当時、アカデミーでは宇宙軍をエースとして、地球部隊を、「地上モグラ」と嘲る傾向に
あったので、彼の野心感覚では左遷されたも同然の最低の扱いだった。
砂漠の虎の指揮下に配属され、悶々たる日々を送っていた彼は、サドニスでキラと再会
する以前にも、実はバラディーヤでもキラと遭遇していたのである。
「あいつ、もしかしてヤマトか?何だって、バルトフェルド隊長と一緒に!?」
例のブルーコスモスのテロ事件の折、一兵士として虎の屋敷の警備をしていたマイケルは、
真っ先にキラの存在に気付いた。(キラの方は、全く彼の存在に気がついていなかったが)
好奇心に駆られて持ち場を離れ、扉の外から虎とカガリの会話を盗み聞きした彼は、
キラがストライクのパイロットで、ザフトのA級賞金首である事実を知ることになる。

その翌日、マイケルはカーペンタリア基地への転属辞令を受け、慌しく虎の元を離れた。
ビクトリア攻略戦の際に使用した水中用MSグーンが一機レセップスに余っていたが、
この砂漠では単なる宝の持ち腐れなので、輸送機でカーペンタリアまで届ける為だ。
「また左遷かよ。まっ、あの変人の虎の指揮下にいるよりはマシかもしれねえな」
横着して自動操縦で楽をしていた彼は、計器の故障に気付かずにデーモン・ウォールに
迷い込んで、輸送機を沈没させてしまう。沈没寸前に何とかグーンに乗り込んだ彼は、
悪運強く一命を取り留め、気付くとサドニス本島に流れ着いていた。
グーンはあちこち傷ついていて戦闘用MSとしては全く遣い物にならず、任務に失敗した
わけだが、あの状況では生命が助かっただけでも僥倖だろう。

本来なら、すぐに軍本部に事の子細を報告する責任があった彼だが、その意思はない。
悪い意味での主体性と行動力に恵まれていた彼は、軍の禁欲的な生活に飽き飽きとして
いたので、闇市で売れそうな輸送機の残骸を売り払って、当座の資金を稼ぐと、グーン
を港町の今現在使われていない倉庫に隠し、軍に対しては沈黙を守った。
「これも俺の常日頃の善行に対して、神様が与えてくれた臨時休暇だろう」
どちらかといえば仏教圏の癖に、クリスマスだけはちゃっかり祝う東洋の島国の住民の
ように、本来無心論者だが、都合の良い時だけ神頼みする癖のあるマイケルは、派手に
豪遊し、サドニスという楽園での生活を心行くまで楽しむことにした。

それから一週間近くが経過し、悪魔の壁が開放される日が近づいてきて、マイケルは
軍に戻る決意をした。楽園での安穏とした暮らしに未練はあったが、生活費も底を突いて
いたし、何より、この機会を逃すと、また一ヶ月はこの島から出らなくなるからだ。
ただ、輸送機を落として、グーンを半壊させてしまった手前、手ぶらで軍に戻ることを
躊躇わせていた彼の前に、キラという格好の手土産が、忽然と姿を現したのだ。
バラディーヤでは、虎の厳命で取り逃がしたが、ここには彼を律する上官もいなければ、
キラは無敵のMSに守られておらずに、コーディとはいえか弱い女性の生身のままである。
マイケルは、天から振って沸いたこの幸運に舌なめずりして歓喜し、葱背負った鴨
そのもののキラを見逃す意思は欠片もなかった。

92キラ(♀)×フレイ(♂)・40−8:2004/03/15(月) 19:48
「ここが俺の家だよ、ヤマト」
「お家って、倉庫じゃないの、タカツキ君?」
ガラガラと扉を開けるマイケルを、流石にキラも胡散臭そうな瞳で見ていたが、
嘘で塗り固めたマイケルの主張の中では、今回は珍しくも真実を告白していた。
彼はこの廃棄された倉庫を根城にして、この島でずっと生活していたのだから。
マイケルに釣られるように倉庫の中を覗いたキラはあるモノを発見して唖然とする。
薄暗い倉庫内には、何故か片腕が捥げて半壊したグーンが鎮座していたからだ。
「ど…どうして、MSがここに……んっ…んぐぅう!?」
突然、キラは後ろからマイケルに羽交い絞めにされ、湿った布着を押し当てられる。
異臭を嗅ぎ取ったキラは必死にもがいたが、MS乗りとしては彼のはるか上をいく技量
を誇るキラも、生身の単純な腕力では、男性のコーディであるマイケルには敵わない。
「ちょ…ちょと、何をするの!?タカツキく……………………………zzz」
豹変した彼の態度に今更ながらに身の危険を感じてジタバタと暴れていたキラだったが、
やがて目がトローンとし始めて、グッタリと動かなくなった。

「へへっ…、一丁上がりと。チョロイもんだぜ」
マイケルは片腕でキラを抱きかかえたまま、クロロフォルムを染み込ませた布着を
放り捨てると、軽い寝息の音を立てるキラの懐をガサゴソと弄り始める。
やがて目的のブツを探し当てることに成功したマイケルは、小さくガッツポーズした。
「あった、あった。こいつが欲しかったのよ」
彼の手の内には、キラの連合での身分を示す、写真入のIDカードが握られていた。
軍本部に戻って、このカードを解析すれば、彼女がストライクのパイロットである事実
を証明する電子データが、恐らく詳細に組み込まれている筈である。
「やったぜ。コイツを軍に突き出せば、俺も赤服になれる」
マイケルは勝ち誇った表情でキラを見下ろした。元々、ナチュラルはおろか、同類で
さえも見下す傾向のある彼にとっては、苛め・虐められの関係であったとはいえ、
かつての幼年学校時代の級友の、それも自分と同い年の戦争に巻き込まれた女の子
でさえも、単なる出世の道具としか見ていないみたいだ。ザフトに虜囚として送検
されたキラが、その後、どんな目に遭うかなど知ったことではないのだろう。

「それにしても、こいつ。幼年学校の時は、ピーピー泣き喚くしか能のない痩せっぽちの
色気のないガキだった癖に、しばらく見ない間に随分と女っぽくなりやがったな」
IDカードを探す際に、キラの豊満な肢体を弄っていたマイケルは思春期の少年らしく、
キラの身体に劣情を抱き始めた。ヘリオポリスに移ってからの三年間の成長期に、
バストサイズが9cmも発育したのは、キラの密かな自慢だったりする。

「こいつは軍に引き渡す前に、色々と楽しまないと損だよな」
後の世で「最高のコーディネイター」として伝説となるキラと対比するかのように、
一部から「最低のコーディネイター」との悪評を得ることになるマイケルは、
早くも、その下種振りを発揮して、卑しい笑顔を閃かした。

93私の想いが名無しを守るわ:2004/03/15(月) 19:56
キラ(♀)×フレイ(♂)キタワァ・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!

94流離う翼たち・433:2004/03/15(月) 21:08
 マドラス近海では、1隻のザフト潜水空母がマドラス港を監視していた。その中にはもう執念さえ感じさせるしつこさでザラ隊とジュール隊が乗っており、アークエンジェルをここまで追って来たのである。
 潜水艦内に自分用の部屋を与えられたアスランは、そこのモニターからじっとマドラスを見ていた。

「・・・・・・キラ、フレイ、お前たちはそこにいるのか?」

 アークエンジェルがいる以上、それは分かりきった問い掛けである。敵として出てこれば今度こそ倒すと決めているのだが、あそこに居ると思うともう一度会って説得したり、話がしたいという気持ちも出てきてしまう。やはり、顔を知っている相手と戦うのは良い気がしない。
 アスランがそんな事で悩んでいると、何時ものように書類の束を抱えたエルフィが入ってきた。

「隊長、今日の仕事ですよ」
「・・・・・・1日くらい書類を見ない日が欲しいな」
「平和になったら幾らでも満喫してください」

 ピシャリと言ってエルフィはデスクの上に書類の束を載せた。それをパラパラめくりながらアスランは嫌そうに顔を顰める。そこにはまたしても部下たちの出した始末書やら他部署から苦情が積み上げられている。なぜか上司に関する苦情まで混じっている。アスランが世を儚むのも仕方が無いだろう。最近、比喩ではなく生え際が後退しているし、胃薬の量も増えている。精神安定剤に手を出す日も遠くは無いだろう。
 それを見たエルフィは仕方なくモニターに手を伸ばした。

「そういえば隊長、マドラスのTVが入るんですよ。気晴らしにどうです?」
「TV? そうだな、それも良いか」

 アスランが同意したので、エルフィは早速モニターを操作してマドラスのTV用電波を受信させた。そして、最初に飛び込んできたのは、なんとも奇妙な宣伝であった。

「何をしている!」
「はぁ?」
「うちの会社の規則を見ろ!」

 上司が指差す先には、天井から下げられた看板があり、そこにはこう書かれている。
【必ず半ズボン着用】

「さあ、これを穿くんだ」

 上司が半ズボンを手に迫ってくる。彼は焦りながら仲間を振り返るが、そこには半ズボンを穿いた部下たちがずらりと立ち並び「係長、早く穿いてください。規則なんですから」と言っていた。
 彼はズボンを剥ぎ取られそうになりながら電話を取り、とっさに番号を押した。

 部下や上司に恵まれなかった時は、フリーダイヤル○○○−×××××・・・・・・

「ヘルプゥゥゥゥゥ!!」
『はい、スタッフサービスです』

95流離う翼たち・434:2004/03/15(月) 21:10
「・・・・・・なんでしょうね、この宣伝?」

 顔に苦笑を貼り付けながら振り返ると、何故かアスランは電話を手に外線に繋ごうとしている所であった。エルフィの顔が僅かに引き攣る。

「た、隊長、何をしてるんですか?」
「はっ!?」

○○○−××まで押した辺りで我に返ったアスランは、なにやらジト〜とした目で見てくるエルフィの視線に耐えられないように慌てふためいて弁解を始めた。

「ち、違うぞ、別に俺はイザークやディアッカの代わりの部下を派遣してもらおうとか、クルーゼ隊長の代わりの上司が欲しいなんてこれっぽっちも思ってないぞ。ましてこいつら居なくなれば仕事が減って助かるなあ、なんて欠片も考えてないからな!」

 思いっきり本音を暴露しまくるアスランに、エルフィは情けなさの余りひたと壁に手を付いた。

「隊長、一応お2人とも赤を着るザフトのエリートなんですよ。それをなんです。ちょっと手がかかるくらいでスタッフサービスに変わってもらおうだなんて、何考えてるんですか?」
「いや、もしかしたら意外と優秀な社員が派遣されてくるかも」
「仮にそうだとしても、民間人を戦わせるわけにはいかないでしょう。それにクルーゼ隊長の代わりなんて、本気で言ってるんですか?」
「いや、クルーゼ隊長と話すだけで最近は胃が痛いし、このままだと俺は胃潰瘍で後送されかねん」
「それはそうですけど・・・・・・」

 アスランの胃薬使用量が増えている事を知るエルフィは、アスランの言葉に渋々頷いた。確かにこのままだとアスランは胃を壊して倒れるだろう。

「でも、本当に派遣してもらったら、どんな奴らが来たのかな?」
「そうですねえ・・・・・・有名なサーペントテイルの群雲劾とか」
「ああ、それはそれで扱い辛そうだなあ」

 はっはっはと笑い会う2人。だが、その時マドラス基地でクシャミをする目付きの鋭い傭兵が居た事を2人は知らなかった。

96流離う翼たち・434:2004/03/15(月) 21:50
>> 過去の傷
ミリィが豪快に壊れている。不味いです、精神不安定すぎです
フレイ様はフリーダムにって、流石に無理では。ここはM1で艦隊防空にした方が
カガリは何を怒ってるのでしょう? アストレイはMBFシリーズの通称の筈ですが
マユラたんが生きてた!?

>> ザフト・赤毛の虜囚
グングニルですか。イラクで使ったE爆弾をイメージしたんでしょうが、あれだけ放電するなら歩兵は全員黒焦げだ! と画面にツッコんでましたなw
フレイ様はあれを受精とイメージしましたか。想像力が豊かだ。
次回のミリィの転機は何なんでしょう?
あと、サイとカズィの台詞はGS御神に出てきたギャグ台詞ですw

>> 白い羽
テーマは祝う人無き誕生日ですか。一年後ですね。場所は雪が降ってるから地球でしょうか?
なんだかしんみりとしました。

>> キラ(♀)×フレイ(♂)
おお、久しぶりのフレイ君以外の悪役登場。キラは幸運の女神に忌み嫌われてますな
でも、フレイ君の目に適う悪党第1号とは誰です? プラントに戻ってるというからにはコーディなんでしょうが
AAクルーはキラを見ると逃げ出すほどの敬遠ぶりですか
何気に頑張って探してるモラシムが哀れw

97過去の傷・81:2004/03/15(月) 21:55
「キラさん、可愛いね」
「え?・・・その」
「やめろ・・・それよりマユラ、お前も実戦練習どうだ?」
「え?私ですか・・・う−ん・・・いょっと見学します・・・キラさん♪あとで、カガリ様もまた・・・」
そう言うとマユラは去った。

「まったくなに考えてんのよ!顔赤くしちゃって馬鹿じゃないの!!!」
「いや、ただ挨拶しただけなんだけど・・・」
「それでも駄目なの!私以外の女とは食事なんてもってのほか!部屋に行くのもだめ!二人で話しをするのもだめ、目を合わすのもやめて!」
そう言うとフレイは機体に乗った。
「・・・・・・」(行動が限られる・・・)
聞いていたカガリは・・・。
「お前、大変だな・・・ご愁傷様」

ラクスはミリィを抱きしめるとキスする寸前で止める、というよりラクスの唇とミリアリアの唇がかなり接近している、ほんとに当たりそうなぐらい・・・。
サイが呆然とした表情で声をかける。
「あの・・・なにを?」
はっと目を開けるミリアリア。
「や・・・いや!きゃあ!!!」
ラクスを突き放す。
「な・・・なにをするんですか!?私そういう趣味は・・・」
「ちょっとショックを与えてみたんです、効果抜群でした、それでも目を覚まさなかったら・・・衝突してたかもしれません」
ラクスは笑顔で答えた、サイとミリアリアは今一度この歌姫の怖さを知った。

結局カガリがストライク・ル−ジュ・・・フレイはフリ−ダムにそれぞれ搭乗した。
ブリッジにいるキラにカガリから声がかかる。
「おい、キラ、ナチュラルのフレイにフリ−ダムなんか操縦できるのかよ」
<いいんだ>
そういいのだ、彼女は普通のナチュラルじゃないのだ、二ュ−タイプなのだ。
<では訓練・・・いや実戦練習のル−ルを説明するよ・・・まず機体の損傷が半分以上になるかエネルギ−切れになった状態で負け>
「分かった」
「分かったわ」
<そして・・・一応安全は第一に考えてちゃんと脱出しやすいようにしてるけどもしものことを考えてコクピットは狙わないこと、それからこれあくまで練習だからあまりむきにならないように・・・いいね>
「大丈夫だ」
「キラ・・・分かってるわ」
<機体は起動してるね・・・フレイ・・・無理しちゃだめだよ、体を第一に考えて・・・頑張って・・・>
「え?キラ・・・うん・・・ありがとう」
フレイは頬を照れるように赤く染める。
「まったく見せつけてくれるよなあ」
カガリが面白くないようにつぶやく。
<あ、キラさんいた!>
「その声マユラか!?」
「・・・キラ・・・」(私がいないところで他の女と話すなんて・・・浮気だわ、完全な浮気よ・・・キラ・・・)
<え、ええと・・・さあ準備は整ったところで・・・>
「・・・・・・」
「・・・・・・」(頑張るわ)
<・・・練習開始!>
二つの機体が同時に動いた。

98過去の傷・作者:2004/03/15(月) 22:22
>>ザフト・赤毛の捕囚
フレイ様らしいというか、でも怖いなあ、それにしてもフレイ様の想像力に私は・・・そして次はミリィですね、これも楽しみにさせていただきます。
>>白い羽
キラ・・・そうだ、それでいい・・・しんみりしてますねえ、でもフレイさんの幸せにって・・・心にぐんときますね。
でもそう、いまのキラには歌姫ラクス嬢がいる・・・フレイ様はキラが誰と結ばれようと幸せになってくれるといいんでしょうね、これからもキラを本当の想いで守る・・・。
>>キラ(♀)×フレイ(♂)
悪役登場しましたね、キラは遠く見られてますな。
可哀相な気がしますね、女の子だからなおのことです、う−む・・・難しいですね、どうこれから皆の向き合っていくんでしょうか?
>>翼たち
エルフィというのはしっかりしてますね。
なにげに少し度胸もありますし、しかしアスラン、君それは少し嫉妬してるんですな、彼はいつも・・・。
こんな部下でよかったですね。

99刻還り:2004/03/15(月) 23:37
先の戦争により家を失った村人達は隠れ家へと移動し生活を行っている。
そこには少なからず子供達の笑みがある。
笑みは戦争を一時忘れさせる。
だが、戦争とは切っても切れない関係のモノがこの場にはある。
アークエンジェルだ。
艦内ではいつ戦争になっても対処できるように整備が行われている。
キラもストライクの整備に勤しんでいる。
それはパイロットの仕事であり、コーディネーターであるためキラ自身でしたほうがやりやすいからであった。

「接地圧に、熱滞留、重力値の設定で・・・」

宇宙と地上での戦争の違いを考えながら、端末を操作する。

「キラ。」

自分を呼ぶ声を聞き、キラはコクピットより顔を覗かせる。

「フレイ。」

寝ているはずのフレイが起きていることに驚く。
ひとまず、端末をしまいストライクから降りるキラ。

「もう、起きて大丈夫なの。」
「ええ。先生からも了解を得ているわ。」

と言って笑みを浮かべる。
キラはドキッとして顔を赤くする。
キラを赤くさせる笑みはすぐさま、真摯な表情へと変わった。

「キラ、また戦争したのね。」
「えっ、う、うん。」

哀しみの表情を浮かべるフレイ。

「キラ、辛いでしょ?」
「仕方がなかったから。誰も死んでほしかなかったんだ。」

俯くキラ。
それはフレイが見たくない、させたくないこと。
キラが戦争をしていると感じた時に決意。

「もう戦争しないで。」
「無理だよフレイ。ここはザフトの勢力圏、アークエンジェルは必ず狙われる。僕がやれることをしないと護れない。護りたいんだ。」
(君を護りたいんだ。)

