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国際政治・世界事情(その2)

1とはずがたり:2014/05/26(月) 19:37:17

国際政治・世界事情(その1)…前スレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116784031/l50

地域別スレ>>2

1259とはずがたり:2017/05/11(木) 12:54:54

まるでソ連末期の経済破綻に向かうベネズエラ
A Soviet-Style Collapse
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/post-7564.php
2017年5月11日(木)10時00分
アンダース・アスルンド(大西洋協議会シニアフェロー)

<独裁に傾くマドゥロ政権下で反政府デモと政治的混乱が続く。経済も破綻寸前の石油大国がたどるのはソ連と同じ末路>

南米の資源大国として、先進国の仲間入りも夢ではなかったベネズエラの経済が、今や破綻の危機に陥っている。膨大な石油資源を抱えていながらなぜこんなことになり、一体これからどうなるのか。

原因を分析し、先行きを予測するに当たっては1980年代後半のソ連経済の惨状が参考になりそうだ。むろん国民にとっても政権にとっても、決して明るい未来ではない。

14年夏に原油相場の下落が始まってから、ベネズエラ経済は衰退の一途をたどってきた。原油価格はだいたい10年ごとに高騰と暴落を繰り返す。だから現在の原油安も当分続くだろう。

ソ連も、81年に始まった原油安で打撃を受けた。だがソ連崩壊後のロシアで改革派政治家として活躍した故エゴール・ガイダルの著書『ある帝国の崩壊』によれば、最悪だったのはそれ以前の経済政策だ。

石油の輸出で潤っていた当時のソ連政府は、この調子なら奇跡を起こせる、自分の国には経済学の法則など当てはまらないと信じた。そして見境なく歳出を膨張させた。先のことなど考えなかった。

今のベネズエラ政府はマルクス・レーニン主義を標榜してはいない。しかし愚かしい経済政策を進めているという点では当時のソ連指導部と大差ない。主食のパンや肉など基本物資の価格統制を維持し、そのために必要な巨額の補助金も石油収入で賄えると信じ切っていた。

3年前の夏以降、原油価格は半分以下の水準に下がった。そのため収入が減っても政府は手を打たず、原油の増産もしなかった。石油業界を牛耳る国営のベネズエラ石油公社(PDVSA)に増産能力がなかったからだ。それでも政府は財政赤字を解消する方向へ舵を切らず、80年代末のソ連と同じ愚行を続けて破滅に向かっている。

ソ連も、末期には財政赤字が急増していた。86年にはGDPの6%を超え、91年にはGDPの3分の1に達した。輸入品の支払いに充てる外貨準備が減ると紙幣を増刷して国庫の赤字を埋めたものだ。必然的にインフレが激しく高進した。

どうやらベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領も、ソ連と同じ財政・金融政策に固執しているようだ。もはや補助金支給の原資はない。しかも事態は悪化する一方だ。

迫るハイパーインフレ
このまま紙幣の増刷を続ければ、やがてハイパーインフレに襲われる。既にインフレ率は年700%とされ、月間50%以上と定義される公式のハイパーインフレに近づいている。

歴史的には、ハイパーインフレの事例は少ない。ジョンズ・ホプキンズ大学応用経済学教授のスティーブ・ハンキーによると、世界史上まだ56例しかなく、その半数が共産主義体制の崩壊に伴う現象だった。ソ連を構成していた15共和国の全てがソ連崩壊時に経験したという。

ハイパーインフレは国民の士気をくじく。いくら働いても意味はないと感じさせてしまう。稼いだ金額に見合う買い物ができないから、労働意欲が湧くはずもない。一方で目先の利く商人は、安全資産の商品や不動産の思惑買いに走る。

結果としてGDPは急激に縮小し、財政の安定が回復しない限り減少の一途をたどる。ソ連ではおそらく91年にGDPが10%ほど減り、ソ連崩壊にかけての88〜95年に原油生産は半減した。ベネズエラでも似たようなことが起きているようだ。

ソ連政府は通貨ルーブルの法定平価を非現実的に高く設定しようとした。闇レートの5倍くらいの高さだった。目的は、国民に「豊かさ」の錯覚を抱かせることにあった。だがそのためには食品などと同様に、外貨の購入に国費をつぎ込む必要があった。だから歳出が増えて財政赤字は膨張し、通貨の闇レートは急降下した。

1260とはずがたり:2017/05/11(木) 12:55:09
>>1259-1260
やがて国民は闇レートこそ現実の相場だと思い知るようになる。91年12月、ついにソ連崩壊という時点で、ロシア人の月収は米ドル換算で平均6ドルという悲惨な状況だった。今のベネズエラもその方向に進んでいる。

ソ連では同時に対外債務も急増した。今のマドゥロ政権同様、可能な限り多くを可能な限り長期で借りた。貸し手は主として外国政府。ベネズエラの場合、最大の貸し手は中国だ。そして借金を返せない現実を認めず、少しずつ返済を続け、それだけ赤字を増やしている。

もちろんソ連との違いはある。ベネズエラは複数の共和国を抱える連邦国家ではない。愚かな経済政策を採用してはいるものの、共産主義を掲げてはいない。国内にはまともな野党勢力があり、教育水準の高いエリート層もいて、ソ連よりずっと開放性が高い。

それでもベネズエラはソ連経済と同じ末路をたどる恐れがある。仮にマドゥロが政策の不備を認めて方針転換を図ろうとすれば退陣を迫られる。おとなしく辞任はしないだろうから、危機は深まる一方だ。

平穏な政権交代が望めなければ、国民が力でマドゥロ政権を倒すか、大統領が国外へ逃亡する事態もあり得る。あるいは外貨準備を使い果たし、対外債務についてデフォルト(債務不履行)に陥る。つまり何も輸入できなくなり、通貨ボリバルはただの紙くずと化す。

いずれにせよ、マドゥロ政権は長続きしない。多くの国民が辛酸をなめる事態を回避するための対策を講じないまま、遠からず権力の座を追われる。

後継政権が登場したところで選択肢は少ない。極端な経済危機に対しては政策の選択肢などほとんどないものだ。大事なのは予算の均衡を実現すること。短期的に税収増は望めないから、歳出を削減する。決め手は物価補助金の撤廃だ。対外援助も切れば、政府の収支は均衡するかもしれない。

為替レートも変動制であれペッグ制であれ、市場に適合させるべきだ。外貨準備も回復させなければならない。そのために迅速に対応できる唯一の国際機関はIMFだ。ただしIMFの要請に従ってベネズエラ政府がマクロ経済改革に応じることが条件となる。加えて国際社会の協力を得て、債務のリストラに取り組むことも必要だ。

ソ連の状況は、ベネズエラよりずっと困難だった。15の共和国がそれぞれ独立し、独自の通貨を持つ必要があった。それにしても、財政を安定させるまでに費やした7年の歳月は長過ぎた。新生ロシアが苦しいときに、西側諸国は支援を出し渋った。だからその後のロシアは西側から離反していった。

ベネズエラ改革は抜本的かつ迅速であるべきだし、欧米諸国は全面的に財政支援をするべきだ。マドゥロ政権の崩壊は決してきれい事では済まない。だが避けられるものでもない。

政治的な見通しはなかなか立てにくいとしても、深刻な経済危機の行く末は火を見るよりも明らかだ。次の政権が迅速に、正しい政策を実行できるかどうか。時間は限られている。

[2017年5月16日号掲載]


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