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国際政治・世界事情

5574チバQ:2013/01/07(月) 23:31:43
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013010502000091.html
国境 交錯の現場 (4)英領ジブラルタル 返還要求 住民冷ややか
2013年1月5日 朝刊

英領ジブラルタル近くの漁場を指さすスペイン南部ラリネアの漁師フランシスコ・ゴメスさん。連日、ジブラルタルの沿岸警備当局から違法操業として警告を受けている


 「おれたちは今までのように魚が捕りたいだけだ。領土がほしいんじゃない」

 スペイン南部の小さな街ラリネア。漁師フランシスコ・ゴメスさん(50)は「漁のたびに、やつらの船に出て行けと脅されるんだ。あの辺りでね」と嘆く。指さす先は灰色のごつごつした巨大な岩山のような岬。ラリネアと「国境」を接し地中海に突き出す英領ジブラルタルだ。

 海沿いの道を進み検問所を過ぎると、英語があふれ、英国風二階建てバスが街を走る別世界。三百年にわたりスペインが返還を求める「欧州最後の植民地」でもある。

 この地をめぐる緊張は昨年急拡大した。きっかけは二〇一一年十一月のスペイン総選挙。政権に返り咲いた右派国民党は「植民地奪還」を鮮明にした。住民の選挙で選ばれたジブラルタル自治政府を認めず、インフラ整備や国境を越えて働く人々の労働環境をめぐって前政権が始めた自治政府との交渉をほごにした。スペイン艦船の「領海侵入」も急増。ジブラルタル側は、沿岸での操業を黙認していたラリネア漁船を報復のように追い出しにかかった。

 なぜ国民党政権は強硬な立場に出たのか。

 「経済危機です」とラリネア市の女性副市長アスンシオン・バランコさん。現政権は痛みを伴う緊縮策を次々に打ち出すが、「国民の不満をそらすため領土問題をあおっている」と自国政府への怒りを隠さない。

 ジブラルタル住民も態度を硬化させた。有志の団体「ジブラルタルの防衛者」が結成され、スペインへの抗議署名には約一万人が応じた。メンバーで、祖母が一九三〇年代のスペイン内戦を逃れてきたという会社員ギャレス・ジンジェルさん(26)は「英政府は欧州連合(EU)の国同士の問題を大きくしたがらない。スペインの現政権はあと三年は続くのでわれわれが抗議し続けなければならない」と決意を語る。

 スペインは六九年から約十三年間、国境を封鎖した過去がある。当時、ジブラルタルは生活物資が欠乏した。「あれを耐えて私たちは『ジブラルタル人』として一体になった。今さら求められてもスペイン人にはなれない」と葉巻店主ジョセフ・ナホンさん(83)。

 スペイン側からの通いの労働者も多く、スペイン語は幅をきかすが、公用語は英語。三万人近い住民は、スペイン系、イタリア系、英国系、ユダヤ系、アラブ系などが交じり合い、「ジブラルタル人」としてのアイデンティティー(自己認識)も形成されている。独立を願う住民もいる。

 地中海の対岸のモロッコ北部にも同様の領土問題がある。モロッコが再三返還を求めるスペインの飛び地セウタやメリリャだ。〇二年には両国が領有を主張する無人島にモロッコ軍が上陸。緊張が高まった。今のところ両国関係は平穏だが、いつまた火の手が上がるか予断を許さない。

 「問題を起こすのはいつも、ここから遠くに住んでいる人間なんだ」。漁師のゴメスさんは、マドリードの中央政府に矛先を向けた。  (ジブラルタルで、野村悦芳、写真も)

<ジブラルタルめぐる英スペイン関係> 昨年5月、スペインのソフィア王妃が英国のエリザベス女王の即位60年を祝う女王主催の昼食会を欠席。ジブラルタルをめぐる両国の対立が原因とされた。11月には、英政府がスペイン海軍による領海侵犯に正式に抗議するなど、緊張が続く。

 18世紀のスペイン王位継承戦争の最中に英国が占領。1713年のユトレヒト条約でスペインが正式に割譲した。その後の300年間にスペインは繰り返し奪還に向け動いたが、果たせずにいる。


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