想いを胸に抱き、キラは自分の意思を伝える。
だが、フレイの意志はキラとは違う。

「キラが傷つくなら、護ってくれなくていい。」



「えっ・・・。」

フレイの言葉に自分という存在が崩れそうになる。
この場にいれるのは、自分に力があるためだとキラは考えていた。
そうでなければコーディネーターがいる必要がない。

「そいつは無理ってもんだ、お嬢ちゃん。」

二人の会話に割り込んできたのはマードックである。
マードックは頭を掻きながらゆっくりと二人に近づく。

「坊主を心配するお嬢ちゃんの気持ちもわかるが、アークエンジェルが堕とされたら意味無いだろ。」
「そ、そんな・・・」

フレイは俯き言葉を失う。

「坊主もそんな顔をするな。お嬢ちゃんはお前のことが心配だから言ったんだ。わかるだろ?」
「はい・・・。」

キラはフレイを見る。
フレイはただ俯いている。
哀しみを宿した姿である。

「ほら、坊主。」

マードックはバンッと背中を叩く。

「痛ぅ。何するんですか?」
「お嬢ちゃんの心配を払拭させてやれ。」
「は、はい。」

マードックに促され、キラはフレイに話しかけた。

「フレイ、心配してくれたありがとう。僕は大丈夫だよ。でも、もし辛くなった時あったら正直に話すよ。」

キラは精一杯の笑顔を作って言った。

「キラ・・・。わかった、約束よ。」
「うん。約束する。」

頷きながらも、フレイの表情はさえない。
それでも、キラの言葉を信じるしかない現実がそこにあった。

100散った花、実る果実37:2004/03/15(月) 23:38
「リスティア!おはよう・・・・あの・・・・」
私は勢い込んでリスティアを呼び止めた。
「・・・・おはようございます・・・・なんでしょう?」
昨日のクルーゼ隊長の言葉が私の中でいつまでも回っている。
『いずれ君にも役にたってもらえるのでは、と期待しているのだよ』
今、私ができることはなんだろう。
この艦の中で、私のできること。まず知ること。それから。
「何か、私にできる仕事はないかしら。何もしていないのも落ち着かなくって」
「あなたにできる事って・・・・」
リスティアは虚を衝かれたような表情で私を見つめている。
「何よ、変?」
リスティアにはふくれて見せるけど、変だと思う彼女の気持ちもわかる。
昨日までの私は、本当に後ろ向きだった。
自分の可哀想な境遇に酔って、地に足をつけて生きる事を考えていなかった。
私は昨日、一晩考え抜いた。
私はなんのためにここにいるのか。
今はまだ、例えばクルーゼ隊長が私に期待している何か、それに答えることはできないだろう。
でも、何もしないではいられない。
彼が何を考えているのかは、一晩考えてみてもわからなかった。
でも、誰かの役にたつ、というその発想は私のここでの支えになり得るような気がした。
何かを目標にしていなければ、この私と相容れない世界で押しつぶされてしまいそうな気がしたのだ。

「そうは言っても・・・そうね、お茶汲みくらいかしら?」
え・・・お茶汲み?
「だって、やっぱり軍事的なことは捕虜には任せられないし、同じ理由で事務仕事も駄目だし、雑用くらいしかないんだもの・・・」
しょげたように言い訳するリスティアを見ていると、昨日の拒絶が嘘のようだった。
「じゃ、お茶汲みやるわ。お茶っ葉の場所とか教えてよ。」
ここは年上らしく、私から一歩歩み寄ってあげよう。
違う人間だって拒絶されても、もう私はここで生きていくしかない。
お互い違う中でどういう関係を作っていくかって、きっとそれも大切な事だから。

101刻還り:2004/03/15(月) 23:39
「青春だな。」

二人の感じがなんともほほえましく、マードックはうんうんっと頷く。
今のキラを見ればまさに、年相応の少年である。
とても、MSに乗って戦争に出ているとは思えない。
だからこそ、それが歯がゆいものでもある。

「を、いたいた。」

声の主はフラガ。

「探したよ。」
「坊主ですか?」

フラガの言葉にマードックが反応する。
だが、フラガの探していた相手はキラではない。

「違う違う、俺が探していたのはこの子。」

と言って、フレイを指差す

「え、私ですか?」
「そっ。」

驚くフレイに、軽く応えるフラガ。
フラガはそそくさとフレイを促し、格納庫から連れ出していく。
それをキラとマードックは唖然と見ていた。



「さあ、ここだ。」

ある部屋の前に促される。
プシュッというエアー音とともにドアが開かれ、フレイは中に入る。

「ラミアス艦長、バジルール中尉。」

そして、フレイの後から入ってきたフラガ。
つまり、この場にはアークエンジェルの責任者が集まっているのだ。

「もう身体は大丈夫かしら。」

正面に座っている、マリューがフレイの体調を心配して声をかけた。

「は、はい。」
「そ、それはよかったわ。」

マリューはホッと息を吐き、ほがらかな表情を見せる。
しかし、すぐに真剣な表情へと変わり、フレイの目を見る。

「なぜ、この場に連れてこられてかわかるかしら?」

マリューの言葉に少し考え込むフレイ。
思いつくことは唯一つ。

「ストライクに勝手に乗ったためですか?」
「ええ、そうよ。」

頷くマリュー。

「とりあえず、訳を聴こうかしら。」

フレイはマリューだけでなくナタル、フラガの視線を強く感じる。
緊張のあまり震えてきそうだが、それを我慢するように俯く。
そして深呼吸をし、正面を見て胸を張って言った。

「シャトルを、キラ達を護るためです。あのままではシャトルはデゥエルに撃たれていました。」
「そうね、結果的にそうなったと言えるでしょう。」

事実、フレイが知っている通りにデゥエルはシャトルを撃とうとし、フレイはそれが視えた。
フレイは自分の行為が正しかった感じていた。

102刻還り:2004/03/15(月) 23:41
しかし、その行為は万人に対して正しいものではない。

「アルスター二等兵、君の行為がどれほど危険な行為であったとうことを理解していないようだな。」

今まで黙って見ていたナタルが口を開いた。

「えっ・・・」
「君が勝手にストライクで出撃したことによって、クルー全員の命が危機に瀕したのだ。」

ナタルの言葉を聞いて驚くフレイ。
次第に、その意味がわかってくる。
ナタルは言う。
まずは、ストライクが出撃しなくてもアークエンジェルがザフトを振り切れる可能性が十分にあったこと。
ストライクが出撃したことにより、大気圏突入のタイミングを失う可能性。
ストライクが堕とされる可能性の高さ。
そして、アークエンジェルの現状。
目的地への困難さ。

「アルスター二等兵。君の行為は重大な軍規違反だ。」

その言葉はフレイだけに言ったのではない。
最高責任権をもつマリューにも言っているのだ。
その証拠にナタルはマリューを見ている。
マリューとナタルの間に沈黙が流れる。

「銃殺刑と言いたいのかい?バジルール中尉。」

声を発したのは以外にも今まで黙っていたフラガであった。
その言葉にフレイは恐怖を思い出し、震えだす。
ナタルはフラガの質問に沈黙で答える。
沈黙は肯定。
それは世間一般の常識である。

「それはやめた方いいと思うんだよね。俺は。」
「なぜですか?ヤマト少尉ときとは違います。彼女はすでに軍人です。」

厳しい口調のナタル。

「亡くなったアルスター事務次官は結構有名な官僚だろ。そして、彼女はその娘だ。その子を軍規違反とはいえ殺したとあっては上、それに政治屋は黙っていないだろう。」
「だからといって、規律を乱すようなことはできません。」
「規律を乱すんじゃなくて緩めるってこと。ダメかな、艦長?」

突然ふられ、呆気にとられるマリュー。
だが、フラガの案はマリューにとって魅力的であり、マリュー自身もフレイの処置を重くするつもりはなかった。

「そうですね。」

と言って、マリューは表情を緩める。

「営倉に5日間。アルスター二等兵、これがあなたへの処罰です。」

それを聞いて、フラガはにこっと笑い、ナタルは苦虫を潰したような納得できない表情、フレイは張り詰めていた緊張がほぐれホッと息を吐く。
フレイは自分をかばってくれたフラガを見ると、ウインクをしていることに気付く。
まるで『よかったな』っよ言っているようだ。
フレイは、この場の3人を見て頭を下げる。

「ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」

キラ以外に自分を護ってくれている存在を感じたフレイ。
その中にはナタルも入っている。
ナタルはドミニオンで唯一、自分を理解し護ってくれた恩人なのだから。
この後、ロメル・パル伍長が呼ばれフレイは彼に連れられて営倉へと連れて行かれた。

103刻還り・作者:2004/03/15(月) 23:56
久々の投下となりました。
そして、投下した後にミスに気付きました。
フラガにある役目をしてもらう予定だったのにすっかりと忘れていましたね。
別のポイントで入れなければなりません。

>>流離う
最近、すっかりギャグテイストに染まっていますね。
一時の休息の後、シリアスな展開になることが予想されますね。
さて、逃げたキラとトールは何処に行ったのかな?

>>過去の傷
壊れかけていたミリィがようやく正気を戻してよかったです。
それにしても、歌姫は過激ですね。

>>赤毛
キラの後を継ぐなんて、フレイ様すさまじいい決意です。
どうか無理なさらぬように。

>>白い
悲しい思い出を背負ってキラは生きていくのですね。
なさねばならぬことをする時でも、ほんの一時、フレイ様を思い出してください。

>>散った花
まずはお茶くみですね。
嫌な上司には雑巾の絞り汁が定番ですフレイ様。

>>キラフレ
キラがやばい奴に捕まってしまいました。
助けはいったい誰が・・・
本命がフレイ、対抗がカガリ、穴にカズィでどうでしょう。

104散った花、実る果実/作者:2004/03/16(火) 00:43
お茶汲み補完・・というわけではなく、本当にフレイ様に自主的に働いてもらおうと思ったところ、リスティアに制限されてしまったのです。
フレイ様秘書ライフがここから始まるわけですが、さてどうなることやら。
おちゃらけ番外編でも書こうかな。

>>刻還り
割り込んでしまう形になってしまってすいませんでした。
丁度同じようなタイミングで投下してしまったらしく・・・・
軍事会議ですね。周りの気持ちを汲み取れるようになってフレイ様本当に大人になってきましたね。
一生懸命なところはそのままで、うまく成長してくれたらいいなあ。

>>キラ♀フレ♂
また(腹が)黒い人が登場しましたね。しかし最低のコーディネイターって。(笑)
しかしフレイ様の観察眼はすごいですね。でもここで一発王子様のようにキラを助けに行ってあげてほしいです。

>>赤毛の虜囚
フレイ様、戦争の問題点に気づくという所ですね。
本編を考えるとこの辺で問題に気がつき自分の過ちに気がつく、という感じを受けるのですが、やはりこの近辺はテーマが重くなりますね。
それはそうと、フレイ様ご懐妊でしょうか?だったら無事出産してほしいなあ。

>>The Last War
世界の救済。それは彼等にとって、結局世界の破壊ということになってしまうのでしょうか?
キラ達は今度こそ彼等の悲しみを救ってあげることができるのでしょうか。

>>流離う
おお人事、おお人事。
アスラン、いっそのことAAに転職しましょう。今ならフレイ様のハリセン付!お得!!

105ミリアリア・あの子許せない 73:2004/03/16(火) 02:38
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 1/4
[私だけだ、そんなキラがイヤなのは]

カズイがアークエンジェルを降りた。私服に着替え、軍から支給されたバッグに
持ち出しを許された私物を詰めて、カズイは出て行った。それをサイと私、キラが見送った。
見送るキラの傍らには、なぜかカガリさんもいた。カガリさんは、カズイとはあまり話をして
いないはずだけど、やはり自分が乗っていた艦のクルーが去って行くのは寂しいのか、
悲しそうな顔つきをしていた。

「寂しくなるわね」
同時に見送っていた艦長が私達を見て言った。フラガ少佐も頷いていた。

キラは終始無言だった。見送った後も、踵を返すようにモビルスーツデッキに歩きだす。
カガリさんはキラに付き従うように、それを追って行った。キラを見るカガリさんの
横顔は陶酔するような感じが伺える。レジスタンスの時の、直情的だけど、
ピリピリと毅然とした雰囲気が見られない。クールなキラに、変わってしまったキラに
惹かれている。

フラガ少佐も、ストライクのチェックと演習のために、キラとは反対方向のデッキに
向かって行った。残ったサイと私に、艦長は言った。
「あなた達は残るの?」

「はい」
サイは速答した。その目には決意の色が伺えた。

「ミリアリアは、どうするの?」
艦長の問いに私は答えられなかった。そんな私を艦長は一人自室に招いた。
艦長は感慨深く話しかける。

「ミリアリア、ナタルもフレイさんも艦を降りて、最初からのクルーで残っている女性は、
 もう私達二人だけ。寂しくなっちゃったわね」

私は、あの子が降りて寂しいとは思わない。罪悪感は、疼くけど……
バジルール中尉も、本当に、いつも叱られていた思い出しか無い。艦長とは想いは違っている。

「ミリアリア、あなたは、どう考えているの。これからについて」
「分かりません。戦争はイヤだけど、だけど、逃げても戦争から逃れられるとは思えません。
 だったら、私はどうすればいいのか、考えても、考えても結論は出てきません」

「それなら、私も同じよ」
「艦長は、降りるつもりなんですか」

「できれば、もう、艦長なんて仕事から離れたい。今までも、私が艦長なんて思いもよらなかったから。
 頼りない艦長で、みんな、迷惑をかけて申し訳なく思っている」
「そんなことは……」

「でもね、私、降りることは考えていないわ」
「どうして?」

「こんな私でも支えてくれる人がいるから。ムウや、ブリッジのみんな。そして、キラ君……」
「キラ?」

「キラ君、オーブとの会談でも、ウズミ様との話を、私に代わって進めてくれたわ」
「キラが……」

「人って短期間で、ああも変われるものかしらね。凛々しかった」

宙を見上げるような素振りの艦長。変わってしまったキラ、私の信じられないキラを賛美する、その瞳。
艦長、カガリさん、サイ、みんなそうだ。私だけだ、そんなキラがイヤなのは。
私だけ、私だけ、みんなと違う。

「ミリアリア、あなたの働きもすごいわ。モビルスーツ管制、通信、情報整理。多分、もう、
 CICで、あなたの右に出るものは、そうはいない。強制はしないけど、もし、その気が
 あるなら、また、私を助けて欲しい」

私には、既に艦長の私に対する言葉が耳に届いていなかった。

みんな、今のキラが好きなんだ。
変わってしまったキラが好きなんだ。
昔を振り返りもしないキラが好きなんだ。
あの子が変えてしまったキラが好きなんだ。

「いや! 不潔よ」
「どうしたのミリアリア?」

「不潔だわ! キラをそんな風に思うなんて」
「ミリアリア、私、そんな意味じゃ…… ミリアリア、あなた?」

艦長が、私のことに気づいたような言葉に、私は顔が真っ赤になった。いたたまれなくなって、
私は艦長室を飛び出した。

通路を力なく歩く私には、今、頼る人がいなかった。サイさえも頼ることができない。
私は、孤独感にさいなまれた。トール、もう私にはあなたしかいないの?

106ミリアリア・あの子許せない 74:2004/03/16(火) 02:43
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 2/4
[しまったな……]

当ても無く通路を歩いていた私は、ふと気づくとディアッカのいる独房のあるドアの近くにいることに
気がついた。捕虜のディアッカに、私の悩みを解決できるはずは無い。でも、話す相手さえいない
今の私は、すがるような思いで、独房のある部屋に入って行った。おそらく、監視カメラが様子を
映しているだろうけど、オーブから宇宙への打ち上げ準備で忙しい中、特に意味も無い捕虜の
監視カメラなど誰も見ていないことは、私自身が知っていた。
私の入る物音で、ディアッカは起き出して来た。

「ミリアリア、いや、あなた様……」

変な呼び方。まだ、やってる。しまったな……。名前をすっかり覚えられてしまったと後悔する。

「ねえ、ちょっと話聞いてくれる。聞いてくれるだけでいいから」
「なんだ、その……キラってやつのことか?」

「キラとか、私のこととか」
「俺が聞いて言いのか?」

「いいから、おとなしく聞きなさい」

私は話した。キラのこと、私のこと。今の想いを。私は鉄格子の前に横向きに座り込み、
膝を抱えながらディアッカに話し込んでいた。

「キラはね、MIAから帰ってきて、変わったのよ。それまでは、あの子のせいで変わったと
 思っていたけど、あの子がいなくなっても変わったままだった」
「あの子って、いったい誰なんだ? 女?」

「あの子は、あの子よ。アンタには、それでいいの。
 キラは、戦争全体を見るようになって、立派だとか言って、みんな頼るけど、
 同時にキラはね、冷たくなった。残酷になった。秘密のためなら私でも殺すかもしれない。
 昔、あんなに優しかったのに。いつも私達と親しく話していたのに。つまらないバカ話ばかり、
 それでも、私は、そんなキラが好きだったのに」
「だがな、軍人だろ。軍に入っちゃ、そうも言ってられないだろ」

「違うわ、キラも私も戦争に巻き込まれたのよ。ヘリオポリスにアンタ達が攻めて来て、
 私達を守るためにキラはストライクで戦うしかなくて。それで、やっと逃れて、
 元の生活に戻れると思ったのに。あの子が、キラを戦争に駆り立てた。
 キラを誘惑して、貶めて。私からキラを奪って。
 ずっと戦ってばかりで、キラの心は変わっていった」
「なんで、そのキラばかりなんだよ。戦艦には、いろいろ軍人がいるんだろ」

「ストライクを動かせるのはキラだけだったもの」
「キラだけって、まさか」

「キラはコーディネータよ」
「なんだって! そうか、道理で手ごわい訳だ」

「なによ、今さら……」
「じゃあ、お前コーディネータに……」

「悪い? 私もトールもコーディネータとか、そういうの全然気にして無かったわ。
 キラはキラだもの」
「じゃ、俺のことも、そう思うのか?」

「別に、アンタのことコーディネータだからって恐がったり憎んだりしないわよ。
 ただ、下品なアンタそのものを嫌いなだけ」
「おい! だったらなんで俺なんかに?」ディアッカは、腹を立てたように、私に聞いた。

「誰も相談する人がいないの。変わったキラをみんな好きなのに、私だけイヤなの。私一人違うの。
 誰にも打ち明けられなくて。大嫌いで無関係なアンタなら話してもいいかと思って」
「チッ! 人の気も知らないで。で、何を相談したいんだって」

「私、どうしたらいいと思う。みんなキラと一緒に、このままアークエンジェルに残るわ。
 でも、私はキラが信じられない。今のキラといるのが辛い。このまま降りてオーブの
 故郷に帰った方がいいのかな。それとも、キラを信じて、このまま残ったほうがいいのかな」

ディアッカの答えは無かった。当然だ。いきなり言われて答えられるはずは無い。
でも、胸の中に隠していた想いを話すことで、私の心は少し楽になった。

「ありがとね、ディアッカ。話聞いてくれて」
「今度、いつ来る?」

「分からない。もう来ないかもしれない」
「ああ、そうか。こちらこそ、その……ありがとうな、ミリアリア。俺のこと名前で呼んでくれて」

その言葉を聞いて、私は、しまったと思った。油断してた。

「調子に乗るんじゃないわよ。アンタなんか大嫌いなんだから」

私は背を向けて独房を出て言った。なぜか、最後の切なそうなディアッカの顔がしばらく頭の中に残っていた。

107ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/16(火) 02:49
ミリィSS新章です。TV本編だと、話は無くともディアッカへの差し入れが続いていましたが、
本SSでは、話をしたい時に来るだけです。そう言えば、TV本編ではキラがコーディネータなのを、
話すシーンも無かったですが、こっちでは、後の繋がりもあって入れています。

今日は投下多いですね。読むのが大変ですが、盛況で嬉しいです。
>>キラ(♀)×フレイ(♂)
マイケル君の、ちょっと悲惨な過去に同情したりもしたんですが、その後の行動に幻滅。
フレイ(♂)様、こういう小悪党は、遠慮無くのしてやってください。

>>流離う翼たち
アスラン大変そう。中間管理職の悲哀ですね。クルーゼは、現在、どの時分かは分かりませんが、
TV本編で、鍵を見つけたうんぬん言っているころだと、話を聞く人はさぞ胃が痛くなったろうと思います。
イザーク、よく無事でしたね。

>>過去の傷
マユラいきなり復活してキラ誘惑しまくりですね。キラは自分の心をフレイ様に読ませて、フリーダムの
操縦を教えるつもりみたいですけど、誘惑かけられているのまで分かってしまって、変な考えもできず大変そう。
ミリィは、ラクスのおかげで、やっと復活できそうですか?

