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欧州情勢・西洋事情

1863とはずがたり:2017/03/31(金) 20:35:48
>>1862-1863
なお、英国のEU離脱によって経済的な影響を受けそうな加盟国を見ると、アイルランド、オランダ、ベルギーなどの名前が挙がる。輸出先としての英国や直接投資の拠出国としての英国、移民供給元としての英国などの観点で評価した場合、どの項目も目立って大きいのがアイルランドだ。

例えば、各国輸出に占める英国の割合(15年)で見ると、ベルギーの約9%、オランダの約10%に対してアイルランドは約14%。英国から受け入れている直接投資(対GDP比、12年)で見ると、ベルギーが約13%、オランダが約26%であるのに対してアイルランドは約31%だ。

さらに、移民供給元としての英国という観点では受け入れ国の対人口比でアイルランドは約5%を占めており、これはEU加盟国の中では2位のスペイン(0.67%)を突き放している。こうした数字を見ると、ダブリンがシティの「おこぼれ」を享受できたとしても、実体経済への下押し圧力で相殺される経路を懸念すべきだろう。

<離脱通告後のポンド買いは危険な賭け>

離脱通告後のポンド相場はどう見るべきか。コンセンサスが揺らぎやすい為替市場において、過去1年、「英ポンドとメキシコペソは買えない」という論点は変わらず、結果的に見れば、それは正しい見方だった。だが、そうした流れが変わる雰囲気も出始めている。

3月16日にイングランド銀行(英中銀)が開催した金融政策委員会(MPC)ではフォーブス委員が0.25%の利上げを主張した上で、その他メンバーも緩和の早期終了を示唆したことが判明し、ポンド相場が急騰した。こうしたMPCの雰囲気は、昨年来の物価上昇について、必ずしもポンド安要因だけではなく、内需の復調も受けたものであるとの評価を反映している模様だ。筆者はそうした見方に同意しかねるが、確かに物価尺度から見たポンド相場は「底」に近づいているようにも見受けられる。

例えば、ポンド/ドル相場に関し、購買力平価(PPP、生産者物価指数を用いた2000年第1四半期基準)を見ると、3月時点で1.44程度であり、実勢相場(1.25程度)はPPPに対して15%程度の下方かい離(過小評価)となっている。20%が1つの下値めどとなってきた歴史的経緯を踏まえれば1.15程度までの下落は警戒したいが、昨年来続いてきた底割れ相場に終わりが見え始めたと考えることもでき、離脱通告を「あく抜け」として買い戻す向きが出てきても不思議ではない。

こうしたMPCやPPPの状況に照らして、対ドルでのポンド買い戻しを模索する向きは今後少しずつ増えてくるかもしれない。だが、それはまだ危険な「賭け」に思われる。

英国の実体経済の帰趨(きすう)を握るだろう包括的な自由貿易協定である「新たな関係」について、EU側から譲歩する意思や道理は全くない。むしろ、二度と同じようなまねをする国が現れないように英国を「見せしめ」にしたいという思いがEUには強そうであり、メイ首相が夢想する「オーダーメードで、いいとこ取り」の協定にはまずなるまい。

「新たな関係」がどのようなものになるにせよ、英国の財・サービス輸出入の半分を占めるEU向けについて今後は関税が発生するようになり、金融機関を筆頭に一定数の雇用が国外流出するという展開は不可避と思われる。

EUの(離脱派に言わせれば無駄な)規制を撤去することで、それらの悪影響を跳ね返すことができるのか否かは現状では定かではない。だが、多くの予測機関の見通しにおいて、EU在留ケースに比べ、経済が下振れるとの見方が支配的になっていることを軽視すべきではない。

「新たな関係」は英経済にとって「不確実だが、恐らく下押し要因」との見方が通説となっている中、ポンドを積極的に買い戻すのはやはり勇気が要る。今、ポンドを買う理由があるとすれば、「売られ過ぎたから」くらいしか思い浮かばない。


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