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法学論集
1878
:
とはずがたり
:2011/10/02(日) 23:22:54
−−今後、山口組をどのように運営していくつもりなのか。広域暴力団という形を捨てたり、解散したりする考えはないか
山口組を今、解散すれば、うんと治安は悪くなるだろう。なぜかというと、一握りの幹部はある程度蓄えもあるし、生活を案じなくてもいいだろうが、3万、4万人といわれている組員、さらに50万人から60万人になるその家族や親戚はどうなるのか目に見えている。若い者は路頭に迷い、結局は他の組に身を寄せるか、ギャングになるしかない。それでは解散する意味がない。ちりやほこりは風が吹けば隅に集まるのと一緒で、必ずどんな世界でも落後者というと語弊があるが、落ちこぼれ、世間になじめない人間もいる。われわれの組織はそういう人のよりどころになっている。しかし、うちの枠を外れると規律がなく、処罰もされないから自由にやる。そうしたら何をするかというと、すぐに金になることに走る。強盗や窃盗といった粗悪犯が増える。大半の人たちはわれわれを犯罪者集団と突き放していることはわかっている。その一因が私たちの側にあるのも事実で、そうした批判は謙虚に受け止める。しかし、やくざやその予備軍が生まれるのは社会的な理由がある。そうである以上、俺にできることは、これまで以上の任侠道に邁進する組織にすることだ。ぜい沢を求めて、自分勝手な行動を取る者は脱落する。組員はごく普通に暮らせればいい。そういう人間を一つの枠で固めているから犯罪が起きにくいという一面もある。矛盾しているように聞こえるかもしれないし、なかなか信じてもらえないだろうが、俺は暴力団をなくすために山口組を守りたいと考えている。そのことはこれからの行いで世間にご理解を願うしかない。
−−世間の人は暴力団組員が「普通に暮らせればいい」と思っているとは思っていない
これだけ締め付けられ、しかもこの不況下でぜい沢ができるわけがない。そもそもやくざをしていて得なことはない。懲役とは隣り合わせだし、ときには生命の危険もある。それでも人が集まってくる。昔から言われることだが、この世界で救われる者がいるからだと思う。山口組には家庭環境に恵まれず、いわゆる落ちこぼれが多く、在日韓国、朝鮮人や被差別部落出身者も少なくない。こうした者に社会は冷たく、差別もなくなっていない。心構えがしっかりしていればやくざにならないというのは正論だが、残念ながら人は必ずしも強くはない。こうした者たちが寄り添い合うのはどこの国でも同じだ。それはどこかに理由がある。社会から落ちこぼれた若者たちが無軌道になって、かたぎに迷惑をかけないように目を光らせることもわれわれの務めだと思っている。
−−解散はしないというが、警察は暴力団の壊滅を目指しているし、一般市民もそれを望んでいるのではないか
山口組は他の団体に比べて突出して規模が大きいので、警察は反社会的集団として指弾しやすいのではないか。3万、4万人の反社会的集団というと、警察にとって脅威になるというのは決まっている。警察も山口組を解散し、千人や2千人の組にばらばらにしたいと思っているのだろう。しかし、山口組の存在でわれわれの業界の治安が守られているという事実がある。山口組を解散し、80の直系組織が個々の団体になった場合、当然縄張り争いが起き、抗争事件が続発している九州のようになるのは間違いない。今はほとんど抗争事件は起きていないし、ほかの団体とも平和外交に徹してきた。だからこそ、山口組を維持することが俺の責任であり、義務であると思っている。ひとつ加えると、われわれは暴力団といわれている業界のなかではすごく紳士的だ。一般の人よりも長幼の序とか、そういうことは厳しく守られている。ホテルとか公共の場で徒党を組まないとか3人以上で歩かないとか、そういう面でも厳しくしている。
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