>>刻還り
フレイ様、やっとキラと話せましたが、思いとどかずでしょうか。その後営倉入りで、また話せなくなるようですが、
少しですからガンバレ、フレイ様。

>>白い羽
いい作品ですね。握り締めるリップスティックに込められた想いが切なかったです。

>>散った花、実る果実
フレイ様、仕事始めましたか。前向きになってきましたね。お茶汲み仕事、なんか、A.A. のころよりも
後退している気もしないでもないですが、これで、クルーゼに水持ってきたり、紅茶持ってきたりする、
あのシーンが拝める訳ですね。

108私の想いが名無しを守るわ:2004/03/16(火) 03:41
>>ミリアリア
ディアミリの描写が面白いです、この小説のミリィは憎みきれない。
可愛いとすら思うな。ディアッカもイイヤツ。
キラに反感を持っている人間は必要だったよなぁ。補完させてもらってます。

>>刻
フレイ様…ガンガレw

109流離う翼たち・435:2004/03/16(火) 21:53
「あら、どうしたの劾?」
「いや、急に鼻がむずむずしてな」
「風邪でもひいたんじゃないのか。健康管理がなってない証拠だ」
「イライジャ、言い過ぎよ」

 ロレッタに窘められてイライジャは不満そうに顔を逸らせた。3人が居るのはマドラス基地の本部で、色々と溜まった事務書類を提出しに来ているのだ。

「ふう、傭兵家業も楽ではない」
「仕方ないでしょ。今は大西洋連邦に雇われてるんだから」
「金払いが良いから文句言えないしな。何しろうちは貧乏だ」
「くっ、ブルーフレームは高く付きすぎる。やはり実弾は止めてビーム主体に変えるべきだろうか。それともロウのように剣一本で頑張るか?」

 言った瞬間、劾は2人に張り倒された。

「劾、装甲の修理代幾らすると思ってるの。前の戦闘なんかメインフレームにまで及んで、家の台所は火の車なのよ」
「レッドフレームは格闘戦使用だろうが。あんた、家を破産させる気か?」
「す、すまん・・・・・・」

 2人に言われて劾は仕方なく謝った。
 傭兵の契約というものにも色々あるが、劾が請けている仕事はMSを擁する傭兵部隊としては普通の仕事である。まず契約期間に応じた基本手当てを渡され、戦闘1回ごとに戦闘手当てを受け取る。敵1機ごとに追加ボーナスを得る。敵機を捕獲したりすれば更にボーナスを出す。
 その代わり、武器弾薬や食料、推進剤、装甲板といった消耗品は全て自弁となる。大西洋連邦から買うわけだ。お情けで調達価格は正規軍の調達価格と同じにしてもらっているのだが、これでもかなり苦しい。サーペントテイルの台所は年中火の車なのである。
 そんな事を話していると、アナウンスがロレッタを呼び出した。

『サーペントテイルのロレッタ・アジャーさん。事務処理が出来ました。13番窓口までお越しください』
「あら、終わったみたいね。劾、次で敵MSをせめて3機は落としてくれないと、本当に大赤字になるからね」
「・・・・・・努力する」

 地球圏屈指の傭兵部隊、サーペントテイルといえど、大赤字は怖いらしかった。ついでに言うと、通帳片手に青筋浮かべるロレッタさんもかなり怖かった。イライジャさんといえば、情報誌を片手に簡単にできるアルバイトなどを探している。もしかしたら隊員の給料さえ支払いが滞っているのかもしれない。

110流離う翼たち・作者:2004/03/16(火) 22:01
>> 過去の傷
キラ、ご愁傷様です。君はやはり不幸の星に好かれているのでしょう
とりあえず、フリーダムが動くかどうかに注目

>> 刻還り
とりあえず、している知識を使うと回りが訝しがる。逆行の定番ですねw
キラはとりあえず余裕ありそうなので、ヘリオ組も壊れないかな。でも黒サイの動きが気になる

>> 散った花、実る果実
頑張れフレイ様、お茶汲みも立派な仕事だ。仕事に貴賎は無いぞ
とりあえずクルーゼのお茶に変な物質を混ぜるのを推奨w

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィガンバですが、卑屈なディアッカが笑えるのは何故w
何となく愚痴のはけ口にされてるディアッカが哀れですが、それもAAヒエラルキーの最下層に位置するが故ですかな

111過去の傷・82:2004/03/16(火) 22:23
<フレイ、バラエ−ナ・プラズマ収束ビ−ム砲は使わないで、威力が高すぎるから、危険だよ、いいね?>
「分かったわ・・・さあ・・・いくわよ、カガリ!貴女はすごく可愛いし大好きで親友だけど・・・容赦はしないわ!」
「私もだ!」
(あのフレイさん援護しましょうか?)
(ティファ・・・ありがとう・・・でもいいわ、私一人で戦いたいの・・・それにカガリだって一人なんだし卑怯な真似は出来ないわ・・・それからこれは私自信の戦いだから・・・ア−クエンジェルの頃は皆が戦ってるのに私何も見ようとしなかった・・・私いたのに!・・・私いつも戦いが始まったらキラの部屋のベッドの中にいつもこもってた・・・キラを・・・皆を見ようとしなかった・・・キラや皆は命かけて戦ってたのに!・・・もう後悔したくないの逃げたりしたくないの・・・もう同じ過ちは繰り返したくないから・・・)
(・・・分かりました、私は見守ってます、頑張ってください)
(ありがとう・・・さあ行くわよ)
フリ−ダムはルプス・ビ−ムライフルをストライク・ル−ジュへ放つ・・・しかし、あまりにも正面で狙いが分かりやすいのか、それを回避される。
「お前射撃下手だな!」(というより馬鹿か?)
「うっさいわね!」
(フレイさん、二ュ−タイプの能力を使ってください、せっかくフレイさんには素質があるんですから、無駄にしちゃだめですよ)
(そ、そうよね・・・ありがとう)
ル−ジュからビ−ムライフルが放たれた・・・。
「は!この感じ・・・正面・・・来るわ!」
回避する。
(いいです、その感じですフレイさん)
「あはは!カガリ♪その程度でどうするつもりなのかしら?」
<当たっても大丈夫だよ、フレイ・・・フェイズシフト装甲とNジャマ−キャンセラ−が防いでくれるから>
「そう、つまりはバリアね、これで思う存分戦えるわ!」
(そうだったな、そういえばル−ジュにもたしか)
ル−ジュが接近してきた。
(こうなったら接近戦だ、素人に負けられるか!)

「キラさん♪せっかくブリッジは二人きりなんだし、楽しみましょうね♪」
「え?・・・いや・・・その」
「デ−ト楽しもうね♪キラさん可愛い♪アサギやジュリともキラさん可愛いって言ってたんですよ、私、キラさんタイプ♪キラさんの彼女に立候補しちゃいま〜す!」
「・・・・・・」
「あ!アスランさん!」
「え・・・?アスラン?」
「どうだ?様子は、お前の大好きなフレイ・アルスタ−は」

(な!こいつほんとに素人か!?強い・・・)
ル−ジュがビ−ムを放つが簡単に回避する。
(私だってやればできるんだから、バリアはエネルギ−を消費するみたいだし、回避よ回避!そして・・・反撃よ!反撃!)
フリ−ダムの放ったクスィフィアス・レ−ル砲がル−ジュに直撃した。

「キラ・・・彼女は一体!?ほんとにナチュラルなのか?コ−ディネイタ−に見えるぞ」
「それよりすごいかもね・・・」(フリ−ダムの操縦が出来るなんて・・・あれで空を飛んだら・・・)
「どういうことだ?」
「彼女は・・・フレイは二ュ−タイプなんだ・・・」
「なんだと!?」(そんな馬鹿な)
「僕にもまだ信じられないよ、実は朝フリ−ダムの操縦の基本について少し教えただけなんだけどね・・・」
「お前、カミ−ユ・ビダンって知ってるよな?実は・・・イザ−クがひそかにカミ−ユのファンなんだと」(ザフトのある時期は俺とイザ−クとミゲルの三人で機動戦士Zガンダムよく見てたなあ・・・あの時だけはイザ−クとは意見合ったんだよな)
「それより、アスラン!カガリが危ない・・・翻弄されてる、そろそろ止めるね、休憩にさせるよ」
(これも二ュ−タイプの力か・・・?なるほど・・・)
「そうか、なら俺は戻る」
アスランは出て行った。
<フレイ、カガリ休憩だよ!>
機体が停止したのを確認するとキラは安心したようにほっと胸を撫で下ろした。
「あの・・・次・・・私、MIアストレイでカガリ様の援護します」
マユラが言った。
「え?・・・別に構わないけど」(それもいいかもね)
「ほんと!?やった!キラさん大好きです」
マユラはキラに抱きついたのだった。

112過去の傷・作者:2004/03/16(火) 22:36
>>刻
フレイ様頑張ってくださいね。
私のサイのことが気になりますね、なにもなければいいんですけど。
>>散った花 実る果実
いいなあ、フレイ様が必死に頑張り努力している姿を見ると、さあ頑張ってください。
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、頑張って。
でもディアッカも可哀相に見えるけど、これも仕方ないですね。
ミリィにはト−ルが・・・。
>>翼たち
ロレッタさん大変ですね。
でも、皆がいれば大丈夫ですよ。
なにげにこの三人合ってるし。

113刻還り:2004/03/16(火) 23:32
フレイが営倉に入れられたことは艦内にすぐに伝わった。
その理由もである。
もっとも、一部を除いたアークエンジェルのクルーはフレイに対して何らかの処罰が下ることは十中八九予想していた。

「フラガ少佐。」

歩いているフラガにキラ、トール、ミリアリアが寄ってきた。
現在、サイとカズイはブリッジに勤務中である。

「ん、どうした?」
「どうしてフレイが処罰されないといけないんですか。」
「そうですよ。フレイは俺達を助けるためにストライクを。」

ずいっと前に出てキラとトールが詰め寄る。
あまりの喧騒にフラガは腰を引く。

「お、おい、落ち着けよ。」

馬をなだめるように二人を落ち着かせようとする。

「しょうがないじゃないか、あの子は勝手にストライクを発進させたんだぞ。」
「僕もしました。」

フラガの言葉に反論するキラ。
しかし、フラガは諭すように話す。

「お前の時とは立場が違うんだ。彼女はすでに軍人だったんだよ。無罪放免ってわけにもいかないのさ。」
「でも・・・」

尚も食い下がろうとするキラ。

「これでも軽い方だぞ。普通なら銃殺刑でもおかしくないんだからな。」

軽い言葉で話すフラガ。
しかし、聞いているほうには重く圧し掛かる。

「銃殺刑・・・」

キラはあの時のことを思い出す。
自分がラクスを連れて飛び出した後、マリューに言い渡された言葉と同じ。
しかし、自分は無罪放免、フレイは処罰を与えられた。
一般市民と軍人の差があるとはいえ納得できない。

「営倉なんて少しばかり窮屈な暮らしになるだけだよ。心配ないさ。」

フラガはキラ達の心配を振り払うかのように笑いながら言う。

「あの〜、具体的にどういう暮らしになるんですか?」

ミリアリアが控えめに質問をする。

「ここの場合だと、トイレ以外は営倉の中だな。」
「え、シャワーも浴びれないんですか?」
「ああ、そうだよ。」
「そんな〜・・・。」

可哀想にという気持ちが一杯につまってるような声だ。

「どうしたんだ?」
「フレイはヘリオポリスにいた頃は一日に二回、お風呂に入っていたみたいなんです。」
「・・・そいつはきついかもな。」

呆れたような声をだすフラガ。
ミリアリアの心配事も三人の男にはわからない。
女の子は綺麗好きなのだ。
同時刻、フレイがくしゃみをしたということは知られていない。

114刻還り・作者:2004/03/16(火) 23:44
さて、次回はみなさんが楽しみにしているアレの予定です。
彼が動くのです。
上手く描写できるかな〜w

>>流離う
ザフトよりサーペントテールにこそおー人事、おー人事ですw

>>過去の傷
精神での会話とはいえ、何気に余裕ありますな、フレイ様w
PS装甲は実弾を無効にするだけだから、ビームはやばくない?

115ミリアリア・あの子許せない 75:2004/03/17(水) 08:08
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 3/4
[ミリアリアにね、不潔って言われちゃった]

私は、ディアッカのいる独房を出た。喋りすぎで喉がカラカラでたまらなかった。
食堂にジュースを飲みに行こうと思うけど、一般用の食堂までは遠い。
仕官用食堂は、すぐ近くにあった。一応、一般兵と仕官の食堂や休憩施設は別れてはいる。
二等兵の私は、みだりに入ってはいけない規則になっている。でも、ほとんど仕官のいない
アークエンジェルでは仕官用食堂は使われていないに等しかった。ノイマン少尉は、曹長から
形ばかりの昇級をした後でも一般用食堂へ顔を出している。艦長達は、自室に食事を運んで
もらうことが多かった。

ドアを開けて覗いてみると、やはり仕官用食堂は誰もいなかった。いけないと思いつつ入って、
自販機のジュースで喉を潤す。そのとき、話しながら食堂に近づいてくる声がした。私は思わず
厨房の影に隠れる。ストローから飲みかけのジュースが口の中に残っている。

仕官用食堂に入ってきたのは声からすると艦長とフラガ少佐だった。ドアが閉まる音がする。

「私、ミリアリアにね、不潔って言われちゃった」
「また、どうしてなんだ」

「キラ君に欲情しているように見えたらしいわ、私」
「おい、マリュー、お前、年下の趣味があるのか」

「まさか。私は叔父さん趣味よ。年上好き」
「ちぇ、それも手厳しいな」

「でも、ミリアリアに、そんな風に見えていたなんてショックだわ」
「ミリアリア嬢ちゃんは、ちょっと潔癖症なところがあるからな」

フラガ少佐の、私の認識、全然違う。私って、そんな風にまわりから見えているの?

「言われてみれば思い当たる節あるもの。私、キラ君に頼りすぎていたかも」
「キラのやつも成長したからな。まあ、相変わらず無理してるところもあるけどな」

「そうね。フレイさんがいてくれたらキラ君も、もう少し気が楽にできたのに」
「しかた無いな。今、考えるとアラスカでの転属は残酷だったな」

「ムウも、フレイさんを一緒に連れてきてくれれば良かったのに」
「戻ってきたのは成り行きでな。正直、そこまで気が回らなかった。面目無い」

「仕方ないわね。そう言えば、ムウは、なぜ最初に転属待ちの艦から戻ったの? アラスカの時。
 そりゃ、サイクロプスのことを知った後は、分からないでもないけど」
「おい、今さら、そんなことを聞かれるとは思わなかったよ」

「んっ!」

艦長とフラガ少佐がキスをする気配がした。そうだろうと分かっていたことだけど、
自分のすぐ近くでしていることで、私は緊張した。飲みかけのジュースを
飲み込むこともできずに、息を潜めた。

「あ、もう…… 私、モビルアーマー乗りは嫌いなの……」
「また、そんなことを。心配すんなよ。俺、今、モビルスーツ乗りだから。ルーキーだけど」

「あっ、あっ ……」

私は、頭の中が真っ白になっていた。身動き一つできず、呼吸さえ停まったかのようになっていた。

「あっ、うくっ …… ちょっと駄目、ムウ。私、今日、まだピル飲んでないの。後で……」
「ん、そうしますか」

艦長とフラガ少佐が出て行く物音がした。私は、急いで仕官用食堂を出て、
自分の部屋に戻った。ベッドに横になった。落ち着かなかった。
声と音だけとは言え、大人の本物の色事を聞いて、私の体は熱くなっていた。
しばらくぶりに、自分で自分を慰めていた。あの子が私と同室のころ、
あの子がキラの部屋に行くたびに、そのことを想像して、嫉妬に狂いながら
していたこと。また、その時と同じことをしていた。

私の頭の中ではいくつもイメージが渦巻いていた。

艦長とフラガ少佐の抱き合うシーン。
そのイメージに重なるサイ。私を抱きしめてキスをするサイは、いつのまにか裸で……
愛撫する手はいつしか別人に変わる。私を躊躇いがちに触るトールに。
そして…… 私の息が荒くなる。
シャワー室で、がっしりした背中に、私は裸の体を押しつける。キラ! 振り向いたキラの顔は、
昔のままの優しい微笑みで……

息を整えながら、徐々に戻ってきた意識で、私は呟いた。

「艦長って違ってたんだ。私の方が不潔だったんだ」

116ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/17(水) 08:11
一応、これで2章くらいから、ずっと引っ張ってたマリューさんのキラ疑惑は決着です。
でも、これでミリィの頭の中がモード変換されていて……

>>流離う翼たち
ついに、外伝キャラまで出てしまいましたか。それにしても、アスランといい、戦争中にも
関らず、小市民的な愚痴の言い合いでおかしくなります。

>>過去の傷
フレイ様、まさにゲーム感覚ですね。なんか強そう。次はカガリ・マユラとの二対一、ガンバレ。
ところで、イザークとアスラン、ミゲル先輩が、カミーユのファンとは…… この三人が仲良く
TVアニメを見ているシーンは、スーツCDの雰囲気だと想像付きませんでした。

>>刻還り
フレイ様、シャワー浴びられないのは辛いでしょう。けど、我慢我慢。ミリィ、フォローしてあげてね。

117流離う翼たち・436:2004/03/17(水) 20:49
 手続きを終えて出てきた3人の前に、無人タクシーから降りてきた奇妙な3人組が現れた。2人は連合の見習い兵士の制服を着ているが、1人はくたびれた野戦服を着ている。傭兵か何かだろうか。

「でも良いの、私たちまで付いてきて?」
「別に構わないわよ。食堂でお昼でも食べて待ってて。支払いは私がするから」
「おお、太っ腹だな」
「・・・・・・なんか複雑な表現ね。私が太ったみたいじゃない、カガリ」
「でも良いのフレイ、あなたそんなにお小遣いあったっけ?」
「准尉になってから給料が二ヵ月分くらい溜まってるからね。二等兵と准尉じゃ給料がかなり違うのよ。だから2人がお茶してるくらいの払いはなんとも無いわ」
「そういや、軍隊ってのは給料に随分差があったな」
「そうなのよねえ。まあ、懐が暖かいのは良いことだけど」

