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労働運動

1382とはずがたり:2017/01/05(木) 17:26:42
【ベテラン記者コラム】電通事件が浮き彫りにする「日本株式会社」の陥穽 論説委員・井伊重之
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/sankei-prm1701030007
01月03日 10:04産経新聞

 違法な長時間労働が横行していたとして厚生労働省が昨年11月7日、広告代理店最大手、電通に対する強制捜査に乗り出した。任意調査から間を置かず、勤務記録などの証拠品を押収する強制捜査に踏み切ったのは、労働基準法違反の立件に向けた当局の強い姿勢の表れだ。

 電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)が過労自殺に追い込まれたのは一昨年のクリスマスのことだった。同社では以前にも若手社員が過労自殺に追い込まれ、会社の責任をめぐって最高裁まで争われた。

 そして最高裁は「会社には社員の健康管理に責任がある」との判断を下した。これは社員の健康管理に関する会社側の責任を定めた判例として確立したが、それでも悲劇が繰り返された同社の体質が厳しく問われている。

 私が取材などで知り合った電通マンたちの労働環境も過酷だった。

 「会社の入退館時間を記録に残さないため、ゲートを匍匐前進でくぐり抜けていた」「うちは体育会系で顧客優先が徹底されている。労働時間などといった理屈は通用しない」と自虐気味に語る話を何度も聞いた。

 ただ、働き方に不満を漏らす社員たちも「ブラック企業で働いている」という意識は皆無だった。むしろプライドをもって働いているようにみえた。

 電通といえば就職人気ランキングで上位に名を連ねる有名企業であり、給与水準も高い。日本の広告業界を牽引するリーディングカンパニーとしての強い自負もある。

 だが、会社側はそうした社員の帰属意識を利用し、厳しい労働環境を放置していた。実際、電通は労働基準監督署から長時間残業で何度も是正勧告を受けながら、具体的な改善策を講じようとしなかった。

 残念なことに違法残業などの労働慣行が問われているのは、何も電通だけではない。「日本株式会社」全体に突きつけられた課題でもある。

 日本企業のホワイトカラーは、夜遅くまで残業するのが当たり前だ。工場の生産現場では徹底したコストダウンや品質改善を追求するのに、事務職に労働生産性という概念は希薄だ。非効率な業務がはびこる現在の姿は、社員の健康を損ない、労働生産性も低下させる大きな要因だ。

 日本経済が思うように成長できないのは、自ら変えようとしない日本企業の働き方そのものに根本的な原因があると考えるべきだろう。生産性が上がらなければ、企業は収益を確保できず、持続的な賃上げもできない。長く働いて疲れ果て、あげくに賃上げもされないのでは一体、何のための長時間労働なのか。

 政府が進める「働き方改革」でも長時間労働の是正が重要課題と位置づけられている。過重労働を規制するのは当然だが、働く時間だけ規制しても、仕事の進め方を変えなければ、労働時間は減らない。そこで規制を強めれば、記録に残らないサービス残業が増えるばかりだ。

 無駄な業務はないか。会議のための会議を開いていないか。資料の見栄えばかりに関心が寄せられていないか。違う角度で周囲を見渡せば、いくらでも改善点は見つかるはずだ。

 例えば、生産部門の管理者が事務部門の働き方を点検すれば、管理プロセスの視点で業務改善を図ることができるだろう。

 英エコノミスト誌は、日本の働き方について「仕事の成果よりも会社で過ごす時間を評価する日本の企業風土の中では、労働慣行を改革するのは難しいだろう」と指摘している。

 日本の1人当たり生産性は先進国の中で最下位だ。これは働く時間の長さに大きく影響している。長時間労働を転換し、より効率的な働き方に改めることが求められている。とくに少子高齢化で生産年齢人口が減少する中では、生産性を高めるための試みは社会全体で進めなければならない。

 いま変わるべきは、日本企業の姿勢であり、そこで働く私たち自身の意識でもある。



 産経新聞経済部次長、副編集長を経て論説委員(経済・エネルギー担当)。産業構造審議会委員、社会資本整備審議会委員、政府税制調査会委員。


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