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空色の箱と零の花

1紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/18(月) 15:49:46 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp

 初めまして、もしくは今日は、紫闇 梨桜(シアン リオウ)です。
 前作は全く話に入りこめず、途中放棄が多くなりましたのでこれからは一作か二作程度しかスレを作らず、集中出来るような話にしていきたいと思います。

 今回は、学園系シリアスファンタジーにしていきたいと思います。まあ、僕にとっちゃ当然のようにミステリー的なやつとか歪み、戦闘が入って来ます。まあコメディも少し入ってくると思いますし、恋愛系も結構入ってくるかと………。


++苦手な方はUターン(注意事項)!++
+荒らし、暴言、中傷など、周りが見て不愉快になるもの全てをスルーさせて頂きます。また私が見て不愉快となる書き込みをしつこく行ってくる場合はアク禁依頼を出させて頂きます+
+イタリア語、英語、ドイツ語など様々な言葉が出て来ます。その他にギリシャ神話とか色々出てくる予定です+
+グロ表現が多数出て来ます。なるべく押さえるようにしますが、苦手な方はUターンをオススメします+
+妖精、魔術師、超能力者など、非現実的なものが沢山出て来ます+
+更新は非常に遅いうえに駄作です。何か意味の分からない言葉や文章が出て来たら問いかけ貰って構いません+
+この小説は、題名、人物名、その他全て、他の作品をパクったりはしていません。似ている作品があったとしてもたまたまだと思われます。もし似てないか、と問いかけられても全て否定させて頂きます+


+何度も言いましたように、小説は何回を書かせて頂いていましたが非常に駄作です。しかし感想やアドレスをお待ちしております!+

んと、多いかも知れませんが……宜しくお願い致します。



いつもなら、あらすじを入れる予定ですがまだ明確に決まってはいないので今回は用語説明(?)になります。


・桜龍学園(オウリュウガクエン):付属幼稚園、附属小学校、附属中学、附属高校、附属大学まであるエスカレーター式学園。エスカレーター式と言っても上に上がるためにはそれなりの成績が必要。また転校生は特別枠としあまり受け入れられないが理事長とかに面識があったり特別頭が良かったら受け入れられる。またチャンスとして中一と高一のときに外部生受け入れ受験というものがありこれに受かれば入学可能になる。主に金持ちがおおい。小学校は私服で、中学は学ラン、セーラー服、高校はYシャツにブレザーとなり様々。中学と高校のリボン(ネクタイ)の色は学年別で一年黄色、二年青色、三年赤色となる。クラスはA〜Dまでである。

・学園都市(ガクエントシ):交通機関や様々なショップ、学園がある都市。第一学区〜第八学区程度ある大きな都市。

・学園都市第一学区(ーダイイチガック):主に学園都市の入り口となる所なので警察が周りに多くある。あとは病院がありシン、とした学区

・学園都市第二学区(ーダイニガック):警察署などを超えたさきには様々なショップがある。主に食料品系デパートや女子が喜びそうなお店がたくさん。ギャルやチャラ男が多くいたり((深夜はきらびやかで昼のように明るい

・学園都市第三学区(ーダイサンガック):ここもお店がわんさか。今回はチャラチャラしているものではなく、平凡でおとなしそうな少女が好きそうなものが多い。また男性が好きそうなものもあったをと、普通系統が多め

・学園都市第四学区(ーダイヨンガック):学園都市中心部であり一番安全な学区。学園が主に集まる場所であり、桜龍学園もここにある。

・学園都市第五学区:民家やマンション、アパートが集中している。

・学園都市第六学区〜第八学区:遊園地や水族館など遊べる場所が多くあるし、ショップもあったりして、一番人が集まっている場所。

・風葉学園(カザハガクエン):桜龍学園と同じエスカレーター式の学園で校則とかもほぼ同じで制服以外全て同じ。ネクタイやリボンの色の違いだけが制服で同じ所で中高両方Yシャツとブレザーである。桜龍学園とは姉妹校であるが実際仲がとっても悪い((



 長かった………。これくらいですかね、また追加するかも知れませんが宜しくお願いします。




ー空色の箱を探してる………その中には何がある……?ー

2紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/18(月) 18:58:42 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp

 ふと見ると、箱があった。真っ青に澄んだ空色の箱。
別に浮いているわけじゃなくて、手があってその上に乗っている。その手の持ち主は誰か分からなかったが真っ黒な暗闇に浮かび上がる程鮮やかな白銀の髪の持ち主であった。かなり長い髪だったから少女だと思う。
少女はサラリと髪を揺らし一歩前に歩くと「受け取って……? この願いの叶う箱を」と静かに言った。


 これを受け取ったら……私は幸せになることが出来たのかなー……?



