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Tohazugatali Medical Review
3576
:
名無しさん
:2014/05/06(火) 14:17:55
http://apital.asahi.com/article/sakai/2014050300006.html
《146》 終末期の患者さんに対する禁煙支援
酒井健司 (さかい・けんじ)
2014年5月 5日
受動喫煙の問題さえなければ緩和ケアに入院する喫煙者の患者さんに禁煙を積極的に勧める必要はないと、これまで私は考えていました。ニコチン依存症の人にとって禁煙する過程はつらいことであり、禁煙後の健康という対価がない限り、無理な禁煙は患者さんの不利益になりかねないと決めつけていました。しかしながら、前回の「緩和ケア病棟も禁煙にすべきだろうか?」を書くにあたって文献をあたってみたところ、認識を少し改めました。
終末期の患者さんに対して禁煙支援を行ったという報告がいくつかあります。禁煙だけでも呼吸苦や咳の軽減といった直接の効果がありますが、さらに「禁煙に成功した」という体験自体が達成感をもたらし、患者さんの生活の質を改善するというのです。その通りだと思います。
終末期の患者さんのほとんどが、がんです。そして、がんの多くは喫煙が危険因子になります。タバコを吸うがん患者さんが、「禁煙しておけばよかった」「禁煙できなかった自分はダメなやつだ」という低い自己評価に陥りがちであっても不思議ではありません。そういう患者さんには禁煙支援が役に立つこともあるでしょう。
また、さんざん「健康に悪いからタバコをやめろ」と言われ続けてきたのに、終末期になったとたんに「まあタバコぐらい吸ってもいいでしょう」と言われると、「どうせお前は死ぬのだから、いまさら禁煙しても無駄である」と受け取ってしまう患者さんもいらっしゃるかもしれません。
ただ、一方で、「いまさらタバコを止めるつもりなど毛頭ない」「タバコぐらい自由に吸わせてくれ」と思っている患者さんもいらっしゃるでしょう。そういう患者さんにとっては、禁煙支援は大きなお世話になりかねません。タバコは健康に悪く、禁煙は良いことであるという価値観を医療者は持ちがちですが、その価値観を患者さんに押し付けないように気を付けなければなりません。
結局、禁煙支援をするべきか、それともしなくてもよいのかは、一つの正解などなく、個々の患者さんが選択するべきものなのでしょう。医療者は患者さんの話をよく聞いて、患者さんそれぞれの価値観を尊重し、選択肢を提示し、患者さんが良かったと思える医療を受けられるようにお手伝いをしなければなりません。
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