 何やら3人で許し難い事を話している。ロレッタの額に浮かぶ青筋が増え、イライジャが拳を握り締め、劾の肩がピクピク震えている。そして、怒りから出た行動は、実に大人気ないものであった。
 わざととしか思えないが、ぶつかった相手に劾が文句を付けた。

「周りを見て歩け、坊主」
「・・・・・・ぼ、坊主?」

 カガリの顔がいきなり険しくなる。何やら腰が微妙に下がり、喧嘩の態勢を取る。

「お前、そっちからぶつかっておいて、何いちゃもん付けてやがる!」
「はっ、威勢だけは一人前だな、坊主」

 睨み合う劾とカガリ。それを面白そうに見るイライジャとどうしようかと考えているロレッタ。だが、カガリの方はフレイがその手を取った。

「カガリ、関わらない方が良いわよ」
「フレイ、これは私のプライドの問題だ!」
「カガリ? 女みたいな名前だな」

 馬鹿にするような劾の言葉がカガリの堪忍袋を締めていた細い糸を一瞬でぶちきった。頭の中で何かが弾けるイメージが浮かび、誰の目にも留まらぬ速さで右足が振り上げられる。

「私は、女だあぁぁ―――――!!」
「はぉうぁ!!」

 振り上げられた右足が見事に劾の股間にクリーンヒットし、何とも言えない悲痛な声を上げる。そのまま股間を押さえてその場に蹲り、脂汗を流しながらピクピクと痙攣している劾を、カガリは何とも晴れ晴れとした笑顔で見下ろしていた。

118流離う翼たち・作者:2004/03/17(水) 21:04
まあ、元ネタはZの序盤を見てくださいw
ヒントは声優

>> 過去の傷
フレイ様、まさか自由を動かすとは。何時からそんなに頑丈な身体にw?
鬼の居ぬ間にとばかりに迫るマユラたんが強い

>> 刻還り
さあ、頑張れフレイ様。でも営倉入り。
次回は遂に彼が暴走!? でも、その前に虎と会うのかな

>> ミリアリア・あの子許せない
頑張れミリィ、世の中少しは汚くないとやってられないぞ
大人組みは濃厚に行ってますなあw

サーペントテイルは何故か貧乏w まあ、裕福な傭兵なんて滅多に居ないんですが
実際に戦争帰りの人の手記を読んでも、兵士は漫画みたいに落ち込んだり理想持ったりなんてしてませんよ
国に帰ったら何するかとか、前向きに考えるようにしてたみたいです
というか、後ろ向きな人は直ぐに死ぬか、戦争神経症にかかって病院送りになるそうです

119過去の傷・83:2004/03/17(水) 21:41
「ちょっと・・・あの・・・」
「照れた顔のキラさんも可愛い、こんな彼氏欲しいなあ、アタックしてもいいですか?キラさん、貴方に惚れました、この想いずっと伝えたかったんですよ、年齢的にも近いし、私と付き合いませんか?いつでも私待ってますから、いい返事くださいね♪」
マユラは去って行った。
「・・・・・・」
仕方なくキラはマユラの後を追った。

「カガリ様〜」
「な!マユラ!?・・・はあ、疲れた」
「どうしたんですか?でももう完敗でしたね、カガリ様弱い〜だって手も足も出なかったじゃないですか」
「うるさいな、お前そうはっきり言うなよな!もうちょっと遠慮というかだな・・・」
「だってそうだもん、あ!キラさん♪」
「や、やあ・・・それよりカガリ大丈夫?」
「あ、ああ・・・あいつ強いぞ・・・」
「・・・・・・」(カガリでは苦しいかな)
「ところでキラさん彼女いるんですか?私いまフリ−ですよ」
カガリが、目を閉じると言う。
「マユラこいつには手を出すな、彼女?いるぞ・・・超美人の彼女がな、まずお前じゃ勝てない」
そう、キラにはいまもうちゃんとした彼女がいるのだ、キラにとっては心のオアシスでもある存在だ、ずっとゼミの頃から気になっていた・・・憧れていた女の子、そうア−クエンジェルの頃の関係は微妙な関係だったが今はもう胸を張って恋人同士と言える。
「ええ!?そうなんですか〜そんなに綺麗な人なんですか?私でも勝てないなんて・・・」
「ほらあの翼の白い機体を見ておけ、いまから出てくる」
フリ−ダムから赤い髪の女の子が出てくる、こうして今一度見てみるとほんとに可愛い。
「キラ・・・私・・・疲れた・・・」
「フレイ、お疲れ様」
「この人がキラさんの彼女ですか?まあ綺麗ではありますけど・・・」
「だろ?・・・フレイ・・・お前才能ありすぎるぞ」
マユラがとんでもないことを言い出す。
「でも別れちゃったらいいじゃないですか〜キラさん♪・・・この人に飽きたらいつでも私と・・・」
「え!?いやその・・・」
フレイがだんだんと顔が険しくなりマユラを睨み付ける。
フレイが口を開きかけたときだった。
「ああ、もう喧嘩はやめろよ!よしキラもう休憩はいいからまた実戦練習だ!」
「うん、そうしよう」
「次は私も出撃します、カガリ様援護しますよ」
「そうか!助かる!」
「・・・・・・」(まあどうせザコでしょ、だいたいマユラとかいう女一体なんなのよ、私のキラになれなれしくするなんて・・・まあ丁度いいわ、思う存分痛めつけてあげる・・・)

<よしじゃあ機体も出撃したところで・・・練習開始!>
「さあ、あんたたちいつでも来なさい、私がモビルス−ツ戦の厳しさを教えてあげるわ!」(キラが・・・好きな人が見てくれてるもの・・・とても恥ずかしい姿なんか見せられないわ)

120過去の傷・作者:2004/03/17(水) 21:55
>>刻
フレイ様可哀相です、でも仕方ありませんかね。
そして彼が暴走ですか、どんな騒動を巻き起こす?
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィの心理が面白いです、どうやってこれから突き進んでいるんでしょうか?マリュ−さんとフラガさんのやりとりを見た後ミリィがどういうふうに変わっていくのか楽しみです。
>>翼たち
ああ、衝突していまいましたか、カミ−ユもカガリも短気な性格ですからね、でも間違えたほうが悪いですね。
次が気になります。

121ミリアリア・あの子許せない 76:2004/03/18(木) 03:08
第2部 5. 私だけ違う、私だけ…… 4/4
[なんで私を奪ってくれないの?]

「んっ! んん……」

ここは私の四人部屋。実質は、私の個室。私は、サイにキスをしている。本物のキスを……
ゆっくり付き合いたいと思っていたサイ。それを、今日は私から誘っている。
昨日のことが、私の頭の中にある。

──「あ、もう…… 私、モビルアーマー乗りは嫌いなの……」
──「あっ、うくっ …… ちょっと駄目、ムウ」

艦長とフラガ少佐の声と音の記憶が、私を熱くさせている。

私達は、互いに声を呼び合う。サイの手が、私の腰にかかっている。
私の息が荒くなる。私はサイに体をピッタリくっつける。そして、じっと感触を確かめる。
だけど、私の心の中には別のイメージが渦巻いている。昨日、私に蘇っていた、いやらしい妄想……

シャワー室で、キラのがっしりした背中に、私は裸の体を押しつける。私の体が直接キラに
触れている。私の体すべてがキラに触れられている。柔らかい膨らみもすべて……

押しつけた体に、サイが少し戸惑って離すようにする。

「ミリアリア、これぐらいにしよう。これ以上すると俺……」
「サイ、どうして……」

「ミリアリア、ゆっくり付き合いたいって言ってたことあるよね」
「いいのよ別に」

「ミリアリア、今日は、どうしたんだい」
「どうもしない」

サイは、私から完全に離れると壁にもたれるようにして言った。

「俺、フレイのこと、完全に吹っ切れたと思ってる」
「そう」

「だけど、ちょっと違うんだ、フレイとのこと。フレイは俺達とは違うみたいなんだ」
「生まれのこと? 結構、いいとこの出身だし、でも、それだったらサイだって」

「そういう意味じゃないんだ。俺の親父が言ってた。オーブで会った時」
「そう言えば、前のオーブでの面会から、サイのフレイを見る目、変わった気がする」

「フレイの親父さんが亡くなって、婚約が事実上解消になって、親父も、お袋も良かったって言ってた。
 フレイは、自分は地球生まれだって言ってたけど、本当はコロニーで生まれたんだって。
 L4コロニー郡。あのバイオハザードがあった」
「それって……」

L4コロニー郡、コーディネータや遺伝子研究のメッカ。そして、何回かバイオハザードがあり、
数年前にもコロニー自体が廃棄された事件があった。そのためか、ここで生まれた人はナチュラルでも、
少し引いた目で見られる。偏見だとは分かっているのだけど。

「それにさ、信じられるかい? フレイってさ、…… いや、そんなことなんて……」
「?……」

サイは、嫌な考えを追い払うように激しく首を振った。

「…… とにかく、違うんだよフレイは。親父は、あんな娘と縁が切れて良かったって言ってた。
 それから、俺はフレイを、まともに見れなくなった。あんなに一緒だったのに。
 フレイに触れるのさえ、恐ろしくなって」
「サイ……」

サイは、まだ、あの子のことを何か隠しているような気がした。でも、私は、あえて詮索しようとはしなかった。

「だから、ミリアリアと、急に、こうしてても不安になる。もう少しお互いを分かり合いたい」
「そんなこと無いわよ。私、そんなこと無いから」

私は慌てて否定する。心を見透かされるのを恐れるように……
サイは話題を変えた。

「ミリアリアは決めたかい。アークエンジェルに残ること」
「サイは私に残って欲しいの?」

「いや、そんなこと言えないよ。君が決めなきゃ」
「サイが決めてくれたら、私も残る……」

「カズイみたいなことを言うなよ。みんな違うんだ。自分で決めなきゃ」
「違う?……」

「みんな、違うんだ。それぞれ理由はみんな違う。でも、それでいいんだよ。
 人の意見なんて当てにならないよ」
「サイはどうなの?」

「俺は、できることがある。確かにキラに比べたら大したことないけど、キラは、
 俺にしかできないことがあると言ってくれたから。俺はアイツを信じる」
「違う……」

「どうしたミリアリア?」
「ううん、何でも無いの」

「行くよ、ミリアリア。また今度」
「うん、また今度、サイ」

サイは、私の部屋を出て行った。やっぱり、私はサイと違う。キラを信じられない。
艦長も、キラを信じてる。私の誤解は解けたけど、キラを信じていることは変わりない。

違う。やっぱり違う。私だけ違う。私だけ……

私は、ベッドに横になった。

サイ、なんで私に一緒に残れって言ってくれないの。なんで私を奪ってくれないの?
やっぱり違うから? 私が不潔だから? 私がキラからリタイヤしたいだけだから?
サイの体を通して、私の幻想のキラを見ているから?

122ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/18(木) 03:10
今回の章は終わりです。サイのフレイの秘密の件、結局引っ張ってます。次はTV46話の後あたりか?
続いて、次章に移ります。ここがミリィSS第二部前半の山場の予定です。

>>流離う翼たち
そうですか、あの汚名挽回する人と中の人が……
私は中の人つながりに関する知識は疎いんですが、好きなキャラだとレイズナーのエイジなんかもやってますね。
あの主人公の名前のコンプレックスと、カガリの名台詞とのマッチは見事でした。

>>過去の傷
マユラとフレイの火花激突寸前、カガリがなだめ役に回って回避しましたね。小説のオーブ編でも、こんな感じの
シーンありました。キラも何とか言って欲しいですが、まあ無理なんでしょうね。

123流離う翼たち・437:2004/03/18(木) 20:47
「ふん、失礼な事を言った報いだな」
「あ、あの、カガリ、これはちょっと酷いんじゃあ?」

 フレイがおずおずと話しかけるが、カガリは実に気持ちよさそうである。そして、遅ればせながらキラとトールもやってきた。

「あれ、何してるの3人とも?」
「そこで蹲ってる人はどうした?」

 不思議そうに問い掛けてくる2人にミリアリアが簡単に事情を説明し、それを聞いた2人は心底同情した眼差しで劾を見やる。これは男にしか分からぬこの世の地獄なのだ。

「しかし、中々復活しないわね。キラの時はもっと早く復活したんだけど」
「何のこと、フレイ?」

 妙な事を口走ったフレイにミリアリアが問いかける。フレイは言ってから自分が何を口走ったのか気付き、慌てて誤魔化しにかかった。

「な、なんでもないわよ、気にしないで」
「・・・・・・何があったのよ、フレイ?」

 ずいっと顔を寄せてくるミリアリアに、フレイは渋々ポツリと白状した。

「その、キラって結構乱暴な所があるから、つい嫌がって暴れたんだけど、その時に膝が、ね」

 肝心な所はぼかしているが、何が言いたいのかはよく分かってしまったミリアリアとカガリは、揃ってポンとフレイの肩を叩いた。

「まあ、その話の続きは家に帰ってからゆっくりと聞かせてもらいましょう」
「そうだな、後学のためにも夕食後にじっくりな」
「え、ええと、言わなくちゃ駄目?」
「「駄目」」

 きっぱりと言い切る2人の目は微妙に熱を帯びており、フレイは引き攣りまくった顔で頷くしか出来なかった。そしてキラはというと、こちらは汗をかきながら視線を泳がせており、ポンと置かれたトールの手にビクリと反応した。

「ま、若さゆえの過ちって奴だな、キラ」
「アハハハハ、ナニヲイッテルンダイとーる、ボクガふれいニヒドイコトスルワケナイジャナイカ」

 無茶苦茶怪しい返事だった。

124流離う翼たち・作者:2004/03/18(木) 20:57
>> 過去の傷
マユラのM1参戦。カガリのバックアップは出来るのか?
でもフレイ様、素人がプロを雑魚呼ばわりしちゃいけません

>> ミリアリア・あの子許せない
何故かサイが現実から逃げた脇キャラの台詞を言っている。ミリィはどうする?
しかし、結局サイに出来ることは何? という命題が語られる事は無かったなあ
あの時が彼の最後の出番だった。もう台詞も無かった・・・・・・

125過去の傷・84:2004/03/18(木) 22:26
「きゃああ!」
「カガリ様大丈夫ですか!?」

フレイが断然優勢だった。
ル−ジュが放つビ−ムライフルをフリ−ダムが余裕で回避し、ルプス・ビ−ムライフルがシ−ルドでダメ−ジを半減させられながらも攻撃を与え相手を少しずつだが損傷していく。
「カガリ様ビ−ムで援護します、突撃してください」
「わ、分かった!」
ル−ジュがビ−ルサ−ベルを構えると突進してきた。
「・・・・・・」(なるほど・・・でもこういう場合は元を狙えばいいんじゃないかしら?)
「飛行した!?マユラ!気をつけろ!」
「や、やば!」

飛行したフリ−ダム、アストレイをビ−ムサ−ベルで攻撃する、あわててシ−ルドを構えるアストレイ。
「いくわよ!」
「あ、あああ!きゃああ!」(な、なんとか・・・)
「この!」
「あはは!きゃはは・・・!!!」
フレイがなにかを感じとったように飛行する。
で、ル−ジュとアストレイが同士討ちになりそうな格好になる。
「カガリ様来ないで〜!」
「マユラ避けろ!」
上空を飛んでいたフリ−ダムは・・・。
(おバカさんね・・・)
衝突しそうになっている二機に構えるとクスィフィアス・レ−ル砲を発射した。

「圧倒的だな・・・ニュ−タイプか・・・」
「キラ・・・あの・・・」
「あ、ミリィ」
「ここにいたのね」
「何か用?それより少し落ち着いたみたいだね」
「ええ、ねえキラは優しいね」
「え?あ、いや」
「ト−ルを今だけ忘れさせて・・・」
ミリアリアはキラに歩み寄りキラの肩に両手をかけると衝突してしまった、といっても唇と唇が衝突しているだけなので、これは別の言い方をするべきかもしれない。

「マユラ大丈夫か!?」
「は、はいアストレイの損傷率は40パ−セントです!」
「くそ!フレイ!・・・このままやられてたまるか!」(なんであんな素人に!)
そんなときカガリの頭の中で何かが・・・種がはじけた気がした。
「カガリ様?」
「・・・・・・」(・・・・・・)
カガリのSEEDが発動した瞬間だった。

126過去の傷・作者:2004/03/18(木) 22:32
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ積極的で、サイは少し戸惑ってますね、これからのミリィの行動は?ミリィはサイを好きになりそうな感じでキラを忘れようとしているんでしょうか?
>>翼たち
なんか怪しい展開に?問い詰められるフレイ様・・・これもいいなあ、で?どういうふうに説明するんでしょうか?