*Next story†プロローグ 日常*

3紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/19(火) 21:31:37 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
*プロローグ†日常*

「うあー!!お兄ちゃん、離してっ!!」

 サラサラとした金髪を腰より5cm程度短くして両こめかみあたりに白いヘアピンを二つしていて、右目赤色、左目黒色のオッドアイの瞳をキラリと光らせ、附属中学用のセーラー服に二年生用の青いリボンを付け気弱に唸る少女、小鳥遊 輪廻(タカナシ リンネ)は、茶髪を首あたりまでに綺麗に整え、黒い瞳を宿し、白いYシャツに黒いネクタイに金色のネクタイピンがキラリと光っていて黒いズボンをはいた桜龍学園の数学教師にして輪廻と十歳離れた実の兄の小鳥遊 優(タカナシ ユウ)が輪廻を思いっきり引っ張っていた。病弱で足が動かない病気の輪廻は車椅子に座っているためすんなりと連行された。

 桜龍学園には、教員一人一人に個室があり、そこで学習相談を受けたりする。まあ遊びにくる生徒を多いことも事実である。
優は輪廻の車椅子を押しながら「お前、数学点数悪過ぎ。それでも俺の妹か?」と深くため息を付く。輪廻はムッとしたように言い返そうとしたけれど押し黙り「だって……。あ、ううん。何でも無い。うん、次は頑張る!」といきなりパァァッと明るい笑顔を見せ笑った。

 ガラリ、とドアを開け「じゃあ、また数学の授業でね、お兄ちゃん」と言いドアを閉めた。
今は昼休み。先生達は個室ではなく職員室にいるのではないかと思い輪廻はひょこっと覗いてみる。しかし望みの先生はいなくてはぁ、とため息をつくと後ろから低めな声がした。

「小鳥遊か。どうかしたか?」

「あ……時雨、見ませんでしたか?教室にもどこにもいなくて………」

 輪廻は相手の男性教師、鬼風(オニカゼ)先生を見る。鬼風は、ん?と不思議そうに首を少し傾け「放送かけるか?」と言った。輪廻は、んー、と小さく考えると小さく首を横にふってニッコリと満面の笑みで「大丈夫です。もしもの時は、おに……小鳥遊先生に手伝って貰います。ありがとうございました」と一度お辞儀をして職員室を出た。職員室の中では、やはり小鳥遊輪廻は良い子だとかと喋っていた。


 車椅子でゆっくりと移動する輪廻。ふといきなり速くなった。輪廻は驚いたようにバッと後ろを振り返る。そうするとパァァッと新しい玩具を貰った子供のように表情が明るくなり「時雨っ!」と笑った。時雨と呼ばれた、焦げ茶の髪を首まで伸ばして灰色に薄白の混ざった瞳をし、黒い学ランを着た少年、一ノ瀬 時雨(イチノセ シグレ)はため息をつくと「俺を探してたんだって?俺帰るとこだった」と苦笑した。

「ね、時雨。今日ちょっと数学教えてっ?」

「ん?何で数学?リンって数学得意じゃなかったけ?」

「あー……のね、ちょっと勉強しなかったからさー……」

 あはは、と苦笑しつつ輪廻が唸る。時雨が分かり切った、と言うように深くため息をつくと「どーせ……喘息とか色々あって全体的に勉強出来なかったんじゃねぇの?」と軽く、チラリと輪廻の目を見て言う。諦めたように輪廻が悲しそうな、残念そうな表情をすると「やっぱり時雨には隠せないかー……。お兄ちゃんなら隠せたのになぁ」と呟いた。

4紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/19(火) 22:52:32 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
「やっぱりお兄ちゃんより時雨の方が分かって……くれる、よ」

 にっこりと可愛らしく微笑んだ“つもり”だった。だけど、きっと笑えてなかっただろう。そう、輪廻は思った。
何故かは分からないけど涙がポロポロと流れ出している輪廻。時雨は驚いたように目を見開き「……久し振りに、リンの泣いてるトコ見たかも。レアだな」とニヤリと笑った。輪廻は服の袖で何度も涙を拭いながら「五月蠅い……っ」と時雨にぶっきらぼうに言い、そのあとは時雨も輪廻も黙り込んでしまった。

「あー……と、あ、の。し……ぐれ、かえ、ろ?」

「あ……あ、うん」

 二人とも、ぎこちなく会話をし「あ、時雨。ちょっとお兄ちゃんの個室に忘れ物取りに行ってくる!ちょっと待ってて!」と輪廻はそれだけ言い残し車椅子で急いで行こうとした。しかしパシッと言う小さな音がしたあと、時雨が小さな声で「俺も行く。………リン一人だけじゃ……遅いだろ」と恥ずかしそうに言って車椅子を勢い良く押すと輪廻は絶叫、時雨は面白そうに爆笑、という様々な音が混じり合った放課後の校内となった。




