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大中華世界的話題(その3)
354
:
チバQ
:2020/02/16(日) 22:49:24
大物でも至難の業
習政権が昨年10月の第19期党中央委総会第4回総会(4中総会)で詳述した対香港強硬路線をこれまでより巧妙に進めるのが駱氏の任務とみられる。
駱氏は1月15日、中連弁主催の新春レセプションで主任として初の演説を行い、「香港は多元的社会であり、一部の問題で異なる意見が出てくる、さらには重大な意見の食い違いが生じるのは不思議ではない」などと寛容なポーズを見せたものの、民主化などの政治問題で何か具体的に譲歩するかのような発言はなかった。
一方、同20日付の党機関紙・人民日報に掲載された論文で駱氏は、「外部勢力」による浸透・破壊を防ぐため「国家安全保障体制のメカニズム」を構築する必要性を強調するとともに、愛国主義教育は香港にとって非常に重要だと指摘した。香港政府に対し、外国と連携・協力する政治活動を法的に規制し、青少年には学校教育で中国人意識をたたき込むよう求める方針とみられる。
1国2制度を適用された香港の「高度な自治」を事実上縮小していくという大仕事を進めていくためには、香港に関する専門知識よりも、反政府側への対処を含む政治的手腕が求められる。反腐敗闘争の重点対象とされた山西省や少数民族が多い青海省のトップを務め、党中央政治局員並みのキャリアを持つ駱氏が起用された理由はそこにあるのだろう。
駱氏は安徽省時代の上司に江沢民元国家主席派や胡錦濤前国家主席派の有力者がいたので、両派と関係が深いとの見方もあるが、習政権下で腐敗が特にひどかった山西省指導部を粛清する任務を託されたことからみて、習氏の信頼も得ていると思われる。
重量級の党官僚である駱氏の就任で、香港中連弁主任のポストは事実上、大幅に格上げされた。もし同氏が今後、議会形式の統一戦線組織である人民政治協商会議(政協)の副主席もしくは上級閣僚の国務委員を兼務した場合、その地位は閣僚の上に位置する「国家指導者」となる。
ただ、その「威光」は香港政府や親中派に通じても、そもそも共産党の独裁体制自体を嫌悪している民主派などの反政府勢力には通じない。また、近年の香港では、経済規模の大きさをやたらと誇示する中国は「世界第2の経済大国」としてあがめられるよりも、自称「強国」などと皮肉られたり、警戒されたりすることが多いのが実情だ。駱氏が親中派陣営を立て直すと同時に反政府側を巧みにけん制し、中央の香港に対する「全面的統治権」行使を実質的に強化していくのは、やはり至難の業であろう。
(2020年1月23日配信/解説委員・西村哲也)
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