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国道・県道スレッド

1612とはずがたり:2015/01/23(金) 14:23:47
>>1609-1612

■本州と四国を橋で結んだ帳尻は……

山岡 政治のドラマを感じます。政治家には力がある。しかし、力の使い方をわきまえていない政治家が最近は増えている気がします。その後、橋の建設は順調に?

山根 いやいや、山あり、谷ありですよ。鈴木善幸内閣で、「第二次臨時行政調査会(第二臨調)」が発足し、行財政改革が本格化します。当然、本四連絡橋建設の財政負担も俎上にあがる。80年11月に伯方大島大橋の架橋地点に視察にいらした渡辺美智雄大蔵大臣は、「なんでこんなところに橋を架けるんだ」と言われましてね。私がご案内していたのですが、「利根川よりもこっちのほうが短いんですから」と申し上げたら、「ああそうか」と。そのうち臨調の行革で、「1ルート、4橋に当面限定する」と決まり、神戸―鳴門ルートの鉄道併用案も消滅します。

山岡 紆余曲折を経て、本四連絡橋は3ルートが完成し、かつて瀬戸内海で多くの客船が沈んだことなど、ほとんどの人が忘れています。それだけ豊かな社会になった。では、事業費は、どのくらい膨張したのでしょうか。また、計画時に予想した交通量は、実際に橋が出来てみると、どのくらいの量にとどまっているのでしょうか。本四連絡橋への批判は、そのあたりに集中していると思われます。

山根 事業費を見ますと、73年9月の基本計画では、神戸―鳴門ルート5,937億円、児島―坂出ルート4,783億円、尾道―今治ルート2,346億円でした。これが、全通時には、神戸―鳴門ルート1兆5,000億円、児島―坂出ルート1兆615億円、尾道―今治ルート7,464億円。トータルで比較すると、計画時の1兆3,021億円から、全通時には3兆4,079億円へと増えています。基本計画直後の石油ショックで、物価の上昇が加速され、さらには環境保全のための計画変更、技術的な課題の克服などもあって、大幅に増えた。

山岡 平均して、1ルート1兆1千億円ですか。償還の鍵を握る交通量の予測は?

山根 72年の予測は、神戸―鳴門で1日3万7,900台、それが2012年度の明石海峡の横断交通量は2万3,233台、同じく児島―坂出は予測が2万5,500台で、実際は2万280台。予測と実績が比較的近いですね。同様に尾道―今治は、72年予測が1万5,300台で、2012年の来島海峡横断交通量は1万533台。将来予測が過大だったことは認めざるを得ません。ただ、日本列島の四つの島を橋やトンネルで結ぶのは、多くの国民の悲願でありみんなの希望だった。それで生まれた効果も単なる経済効果を越えて大きなものがあると思います。

(中略)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1191161933/265

■エンジニアの役割は「コンクリートに血を通わせる」こと
山岡 戦前の「弾丸道路」の構想が東名、名神高速に結実し、旧中央道の赤石トンネル貫通プランも、リニア中央新幹線に引き継がれます。世紀を超えて交通体系は継承されているわけですが、その交通インフラの老朽化に、どう対応したものでしょうか。

山根 憂慮されるのは橋梁です。1980年代に『荒廃するアメリカ』という本が出て、アメリカのインフラ老朽化問題が浮上しました。上司から、「アメリカを視察してこい」、と命じられ、専門の連中と渡米しました。一番感心したのは、全米にわたり経年的に橋梁を点検・分析しており、連邦議会に報告していることでした。道路庁に行くと、一課の課長がコンピュータで小さな橋から、大きなハイウェイにかかった橋まで、徹底的に分析してレポートを作っていた。今年の2月、オバマ大統領は一般教書演説の中で、全米で7万もの橋梁が老朽化していることを例に挙げながら、「まず修繕を」と訴えております。
 日本では、まず点検・分析の徹底、さらに診断、保全・長寿命化計画の策定と実施が緊要です。橋梁台帳のない都道府県もあり、市町村になればもっと管理は遅れている。

山岡 最近は定点カメラで橋の状況をモニタリングする技術などもできていますね。

山根 チェックできる技術者が足りなければ、それなりの工夫をしなくてはいけません。「コンクリートから人へ」と公共事業は目の敵にされましたが、エンジニアの役割は、「コンクリートに血を通わせる」こと。そこは、時代の移ろいに関係なく、不変だと思います。


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