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商業・流通

3306とはずがたり:2017/02/24(金) 03:04:58

ニトリの「製造物流小売業」SPAビジネスモデルの競争優位性は、その収益構造を見るとさらに明らかとなる。ニトリの直近期における主要な収益率を見ると(比較のため、括弧内は大塚家具の収益率)、売上高粗利益率53.2%(53.1%)、営業利益率15.9%(0.7%)となっている。

営業利益率が15.9%となっているのは、家具専門小売業はもとより小売業全体で見ても驚異的な利益率であり、ファーストリテイリングの7.1%を倍以上も上回る数字である。これは、製造・物流・販売を自社で行い、徹底的な経営管理によって高付加価値と低コストを同時に実現していることによるものであると評価される。

(2)ベーシック商品を対象とするSTP戦略
ニトリのマーケティング戦略については、ターゲット層は特に設定せずに幅広い消費者を対象としていると指摘されることが多い。もっとも、マーケティング戦略から同社のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング戦略(STP戦略)を読み解くと、「ベーシックな商品をよりお得な価格で購入したい」という消費者層を対象にしたものと評価することができる。

実際に、ニトリの商品構成は通常の家具専門小売と比較すると圧倒的に家具よりはホームファニシングと呼ばれる商品が多いことが特徴である。毛布、カーテン、布団カバーなどの衣料系ホームファニシングは、家具と比較すると購買頻度が高く生活必需品的性格を強くもっている。さらにニトリでは、品揃えにはこだわっている一方でトレンドにはあまり左右されないベーシックな商品であることを優先した商品展開を行っている。

ベーシックな売れ筋商品を中心とした商品展開を先進的な「製造物流小売業」SPAビジネスモデルで回転させているのがニトリの強みなのだ。実際にニトリは家具専門小売のなかにおいて、業界平均値の2〜3倍にも及ぶ6.6回転という高速の商品回転率を誇っている。

このようなことから、もしニトリがアパレルチェーンに進出するとしたら、既存事業において培ってきたベーシック商品をSTP戦略とする商品展開を行うと考えるのが自然だろう。

アパレル業界においては、苦戦しているとは言えユニクロがこのSTP戦略を採用して好業績を謳歌してきた。先進的な「製造物流小売業」SPAビジネスモデルを駆使してニトリがアパレル事業の展開を行った場合、ある程度の時間は要するだろうが、ユニクロをも凌駕するような価値を消費者に提供する可能性は大きいものと考えられる。

なお、SPAとは元々はアパレル製造小売の略称であり、アパレル業界に端を発するビジネスモデルである。ホームファニシング部門では既に衣料品も取り扱ってきているニトリのSPAビジネスモデルのアパレル展開に対する適用可能性は高いと見て差し支えあるまい。

(3)「お、ねだん以上。ニトリ」のブランド・イメージ
TVコマーシャルでも有名なニトリの「お、ねだん以上。ニトリ」のブランド・メッセージは、日経BPコンサルティングによる「企業メッセージ調査2013」においてトップの認知度を獲得している。ユニクロがベーシック・カジュアルの分野において「安くて良い商品」というブランディングを展開してきた一方、2015年に実施した値上げ戦略の失敗から売上や客数を落としてきているのと対照的である。

ユニクロでは、昨年よりこのブランド・イメージを回復するために低価格戦略を実行しているが、足元においては前年対比の数字で、2016年12月:既存店売上95.0%、客数96.0%。2017年1月:既存店売上97.5%、客数94.6%にとどまっている。

このようななかでニトリが「お、ねだん以上。」のブランド・イメージで、先進的な「製造物流小売業」SPAビジネスモデルを武器としてベーシック商品の分野でアパレルに進出した場合、ユニクロからマーケットシェアを奪うことも十分に可能だろう。

実際にユニクロのSTP戦略と消費者のイメージとの間でズレが生じているなかで、この分野には新たなプレイヤーの登場が待たれるところである。理論的かつ実践的な経営者としても知られている似鳥会長が、自社の強みも生かせるこの分野に果敢に攻め込む可能性は高いのではないだろうか。


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