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鬼和尚の仏教勉強会 講読ゼミ 6 - したらば

993避難民のマジレスさん:2023/06/04(日) 12:22:55 ID:TRrxuEIk0
荘子 90.
馬蹄第九(2-1)
吾意、善治天下者、不然、彼民有常性、織而食、是謂同徳、一而不黨、命曰天放、故至徳之世、其行塡塡、其視顚顚、
當是時也、山无蹊隧、澤无舟梁、萬物群生、連屬其郷。禽獸成群、草木遂長、是故禽獸可係羈而遊、鳥鵲之集、可攀援而闚、
夫至徳之世、同與禽獸居、族與萬物並、惡乎知君子小人哉、同乎无知、其徳不離、同乎无欲、是謂素樸、素樸而民性得矣、
及至聖人、蹩躠爲仁、踶跂爲義、而天下始疑矣、澶漫爲樂、摘僻爲禮、而天下始分矣、
故純樸不殘、孰爲犠樽、白玉不毀、孰爲珪璋、道徳不廢、安取仁義、性情不離、安用禮樂、

吾れ意(おも)ふに、善く天下を治むる者は、然らず。彼の民には常性(じゃうせい)あり。織りて衣(き)、耕して食(くら)ふ。是れを同徳と謂ふ。一にして而して党せず。命じて天放と曰ふ。故に至徳の世は、其の行ふや塡塡(てんてん)たり、其の視るや顚顚(てんてん)たり。
是の時に当たりてや、山には蹊隧(けいすゐ)なく、沢には舟梁(しうりゃう)なし。万物群生して其の郷(きゃう)に連属す。禽獸は群を成し、草木は遂長す。是故に禽獸は係羈(けいき)して遊ぶべく、鳥鵲(てうじゃく)の巣も攀援(はんえん)して闚(うかが)ふべし。
夫れ至徳の世は、同じく禽獸と居り、族(あつ)まりて万物と並ぶ。惡くんぞ君子と小人とを知らんや。同乎として無知、其の徳離れず。同乎として無欲、是れを素樸(そぼく)と謂う。素樸にして民の性得たり。
聖人、蹩躠(べつせつ)して仁を為し、踶跂(ていか、ちき)して義を為すに至るに及びて、而して天下始めて疑ふ。澶漫して楽を為し、摘僻して礼を為し、而して天下始めて分かる。
故に純樸残(そこな)はずんば、孰(た)れか犠樽(ぎそん)を爲(つく)らん。白玉毀(こぼた)ざれば、孰れか珪璋を爲らん。道徳廃(すた)れずんば、安ぞ仁義を取らん。性情離れずんば、安ぞ礼楽を用いん。

注;
塡塡;響く音 塡:ふさぐ・うずめる・みた 
 す・ひさしい。  
 是非を忘れて自得満足し
顚顚; 顚: いただき。てっぺん。はじめ。は
 じまり。たおれる。ころぶ。くつがえる 
 物事に対する考え方は直感的であった
蹊隧;径路
舟梁;舟橋
連属;一団を為して安住し
遂長;勝手に繁茂した
係羈;つらなって  よく馴れて一所に集ま
 って
鳥鵲;かささぎ
攀援;よじのぼる
闚(うかが);のぞく、示す
同乎;一様に
素樸而民性得矣;素樸にして民各々その性を
 得て、(天下おのづから治った)
蹩躠(へつさつ):めぐり歩く様
踶跂(ちき)」は、苦心して力を尽くす様
疑;惑う
澶漫;淫蕩して
摘僻;腰を曲げて礼する
而天下始分矣;天下の人心は分離していよい
 よ本然の性と遠ざかるようになった。
犠樽;鳥獣形の酒樽
毀;壊す
珪璋;礼式に用いる飾り玉
道徳不廢、安取仁義;道徳が廃れなければ、
 どうして仁義が必要になろう。
性情不離、安用禮樂;本来の生まれつきや真
 情が失われなければ、どうして礼儀や音楽
 が必要になろう。
(´・(ェ)・`)つ

994鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/06/05(月) 00:21:53 ID:esS4gL9M0

 荘子は前節のような天下の治めかたはいかんというのじゃ。
 民には日常的な本性があるというのじゃ。
 服を作り、田畑を耕して食べるのじゃ。
 徳と同じなのじゃ。
 一つであり集まりではないのじゃ。
 天の放任するところなのじゃ。
 至徳の世は全てが満たされ、還帰するのじゃ。
 そうなれば山に道なく、川に船なく、獣も喜び草木も健やかに成長するのじゃ。
 君子も小人もなく、民は無知であり、無欲であり、素僕なのが民の本性なのじゃ。

 聖人は苦労して仁義を行うから天下の人々から疑われるのじゃ。
 礼楽に溺れて天下は乱れるのじゃ。
 道徳が廃れたから仁義がおこり、性情を離れたから礼楽を用いるのじゃ。



 老子も説いている道徳が廃れたから、仁義がおこったというのじゃな。
 本来の性情がなくなって礼楽もあるというのじゃ。
 そのようなにせものでは天下は乱れるばかりというのじゃ。

