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欧州情勢・西洋事情

1705とはずがたり:2017/01/09(月) 17:26:15
>>1704-1705
 昨年12月、ロジャーズ氏は非公式に「EUを離脱したあとEUと新しい貿易協定を結ぶのに最長10年かかる恐れがある」との見方をメイ内閣に伝えたとメディアに報じられた。首相報道官は「政府はEU離脱交渉で英国とEUの相互利益となる合意に達する自信がある」と即座にロジャーズ氏の見方を否定した。

 メイ首相の基本戦略はEUからの移民を英国のコントロール下に置くことだ。無理もない。先の国民投票の結果をそのまま総選挙に当てはめると650議席中、実に421議席がEU移民の規制を求める離脱派だったのだから。離脱交渉で移民規制が認められなければ、単一市場へのアクセスを多少犠牲にするのもやむを得ないというのがメイ首相の立場だ。

 キャメロン前首相の下で再交渉に当たったロジャーズ氏ではEU側に足元をみられかねないし、「ロジャーズ氏は悲観主義者」と離脱強硬派は不満をため込んでいた。3月末に離脱通告してから馬を乗り換えるより、通告前に強硬派の馬に乗り換えようという力学が働いたとしても何の不思議もない。

 今回の騒動は、辞任に追い込まれたロジャーズ氏が自分の立場を擁護するため内情を暴露する電子メールを同僚や部下に送ったとみるのが自然だろう。

 後任の駐EU大使には駐モスクワ大使時代、ロシアのプーチン大統領に一歩も引かなかったタフ・ネゴシエーターのティム・バロウ氏が間髪入れずに任命された。バロウ氏は「EUを離脱し、正しい結果を得られるよう強いリーダーシップ下に置かれた離脱省チームに加わり、一緒に働くことを楽しみにしている」と力強く抱負を語った。

貿易協定はオーダーメイドで
 英中央銀行・イングランドのキング前総裁はユーロに不信を抱くEU離脱派で、単一市場どころか関税同盟からの離脱さえ主張している。EU統計局(ユーロスタット)のデータをもとに財の世界貿易をグラフ化すると次のようになる。
http://tohazugatali.web.fc2.com/int_econ/BritishEUchart.png

 英国は旧共産圏やバルカン諸国を含め大所帯となったEUの貿易協定に縛られるより、英国に合った貿易協定を他の国々と結んだ方が長期的には得だという算盤が働く。財の貿易では大赤字の英国は国内の雇用確保のため自動車産業など製造業を保護したい。しかし産業保護政策はEUのルールに違反している。

 EU拡大で域内の経済格差が広がり、資本や人の移動がドイツと英国に集中したことがギリシャ危機や英国の離脱決定の背景にある。英国は移民が激増するのを怖れてEU離脱を選択したわけだが、それに合わせてEUという「既製服」まで脱ぎ捨てようとしている。21世紀の貿易協定は英国に合った「注文服」でという選択は決して間違っているとは言えない。

 しかし相手は27カ国。肝心要のメルケル独首相とメイ首相の関係は冷め切っている。「根拠なき楽観論」は戒めなければならないが、かと言ってEU離脱をこの世の終わりのように喧伝する「悲観論」に与するわけにもいくまい。損得勘定に合わなくなった「既製服」は脱ぎ捨てるのが賢明だが、メイ内閣と官僚の不協和音が広がる中、交渉は相当な困難が予想される。

 デービスEU離脱担当相、ジョンソン外相、そしてバロウ大使の布陣を見ると、メイ首相が投ずる初球はEUをのけぞらせる内角攻めになるのは必至の情勢だ。


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