「つかさー、最近お隣の一ノ瀬君と仲良いよな」

 家でくつろいでテレビを見ているとCM中に、ふと優がそんな事を言った。輪廻が首を傾げて優を見ると「まぁ……そりゃあ幼馴染だし……。私の事理解してくれてるし」と困ったように回答する。

「俺と一ノ瀬君、どっちが輪廻のことを良く理解してる?」

「え……? あ…、んと……お兄ちゃん、かな?」

 珍しく優が真面目に問いかけをしてきたのでビクッとしながら少しゆっくりと応えてみた。こうやって輪廻のストレスが溜まっていき、対人ストレスに弱くなる。

「あ、私……友達に電話しなきゃ。私、留守のとき電話掛かってきたから」

ささっと逃げるようにその場を立ち去る。ガチャン、と言う音を立てドアを閉めると安堵したようなため息を付き「良かった……」と呟いていていた。

5紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/20(水) 14:33:44 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
 これが私の“日常”なんだ。お兄ちゃんの気が良くなる方を選択し、お兄ちゃんのご機嫌をとる。そう心の奥底で呟いた。

「おす、リンがこんな時間に部屋にいるなんて珍しいな」

 家が隣であるため、輪廻が自分の部屋の窓を開けたらすぐに時雨がそこにいる。
 時雨が輪廻の視線に気付きジッと見ていたノートを閉じシャーペンをおき窓をあけて言った。
暗闇に浮かび上がる二つの部屋の電気。あたりは電気もついていなくてここだけがきらびやかな世界のように映っている。輪廻は時雨の顔をみて、あははは、と笑って見せる。

「何だか眠くなっちゃってさ。もう寝るね!お休みっ」

 語尾に星でも付きそうなくらい、向日葵のような満面の夏の日差しのような笑顔で言った。時雨は困った顔をしつつ窓を締めると「バカ……か。俺」と呟いた。




「これが私の日常なんだ。何も分からない、本当の“幸い”がなんなのかも、嬉しいことも悲しいことも、イライラするということも。今の女の子なら普通に出来る“恋愛”さえも。きっと私は……いつでもそう」

 輪廻は時雨が窓とカーテンを締めたあとにもう一度窓を開け星を観察しながら呟いた。優しく、可憐で今にも崩れ壊れそうな笑顔で。それでも笑顔を保たせながら「ギリシャ神話の英雄で……なのに星で現すとなかなか見えなくて悲しい存在………。きっと“アレ”は私だね」と小さく呟いた。




 小鳥遊 輪廻。誰からも愛され、誰からも信用され、誰からも人気になった少女。彼女の日常をきっと、儚くて脆くて壊れやすく、綺麗なものなのだろう。

6紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/20(水) 22:40:10 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
*第一章†僕と君と空色のもの*

 肌寒くなった十一月の冬の季節。辺りは既に雪に埋まった所もあって銀世界が広がっている。
 窓の外をジーッと見つめ、しんしんと降る雪を見て「寒い、な……」と小さく呟く。輪廻は基本的に冬と夏、極端に暑くなったり寒くなったりするのが苦手で体調を壊すことも多くある。ケホケホと小さく咳き込むと、白いチョークを黒板に向け書いていたのをピタリと止めふと振り返る教師が「り……小鳥遊、大丈夫か?」と問いかけてきた。それは黒淵眼鏡をかけた、優であり「ぇ……と、あ、はい。大丈夫、です」と小さく縦にコクコクと頷く。

 はぁっと小さくため息をついただけで白い息が出てくる。黒板に書いてある言葉をササッとノートに写す。
 チャイムがなって、数学の教科書やノートをしまうために立ち上がるとふらりと輪廻の体が揺れた。周りから微かに短い悲鳴が聞こえ、女子に囲まれていた優が慌てたように駆け寄ってくる。焦げ茶色の髪も輪廻の視界に映り時雨かと考える。時雨は優と何かを言い合ってるようで時雨の怒鳴ったような声が本当に少し聞こえ、止めに入る学級委員の声も聞こえた。黙りこくった時雨が、輪廻を見て声を掛けた途端に輪廻は意識が消えた。



* * * * * * * * * *

 僕はもうきっと間に合わない。
もう、心も体を刻みこまれ、みじん切りにされたキャベツのようになってるから。

 それは……、優兄や時雨、クラスメイトとか……私を優しくて可愛くて信頼出来ると言って言い寄る人達、全員が僕の“敵”だ。


 やめて。お願い。僕に近づかないで。優しいと、信頼出来ると、可愛いと…………好き、と言わないで!!

 それが、僕を、私を、あなたを!!
駄目にしているのだから。




 二度と近付かないで欲しい、と。
 さようなら、と。
 お互い頑張ろう、と。

僕がそう言うと悲しそうに微笑し、そっか、と言ったけど……きっと君は僕の本当の気持ちを分かっていない!!


