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空色の箱と零の花
6
:
紫闇 梨桜
◆ptZpvaYoVY
:2011/07/20(水) 22:40:10 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
*第一章†僕と君と空色のもの*
肌寒くなった十一月の冬の季節。辺りは既に雪に埋まった所もあって銀世界が広がっている。
窓の外をジーッと見つめ、しんしんと降る雪を見て「寒い、な……」と小さく呟く。輪廻は基本的に冬と夏、極端に暑くなったり寒くなったりするのが苦手で体調を壊すことも多くある。ケホケホと小さく咳き込むと、白いチョークを黒板に向け書いていたのをピタリと止めふと振り返る教師が「り……小鳥遊、大丈夫か?」と問いかけてきた。それは黒淵眼鏡をかけた、優であり「ぇ……と、あ、はい。大丈夫、です」と小さく縦にコクコクと頷く。
はぁっと小さくため息をついただけで白い息が出てくる。黒板に書いてある言葉をササッとノートに写す。
チャイムがなって、数学の教科書やノートをしまうために立ち上がるとふらりと輪廻の体が揺れた。周りから微かに短い悲鳴が聞こえ、女子に囲まれていた優が慌てたように駆け寄ってくる。焦げ茶色の髪も輪廻の視界に映り時雨かと考える。時雨は優と何かを言い合ってるようで時雨の怒鳴ったような声が本当に少し聞こえ、止めに入る学級委員の声も聞こえた。黙りこくった時雨が、輪廻を見て声を掛けた途端に輪廻は意識が消えた。
* * * * * * * * * *
僕はもうきっと間に合わない。
もう、心も体を刻みこまれ、みじん切りにされたキャベツのようになってるから。
それは……、優兄や時雨、クラスメイトとか……私を優しくて可愛くて信頼出来ると言って言い寄る人達、全員が僕の“敵”だ。
やめて。お願い。僕に近づかないで。優しいと、信頼出来ると、可愛いと…………好き、と言わないで!!
それが、僕を、私を、あなたを!!
駄目にしているのだから。
二度と近付かないで欲しい、と。
さようなら、と。
お互い頑張ろう、と。
僕がそう言うと悲しそうに微笑し、そっか、と言ったけど……きっと君は僕の本当の気持ちを分かっていない!!
* * * * * * * * * *
「だ………れ?」
「良かった……リン、起きたか」
輪廻のことをリンと呼ぶ唯一の人物、時雨かと思い安堵した表情を見せると「リン、このまま保健室にいるか?それとも、教室に戻るか?」と問いかけられる。小さく、弱そうな声で「まだ……ここにいる。時雨は帰っても、いいよ。迷惑かけたくないから………」とケホケホと咳き込みつつ言った。時雨の表情は輪廻には分からなかったけど「そっ……か。じゃあ俺、教室行くからな」と言い残し、座っていた椅子を丁寧に戻しガラリと保健所のドアを開けて教室へ帰って行く。
「やれやれ。これで二万三千一回同じことを繰り返している。そろそろ俺も飽きてきたんだが?」
男っぽい口調の割には、少し高めの少女のような声がした。ゆっくりとその声の持ち主の方を見ると、どこかで見たようなことのあるキラキラと光る白銀の髪を太股より5cm程度長くしているが踝より短くなってていて、赤いヘアバンドをしていて、右目白色、左目藤紫色のオッドアイの瞳を宿し白いYシャツに黄色のネクタイをし、薄肌色っぽいブレザーをきて黒いミニスカートをはいた附属高校の一年と思われる少女、翡翠 衣純(ヒスイ イズミ)が無表情に立っていた。
「あ……の、先輩? 二万三千一回同じこと………って……?」
「………時に、君は叶えたい願い事はあるか?」
「へ……? まぁ……あるって言ったらあるし、ないって言うと無いですし………」
「………受けとるか?この願いの叶う箱を」
衣純は無表情に淡々と告げ、空色の可憐な箱を取り出し、輪廻の前に差し出した。
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