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法学論集

2362名無しさん:2015/09/09(水) 20:20:18
>>2361

◆リアリズムに根ざした政治を

 百点満点からはほど遠くても、現状を鑑みれば、何歩かの前進になる。それを、弁護士が現場で存分に活用し、さらに捜査機関の努力があれば、さらなる前進もありえよう。

 参議院で議論を深め、さらに一歩でも二歩でも前進して(あるいはリスクを少しでも減らして)、新たな制度のスタートを切れれば、さらによい。そんな期待もあったのに、参議院では民主党の抵抗によって、審議に入れなかった。ヘイトスピーチ対策は、とても重要な問題であることはよく理解する。だが、だからといって、村木厚子さん(現厚労次官)に対する無罪判決や検察官による証拠改ざん事件から5年かかって、ようやく可視化が形になろうとする法案を、ここまで軽んじる姿勢は容認できない。

 この機会を逃して、可視化を実現する具体的で現実的な方法を、民主党が持っているなら、それもよいだろう。しかし、そんなものがあるならば、民主党政権の時に、可視化は実現していたのではないか?!

 先の後藤弁護士はこうも言う。

「僕らにとって、あるべき姿から見ると10分の1、100分の1の法案かもしれない。これができれば万々歳なんて、誰も言っていないし、批判をすることは大事だ。でも、前進は前進。だいたい、自民党政権で僕らにとって素晴らしい法律なんてできるわけない。それはしょうがない。でも、だからといって、『こんな法律だったらない方がマシ』というのは、リアリストの言うことではない。僕らは実務家なんで、とれるものは少しでも取る、というのが大事なんです」

 継続審議となるこの法案を、野党は秋の臨時国会で、問題点を指摘し尽くし、さらなる改善をするべく尽力したうえで、成立させてもらいたい。改善できなかった点は、その後も批判し続け、それによってリスクを最小化する。この法案には、三年後の見直し規定がついているので、その時期には、問題点が修正されてよりよい法制度にするための準備を進める。

 地味かもしれないが、少なくとも刑事司法の分野で必要なのは、そういうリアリズムに根ざした政治である。【了】

【江川紹子(えがわ・しょうこ)】

1958年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒。1982年〜87年まで神奈川新聞社に勤務。警察・裁判取材や連載企画などを担当した後、29歳で独立。1989年から本格的にオウム真理教についての取材を開始。「オウム真理教追跡2200日」(文藝春秋)等、著書多数。8月に、「大火砕流に消ゆ」(Kindle版)発売。菊池寛賞受賞。行刑改革会議、検察の在り方検討会議の各委員を経験。オペラ愛好家としても知られる。

記事提供:ムーラン (http://www.mulan.tokyo/

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【江川紹子の事件簿】川崎市中一殺害事件 http://www.mulan.tokyo/article/33/

ハーバー・ビジネス・オンライン


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