127ミリアリア・あの子許せない 77:2004/03/19(金) 05:03
第2部 6. 私はキラの特別…… 1/7
[ありがとね、そして、さよならディアッカ]

その後もポツポツとアークエンジェルを降りる人がいた。ヘリオポリスからアークエンジェル
開発中のまま乗り込んだ技術者。連合のやり方に失望し、オーブに亡命を希望する人。
ユーラシア連邦や赤道連合でも、大西洋連邦の暴走で、やや反戦派の動きがあり、
それらとオーブの非公式のやりとりで故郷の地に戻れるという人もいた。

艦を降りた人の代わりにオーブ軍から派遣の人が何人も乗り込んできた。残る人は、
その受け入れと仕事の引き継ぎに翻弄されていた。私もそうだった。ブリッジの情報システムにも、
モビルスーツにも詳しい私は、新しい人の教育に重宝がられ、忙しい日々が続いた。

艦を降りる最終期限の一週間が迫ってきている。それなのに、私は誰にも相談できず、忙しさに、
考える時間もなく、自分がどうすべきか決められずにいる。このままだと、ずるずると
残ることになってしまいそうだった。それは、それでいいのかもしれない。
もう、考えても結論が出ないなら、また、成り行きにまかせればいい。
でも、私の心には、まだ少し迷いが拭えなかった。

大西洋連邦を中心とした反ザフト勢力の拡大も大きく、それは、中立国だけど
マスドライバーを持っているオーブへの風当たりが、ますます激しくなり、場合によっては
武力介入の可能性も出てきている。それに対してオーブは絶対に中立を譲らない構えだ。
政府や軍に緊張が高まっている。オーブが戦場になる。そんな不安が、私の迷いをますます助長していた。

そんな時、ディアッカ、あの捕虜のザフト兵が釈放されると聞いた。釈放後は、オーブの町で
自由行動になるらしい。まあ、ずっと独房に入りっぱなしだったディアッカは、連合でもオーブでも、
特に機密を知った訳でも無いので幸運だったということだろう。ザフトのエリート部隊だった
ディアッカのことだ、後は自分でなんとかするだろう。別に心配をしている訳では無い。
ただ、私の話を聞いてくれて、少し心を楽にしてくれたディアッカに最後の挨拶くらい
してもいいと思った。釈放の前日、私は再びディアッカの独房を尋ねて行った。

「アンタ、明日釈放だって」私はディアッカに告げる。
「え、なんだって?」ディアッカは驚いている。

「アークエンジェルは、もうすぐ次の任務に出発するわ。もう、アンタ乗っけといても
 仕方ないから。良かったわね出られて」
「で、俺はどうなるんだよ」

「オーブに移されて、後は自由よ。そっから先は、アンタ、自分でなんとかしてね」
「バスターは、どうなった?」

「あれは、モルゲンレーテが、とっくの昔に持って行ったわ。元々、こっちのものだもの」
「げ……」

「何、不服なの?」
「いや、何でもねえよ」

「こんなことになっちゃって、ごめんね」
「いや、いいよ別に。それで、ミリアリアは、どうすんだ。この前のこと」

「もう、いいの。アンタには無関係なんだし」
「だがな、この前、相談してきといて…… 最後にどうするのかくらい教えてくれよ」

私は口を閉ざす。やがて、躊躇いがちに話しだす。

「オーブが、もうすぐ戦場になるかもしれない」
「え、なぜ、そんなことに」

「地球連合に味方しないから、武力介入があるかもしれない」
「おい、ナチュラル同士で戦争してどうなるってんだよ」

「でもね、このまま言いなりになることもできないの。戦うわ、きっと」
「お前も戦うのか?」

「うん、このままだと……
 私、アークエンジェルのCIC担当だもん。それに、オーブは私の国だから……」
私は目を伏せる。そして、思い切って話した。

「なんて、かっこいいこと言えたらいいんだけどね」
「なんだ、まだ、迷ってんのか?」

「でも、もう、ほうっておいて、アンタには関係無いから」
「キラってやつのこと迷ってんだろ」

「もういいから」
「迷ってんならさ、そいつに直接相談してみろよ」

ディアッカは声を荒げていた。

「ぐちぐち迷って無いでさ。お前、そいつのこと好きなんだろ。だったら、
 ぶつかって聞いてみろよ」
「でも……」

「そんなこと言ってないで、さっさと聞きに行けよ。でないと、後悔するぜ」

ディアッカは、私をじっと見つめた。
これが、この前の、私の相談に対する答えなのだろうか。キラに相談する。
私が、今まで、一番避けてきたこと。でも、ディアッカの激しい口調の言葉は、
私に、そうしなければならないという強迫感を与えていた。

私は、少しして言った。
「分かった。キラと相談してみる。ありがとね、そして、さよならディアッカ」

私は、自分からディアッカを名前で呼んでいた。

128ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/19(金) 05:05
ミリィSS続きの新章です。まずはディアッカとの、あのシーンから。大分、変えてますけど。

>>流離う翼たち
トールが、あの伝説の人の台詞を使うとは…… キラ、声裏返しですか。フレイ様宅の今夜は激しくなりそう。

>>過去の傷
あれ? ミリィは直ったんじゃ無いのか? そして、カガリのSEED発動。NTとの対決は、どっちが強いのでしょう。

129過去の傷・85:2004/03/19(金) 22:52
(さあ、チャンスだわ!チャンス!)
ルプス・ビ−ムライフルをル−ジュに向けて放つ。
(タイミングもバッチリよ!)
辺り一面が光に包まれる・・・しかしそこにル−ジュの姿はなかった。
「え?・・・どこに・・・」(あれ!?どうしてなの?読めないわ)
そのときどこからきたのかビ−ムがフリ−ダムにかすめる。
「きゃああ!!!」
光がなくなると・・・。
「あ、カガリ!!!」
地上に降りるフリ−ダム。
「よくもやってくれたわね!」
「・・・・・・」
(カガリ?なんなのかしら、急に無口に)
そんなことを考えている間にル−ジュがビ−ムを放ってきた。
アストレイもビ−ムを放つ。
なんとか回避するフリ−ダムだが・・・
(え!?一体どこに・・・カガリが消えた?)
(フレイさん・・・あの・・・背後に)
(え!?)
振り返ろうとしたフリ−ダムだが・・・相手が待ってくれるはずはなく・・・ル−ジュのビ−ムライフルが直撃した。
「きゃああああ!!!やだ!いやあああ!」

その頃ブリッジでは・・・。
「・・・んん・・・フレ・・・」
フレイが気になりモニタ−に目を通そうとしたキラだがミリアリアのキスがそれを許さない。
ミリィがしっかりと抱きついているのだ、キスも強引でぐいぐいと唇を押し付けてくる。
なんとかミリィの唇から唇をずらしたキラは・・・。
「あの、ミリィこんなのって・・・」
「じっとしててよ、いい雰囲気なのに」
「あの・・・まずいよこんなの」
「キラ・・・なんで分かってくれないの!?私だってちゃんとした彼氏欲しいわよ!ト−ルはもう昔の彼氏よ!」
「!・・・・・・」
必死に話すミリアリアにキラは返す言葉が無かった。
その様子を見たミリアリアは勝ったとばかりにキスを交わしてきた、今度のキスにはキラも逆らうことが出来なかった。

序盤の戦闘が嘘のようにカガリのル−ジュとマユラのアストレイが押していた、もはやフリ−ダムの損傷率も30パ−セントまで来ていた。
「い、いやあああ!」
(フレイさん落ち着いて・・・)
「死ぬのはいや・・・」
(え?)
「死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのはいや・・・死ぬのは・・・いやあああ!!!」
(フレイさん、落ち着いてください、まだフレイさんは生きてますよ)
フレイの脳裏に・・・いままで自分が発してきた言葉が入ってきていた。
(あんた自分コ−ディネイタ−だからって・・・本気で戦ってないんでしょう!?)
「あああ・・・やめてえ!!!」
(そうよ・・・私は賭けに勝ったもの・・・キラは戦って死ぬの・・・じゃなきゃ許さない)
「いや!やめて!」
いろんな自分と・・・いろんなフレイ・アルスタ−と頭のなかで話す。
(そうよ、あんた今でもキラを利用するつもりなんでしょう?キラは戦って死ぬのよ、そうよじゃなきゃ許さないもの・・・)
(違うわ!あんたと一緒にしないで!)
(くすくす・・・だからそうなんだってばあ!あんたパパが死んだ時点で私の心を捨てたじゃない♪違って?)
(そんなことないわよ!勝手に決めないで!)
(・・・私は・・・ただキラに謝りたいだけ・・・会ってちゃんと話がしたいの・・・そのためなら死んでもいいわ・・・)
(バッカじゃないの?キラに謝るですって!?冗談じゃないわ!パパはキラのせいで死んだのよ!だいたいあんた暗すぎだわ、あんただってフレイ・アルスタ−じゃないの!この偽善者!心の中ではどんなこと考えてるか分かったもんじゃないわ!)
(そんな・・・違うわ・・・私は)
(皆もうやめて!)

(え!?フレイさん)
(・・・もう大丈夫よ・・・過去は振り切ったつもりだから)
そしてフレイの頭の中でなにかがはじけた。
(フレイさん・・・目が・・・瞳が真っ赤に・・・)

130過去の傷・作者:2004/03/19(金) 22:57
>>ミリアリアあの子許せない
ディアッカいい奴じゃないですか、ほんとに・・・ミリィはキラに相談してみるつもりんですね、やっと一つの答えを見つけたみたいで。

131ミリアリア・あの子許せない 78:2004/03/20(土) 06:05
第2部 6. 私はキラの特別…… 2/7
[私とキラの二人にして]

私は、キラのいるモビルスーツデッキへ向かった。足取りは、はっきりしていた。
ディアッカの言葉が、私の行動から迷いを取り去っていた。

デッキのキラは、相変わらずの着たきりのザフトの赤いパイロットスーツ姿だ。
作業をしているキラに、今もカガリさんが付き従って話をしている。
いつもの私なら、それだけで、何も言わずに立ち去っていたはずだった。
だけど、今日は違った。カガリさんを邪魔者だと感じていた。

「キラ!」 私は、キラを呼んだ。

キラとカガリさんが振り向いた。私は、続けて話しかける。
「キラ、話があるの。二人だけで。カガリさん、お願い。ちょっと外して。私とキラの二人にして」

カガリさんは怪訝そうな顔つきをした。
「なんでだ。お前って別にキラとなんでも」

「カガリ、ごめん、ミリィの言う通り、ちょっと外してくれないか」
キラの言葉に、不服そうな顔をしながらカガリさんはデッキを出て行った。

「キラ、またフリーダムのコクピットに入れて。誰にも聞かれないように」
私は熱に浮かされたようにキラにねだった。キラは何も聞かず、私をフリーダムの狭いコクピットに
入れてくれた。パイロットシートに座る私。傍らの計器板に腰をかけているキラ。
私は話しはじめた。

「カズイは艦を降りた。サイは残る。でも、私、本当は決めてないの。どうしたらいいの?」
「ミリィは降りたいの? 戦いが恐いの?」

「恐いわ、トールもいなくなった。もともと戦いたくて軍に入った訳じゃない。巻き込まれたから」
「じゃあ、迷うことは無い」

「でも、これからオーブも戦争に巻き込まれる。降りても、戦争になるのは同じかもしれない。
 だったら、このまま残った方が安全かもしれない。出来ることが無いわけじゃない。
 CICの仕事、今だって、やること山のようにある。でもね、そんな風に割り切ることもできないの」
「何が、君をそんなに迷わせるんだ」

「キラよ」
「え?」

「みんな、マリューさんもサイもキラを信じてる。カガリさんだってそう。
 キラの理想を信じて戦うことを決意している。
 でも、私はダメ。以前、アークエンジェルを離反した連絡機のこと、
 キラが島に不時着させた後、ザフトの攻撃に会ったこと。私、まだキラの嘘じゃないかと疑ってる。
 私、キラが信じられない。キラが恐い」
「ミリィ、君は、そんなことを……」

「降りても戦争に巻き込まれる。残っても、私だけ信じられないキラを見て戦わなきゃいけない。
 どっちをとっても私は辛い。でも、どっちかを選ばなきゃいけない。
 どっちにしたらいいのか、自分で決めなきゃいけない。でも、私、ずっと決められない。
 誰にも相談できない。誰も決めてくれない。
 ねえ、キラならどう思う?」
「僕に、そんなこと……」

私は、縋るような目でキラを見た。キラも曖昧にごまかそうとする。でも、それでは私は
救われない。救われないなら、もう、どうなったっていい。私はキラに運命を委ねる。

「ねえ、キラ、私、Nジャマーキャンセラーの秘密を知っているわ。そんな私を、このまま艦を
 降ろしてオーブの故郷に戻してもいいの? また、秘密を漏らすかもしれない。
 キラ、私をアークエンジェルに縛り付ける? それとも、ここで私を殺す?」
「ミリィ、そんなはずないだろ」

「キラ、本当は違うでしょ。キラ、変わったもの。昔と全然違うもの」

キラは黙り込んだ。そして考えている。やがて、決意したように話しだした。

「ミリィ、君は、やはり艦を降りたほうがいい」

132ミリアリア・あの子許せない 78:2004/03/20(土) 06:06
>>過去の傷
SEED発動したカガリ強いですね。ピンチに追い込まれたフレイ様、過去の自分を乗り切って、こちらも覚醒?
ティファは、まだ一緒にいますね。それにしても、キラは何をやってるんだ。

133流離う翼たち・437:2004/03/20(土) 22:23
 苦悶に喘ぎ、内股でヒョコヒョコと仲間に連れられて行った男を見送った5人は、時間も無いからと急いで中に入った。ロビーには既にマリューやナタル、フラガ、キース、ノイマンが待っていた。

「すいません、遅くなりました」
「いや、まだ時間には間があるから、気にせんでも良いぞ」

 フラガが右手を上げて答えてくる。キースも読んでいた新聞を棚に戻し、腰掛から立ち上がる。

「やれやれ、軍務に付いているとどうにも世界情勢から置いていかれますな。知らぬ間に色々と起きている」
「どういう事がありましたか?」
「ああ、ザフトが南米と東南アジアで攻勢を強めてるらしい。中東は突破されそうになってるそうだ。東アジア共和国とユーラシア連邦の弱体化は避けられないだろうな」

 キースの表情は険しい。過去が過去であるだけに、連合内の軍事バランスが崩れるのは面白くないのだろう。彼自身は余り大西洋連邦に肩入れしている訳ではないらしい。

「まあ、ザフトにしてみればヨーロッパと宇宙での敗北を取り返したいのだろうけど、無茶をする。これだけの規模で攻勢に出たら消費する物資は半端な量じゃないだろうに」
「ザフトは戦力的には劣勢にあるのに、よく多方面で同時攻勢に出られましたね」

 ナタルが感心している。だが、キースは苛立たしげに新聞の拍子を軽く弾いた。

「無理してるだけさ。こんな無茶は大西洋連邦だってそうそうはしないよ。何があったか知らないが、向こうも色々事情があるらしい」
「事情ですか?」
「そう、理由は分からないけど、どうやらザフトは実績を欲しがってるみたいだな。あるいは、何か別に作戦を用意しているかだけど、まさかこの規模で陽動とは思えないし」
「ふむ、敵も大変だという事ですか」

 なるほどと頷くナタル。キースは感心しているナタルに、キースはやれやれと肩を竦めた。どうしても自分達の会話はこういう方向を向いてしまうらしい。
 だが、こんな所で世界情勢を気にしている訳にもいかない。とりあえずは当面の課題を片付けるべきだろう。マリューがパンパンと両手を叩いて引率の先生のように声をかける。

「はいはい、それじゃあ行きますよ。カガリさんとハゥ二等兵はここで待ってる事、勝手に変な所に行くんじゃないわよ」
「分かってますよ」
「払いはフレイ持ち出し、何か適当に食べてようぜ」
「・・・・・・払うと言っておいてなんだけど、余り高いのを食べまくるのは止めてよね」

 何となく不安を感じたフレイは一応2人に釘を刺しておいたが、それが有効に機能するかどうかは甚だ危ぶまれる所だった。

「それじゃあ、何頼もうか」
「ねえカガリさん、このマンゴージュースってどうかな?」
「いやいや、こっちの魚料理のほうが」

 2人が楽しそうにメニューを選ぶ声が聞こえてくる。どうやら私の刺した釘は何の役にも立ちそうもなかった。
 はあ、と溜息をつく私に、ナタルさんが少し心配そうに声をかけてくる。

「どうしたフレイ、そんな疲れた溜息をついて?」
「いえ、2人に好きな物を食べてもいい、と言ったんですけど」
「なるほど、それは迂闊だったな」

 女の子は奢りという言葉を聞いたら容赦はしない。2人は高いものをこれでもかと食べてさぞかし満足するに違いない。ナタルは肩を落とすフレイに同情混じりの視線を向けつつ、ぽんとその肩を叩いた。人はこうやって強くなっていくのだ。

134流離う翼たち・作者:2004/03/20(土) 22:34
はう、438の間違いでした

>> 過去の傷
はうう、カガリに続いてフレイ様まで。種ってやはり怒りで発動するのか
とりあえずティファ、手を貸して何か出来るのか?
フレイ様はなんだか人格会議中・・・・・・

>> ミリアリア・あの子許せない
こいつは、ミリィガンバ。多分降りた方が良いでしょう
つうか、この状況でキラを信じるAAクルーのがおかしく見えるのは気のせいw?
まるで別人化してるんだから少しは疑えと言いたいです

135過去の傷・86:2004/03/20(土) 23:02
「カガリ様来ます!」
「・・・・・・!」(あれは・・・)
「え!?さっきより動きが違います、どうなってんの?」
ビ−ムを撃つル−ジュ、だがフリ−ダムはそれを簡単に回避するとル−ジュにルプス・ビ−ムライフルを放つ・・・回避するル−ジュだが・・・。
「!」(連続で撃ってきただと!?)
二発目がル−ジュを直撃した。
「!」
「カガリ様!」

(フレイさん・・・瞳が真っ赤になってる・・・)
(・・・・・・)
SEEDを発動したフレイは自分の持つ二ュ−タイプとしての力も存分に引き出していた。

その頃ブリッジでは。
「キラ、フレイとは別れちゃいなさいよ、キラの彼女は私がなってあげるから」
「いやだよ、そんなの」
「私と付き合えって言ってるの!!!」
「そんな勝手に決めないでくれ、僕はフレイが好きなんだ、部屋だって一緒に暮らしてるんだ、それに・・・ミリィに対してそんな感情はないよ・・・」
「キラ、ト−ルが死んだとき近くにいたのよね?」
「!!!・・・う・・・うん」
「なら責任取ってよ!」
責任?責任とはどういうことだ?キラは驚愕な表情になった。
「ええ、ト−ルの代わりになって・・・そして私と結婚して・・・キラにはその義務があると思うの・・・だから・・・私と付き合って、そして結婚して」
結婚!?・・・これが僕の責任・・・?彼女と一緒になることが僕の責任・・・?

