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欧州情勢・西洋事情

79とはずがたり:2014/07/18(金) 20:55:46
>>78-79
緊縮策の強要で「傲慢で無慈悲なドイツ人」という古いイメージが復活

 まず、欧州で政治的なリーダーシップを取る際には選択が付き物で、一部の決断は必然的に多くの国々で不評を買う。

 トロツキーが戦争について残した言葉をもじって言うなら、現代ドイツは力に関心がないかもしれないが、力はドイツに関心を持っている。このため、ドイツの力がまだ感じられていない世界の国々ではドイツのイメージは全体的に良好だが、周辺の欧州諸国では、ユーロ危機を経て劇的に悪化している。

 メルケル政権が南欧諸国に経済緊縮策を強要したことで、傲慢で無慈悲なドイツ人という昔のイメージが復活している。実際、W杯で最も優勝してほしくない国はどこかという質問に対し、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、オランダ、イングランドでは「ドイツ」という答えが1番目か2番目に多かった。

 ドイツの世界的な役割に関して言えば、ドイツ自体がまだ大きく割れている。ドイツに対する米国のスパイ行為を巡る騒動は、ジョージ・ブッシュ前大統領の時代にはっきり見て取れた潜在的な反米主義を蘇らせた。スパイ活動に対する怒りは理解できるが、ドイツ国民の間では、これがさらに広がり、ロシアと西側のどちらかを選ぶことを拒む態度に発展したように見える。

 直近のスパイ騒動の前に実施された最近の世論調査では、ドイツは親欧米戦略を選ぶよりも、ロシアおよび西側同盟から等しく距離を置く政策を維持すべきだと考えるドイツ国民の方が多かった。

 このような態度は、東方の近隣諸国だけでなく、汎大西洋主義を掲げるドイツの外交政策のエスタブリッシュメントも警戒させている。ドイツの外交官らは、自国政府の見解は、政府が本来代表するはずの民意とずれているのではないかと心配している。

 ドイツ経済がドイツのサッカーチームと同じくらい効率よく進んでいる限りは、EU域内の近隣諸国はドイツ政府の外交政策に対して抱く懸念について、慎重かつ礼儀正しい態度を保つだろう。だが、ドイツ国内の思慮深い観測筋は、経済の成功が、時とともに弱まるいくつかの優位性に依存していることを心配している。

ドイツ経済が抱える不安

 ドイツの人口動態は悪い。1.3をギリギリ上回る出生率は、ドイツの人口が高齢化すると同時に減少傾向をたどっていることを意味している。一部労働者の年金受給開始年齢を引き下げた最近の措置は、この問題を悪化させる。

 何年にも及ぶ国内賃金抑制の後だけに、ドイツの労働者が賃上げを要求しているのも無理はないが、賃上げはドイツが苦労して手に入れた競争力を損ねる恐れがある。一方で、折しも中国企業が製品の高度化を進め、ドイツが手中に収めていた儲かるニッチ市場に攻め込んできている時に、ドイツ産業は緊縮に苦しむ近隣諸国向けの輸出に対する依存に脅かされている可能性がある。

 地味ながら見事なリーダーシップで現代ドイツのプラスのイメージに大いに貢献してきたアンゲラ・メルケル首相は、行く手に待ち受ける課題を十分理解しているだろう。だが、リオでの勝利は、他の国民とともにメルケル首相にも、一息つき、ドイツの黄金期を味わう時間を与えてくれた。

By Gideon Rachman


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