* * * * * * * * * *


「だ………れ?」

「良かった……リン、起きたか」

 輪廻のことをリンと呼ぶ唯一の人物、時雨かと思い安堵した表情を見せると「リン、このまま保健室にいるか?それとも、教室に戻るか?」と問いかけられる。小さく、弱そうな声で「まだ……ここにいる。時雨は帰っても、いいよ。迷惑かけたくないから………」とケホケホと咳き込みつつ言った。時雨の表情は輪廻には分からなかったけど「そっ……か。じゃあ俺、教室行くからな」と言い残し、座っていた椅子を丁寧に戻しガラリと保健所のドアを開けて教室へ帰って行く。


「やれやれ。これで二万三千一回同じことを繰り返している。そろそろ俺も飽きてきたんだが?」

 男っぽい口調の割には、少し高めの少女のような声がした。ゆっくりとその声の持ち主の方を見ると、どこかで見たようなことのあるキラキラと光る白銀の髪を太股より5cm程度長くしているが踝より短くなってていて、赤いヘアバンドをしていて、右目白色、左目藤紫色のオッドアイの瞳を宿し白いYシャツに黄色のネクタイをし、薄肌色っぽいブレザーをきて黒いミニスカートをはいた附属高校の一年と思われる少女、翡翠 衣純(ヒスイ イズミ)が無表情に立っていた。

「あ……の、先輩? 二万三千一回同じこと………って……?」

「………時に、君は叶えたい願い事はあるか?」

「へ……? まぁ……あるって言ったらあるし、ないって言うと無いですし………」

「………受けとるか?この願いの叶う箱を」

 衣純は無表情に淡々と告げ、空色の可憐な箱を取り出し、輪廻の前に差し出した。

7紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/24(日) 17:55:50 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
「私、は………」

 困ったように呟くと、スッと箱の方へ手をやり、箱に触れるか触れないか、というギリギリのところで手を引っ込め、衣純の顔を笑顔を見て「私は……受け取りません。だって、願いは自分で叶えるものでしょう?」とやんわりと衣純の言葉を否定した。衣純はふん、と鼻で笑うとニヤリと言う擬音が似合いそうな笑みを浮かべ「しかし……君は取りにくる。だって“叶えられなかった”のだもの」と微かに呟いた。


 衣純が出て行って数分、ふとここが保健室であることを思い出した。微かに漂う薬品、薬の匂いと、独特な全体的に真っ白な部屋。そろそろ帰ろう、と思い輪廻がスッと立ち上がったとほぼ同時に勢い良く扉は開いた。
 金色の瞳をギラギラを光らせ、血のように赤く、赤黒い髪が何かで濡れたようになっていて全体的に真っ黒な服、真っ黒なコート、真っ黒なズボン、真っ黒な帽子……唯一言うなら手袋だけは真っ白、しかしどこか赤い部分があった。少年、と言うよりも二十歳前半の青年は低い声で「お前………所有者、だな?」と言った。輪廻が慌てたようにして質問に答えず後ずさりしていると、廊下の方面から「大丈夫か!?おい、一ノ瀬!?っ、小鳥遊先生も!!」と言う鬼風の叫ぶ声が聞こえる。輪廻は保健室の扉から真っ黒な青年に視線を写し「な……んなの?あなたが、やった……の?」となるべく冷静を装って言う。

「ああ、アイツらか。俺にどこ行くか聞いてきたから保健室つったら色々五月蠅くってな。殺っちまった。まあ半分くらい、だけどな?」

「あ、そうそう。俺、一ノ宮 如月(イチノミヤ キツキ)つーの」

 如月と名乗った青年を輪廻はただただぼんやりと見つめる。何もかもを失った、と言うよりも最初から何もなかった、感情のない人形のような無表情で「すいません、どいて下さい」と告げ、スッと廊下に出た。鬼風と校医が時雨と優を見ていて廊下には血の酸っぱい臭いが漂っている。生徒と教師がザワザワと集まって来て、ひそひそと喋っている。

 ゆっくりと、ゆっくりと倒れている優と時雨に近付いて行き、鬼風が止めるのを無視して近付く。目の前にきたらストン、とその場に座り「ね……ぇ、先生?」と輪廻が鬼風に問いかける。

「人間って……脆いものですね。私も、貴方も、時雨もお兄ちゃんも……。すぐ、死んじゃって、二度と生き返らない。だったら………人間なんて存在しはければ良いんじゃないですか」

 その場に落ちていたナイフ二本を見つめて言う。鬼風は驚いたように目を見開いたとき、シュッ、と言う素早い音と共にホラー映画でありそうな程大量の真っ赤で紅黒い血が飛びでてくる。生徒の間では短い悲鳴が多く聞こえ、叫びながら逃げていく人もいる。


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