「カガリ様やっと普通のカガリ様に戻ってくれましたね」
「なに言ってんだお前!?それよりもう損傷率50パ−セント超えたぞ・・・もう私の負けだな」
「カガリ様・・・」
「フレイ、私の負けだ!」
「ええと・・・私も棄権します」
フリ−ダムの通信から声が・・・。
「・・・・・・ル−ジュは撤退していいわ・・・・・・」
「あ、ああ!」
ル−ジュが離脱した、残ったアストレイは・・・。
「あ、あの・・・私棄権します」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ふざけないでよ・・・」
「・・・え!?」
「よくもキラに慣れなれしくしてくれたわね・・・」
「あの?意味が分からないんですけど」
「人の彼氏を横取りしようだなんて・・・」
「!」
フリ−ダムはアストレイに突進してきた。
「え!?」
「私のキラに慣れなれしくしないで!!!」
シ−ルドでなんとか防御するアストレイ。
(こうなったらキラさんに止めてもらうしか)

「ミリィ・・・ん?」
<キラさん戦闘を中止してくれませんか!?>
<え!?分かった!フレイ!>
<!・・・分かったわよ・・・キラが言うなら・・・>
こうして両機とも停止した。

136過去の傷・作者:2004/03/20(土) 23:10
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、降りたほうがいいですよ、それにしてもキラは完全の別人ですね、皆キラの変わり様になんの反応も示さないんですね、逆に怖い気もします。
>>翼たち
フレイ様、大きく出ましたからね、奢りに上手く二人とも食いついてますね、女はこういうものなんでしょうね。

137The Last War・14:2004/03/20(土) 23:39
 かつて、世界の全てを憎んだ男がいた。『滅亡』、只それだけが、その男の望みであった。彼はそれを実現させるために暗躍したが、それと相反する理想を持った者達によって阻まれ、自身は命を落とした。
 しかし、男は予め一つの『種』を蒔いていた。その種は闇の中で成長し続け、そして今最悪の形となって花開こうとしていた。

「はぁぁぁっ!!」
「今度こそ、これで!!」

 アプカリプスの巨体目掛け、アスランのS.ジャスティス、キラのネオストライクはそれぞれ攻撃を仕掛けた。だが、先ほどから彼等の仕掛けているそれらの攻撃により、アプカリプスが損傷を受けた様子は無かった。

「・・・無駄だ」

 アレクセイの言葉が言い終わるや否や、アプカリプスの前方に先ほどまで二人を翻弄していた小型機が飛び出した。それらがフォーメーションを組むとそこに虹色に輝く光の壁が形成され、やがて二人の放った攻撃の全てを受け止め、無効化した。その光景を見て、二人は悔しげな呟きを漏らした。

「くそ、またか!!」
「まさか、ドラグーンが光波防御帯を発生させるなんて・・・!」

 その兵器の名は、攻防一体型ドラグーンシステム《アイオ―ン》。アプカリプス再生にあたり、ファントムが独自に開発・装備させた、その名の示す通りこの機体の剣となり盾となる”守護天使”でもあった。従来の遠隔誘導兵器としての機能に加え与えられた光波防御帯発生機能により、二人の攻撃は悉く無効化されていた。

(駄目だ、このままではこちらが消耗していくだけか。ならば・・・)
「・・・キラ、俺は奴に突っ込む。お前はここから援護してくれ」
「!そんな、危険過ぎるよアスラン!!いくら君でもあれが相手じゃ・・・!うわっ!?」

 キラがアスランを制止しようとしたその時、キラの右腕が再び麻痺し始めた。

(な、何で・・・?あれからこんなこと、しばらく無かったのにどうして今更・・・?)
「・・・それに、お前の右腕は今正常じゃない。違うか?」
「!アスラン・・・君、知って・・・?」
「何年お前と友達をやっていると思うんだ?そんなこと、お前と合流した時から気付いてたよ。・・・万が一の時は、お前だけでも逃げろ・・・」
「待って、アスラ・・・!」

 キラの制止を振り切ったアスランは、S.ジャスティスのビームサーベルを引き抜き、アプカリプスへと突撃した。その動きを感知し、その周りに無数のアイオ―ンが群がってきた。そこから放たれる砲撃の数々を、アスランは機体の身を翻してかわし、またはシールドで受け止めながらその中を突き進んでいった。

「まだ何かするつもりなのか?貴様が相手の力量が分からんほど馬鹿な男には見えんがな。それとも、勝機というものが見つかったのか?」

 そんなS.ジャスティスの様子を確認しながら、アレクセイは自分に向かって来るアスランへと問い質した。しかし、次にアスランの口から出たのはそれに対する返事ではなかった。

「・・・お前は、今までお前達の身勝手な都合の巻き添えを受けた人達のことを、考えたことはあるか?」
「何を言っている?私の聞いたことに答える気はないのか?」
「いいから答えろ。その人達のことをどう思っている」

 自分の言葉を無視されたことにやや苛立ちを感じながらも、アレクセイは少し間を置いてアスランのその問いに答えた。

「・・・悪いが、興味は無いな」
「・・・そうか!」

 その言葉を最後に、S.ジャスティスの姿が視界から消えた。それはやがてレーダーに映し出された。

(回り込んだだと!?いつの間に!)
「・・・なら、その人達の感じてきた痛みや苦しみを・・・」

 S.ジャスティスは、手にしていたビームサーベルを横に薙いだ。その動きに、アイオ―ンでさえも反応が遅れた。

「・・・お前に教えてやる!!」
「チィッ!!」

 ビームサーベルが直撃する寸前、アプカリプスはその巨体に似合わぬ機敏な動きで回避行動を取り、ギリギリのところでそれをかわしていた。いや、正確には僅かにビームサーベルが装甲に達し、この戦闘で初めて損傷を受けていた。

「・・・アイオ―ンを装備したこの機体に、初めて傷をつけた者が貴様だとは・・・」
「お前達はやり過ぎた。今までに多くの人達に無用な血や涙を流させてきた報いを、今ここで受けろ!」

 静かに怒りを露にしているアスラン。にも関わらず、アレクセイはその口元を歪めた。

「・・・フッ、『平和のため』、などと言っておきながら、所詮は貴様も憎しみから戦うのだな?」
「俺はお前達を絶対に許さない。あの頃の俺達から、全てを奪い取ったお前達をな!」

 アスランの瞳からは、光が失われていた。彼はその時SEEDの力を発現させると共に、自らの内側から涌き出た黒い感情に身を委ねていた。

138The Last War・作者:2004/03/21(日) 00:08
》ミリアリア
 相変わらずキラは何処か達観していますね。AAの人達はそれをすっかり信用しきってますし・・・。自分だったらラクスに洗脳されたのではと疑うと思いますw。
 それとディアッカが良いこと言ってましたね。

》流離う翼たち
 ついに劾&サーペントテールメンバー(一部)が登場しましたね。その上従来の彼等のイメージを感じさせない役どころが面白かったです。特に劾がw。会話の中にはロウの名前が出てましたが、個人的には彼にも何処かで登場してほしいと思っていたりします。
 ちなみに今後サーペントテールのメンバーの一人が自分のSSにも登場予定です。

》過去の傷
 マユラ生きてたんですね。他の二人はどうなんでしょうか?本編の最後の方の彼女達の扱いが悲しかっただけに良かったです。
 そしてフレイ様がNTだけでなくSEEDまで覚醒ですか。こうなるともう最強?

》キラ♀
 キ、キラが危ない。フレイ♂様、お願いだから逆ナンに引っ掛かってないでタカツキの奴を止めてください!

》刻還り
 皆の為にした行動が結果的に皆を危険にした。現実はいつも辛いですね。フレイ様、負けないで貰いたいです。

》散った花、実る果実
 取り敢えず、お茶汲みがお仕事になったんですね。フレイ様の入れるお茶は果たしてどんなお味なんでしょう?
 『白い羽』も読ませて頂きました。キラの切ない感じが良かったです。

139ミリアリア・あの子許せない 79:2004/03/21(日) 02:50
第2部 6. 私はキラの特別…… 3/7
[それほど悩むならば、本当のことを言うよ]

ディアッカの言葉に従うまま、私は、フリーダムのコクピットでキラと二人きり、私が、どうすべきか
相談した。その時、キラから帰ってきた答えは、これだった。艦を降りろ……

「ミリィ、君は、やはり艦を降りたほうがいい」
「キラ、どうして?」

「ミリィが、それほど悩むならば、本当のことを言うよ」
「本当のこと?」

「君の疑っている通り、僕は秘密のために残酷になっている。あのオーブに入る前の
 アークエンジェルの連絡機。あれを不時着させたなんて言うのは嘘だ」
「キラ、やっぱり……」

「ああ、説得に応じなくて、近くに連合の艦を確認した時点で、撃墜したよ。僕の手で……」
「キラ、ああ……」

私は脅えた目でキラを見た。キラの手は震えていた。でも、それ以上に私の心は震えていた。
キラは震える拳を自分の目の前に持って来ると、ゆっくり、手のひらを広げた、それを虚ろな目で見ながら言った。

「迷わなかった訳じゃない。だけどね、核を使わせてはいけない。秘密を守らないといけない。
 そのためには、仲間だろうと撃たなければならない。そのために、犠牲になった仲間の痛みを
 忘れてはいかない。それがフリーダムを任された僕が背負った宿命だ」

キラは、虚空を見上げ、思い出すように言った。

「Nジャマーキャンセラーの開発阻止、そして、搭載プロトタイプの奪取、あるいは破壊する作戦は、
 クライン派が、早くから計画していたものだった。僕は、シーゲル・クラインに話を聞いて、
 自ら、この計画に参加した。フリーダムのパイロットとして抜擢されたラクス・クライン。
 歌姫である彼女までも戦争に巻き込まないためにも。

 プロトタイプ五機のうち、フリーダムの奪取と二機の破壊、関連資料の消去、そこまでは成功した。
 だから、プラントではフリーダムと同じレベルの長時間運用できるNジャマーキャンセラーは、
 すぐには作れない。だけど、残るプロトタイプ二機の破壊と一部資料の消去は達成できなかった。
 脅迫された仲間の裏切り。それで、クライン派の何人もの人の命が失われた。
 僕は亡くなった人達の命を背負って、プラントを脱出した。そして、地球に降りた。

 ザフトには、まだ二機のNジャマーキャンセラーが存在し、また核爆弾を使うだけの短時間
 動作するものなら開発できる。こんな核戦争の引き金そのものを不要にするために。

 僕は、この目的のためには躊躇わない。躊躇うことは許されない。
 例え、僕自身が命を奪う立場になったとしても。
 僕も既に罪人だから。守るためでも、もう、銃を撃ってしまった僕だから」

キラは、フリーダムの操縦桿に手を伸ばした。操縦桿に複雑に付いたボタンやトリガーをいじっている。
コンソールの明滅する光が、キラの顔を赤に緑に彩っている。その中でキラは熱に浮かされたように言った。

「ミリィ、フリーダムの銃はね、今の僕にとっては信じられないほど軽いんだよ。
 引き金一つで、簡単に、何十人もの人の命を奪える。プラント脱出の時に、それを思い知らされた」

「アラスカの時、敵を殺さないで倒していたのは、何だったの?」
アラスカでのキラの活躍に胸を踊らせていた私は、縋るようにキラに問いかける。

「アラスカでは助けたいと思った。非道な作戦から、みんなを…… だから、そうした。
 戦闘では殺さないという誓いを……」

だけど、私の期待は、次のキラの言葉で打ち砕かれた。

「そして、僕の中の魔物を押さえることを……
 意識して殺さない縛りを課さないと、歯止めが効かなくなる。皆殺しにしてる」
「キラ、そんな……」

私は、目の前のキラに恐怖を感じ震えた。

「信じてもらえないかもしれないけど、あの連絡機を落とした後、島を焼いたのは僕じゃない。
 前に、見せたように、もう一つのNジャマーキャンセラーを持ったザフトの部隊だ。でも、
 それで僕の罪が消える訳じゃない。僕は、もう血塗られている」
「キラ、そんな、そんな……」

私は、激しく動揺していた。着たきりのザフトのパイロットスーツの赤い色が血の色に見えた。
このキラは、本当に血に飢えた戦士なのだ。あの子をきっかけに、戦争に飲み込まれ、
変わってしまった狂戦士。それが、今のキラ。

140ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/21(日) 02:52
悟りキラ⊆黒キラⅡという、私の趣味の路線でした。しかし、ミリィ視点とは言え、オーブでの悟りキラの、
外づらが表現できていなかったのは、まずかったです。プロトタイプ五機は、SEED-MSV の設定参照した結果です。

>>流離う翼たち
情勢的には、大西洋連邦とザフトの二極化はTV本編と変わらないようですね。
カガリとミリィへのおごり、それと、夜のアレの件追求と、フレイ様は前途多難。
ナタルの言うように強くなるんだフレイ様。

>>過去の傷
フレイ様、逆襲しましたね。それにしても、ミリィまだ直ってませんね。

>>The Last War
アプカリプスはユーラシアの技術も入っているんですね。もう、何でもありの最強の機体ですが、
それを突破したアスランはスゴイ。でも、その引き換えに闇に囚われたアスランに何が待っているのか心配です。

141過去の傷・87:2004/03/21(日) 23:23
「皆、お疲れ様」
「キラ・・・ただいま」
「フレイ、無事で良かった」
「それにしてもこいつ強いぞ、勝てる気しなかったからな」
「私だってやればできるんだから」

その夜、フレイは部屋でティファと雑談していた、キラは出かけているようだ。
(ねえティファ聞いてよ)
(なんでしょうか?)
私は話した、これはティファにだけは話していいと思ったから、そんな気がしたの。
(そういえば言ってましたね、過去の自分を振り切ったって)
フレイは頷いた。
(自分の中で話した、いろんな私がいた)
(いろんなフレイさん?)
(そうよ、まずサイと許婚だったときの私、いまよりほんとにワガママだった・・・軍に入る前の私よ・・・)
(・・・・・・)
(二人目は復讐の闇に閉ざされていた私よ、そしてもっとも私自身が嫌いな私なの・・・)
(嫌い?フレイさんがフレイさんを?)
ちょっとおかしな会話になってしまったが、まあそういうことなのだろう・・・フレイ自身もキラを利用したりしようとしたフレイが嫌いだったのだ。
(そう・・・嫌いよ、あの私は・・・)
(・・・・・・)
(最後は・・・ザフトに囚われていたときとドミ二オンっていう艦にいたときの私、怯えていた・・・キラに会ってたった一言・・・謝ることだけを考えていたときの私・・・あの時が一番苦しかった・・・)
(そうですか、辛かったですね)
(ええ、怖かった・・・いろんな意味でね)

その頃。
「でもまさかお前が生きてたとはな、ほんとに信じられないな」
「私も」
「お前だけでも生きててくれて良かったよ」
「私だけじゃないですよ」
「そうか・・・!お前いまなんて言った!?」
「アサギのジュリも生きてますよ、そろそろカガリ様の部屋に来るはずですよ」
「ちょっと待て!だってお前私だけですけどって言ってなかったか!?」
「あれはちょっとした冗談ですよ」
「「カガリ様♪」」
カガリの部屋に二人の女の子が入ってきた。
「「私達クサナギからエタ−ナルに転属になりましたのでカガリ様よろしくお願いします〜♪」」
転属といっても皆軍服はばらばらだ、アスランもザフトの軍服を着用している、フレイやミリアリアはもちろんア−クエンジェルで着用していた軍服だ。

その頃、ミリアリアの部屋では・・・。
「私ってそんなに女として魅力ない?まあフレイは可愛いもんね・・・」
「え?そんなことはないよ、ミリィは凄く可愛いよ」
(フレイはもっと可愛いけど)
「そう?ありがとう、ならいいじゃない」
「でも・・・ごめんミリィ、僕はやっぱりト−ルの代わりにはなれない」
「・・・・・・」
「こんな形で付き合ったってどうせすぐ駄目になるよ・・・それにお互い好きでもない人とそういう関係になるのはよくないと思う・・・それにもうはっきり言わしてもらうけど・・・僕とフレイは付き合ってるんだ、それにミリィにそんな感情はないよ」
これでミリィが納得してくれるかは微妙だった。
「それでも私寂しいの!責任取ってよね!キラにはその義務があるはずよ、私と絶対結婚してもらうんだから!私に恋愛感情がないですって?なら・・・その気にさせてあげるわ」
そう言うと上着を脱ぎキラに歩み寄ってきた。

142過去の傷・作者:2004/03/21(日) 23:33
>>The Last War
とんでもない機体だな、プロヴィデンスといい、ザフトというのは・・・。
そのとんでもない機体にアスランは・・・でも彼が心配です。
>>ミリアリアあの子許せない
とにかくこのキラはほんとに怖いです、ミリィの気持ちもよく分かります、もう以前のキラの面影が全然ないな・・・。
さて真実を知ったミリィはこのあとどうするんでしょう。

143ミリアリア・あの子許せない 80:2004/03/22(月) 02:40
第2部 6. 私はキラの特別…… 4/7
[ハイ! キラ……]

艦を降りるのか残るのか。ディアッカの言葉に従うまま、どうすべきかをキラとフリーダムの
コクピットで話した私は、キラの打ち明けた話から、残酷な戦士となったキラの真実を知った。
キラは、操縦桿から手を離し、私を覗きこむようにして話を続ける。

「それでも進まなきゃいけない。戦争を、このまま悲劇に向かわせないために。
 僕は、もう昔の僕には戻れない。ミリィがいくら望んでも……
 ミリィ、君は艦を降りるんだ。こんなことを君に背負わせることはできない」
「でも、私、そんなこと知ったら余計に、ここから降ろしてもらえない」

「降りるんだミリィ。そして、忘れるんだ僕のこと。忘れてしまえばいい。
 誰も、君が知っているなんて気づいていない。君さえ忘れてしまえばいいんだ。
 降りて避難するんだ。オーブ政府の指示に従えば、少なくとも戦争には巻き込まれない」
「そんな、そんな」

「こんな僕のこと忘れてしまえばいい。ヘリオポリスの思い出だけを残して。僕は、いなかったと思うんだ」
「そんな、私、キラのこと忘れられる訳ない」

「忘れるんだミリィ!!」
キラは私の肩を激しく掴んで体を揺さぶり、大きな声を上げた。キラの顔が私のすぐ前にあった。
それは、私の望む優しいキラでは無く、冷たい目をした戦士のキラだった。

「ハイは? ミリィ」
「ハイ……」

「艦を降りるんだな?」
「ハイ……」

「ミリィ、それでいいんだ」
「ハイ!」

もう、見る影も無い『私のキラ』。私はキラ自身の手でリタイヤさせられたことを知った。

私の中のキラが完全に破壊されたことを知りながら、一方で、私の心は開放されていた。
だれも、私にこうしろと言わなかった。サイも、私の自由意志にまかせて、決めてはくれなかった。
でも、キラは決めてくれた。私に命令した。今、私はキラの命令に従うことが快い。
キラの言いつけに従うことが、私の無上の喜びだった。私は、ずっとそれを待っていたことを知った。

私は、引きつった笑顔を浮かべていた。涙が一しずく、頬を伝った。『私のキラ』との決別の涙だった。
今までのキラとのことが走馬灯のように私の中に蘇った。優しいキラ。トールと三人の楽しい日々。
そして、それを壊していった、あの子。私の過ちで失われた三人。帰ってきたキラ。信じられないキラ。
残酷なキラ。

「キラ、あの子だったら、フレイだったら、キラのこと話した?」
「フレイなら言わなかったろう。血塗られた僕のこと。Nジャマーキャンセラーのこと。
 僕の背負った宿命を。何でも言うとフレイには約束した。だから、秘密にすると怒るだろうけど、
 僕はフレイを辛い目には合わせたくないから。ずるいけど、フレイを手放したくないから」

「私、フレイとは違うのね」
「ああ、君は特別なんだ」

「特別?」
「そう、特別だ。ずっと前から……」

私の表情は、さらに歪んだ。熱い涙が、また、頬を流れ落ちた。
「キラ、酷いよ…… こんな特別なんて……」

私は、成り行きでNジャマーキャンセラーの秘密を聞いてしまった自分を呪った。
キラにとって悪い意味の特別な自分を呪った。そして、そうじゃない、あの子が許せなかった。

「コクピットを出るよ、ミリィ。もう退艦の期限はギリギリだ。艦長に一人で話せるね」
「ハイ!」

「ミリィ、トールのこと頼むよ。弔ってやってくれ」
「ハイ! キラ……」

再び、キラの命令を受けて、私は口元を緩ませ、歪んだ笑みを浮かべた。
そして、自分と、あの子への呪詛の心さえ押し込めて、私は命令される快感に溺れていった。
時の止まったような感覚の中で、私は思考さえ曖昧になっていった。

* * *

カガリさんが、またフリーダムの前に来ていた。乗降ワイヤーでキラと二人で降りる私を、
信じられないような目で見ていた。

私は、カガリさんを無視して、歩き去った。
後ろでカガリさんとキラの話している声が聞こえた。

「キラ、なんでフリーダムに乗せたんだよ。私にだって、触らせてもくれないのに」
「いいんだよ、ミリィは特別なんだ」

私は、キラの言う特別の意味を噛み締めた。

144ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/22(月) 02:41
>>過去の傷
フレイ様が、過去の、いろいろな自分を振り返って想いを話すところ良かったです。
もうすっかりティファとは心を許せる友達ですね。
ミリィは、まだ壊れてますね。キラの危機。うちのSSと逆ですね。フレイ様、どうする?

