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国際政治・世界事情(その2)

1260とはずがたり:2017/05/11(木) 12:55:09
>>1259-1260
やがて国民は闇レートこそ現実の相場だと思い知るようになる。91年12月、ついにソ連崩壊という時点で、ロシア人の月収は米ドル換算で平均6ドルという悲惨な状況だった。今のベネズエラもその方向に進んでいる。

ソ連では同時に対外債務も急増した。今のマドゥロ政権同様、可能な限り多くを可能な限り長期で借りた。貸し手は主として外国政府。ベネズエラの場合、最大の貸し手は中国だ。そして借金を返せない現実を認めず、少しずつ返済を続け、それだけ赤字を増やしている。

もちろんソ連との違いはある。ベネズエラは複数の共和国を抱える連邦国家ではない。愚かな経済政策を採用してはいるものの、共産主義を掲げてはいない。国内にはまともな野党勢力があり、教育水準の高いエリート層もいて、ソ連よりずっと開放性が高い。

それでもベネズエラはソ連経済と同じ末路をたどる恐れがある。仮にマドゥロが政策の不備を認めて方針転換を図ろうとすれば退陣を迫られる。おとなしく辞任はしないだろうから、危機は深まる一方だ。

平穏な政権交代が望めなければ、国民が力でマドゥロ政権を倒すか、大統領が国外へ逃亡する事態もあり得る。あるいは外貨準備を使い果たし、対外債務についてデフォルト(債務不履行)に陥る。つまり何も輸入できなくなり、通貨ボリバルはただの紙くずと化す。

いずれにせよ、マドゥロ政権は長続きしない。多くの国民が辛酸をなめる事態を回避するための対策を講じないまま、遠からず権力の座を追われる。

後継政権が登場したところで選択肢は少ない。極端な経済危機に対しては政策の選択肢などほとんどないものだ。大事なのは予算の均衡を実現すること。短期的に税収増は望めないから、歳出を削減する。決め手は物価補助金の撤廃だ。対外援助も切れば、政府の収支は均衡するかもしれない。

為替レートも変動制であれペッグ制であれ、市場に適合させるべきだ。外貨準備も回復させなければならない。そのために迅速に対応できる唯一の国際機関はIMFだ。ただしIMFの要請に従ってベネズエラ政府がマクロ経済改革に応じることが条件となる。加えて国際社会の協力を得て、債務のリストラに取り組むことも必要だ。

ソ連の状況は、ベネズエラよりずっと困難だった。15の共和国がそれぞれ独立し、独自の通貨を持つ必要があった。それにしても、財政を安定させるまでに費やした7年の歳月は長過ぎた。新生ロシアが苦しいときに、西側諸国は支援を出し渋った。だからその後のロシアは西側から離反していった。

ベネズエラ改革は抜本的かつ迅速であるべきだし、欧米諸国は全面的に財政支援をするべきだ。マドゥロ政権の崩壊は決してきれい事では済まない。だが避けられるものでもない。

政治的な見通しはなかなか立てにくいとしても、深刻な経済危機の行く末は火を見るよりも明らかだ。次の政権が迅速に、正しい政策を実行できるかどうか。時間は限られている。

[2017年5月16日号掲載]


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