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欧州情勢・西洋事情

773名無しさん:2015/10/05(月) 22:09:05
>>772

 日本は、米国やアジアと比較すると、欧州経済との関係が薄く、これまでドイツの動向にはあまり関心を払ってこなかった。現実問題として、ドイツにおける日本に対する印象の悪化も、すぐに大きな影響が出てくるものではないだろう。だが経済のグローバル化とネットインフラの拡大はそうした状況を変えつつある。次世代のネットインフラの分野でドイツが主導権を確保する可能性が高まってきており、否が応でもドイツと関わる必要性が増してきているからである。

■ ドイツが狙う次世代の産業覇権

 カギとなるのは、「IoT」(モノのインターネット)と呼ばれる技術である。IoTとは、身の回りにある、あらゆる「モノ」がネットに接続され、情報をやり取りすることで新しい価値を生み出す概念のことを指す。家電などがすべてネットに接続される姿がイメージしやすいが、IoTがもたらす真のインパクトはそのような単純なものではない。もっと根源的な変化が産業界にもたらされる可能性がある。

 工場のラインや発電所、あるいは航空機や鉄道といった輸送システムは、無数の部品で構成されているが、もしこれらの部品がすべてインターネットに接続され、リアルタイムで制御できるようになれば、故障を起こす前に警告を出したり、ムダな動きを止めることが可能となる。究極的にはロボット技術がこれに加わり、一切、人間の手を介在することなく、工場の生産ラインの設置やメンテナンスを行い、製品を製造することが可能となる。

 もしこの技術がスタンダードになれば、熟練工の技能に大きく依存した工業国の競争力はあっという間に失われてしまうだろう。ドイツは日本と並ぶ製造業大国だが、官民挙げてこの新しい技術の覇者になろうとしている。規格のオープン化で主導権を握り、新しい工業化の時代でも現在と同等の競争力を維持しようという戦略である。

 米国も同様の取り組みを行っているが、もしドイツが標準化競争に勝利することになると、日本は極めて不利に立場に追い込まれる。これまでITビジネスやネットビジネスの分野では、日本は米国が作成したデファクトスタンダードに振り回されてきた。標準化で主導権を握られてしまうと、個別の技術が優秀であっても、シェア争いに勝つことができないのである。だが今度は、日本がもっとも得意とするモノ作りの分野でも、同様の攻勢をドイツから仕掛けられるかもしれないのだ。

 ドイツは、政治的にも経済的にも、そして技術分野でも超大国となりつつある。米国と異なり、ドイツは中国との関係構築にデメリットが一切存在しない国である。日本は、米国に加えてドイツという頑固な超大国を相手にしなければならない、非常に厄介な時代を迎えようとしている。

加谷 珪一


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