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法学論集
148
:
片言丸
◆MACDJ2.EXE
:2006/03/11(土) 05:41:15
>>146
私、刑法はそんなに勉強してないんですー。それに実務もわからないです。
なので、勉強しながら書きます(ありがとうございました)。そして、司法ジャーナリスト的な考え方でアプローチします(抽象的にいずれの学説に正当性があるかについては込み入った判断をせず、また、実際の起訴・判決を意識した考え方をするということで)。
まず、インスリンですが、
http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/hypoglycemia.htm
にあるように、
まず、そもそもインスリンの当該容量では死亡結果を発生させることがおよそ不可能であり、行為の結果に対する「危険性」が著しく低いなら、裁判所は、殺人未遂として処罰できないと判断するかもしれません。
この、「およそ不可能」の判断基準については、学説が分かれています。学説にむやみに踏み入るのはここでは意味が薄いので大まかに言うと、「一般人が危険感をもつかどうか」を基準にするか「科学的・合理的に判断して危険性がどのくらいあるか」を基準にするかです。
「一般人が危険感をもつかどうか」を基準にした場合、裁判所はきっと、”一般人はインスリンを多量に注射すると死に至る危険を感じる”と認定すると思われます(吉田学校さんはちょっと違ったかもしれない)。ここで、学説上例によくあがるのは砂糖です。砂糖なら経口摂取しても一般人は死に至る危険を感じないだろうと。また、説が分かれるのが硫黄。硫黄の場合は科学的に見ると危険性が薄いらしく、何もない一般人から見た場合と違いがあります。
しかし、本事件では、インスリンです。インスリンは、科学的に見ても多量の注射は危険で、一般人から見てもその危険性が感じられます(と裁判所は認定するでしょう)。
「科学的・合理的に判断して危険性がどのくらいあるか」を基準にした場合にも、上記のように、裁判所は多量の注射に危険性を認めると思われます。
ですから、致死量を注射した場合はもちろん、脳浮腫などを引き起こす危険のある程度の量でも、結果発生が不能であるという認定はなさそうです。注射したインスリンの量が致死量よりずっと少なければ、ここが問題になりそうです。
しかし、この事件では、夫が重篤な状態に陥っており、仮に致死量を下回っていても死に至る危険性のない方法であるとは認められづらい状況でしょう。症状も明らかにインスリン過多によるもののようですし、夫の体質と相俟って瀕死に至ったとしても、被告が責任を負うべきだとされそうです。極端に致死量を下回っているならば、持病が無関係に発生したものだと主張して説得力も生じうるかもしれませんけど。
仮に、重篤にならないまま夫が立ち直っていた場合は、殺人未遂の適用が妨げられる余地は多いにあるとは思いますが。なんか試験で場合分けしてるみたいな話だからそれ以上書きません。
次に、未必の故意と認識ある過失の区別の問題です。
この区別の方法については学説が分かれるところで、判例は曖昧にしています。しかし、裁判所としては、死亡結果の発生の可能性の認識があり、その認識がありながらそれを否定せず、結果発生をかまわないと思って行為していれば故意を認めるという態度をとるのではないでしょうか。ここで結果発生の確率がどのくらいかの認識を重視する学説があるようですが、この事件にあっては、「インスリンを注射しても死ぬ確率は低いけど死んでもかまわないからやっちゃおう」という認識・意図でやっているからといって故意がないとはされにくい(妥当でない)のではないでしょうか。裁判所において、そういった認識・意図で故意がないと認められうるのは、可能性レベルがもっと低いとか犯行態様が他人任せの場合だと思います。自分から積極的に、科学的にも一般人的にも死亡危険性のある加害行為をしておきながら、死ぬとまでは思わなかったと主張しても、現実的には裁判所には認められづらいのではないかと思います。
ここはもうちょっと理論的には細かく考察できそうですが(事実認定がどうなるかでさらに各学説において結論が分かれそう)、意味が薄そうなのでやめておきます。現実的には、他の事件や社会への影響を考え合わせて、検察は起訴する罪名を決めるでしょうから、殺人未遂や殺人でおおむね行けそうでも傷害や傷害致死にとどめるかもしれません。また、インスリンの量などについて立証に困難があれば、傷害にとどめるかもしれないというところでは。それは検察官が立証できるかどうかという問題であり、純粋な刑法学の問題ではなさそうです。
ということで、私からすると、特に立証に困難がない限り、また、他事件との均衡を図らない限り、検察官は殺人罪で起訴し、裁判においては不能でもないし故意も認められて殺人罪が適用されるんじゃないかと思います。
学説に踏み入ると他の考え方も導きうるかもしれないけど。
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