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空色の箱と零の花

7紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/24(日) 17:55:50 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
「私、は………」

 困ったように呟くと、スッと箱の方へ手をやり、箱に触れるか触れないか、というギリギリのところで手を引っ込め、衣純の顔を笑顔を見て「私は……受け取りません。だって、願いは自分で叶えるものでしょう?」とやんわりと衣純の言葉を否定した。衣純はふん、と鼻で笑うとニヤリと言う擬音が似合いそうな笑みを浮かべ「しかし……君は取りにくる。だって“叶えられなかった”のだもの」と微かに呟いた。


 衣純が出て行って数分、ふとここが保健室であることを思い出した。微かに漂う薬品、薬の匂いと、独特な全体的に真っ白な部屋。そろそろ帰ろう、と思い輪廻がスッと立ち上がったとほぼ同時に勢い良く扉は開いた。
 金色の瞳をギラギラを光らせ、血のように赤く、赤黒い髪が何かで濡れたようになっていて全体的に真っ黒な服、真っ黒なコート、真っ黒なズボン、真っ黒な帽子……唯一言うなら手袋だけは真っ白、しかしどこか赤い部分があった。少年、と言うよりも二十歳前半の青年は低い声で「お前………所有者、だな?」と言った。輪廻が慌てたようにして質問に答えず後ずさりしていると、廊下の方面から「大丈夫か!?おい、一ノ瀬!?っ、小鳥遊先生も!!」と言う鬼風の叫ぶ声が聞こえる。輪廻は保健室の扉から真っ黒な青年に視線を写し「な……んなの?あなたが、やった……の?」となるべく冷静を装って言う。

「ああ、アイツらか。俺にどこ行くか聞いてきたから保健室つったら色々五月蠅くってな。殺っちまった。まあ半分くらい、だけどな?」

「あ、そうそう。俺、一ノ宮 如月(イチノミヤ キツキ)つーの」

 如月と名乗った青年を輪廻はただただぼんやりと見つめる。何もかもを失った、と言うよりも最初から何もなかった、感情のない人形のような無表情で「すいません、どいて下さい」と告げ、スッと廊下に出た。鬼風と校医が時雨と優を見ていて廊下には血の酸っぱい臭いが漂っている。生徒と教師がザワザワと集まって来て、ひそひそと喋っている。

 ゆっくりと、ゆっくりと倒れている優と時雨に近付いて行き、鬼風が止めるのを無視して近付く。目の前にきたらストン、とその場に座り「ね……ぇ、先生?」と輪廻が鬼風に問いかける。

「人間って……脆いものですね。私も、貴方も、時雨もお兄ちゃんも……。すぐ、死んじゃって、二度と生き返らない。だったら………人間なんて存在しはければ良いんじゃないですか」

 その場に落ちていたナイフ二本を見つめて言う。鬼風は驚いたように目を見開いたとき、シュッ、と言う素早い音と共にホラー映画でありそうな程大量の真っ赤で紅黒い血が飛びでてくる。生徒の間では短い悲鳴が多く聞こえ、叫びながら逃げていく人もいる。


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