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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

65流離う翼たち・431:2004/03/13(土) 21:23
 マドラスにたどり着いたアークエンジェルは、基地のドックに入渠するなり早速修理が始められた。何しろヨーロッパでは完全な修理を受ける事は出来なかったので、これが始めての本格的な修理と点検という事になる。考えなくても試作艦を整備無しで数ヶ月運用する事それ事態が間違っているのだが。
 入渠中の艦艇のクルーには当然の事ながら休暇が出される。普段は忙しくて仕方が無いマリューやナタルも、あんまり忙しくないフラガやキースも暫くは艦を追い出されて休暇を楽しむしかないのだ。

「ふう、困りましたね。私はどうしたら良いんでしょう?」

 ナタルに問われたマリューは荷物袋を担ぎながらナタルを見やった。

「どうしたらって、貴女は休暇をどうするのか考えてなかったの?」
「はい。てっきり艦の補修のチェックをやらされるとばかり考えていましたので」
「ここのドックは設備も人員も充実してるから、私たちの出番はほとんど無いわよ。時々回されてくる報告書に目を通すくらいで、私1人で楽に終わるわ」
「・・・・・・では、私はどうすれば?」
「街にでも出てショッピングでもしてこれば。どんなに不満でも一週間はやる事無いんだし」
「1人でですか?」

 困った顔で言うナタルに、マリューはニヤァと嫌らしい笑みを口元に浮かべ、表情を崩した。それを見たナタルがビクッと身体を引く。

「何言ってるのよナタルゥ? こういう時こそチャンスじゃないの」
「な、何のことです?」
「惚けちゃって。キース大尉に決まってるじゃない」

 ニヤニヤ笑いを浮かべて近付いてくるマリューに、ナタルはじりじりと後ずさった。何と言うか、表情が追い詰められた小動物のように引き攣っている。対するマリューはもう面白くて仕方ないと言いたげに緩みまくっていた。

「チャンスよ。ここで一気に勝負に出なさい」
「ななななん、何の勝負です!?」
「分かってるくせに。いい、ポイントは如何に男をその気にさせるかよ。少佐と違って大尉はちょっと枯れてるから、うまくムードを作って誘導するか、露骨にアピールするかのぢちらを選ぶかが問題だけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 マリュー御姐さんの為になるデートの決め手講座を、いつの間にかナタルは神妙な顔で聞き入っていた。だが、それが些か熟練というか、男を扱うのに慣れたマリューから出たものだという点に問題があり、マリューには当たり前のことでもナタルには顔から湯気が出そうなほどに刺激的なアドバイスばかりであった。

「じゃあ、頑張りなさいよ、ナタル」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ポンとナタルの方を叩いてマリューはアークエンジェルから出て行く。残されたナタルは顔を真っ赤にして本当に頭から湯気を出してそうなくらいにのぼせていた。


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