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空色の箱と零の花

3紫闇 梨桜 ◆ptZpvaYoVY:2011/07/19(火) 21:31:37 HOST:i118-16-154-61.s10.a021.ap.plala.or.jp
*プロローグ†日常*

「うあー!!お兄ちゃん、離してっ!!」

 サラサラとした金髪を腰より5cm程度短くして両こめかみあたりに白いヘアピンを二つしていて、右目赤色、左目黒色のオッドアイの瞳をキラリと光らせ、附属中学用のセーラー服に二年生用の青いリボンを付け気弱に唸る少女、小鳥遊 輪廻(タカナシ リンネ)は、茶髪を首あたりまでに綺麗に整え、黒い瞳を宿し、白いYシャツに黒いネクタイに金色のネクタイピンがキラリと光っていて黒いズボンをはいた桜龍学園の数学教師にして輪廻と十歳離れた実の兄の小鳥遊 優(タカナシ ユウ)が輪廻を思いっきり引っ張っていた。病弱で足が動かない病気の輪廻は車椅子に座っているためすんなりと連行された。

 桜龍学園には、教員一人一人に個室があり、そこで学習相談を受けたりする。まあ遊びにくる生徒を多いことも事実である。
優は輪廻の車椅子を押しながら「お前、数学点数悪過ぎ。それでも俺の妹か?」と深くため息を付く。輪廻はムッとしたように言い返そうとしたけれど押し黙り「だって……。あ、ううん。何でも無い。うん、次は頑張る!」といきなりパァァッと明るい笑顔を見せ笑った。

 ガラリ、とドアを開け「じゃあ、また数学の授業でね、お兄ちゃん」と言いドアを閉めた。
今は昼休み。先生達は個室ではなく職員室にいるのではないかと思い輪廻はひょこっと覗いてみる。しかし望みの先生はいなくてはぁ、とため息をつくと後ろから低めな声がした。

「小鳥遊か。どうかしたか?」

「あ……時雨、見ませんでしたか?教室にもどこにもいなくて………」

 輪廻は相手の男性教師、鬼風(オニカゼ)先生を見る。鬼風は、ん?と不思議そうに首を少し傾け「放送かけるか?」と言った。輪廻は、んー、と小さく考えると小さく首を横にふってニッコリと満面の笑みで「大丈夫です。もしもの時は、おに……小鳥遊先生に手伝って貰います。ありがとうございました」と一度お辞儀をして職員室を出た。職員室の中では、やはり小鳥遊輪廻は良い子だとかと喋っていた。


 車椅子でゆっくりと移動する輪廻。ふといきなり速くなった。輪廻は驚いたようにバッと後ろを振り返る。そうするとパァァッと新しい玩具を貰った子供のように表情が明るくなり「時雨っ!」と笑った。時雨と呼ばれた、焦げ茶の髪を首まで伸ばして灰色に薄白の混ざった瞳をし、黒い学ランを着た少年、一ノ瀬 時雨(イチノセ シグレ)はため息をつくと「俺を探してたんだって?俺帰るとこだった」と苦笑した。

「ね、時雨。今日ちょっと数学教えてっ?」

「ん?何で数学?リンって数学得意じゃなかったけ?」

「あー……のね、ちょっと勉強しなかったからさー……」

 あはは、と苦笑しつつ輪廻が唸る。時雨が分かり切った、と言うように深くため息をつくと「どーせ……喘息とか色々あって全体的に勉強出来なかったんじゃねぇの?」と軽く、チラリと輪廻の目を見て言う。諦めたように輪廻が悲しそうな、残念そうな表情をすると「やっぱり時雨には隠せないかー……。お兄ちゃんなら隠せたのになぁ」と呟いた。


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