145流離う翼たち・439:2004/03/22(月) 21:57
 司令官オフィスにやってきた8人は、そこでマドラス基地司令のスレイマン少将と、民間人らしい30代半ばと思われる男性と面会する事になった。その民間人を見た時、キースは表情を露骨なまでに嫌悪に歪め、相手は面白そうにキースを見ている。
 キースの変化に驚いたナタルがキースに問いかけた。

「あの、どうかしましたか、大尉?」
「・・・・・・いや、何でもない、気にしないでくれ」

 キースはナタルの問いを誤魔化した。だが、キースが露骨な嫌悪感を見せるなど滅多にあることではなく、この民間人がキースと深い関係にあることは間違いないだろう。
 キースはそれ以上民間人と視線を合わせる事は無く、スレイマン少将に向き直っていた。
 スレイマンは8人にこれまでの苦労を労うと共に、アークエンジェル隊のこれまでの多大な戦果を褒め称え、幾人かの昇進を伝えてきた。

「昇進、ですか?」

 マリューが訝しげに聞き直す。つい4ヶ月ほど前に少佐に昇進したばかりであり、また昇進だなどと言われても正直信じられるものではない。パイロットならいざ知らず、技術畑上がりの自分が26歳で少佐というだけでも異例なのだ。
 だが、マリューの疑問に答えたのはスレイマンではなく、司令官オフィスに置かれているソファーに腰を沈める民間人であった。

「それは簡単ですよ。たった1隻でザフトに打撃を与え続ける連合軍の最新鋭戦艦とそれに乗るエース部隊。そして数日前には中央アジアを西進していたザフト第4軍にさえ痛撃を与えて撤退に追い込んでいる。宣伝材料としてはこれ以上の材料は無いでしょう」
「・・・・・・つまり、英雄が欲しい、と?」
「まあそういう事だね。確かに連合もMSを配備しだして、ザフトの攻勢に対抗できるようにはなってきたけど、やはりここは景気の良い話が欲しい」

 民間人の男が浮かべる笑いに、マリューは生理的な嫌悪感を隠せなかった。間違いない、私はこの男が嫌いなのだ。
 そして、この男は8人の機嫌を決定的なまでに悪くする内容を話し出した。

「それに、美人の艦長さんに大西洋連邦事務次官の遺児である『真紅の戦乙女』フレイ・アルスター嬢、『エンディミオンの鷹』ムウ・ラ・フラガ少佐、『エメラルドの死神』キーエンス・バゥアー大尉といったエース3人に、ナチュラルの両親の為に戦うコーディネイターの少年。これは宣伝材料としては実に使い易い。上手く流せば連合諸国の戦意を高揚させる事が出来ます」
「・・・・・・英雄願望か、人は何時もヒーローを求めている」
「そういう事だよ、キーエンス・バゥアー」

 2人の視線が再びぶつかり合う。お互いに相手を知っているのだろう。何やら不穏な空気を纏うキースの変化を察したスレイマンが慌てて場を取り繕うように辞令を取り出す。

「ま、まあ、そういう事だ。ラミアス艦長は中佐に、バジルール副長は大尉に、ノイマン操舵士は中尉に、アルスター、ケーニッヒ両名は少尉にそれぞれ昇進してもらう。下士官や兵士達にも昇進する者はいるので、艦長から通達してやってくれたまえ」
「・・・・・・分かり、ました」

 マリューは表面平然と、内心では不満が渦巻いているのがはっきりしている返事でそれを受け取った。

146流離う翼たち・作者:2004/03/22(月) 22:04
>> 過去の傷
フレイ様怒ってる〜〜!
ミリィは暴走しまくりだし、この事態は一体何処に向かうんでしょう?

>> The Last War
ドラグーンで光波防御帯、つまりフィンファンネル・・・・・・
アスランはフレイ様殺された後のキラになってるし、世界は憎しみで覆われるのか
まあ、憎しみも無しで戦争やってる奴の方が余計に怖い気もしますが

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィ、これはもう洗脳では?
キラがどんどん怖い子になっていく。ミリィ、やっぱり降りた方が良いよ

147過去の傷・88:2004/03/22(月) 23:14
「ミリィ・・・」
「・・・・・・」
ミリアリアは無言で近寄るよキラを無理矢理ベッドに押し倒し強引にキスを交わしてくた。
「・・・・・・」
「・・・んん・・・」
「・・・・・・」
「・・・や・・・め・・・ろ・・・やめてくれ!!!」
覆いかぶさっているミリアリアを突き放すと部屋を飛び出した。
「キラ!!!」
ミリアリアも部屋を出るとキラを追った。

(フレイさんにいいお知らせがあります)
(なにかしら?)
(あと一週間程でフレイさんと会うことが出来ます)
(あらそうなの!ねえところでティファってナチュラル?コ−ディネ−タ−?)
(はい?あの・・・なんのことですか?)
(え?知らないの?)
(はい、まったく・・・聞いたこともありません)
(そう変な子ね・・・まあいいわ)
(あ、私これからカガリと遊ぶから話しかけないでね)
(分かりました、私そろそろ寝ないと・・・やかましく言われるから・・・)

「ええと・・・ここね、カガリいる?」
カガリの部屋に入ろうとしたが・・・留守みたいだ。
「なによいないの〜?」
結局通路を歩いた。

「よし、お前達の部屋はここだ、一応ラクス艦長と同じ部屋にしてあるから三人でも広いと思う、じゃあまたな」
「「「カガリ様おやすみ〜」」」

「あら、カガリ♪」
「フレイ!」
「探してたのよカガリのこと、部屋にもいないし」
「私を探してた?」
「そうよ、遊ぼうと思って」
「まあ、いいけど、ついて来い」
歩いている二人。
「今日はごめん、ちょっと私むきになってた、練習なのに」
「私もだ・・・つい本気を・・・だってお前が予想以上に強かったから・・・危機感というかだな」
「途中でなんか自分じゃないような感覚に襲われたの、なんだったのかしら、すぐに解けたけど」
「私もなんか・・・私が私じゃないような感覚に襲われた、なんかあの時だけ少しな・・・」
カガリもだったなんて・・・キラにもああいう感覚があるのかしら、なんていうのかしら、ほんとに意識はあるんだけど・・・ちょっと口では表せないわね・・・。
フレイもキラやアスランと同じくSEEDを持つ者だったのだ・・・しかし改めて考えてみるとこのフレイ・アルスタ−という少女は不思議だ、二ュ−タイプの素質があるだけでなくSEEDすら発動させてしまうとは・・・もしかするとこれはいろんな経験をした彼女の強さの表れなのかもしれない。
「あ、私先に部屋行ってるからな」
というとカガリは先に去って行った。
カガリを見てフレイは思った、あんないい子を嫌っていたなんて・・ううん、違う私は嫉妬していたのかもしれない、幸せそうに・・・恵まれているように見えた彼女に・・・私には両親がいないから、でも彼女も父親が亡くなったのは聞いた・・・それも本当の父親では無かったという・・・カガリも辛いのだ・・・可哀相なのは私よりも彼女の方かもしれないとすら思うこともある・・・カガリと友達になろう、ううん親友になろう。
「離してったら!」
「キラ、私は!」
そんな時キラとミリアリアが通路の奥から姿を現した。
逃げようとしているキラに追いすがり付きまとうように手を引っ張るミリアリアの姿があった。
「キラ?ミリアリア?」
フレイは二人の方へ向かった。

148ミリアリア・あの子許せない 81:2004/03/23(火) 06:30
第2部 6. 私はキラの特別…… 5/7
[トールとキラの遺品。私が持って行ってもいいでしょうか?]

翌日、ディアッカは釈放され、オーブの係官に連れられてアークエンジェルを降りた。
通路で、それを見かけた私は、軽く会釈して、ディアッカを見送った。

私は、そのまま艦長の部屋へ行き、退艦の意図を告げた。

「そうミリアリア、残念だわ。あなたの働きは、とても優秀で惜しいとも思うけど。
 あなたが、そう思うのなら仕方ないわ」
「済みません。最後の最後に我が侭言って」

私の考えじゃない。キラの命令。私は、それに従う。私は、それで幸せだ。
昨夜は、何も考えずに眠れた。何一つ考えずに……

「それと、お願いなんですが」私は艦長に尋ねる。
「何、ミリアリア?」

「トールとキラの遺品。私が持って行ってもいいでしょうか?」
「どうして? トール君のは分かるけど、キラ君のなんて」

「キラ、あれには手を付けてませんし、私には思い出のものなんで」
「それは、キラ君に直接、お願いしたほうがいいわ。トール君のは、私の方からも、
 お願いする。トール君の両親に渡してあげて」
「はい、艦長」

「本当は、私がお詫びに行かなきゃならないのだけど、私の立場は、あまり良くないから、
 モルゲンレーテからは、あまり外に出られないの。辛いこと、お願いして悪いけど、
 トール君のこと、私からも申し分け無かったと伝えて頂戴。お願いね」

艦長は、私に頭を下げていた。

「分かりました」

今まで、キラのことで誤解していた艦長。私は涙ながらに艦長の言葉を素直に受け止めた。

* * *

<トリィ! トリィ!>

「トリィ黙りなさい。邪魔しないで」

私は、まとわりつくトリィを生きている鳥であるかのように、言葉をかけながら追い払う。
まるで、トリィを生き物だと思っていた、あの子のように。

<トリィ!! トリ、トリィ!!!>

「トリィ邪魔よ! あっち行ってなさい!!」

私は、トリィを追い払うと、ロックのかかっていないキラの部屋から出た。
キラの遺品箱を持って……

私は、キラの部屋から遺品箱を自分の部屋に黙って持ってきた。
私には分かっていた。遺品箱を持って行くのをキラが許さないことを。
そして、あの子が帰ってくるかもしれないから、キラは、このまま置いておきたいということも。
キラに頼みに行っても、そこでキラに持って行くなと命令されれば、今の私には逆らえない。
結局、私は、キラに黙って遺品箱を、密かに自分のバッグに入れた。

自分がしていることが、どういうことなのか、自分でも説明できなかった。
昨夜から、何も考えられなかった。キラの命令だけが頭の中に響いて、何一つ。

149ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/23(火) 06:32
>>流離う翼たち
アズラエル出ましたね。マリューさんは、単に第一印象だけで、もう嫌っているみたいですけど。
しかし、フレイ・アルスター少尉、トール・ケーニヒ少尉、ついにキラとタメですね。
キラとキースが昇進しないのは、関っている相手が相手だからしょうがないですね。

>>過去の傷
ティファがフレイと会えるってどういうこと? それはともかく、フレイ様がついにキラとミリィの
現場を目撃。これから修羅場でしょうか。

150私の想いが名無しを守るわ:2004/03/23(火) 19:34
>>ミリ
㍉視点で見ると、キラはラスボス並みの迫力です。
口調は、いつもと変わらないのに。不殺は端から
見れば、矛盾してますが、気持ちはわかりますね。
「もう、銃を撃ってしまった僕だから」←巧く当てはまってます。
>>過去の傷
ティファもナチュとコーディの区別は分からない
でしょうね。Xを見ましたが、ほんとフレイ様とは
真逆のおにゃの子ですね。アストレイ組も復活して
エターナルは騒々しさ増大ですね。
>>流離う翼たち
民間人さんは相変わらず、軍事や政治に口出しして
ますね。やっぱり、この人出ないと話がしまって
きませんね。マリューのリアクションは、まあ当然
というところでしょうか。
>> The Last War
C.E.最強のコンビ相手に、アプカリプスは引けを取
っていないですね。堂々としてます。アスランは、
普段冷静な分だけこの手の危機の時は安易な死を選択
したりするので見てて危なかっしいですね。

151流離う翼たち・440:2004/03/23(火) 22:17
 これで会見は終わりの筈だったのだが、何故かソファーに座る民間人がキースを呼び止めた。

「まあ待ちたまえ。久しぶりに会ったのだ。どうだい、旧交を温める意味でも一緒に飲みにでも?」
「・・・・・・お前と温めるような関係があったか?」
「酷い事言うね。これでも僕は君を喧嘩友達だと思っていたんだよ」

 やれやれと肩を竦める男に、キースは仕方なくその足を止めた。

「いいいだろう。で、何処に行くんだ?」
「任せておきたまえ。僕が誘うんだ、それなりの所へ案内してあげるよ。ああ、何ならそちらの皆さんも一緒にどうです?」

 男から誘われた7人はどうしたものかと顔を見合わせる。どう考えてもこの男は友達になれそうもない男だが、断ると後で色々と問題になる気もする。

「・・・・・・分かりました。私とフラガ少佐でよければ」
「え?」

 俺も? と言いたげなフラガを目だけで制し、マリューは男の誘いに応じる答えを返したが、何故か男は首を縦には振らなかった。

「僕としてはそちらの少年少女の方に興味があるんだけどねえ」

 そう言って民間人の男はキラとフレイを見やる。その視線を受けたフレイはビクリと身を振るわせてキラの背中に隠れ、キラは何やら息苦しそうに身動ぎした。男はフレイの動きを見て意外そうな表情になった。

「おや、アルスター嬢はその少年を信頼しているのですかな。お父様が見たらどういう顔をなさるでしょうねえ」

 男の言葉にフレイの顔色が変わり、キースが顔を顰めて小さく舌打ちした。フレイはキラの背中から出て男に問いかけてしまう。

「パパを、パパを知ってるの?」
「勿論知ってますとも。まあ、余り付き合いがあったわけじゃないですがね」
「貴方は、一体誰なの。パパと知り合いって、政府の人なの?」
「まあ、政府の人では無いんですが、政府と関わりのある人ですよ。私は連合軍需産業理事を務めています、ムルタ・アズラエルです。君のお父様とも何度かあっていますよ。ついでに、そちらのキーエンスとは昔馴染みなんですよ」

 そう言ってアズラエルはキースを見る。キースは心底嫌そうに、だが真正面からその視線を受け止めていた。

「昔馴染み、ね」
「昔馴染みには違いないだろう。君は相変わらず僕の事が嫌いなようだけど、僕は君の事を結構気に入っていたんだよ。何しろ僕にはっきりと噛み付いてきたのは君くらいだったからね。鬱陶しくはあったけど、1人くらいは君みたいなのが居た方が良い」
「ふん、お前のやり方は過激過ぎる」
「相変わらず、甘い事だね。そんな事だからこんな戦争が起きたんだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あの日、君がパトリックとシーゲルを始末するのに賛同してくれてれば、事態がここまで悪化する前にコーディネイターどもの首根っこを押さえられたのにね」

 アズラエルの言葉にその場にいる全員がキースを見た。キースは表情を殺していたが、強く噛み締めている口元がその内心の憤りの激しさを示しているかのようであった。

152流離う翼たち・作者:2004/03/23(火) 22:31
>> 過去の傷
ティファがどうしてこっちに来れるのでしょう?
しかし、遂にミリィとキラの現場を見られたか。キラの命日は今日なのか?

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィさん、悩むのは後でも出来る。今はそのまま降りて平和を掴んだ方が良い
君の今の仕事はトールの両親に死亡報告をする事だ。

153過去の傷・89:2004/03/23(火) 23:10
「キラ、そんなんじゃ分かんないわよ!」
「もう十分断っただろ!」
「ちょっとキラ!ちゃんと部屋で話し合うわよ!」
強引に自分の部屋にキラを連れ込もうとするミリアリア。
そんな時通路からフレイが歩いて来た。
「あ、フレイ!」
キラはミリアリアの手をなんとか振り払うと逃げるようにフレイに駆け寄った。
「どうしたの?」
「ミリィが・・・付き合えって・・・断ったんだけど、しつこいんだ」
「キラ!!!」
「ミリアリア、もうやめなさいよね」
フレイはキラを守るようにキラの前に立った。
ミリアリアは少し冷静になると・・・。
「フレイには関係ないわ、向こう行ってて、私はキラに話があるの」
「だからそれをやめてって言ってるの、キラだって嫌がってるじゃない、そういえば昼間もブリッジでキラに言い寄ってたでしょう?聞こえたんだから、もうやめてくれない?」
その言葉にミリアリアの顔がだんだんとこわばってきた。
「フレイには関係ないって言ってるでしょう!?私はただキラと話したいだけなのよ」
「関係なくなんかないわよ」
「・・・・・・」
「それにこの状況じゃどう見ても嫌がるキラにあんたが付きまとってるように見えるんだけど」
その言葉にミリアリアの表情が一気に険しくなる。
「なによそれ・・・なにが言いたいわけ?」
「だから迷惑だって言ってるの、もうキラに付きまとったりするのやめて、キラが可哀相じゃない、ト−ルがいない寂しさも分からなくはないけど・・・キラには関係ないでしょ、それに私だって練習で疲れてるのよもうやめてくれないかしら、キラ行きましょ」
そう言うとキラを連れて去ろうとした。
「フレイちょっと待ちなさいよね!!!」
(!この感じ・・・来るわ)
ミリアリアがフレイに背後からつかみかかってきた、しかし知っていたかのようにそれを簡単にかわしたフレイは逆にミリアリアの手をひねるとそのまま地面にたたきつけた。
「きゃあ!」
地面に伏せるミリアリア、その彼女を冷たくけいべつしたような目でフレイは見つめると冷たく告げた。
「いいかげんにして!本気で喧嘩したらあんたが私に勝てるとでも思ってんの!?」
「・・・フレイ・・・」
このフレイの行動にはキラも驚いているようだ。
「とにかく・・・もうやめて、キラ・・・部屋に戻るわよ、私達の部屋に」
「うん」
フレイが先に歩き出す。
「キラ!」
ミリアリアがキラの肩をつかんだ・・・しかしキラはその手を離しミリアリアを少し睨みつけるとフレイのあとを追った。
残ったミリアリアは・・・。
「バカ・・・」
二人の後姿を物凄い形相で睨みつけていた、まるでディアッカをナイフで襲ったときのような表情だった・・・。

その頃・・・。
「フレイの奴、いいかげん遅すぎるぞ」
カガリが部屋で一人呟いていた。

ここはサイの部屋だ。
「・・・・・・」
一人本を読んでいた、そんな時だれかが訪ねてきた。
「サイさん♪」
ジュリだった、この二人は昼ずっとデ−トしていた、読書だけだが・・・気が合うらしい。
「あ、やあ入りなよ」
「失礼しますね」

「サイさん」
「ん?」
「私達って気が合いますね」
「ああ、そういえばいろいろと」
「あのサイさん」
「なに?」
「私・・・彼氏募集中です」
「え?」
「サイさんはいま彼女とかいるんですか〜?」
「ええと・・」
そういえばとサイは思い出した、カガリのことだ・・・しかしだれがみても彼女が本気のようには見えない。
「彼女?いないよ」
「そうですか・・・よかった」(サイさんって優しい)
サイは思った、この子とは付き合っても気も合うし面白そうだな・・・と。
「あのさ・・・」
「なんですか?」
「俺と・・・付き合わない?」
その言葉に嬉しそうに飛び跳ねた。
「もちろんです!」(やった彼氏出来た!それも優しそうだしサイさん顔もいいしやった!マユラ、アサギ・・・先行くね)

154過去の傷・作者:2004/03/23(火) 23:19
>>ミリアリア・あの子許せない
ミリィ・・・キラの奴隷だ・・・可哀相すぎるぞ・・・ていうかこのキラはもう普通じゃない、戦争の血についに染まったか。
ミリィもう、キラのことは完全に忘れて自分のこれからの人生切り開いてね。
>>翼たち
アズラエル登場ですか、あいかわらず嫌なやつですね、まあフレイ様のお父様とはお知り合いでしょうね、ブル−コスモスということで。
キ−スさん修羅場に?

