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大中華世界的話題(その3)

2039チバQ:2022/04/27(水) 19:30:51
■今回の選挙に至るまでの東ティモールの政治的混迷

 第1回目大統領選挙は例外としても、大統領選挙後には通常国民議会選挙が控えている。したがって、大統領選挙は国民議会選挙に向けた各政党の有権者向けのキャンペーンの意味もあり、党首級の幹部が大統領選挙に立候補し、有権者への投票行動を促していたのだ。しかし、今回の大統領選挙後には国民議会選挙は予定されていない。

 前回の大統領選挙は2017年に実施され、今回現職で再選を目指したフレテリン(東ティモール独立革命戦線)推薦のル・オロが第1回目の投票で過半数の57.1%を獲得して当選した。ル・オロは2007年、2012年の大統領選挙にもフレテリン党首として立候補していたが、いずれも決選投票で敗れている。

 それではなぜ2017年は第1回目の投票で過半数が得られたのか。今後の東ティモールの政治的安定を占ううえでも若干の説明が必要になろう。

 15万人に及ぶ国内避難民がでた独立回復後の最大の危機となった2006年騒擾事件の責任で、フレテリン実力者であったマリ・アルカティリは首相を辞任した。当時大統領であったグスマンは指導力を発揮して治安の回復を図った。グスマンは2007年のホルタ大統領当選後の国民議会選挙で、フレテリンの議席数には及ばなかったものの、多数派工作で首班に指名され、2012年の国民議会選挙後も首相を続投した。

 2012年大統領選挙でCNRTはタウル・マタン・ルアクを大統領候補として推し、ル・オロとの決選投票で再び勝利する。直後の国民議会選挙でもCNRTは第1党となり、民主党らとの連立でグスマンは第5次立憲政府を発足させた。その後、東ティモールの政治社会の安定を背景に、グスマンは2015年に首相を辞任し、「紛争から開発へ」のスローガンを掲げることで、経済発展を最重要課題と位置づけ、自らは計画・戦略投資大臣に就き、フレテリンのルイ・アラウジョに首相を譲り、第6次立憲政府が発足したのである。

 このようなグスマンの決断は、世代交代を促す一方で、フレテリンとCNRTとの長年の対立を乗り越える大同団結として国民に広く受け入れられた。多くの国民の喫緊の願望は経済発展であり、総人口の中心を担っていく若い世代にとっては雇用の確保であった。グスマンは2011年に中長期開発計画「戦略開発計画」(SDP)を発表した。

 このような政治状況のもとで、2017年大統領選挙ではCNRT独自の候補者を出さず、ル・オロを推薦したことで決選投票もなく決まったのである。しかしながら、直後の国民議会選挙でフレテリンがCNRTを1議席上回る第1党の地位を獲得したことから混迷が始まる。当然ながら誰もがアルカティリとグスマンとの蜜月関係を前提にルイ・アラウジョが続投する第7次立憲政府を予期していたが、実際はアルカティリ自身が首相に返り咲いたのである。

 世代交代が頓挫するとともに、グスマンとアルカティリの関係そのものが破綻することになった。大統領に就任したル・オロはアルカティリを首班に指名したのだ。その後の東ティモールの政局は混乱を極め、CNRTらの野党連合の結束で国家予算は議会を通らず、ル・オロは憲法100条の解散要件に基づき、2018年1月に国民議会の解散を発表した。ここに、今回の大統領選挙後には国民議会選挙がなく、2023年へと1年ずれることになった背景がある。

 これ以降の詳細な政局の流れは省くが、今回の大統領選挙は当初から現職のル・オロとホルタの一騎討ちであり、「遺恨試合」の様相を呈していた。いずれにせよ、この間の政局混乱の決着としてグスマン主導のCNRTの勝利であったと言えよう。ただ、ホルタ大統領のもと、議会はフレテリンが与党である現在の捻れが今後どのような新たな政局を生み出すかは予断を許さない。


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