995避難民のマジレスさん:2023/07/13(木) 12:26:36 ID:CDGu72g20
荘子 91.
馬蹄第九(2-2)

五色不亂、孰爲文采、五聲不亂、孰應六律、夫残樸以爲器、工匠之罪也、毀道徳以爲仁義、聖人之過也、
夫馬、陸居則食草飮水、喜則交頸相靡、怒則分背相踶、馬知已姿矣、夫加之以衡扼、齊之以月題、而馬知兀倪、 闉扼鷲曼、詭銜竊轡、
故馬之知而態至盗者、伯樂之罪也、夫赫胥氏之時、民居不知所爲、行不知所之、含哺而熙、鼓腹而遊、民態以此矣、
及至聖人、屈折禮樂、以匡天下之形、縣跂仁義、以慰天下之心、而民乃始踶跂好知、争歸於利、不可止也、此亦聖人之過也、

五色乱れずんば、孰れか文采を為(つく)らん。五声乱れずんば、孰れか六律に応ぜん。夫れ樸を残(そこな)ひて以て器を為るは、工匠の罪なり。道徳を毀(こぼ)ちて以て仁義を為るは、聖人の過ちなり。
夫れ馬は、陸居すれば草を食み水を飲み、喜べば則ち頸(くび)を交えて相い靡(したが なびか)ひ、怒れば則ち背を分かちて相い踶(け)る。馬の知は此に已(や)むのみ。夫れこれに加うるに衡扼(かうやく)を以てし、これを斉(ととの)ふるに月題を以てして、而して馬の知は兀(こつ)を倪(かぎ)り、扼(やく)をくだき曼を鷲(わし)り、銜(くつばみ)に詭(さか)らひ轡(くつわ)を竊(ぬす)む。
故に馬の知にして能く盗に至る者は、伯楽の罪なり。
 夫れ赫胥(かくしょ)氏の時、民は居るも為す所を知らず、行くも之く所を知らず、含哺(がんほ)して熙(たの)しみ、腹を鼓ちて遊ぶ。民能く此に止む。
聖人に至に及びて、礼楽に屈折して、以て天下の形を匡し、仁義に県跂して、以て天下の心を慰む。而して民乃ち始めて踶跂して知を好み、争いて利に帰し、止むべからざるなり。此れ亦聖人の過ちなり。

注;
樸;あらき、切り出したままの木材。ありの
まま。飾り気がない。
靡;なびく 寄り添う
衡軛(こうやく);牛車の軛(ながえ)の先端に
ある牛の首につける横木。くびき
月題;首木どめ(?)
兀倪;横木を折り(介倪;束縛を逃れようと横目でにらみ)
曼;馬車の幌(御者?)
鷲;突き破る(突く)
詭銜;銜(くつばみ。手綱)に詭(そむ)いて
(銜を吐き出したり)
竊轡;轡(くつわ、手綱)を竊(ぬす)無。手綱
を奪い取る。(手綱を噛んだり)
闉;くだく、ふさぐ、ふさがる 
扼;横木どめ、おさえる しめる
赫胥氏之時;太古赫胥氏の時代は、
民居不知所爲、行不知所之;民に機を狙う心
がないから、別に何を為そうとも考えず、何
処へ行こうとも考えない
含哺而熙、鼓腹而遊、民態以此矣;食べもの
をたらふく食べてたのしみ、腹つづみをう
って遊んでいた。民衆のできることはこれ
ぐらいのものであった。
屈折禮樂;儀礼や音楽に従って体を折りかが
めて、
以匡天下之形、縣跂仁義、以慰天下之心;そ
れで世界の人々の心を[むりに]やわらげ
ようとしたり、仁や義によってつなぎとめ
て、それで世界の人々の心を[むり]とと
のえようとすることになった
而民乃始踶跂好知、争歸於利、不可止也、此
亦聖人之過也;そこで、民衆ははじめてあ
くせくと努めて知識を求め、争って利益を
追求して、とてもひき止めようもないほど
になったのである。これはやはり聖人のあ
やまちである。
(´・(ェ)・`)つ

996鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/07/15(土) 00:07:18 ID:stp/RCz.0
 五色が乱れたら、誰も色彩の模様を作れないのじゃ。
 5音が乱れなければ歌も歌えるのじゃ。
 原木を傷つけて器にするのは工匠の罪なのじゃ。
 仁義によって人を誤導して道徳を失わせるのは聖人の罪なのじゃ。
 自然の馬は草を食べ、水を飲み仲良く暮らしているのじゃ。
 人が頚木をつけたり調教しようとするから、人をうらんでにらんだり馬具を壊したりするのじゃ。
 それゆえに馬が悪くなるのは調教する者の罪なのじゃ。

 古の王の時代には民は何も知らず、日々を楽しく暮らしていたのじゃ。
 聖人が礼とか楽とか仁義を教えるから、人々は知識を求め、金を争って奪い合うようになったのじゃ。
 これは聖人の罪なのじゃ。


 
 これもまた仁義の批判じゃな。
 馬が自然に暮らして何も不満がないように、民も自然に暮らせば満足だったのじゃ。
 聖人が仁義とかを教えるから知識とか利益を求めて争うようになった、というのじゃ。


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