旅館はプールを併設し、悩んだ末に営業を決めた。すると、近郊の公営プールが休業していたことが追い風となり、来館者が例年の数倍に増え、感染予防のため、入場を断る日もあった。政府の支援策「Go To トラベル」も始まり、秋には念願の修学旅行生が戻ってきた。久しぶりに響くはしゃぎ声。「いつもはこんなにぎやかさだったと、うれしくて涙が出そうだった」
知らず訪れ「がっかり」 首都圏などで新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が出される中、金沢市のひがし茶屋街の店舗で臨時休業が相次いでいる。「Go To トラベル」停止以降、客足が激減しており、界隈(かいわい)に並ぶ約80店のうち通常営業するのは1〜2割とみられる。宣言延長決定後、最初の日曜日となった7日も花街はひっそりと静まり返り、休業を知らずに足を運んだ観光客からは「がっかりした」との声も漏れた。
観光庁は10日、観光支援事業「Go To トラベル」を使った昨年12月の宿泊者は、割引を全国で停止した28日までの推計で1029万人だったと発表した。月間の人数は8月以降で最少。新型コロナ感染が広がった地域を目的地とする旅行が相次いで割引対象外となったことが影響した。7月22日の事業開始後の累計は8781万人となった。
赤羽一嘉国土交通相は24日の衆院国交委員会で、観光支援事業「Go To トラベル」を4〜5月の大型連休前に全国で再開するのは難しいとの認識を示した。新型コロナウイルス感染が全国的に落ち着く必要があると指摘した。政府は、事業停止の長期化に伴い、宿泊割引など独自に旅行補助を行っている自治体に財政支援する方針を固めた。