155ミリアリア・あの子許せない 82:2004/03/24(水) 05:20
第2部 6. 私はキラの特別…… 6/7
[今度会えたら。君のことミリィって呼んでいいかい]

私が艦を降りることを決めたのを聞いて、サイは、私の四人部屋を尋ねてきた。
サイは残念そうに言った。

「そうか、降りるんだミリアリア」
「うん」

「ミリアリア、君の決めたことなんだから仕方ないな」
「サイ、ごめんね。今まで慰めてくれたのに、私、何もお返しできなくて」

「こっちこそ、そんなミリアリアの想い分からなくて。
 俺ってさ、ミリアリアが降りるはず無いって思い込んでたんだよ。
 俺に付いてきてくれるって勝手に思い込んでて。やっぱり馬鹿だな俺って」
「そんなことない。サイは悪くないから。今でも頼ってる。また会いたい」

サイは、優しい言葉をかける。
「きっと、戦争が終わったら。また会えるよ」

私はサイに熱い視線を送る。私はサイを好きにならなきゃいけない。
キラを忘れる。それが、キラの命令……

サイは、少し迷った素振りを見せた。そして決意したように言った。
「なあ、今度会えたら。君のことミリィって呼んでいいかい。キラやトールみたいに」

「うん、いいわ。でも、不思議だったの。なんで、ミリィって呼ばないのか。
お父さんも、お母さんも、トールもキラも、みんな、そう呼んでたのに」

「遠慮してたんだよ。君とトールとキラ。いつも三人でいて仲良くて、俺達、入りこめなくてさ。
 ミリィは、三人だけの呼び名だと思っていた」
「お母さんが小さい時から、そう呼んでただけだもの。別に特別じゃない」

私は、そう言ってハッとした。気がつかなかった。
『ミリィ』は、私達カトウゼミの中では特別な言葉。それを、キラは最初から使っていた。
私はキラにとって最初から特別だったんだ。トールにとっても。

そして、キラにとっての特別の意味は違う。私が考えたくも無い意味の特別な……
はは、やっぱり、私、特別だったんだ。キラに最初に会った時から、もう既に。
はは、あはは、私って馬鹿だ……

「サイ……」
「ミリアリア……」

私はサイと別れのキスをした。長い長いキスをした。

「じゃあ、行くよ」サイは言った。私は、サイに縋るような視線を送る。

「退艦の準備大変だろうけど。俺も仕事あるから」
サイは何かを振り切るように言った。

「さよなら、ミリアリア。この次はミリィって呼ぶよ」
「さよなら、サイ」

サイは、私の四人部屋を出て行った。真面目なサイは、最後も、やはり私を奪ってくれなかった。
サイが言えば、私は何も言わず身を任せたのに……

私は、サイに心の中で呟いた。
(今度ミリィって呼ぶ時には、私を奪って。キラを忘れさせて……)

156ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/24(水) 05:25
うちのSSで『ミリィ』と呼ぶ人は、最初から意図的にTV本編と変えていました。今回伏線回収します。
昨日のトリィの出番。実は投下直前に入れました。いつも、トリィの出番は、最初、気づかなくて
後から忘れてたってことで慌てて追加してます。難しいキャラですね。

>>流離う翼たち
TV本編では、アズにはアルスター家のこと思い切りスルーされましたが、知ってるはずですよね。
これからフレイ様、アズにパパのこと、いろいろ聞く事になるのかな?

>>過去の傷
想像通り、あの修羅場が再現されましたね。恐いミリィ状態になって、これから一体何が……
ジュリとサイは、いい雰囲気ですが、ジュリはロウはもういいのかな。樹里と争ってたけど、身を引いたみたいだし。

157流離う翼たち・441:2004/03/24(水) 23:08
 アズラエルはキースを楽しげに見やると、小さく笑いながら言い過ぎた事を謝罪してきた。

「悪いね、少し言い過ぎた。あの時に今のような事態を予想しろと言っても無理な話だしね」
「・・・・・・・・・・・・」
「まあ、今日はこれで別れるとしよう。君に殴られたら怪我じゃすまないからね。そう、明日の午後3時ぐらいに人をやるとしよう。ここにいる全員を食事に招待しますよ。何か聞きたい事があるのでしたら、その時にお答えしましょう」

 アズラエルはソファーから立ち上がると、キースの肩をポンと叩き、薄笑いを浮かべて部屋から出て行った。残された人々は何も言わず、ただ棒立ちしているだけのキースに戸惑った視線を向けている。彼がここまで言われ放題になるというのは、いつのも彼を知る者には信じられない事だったから。
 暫くの間、じっと何もいわずにその場に佇んでいたキースであったが、やがて、妙に重々しい息を吐き出すと、スレイマン少将に敬礼をして踵を返した。その背後にナタルが手を伸ばしかけたが、その背中が触れられるのを拒んでいるように見えて、空中で空しく停止してしまう。キースはそのまま何も言わず、黙って司令室から出て行ってしまった。


 キースが出て行った扉を呆然と見ていた7人だったが、ようやく思い出したかのように彼らも司令官オフィスから出て行った。だが、誰もが一様に不満と疲れを見せており、昇進したばかりの軍人にはとても見えなかった。

「アズラエルですか。なんか、人目で嫌な人だと思っちゃいました」
「同感、出来れば2度と会いたくないな」

 キラとトールが愚痴る。よほど印象が悪かったのだろう。いつもなら窘めるナタルやノイマンさえ小さく頷いているのだから、その第一印象の悪さは想像を絶するものがある。ちなみにマリューはアズラエルの名を口にする事さえ嫌だと言いたげに顔を顰め、フラガは不機嫌そうなマリューの様子にどうしたものかと頭を悩ましていた。
 だが、その中でただ1人だけ、アズラエルに興味をもっている者がいた。自分にしか聞こえない程度の声でボソボソと内心を呟いている。

「なんで、ブルーコスモスのTOPと、パパが知り合いなのよ?」

 フレイだ。フレイは父があのような男と知り合いであったという事にショックを受けていたが、同時に湧き上がる疑念を抑えられなくなっていた。そう、自分の父親がブルーコスモスだったのではという疑念を。もしそうならば、父親が自分にコーディネイターを嫌うような言動を繰り返していたのも頷ける。てっきり仕事の都合で問題ばかり起こすコーディネイターを嫌っているのだとばかり思っていたのに、ブルーコスモスに加わる程の憎悪をコーディネイターに対して抱いていたのだろうか。

「もしそうなら、私は・・・・・・」

 ブルーコスモスの父を持つ娘が、コーディネイターに惹かれるなど滑稽を通り越して性質の悪いジョークだ。昔話の敵味方に別れた男女の恋物語じゃあるまいし、現実に起きたら誰もが軽蔑するであろうシチュエーションだ。そして自分は物語の主人公やヒロインを真似できるほどに強くはない。

 ナチュラルとコーディネイター、これまで必死に問題は無いと自分に言い聞かせてきた現実が、再び自分の前に立ち塞がってきたのだ。自分はキラが好きだ、この答えには偽りはない。だが、現実は自分の想いを否定するのではないのか。自分の気持ちが如何であれ、世界の流れは自分の想いを許さないのではないのか。今この瞬間にも何処かでナチュラルとコーディネイターは戦い、血を流している筈だ。その現実を前にすれば、自分の想いなど、暴風の前の蝋燭の灯火にも等しいのではないのか。
 フレイはいつも自分の中にあるもう1つの答えと再び向き合う事態に直面する事になった。そう、自分の想いは、間違っているという答えに。

158過去の傷・90:2004/03/24(水) 23:11
「え?カガリと?」
「そうなの、ごめんね・・・あ、キラその・・・ミリアリアが来るかもしれないから・・・サイのところかどっかに行ってて」
「うん、分かった」
「それじゃ」
フレイは出て行った。

「カガリごめん遅くなっちゃった・・・て・・・寝てるし」
待ちくたびれたのかカガリはベッドの中で寝ていた。
カガリを見ているうちフレイはついカガリの寝顔の可愛さに見とれてしまった。
「・・・可愛い」
ほんとこうしてみると可愛いカガリって、みとれちゃった。
そして自然にベッドの近くまでくるフレイ。
「もう風邪ひいたらどうするのよ」
シ−ツが半分でかかっていたのでちゃんとかけてやる。
「カガリ・・・おやすみ・・・貴女はほんとに可愛いわね」
カガリの頬に軽くキスをすると部屋を出た。

フリ−ダムの前まで来ていたミリアリアは。
「・・・・・・」
フレイ・・・あの子に出来て私に出来ないわけないわ、だいたいさっきのはなによ偉そうに・・・あの子にあんなこと言う資格あるわけ?なによちょっといい子になったからって・・・。
私に説教?あの子がア−クエンジェルでキラやサイにした行為に比べたら私のなんて可愛いものじゃない、それなのになによ自分のやってきた行為を棚に上げてよく言うわ。
フリ−ダムに乗り込むミリアリア。
「私だってやればできるはずよ・・・負けられないわ」
私にとって今日の夜の出来事は屈辱だった、キラ・・・私の気持ちなんで分かってくれないのよ!寂しいのに・・・ト−ルの代わりになってくれるだけでいいのに・・・。


通路に出たフレイは・・・夜といっても艦は明るいのでいつも昼に近い。
「あれれ〜キラさんの彼女!」
マユラと会う。
「あ!あんた!ちょっとねえ!」
「それどころじゃないんです!だれかがハッチを開けたみたいで」
「フレイ!」
「サイ?」
サイとジュリが部屋から出てくる。
「キラは?」
「分からないわ、たぶん部屋にいると思うけど」
「そうか・・・いやそれどころじゃないんだ!誰なんだよ勝手にハッチを開けたのは!」
とにかくまずブリッジに向かった。
「いやミリアリアっていう通信してるお嬢ちゃんがたしかうろうろしてたぞ」
「え!?ミリィが!?」
「・・・ミリアリア・・・」
モニタ−で確認する。

「ええと・・・どうするんだっけ・・・」
なんとか起動したミリアリアだったが。
それからは動かすことが出来ない、歩くことすらできないのだ・・・。
「あ、こうよこう!」
もちろんだがフレイのように動かすことは出来ない・・・それどころか・・・。
「あ、やだ、きゃあああ!!!」
ついにフリ−ダムは転倒してしまう。
「・・・・・・」
そんなはずない・・・あの子に出来て私にできないなんて・・・そんなこと・・・こんな屈辱的なことってあんな閉じこもってた子に私は負けるの?ずっとフレイなんかより近くで戦闘を見てた・・・いつも逃げてた臆病者のあんな子とは違うって思ってたのに・・・。
「いや・・・いや・・・なんで・・・なんでよ・・・いや・・・いやあああああ!!!」
ミリアリアは操縦席で絶叫でして泣いた。
ブリッジにも聞こえた。

「ミリィ・・・」
いま来たキラが虚しそうに呟いた。
(バカだなミリィは・・・)
「キラ行きましょう・・・こんなの見てたってしょうがないわよ」
「そうだね、僕達には関係ないしね」
フレイはキラを優しく抱きしめると・・・手を繋いで二人は部屋に戻った。

159流離う翼たち・作者:2004/03/24(水) 23:14
>> 過去の傷
はわわわ、恐ろしい、フレイ様が昔のサイになってる
一方のサイはなんだか幸せを掴めそうだけど、カガリ、暴走しちゃ駄目だよ

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィは降り、サイは残りましたか
ミリィはオーブ戦をAAの外から見るのでしょうか

160過去の傷・作者:2004/03/24(水) 23:20
>>ミリアリアあの子許せない
うむ・・・ミリィの気持ちもすごく分かるんですよ・・・でもなあ。
サイに奪ってほしかったんですね、ミリィなりにキラを忘れようとしてるんですね、艦を降りた彼女の運命は?ディアッカとはこれで終わりなんでしょうか?
>>翼たち
フレイ様・・・これはいつかは乗り越えなければいけない壁です・・・フレイ様戸惑ってますね、これでなにも影響がなければいいんですが・・・。

161ミリアリア・あの子許せない 83:2004/03/25(木) 04:28
第2部 6. 私はキラの特別…… 7/7
[特別な私に、さよなら……]

翌朝、私はいつもの四人部屋のベッドで目を覚ました。昨夜も、よく眠れた。
キラの命令を反芻して、それに従っている自分に心地よく体を揺られながら
眠りについていた。夢も見なかった。

私は、真新しい下着に替えると、連合の軍服の代わりに、退艦のためにオーブから
支給された質素な服に着替えた。今までの普段着はワンピースが多かったけど、これは
払い下げらしいシャツとジーンズだった。これからは、戦争から逃げ回るだけになる私には、
この方がいいのかもしれないと思った。

ヘリオポリスからアークエンジェルに乗り込んで、自ら志願して着せられたピンクの
見習い兵の軍服。それは昨夜畳んで、使っていないベッドの上に置いてある。
私の軍服は、このまま置いて行く。悲しい想いの詰まった軍服は、もう必要なかった。

ヘリオポリスのころの私服や、持ち出しを許された身の回り品はバッグに詰め込んである。
トールの遺品箱も入っている。そして、密かに持ち出したキラの遺品箱も……
私のバッグは大きく膨れている。

時間が来た。私は、その大きなバッグを持って、長い間住み慣れた四人部屋を見回した。
上の段のベッドに、相部屋だった時の、あの子のイメージが少しだけ浮かんだ。

「あの子…… 許せない」

私は、一言だけつぶやいて、私の四人部屋を出た。

私は、みんなに見送られながらアークエジェルを降りた。最後の退艦志願者だった。
サイは手を振っていた。艦長とフラガ少佐は悲しそうだった。なぜか、また、カガリさんが
キラと一緒に見送っていた。

「さよなら、ありがとね、みんな」 私は最後の挨拶をかわす。
「さよなら」 みんなは答えた。

キラは、やはり無言だった。無表情な、その顔は、私には冷たくて残酷に見えた。

* * *

オノゴロにあるオーブ政府の受け入れ事務局で、私は故郷の両親に連絡を取った。でも、
両親には連絡がつかなかった。私が降りるまで迷って時間がかかったのと、その間に、
オーブと連合との情勢が悪くなり、自主的に国外退去した人も多くて、両親も、それに
含まれるかもしれなかった。とにかく、私の故郷まで行って、そこから行方の手がかりを
探すしかなかった。

トールの両親とは連絡が付いた。私は、とりあえずトールの両親に会うことにして、
受け入れ事務局を後にした。

オノゴロから、オーブ本土に向かう連絡機が発進した。窓に見えるオノゴロが離れて行く。

私は、最後にそっと呟いた。
「さよなら、キラ」

そして、キラの特別な私に、さよなら……

162ミリアリア・あの子許せない 作者:2004/03/25(木) 04:32
ミリィSS、5, 6章終わります。今あるメモだと、これで第2部の半分くらいです。これから舞台はオーブに移ります。
次は、フレイSSに戻ります。ここで新しいオリキャラが登場します。

>>流離う翼たち
お話しの世界では望まれない二人のシチュには憧れますが、実際、自分がそうなると醒める気も分かります。
まわりの環境はフレイ様の自身の心とは関係無いはずなんですけど、実際には、それで壊れてしまう関係も多いのでしょう。
別に、どちらの結論を出しても、間違いでは無いです。

>>過去の傷
ううむ、ミリィがサイの二の舞を…… でもキラとフレイの反応が冷たすぎる。さらに、一波乱ありそう。

163流離う翼たち・442:2004/03/25(木) 21:48

 窓から注ぐ朝日に、ナタルはゆっくりと半身を起こした。何となく頭が重いのは昨日飲み過ぎたせいだろう。昨日は司令部を後にすると、そのまま艦長が買い込んだ酒をフレイの家に持ち込んで・・・・・・

「ふう、艦長の酒豪ぶりも恐ろしいが、まさか子供達があんなに飲むとはな」

 水でも飲むかのように平然とビールを開けていくフレイとカガリの姿には流石に驚いてしまった。ミリアリアはまあ人並みだったが、それでも平然と飲んでいた。マリューに至ってはもう空の酒樽の如く飲んでいたから恐ろしい。
 狂乱の酒宴は怒涛の暴露トークへと雪崩れ込み、マリューの過去やら自分の経歴やら、果てはフレイとキラの経験談にまで及んだのだ。


「何、2人は二桁経験済み!?」
「艦内でそんな破廉恥な事を・・・・・・」
「「・・・・・・・・・(黙って聞き入っている)」」
「うう、でもキラって酷いんです・・・・・・もう疲れたって言っても盛った犬みたいに延々と」
「まあ若いからねえ」
「そ、そんな破廉恥な、事を・・・・・・」
「「・・・・・・・・・(現在妄想中)」」
「一番酷い時なんか5時間ぶっ続けで・・・・・・もう腰が痛くて痛くて」
「・・・・・・超絶倫人ね」
「プシュ〜〜〜(どうやら限界を超えて体内ブレーカーが落ちたらしい)」
「「・・・・・・・・・・・・(現在妄想中)」」


 思い出してしまい、襲い来る頭痛に顔を顰めた。あれは地獄絵図だった。いや、早々に戦線離脱した自分はこうして誰のものかも知れないベッドを占領して朝を迎えたわけだが、果たして下はどうなっているやら。

「余り見たくはないが、そうもいかんだろうな」

 仕方なくベッドから降り、皺だらけになった私服はまあ諦めてトコトコと一階に降りると、案の定残りの4人はリビングで泥酔死体と化していた。マリューは酒瓶抱えて横になっているし、ミリアリアとカガリは背中を合わせるようにして座った姿勢のまま眠っている。どういう訳かフレイだけはタオルケットをかけてソファーを占有していた。全員潰した後に1人だけきちんと寝たのだろうか。
 我が弟子ながら、この辺りは実に侮れない少女だ。すでにハリセンをマスターしたというし、本当に物覚えが良い。

「ふむ、まあ、放っておいても大丈夫だろう」

 そう確信すると、ナタルはリビングを横切って家を出て行こうとしたのだが、リビングの戸に手をかけたところで声をかけられた。

「帰るの、ナタル?」
「艦長、起きていたのですか?」
「ええ、あれくらいで酔い潰されたりしないわよ」

 そう言って上半身を起こしたマリューは、大きな欠伸をしつつきょろきょろと辺りを見回し、潰れている3人を見て優しい笑みを浮かべた。

「まあ、本当ならいけないんでしょうけど、たまにはこういうのも良いかなと思ったのよね」
「艦長は随分楽しんでいましたからね」
「お酒があればとりあえず幸せよ」

 はっきりと言い切るマリューにナタルは額を押さえたが、すぐに立ち直ると扉を開けてリビングを出て行った。彼女も随分と逞しくなったものだ。

164流離う翼たち・作者:2004/03/25(木) 22:00
>>過去の傷
2人とも、なんだか冷たい。ミリィがサイ化してるのはちょっと怖い
1人平和を勝ち取るのはサイなのだろうか・・・・・・

>> ミリアリア・あの子許せない
ミリィさん、やっと艦を降りましたか。とりあえずトールの両親の戦死の報告ですね
ある意味これが一番辛い仕事なのだが。ミリィを見送るキラの冷たさは、はたして錯覚か?


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