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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ
1839
:
とはずがたり
:2015/11/26(木) 21:05:34
「里山資本主義」では持続可能な社会を作れない
2014年08月08日(Fri)
山本隆三 (常葉大学経営学部教授)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1515-1517
2014年の「新書大賞」に藻谷浩介とNHK広島取材班の『里山資本主義』が選ばれた。「日本経済は安心の原理で動く」と副題にあるが、里山の木質バイオマスを利用すると、安心な社会と経済が実現するのだろうか。藻谷は「マッチョな経済」との言葉で経済成長を否定し、里山資本主義を推しているようだが、その結果、実は安心が失われることに多くの読者は気づいていない。だから、新書大賞に選ばれたのだろう。
藻谷の『デフレの正体』と同様に、著者の主張には経済の観点からみると危うい点がいくつもある。「やくざな経済」から「かたぎの経済」へと言い、リフレ論などを「数字の裏付けや論理的分析を欠いたまま出てきている」と批判しているが、その批判は本書にも正しく当てはまるだろう。
自然という言葉は美しいが、経済活動には悪影響が
風、太陽、海、地熱、バイオマス(木などの生物資源)を利用し、二酸化炭素を出さずに、熱、電気を供給する再エネは望ましいに違いない。再エネの利用拡大に反対する人は、景観を気にする一部の人達だった。
しかし、いま欧州では、固定価格買い取り制度(FIT)の導入で先頭を走っていたドイツ政府がFITの大幅縮小を正式決定し、さらに欧州委員会(EC)も各国政府に対しFITから電力の卸価格に一定額の上乗せを行う制度(FIP)への変更を指示している。米国ではオハイオ州が、再エネ導入数量を定めた制度(RPS)の2年間凍結による見直しを決めた。再エネ導入に逆風が吹いているのは、電気料金が大幅に上昇し、家庭と企業に悪影響が出始めたからだ(とは註:再エネ導入に逆風と云っているけどドイツは再生エネルギーの導入目標を30%から35%に引き上げてすらゐる
https://www.env.go.jp/earth/report/h27-01/H26_RE_3.pdf
。導入への流れが弱まっては全くない)。
問題は電気料金の上昇だけでは、収まらなくなってきた。足りない送電線の能力、電力需要に合わせて発電できない不安定な再エネの電気が隣国に勝手に流れることによる送電系統への悪影響に加え、さらに大きな問題が出始めた。再エネからの電気により天然ガス火力の稼働率が低下し、電力会社が、採算の悪化した火力発電所を維持できなくなってきたことだ。欧州では、既に5000万kW以上の火力発電所が閉鎖されたが、将来の稼働率が不透明ななかで発電所の新設能力は限定されている(とは註:そもそも脱原発の他,CO2排出抑制の為に褐炭火発も減らす方向であるがそれとの関係が不明瞭。)。
いつも発電ができない再エネでは火力の代わりにはならない。停電発生を恐れたECは、FIT制度の大幅縮小と同時に、火力発電設備を新設すれば稼働率に関係なく設備に投資を行った事業者に一定額の支払いが行われる容量市場の導入を各国に指示している。温暖化対策、エネルギー自給率向上の観点から再エネを積極的に推進してきた欧州諸国も、経済的な側面から方向転換を強いられている。
間伐材あるいは製材所で発生する端材を利用し、エネルギーを得る方法であれば、太陽光、風力のような不安定な供給の問題はない。里山資本主義、木質バイオマスは、安定的にエネルギー供給が可能な再エネの優等生のように思えるが、実態はそうではない。
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